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2007年6月25日 (月)

6月25日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年6月25日朝刊)

[国会会期延長]やはり「年金隠し」なのか

 通常国会の会期延長が決まった。安倍晋三首相が天下り規制を強化する国家公務員法改正案の今国会成立に強くこだわったためだ。

 二十三日までの会期は十二日間延長される。これを受けて参院選の投票日は七月二十二日から同二十九日に一週間先送りされた。

 安倍首相が成立にこだわる国家公務員法改正案は、首相の再就職あっせんを一元化する「官民人材交流センター」の設置を柱にしている。これに対して野党側は「政府公認の天下りあっせん機関だ」と強く批判している。

 会期延長には官邸主導でまとめた同改正案など重要法案を成立させ、年金記録不備問題や松岡利勝農相の自殺を契機とした政権への逆風をしのぎ、政府、与党に対する厳しい批判を和らげたいとの思惑があるのだろう。

 だが全国の自治体は当初予定の投開票日を視野にポスター作製などの準備を進めてきた。直前の変更により経費の無駄遣いも生じる。日程変更に合理的な根拠があるとは思えない。党利党略による延長と批判されるゆえんだ。

 会期延長に野党は「国会は首相の従属物ではない」と反発を強めている。与党内にも「首相は裸の王様になりかかっている」などの批判が渦巻く。

 参院自民党は国家公務員法改正案を衆院で継続審議にして今国会で終えるよう要請したが、首相の意向で押し切られた。官邸と党の双方で調整役となる司令塔役の不在が浮き彫りになっており、参院選で自民党が敗北した場合の首相の責任論も浮上している。

 与党側は延長国会で社会保険庁改革関連法案、年金時効撤廃特例法案などを成立させる方針だ。労働関連三法案は審議時間の確保が厳しいため、衆議院で継続審議扱いになる見通しだ。

 しかし延長国会では与党による強行採決が行われるのは確実だ。国民はどう評価するだろう。政権の実績アピールにつながるのかどうか疑問である。

 参院選をめぐる責任問題について安倍首相は「私は首相であり自民党総裁なので、日々すべての事柄に責任を持っている。常に一番大きな責任があるとの覚悟で取り組んでいる」と述べ、選挙結果によっては責任を取る考えを示した。

 過去二十年間の国会で参院選前に通常国会が延長されたのは一九八九年、九八年の二回。参院選の日程を直前に変更は異例だ。いずれの選挙でも自民党が惨敗し、首相退陣につながった。

 国会会期延長はやはり「年金隠し」のための時間稼ぎなのかどうか。夏の参院選は国政の行方を占う「天王山」になる。国民一人一人が国会審議を見守っていく必要がある。

[牛ミンチ偽装]企業の社会責任忘れるな

 企業による食品偽装がまた、発覚した。北海道の食肉加工販売会社が豚肉を混ぜたひき肉を「牛ミンチ」と表示して出荷していたのだ。同社はさらに、冷凍コロッケの賞味期限を改ざんして販売した疑いがあるほか、他にもさまざまな偽装があったという。

 消費者を無視し、その信頼を裏切る行為であることはいうまでもない。コンプライアンス(法令順守)やCS(顧客満足)という企業にとって大切な精神が欠如していると言われても仕方あるまい。

 すでに、農水省や北海道が調査や検査を実施。北海道警も強制捜査する方針だ。だが、問題なのは事件になるかどうかという以前に、企業がその社会的責任を忘れ、利益だけを唯一の目的としていたことではないか。

 同社は偽装の目的を「豚くず肉を10―20%混ぜることで、一、二割安くなった」と説明し、偽装が常態化していたことを明らかにした。豚以外に、より低価格のカモや鶏肉を混入したことも認めている。当初から合いびき肉として出荷していたら何の問題もないものを、価格をつり上げるためにだけ偽装していたわけだ。

 何よりも責められるべきは発覚後も不正行為を糊塗し、責任を回避しようとした点だろう。

 同社の社長は今回の行為が明らかになった直後、「誤って混ざってしまった可能性がある」と釈明したが、その後に「部下に相談されて(混入を)承認した」と説明が変化。さらに、翌日には「コストを下げるために豚肉を混ぜるよう指示した」と一転、自ら主導したことを認めた。

 この間の言動には反省どころか、消費者や取引先への謝罪の念などまったく感じられず、まさに不遜としかいいようがない。企業の危機管理のケースとしても最悪のパターンだろう。

 「儲かれば何をしてもいい」という企業が存続し続けることは難しいし、存続する意義もない。企業は社会的な存在だということを経営者は決して忘れてはならない。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月25日 朝刊 1面)

 テレビのニュースで見覚えのある冷凍牛肉コロッケのパッケージが映っていた。北海道の食肉加工卸会社の偽装牛肉を使ったとされる商品だ。

 確かわが家でも最近食卓に上った。風味について特段変わった印象は残っていないが、強いて記憶をたどれば、肉が入っているのか、分からないほど少なかった、ということぐらいか。

 食品の偽装事件で思い出すのは狂牛病対策に端を発し、外国輸入牛肉を国産と偽った複数の大手企業による不正事件だろう。食品への安全神話と企業への信頼が崩れ、国中の企業、社会が猛省したのはつい四、五年前の話である。

 今回の事件とは直接関係ないようだが、数日前、全国食肉公正取引協議会が表示販売の実態についての昨年度の消費者アンケートの結果を発表した。それによると、県内では食肉表示について「ある程度」を含めて「信頼している人」は93%も占めている。

 一方、店頭表示の情報では「分かりにくい」と答えた人は55%もいた。健康志向の高まりで食材へのこだわりを持つ人が増えている半面、生活パターンの変化により安価で便利な加工食品への依存を余儀なくされている消費者の戸惑いが見えるようだ。

 それにしてもスーパーやコンビニの店頭に並ぶ加工食品の豊富さには驚く。消費者は自己責任として食材を選ぶ知恵、努力が求められているが、前提には企業倫理が問われていることは間違いない。(比嘉弘)


【琉球新報・社説】

牛ミンチ偽装・監督官庁の責任も重い

 またしても食の信頼を裏切る行為が発覚した。北海道苫小牧市の食肉加工販売会社「ミートホープ」が豚肉などを混ぜたひき肉を「牛ミンチ」として出荷していたことが判明、北海道警が強制捜査に踏み切った。
 ミート社の食肉偽装は田中稔社長が自ら指示し、会社ぐるみで恒常的に行われていた疑いが強まっている。豚肉以外にもカモ肉、鶏肉などを混入した疑いや、ブラジル産鶏肉を国産と偽って学校給食用に出荷した疑い、店舗から返品された冷凍コロッケを安く買い取り、賞味期限を改ざんして転売した疑いなどが相次いで浮上し、まさに偽装のオンパレード。あまりの悪質ぶりに、怒りを通り越してあきれるばかりだ。
 事態を重く見た行政側は、北海道庁が食品衛生法など違反の疑いで裏付け調査を始めた。農水省は原材料名を適正に表示するよう定めた日本農林規格(JAS)法に基づき、同社と取引先を立ち入り検査。道警も不正競争防止法違反容疑で同社や取引先などを家宅捜索し、刑事事件に発展した。
 ミート社によると、牛ミンチの注文が増え始めた7、8年前から偽装が常態化した。問題が発覚した当初、田中社長は「誤って混ざった可能性がある」として工場長に責任をなすり付けるような釈明をしたが、再度開いた会見で取締役の長男から「本当のことを言って」と諭され一転、自らの指示を認めた。
 関与を認めた後は「商売をやっている人間なら誰でもコストを下げたい」などと開き直ったが、工場長の「雲の上の人だから何も言えなかった」というコメントに、社長のワンマンさがうかがえる。利益至上主義が招いた事態だとしたら、消費者不在と言わざるを得ない。
 消費者の信頼を欺いたミート社の責任は厳しく問われよう。事件の全容解明は道警の捜査を待たないといけないが、原因と背景、責任の所在を明確に示してもらいたい。
 同時に、監督官庁である農水省や道庁の責任も重い。数回も内部告発を受けながら、なぜ具体的な対応を取らなかったのか。これだけの不正疑惑を「所管の道庁に任せた」「いや聞いていない」とか「調べたが確認できなかった」では済まされないだろう。
 消費者の声に「雪印や不二家の問題が教訓になっていない」との指摘があったが、食の安全・安心が一段と叫ばれている昨今、行政がこの対応では職務怠慢のそしりは免れまい。
 問題の根源を突き止め、再発防止への有効な手だてを考えてほしい。食品安全行政にもっと消費者を参加させる仕組みづくりなども含め、検討を急ぐ必要がある。

(6/25 9:48)

与那国に米掃海艦・町民の不安が募るだけ

 佐世保基地を拠点とする在日米海軍の掃海艦2隻が日本最西端の与那国島・祖納港に寄港した。米艦船の県内民間港への寄港は復帰後、初めてである。米側は「親善・友好と乗組員の休養」と日本側に通知しているが、本紙が入手した海軍の港湾情報調査票には港湾周辺や島内の状況をつぶさに調査する項目が並び、情報収集の色合いが濃い。
 台湾有事をにらんだ米軍の民間港利用への布石だとしたら、疲弊する辺境の地を脱し、国境の島としての自立モデルを目指す与那国町にとって看過できまい。距離的に近く、歴史的に交流もある台湾とは友好関係を構築中だ。米艦船の寄港がいたずらに台湾・中国側を刺激しないか心配だろう。
 加えて今回の寄港は、町民生活まで細かく調べ上げられる可能性が否定できないという。実際、島内には艦船の入港を前に海軍の先遣隊らしき男性らが入り込んでおり、祖納港に近い集落の飲食店では米兵らしき男性らが客の収容規模などを尋ねたりする様子が確認されている。
 外間守吉町長は「親善・友好と言いながら、島内を調査しているのは非礼だ。町内を巡回するのはやめてほしい」と不快感をあらわにした。現時点で米兵と町民との間で大きなトラブルが起きているわけではないが、米側の真の狙いがいまひとつはっきりしないだけに、町民が不快感や違和感を覚えるのは当然だろう。
 与那国町は昨年10月、政府の第十次構造改革特区募集に「国境交流特区」を提案した。キャッチフレーズに「自立・定住できる日本のフロント・アイランド」を掲げており、ことし3月の与那国空港拡張式典では那覇直行便に加えて台湾、東南アジアを結ぶ国際航空路開設への夢が膨らんだ。
 そんな矢先の艦船寄港である。寄港が恒常化し、与那国島で軍事色が強まれば観光入域客数の伸長やアジア各国との交流拡大に少なからず影響が出よう。それは島が目指す本来の姿ではない。有事対応の島ではなく、有事と縁のない島にしていく努力こそが求められている。

(6/25 9:46)

【琉球新報・金口木舌】

 学生時代に訪れたインドで飲んだ、ミルクと砂糖たっぷりの紅茶「チャーイ」の味は格別だった。炎天下、汗をかきながら素焼きの器で飲んだ
▼紅茶の木を代表するアッサム種は1823年にインドで発見された。中国茶と違い茶葉が大きく暑さに強い。苦み成分が含まれているため、発酵させて苦みをうまみに変える紅茶に向く
▼1950年代、沖縄にアッサム種が持ち込まれ紅茶製造に成功した。1958年11月28日付琉球新報は「有望な沖縄の紅茶/リプトンにもおとらない」との見出しで紹介している
▼ この記事を読んだ今本智子さんが本島北部で50年前の茶樹を見つけ「琉球紅茶」作りに成功した。今本さんの取り組みを内海=宮城恵美子さんが「沖縄ビジネスウーマン!」で紹介している。沖縄はアッサム地方と同じ北緯26度に位置し、本島北部の土壌は、日本で唯一自然の状態でアッサム種が育つという
▼紅茶産業を興して基幹産業に育てようと、経済人らが「沖縄の紅茶を育てる会」発足に向け動きだしている。生産から商品化・販売、紅茶に合う沖縄のお菓子作りなど裾(すそ)野は広い
▼沖縄産の紅茶がブランドとして世界中に流通する日を想像するだけで愉快になる。

(6/25 9:47)


【東京新聞・社説】

WTO暗礁 日本は打開の役割担え

2007年6月25日

 世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の主要四カ国・地域の交渉が決裂した。自由貿易体制強化への動きを止めてはならない。日本は事態打開へ積極的に汗を流すべきだ。

 米国、欧州連合、インド、ブラジル(G4)の閣僚会合は対立が解けず、年内合意に黄信号がともった。ラウンドは関税はじめ自由貿易の障害物を可能な限り取り除き、モノやサービス取引、投資拡大などのルールづくりが大きな目的だが、それが行き詰まった。

 交渉は、食料輸出国・世界一の座をブラジルに譲った米国が競争力を維持するための国内補助金の削減を、インドとブラジルが国内産業を守るため、先進国からの鉱工業製品輸入を抑えようと関税引き下げを、頑強に拒んだために利害対立が深刻化し、物別れに終わった。

 ドーハ・ラウンドは正式には「ドーハ開発アジェンダ」と呼ばれ、従来の先進国主導から途上国重視へと大きく転換した。インドなどに代表される途上国が目覚ましい経済成長を背景に発言力を強める一方、先進国はかつての余裕を失いつつある。

 WTOのラミー事務局長はG4で大枠の合意をとりつけ、その後、百五十の加盟国・地域による多国間交渉で最終決着に持ち込む手順を描いていたが、狙いはもろくも崩れた。

 現在、貿易自由化は二国間の自由貿易協定や経済連携協定の締結によっても進められている。ただ二国間に限ったいわば“差別的”な取り決めであり、全加盟国にルールを公平、無差別に適用するWTOの規律強化は各国共通の重要課題のはずだ。貿易の紛争処理などは中立機関であるWTOの機能に頼らざるを得ない。交渉が失敗した場合の打撃は甚大であり、ここは加盟国すべてが早期再開に努めるべきだ。

 それにしても日本の動きの鈍さが気にかかる。前回のウルグアイ・ラウンドでは米欧と交渉を牽引(けんいん)してきたが、ドーハでは蚊帳の外だ。農産品の市場開放から目をそらす。そんな姿勢が見透かされたのだろうか。

 日本は貿易自由化の恩恵を最も享受し、経済成長を遂げてきた。ラウンドが自由化交渉である以上、国内農業への痛みは避けて通れないが、むしろ、意欲のある担い手育成などの好機ととらえて自由化がもたらす痛みを克服する。そうした道筋をつけながらの交渉が求められている。

 この際、米国や同じアジアのインドなどとの仲介役を買って出て、主要国の閣僚会合を再開させるくらいの気概を見せてほしい。これこそが日本のできる国際貢献ではないか。

環境技術 生活者の理解があれば

2007年6月25日

 政府は、地球温暖化問題の突破口として環境技術の活用と開発を重視する。暮らしの危機を自覚して、それを選び、操る「人」を併せて増やしていかないと、高い「技術」も生かされない。

 地球温暖化対策が最大の課題になった主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)は、京都議定書の約束期間が終わった二〇一三年以降の新たな対策の枠組みに、議定書を離脱した米国が復帰するなどの成果を挙げて閉幕した。

 その成果は、「温室効果ガスのすべての主要排出国が、五〇年までに排出量を少なくとも半減させるよう真剣に検討する」とした経済宣言の一節に要約される。

 米国の復帰を最優先に考えた、あいまいで、実効性のない目標との批判も高い。

 日本は、五月末に打ち出した長期戦略「美しい星へのいざない」の中で「世界全体の排出量を現状に比して五〇年までに半減する」とうたっており、サミットの結論の提案者を自任する。「半減」への責任はとりわけ重いということだ。

 だが、一口に「半減」とはいうものの、容易ならぬ目標だ。

 京都議定書で課された削減義務は、先進国全体で一二年までに一九九〇年比5%、日本は6%だが、現実には逆に7・8%も増えている。現状では「半減」など夢のまた夢ではないか。

 ことしの環境白書は、地球温暖化対策を進める「技術」に焦点を当てている。

 政府は「美しい星-」の中でも「革新的技術開発」を重視する。

 ハイブリッド車に象徴される日本の環境技術は世界のトップレベルを走っており、技術を駆使して石油ショックや公害を克服してきた実績もある。環境技術を高めることは、国際競争力を高めることにも今後ますます結びつく。

 しかし、技術ばかりが突出すると、それに頼る気持ちが強くなる。温暖化対策が「人ごと」になってしまう恐れもある。

 日本には世界最高水準の省エネ家電がそろっている。だが、消費者に選ばれなければ意味はない。省エネ家電に買い替えたくなるような、そして使いこなしたくなるような社会システムの組み合わせが必要だ。

 政治や経済だけでなく、暮らしの危機としての温暖化問題をさらに分かりやすく伝える工夫も大切だ。生活者の理解が深まり、環境技術を自ら選択する気持ちが高まれば、おのずと「国民運動」も動きだし、「半減」への道も見えてくる。

【東京新聞・筆洗】2007年6月25日

 「バラのつぼみ」。この言葉を残して新聞王とも呼ばれた男ケーンが壮大な邸宅で死んだ。最後の言葉は何を意味するのか。ケーンの正体を探るための手がかりとして、一人の記者が調べ始める▼一九四一年に二十代半ばのオーソン・ウェルズが、監督・脚本・主演の三役をこなして制作した映画「市民ケーン」の冒頭の場面だ。傑作の名をほしいままにしている作品だが、米国映画協会が十年ぶりに改定した「最も優れた米国映画ベスト100」で一位の座を守った▼映画の筋を追うと、記者はケーンを憎んでいた人、愛していた人の双方から話を聞く。映画評論家の佐藤忠男さんの弁を借りれば、そこから「他人の幸せも不幸も屁(へ)でもない。金と地位と名誉と権力をとことん追求する生き方」が見えてくる。でも「バラのつぼみ」の意味は分からない▼記者は「人生の謎を解くような便利な言葉はない」との結論に落ち着く。でも映画の最後で観客には意味が分かる。子ども時代に失ったものに答えはあった。これ以上は映画を見てもらった方がいいのだろう▼ケーンの正体を探ることは結局、人間にとって何が幸せなのかを探すことを意味していた。映画から伝わってくるのは、金と地位と名誉と権力でケーンの心が満たされることはなく、孤独のまま死んだということだ▼人間はだからといって、ケーン的な生き方を今なお否定していない。競争社会の中では肯定的にとらえる人が増えているようにも感じる。「市民ケーン」が一位であり続ける理由もそこにあるのかもしれない。


【河北新報・社説】

政投銀民営化へ/地域支援機能の継続を

 日本政策投資銀行を民営化するための「株式会社日本政策投資銀行法」がこのほど成立、施行された。

 政府系金融機関改革の一環で、現在の政投銀は解散、2008年10月、新たに政府全額出資の特殊会社が設立される。その後、政府は13―15年ごろをめどに、保有株式をすべて処分し、完全民営化するスケジュールだ。

 政投銀は、1999年10月に当時の日本開発銀行と北海道東北開発公庫が統合して誕生した。旧北東公庫時代を含め、東北とはなじみが深い。

 政投銀は、東北全体を見据えたシンクタンク的機能を保持し、地域開発や地域の自立支援を行う役割を担ってきた、と言ってよい。

 中小企業、ベンチャー企業育成のため、官民出資の「東北インキュベーションファンド」や「東北グロースファンド」の形成、出資で一翼を担ったり、自動車産業を東北の産業の柱にするよう、産学官の連携を提唱したりしたのは、その一例だ。知恵と情報収集に加え、政策金融という資金力で地域を支えてきたことは間違いない。

 政投銀の貸出残高は06年3月末で、12兆9200億円。このうち、東北分のシェアは各年度のプロジェクトにより変動もあるが、平均で10%前後に上っている。

 民営化に当たり、変えてほしくないのは、広域的な視点で地域振興を図る基本姿勢だ。

 政投銀は完全民営化後、移行期間中は認められる財政融資資金の借り入れや政府保証債発行ができなくなり、自力で市場などから資金調達しなければならない。

 社債の発行や民間借り入れなどをすることになり、その分コストがかかり、他の民間銀行と競うには、収益力の高い新しいビジネスモデルも必要になってくるだろう。

 しかし政投銀の特徴は、単に利益追求ではなく、長期融資、公共心、中立性、信頼性などを理念とする政策金融だった。

 その特徴、独自性を、他の民間銀行にはない利点として、生かすことが必要だ。環境、エネルギー、街づくり、防災、医療、福祉など、今後需要が高まる幅広い分野で、さらに金融展開することも肝心だろう。

 そして、政投銀は、都道府県と市町村が地域産業振興を目的に策定し、国が認定する地域再生計画の事業融資などで、自治体や地方銀行と信頼関係を築いている。

 政投銀は自治体や地銀との連携、協力を強固にし、場合によっては出資を求める道もある。政府は、疲弊する地方の現状を直視し、格差是正のため、政投銀の地域支援機能を充実させる方向で対応することが必要だ。
2007年06月25日月曜日

昇降機の安全性/日常の保守点検がずさんだ

 マンションやオフィスビルのエレベーターの安全性が脅かされている。国土交通省による全国規模の緊急調査では、過去1年間のうちに、42基のエレベーターでワイヤロープを構成する金属線の束の破断が起きていた。

 すぐさま落下事故につながることはないとしても、エレベーターを支えるロープの強度にかかわる。早くすべてのエレベーターについて調べ、破断が見つかったなら交換して不安解消に乗り出すべきだ。

 調査の過程で明らかになったのは、破断の危険性が保守点検作業で見落とされていたことだ。日常的に多くの人が使用するエレベーターなのに、安全性の確認が驚くほどおろそかになっているのが現実だ。

 国交省の全国調査は東京都港区にある六本木ヒルズ森タワー(54階)で起きた火災がきっかけになった。4月4日にエレベーター機械室から煙が出て数百人が避難した。

 原因は金属線の束のうちの1本が破断し、周囲と接触するうちに火花が発生したためらしい。メーカーは2005年にロープのさびを確認し、きれいにしようとしたものの除去できなかったという。

 半月ほど前に点検しているが、大量のさびによって金属線の様子が十分に確認できず、そのうちに破断したとみられる。安全確保のためには当然、破断に至る前の補修や交換が求められる。損傷を確認できなかったのは点検作業の不備だろう。

 同様の破断が見つかった各メーカーのエレベーターでも、直前の点検では「良」判定がほとんどを占めている。中には点検から数日後に破断が発覚し、ロープを交換した例もあった。

 エレベーターは建築基準法によって年1回の検査が義務付けられているが、通常は保守管理業者と契約して月に1、2回は点検している。

 そのペースできちんと調べていれば、破断の兆候はほぼ確実につかめるはずであり、実際の点検は相当にずさんだと思うしかない。

 破断の原因は経年劣化が最も多いが、異物による損傷や腐食、何らかの要因で異常にすり減ったケースもあった。メーカー側は予想外の原因がないのかどうか十分調べなければならない。マンションやビルの所有者側も任せきりでなくもっと注意を向けるべきだろう。

 東京都港区のマンションで高校生がエレベーターに挟まれ死亡したのは昨年6月だった。警視庁の捜査では、ブレーキ部品の劣化によって異常が起きていたのに、点検で見落としたことが重大な事故につながった可能性も指摘されている。

 危険を避けるには日ごろからしっかりと点検するしかない。
2007年06月25日月曜日

【河北新報・河北春秋】

 「今の日本人は魚を庶民の食べ物だと錯覚している」と水産総合研究センターの小松正之さんが近著に書いている。実は食品の中でも割高で世界的にはぜいたく品▼各国で魚食ブーム。牛海綿状脳症(BSE)や鳥インフルエンザの影響で魚需要が増大したためだ。途上国の所得向上も見逃せない。ぜいたく品を多くが食べるようになったのだ

 ▼ 従って魚の争奪戦は白熱する一方。マグロは既に漁獲規制の動きが本格化している。欧州連合(EU)はヨーロッパウナギの稚魚の漁獲削減を決めた。ロシアは日本へのカニ輸出の監視を強める▼乱獲でいまや7割以上の魚種は保護が必要な状況。このままでは魚そのものが入手できなくなる心配が頭をかすめるが、まあ、好んでそうした魚を選ぶのでなければ大丈夫だろう。近海に余っている魚がいる

 ▼代表格がサンマ。今の3倍近く捕っても心配ない。値崩れを恐れて漁獲を制限しているだけだ。魚粉を別の養殖魚の餌にするなど、活用法はあるのにもったいない。カツオ、カタクチイワシ、イカも資源量は十分▼ これらこそ間違いなく「庶民の食べ物」。マグロやエビを安く食べようというのがむしろ間違い。身近な魚を工夫していい料理に仕立てる伝統が日本にはあった。それがまだ生きている。使わない手はない。

2007年06月25日月曜日


【京都新聞・社説】

地域力再生  格差是正へ施策大胆に

 京都府が設置する「府地域力再生プロジェクト推進会議」が、地域力再生に向けた府の来年度の実施方針となるアクションプランの概要などを公表した。
 同推進会議は、人と人がつながった温かい地域社会を築くため、地域に根ざす地域力再生活動を応援する目的で昨年十一月に設けられたものだ。同プランには各種の具体案を盛り込んだ。そのひとつ、「地域力再生を担う公的人材の育成」では、地域住民の合意形成などに助言できる人材の育成をあげ、府内各地に派遣するとしている。大いに進めてもらいたいが、これでは少し物足りない。
 行政と住民の中間に位置づけられる「中間支援組織」の創設も、同プランに盛り込まれた。地域振興事業に対して、その活動が継続するよう大学やNPO(民間非営利団体)などでつくる組織が支援するということだが、実際に効果をあげようと思えば、もっと工夫や仕掛けが必要となってくるだろう。
 検討課題としておもしろいのは、町家や里山、古い建築物などを証券化して出資を募る事業、住民税を納める際に一部を地域振興に使うよう指定する「1%基金」の創出だ。さまざまな観点から比較検討し、実行に移していく知恵やノウハウを学び、進めてほしい。
 地域再生の基本は産業経済力であり、その強化も急務だ。「府成長力底上げ戦略推進円卓会議」も府によって創設された。雇用や中小企業の活動向上などを通じて経済基盤のアップを図る趣旨だが、地域力再生に連動させる形での活動を望みたい。
 産業経済の急速な変化は、地域経済に対しても大きな影響を与える。現在、進んでいる経済のグローバリズムは、世界経済の構造を変え、市場主義の大きな波が地域経済にも打撃を加えてきたのは明白だ。この波は、地域から雇用を奪い取ってきたといえる。だから、地域は総じて元気がなくなり、地域格差が生じることになった。
 背景としては大手工場の海外移転による工場の閉鎖などがある。地域の中堅・中小企業で安価な輸入製品と競合するなかで廃業や倒産に追い込まれていったところが多数出た。もうひとつは、公共事業の支出が絞られ、建設関係を中心に事業が縮小していったことがある。郊外の主要道路幹線沿いを中心に大型商業施設が誘導されて中心市街地からにぎわいを奪い取る展開も続いた。
 こうした流れの中で格差をつけられた地域はどうすればよいのか。やはり経済面や文化面などで新たな力を独自でつけていく以外にない。その支援策のひとつとして推進会議のアクションプランも数えられると思う。府では十二月に最終案をまとめ、来年度の予算編成に反映させたいとしている。地域の再生に向けて大胆な施策導入を期待したい。

[京都新聞 2007年06月25日掲載]

EU改革条約  政治統合への基盤整う

 欧州連合(EU)の首脳会議は、発効の見通しが立たない欧州憲法に代えて、新たに「改革条約」を採択することで合意した。
 新条約では欧州憲法を大胆に修正、憲法の呼称を削除するなど連邦色を薄めた。
 経済統合の基本原則となる「公正な競争」の文言が、英国の抵抗で条約前文から除かれたのを見ても、当初の統合理念からはやや後退している。
 加盟各国の利害を調整して妥協を図ったためだが、組織機能の強化はそのまま継承された。
 「EU大統領」を置いて組織の運営体制に一貫性を持たせ、外交統括ポストとしての「外交安保上級代表」に大きな権限を与えた。
 意思決定の方式でも、全会一致のルールを変え、司法や治安など約四十の分野で多数決制を導入する。テロや移民問題などで効率的な決定が可能になる。新条約を機に、外交政策の共通化や決定が円滑になるのは間違いない。
 加盟国数が、ことし二十七にまで拡大したEUには、効率的運営のために新しいルールが必要だった。
 二十五カ国で二〇〇四年に調印した欧州憲法は翌年、フランスとオランダが国民投票で批准を拒否。一国でも反対があれば発効は不可能になるため、統合はエネルギーを失いかけていた。
 新条約合意で、EUは二年間の停滞を終わらせ、再拡大と政治統合へ向け一歩前進したといってよかろう。
 外交、通商などの交渉で二十七カ国・五億人の共同体が、一つになって主張したり要求する威力は強大だ。
 「強い欧州」の出現は、世界の多極化を促すだろう。新条約は、来年中の発効を目指すという。加盟国が遅滞なく批准手続きを済ませ、今度こそ発効を実現させてもらいたい。
 新条約をまとめた立役者は、メルケル独首相とサルコジ仏大統領だった。首脳会議は、人口を基準にした意思決定方式(二重多数決)の導入をめぐり、強硬に反対するポーランドをどう説得するかで成否のヤマ場を迎えた。
 独首相は高い外交能力で、最後は導入時期を二〇一七年までずらす妥協案を決断した。仏大統領は各国首脳を味方につけ、合意を渋るポーランド首脳を説き伏せた。統合は、引き続き独仏の二人が主導して進めることになろう。
 矛盾や問題点も抱えているとはいえ、EUの新条約は、日本を含め地域統合を目指す東アジアや南米、アフリカの各国にとって生きた先進事例だ。
 二度の大戦を経験した欧州は、根深い対立と憎悪を乗り越えれば、平和と繁栄に向かう道が開けることを拡大EUという形で示した。
 統合の共通基盤づくりは、まず乗り越えることからだ。どうすれば可能か、欧州の先達からそこを学び取りたい。

[京都新聞 2007年06月25日掲載]

【京都新聞・凡語】

投票年齢引き下げ

 ひと昔前なら青年団に入って大人の仲間入りをしたのが十六歳-という地域の慣習に基づき十六歳以上に住民投票権を与えようとしたのが、野洲市の「まちづくり基本条例案」だった▼投票年齢を二十歳から十八歳に下げた憲法改正のための国民投票法よりもさらに二歳引き下げる。同年齢の条例は神奈川県大和市以外にないという思い切った案だった▼「今どきの十六歳」が大人かどうか市民の意見は分かれたが、十六歳は義務教育を終え、女性が結婚できる年齢でもある。「自分のまちのことを決める制度。若い人に任せてみることも必要」などと教育効果や若者の発想に期待する声が多かったという▼しかし、二十二日の市議会で条例は成立したものの、年齢などを削除する修正が行われた。どうも修正した議員らには、住民投票の導入で議会の影が薄くなるという危機感の方が強かったようだ。市長与党であるため、否決はせず修正にとどめた、ということらしい▼海外の投票年齢は十八歳が一般的だが、欧州では十六歳に下げる動きが出ている。国内でも国民投票法の十八歳の採用や少年の刑罰対象年齢の引き下げから、成人年齢などの見直しが課題となっている▼そんな中、野洲市は住民投票の実施のための条例作りに着手する。さて、投票年齢をどうするのか。この際、住民投票で意見を聞いてみてはどうか。

[京都新聞 2007年06月25日掲載]


【朝日・社説】2007年06月25日(月曜日)付

ミンチ偽装―業者も役所もひどすぎる

 店で売っている食べ物はどこまで信用できるのか。そう思いたくなる出来事がまた起きた。

 北海道の食品加工卸会社ミートホープが、牛肉ミンチに格安の豚肉などを混ぜて出荷していた。この偽ミンチは冷凍コロッケをはじめとする身近な食べ物に加工され、全国の食卓に上っていた。

 消費者は肉の種類をごまかされたうえに、高い肉の代金を払わされていた。

 「混ぜれば分からないと思った」。この社長の言葉からは、食品を扱う会社の自覚や責任が全くうかがえない。

 不正は豚を牛と偽ったことにとどまらない。小中学校の給食用として、ブラジル産の鶏肉を国産だとごまかして出荷した疑いも出てきた。

 さらに、ミート社の元幹部が耳を疑うような発言をした。腐臭がするほど古い肉を仕入れ、殺菌処理をしたうえで、家畜の血液で赤く色をつけて牛肉に見せかけた、というのだ。事実とすれば、肉の安全性も疑わざるをえない。

 北海道警は虚偽表示を禁じた不正競争防止法違反の疑いで家宅捜索をした。徹底した解明を求めたい。

 それにしても、こんな不正が何年間も続いていたのに、加工や流通の過程でなぜ見抜けなかったのか。

 北海道加ト吉などいくつもの会社が、ミート社の肉を仕入れていた。加工食品の場合、消費者は加工業者や販売元を信用して品物を選ぶ。おかしな肉が混ざっていてはブランドにも傷がつく。材料のチェックに万全を期してほしい。

 なんとも理解しがたいのは、行政のお粗末な対応だ。

 ミート社のやり方を見かねた元役員らが昨年2月、農林水産省の北海道農政事務所に会社の不正を告発し、偽の牛ミンチを証拠として持ち込んだ。ところが、まともに調査しないまま、事実上、放置していた。

 農水省が立ち入り検査をしたのは、朝日新聞が同じような情報を手に入れ、ミンチを調べて不正を報道してからだ。

 農水省は「食品表示110番」を設けるなどして、偽装の疑いのある食品を通報するよう市民に呼びかけている。しかし、いくら通報しても、たなざらしにするようでは何の意味もない。

 北海道庁との関係もちぐはぐだ。今回寄せられた告発の情報について、農水省は道庁に伝えたと言い、道庁は否定するなど説明は食い違ったままだ。貴重な情報をどのように扱ったのか。放置した責任はだれにあるのか。きちんと調べて、明らかにしなければならない。

 かつて雪印食品は輸入牛肉を国産と偽るなどして解散に追い込まれた。消費期限切れの原料を使った不二家は一時、生産休止を余儀なくされた。それでもなお食品業界の不祥事はなくならない。

 このままでは、食品業界はますます疑いの目で見られ、消費者の加工食品離れが進むだろう。

大気汚染訴訟―高裁の和解勧告を生かせ

 東京都内で道路の近くに住んだり、近くで働いたりして気管支ぜんそくなどに苦しんできた患者の救済が、大きな山場を迎えた。

 患者が損害賠償と汚染物質の排出差し止めを求めた東京大気汚染訴訟の控訴審で、東京高裁が原告と被告の双方に和解を勧告した。被告は国と東京都、首都高速道路、自動車メーカー7社である。

 その中で注目されたのは、自動車メーカーに解決金として12億円の支払いを求めたことだ。

 解決金の支払いは患者が要求していた。一審でメーカーは責任を認められなかった。高裁がメーカーに解決金の支払いを求めたのは、法的責任はともかくとして、メーカーにも社会的な責任を負ってもらおうという強い意思の表れだろう。高裁の判断を評価したい。

 解決金の額については患者とメーカーの主張の間に隔たりがあり、いずれも不満かもしれない。高裁も勧告で、「(双方に)苦渋の選択を迫るものであろう」と述べた。

 ここは双方とも勧告を前向きに受け止めて、結論を出してもらいたい。

 02年に東京地裁で言い渡された一審判決では、自動車の排ガスと健康被害の因果関係が認められた。しかし、賠償を命じられたのは、国などの道路管理者だけだった。大気汚染の元凶とされたディーゼル車のメーカーは「車の使用者が排ガスを出す主体であり、メーカーはその移動を制御できない」として責任を認められなかった。

 控訴審が結審した昨年9月、東京高裁は双方に和解協議をうながした。

 原告が示した3条件のうち、医療費助成制度は東京都が音頭を取り、国や首都高速道路、メーカーも協力を約束した。環境対策は国や東京都などが実行することになった。残された課題が解決金の支払いだった。

 和解勧告について、患者側は「具体的に検討に入りたい」とだけ語った。要望してきた25億~30億円とは開きがある。すんなりと受け入れるわけにはいかないのだろう。患者の中で意見の違いが出てくるかもしれない。

 メーカーも明確な態度は示さなかった。メーカーにすれば、そもそも一審では勝っている。ほかの地域でも同じような負担を求められたら、巨額になりかねないという心配もある。

 一方で、この額なら支払ってもいい、という考えもメーカーから漏れてくる。環境対策はメーカーにとって避けて通れない課題であり、勧告を拒めば、企業イメージが悪くなるからだろう。

 この訴訟は最初の提訴からすでに11年がたった。提訴は6次にわたり、原告は約630人になった。そのうち、すでに100人以上が亡くなっている。

 患者もメーカーも高裁の和解勧告を生かす道を考えて、一日も早い解決を図ってもらいたい。

【朝日・天声人語】2007年06月25日(月曜日)付

 欧州に住んでいた女性の話である。6年前の夏、日本の母親が信号無視の車にはねられ、急死した。一番早い飛行機と新幹線で帰郷し、スーツケースを引きずって斎場に駆け込むと、火葬が始まっていた。後日、実家の洗面所で母を見つけ、そっとティッシュにくるむ。ブラシの毛髪だ。

 横浜市で開かれた葬祭見本市で、「手元供養」の商品群を見た。たとえば、遺骨や遺髪から合成するダイヤモンドは、炭素の結合力を故人とのきずなに見立てる。遺骨と石の原料を溶かして飾りにする業者は、工程を遺族に見せるという。

 「愛する人たちとの死別に比べれば、他のことはいずれも、人生で取るに足らない」。物理学者の米沢富美子さんは『二人で紡いだ物語』(朝日文庫)で、夫との別れをこう書いた。

 風になると思えば、いくらかは安らぐ。でも、「人の世の悲しみをよそに、自然は容赦なく営みを継続し、春がゆき、夏が来ようとしている」(同書)という心境になれば、愛する人の「かたち」を欲することもあろう。

 日本の死者は03年に年100万人を超え、葬祭関連の市場も膨らんでいる。一方で、介護や医療の負担もあって、葬儀1件あたりの出費は減る傾向という。都会では、お墓や仏壇が縁遠くなりつつある。

 死者をしのぶ行為は本来、すぐれて個人の心の問題だ。しきたりや世間体を離れ、簡素でも自分に正直に、気が済むようにすればいいとも思う。私事にわたるが、冒頭の話は今回、手元供養をめぐるやりとりの中で、妻から初めて聞かされた。


【毎日・社説】

社説:パレスチナ 独立への夢をしぼませるな

 いったい何のための戦いなのか。一般市民には同情を禁じえない。67年6月の第3次中東戦争で、ヨルダン川西岸やガザ地区などがイスラエルに占領されてから40年。占領下で苦しい生活に耐えてきたパレスチナ人たちは、ここへきて指導部が分裂するとは思いもしなかっただろう。

 分裂後、ガザはイスラム原理主義のハマスが、西岸地区はアッバス自治政府議長の支持母体ファタハが支配するようになった。ハマス出身の首相だったハニヤ氏とアッバス議長が対立し、二重権力状態の中でハマスとファタハが抗争を繰り広げた末の分裂である。

 連立政権は崩壊し非常事態内閣が組織された。ハマスとファタハのどちらが勝ったというより、双方とも敗北しつつあるのではないか。ガザは東京23区の約6割の面積で、西岸は千葉県より少し広い。その二つの地域に独立国家を樹立するのがパレスチナ人の目標なのに、ただでさえ前途遼遠(りょうえん)な目標がさらに遠のいてしまった。

 これを独立への「生みの苦しみ」と考える人もいる。なるほど、抗争を通じてハマスとファタハが自分たちは運命共同体だと悟れば、「雨降って地固まる」の効果も望めるからだ。だが、両者の抗争が長期化すれば、パレスチナを占領するイスラエルへの批判は国際的に衰え、パレスチナ独立を支持する動きも冷え込むだろう。

 前者のシナリオをたどるよう祈りたい。民衆の長年の苦労を水泡に帰してはなるまい。西岸とガザへの独立国家樹立は、一般に「ミニ・パレスチナ構想」と呼ばれる。ただでさえ小さい二つの地域を自ら分断して、どんな国をつくろうというのか。

 歴史を振り返ると、第二次大戦前からパレスチナではイスラム教の聖職者が独立運動を率い、60年代になると宗教色の薄いパレスチナ解放機構(PLO)に主導権が移った。ファタハはPLOの主流派であり、故アラファト議長が育てた組織だ。

 80年代後半になるとPLOの闘争は行き詰まり、イスラムの立場からパレスチナ解放を求めるハマスが台頭する。ハマスは06年の評議会選挙でファタハを抑えて圧勝した。パレスチナ人がイスラム主義と世俗主義の間で揺れ動いているように見えるのは、長い閉塞(へいそく)状況の中で、懸命に変化を求めてきたからだろう。それを思えば、ハマスとファタハは歩み寄るしかないはずだ。

 パレスチナ指導部の分裂に対し、米国と欧州、アラブ主要国はアッバス議長への支持を表明した。米欧は、凍結していた直接支援の再開も約束した。イスラエルがガザに侵攻する可能性もある。

 だが、民主的な選挙で勝ったハマスを強硬手段で排除すれば、中東全体に悪影響が及ぶ。ハマスを忌避する米ブッシュ政権の仲介は非現実的としても、ハマスと一定のパイプを持つロシアや、新時代の中東外交を模索する日本が仲介に関与してもいい。中東情勢をさらに悪化させないために、国際的な連携が必要だ。

毎日新聞 2007年6月25日 東京朝刊

社説:カエルツボカビ症 生態系の危機に目を凝らせ

 これまで知られていなかった感染症が猛威を振るう。「新興感染症」に脅かされているのは人間だけではない。

 両生類の世界では「カエルツボカビ症」が脅威となっている。98年にオーストラリアとパナマで発見され、その後も世界各地で確認されている。

 昨年末には日本でも外国産のペット用カエルの発病が確認された。6月には野生のカエルの感染が明らかになった。麻布大などの調査によると、餌用や実験用のカエルでも感染が確認されている。

 これは単にカエルの危機にとどまらない。生態系への影響を考え、迅速に手を打つ必要がある。

 このカビはカエル、イモリ、サンショウウオなど200種類以上の両生類に感染する。感染しても発病しない種もあるが、致死率が90%以上に上る種もある。感染力は非常に強く、水などを介して次々と広がっていく。

 両生類は世界に約5700種いる。そのうち3割が絶滅の危機にひんし、120種が80年代以降に絶滅したと推測される。ツボカビはこうした両生類の激減・絶滅の重要な要因と考えられる。日本にもオオサンショウウオのような固有種を含め65種が生息しており、影響が気にかかる。

 カエルの減少は食物連鎖を通じ生態系にも大きな影響を与える。カエルを餌にしているサギやヘビ、イリオモテヤマネコやカンムリワシなどを減少させ、場合によっては絶滅を招くかもしれない。

 逆にカエルが餌としている昆虫は増加する。その結果、農作物の被害が増えたり、昆虫が媒介する感染症が増える恐れがある。

 環境省は自治体などと協力し野外のカエルの調査を計画している。早急に実態を把握し、対策をたてなくてはならない。

 カエルツボカビが国内で確認されて以来、研究者らが中心となって広報活動や相談窓口のネットワーク作り、検査体制の確立などを自主的に行ってきた。今後は、国や自治体が予算や人の手当てを積極的にしていく必要がある。

 両生類の感染症については法的整備がなされていないため、水際での食い止めや、ペット業者への指導、追跡調査などが実施しにくいという問題もある。国や自治体は検疫の強化、販売・流通の監視にも力を入れてほしい。生態系の保護に焦点をあわせた法整備を検討する必要もあるだろう。

 ペット業者やカエルを実験に使う研究者の自主的対応も欠かせない。両生類を飼っている人が十分な知識を持つ必要もある。カエルなどが病気になったり死んだりしても、野外に出したり埋めたりしてはいけない。飼育していた水も消毒する必要がある。

 カエルツボカビは人には感染しないし、カエルの治療法もある。おかしいと思ったら獣医師に相談してほしい。ツボカビに詳しい「コア獣医師」や、知識のある動物園、水族館なども相談を受け付けている。カエルを守ることが、私たちを守ることにつながることを忘れないようにしたい。

毎日新聞 2007年6月25日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:英国植民地だった香港が中国に…

 英国植民地だった香港が中国に返還された97年7月1日は、バケツをひっくり返したような大雨だった。その中を進駐してきた中国軍に、香港の人々は主権交代を実感した。返還後初の立法会選挙が行われた98年5月24日も土砂降りの雨だった。香港返還は雨と縁が深い▲98年の選挙を取材したが、ズボンのすそをまくり上げ、靴に水をためながら投票所に向かう市民の姿に、胸が熱くなった。政治には無関心といわれた香港人が、自分たちの権利を守ろうとする熱気が伝わってきたからだ。投票率もそれまでの30%台から53%に大幅アップした▲中国は香港に高度な自治を保障する「1国2制度」を50年間実施すると約束した。来月1日で、返還から10年の節目を迎える。約束の期間の5分の1が過ぎたばかりというのに、香港はすっかり様変わりしてしまった▲ビジネスセンターの地位を上海に取って代わられ、今年1月には、人民元と香港ドルの通貨価値が逆転するなど、地盤沈下が進む。中国との貿易拡大や大陸からの観光客増加に活路を求める香港経済は、今や中国頼みの状態だ▲それでも、立法会や行政長官の普通選挙を求める声は根強い。3月の行政長官選挙では、民主派が初めて対抗馬を擁立した。親中派に有利な間接選挙では民主派候補に勝ち目はなかったが、その訴えは市民の共感を呼んだ。民主化を求める熱気は、まだ消えていないと信じたい▲最高実力者として香港返還を指揮したトウ小平氏は、半世紀たてば、中国は香港に追い付くと考えていたという。ならば経済だけでなく政治でも、香港で改革を先行させ、中国はそれを目指して進めばいい。中国がそんな度量を持って前向きに活用してこそ、壮大な実験は意義あるものになる。

毎日新聞 2007年6月25日 東京朝刊


【読売・社説】

光化学スモッグ 中国発の「越境汚染」が問題だ(6月25日付・読売社説)

 1970年代に社会的な問題となった「光化学スモッグ」が再び多発している。しかも以前とは異なり、大都市部だけでなく地方でも被害が出始めた。

 原因として、中国から飛来した大気汚染物質による「越境汚染」が指摘されている。政府は、早急に対策に取り組まねばならない。

 光化学スモッグは、自動車や工場、事業所などから出る窒素酸化物や炭化水素といった大気汚染物質に起因する。これに太陽の光が当たると、光化学反応が起きて、主にオゾンなどからなる「光化学オキシダント」を生じる。

 大量発生すると白く靄(もや)がかかった状態になるため、スモッグと呼ばれる。

 体育の授業などで長時間、屋外にいることの多い児童、生徒を中心に頭痛がしたり、失神したりと健康被害が出る。症状が軽い場合でも、目がチカチカしたりセキが出たりする。

 都道府県は、光化学オキシダント濃度に応じて注意報を出している。70年代には、都道府県の発令日数の合計が年間延べ300日を超えることもあった。80年代になると、自動車、工場などの排ガス規制が功を奏して、これが延べ100日を下回り始めた。

 ところが、2000年以降は、発令日数が、毎年延べ100日を超え、200日を突破した年もある。

 特に今年は、先月末で発令日数が延べ44日に達している。過去5年と比べて10倍超のハイペースだ。5月9日には、光化学スモッグと無縁だった新潟県を含め22都府県で注意報が発令された。

 気象庁も、きめ細かい光化学スモッグ予測をスタートさせた。まず首都圏で実施し、全国への展開を目指している。

 国立環境研究所などは、中国の工場や自動車から排出された窒素酸化物が光化学オキシダントに変わり、これが西風に乗って日本に飛来している、という分析結果を発表している。

 光化学スモッグが多発している福岡県など九州地方の自治体も対策に動き始めた。外務、環境両省に、アジア地域での大気汚染物質の監視や、中国に対する大気汚染対策の申し入れなどを要請している。両省は対応を急ぐべきだ。

 無論、国内でも、自動車排ガス、塗料などに含まれる炭化水素による大気汚染は解消された訳ではない。こちらの対策も着実に進める必要がある。

 同時に、光化学スモッグが広域に及ぶことを前提に、全国で備えを充実させなくてはならない。速やかな注意報の発令や屋内避難の呼びかけなどを通じて被害を最小限に抑えることも大切だ。
(2007年6月25日1時33分  読売新聞)

ドクターヘリ 整えたい空の救命救急体制(6月25日付・読売社説)

 医師を乗せて救急現場に急行するドクターヘリは、一刻を争う患者の救命に役立つ。

 その全国的な配備を目指す特別措置法が成立した。来年4月施行される。法制定を機に空からの救命救急体制を確立したい。

 心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞は発症後の素早い治療が生死を分ける。道路が寸断された事故現場やへき地、離島では、ヘリコプターの搬送が唯一の救出手段になる。

 大災害ではとくに緊急性が高い。だが、阪神大震災の時は、発生当日に医師の乗っていない消防用ヘリが患者1人を運んだだけだった。

 この反省から、国は、ドクターヘリを試験的に導入し、2001年度から補助制度を設けた。都道府県が救急センターや大学病院などヘリが常時待機する病院を指定し、ヘリ運航会社とリース契約を結ぶ。年間1億7000万円を上限に維持管理費を国と折半する仕組みだ。

 だが、自治体の財政難から配備は遅々として進まず、北海道、千葉、静岡、岡山など10道県の11機にとどまる。

 特措法では、都道府県が病院の配置などを定める医療計画にドクターヘリの整備目標年次や配置先を盛り込むよう求めた。来年度は、医療計画の5年ごとの改定時期に当たる。各都道府県はヘリ配備に積極的に取り組んではどうか。

 財政負担軽減のため、補助制度に加えて、保険業界などから寄付を募って助成金を出す仕組みの創設もうたった。

 70~80年代にドクターヘリの配備が進んだ欧米各国では、救急患者の治療開始までにかかる時間が従来の3分の1に短縮された。ドイツでは、半径50キロごとの拠点病院にヘリを配備し、交通事故の死者を3分の1に減らした。

 日本でも、救急車に比べて、死者数が4分の1減り、社会復帰も5割近く増えた、という厚生労働省の研究がある。

 特措法では、ヘリの迅速な出動や安全運航のため、都道府県に対し、関係機関との連絡体制構築を求めている。傷病の状況による出動基準、救急車などと緊密に連携した指令システムが必要だ。

 ヘリが未配備の地域では、近接県からの出動や防災ヘリの活用も考えたい。

 着陸場所の確保や騒音対策も課題だ。現在、ドクターヘリの出動は、全国で年4000回に上るが、住民の苦情で回数制限を受けるケースもある。命を救う飛行に理解を求めることも大事だ。

 今は日中の運航だが、照明設備のあるヘリポートを整備すれば、夜間も可能になる。市町村や道路管理者の協力で、校庭や公園への着陸、高速道路上の事故対応もスムーズに行えるようにしたい。
(2007年6月25日1時34分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月25日付 編集手帳

 体重1トン近い大型馬が、最大1トンもの鉄製そりを引いて突進する。北海道帯広市で、ばんえい競馬を間近に見た。馬のいななきや、騎手が振るうムチの音が伝わってきて、大変な迫力だった◆長さ200メートルの直線コースに二つの坂がある。二つ目の高い坂をどう乗り切るかがレースのヤマ場だ。農耕用で力の強いばん馬でも、重いそりを引いて登り切るのは容易ではない◆アワを吹きあえぎにあえぐ。つまずいてひざをつき、おいてけぼりにされる馬もいる。企業やサラリーマンの厳しい生存競争を思いだし、身につまされる人も多いことだろう◆ばんえい競馬自体も試練の中にある。昨年度までは旭川、北見、岩見沢でも開催されていたが、長年の赤字に耐えかね、全面廃止も検討された。民間企業が支援に乗りだし、今年度から帯広に一本化することで、ようやく存続が決まった経緯がある◆競馬場では喫煙を制限し、トイレを改装するなどして、女性や子供も訪れやすいように模様替えした。今月半ばから初のナイター営業をスタートさせ、イルミネーションを飾って雰囲気を盛り上げた◆おかげで、入場者数や売り上げは、今のところ予想を上回っている。本州などからの観光客も訪れるようになった。民間手法の導入が活を入れたが、本当の勝負は“しばれる”冬になるという。
(2007年6月25日1時33分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】総連仮装売買 副議長関与の徹底解明を

 朝鮮総連中央本部の土地・建物をめぐる仮装売買事件で、東京地検は総連ナンバー2の許宗萬(ホジョンマン)責任副議長を事情聴取した。総連の中枢にどこまで捜査のメスが及ぶか注目される。

 これまでの関係者の証言などによると、売買契約が成立する1カ月前の4月中旬、許氏側から取引仲介役の不動産会社元社長に4億8400万円の資金が提供されたことが判明している。資金の名目は、総連の家賃や購入を了承した元公安調査庁長官の緒方重威弁護士への謝礼、不動産会社元社長への手数料だったとされる。

 総連が整理回収機構(RCC)から627億円の返済を求められた訴訟で敗訴することを想定し、許氏らが中心になって中央本部の差し押さえを回避しようとしていた疑いが強い。

 許氏は財政担当副議長などを経て、平成5年から責任副議長を務めている。平成13年に韓徳銖(ハンドクス)前議長が死去して以降、「実質的な最高実力者」(公安関係者)といわれる。総連元幹部の告白などによると、許氏は総連直営のパチンコ店経営やバブル時代の地上げ、北朝鮮への献金などに深く関与していたとされる。検察当局による徹底解明が待たれる。

 総連中央本部の仮装売買には、不動産会社元社長のほか、信託銀行元行員や投資顧問業者らの関与も明らかになっている。緒方元長官は、朝鮮総連が敗訴した後の会見で、「今になってみると、すべてよく分からん人物。だまされたとは思いたくないが、乗せられたのかと思う」と話した。

 緒方氏は最高検公安部長、広島高検検事長などを務めた法律のプロで、この言葉をそのまま信じることはできない。不動産会社元社長は旧住宅金融専門会社(住専)の債権回収を妨害した強制執行妨害容疑で摘発され、緒方氏はその裁判で元社長の弁護も務めた。検察当局には、「身内に甘い」といわれないための厳正な捜査を重ねて求めたい。

 自民、公明両党も近く、緒方氏から事情聴取し、実態解明に向けた調査を行う。元公安調査庁長官も関与した朝鮮総連の仮装売買は、国の治安にもかかわる重大事件である。緒方、許両氏らの参考人招致も含め、国会でも真相解明が必要である。

(2007/06/25 05:03)

【主張】ミンチ偽装 消費者無視の会社犯罪だ

 北海道苫小牧市の食肉加工販売会社「ミートホープ」による食肉偽装問題は、刑事事件に発展した。同社は、牛肉のミンチに豚肉や鶏肉を混入させて販売するなど、数々の不正行為の疑いが指摘されている。

 北海道警は、これは不正競争防止法違反(虚偽表示)に当たると判断し、ミート社の本社など関係個所を捜索、強制捜査に乗り出した。

 会社の利潤だけを目的に、消費者をだました手口は悪質極まりなく、詐欺行為に等しい。警察の捜査着手は当然で、食の信用・信頼を失墜させた今回の事件の徹底解明を求める。

 ミート社は、食品会社「北海道加ト吉」などに「牛100%」と表示しながら、豚肉や鶏肉を混入させた偽装の牛ミンチ肉を販売していた。この牛ミンチを原材料にした「牛肉コロッケ」は、人気ブランドで、全国の消費者の口に入っていた。

 警察のこれまでの捜査で、ミート社の幹部社員らは、「牛肉に豚肉や鶏肉を混ぜてもわからない」などと、社長自らの指示で、ミンチの偽装工作が行われていたと証言している。

 牛ミンチの偽装問題が発覚した当初、社長は「間違って豚肉などを混ぜてしまった」などと偽装工作を強く否定する記者会見を行っていた。

 ミート社は社長のワンマン企業とされ、社長主導による牛ミンチの偽装などが長年実行されていたようだ。会社ぐるみの犯罪といえよう。

 疑惑はこれだけでなく、賞味期限が切れた冷凍コロッケを格安で仕入れ、期限を変えて転売したり、大手鶏肉販売会社の袋をコピーし、別の会社から仕入れた鶏肉を詰めて売るなど、次々と信じられないような不正が発覚している。

 食品を製造、販売する会社は、消費者に品質の良い、安全な「食」を提供することが絶対条件である。しかし、最近は賞味期限切れの製品を偽装して販売するなど、食品会社の企業モラルが問われる事件が後を絶たない。

 今回のミート社の事件は、これまでの事案のなかでも悪質性が際立っている。北海道警は詐欺罪の適用も視野に入れ、厳しく追及してもらいたい。このような会社には、食品を製造、販売する資格などない。

(2007/06/25 05:02)

【産経抄】

 1869(明治2)年のきょう、政府は士農工商の身分制度を廃止した。といっても形ばかり。人々の差別意識は、なかなかなくならなかった。「等しく八文の銭を払って、丸裸で同じ湯につかっている。それなのにどうして士族は旦那(だんな)と呼ばれて威張り、平民は貴様などと軽蔑(けいべつ)されても恐縮しているのか」。

 ▼ 「私権論」のなかで、銭湯を例にとって嘆いた福沢諭吉は、自分でも三田の慶応義塾の真向かいで、銭湯を経営していた。実はこれ、東京都の浴場組合が発行しているPR誌「1010」6月号の記事の受け売り。先日、あまりの蒸し暑さに耐えかねて、飛び込んだ銭湯で目に留まった。

 ▼平成7年から、同誌で「風呂屋のオヤジのフロント日記」の連載を続けているのが、墨田区にある銭湯「さくら湯」の2代目、星野剛さん(72)だ。15歳で親類の経営する銭湯に修業に出てからの半生をつづった『湯屋番五十年銭湯その世界』(草隆社)などの著書もある。

 ▼昨年3月からは、ブログも始めた。経営はすでに3代目の長男に任せているが、今も番台ならぬフロントに立つ毎日だ。修業時代は、1日に1000人近くあった客が、今は百数十人。昭和43年に2687軒もあった都内の銭湯も、900軒あまりに減った。

 ▼客も変わった。「暑いですねえ」と声をかけても、何の返事もしない無愛想な若者が増えた。それでも、おなじみのお年寄りや子供たち、風呂好きの外国人とのやりとりは楽しい。ブログのネタに困ることはないという。

 ▼暗い話は銭湯には向かないから、渋谷で起こった温泉施設の事故も、客との話題にならない。「あそこは単なる遊びの場所。地域に根ざしたわれわれの商売とは違います」と星野さんはいう。

(2007/06/25 05:00)


【日経・社説】

社説 好業績に慢心せず新たな成長戦略を(6/25)

 企業経営者が年に一度、株主と正面から向かい合う株主総会が今週ピークを迎える。2007年3月期は上場企業の連結経常利益が5期連続で増え、 1976―80年度の増益記録に肩を並べた。日経平均株価が約7年ぶりの高値を回復したのも、一層の業績拡大への期待だろう。経営者は足元の好業績に慢心することなく、より長期的な成長に向けた道筋を示してほしい。

緊張走る株主総会

 今年の総会では経営陣に対抗する株主提案が過去最多となる。株主がモノ言わぬ時代の象徴だった「シャンシャン総会」は過去の話になった。株主と経営者が緊張感をもって向き合う時代がやってきた。

 例えば機関投資家の企業年金連合会は、自己資本利益率(ROE)が3年連続で8%以下にとどまる企業には、取締役の再任に原則反対する方針を打ち出した。ブルドックソースとの攻防が注目される米国の投資ファンド、スティール・パートナーズも、ブラザー工業や因幡電機産業に大幅な増配要求を突きつけた。

 企業は収益の回復でバブル崩壊の傷から立ち直った。健康体に戻れば経営者が追うべき目標も変わる。もうけを「ためる」から「戦略的に使う」姿勢への転換だ。だが、企業の手元流動性、つまり手元に保持している資金の総額は増え続け、国内総生産(GDP)の1割に相当する50兆円まで積み上がった。安全経営を優先するあまり、利益を成長のために使うことにためらいが残る。

 こうした姿勢が株主のいらだちを呼んでいる。米メリルリンチが世界の投資家に「企業はもうけを何に使うべきか」と聞いたところ、借入金の返済などを求める声が8%だったのに対し、新たな成長につながる「設備投資」を重視する回答が40%に上った。「成長の道筋を示せ。それができないなら、配当などの形でため込んだカネを還元してほしい」というのが、日本企業を取り巻く株主からの要求である。

 経営者にとっても、攻撃的な株主におびえ、買収防衛策を整えることが本来の仕事ではない。説得力ある成長のシナリオを提示し、それを着実に実行することこそ重要だ。

 日本企業にはまだまだ成長の余地がある。その大きなカギを握るのがグローバル化だ。円安の追い風もあって、「日本企業は国際競争力を回復した」といわれる。そこに死角はないだろうか。確かに、日本の輸出額は過去10年で50兆円から75兆円へと高い伸びを示した。

 だが、国際競争力の強い産業セクターはトヨタ自動車やキヤノンなど組み立て系製造業に偏っている。21世紀型産業といわれる金融業やIT(情報技術)の分野では、世界との水があいているのが実態だ。

 不良債権を克服したメガバンクの収益は高水準だが、世界展開は欧米勢に著しく出遅れた。医薬品やソフトウエアなど知識集約型の産業でも、日本勢は劣後する。従来こうしたセクターは、規制や日本的な商慣行に守られ、「内向き」のままでもやってこられた。今や少子化で国内市場が縮む中で、グローバル化は待ったなしの課題に浮上している。

 世界に目を転じれば、内需産業の代名詞だった小売業でも、英テスコのように買収をテコに世界展開する企業もある。製造業に限らず、サービス業や金融、ITでも世界の舞台で活躍できるプレーヤーを生み出すことは、日本経済の大きな課題だ。志ある経営者の登場を期待したい。

 もう一つのカギは新しい技術や商品、サービスを生み出す新機軸の促進だ。「日本企業は飛躍的な新機軸を見いだすのが苦手」という指摘もあるが、そんなことはない。

グーグルしのぐ任天堂

 例えば新型ゲーム機の「Wii(ウィー)」がヒットした任天堂は社員1人あたりの純利益が5000万円を突破し、米マイクロソフトやグーグルを上回った。株式時価総額でも松下電器産業を追い越した。「ゲームは一部マニアのもの」という通念を捨て、高齢者から子供まで幅広い層に受け入れられる商品設計がブームにつながった。

 ほかにも世界的な広がりを持つイノベーションの種子は数多くある。電子マネーの普及は、IC乗車券との併用が進む日本が世界の先頭ランナー。「21世紀の鉄」とも呼ばれる軽くて強い炭素繊維は、東レなど日本勢の独壇場だ。地球温暖化を防ぐための環境技術でも、日本は1日の長がある。こうした種を現実のビジネスに着実に結びつければ、成長の可能性が広がるだろう。

 今の企業業績の好調は順風満帆の世界経済に負う部分が大きい。経済に循環はつきもので、いずれ下降局面が来る。足元の明るいうちに競争力に磨きをかけ、グローバル化や次のイノベーションに布石を打つ。それが持続的成長のために不可欠であり、株主の声に応える道である。

【日経・春秋】(6/25)

 昭和30年代までの小説や映画には「BG」という言葉がよく登場する。ビジネス・ガールの略だ。当時は働く女性をこう呼び習わした。それが「OL」に改まるきっかけは、週刊誌「女性自身」による新しい呼称案の読者投票だった。

▼「サラリー・ガール」「ビジネス・レディ」など様々な呼び名が寄せられたが、1位は「オフィス・レディ」。1963年というから40年以上昔だ。往時は輝きを放っていたに違いないこの言葉も、今やすっかり手あかが付いている。補助的な役割という響きがあって、当の女性たちにもあまり評判はよくない。

▼今春には改正男女雇用機会均等法も施行され、「OL」への違和感はますます強いはずだ。しかし職場の実態はどうだろう。2007年版の男女共同参画白書によると、日本では管理職に占める女性の比率がようやく1割ほど。欧米には遠く及ばず、アジアの中でも低い。20年前と比べてもさほど伸びていない。

▼「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」。こんな考え方に賛成する人が日本は欧米よりもはるかに多いと、今回の白書は指摘している。意識改革を図るのは簡単なことではなさそうだ。かつての「BG」呼び替え案には、なんと「オフィス・フラワー」というのがあった。隔世の感、とは言い切れない気がする。


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