【もう一つ必読記事】2006年森田実政治日誌[134]の「借金率計算のウソ」
2006.3.13(その2)
2006年森田実政治日誌[134]
(略)
―― 財務省が算出する借金率に大きなウソがあると指摘していますが。
森田 小泉政治を批判しているもう1人の同志である菊池英博・文京大学教授が著書『増税が日本を破壊する』(ダイヤモンド社、05年)の中で財務省の大ウソを暴露しています。財務省は、日本には795兆円の借金があり、その借金率が欧米の3倍に達し、アルゼンチン並みでむちゃくちゃ高いと言い、その赤字財政を良くすることがすべての政策に優先すると主張しています。ところが、その根拠となる借金率の計算の仕方に大変なペテンが隠されていると菊池さんは暴露しました。
どういうことかというと、日本の財務省の計算の仕方は、分子に総債務、つまり、粗債務をもってきて、分母にGDPをもってきて割っている。分母にGDPをもってくるのは他国と同じですが、他の国は分子に粗債務ではなくて純債務をもってきています。純債務と粗債務の違いは、粗債務から政府が保有している金融資産を引いたものが純債務です。
政府は、年金や健康保険関連の運用資金の中にさまざまな金融資産を保有しています。その金融資産は外貨準備、米国国債などを含めると480兆円にも上ります。つまり借金795兆円マイナス480兆円=315兆円が純債務です。それをGDP500兆円で割れば63%です。この数字は他の先進国と比べてもあまり変わらないのです。
日本は金融資産の割合が大きいので、それを引くか引かないかでものすごい差が出てしまう。引けば63%ですが、引かなければ159%にもなる。その 159%という数字を使って、財務官僚や小泉政権の政治家と大新聞が「日本はおしまいだ」と大騒ぎをしているだけなのです。
小泉内閣と財務省は、こうした大デマで国民の不安を煽り、マスコミもこれに追随し、そのウソを拡大再生産してきた。赤字財政を変えるためには公共事業投資も何もかもダメだとの大ウソをついて国民をおびえさせ、正常な批判精神が出てこない状況に追いやり、「消費税大増税もやむなし」という方向にマインドコントロールしようとしているのです。これは大間違いです。(聞き手=社会新報編集部・田中みのる)
【以上は3月8日付社会新報(社民党機関紙)に掲載されたインタビュー記事です】
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