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2007年6月21日 (木)

6月21日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年6月21日朝刊)

[教育3法成立]将来に禍根残しかねない

 安倍晋三首相が今国会の「最重要法案」と位置付けた教育改革関連三法が参院で与党の賛成多数で可決、成立した。

 学校教育の目標などを定めた「学校教育法」、国と地方のかかわりを規定した「地方教育行政法」、新たに免許更新制を盛り込んだ「教員免許法」の三法で、昨年末、約六十年ぶりに改正された「教育基本法」に続き、いずれも公教育の骨格部分に相当する。

 三法に基づき今後、学校教育や地方教育行政に対する国の関与の道を大きく開いた、といえよう。

 野党は徹底審議を求めて反対した。国会でどれだけ歯止めがかかるのか注目されたが、結局、与党の「数の力」で押し切られた。

 有識者からは「教育の管理・統制強化につながる」と指摘され、免許更新制に対しても実効性への不安が教育現場からなお払拭されていない。改革の具体的な効果が不透明だけに、将来に禍根を残しかねないといえる。

 学校教育法の改正では、改正教育基本法を踏まえ義務教育の目標に「規範意識」「公共の精神」「わが国と郷土を愛する態度」などの理念が新たに盛り込まれた。「歴史について正しい理解に導き」という表現もある。

 だが、国を愛する態度とは一体何なのか。何が歴史の「正しい理解」であるのか。改正教育基本法の審議から積み残されたこうした疑問にはなお答えていない。

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定のように、国の解釈を押し付けるようなことがあっては、公教育に国家や政治家個人の意思を持ち込むようなものである。

 「正しい理解」であると、誰が判断するのか。国の考える歴史観を押し付けるつもりだろうか。

 地方教育行政法の改正では、教育委員会に対する是正要求を盛り込んだ。「生徒の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかな場合」などの要件を示しているが、侵害に当たるかどうかは国の判断一つだ。

 教員免許更新制を打ち出した教員免許法改正は、終身制の現在の教員免許を二〇〇九年四月一日から有効期間十年の更新制にする。更新前に三十時間以上の講習を条件とした。

 だが、審議の過程で与党側の参考人が「講習が国主導で画一的となれば、自主性や自律性がおかしくなる」と指摘したように、講習の設計次第で画一的な教師づくりにつながる恐れをはらんでいる。

 危うい改革との印象は免れない。

[改正イラク特措法]対米重視策を国民に問え

 改正イラク復興支援特別措置法が成立した。四年間の時限立法で今年七月に期限が切れる同法だったが、改正により航空自衛隊のイラク派遣を二年間延長することが可能となった。

 政府は当面、二〇〇八年七月末まで一年間延長する方針で、それ以降、延長するかどうかはイラクの治安状況などを見て判断する意向だ。

 医療や給水など、純粋に人道支援だった陸上自衛隊がイラク南部のサマワから昨年七月に撤収して以降、クウェートを拠点に人員、物資をイラクに輸送する空自の任務は、ほとんどが米軍を中心とした多国籍軍関係で、国連関係はごくわずかとなっている。

 自衛隊の活動の性格が、人道復興支援から安全確保支援に様変わりし、多国籍軍支援に重点を移していることは明らかだ。

 イラク政策で苦境に立つ米国を支援し、日米同盟の維持、対米重視政策を象徴しているのが、今回の改正だといえよう。

 ブッシュ米大統領は今年一月、世論や野党民主党の反対を押し切る形で増派を決定。現在、イラク駐留米兵は計約十六万人に上るが、治安情勢がいつ安定化するかは不透明だ。

 改正特措法が成立したことに、米国防総省の当局者は、「イラク国民と多国籍軍への支援に感謝する」と日本の支援を評価する立場を強調していることは、ブッシュ政権の置かれた立場からすると、援護射撃となることは間違いない。

 安倍晋三首相の特措法延長の説明は「潘基文国連事務局長から空輸支援への謝意表明や継続要請が来ている」とし、大義名分に「国連」を掲げ、間近に控えた参院選を意識しているとしか思えない。

 今、空自をイラクから撤退すれば、間違いなく日米同盟に多大な影響を及ぼす。北朝鮮問題も考慮し、日米同盟を堅持するならば、政府は改正特措法が実態的には対米支援法に変質していることを率直に認め、国民にその信を問うべきだ。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月21日 朝刊 1面)

 南部出身の「かりゆし58」は、飾り気のない日本語の歌詞が魅力的なバンドだ。「ウージの唄」はシマへの思いを綴る。

 この島に注ぐ陽の光りは/傷跡を照らし続ける/あの悲しみを/あの過ちを忘れることなかれと/南の海の小さな島/こんなにも美しいのは/命の喜びを唄う/あなたが居るから/風の中静かに/生きることの喜びを唄う。

 復帰後にその激戦地を訪ね、シーサー作りを始めた東京在住の出口富美子さん(66)。作品一つ一つに亡くなった人の魂再生への願いを込めているという。国籍を問わず犠牲者すべての数を形にするのが夢だが、「いくつまで生きないといけないかな」と笑う。

 北海道に生を受けた。小学生のころ、教師から北方領土と沖縄の問題を教わり、相通じるものを感じたという。だが、沖縄の人は北方領土のことには意外に関心が低いことに衝撃を受けた。「(相手を)知らないことが押し付けを生む」。双方の溝を埋めたい気持ちが募った。

 陶版シーサーは沖縄の土に、本土で多く使われる土を加え、細かな部分を仕上げる。「異質の土が溶け合うには時間がかかるけど、仕上がりは鮮やかでしょう。それと同じ。互いを理解する心が大切」。

 全国各地の個展は、スーパーの駐車場など場所を選ばない。売り上げを少しでも多く平和活動に寄付したいから。沖縄での個展は「あの日」と同じ灼熱の陽の光りが注ぐ慰霊の月と決めている。(石川達也)


【琉球新報・社説】

コンサル名義借り・課題乗り越え、信頼回復を

 沖縄総合事務局は、国土交通省に登録している県内建設コンサルタント業者131社のうち40社45部門に対し、登録要件を欠くなどしたとして登録を事実上取り消す「消除」措置を取った。
 建設コンサルタント業は国への登録義務はない。しかし、公共工事の入札に参加するには国への登録が必要で、それには技術管理者を常勤させることが条件である。
 登録を取り消された業者約3割の多くが県外に住む技術管理者の名義を借りて、実際には非常勤にもかかわらず、住民票だけを県内に移すなどして常勤の体裁を取って国に登録していた。
 一度に40社が処分されるのは全国で初めてである。業界を挙げて信頼回復に努めてもらいたい。
 名義借りは沖縄だけの問題ではない。全国的に横行しているとみられ、国交省には徹底した調査を望みたい。非常勤を前提として県内企業に技術士を斡旋(あっせん)している人材派遣業者もいる。脱法行為を助長するような業者への指導も求めたい。
 公共工事が減少し受注競争が激化する中、月給5、60万円ともいわれる常勤の技術管理者を抱えることは厳しい面があるだろう。
 しかし、税金を使う公共工事に携わる建設コンサルタント業者が、登録規程に違反することがあってはならない。経営的に厳しい中にあっても、約7割の業者は登録規程を順守し、常勤の技術管理者を雇用しているのである。
 登録を取り消された40社のうち38社は今後、登録要件を満たせば、新規・追加で登録できる。ただ、常勤の技術管理者になる技術士が県内では不足している状況にあるといい、人材確保が課題である。
 県内で技術管理者の常勤が義務付けられたのは1997年である。他府県より制度導入が遅かったことも技術士不足の一因だろう。
 技術士の資格取得試験は大学を卒業したての人に有利といわれる半面、資格によってはその要件である経験を県内で積むことは厳しいともいわれる。
 零細業者の多い県内では仕事に追われ、試験に向けた勉強をする時間、さらには常勤で技術士を雇う余裕がないともいわれる。「工程管理はメールのやりとりなどで十分。非常勤でも全く支障はない」との声も聞こえる。
 国土交通省はこれらの声も十分に検討し、技術管理者の在り方、技術士国家試験の在り方、非常勤でも業務に支障はないかなどを点検する必要があろう。
 適正化に向けては人材育成、財務強化と課題が業者に立ちはだかる。しかし、それを乗り越えなければ、生き残れないことを十分に認識してほしい。

(6/21 9:45)

富山冤罪初公判・失われた時間どう償う

 女性暴行など2つの事件の容疑者として富山県警に逮捕され、約2年1カ月服役した後、無実が判明した男性の有罪を取り消す再審の初公判が富山地裁高岡支部で開かれた。
 男性は2002年1月と3月に起きた女性暴行と同未遂事件の取り調べに対して当初は「身に覚えがない」と否認したが、その後自白し逮捕された。
 自白偏重主義を改めない限り、冤罪(えんざい)をなくすことはできない。警察、検察全体でこのことを再確認してほしい。
 弁護側は誤認逮捕に至ったずさんな捜査を追及するため、当時の取調官の証人尋問を申請したが、藤田敏裁判長は「必要性がない」と却下した。果たしてそうだろうか。
 再審の狙いは、男性の無罪を確定させることである。併せて、冤罪事件の再発防止も司法に求められているのである。
 それには、男性を犯人に仕立て上げた取調官への尋問は不可欠ではなかったか。なぜ強引な取り調べが行われたのかなどを検証しなければ、冤罪の全容解明と防止につながらないのではないか。
 男性は再審前に「ただ無罪では終わりたくない。二度と冤罪事件が起こらないようにしてほしい」と話している。期待を裏切られた男性は閉廷後、弁護士に「(裁判に)絶望した」と話したという。
 弁護側は冒頭陳述で、取調官は予断と偏見で「家族が犯人はおまえに違いないと言っている」「何を言っても無駄だ」と自白を強要したと指摘した。
 「失った時間は戻らないし、刑務所に入った事実は消えない」。人生を台無しにされた男性の声にどう応え、償うのかが警察、司法に問われている。
 富山県警は現場に残っていた足跡が男性のものと一致しないことを認識しながら逮捕している。
 容疑者にとって有利な証拠も含め、さまざまな証拠を綿密に吟味し、あらゆる角度から検討した上で犯人かどうかを判断することが捜査の基本である。それをなぜ怠ったのか、組織の在り方を含め検証が必要だ。冤罪は捜査機関の犯罪だということを肝に銘じてほしい。

(6/21 9:43)

【琉球新報・金口木舌】

 東京・青山のライブハウスで「まるで六文銭のように」と題するコンサートを見た。出演者は1970年代初めに活躍したフォークグループ・六文銭の元メンバーの小室等、及川恒平、四角佳子の3人
▼ステージの後半、「戦争」をキーワードに大岡信、谷川俊太郎らの詩に曲を付けた作品が並んだ。「幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました」で始まる中原中也の「サーカス」も取り上げられた
▼いずれも反戦詩というわけではないが、「サーカス」を歌い終えた後、「こういう詩が教科書からなくなるかもしれない」とメンバーの一人が不安げに語ったのが印象に残った
▼言葉にこだわり、現代詩の楽曲化に挑んできたフォーク歌手は“放送禁止”という壁と闘ってきた。為政者に都合の悪い言葉を消し去ろうという動きには敏感だ
▼今回の教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に関する記述から「日本軍の軍命・強制」の文字が消えた。犠牲者がなぜ自ら命を絶たざるを得なかったのか、検定後の記述から読み取ることはできない
▼集団自決の生存者は、今も癒えぬ心の傷を抱えたまま23日の慰霊の日を迎える。事実の重さを直視せず、言葉のみを消そうとする人たちの鈍感さに怒りを覚える。

(6/21 9:42)


【東京新聞・社説】

国会延長へ 焦る首相の危ない賭け

2007年6月21日

 悪天候でも登山を続けるしかない、そういう心境なのだろう。安倍晋三首相の強い意向で国会の会期が延長される。参院選の投票日程をずらしてまで突っ走るツケは甚大であることを、覚悟の上か。

 首相に近かった自民党参院議員がブログ(いわゆる日記)に書いている。「国民の間に『姑息(こそく)な投票日延ばし』という批判が広がったら、さらなる悪天候につながる可能性もある」と。

 会期を延長するにしても、当初予定された七月二十二日の参院選投票日を一週間後ろにずらすことだけはしてくれるな、という意味だ。

 どう転んでも年金問題の逆風をかわすのは無理なのだから、正々堂々と戦おうじゃないか、とも、この人は書いている。

 安倍首相や党執行部の言い分はこうだ。重要法案を何が何でも成立させたい。“消えた年金”騒ぎをもたらした社会保険庁を解体する、国民の年金不安を解消する、官製談合の元凶の“押しつけ的な天下り”にストップをかける、それには窮屈な土俵を広げる必要がある-。

 背景には激しく下落する内閣支持率がある。ここで引けば再起不能になりかねない、ひるまぬ安倍カラーの演出に活路を求める、ということだろう。そうした建前の一方で、投票日を多少なりとも遅らすことによって逆風が静まるかも、と本音を漏らす自民の議員も少なくない。

 首相らの選択の当否は、今後の野党の動きも吟味された上で、いずれ有権者が判断することになる。

 ただし懸念は残る。大詰めにきて会期を増やす過程で、乱暴な国会運営が当たり前のようになった今の事態である。イラク復興支援特措法、教育関連三法が野党の反発を押し切る形で可決・成立した。社保庁改革や年金の時効撤廃、天下り規制などの関連法も、強行可決辞さず、が与党の既定方針となっている。

 年金関連でいえば、世論の離反に慌てた首相は、社会保障番号の検討など制度の根幹にかかわる方策を口にした。ならば法案づくりをやり直せ、という野党の主張も一理ある。

 国家公務員法の改正も天下りの現状追認になるとの批判や、実効性を考えれば、今国会で急がねばならない理由は乏しい。

 与野党は既に事実上の選挙戦に突入している。攻防が激しさを増すのは避けられないにせよ、十分な審議の土俵が破壊されるのなら、蚊帳の外の国民には、迷惑なだけだ。

 投票日のずれる延長に渋々同意したとされる参院自民の実力者は、選挙で負ければ首相の責任だ、と言っている。首相の危ない賭けである。

教育3法成立 現場を委縮させるな

2007年6月21日

 教育関連三法改正が今国会で成立したことで、現場の管理体制は一層強まる。公権力が過剰に介入する懸念もあるが、教師は委縮することなく、現場に向き合ってその職責を全うしてほしい。

 参院での教育三法の審議をみても参考人や中央公聴会の公述人からは問題点や否定的意見が多く出た。

 地方教育行政法の改正では、文部科学相による教育委員会への是正の指示・要求権ができた。地方分権一括法では文科相の是正要求権や教育長任命承認権が削除された経緯があり、国の権限が復活させられた。

 いじめ自殺などに教委が適切に対応できなかったことが改正の理由とされているが、主な教委には国からキャリア官僚が出向しており、国の指導や通達にはこれまでも従ってきたはずだ。教委が国の意向に従うだけの組織になりはしないか。

 国が教委に指示や要求をしたからといって、いじめ自殺が減るかどうかは疑問だし、地方分権の流れからは逆行する。一方、教委は私学の教育内容に対し、知事から求めがあれば助言できるようになった。私学の自主性は尊重されなければならず、この運用は慎重であってほしい。

 教員免許法改正では十年に一度、三十時間以上の講習が教員に義務づけられ、免許が更新制となる。管理強化の手段にされる懸念があり、講習に出る教員の穴埋め問題というなおざりにできない課題もある。

 教員に免許更新制が必要かという根本的な疑問はぬぐえない。専門性でいうなら医師や建築士はどうなのか。不適切な人を外すことは現行制度でも十分にできる。教員管理の手段と批判されないよう、手続きの公正さと透明性を確保すべきだ。

 学校教育法改正では、副校長や主幹などが置かれ、学校の運営体制が強化される。東京都はすでに主幹制度を導入しているが、希望者が少なく、うまく機能していないという。任務が過重のためらしく、中間管理職を増やしてマネジメント効果を上げようという企業的な論理だけでは公立学校の運営は難しい。

 教育の再生には、管理強化よりも現場への支援ではないのか。人や予算の手当てをしないままの改革で効果はあるのか。

 指導力不足や問題を起こす教員は少なくないが、問題が起きた背景を分析し、総合的な対策を講じなくては根本解決はない。教師の一日の残業時間は平均二時間といい、過酷な労働状況から精神的疾患にかかる人もいる。管理強化で現場の士気が低下し、教職に就くことを敬遠する若者が増えはしないか、気になる。

【東京新聞・筆洗】2007年6月21日

 温泉好きだから、東京の銭湯には、地下から汲(く)み上げた天然温泉を使っているところがあることは知っていた。そこへ最近の都心のスパブームだ。あちこち、地下水を汲み上げてできた大規模施設をハシゴしては楽しんでいた▼渋谷区松濤の高級住宅街に昨年、女性専用温泉施設「シエスパ」がオープンしたのは知らなかったが、その別棟の汲み上げ管理棟で、温泉水に含まれていたメタンガスが引火して爆発した。建物は全壊し、大きなコンクリートのかたまりが数十メートルも吹き飛ばされ、中にいた女性従業員三人が死亡する痛ましい事故になった▼東京の温泉水は「化石水」と呼ばれ、海水が地下水となったもので、海底に沈殿した微生物の死骸(しがい)が発酵してできたメタンガスが溶け込んでいる▼二〇〇五年二月に、北区浮間の温泉掘削現場で起きたガス火災は、鎮火に丸一日かかった。シエスパにはガスの分離設備はあったようだが、ガスの排出管理と日常の点検に不備があったとみられる▼千葉県を中心に首都圏の地下にはメタンなど可採埋蔵量三千七百億立方メートルの「南関東ガス田」の存在が知られる。今後六百年は採掘可能で、千葉県では一般家庭二十三万戸に供給されている▼新潟県上越市沖など、日本近海の海底にはメタンが高圧の水に溶け込み、シャーベット状になった「メタンハイドレート」と呼ばれる物質が豊富にあり、新たなエネルギー源として注目されている。大気中へのメタンの放出は、地球温暖化にも大きな影響を与えるため、開発には慎重で十分な研究が必要だ。


【河北新報・社説】

国会会期延長へ/これはもう参院選の序幕だ

 政府・与党は23日の国会会期末を控え、安倍晋三首相が強い決意を示す国家公務員法改正案の成立のため、会期を12日間延長する方針を固めた。参院選投票日は7月22日から同29日に繰り延べとなる。

 これにより、延長国会最終盤は与野党対決が熾烈(しれつ)を極める荒れ舞台となり、参院選の戦いそのものを凝縮したような緊迫した空気が張りつめる局面となりそうだ。
 与党にとって延長は両刃(もろは)の剣である。

 野党の攻勢を許しながら年金記録不備問題の後始末で会期を終えるより、多少の無理をしてでも、首相が官製談合や天下り防止は「内閣の使命」と強調する公務員制度改革で会期末を迎えた方が参院選に向けて得策というのが与党側の判断だろう。

 最低賃金引き上げなどを盛り込んだ労働関連三法案の成立も見込め、ほかにも得点を稼げる。

 だが、こうした「自ら土俵を広げるような行為」(又市征治社民党幹事長)にはどうしても党利党略の批判がつきまとう。

 公務員の再就職あっせんを一元化し省庁の関与も認める官民人材交流センターは「天下り公認機関」―と野党に酷評される改正案。これを大義名分にしてまで参院選の日程をずらすのは、年金問題への国民の怒りを冷却するためととられかねない。

 だから自民党内に迷いもあって、会期延長―参院選繰り延べの是非に関して「参院選に向けてプラスとマイナスのどちらが大きいか見極める必要がある」という声が消えないのだ。

 一方、民主党など野党にとっては年金問題への国民の関心をいかに持続させるかが参院選勝利のカギだ。その意味で延長国会最終盤は正念場となろう。

 自民党内には「民主党は公務員労組を守るため公務員法改正案に抵抗する―と国民に見られるので、反対しにくいはず」との強気の読みがあるが、民主党がこうした与党の思惑にはまれば風向きが変わりかねない。

 鳩山由紀夫同党幹事長は「会期延長をマイナスにとらえる必要はない」という。延長を逆手にとり、追及姿勢をアピールした方が得策との判断だろう。

 内閣不信任案提出のタイミングを含め、与党攻撃の仕掛けとテンポが今後、国民の支持を獲得できるかどうかが試される。

 参院選の年の通常国会が荒れるのは当然だろう。年金も公務員改革も大事なことは言うを待たない。しかし、延長が決まった最終盤国会で与野党対決の構図が熱を帯びれば帯びるほど、私たち有権者はクールな目で政局を見つめる必要がある。

 自民党の内部事情で政権を引き継いだ安倍首相は衆院の解散・総選挙という形で国民の審判を受けていない。

 それだけに私たちは、安倍首相にとって初の大型国政選挙の参院選を前に、政権の継続を是とするか非とするかを問う準備をしなければならないだろう。

 野党の中心となる民主党には政権交代の力量と気概が認められるのかどうか。その見極めも必要だ。延長国会から透視すべきはそういうことではないか。
2007年06月21日木曜日

【河北新報・河北春秋】

 すさまじい爆風だったらしい。東京・渋谷であった温泉施設の爆発。友人の職場が現場近くにある。電話をすると「数百メートル離れた場所にも壁の破片らしきものが飛んできた」と驚いていた▼源泉は地下深く約1500メートルという。そこはメタン濃度の高い天然ガスを含む地層。くみ上げた湯はガスを分離して使う。そのガスが何らかの原因で充満し、爆発したとみられている

 ▼ この種の温泉は「大深度温泉」と呼ばれる。山間の湯治場などに多い自噴型の火山性の温泉とは別。深く掘りさえすれば、平野部であっても、高い確率で非火山性の温泉を掘り当てることはできる▼掘削技術の進歩と低コスト化でそれが可能になった。現代型の都市温泉がこうして現れた。もともと温泉好きの国民ゆえ、都会の温泉が人気を呼び、今では温泉付きのマンションさえ珍しくもない

 ▼温泉のありがたみも半減だが、問題が多い。くみ上げ量が増えて、各地で枯渇が現実化している。ガスを分離して大気中に放出していることはどうか。掘削時のガス対策に比べ、開業後の安全管理が不十分との指摘もある▼ 渋谷の施設では、室内などにガス検知器は設置していなかったようだ。仮にそうならば危険に対する想像力が著しく欠如していたと言わざるを得まい。ほかの温泉施設は大丈夫か。

2007年06月21日木曜日


【京都新聞・社説】

まだない

【京都新聞・凡語】

まだない


【朝日・社説】2007年06月21日(木曜日)付

国会延長―強引さが目にあまる

 今週で終わるはずだった通常国会の会期が、12日間延長されることになった。これにより参院選挙の日程が1週間ずれ込み、7月29日投票となる。

 全国の自治体で投票日をPRするポスターや横断幕を作り直したり、立候補予定者が集会の会場を押さえ直したり。てんやわんやの混乱が広がっている。

 こんな土壇場にきて会期を延長するのは、極めて異例のことだ。

 野党はもとより、参院自民党や公明党にも強い反対論があった。それを押し切ったのは、参院選向けに成果がほしい安倍首相である。国家公務員の天下りをめぐる新人材バンク法案を、何が何でも成立させたいということのようだ。

 ときの首相が、最重要と考える法案のために国会を延長してもらう。そのこと自体を批判するつもりはない。だが、今回の延長には異議を唱えざるを得ない。

 理由の一つは、法案の中身である。

 いまは省庁ごとに行っている官僚の天下りを禁じる代わり、内閣に新人材バンクをつくって一元的に再就職をあっせんする。それが法案の核心だ。

 つまり、政府案が通っても、依然として天下りはなくならないのだ。これで官製談合や税金の無駄遣いを根絶すると言われても、説得力を欠く。

 実際、朝日新聞の世論調査では、この法案が天下りの弊害をなくすのに「有効ではない」と見る人が59%もいた。再就職あっせんの全面禁止を盛り込んだ民主党案とどちらが良いかを尋ねると、「民主党案」の42%に対し、「政府案」は12%と大きく水をあけられた。

 首相にすれば、年金問題への有権者の怒りをかわすためにも、この法案を成立させて「公務員たたき」を焦点のひとつにしたいのだろう。だが、天下り温存では真の対策にはならない。

 もう一つは、今国会で何度も見せつけられた、与党の強引な姿勢だ。

 イラク特措法の延長や教育関連3法をはじめ、与党がこれほど多くの重要法案の採決を一方的に強行した国会がかつてあっただろうか。

 「数の力」を頼んで突き進む姿勢は、民主党衆院議員に対する懲罰で極限に達した。委員長を羽交い締めにして採決を阻もうとした議員の行動にも問題はあった。だが、過去にもそうした行き過ぎはあったことだ。

 それを民主党所属の懲罰委員長を投票で不信任までして、問題の議員を30日間もの登院停止という重い処分にした。もはや横暴に近いと言わねばならない。

 最終盤の国会では、新人材バンク法案のほかに、社会保険庁改革法案や政治資金規正法改正案の採決が見込まれる。ここでも野党の対案や修正案に耳を貸さず、ただ一定の審議時間が過ぎるのを待って採決を強行するのでは、会期を延長する意味がない。

 そんなことで通った法律を「成果だ」と言われても、国民の胸には響くまい。

温泉の爆発―都会の「天然」に潜む危険

 都会の天然温泉ブームに冷や水を浴びせる事件が起きた。3人の生命を奪った東京・渋谷の温泉施設の爆発である。

 手軽な癒やしを求めて、都会の温泉はふえる一方だ。東京都内の温泉は約150にのぼる。90年代半ばに比べれば、約7割も多い。

 だが、都会の真ん中に天然温泉をつくりだすには、二つの危険がつきまとう。

 一つは、泉源を求めて深く掘らなければならないことだ。これが火山近くに古くからある温泉とは違うところだ。

 事故を起こした温泉施設のように深さ1000メートル以上掘ることは、掘削機械やポンプの性能が上がったので、技術上は難しくない。だが、掘れば掘るほど、ほしくないものも一緒にくみ上げる。それがメタンなどの天然ガスだ。

 日本には、地下深くに天然ガスがたまっているところが少なくない。とりわけ東京など関東南部には「南関東ガス田」がある。この一帯が海だった大昔の名残で、化石水と呼ばれる水が封じ込められプランクトンなど生物の残骸(ざんがい)も多い。それが分解して天然ガスを発生させる。

 ガスは地中の圧力を受けて地下水にも溶け込んでいる。温泉の湯は爆発の危険と一緒にくみ上げられているのだ。

 もう一つの都会の温泉の危うさは、ビルや住宅街の近くにつくることだ。

 天然ガスが漏れれば、周りが事故の危険にさらされる。湯と天然ガスとの分離装置がきちんと働いていたとしても、分離されたガスの扱いに万全の注意を払わなければならない。

 05年には東京都北区の温泉掘削現場で天然ガスによる火災が起き、一日じゅう燃え続けた。

 これをきっかけに、東京都は掘削作業中の安全対策ガイドラインをつくった。深く掘る際にガスの噴出を防ぐ装置をつけることのほか、ガス検知器で常に濃度を測ることなどを求めている。

 しかし、この対象になるのは、掘っている間だけだ。施設ができた後の天然ガス対策を求める条例などはない。

 温泉といえばこれまで、地盤沈下の心配や、成分、水質などの衛生管理面に目が向けられることが多く、ガス対策は法制度上の死角だった。

 室内に天然ガスがたまらないよう設備を整えることやガス検知器をつけることなどのルールづくりが必要だ。

 都会の温泉には危険があるという自覚は、施設を営む人たちにも薄かったのではないか。今回、爆発が起きた施設でも、ガス濃度の点検などをだれがすべきだったのか、施設の運営会社と保守管理会社で言い分が食い違っている。

 東京都はすべての温泉施設の実態調査を始めた。警視庁も業務上過失致死傷の疑いで捜査に乗り出した。徹底した原因解明を望みたい。

 都会にいて、温泉郷にいる気分を味わう。そんな癒やしを商品にするなら、それにふさわしい安全策が欠かせない。

【朝日・天声人語】2007年06月21日(木曜日)付

 日本の地図を眺めてみる。無味乾燥な記号が多い中で、温泉の●だけは味わい深い。地図上、山峡などにこの記号を見つけると、ランプの宿のひなびた風情が思い浮かんだりする。

 ビルの密集する姿からは想像しにくいけれど、東京にも温泉はある。深く掘りさえすれば湧(わ)くらしい。名うてのストレス都市である。癒やしを求める人は多いとみえ、娯楽やマッサージを備えた「都市型温泉」が急増している。

 その一つで惨事が起きた。従業員休憩室などのあった施設が、ごう音とともに爆発した。温泉水に含まれていた天然ガスが充満して引火したらしい。女性3人が犠牲になった。冥福を祈りつつ、入浴客のいる建物だったらと思うと、背筋はさらに冷たくなる。

 湯けむりの中に日常を沈めるのが、温泉の醍醐味(だいごみ)だろう。温泉好きで知られるドイツ文学者の池内紀さんは、それを「再生のいとなみ」だと言う。湯につかって、よみがえる。そう実感するには、温泉物質がほどよく溶けた素朴な湯でなくてはならないそうだ。

 事故のあった温泉では、地下1500メートルから温泉水をくみ上げていた。あまりの深さに、SF小説の古典『地底旅行』を思い出す。物語ではアイスランドの火山に地球内部への道があった。当節は東京の各所が「地底」とつながっている。そこから危険なガスも上がってくる。

 首まで湯につかれば体重は約9分の1になるという。疲れも憂いも忘れられるリフレッシュの場だ。安全への備えに怠りのない、やすらげる●であってほしい。

 ●は温泉マーク


【毎日・社説】

社説:教育3法改正 威圧の法にさせてはいけない

 教育関連3法(学校教育法、地方教育行政法、教員免許法)が改められた。教育現場をどう変えるのか。とことん詰めて問題認識や理解、運用基準などを共有するのが当然だ。しかし、迫る参議院選挙で与党の実績として掲げるべく「今国会で成立」を至上とされ、論議未消化の印象を強く残したまま成立してしまった。

 改正の骨子は、「我が国と郷土を愛する態度を養う」を義務教育の目標に規定▽副校長、主幹教諭、指導教諭の創設▽国の教育委員会への指示・是正要求権の新設▽私学行政への教委の助言・援助規定▽教員免許の10年更新制と講習義務▽不適切な教員への指導改善研修--などだ。先の教育基本法改正を受けたもので、安倍晋三首相が唱える「戦後レジームからの脱却」の一環と位置づけられる。

 私たちはこれまで、いきなり法改正ありきではなく、教育の現状の何が問題なのか、それをどう変えるのか、現行制度でなぜそれができないのか、などを徹底的に検証し、そこから方策を探るべきだと提起してきた。実際、現行法や制度、学習指導要領が壁になって、今回の改正の目的としていること(教育委員会の責任明確化、教員の資質向上など)が阻害されてきたという実情はない。

 しかし、国会では現状を掘り下げた審議が不十分だったばかりか、法改正がどのように現場に適用されるのかも明確にされなかった。例えば、教委への国の介入は限定的、自己抑制的であることが求められるが、どんな場合に「発動」するのか、想定も定義も具体的にできていない。教員免許更新制の「教員の資質向上や不適格教員のチェックという意味でも実効性が乏しいうえに、教員だけ更新制にする合理的根拠もない」という批判にも答えきれていない。

 このままでは、教育現場が得心しないまま威圧感のみを与えることになりかねない。そうなると、マイナス評価を恐れ、不祥事や問題を表に出さない傾向がますます強まるだろう。相次いだいじめ自殺や履修ごまかしで露呈した隠ぺい体質や無責任体制が法改正論に追い風となったが、改正が逆効果になっては何にもならない。なのに拙速批判をものともせず通した改正が「首相の指導力」を示す方便というのでは「教育改革は最重要課題」という言葉も泣こう。

 改まった法とどう向き合うか。どのようにプラス効果を上げるか。「上」から「下」への監視、締め付けの弊害発生をどう避け、過度の管理に陥らないようにするか。法がそれを決めるのではない。運用し、適用される当事者にそれはかかっている。学校や教委のみならず広く論議し、腐心して共通認識や運用ルールをはぐくむ必要がある。

 それでなくても「安倍教育改革」は教育再生会議など各種有識者会議や審議会などで意見、提言が入り乱れ、具体像を結びにくい。首相側が整理と十分な説明の責任を果たすべきである一方、その論議の方向を国民も見据え、身近に引きつけて考えたい。

毎日新聞 2007年6月21日 東京朝刊

社説:スパ爆発 天然ガスの安全対策を急げ

 屋根や壁が吹き飛び、鉄骨がむき出しになった建物の映像が爆発のすごさを物語る。東京都渋谷区の女性専用温泉施設「シエスパ」の温泉くみ上げ施設で爆発が起き、女性従業員3人が死亡、けが人も出た事故は、温泉水に混ざった天然ガスが分離後、施設内に充満し、何らかの原因で引火したためとみられている。

 警視庁は業務上過失致死傷容疑で、施設の運営会社や、保守点検を委託されている会社などを家宅捜索した。今後の安全対策や再発防止に役立てるためにも、一刻も早く事故原因を究明し、問題点を明らかにしてもらいたい。

 都心の閑静な住宅街がこれほどの危険と隣り合わせだったことに驚く。昨年1月に開業したシエスパはビルの中に風呂やサウナ、エステなどがそろい、会社帰りの女性らに人気だった。最近のスパブームで、日帰り利用が可能な都市型の温泉施設が次々に誕生している。しかし、東京、千葉などに広がる日本有数の南関東ガス田をはじめ、地中には天然ガスが豊富にあり、温泉のくみ上げには危険が付き物だ。同様の施設は安全面の総点検を直ちに行う必要がある。

 身近な温泉施設であるにもかかわらず、驚くことに、危険な天然ガスを営業時に取り扱う際の法規制や安全管理基準などはなく、事実上の野放し状態だ。安全管理は業者任せになっている。国や自治体などは、温泉施設の安全管理対策を早急に整備すべきだ。

 温泉を掘削する時や、掘削のためのポンプを設置する時、公衆浴場として提供しようとする時は、温泉法でいずれも都道府県の許可が必要と定められている。ところが、許可に当たっての統一された安全基準はなく、判断は都道府県に委ねられている。

 掘削をめぐっては05年2月、東京都北区の温泉掘削現場で噴出した天然ガスが22時間にわたって燃え続ける事故が起きた。これを機に都は、掘削時の安全対策指導要綱を策定し、ガス噴出防止装置の常時設置や、危険濃度に達すると警報が鳴るガス検知器を設置して常時測定することなどを掘削許可の際の指導の基準にしている。

 しかし、営業時の安全対策は都も含めて手付かずのままだ。この際、国が率先して掘削時から営業時まで幅広く、安全上の規制に乗り出す必要があるのではないか。

 シエスパの運営会社は記者会見で、安全管理面は委託した保守点検会社任せだったことを明らかにした。その保守点検会社は毎日、温泉をどれだけくみ上げたかの確認はしていたものの、天然ガスを分離する装置の点検やガス濃度の測定は「契約内容に含まれていない」と実施していなかったという。ガス検知器などを設置していたかどうかもはっきりしない。

 安全管理を怠っていたとすれば言語道断だが、安全対策を定める法制度などがないことも事故の背景にあるのではないか。新たな施設が増えるに従って、想定外の事故が起こってしまうこともある。知恵をめぐらし、事故を未然に防ぐ仕組みを整えることが急務だ。

毎日新聞 2007年6月21日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:日本人が世界一清潔な国民であることは…

 「日本人が世界一清潔な国民であることは異論の余地がない。どんなに貧しい人も日に1度は町のいたるところにある公衆浴場に通っている」とはトロイを発掘したシュリーマンが幕末に訪日した際の観察である(「シュリーマン旅行記」講談社学術文庫)▲当時の欧米人を驚かせたのは、町中の多くの浴場、男女混浴、風呂の熱さだった。なかには集団入浴を見て日本人を道徳的に蔑視(べっし)した人もいるが、そういう人は自らの文明のルーツである古代ローマ人が公衆浴場を愛した歴史を忘れていたようだ▲その古代ローマ人は欧州各地で温泉を見つけて利用してきたが、現在のベルギーの温泉保養地スパもその一つという。一説にラテン語で「水による癒やし」という語句の頭文字をつなげたという「スパ」は温泉保養地や施設一般を指す言葉となった▲東京都渋谷区で、そのスパの名を冠した温泉施設「シエスパ」の別棟が突然爆発、3人の従業員の命が奪われた。まさに青天のへきれきというか、誰もが耳を疑う惨事である。爆発した建物の地下には温泉のくみ上げ装置があり、温泉にふくまれていた天然ガスの滞留がその原因らしい▲最近の日帰り温泉の急増で温泉井戸は都内で144を数えるが、天然ガスの安全対策はその9割でなされていない。対策のガイドブックは作られながら、温泉管理者に渡っていなかったともいう。災いをもたらす悪魔は人のうかつを見逃してくれない▲日本人の根っからの温泉好きに、エステやリラクセーションのブームも加わっての昨今のスパ隆盛だ。だがそれも地底に広がる天然ガス田の上の宴(うたげ)だったと分かればさすがの風呂好きも青ざめる。ただ3人の生命を失わずとも、その安全対策はできたはずなのが悔しい。

毎日新聞 2007年6月21日 東京朝刊


【読売・社説】

教育3法成立 制度の具体化をぬかりなく(6月21日付・読売社説)

 安倍首相が掲げる「教育再生」への足がかりが出来たということだろう。教員免許更新制や、「副校長」「主幹教諭」ポストの新設などを盛り込んだ教育改革関連3法が成立した。

 教員免許法の改正で、教員の資格制度は一変する。現在は大学の教職課程で所定単位を修得すれば生涯有効な免許がもらえるが、2009年度からは10年の有効期限が設けられ、更新時に30時間の講習が義務づけられる。

 問われるのは講習の中身だ。現在ある「10年経験者研修」と似たようなものになっては、実効が上がらない。実際の講習と評価は各地の教員養成系大学で行うが、文部科学省による明確な認定基準の作成は必須である。

 教員免許更新制は、当初、指導力不足などの不適格教員を教室から「排除」することを目的に検討された。しかし、中央教育審議会は、教員の知識・技能の定期的な「刷新」のための制度とするよう答申し、その旨法案化された。

 不適格教員については教育公務員特例法の改正で対処し、「指導改善研修」の義務づけと、改善の見られない教員の免職などを明文化した。教育委員会には厳正な運用を望みたい。

 学校教育法の改正では、校長と教頭の間に「副校長」、校内の教師の取りまとめ役としての「主幹教諭」、他の教員の模範となり、給与面で優遇される「指導教諭」を置くことが可能になった。

 学校の組織運営力を強め、教員の意欲を高める効果が期待される。

 ただ、教員数を増やすことが難しい現状では、新しいポストに就く教員に過重な負担がかからないよう配慮が必要だ。能力と働きに見合った教員給与体系の再構築も、文科省の喫緊の課題である。

 この改正を受け、学習指導要領の改定作業も加速する。小学校英語の必修化の是非、教育再生会議が提言した授業時数10%増の具体化策など課題は多い。拙速を避け、じっくりと議論してほしい。

 地方教育行政法の改正で、いじめ自殺や履修漏れの放置など教育委員会に法令違反や著しい怠慢が見られた場合、文科相が「指示」や「是正要求」を出せることになった。

 「国の統制が強まる」と批判する声もある。しかし、地方に見過ごせない落ち度があった場合に是正に乗り出すことは、むしろ国の当然の責務だろう。

 文科省には、それぞれの制度を具体化する作業をぬかりなく進めてもらいたい。教育再生を実効あるものにするためには財政面での配慮も必要だ。首相の指導力にも注目したい。
(2007年6月21日1時37分  読売新聞)

温泉施設爆発 「安全」の盲点をつかれた惨事(6月21日付・読売社説)

 法令も安全基準もない。その盲点をつかれた惨事だ。

 東京・渋谷で女性専用温泉として人気を博していた施設が爆発し、従業員3人が死亡した。くみ上げた温泉に含まれる天然のメタンガスが建物内にたまり、引火したと見られている。

 都心の繁華街で温泉が掘られ、お湯が湧(わ)いているだけでなく、天然ガスも発生していた。都内の源泉の数は148に達し、最近10年で55か所も増えている。温泉掘削に伴い、東京以外でも、天然ガスが出ているところは少なくない。

 全国の温泉施設を点検し、再発防止の手を早急に打たねばならない。

 爆発事故が起きたのは、地下に温泉のくみ上げ設備がある建物で、浴場のある本館ビルとは別棟になっていた。もし浴場とくみ上げ設備が同じ建物にあれば、来館中の客と従業員約80人も巻き込まれていたかもしれない。

 東京の地下には南関東ガス田がある。源泉には多くの天然ガスが含まれているため、装置を使ってガスを分離することが必要だ。この時に発生したガスが建物外に排出されなかったらしい。

 ガス分離装置や換気扇が正常に機能していなかった可能性がある。そうした場合に警報を発するガス検知器が取り付けられていなかった。運営会社は、天然ガスの危険性について、きちんと認識していたのだろうか。

 運営会社と施設の保守点検を委託された会社から、互いに責任を転嫁するような発言も聞こえてくる。安全管理のどこに落ち度があったのか。警視庁は、業務上過失致死傷の疑いで捜査に乗り出したが、厳しく追及すべきだ。

 行政の在り方にも問題がある。

 温泉施設に関する法律は、温泉法と公衆浴場法がある。前者は環境省所管で泉源の保護と成分表示のルールなどを規定し、後者は厚生労働省所管で衛生管理などを定めたものだ。

 法律も所管官庁も縦割りだ。どこが責任を持って、この種の事故に対処するのか不明確だ。しかも、肝心の天然ガスの安全対策はすっぽり抜け落ちている。

 東京都は、2005年に都内の温泉掘削現場で噴出したガスが燃え続ける事故が発生したため、独自に安全対策ガイドラインを作った。しかし、これも掘削時の安全基準を定めはしたが、温泉施設が開業した後の安全対策にまでは踏み込まなかった。

 温泉の掘削ラッシュとも言える現状に縦割り行政で対応できるはずがない。関係行政機関が連携し、指導・監視する体制を作ることが必要だ。
(2007年6月21日1時37分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月21日付

 井上靖に花火師を描いた「生涯」という詩がある。筒の底に白熱した鉄片を横たえ、手練の早業で火薬の玉を投げ入れていく◆「頭上はるか高く、己(おの)が打揚げる幾百の火箭(ひや)の祝祭に深く背を向け、観衆のどよめきから遠く、煙硝のけむりの中に…」、その人はいたという。火薬の玉に全神経を集め、目の血走る緊張に耐える人がいて、観衆は心おきなく夜空の華に見惚(みと)れることができる◆花火に限るまい。娯楽を提供する側が花火師の「血走る目」を忘れ、危険からよそ見をすれば、楽しい祝祭は修羅場に一変する。ジェットコースターから目を離した遊園地しかり、天然ガスから目を離した温泉施設しかり、である◆3人が死亡した東京都渋谷区の温泉施設「SHIESPA」(シエスパ)の爆発事故は、源泉を地下からくみ上げる際に出る天然ガスに引火して起きたものとみられている◆施設を運営する会社は「保守点検はビル管理会社に委託しており、爆発するという認識がなかった」と話す。委託された会社は「ガス濃度の点検は請け負っていない」と話す。ともに、あちらの責任と言いたいのだろう。花火師の目はクスリにしたくともない◆惨事が起きて初めて経営者が、そうか、わが社は火薬の玉を扱っていたのだな、と気づく。ご遺族も霊前に供える言葉が見つかるまい。
(2007年6月21日1時36分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】教育3法成立 問われる教委の存在意義

 教育再生関連3法が成立した。教師の資質向上や教育委員会改革など、荒廃した公教育を変える重要な制度改革が盛り込まれており、今国会成立の意義は大きい。

 教育再生を最重要課題とする安倍晋三首相の意向を強く反映したのが、改正地方教育行政法に盛り込まれた教育委員会の改革だ。

 教委の機能不全ぶりについては、いじめ問題でも明らかになった。現状は、問題が起きた際には学校現場を支援し、解決に尽くすという本来の責務を果たしているとは言い難い。むしろ、責任を現場に押しつけ、実態を隠蔽(いんぺい)することさえあるのが実情だ。

 一部教職員組合となれ合い、毅然(きぜん)とした指導ができない教委も相変わらずある。教委改革は、こうした戦後の教育界の体質を変える意味がある。

 昨年10月に福岡県筑前町で起きた中学2年生のいじめ自殺をめぐる少年審判では、家裁が学校側の責任に言及し、「いじめへの問題意識がはなはだ希薄」と厳しく指摘した。こうした事件のたび、教委や学校には同様の批判が繰り返され不信が募っている。

 国会審議で伊吹文明文部科学相は、教委の役割を「ときには厳しく、ときにはあたたかくくるむ」ものとし、「それができていなかった」と述べた。教委の機能復活なくして、公教育への信頼は取り戻せないだろう。

 改正法では事務方まかせの体制を改め、教委が識見を持って学校活動を点検評価する責務などを明確化した。文科相の是正指示権も盛り込んだ。教委が法令違反を犯したり、対応を怠ったりした場合には国が責任を持つ。いじめをひた隠しにするような教委は今後は厳しく指弾されよう。

 教委の指導力で改革を進める事例がある。東京都教委は国旗国歌の指導充実や都立高改革を進め、京都市教委は独自の学力向上策や生徒指導の充実で、公立高の人気を復活させた。茨城県教委は県立高校の道徳を必修化するなど注目を集めている。

 地方分権も教委の裁量を問うている。地方の実情に合わせた特色ある教育に力を発揮してほしい。安倍首相は「美しい国」づくりに最も大切なのが教育だと繰り返している。各教委は、日本の教育再生に重大な責任を負っていることを再認識してほしい。

(2007/06/21 05:04)

【主張】スパ爆発 癒やしに安全は不可欠だ

 東京・渋谷の女性専用温泉施設(スパ)で爆発事故が起き、従業員3人が死亡、8人が重軽傷を負った。地中から温泉水をくみ上げる際に混入する天然ガスが棟内に充満し、何かの原因で引火した可能性が高い。

 警視庁は安全管理上の問題がなかったかどうか、業務上過失致死傷容疑で運営会社の家宅捜索を行うなど捜査に乗り出した。

 爆発が起きたのは、入浴施設棟とは別の従業員更衣室や温泉水のくみ上げ装置がある棟だった。装置には温泉水から天然ガスを分離する機能は付いていたというが、はたして作動状態に問題はなかったのか。換気は十分だったのか。人が密集する都心での爆発事故だけに、原因を徹底解明し、再発の防止に努めてほしい。

 首都圏では女性を中心とした“癒やしの空間”として、エステに温泉やサウナなどを組み合わせたスパと呼ばれる温泉施設が人気を集め、数も急増している。温泉付きを売りものにしたマンション建設も目立つ。

 東京都によると、都内で申請・受理された温泉の掘削件数は、この10年間で1・6倍の144件まで増加した。背景には、安いコストで深くまで掘れるようになった掘削技術の進歩があるといわれる。

 しかし、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の1都4県では、地下500~2000メートルの地層水に天然ガスが溶け込んだ日本最大規模の南関東ガス田が存在し、くみ上げる際の安全対策が重要課題となっている。

 平成16年7月には、千葉県九十九里町の「九十九里いわし博物館」で、地中から天然ガスがわき出し、引火爆発して2人が死傷している。翌17年2月には、東京都北区の温泉掘削現場で、やはり噴出した天然ガスが引火して丸1日燃え続ける事故があった。

 東京都や千葉県などは、一連の事故を教訓に、掘削時の安全ガイドラインを定め、天然ガスの遮断装置や警報検知器の設置を求めている。

 しかし、掘削後の日常的なくみ上げについては、特段の規制や義務規定はないという。渋谷の事故施設にもガス検知器はなかった。今回の事故を教訓に、さまざまな角度からの安全対策が必要である。

(2007/06/21 05:03)

【産経抄】

 敗戦後ウィーンの退廃を描いた映画「第三の男」は、チターの弦の音色が忘れがたい。主人公が水で薄めたペニシリンを売りさばいて、多くの犠牲者を出した。日本の敗戦直後にも、粗悪な密造酒を飲んだ人々がやはり死んだ。ともに、戦後の混乱期にあって食うがための悪事である。

 ▼ところが現代のニセ薬や毒物入り練り歯磨き、化粧品のたぐいは、決して混乱期の産物ではない。なんといっても、4年連続で2ケタ成長を快走する中国発なのだ。ニセバイク、ニセDVD、ニセ家電は、すっかりなじんでしまって誰も驚かない。

 ▼だが、ニセ薬が好調経済の片棒を担いでいたとなると事は深刻だ。「秘薬」と称するニセ薬は、民間病院の薬品工場で堂々とつくられる。粗悪なカストリ焼酎なら酔いつぶれるのを承知で飲んでいただろうが、中国のそれは高級洋酒を装っているから始末が悪い。

 ▼ 悪漢たちはもうけ主義をひた走る。これには「国家食品薬品監督管理局」という仰々しい名の当局が、にらみを利かす形にはなっている。「毒」をもって毒を制するはずなのに、そこは蛇の道は蛇であるらしい。この取り締まり当局の前局長がワイロをもらって、ニセ薬を認可したのだという。

 ▼「第三の男」は当局が犯人を下水道に追いつめ、占領下の日本でも経済警察の摘発は厳しかったと聞く。中国も全土に毒が回らないうちに解毒しないと、ワイロ付き商品など誰も買わない。いや、人のことは笑えない。

 ▼日本でも社会保険庁の役人が年金保険料の納付記録5000万件を宙に浮かした。あの朝鮮総連を監視する立場の公安調査庁の元長官が、差し押さえ逃れに一枚かんでいたとかいないとか。こちらも毒がタップリと回ってきている。

(2007/06/21 05:00)


【日経・社説】

社説1 パレスチナ分裂、和平外交の再構築急げ(6/21)

 パレスチナが分裂した。イスラム原理主義組織ハマスとパレスチナ解放機構(PLO)主流派であるファタハの抗争で、ハマスがガザ地区を武力で制圧した結果だ。サウジアラビアの仲介に基づいて3月に発足した統一政権は崩壊した。パレスチナ自治政府のアッバス議長は危機管理内閣を立ち上げたが、ファタハ主導の自治政府は事実上、ヨルダン川西岸地区の政府にすぎなくなり、ハマスが実効支配するガザとの分裂状態は長期化する可能性が大きい。

 中東和平プロセスの基本構想は、ガザと西岸を版図とするパレスチナ独立国家を樹立し、イスラエルとの2国家共存体制をつくることだった。パレスチナ分裂によって和平構想の前提は大きく変わり、政治的な障害もさらに増える。中東和平の灯(ともしび)を消さないためには、中断状態にあるイスラエルとシリアの和平交渉復活など、包括的な和平外交の再構築を急ぐ必要がある。

 ブッシュ米大統領とオルメルト・イスラエル首相はアッバス議長を全面支援することで一致し、米政府は昨年春から凍結してきた自治政府への直接援助を再開する。ファタハ側へのテコ入れによって、ハマス支配下のガザを孤立させ、ハマスの弱体化を進める狙いだが、米国やイスラエルの思惑とは逆の展開になる可能性も小さくないだろう。

 昨年1月のパレスチナ評議会(国会に相当)選挙でハマスが勝利し、ハマス主導の内閣が生まれた後、武力闘争放棄やイスラエルとの共存の意思を明確にするようハマスに迫る形で国際的な対パレスチナ援助凍結の動きが広がった。だが、“兵糧攻め”によってハマスの力が弱まったわけではない。むしろ援助凍結によって経済力の弱いガザの状況がさらに悪化して政治的な反発も強まり、ファタハの地盤沈下が進んだ。

 イスラエルはアッバス議長をパートナーにパレスチナ側との和平交渉再開を模索する一方、ガザと武力を前面に出して向き合う構図になる。イスラエル軍は 20日、ガザを空爆した。攻撃激化も予想されるが、現地の社会状況の一段の悪化を防ぐためにも、主要国、国際機関による人道援助の実施は不可欠である。

 ガザに新たな前線を抱えたイスラエルは、北の前線であるシリアとの関係の戦略的見直しを迫られる。イスラエルとシリアの和平交渉復活の成否が、今後の中東和平プロセスで重要性を増す。支持率が低下気味のオルメルト政権が新たな和平路線に踏み出せるよう、外交環境を整えていく国際社会の努力も重要になる。

社説2 運用も問われる改正教育3法(6/21)

 教育改革に関連する3つの改正法が成立した。いずれも学校現場に与える影響は大きく、今後は文部科学省がこれらをどう運用するかを注視する必要がある。

 3法のなかで最も議論が高まったのは、教育委員会への国の関与を明確にした地方教育行政法の改正だ。教委の法令違反などにより児童・生徒の生命が脅かされたり、教育を受ける権利が侵されたりした場合、文科相は教委に指示や是正要求ができる。改正法はこう定めている。

 こうした規定に対しては法案化の段階から、地方分権に逆行し文科省の権限増大を招くとの指摘があった。同省が規定を拡大解釈して教委への画一的統制を強めるのではないかという不安がぬぐえないからだ。

 国会審議を通じても、この懸念が十分に解消されたとは言い難い。教委にどんな逸脱や不手際があった場合に指示や是正要求をするのか、その判断基準ははっきりしない。

 ただでさえ、教委は文科省の出先機関の役割を負い、その顔色をうかがっている。文科省がこの規定を背景に現場を萎縮させるようなことがあってはならない。あくまでも、万一の場合の「伝家の宝刀」にとどめて慎重に運用してもらいたい。

 ほかの2つの改正法にも、運用次第では教育の多様性や柔軟性を制約しかねない側面がある。

 教育職員免許法の改正では、教員免許を10年ごとに更新する制度を導入した。これによって本当に教員の質を向上させられるのか、不適格教員の排除につなげられるのかどうか、具体的な設計は今後の課題だ。

 一方で、免許更新制は文科省による一元的な教員養成・登用システムの堅持を前提にしており、教壇に幅広い人材を受け入れようとする流れとは必ずしも合致しない。免許更新制には一定の意義があるとしても、これだけが教員制度の改革ではないことを強調しておきたい。

 学校教育法の改正は、小中学校などに副校長や主幹教諭など新たな管理職を置くことができるようにしたのが柱だ。学校マネジメントを確立する効果は期待できるが、実際の運用は地域や学校の実情に即して考えればよいのではないか。文科省は画一的な対応は避けるべきである。

【日経・春秋】(6/21)

 世界の首脳が地球の温暖化対策などを語り合ったドイツのハイリゲンダム。バルト海に臨む美しい保養地が周辺に連なる。旧東独時代に開発が進まなかったせいか、結果的に古き良きたたずまいが残る街並みに今目立つのは、スパ(温泉)やタラソテラピー(海洋療法)を名乗る宿だ。

▼日本のハマナスそっくりの花が咲く白砂の海岸。そこでの海水浴に加えて、ホテルやペンション内での様々な温水浴、海藻を使った全身マッサージなどで、女性客やリタイアした熟年夫婦客を集めている。美容と健康と癒やし。魅力的な入浴療法を看板に掲げるのが、観光地、保養地の世界標準になりつつある。

▼わざわざ保養地や温泉地に出かけなくとも、都会でそれが気軽に味わえる。東京のど真ん中、繁華街渋谷と住宅地松濤の境に、女性専用の温水浴施設「シエスパ」は開業した。その従業員用施設で起きたガス爆発は、3人の命を奪った。メタンガスが原因という。

▼掘れば出る率は高い温泉列島、プログラムとサービスを競い、スパビジネスは伸びてきた。が、温泉と一緒に出てくるメタン対策は十分だったのか。石油の掘削なら、随伴ガスの処理は基幹技術だ。煮炊きに使う都市ガスとメタンは全く同じ物質である。そのリスクを、事業者も行政も軽視してはいなかったか……。


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 赤旗の記事を上手くまとめてくれたそいつは帽子だ!さんの記事がすごいです。 言うより見る方が分かりやすいでしょう。これが学校教育法改正案です。多分、このまま通ったんでしょう。こんなのを軽く通せる自民公明の神経を... [続きを読む]

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日本のTVを見ていたら「バカ」になるよ〜ダ! 〜〜〜っ、て思っているからTVは見なくなってしまいました。 その調子で、 下らない週刊誌を読んでいたら「バカ」になるよ〜ダ! って、思って下らない週刊誌は読まなくなりました。 週刊文春も新潮も、文藝春秋も、....... [続きを読む]

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