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2007年6月13日 (水)

6月13日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年6月13日朝刊)

[ギンバル返還]根本的解決にはならぬ

 金武町の米軍ギンバル訓練場の返還問題で、儀武剛町長は返還条件となっている町内のブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設受け入れを表明した。

 ギンバル訓練場の返還は、一九九六年十二月の日米特別行動委員会(SACO)で最終合意されたが、既存のヘリパッドをブルービーチ訓練場へ移すことが条件となった。

 ヘリの離着陸訓練に伴う騒音や事故の危険性もブルービーチ訓練場へ移ることになり、周辺住民には新たなリスクが生じる。

 基地機能の「たらい回し」は、一方の住民を基地負担から解放しても、新たに移設先の住民を苦しめることになり、根本的な解決にはならない。

 儀武町長は、受け入れを表明した町議会六月定例会で「大変苦渋の選択であるが、約六十ヘクタールの基地の整理・縮小が進み、跡地利用事業で基地依存経済から脱却して自立経済を進めることにつながる」と述べた。

 その上で、受け入れ理由の一つとして、同町がギンバル訓練場跡地で予定している「ふるさとづくり整備事業」の財政支援について、内閣府が引き続き支援すべく、二〇〇八年度予算概算要求に盛り込むとの文書を得た。

 もう一つは「ヘリパッドは撤去可能なものとし、移設後の周辺住民の生活に配慮する」とした防衛省の通知があった―ことを挙げた。

 ギンバル訓練場には、復帰前、中国全土をにらんだ核ミサイル「メースB」が配備されていた。

 人類を脅かす核基地が復帰後三十五年たち、自立経済を図るために平和利用されることには感慨深いものを感じる。地元住民や県民にとっても異存はあるまい。

 問題は、ヘリパッドの移設先の住民

をヘリの騒音や事故の危険性からいかに守り、「平和的生存権」を担保できるかだ。

 ブルービーチ訓練場は、米軍の強襲上陸作戦場であり、今後、ヘリ訓練の増加は避けられまい。

 最も隣接する並里区は、既に一九九六年と二〇〇六年にヘリパッド移設への反対決議をしており、今後の対応が注目される。

 ギンバル訓練場を含めSACOで返還合意された十一施設は、普天間飛行場や那覇軍港、牧港補給地区などそのほとんどが県内移設条件付きである。

 しかし、SACO合意がすべて実施されても、県内にはなお在日米軍専用施設の約70%が残る。過重負担にそう変わりはないことも、あらためて認識しておきたい。

[米艦船寄港通知]既成事実化を許すな

 米軍が掃海艇二隻の与那国町への寄港を県に通知した問題で、外間守吉町長は住民感情や周辺の石垣市、竹富町などの意向を踏まえ反対する意向だ。当然である。

 関係自治体の足並みはそろっている。県は緊急時以外の使用を自粛するよう米軍に要請。「平和港湾宣言」をしている大浜長照市長は「県の自粛要請を無視することがあってはならない」、大盛武町長は「与那国と台湾との交流に影響が出る」と反対している。

 米軍は二十四―二十六日、県管理の祖納、久部良の両港への寄港を通知。目的は「友好親善」と「乗組員の休養」。これを額面通りに受け取る人は誰もいない。米軍はいざというときの港の使い勝手を実際に入港して試しているとみるのが自然だ。むしろその方が主目的かもしれない。

 与那国町は五月に姉妹都市の台湾・花蓮市に行政連絡事務所を開設したばかり。住民団体が「せっかく築いてきた花蓮市との友好関係をないがしろにする」と懸念するのはもっともだ。

 外間町長は政府の二重基準を批判する。町長は台湾のチャーター船の入港を要請しているが、政府は出入国管理施設などの未整備などを理由に認めていない。「同じ港でも台湾は駄目で、米軍は入港できるというのはおかしい」。これまた誰もが持つ疑問だ。

 米軍艦船の国内民間港への寄港は日米地位協定五条が根拠。民間飛行場も使用できる。ここでも米軍優先の日米地位協定が顔をのぞかせる。

 米側は「乗組員を町長宅のパーティーに招待してほしい」と依頼したというから開いた口がふさがらない。招待は相手から歓迎されてなされるもので、無理強いするものではない。

 米軍が寄港を強行しても、「友好親善」にはつながらない。地元の声を無視し、横暴と取られるばかりで、損得勘定からも割が合わないはずだ。

 与那国町は台湾を望む国境の島である。米軍は潔く計画を撤回して国境に無用な波風を立たせないでほしい。政府も米軍に再考を促すべきである。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月13日 朝刊 1面)

 カラオケで流れると胸がきゅんとなる歌がある。北原謙二さんの『ふるさとのはなしをしよう』(伊野上のぼる作詞、キダ・タロー作曲)もその一つである。

 「砂山にさわぐ潮風 かつお舟はいる浜辺の―」と歌い出すと幼いころの島の風景が目に浮かんでくる。鳥のくちばしのようにへさきの伸びた独特の形をしたカツオ漁船がいくつも沖合に停泊、夕日に映え日没とともにシルエットになる。

 海岸沿いには加工場が点在、競い合うように操業していた。友達と迷い込んだついでに切り落とされたカツオの頭をもらって帰ったら父が大喜び。おいしそうにつついていた姿が原風景の一つになっている。

 沖縄本島でカツオ漁といえば本部町。そこで唯一頑張っていた「第十一徳用丸」が船長(78)の病気療養のため先月の水揚げ以来、出漁できない状態だという(十二日夕刊)。今が旬のカツオが売れないと地元の鮮魚店も寂しいようである。

 沖縄大百科事典によるとウチナーンチュが本格的なカツオ漁を始めるのは、一九〇一(明治三十四)年。座間味村で。その後、県内各地に広がり二三(大正十二)年にはカツオ船が百三十五隻もいたという。

 沖縄のカツオ漁が衰退した原因はすでに指摘されているが、パイン産業と同じ道をたどった印象がある。カツオはタタキにしてニンニクのスライスとネギを乗せるとうまい。そのうち口に入れては涙する日がくるのかも知れない。(真久田巧)


【琉球新報・社説】

古酒担保の融資 全国普及の起爆剤にしたい

 古酒など泡盛の在庫を担保とした融資制度を沖縄振興開発金融公庫が創設、県酒造協同組合と担保取り扱いに関する協定を結んだ。
 沖縄公庫が、在庫古酒などを担保に長期固定資金を酒造会社に貸し付け、返済できなくなった場合は酒造協同組合が優先的に在庫酒を買い取る仕組みだ。
 新たな融資制度の活用によって、伸び悩んでいる泡盛業界を後押しし、泡盛の全国的な普及につながることを期待したい。
 県酒造組合連合会のまとめによると、2006年の泡盛の総出荷量(アルコール度数30度換算)は前年比2・0%減の2万6134キロリットルで、2年連続して減少した。県内向け出荷は前年比0・8%減、県外出荷は同6・7%減となっている。県外向けの落ち込みが目立つ。
 県内向けに出荷する泡盛の酒税を35%軽減する特別措置は、ことし5月から5年間再延長されたが、これ以上、延長されることはない―との覚悟で、生き残り対策に全力を挙げて取り組まなければなるまい。
 5年後の特別措置の廃止による打撃を最小限に食い止めるには、大きな市場である県外への出荷の割合を大幅に増やすことが不可欠だ。
 だが、総出荷量に占める県外出荷の割合は依然として2割程度にとどまっている。
 県外でもポピュラーになってきたとはいえ、6割以上を県外に出荷している鹿児島県の焼酎に比べると、泡盛の全国的な普及度はまだまだ低い。
 県内市場に依存した生産・消費構造から脱却し、全国展開していくことが重要だ。
 そのために求められるのが良質な古酒の安定供給である。
 一社一社の個別の力では弱い。組合を中心に団結し“オール沖縄”として戦略を練りたい。
 沖縄公庫もかねて指摘しているように、設備投資の負担軽減のため古酒貯蔵や廃棄物処理などに共同で取り組めば、より効率的な事業展開ができるだろう。
 泡盛の場合、一定の条件の下で長期間寝かせることで熟成が進み、品質が向上、資産価値が上がっていく。動産を担保とした融資制度は、泡盛の特徴に適した仕組みといえる。
 泡盛製造業者にとって、貯蔵タンクの増設・強化のための資金調達、古酒を寝かしている間の運転資金の確保などは大きな課題だけに、新たな融資制度を有効活用しない手はない。
 古酒化を推進することで、より良質な泡盛を供給し、国内はもとより、世界市場の開拓につなげたいところだ。一人でも多く泡盛ファンを増やしたい。

(6/13 9:55)

【琉球新報・金口木舌】

 「老いること」に対する考えは人それぞれだろうが、一般的に人はそれをマイナスイメージでとらえてしまうのではないか
▼古代ローマの哲学者キケロは「老年について」(岩波書店)の中で、老年には肉体の力はないが、思慮や見識があるとし「肉体が老いても、心は老いることはない」と訴えている
▼1976年に結成された中部地区老人クラブ大正琴・歌声サークル。会員たちは沖縄における大正琴発祥のサークルと自負している。メンバーの中心は沖縄市在住の60代から80代の女性たちだが、70代まではまだまだ“ひよっこ”扱いだ
▼90代はいるし、かつては104歳まで現役を貫いた会員もいた。90歳を超えた内間史会長は数年前までピアノ伴奏をしていたという。県内外、国外へも演奏に出掛ける
▼サークルのモットーは「美しく楽しく老いる」。月2回の練習日には大正琴を弾きながら歌謡曲、民謡を口ずさむ。新曲にも挑戦する。その元気な姿は老いることを楽しんでいるかのようだ
▼誰も老いることを避けて通ることはできない。だが、「美しく楽しく老いる」ことは、自らの努力でできるはずだ。心の老いることのない女性たちがそれを教えてくれる。

(6/13 9:52)


【東京新聞・社説】

三菱UFJ 基本ができていない

2007年6月13日

 三菱東京UFJ銀行がまた、金融庁から処分を受けた。相次ぐ不祥事は法令順守や内部管理体制が十分でない点に根本的な原因がある。トップをはじめ経営幹部は責任を明確に示す必要がある。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の銀行や証券会社に対する処分は、米監督当局が昨年十二月に「資金洗浄の監視体制が不十分」として、同行に業務改善命令を出したのを皮切りに、半年で五件に上る。「三菱」の名が泣く、異常な事態というべきだ。

 今回の業務改善命令は二件ある。投資信託の販売と海外業務に関する不祥事だ。投信販売では、顧客の注文を忘れて売買をしなかったり、誤発注で顧客が損失を被った事例が三年間で九十九件に上った。

 銀行側のミスで損失が発生したなら、補てんするのは当然だが、担当者は自分の勤務評価が下がるのを恐れて、謝罪だけで済ませていたという。これは法令うんぬんよりも、社会常識の問題だろう。そんな取り扱いがまかり通るようでは、顧客はとても安心して取引できない。

 背景には、過熱する投信販売競争がある。銀行は企業への融資だけでは収益が上がらなくなり、各種手数料収入の増加に血道を上げている。低金利が続く中で、投信販売手数料は重要な収入源だった。第一線の行員は販売成績にこだわるあまり、間違いを起こした際の基本的対応がおろそかになったのではないか。

 海外業務では、現地採用行員の横領や不正な資金引き出しが過去三年間で数十件に上った。中国では、行員が公安当局に収賄の疑いで逮捕される事態も起きている。

 いずれも、件数の多さからみて行員の資質の問題というよりも、経営管理体制の不備とみるべきだ。金融庁は、二〇〇四年にも米国子会社が米監督当局から資金洗浄防止体制の欠陥で業務改善命令を受けていたのに、その後も適切な措置を講じてこなかった点を指摘している。経営責任は重い。

 畔柳信雄頭取は「再発防止策をしっかり現場で実施する」と述べているが、頭を下げただけで信頼を取り戻すのは難しい。この際、抜本的な改善を図るために、経営体制の一新も視野に入れるべきではないか。

 他の銀行も、こうした不祥事を「対岸の火事」と眺めてはいられない。銀行が扱う金融商品は増えている。窓口の第一線で、投信に限らず顧客への商品説明は十分か。トラブルになりそうな場合は、適切に対応できているか。あらためて、しっかりと点検してほしい。

地価上昇 『神話』の復活に注意を

2007年6月13日

 今年の土地白書は「市場の変化」を取り上げた。公示地価が十六年ぶりに上昇しその主因は不動産の証券化にあるという。国民意識も再び値上がり期待感を強めている。価格など注意が必要だ。

 バブル崩壊後ずっと低迷していた全国の地価は今年、上昇に転じた。国土交通省が発表した今年一月の公示地価は住宅地が前年比0・1%増、商業地は同2・3%増となった。企業や個人の土地・住宅取得が増加し国内外からの不動産投資も活発だった。

 不動産投資は「証券化」が原動力となった。投資法人が証券を発行して資金を集めて高収益が期待できる土地やオフィスビルなどに投資し、賃貸収入や売却益などを投資家に配分する仕組みだ。白書は「新たな買い手の登場で優良な都市ストックの形成にもつながる」と評価する。

 この手法により不動産は利回りで判断できる金融商品となった。二〇〇六年度の証券化投資額は約七兆八千億円と過去三年間で二倍近くまで急増した。白書は今後地方都市の活性化などで、こうした資金の活用を取り込む必要があるとしている。

 たしかに土地利用を高め地域経済を再生させるには、投資法人やファンドなどを活用することも一つの手法だろう。だが課題も多い。

 昨年以来、証券化業務に関して米大手信託銀行や国内投資法人などが金融庁から相次いで処分を受けた。法令違反の建物を投資対象にするなど適正な審査が行われなかったことが理由だ。これでは市場は信用を失い、投資家は不当な損害を被る。投資法人などへの監視が必要だ。

 一方、白書は国民の土地に対する意識の変化を明記している。

 「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」との質問に対して「そう思う」と回答した人の割合は36・6%と三年連続して増加した。逆に「そうは思わない」とする回答は35・6%と減少した。今後の地価見通しでも「上昇する」が33・0%と二年連続で増加する一方「下落する」は24・0%と減少している。

 企業への意識調査でも土地所有について「今後所有が有利」との回答が41・2%と増加傾向にある。国交省は「地価は上昇し続けるという土地神話は崩壊した」と強調するが、国民や企業の本音は値上がり期待を強めているのではないか。

 わが国の土地政策が地価抑制から土地の有効利用促進に転換して久しい。利用促進には取引の公正さと透明性の確保が不可欠だ。国や自治体は売買価格などをしっかり調べ、情報を積極的に公開すべきである。

【東京新聞・筆洗】2007年6月13日

 手元の資料に目を通すと、その「勤勉」ぶりに驚く。例えば成人式の会場での某団体の活動状況に関する報告には「三人は憲法前文及び第九条が記載さ れたビラ配布を実施」とある。資料を読んだ上司は、部下の仕事ぶりに恐らく満足しているのだろう▼資料とは、陸上自衛隊の情報保全隊が収集した情報をまと めた内部文書のこと。共産党が入手し公表した。視察などとした「監視」の対象は市民運動から労組、宗教団体、政党、地方議会、取材活動と広範囲に及んでい る▼防衛省の論理では内部文書が本物かどうか調べる必要はないし、情報収集は任務として問題ない。確かに防衛省の決まりでは、内部からの情報漏えいの防止 とともに、外部の働きかけから部隊を守ることが任務になる。でも三人によるビラ配布の監視が、部隊を守ることにつながるとはとても思えない▼五年前にも似 たようなことがあった。情報公開法に基づいて自衛隊の情報を請求した人の身元を、防衛庁が無断で調べてリストまで作成。幹部らの間で閲覧していたことが明 らかになった。軍事を司(つかさど)る組織は「出動」に備え、常に国民を監視しておく欲求にかられるのだろうか▼監視すれば分析が必要で、内部文書はイラ クへの自衛隊派遣に反対する動きを「反自衛隊活動」と括(くく)っている。自衛隊派遣の是非は政治問題であって反自衛隊活動とは違う。国民を「敵」とみな すような偏見は慎むべきだろう▼「国民のために自衛隊はある」と久間章生防衛相が国会で答弁していた。守るべき相手を監視する必要はない。


【河北新報・社説】

改正規正法可決へ/透明化にはまだ距離がある

 松岡利勝前農相の自殺であらためて注目を集めた「政治とカネ」問題で、与党は政治資金規正法改正案をきょうにも衆院政治倫理・公選法改正特別委員会で可決する方針を固めた。調整は残るが、与党は残る10日余りの会期内に成立させたい考え。

 改正案をめぐっては、民主党が修正案や譲歩案を示し、きのう予定していた特別委採決を先送りしてまで与野党協議を続けた。しかし与党は「修正・譲歩に応じれば相手の得点になるだけ」として与党案を結局押し通すことに。見切り発車である。

 与党としては、夏の参院選を強く意識しての判断だろう。野党に年金記録不備問題で押しまくられている現状に抗しようと前のめりになるのも分かる。

 しかし、それならそれで、与党は民主党案より充実した中身の改正案づくりを目指し、ぎりぎりまで努力したのだろうか。

 与党の改正案はまず、資金管理団体に限り、人件費を除く5万円以上の経常経費に領収書を添付するよう義務づけている。すべての政治団体を対象に1万円超の支出(人件費除く)に領収書の添付を義務づける民主党案よりかなり緩い内容だ。

 繰り返し指摘してきたように、与党案では経常経費を1件5万円以下に小分けして領収書を不要にしたり、資金管理団体以外の政治団体に支出を付け替えたりできる。このため、「与党案はザル法」という民主党の批判は市民権を得つつあった。

 与党案提案者の一人は「7万もある政治団体すべてを規制対象にするのは乱暴だ」「一握りの不祥事が(政治家と無関係な政治団体に)広がることは迷惑だ」と民主党案をけん制する。

 しかし、与党の改正案づくりを振り返ってみると、「初めに5万円ありき」で進められてきたと思わざるを得ない。

 与党改正案は資金管理団体の不動産取得禁止も明記し、所有不動産の利用実態報告も義務づけている。資金管理団体が約10億円の不動産を持つ小沢一郎民主党代表の狙い撃ちと言える。

 事務所費疑惑などが象徴する「松岡氏問題」から「小沢氏問題」に焦点を移動させることで野党への反攻に出た格好だ。

 与党案は民主党案のように株式の取得を禁止していない。だが不動産の利用実態を報告させるのは、領収書添付条項の甘さが目立つ中で突出した内容だ。そのちぐはぐさが気になる。

 領収書問題では故松岡氏のほかにも現職閣僚や自民党幹部の名が挙がったはずだ。なぜ与党は、不動産だけでなく、事務所費などの経常経費も過去にさかのぼって報告させることにしなかったのか理解に苦しむ。

 公金や献金などで賄われる政治資金の使われ方には一般通念より厳しい倫理観と規制が求められるのは当然である。だから政治とカネの関係は政治への信頼感そのものを左右する。

 今回の法改正を「一歩前進」とする見方があるかもしれない。しかし、国民の政治不信をぬぐうにはまだまだ不十分―というのが大方の世論ではないのか。とりわけ与党はそうした空気を謙虚に読んでほしい。
2007年06月13日水曜日

【河北新報・河北春秋】

 仙台近郊の水田地帯で、めっきりカエルの姿を目にしなくなった。特にトノサマガエルが減った。カエルと言えばトノサマガエルを思い浮かべるほど、たくさんいたのに▼減少は全国的な傾向だ。水田の乾田化が進んで1年のうちの過半は用水路に水がない。トノサマの生息に適さなくなった。さらに、多くの用水路はコンクリートだ。吸盤のないカエルは、はい上がれずに死んでしまう

 ▼ かくして、カエルにとっては誠にすみにくい世の中になった。そこへ持ってきて、恐ろしい感染症が蔓延(まんえん)しそうな雲行きだという。カエルツボカビという菌だ。感染して発症すれば9割が死ぬとされる▼感染しても発症しないアフリカツメガエルが各地に輸出されて病気が広がった。北米や豪州の一部では劇的なカエルの減少や絶滅を招いた。日本でも野生のウシガエルから菌が見つかった

 ▼相撲でウサギを投げ倒すカエルは平安時代の絵巻の鳥獣戯画。人形劇のケロヨンもいればポケモンのグレッグルも。今も昔もひょうきんな面構えで人を癒やしてきたカエルという種の危機▼人の手で災厄がもたらされただけになおカエルは哀れだ。詩人の草野心平は「蛙(かえる)はでっかい自然の讃嘆(さんたん)者である」と歌った。たかがカエルだけれど、それさえ救えずに自然を守れるはずもない。

2007年06月13日水曜日


【京都新聞・社説】

第2期分権改革  「地方政府」に魂入れよ

 国と地方の「かたち」を問う地方分権の第二期改革論議が始動した。中途半端は、もう許されない。
 首相への「勧告権」を持つ有識者らによる地方分権改革推進委員会が、今後の論議を方向づける基本方針をまとめた。これを受け、安倍晋三首相を本部長とする政府の地方分権改革推進本部も初会合を開いた。
 地方分権の推進は安倍内閣の最重要課題である。全閣僚で構成する推進本部の会合で首相は「省益にとらわれず、率先してリーダーシップを発揮してほしい」とあらためて指示したという。
 その意欲はよい。問題は、権限や予算を失いたくない中央省庁の壁を突破できるか、どうかだ。首相の強い意思と指導力こそが問われよう。
 分権委は基本方針で、第二期分権改革の目指すべき方向を「国が地方のやることを考え、押しつける中央集権型システムはもはや捨て去るべきだ」とうたいあげた。まったく同感である。
 その地方自治の将来像として、行政権に加えて、財政権、立法権を備え持つ自立した「地方政府」を打ち出した。
 一九九五年からの第一期分権改革は、国と地方の関係を「主従」から「対等」に変える試みだったが、いまだに上下関係が続いているのが実情だろう。今回の地方政府は、国に依存しない「完全自治体」を目指そうというものだ。
 具体策として注目されるのが、一律に定められた国の政省令を自治体の条例で修正できる「上書き権」の提案だ。
 老人ホームの施設整備などで、国の法令にとらわれず、地域の実情に応じて施策決定ができるようになるというわけである。自治体の責任は大きくなるが、魅力ある案だ。ぜひとも実現したい。
 分権委は、国と地方の二重行政を排除するため、国の出先機関の廃止、縮小を求めている。その先にある道州制導入に道筋をつけるものだともしている。
 確かに二重行政の無駄見直しは急務ではある。だがその前に、中央、地方の各政府に、どんな役割と権限を担わせるかの論議が先決であろう。
 権限や事務を国から移譲された場合、それに見合う税財源の移譲が不可欠である。ところが、方針には具体的な数値目標が示されていない。
 分権改革の最大の課題は、地方財政の自立性と独立性をいかに高めるかにあろう。税財源の移譲は分権の根幹だ。小泉純一郎前政権の三位一体改革が中途半端に終わったのは、大胆な税源移譲に腰が引けた結果である。
 分権委は秋には中間報告を出し二年ほどかけ改革案を順次勧告していく。税源移譲の道筋と案の肉付けを求めたい。
 改革案が具体化していけば官僚の抵抗と反発は必至だ。分権が骨抜きにされないためにも、地方自治の主役である国民も目を光らせる必要がある。

[京都新聞 2007年06月13日掲載]

不明年金問題  社保庁解体に不安募る

 このまま社会保険庁を予定通り解体しては、事態がうやむやに終わりかねない。
 年金問題審議は参院で攻防が続いている。政府与党が、不明年金解消の展望も示せぬまま、関連法案成立を急ぐのは是認できない。
 年金記録不備問題は、与党が関連二法案を強引に衆院通過させた後も、新たな事実が次々に明らかになっている。
 さる六日には、当初の五千万件とは別に、最大で千四百万件の新たな「宙に浮いた」年金の存在が発覚した。一九五〇年代前半までの年金記録で、紙台帳のまま社保庁のコンピューターに登録漏れになっているという。対象者は高齢者で、年金減額だけでなく、無年金に追いやられている人がいる恐れさえある。
 さらには、八〇年代に従来の手書き台帳の記録をコンピューター入力した際、名前の誤記載などがあったことも明確になった。社保庁が約三千件を対象にサンプル調査したところ、四件でミスが見つかった。この比率を「宙に浮いた」五千万件に当てはめると、約六万五千件のミスがある勘定になる。
 このほか、七〇年代に実施された三回の「特例納付」(過去の未納分を一括して納付)の記録が社保庁側にない事例も多く見つかっている。
 広がる一方の不明年金問題に、政府の説明も首尾一貫しない。当初は一年間で例の五千万件の照合を終えるとしていた安倍晋三首相も、参院審議では「計画的に」とか「最後のお一方まで解決する固い決意で」とか、時期を明言しない答弁に変わってきた。
 国会会期末が迫る現時点でもなお、不明年金問題の全容も、対策の展望も明らかにできない証左ではないか。
 こんな状態で、社保庁改革法案や年金時効撤廃法案を通すことに、どれだけの意味があるだろうか。むしろ社保庁を解体することで、問題解決や責任追及があいまいになる恐れがあろう。
 政府は総務省内に新たに二つの第三者委員会を設置する。年金支給の判断が難しいケースについて、支給の是非を判定してもらったり、社保庁の責任問題を審議してもらうという。
 だが、第三者委員会に問題を丸投げするだけなら政治の責任を放棄している。社保庁の怠慢は許せないが、年金のエキスパートであることも確かだ。厚労省外部に委員会を設けることで問題解決が促進されるかは、検討が必要だ。
 年金加入者は約七千万人。既に受給している人は約三千万人。さらに無年金に追いやられている可能性のある人…いずれの人たちも不安にかられている。
 国の社会保障の根幹にかかわる今回の問題で、中途半端な対応は絶対にすべきでない。不利益をこうむっている国民に一日も早く補償することは望ましいが、その前に、事態の正確な把握と対応策の展望を示す責務が政府や国会にある。

[京都新聞 2007年06月13日掲載]

【京都新聞・凡語】

親心

 親思う心にまさる親心 きょうの音づれ何と聞くらん-。幕末の志士で教育者でもあった吉田松陰が処刑の前、家族あての手紙に書き残した歌だ▼親心の深さを詠んだ歌として知られるが、北朝鮮による拉致問題に風穴を開けたのも、横田滋さん夫妻らの親心ではなかったか。一方で、親が子を手にかけたり、養育を放棄する児童虐待が後を絶たないのはどうしたことか▼京滋でも昨年、長岡京市で三歳男児、高島市では二歳女児が虐待で命を失った。府は防止に向け専任職員の保健所配置など体制を整備、滋賀県も都道府県では、あまり例のない防止計画を策定中だ▼「虐待の兆候をつかみながら…」の反省から、国も児童虐待防止法の改正に着手。家庭への強制立ち入り調査など、児童相談所の権限の大幅強化を柱とする改正法を今国会で成立させた。施行は来春だ▼事件になるのは氷山の一角とされる。危機にある子どもたちの命を救おうというのは当然だが、気がかりなのは親心だ。なぜ、虐待に至ったのか。抜本的解決をめざすなら、その解明が必要だろう▼育児、夫婦関係や経済的不安。精神の不安に親自身の虐待体験…。原因は複雑で、これらが重なるケースも多いという。親もまた声にならない悲鳴をあげているのかもしれない。親心は失われたのか。いや、松陰先生の時代と本質は変わらないと信じたい。

[京都新聞 2007年06月13日掲載]


【朝日・社説】2007年06月13日(水曜日)付

水害防止―住民参加で洪水いなす

 遅れ気味だが、南から梅雨が始まり、台風シーズンも近づいてきた。

 地球温暖化の影響か。気になるのは、ここ数年、記録的な雨が降り、各地で水害が頻発していることだ。昨年の夏は、1時間に80ミリ以上の雨が19回降った。過去30年で最も多い。

 大雨では、堤防の決壊がとくに怖い。濁流にのみこまれ10人以上が死亡した3年前の新潟水害が記憶に新しい。想定を超える豪雨に、なすすべがなかった。

 国土交通省はいま、全国の1級河川の堤防の危険度を調べている。点検を6割余り終えた昨年末で、3分の1以上がもろい土質で、対策をとる必要があることがわかった。健康診断でいうなら「要観察」状態という。総延長は2400キロに及ぶというから、膨大だ。

 そのうち55キロは「要治療」の診断だった。110億円かけて3年計画で補修するので、今年の雨期には間に合わない。こうした危険堤防は、都道府県が管理する河川でも105キロあるという。

 対策を急ぐのはもちろんだが、危険堤防がどこにあるのか、詳細な情報が住民に伝わっていないのが気がかりだ。ネットという手段もある。工事の進み具合もあわせ、すぐ公開すべきだろう。

 日本の治水政策はダム建設に重点を置いてきた。59年の伊勢湾台風をきっかけに計画された奈良県の大滝ダムは、総事業費が3500億円にもなる。だが、いまだに完成を見ない。4600億円をかける利根川の八ツ場(やんば)ダムも、40年たってもまだ本体に着工していない。

 財源や環境問題のことも考えると、いつ完成するかわからないダムに巨費を投じるよりも、堤防の補強が現実的で有効な対策といえる。一方、ダムで安全度を高める政策に安心した結果、下流の洪水危険地帯では開発が進んだ。いまの日本の都市の弱点でもある。

 最近は、ヒートアイランド現象の影響とみられる都市部の集中豪雨も目立つ。中小河川や下水から水があふれ、浸水被害が起きる。地下街を多く抱える大都市では、こうした被害も心配だ。

 ここで発想を変えないと、異常豪雨が続く時代に対応できまい。

 豪雨対策に特効薬はない。これからは水防活動や予報、避難など、被害を壊滅的なものにしないソフト面の取り組みに重点を置く。そして、流域全体で洪水をいなす総合治水への転換が必要だ。

 水をあふれさせる遊水池を整備する。危ないところには住ませないような土地利用政策をとる。荒廃した人工林を間伐して保水力を高めることも大切だ。

 いずれの場合も、住民を交え、地域に見合う処方箋(しょほうせん)づくりが欠かせない。いまのように国土交通省がトップダウンで河川整備基本方針をつくるのでは、住民から「自助」の思想をそぐだけだ。

 自然を制圧する治水の限界を知り、危険堤防など現実のリスクを知る。豪雨への備えは、そこからしか始まらない。

自殺対策―20%以上減らすには

 景気は上向いてきたけれど、自ら命を絶つ人の数は、減る気配を見せない。

 警察庁によると、昨年の自殺者は全国で3万2155人だった。交通事故による死者の5倍にのぼり、9年連続で3万人を超えている。

 人口当たりの自殺率で、日本は先進国の中ではロシアに次ぐ高い水準だ。

 そんな深刻な事態をなんとかしようと、国もようやく本腰を入れ始めた。

 出発点は、昨年施行された自殺対策基本法だ。それを受けて、今月には「自殺総合対策大綱」が閣議決定された。

 これまで自殺は「個人の問題」として片づけられてしまうことが多かった。これに対して基本法は、自殺の背景に「様々な社会的な要因がある」とはっきり指摘した。今回の大綱でも、自殺を「追い込まれた末の死」「社会全体にとっても大きな損失」と位置づけている。

 国や自治体、医師、学校、民間団体などが連携し、自殺を減らしていこうということだ。この流れを評価したい。

 問題は、それぞれが具体的にどう動くかだ。その意味で、大綱が世代別に自殺の特徴とその対策を挙げているのは、行動の手がかりになる。

 昨年は生徒や学生の自殺が増え、統計を取り始めた78年以降で最も多くなった。小学生も14人、中学生は81人もいる。将来ある若い命が失われていくのは残念としか言いようがない。

 大綱は、心の健康や人格形成を手助けすることの重要さを指摘している。それに加え、幼い頃から命の大切さをもっと教えることも欠かせないだろう。

 中高年の男性の自殺は、依然として多い。健康への不安が増す60代だけでなく、働き盛りの40~50代も自殺する人が後を絶たない。

 ストレスの原因となる長時間労働を減らす。失業や倒産にあった人に手を差し伸べる。うつ病を早く発見し、治療させる。そうした大綱の内容は、いずれも役に立つだろう。

 高齢者の自殺の背景にも、うつ病がある。先行きの不安に、社会や家庭での役割の喪失感、介護・看護疲れなどが重なるからだ。かかりつけの医師が精神面でも目を配ることが大切だ。

 自殺を防ぐ対策とは別に、なぜ自殺に追い込まれるのか、その実態を解明する必要がある。これは、遺族らの心情やプライバシーに配慮しながら進めなければならないことは言うまでもない。

 2016年までに自殺率を20%以上減らす。そんな目標を大綱は掲げた。

 1年や2年で成果が出るものではなかろう。だが、自殺者の少ない社会は、生きやすい社会でもある。一つひとつ粘り強く取り組んでいきたい。

【朝日・天声人語】2007年06月13日(水曜日)付

 19年前にコムスンを創設した榎本憲一さんは、福祉がまだ「施し」だった時代に、お年寄り本位の介護を先取りした。03年に亡くなる前、親交のあった人に「惜別の言葉」を残している。

 「保険料という拠出で、連帯と共生によって(介護を)行うことは、日本国民の優しい英知であろう」「介護という仕事が、人を支え励まし、誇りある人生の結実に役立つことを信じています」。短いが、介護事業への「志」がこもる内容だ。

 コムスンを継いだ折口雅博氏は、どこで舵(かじ)を切ったのか。その思い描く介護は「志」から離れ、いつしか「金のなる木」になっていった。ある社員は、利用者一人ひとりを「業績」としてしか見ない幹部に幻滅し、今年退職した。

 介護もビジネスチャンスに違いない。しかし介護報酬の不正請求などが次々に明るみに出ては、「国民の優しい英知」を罠(わな)にかけたようなものだ。批判の中、氏の率いるグッドウィル・グループは介護事業から退場する。

 人が人を支えるのは、やはり尊いことだ。千葉県の池下和彦さんは、ヘルパーの力も 借りて認知症の母を自宅で看取(みと)り、その日々を「母の詩集」(童話屋)に編んだ。〈たまに/ほんの数秒/母に正気の時間が与えられることがある/母 は顔色を変え/訴える/迷惑を掛けてすまないと……与えられた正気の時間を/母は感謝の言葉に充ててしまう〉。

 派遣先での感謝の言葉に、誇りを感じる介護スタッフは多いことだろう。初志を忘れてしまった耳には、もう聞こえないのかもしれないが。


【毎日・社説】

社説:成長率先進国一 円安も低金利も納得いかぬ

 日本の経済成長率は米国やEU(欧州連合)をしのいで、先進国トップに立った。内閣府が11日に発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)統計2次速報によると年率換算した前期比の実質成長率は、5月の1次速報の2.4%から約1ポイント上方修正され、3.3%だった。民間企業設備投資が減少から増加に大幅に見直されたことが主因だ。

 最近の日本の潜在成長率は1%後半から2%前半と推定されてきたが、昨年10~12月期に続き、1~3月期も3%台となったことで、上昇している可能性がある。

 先週のハイリゲンダム・サミット(主要国首脳会議)では現在の世界経済は順調な足取りをたどっていることで意見が一致した。昨年までは日本やEUが米国に牽引(けんいん)される格好だったが、いまや日本の根強さが目立っている。

 もちろん、景気拡大も6年目に入っている以上、その動向に注意は必要である。構造問題を解決するためにも、景気が長続きすることは好ましいからである。

 景気の下方リスクとしては企業の生産や設備投資を押し上げている中国や米国向けの輸出の行方も見据えなければならない。ただ、このところの経済指標には内需の根強さを示唆するものが少なくない。いい兆候である。

 民間設備投資では製造業の伸びが鈍化している一方、非製造業の伸びが高まっている。これは内需に底堅さが出てきたことの表れとみていいだろう。GDPベースでも民間最終消費支出は昨年7~9月期を例外として前期比1%内外の伸びを維持している。地域間格差はまだ大きいものの完全失業率の低下など雇用環境の改善もこれを後押ししている。

 公共事業など公的需要が減少する下での景気拡大の長期化は、戦後日本経済が経験しなかったことだ。ただ、この間に格差など経済無策のつけがそこここに出ている。政府が再チャレンジを政策課題に掲げているのも、格差問題は放置できないからだ。しかし、いま提示されている各種の施策は国民を納得させるに足るものではない。経済情勢が好調で予算による需要追加が不要ないまこそ、格差対策など構造にかかわる手立てを本格的に打つべきだ。それが巡り巡って、内需の振興にもなる。

 経済界のみならず、政府部内には景気拡大を持続させるためには、為替相場を現状の円安水準に維持しておく必要があるとの主張がいまだに根強い。輸出への配慮からだが、これは間違いだ。実効為替レートはプラザ合意以降の安値水準にある。日本経済が依然多くの問題を抱えていることは確かだが、それを打開することで自国通貨も国際的に評価されることが経済の健全性の証しだ。

 相変わらずの超低金利願望もおかしい。金融・資本市場では長期金利が1.9%程度になっただけで、景気に悪影響が出てくると不安をあおる。

 成長率が先進国でトップであるのに、いまの円相場、長短期金利の水準こそおかしいのだ。

毎日新聞 2007年6月13日 東京朝刊

社説:視点 水害サミット 格差のつけを被災者だけに払わすな=論説委員・松田喬和

 水害に襲われた体験を持つ市町村長が一堂に会し、被害を最小限に食い止めるノウハウを協議する第3回「水害サミット」が、このほど東京で開かれた。発足時からコーディネーター役を務めているが、今回は過去最高の22人が参加した。そこでの提言を踏まえ、防災・減災策を考えた。

 大半の被災地域は、中山間地域だ。過疎化、高齢化が進み、活力に乏しい。65歳以上の高齢者が半数を超える「限界集落」も少なくない。

 「水害サミット」に参加した首長の悩みは、それだけではない。災害対策基本法に基づき、避難勧告や避難指示を出さなくてはならない。行政区域を越えた広範囲の気象データ、水位を含めた河川状況の把握が先決だ。日のあるうちの避難が最善だ。先を読んだ勧告・指示が求められている。

 住民は災害を実感するまでは、容易に避難しない。説得術も重要だ。事前に首長向けの訓練を求める意見(兵庫県豊岡市、山口県岩国市)は、傾聴に値する。政府も対応策を検討すべきだ。

 住民への情報伝達手段としての防災行政無線などの整備も進んでいる。地域ローカルFM放送やCATVの活用事例も報告された。サイレンの頻度や音量を高める(新潟県見附市)、事前に用意された文章を首長自身が読み上げる(豊岡市)など、緊迫度を感じやすくする工夫も施されている。

 「限界集落」などでは、老人が老人を誘導することになる。せっかくの共助だが、ままならない。消防団員OBの再入団(長野県岡谷市)や要介護者の自主的登録と支援者の事前指名(兵庫県西脇市)などの対応策も報告された。

 国際化で新たな問題も浮上している。日本語を理解できない外国人に指示・勧告を徹底させる策だ。観光地(静岡県伊豆の国市)だけでなく、農村部(長野県箕輪町)でも深刻だ。英文だけでなく近隣諸国の言語で呼びかける放送文案は事前に用意すべきだろう。

 被災住民の心のケアも必要だ。大雨に見舞われると災害時を思い返し、パニックになる住民も出ている。夏休みを利用しての小、中学生のボランティアによる老人宅慰問(鹿児島県出水市)、精神不安定の被災者向けのカウンセラー派遣(箕輪町)などの対応策は、大いに参考になろう。

 わが国での集中豪雨(1時間に100ミリ以上)の頻度は10~20年前に比べ倍以上に増えている。その一方で、外材に押され日本の森林は各地で荒れ放題のまま放置され、保水力は低下している。水害多発の大きな要因の一つだ。森の復興(三重県伊勢市、宮崎県日之影町)も痛切な願いだ。

 効率第一の経済、社会制度のマイナス面の一つは間違いなく水害だ。地域間格差のつけを、地元自治体を含めた被災者だけに背負わせるのは酷すぎる。

毎日新聞 2007年6月13日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:「分別袋」と書けば、燃えるゴミのか、燃えないゴミのか…

 「分別袋」と書けば、燃えるゴミのか、燃えないゴミのか、と問い返したくなるが、それは「ぶんべつぶくろ」だ。世の中にはかつて「ふんべつぶくろ」というものがあって、「日本国語大辞典」を引くと「思慮、分別が納められていると想像される袋」とある▲当時はたっぷり分別の入った袋をふところにひそませているのが「大人」だったのだろう。だが分別がもっぱら「ぶんべつ」と読まれるようになり、そんな袋のことも忘れられると、そういうわが身もふくめ「大人げない大人」が珍しくない世となった▲だが「それにしても」である。東京都港区教育委員会は、学校に持ち込まれる親たちの理不尽で、無分別なクレームに対処するため、弁護士による相談窓口を新設したという。それを聞けば「教育の現場がそこまできたか」という嘆きと、「今や設置して当然だ」との思いが交錯する▲わが子への特別待遇を求めたり、担任の交代を求める親の学校への強引な要求がこじれるケースは全国的に増えている。港区では学校に親同士のケンカが持ち込まれたり、チャイムがうるさいという近隣住民の抗議などトラブルの多様化が目立ち、法律的な助言を求めたいというのだ▲昔の分別袋には、学校や教師は世の争いごととは別次元の存在として敬意を払い、教師の子供たちへの教育力を父母らみんなでもり立てる分別が入っていたはずだ。「教員にはクレーム対応より教育に時間をとらせたい」という区教委の言い分も分かる▲袋の中の分別に代わり法律の中の条文が用いられるようになるのは、世の流れといえばそうかもしれない。だがそれが同時に、大人社会の子供たちを教え、育てる力の衰弱を示す流れならば、そう簡単に流されてはいられない。

毎日新聞 2007年6月13日 東京朝刊


【読売・社説】

公務員改革法案 今国会成立にこだわらなくても(6月13日付・読売社説)

 いわゆる新・人材バンクの創設などを柱とする公務員制度改革関連法案の今国会成立に、相当の執着ぶりである。

 安倍首相は、なぜ、これほどまでに、力こぶが入っているのだろうか。

 内閣府に置く新・人材バンクは、国家公務員の再就職を一元的に管理する。

 首相は、「押しつけ的天下り」を官製談合の温床とし、天下りの根絶は「国民の強い声」であるがゆえに今国会で成立させてほしい、と訴えている。

 受注側との官製談合で天下り先を確保していた農水省所管の緑資源機構や、天下り先を渡り歩き、多額の報酬を得ていた歴代の社会保険庁長官の問題が、首相の念頭にあるのだろう。

 一連の問題で、有権者の公務員不信、天下り批判が高まっている。こうした空気に乗って、“公務員たたき”に出た方が、間近に迫った参院選で有利に働くという判断も見え隠れする。そうであれば大衆迎合政治になってしまう。

 内外の大きな変化の中で、国家の運営や国民生活向上に必要な政策を立案し、行政サービスを円滑に進める体制を作ることが、公務員制度改革の本旨だ。天下りの問題は重要ではあるが、全体を見れば、改革の一部分だ。

 無論、不祥事を起こしたり、年金記録漏れの問題をないがしろにして自分の懐ばかりを大事にするような行為は許されない。厳しい追及は当然である。

 各省ごとの再就職先のあっせんが、省への忠誠心を生み、縦割り行政の一因となっていることも否定できない。

 こうした天下りの弊の解消は、大事な課題だ。だが、そのために何よりも必要なのは、早期退職勧奨制度の見直しではないか。

 現在の公務員社会では、幹部職員となる1種試験採用者は、次官になる一人を除き、50歳前後から退職勧奨を受け、天下っていく。

 これを改めるには、例えば、専門スタッフ職を創設し、次官、局長になれなくても経験、知識を生かせるようにすればよい。定年延長も必要なことだ。

 こうした問題について、政府は、来年の通常国会に関連法案を提出するとしている。天下りの問題は、改革の課題全体をパッケージで考えるべきだ。新・人材バンクを突出し、先行させるのは、むしろ抜本的な解決の先送りと映る。

 参院内閣委員会で法案の審議に入ったが、残り会期は少ない。教育改革関連3法案や社会保険庁改革法案などの重要法案も山積している。ここは無理押しせず、出直しも考えるべき局面である。
(2007年6月13日1時27分  読売新聞)

世銀新総裁 信頼回復と組織見直しが急務だ(6月13日付・読売社説)

 世界銀行の信頼回復が、新総裁の課題である。世界の貧困の解消を目指し、役割を果たさなければならない。

 交際中の女性職員を厚遇した不祥事で、ウォルフォウィッツ世銀総裁が、6月末に引責辞任する。ブッシュ米大統領は後任に、ゼーリック前国務副長官を指名した。世銀理事会が近く、承認する見通しだ。

 3月に問題が発覚した後も、ウォルフォウィッツ総裁は続投に意欲を示し、大統領もそれを支持した。だが、欧州などからの総裁批判は、収まらなかった。混乱の長期化を避けるため、総裁の速やかな辞任は当然といえる。

 世銀総裁は、世銀への最大出資国である米国が推薦し、決定する慣例が、今回も踏襲された。姉妹機関の国際通貨基金(IMF)の専務理事は、歴代、欧州出身者が占める。こうした暗黙のルールは不透明で時代遅れだ。いずれ見直しを検討する必要があるだろう。

 米通商代表や国務副長官を務めたゼーリック氏は、対日交渉では厳しい態度で臨み、日本バッシング(たたき)で知られた。一方、中国には、「責任あるステーク・ホルダー(利害関係者)」としての役割を求めるなど、中国重視・日本パッシング(軽視)も目立った。

 世銀の承認手続きを前に、欧州、アフリカ、中南米などを回ったが、アジアは訪問しなかった。これには、アジア軽視の姿勢を示すものではないか、との見方も出ている。

 世銀は1945年、第2次世界大戦後の経済復興を目指して設立された。日本は、世銀融資で東海道新幹線などを建設し、経済成長を遂げた成功例だ。

 設立から60年余が過ぎ、世銀の重要な役割は、世界の貧困対策に移行した。アフリカなどの最貧国に、医療、教育、インフラ整備などで低利融資している。

 ウォルフォウィッツ総裁は、融資を最大限に生かすため、途上国の不正や汚職など、腐敗撲滅に力を入れた。だが、一部で途上国などとの軋轢(あつれき)を生み、援助計画が凍結される例も起きた。

 総裁が目指した政策は正しい。新総裁は途上国と協調し、腐敗防止策を徹底すべきだ。

 肥大化した世銀組織のスリム化や、業務見直しも急務だ。IMFが貧困対策などに乗り出し、世銀とIMFの機能が重複している問題の是正も必要だ。

 ゼーリック氏は、米国の国益を代弁する立場ではなく、世界の貧困解消という使命に全力を尽くすべきだ。第2位の出資国である日本も、世銀改革に積極的に注文を付けることが求められる。
(2007年6月13日1時28分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月13日付

 奈良の正倉院に四弦の琵琶が所蔵されている。円形をした胴の部分には月が描かれ、そのなかにウサギとヒキガエルが並んでいる◆ウサギはおなじみだが、カエルもお月様に縁があるらしい。欠けては消え、また現れる夜空の月。死んだように動かずにいても、冬眠から覚めれば息を吹き返すカエル。古人は両者に「死」と「再生」の永遠の連鎖を見たようである◆その生命の連鎖が脅かされている。両生類に感染し、壊滅的な被害を与える感染症、ツボカビ症が輸入ペットのカエルで確認されたのにつづき、国内の野生のカエルにも広まっていることが分かった◆人間には感染しないが、カエルの致死率は90%以上、中米などで猛威をふるっている。麻布大学などが調査し、関東や沖縄の5県42匹の野生カエルで菌が確認された。環境省も全国規模の調査に乗り出す◆あらゆる汚染に敏感な皮膚をもち、殻をもたない卵が水や大気にさらされるカエルは、人間に環境の危険な変化を教えてくれる「感知器」でもある。大切な“相棒”を守るために、目配りを怠るまい◆初夏のころに冬眠から覚めて這(は)い出すヒキガエルは夏の季語である。「蟇(ひき)をりて吾(あ)が溜息(ためいき)を聴かれたり」(橋本多佳子)。哲人めいた顔つきで、人間の溜息をじっと聴くヒキガエル…。この夏は漏らす側かも知れない。
(2007年6月13日1時44分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】総連本部売却 元長官は経緯を明らかに

 朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の中央本部(東京都千代田区)の土地と建物が、元公安調査庁長官が社長を務める投資顧問会社に売却されていたことが明らかになった。両者の関係を考えると、疑惑を招きかねない取引である。元長官には説明責任がある。

 朝鮮総連は、北朝鮮の統一戦線部に直結する組織として、さまざまな工作活動を行ってきた。原敕晁(ただあき)さん拉致事件では、朝鮮総連傘下の大阪府商工会幹部や元朝鮮学校長の関与が明らかになっている。また、昭和48年に失踪(しっそう)した主婦の2児が拉致された事件は、朝鮮総連幹部が設立した貿易会社が舞台になっていた。

 一方、公安調査庁は破防法施行に伴い設置された行政機関である。過激派やオウム真理教(アーレフに改称)、朝鮮総連の動向など国内外の公安情報を収集する重要な役割を担っている。元長官はそのトップという要職にあった人だ。検察庁では、最高検検事、最高検公安部長などを歴任し、公安調査庁では、北朝鮮関係の調査、情報収集を行う調査第2部長も経験した。

 その元長官が経営する会社に対し、朝鮮総連からいつ、どのような形で働きかけがあり、どんな売買契約が交わされたのか。内容によっては、元長官の経歴にもかかわってくる重大な問題である。元長官は詳しい事実関係を明らかにすべきだ。

 公安調査庁は「私人の行為であり、コメントする立場にない」としているが、元長官は単なる私人ではない。退職後も、誤解を招くような行為は避けるべき立場の人である。

 朝鮮総連中央本部の土地と建物は東京都から固定資産税を課され、期限までに納税しなかったとして差し押さえられていたが、最近、全額納付され、差し押さえが解除された。また、朝鮮総連は、経営破綻(はたん)した在日朝鮮人系の信組から不良債権を引き継いだ整理回収機構(RCC)から、約628億円の返済を求められている。今回の取引は、朝鮮総連が資金繰りに追われている時期と重なっている。

 溝手顕正国家公安委員長は閣議後の会見で「早急に調査したい」と述べた。公安調査庁の監督官庁である法務省も含め、捜査当局による事実関係の徹底調査が必要である。

(2007/06/13 06:02)

【主張】個人情報保護 見直し論議を終わらすな

 官庁などが必要な情報まで提供を拒む「過剰反応」の問題をはじめ、個人情報保護法の見直しを検討してきた内閣府の国民生活審議会専門部会が報告書案をまとめた。

 その内容を一言で言えば、過剰反応は落ち着いてきており、法の趣旨について「きめ細かな周知徹底」を図れば法改正の必要はないというものである。はたしてそうだろうか。報告書案の基本認識には首をかしげる部分が少なくない。

 平成17年4月に全面施行された個人情報保護法は、「人の生命、身体の保護に必要で、本人の同意を得るのが困難」などの例外を除き、本人の同意がない限り個人情報は第三者に提供できない-と定めている。

 その本来趣旨は、本人の知らぬ間に集められた個人情報が勝手に扱われ、身に覚えのないダイレクトメールが届いたり、執拗(しつよう)な電話勧誘を受けたりすることから個人を守り、不安を解消することにあったはずだ。

 ところが、現実にはダイレクトメールも電話勧誘も減らず、むしろ目立つのは、法律をたてにとった情報隠しの弊害である。

 地域や学校では緊急連絡網などの名簿作成が難しくなり、災害時の高齢者保護など地域の社会活動にも支障をきたす事態が数多く報告されている。

 不祥事を起こした行政機関や企業が自らに都合の悪い情報については提供を拒むケースも一般化しつつある。警察の報道機関向け発表でも、容疑者を匿名とすることが日常化している。新聞協会などメディア側は、こぞって見直しを求めているが、改善への動きは緩慢だというのが実情だ。

 混乱の原因は、営利事業目的の個人情報利用も、市民生活に密着した非営利の社会貢献活動もすべてを同一視したところにある。本来事情が異なる領域に同じ規制の網をかけることは法案作成時から問題視されていた。

 残念ながらこうした問題点に対し、今回の報告案は正面から答えを出したとは言い難い。内閣府が法律の解釈や運用基準を明確にするなど、制度を周知徹底させれば過剰反応の問題は解消可能というのでは、問題意識があまりに乏しすぎる。見直し論議をこれで終わらせてはならない。必要なら法改正も躊躇(ちゅうちょ)すべきではなかろう。

(2007/06/13 05:43)

【産経抄】

 やっぱりつながらなかった。おとといから始まった「ねんきんあんしんダイヤル」(TEL0120・657830)である。社会保険事務所に出向かなくても年金記録の照会ができるとあって電話が殺到しているようだ。

 ▼国民の年金不信がピークになっているいま、電話相談の充実は必要だ。だが、何度かけても「しばらくしてからおかけ直しください」の繰り返しでは、安心どころか不安が増すばかりだ。中途半端なお役所仕事の典型である。

 ▼ これまでのずさんな仕事ぶりのツケが一気にまわってきた社会保険庁の職員に情状酌量の余地はないが、年金騒動でひとつだけ良かったことがある。それは、国民一人ひとりがしっかりと政治家やお役所を監視しないとわれわれの税金や保険料がいつのまにか消えてしまうという教訓を得たことだ。

 ▼ 厚労省のお役人は年金が「消えた」のではないと言い張るが、この役所には前科がある。年金保険料をじゃぶじゃぶ使って造った大規模保養施設「グリーンピア」のこと。3600億円以上が泡と消えたが、だれも責任をとらなかった。今回の件でも「私が悪かった」と退職金を返上した社保庁長官OBは一人もいない。

 ▼高級官僚といえば、朝鮮総連本部売却に元公安調査庁長官が一枚かんでいたという。真意は不明だが、カネ目当てだとすれば、この国の治安を守る要職を務めたプライドと使命感はどこにいってしまったのか。

 ▼国会では、国家公務員の天下り規制法案が審議中だが、成立すれば優秀な学生が公務員を志望しなくなる、との俗論がある。だが、「優秀な学生」のなれの果てが今の体たらくなら志望しなくて結構。公務員には多少出来が悪くとも国民のために働く真の愛国者を採用すればよい。

(2007/06/13 06:59)


【日経・社説】

社説1 安倍版「骨太方針」バラマキでは困る(6/13)

 安倍晋三首相が議長を務める政府の経済財政諮問会議が、政策運営に関する2007年「骨太の方針」の原案を了承した。改革推進へ諮問会議を存分に活用した小泉純一郎前首相時代に比べると総花的で、これでは安倍版は迫力に欠ける。首相は指導力を発揮し、何が経済運営の重点なのかをもっと鮮明にすべきだ。

 省庁再編で01年に発足した諮問会議が毎年まとめる骨太方針は首相の責任で示す経済政策や予算編成、制度改革の設計図だ。昨年9月に安倍首相が就任、4人の民間議員も入れ替わった。07年の方針で安倍色がどう出るかが注目されている。

 今回の骨太方針の性格を暗示するのが、その分厚さだ。12日了承した原案は62ページに及び、一時27ページにとどまった小泉政権時代の2倍もある。多ければ内容が濃いというものではない。むしろ重点度のメリハリが利かず、安倍政権が何を背骨にしたいのかが伝わらない。

 小泉前首相が地位を大幅に高めた諮問会議を、各省庁は予算要求のお墨付きとして利用しようとしているようだ。諮問会議で閣僚が各省審議会の議事内容を報告する場面が、安倍政権になって目立って増えた。

 間近に迫った参院選への配慮もみられる。バラマキ懸念が残る中央主導の地域活性化策や、住民税などの一定割合を居住地以外に納められるようにする「ふるさと納税」の検討などだ。諮問会議が選挙公約の下書きをしたようにも映る。大田弘子経済財政担当相は与党の一部要望を原案に反映させたことを認めた。党内を抑えてでも改革を進めようとする首相の決意が見えてこない。

 来年度予算編成でも今回の骨太方針原案は踏み込み不足が目立った。08年度の公共事業予算について、諮問会議の民間議員は今年度と同様の3%削減を明示するよう主張した。選挙への悪影響を嫌った与党や国土交通省が猛反発したため、原案には「最大限の削減」と記すだけで、具体的な削減幅を盛り込めなかった。夏以降、財務省が予算編成の主導権を取り戻す可能性もある。

 デフレ脱却後の日本経済の成長について具体的に示そうと努めた跡はある。5年間で労働生産性の伸びを5割増しにする目標を掲げ、航空自由化やアジアとの交流拡大にも言及した。だが問われるのは戦略性の高い改革を通じた成長力の強化だ。

 安倍首相は19日の閣議決定を前に、骨太方針につける新しい正式名称を明らかにする。首相は命名だけでなく、中身について指導力をもっと発揮してほしい。

社説2 銀行の信頼崩す三菱UFJ(6/13)

 三菱UFJフィナンシャル・グループで不祥事が止まらない。金融庁は11日、傘下の三菱東京UFJ銀行に対し、投資信託の窓口販売で不適切な処理が相次いだとして銀行法に基づく業務改善命令を出した。

 2005年10月の経営統合以来、日米監督当局から受けた行政処分はこの半年だけでも5件となる。これほど頻繁な処分は異例で、銀行界への信頼にも傷がつきかねない。

 今回の処分は大手銀行が手数料ビジネスの核と期待する投信販売で、顧客から購入希望を取り次ぐ従業員が誤発注などのミスをした際の対応が問われた。こうした事故が起きた時は、金融庁に報告したうえで顧客に損失を補償する必要がある。三菱UFJでは損失補償をせずに顧客への謝罪で納得させるなど、99件の不適切な処理があった。

 深刻なのは経営統合を経て顧客本位の意識が薄れてしまった形跡があることだ。統合前の旧UFJ銀行は過去に証券取引等監視委員会の検査で指摘を受けて「謝罪だけで済ませることは厳禁」と決めていた。ところが統合後は謝罪で事足りるという旧東京三菱銀行の認識に沿った甘いルールを採用した。事務のミスが営業成績の減点につながるのを恐れて不適切な対応をした支店もある。

 行内成績を優先する企業風土があったとすれば言語道断だ。「基本以前の問題だ」と五味広文金融庁長官が批判したのも無理はない。金融機関を信用して大事な財産を預金や投資商品に託した利用者を軽視すれば、信頼は失墜する。この点は生命保険会社の保険金不払いや社会保険庁による年金の加入記録漏れにも共通する。利用者保護を徹底する金融商品取引法が9月に施行となる。他行でも総点検が必要だ。

 海外業務も処分対象になった。昨年12月に米金融当局も処分したニューヨーク支店の資金洗浄対策の不備に加え、上海など海外拠点で行員の不正が相次いだ。強みだった旧東京銀行の拠点網が問題の温床となったのは皮肉なことだ。統合後、行内で不協和音が強まっているとの指摘もあり、来年中を目指すシステム完全統合にも不安を残す。畔柳信雄頭取ら経営陣は体制刷新も辞さず、不祥事を根絶する覚悟を示すべきだ。

【日経・春秋】(6/13)

 〈吾(わ)がなかにこなれゆきたる鰻(うなぎ)らをおもひて居れば尊くもあるか〉。尋常ならざるウナギ好きで知られた斎藤茂吉は晩年、こう詠んでいる。一説では、中年からの24年間に約1000尾を食し、毎日のように蒲焼(かばや)きを食べた時期もある。

▼創作に行き詰まったときも、ひとたびウナギを口にしたところ「一気呵(いっきか)成(せい)ニ歌十首ヲ纏(まと)ム」。そう日記に書いているから信仰に近い。これほどではなくとも、日本人のウナギ嗜好(しこう)は相当なもの。なにしろ、世界の需要の約7割を占める。ヨーロッパウナギの稚魚の漁獲や輸出が規制されると聞けば気が気ではない。

▼「ヨーロッパ」といっても、中国産の蒲焼きなどに姿を変えて食卓に上る身近な存在だ。来月の「土用の丑(うし)」向けのウナギは十分確保されているらしいが、いずれは影響が避けられないという。問題はウナギだけではない。欧州連合(EU)はクロマグロやタラの漁獲規制も決めた。水産資源保護への動きは急だ。

▼世界的に魚介類の人気が高まり、日本の業者が買い付け競争に負けている――。さきの水産白書はこう指摘した。供給は絞られ、争奪戦の旗色も悪いというダブルパンチだ。われら魚食民族が安心できる知恵はないものか。茂吉は戦争中、ウナギの缶詰を買い込んで食いつないでいた。なんだか笑えない話である。


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機関を信用して大事な財産を預金や投資商品に託した利用者を軽視すれば、信頼は失墜する。この点は生命保険会社の保険金不払いや社会保険庁による年金の加入記録漏れにも共通する。利用者保護を徹底する金融商品取引法が9月に施行となる。他行 。医療生協は病院開業の遅れに...... [続きを読む]

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