« 安倍についてはバナーにしたいネタが出まくりで、こんなのってあるのだろうか。もういい加減作るの嫌なのだが、。(笑) | トップページ | 6月15日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。 »

2007年6月14日 (木)

6月14日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年6月14日朝刊)

[マングースの脅威]世界に誇る自然遺産守れ

 国頭村安波で捕獲されたマングースの胃などから、絶滅が心配されている国指定特別天然記念物ノグチゲラの羽毛が見つかった。

 マングースが、もう一つの希少種である「飛べない鳥」ヤンバルクイナを捕食することは知られていたが、今回、NPO法人どうぶつたちの病院(うるま市)の調査で、飛ぶことができるノグチゲラも捕食している実態が明らかになった。

 飛べないヤンバルクイナは、ほとんど地上で生活しているためにマングースに襲われやすいと考えられてきた。

 しかし、ノグチゲラも餌を探して地面に下りることがあり、そこをマングースに襲われるものとみられている。

 であれば、ヤンバルクイナやノグチゲラだけでなく、地上付近に生息するあらゆる希少種、在来種がマングースに食べられている可能性が高い。

 実際にマングースの内臓からは、鳥類ではアカヒゲやシロハラの羽毛も検出されたという。

 広範囲にわたるマングースの捕食活動をうかがわせ、希少種への被害は予想以上に深刻化しているといえる。

 マングースは、もともと猛毒のハブやネズミ退治の目的で一九一〇年に沖縄本島、七九年に奄美大島に持ち込まれた。

 安易な移入種の持ち込みが貴重な野生生物を絶滅させる危険があることを、私たちはあらためて認識し、今後の保護対策に生かさなければならない。

 ヤンバルクイナやノグチゲラは、天敵化したマングースに襲われるだけでなく、捨て犬や野猫による捕食、さらに人間による交通事故が追い打ちをかけている。

 二〇〇五年には、国頭村に野生生物のための「救命救急センター」が開設され、「クイナ保護シェルター」も整備された。まさに人災といえよう。

 環境省は、ヤンバルクイナの保護対策として「飼育下での繁殖実験」に乗り出し、沖縄総合事務局は輪禍防止のための防止柵(クイナフェンス)の設置に取り掛かっている。

 環境省那覇自然環境事務所は、〇六年度のマングース防除事業で国頭村を中心に二百八十二匹を捕獲したが、依然ヤンバルクイナなど希少種への影響が懸念されている。駆除対策は思うように進んでいないのが実情だ。

 だが、希少生物が数多く生息するからこそ「やんばるの森」は、世界に誇れる自然遺産である。

 やんばるの国立公園化、ひいては世界自然遺産登録という県民の「夢」をつぶしてはなるまい。

[集団的自衛権]行使容認の結論は拙速だ

 結論はもう出ているようだ。集団的自衛権に関する政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)の議論は、そう見える。

 懇談会では、公海上での自衛隊艦船による米軍艦船防護の可否について、「集団的自衛権行使」と位置付けた上で、実施可能にすべきとの意見が大勢を占めた。今秋にまとめる報告書で、少なくとも米軍艦船防護に関して、集団的自衛権行使を容認するための憲法の解釈変更や改正を求める方向というから、あまりに手回しが良すぎる。というより、拙速にすぎないか。

 一言で米軍艦船の防護というが、実際にはさまざまな場面、状況が想定される。懇談会では、想定される主な状況として(1)平時(2)情勢緊迫時(3)我が国に対する武力発生時―に区分し、六つの類型について議論したというが、十分に議論が尽くされたとは思えない。

 事実、懇談会後の記者説明で、柳井座長は「実際には色々なケースがあり得、まとめて議論するのは難しいので『平時』『情勢緊迫時』『武力攻撃発生時』と横軸で分け、米艦との距離を縦軸で考えた」と述べ、実際の状況想定の複雑さを認めている。

 そもそも、この懇談会は、さまざまな立場の有識者を集めて議論させ、意見を集約する形式とは程遠い。共同通信の調べでは、メンバー十三人のうち十二人は過去に国会に参考人として呼ばれた際の発言や論文などで、集団的自衛権の行使は違憲とする政府解釈を批判したり、解釈変更を求めている。設置当初から「結論ありき」との批判が付きまとうゆえんだ。

 安倍晋三首相が、こうした懇談会の報告書を踏まえ、集団的自衛権行使の一部容認に向け動き出すことは想像に難くない。

 七月の参院選は「年金」が大きな争点になりそうだが、有権者は集団的自衛権行使の取り扱いについても注視すべきだろう。安倍政権の「シナリオ」は着々進んでおり、国民は年金問題だけに目を奪われてはならない。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月14日 朝刊 1面)

 「チムグクル」の意を問われ、答えに窮する学生たちの姿に少々戸惑った。方言離れが著しいとはいえ、ウチナーグチの代表的な言葉さえ失いつつあるのか。

 沖縄海邦銀行が中心となり、一九九八年から始まった「海邦懇話会」。首都圏の大学に通う県出身者に、故郷の先輩から社会人としての心構えなどを聞く講演会での一コマだった。

 やんばるでホテル業を営む前田裕子さんは、「チムグクルを持ってお客様をもてなす」を経営理念の第一に掲げている。相手を思いやる心という解釈に加えて、沖縄の歴史や文化を学び、ウチナーンチュとしての誇りを持ってほしいとの願いを込めている。

 かつて、ふるさとを離れて生活する県人は偏見と差別の中で苦労を重ねた。詩人山之口貘の代表作「座布団」は、マイノリティーとしての悲哀がにじんでいる。異文化になじめず、さりとて郷里は遠い。詩は「住み慣れぬ世界がさびしいよ」と結んでいる。

 離れているからこそ、その場所を強く感じ、存在は大きくなる。戦後、三十四年ぶりにふるさとの土を踏んだ貘は、大和口を話すウチナーンチュに失望し、しばらく筆が取れなかったという。

 県外で学ぶ学生たちは、貘が苦悩した時代と大きく違う環境に身を置き、気後れすることもない。貴重な学生生活の中で、異文化に積極的に溶け込み、交流を深めることが自身のふるさとを知ることになり、チムグクルも磨かれる。(石川達也)


【琉球新報・社説】

希少種の脅威 多様なマングース対策急務

 国頭村安波で昨年12月に捕獲されたマングースが、国の特別天然記念物ノグチゲラを捕食していたことが特定非営利活動法人(NPO法人)「どうぶつたちの病院」の調査で分かった。
 ヤンバルクイナなど地上で生活する希少生物にとどまらず、鳥類もマングースに捕食されていることは、本島北部に生息するすべての貴重な生き物が重大な危機に直面していることにほかならない。
 早急に手を打たなければ、希少種が絶滅する危険性はこれまで以上に高くなる。希少種の保護に向けたマングース対策に、官民が強力に取り組む必要がある。
 ノグチゲラは本島北部にだけ生息する一属一種のキツツキである。国際的鳥獣保護団体バードライフ・インターナショナルによると、推定個体数は最大で580羽でしかない。マングースからの被害を防がなければ、危機的状況に陥ることは確実だろう。
 環境省と県はSFライン(大宜味村塩屋―東村の福地ダム)で、マングースの北上防止柵を設置しているが、マングースはそれ以前に同ライン北側に生息域を拡大している。県などではマングースの捕獲に努めている。今後は同ライン北側での捕獲にさらに力を入れてもらいたい。
 ノグチゲラの生息域には以前、肉食の哺乳(ほにゅう)類はいなかった。今はマングースの餌になる危険にさらされながら、生息している状況にある。
 国の天然記念物アカヒゲが、マングースに捕食されていたことも併せて分かった。それ以外にも哺乳類、爬虫(はちゅう)類、両生類、昆虫類の希少種が捕食されたことがこれまでに確認されている。
 県内にはマングースの天敵がおらず、人為的な対策でしか被害を防ぐことはできない。同病院ではマングースを誘い込む物質の研究や有効な捕獲わなの開発に取り組んでいる。成果を期待したい。
 県内に生息していたリュウキュウカラスバト、ミヤコショウビン、ダイトウミソサザイ、ダイトウウグイス、ダイトウヤマガラの5種は「レッドデータおきなわ」で「絶滅」とされている。これ以上、絶滅種を増やしてはならない。
 希少種の生存に影響を与えているのはマングースだけではない。ハシブトガラスがノグチゲラのひなを襲うことも確認されている。野生化したネコに捕食されるケースもある。
 北部では1940年代から80年代にかけてダムなどの開発が進められ、貴重種の生息域は狭まった。東村では米軍のヘリ着陸帯の建設が予定されている。
 希少種すべての脅威に対する多様な対策を早急に実施することが求められている。

(6/14 10:00)

じん肺訴訟和解へ 国は抜本的防止策と謝罪を

 国発注のトンネル工事に従事し、じん肺になった元作業員ら約960人が国に損害賠償を求めた集団訴訟で、国と原告が近く和解する方向となった。国は再発防止策を強化し、原告側は総額約32億円に上るとみられる賠償請求を取りやめ、訴訟を終結する見込みである。
 原告側は元請け各社に対する訴訟で、元請け側が和解金を支払うことで和解。国に対しては「賠償請求は裁判上の手段」とし、再発防止策を引き出すことを主眼に置いてきた。国の政策転換は原告側の実質的な勝訴といえよう。
 全国11地裁で起こされた訴訟はこれまでに東京、熊本、仙台、徳島、松山の5地裁がいずれも国が粉じん対策を怠ったと認定、国に賠償金の支払いを命じている。
 一審で5連敗した国がこれ以上争っても、勝訴する見込みはほとんどないと言っていい。国が和解に応じたことは、粉じん被害を防ぐ上で、賢明な判断である。
 これまで国は、トンネル工事作業員の健康に十分な注意を払ってきたとは言い難い。
 国の対策は炭鉱や金属鉱山の作業員を主な対象としていた。国が対策を怠ったと東京地裁などが指摘した粉じん濃度の測定は金属鉱山では1988年、炭鉱でも91年には義務化されている。
 トンネル工事での粉じん濃度測定を求めるガイドラインは2000年に定められたが、いまだに義務付けされていない。
 国の怠慢は明らかである。東北訴訟の原告の1人は和解について「努力が報われたが、まずは原告に謝ってほしい」と述べている。国は原告に謝罪してほしい。
 和解によって国は現行の粉じん障害防止規則を改正し、粉じん濃度の定期的測定、作業員へのマスク支給と装着、換気の義務付けなどを盛り込む見込みである。
 原告側が国を突き動かしたことで、トンネル工事で働く人たちの健康確保が前進することが期待される。
 沖縄を含む原告が裁判を通して国に強く求めていたのは、じん肺被害の根絶だった。国は抜本的対策を講じてもらいたい。

(6/14 9:57)

【琉球新報・金口木舌】

 夏が近づくにつれてナーベーラー(ヘチマ)の味覚が恋しくなってきた。東京ではなかなか手に入らず、沖縄から送ってもらわなければ、家庭で味わうことは難しい
▼すっかり“全国区”に躍り出たゴーヤーに比べ、こちらは食材としての認知度は低い。インターネット上で「ヘチマ」を検索しても、化粧水やあかすりとしての用途を紹介するホームページがほとんどだ
▼ゴーヤーとナーベーラーの料理本「緑のカーテンの恵みを食べよう」をこのほど出版した県出身の元小学校長、高山厚子さんは「食材としての魅力を全国に広げたい。沖縄の生産者も情報を発信してほしい」と意気込む
▼本ではナーベーラーを使ったマリネやサラダも紹介。「ナーベーラーはンブシー(みそ煮)が1番」と思い込む筆者には新鮮だ。「食べる時期や調理法を工夫してほしい。食材としての良さを見直して」と高山さん
▼沖縄の食材を使って、味覚と視覚を満足させてくれる沖縄料理店は都内にもある。プロの腕前には及ばなくても、食材の良さを引き出すちょっとした知恵と工夫は、食生活を豊かにするだろう
▼ナーベーラーの旬はこれから。この夏はンブシー以外の料理にも挑戦したい。

(6/14 9:47)


【東京新聞・社説】

政治とカネ こんなもので幕引きか

2007年6月14日

 「政治とカネ」の問題をめぐる政治資金規正法改正案が衆院特別委で可決された。いつもながら「抜け道」が残る。閣僚らの不透明な事務所費も依然、闇の中だ。これで幕引きにしてはならない。

 与党はきょうの衆院本会議で改正案を通過させ、今国会で成立させる方針だ。週内には自殺した松岡利勝前農相の追悼演説もある。これで「何とか還元水」問題など一連の疑惑を一件落着させるつもりなら虫がよすぎる。

 可決された与党案は資金管理団体に限り、五万円以上の事務所費や光熱水費などの経常経費に領収書の添付を義務づける。資金管理団体による不動産の取得も禁止し、すでに所有している物件についても用途などを報告する義務を課す。

 政治家の多くは資金管理団体のほかに複数の政治団体を持つ。資金管理団体以外の政治団体に支出を付け替えれば、これまでと同じく領収書なしがまかり通る。五万円未満に分割すれば報告義務を免れる。野党がザル法と批判するのも当然だ。

 すべての政治団体を対象にし、「一万円超」からの領収書添付を義務づける民主党案の方がまだましだろう。選挙向けのパフォーマンスのにおいもするが、小沢一郎代表は改正案が成立した場合、所有する不動産を手放す考えも表明した。

 大詰めで民主党は領収書が必要な額について与党案の「五万円以上」に歩み寄り、対象の政治団体は政治家が代表を務めるものに限るという妥協案を示した。

 修正協議には与党も応じたが、結局「ゼロ回答」で、わずか七時間の委員会審議で押し切った。法改正を実績に世論の批判をかわし、参院選に臨みたいのだろうが、こんなやり方で国民の理解は得られない。

 中途半端な制度改革で幕切れになりそうな背景には、安倍晋三首相の人ごとのような消極姿勢もある。

 昨年暮れの佐田玄一郎前行革相の不正経理問題を皮切りに、松岡氏や伊吹文明文部科学相、中川昭一・自民党政調会長の事務所費問題が発覚しても「法にのっとって適切に処理していると報告を受けている」と繰り返してきた。政治資金制度の抜本改革も与野党で十分議論することを期待すると述べるだけだった。

 伊吹氏も中川氏もまだ十分に説明責任を果たしていない。松岡氏の後任の赤城徳彦農相にも「違法献金」が指摘されている。こんな調子では国民の政治不信は解けない。

 参院選では「政治とカネ」も争点の一つになる。ほおかぶりしたまま逃げ切れると思わない方がいい。

一票の格差 合憲判断は出されたが

2007年6月14日

 最高裁は二〇〇五年の衆院選での「一票の格差」を合憲としたが、現行の議席配分方式を「違憲」とする反対意見も出された。国会は現状を放置せず、制度見直しに取り組んでいくべきだ。

 〇五年九月の衆院選では小選挙区での一票の最大格差は二・一七倍だったが、大法廷十五裁判官の多数意見は「現行方式は国会の裁量の範囲内。投票価値の不平等は違憲に至っていない」ということだった。

 一九九六年十月の総選挙で二・三一倍だった格差にも最高裁は合憲としている。定数配分の技術的困難さなどから、二倍をやや上回る程度では「許容範囲内」というのが見解のようだ。

 ただ、二倍というのは一人の有権者が二票持つことに等しい。「二倍以上が九選挙区あり、そうなった事情に合理性がない」(横尾和子裁判官)との反対意見はもっともだ。

 国会は、五年ごとの国勢調査の結果を基に定数配分などの見直しを行うことにしている。二〇〇〇年の調査結果から配分を五増五減したうえで、〇五年の総選挙は行われた。

 その後も格差は拡大している。昨年九月二日現在では、最大で二・二〇倍まで広がり、二倍を超えた選挙区は三十四にのぼった。今回は「合憲」のお墨付きをもらったが、このまま放置すれば、いずれは三倍を超える状態になるだろう。そうなると、配分変更だけでは手詰まりとなり、抜本的改革が必要になる。

 格差が生じるのは「一人別枠」という配分方式に大きな原因がある。この方式は、都道府県に一議席を割り当てた後、残る議席を人口に比例して配分している。このため、過疎地に過剰配分され、比例配分ならゼロか一つの鳥取県などにも議席が二つずつ与えられている。

 判決ではこの方式を問題視する見解も付された。四人は「合理性が乏しい」と意見を出し、このうち藤田宙靖裁判官は「仮に二倍未満でも合憲か重大な疑問がある」とした。四人とは別に泉徳治裁判官は「過疎対策は国会で審議すべき政策。この方式は違憲」と反対意見を述べた。

 衆院小選挙区の定数三百を単純に比例配分するという方式もある。法の下の平等という点では理にかなう。最初に都道府県に一つ割り当てなくても、過疎県に二選挙区が確保され、格差が現状よりも是正される方式があるかもしれない。国民を巻き込んで議論を深め、検討してほしい。

 自らの利害にかかわるゆえか、国会は消極的姿勢をとっている。司法判断に委ねて責任を放棄するのは国権の最高機関にふさわしくない。

【東京新聞・筆洗】2007年6月14日

 「じん(塵)肺」とは、長年の間、肺に粉じんを吸い込み、肺機能が低下する職業病をいう。炭鉱や採石場、アスベスト(石綿)を扱う現場などで働く 人たちが苦しんだ。一九六〇年には、じん肺法もできている▼国発注のトンネル工事で、コンクリート粉じんの防止対策を怠った国の責任を問う「全国トンネル じん肺根絶訴訟」で、国は厚生労働省令を改正して対策に取り組むことを条件に和解することを決めた。今ごろまだそんなことを言っているのかという驚きが先 に立つ▼防止対策については二〇〇四年に、福岡の炭鉱労働者が起こした「筑豊じん肺訴訟」判決で、最高裁は「粉じん防止の規制権限を行使しなかったことは 違法」とし、「省令制定」についても「立法不作為の違法」を明確に指摘している▼今回の和解条件となった「現場で粉じんを測定し、換気を義務づけ、防じん マスクの着用や、労働時間を制限する」など、当然のことだろう。年金の電算入力事務では、社保庁職員と「一日五千タッチまで、四十五分につき休憩十五分」 の協定をあんなに手際よく結んだというのに▼近刊の写真集『筑豊 ヤマが燃えていた頃(ころ)』(井手川泰子編、河出書房新社)には、炭じんで全身真っ黒 の炭鉱労働者と子どもたちの入浴風景や、屈託ない笑顔が懐かしい▼六〇年代までに全国の炭鉱は“なだれ閉山”し、労働者たちは全国に散った。所在がつかめ ず、写真のネガ探しに苦労したと担当編集者。彼らは老後もじん肺に苦しみ、年金だって満足に受け取れていなかったのではないか。


【河北新報・社説】

トンネルじん肺和解へ/国はまず謝罪し、根絶策を

 国発注のトンネル工事でじん肺になった元作業員ら約960人が国に損害賠償を求め、仙台地裁など全国11地裁に起こした集団訴訟は、国と原告側が近く和解する見通しとなった。

 東京地裁が昨年7月、初めて国の責任を認め、その後、熊本、仙台、徳島、松山の4地裁でも、国が相次いで敗訴した5連敗の司法判断の流れの中、国がやっと重い腰を上げたと言っていいだろう。

 工事を請け負ったゼネコンなどに対する訴訟は、既にゼネコン側が和解金を支払うことで和解しており、これでトンネルじん肺訴訟は最終決着する。
 国は、高齢化が進んでいる患者の救済に全力を挙げるとともに、じん肺根絶に向け徹底した取り組みを行う必要がある。

 関係者によると、和解内容は、国が現行の「粉じん障害防止規則」を改正するなどして、(1)公共工事での粉じんの定期的測定(2)掘削作業時の換気の義務化、防じんマスクの装着(3)工事現場での労働時間の8時間以内への短縮―などの対策を講じる。

 この対策と引き替えに、原告側は賠償請求権を放棄。原告団が求めていた訴訟を起こさなくても患者が補償される「基金」の設立も、今回の内容には盛り込まれないようだ。

 和解では、原告団と安倍晋三首相が18日ごろ会談し、首相が患者と遺族にお見舞いと弔意を表明。原告団と厚生労働省など関係省庁が合意して文書を交わす段取りだという。

 この後、20日に弁論期日がある東京高裁での和解を皮切りに、2次提訴を含め、国への賠償を求めて全国の14高・地裁で係争中の「トンネルじん肺訴訟」は、順次和解する予定だ。

 国が方針転換し、和解に応じることは一応評価すべきだが、患者や遺族にとって、ここにたどり着くまでの道のりはとても長かったことだろう。

 国を相手にした訴訟は2002年11月の東京地裁をはじめに、11地裁で提起。ゼネコン相手の訴訟は10年前の1997年5月までさかのぼる。

 この間、東京、仙台など5地裁で立て続けに「じん肺を防ぐための規制を怠った」などとして、国の過失を認定する判決が出たにもかからず、国は控訴してきた。

 じん肺は、粉じんを吸い続けることが原因で、肺機能障害となり、呼吸困難を起こす。完治は難しいとされ、長く患う。

 提訴しながら無念のうちに亡くなった患者や、高齢になるにしたがって、病状がますます悪化している患者もいる。

 返す返すも残念なのは、国がきちんと対策を講じ、被害の拡大を防がなかったことだ。

 和解の前提は、こうした事実をしっかりと把握し、首相がまず衷心より患者と遺族におわびすることだろう。

 そして、企業や作業現場に対する国としての指導が何より求められる。「粉じん障害防止規則」をただ改正するだけでなく、それが実効あるものになっているかどうか監視することが必要だ。もう新たな患者を出してはならない。

2007年06月14日木曜日

【河北新報・河北春秋】

 生活不安の種を取り除こうと何度電話をしても、返答になっていないアナウンスが繰り返される。「ただいま大変込み合っております。しばらくたってからおかけ直しください」。これでは梨(なし)の礫(つぶて)と同じだ▼社会保険庁の24時間無料相談電話「ねんきんあんしんダイヤル」などに11日朝から丸一日で約47万件もの着信があった。が、応対できたのは28件に1件の割合。きのうも似たような状態が続いた

 ▼ インターネットによる加入記録照会も同じ。社保庁ホームページは「アクセス数が多く、つながりにくい状況となっておりまして」とおわびを掲示。安心を提供するはずの入り口にさえ、なかなかたどり着けないのだ▼年金記録不備問題で首相は「最後の一人まで解決する」と語ったものの、不安解消を狙った最初の一歩でつまずいた。窓口がいずれもパンク状態とあっては、不満といら立ちは募るばかりだ

 ▼昔話「さるかに合戦」で母ガニに青い柿の実を投げつけた猿は最後に手痛い仕返しを受ける。どうなるかは別にしても、柿ならぬ梨の礫が、年金行政不信に染まる国民感情を逆なでしたのは確かだ▼電話の件数に「まさかこれほど多いとは」と予想外を強調した社保庁課長。これ以上、想定外の混乱の種をまくのだけは勘弁してもらいたい。

2007年06月14日木曜日


【京都新聞・社説】

骨太の方針  改革へ力不足は否めず

 安倍晋三首相の政権で初めてとなる「骨太の方針」原案が、政府の経済財政諮問会議で了承された。
 ことしの重要政策の基本方針であり、歳出削減を中心に「構造改革をどう進めるか」に注目が集まった。
 原案は、労働生産性を五年間で50%引き上げる目標設定など、成長重視の視点で貫かれている。
 地方の中小企業と金融機関を一体で再生する「地域力再生機構」創設や、「ふるさと納税制度」の検討、温暖化ガス削減を兼ねた「サマータイム」導入など、目新しい施策も数多い。
 盛りだくさんはいいが、諮問会議の民間委員が主張して今回の目玉と期待された「公共事業3%削減」の大目標は外されてしまった。「歳出は最大限削減」と抽象的表現に置き換えられている。
 改革継続のため国民に負担を求める消費税引き上げについても、結論は先送りされた。米国や欧州連合との経済連携協定では、与党農林族議員らが強く抵抗。当初の「交渉加速」の表現が、「課題として検討」に弱められた。
 決まった施策も「ふるさと納税」をはじめ、これから議論を始めるものがほとんどだ。骨太どころか、これでは骨抜きと批判されても仕方がなかろう。
 改革の意気込みが、感じられない。十九日に予定される閣議決定の前に内容を見直し、とくに歳出削減では何らかの数値目標を示すべきだ。
 小泉政権による昨年の骨太方針では、歳出削減は本年度から五年間に最大十四兆三千億円が目標になっている。どのような計画と手法で達成するのか、公共事業3%削減は、国民にわかりやすい目安になるはずだった。
 一年たって改革の取り組みが細ったのは、省庁や族議員からの歳出圧力が強まっているからだ。参院選を前に、地方票の減少につながるような施策に与党の抵抗が強いのは当然としても、政権がそれに屈しては改革は進まない。
 本格的な少子高齢化時代を迎え、構造改革は待ったなしだ。官製談合に見られるようなゆがんだ仕組みや、税金の無駄遣いを一掃しなければならない。
 政官業による既得権構造を打ち壊さないかぎり、国と地方の財政再建も「美しい日本」の実現もなかろう。
 安倍首相は、憲法改正など「戦後レジームからの脱却」だけにこだわるべきではない。経済、財政という基軸の政策にもっとこだわってほしい。
 骨太の方針策定にかかわる諮問会議は安倍政権になって性格が変わってきた。諮問会議と与党が一体で改革を論じるようになり、四人いる民間委員の発言力低下が著しい。
 諮問会議の現状を見直し、小泉政権時代のように、求心力を取り戻す必要があろう。改革の手足として使いこなせるかどうか、首相の実行力が問われる。

[京都新聞 2007年06月14日掲載]

衆院定数判決  国会は合憲に甘えるな

 二〇〇五年九月の衆院小選挙区選挙の「一票の格差」が問われた裁判で、最高裁大法廷は合憲の判断を下した。
 選挙区間の格差は最大二・〇六倍(国勢調査、当日有権者数では二・一七倍)に広がっていた。それでも「憲法の平等原則に反しない」との判断だ。
 衆院の「一票の格差」をめぐっては、一九九六年選挙での最大格差二・三一倍(国勢調査)について、最高裁大法廷は合憲(九九年)としていた。
 今回の判決は、〇二年の公職選挙法改正で区割りが変更され、格差が最大二・五七倍(国勢調査)から縮小して、初めての最高裁の憲法判断となったが、先の大法廷判決を踏襲した形である。
 判決では、十五裁判官のうち島田仁郎長官ら十二人が合憲とした。だが、人口比に関係なく都道府県に議員一人を割り振る「一人別枠規定」や選挙運動の格差に、計六人が「違憲」や「違憲状態」と指摘。事情判決の法理で「違法の宣言」にとどめているのだ。
 現行の選挙制度に重大な問題が潜んでいることを浮き彫りにしている。国会は重く受け取るべきである。
 それにしても多数意見の特色は、今回も「国会の裁量の範囲」を強調していることだ。選挙区間の格差について「二倍を超えたのは九選挙区にとどまる」とか、一人別枠規定も「過疎地への配慮」と容認しているところに見て取れる。
 選挙制度は議会制民主主義の土台である。「一人一票」という投票価値の平等が基本だ。現行の区割りでは「一対二」を超える選挙区の解消が難しいだけに、看過できない。司法が立法に遠慮していると見られても仕方なかろう。
 「平等が基本」の選挙運動で、候補者が無所属か既成政党所属かで政見放送やポスターの扱いなどに「程度の違いを超えた差異」をもたらしているのは明らかだ。政党本位、政策本位の選挙を目指すという合理性を超えている。
 今回の判決は「次は違憲」との警告と受け止めてしかるべきだ。
 〇五年国勢調査の確定値に基づけば、衆院小選挙区の最大格差は二・二〇三倍まで拡大し、格差が二倍を超える選挙区も四十八と大幅増になっている。「一票の格差」はさらに広がっている。
 しかも「平成の大合併」で、二つ以上の選挙区にまたがる市町は六十三にのぼり、有権者に分かりにくい状況になっている。区割り見直しは避けられない。
 今回のような訴訟は国政選挙が行われるたびに起こされている。来月に迫った参院選挙区の「一票の格差」は、「四増四減」の定数是正が行われたとはいえ、いまだ四・八三倍もある。
 衆参両院の選挙制度は似通っている。民意を正確に反映し、しかも二院制の機能を発揮できる選挙制度はどうあるべきか。国会改革の最重要テーマだ。国会は最高裁判決に甘えていてはなるまい。

[京都新聞 2007年06月14日掲載]

【京都新聞・凡語】

ウナギ激減 消費国の使命

 万葉歌人の大伴家持は、滋養に富むウナギを夏やせの友人に勧める歌を詠んでいる。ウナギは古くから夏場の活力源として重宝がられたようだ▼宇治川で捕れたウナギやウナギ鮨(ずし)はかつて「宇治丸」の名で、極上品として珍重された。琵琶湖産のウナギを使ったすき焼き「じゅんじゅん」は、湖国の味として今に伝わっている▼だがウナギ漁は生息数が減って衰退の一途をたどっている。その一方で、スーパーにはパック詰めのかば焼きが並び、コンビニなどでウナギ弁当も買える。手軽に安価で食べられるようになったのはありがたい▼しかし、安閑としてはいられない。欧州連合(EU)が先日、乱獲を防ぐためにヨーロッパウナギの稚魚の漁獲量削減を決めた。この稚魚が中国に輸出され、かば焼きに加工されて日本市場をにぎわせている▼天然物のニホンウナギが激減する中で頼みは養殖だが、稚魚の多くを台湾などからの輸入に頼っている。このままでは近い将来、ウナギを食べられなくなる日が来ないとも限らない。安定供給を図るには、養殖技術を高めることが欠かせない▼ただ、日本の高い技術力をもってしても、ふ化から成魚までの完全養殖は確立されていない。ウナギの生殖細胞をニジマスの稚魚に移植する「代理母養殖」の研究にも期待したい。世界最大のウナギ消費国として果たすべき使命は多い。

[京都新聞 2007年06月14日掲載]


【朝日・社説】2007年06月14日(木曜日)付

政治とカネ―「抜け穴」温存の法改正だ

 政治資金規正法の改正で、与党案が無修正のまま衆院を通過する見通しになった。だが、これで与党に胸を張られてはたまらない。資金の使途を透明化するとは名ばかりで、むしろ不透明さを温存するためとしか思えない中身だからだ。

 与党案の「売り」は、収支報告書に領収書をつけなくてよかった光熱水費などの経常経費について、5万円以上のものには領収書を義務づけたところだ。

 一見すると透明になるように思えるが、巨大な「抜け穴」が開いている。

 5万円未満に支出を小分けすれば、領収書をつける必要がない。さらに、対象が資金管理団体だけに限られているため、政治家がいくつか持っている後援会などの政治団体に振り分ければ、これも抜け落ちてしまう。

 民主党は1万円を超える支出について、すべての政治団体を対象に領収書を義務づける対案を出していた。こちらの方が納得できる内容だが、民主党はそれを引っ込めて与党案を土台にした修正案を出し直した。与野党協議を通じて少しでもましな改正に手直しするのが目的だった。少数党として当然である。

 だが、与党側は一切の妥協を拒み、「抜け穴」案のまま突き進んだ。会期末を迎える来週、参院で可決、成立させる構えだ。

 与党は、何がなんでも領収書を義務づける対象を広げたくないようである。国会審議では「約7万もあるすべての政治団体に煩雑な手間をかけさせるわけにはいかない」といった主張を繰り返した。

 これは妙な理屈だ。交際費などの政治活動費ではすでに領収書が義務づけられているが、すべての政治団体が対象になっている。経常経費はもともと、事務所の家賃や電気代など決まり切った支出だけのはずだ。それほど過大な手間になるとは思えない。

 すべての政治団体がいやだというなら「政党、政治家に関係する政治団体」のみに限定してもいい。民主党がそんな妥協案を示すと、今度は「政治団体の線引きが難しい」と言い出した。どの団体がだれにかかわるものなのか、政治家にきちんと申告させれば済む話ではないか。

 そもそも規正法が政治家に資金管理団体を一つずつ指定するよう定めた目的は何だったか。与党は思い出すべきだ。

 税金から年間300億円を超える政党交付金が投入されることになった94年、それとあわせて「政治家のカネの流れをできるだけ一本化し、国民の前に透明にする」ことが狙いだった。

 しかし実際には、いまも多くの政治家が資金管理団体のほかに後援会や政党支部など複数の政治団体を持ち、資金を行ったり来たりさせている。ここに網をかけずして、どこが透明化なのか。

 一連の「政治とカネ」疑惑では、松岡前農水相の自殺という痛ましい事件まで起きた。こんな「抜け穴」改正ではけじめをつけたことにはならない。

衆院定数判決―一票の格差は放置できぬ

 05年9月の前回の衆院選は郵政選挙と呼ばれ、自民党が圧勝した。小選挙区の東京6区では約13万票を取った候補者が次点になり、徳島1区では約6万8000票の候補者が当選した。

 この二つの選挙区で議員1人あたりの有権者数を比べると、約2.2倍になっていた。

 こうした「一票の格差」を抱えた選挙は、法の下の平等を定めた憲法に違反するという有権者の訴えに対し、最高裁大法廷は合憲との判決を出した。

 しかし、15人の裁判官のうち、現状を認める多数意見は9人にとどまった。残りの6人は違憲と判断したり、「ただちに違憲とはいえないが、是正を要する」と指摘したりした。

 一票の格差が2倍になることは、1人で2票を持つ人がいるに等しい。これはだれも賛同しないだろう。

 一方で、過疎地に住む人たちの意見を国会に十分反映させることも大事だ。大都市と比べて格差が目立つ地方の現状を見れば、なおさらだ。

 この二つの考えがぶつかるとき、どちらにどのくらい重きを置くかが、裁判官の判断の分かれ目になった。

 具体的に問題になったのは、「1人別枠方式」と呼ばれる定数配分の方法だ。まず、300議席のうち47議席を各都道府県に1議席ずつ割り振る。残りの253議席を各都道府県の人口に比例して配る。最初にまんべんなく割り振るのは過疎県への配慮だが、結果的に格差を2倍未満に抑えるのがむずかしくなる。

 これを避けるには、最初から人口に比例して各都道府県に議席を配分すればいい。ただし、県によっては、現在の2議席が1議席に減るところも出てくる。全県で一つの選挙区になるわけだ。

 難しいところだが、1人で2票を持つ人がいるような状態は、やはりそのままにしてはおけないのではないか。

 私たちはこれまで社説で、1人別枠方式を改め、最初から人口に比例して都道府県に配分するように提案してきた。もちろん、過疎地へ政策で目配りすることが大切なのは言うまでもない。

 衆院はいまの定数配分で最高裁からお墨付きを得たと考えるべきではない。改めて論議をしてもらいたい。05年の国勢調査によると、人口の都市集中がさらに進み、一票の格差が2倍を超す選挙区は00年調査の9から48に増えている。

 参院の一票の格差はもっと深刻だ。この夏の参院選では、最大で4.8倍を超える。

 最大格差が5倍を超えた01年選挙について、最高裁は04年、合憲としつつ、是正を求めた。これに対し、参院は「4増4減」の手直しをしただけだ。

 一票の格差について最高裁も、衆院と参院を同列には扱っていない。衆院と参院の性格付けをどうするのか。それぞれの格差はどこまで許されるのか。そうした突っ込んだ議論が必要な時期だ。

【朝日・天声人語】2007年06月14日(木曜日)付

 作家の檀一雄が、太宰治と屋台でウナギを食べたことを回想している。タレをつけて焼いた頭に檀がかぶりつくと、大きな釣り針に噛(か)み当たった。

 天然ものは、当時も珍しかったとみえる。太宰は手をたたき、「人生の余徳というもんだ」と愉快がった(「檀流クッキング」)。近ごろは深読みも必要らしい。「針が残っているかもしれません」などと客に言いつつ、「天然」の含みをもたせる店もあるように聞く。

 相変わらずの「天然信仰」だが、たやすく口には入らない。99.5%を占める養殖ものが日本人の腹を満たす。その一部を担う欧州産稚魚の取引が規制される。そんなニュースが先日届いた。欧州の稚魚は中国で育てられ、「中国産」と表示されて日本の食卓にのぼっている。

 かつて、ウナギは特別なごちそうだった。それが、いつしかお手頃になっていった。並行して欧州では稚魚が激減する。80年代の1~5%というから深刻だ。今度の規制は、野生動植物を保護するワシントン条約の対象になったからである。

 古くからウナギは夏やせの妙薬とされてきた。〈恋痩(やせ)に鰻さかせる筋ちがい〉と、戯れ歌も残る。江戸時代には食通を夢中にさせ、相撲よろしく、かば焼き屋の番付表も作られた。そしていま、世界の需要の7割を胃袋に収めるウナギ大国である。

 幸いというか、中国の養殖池では、これまでに輸入した稚魚が育っている。すぐに値が上がることはないという。とはいえ、香ばしい煙も少々気になる「土用の丑(うし)の日」にはなりそうだ。


【毎日・社説】

社説:家電リサイクル 抜け穴ができない仕組みを

 家電リサイクル法の見直しのため設置された検討委員会が中間報告をまとめようとしている。廃棄家電からの資源を高度に再利用することをめざして6年前に施行されたが、メーカーに戻ってくる比率が低いなど、さまざまな問題が浮上している。

 テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4製品を対象にした家電リサイクルの制度は、金属などの資源の再利用やフロンなどの有害物質の回収など、環境負荷の低減をめざしてつくられた。

 粗大ごみとして回収していた自治体の負担軽減を図るという目的もあり、回収された廃家電はメーカーの責任で資源として再利用される仕組みになっている。

 買い替えなどで廃家電を小売店に引き取ってもらう際にユーザーはリサイクル料と運送の費用を支払わなくてはならない。ところが、こうした費用を支払いながら、メーカーのリサイクルプラントに運ばれず、適正な処理が行われなかったケースが相次いでいる。

 一方、軽トラックなどで市街地を巡回する不用品の回収業者が、テレビなどの廃家電を無料で引き取っているという問題もある。製品としてリサイクルするという建前になっているものの、製品として使用できないようなものまで回収されている。

 実際には金属などの資源が目的で集められ、裁断しただけで海外に持ち出し、現地で環境汚染を引き起こしている例も報告されている。これは廃棄物の輸出を制限した国際条約に違反する行為だ。

 また、自治体などは、家電リサイクル法の施行の後、廃家電の不法投棄が増えているとして、その対策を求めている。このほか、リサイクル料金が高過ぎるという指摘や、小売店が廃業するなど引き取り手がなくなった廃家電について、自治体によって対応が違うという問題もある。

 経済産業省と環境省が設置した検討委員会による検討の結果、こうした問題点が中間報告として集約され、その後、法改正に向けた論議が始まる見通しだ。

 廃家電の約半数が家電リサイクル法以外のルートで取り扱われ、違法な処理や輸出が行われているというのは、制度の根幹を揺るがす問題だ。

 家電リサイクル法を制定した当時、廃家電が製品としてだけでなく、資源として回収されることを想定していなかったようだ。資源価格の変動に制度が揺さぶられないようにする必要がある。

 そのためには、家電リサイクル法の見直しだけでなく、廃棄物処理法や廃掃法など、関連法規の運用についても検討が必要だろう。

 また、環境への負荷を軽減するには、消費者の意識の向上が重要だ。リサイクル料金を、廃棄する際に消費者から徴収するのは、省資源など環境問題への関心が高まることを期待してのことだ。

 リサイクルの質を高めることは、資源確保の面からも大事だ。課題は多いが、メーカーの責任で安定的にリサイクルが行われるような仕組みにしてほしい。

毎日新聞 2007年6月14日 東京朝刊

社説:朝鮮総連本部 「大義の売買」では説明不足だ

 不可解な不動産売買と言わざるを得ない。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中央本部の土地と建物が、公安調査庁元長官を代表取締役とする投資顧問会社に売却されていた問題だ。元長官は記者会見で「大義のために引き受けた」などと語ったが、不透明さは解消されていない。

 売買されたのは、東京都千代田区富士見の約2400平方メートルの土地とその上に建つ地上10階、地下2階建てのビルだ。都が03年に課税を決めるまでは、外国公館に準じるとみなされて、固定資産税が免除されてきた経緯がある。関係者間では、日朝の国交正常化後には在日北朝鮮大使館として使われる可能性が指摘されることもあり、日朝両政府にとっても特別な不動産と位置付けられていた。

 登記簿などによれば、売買は先月31日付で行われた。買収した投資顧問会社は昨年9月に設立されたばかりで、売買の約1カ月前に元長官が代表取締役に就任、所在地を元長官の自宅に移していた。総連が滞納していた固定資産税を完納し、都が差し押さえを解除して売買の支障がなくなったのは、その直後のことだ。

 一方で総連は、経営破たんした在日朝鮮人系の16信組の不良債権を引き継いだ整理回収機構から約628億円の返還請求訴訟を起こされており、その判決が今月18日に迫っている。総連が敗訴した場合は、土地と建物が差し押さえられる事態も予測されていた。

 元長官の説明からもうかがえるが、明け渡しの回避を願う総連側の意向を酌み、投資顧問会社が買収した上で総連側と賃借契約などを結ぶ手はずだったようだ。仮執行逃れの便法と映りかねない動きだけに、同機構への返済をどうするか、買収資金を提供するというファンドがどのように組織されたか、所有権移転後の契約がどうなったか--など、詳しい説明がないと部外者には釈然としない。

 それにしても売却先の経営者がなぜ、同庁元長官なのか。元長官は元日本弁護士連合会会長から依頼されたというが、同庁は破壊活動防止法に基づいて暴力主義的な団体の調査を行う法務省の外局で、総連も調査対象とされる。元長官の立場を考えれば、敵に塩を送るような格好だ。同庁とは無関係な取引と言われても、にわかに信じがたい。現職の同庁長官は発覚後、自民党の会合で謝罪したというが、国民に対しても、同庁の関与の有無や元長官が「大義」とする理由などを明快に説明する責任がある。

 日朝間には拉致問題をはじめとする多くの解決すべき課題が残されている。しかし、懸案が解消して国交が正常化すれば、隣国だけに両国民は相互の理解に努め、友好、親善を深めねばならない。将来への道筋にいささかなりとも汚点を残さず、公明正大な関係を構築する必要もある。売買の経緯と背景事情については、何が「大義」なのか、国会で徹底的に究明すべきだ。総連側にも日朝関係を重視する立場から、この間の経緯を説明してもらいたい。

毎日新聞 2007年6月14日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:「うつらうつらの日をすごすことは幸福である…

 「うつらうつらの日をすごすことは幸福である。/この設計は神に通ずるわれわれの。/侏羅(ジュラ)紀(き)の先祖がやってくれた。/考えることをしないこと。/素直なこと。/夢をみること。/地上の動物のなかで最も永い歴史をわれわれがもっているということは平凡ではあるが偉大である。/とおれは思う」▲カエルの詩人、草野心平の詩「ごびらっふの独白」の日本語訳の一部だ。原詩は「けるぱ うりりる うりりる びる るてえる。……」とカエル語で、「うりりる うりりる」が「うつらうつら」らしい▲詩人が代弁したように、約2億年前のジュラ紀にその祖先が出現して以来、ほとんど変わらない水辺の暮らしを続けてきたカエルである。出現してまだ数百万年という人間の歴史など、カエルにはちょっとまどろんだ間に見る夢のようなものだろう▲だが、そのカエルの地上からの絶滅をもたらすかもしれないツボカビである。それに感染した野生のカエルが神奈川県内で見つかった。今まで国内ではペットのカエルの感染が確認され、水を介した環境への拡散が懸念されていたが、現実には予想外の広がりを見せていたことになる▲カエルにとって感染力が強く、致死率も高いこのカビは、もとはアフリカ固有の菌だ。世界に広がったのは動物実験用の養殖ガエルからだそうだ。カビ繁殖には温暖化の影響を指摘する声もあり、カエル絶滅の危機は人の営為が深くかかわっている▲「しずかにすすむ一列の。/ながい無言の一列の。/蛙(かえる)の列がすすんでゆく。/ひたいに青い蛍をともし」は同じ詩人の「るるる葬送」である。カエルの嘆きに耳を澄まし、その「平凡ではあるが偉大」な友を地上から失うことのないよう、人間のなすべきことをしたい。

毎日新聞 2007年6月14日 東京朝刊


【読売・社説】

宇宙基本法 国家戦略に立って制定を急げ(6月14日付・読売社説)

 宇宙の開発・利用、安全保障という、日本の国家戦略にかかわる法律だ。

 自民、公明両党が「宇宙基本法」の骨子案をまとめた。わが国が宇宙開発・利用を進めるための基本的な枠組みを定めている。

 早急に細部を詰めて法案化し、国会に提出すべきだ。

 骨子案は、「わが国の安全保障に資する宇宙開発を推進するため、必要な施策を講ずる」としている。

 日本の宇宙利用には、1969年の国会決議を踏まえ、「非軍事」という原則がある。北朝鮮による98年のテポドン発射を契機に情報収集衛星が打ち上げられ、ミサイル防衛(MD)論議も進んだが、この原則は今なお生きている。

 このため、情報収集衛星は地上の物体を見分ける能力が、民間衛星以下に制限されている。日本に対するミサイル発射などを常時監視するための早期警戒衛星も、開発が封じられている。

 だが、核兵器開発を進める北朝鮮のノドンミサイルは深刻な脅威だ。それを考えれば、こうした制約があるままで、日本の安全を守れるだろうか。

 日本が加盟する宇宙条約も、他国を侵略するための宇宙利用を禁じているだけだ。宇宙基本法が制定されれば、国際的に異質な足かせは、はずれる。

 政府の宇宙開発・利用の体制も、大幅に変わる。骨子案では、首相を本部長とする宇宙戦略本部を内閣に創設して、関連の施策を進めるための基本計画を立案するよう定めている。

 日本は40年近く前、初の人工衛星を打ち上げ、自力で宇宙に進出した4番目の国となった。それ以来、宇宙開発の先進国入りを目指してきた。

 だが、現実は厳しい。先進国入りどころか、差は広がり、新興国の中国、インドにも追い越されつつある。

 例えば、国産ロケットH2Aは、海外からの人工衛星打ち上げの受注を目指してきたが、打ち上げコストが高すぎることなどが原因で実現していない。人工衛星も同様に、苦戦している。

 この間に、中国、インドは商業打ち上げを実現した。国際協力でも、中印両国は米露や途上国と関係を深めている。日本は孤立しかねない状況にある。

 現在は、文部科学省所管の宇宙航空研究開発機構が唯一の宇宙機関だが、研究開発に比重があり、安全保障問題、産官学連携、国際協力には限界がある。

 こうした趣旨を考えれば、宇宙基本法の制定については、民主党も基本的に異論はないだろう。3党の議員立法とし、早期成立を図るべきだ。
(2007年6月14日1時28分  読売新聞)

元公安庁長官 朝鮮総連との取引は論外だ(6月14日付・読売社説)

 どんな弁明も通らない。疑念を持たれるのは当然だろう。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の東京都千代田区にある中央本部の土地と建物が、元公安調査庁長官が代表取締役を務める投資顧問会社に売却されていた。

 公安調査庁は、破壊活動防止法に基づき、暴力主義的破壊活動を行う危険性のある団体を調査する政府機関だ。対象には朝鮮総連の動向も含まれる。

 そのトップだった人物である。しかも北朝鮮や、その指導下にある朝鮮総連問題を担当する調査第2部長も務めた。現在は弁護士をしているというが、「私人の行為」で済む問題ではない。

 元長官は記者会見で「朝鮮総連側の依頼で、35億円のファンドを組んで買い取る。5年後に総連が買い戻してくれればいい」と説明した。売買されたのは5月末のことだが、朝鮮総連は今後も中央本部で活動は続けるという。

 しかし、今の時点で朝鮮総連が保有資産を売却すること自体、極めて問題のある行為と言わざるを得ない。

 在日朝鮮人系の計16の朝銀信用組合が1990年代後半以降、相次いで破綻(はたん)した。各信組が架空名義などを使って朝鮮総連に融資し、焦げ付いた額は約628億円に上り、整理回収機構が返還を求めて総連を提訴していた。

 その判決が来週18日に東京地裁で言い渡されることになっている。

 同機構は旧経営陣などに対する刑事告訴・告発や損害賠償請求の訴えを起こしてきた。そうした裁判の中で、朝鮮総連が朝銀信組を長年にわたって私物化していた実態がわかっている。朝銀信組の破綻は、朝鮮総連に対する乱脈融資が大きな要因だった。

 しかも、朝銀信組には、預金者保護などの名目で総額1兆円以上の公的資金が投入された。朝鮮総連からの債権の回収に全力を挙げるのは当然である。

 判決を前に、敗訴に備えた取引だったとすれば悪質だ。本部の明け渡しや将来の競売を逃れる意図はなかったのか。同機構の活動を妨害することにもなる。

 元長官は、「在日朝鮮人が中央本部で活動している現実を踏まえ、在日朝鮮人の権利擁護のために行った。北朝鮮を利するつもりはない」と説明している。

 だが、元長官の行為は事実上、朝鮮総連を助けようとするものではないか。

 長官時代の94年に、国会で朝鮮総連について「金日成主席の教示を唯一絶対とし、金正日主義も活動理念としている」「約5000人が非公然活動に従事している」と答弁している。この証言と今回の行為は矛盾していないだろうか。
(2007年6月14日1時28分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月14日付

 幕末に黒船がやってきて、神奈川や兵庫などに外国人の居留地ができた。英語を話せない日本の商人は、「浜千鳥」という言葉を頭に刻んでおいたという◆外国人の客がその言葉を口にしたとき、「ははん、値段の話だな」と見当をつけた。「浜千鳥」は英語の「ハウマッチ・ダラーズ?」(これ、いくら?)、客と意思の疎通を図るべく編み出した涙ぐましい知恵だろう◆当節はありがたい時代で、英会話学校という便利なものがある。心を通わせ合う技術を伝授してくれる学校も、しかし、利用者との意思疎通がお粗末極まれば、ありがたみは半減しよう◆曜日や時間帯で予約のとりにくい授業があるのに、いつでも予約が可能であるような説明をしていたとして、英会話学校の最大手「NOVA」が経済産業省から一部業務停止を命じられた◆向こう6か月間、1年を超す新規の長期契約を交わすことができない。英会話学校に対する業務停止命令は初めてで、単なる言葉足らずを超えた虚偽説明を厳しくとがめられた形である◆NOVAのイメージ・キャラクター、ピンク色をした不思議な動物は、外国語を聞き取るウサギの長い耳と、達者にしゃべる鳥のくちばしを持っている。欲しいのは、顧客の声を真摯(しんし)に聴く耳であり、意思の疎通に心をくだく浜千鳥のくちばしである。
(2007年6月14日1時49分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】よど号犯妻手配 欧州拉致ルートの解明を

 昭和55年に石岡亨さんと松木薫さんが欧州から拉致された事件で、警視庁は北朝鮮在住の日航機よど号ハイジャック犯の妻2人の逮捕状を取った。近く国際手配する。

 妻2人はマドリードで、石岡さんらを「旅行に行かないか」と誘い、ウィーンを経由して北に連れ去った疑いが持たれている。今月初め、北から帰国後、旅券法違反容疑で逮捕された男も、よど号犯と合流し、石岡さんらの拉致について事情を知っているとみられ、調べが進んでいる。

 欧州では昭和58年、有本恵子さんがコペンハーゲンから北に拉致されている。この事件では、北に在住するよど号犯の魚本(旧姓・安部)公博容疑者が国際手配されている。

 いずれも、故金日成主席の「代を継いで日本革命を」との指示に基づく結婚目的の誘拐だった疑いが強い。よど号犯グループが深くかかわった欧州ルートの拉致事件の真相がさらに解明されることを期待する。

 日本の警察当局は今年4月、昭和48年に失踪(しっそう)した主婦の2児が拉致された事件で、北朝鮮にいるリーダーの女工作員を国際手配した。今回のよど号犯の妻2人の逮捕状請求により、拉致事件での国際手配は計11人になる。

 国際手配により、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて情報提供を求めることが可能になり、それ自体が北に対する国際的な圧力になる。今後も、拉致実行犯の特定に向けた地道な捜査を怠るべきではない。

 政府は拉致問題対策の一環として、7月から北朝鮮向けの短波ラジオ放送を開始する。すでに、民間の特定失踪者問題調査会が放送事業者の免許を受けて短波放送を発信している。韓国在住の脱北者による「自由北朝鮮放送」も今月末、東京に日本支局を開設する。これらのラジオによる“対北攻勢”も有効な圧力となろう。

 最近、米国の一部に、北をテロ支援国家のリストから外そうという動きもあり、拉致問題が置き去りにされかねない懸念が生じていた。しかし、今月上旬、ドイツで開かれた主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)では、日本の強い働きかけにより、議長総括に拉致問題の早期解決を求める文言が5年連続で明記された。さらに粘り強い外交努力を求めたい。

(2007/06/14 05:16)

【主張】トンネル塵肺 国の和解判断は遅すぎる

 トンネル塵肺(じんぱい)訴訟で国と原告側で近く、和解が成立することになった。国が防止対策をとることで、双方が合意したようだ。

 国発注のトンネル工事に従事し、塵肺になった患者や家族が国を相手に全国の地裁、高裁で争っている「トンネル塵肺訴訟」は、国の敗訴が続いたことで、責任を認めなかった国側が方針転換して和解という方法で政治決着を図る。

 これまでの経過を見れば、国側が法廷闘争で逆転勝訴する可能性はなかっただけに、塵肺に苦しむ患者のことを考えれば、もっと早く国が率先して、和解の決断をすべきだった。

 近く、首相官邸で安倍晋三首相と原告の代表が会談し、この席で首相がお見舞いと弔意を表明するものとみられている。国はこの和解を機に、塵肺根絶に向けて抜本的な防止策を講じてもらいたい。

 トンネル塵肺訴訟は、新幹線や高速道路、ダム建設などの公共工事のトンネル建設に従事した元作業員ら約960人が国やゼネコンに損害賠償を求めて、全国の11地裁に一斉に提訴した集団訴訟で、ゼネコンとは一部で和解が成立している。

 しかし、原告側はあくまでも国の行政責任を追及し、現在は2次提訴も含め4高裁と10地裁で審理が続いている。国の責任が初めて認められたのは昨年7月の東京地裁判決で、同地裁は「国は適切な措置をとらなかった」と国側の権限不行使を厳しく断罪する判断を示した。その後、今年3月までに4地裁で連続して国が敗訴した。

 和解の合意内容については、現在国と原告側が詰めている。国は粉塵濃度測定の義務化や防塵マスク装着の義務化など、塵肺防止対策に取り組むこととし、原告側は賠償請求権を放棄して、係争中の全裁判を打ち切ることで合意に達するもようだ。

 トンネル塵肺は、決して過去のものではない。現在も全国各地で公共工事に伴うトンネル工事が行われていることに目を向ける必要があろう。

 国は、今回の和解を厳しく受け止め、防止策を早急に各工事現場で実施し、被害拡大の防止に努めなければならない。また実際に工事に当たるゼネコンも合意内容を教訓にし、塵肺防止に全力を挙げてもらいたい。

(2007/06/14 05:15)

【産経抄】

 いつの世にも、人の弱みにつけ込んではカネをせしめる詐欺師がいる。 しかも、ワルほど世間の流れに敏感で、あっという間に儲(もう)け話をつくり上げるから油断がならない。最近までは息子になりすまして電話をかけ、「オレ オレ」と親にカネを工面させる振り込め詐欺が横行した。それが今度は、社会保険庁詐欺だという。

 ▼年金保険料の納付記録5000万件が宙に浮いていると知れば、浮き出すのは足の方だ。人口の半分と思いこんでしまうから、電話に飛びついて「大丈夫です」といわれるまでは安心できない。なにしろ相手は、悪名高き社保庁だ。

 ▼ 窓口にいっても横柄で、サービス精神のカケラもない。長年、支払ってきた上客なのに「書類が足りない」と突っ返されて、いやな気分を味わった人は多い。自 治労系の職員組合が強いから、国民の利益よりも労働条件が優先する。組合は「1人1日のキータッチは平均5000タッチ以内」という信じがたい確認事項を 取り交わしていた。

 ▼手だれの詐欺師はそこに目をつけたらしい。電話をかけて「お金を戻します」と優しい声でいう。「さすがに職員も心を入れ替えたか」と思わせるところがコツだ。次に「手続きが必要なので、まず3万円を振り込むように」と誘導していく。

 ▼不安を抱えるこちらのスキにつけ込んでくる。うまい救済策を提示され、あるいは儲け話を持ちかけられる。詐欺師は、言葉巧みでフットワークのよさが身上だ。いずれも社保庁に欠けている要素に違いない。

 ▼浅田次郎氏の小説『憑神』ではないが、疫病神に取り憑(つ)かれるようにツキのない人がいる。彼らの老後を保障する保険が支払われなければ、社保庁そのものが“詐欺組織”になりかねない。

(2007/06/14 05:13)


【日経・社説】

社説1 小選挙区の1人別枠方式を廃止せよ(6/14)

 15人中6人の裁判官による少数意見の方が納得できる結論だ。

 議員1人あたりの選挙区人口で計る「一票の格差」が最大1対2.17あった2005年9月の衆院選小選挙区の区割り規定について、最高裁大法廷は「憲法の平等原則に違反しない」とする判決を出した。

 衆院選挙制度が小選挙区比例代表並立制に改められてから2回目、02年の区割り改定後では初の定数訴訟だった。1999年11月の最高裁判決は最大1対2.3の格差がある区割りを合憲としたから、今回の判決は予想された結果ではある。

 衆院選小選挙区の区割りは内閣府に置く審議会で画定し、同審議会設置法は区割りを改定する手順を次のように定める。

 (1)まず全都道府県に1議席ずつ無条件に配分する(2)残る議席数を最新の国勢調査に基づく人口に応じて都道府県ごとに配分する――。同法は小選挙区の一票の格差が「1対2以上にならないようにすることを基本とする」と規定するのだが「1人別枠方式」と呼ばれる(1)の条件があるため人口比例を貫いた区割りはできず、この「基本」は「できるだけ1対2以上にならないようにする」程度の拘束力しか持ち得ない。

 少数意見のうち2人は1人別枠方式を採用した区割り規定を憲法違反と断じた。残る4人の意見は「合憲であるか重大な疑問がある」「内容において憲法の趣旨に沿うものとは言い難い」だ。一票の価値を平等にとの、憲法の大原則を損なってまで採用するだけの正当性・合理性は1人別枠方式にはない、との判断は共通している。

 99年判決の少数意見も「一種の政治的妥協策として採用された経緯もあり、投票価値の平等に影響を及ぼすことは、憲法上到底容認されるものではない」と1人別枠方式を強く批判していた。

 衆院選、参院選の定数訴訟で最高裁が下してきた合憲判決は「選挙制度の仕組みをどうするかに関し、国会は広い裁量権を与えられている」との憲法解釈に基づく。俗な表現をすれば「誰がどう見てもおかしい」程度にまでなっていなければ国会の決定を尊重するのだ。2回の小選挙区定数訴訟の判決を「2倍以上の格差にお墨付きがでた」と国会が受け取ってはおかしい。

 小選挙区制はそれまでの中選挙区制に比べ一票の格差を解消しやすい選挙制度で、その特長が小選挙区制を導入した理由の一つだったはずだ。国会は原点に立ち返って、1人別枠方式を廃止すべきだ。

社説2 官製談合の根絶策を尽くせ(6/14)

 まるで業務の一つのように反復継続的に行われる官製談合の実態がまた法廷で明らかにされる。

 農林水産省所管の独立行政法人緑資源機構が、発注した仕事の入札談合を自ら取り仕切っていたとして、東京地検は緑機構の元理事らを受注側事業者と共に独占禁止法違反罪で起訴した。

 緑機構も、受注側の企業・財団法人も、林野庁OBの天下り先だ。事件発覚後、政府は緑機構を解体する方針を打ち出した。もともと林業振興のために必要な組織ではなく、天下り先を確保し、官製談合の仕組みを維持するだけの組織だったと政府が認めたようなものだ。

 農水省に限らず公共事業を発注する官庁・自治体は緑機構と同じような組織を抱えているのではないか。厳しい内部点検が求められる。特に公共事業の“元締”の立場にありながら、省の職員が談合に関与したとして、官製談合防止法に基づく改善措置要求を公正取引委員会に突きつけられた国土交通省は、一層厳重な調査をする必要がある。

 摘発される度に、官製談合は官の天下り慣行と密接不可分の関係にあることが浮き彫りになる。

 参院で審議中の国家公務員法改正案には官民人材交流センターの新設が盛り込まれた。官僚の再就職つまり天下りのあっせんをこのセンターに一元化し、規制をかけ透明性を高めようとする狙いだ。改正法が成立しても、緑機構など摘発された官製談合の事例を教訓にし、官・業癒着を生む天下りをなくす目的意識をもってセンターを運営しなければ所期の狙いは絵に描いたモチになる。

 今回の事件の捜査中に、所管大臣の松岡利勝農相と緑機構の前身公団の元理事が相次いで自殺した。元理事は検察から任意の事情聴取を受けており、受注側事業者の政治献金をとりまとめる業界団体幹部でもあった。起訴された事件以外に緑機構をめぐり捜査の対象になる問題があったとしても、この2人がかかわる部分があればそこは疑惑のままで終わる。残念である。

 だが起訴された官製談合だけでも納税者・国民をないがしろにしたひどい違法行為だ。再発させない方策を政府は尽くさなければならない。

【日経・春秋】(6/14)

 「料理のまずい国の人間は信用できない」。フランスのシラク前大統領は、英国をこう皮肉って物議をかもした。英国人は「蛙(かえる)を食う連中」と隣国をからかって報復した。グローバル化の恩恵なのか、そんな中傷合戦は今は聞こえない。

▼日本でも蛙は古代人の身近なタンパク源だったようだ。縄文土器に蛙の姿が描かれている。現代では蛙料理は一般的とはいえないが、食用といえばウシガエル。野太い鳴き声に聞き覚えがある方は多かろう。巨体がいかにも強そうだが、海外から侵入したツボカビ症に感染した野生の4匹が、神奈川で見つかった。

▼伝染症の被害者のウシガエルも、本来は日本の住人ではない。大正7年に米国から24匹が持ち込まれ、食用として人工的に養殖された。水田で飼えば農家は一石二鳥の副業である。国策として蛙の「大輸出計画」が始動。終戦後には一時、米国向け輸出は年1000トンに達し、200万匹の蛙が外貨の稼ぎ頭となった。

▼スターが悪者に転じたのは、米国が輸入停止してからだ。野生化したウシガエルは他の生物を食べまくる。政府は昨年有害外来生物に指定して退治に乗り出した。ツボカビ症の病原体を運び込んだのもペット用の外来種の蛙。生態系を脅かすグローバル化の負の側面である。〈古庭を魔にかかへしぞ蟇(ひきがえる)〉高浜虚子


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