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2007年6月27日 (水)

6月27日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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 (2007-07-01 01:01確認)雑談日記、予測よりやや速いペースでついに激戦政治ランキング花の1頁(1位~50位)突入。かつてネットウヨ充満がリベラル系圧倒の勢い、確認したければ、バナークリック。(ランキング参加の意義)
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【沖縄タイムス・社説】(2007年6月27日朝刊)

[国保算定ミス]厚労省は誠実な対応を

 災害などの特別の事情に応じて国が市町村に配分する国民健康保険の特別調整交付金をめぐり、厚生労働省の交付金の算定方法に誤りがあることが判明した。

 交付金額の算定ソフトの誤りがあったことが原因だった。那覇市の試算によると、過去十年間で配分額が約五億五千万円少なかったようだ。

 浦添市でも二〇〇五年度までの八年間で、二億円以上の交付不足があるという。

 厚労省は当初「ソフトに誤りがあったというだけで追加交付はできない」「交付金は市町村の申請によるものであり、国だけの責任ではない」と説明し、補てんは法的に困難としていた。

 しかし、過少交付の原因になった算定ソフトが計一千程度の市町村に導入されており、那覇市、浦添市に限らず全国の各市町村にもこの問題が波及していくことが必至の情勢になった。

 厚労省は一転して、交付不足が確認できた年度分を補てん(追加交付)する方針を明らかにした。当初の対応はいただけないが、追加交付の決定は当然の判断である。

 厚労省によると、昨秋、一部職員が特別調整交付金の過少交付に気付いたが、問題が放置された。対応のまずさをなぜ当初から認めないのか。同省の対応の在り方が厳しく問われよう。

 市町村が運営する国民健康保険は、被用者以外の自営業者や無業者などを対象にしている。退職や転職などで他の保険制度から外れた人も国保に加入する仕組みになっている。

 他の保険制度と比べて、高齢者が多く所得額も低い。失業者も含まれ、市町村国保財政は構造的な赤字体質になりがちだ。市町村にとって交付不足は軽視できない問題だ。特に財政力が弱い沖縄では影響は大きい。

 那覇市の場合、国保の基金(預金)残高も底をつき、一〇年度までに二十三億円の累積赤字が見込まれている。医療費が伸びている一方で保険料収入が追いつかない。

 このため、同市では本年度の国民健康保険税の税率を改定し、一般被保険者の一世帯当たりで平均四千九百十九円(4・27%)引き上げた。

 那覇市議会は特別調整交付金の算定に関する意見書を全会一致で可決し、「未交付額は国保財政はもとより、市民にとって大きな負担を強いる」などと指摘。未交付額の補てんする特別措置などを実施するよう求めた。

 県内では那覇、浦添以外の市町村にも影響が出るものとみられ、各地で批判の声が挙がっている。厚労省は責任の所在を明確にし、関係市町村の要請に誠実に対応していくべきだ。

[北朝鮮核問題]核放棄への行程を急げ

 北朝鮮は核放棄に向けた初期段階措置として、寧辺の核施設の稼働停止と封印などを定めた二月の六カ国協議合意の履行に着手すると表明した。

 マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結された資金問題が解決したと判断したからだ。

 北朝鮮外務省報道官は送金完了を受け、「『行動対行動』の原則に従い、合意の履行に入る」と宣言している。

 この表明を受け、国際原子力機関(IAEA)のハイノネン事務次長ら実務代表団が二十六日、平壌入りした。北朝鮮の合意履行へ向けた五日間にわたる実質的な協議の開始で、鍵は北朝鮮の出方にかかっているといえる。

 訪朝した六カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補によると、北朝鮮側は核施設の稼働停止を二、三週間でできると示唆したという。

 初期段階措置では、寧辺の核施設の稼働停止と封印、IAEAの査察官を受け入れ、その見返りとして重油五万トン相当のエネルギー支援がなされる。

 ただ、これまでの北朝鮮の行動を見れば楽観視は禁物だ。紆余曲折を経る可能性は高い。正念場はこれからであり、関係国はそのことを念頭に置く必要がある。

 ヒル次官補は、先の訪朝で、北朝鮮側がすべての核開発の完全な申告、全核施設の「無能力化」について「準備ができている」と述べたことを明らかにした。

 予断は禁物だが、仮に初期段階措置が履行された場合、次の段階は無能力化の実現である。速やかに実行に移すべきだ。

 北朝鮮は、その見返りに米国にテロ支援国家の指定解除を強く求める可能性がある。

 日本などは拉致問題の未解決などを理由に指定解除に反対しており、日米は緊密な連携が求められよう。

 資金送金問題が決着し、今度は北朝鮮が六カ国協議の合意を履行する番だ。IAEAとの協議で核施設の稼働停止と封印に応じ、全核放棄に向けた動きを加速させてもらいたい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】

(2007年6月27日 朝刊 1面)

 通勤にはバスを使っている。同時間に同路線に乗る。当然ながら九割がた同じ顔ぶれがそろう。ところがこれが雨となると普段とは違った雰囲気になるのだ。

 梅雨の盛りのころだった。ちょうどラッシュ時と雨が重なったこともあって、いつもは見かけない人たちが次々と乗車してくる。それぞれ傘をたたみながら慌ただしげだ。ずいぶん込み合ってきたなと思ったころ、妙な声が聞こえてきた。

 つり革につかまっていた女性が突然「ゴヨータシー」と歌うように言ったのだ。車内に流れるお店のCMで若者にも人気があるという意味なのだろう「近所の学生、御用達!」と流す。それに唱和したのだ。

 バスの中には不特定多数の人がいる。CMを流すにはいい場所だ。ただ、音声だけなのでいかにインパクトのある宣伝文句を流すか。そこが勝負だ。乗客が無意識ながらCMに呼応するというのはそれだけ琴線に触れているということだ。

 どこがそうなのか。それは最後の部分。呼び掛けるように長母音を使っている。いわば実質的にメロディーを付けているのと同じと考えられる。単に文章を読むだけのCMが多いなかで、効果を挙げている。

 世の中、商売の世界だけでなく宣伝の仕方がことの成否や人の人生を左右する時代。いかに違いをアピールするか。そのためには観察力と感性が問われるのだろう。雨の日は普段より乗客が多いという点にも商機があるのかも。(真久田巧)


【琉球新報・社説】

医師確保対策 無理なく働ける環境を

 全国的に産婦人科医が不足している中で、県立八重山病院に産婦人科の医師3人が7月1日付で採用され、同科は現在の3人態勢から6人態勢に増強されることになった。
 常勤医が5月末で退職し医師不在になっていた座間味診療所にも7月13日付で常勤医を配置。県立北部病院にも産婦人科医1人を来月1日から派遣するという。
 地域の医療環境が改善されることを心から喜ぶと同時に、北部病院産婦人科をはじめ、すべての欠員が早期に解消されるよう期待したい。
 だが、医師個人の使命感に頼っているだけでは付け焼き刃になりかねない。問題の根底に、県立病院の過酷な勤務環境が横たわっているからだ。
 県内5つの県立総合病院に勤務する医師267人(2006年度)の大半は当直勤務の回数が月平均5、6回に上り、全国平均のおよそ2倍に達している。
 ほとんどの医師は当直明けの後、引き続き日勤勤務に就いており、連続32時間労働が恒常的に繰り返されている実態も明らかになっている。
 たとえ崇高な使命感を持つ医師であっても、長年にわたって過酷な生活を強いられていると、いつか投げ出したくなるのではないか。医師を現場につなぎ留めるためには、厳しい労働環境を改善することが不可欠である。
 一方で、県の努力だけでは限界もある。全国的に、繁忙な診療科を避け、比較的余裕のある診療科に進む医師が増えているからだ。
 医学部の学生の間では、呼び出しが多く、医療事故などで訴訟を起こされるリスクの高い産婦人科や小児科などを敬遠する傾向が強まっているという。
 医師の数は毎年3500人から4千人増えているというのに、産婦人科医は、厚生労働省の集計(04年)によると35県で2年前より減っていた。
 診療科ごとの医師の偏在を是正するには、産婦人科医や小児科医などを優遇するような制度的措置があってもいいだろう。
 政府、与党は国の主導による緊急的な医師の派遣や、出産などで離職した女性医師の復職支援、勤務医の過重労働解消などを盛り込んだ医師確保対策をまとめている。何よりも、過重労働が勤務医の不足につながり、勤務医の不足が過重労働を生むという悪循環を断ち切ることが大切だ。
 今回、県立病院に新たに採用・派遣される医師はいずれも県外出身者だ。遠方の地での勤務を引き受けてくれた、その志に応える必要がある。
 こうした医師が無理なく働ける環境を整え、いつまでも沖縄に定着してもらえるようにしたい。

(6/27 10:06)

観光庁新設 沖縄誘客の追い風にした

 観光振興の担当部署を統合した「観光庁」(仮称)が2008年度から国土交通省内に新設される方針が固まった。庁の設置によって、観光立国を推進する体制を強化し、外国人客の誘致や観光を起爆剤にした地域再生などを図っていくという。
 沖縄への観光誘客を図る上で、強力な追い風にしたい。
 観光庁が推進することになる、国交省の観光立国推進基本計画案は10年までに外国人旅行者数を1千万人に、日本人の海外旅行者数を2千万人に増やすことを目標に掲げている。
 併せて、外国人旅行者をスムーズに受け入れる態勢づくりを進め、国際会議の国内での開催数を05年の168件から11年までに5割以上増やすことも基本目標に盛り込んだ。一口に観光立国と言っても、国内の観光地がパイの奪い合いをしているだけでは、栄える地域が出る半面、廃れる地域も生まれてしまう。
 国際競争力が高く、外国人の目からも魅力たっぷりの観光地を数多く育てていくことが重要だ。
 とりわけ、亜熱帯の温暖な気候、美しい海、伝統文化など豊富な観光資源を備えた沖縄は、多くの可能性を秘めている。
 県観光商工部のまとめによると、沖縄の昨年の入域観光客は563万7800人となり過去最多を記録した。これに伴い観光収入も初めて4千億円を突破している。
 内訳を見ると、国内客が前年比3・4%増の554万4400人、外国人客は前年比31・6%減の9万3400人だった。
 県は07年度の目標値として、外国人客15万人、国内客を合わせて590万人と設定した。
 目標達成には外国人客を大幅に増やすことが不可欠だが、観光客はただ数さえ増えればいいというわけではない。1人当たりの県内消費額が減少したのでは、十分な経済効果が得られず「豊作貧乏」と化してしまう。
 エステ・スパやエコ・ツーリズムなど、沖縄の特色を生かした体験滞在型の観光商品を数多く開発し国内外に売り込みたいところだ。

(6/27 10:04)

【琉球新報・金口木舌】

 「記憶」を辞書で引くと「物事を忘れずに覚えている、覚えておくこと」とある
▼本紙が慰霊の日を前に実施した県内四十一市町村アンケート調査で、半数以上の自治体が慰霊祭以外に独自の平和事業を行っていると回答した。だが、中には予算ゼロという自治体もあった
▼沖縄戦終結から六十二年の月日が流れた。自治体担当者からは、戦争体験の語り部の減少や財政難などの、平和行政を取り巻く厳しい状況を指摘する声も上がる
▼慰霊の日の前夜、沖縄市中央の小さな飲食店で、沖縄戦と平和について考える集まりがあった。出席者は沖縄戦を実際には体験していない、ほとんどが戦後生まれの人たちだった。彼らは祖父や父母らから伝え聞いた話を語り合った
▼小さな集まりだったかもしれない。だが、「物事を忘れずに覚えておく」には大事な試みだ。こうした試みは人が集まる場所さえあれば、家族や友人同士など、誰とでもできることだ
▼沖縄戦体験者自身が戦争を語ることが不可能になる日はいずれ訪れる。戦争体験の継承は、行政主導の事業に頼るだけのものでもない。県民一人一人が祖父母や父母らから聞いた自らの沖縄戦の記憶を語ること、それも記憶の継承となるはずだ。

(6/27 9:31)


【東京新聞・社説】

ボーナス返納 すり替えではいけない

2007年6月27日

 年金記録不備問題で安倍晋三首相らが夏のボーナス自主返納を決めた。野党などから責任問題のすり替えとの批判が出ている。大切なことは問題の全容を明らかにし、解決に全力を尽くすことだ。

 ボーナスの自主返納は、首相のほか、官房長官、厚生労働相、同副大臣、政務官、事務次官、社会保険庁長官らが率先して行い、社保庁の全職員にも職種のランクに応じた返納を要請する。社保庁幹部のOBにも寄付を求める。

 安倍首相は「けじめをつける」と説明している。社保庁の杜撰(ずさん)な業務で国民・厚生年金加入者、受給者の信頼を裏切った以上、当然と受け止める国民は多いようだ。だが、自主返納は、参院選を目前に控え、窮地に陥った安倍政権のパフォーマンスと受け取れなくもない。少しでも国民からの批判をかわしたいとの狙いがうかがえるからだ。

 社保庁の責任は今後、徹底的に問う必要があるが、ボーナスを自主返納したところで、年金記録不備問題が解決するわけではない。

 優先すべきは、政府が持つ全資料を公表したうえで間違った年金保険料の納付記録をただし、救済する作業日程を明確に示すことだ。それを政府全体で推進すべきだ。ところが、政府はいまだに問題の全容を国民に明らかにしていない。

 政府は社保庁のオンラインシステムに入力されていて該当者不明の五千万件の納付記録の照合を一年以内に終えると確約した。ところが、社保庁改革関連法案、年金時効撤廃特例法案の衆院可決のあと、参院での野党の追及にオンライン未入力の千四百万件の納付記録が五千万件とは別にあることをしぶしぶ認めた。

 その五千万件の納付記録自体、詳細は不明なままである。二千九百万件は受給年齢到達者の記録だが、受給総額が一体幾らになるのか。国会での野党の再三の追及にもかかわらず、政府は公表を拒んでいる。仮に一件平均二十万円の年金が未払いだったとしても総額は約六兆円になる。ボーナスの自主返納で見込まれる総額十億円とは桁(けた)が違うのだ。

 政府は五千万件の照合作業が済めば問題が解決するような、誤解を与える発言は控えるべきである。

 記録不備の原因や責任を明らかにする検証委員会に続き、納付の証拠がない場合に給付の可否を判断する第三者委員会が活動を始めた。検証委の中間報告、第三者委の給付判定基準は参院選の直前に公表される。

 選挙目当ての日程を優先させ、年金受給権の回復という本来の責務をおろそかにしてはならない。

独禁法見直し 制裁強化はやむを得ぬ

2007年6月27日

 談合など独占禁止法違反の制裁強化などを促す報告書がまとまった。公正取引委員会が検事と裁判官役の一部を兼ねる日本独自の審判制度は、国際的にも調和するよう検討を要するのではないか。

 報告書は官房長官の私的懇談会がまとめた。今回の論議は課徴金引き上げなどをめぐって公取委と日本経団連が対立した昨年一月の法改正の“仕切り直し”と位置づけられているが、来年の通常国会を目指す法改正は国内ばかりに目を奪われずに、海外の競争政策も視野に入れて進めるべきだ。

 課徴金の算定率は昨年の改正で大企業製造業の場合、6%から10%に引き上げられているが、報告書は「違反行為の動機づけを失わせるのに十分な水準に」と再引き上げの必要性を指摘した。談合などの主犯格企業への算定率引き上げも明記した。その理由として「欧州に比べ水準が低い」などを挙げている。

 大企業が下請けに買いたたきなどの不公正取引を強いる優越的地位の乱用については、排除命令に加え、新たに課徴金を科す方針を示した。経団連は厳罰化に抵抗を示しているが、警察官を巻き込んで官製談合を主導したゼネコン大手の大林組など、不祥事が後を絶たない現実を見据えるならばやむを得まい。

 ただ「処分早期化などの成果を挙げている」として維持する方針を打ち出した審判制度は、あらためて検討を要するテーマだ。

 日本の現在の審判制度は、公取委が違反行為があると判断すれば処分を下し、不服があれば司法の第一審に相当する公取委の審判で争い、さらに不服があった段階で高裁に持ち込まれる。欧州連合(EU)と米国は、ともに処分後の不服審査はすべて独立した司法に委ねられ、いわば国際標準にもなっている。

 EUは巨額の制裁金で価格カルテルを抑え込むなど、競争政策強化で域内経済を成長させる戦略を進めている。東芝など複数の日本企業が、欧州で販売実績がないのに一社で百億円を超える制裁金を命じられたのは、その典型事例だ。日欧企業が相手国市場への参入を互いに手控えて市場を分割し、価格競争をゆがめたとの認定だが、不服審査は司法の場で行われている。

 公取委には国際カルテルの摘発事例がないが、早晩、外国企業の違反と向き合うことになろう。その際、審判制度の中立性をめぐって外国企業からの反発を招きかねない。

 経済のグローバル化により市場の単一化が進む現在、日本の審判制度も国際標準に近づける必要があるのではないか。

【東京新聞・筆洗】2007年6月27日

 出会った人の誰もが八十歳と思わなかったという。日焼けした肌、しまった足の筋肉。原野亀三郎さんは野宿もできる荷物を積んだスポーツタイプの自転車で、颯爽(さっそう)と風を切っていた▼自転車での日本一周が人生の目標だった。「自給自足をしたい」と東京から一人で移り住んだ長野県内の自宅を昨年四月に出発し、日本海側を北上。北海道を回って日本列島を南下した。鹿児島、沖縄などを経て、当初は今月三十日に帰宅する計画だった。それが五日早まり、悲劇が待っていた。自宅まで約四十キロの地点で大型ダンプカーにはねられて亡くなった▼なぜ原野さんは日本一周を考えたのか。昨年七月、北上の途中で雨に降られて一泊した福島県内の旅館のおかみ村上美保子さんに、心の内を明かしている▼戦争を体験した原野さんには青春がなかった。戦死した戦友には永久に青春がない。「残された自分が青春を楽しまなかったら、あの世に行ったときに彼らにあわせる顔がない。今、青春をしている」のだという。自転車で走ると、戦友と旅を楽しんでいるように感じるとも話していた▼日本一周中の原野さんに出会った人は、みんなファンになっている。穏やかな人柄に加え、学ぶところがあったのだろう。村上さんは「原野さんを知って、年齢を理由にして何かをできないと思うことはやめようと思った」と振り返っている。人生における人との出会いの大きさを感じる▼無念の死になるのだろうが、思い切って旅に出た甲斐(かい)はあった。颯爽と戦友に再会していることを願う。


【河北新報・社説】

株主総会がピーク/丁寧に企業戦略の説明を

 経営陣と「モノ言う株主」の対立、シャンシャン総会の終焉(しゅうえん)―。今年の株主総会の特徴を端的に表現すれば、こうなるだろうか。

 時代は様変わりしており、近い将来、東北の企業の株主総会も決して例外ではあり得ない。

 東証上場の3月期決算企業の半分以上に当たる約960社は28日株主総会を開き、総会シーズンはピークを迎える。

 目立つのは、外資系投資ファンドを中心に、大幅な増配や買収防衛策の廃止を求める株主提案が相次いでいることだ。

 敵対的な株式公開買い付け(TOB)を次々に仕掛け、株主提案を行う米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドは、その典型だろう。

 2002年に日本で投資を始め、40社ほどの株を大量取得しているとみられる。東北では、電気通信工事会社の株を取得、今年3月末で保有比率は5%を超えていた。

 スティールは、江崎グリコやブラザー工業などに大幅増配を提案。現在は、ブルドックソースに対し、TOBを実施中だ。

 これに対抗し、ブルドックソースは新株予約権を使って、スティールの保有株比率を下げる買収防衛策の議案を今月開いた株主総会で提案。株主の3分の2以上が賛成する「特別決議」で承認された。

 だが、スティール側は、新株予約権の発行差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請。事は法廷闘争に発展、近く司法判断が下されることになるという。

 外資に限らず、TBSと楽天のように、会社と株主が提案の優劣を競い、株主に働きかけて議決権を集める委任状の争奪戦も増加している。

 株主要求も多岐におよび、経営トップの聖域だった取締役人事の修正や取締役報酬の公開など、従来あまり例を見ない内容を含んでいるようだ。

 企業の価値を高めて、株主に報いようとする提案や議論は決して悪いことではない。逆に、議論が活発化すれば、企業に新しい道が開ける可能性がある。その点、「モノ言う株主」が増えることにより、企業側にも緊張感が生まれ、好結果にもつながっていくだろう。

 しかし、株を買い占め、高値で売り抜ける「グリーンメーラー」は言うに及ばず、短期的な利益ばかりを優先する提案は、結局は信用されないし、日本の企業風土の中で、生き残れないのではないか。

 大事なのは企業としての理念、目標、長期戦略を綿密に策定した上、従業員の継続雇用などを示すことだろう。

 一方、日本企業は従来、企業同士の株の持ち合いなどを通して基盤が安定していたこともあって、個人株主をおろそかにしてきた面は否めない。経営陣が、経営実態や戦略を丁寧に説明することが必要だ。

 個人株主には、企業を見極める目が求められよう。
 28日の東北の企業の株主総会でも、個人株主の多くが率直な疑問をぶつけ、経営者が真摯(しんし)に答える場面を期待したい。
2007年06月27日水曜日

【河北新報・河北春秋】

 「人気のセ、実力のパ」。プロ野球の両リーグがそう評された時代があった。パが力を見せる舞台となったのが夢の球宴・オールスターゲームだ▼東北楽天の野村克也監督は史上最多、21回の出場を誇る。ホークス時代に自らを「月見草」に例えた名捕手は「ヒマワリ」たちを相手にパの投手陣をリードした。その頭脳をもってしてもこの事態は予想外だったよう

 ▼ 締め切られたオールスターゲーム・ファン投票の最終中間発表。先発投手の新人・田中将大ら楽天の7選手が部門トップ。投票で決まる出場枠12のうち8つまでを楽天勢が占めた▼未集計分を含めた最終結果は来月2日の発表。当選はほぼ確実だ。ただいまリーグ5位。「本旨からは外れている」という監督の戸惑いも分からないではない。が、オールスターは「夢のゲーム」

 ▼大リーグのそれは1933年にシカゴ万博のイベントとして誕生した。リーグが違う「ベーブ・ルースと豪腕ハッベルとの対決が見たい」。少年が夢をつづった一通の手紙がきっかけだった▼大量得票の分析はさておき、楽天勢に投票した少年ファンは少なからずいる。今季第2戦・フルスタ宮城でグラウンドを埋める楽天の選手たちが見たい。そんな「夢」がかない、また別の「夢」を与えてくれそうなのが何よりだ。

2007年06月27日水曜日


【京都新聞・社説】

高松塚解体  保存態勢づくりを急げ

 極彩色壁画をもつ高松塚古墳(奈良県明日香村)の石室解体が「男子群像」の西壁を取り外してほぼ終わった。
 石室をそっくり取り出し、カビによる劣化を防ぐ異例の全面解体は、約三カ月の作業で絵が描かれた壁石や天井の石、計十二枚を近くの修復施設へと運んだ。
 慎重な作業で傷一つつけずに壁画を無事に”救出“できたことを喜びたい。だが問題はこれからどうするかだ。
 カビ繁殖などでくすんだ壁画にかつての美しさをよみがえらせるにはどういう方法があるのか。修復は十年がかりというが、その後は地元展示を含めてどんな保存方法が一番いいのか。
 具体策はなにも決まっていないのだ。文化庁は総合的保存対策を一日も早く明らかにしてもらいたい。
 高松塚古墳で極彩色壁画が見つかったのは三十五年前だ。壁石には、「飛鳥美人」と称される女子群像、「玄武」「白虎」などの四神図、天井の石には天文図がそれぞれ描かれ、七世紀末から八世紀初めとみられる古墳からは大陸文化との強いかかわりがしのばれた。
 極彩色壁画は国宝指定され、その後、近くのキトラ古墳でも発見されたが今もこの二古墳以外では見つかっていない。
 文化庁は高松塚古墳などを部外者の出入り禁止にし、古墳保存を図ってきたがそれがあだとなったようだ。
 六年前に壁面に大量のカビが発生したが、防護服を着ないで石室入り口の天井工事をした直後だった。
 五年前には担当者が作業ミスから壁画を傷つけ、事後処理として、ひそかに石室内の土を殺菌して塗っていた。
 「人災」ともいうべき行為が明らかになったのは、はびこったカビのため壁画が消滅の危機に陥り、石室解体が決まってからだった。
 隠しようがなくなってようやく関係者の口が開いたのだ。長い歳月で「自然劣化」もあり得るが、文化庁が設置した有識者の調査委員会は昨年、庁内の縦割り行政、情報公開への認識の甘さが背景にあることを指摘した。
 古墳を外部の目から遠ざけたことが甘い管理態勢を生んでいたのだ。文化庁が早く気づいていればと、悔やまれる。
 昨年の調査は不十分さも指摘されており、今回の石室解体で新たに判明した壁画の劣化原因もあるだろう。
 それだけに今後の対策を立てるため、壁画の劣化原因と結果の関係をきちんと調べ直すべきだろう。
 文化庁は庁内の風通しをよくすることだ。継続して対応する「高松塚ウオッチャー」の設置も考えてもらいたい。修復や保存対策のために広く国内外から知識や意見を募ることも心がけるべきだ。
 文化庁長官は国民が注視すると思えば簡単に情報隠しはできない、説明義務も出てくるという。まず実行してほしい。

[京都新聞 2007年06月27日掲載]

年金給付基準  「加入者保護」で判断を

 支払った保険料に見合う年金がもらえるのか。消えたままにならないか。
 そんな思いで見守っている人も少なくないだろう。
 不明年金問題で、領収書などの証拠がない場合の給付を審査する「年金記録確認中央第三者委員会」の初会合が開かれた。
 申し立てる人の立場から、給与明細などの間接的資料を検討して判断する、というのが基本的な考えのようだ。
 「消えた年金」は、社会保険庁のずさんな管理によって生じたのだから当然だろう。加入者保護を前提に、できる限り給付を認める方向で判断基準(ガイドライン)づくりを進めてもらいたい。
 昨年八月以降、社保庁に年金記録を照会した人は二百十五万人にのぼる。
 二万人は「証拠がない」として支給申請が却下され、このうち二百八十四人は社保庁の決定を不服として再調査を求めている。第三者委は、まずこの二百八十四件について調査、類型化しガイドラインをつくることになるという。
 肝心なのは、その中身だ。
 第三者委は、間接的資料の具体例として、銀行の振り込みや雇用保険(失業保険)の加入記録などを挙げる。
 政府も「過去の雇い主や同僚の証言」を例示するなど、厚生年金は比較的、資料を集めやすいとみるが、問題は自営業者や主婦らが加入する国民年金だ。
 保険料を自分で納付するため第三者の証言を得るのが難しい。オンライン化した際、「原簿」となる手書き台帳が破棄されている場合は、追跡も期待薄だ。
 保険料を納めたことを記した家計簿なども間接資料として認めるべきだが、残している人は多くないだろう。
 不正受給への留意は必要だが、納税している人の多くは保険料も納めていることから、状況証拠なども加味し、資料として認めるなど柔軟に考えてほしい。
 ガイドラインを受け、実際に審査する地方第三者委員会にも注文がある。
 社会保険事務所に問い合わせ、納得のいかない場合は、全国五十カ所の総務省の出先機関(行政評価事務所)に設けられる地方第三者委に申し立てるが、それがどのくらいの数になるのか、政府もつかみかねているのが実情だ。
 申請が却下された二万人を上回るとの見方もある。「手が回らない」事態にならぬよう、体制を組む必要があろう。
 安倍晋三首相は、自身と厚労相や社保庁長官をはじめ同庁全職員ボーナスの一部の自主返上を決めたが、国民が望んでいるのは問題の本質を明らかにし、対応に全力を挙げることではないか。
 要のガイドラインは七月中にも策定する方針という。参院選前に「救済」の道筋をつけたいとの思惑だろうが、中途半端な内容だと各地方委によって異なる判断が示され、混乱を招く恐れもある。
 明快で納得のいくガイドラインにすることが肝要だ。いま国民の目は厳しい。

[京都新聞 2007年06月27日掲載]

【京都新聞・凡語】

観光庁の新設

 ベルサイユ宮殿「鏡の間」が三年間かけた修復作業を終え、往時の美しさを取り戻したという。本紙が伝える記事の最後に「宮殿には年間一千万人が訪れる」とある▼フランスを代表する名所だ。数字には若干の国内客も含まれるのだろう。それにしても一千万人とは驚く。日本を訪れる外国人観光客は、二〇〇六年で七百三十三万人。一国が、一名所にも及ばないとは▼「観光日本」へ、国土交通省は観光庁を新設する方針を固めた。かねて目標の「二〇一〇年・外国人観光客一千万人」達成を目指すという。ことし一月には、観光立国推進基本法も施行された▼観光庁には、予算配分が複数省にまたがり、ばらばらになっている観光行政を一元化するねらいもある。国交省内の担当課統合だけでは、間に合わない。経産や、環境、文科、総務など各省総ぐるみの実力部隊にすべきだ▼外国人客誘致を進めるヒントは中韓台三カ国だろう。〇六年は、三カ国が訪日外国人客数のベスト3となり、総数で全体の57%を占めた。とくに中国は十年前の約三倍と伸びが著しい▼中韓台を誘致増の中心に位置づけたい。ありのままの日本を体験してもらうことが相互理解の大きな力になる。国交省は一千万人達成で六十五兆円の経済効果を見込む。観光立国が経済狙いだけでよいのか。観光庁には仕事の的を外さないよう望みたい。

[京都新聞 2007年06月27日掲載]


【朝日・社説】2007年06月27日(水曜日)付

社保庁の賞与―民間なら返納では済まぬ

 年金記録をずさんに扱った「おわび」として、上は安倍首相から下は社会保険庁の一職員まで、夏のボーナスの一部を自主返納することになった。

 歴代の厚生労働、厚生省の事務次官や社保庁長官ら幹部職員OB数千人にも寄付を求めるという。

 年金はわれわれの老後の生活を支える資金である。そのために預けた保険料をここまでずさんに扱っておいて、おめおめとボーナスを受け取るのか、というのが国民の気持ちだろう。

 社保庁は「不正のデパート」とまで言われてきた。こんど明らかになった大量の「宙に浮いた記録」「消えた記録」の前にも、年金記録ののぞき見や保険料の無駄づかい、本人の了解を得ない保険料の免除など、でたらめな仕事ぶりが次々と露見している。

 こんな仕事をしていたら、民間企業ならばお客の信頼を失って、とっくに倒産していたはずだ。

 じっさいに、北海道の食品加工卸会社ミートホープは、牛ミンチの偽装や賞味期限の改ざんなど数々の不正が発覚し、廃業の方向となった。その結果、従業員は解雇され、ボーナスはおろか給与さえもらえなくなる。

 これが民間の常識だ。

 公務員の身分は法律で手厚く守られている。そのうえ、年金は政府が徴収・管理していて他に代わりがないから、廃業にもできない。公務員が責任を負わないことに、国民は歯ぎしりしている。

 公務員の給与などは人事院の勧告にもとづいて一律に決まる。現制度では社保庁だけ減額するわけにはいかない。「自主返納」という方法は中途半端だが、現状ではやむをえないだろう。

 若い末端の職員は「古い人の責任なのに」と不満かもしれない。だが、記録の不備で年金を手にできない人の思いを実感する機会と考え、甘受すべきだ。

 安倍首相は、よもやボーナス返納で国民の怒りが収まり、逆風を脱出できると思っているわけではあるまい。

 返納の総額は約10億円。政府は「宙に浮いた年金記録」の支給推計額を明らかにしていないが、共産党は少なくとも3兆円を超えると試算している。

 朝日新聞の世論調査では国民の92%が「まだ怒りが続いている」という。

 返納は「おわび」の気持ちを表すもので、「責任」を明示したわけではない。

 なぜこんな過ちが生じたのか。政府は管理責任や労使関係にメスを入れて解明したうえで、どんな組織がいいのか、あるべき姿を検討するべきだ。

 それなのに政府・与党は、社保庁を六つに分割する改革法案について、28日にも参院の委員会で採決を強行する方向だ。順序が逆ではないか。

 「戦後レジームからの脱却」と叫び、やみくもに法案の成立を強行すれば、国民の年金不信はさらに高まる。参院選で手痛いしっぺ返しを受けるに違いない。

野球特待生―時代に合うルール作りを

 高校野球の特待生をどう考えるか。日本高校野球連盟は二つの方針を決めた。

 ひとつは、いまいる特待生を事実上認めた今年度の暫定措置を、来年度も続けることだ。

 もうひとつは、将来のあり方については有識者による諮問会議を外部に設け、そこで論議してもらうことだ。この第三者機関は10月をめどに結論を出す。

 私たちはこれまで社説で、「特待生をすべて否定するのではなく、行きすぎを防ぐ方法を考えた方がいい」と主張し、第三者機関をつくって幅広く意見を聴くことを提案してきた。

 高野連は第三者機関には白紙の状態で諮問するという。その結論によっては、野球特待生を認めてこなかった従来の原則を見直すということだろう。高野連の新たな方針を歓迎したい。

 結論を出すまであと3カ月しかないが、第三者機関は広い視野で論議し、多くの人が共感できる仕組みを練り上げてほしい。

 特待生制度は陸上やサッカー、バレーボール、卓球、バスケットなど多くの競技にある。しかし、きちんと運用するルールはほとんどない。そこでは不明朗な金の動きを指摘する声も出ている。

 そうした中で、第三者機関を設けてまで取り組むのは、野球が初めてといっていい。影響は高校野球にとどまらず、その意義は大きい。

 第三者機関が特待生を認めるとしても、論議すべき問題はいくつもある。

 まずは、選手を高校にあっせんするブローカーや金銭の授受をどのようにして排除していくかだ。ブローカーを使うなどした高校には何らかのペナルティーを科すことを考えた方がいい。

 特待生は入学金や授業料の免除だけか、ほかの支援も認めるのか。どこかで線引きをしなければならない。特待生制度と表裏の関係にある野球留学にも歯止めをかける必要がある。

 そのうえで、特待生の数や内容を公表すべきだろう。

 そもそも特待生制度を考えるには、学校教育の中でスポーツや芸術活動をどう評価し、位置づけるかまで論議する必要がある。「一芸」をどのように伸ばし、ほかの授業とのバランスをどう取っていくか。論議は広くならざるをえまい。

 もとはといえば、特待生問題が表面化したのは、西武球団の新人発掘をめぐる裏金がきっかけだった。特待生制度が悪用され、ゆがみが生まれる背景のひとつには、プロが中学生や高校生のときから優秀な選手に目をつけ、スカウト活動をしていることがある。

 第三者機関にはプロの代表も入れ、議論を深めた方がいい。

 プロは特待生制度にからんで、何をしてもいいのか、何をしたらいけないのかをきちんと整理する必要がある。それはスポーツ界と教育界とのつながりを改めて考える機会にもなる。

【朝日・天声人語】2007年06月27日(水曜日)付

 伝わるところでは、日本で初めてボーナスを出したのは、三菱の創始者岩崎弥太郎だったという。三菱史料館によれば、明治9年、英国の船会社と上海航路の覇を競い、勝って相手を撤退させた。

 弥太郎は喜んだ。「社中各員別(わ)けて勤勉事務を担任し其(そ)の功績を見ること少なからず」。幹部から給仕まで、給料のほぼ1カ月分にあたる報奨金を奮発したそうだ。ボーナスは働きに報いて支給されたものだった。

 「勤勉事務」とは縁遠かった社会保険庁が、全職員にボーナスの自主返納を求めることになった。幹部から末端までを対象とし、退職者にも応分の「寄付」を求めるという。安倍首相や柳沢厚労相も率先して返納する。官邸主導による、政官あげての「総ざんげ」の趣だ。

 「当然だ」と言う人、「まだ甘い」と収まらない人、さまざまだろう。だが、国民の不満をそらす演出を感じる人も、少なくないのではないか。参院選は1カ月の後に迫っている。

 総ざんげの元祖といえば、終戦直後の「一億総ざんげ」である。その正体を、「緊急の場面に直面した支配層の放ったイカの墨」と突いたのは政治学者の丸山真男だった。今度のざんげも選挙前の目くらましではないのか。いぶかる声も聞こえてくる。

 弥太郎は、英国会社との競争の際、経費節減のために自らの報酬を半分にした。社員もならって3分の1を返上したという。目的のある返納なら張り合いもあろう。だがイカの墨となってやがて消えるなら、国民にも職員にも、残るのはむなしさだけである。


【毎日・社説】

社説:野球特待生 不正の介入許さぬ制度を

 野球特待生をめぐり、日本高校野球連盟は26日、特待生問題私学検討部会と臨時理事会を開き、新たな基準をまとめた。来春の入学予定者に限った暫定措置ながら、加盟校が「スポーツ技能に優れた生徒に対する経済支援を必要とする」と判断した場合、特待制度を適用できることにした。部員、選手を理由とした金品の受け取りを一律に禁止した日本学生野球憲章の規定からは軌道修正となる。

 4月に高野連が「野球特待生の根絶」という強い姿勢を打ち出して以来、肩身の狭い思いをしてきた野球部員やその家族は全国に少なくないが、胸をなでおろしていることだろう。野球部員を特別に厚遇する必要もないが、反対に冷遇する必要もない。高野連の現実的な対応を歓迎したい。

 今回の高野連の措置は、来春の入試要項を早急に取りまとめなければならない私立高校側の要請を受けた暫定的なものだ。従って09年度以降も「スポーツ活動」を考慮した特待制度を容認するのかどうかは今後の検討となる。また、高校に関係しない人物が関与した不正を防ぐための措置もまだ十分ではなく、積み残された課題は少なくない。

 高野連では、学生野球憲章の見直しを含め、有識者による第三者機関で、これらの問題を論議することにしている。広く国民一般の理解を得られる制度を作り上げてもらいたい。

 ただ、今回の高野連の確認事項にもあるように、中学生の勧誘に第三者が介在したり、公表された特待制度を超える金銭などの授受は、教育の一環としての高校野球にふさわしくないのはいうまでもない。今後も厳しく監視し、排除していかなければならない。

 一連の経過を振り返ると、多くの教訓をくみ取ることができる。特待制度に焦点が当てられた発端は、一部の加盟校の明らかな脱線行為だった。プロ球団からの不正な資金の流れに、高校野球関係者が直接関与していたこともわかった。衝撃の強さが高野連の早急な反応を引き出した。

 野球部員の特待制度を採用していたのは大半が私立高校だった。少子化の時代を迎え、特待制度が学校経営に欠かせない役割を果たしている側面もあるが、そこにブローカー的な第三者が介在する余地を残しているのも確かだ。

 一方で、チームスポーツとしての野球は、フェアプレーの精神や「仲間や相手を思いやる気持ち」など、教育的な効果を期待できるスポーツであることも忘れてはならない。野球の持つ特性を教育の中で生かすことができる特待制度を関係者が総がかりで作り上げていく必要がある。

 特待生問題に対する国民の関心の強さは、そのまま高校野球に対する期待の大きさでもある。甲子園から巣立った野球のスター選手がさまざまな場で日本人を元気付けてくれている現実も忘れてはなるまい。高校野球をより愛されるものに育て上げるため、災いを福に転じる好機と考えたい。

毎日新聞 2007年6月27日 東京朝刊

社説:賞与返納 おかしなけじめのつけ方だ

 未曽有の年金記録漏れ問題で、政府は社会保険庁の全職員1万7000人に賞与の一部返納を求めることを決めた。返納額は長官が270万円、部長クラスで100万円、係長クラス7万~13万円、若手職員2万~3万円になる。社保庁職員の労働組合は要求を受け入れる声明を出した。

 社保庁のずさん極まりない仕事ぶりに怒りは高まるばかりで、何らかのけじめをつけるのは当然のことだ。労組も非を認めざるを得なかったのだろう。しかし、原因究明の作業が始まり、責任の所在が明確になっていない段階で、ボーナス一律返納措置は何とも釈然としない。法律に基づいた処分ではなく、行政のトップの意向を優先させた超法規的対応といえる。参院選の逆風を弱めようとの狙いも透けて見え、やるべきことをはき違えているという印象が強い。

 今回の措置はルールに基づいていないので、職員が任意で国庫へ寄付した、という解釈をとるのだろう。責任ある立場の人はともかく、誇りを持って仕事に取り組んでいる若い職員は、突然の「命令」に立場上文句も言えず、従わざるを得ないはずだ。トップの感情一つで「何でもあり」が許される風潮の広がることを憂う。

 塩崎恭久官房長官は記者会見で「(社保庁では)信じられないようなずさんなことが行われてきた。首相も正直、怒っている」と述べ、社保庁全職員に及ぶ事実上の処分に安倍晋三首相の意向が強く働いていることをほのめかした。政府が設置した「年金記録問題検証委員会」の結論が出る前に、職員全員に責任を負わせるような措置は、かえって責任の所在を拡散させてしまうことにならないか。

 年金問題が発覚したあと、政界の景色は一変した。安倍内閣の支持率は急落し、自民党は参院選で苦戦するだろうと伝えられている。首相にとってまさに年金ショックだったろうが、あたふたと対応策を繰り出すものだから、どれも浮ついたものになる。今回の一律返納も、参院選前に国民の怒りを少しでもやわらげようという動機が丸見えなのだ。

 選挙向けのパフォーマンスに心をくだくより、政府が今やらなければならないことは、はっきりしている。(1)保険料を払ったはずなのに年金記録が残っていない人をいかにして救済するか(2)だれに帰属するかわかっていない宙に浮いた記録を早急に統合させる(3)原因の究明と責任の所在を明らかにする--ことだ。ボーナスの返納よりこちらの方が優先度が高いし、国民もそう望んでいるはずだ。

 29日の公務員ボーナス支給を控え、社保庁職員への全額支給は世論の猛反発を受けると、首相官邸内にあせりの気持ちが充満していたことは想像に難くない。しかし、ここは腰を据えて年金制度の不備にも思いをめぐらすべきだ。

 今回の教訓として、職員を悪者にするだけでなく、記録管理に不備は付きものとの前提に立ち、定期的に国民にチェックを受ける仕組みも必要とわかったはずだ。

 何事もせいては事を仕損じる。

毎日新聞 2007年6月27日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:「のんこの茶碗…

 「のんこの茶碗(ちゃわん)、黄檗山金明竹(おうばくさんきんめいちく)、寸胴(ずんどう)の花活(はないけ)、『古池や蛙(カワズ)飛び込む水の音』とある風羅坊正筆の掛け物、沢庵・木庵・隠元禅師張交(はりま)ぜの小屏風(こびょうぶ)……」。店番の与太郎に加賀屋の使いが骨董(こっとう)品を早口でまくし立てて主人に言づてしろという。落語「金明竹」だ▲結局与太郎は加賀屋のだんなが道具を買わず(カワズ)に古池に飛び込んだと主人に伝えた。噺(はなし)を聞く客にも伝言はちんぷんかんぷんだが、「古池や」の句は耳に残っているから笑える。客も与太郎の身になって一緒に伝言ゲームをしたような笑いだ▲伝言ゲームで人は、自分の関心を強く引きつけた言葉を中心に無意識のうちに伝言を作り替えてしまう。やがて伝言は最初と似ても似つかぬものになるのだ。だがゲームならぬ現実で、人命にもかかわる重大な伝言がゆがめられるどころか途中消えてしまったのはどうしたことだろう▲東京の温泉くみ上げ施設爆発事故で、施設を運営する企業グループには天然ガスの危険性や安全対策の必要が温泉調査会社などから伝えられていたという。だが情報は運営の現場にはまったく生かされていない。ガスの安全にかかわる情報だけがどこかですっぽり抜け落ちたのである▲北海道の偽装牛ミンチ事件では、農林水産省に昨年の2月に寄せられた内部告発情報が行方不明になった。北海道庁に連絡したという農水省と、連絡はないという道庁の間の水掛け論も見苦しい。確かなのは告発が偽装を食い止められなかった苦い現実だ▲骨董品を早口でまくし立てる口上ではあるまいし、天然ガスの危険や、食肉偽装などという重大な情報が、人の耳を素通りすることなどありうるのだろうか。もしそれら重大事がはなから関心の外だったというのなら言葉もない。

毎日新聞 2007年6月27日 東京朝刊


【読売・社説】

年金記録確認委 迅速、確実な権利回復が第一だ(6月27日付・読売社説)

 国民の年金受給権をいかに守るか。この委員会が担う役割は大きい。

 総務省に設置された「年金記録確認中央第三者委員会」が活動を開始した。

 記録確認委は、年金保険料を納めたはずなのに記録がなく、本人も領収書を保管していない、といった困難な事例を取り扱う。どんな資料や証言があれば納付が事実と認定するのか。来月中旬をめどに基本方針を示す。

 先に発足した「年金記録問題検証委員会」と両輪を成す第三者機関である。当然のことながら、信頼を失った厚生労働省及び社会保険庁は、両委員会の事務方から排除された。

 総務省が担当することになったのは、安倍首相の意向である。

 保険料をきちんと納めていたのに、年金を受給する権利が損なわれることがあってはならない。だが、あるはずの加入記録がない、と社保庁に申し立てても、保険料の領収書など“直接証拠”がないと、ほとんど門前払いにされてきた。

 現在でも、納得できない場合は社会保険審査会に持ち込めるが、社保庁の判断を覆した事例は極めて少ない。

 今後は、記録確認委が全国50か所に設置する地方委員会で申し立てを受け付ける。地方委で結論がでない場合は中央委に持ち込まれる。

 地方委を構成する弁護士や税理士、社会保険労務士などが、本人と協力して、雇用保険の加入記録や預金通帳の記載内容など、年金保険料を納めていたと推定できる“間接証拠”を探す。

 その結果、本人の主張に筋が通っていると判断すれば、年金記録の訂正を社保庁に勧告する。社保庁は記録確認委の判断に従う。

 委員長の梶谷剛・前日弁連会長は「調査は本人の申し立てを十分に汲(く)み取り、国民の目線で対応する」と語っている。申し立てを信用し尊重する、という姿勢は今後も貫くべきだ。

 嘘(うそ)の申告で不正受給をたくらむ者が現れる恐れはあるが、それを許さぬためにも地方委には経験豊かな元判事を起用するなど、人選が重要になる。

 安倍首相や柳沢厚労相、村瀬社保庁長官らは夏のボーナスを返上し、社保庁の全職員にも一部自主返納を求めるという。だが、これだけでけじめが付くというものではなかろう。

 年金制度への信頼を取り戻す方策は、迅速かつ確実に権利の回復を進めていく以外にない。説得力のある“判例”を積み上げていくことが、記録確認委には求められよう。
(2007年6月27日1時38分  読売新聞)

ブルドック 株主の反感かった投資ファンド(6月27日付・読売社説)

 一般株主の圧倒的多数が、目先の利益ではなく、企業の長期安定成長に軍配をあげた。日本の資本市場の健全性が浮き彫りになったのではないか。

 投資先企業に買収防衛策の撤回や大幅増配を求めている米系投資ファンド、スティール・パートナーズ・ジャパンが、株主総会で連敗している。

 スティールの株式公開買い付け(TOB)に対抗する防衛策導入の是非が問われたブルドックソースの総会では、約8割が会社提案の防衛策を支持した。より強い効力を持つ特別決議に必要な「3分の2以上の賛成」を大きく上回った。

 大幅増配が争われたブラザー工業と因幡電機産業では、スティールの株主提案が、いずれも大差で否決された。

 一連の総会の前、来日したスティールのリヒテンシュタイン代表は「我々は経営者との関係を重視する長期的な投資家だ」「日本の防衛策は世界最悪だ」などと述べた。ブルドックの株主にも、防衛策に反対することが「長期的な会社の利益になる」と支持を呼びかけていた。

 だが、その株主は「百年を超える企業に土足で入ってくるところは許せない」「具体的な経営構想を示していない」などと、スティールに強い反感を示した。株式を買い集めて強引な要求を突き付ける手法への拒絶反応と言えるだろう。

 総会は乗り切ったものの、ブルドックにはまだ難関が残されている。スティールが、防衛策発動の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請したからだ。

 ブルドックの防衛策は、〈1〉7月10日現在の株主に1株につき3株の新株予約権を割り当てる〈2〉ただし、スティールには権利の行使を認めず、ブルドックが約23億円で予約権を買い取る――というものだ。発動されれば、スティールの保有比率は約10%から3%未満に下がる。

 買収の動きを受けた防衛策については東京高裁が2005年、ライブドアに対するニッポン放送の防衛策を巡る裁判で経営者に厳しい判断を示している。

 買収者が自らの利益のために、会社の解体など企業価値を壊そうとしている場合を除き、事後的な防衛策は経営者の保身に当たり「著しく不公正」とした。

 ブルドックの裁判では、東京地裁がスティールの投資手法をどう判断するか、8割の賛成を集めた特別決議の重みをどう評価するか、などが注目される。

 日本企業2社がスティールに初めてTOBを仕掛けられた03年、動揺した2社は法外な増配に追い込まれた。防衛策で対抗するようになったのは一つの進歩だが、経営者はそれに安住せず、株主の支持を得るための努力を続けるべきだ。
(2007年6月27日1時37分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月27日付 編集手帳

 皿の魚を猫が失敬する。皿には魚のにおいが残っている。あとからやってきた別の猫が皿をなめていると、家人にみつかり、とっちめられた◆その光景を見て古人は、人の世も同じだな、と感じたのだろう。「皿なめた猫が科(とが)を負う」という慣用句が生まれた。「食い得」の猫がいれば「叩(たた)かれ損」の猫もいる、と◆年金記録漏れ問題の責任を取り、政府は社会保険庁の全職員に賞与(ボーナス、期末・勤勉手当)の一部返納を求めるという。「賞」という文字も「勤勉」を冠した言葉も、まったくもって不似合いな役所であるのは分かっている◆分かっていてもその“処分”がどうも胸にしっくりこないのは、年金という魚を消失せしめたまま、役人人生を満腹のうちに終えた「食い得」の猫がいれば、皿のそばにいるだけで咎(とが)めを受ける「叩かれ損」の猫もいるからだろう◆安倍政権という船はいま、時化(しけ)の海に立ち往生している。人気取りの波よけ、風よけのつもりならば、世間を甘く見すぎている。社会保険庁に向けた首相の怒りが年金問題の着実な解決につながらなければ、賞与返納に意味はない◆英語の猫「キャット」には、動詞で「錨(いかり)を揚げる」という意味もある。政権の肌を鋭い爪(つめ)で引っ掻(か)くか。波浪を鎮め、航海を再び始める一助となるか。奇策の答えはまだ出ない。
(2007年6月27日1時55分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】社保庁賞与返納 国民感情はおさまらない

 当然な行為であるが、これで帳消しにしたら国民は納得しないだろう。政府が社会保険庁の年金記録紛失問題の責任を取り、急遽(きゅうきょ)決定した夏のボーナス(29日支給予定)返納である。

 年金記録の紛失問題については、その原因を究明し、責任の所在を明らかにするため、第三者機関の検証委員会が問題点を洗い出している最中である。26日夜も2回目の委員会が開かれた。秋には出される検証委の報告書を受け、政府が厳正な処分を下すことが肝要だ。それがけじめであり、国民の期待はそこにあるのではないか。

 夏のボーナスについては、安倍晋三首相、塩崎恭久官房長官、柳沢伯夫厚生労働相などのほか、厚労省事務次官と社保庁長官も全額返納する。

 社保庁の1万7000人の全職員にも自主的に50%~5%の返納を求め、職員OBにも同じ程度の金額を国庫へ寄付するよう求めた。

 社保庁職員は仕事をまじめにこなさず、その結果、年金記録紛失などのさまざまな問題が露呈し、社保庁は“不祥事の百貨店”とまで揶揄(やゆ)され、国民の信頼を完全に失った。

 この社保庁が仮に民間企業だったらどうなるだろうか。ボーナス返納どころの事態では済まない。経営が行き詰まり、会社自体が存続しなくなる倒産の危機に直面する。株主に対する責任もある。給与カットは言うまでもないだろう。

 ただ、公務員の場合、法的に懲戒処分の対象とならない限り、減給はできない。それゆえ今回は、自主的返納となったという。

 社保庁問題の根っこには、労使の異常なまでの癒着がある。

 社保庁は年金記録システムのオンライン化を導入するため、昭和54年ごろから、仕事を制限する非常識な覚書を自治労国費評議会(現・全国社会保険職員労働組合)といくつも結んできた。長官をはじめとする少数の厚労省キャリアは年金実務に疎いうえ、自らの出世を先に考え、この体質を改革しようとしなかった。

 こうした体質を改めるのが、職員を非公務員化して社保庁を解体する社保庁改革関連法案である。ぜひ、この法案を今国会で成立させ、社保庁を真に年金制度を支える組織に変えたい。

(2007/06/27 04:36)

【主張】総連差し押さえ 強制執行を突破口にせよ

 整理回収機構(RCC)の朝鮮総連に対する627億円の債権回収問題で、東京地裁はRCCの強制執行の申し立てを認める決定を出し、RCCは総連中央本部(東京都千代田区)などを差し押さえる強制執行の手続きに入った。また、債権回収をめぐる訴訟で敗訴した総連は控訴を断念した。

 これにより、北朝鮮の大使館的な機能を持ち在日朝鮮人のシンボル的な存在だった総連中央本部は、競売を経て明け渡されることが確実になった。当然の結末といえる。RCCは粛々と強制執行の手続きを実行すべきだ。

 総連が先の判決で敗訴する前に発覚した中央本部の仮装売買事件は、強制執行を免れるためのものだった。購入を引き受けた緒方重威元公安調査庁長官は「実質的な大使館を守ってあげなければと思った」と話し、総連の代理人である土屋公献元日弁連会長も「在日の人が総連というよりどころを失ってしまう。何としても本拠は守らなければならない」と説明していた。

 もともと、この問題は破綻(はたん)した朝銀信用組合の不正融資事件に端を発している。この事件で朝鮮総連の当時の財政局長が警視庁に逮捕されるなど総連中枢が深くかかわっていたことが明らかになっている。朝銀信組の破綻処理には1兆円を超える公的資金が投入された。公的なRCCが、それを回収するために総連中央本部を差し押さえるのは当たり前である。

 北朝鮮の大使館的な機能は、中央本部以外の場所でも可能だ。土屋、緒方両氏の説明は、強制執行の回避を正当化する理由にはなっていない。

 総連中央本部の仮装売買をめぐり、緒方元長官らが出資の裏付けがないまま総連側と売買契約を結んでいた疑いや、5年後に3億5000万円を上乗せした38億5000万円で総連が買い戻し上乗せ額は緒方氏側の利益になる予定だった疑いも、新たに浮上している。疑惑は深まるばかりだ。

 緒方氏は公安庁長官時代の平成6年3月の衆院予算委員会で、日本から北朝鮮に送られた金について「巷間(こうかん)600億円とか800億といわれている」と答弁し、当時は「踏み込んだ発言」(警察関係者)と評価された。総連を通じた北への不正送金についても、検察当局などの徹底解明を期待する。

(2007/06/27 04:36)

【産経抄】

 戦前の爆笑王・桂春団治は、天才的な話術と破天荒な生き方でなにわの人気者だったが、希代のトラブルメーカーでもあった。昭和5年、所属していた吉本興業に無断でラジオに出演し、会社に損害を与えたと財産の差し押さえを食らったのである。

 ▼執行官が家財道具にぺたぺたと差し押さえの紙をはっていると、春団治はその1枚を破りとって自らの口にはった。わが口舌こそ最大の財産だと芸人の意地をみせ、ピンチをギャグに変えたこの逸話は、春団治伝説の白眉(はくび)だ。

 ▼家具や電化製品にまで差し押さえの紙をはられるくらい屈辱的なことはない、とは経験者の話である。きのう在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の活動拠点である中央本部が整理回収機構によって事実上、差し押さえられた。許宗萬責任副議長ら幹部のみなさんはさぞ悔しかろう。

 ▼ かつての朝鮮総連なら、商工人と呼ばれる在日の実業家から本部差し押さえを免れるため必要な数十億円のカネを即座にかき集められたはずだ。だが、日本人拉致事件に対して真剣な反省をせず、本国の核実験強行になんの反対もしないでは、常識ある商工人たちの心が離れていったのも当然だ。

 ▼それにしても朝鮮総連経由で多額の献上金や贈り物を受け取ったはずの金正日ファミリーからまったく助け舟が出ないのは、どうしたことか。いまや総連に代わって韓国がコメや重油をせっせと運んでくれるからもう用はないのだろう。

 ▼米国のヒル国務次官補もお友達になってくれているから体制も安泰だ。将軍様にとってカネの切れ目が縁の切れ目なのだ。許副議長もいつまでも逃げ回っていないで真相を話されてはいかがだろう。それとも春団治ばりに口に差し押さえの紙でもはりますか。

(2007/06/27 04:36)


【日経・社説】

社説 談合根絶へ実効ある独禁法再改正を(6/27)

 官房長官が主宰する独占禁止法基本問題懇談会が独禁法違反企業への制裁強化を検討すべきだとの意見を盛り込んだ報告書をまとめた。

 競争政策の強化によって企業に技術革新やコスト削減を促すことは、消費者の利益を高め日本経済を強くする。経営者に入札談合やカルテルを断じて許さない仕組みが不可欠だ。カルテルや談合に対する制裁強化は世界的な流れでもある。来年の国会では独禁法の再改正が予定されており、政府は違法根絶へ実効ある改正案づくりを進めるべきである。

 制裁強化は世界の流れ

 現行の改正独禁法は2005年に成立、06年1月に施行した。改正に反対していた日本経団連や自民党の一部議員の意見をいれて2年後に見直すことになっていた。

 前回の改正は課徴金制度について算定率の引き上げや違反事実を公正取引委員会に申告した企業への減免制度など違反の摘発を容易にし、抑止力を強めることに重点をおいた。

 これが功を奏して旧首都高速道路公団のトンネル設備工事、国土交通省のダム用水門工事などの談合事件が摘発された。特に企業側の告白によって、あまり表に出なかった官製談合が相次ぎ明るみに出た。とはいえ、名古屋市営地下鉄をめぐる談合など、改正法の施行後も違法行為が続いていた例がある。前回の法改正で違反抑止力は高まったが、談合根絶にはなお十分とはいえまい。

 抑止力強化には第1に、事件を犯した企業にとって「割に合わない」水準にまで課徴金を上げることが必要だ。前回改正では大手製造業や建設業の課徴金算定率を違反で得た売上高の6%から10%にした。違反を繰り返した企業は15%に割り増し、早くやめれば8%に割り引く。

 それでも国際的にみると日本の課徴金はまだ低い。欧州連合(EU)の欧州委員会は1月、変電設備装置の国際カルテルで日欧10社に総額1200億円の制裁金を命じた。独シーメンスには1社で610億円だ。米国はビタミン剤の国際カルテルでスイスのロシュに罰金5億ドルを科した。日本はごみ処理施設の談合で5社に計270億円の課徴金の納付命令が出たのが最高だ。上限5億円の罰金を併科する可能性を考えても軽い。「談合は、ばれてもともと」という不届きな考えを経営者が捨て去る水準にまで高めるのが妥当だ。

 懇談会は談合などで主導的役割を果たした企業に課徴金を加算する考え方を示した。主導的かどうかを判断するのは難しいが、もし客観性の高い判断基準をつくれるなら、課徴金の加算は十分検討に値する。

 第2に、課徴金の時効の延長が欠かせない。日本は3年だが、米国は5年、EUは当局が調査を始めるまでに5年、調査開始後さらに5年の通算10年だ。グローバル化で日本企業が国際カルテルに加担する例も増えており、そうした違反を摘発しやすくするためにも期間を欧米にそろえるのは急がれる課題である。

 また懇談会は重大な違反行為に対して課徴金という行政罰と刑事罰を併科する現状について、維持が適当とした。課徴金は違反行為の影響度に応じて金銭上の不利益を課すもの、刑事罰は犯罪行為であることを明確にするもので、性格が異なる。また刑事罰は企業の名誉を著しく損なうから、違反を防ぐのには捨てがたい。脱税でも重加算税という行政処分と刑事罰が併存する。独禁法についても両方あって良いはずだ。

 また企業が極端な値下げなどで他社の参入を妨げたり追い出したりする「排除型私的独占」や「優越的地位の乱用」などを新たに課徴金の対象とする考え方を述べている。これらの行為は実際には正当な競争か不正かを区別しにくい。安売りは消費者にとってありがたいことでもある。課徴金をかける場合にはその基準を明確にしておくのが重要だ。

 審判制の透明性高めよ

 課徴金の納付命令などに企業側が納得できない場合に開く行政審判のあり方も論点となった。現在は公取委内の組織がその審判も手がけている。経団連は公取委が検事と裁判官の二役を兼ねているようなものだと主張し、審判を廃止して地方裁判所へ直接提訴する制度を求めている。

 行政不服審査は国民から見て透明性と独立性が確保されていることが不可欠だ。その点で経団連の主張には一理ある。だが、独禁法違反を裁くには専門性を必要とするので、大型談合の摘発が相次いでいる現状を考えれば行政不服審判を残すのはやむを得ない。当面は法曹資格を持つ外部からの審判官(7人中4人)をさらに増やすなど独立性を高める工夫が求められる。長期的には地裁への直接提訴方式も検討課題になろう。

 独禁法再改正の目標は納税者と消費者の利益をより高めることにおくべきだ。競争政策の強化を通じて企業の創意工夫を最大限引き出す仕組みを目指さなければならない。

【日経・春秋】(6/27)

 「感激に打ち震えながら、頭の中が徐々にはっきりしていく。ことばの神秘の扉が開かれたのである」。1歳半で視覚と聴覚を失ったヘレン・ケラーは、家庭教師のサリバン先生の助けで言葉というものを知った感覚を、そう自伝(新潮文庫)に書いている。

▼1880年の今日が誕生日のヘレン・ケラーが「奇跡の人」として生まれ直したのは、サリバン先生の指が記す文字を手のひらで感じ取った、このときだ。「waterが、私の手の上に流れ落ちる、このすてきな冷たいもののことだとわかった」瞬間に魂が目覚めたと回想するのだから。

▼安倍晋三首相、官房長官、厚生労働相が、保険料記録漏れなどで「年金不安」を生じさせたのをわびて、夏の賞与を一部返上すると発表した。それなら私たちは全額を、と厚労次官、社保庁長官が続き、社保庁では全職員に半額から5%の返納を呼び掛けた。反省を目に見える形で示し「けじめをつける」そうだ。

▼野党幹部のようにパフォーマンスなどとけなすまい。ただ「奇跡の人」は、目に見えるものよりずっと強い力を言葉が持つことを教えてくれる。言葉によって「光と希望と喜びを手にし、牢獄(ろうごく)から解放された」というほどだ。年金不安の深い闇は、政治が発する説明の言葉の“光”がなければなくせるものではない。


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