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2007年6月15日 (金)

6月15日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年6月15日朝刊)

[「集団自決」修正]真実から目をそらすな

 「渡嘉敷、座間味の両島で部隊長による直接の命令があったかどうかは断定できない」。このため、沖縄戦で起きた「集団自決(強制集団死)」のすべてに「軍命」があったとは言い切れず、高校の歴史教科書から「軍命」を削除する検定意見に至った―という。

 自民党県連代表の聞き取りに対する、布村幸彦文科省審議官の答えだ。

 単純かつ明快な三段論法と言っていい。だが、これが子どもたちの教育を担う文科省のスタンスだとすれば、空恐ろしくなる。

 ここには歴史的事実を事実として直視し、教育行政に生かすべき国の責任が全くうかがえないからだ。

 同審議官は、集団自決への日本軍の広い意味での「責任、関与」については「自覚している」と語ったという。

 だが、この「広い意味」とは一体どういうことを指すのだろうか。

 もし、従軍慰安婦について安倍晋三首相が示した「広義の強制性はあった」が「狭義の強制性はない」というあいまいな表現と軌を同じくするのであれば、これこそ歴史的事実に目を閉ざす行為と言えるのではないか。

 なぜならば、否定することができない体験者の証言があるからだ。

 県民が求める検定の撤回については「検定制度の信頼性を損ねる恐れがある。ほぼ無理だろう」と答えている。

 本当にそうだろうか。今回の問題は、そもそも「軍命による集団自決があった」という定説を覆し、「軍命があったとは断定できない」として「軍命」の文字を削ったことが原因だろう。

 であれば、検定制度の信用を失墜させたのは教科用検定調査審議会であり、これが「真実を見ていない」と県民の怒りを買っていることを忘れてはなるまい。

 言うまでもないが、歴史を学ぶ上で大切なのは、何よりも“真実”への目の向け方だ。

 歴史的な事実から私たちが何を学び、将来に生かしていくか。大切なのはそこであり、歴史教科書が果たす役割もまたこの点にある。

 「日本軍による命令、強制、誘導などなしに『集団自決』は起こりえなかったことは紛れもない事実。(検定は)体験者による数多くの証言や歴史的事実を否定しようとするものだ」

 体験者が残る渡嘉敷村議会が全会一致で可決した意見書である。県議会も六月議会で採択するという。

 一時的であれ私たちの国が「負の歴史」をたどったとしても、それを「自虐的」と受け止めてはならない。歴史的事実には謙虚に、そして真正面から向き合っていくことが大切だ。

[女性も長寿危機]社会全体でメタボ対策を

 三十年以上も全国一を守り続けてきた県内女性の平均寿命が、転落の危機に直面している。

 厚労省が公表した二〇〇五年の年齢調整死亡率によると、十項目の疾患別死亡率のうち、県内の男性、女性とも肺疾患、糖尿病、肝疾患の三項目で全国ワーストだった。

 特に女性は七項目で悪化し、すべての死因を含めた死亡率では、五年前の前回調査で四十六位だったのが三十五位に急上昇した。

 都道府県別の平均寿命は年内に発表される予定だ。仮に県内女性が一位から転落することになれば、前回、男性が四位から二十六位に落ちた「26ショック」とは比較にならないほどの衝撃度になるだろう。

 健康の問題だけにとどまらない。

 戦後復興を支えた沖縄女性の強さ、明るさ、おおらかさといったイメージまで損なわれかねないからだ。

 死亡率が悪化した要因として、専門家は内臓脂肪症候群(メタボリック症候群)を挙げている。肥満は若い世代に広がり、将来さらに悪化する要因を抱えているのは気掛かりだ。

 欧米化した食を見直し、生活のリズムに適度な運動を取り入れることで、生活習慣病の元凶とされる肥満を解消することが改善への第一歩である。

 死亡率悪化の要因には、市町村が行う住民健康診断の受診率が低く、自覚症状が出たときには手遅れになりがちなことも指摘されている。

 受診率が10%程度というのは、あまりにも低すぎる。病気は早期発見がいかに大切かを再認識させ、受診率を高めることが緊急課題だ。

 「減量チャレンジ」のような取り組みをする市町村は増えた。加えて市民に身近な運動施設の整備や、ゆとりのある勤務体制など、健康増進の環境を社会全体で整える必要があろう。

 健康は基本的に本人の自覚によるところが大きい。だが、これほど急激に悪化すれば社会的損失も深刻だ。自覚を待つのでは間に合わない。あらゆる面からの強力な誘導策が求められる。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月15日 朝刊 1面)

 伊是名夏子さんから「今までわざと避けていた部分、障害のある子とかかわることがしたい、と思うようになりました」とメールをもらった。話が聞きたくて、久しぶりに会った。

 六年前、首里高三年生だった彼女を取材した。骨形成不全症という病気で中学までは養護学校に通っていたが、友達が欲しいと普通高校へ進学。「やれることは何でもやりたい」と話す、明るく活発な女の子だった。

 早稲田大学に進み、在学中に米国とデンマークに留学。孤児を支援するNGO活動に携わり、東京のフリースクールで働いた。次第に関心は、子どもや権力を持たないマイノリティーに移っていったという。

 スクールでドッジボールをした時のエピソード。骨がもろい夏子さんにボールが当たると、当てた人がアウトとのルールが自然にできた。「ずっと基準は健常者で、近づこうと頑張ってきた。でもいろんな人がいて、違って当たり前と思えるようになった」。

 昨年十一月、沖縄に戻り、養護学校の教員を目指し勉強中だ。「あのころ苦しかっただけに、今苦しんでいる子や親を助ける仕事がしたい。私にしかできないことを」。ロールモデルの不在に悩んだ子ども時代を振り返り、教育の仕事に就きたいと考える。

 「車いすを電動に代えて、行動範囲が広がり移動も楽になった」と約束の場所にさっそうと現れた夏子さん。いい出会いと刺激的な経験を重ね、心も軽やかに。(森田美奈子)


【琉球新報・社説】

「集団自決」検定 意見の撤回は県民の総意

 「われわれが歴史から学んだことは、人類は歴史から何も学ばないということだ」との名言がある。このところの日本社会の動きをみていると、なるほどと思う。歴史に学ぶどころか、むしろ、自らに都合の悪い歴史はなかったことにしよう、消し去ろう、という動きが目についてしょうがない。旧日本軍が絡む従軍慰安婦の問題しかり、南京虐殺、強制連行の問題などなど、数え上げればきりがない。行き着くところ、戦争責任はなかった、とでもしたいのだろうか。
 とりわけ、県民が見過ごすことができないのは、沖縄戦における「集団自決」に関し、教科書検定で旧日本軍関与に関する記述が修正されたことだ。しかし、文部科学省審議官は自民党の県議らに対し「軍の関与、責任はある」と明言している。にもかかわらず「検定制度の信頼性を失うことになるので、検定前の表現に戻すのは難しい」という。理解に苦しむ。正しい表現へ直ちに訂正するのが筋ではないのか。
 審議官は軍命の有無について「誰が追い込んだかは今の学説では断定されない」とも述べている。これにも、県民の立場からは強い異論がある。「集団自決は日本軍による命令・強制・誘導などなしには起こり得なかったことは紛れもない事実」というのが県民の認識だ。「誰が追い込んだか」ということに関しても、戦後六十余年、県史をはじめ各市町村史で、多くの体験者が証言・記録している事実がある。何より、まだ存命の体験者の証言がある。これより重い事実があるだろうか。
 「軍隊は住民を守らない」。沖縄戦を体験した多くの県民は、そのことをよく知っている。
 この件に関して、県内外で抗議の声が広がっている。14日現在、県内41市町村議会のうち27議会が、検定結果の撤回を求めて意見書を可決している。残り14市町村も意見書可決の方向だ。
 一方、市民団体や戦争体験者らが、修正撤回を求めて取り組んできた運動で、これまで7万人の署名が集まった。わずか2カ月の期間で、当初目標の5万人を大きく上回っている。主催者側では今後、第2弾、第3弾の署名を文科省に届けるという。
 国会では県選出の自民党議員も検定には批判的だ。また、県議会における撤回意見書の可決に、自民県連も同意する方向だという。これらをみると、集団自決に日本軍が関与したのは事実であり、教科書の検定意見は撤回すべきだ、というのはもはや県民の総意といっていい。
 国は沖縄の声にしっかり耳を傾け、沖縄戦の実相をゆがめないでほしい。繰り返すが、県民の総意は検定意見の撤回だ。

(6/15 9:53)

政治とカネ “透明化”まだ遠い改正案

 与党はこの改正案で本当に「政治とカネ」の問題を解決し、政治資金を透明化できると考えているのだろうか。14日午後、衆院本会議で与党の政治資金規正法改正案が、自民、公明両党の賛成多数で可決、衆院を通過した。支出を細切れにして記載すれば領収書は不要になるなど「抜け穴」が指摘され、野党は「ザル法」と批判している。実効性には疑問が残る。
 与党改正案が定める対象団体は資金管理団体のみ。しかも透明性が高まる領収書添付を義務付けているのは1件5万円以上の経常経費についてだ。
 これなら、100万円単位の支出があったにしても、細切れにし、4万円ずつ支出したようにすれば領収書は不要になる。しかも総務省は「分割記載をチェックする方法はないし、権限もない」とする。規制対象が資金管理団体だけというのも、別の政治団体に資金を移動すれば、効果は及ばないことになる。透明化するといいながら最初から抜け穴を設けているようなものといえよう。
 与党がどれだけ「政治とカネ」問題の解決に本気なのか、疑いを持たざるを得ない。政治資金規正法は1948年に制定された。腐敗を排除する目的だが、問題が度々起き、改正が繰り返されてきた。今回は、松岡利勝前農相が自殺するという痛ましい事態にまで至ってしまった。
 このような不幸な結果の反省に立てば、改正はより厳格にするべきだ。領収書添付の金額は1件5万円でなく、低ければ低いほど透明性は高まる。規制対象も資金管理団体に限るのではなく、疑われるような資金移動を防ぐため広く政治団体にまで広げた方がいい。
 与党はもちろん野党も「政治とカネ」の問題解決に不退転の決意で臨んでほしい。与党案では同じ問題が繰り返される恐れがある。
 政治への信頼を取り戻したいのなら、政治家の保身のためではなく国民に目を向けてほしい。国民は政治を厳しく見詰めている。信頼は自らを厳しく律してこそ得られる。参院では、政治資金の透明化をより高める議論を期待したい。

(6/15 9:50)

【琉球新報・金口木舌】

 先月は東京、今週は大阪に出張した。うわさには聞いていたが、確かにそうだ。駅やデパートのエスカレーターで、東京では人は左側に立ち、急ぐ人のために右側を空ける。大阪では右側に立ち、左側を空ける
▼国内では東京様式が主流のようだ。車の左側通行が影響しているのかと思う。右側が追い越し車線だから、右側を譲る感覚は理解しやすい。30年前まで右側通行だった沖縄も今では東京に近い感じだ
▼明治時代以降に日本が車の左側通行を採用したのは、侍が刀の鞘(さや)がぶつからないように、刀を抜きやすいように、左側を歩いていたことが背景にあるという
▼ただ、銃を抜きやすくした名残なのか、世界的には右側通行が一般的だ。交通法規に準ずるなら、エスカレーターも左を空けるのが世界の主流だろう。パリ滞在が長い知人に聞いたら「パリでも左側を空ける」ときた
▼パリはエスカレーター発祥の地。1900年開催の万国博覧会で初めて設置された。70年の大阪万博を機に、パリ様式が大阪で定着したと考えれば、脈略が見えてくる
▼大阪の方が国際標準かもしれないが、ほかの理由も大きくないか。律義に左側を空ける風情は、東京への対抗意識の証左にも見える。

(6/15 9:40)


【東京新聞・社説】

総連本部売買 あまりに筋の悪い話だ

2007年6月15日

 朝鮮総連を助けようとしたのだろうか。元公安調査庁長官が代表を務める会社が総連中央本部の土地・建物を購入したという話は、不可解で法に触れる疑いもある。どう見ても筋の悪い話だ。

 まず、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が東京都千代田区にある中央本部の土地と建物を、日本の投資顧問会社に売却するというのは異常だ。しかも購入した投資顧問会社の代表取締役が元公安庁長官というのも理解に苦しむ。

 東京地検特捜部は、元長官らの事情聴取を行い、自宅などを家宅捜索した。土地売買の実態がないのに、所有権移転を行った疑いだ。

 元長官は、検察出身で高検検事長も務めたこともある。法の網をくぐるような取引に手を染めたとすれば、ゆゆしきことだ。

 公安調査庁は破壊活動防止法に基づき、総連を調査対象にしてきた。いまは民間人とはいえ、かつての最高責任者が総連を取引対象とすれば、疑惑を招くのは当然である。

 「強制執行妨害の仮装売買ではなく、違法ではない」

 元長官は違法性を否定するが、総連は整理回収機構(RCC)から提訴され、十八日には判決が出る。

 総連系の十六の朝銀信用組合は一九九〇年代に破綻(はたん)した。架空名義などを使って総連に融資した六百二十八億円が焦げ付いたまま、総連はRCCから返還を求められている。敗訴の可能性が大きく、そうなれば中央本部の土地と建物など総連の財産は差し押さえられる。

 今回の売買はその矢先のことである。「五年後に総連が買い戻す条件付きで三十五億円で契約し」、総連は従来通り本部を使用する。

 しかも購入した方の会社は昨年九月に設立され、元長官は四月に代表取締役に就任したばかりで、購入代金はまだ支払われていないという。強制執行逃れの仮装売買を疑われても仕方がない。

 「中央本部は実質的に北朝鮮の大使館の機能を果たしている」「在日朝鮮人の権利擁護の拠点だ」

 元長官は今回の取引の動機をこう説明するが、総連は、本国の軍事独裁体制を唯一の指導理念とし、「約五千人が非公然活動に従事」している。かつて本人が国会で説明したとおりだ。活動家が北朝鮮による日本人拉致にかかわったという情報もある。

 今回の売買は資金が集まらず白紙に戻される可能性もある。自業自得だろう。総連は在日朝鮮人の人権、権益を守るという基本に立ち返るのでなければ、困難は続き、支援も得られない。

中国のニセ物 強い指導で汚名返上を

2007年6月15日

 中国の最高裁に当たる最高人民法院はヤマハ発動機の商標権侵害事件で中国企業四社に一億円以上の損害賠償を命じた。この強力な指導力を海賊版や模倣品の取り締まりにも発揮してほしい。

 判決によると、中国の二輪車メーカー、浙江華田工業など四社が「日本雅馬哈(ヤマハ)」の商号を日本で登記。ヤマハ製品そっくりのスクーターに「日本YAMAHA」などと表示して販売した。

 判決はこれをヤマハの商標権侵害と認め、請求通り約八百三十万元(約一億三千万円)の損害賠償の支払いのほか、謝罪声明の発表を中国企業側に命じた。ヤマハによると、中国の商標権侵害事件の損害賠償認定額としては過去最高という。

 中国では法治の不徹底が国内でも問題となっている。歴史的背景から反日感情も根強く、裁判で日本側が争うのは不利とみられていた。

 しかし、最近ではホンダが、中国の合弁企業で生産するスクーターのデザインをまねたとして、二輪車大手の重慶力帆を意匠権侵害で訴えた裁判でも、上海市第二中級人民法院が三十万元(約四百七十万円)の損害賠償を命令。日本側が勝訴するケースが目立ってきた。

 中国は立法、行政、司法の三権分立ではなく、共産党が指導する立法機関の人民代表大会が司法を指導・監督するシステムになっている。

 商標権で外国企業の勝訴が増えてきたのも、コピー商品にとどまらず自国ブランド育成に力を入れる党の方針に基づくものだろう。

 しかし、中国では商標権にとどまらず日用品から電化製品、車に至るまで無数の模倣品が出回っている。

 また、コンピューターソフトや映画、音楽を違法コピーして安く販売し著作権を侵害する海賊版もはんらんしており、知的財産権の侵害は日常化。米政府は取り締まりが不十分だとして四月に世界貿易機関(WTO)に提訴した。

 日本政府が発表したばかりの模倣品・海賊版に関する報告書によると、二〇〇四年八月から〇六年末までに経済産業省がメーカーや個人からの通報で把握した被害の実に過半数を中国・香港製が占める。

 背景には中国企業の技術力不足、法制度の未整備や法治意識の欠如がある。しかし、党が取り締まりに本腰を入れず、中央の威信が地方に及ばないことが主な原因だろう。

 今回の判決を手始めに他の模倣品や海賊版の封じ込めにも全力を挙げてほしい。それが中国社会では効果を上げ「ニセ物天国」の汚名返上にもつながる。

【東京新聞・筆洗】2007年6月15日

 関東もやっと梅雨入りだ。今年はペルー沖の太平洋で、エルニーニョとは逆の、海水温が低下するラニーニャ現象が発生。日本では高温少雨の夏が予想 されているから、待ちかねた雨▼関東甲信の梅雨入りは平年より六日、昨年より五日遅れで、梅雨明けは七月二十日の予想だが、ラニーニャの年は早まる傾向が あるというから、この夏は水不足が心配だ。すでに冬の雪不足に加えて春先の少雨で、首都圏の水がめ矢木沢ダムの貯水率は半分近くに下がっている▼先日の NHKテレビで、急激な都市化とオリンピックの建設ブームで深刻な水不足になっている中国・北京を特集していた。河北省など周辺の農業用ダムの水が北京へ の供給分にまわされ、農民は種まきもできない。ミサイル部隊が雲を探しては、天に向かって人工降雨を促すロケットを発射していた▼水道の水が飲めるだけで も幸せというべきだが、水道の水はまずいといって、架空の高額な光熱水費を計上していた前農相の「ナントカ還元水」も、ご本人が説明をせずに命を絶ってし まったから、真相は闇のままで後味が悪い▼「まん延するニセ科学にダマされるな」という検証本『水はなんにも知らないよ』(ディスカヴァー携書)を出した のは左巻(さまき)健男・同志社女子大教授だ。同書によれば、“還元水”などの水ビジネスで「クラスター(分子の集団)が小さい」などと効能をうたうの は、科学的には否定されている▼教授は、水に“ありがとう”と言うと美しい結晶ができるといった与太話が道徳教材になる風潮を憂う。


【河北新報・社説】

朝鮮総連本部売買/不信感を抱かれる行為だ

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地と建物の売買に、緒方重威・元公安調査庁長官がかかわっていたことが明らかになった。

 公安調査庁は治安に関する情報の収集や分析を担当する機関であり、朝鮮総連の動向なども調べている。退官して現在は弁護士だとしても、長官経験者が関与したのでは疑惑の目を向けられるのが当然だ。売買の経緯にも不可解な点が多い。

 東京地検特捜部は代金決済が終わらないうちに所有権を移転登記した電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで、捜査に乗り出した。売買を装った虚偽の移転登記との疑いを持たれている。捜査の展開にかかわらず、関係者は不透明感を一掃しなければならない。

 東京都千代田区にある朝鮮総連中央本部の土地などを買ったのは「ハーベスト投資顧問」という名の会社だ。昨年9月に設立され、今年4月に緒方氏が代表取締役に就任、会社の所在地も自宅に移された。

 緒方氏に売買を持ち掛けたのは元日弁連会長の土屋公献弁護士(第二東京弁護士会)で、その時期は緒方氏の代表就任時期とほぼ同じころ。2人は司法修習同期の間柄だという。投資顧問会社は何の目的で設立され、緒方氏は設立当初からかかわっていたのだろうか。

 土地と建物の所有権は6月1日に投資顧問会社に移転登記されている。売買額は35億円だが、支払われていない。こうした状況を重ねれば、本当の商取引だったのかどうか疑問視されるのが当然だ。

 緒方氏は売買について、整理回収機構との裁判で朝鮮総連が敗訴した場合に土地などの明け渡しを防ぐのが目的だったとの意味の話をしている。
 さらに朝鮮総連中央本部が在日朝鮮人のための大使館的な機能を果たしており、それを維持するためとも説明している。

 朝銀大阪信用組合などの経営破たんをめぐって、不良債権を引き継いだ整理回収機構は2005年、朝鮮総連に628億円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。判決が18日に迫っており、朝鮮総連敗訴の場合は強制執行される可能性もある。

 所有権が関係のない第三者に移っていれば、土地などの明け渡しは取りあえず避けられる可能性もあるだろうが、肝心の代金がやりとりされないのでは悪質な資産隠しだろう。

 仮に朝鮮総連の役割を維持するにせよ、それは別の手だてを講じるべき事柄だ。実体のない売買契約や移転登記が正当化されるはずもない。
 今回の契約や所有権移転が犯罪行為に当たるのかどうかは、これからの捜査で判断されるしかないが、不可解な面があることは否定できない。

 整理回収機構との訴訟が続いている間には原則的に不動産処分などが行われるべきではないし、仮に売買されるにしても疑惑を持たれるような形で行うのは論外だ。
 早急に売買契約を解除し、所有権も元に戻すべきだろう。
2007年06月15日金曜日

【河北新報・河北春秋】

 英会話学校のNOVAがこれまで果たした社会的役割なるものを自社ホームページに掲げている。その1つに「非常に高額だった外国語のレッスンを革命的に低価格化した」とある▼一見、時間当たりの単価は安い。従来の半額以下かもしれない。ただし、実際は授業の予約が思うように取れないまま、前払いのチケットは期限が切れてしまう。結果的に高額な授業料になる

 ▼ 誇大な広告に加え、入学時のうその説明、書類記載の不備、解約時の債務履行拒否など、経産省が確認した特定商取引法違反は十数種類に及ぶ。詐欺と指弾されても仕方のない商法だろう▼NOVAは全国に約900校、生徒は48万人いるという。これには驚いた。他の学校を含め、実に多くの人が熱心に英語を勉強しているわけだ。この英会話熱、感心していいものやら…

 ▼「英会話スクールは一種のファッション。通っても本物の英語力は身に付かない」。厳しい見方も教育者の中にはある。外国語たるもの、ファストフード店に入るようにたやすく習得できるものではないからだ▼ゆとり教育で中学高校の英語の時間が減った。学校の英語教育の衰退と英会話学校の隆盛は対照を描いている。英会話学校が不要とは言えまいが、まず学校の英語を充実させないことにはお話にならない。

2007年06月15日金曜日


【京都新聞・社説】

捜査情報流出  甘すぎるパソコン管理

 警視庁巡査長の私物パソコンからファイル交換ソフトの「ウィニー」を通じて捜査資料約一万件が流出した。
 この交換ソフトについて警察庁は、全国の警察本部にパソコンへの使用禁止の徹底を再三、求めてきた。
 それにもかかわらずウィニーによる捜査資料などの情報流出がやまない。
 警察が管理する犯罪捜査情報などは個人のプライバシーに深くかかわり、いったん流出すれば、どんな被害を引き起こすか予測しがたい。
 それだけに有効な防止対策をとってこなかった警察側の対応には、疑問や不信感をいだいてしまう。
 巡査長は捜査資料を無断で持ち出して自宅の私物パソコンに取り込んでいた。
 犯罪被害者や容疑者の氏名、携帯電話番号、顔写真、尾行の記録、警察が秘密にしてきたNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)の設置場所の「一覧表」などが流出したみられる。
 今年三月、警視庁は私物パソコンへのウィニー取り込みを調べたが、巡査長は黙っていた。残念だ。
 流出した情報の全容解明を急ぎ、他の警察官が関与していなかったかもきちんと調べてもらいたい。
 規則を逸脱した巡査長には厳しい処分があるだろうが、警察庁を含めた警察側としてもこれまでの対応の仕方を見直す機会にすべきではないか。
 ウイルスに感染したウィニーによって捜査情報が初めて流出したのは京都府警や北海道警だったとされ、三年前のことだった。
 その後、各地で流出が相次ぎ、警察庁は昨年三月、岡山、愛媛両県警の捜査資料流出を機に、公私パソコンへのウィニー取り込みを厳禁とした。
 警察官個人への聞き取りも行われ、誓約書を取る警察本部も相次いだが、それでも今年に入って、山梨、愛知両県警、北海道警で捜査情報などの流出が起こっている。
 最大の理由は、警察官が自宅でも私物パソコンを使って仕事していることにあるだろう。本人が注意しても家族を含めた情報管理には限界がある。
 警察庁は本年度中に全国の二十万台弱の業務パソコンのうち、十数パーセントを占める私物パソコンの解消をはかる。
 配備には予算をつける都道府県の協力が欠かせない。全力で実現してほしい。
 だが問題はそれだけではない。警察官のモラル向上も必要だ。そのためには捜査情報流出による「被害者」の心情に思い至れる態勢をどうつくるかだ。
 行政機関に対する個人情報保護法は、すでに公務員に守秘義務が課せられているとして一般事業者を対象とした同法とは別立てになった。そのため甘い体質が残りはしなかったか。
 情報流出は警察だけではなく、国の各機関で相次いでいる。防止対策を講じるには、あらためて情報は国民のものだとの自覚が必要ではないか。

[京都新聞 2007年06月15日掲載]

NOVA違反  さらに実態解明進めよ

 経済産業省が、英会話学校最大手「NOVA」に特定商取引法違反で一部業務停止命令を出した。
 同社は受講契約時に、「いつでも、どこでも(レッスンの)予約が取れる」と受講者に説明していた。ところが実際は、受講できる教室が限られていたという。
 これが「受講契約時に事実と異なる説明をした」と見なされ、特商法の「不実告知」に問われた。
 また、レッスンの中途解約で返還金を過少に精算する仕組みも違反とされた。このほか、誇大広告などを含めると違反は十数種類に及ぶ。
 英会話学校に対する行政処分は異例だが、違反の悪質さを考えれば当然だ。
 NOVAと受講者の間では、受講予約や中途解約などに関するトラブルが絶えなかった。
 中でも中途解約をめぐる過払い金返還訴訟は全国で少なくとも八件を数える。京滋では、二〇〇三年に京都簡裁の和解で男性の主張が認められている。今年四月には宇治市の女性も勝訴した。
 いずれも、中途解約時に受講料返還金が大幅減額になる精算の仕組みについて争ってきた。
 国民生活センターにも一九九七年度から九千件近くの苦情や相談が寄せられている。泣き寝入りした受講者も相当数にのぼると見られる。
 経産省は事態を重く受け止め、消費者保護の立場から指導に乗り出したのだろうが、後手に回った印象が否めない。もっと早く手を打てなかったか、悔やまれる。
 今回の一部業務停止の期間は、最長六カ月間で、しかも対象範囲は「一年または授業時間が七十時間を超える長期の新規契約」に限られている。
 この処分内容は妥当だったか、これで問題解決に結びつくのかどうか。経産省は業務改善や再発防止に向けて厳しく指導すべきだ。
 NOVAは八一年に大阪で創業し、他の英会話学校に比べて割安の受講料や、鉄道沿線を拠点にした「駅前留学」で急成長した。
 営利企業とはいえ、同社は語学教育に携わっている。その社会的責任を置き忘れた経営姿勢は、訪問介護最大手「コムスン」の事業所指定の不正取得問題とも重なる。
 一連の経産省の調査で、受講者に対する違法の対応マニュアルが大阪市の同社統合本部で見つかった。NOVAが会社ぐるみで違反を繰り返していたとすれば経営責任も問われる。さらに実態解明を進める必要がある。
 受講者は約四十五万人にのぼる。今回の処分で同社への信頼は揺らいでいる。
 まずは経営陣の責任を明確にし、語学教育を担うに足る健全な企業体質への転換が不可欠だ。

[京都新聞 2007年06月15日掲載]

【京都新聞・凡語】

悪質経営

 世上を騒がすコムスンとNOVA。訪問介護と英会話学校の分野で最大手。ともに悪質な経営実態が明らかになり極めて厳しい行政処分を受けた▼共通するのは、経営者が事業の拡大路線を突っ走り、利益至上主義に陥ったことだろう。急拡大に経営管理がおろそかになり、法令順守の精神がないがしろにされた。最大の問題は経営倫理の欠如である▼銀行業界トップの三菱東京UFJ銀行が金融庁に二件の業務改善命令を受けた。三菱UFJフィナンシャル・グループが行政処分を受けるのはこの半年で五件目。他の銀行に比べて突出して多い▼今回は投資信託の窓口販売で不適切な処理が約百件あったというもの。顧客の売買指示を忘れたり、誤発注で損失を与えても補償しなかったという。投信ブームで手数料収入が銀行収益の柱に成長した陰で、顧客を泣かせていた▼もう一件は海外業務で不祥事が頻発、管理態勢の強化を求めた。わが国最大の銀行に何が起きているのか。規模の拡大を求めて合併した三菱東京と三和・東海のUFJの旧母体行間で不協和音があるともいう。利益重視の内部競争もきついとか▼業界の模範たるべきトップ企業のお粗末な内情。商道徳は死語になったようだ。政府は教育改革で徳育(道徳教育)を教科にと力むが、まずは政財界の道徳復活が先決では。反面教師ならいくらでもいる。

[京都新聞 2007年06月15日掲載]


【朝日・社説】2007年06月15日(金曜日)付

総連本部売却―取引にも捜査にも驚いた

 元公安調査庁長官と、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)。この意外な取り合わせに驚かされた。

 東京にある朝鮮総連中央本部のビルと敷地が投資顧問会社に売却されたとして、移転登記がされていた。その会社の代表取締役が元公安調査庁長官の緒方重威氏だった。

 公安調査庁といえば、暴力的な活動をする恐れのある団体の調査が主な仕事だ。朝鮮総連も対象とされる。監視する側の元トップが、監視される側と土地取引をしていたわけだ。

 さらに驚いたことに、東京地検特捜部がすかさず元長官の自宅などを捜索した。所有権移転の登記に偽装の疑いがあるというのだ。

 「かつての立場を十分に考えていただかなければならない」。元長官に強い不快感を示した安倍首相に背中を押されたかのような異例の早さである。

 確かに疑念を抱かせる事実はある。

 朝鮮総連は、かかわりの深かった朝銀信用組合の不良債権を引き継いだ整理回収機構から、628億円の返還を求められ、その判決が18日にある。敗訴すれば、競売にかけられる可能性が強い。

 元長官に売ったのは、競売されることを避けようとしたからだ。それ自体に違法性はないが、問題は本当に売買が成立していたか疑わしいことだ。移転登記がされたのに、実際の支払いは済んでいなかった。外から見れば、売買を装ったと言われても仕方があるまい。

 こんな方法を取ったのは、実際に資金を出す人の強い意向だった。判決前に受け取るめどが立っていた。判決前に調達できなければ登記は元に戻す。これが、元長官に取得を頼んだ総連側代理人の土屋公献・元日弁連会長の説明だ。

 しかし、土屋氏も認めるように、金を受け取る前に移転登記をするのは異例のことだ。

 土屋氏は出資者とは面識もないという。出資者とどこまで具体的な合意ができていたのかもはっきりしない。

 それにしても、土屋氏はなぜ、憶測を呼びそうな元長官にわざわざ頼んだのか。2人は司法修習の同期生だという。元長官は「内輪でやると、仮装売買と思われる。むしろ敵対関係にある人に託すしかないと思ったようだ」と説明しているが、これも納得しにくい。

 元長官は買い取りを引き受けた動機として、「総連本部は北朝鮮の大使館としての機能を持ち、在日朝鮮人の権利保護の機能も果たしている」と述べた。

 そうした面があることは間違いない。しかし、だからといって、競売逃れにどんな手を使ってもいいわけではない。

 元長官は「捜査で取引が妨害された。政治的な意味を感じる」といい、土屋氏も「不正をはたらいたかのごとく作り上げようとしている」と批判している。そういうのなら、疑惑を一掃するような説明をしてもらいたい。

NOVA処分―駅前「停学」は当然だ

 「駅前留学」のキャッチコピーを使い、ウサギのキャラクターが愛敬を振りまく。そんなCMで知られる英会話学校の最大手「NOVA」に、経済産業省の厳しい処分が下った。

 長期の受講契約を結ぶことを半年間禁止するなど、一部の業務が停止させられる。消費者とのトラブルが起きやすい取引についてルールを定めた「特定商取引法」に違反したからだ。

 英会話学校にここまでの処分が出るのは初めてだが、それも当然といえるほどNOVAのやり方は悪質だ。受講契約や解約の際に組織的にウソを重ねてきた。

 誇大な広告、事実と違う説明をする、契約を解除されても返金しない、あるいは返金を遅らせる、重要事項を知らせない。同法に触れる行為は、細かくみると18種類にも及ぶという。

 違法な商法は、「1000教室を目指す」という同社の無理な拡大経営に組み込まれた構造的なものだ。

 しかし、NOVAの猿橋(さはし)望社長は頭こそ下げたものの、営業方法を真剣に改めようという覚悟が伝わってこなかった。

 NOVAには受講者らによる訴訟が全国で起こされ、そのうち1件では4月に最高裁で会社敗訴が確定した。解約などで泣き寝入りしている人も大勢いるはずだ。今回の処分を機に、損害の回復を求める動きが広がるだろう。

 一連の事態は、行政側にも教訓を残した。02年ごろからNOVAの商法に対して業務改善の行政指導がおこなわれるようになり、国民生活センターへの苦情件数も突出していた。だが行政当局は、NOVAが繰り出す言い訳や巧妙な新手法でかわされてきた。

 昨春には、解約トラブルをめぐって大阪市に説明を求められ、後に猿橋社長が懇意の自民党衆院議員と市長を訪ねていた事実も明らかになった。

 経産省と都が立ち入り検査をしたのは、NOVAが最高裁で敗色濃厚となった今年2月のことだった。

 サービス産業の活力は日本の経済成長を支える柱だ。過剰な介入が禁物なことは言うまでもない。

 ただし、今回のように司法判断が進むまで手をこまぬいているのでは、消費者保護はおぼつかない。新サービスが次々と生まれるため、過去の経験や前例を頼りにしがちな行政にとって、対策が後手に回りやすい。経産省はNOVAの問題点を徹底的に解明し、今後の糧としなければならない。

 大手介護のコムスンに厳しい行政処分を下したのは、福祉を所管する厚生労働省だ。三菱東京UFJ銀行へは、投信の販売について業務改善命令を金融庁が出した。サービス産業は幅広い。急成長がサービスの低下を招き、消費者被害につながるといった共通点も多い。

 国民生活センターを含め、省庁横断的に知識や経験を蓄積し、問題企業に早期是正を迫る力を養う時期に来ている。

【朝日・天声人語】2007年06月15日(金曜日)付

 行動派で知られる作家の小田実さんは、50年代に、船で米国へ留学した。途中、初めての外国であるハワイを踏んだ。「いよいよ英語を話さなくてはならない」。武者震いを覚えたと、著書「何でも見てやろう」で回想している。

 今は手軽になったとはいえ、「留学」の言葉にはなお、遠くの空を仰ぐようなあこがれがこもる。淡い憧憬(しょうけい)に、身近な「駅前」を重ねたキャッチコピーは、名案だった。「駅前留学のNOVA」として、たちまち英会話学校の最大手に上り詰めた。

 その最大手が不正の山を築き、経済産業省から業務の一部停止を命じられた。勧誘の際に「入学金が無料」などとうそを言った。受講の予約が取りにくいのに、いつでも取れるかのように説明した……。法律に反する行為は18種類におよぶ。

 ここ数年は急速に教室を増やしてきた。なのに講師は減らしていた。解約に応じないといったトラブルが多発しては、英語力を高めたいという受講者の向上心を、食い物にしていたようなものだ。

 英語は戦時中、敵性語として追放された。だが敗戦のわずか1カ月後には「日米会話手帳」が出版される。人々は飛びつき、空前のベストセラーになった。以来、英語ブームの波は寄せては返し、その何度目かをとらえてNOVAは成長した。

 英語不如意で渡米した小田さんの信条は、磊落(らいらく)に「まあなんとかなるやろ」だった。猿橋(さはし)望社長は低頭し、「誠意を持って対処する」と言う。「なんとかなるやろ」と姑息(こそく)にかわすような対応は、受講者が許すまい。


【毎日・社説】

社説:NOVA処分 不正な商法防ぐ制度の強化を

 講師が足りずレッスンの予約が取れないのに「好きな時に予約できる」と勧誘する。年間を通じて入学金がゼロなのに「今なら入学金免除」と持ちかける。契約後も消費者が無料で解約できるクーリングオフの期間中なのに「もう過ぎている」とうそを告げる。詐欺とみられても仕方がないような、そんな商法がまかり通っていた。英会話学校最大手の「NOVA」のことだ。

 経済産業省は特定商取引法に基づき、NOVAに対し1年を超えるコースの新規契約などを6カ月間禁止する業務停止の行政処分を行った。違反行為は虚偽説明、誇大広告など18項目に及び、いずれも本社作成のマニュアルなどをもとに会社ぐるみで行われていた。

 NOVAは違反行為の数々を真剣に反省し、関係者に対し謝罪や必要な返金手続きなどを誠実に実行したうえで、これまでの商法を全面的に改めなければならない。同時に、処分対象にはならなかった40万人にも上る現在の受講生に対し、不安や混乱を招くことがないようきちんと対応すべきだ。

 経産省によると、NOVAは「全国1000教室」の掛け声で、05年3月時点の687教室から06年3月には994教室まで増やしたが、講師の数は逆に6121人から5384人へと減った。これでは予約トラブルが増えるのも当然だ。営利優先の無理な拡大路線が今回の事態を招いたといえる。

 契約のあり方にも問題があった。長期契約はトラブルが発生しやすいため、語学学校業者でつくる全国外国語教育振興協会は契約期間を原則1年以内としている。ところが、NOVAは協会に加盟せず、前払い方式の3年契約などを売りにしていたが、中途解約を申し出る人には返金を低く抑えていた。リスクが高まる長期契約は直ちに見直す必要がある。

 行政の対応にも課題が残る。中途解約をめぐり東京都は02年、経産省と協議のうえ、返金システムを契約時に書面で示すよう指導したが、「解約は消費者側の都合」とのNOVA側の主張を認め、返金の額を抑える手法そのものの変更は強く求めなかった。結局、今年4月に最高裁が無効との判断を示すまで、この手法が温存された。経産省が早い段階で率先して改めるよう指導していれば、トラブルはもっと少なくて済んだはずだ。

 NOVAに関しては02年以降、全国の消費生活センターに毎年800~1000件を超える苦情が寄せられていたのに、経産省が立ち入り検査したのは今年2月になってからだ。消費者の声により耳を傾け、実態調査に素早く乗り出す姿勢を打ち出してもらいたい。

 消費者保護の立場で考えれば、特定商取引法で現行は8日間と定められている語学教室やエステなどのクーリングオフの期間も、それだけでは見極めが困難な面もあり、もっと延ばすべきではないか。消費者が怪しげな商法に引っかからないための目を養う必要があるのはもちろんだが、行政も不正な商法から消費者を守る制度の強化をさらに検討してほしい。

毎日新聞 2007年6月15日 東京朝刊

社説:1票の格差判決 先送りしては国会の怠慢だ

 最高裁大法廷は「郵政選挙」と呼ばれた05年の総選挙で、1票の格差が2倍を超えたことに対し、「不平等が憲法に反するまでには至っていない」と、合憲とする判決を示した。

 しかし、15人の裁判官のうち、2人は「違憲」とし、4人は「違憲状態」とした。今回の合憲判決を盾に、是正を先送りすることは許されない。政治不信を増幅させるだけだ。

 最高裁はこれまで衆院選で9回の判断を下した。今回争われた2・17倍の格差はこの中では最も小さいものの、小選挙区比例代表並立制が導入され、「格差は2倍未満」が基本とされている。

 にもかかわらず格差を増幅させる要因は「1人別枠方式」にある。現行の小選挙区での区割りは、定数300を47都道府県に一つずつ振り分け、残りを比例配分している。最初の区割りが行われた94年段階から、格差が2倍を超えた選挙区は28にも及んだ。

 1票の格差をなくすよう努めるならば、「1人別枠方式」の是非を論じなくてはならない。今回、原告側は「1人別枠」の憲法判断を求めていた。判決では「人口の少ない県の国民の意見を国政に反映させる目的で、国会の裁量範囲を逸脱していない」と合憲とした。

 この問題でも、15人の裁判官の中で1人は「違憲」、4人は「違憲状態」とした。「1人別枠」は人口減少地域に配慮したものだが、過疎対策に定数配分で対応することに異論が出るのは当然だ。選挙制度は1票等価値を原則にするのが筋だからだ。

 昨年の住民基本台帳に基づく毎日新聞の試算では、2倍を超える選挙区は27となっている。人口最多の兵庫6区と最少の高知3区とでは、2・177倍に広がった。地方の過疎化が進む半面、大都市への人口の集中化は一段と顕著になっている。 

 1票の格差是正には野党が積極的だ。民主党は「できる限り平等になることが望ましい」(鳩山由紀夫幹事長)と「1人別枠」の撤廃を主張している。政府、与党も早々に本腰を入れるべきだ。

 2010年には10年に1度の大規模な国勢調査が行われる。その結果に基づき、衆院選挙区画定審議会は新区割り案をまとめ、勧告する。2倍未満にとどめるだけでなく、格差をより少なくする案作りに努めてほしい。

 今回の訴訟で問われたのは、1票の格差に加え、「1人別枠方式」という選挙制度だったことに注目すべきだ。しかも、最高裁の3分の1の裁判官が憲法上の異議を唱えたことは重い。

 衆院以上に格差が甚だしいのは参院だ。都道府県単位の選挙区になっている。夏の参院選に向けて、4増4減の是正が行われたものの、それでも最大で4・7倍を超えている。小手先の是正では、この格差は埋められない。第2院の参院そのもののあり方を含めた抜本的な検討が急務になっている。

 衆参両院とも定数の格差是正をこれ以上先送りしては、怠慢と指弾されて当然だ。

毎日新聞 2007年6月15日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:「ベトナム戦争は大富豪の…

 「ベトナム戦争は大富豪のハワード・ヒューズとオナシスの賭けから始まった」「100ドル札のフランクリンの肖像には金属片が埋め込まれていて追 跡装置になっている」「スペースシャトルが飛ぶたびに地震が起こるのは、地震兵器の実験をしているからだ」▲いや本気にしてもらっては困る。これみな10 年前に公開されたメル・ギブソン主演のハリウッド映画「陰謀のセオリー」で、主人公の妄想癖のタクシー運転手が語る「陰謀」の数々である。原題の「コンス ピラシー・セオリー」とは、世の中はすべて陰謀で動いているという「理論」だ▲主人公の妄想の一つには、保守派の陰謀を告発する映画のオリバー・ストーン 監督が「実は父ブッシュの広報マンだ」というのもあった。対立する両者が「裏で結びついている」というのは陰謀理論の典型である▲だから朝鮮総連の本部建 物や土地が公安調査庁元長官の投資ファンドに売却されていたという話が、世人の心にひそむ陰謀妄想を刺激するのは当然だろう。この売却が差し押さえを逃れ る目的で行われたことは明らかで、ならばいったいなぜこの人物が、と誰しも当惑するからである▲元長官は会見で「大義のために引き受けた」と述べている。 だがこの程度の説明では、その背後関係への疑惑や憶測、妄想までも膨らますだけである。一方では元長官の古巣である検察が、売買は仮装と見て、その自宅な どの家宅捜索に踏み切った▲陰謀理論は、人々の心に宿る偏見に訴えて「敵」をでっち上げてしまう迷信だと英国の哲学者ポパーらに批判されている。開かれた 社会の公共的関心事に、あらぬ妄想が巣くうことがあってはならない。そのためにも関係者はこの取引の全容を明快に説明することだ。

毎日新聞 2007年6月15日 東京朝刊


【読売・社説】

年金問題検証委 不信を招いた原因の徹底解明を(6月15日付・読売社説)

 今日の年金不信を招いた原因が一体どこにあるのか。きっちりと検証してもらいたい。

 総務省に設置された第三者機関「年金記録問題検証委員会」が始動した。松尾邦弘・前検事総長を座長とし、今秋をめどに報告書をまとめる。

 総務省は行政の評価と監視も任務としてはいるが、第三者機関を設けて国の組織や制度の欠陥を集中的に検証するのは初の試みだ。その意味でも検証委の活動は注目されよう。

 基礎年金番号に統合されていない年金記録は、当初公表された5000万件以外に、さらに古い記録1430万件が積み残されていることが国会審議で明らかになった。1988年発行の「社会保険庁二十五年史」に記され、社保庁は当時から認識はしていたというから驚く。

 また、記録台帳から3090件を抜き出したサンプル調査で、年金額に影響するミスが4件もあった。分母を5000万件とすれば、6~7万件にミスがある計算だ。

 ずさんな年金記録の歴史は、62年の社保庁の発足と同時に始まっているのではないか。その前提で、検証作業を進めなければならない。

 社保庁の長官は、次官レースに敗れた局長クラスの厚生官僚が1~2年座るだけの“お飾り”だった。中央では生え抜きのノンキャリアが実務を牛耳り、地方職員も組合運動を通じて作ったぬるま湯的な労働慣行と“お上意識”の下で、業務を続けてきた。

 社保庁の上から下まで、さまざまなレベルでの無責任が連鎖し、複合して、年金不信は生じたのである。こうした組織の内実を詳細に調べて、国民の前に明らかにすべきだ。その過程で、個人の重大ミスや不作為も判明するだろう。

 社保庁の無責任体質に共通するものは他の官公庁にもある。同様の失敗を繰り返さぬための具体的な提言も検証委の課題となる。

 97年に導入された基礎年金番号制度の事前の議論や準備は十分だったのか。導入後の対応に、何が欠落していたのか。この点も綿密に検証する必要がある。

 そもそも、住民票コードよりはるかに多くの個人情報にかかわる基礎年金番号制度が、法案として国会で議論されることもないまま、省令で導入された点に問題はなかったか。

 法律で定めていれば、社保庁は記録一本化の作業をこれほどおざなりにはできなかったはずだ。国民ももっと関心を持って対応したのではないか。政治の責任も、検証の俎上(そじょう)に乗せるべきだろう。
(2007年6月15日1時52分  読売新聞)

「よど号」犯の妻 北朝鮮の国家的犯罪に加担した(6月15日付・読売社説)

 欧州で消息を絶って27年にして、ようやく捜査が進展へ動き出した。

 スペインを旅行中の石岡亨さんと語学留学していた松木薫さんが1980年に拉致された事件で、警視庁が「よど号」乗っ取り犯の2人の妻の逮捕状を取った。北朝鮮に在住する森順子(よりこ)、若林佐喜子の両容疑者で、結婚目的誘拐容疑である。

 よど号犯の9人が北朝鮮に亡命したのは、70年のことだ。その後は、北朝鮮の国家的犯罪や不正工作に加担してきたとみられている。その実態をさらに追及していく必要がある。

 石岡さんと松木さんは2人から「ウィーンに行こう」などと持ち掛けられ、北朝鮮に拉致されたらしい。ウィーンは当時、北朝鮮の西側工作の拠点となっており、工作員らも暗躍していた。

 英国に留学していた有本恵子さんが83年に拉致された事件では、よど号犯の魚本公博容疑者に逮捕状が出ている。この時も、よど号犯の元妻が有本さんに接触し、おびき出す役を果たしていた。

 よど号犯は70年代後半、当時の金日成主席から「代を継いで革命を行え」と指示を受けたと言われる。結婚して子孫を残し、将来は日本で革命を起こす。そのための「日本人獲得」を目的に、若い男女を標的とした。

 何とも荒唐無稽(むけい)な発想だが、行動は冷酷極まりない。その先兵として、よど号犯の妻も動員された。

 北朝鮮は、石岡さんと有本さんは結婚して1児をもうけたが、88年、暖房用の石炭ガス中毒で家族全員が死亡したと日本側に説明している。松木さんは96年に交通事故で死亡したという。

 そのまま信じるわけにはいかない。政府は、他の帰国していない拉致被害者と併せ、真相の究明などを引き続き求めていくべきだ。

 よど号犯も逮捕者や死亡者がいて、北朝鮮に残るのは4人とみられている。妻も次々と帰国し、森、若林の両容疑者がいるだけだ。彼らは日本政府との「無罪合意帰国」を主張してきたが、こんな身勝手な論理が通るはずがない。

 米国は北朝鮮をテロ支援国家に指定している。ハイジャック犯であるよど号犯をかくまっていることも理由とされてきた。よど号犯の身柄の扱いは、北朝鮮にすれば、テロ支援国家の指定解除のための対米カードともなっている。

 今年2月の6か国協議で、米国は「指定解除の作業を開始する」と明言している。だが、日本としては、拉致という問題全体の解決なしでは、とても了承できる話ではない。
(2007年6月15日1時52分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月15日付

 「初鰹(はつがつお)まだ舞台から落ちられぬ」。清水の舞台から飛び降りたつもりで買おう、いや、待て…と、思案に暮れる光景だろう◆思案など無用、とばかりに35億円の買い物を即決する現代人には、気っ風(ぷ)のいい江戸っ子もきっと驚いている。元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)氏は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の代理人から東京都内にある中央本部の土地・建物を購入してほしいと頼まれ、その場で承諾したという◆実体のないペーパーカンパニーを介在させたことといい、代金の支払いはまだなのに移転登記だけ先に済ませたことといい、面妖な取引である◆朝鮮総連は巨額な返済金をめぐって整理回収機構と係争中であり、敗訴すれば保有不動産を差し押さえられる可能性がある。急げや急げ、の売買が「差し押さえ逃れ」の工作であるのは疑うべくもない◆公安調査庁は朝鮮総連の動向に目を光らせるのも仕事である。最高首脳であった人が退職後とはいえ、調査対象の団体と親密な関係を結ぶ。もしや裏でつながっているのでは…と疑念をもたれれば、国民のいったい誰が公安調査庁の情報収集に協力するだろう◆初鰹を珍重し、「女房を質に入れても」と粋がった江戸庶民の心は分かる。情報調査機関に寄せる世の信頼を質入れしてまで、不自然な取引を珍重した心が分からない。
(2007年6月15日1時51分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】NOVA業務停止 偽りの看板は厳正処分に

 英会話学校最大手のNOVAが経済産業省から一部業務停止命令を受けた。授業期間が1年を超えるコースと授業時間が70時間を超えるコースの新規勧誘・契約締結などを半年間停止するという。

 訪問販売や電話勧誘販売のほか、ある程度継続することが必要な英会話学校や美容サロン(エステ)などの利用者保護を目的にした特定商取引法に基づくものだ。それにしても同社の行為には、あきれてしまう。

 NOVAは生徒に、前払い授業料として1ポイントが40分間授業1回分に相当する「ポイント」をまとめて購入させている。ところが、解約時には契約時と異なる料金体系を使用、返還金は減額されてしまう。ポイントは一定期間を過ぎると失効するため、講師不足などで予約がとれないとポイントは期限切れとなり、その分も返還されない。

 まだある。無条件で解約できるクーリングオフ期間は8日だが、起算日を契約日ではなく、それ以前の登録日にして、「もうクーリングオフできない」と拒否していたのだ。ほかにも違反行為は続々発覚、しかも会社ぐるみで行われていた。

 NOVAは低価格と、生徒が自分の都合で自由に授業時間を設定できる融通性を売り物に急拡大した。しかし、実態は「看板に偽りあり」といわれても仕方のないものだった。

 「駅前留学」のキャッチコピー、人気キャラクター「NOVAうさぎ」などのヒットCMで消費者の好感度を高めていただけに、罪は極めて重い。性根を据えて正常化に取り組まねばならないことはいうまでもない。

 巨額の代金を前払いし、解約時に返還金をめぐってトラブルになるケースは他の語学学校やパソコン教室、エステなどでも多発している。「英語は必需品」「パソコンは常識」「仕事も遊びも容姿が大事」などと喧伝(けんでん)され、消費者を駆り立てる空気が社会に満ちている分野だ。

 新たな“被害者”が続々と再生産される土壌が存在し、誰もがそうなる危険性はある。

 消費者は事前に内容を厳しくチェックすることが求められるし、監督当局は、偽りの看板を掲げる業者は容赦なく処分するという厳しい姿勢で臨まねばならない。

(2007/06/15 05:03)

【主張】総連売却疑惑 検察は闇を徹底究明せよ

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地・建物が、元公安調査庁長官が代表取締役を務める会社に売却された疑惑は、東京地検特捜部が強制捜査に踏み切り、刑事事件に発展する異例の展開を見せ始めた。

 検察当局は、売買契約は電磁的公正証書原本不実記録の疑いがあるとして、元公安調査庁長官だった緒方重威氏の自宅や事務所を家宅捜索し、同氏と取引を持ちかけた元日弁連会長で朝鮮総連代理人の土屋公献氏を任意で事情聴取するなど捜査は急ピッチだ。

 緒方氏は主に公安畑の中枢を歩んだ大物検察OBだけに、自宅などが検察当局の手で家宅捜索される事態は前代未聞である。

 同氏は、朝鮮総連と売買契約を結んだ経緯などについて、会見で整理回収機構が総連に約628億円の返還を求めた訴訟の判決が18日に迫り、敗訴した場合、本部の明け渡しを回避するのが目的だったと説明している。

 また同氏は、「総連に取り込まれたわけではない。朝鮮総連をつぶせばいいというものではない」などと弁明し、総連擁護に終始した。

 公安調査庁は、破壊活動防止法に基づき、暴力主義的な破壊活動が懸念される各種団体の情報を収集し、調査する政府機関だ。当然、朝鮮総連を監視・調査するのも公安調査庁の重要な任務である。

 いくら現役を退いたとはいえ、かつて同庁のトップを務め、仙台や広島の高検検事長も歴任した検察OBが、朝鮮総連と深いつながりがあるかの疑惑を抱かせただけでも事は重大だ。公安調査庁、ひいては検察に対する国民の信頼を著しく失墜させるものだ。

 「何らやましいところはない」と緒方氏は強調するが、開き直りにしか聞こえない。

 朝鮮総連は、拉致事件でも日本国内で重要な役割を担っていたことが警察当局の捜査で徐々に明らかになっている。緒方氏は長官時代の平成6年の国会で朝鮮総連の動向について「約5000人が非公然活動に従事し、船舶や飛行機で本国に送金し、資金援助している」などと答弁している。

 そのような団体になぜ、協力するような行為をしたのか。深い闇がありそうだ。検察の手で晴らすしかない。

(2007/06/15 05:02)

【産経抄】

 今から思えば、のんびりした時代だった。札付きの過激派学生たちが、羽田空港から日本刀を持ったまま堂々と日航機に乗り込み、「よど号」事件が起こった。昭和45年3月31日のことだ。

 ▼なにしろ初めて直面するハイジャック事件だ。当時の新聞を読み返すと、政府と航空会社、そしてメディアが右往左往している様子がよくわかる。福岡空港から韓国の金浦空港へ舞台が移り、乗客の身代わりとなった山村新治郎氏というヒーローを生んで、幕となった。

 ▼日本側は人命尊重の立場から、犯人の要求する北朝鮮行きを認めるのもやむなし、との意見に傾いていた。これに対して、今と違って北朝鮮には強硬だった韓国は、乗客を降ろさない限りだめだ、と譲らない。結果的に韓国は正しかった。

 ▼ 北朝鮮のいう「安全尊重と帰国の保証」をうのみにして、乗客が入国していたら、果たして全員が日本に帰れたかどうか。時移り、革命家気取りだったハイジャック犯は、北朝鮮の手先として、日本人の拉致に手を染めていた。警視庁公安部は、犯人の妻2人を国際手配する手続きに入った。遅まきながら、「ならず者国家」の犯罪に立ち向かう「普通の国」になった。

 ▼そう思ったのもつかの間、朝鮮総連の本部売却騒動が持ち上がった。元日本弁護士連合会会長の土屋公献氏の依頼で、購入した投資顧問会社の社長は、元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)氏だという。拉致にも関与してきた組織とそれを監視する立場の人間が、いかなる事情で結びつくのか。

 ▼緒方氏は会見で、「いずれ歴史が私のしたことを分かってくれる」と言うばかり。小欄が歴史からくみ取るのは、北朝鮮が繰り出す謀略に、日本の対応が甘すぎたという反省ばかりなのだが。

(2007/06/15 05:00)


【日経・社説】

社説1 年金検証委は透明かつ迅速に結論を(6/15)

 今回の年金騒動の震源地である社会保険庁問題を一から検証するために、菅義偉総務相が発足させた年金記録問題検証委員会(座長・松尾邦弘前検事総長)が初会合を開いた。国民の年金記録をずさんに扱ってきた社保庁の体質が制度への不信感を増幅させ、参院選を控えて今やこの問題は国民の一大関心事である。

 検証委はそうした国民の視線を意識してオープンかつ透明に議論を進め、問題点を迅速に明らかにしてほしい。厚生労働省・社保庁にはその意見を真摯(しんし)に受け止め、速やかに問題点を正す義務がある。

 社保庁が誰のものかを把握していない記録は5000万件、コンピューターに未入力の厚生年金記録は1430万件あるとされる。委員からは「社保庁の今までの説明ではその中身や実態を国民が正確に理解するのは難しい」との指摘が出た。その通りだろう。松尾座長も会合後の記者会見で「これらの数字が黒い雲のように覆いかぶさっている」と述べ、簡明な説明を求めた。村瀬清司長官は、問題となる数字がこれ以上出ることはないと断言したという。

 政府はこれまでも同庁の改革を議論するために有識者会議を設けてきた。官房長官主宰の「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」(04年8月設置)、厚労相主宰の「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」(05年6月設置)などだ。

 二つの会議はともに厚生官僚が事実上の事務局役となり、議論の流れや報告書のとりまとめは同省の意向に沿って進んだ。歴代長官の無責任体制や記録のコンピューター化に消極的だった職員労組の体質など、社保庁に巣くう問題の本質に切り込んだ解決策を示したとはいえない。

 例えば官房長官主宰の有識者会議は、年金業務部門を行政府の一組織として温存するよう求めた。これに基づいて政府が国会に出した改革法案は、保険料徴収に関する不正手続きの表面化で与党が廃案にした。現在、参院で審議中の日本年金機構法案は同庁を解体して民間色の濃い公法人にするのを目的としている。

 問題解決を厚労省の手に委ねていては国民の不信感を和らげることはできない。検証委を総務相が主導するのは政府内のそうした反省をふまえてのことだ。検証委は過去の有識者会議が国民の視点に立っていたのかどうかも再確認する必要がある。

 年金記録問題への加入者・受給者の関心は日増しに高まる一方だ。これだけの視線が注がれているのだから、検証委が審議や議事録などを公開すべきなのはいうまでもない。

社説2 悪質さ目立つNOVA(6/15)

 経済産業省が英会話学校最大手の「NOVA」に、長期コースの新規契約など一部業務を停止するよう命じた。同社はキャラクターを使ったCMなどで急激に成長し、全国に900以上の教室を持つ。だが、今回指摘された違反内容をみると法令順守の意識があまりに希薄だといわざるをえない。

 たとえば年間を通じて入学金を免除していたのに、「キャンペーン期間中だけ」といった広告を出して生徒を集める。契約の取り消しができる時期なのに「期間が過ぎた」とウソを言う。中途解約を申し出たら返還金の一部を差し引く――など、とても看過できない悪質さだ。

 同社をめぐっては以前から全国の消費者センターに苦情・相談が寄せられ、各地で受講料返還訴訟も起きている。今年2月には経産省が立ち入り検査し、4月には中途解約金の返還について最高裁がNOVAの上告を棄却する判決も出た。

 英会話学校やエステティックサロンなど高額の料金を前納して長期にサービスを受ける事業は、消費者トラブルが起きやすい。このため特定商取引法はこうした取引について事業者が守るべきルールを厳しく定めている。NOVAの猿橋望社長は記者会見で「まだ新しい法律なので理解が足りなかった」と話したが、そんな言い訳は通らないだろう。

 語学学習へのニーズは高まっている。民間のシンクタンク「矢野経済研究所」の調査では語学ビジネスの市場は約6400億円。NOVAは同業他社より安いことを武器に多くの生徒を集めた。だが仕事のため、子どもの将来のためと考える消費者をウソでつり、期待したサービスを提供しないのでは裏切り行為だ。働く教師を傷つけることにもなる。社会的責任はきわめて重い。

 行政が事前規制から事後チェックにかじを切り、事業者の参入は容易になったが、悪質業者の活動も目立っている。経産省の処分は消費者保護の姿勢を鮮明に打ち出し、違法を許さないと悪質業者に知らせたという意味でも当然である。消費者の苦情や相談をすみやかに吸い上げる制度を充実し、悪質な行為や業者を締め出すことは公正な市場を維持する上でも欠かせない。

【日経・春秋】(6/15)

 「だんご3兄弟」の童謡がはやった1999年は、すでにかなりの少子化時代だった。タンゴ系のダッダッという威勢のよさがレトロな大家族を思わせた。その後、国民年金の「未納3兄弟」や「談合3兄弟」など3兄弟は悪い例ばかり。

▼久しぶりに明るい話題は亀田三兄弟ではない。週刊ゴルフダイジェスト誌によれば、女子のトッププロは「3人兄弟(姉妹)」という共通点があるという。昨年はベストテンのうち7人、今季は12試合中、優勝は9度を数えている。全美貞(韓国)、宮里藍、大山志保、横峯さくら、上田桃子らがその顔ぶれだ。

▼日本選手は沖縄、鹿児島など平均出生率が高い出身県であることも影響しているが、大山、宮里、横峯ら第三子であることも特徴だ。要領の良さ、奇抜な発想、目立ちたがり屋など、末っ子にありがちな性格が勝負師に向いていたのだろう。若いジュニア世代にも三兄弟の有望選手が控えており、頼もしい限りだ。

▼15歳で男子ツアーを制覇した「ハニカミ王子」の石川遼君も三兄弟で長男だ。弟、妹もゴルフセンスに定評があり、将来、三兄弟で活躍する可能性を秘めている。厚生労働省の発表では2006年は、景気回復で12年ぶりに第三子を産む女性が増えたことが特徴という。未来への明るい予兆と思いたいのだが。


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●asahi 2007年06月15日11時43分 「慰安婦強制の文書ない」 日本の国会議員ら米紙に広告 従軍慰安婦問題をめぐり、日本の国会議員有志や言論人らが14日付の米紙ワシントン・ポストに「旧日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す文書は見つかってい....... [続きを読む]

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