« AbEnd諸君、さらに大挙して政治ブログランキングに進出しよう。129位からスタートし、一晩で46ブログをゴボウ抜きで追越したゾ。(笑) | トップページ | 参院選まであと2ヶ月と言う6月になった頃からアニメGIFバナーが動かないひどい状態が続いていますが、皆さんはどうですか。 »

2007年6月26日 (火)

6月26日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

お勧めPDA・電子辞書

 (2007-07-01 01:01確認)雑談日記、予測よりやや速いペースでついに激戦政治ランキング花の1頁(1位~50位)突入。かつてネットウヨ充満がリベラル系圧倒の勢い、確認したければ、バナークリック。(ランキング参加の意義)
人気blogランキングバナー

天木直人さんを応援しています、SOBA個人用バナーです。草原の壁紙を使っていて同じく天木さん支持している人は使ってもいいですよ。(笑)
完全プライベートバナー「僕は青空と平和が好きだから天木さんを応援します」


【沖縄タイムス・社説】(2007年6月26日朝刊)

[米艦船・与那国寄港]やはり理不尽で許せない

 「友好親善」という美辞の裏には「軍事調査」という牙が隠されていた、というべきだろう。米海軍佐世保基地(長崎県)所属の掃海艦ガーディアンとパトリオットの初の与那国寄港のことである。

 日本最西端の国境の島への寄港目的を米軍は「乗組員の休養と友好親善」と触れ込んだ。

 だが、実際は民間港湾の状況、燃料の調達方法、給水、医療や通信施設、クラブ、レストラン、ホテルの状況、はては「寄港反対運動」などの住民調査も盛り込まれていた。

 石垣市、竹富町を含め八重山の各離島は、中台紛争の台湾海峡有事の際、在留邦人や米国人の非戦闘員、台湾の避難民などの緊急避難先として利用される可能性が極めて高い。

 今回の米艦船の与那国寄港には、台湾海峡を間近に見据える与那国島を「布石」に、米軍が石垣港を軍事利用したいという意図が見え隠れしている。

 与那国の祖納港の現状は、掃海艦よりさらに大きい艦船は入港できない。しかし、石垣港なら台湾海峡にほど近く、検疫や出入国管理施設も備わり、大型艦船が入港できるからだ。

 二隻の掃海艦は、外間守吉与那国町長の「反対」や港湾管理者である県の「自粛要請」を押し切り、祖納港にあえて「接岸」し、艦内を一般公開した。その狙いが、町民の「軍事アレルギー」を解消、緩和させることにあるのは言うまでもない。

 米軍のやることを許せば、慣らされてしまいかねない、のは多くの県民が肌で感じているはずだ。日本政府も寄港の見返りにいずれ地域振興策を持ち出し、住民を懐柔するのは目に見えている。これから先がもっと危うい。

 外間町長は寄港に反対したが、崎原孫吉町議会議長は艦内での夕食会で歓迎の意を示すなど、人口千七百人の島の指導者の対応が分かれているのも悲しく、複雑な現実といえる。

 同町は、地理的に石垣島より近い台湾との交流拡大を目指し、チャーター船など外国船を受け入れる「開港」を日本政府に求め続けてきた。

 しかし、検疫や出入国管理の施設がなく、貨物量の実績も少ないため、開港されないのが現状だ。

 片や、米艦船は開港、不開港を問わず、国内の民間港湾に無料で入港する権利を日米地位協定第五条(港または飛行場への出入国)が保障している。

 民間港湾に限らず、民間空港も必要なときには無料で「自由使用」できるようになっており、米軍だけは常に特別扱いである。

 やはり、理不尽であり許せない。

[スポーツ特待制度]肝要なのは学業との両立

 プロ野球西武の裏金問題に端を発した日本学生野球憲章に違反するスポーツ特待制度問題は、日本高野連が二十六日に開く特待生問題私学検討部会で本格的な議論が始まる。

 県内二校を含む三百七十六校がスポーツ特待制度を実施していたことが日本高野連の全国実態調査で分かり、あらためて「スポーツと金」の問題の根の深さに驚かされた。が、スポーツ特待制度イコール悪、でないことは言うまでもない。

 頂点にプロの組織を擁する野球、サッカーなどに限らず、スポーツを志す小・中学生にとって、選手育成に定評のある指導者がいる高校に行けるかどうかは、今後の選手生活を左右する重要なターニングポイントだ。

 高校が同一都道府県内にあるならまだいい。それが保護者の元を遠く離れて行かざるを得ない場合、保護者の経済的負担は相当なもの。特待制度が活用できれば、保護者も助かり当人も将来に希望が持てる。

 スポーツにたぐいまれな素質をもった者が、保護者の経済力のなさで日の目を見ないのは大きな損失だ。学業に秀でた者と同様に、体育に優れた人材にもさまざまな恩典があっていい。

 もちろん当該スポーツばかりできても駄目だ。学生の本分である学業も、優秀といかないまでも平均以上の力がないと真の学生アスリートとはいえない。特待制度で学べる環境を得るには学生としての本分もしっかり持った上でないと認めるべきでない。

 自民党の取りまとめた提言、「部活動の趣旨を損なわずに公平、公正で透明性のある特待制度は認められるべきだ」は議論に値する。

 検討部会には来年度の新入生募集要項作成のための早急な基準作りが迫られているが、間に合わせのための付け焼き刃的であいまいな基準では、ファンや父母、関係者の賛同が得られないのは明らかだ。

 ここは、有識者による第三者機関を発足させて抜本的な基準作りに着手するのが肝要だろう。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月26日 朝刊 1面)

 新聞は多くの人たちの支えを得て成り立っている。なかでも新聞の質を左右する情報を得るのは大変重要である。

 地域に密着した通信員も欠かせない存在だ。本紙には、本島や離島、海外を含め総勢六十人近い通信員がおり、本社や支社・支局の記者が対応できない地域のニュースを日々取材してもらい、紙面に反映させている。

 特筆されるのは、世界中の国々や地域に住むウチナーンチュ・県系約三十六万人を取材する海外通信員だ。世界でも例を見ない貴重なネットワークで、二十人以上の通信員が郵便やインターネットの電子メールを使い、現地から最新情報を届けてくれる。

 最長老は二十四日に亡くなったブラジルの宮城松成さんだった。一九七四年、本紙の海外通信員第一号となり、県系社会の動きを余すことなく伝えてきた。市井の人を取り上げて記事にする人で、掘り起こした秘話は枚挙にいとまがない。

 宮城さんは本部町瀬底島生まれ。三七年に移住し、コーヒー園の小作から行商を経て会社等を経営。その一方で、県人会役員やブラジル沖縄文化資料館長を務めるなど県系社会の結束と発展に尽力してきた。

 九十歳を超えても毎週二本の記事を郵送するほどまめで、訃報直前にも記事が届いた。海邦国体参観でブラジル生まれの二男と来沖し、古里・瀬底島で先祖の話をしていたのが印象的だ。沖縄や本紙はそんな愛郷心の強い人たちに支えられている。(福島輝一)


【琉球新報・社説】

参院選挙 政治への関心が生活守る

 開会中の国会は終盤戦。参院選挙を目前に控え、与野党の攻防が激しさを増してきた。
 年金記録不備問題などで与党は守勢に立たされている。安倍晋三首相の内閣支持率は低下が続く。安倍政権が国民の信頼を回復できる政策を打ち出せるか、どうかが、選挙戦を左右する。
 地域の選挙戦も徐々に熱くなりつつある。安倍首相の支持率急落が地域までどう影響するのかが焦点の一つだ。
 7月12日公示、同29日投開票予定の参院選沖縄選挙区(改選1議席)に向けて、立候補を予定している現職の西銘順志郎氏(自民公認、公明推薦)、前職の糸数慶子氏(無所属、社民、社大、共産、民主推薦)が24日、琉球新報社など主催の「公開討論会」で、論戦を交わした。
 今選挙戦に向けての初の公開討論会となった。両氏は同日、基本政策も発表した。論戦はいよいよ本格化してきた。有権者は自分たちの生活にも直結する政治に関心を持って、論戦に耳を傾けたい。
 公開討論会で西銘氏は普天間代替基地について、「最も重要なことは普天間の危険性の除去。何としても早急にやらなければならない。県内移設も一つの選択肢。知事と連携し、3年をめどとした閉鎖状態に持っていくことに全力で頑張る」。糸数氏は「沖合に寄せろといっても、沖縄の海に基地を造ることに変わりはない。県内移設は認めない。辺野古ではなく、グアムに移すことにもっと力を入れるべきだ」と県内移設に反対を表明。両氏の主張は対立する。
 憲法改正の問題では、西銘氏は「憲法制定から60年、マッチしない部分もある。特に環境権の問題、個人情報保護の観点などは国民投票で判断を仰がなくてはならない」などと加憲を訴える。
 糸数氏は「憲法の改悪には反対。現憲法は県民、国民の暮らしに何か不都合があるのか。憲法は間違った方向に向かわないようにする指針。改悪されると戦争のできる国へと向かう」と護憲の立場だ。
 カジノ導入でも意見が対立する。西銘氏が賛成、糸数氏は反対の立場だ。
 基本政策では、西銘氏は「沖縄の自立発展をキーワードに、沖縄の持つ優位性を発揮し、日本の中の沖縄、世界にはばたく美ら島沖縄をつくる」。糸数氏は「争点は平和と暮らしの問題。新たな基地建設を許さず、沖縄のことは沖縄が決めるという自己決定権を確立していく」。西銘氏が「自立」、糸数氏は「平和」を中心に訴える。
 投票日までは後1カ月余。私たち有権者は各候補者、陣営の政策を見極め、貴重な1票の権利を行使したい。

(6/26 9:52)

欧州憲法改定 再び動きだした政治統合

 欧州連合(EU)の首脳会議は、発効の見通しが立たなくなっていた新基本条約「欧州憲法」を改定する方針で合意した。改定する新基本条約は2年後の2009年の発効を目指す。
 EUは約4億9千万人の統合市場を背景に、経済的には影響力を強めてきているが、政治的には05年のフランスとオランダの国民投票で憲法批准が否決された後、停滞していた。ここに来て、政治的統合も再び動きだすことになった。
 今回の首脳会議では、ポーランドと英国が早期合意に反対し、最後まで波乱続きだった。ポーランドは意思決定方式が人口の多い国に有利だとして、強硬に反対していたが、議長国ドイツのメルケル首相の粘り強い説得などで、合意が成立した。
 メルケル首相は「交渉過程で多くの妥協を強いられたが、最悪の危機は脱することができた」と評した。
 新基本条約は、未批准国の抵抗が強かった「憲法」の呼称を外し、内容も簡素化した。半年ごとに交代している欧州理事会(首脳会議)議長を、任期2年半の常任議長にすることは憲法どおり。欧州委員会の副委員長を兼務する「EU外相」の名称は、「外交安保上級代表」のまま据え置かれる。
 「憲法」「外相」の名称を見送ったのは政治統合を嫌う英国などの国民感情に対する妥協ともいわれる。ポーランドが反対していた人口の多い大国が有利な採決方式の実施は、17年まで先延ばしされた。
 全会一致が原則だった内務・司法分野でも、多数決方式を採用するが、これに加わらない自由も認められた。意思一致する国だけがけん引車となる「先行統合」となる。後から統合に加わる2速度方式の道が開かれた。
 新条約を発効させるため、7月に政府間会議を開始、12月に調印し、欧州議会選挙のある09年に発効させる日程も確認した。
 結束を強めるEUの今後の動向は世界の政治・経済に影響を与えるだけに注目される。

(6/26 9:51)

【琉球新報・金口木舌】

なし


【東京新聞・社説】

フェロシルト 『会社ぐるみ』の犯行だ

2007年6月26日

 有害物質を含む石原産業の土壌埋め戻し材「フェロシルト」を大量に野に埋めた産業廃棄物不法投棄事件で、津地裁は直接関与した元副工場長に実刑、同社にも罰金を科した。当然の判決だ。

 判決はこう述べている。「会社(石原産業)の対応は、会社の社会的責任を忘れ、従業員に法令順守を徹底する責務を放棄し、被告人らに犯行の責任を負担させながら、会社の経済的利益を追求したものと言わざるを得ない」。そして「会社の刑事責任は重い」と断じた。

 そもそも廃棄物処理法は、産業廃棄物の処理責任を事業者に課している。不法投棄と判断されれば、よほどのことがない限り、両罰規定による会社の責任は免れない。

 一連のフェロシルト事件は、産廃不法投棄の責任の所在を論ずる上で、全体的な悪質性が極めて高い。

 三重県のリサイクル認定品だったフェロシルトの材料に、別の工程から出る無届けの廃液を混入して産廃としての処理費を浮かせていたことといい、それを“販売”する際に「用途開発費」などの名目で買値をはるかに上回る金額を売り手に渡していた「逆有償」の実態といい、どう見ても「会社ぐるみ」の犯行だが、経営トップにまで刑事責任が及ばなかったことにはやはり疑問が残る。

 石原産業は一九七二年、四日市公害訴訟の被告企業の一員として、津地裁四日市支部に損害賠償の支払いを命じられるなど、公害の責任を法廷で問われるのはこれで三度目だ。

 かつて、産廃は闇を流れるものだった。臭いものにふたをすることも容易だったに違いない。

 だが、今は時代が違う。環境問題に対する消費者の意識は格段に高くなり、汚染企業に対する住民の監視の目は厳しくなった。

 廃棄物の不法投棄は国際的な問題になり、政府もアジアにおける資源循環システムの構築に意欲を見せている。

 環境問題は、情報の開示と共有により社会全体で解決すべき時代になった。こうした流れを無視する企業は、早晩消えていくしかない。

 石原産業は目先の利益追求に執着するあまり、罰金よりはるかに重い代償を支払った。「社会的信用の失墜」という代償だ。

 企業が利益を追求するのは当然だが、ルールや法令順守はその大前提だ。ところが、北海道の食肉偽装事件のように、嘘(うそ)に嘘を重ねた揚げ句、企業の存立そのものを危うくするような不祥事は、後を絶たない。

 判決は、環境問題だけでなく、企業が本来あるべき姿を問うている。

英新首相 独仏と連携が不可欠だ

2007年6月26日

 英国のブラウン新政権が二十七日に発足する。新首相の経済財政手腕は評価されているが、外交力量は未知数だ。欧州連合(EU)が政治統合へ再び動きだす中で、独仏との連携が欠かせない。

 ブラウン財務相は労働党の臨時党大会で、退任するブレア首相に代わって新党首に選出され、エリザベス女王から新首相に任命される。

 党首受諾演説でブラウン氏は「党を率い国を変えることに大きな責任を感じている」と表明し、ブレア氏も「偉大な首相となる資質を有している」と賛辞を贈った。

 何かにつけて、両氏はよく比較される。ブレア氏が派手な行動と演説で国民を引きつけてきたのに対しブラウン氏は地味な性格で、ブレア氏ほどのカリスマ性はないが、首相就任までの十年が物語るように忍耐強い。ブレア政権下で英国の繁栄を維持してきた手堅さには定評がある。

 新政権の第一の仕事は、イラク戦争で分裂した労働党内の融和と国民の信頼回復だ。ブラウン氏は党大会で党内の結束を促し「イラク戦争の教訓に学ぶ」として「変革と挑戦」に対応していく決意を示している。当面は、国民保健制度の改革、教育の拡充など、ブレア政権の残した内政課題に取り組まざるを得まい。

 最近の世論調査によると、ブラウン氏への支持率が野党・保守党のキャメロン党首を大きく引き離し、新政権への期待をにじませている。

 新政権の内政は、教育、イラク問題などを抱える日本にとっても人ごとではない。

 ブレア首相が出席したEU首脳会議は「改革条約」に合意した。EU大統領、外交安保上級代表(実質的なEU外相)の新設、政策決定への投票制など、拡大に伴うEUの制度を整備し、経済統合に続いて「政治統合」を促進する決定だ。

 首脳会議はポーランドなどの異議にもめにもめたが、最終的に加盟国の譲歩と妥協で合意にこぎ着けた。議長国ドイツのメルケル首相は先の主要国首脳会議に次いで指導力を発揮し、サルコジ・フランス大統領が各国首脳を説得するなど、これまでのような「独仏枢軸」が復活した。

 EUは気候変動、中東和平などの諸課題に対してEUとしての外交を強化し、国際社会での影響力増大を図る戦略にある。その前提は英独仏三カ国の緊密な協力関係だ。

 現代の外交には首脳の個性が反映される。ブラウン氏はブレア外交を継承すると言明した。英国が、米国とともに独仏とどう緊密な関係を築くか、新政権の外交を注視したい。

【東京新聞・筆洗】2007年6月26日

 「コンプライアンス」という言葉自体は定着しているのだろうが、概念を短い日本語で表すのは難しい。一般的には「法令順守」と訳されるのだが、弁護士の浜辺陽一郎さんはこの訳に「少し誤ったニュアンスを伝えてしまう危険性を孕(はら)む」と否定的だ。法令だけをとにかく守ればいいなどと理解されては困るからだ▼浜辺さんはコンプライアンスを考えるときは「最終的に完全な物やサービスを提供しようとする誠実な姿勢こそが大事」と説いている(「コンプライアンスの考え方」中公新書)。誠実は正直と言い換えてもいいのだろう。それが企業の信頼につながる▼北海道苫小牧市の食肉加工卸会社「ミートホープ」に捜査のメスが入った。豚肉などを混ぜたひき肉を「牛ミンチ」として出荷していたことが疑惑の発端だが、時間の経過とともに産地やブランド、賞味期限の偽装と背信行為は底なしの様相を呈している▼田中稔社長はひき肉の偽装を始めた七、八年前には違法の認識がなかったと説明している。だから問題はないと言いたいのだろうか。疑惑発覚後は責任転嫁の発言を繰り返しており、「コンプライアンス以前」の経営者に見える▼従業員はいつか露見するとおびえながら、偽装を続けることに悩んでいたとの証言がある。内部告発に踏み切った人もいるが、それでも多くの人がワンマンの社長に逆らうことができなかった。人間は弱いものだと思う▼食品業界だけでなく、企業の不祥事には「ミートホープ」に似た構図が少なくない。誠実と正直の価値に光をあてたい。


【河北新報・社説】

牛ミンチ偽装事件/食品安全行政を立て直せ

 あきれ返るというよりも、気分が悪くなるような食品偽装事件だ。北海道苫小牧市の食肉加工販売会社「ミートホープ」の悪質さは想像を超える。

 肉の種類や産地を偽ったばかりか、牛の血でミンチ(ひき肉)を着色するという疑いまで明らかになっている。一般消費者が及びもつかない手口であり、こんな肉が出回ってはたまったものではない。

 北海道警は不正競争防止法違反の容疑で捜査に乗り出した。偽装の実態はもちろん、経営層の関与や不当に得た利益などの解明を目指すべきだ。

 捜査と並行して食の安全に関する行政の監視機能を見直すことが迫られている。ミート社の不正については、これまで何度も情報提供があったのに放置する結果になった。行政側の無責任体質も追放しなければ再発防止は無理だろう。

 ミート社に対する直接の容疑は、豚や鶏の肉を混ぜながら牛のミンチと偽り、取引相手の「北海道加ト吉」に販売した疑い。同社製の牛肉コロッケを扱っていた日本生活協同組合連合会や加ト吉のDNA鑑定では、豚や鶏の肉が混入されていたことが分かっている。

 中には全量豚肉だったものもあったし、牛肉も豚肉も検出されず、鶏か羊のミンチで作られたと思われる「牛肉コロッケ」もあった。

 ミンチにすれば元が何の肉か簡単には分からないだろうと、高をくくっていたのだろうか。確かにその通りだし、冷凍食品に加工されたらなおさら分かりづらい。

 だからこそ、食品業者は表示した品質を守る責務があるわけだ。取引企業や消費者との最低限の約束事であり、ごまかした責任は重い。豚の心臓を使ったり牛の血や脂まで利用したりする手口は、弁解のしようがないあくどさだ。

 農水省の立ち入り検査では、牛や豚の内臓の混入ばかりか、産地や賞味期限の改ざんも判明している。

 事件は企業体質だけの問題では済まされない。農水省や北海道庁の無作為責任も追及されるべきだ。昨年4月、ミート社の元役員が偽装されたミンチの現物を農水省の出先に持参したのに、職員は「証拠にならない」と取り合わなかったという。

 その2カ月ほど前にも農水省側に情報提供があり、「道庁所管の業者」と北海道に調査を要請したが、道は「要請された事実はない」と食い違っている。農水省担当の広域業者として自ら調査すべきだった。苫小牧保健所にも昨年8月に内部告発があったのに、具体的な対応を取っていない。

 立て続けに起きた不手際は、行政の意欲と能力の欠如を示しているのではないか。食の安全を脅かす問題は今に始まったわけではなく、雪印乳業による大規模食中毒や丸紅畜産の鶏肉偽装があったし、昨年は不二家の不正も発覚した。

 それなのにまだこの鈍さでは無策に等しい。行政側は経緯と対応を包み隠さず明らかにしなければならない。
2007年06月26日火曜日

【河北新報・河北春秋】

 牛のひき肉に豚肉を混ぜる羊頭狗肉(くにく)のみみっちい手口を手始めに、出るわ出るわ。血で着色したり、水を注射して増量したりの悪質な数々。北海道の食肉加工業「ミートホープ」の偽装はやりたい放題だ▼社長の「業界全体が悪い。消費者も安いものばかり求めるから…」という言い訳は無論のこと、やり口が実に不快な感じを消費者に与える。商取引を支える信頼をこれほどばかにした例はない

 ▼ これを使った商品は主に各地の生協が販売していた。残留農薬や添加物など食品の安全性に関しては厳しいチェックを敷く。しかし、牛肉と表示された製品が本当にそうかといった検査は行っていない▼当然のことだ。私たちの社会はある程度の善意と信頼を前提に成立している。いちいち疑って掛かってはきりがないからだ。偽装肉の検査など思いもよらない。生協も被害者だろう

 ▼雪印食品、スターゼン、全農チキンフーズ、丸紅畜産などによる牛肉や鶏肉の偽装。過去には類似した事件が多数発覚している。これらを尻目にミート社はぬけぬけと偽装を続けていたことになる▼食品を扱う資格のない会社が食品を手掛けていた。不正競争防止法の虚偽表示というレベルの問題では既にない。社員の解雇を発表したが、さっさと業界から退場してもらうしかあるまい。

2007年06月26日火曜日


【京都新聞・社説】

中小企業再生  もっと幅広く、柔軟に

 破たん寸前にある中小企業を支援し、再び軌道に乗せる国の再生計画事業が京都府内で順調に推移している。
 再生計画の適用を受けた企業数は、二〇〇三年の産業活力再生法施行後、計四十三社(三月末現在)にのぼり、近畿八府県でトップとなった。
 二位の大阪・兵庫(各三十一社)を大きく上回っており、地元としては胸を張ってよい数字といえそうだ。
 国は都道府県に中小企業再生支援協議会を設置している。京都では、地元金融機関や商工会議所、府などが協議会のメンバーに名を連ね、公認会計士、税理士らが再生計画策定に加わっている。
 再生支援を受けた府内の企業のうち、製造業が四割を占める。このあと卸・小売、飲食旅館の順で続き、伝統技術を受け継ぐ老舗も目立つ。
 全国有数の産業機械の製造技術を持ちながら、不動産投資の失敗や地元二信組の破たんで資金調達できず、倒産寸前に追い込まれていた企業もあった。
 再生計画によって、大手ホテルとの業務提携やネット活用による外国人観光客呼び込みなどの事業展開で、息を吹き返した料理旅館もある。
 これらの企業再生によって、従業員二千三百三十二人の雇用が守られたというのは大きな収穫だった。
 今のところ再生計画策定後の破たんも起きておらず、全国でも再生計画づくりの優等生といえそうだ。
 京都の協議会の中では、地元金融機関と京都信用保証協会が、「再生担当者会議」を独自に設置している。
 担当者会議では、担当者らが企業の実情と潜在能力を分析し、債務返済や融資継続の実務面で意見を交わす。協議会で事業存続が可能と判断されれば、再生に向けての青写真を描く。きめ細かな対応が功を奏したようだ。
 とはいえ、再生計画の対象となった中小企業はほんのひと握りに過ぎない。再生計画で支援を受けるには、地域の中核企業であることなど、一定の条件を満たすことが必要でハードルが高いからだ。
 協議会事務局が相談を受け付けた計百八十五社のうちの約四分の一にとどまっている。しかも売上高一億円以下の企業は二割に満たなかった。
 景気回復感に乏しく、倒産も相次ぐなど、今も中小企業を取り巻く状況は厳しい。必要なのは、優れた技術と意欲を持つ中小零細企業をもっと幅広く支える仕組みではないか。
 政府は、この再生計画事業とは別に、企業支援策として「地域力再生機構」の創設を決めた。新たな機構づくりより、今の協議会に何が足りないのかを見つめ直し、充実させるのが先決だ。
 京都では、再生計画で積み上げてきた手法をさらに柔軟に活用し、地元の中小零細企業の破たん防止など、身近な再生支援策としてその機能を生かしたい。

[京都新聞 2007年06月26日掲載]

ミート社不正  消費者無視の悪質偽装

 出るわ出るわ、悪質な偽装のオンパレードだ。ひき肉偽装事件で北海道警の捜索を受けた苫小牧市の食品加工販売会社「ミートホープ」の不正行為が次々に発覚している。
 消費者を食い物にした故意の不正に強い憤りを覚える。食品業界からの退場は当然だ。同時に、内部告発を受けながら不問に付していた行政の責任も見逃せない。
 同社が、豚肉を混ぜたひき肉を「牛ミンチ」として出荷した疑いが判明したのは今月二十日。当初は自らの関与を否定していた田中稔社長だったが、不正が次々と明らかになる過程で、自らが不正行為を主導していたことを認めた。
 具体的な疑惑は、▽牛ミンチの原料に豚の肉や心臓などを混ぜた原料偽装▽ブラジル産鶏肉を国産と偽って学校給食用に卸した産地偽装▽他社の国産鶏肉の袋を偽造して安い外国産鶏肉を詰め販売したブランド偽装▽買い取った冷凍食品の賞味期限を書き換えて転売した賞味期限偽装-などだ。
 さらには、取引先からのクレームで返品があった場合などに支払われる損害保険金を不正受給した疑いも出てきた。
 いずれも手の込んだ悪質さだ。同社が操業を始めた約三十年前から、さまざまな偽装を続けてきたとの元幹部証言もある。本当なら、同社は消費者を欺く詐欺的行為を利益追求のけん引役にしてきたことになる。順法精神や企業倫理以前の経営姿勢といえよう。
 北海道警は、不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で関係先を家宅捜索した。詐欺容疑も当然、視野に入ろう。
 一連の不正には取引先の「北海道加ト吉」(北海道赤平市)の関与も疑われ、同じく捜索を受けた。偽装牛ミンチの一部は同社で加工され、「牛肉コロッケ」として日本生活協同組合連合会(生協)ブランドで全国販売されていた。
 食の安全が売り物の生協自身に対しても、加入者の憤りは強い。生協の安全対策も見直しが迫られよう。
 それ以上に見過ごせないのが行政の不作為だ。農水省は昨年二月、ミート社が日本農林規格(JAS)法に違反しているとの情報提供を受けながら「北海道庁所管の業者だ」との誤った判断で調査を行わなかった。
 苫小牧保健所には昨年八月、「牛肉に他の食肉が混入している」との内部告発も寄せられたが、保健所は具体的な対策をとらなかったという。
 ミート社が不正を続けている期間中には、雪印食品など食の安全にかかわる数多くの企業不祥事が起きている。その教訓も生かされていなかった。
 一連の不正が、どこまで広がるのかはまだ分からないが、製造業者から加工、販売業者、行政まで、不正がすり抜けてしまった現実は、うすら寒い。
 事件の徹底解明を急いだ上で、責任の追及と再発防止策をたてる必要がある。

[京都新聞 2007年06月26日掲載]

【京都新聞・凡語】

中間報告

 国会には「中間報告」という秘策がある。法案の委員会採決を飛ばし、本会議でいっきに成立を図るという荒っぽい手法だ▼週明けから延長国会が始まった。会期延長に対する野党側の反発で、焦点の国家公務員法改正案は、審議する参院内閣委の開催めどがたたない。委員長ポストは民主党が握り、与党の採決強行も難しい▼そんな中与党内で「中間報告」がささやかれる。審議の遅延や放置などで会期内の議決が困難な場合に、国会法で認められた措置だ。だが、異例、非常手段に変わりない▼もともと「審議時間が足りない」と抵抗する参院自民党を押しのけ、官邸主導で送り込まれた公務員法改正案だ。延長国会の混迷は予想された事態。事前に”禁じ手“も視野に強行突破を狙っているとすれば、二院制を無視した話▼ことしは参院創設六十周年。衆院の「数の政治」に対し「補完と抑制」が参院の本来の立場だ。ここで「良識の府」としての知恵を出さないと、「衆院のカーボンコピー」批判は免れない。議会政治の信頼は失墜し、年金不信も加速しよう▼会期延長の際、扇千景議長はボソボソ不満を漏らした。「いつも、最後のしわ寄せが参院に来て、落ち着いた審議ができない。不本意だ」。今期で引退する扇氏。持ち味の歯に衣(きぬ)着せぬ発言とよく通る声で、与野党を冷静にする手綱さばきを見せてほしい。

[京都新聞 2007年06月26日掲載]


【朝日・社説】2007年06月26日(火曜日)付

温暖化対策―途上国を巻き込む知恵を

 中国の二酸化炭素(CO2)排出量が06年、米国を抜いて世界最大になった。そんな試算をオランダの調査機関が発表した。中国をはじめ、インドやブラジルなどの新興工業国を温暖化防止の枠組みにどのように取り込むか。この議論を早く詰めなくてはならない。

 こうした国々は人口が多く、成長に伴ってCO2の排出量が急増すると予想される。2030年の排出量は、中国、インド両国だけで世界の3割を超えると国際機関は予測している。

 先進国はこれまでの発展の過程で大量の温室効果ガスを出してきた。途上国も同じように発展する権利がある。だから、まず先進国側がより大きな責任を負うべきだ。こうした途上国側の言い分を京都議定書は受け入れ、先進国だけに排出削減義務を課した。

 実際、1人あたりのCO2排出量では、中国は米国の5分の1、インドは19分の1しかない。先進国と同じ土俵で削減義務を言われても困る、という主張は分からないではない。

 だが、地球温暖化の脅威は、そんな事情とは無関係に広がっていく。気候変動枠組み条約は、先進国と途上国が「共通だが、差異ある責任」を負うとしている。この途上国の責任をどのように具体化するか。それが「ポスト京都議定書」の枠組みづくりの大きな課題である。

 とりわけ重要なのは新興工業国の取り組みだ。中国はこのところ、「ポスト京都」で応分の責任を果たす姿勢を見せている。地球環境への配慮なしに持続的な発展は望めない、との危機感があるのだろう。歓迎すべき動きだ。

 私たちはさきに発表した「提言 日本の新戦略」の社説で、中国やインドなどに排出抑制の義務を負うよう促すのが日本の環境外交の役割だと主張した。

 そのために、省エネ技術や公害対策で積極的に協力の手を差し伸べるべきだ。先進国と同じように「エネルギーがぶ飲み」の経済構造をつくる必要はない。最初から省エネ型の経済社会を建設するよう支援していく。それが中国などにとっても、地球にとっても利益になる。

 政府の途上国援助(ODA)をこの面で有効に使いたい。技術の移転にあたっては、日本企業の知的財産権をきちんと守る仕組みも考えなければならない。

 「ポスト京都」をめぐる論議は、この秋から本格化する。米国が主宰する国際会議を含め、先進国と主要途上国による協議が続き、年末には国連の気候変動枠組み条約締約国会議がインドネシアで開かれる。

 少なくとも、中国など新興工業国が参加する形で排出を抑制、削減する枠組みを目指す。何らかの義務づけを考える。こうした基本については、年内に合意にこぎつけたい。

 来年の洞爺湖サミットを価値あるものにするためにも、政府は途上国の参加を後押しするような知恵を出すべきだ。

東証の新体制―世界が評価する市場に

 東京証券取引所が新たなスタートを切った。先週の株主総会と取締役会で、野村証券副社長や産業再生機構社長を歴任した斉藤惇氏が新社長に就任した。

 東証トップには、旧大蔵省OBが長らく座ってきた。ここ3年は東証の生え抜き社長、次いで、東芝出身の西室泰三会長がシステム障害を機に社長も兼ねた。証券会社出身は実に46年ぶりだ。

 東証は日本の資本市場の中核だが、内外に難題が山積している。斉藤新社長は米ウォール街の市場でもまれてきた。その実務経験を生かし、スピーディーな経営のかじ取りを期待したい。

 世界のマネーの流れの中で、東証の存在感が低下している。国内の景気は戦後最長を更新しているのに、株価の伸びはいまひとつ。東証は上場企業の時価総額こそ世界2位を保っているものの、絶好調の米国市場と、バブル的な過熱に沸く中国などアジア市場に挟まれ、谷間のような状況に甘んじている。

 西室前社長はニューヨーク、ロンドン、シンガポールの各市場などとの国際提携を進めた。しかし、東証の地盤を底上げできるか、はっきりしない。

 一方、国内の投資家を引きつける魅力も物足りない。1500兆円もある個人金融資産は、有利な投資対象を求めて海外に流出する動きが目立つ。

 内外の投資家の眼鏡にかなう資金運用の場となるには、魅力的な投資商品をそろえるといった対策が急務だ。

 政府が工業原料や農産物、金融先物などの各取引所と東証を一体化した「総合取引所」構想を打ち出したが、統合するには時間がかかる。まずは東証が他の取引所と連携して、株式以外へも対象を広げ、投資しやすい商品づくりを進めることが先決だろう。

 新興企業向け市場マザーズの立て直しも急がれる。昨年のライブドアショックで相場崩壊ともいえる打撃を受けて低迷している。上場審査の厳格化や不適格な企業の退場により、投資家の信頼を取り戻さなければならない。

 東証は今秋、持ち株会社に移行する。経営を統括する持ち株会社の下に、株式市場を運営する子会社と、市場ルールをつかさどる自主規制法人ができる。斉藤氏は持ち株会社と市場運営子会社の社長を務めるが、自主規制法人のトップには財務省OBの林正和氏が就く。

 自主規制法人は、ルールに基づき上場審査や売買監視を担う。裏方のようにみえるが、世界の取引所と「品質競争」をするのが実はこの分野だ。取引を公正に保つだけでなく、現行ルールの問題点を洗い出し、ルールを常に改善するには、自主規制法人が高い能力と鋭い感度を保つことが欠かせない。

 そのトップに天下り官僚が座るのは、適任とはいいがたい。「役所以上にお役所的」と評される東証を改革し、日本の証券市場の地位を回復できるか。斉藤新社長の手綱さばきが問われよう。

【朝日・天声人語】2007年06月26日(火曜日)付

 ストレスの多い職場では「のむ」「うつ」「かう」がはやると聞いたことがある。昔ながらの三拍子ではない。当節、「のむ」のは胃腸薬や胃カメラ、「うつ」は博打(ばくち)ではなく「うつ病」なのだそうだ。

 「かう」のは宝くじである。「当たったら辞めてやる」。晴ればれと辞表を差し出す我が姿を、誰でも一度ぐらいは夢見たことがあろう。だが、まずは当たらないから、幸か不幸か今日のレールは明日も続く。

 うらやましい6億円の大当たりが、それも2本、スポーツ振興くじ(サッカーくじ)で出た。日本のくじ史上で、最高の額という。Jリーグ14試合の勝ち負けが、すべて的中した。確率は約480万分の1というから、針の穴を通り抜けたようなものだ。

 老婆心ながら、在米中の取材を思い出す。くじで当時米史上最高の3億ドル余(約370億円)を当てた男性がいた。満面の笑みが報じられた何カ月か後、風俗クラブで泥酔して約3000万円を盗まれ、再びニュースになった。

 生活が一変したらしい。「大金を持ち歩き、歓楽やギャンブルに入りびたり」と警察はあきれ顔。仏の詩人コクトーの皮肉、「金持ちになった貧乏人は、贅沢(ぜいたく)な貧しさをひけらかすだろう」(「恐るべき子供たち」)が頭をよぎったものだ。

 人の幸運を「禍福はあざなえる縄」と見るのは、運つたなき者のひがみか。濡れ手で粟を夢見て筆者も年に何度か買う。だが、これまでの当選金は最高で3000円である。身を持ち崩すような「幸運」に巡り合ったことは、幸か不幸かない。


【毎日・社説】

社説:ミンチ肉偽装 こんな無法がなぜ通ったのか

 北海道警は、牛ミンチに豚肉を混入していた苫小牧市の食肉加工卸「ミートホープ」の捜査に入った。同事件については、行政の対応が適切であったかも、問われなければならない。

 最初は、牛ミンチに安い豚肉を混ぜて高く売っていたという話だった。田中稔社長は、牛も豚も同じ機械でミンチにするので混ざったのでしょう、と説明していた。

 それが、時間の経過とともに、社長自らの指示のもとに、組織的に混入が行われていたことが明らかになった。そして混入も、牛に豚を混ぜるだけでなく、中国で鳥インフルエンザが流行したときに価格が暴落した中国産カモを混ぜる、豚の心臓や鶏や羊の肉も混ぜる。それだけでなく文字通り水増しするなど、底なしの状況が浮かび上がってきた。

 さらに、主要な取引先である北海道加ト吉の工場長から賞味期限切れの冷凍コロッケの横流しを受けて、系列会社に転売する。そして社長は「安いものばっかり追い求める」と、消費者に責任を転嫁しようとさえする。

 BSE(牛海綿状脳症)の国内での発生、病原性大腸菌O157による食中毒、雪印乳業の食中毒事件、雪印食品や大手食肉会社による食肉偽装など、食品に関する多くの事件事故を通じて、わが国では「食の安全・安心」が求められるようになった。店頭における食品の表示には正確さが求められ、多くの食品には生産者から消費者に至る経路が追跡可能なシステムが導入されてきた。

 しかし、私たちが今目撃している「ミートホープ」の世界は、別世界だ。利益至上主義の下で無法がまかり通っている。この世界では、消費者の信頼を得なければ企業の存続はないという、多くの失敗から学んだ食品業界の鉄則が通用しない。

 食品業界という、まさに食の安全と安心を担う業界に、現在に至ってもなお、こうした企業が存続していたことに、深く失望せざるを得ない。

 行政もまた、多くの失敗を通じて、業者寄りではなく消費者側に立った行政を行わなくては、国民の信頼は得られないということを学んだはずだった。にもかかわらず、今回の農水省の対応はどうだったろう。

 昨年4月にミートホープの元幹部が、農水省北海道農政事務所に不正を告発した。にもかかわらず、農水省は告発を取り上げなかった。なぜ、取り上げなかったのか、農水省は実態を調査の上、国民に説明する義務があるだろう。さもなければ、農水省への信頼は、また地に落ちる。

 道警は不正競争防止法に基づき、虚偽表示の容疑で捜査している。流通業界は一斉にミートホープがかかわった商品の確認に入り、棚から撤去した。しかし私たちは、知らずに、まさかという食品を提供されていた。こうした事態の再発を防ぐには、事実の解明が欠かせない。道警は、不正がどのように重ねられてきたのか、徹底的に解明してほしい。

毎日新聞 2007年6月26日 東京朝刊

社説:年金第三者委 公正透明で納得できる判定を

 年金保険料の納付記録や領収書がない人に対する給付の可否を判断する中央第三者委員会の初会合が開かれた。来月初旬までに判定基準を作り、地方に置かれる第三者委はこの基準に沿って作業を進める段取りだ。

 今回の年金騒動では、記録の管理がいかに大切かを思い知らされた。きちんと保険料を納めていたのに、何らかのミスで社会保険庁の年金記録に残っていなかったら、当然支給額は減らされる。こんな不条理なことは許されていいはずがない。

 公正で透明な運営は年金制度への信頼をつなぎとめる最後の命綱である。第三者委には、正直者が不利益をこうむらないような判定基準を示してもらいたい。同時に運用にも弱者の立場に立った細心の配慮を求めたい。

 安倍晋三首相の判断で、第三者委は騒動の当事者である厚生労働省ではなく総務省に置かれた。弁護士、税理士、社会保険労務士らで構成されている。

 払ったはずなのに記録がない「消えた年金」問題の一因に、社保庁の職員が保険料を横領していたケースも指摘されている。会計検査院の資料によると、89年から02年までの保険料横領額は、発覚した分だけで1億1000万円にのぼっている。犯罪行為であり、社保庁は全国規模で徹底調査を行い、国民に報告すべきだ。

 安倍首相は、仮に領収書がなくても、当時の銀行通帳、家計簿、本人の言い分を照らし合わせ、筋道が通っていれば給付に道を開くという考えを示している。

 問題は、年金給付を認定するに足る判定材料の範囲である。これまで銀行通帳の出金記録、元雇用主の証言、納税証明書のほか雇用保険(失業保険)記録などが挙げられている。

 とりわけ雇用保険の加入者情報は、厚生年金の加入者記録とほぼ重なっているため、有力な判断材料の一つとみられている。雇用保険制度では、1人でも雇えば事業主に加入の届け出を義務づけている。加入者の氏名、生年月日、事業所名などの情報がデータ化され、保存されている。

 公的年金は、国が強制的に保険料を集めることで成り立っている制度なので、記録がないことの挙証責任も一義的には社保庁にあるというべきだろう。厚生年金の加入記録が見つからない人には、本人に雇用保険の記録を参照する同意を得たうえで職歴証明とするなど積極対応が必要だ。

 政府・与党は5000万件の不明記録の統合を1年間で完了させると約束した。国会審議では、照合、統合、名寄せ、突合(とつごう)などさまざまな用語が飛び交い、1年後に何がどう完了しているのか、国民はさっぱり要領を得ない。専門家の間では、原簿とオンライン上のデータを照合するだけで膨大な日時と人手がかかると指摘されている。政府は具体的な作業日程を丁寧に説明する義務がある。

 「最後の一人まで解決する」という首相発言を選挙向けリップサービスで終わらせてはいけない。

毎日新聞 2007年6月26日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:英国の経済学者のケインズは…

 英国の経済学者のケインズは、万有引力の発見者であるニュートンについてこう書いている。「ニュートンは理性の時代の最初の人ではなかった。彼は魔術師たちの最後の人、最後のバビロニア人にしてシュメール人であった」▲古典力学を完成させたニュートンは、その一方で錬金術や神学研究などに打ち込む神秘思想の持ち主だった。だがその神秘主義を示す手稿は、子孫が1936年に競売に出して散逸してしまう。ケインズは私財を投じて手稿類の再収集に取り組み、コレクションを大学に寄贈したのだ▲このたびエルサレムのヘブライ大で公開されたニュートンの文書も、その36年の競売でユダヤ人が落札したものという。それが広く世界に報じられたのは、書かれていた「早ければ2060年に世界の終末が来る」という“予言”のせいである▲共同電によると文書のいう「2060年」は旧約聖書のダニエル書の暗号めいた表現から割り出されたもので、「その後に世界の終わりが来るかもしれないが、それ以前に終わる理由は見いだせない」と書かれていた。“予言”といっても結構流動的だ▲さて現代の終末予言はといえば、今年1月に核戦争による地球滅亡までの時間を示す米誌の「終末時計」が「終末7分前」から「5分前」に4年ぶりに進められた。危険は高まっているというわけで、会見では英物理学者のホーキング博士が「われわれは警告の義務がある」と述べた▲300年を隔てた二人の英科学者の言葉を聞いて見回せば、なるほど核戦争ばかりか地球温暖化や新型ウイルスの脅威など世界規模の破局の危険に事欠かない現代だ。だが今や世界を破滅に導く力を持ってしまったのが人類なら、それを防ぐ英知も人類にしかない。

毎日新聞 2007年6月26日 東京朝刊


【読売・社説】

牛肉偽装 また食品への信頼が裏切られた(6月26日付・読売社説)

 食品への信頼を裏切る事件がまた起きた。

 北海道の食肉製造加工会社ミートホープが、豚の心臓や羊肉を混ぜた「牛肉ミンチ」を販売していたとして、北海道警が不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で家宅捜索した。詐欺罪の適用も視野に入れているという。

 この容疑以外にも、輸入した牛肉を国産に混ぜて出荷したことが農林水産省の立ち入り検査で判明した。取引先の北海道加ト吉から、賞味期限が切れた冷凍コロッケを引き取り、期限を書き換えて販売したこともわかった。

 コスト削減を優先した社長が自ら指示し、従業員は拒めなかった。ワンマン経営の企業にありがちな体質だ。「業界全体の問題。喜んで買う消費者にも問題がある」と、社長は責任転嫁とも取れる発言を繰り返した。

 直接口に入る食品を製造・販売していることへの責任を、社長はほとんど感じていなかったのではないか。道警は徹底した捜査で、全容を解明してほしい。

 食品に関しては過去、何度も偽装や賞味期限切れ製品の販売といった不祥事が起きている。

 雪印食品は5年前に、輸入牛肉を国産品と偽り、会社解散に追い込まれた。不二家も消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを販売するなどして、他の大手食品会社の傘下に入った。

 違法行為は、消費者に迷惑をかけるうえ、企業の滅亡に直結する。ミートホープも休業し、全従業員を解雇する方向となった。他の企業の経営者は、一連の教訓を肝に銘じるべきだ。

 ミートホープの偽装に関して、規制当局の不手際が指摘されている。昨年2月には、農水省の出先機関に偽装の情報が寄せられていた。農水省は、この件の担当は北海道庁だと判断して、道庁に連絡したと説明するが、道庁側は受け取った記録はない、としている。

 真相はヤブの中だが、早期に偽装を見破る機会を逸したことに変わりはない。この種の情報があった場合、素早く対応できるよう関係省庁、自治体で体制を整えておく必要がある。

 食肉の偽装を見破るには、遺伝子を調べるDNA検査が有力な手段だ。牛肉と他の肉を混ぜても、巧妙に加工すれば発見は難しい。しかし、DNA検査なら確実に違いを識別できる。

 すべての製品をチェックすることは不可能だろう。だが、随時、抜き打ち検査することにしておけば違法行為の抑止に役立つ。農水省は、早急に具体策の検討に入るべきだ。
(2007年6月26日1時51分  読売新聞)

パレスチナ 分裂統治を放置するのは危険だ(6月26日付・読売社説)

 パレスチナの状況は、惨たんたる、としか形容のしようがない。分裂統治という未知の事態が固定化しつつある。

 これで、イスラエルとパレスチナの2国家共存という中東和平の最終目標は、一層遠のいた。

 発端は、イスラム原理主義組織ハマスと、アッバス自治政府議長が率いるファタハによる武力衝突だった。パレスチナ自治区ガザの治安権限の獲得を目指すハマスがファタハ治安部隊に攻勢をかけ、ガザ全域を制圧した。

 両者による権力闘争、というのがことの本質だろう。ともあれ、ハマスは力ずくで、パレスチナの“領土”の一部を奪取したことになる。

 ハマスは、イスラエルの生存権の承認や武力闘争の放棄など、中東和平交渉のテーブルに着くための条件を認めてこなかった。そればかりか、今回の事態は、パレスチナ内部の結束維持すら、ハマスにとってたいした重要性を持たないことを示している。

 昨年のパレスチナ評議会選挙を経て、ハマスはパレスチナ政治の表舞台に出てきた。その事実は重いが、だから何をしてもよい、という理屈は通るまい。そもそも、ガザでの支配権を確立しても、外部からの支援なしに、ガザ住民140万人の暮らしをどう支えていくのか。

 アッバス議長は、ハマス主導の「挙国一致内閣」のハニヤ首相を解任し、新たに「非常事態内閣」を発足させた。議長はこれまで、ハマスとファタハとの融和に意を尽くしてきたとされるが、今回はハマスとの対話も拒否した。

 だが、将来のパレスチナ国家を構成するはずのヨルダン川西岸とガザで、別々の統治が続くのは、不自然である。

 米国や欧州連合(EU)は、アッバス議長への支持を明確にし、財政支援を再開すると約束した。イスラエルも、自治政府に代わって徴収してきた税金の一部を、新内閣に返還することを決めた。

 それ自体は、経済的に苦しむパレスチナの人々にとって朗報だ。しかし、現状のままでは、西岸住民だけがその恩恵に浴し、ガザにおける窮状は、さらに悪化することになりはしないか。

 絶望したガザで、これまで以上に過激派が勢力を伸ばす環境が醸成される、とする不気味な予測もある。放置する危険性を考慮すべきだ。

 直ちには無理だとしても、やはり、分裂統治の解消へファタハとハマスを仲介する努力が必要だろう。3月、挙国一致内閣の実現に力を発揮したサウジアラビアやエジプトなどアラブ主要国に、大きな期待が寄せられるゆえんだ。
(2007年6月26日1時51分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月26日付 編集手帳

 「家」という字のうかんむりは住居を、下の「豕」は豚を意味する。神に供える生贄(いけにえ)が豚であるという。家族の無事と平穏な暮らしを祈る心がこもった字だろう◆漢字とは面白いもので、うかんむりの下に置く動物が牛だと「牢(ろう)」になってしまう。家と牢では天と地のひらきがある。豚と牛はともに食卓には縁の深い家畜だが、ごっちゃにするものではないらしい◆全国に販路をもち、手広く営業していた会社が一気に行き詰まる。これも豚と牛をごっちゃにした末の“天と地”だろう。牛肉ミンチに豚肉を混ぜていた北海道苫小牧市の食肉製造加工会社「ミートホープ」が警察の捜索を受けた◆社長の指示で牛肉偽装工作に使われたのは豚肉にとどまらない。豚の心臓や舌、羊のクズ肉、パン、鳥インフルエンザの流行で価格が暴落したカモ肉…と、安くさえ上がれば見境がなかったようである◆会社は従業員に全員解雇の方針を伝えた。消費者の家庭に食と健康の不安を振りまき、従業員の家庭を生活の不安に沈める。「家」という字の成り立ちを忘れ、金儲(もう)けに目がくらんだ経営者の罪は深い◆「豕」を用いた熟語は「豕心(ししん)」(欲張り)や「豕突(しとつ)」(暴走)など、困った経営者を連想させるものばかりで、いい言葉があまりない。うかんむりの下に置くに限る。牛と間違えぬように。
(2007年6月26日1時51分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】北京五輪 成功への鍵握る環境対策

 オランダの研究機関が先ごろ、中国の昨年の二酸化炭素(CO2)排出量が世界一になったと発表した。これに対して中国政府やマスコミが激しく反論している。

 さもありなん、飛躍的な経済発展を続ける中国にとって、大気汚染や水質汚染など環境問題は喉(のど)に刺さった棘(とげ)であり、来年8月8日に開幕が迫った北京五輪でも克服すべき最重要課題に挙げられる。環境汚染イメージが定着することを恐れている。

 先週末23日は「オリンピックデー」だった。1894年のこの日、フランス人貴族ピエール・ド・クーベルタンによって提唱された近代オリンピックの開催が決まった。これを記念して世界各地では毎年、さまざまなイベントが行われる。今年、最も熱い思いでこの日を迎えたのは中国であろう。あらゆる機会を利用し、国家の威信をかけ五輪成功に弾みをつけたい。その鍵を握るのが環境にほかならない。

 クーベルタンの昔にはなかった環境が、スポーツ、文化と並ぶオリンピックの柱となるのは1994年の100周年記念国際オリンピック委員会(IOC)コングレスからだ。以来、開催都市や招致を望む都市に、環境対策は大きなテーマとなった。北京は、五輪開催が決まった2001年当時からIOC委員の間で大気汚染が懸念され、克服課題として念押しされた。

 「緑の五輪」をスローガンに、北京市はこの10年間で1200億元(約1兆9000億円)の対策費を投じてクリーンエネルギー普及に取り組んできた。結果、CO2などは基準値を下回ったという。さらに市内では300万台に達した自動車の排ガス規制の強化や天然ガス燃料のバス4000台の導入、周辺地域の政府と協力した汚染物質対策にも力をいれていく方針だ。

 恐らく、北京市内に限れば来年の開催までに環境のハードルはクリアするだろう。しかし、現時点でIOCの不信感はぬぐい去られてはいない。各国地域選手団の間では競技直前まで北京に入らず、周辺国で調整する動きもみられる。これらに、北京は納得できる回答を用意できるだろうか。

 不信払拭(ふっしょく)は、北京に限らず中国全土に環境改善への意識、対策を行き渡らせるかどうかにかかる。反論だけではなく、国を挙げた対応が必要だ。

(2007/06/26 05:41)

【主張】年金確認委 公正で柔軟な審査基準を

 年金記録の紛失問題で、領収書などの保険料支払いの証拠がない場合、年金給付の是非を判断する「年金記録確認中央第三者委員会」の初会合が開かれた。

 社会保険庁は年金確認委の判断をそのまま受け入れる方針なので、確認委は事実上の最終決定機関となる。それゆえ、確認委の責任は重い。給付を受ける国民が納得できる公正で的確な審査基準を策定しなければならない。

 確認委について安倍晋三首相も「国民の立場に立って検討し、まじめに保険料を納付された方が1人残らず年金を受け取れるようにできるだけ早く公正な判断を行いたい」と述べている。まさにその通りで、それが国家として当然の義務だろう。

 確認委は総務省内に事務局を置く中央委員会と、全国50カ所の地方委員会で構成される。中央委のメンバーは、日本税理士会連合会副会長、前日本弁護士連合会会長、東京都社会保険労務士会副会長、行政相談委員ら有識者10人でスタートし、最終的には30人程度に増員される。地方委は7月半ばにも、それぞれ裁判官OBや税理士ら10人以内の委員で発足し、個別のケースについて判断を下す。

 社会保険事務所に照会があり、証拠となる記録がなく、その分の年金の支払いが却下されたケースは、半年間で2万件以上はある。

 給付の是非を判断する方法の一つとして、雇用保険の加入記録の利用も挙がっている。雇用保険の加入記録は厚生年金の加入記録と重なる情報が多いからだ。しかも所管は、ずさんな管理をしていた社保庁でなく、厚生労働省職業安定局だ。

 安倍首相が総務省への年金記録確認委の設置を指示したのは6月11日だった。その後、菅義偉総務相が中央確認委のメンバーを内定、19日に閣議決定され、25日に初会合を開いた。審査基準は7月中旬にも策定されるというからまさに急ピッチの作業である。

 7月29日に安倍政権の最初の審判となる参院選の投開票が予定されているから「急いでいる」との声が一部にある。ただ、急ぐあまり、拙速の審査基準となっては意味がない。公正でかつ個別の相談や苦情に柔軟に対応できる審査基準が求められる。

(2007/06/26 05:39)

【産経抄】

 豆腐の水気を切り、ニンジン、ギンナン、ヤマイモなどを加えて丸め、油で揚げる。がんもどきは、仏教で肉食を禁じられている僧侶が知恵をしぼって作り出したものだ。味が鳥の「雁(がん)」の肉に似ていることから、名付けられたという。

 ▼いわゆるそっくり食品のルーツともいえる。その後も、魚肉ソーセージや植物油と海藻を原料にした人工イクラなど、次々と“名作”が生まれた。なかでもスケソウダラなどのすり身から作ったカニかまぼこは、いまや海外で引っ張りだこだ。

 ▼味や形だけではなく、歯応えまで本物に近づけようとする。旺盛な好奇心と発想力、さらに「もどき」をおもしろがる遊び心なしには生まれない。そっくり食品は、日本の食文化のひとつといっていい。

 ▼ 北海道苫小牧市にある「ミートホープ」の田中稔社長(68)は、発想力が自慢だった。ひき肉撹拌(かくはん)機の考案で文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞も受賞している。確かに豚肉やカモ肉の混入にとどまらず、化学調味料を入れたり、豚の心臓を混ぜて赤みを出したりと、牛肉に似せるために、よくまあこれだけアイデアが出てくるものだ、と感心する。

 ▼ただし「もどき」を公表しない偽装は許されない。発覚によって、消費者の食肉加工品への信頼は失われ、従業員は解雇を通告された。取引会社への打撃も大きい。人をおもしろがらせるどころか、多くの人を不幸のどん底に陥れた。

 ▼ 会見では「工場長に相談された」などと、責任のがれの発言を繰り返し、あげくのはてに「消費者も安いものばかりを求めるから」とだまされる方が悪いといわんばかり。こんな人物に、食文化の大切さを説いても詮(せん)ないことだが、「発想力」を他に生かす道はなかったのか。

(2007/06/26 05:35)


【日経・社説】

社説1 「消えた年金記録」復活へ丁寧な基準を(6/26)

 「消えた年金加入記録」を復活させ、年金支給に結びつけるための総務省の中央第三者委員会が25日初会合を開いた。今後、支給の是非を判断する基準作りを進める。社会保険事務所や市町村のずさんな対応により、保険料を納めたのに記録が残っていないケースが多数存在する。加入者が領収書を持っていなくても手掛かりは少なくないはずだ。幅広く、しかも丁寧に洗い出し、基準を作ってもらいたい。

 民間サラリーマンが加入する厚生年金では企業が保険料を社会保険事務所に納めるため、記録が消えることは少ないとみられてきた。しかしかつて勤めていた企業が倒産したような場合に、その間の記録が欠けているというケースも実際に出ている。何度も転職したという人で、その一部が記録漏れとなっていることが少なくないようだ。

 サラリーマンの場合、厚生年金だけでなく、健康保険や雇用保険にも加入するのが一般的だ。だから厚生年金の加入記録がない場合、他の社会保険の加入状況がどうなっているかを調べることはできる。そうした年金以外にも手掛かりを求めて記録回復の努力をするのは当然だろう。

 農家や自営業などの人が加入する国民年金では、加入者自らが市町村に保険料を納める、という形をとってきたために問題を一層複雑にしている。保険料を窓口で納めたにもかかわらず、加入記録が残っていないという苦情が相次いでいる。問い合わせたところ「納めたのなら領収書があるはずだから、それを提示しなければ証拠とはならない」と門前払いされたという人も多い。

 何十年も前の領収書を今も保管していることはまれだろう。また実際に納めたにもかかわらず、それを受け取った職員が着服したケースもあるという。言語道断である。

 国民年金では2001年度まで国に納める現金を市町村が直接受け取ることができないため、印紙を発行して収納した。だから印紙の発行状況も手掛かりの1つとなるのではないか。かつて未納の期間をまとめて納めることができる「特例納付」を実施したが、そのときは現金を社会保険事務所に納めた。着服があったとすればこの機会だったのではないかと思われるが、その点でも事実関係を調査しなければならない。

 中央委員会で基準を作り、これから各都道府県につくられる地方の第三者委員会では基準に沿ってきめの細かい調査をし、保険料を納めた人たちが損をしないよう、万全を期してほしい。

社説2 消費者を裏切る食肉偽装(6/26)

 「またか」と、怒りを通り越してため息がでる。北海道苫小牧市の食肉加工販売会社「ミートホープ」の食肉偽装問題である。コムスン、NOVAなどへの行政処分が相次ぐ中、いったい企業の法令順守はどうなっているのか。かつて雪印食品の牛肉偽装事件が大きな社会問題になったにもかかわらず、安全・安心を最優先すべき企業でこうした偽装が後を絶たないのはなぜなのか。

 日付や原材料など食品表示への関心は高まっている。加工食品が増え、消費者がスーパーなどで食品を選ぶ際、表示に頼る例が増えた。表示が信頼できないとなれば、いったい何をもとに買えばいいのか。消費者の怒りの声が聞こえてきそうだ。

 明らかになった偽装の実態はあまりにひどい。牛100%と偽って豚や鶏の肉を混ぜるのは序の口で、豚の心臓を混ぜる、家畜の血液で着色して牛にみせかける、水を混ぜて増量するなどまさに消費者無視だ。取引先の北海道加ト吉から賞味期限切れ前後の冷凍食品を安く買い入れ、日付を付け替えて転売していたこともわかった。利益をあげるためなら何をしてもいいといわんばかりだ。

 農林水産省が日本農林規格(JAS)法違反で立ち入り検査したのに続き、北海道警は不正競争防止法違反の疑いで本社工場や社長宅などを捜索。さらに厳しい詐欺容疑での立件も検討しているという。なぜこうした偽装が次々と行われたのか、徹底的に解明してもらいたい。

 偽装が始まったのは20年ほど前からとされる。それほど長く悪質な偽装を放置した責任は行政にもある。なぜ、もっと早く不正を察知できなかったのか。昨年2月に不正を告発する情報が寄せられたというが、農政事務所と北海道庁の連携がきちんと取れていなかった。迅速な対応がなければ、法令違反をやめさせるために導入された公益通報者(内部告発者)の保護制度も生きない。

 偽装ひき肉は大手食品会社でコロッケなどに加工され、多くの消費者の口に入った。大手企業は納入業者のチェックをきちんとすべきだ。ミートホープ社は全従業員約60人に解雇を事実上通告した。不正行為が働く人も不幸にすることを忘れてはならない。

【日経・春秋】(6/26)

 腐りきっている、とはこのことだろう。賞味期限切れのパンをひき肉に混ぜ、水を足して増量し、羊肉や豚の内臓などを牛ひき肉に混ぜて売る。あげくに、顧客からクレームがつくと、過失を装って保険金をだまし取り、買い取りや補償費に充てていたという。

▼自社製のインチキ牛ひき肉が入った冷凍カレーを顧客から引き取り、廃棄せずに別ルートで売りさばいていたらしい。次々に判明する北海道苫小牧市の食肉加工販売会社「ミートホープ」による底なしの非道。これは、道徳のかけらも持たない特異な経営者による例外的な所業なのだろうか。

▼昨春に同社の偽装ミンチについて内部告発を受けた農水省・北海道農政事務所は、北海道庁に連絡したとしているが、この1年間、疑惑の解明は進まなかった。今ごろになって農水省と北海道が責任をなすりあっているが、その怠慢ぶりからすると、こんな不正はそう珍しくない、と役所はみていたのではないか。

▼BSE問題では、国産に偽装した輸入牛肉をノーチェックで買い取った農水省と、合計で100億円を超す税金をだまし取っていた食肉業界、という負の記憶が残っている。ミート社の経営陣ならば、自らの経済的な損失を逃れようと、従業員を解雇し、資産の移転・売却を急ぐかもしれない。迅速な捜査を期待する。


|

« AbEnd諸君、さらに大挙して政治ブログランキングに進出しよう。129位からスタートし、一晩で46ブログをゴボウ抜きで追越したゾ。(笑) | トップページ | 参院選まであと2ヶ月と言う6月になった頃からアニメGIFバナーが動かないひどい状態が続いていますが、皆さんはどうですか。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 6月26日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。:

« AbEnd諸君、さらに大挙して政治ブログランキングに進出しよう。129位からスタートし、一晩で46ブログをゴボウ抜きで追越したゾ。(笑) | トップページ | 参院選まであと2ヶ月と言う6月になった頃からアニメGIFバナーが動かないひどい状態が続いていますが、皆さんはどうですか。 »