« おのおの方、油断するな。創価学会はすでに選挙モードで電話作戦を開始しているぞ。 | トップページ | BlogRankingのバナーがあるの忘れてたなぁ、。(^^;今日は雑談日記(徒然なるままに、。)の政治ランキング・スタート記念日。(笑) »

2007年6月24日 (日)

6月24日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

お勧めPDA・電子辞書

 政治ランキングをリベラル派で占拠しよう!(バナークリックで政治ランキング。雑談日記は現在2頁目(51位~100位)に登場、さらにジリジリ上を狙う勢い。)
人気blogランキングバナー

天木直人さんを応援しています、SOBA個人用バナーです。草原の壁紙を使っていて同じく天木さん支持している人は使ってもいいですよ。(笑)
完全プライベートバナー「僕は青空と平和が好きだから天木さんを応援します」


【沖縄タイムス・社説】(2007年6月24日朝刊)

[非戦の誓い]歴史をどう語り継ぐか

「今だからこそ」歩かねば

 梅雨が明け、早くも真夏の強い日差しが糸満市摩文仁にある平和の礎や魂魄の塔を照らし、糸満市役所に隣接する市民広場にも降り注いでいた。

 ことしの慰霊の日はいつもの鎮魂の日とは様相を異にし、緊迫した空気が漂った。広場を出て平和祈念公園までの九キロを歩く、県遺族連合会の平和祈願慰霊大行進参加者の表情を見て、そう感じざるを得なかった。

 午前九時。「さぁ出発しましょう」の声とともに一歩を踏み出す。

 遺族会の行進はことしで四十六回目。沖縄戦で亡くなった親や兄弟、姉妹そして親類、友人のことを思い出しながら、平和を誓う行進だ。

 六十二年前の六月。南部の地は米軍に追われて敗走する日本軍と、それを追うかのように逃げ惑う非戦闘員が入り交じり、数多くの悲劇を生んだ。

 「沖縄戦の体験者は高齢者が多い。ことしは参加者が減ったのでは」という声が聞こえる。一方で「そのお年寄りが今回はいつもの年よりも多いような気もする」との声も耳に入る。

 ひ孫の手を引いて一歩一歩、静かだが、それでも腰や膝に力を込めて歩みを進める老夫婦。隣には、三人を見守るかのように寄り添う若い母親の姿も見える。

 「さぁ頑張って。戦争中はみんな大変だったんだよ」と、一緒に歩む子どもに話し掛けるおばあさん。しかし、歩を進める多くは、黙々と目的地を目指す。

 ひめゆりの塔が近くなると行程は半ばを過ぎる。額には大粒の汗が浮かび、シャツやズボンは濡れそぼる。行進団の声が次第に沈み、重くなる。

 戦争中は梅雨の真っただ中であったはずだ。ぬかるんだ原野と艦砲射撃で荒れ果てた畑地を赤ん坊やお年寄りを背負い、手を引き、迫り来る恐怖と戦っていたことを考えれば、きれいな歩道を歩くのは苦にならない。

 行進は当時の追体験でもある。参加者それぞれの思いを胸に激戦の地を歩み、命の尊さを思う。「もう年だから大変さぁ。でも、おかしくなってきているよ。あんな世の中は嫌だからねぇ。だからいま歩くんだよ」。小さく聞こえた声が頭の中で大きく響いた。

沖縄戦の実相胸に刻もう

 平和の礎にはことし五人の韓国人名が新たに刻まれた。県外の沖縄戦戦没者百六十六人、県内は六十四人だ。

 米国が一万四千八人、韓国三百五十一人、英国と北朝鮮がそれぞれ八十二人、台湾三十四人。刻銘者の総合計は二十四万六百九人に上る。

 関係者が刻印された礎の前で献花し、線香をたく。名前をきれいにふいたあと供え物をし、静かに手を合わせる。死者への語り掛けは長い。涙をぬぐった後、また名前に手を添える。

 礎にたたずむ吉川嘉勝さん(68)も渡嘉敷島で「集団自決(強制集団死)」の場にいた一人だ。

 「『集団自決』への軍関与を削らせないのは県民の総意。安倍晋三首相には、沖縄戦の実相を見て、県民の怒りを肌で感じて帰ってほしい」

 これは県民誰もが持つ気持ちであり、多くの体験者の証言によって明らかにされた史実といえよう。

 しかし、戦争が終わって六十二年。ことしの教科書検定では高校歴史教科書の「集団自決」から「軍命」が削除された。沖縄では「歴史を改ざんしようとする」文部科学省への怒りと不信感がわき起こっている。

 慰霊の日は、私たち一人一人が沖縄戦の実相をいま一度振り返り、真実はどこにあるのかを学ぶ良い機会になっている。

歴史の歪曲は禍根を残す

 沖縄全戦没者追悼式に参列した安倍首相は、「集団自決(強制集団死)」から旧日本軍の関与が削除された問題について「(教科書検定は)教科用図書検定調査審議会が学術的な観点から検討している」と述べた。

 だが、首相が言う学術的観点とは何か。体験者の証言は学術的資料になり得ないと思うのなら、自身の歴史観とともに正直に示すべきではないのか。

 繰り返すが、県民にとって沖縄戦の“真実”は一つと言っていい。なぜ首相がそのことに目を向けようとしないのか。それが不思議でならない。

 子どもたちに教えなければならないのは歴史の真実だ。歪曲した歴史を教えたのでは将来に禍根を残す。

 沖縄戦の記憶を背景にした“非戦の誓い”をどう継承し発展させていくか。私たちはいま、歴史の大きな岐路に立っていることを自覚したい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年6月24日 朝刊 1面)

 芸人集団FEC(フリーエンジョイカンパニー)の「お笑い米軍基地」を見た。過重な米軍基地問題をお笑いネタにした舞台だが、的を射たコントに大笑いした。

 マンネリ気味の基地反対運動の人たちを、通信販売で流行の軍隊式訓練で元気を回復させたり、教科書検定問題を夫婦のドタバタ喜劇に転じたりするなど、ひねった風刺コントは絶妙だ。若者に共感を呼んでいるというのも、うなずける。

 公演は浦添市職労が取り組んだ慰霊の日企画だ。沖縄の現状を様々な視点から、考えてみたいという趣旨で、会場には家族連れ、若者が目立った。FECも「戦争を知らない僕らが自分たちの表現で何かできることを考えた」ことが基地コントのきっかけだという。

 沖縄戦体験者は少なくなり、風化が懸念されている。だが、若者たちが彼らなりの表現で鎮魂を継承している。今年も音楽ライブなどを通して平和の思いを託した。平和ガイドも確実に次世代に引き継がれている。

 沖縄大学の屋嘉比収准教授は「非体験者から非体験者に語る時代」がやってくるという。もし自らが戦争の場にいたらどうするか、という想像力をはぐくみながら、沖縄戦の歴史を主体的に学び直してほしいと語る。

 昨日の沖縄全戦没者追悼式で匹田崇一朗君は「あの忌わしい戦争の話を風化させることなく語り継ごう」と詩で訴えた。沖縄戦を「伝える」。その思いを次代は受け止めている。(銘苅達夫)


【琉球新報・社説】

ヒル次官補訪朝 非核化の道筋を確実に

 北朝鮮の核開発問題をめぐる動きが慌ただしくなってきた。この勢いで「初期段階の措置」が履行され、次のステップである「核の無能力化」へと一気に突き進むのだろうか。国際社会の耳目が集まる。
 情勢変化のきっかけは、凍結された北朝鮮資金の送金手続きの完了に続く米高官の電撃訪問だ。6カ国協議の米首席代表を務めるヒル国務次官補が21日、滞在中の日本から急きょ北朝鮮を訪れた。米国務次官補の訪朝は2002年のケリー氏以来である。
 訪朝後に韓国・ソウルに立ち寄り記者会見したヒル氏は、北朝鮮が寧辺の核施設の稼働停止・封印を「速やかに履行する」との意思を示したと述べ、米朝協議の成果を強調した。
 だが対北朝鮮外交では、額面通りに受け取れないもどかしさが付きまとう。「速やかに」と表明しながら、往々にして引き延ばし戦術に出ることも少なくない。楽観できない側面があるのは否定できない。しかし、核施設の稼働停止や封印は2月の6カ国協議での合意である。本来なら2カ月前に履行されていなければならない。
 北朝鮮は今度こそ即刻約束を実行すべきだ。それが当事国に求められる誠意ではないか。
 ヒル次官補によると、北朝鮮は次の段階となる各施設の「無能力化」についても「準備ができている」と前向きな姿勢を示し、具体的手続きをめぐって一部意見交換したとも語っている。
 過剰な期待や予断は置くとしても、ヒル氏の訪朝が北朝鮮側の招請で実現していることなどからみて、北朝鮮側に現状を突き動かしたい意思があるのはまず間違いないだろう。
 予想される今後の動きとしては、国際原子力機関(IAEA)の先遣隊となる実務代表団が26日に平壌入りし、初期段階措置に向けた準備協議後、7月半ばに査察要員が北朝鮮に入る予測だ。7月後半には6カ国協議が開催される公算が大きくなっている。
 2月の6カ国協議再開は、その直前のベルリンでの米朝協議が伏線となった。同様に、米朝間の信頼醸成に向けた動きが今回の情勢変化の背景にある。
 泥沼化のイラク問題で身動きできない米国には、外交面でポイントを稼ぎたい政権事情がある。北朝鮮側には「テロ支援国家」の指定解除などの思惑が働いているのだろう。
 ただ忘れてならないのは6カ国協議の役割だ。日米韓中ロはこの機をとらえ、連携を強め、北朝鮮の非核化への道筋を確実にしたい。日本にとっては、拉致問題の進展、解決につなげるためにも一層の努力、各国との連携協力が欠かせない。

(6/24 10:08)

復帰35年沖縄宣言 強い気概を持ち自立を

 本土復帰から35年。本土化の流れがほぼ定着し、価値観が多様化する中で、県民が心や思いを等しくし認識を問い直す機会の一つが「慰霊の日」である。
 慰霊の日のきのう、県内各地では、激烈な沖縄戦で犠牲になった戦没者のみ霊を慰め、非戦を誓う老若男女の変わらぬ姿があった。
 その慰霊の日に向けて、有識者ら50人の連名で「復帰35年・沖縄宣言」が発表された。
 提唱者は、大学教授、作家、工芸家、音楽家、実業家、弁護士など職業の枠や党派を超えた多彩な顔ぶれである。
 宣言全文を共通して貫いているのは、今の沖縄の姿を憂い、平和な生活に直結する自立への気概などを、強く持つよう求めたことなどだ。
 宣言は、まず沖縄戦から学んだ教訓である「命どぅ宝」に触れた後で、「人間の尊厳」の重さを説き起こしながら平和や自治や自立の確立を呼び掛ける。
 批判の切っ先は、米軍再編による日米両政府からの強権的な押し付け、自衛隊を投入した住民運動への威圧、高校教科書検定にみる歴史の歪曲(わいきょく)など最近起きた一連の問題に及ぶ。
 「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍政権の発足以来、改憲論議が急ピッチだ。平和憲法に関連して、宣言は「沖縄住民は悲願である『平和・主権・人権』を享受するはずであった」とし、基本的人権を脅かす政治、社会の現実に異を唱える。
 提唱者らの自省も込められているのだろうか。重要な事項が他律的に決定されることにも、宣言は容赦ない。
 米軍統治時代を象徴する語り草にもなっている、当時の高等弁務官による「自治神話」論を引き合いにこう説く。
 「自ら治めようという気概のない限り、『自治は神話』のままに陥ることを憂慮し、ここにあらためて沖縄自身が決める重要性を深く認識する」
 現実の波に流されるだけでは理想が遠のく。宣言が訴え掛ける意味・意義を考えてみたい。

(6/24 10:07)

【琉球新報・金口木舌】

 「遺言」講演会というタイトルにぎょっとさせられた。講演者は成田空港建設反対闘争や自衛隊を果敢に取材した報道写真家の福島菊次郎さん。今年86歳。満身創痍(そうい)で体重は37キロという。タイトルに引かれ会場の明治大学に足を運んだ
▼「ジャーナリズムの在り方をタブーなく論じる最後の機会」と主催者。写真集などで過去の活動に接したことはある。「健在だったんだ」というのが正直な感想だ
▼会場に現れた福島さんは足取りも軽やか。足腰の鍛錬のため散歩は欠かせないという。「年相応に数字と人名を忘れてしまう」と笑いを取りながら、国民への説明責任を果たさぬ政権を「ウソばっかりだ」とバッサリ
▼自衛隊内部に潜入し、写真を発表。反響を巻き起こした。「僕をだました軍隊への怨念(おんねん)がある。仕返しをしてやった」。ひょうひょうとした語り口だが、圧倒的な凄(すご)みがある
▼政府は24日の米海軍掃海艦の与那国寄港の目的を「友好および親善」と説明するが、裏には台湾有事をにらんだ情報収集という狙いがあった(本紙23日付朝刊)。ここにもウソが隠されている
▼「もう、だまされない」という気概と注意深さがウソを見抜く。政府を監視する目の鍛錬が必要だ。

(6/28 10:08)


【東京新聞・社説】2007年6月24日

週のはじめに考える 薩摩義士と特攻隊

 鹿児島市の薩摩義士碑と知覧町の特攻平和会館を訪ねる機会がありました。「自己犠牲」や「戦争と死」をたどる史跡に、粛然とした気持ちになったことです。

 西南戦争最後の激戦地となり、数々の旧跡が残る城山公園の片隅に薩摩義士碑は立っていました。

 数多くの手向けの花に埋まるように木曽川、長良川、揖斐川の水が供えてありました。流域の人たちが地元から運んできたのでしょう。

 八十六体の墓石が並ぶ碑の最上部の墓碑銘は「平田正輔君」。薩摩藩家老、平田靱負(ゆきえ)のことです。薩摩と縁深い地方の住人として、感謝を込めて碑に手を合わせました。

 宝暦治水と「四海同胞」

 岐阜と鹿児島の「縁」は、二百五十余年前の一七五四(宝暦四)年から五五年にかけて、薩摩藩が江戸幕府の命を受け、この地方の治水工事を行ったことにさかのぼります。

 「宝暦治水」と呼ばれます。

 「輪中」という言葉をご存じでしょう。洪水から集落や耕地を守るために、周囲に堤防を巡らせた低湿地域をいいます。木曽三川が集まるこの美濃の輪中が有名ですが、かつては水害に苦しめられた地域でした。

 その三川の治水工事を命じられたのが薩摩藩です。労力から費用までほぼ全部を負担させる命令でした。

 外様大名の薩摩七十七万石は加賀百万石に次ぐ二位の石高ですが、すでに台所は火の車でした。なぜ借財をしてまでも、見ず知らずの他藩を救わねばならないのか。「散財による薩摩の自滅が幕府の狙いだ。命令を退け将軍家を倒す覚悟が必要だ」などと藩の評議は強硬論で満ちていたそうです。

 ここで口を開いたのが平田靱負です。こう諭したと伝承にあります。

 「海に囲まれた日本の住民は、全員が兄弟であり仲間ではありませんか。その兄弟や仲間の苦難を誰が見過ごせましょう。そもそもわが薩摩の背骨を貫く原則は人への厚い心ではありませんか。みなさん、引き受けましょう、この難事業を」

 この熱弁に「そうでござった」の合唱がわき上がったと伝わります。平田の説く「四海同胞」論は、仁義の精神の発露でしょう。自己犠牲をいとわない博愛の心が、日本最南端の藩で息づいていたのです。

 たしかに未曾有(みぞう)の難事業でした。要した費用は四十万両、今の何百億円にも相当します。しかも、約一年三カ月の工事期間中に九十人近い犠牲者が出たのでした。

 幕府役人による理不尽なやり直し工事などに憤慨しての切腹が五十数人、病死が三十数人といわれます。工事の完成直後に、平田も自刃して果てました。総奉行として多大な借財と犠牲への責任をとったのです。

 別の悲劇の側面もある

 岐阜県の現地では、忍苦と犠牲を重ねた薩摩義士を顕彰し、その恩恵への感謝を忘れていません。旧海津郡(現海津市)の平田町という地名は、平田靱負の名字にちなんだものです。姉妹県として岐阜と鹿児島の交流は今も続いています。

 ただし、後遺症にも触れざるをえません。平田は大坂の商人に砂糖を送る見返りに借金しました。砂糖は奄美大島と周辺の島々で栽培するサトウキビから採りますが、債務返済のため薩摩藩のとりたては徹底的でした。サトウキビの端をなめた子供までが厳罰に処せられ、藩への恨みは子々孫々まで伝わっています。

 宝暦治水はまた、奄美諸島に悲劇をもたらした側面があるのです。

 義士碑に頭を下げた翌日、訪ねたのが知覧特攻平和会館でした。戦争末期、知覧基地などから二百五十キロ爆弾を抱えて出撃し、沖縄の海に散った千三十六人の若者の遺影と遺品が陳列されています。

 忠君愛国のため「十死零生」の兵器となるよう教育されていたとしても、死を前にした若者に葛藤(かっとう)や恐怖心、苦悩がないはずはありません。

 十八歳の相花信夫少尉は遺書を次のように結んでいます。「今こそ大声で呼ばして頂きます お母さん お母さん お母さんと」。読んで、こみ上げてくるものがありました。

 鹿児島から帰って数日後、知覧基地を舞台にした映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」を見ました。石原慎太郎・東京都知事が脚本を書き、製作総指揮を執った作品です。

 「過酷な時代を生きた、美しい日本人の姿を残しておきたい」と石原知事は語ります。でも、特攻という不条理な命令を、最後は諦観(ていかん)の境地で受け入れた若者たちの姿は「悲しい」としか言いようがありません。

 歴史を現代への尺度に

 やはり「美しい日本人」という言葉に抵抗を覚えます。きのうは沖縄慰霊の日でした。沖縄戦での死者は二十万人を超えますが、ほぼ半数が住民の犠牲者です。玉砕の島では病死や餓死した多くの兵士がいます。空襲、原爆の惨禍など、美しくはない死で満ちた「戦争の現実」を見失ってはいけないと思うからです。

 薩摩義士も特攻隊も数々の歴史ドラマに彩られています。大切なことは、その歴史から実相を学び取り、いま生きている時代、そして未来の尺度とすることではありませんか。

【東京新聞・筆洗】2007年6月24日

 世の中には論理と現実がずれることはよくある。参院選もその一つ。二院制の論理では、首相を選ぶための選挙ではない。それは衆院選の役割だ。では参院選が首相を選ぶことと無縁かと言えば、現実は異なる▼一九八九年以降の六回の参院選を見ると宇野宗佑、橋本龍太郎両首相が退陣に追い込まれている。村山富市首相も辞意をいったん口にし、翻意したものの約半年後に唐突に退陣している。同じ期間で衆院選に負けて退陣したのは宮沢喜一首相だけ。歴代の首相にとって参院選は、衆院選以上に厳しい審判の場となる▼いつ解散があってもおかしくない衆院議員と違い、六年間の任期を保障されている参院議員は一般的に有権者との結びつきが弱い。その分、改選時に「風」が吹くとまともに影響を受けやすい▼国会の会期が十二日間延長となり、参院選は七月二十九日の投開票が確定した。自民と公明の与党にとっては、年金や政治とカネの問題など「逆風」下での選挙となる。安定した政権運営に必要という参院での過半数を維持するのは、簡単なことではない▼それを承知で獲得議席の予想や、安倍晋三首相の責任をめぐる議論が早くもにぎやか。首相自身は「すべての事柄に私は責任を負っている」と述べている。政治的には、参院選の結果にも責任を持つ考えを鮮明にしたと解釈できるのだという▼安倍政権は首相を選ぶための衆院選を経ないで誕生している。過去の例を見るまでもなく、参院選には有権者が政権への「拒否権」を行使するかどうかの役割があっていい。


【河北新報・社説】

クーリングオフ/一層の拡充で消費者保護を

 一定の条件の下でなら、無条件で商品購入契約などを解約できる「クーリングオフ」。

 さまざまな商品・サービスがこの制度の対象に義務付けられているが、経済産業省は訪問販売と電話勧誘販売について、基本的にすべての商品・サービスに拡大する方針だ。

 産業構造審議会の小委員会が具体的な検討を進めており、来年の通常国会で特定商取引法などの改正を目指すという。

 クーリングオフは消費者保護の観点から極めて重要と言える。悪質な業者による高齢者の被害を防ぐためにも、一層の拡充を求めたい。

 クーリングオフの制度があることは広く知られるようになった。だが、詳しい内容まで十分に理解されているとは言えないのが実情だろう。

 実は、すべての商品・サービスについて法律で義務付けられているわけではない。

 特定商取引法は訪問販売と電話勧誘販売に関して、クーリングオフの対象となる商品・サービスなどを政令で指定している。逆に言えば、指定されていなければ義務付けはない。

 指定商品は、法律ができた1976年には14品目だった。翌年に43品目に増え、その後も追加を続けて現在は57品目。サービスも当初の14項目から20項目に増えた。

 今月15日の政令改正でさらに1品目、2サービスが追加され、7月15日以降の契約締結から対象となる。

 悪質な業者は指定されていない商品・サービスを選んで売りつけてくる。国はトラブルが目立ってくると追加指定する。いわば「いたちごっこ」が続いている。

 法改正では、対象となる商品・サービスを列記する現在の方式を変え、原則としてすべてを対象とし、例外を示す方式にする見通しだ。これまでの「いたちごっこ」に終止符を打つためには当然の措置だろう。どのような商品・サービスを例外扱いにするかが課題となる。

 クーリングオフをめぐっては、割賦販売によるトラブルも目立つ。分割払いのため、高額の商品・サービスを押し付けられる事例が多発している。

 割賦販売の場合、販売業者との間では解約できても、信販会社からの支払い請求が止まらないことがある。支払い拒否は割賦販売法で認められているが、クーリングオフを信販会社にも適用することが必要だろう。

 クーリングオフはもともと、訪問販売などによる不意打ち的な契約や、複雑でリスクのある取引などをした際、消費者に「頭を冷やして」再考する機会を与えるのが狙いとされる。

 このため、消費者がじっくり検討できるはずの通信販売については、特定商取引法もクーリングオフを規定していない。

 ただ、通信販売でもきちんとした業者は、返品を認めて事実上クーリングオフを実施しているのが普通だ。

 悪質な業者による被害を防ぐために、通信販売についてもクーリングオフを法的に定めることを検討すべきではないか。
2007年06月24日日曜日

【河北新報・河北春秋】

 精米の副産物・米ぬかはタンパク質、ミネラルやビタミン類も豊かで栄養の宝庫とされる。白いご飯の誘惑には勝てず、かといって無駄にもせず、この粉を活用してきたのがかつての農家。家畜の飼料にしていた▼米ぬかといわず、コメと稲そのものを飼料に―と農水省が本格的な普及に乗り出すという。転作作物の一つだった飼料米の品種を、より多収穫に改良し一層のコスト低減を図る

 ▼ 国内飼料の主原料である輸入トウモロコシの価格高騰が背景にある。ガソリン代替のバイオ燃料向け需要が拡大したあおりで牛豚など肉類の価格も上昇傾向。その歯止め役が自給率100%の作物に回ってきた▼そのバイオ燃料の原料としてもコメは期待大。東大大学院が先ごろ、技術開発を通じた産業化を目指しプロジェクトを立ち上げたほどだ

 ▼耕作放棄地などでコメを栽培し飼料自給率の向上に二酸化炭素の排出量削減、農地の保全にも役立てば「一石三鳥」だ。「米」の字解から稲作には88回の手間がかかると言われた。もっとも八の字形は末広がり。そう考えれば可能性のある作物なのかも▼消費減が続く余されものが、重宝がられる存在になりそうな雲行きだ。気になるのは担い手論不在の感が否めないこと。主食作りに励んできた高齢農家の目にはどう映る?

2007年06月24日日曜日


【京都新聞・社説】

アフガン復興  安定化脅かす自爆テロ

 アフガニスタンの治安が悪化している。旧政権タリバン残党による自爆テロが急増しているのだ。
 首都カブールでは先日、タリバン崩壊以来で最悪となる死傷者を出し、日本のNPOの二人もけがを負った。
 「9・11テロ」以後、米軍中心の多国籍軍が、巣くっていた国際テロ組織アルカイダとタリバン勢力を駆逐したが、その後、イラクで横行する自爆テロを身につけて急速に勢力を回復させてきた。
 政府や治安機関などへの攻撃から、いまでは一般市民も攻撃対象として心理的な揺さぶりをかける。
 駐留するNATO中心の国際治安支援部隊(ISAF)や米軍、国軍は掃討作戦などを展開しているが、成果があがっているようには受け取れない。
 このままでは政府の治安への信頼は崩れてしまう。混乱に陥れば経済復興どころではなくなる。
 まずは国軍、警察力の強化を急ぎ、国際社会が一丸となって治安の回復を支援しなければならない。
 カブールの自爆テロは警察本部前で起こり、警官ら三十五人が死亡、三十人以上が負傷した。
 現場は繁華街で、近くにバスターミナルもあり、通行量によってはもっと被害が大きくなった可能性があった。
 巻き込まれて重傷を負った日本人二人は現地の子どもたちにファンタジー映像を見せるために入国していた、という。
 邦人NGOでは中村哲医師らのペシャワール会も知られ、今春、全長十三キロの農業用水路を地元民と協力で完成させたばかりだ。
 テロ攻撃の広がりが、こうした地道な活動を鈍らせないか気がかりだ。
 タリバン勢力の復活の兆しは三年前からあった。いまでは拠点の南部、東部から全土へ広がる勢いだ。
 国際社会も警戒はしてきたが、米国がイラクの泥沼化に陥り、ISAFへの警備の肩代わりが進む間に勢力を広げたようだ。
 タリバン残党はパキスタン国境地帯で力を養った。数千人が自爆テロを準備し、資金源は世界最大生産地でもあるアヘンの密輸などで稼いでいるという。
 国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチは二〇〇六年にアフガニスタンで起こった自爆テロ数を前年の六倍、百三十件超と報告した。市民に多くの犠牲が出ているのが残念だ。
 タリバン勢力の追放には国境の出入りを厳格にし、資金源のアヘンを絶つことだ。そのため農業ができるようにかんがい施設の整備を急がねばならない。
 ISAF、米軍、国軍の連係をいま一度確かにし、味方を攻撃する事態も避ける必要がある。
 アフガニスタンの民主的国づくりは遅々としているが確実に進んでいる。国際社会には息の長い支援が求められる。

[京都新聞 2007年06月24日掲載]

アフガン復興  安定化脅かす自爆テロ

 アフガニスタンの治安が悪化している。旧政権タリバン残党による自爆テロが急増しているのだ。
 首都カブールでは先日、タリバン崩壊以来で最悪となる死傷者を出し、日本のNPOの二人もけがを負った。
 「9・11テロ」以後、米軍中心の多国籍軍が、巣くっていた国際テロ組織アルカイダとタリバン勢力を駆逐したが、その後、イラクで横行する自爆テロを身につけて急速に勢力を回復させてきた。
 政府や治安機関などへの攻撃から、いまでは一般市民も攻撃対象として心理的な揺さぶりをかける。
 駐留するNATO中心の国際治安支援部隊(ISAF)や米軍、国軍は掃討作戦などを展開しているが、成果があがっているようには受け取れない。
 このままでは政府の治安への信頼は崩れてしまう。混乱に陥れば経済復興どころではなくなる。
 まずは国軍、警察力の強化を急ぎ、国際社会が一丸となって治安の回復を支援しなければならない。
 カブールの自爆テロは警察本部前で起こり、警官ら三十五人が死亡、三十人以上が負傷した。
 現場は繁華街で、近くにバスターミナルもあり、通行量によってはもっと被害が大きくなった可能性があった。
 巻き込まれて重傷を負った日本人二人は現地の子どもたちにファンタジー映像を見せるために入国していた、という。
 邦人NGOでは中村哲医師らのペシャワール会も知られ、今春、全長十三キロの農業用水路を地元民と協力で完成させたばかりだ。
 テロ攻撃の広がりが、こうした地道な活動を鈍らせないか気がかりだ。
 タリバン勢力の復活の兆しは三年前からあった。いまでは拠点の南部、東部から全土へ広がる勢いだ。
 国際社会も警戒はしてきたが、米国がイラクの泥沼化に陥り、ISAFへの警備の肩代わりが進む間に勢力を広げたようだ。
 タリバン残党はパキスタン国境地帯で力を養った。数千人が自爆テロを準備し、資金源は世界最大生産地でもあるアヘンの密輸などで稼いでいるという。
 国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチは二〇〇六年にアフガニスタンで起こった自爆テロ数を前年の六倍、百三十件超と報告した。市民に多くの犠牲が出ているのが残念だ。
 タリバン勢力の追放には国境の出入りを厳格にし、資金源のアヘンを絶つことだ。そのため農業ができるようにかんがい施設の整備を急がねばならない。
 ISAF、米軍、国軍の連係をいま一度確かにし、味方を攻撃する事態も避ける必要がある。
 アフガニスタンの民主的国づくりは遅々としているが確実に進んでいる。国際社会には息の長い支援が求められる。

[京都新聞 2007年06月24日掲載]

【京都新聞・凡語】

始まった桑田投手のメジャー挑戦

 外角へのカーブが鋭く弧を描いて地面にバウンドした。空を切るバット。桑田真澄投手とイチロー選手のメジャー初対決は、絶妙の配球をみせた桑田投手に軍配が上がった▼わずか四球の勝負だったが、一瞬たりとも見逃せぬ剣豪の真剣勝負を見る思いだった。「昔の自分でないことを、受け入れている感じ。なかなかできるものではない」。イチロー選手は試合後、桑田投手をそう評した▼全盛期の球威にはほど遠いが、打者の裏をかき、緩急をつけて変化球を使いこなす投球術は至高の技といえよう。「さらっと水のように、しなやかだけど力が伝わってくる」との桑田投手のイチロー評にも、なるほどと感心させられる▼それにしても桑田投手の復活劇は見事だ。開幕前のオープン戦で審判と激突し、右足首の靱帯(じんたい)を断裂したときには絶望感を味わったことだろう。リハビリを経てマイナーリーグからはい上がってきた精神力は普通ではない▼「これで終わってしまうのかな」と覚悟したが、「野球も人生も何が起きるかわからない。プラスに変えていかなくては」と希望を捨てず頑張り続けてきた努力が報われた▼昨年、巨人から戦力外通告を受けた。引退も同然だった。パイレーツともマイナー契約だったが、二十年来の夢だったメジャー昇格を果たした。三十九歳、まだまだ若い。挑戦はいま始まったばかりだ。

[京都新聞 2007年06月24日掲載]


【朝日・社説】2007年06月24日(日曜日)付

株主総会―経営者が負う説明責任

 記者会見に応じてこなかった米投資ファンドの総帥が、カメラの放列を前に自説をまくしたてる。個人株主に企業と大株主の双方から勧誘の手紙が届く――。

 株主総会が経営陣と投資家がぶつかりあう場に変わり、話題に事欠かない総会シーズンとなった。株の持ち合いに守られ、形ばかりの「しゃんしゃん総会」からは様変わりだ。

 約30社で株主から議案が出されている。過去にも村上ファンドなどが株主提案で投資先を揺さぶった例はあるが、今年は一気に増えた。配当の上積み、役員報酬の公開など要求はさまざまだが、取締役会がすべてを仕切ってきた経営姿勢の見直しを迫るものだ。

 社外取締役の受け入れを迫る楽天に対し、系列放送局や労組も味方につけて対抗するTBSのように、委任状の奪い合いに発展した会社もある。

 経済界にはこうした動きを苦々しく見る空気もある。だが、物言う株主が増えるのは基本的に歓迎できる。

 経営を託された取締役会は、日ごろから証券市場や株主の意向に気を配るべき立場だからだ。総会で厳しい注文がつき、責任を問われるならば、経営は一気に引き締まる。大型投資などは念入りに検討するだろうし、談合のような不正に手を出す気にはならなくなるはずだ。

 会社側が敵対的な買収への防衛策を総会に提案する例も少なくない。たとえばブルドックソースは、大株主に躍り出た投資ファンドの持ち株比率を引き下げられる対抗策の承認を求めている。

 会社の資産を食い荒らすような投資家への備えまでは否定しないが、こうした防衛策が発動されるのは例外であるべきだ。敵対的な買収を通じて経営者が交代することが、会社や株主にとって悪い話とばかりはいえない。

 2年前にライブドアとニッポン放送が攻防を繰り広げた。その際、東京高裁は買収防衛策が使える条件を示している。「株価をつりあげて高値で引き取らせる」といった狙いが明らかならば認められるが、経営陣の「支配権の維持・確保」が目的の場合には許されないとクギを刺した。納得できる判断だ。

 無理な増配には競争力を損なう危険が伴う。社内の蓄えが将来の成長に向けて欠かせないと経営陣が考えるならば、会社側はその根拠を示して株主を説得することだ。現に、先週開かれたブラザー工業などの総会では、投資ファンドによる増配提案が退けられている。

 株主だけでなく顧客や従業員の利益にも配慮し、社会に有用だと評価されなければ、長期にわたって会社が存続し、発展することは難しい。

 総合的に判断して何が最良の選択か。総会というオープンな場で真正面から議論を戦わせて、結論を出す。そんな時代に入ったことを経営陣も株主も自覚し、新しい環境に合った企業像を築いてもらいたい。

医師の確保―医学部の定員を増やせ

 医学部の定員という蛇口を閉めたままで、あれこれやりくりしても、焼け石に水ではないか。

 与党が参院選向けに打ち出した医師確保策を見て、そう思わざるをえない。

 医師は毎年4000人程度増えており、必要な数はまかなえる。問題は小児科や産婦人科などの医師不足のほか、地域による医師の偏在だ。こうした偏りを正せばいい。これが厚生労働省の方針だ。

 その方針をもとに、与党は選挙公約でこれまでの偏在対策に加えて、新たに次のような項目を追加した。

 政府が医師をプールする仕組みをつくり、医師不足の地域へ緊急派遣する。大学を卒業した医師が研修で都市の人気病院に集中しないように定員を改め、地方の病院にも回るようにする。

 確かに、偏在の是正にはすぐに手をつけなければいけない。

 しかし、医師不足は全国の病院に広がっている。都市でもお産のため入院できない地区が増えている。深刻な実態が進んでいるのに、偏在対策だけでは安心できると言えないだろう。

 いま求められているのは、時間はかかるが、医学部の定員を増やし、抜本的に医師不足の解消を図ることだ。

 政府は1982年と97年の2回、医学部の定員を減らす方針を閣議決定した。これに基づき、ピーク時には約8300人だった定員が約8%削られた。特に国立大学が大きく減らされた。

 医師が多くなれば、診療の機会が増え、医療費がふくらむ。だから、医療費の伸びを抑えるには、医師を増やさない方がいい。そんな考えからだ。

 いまの危機的な医師不足はその結果といってよい。

 経済協力開発機構(OECD)の調べでは、人口1000人当たりの医師数が日本は2人で、先進国の平均の2.9人を大きく下回る。しかも、このままでは韓国やメキシコ、トルコにも追い抜かれる可能性があるという。

 政府・与党はこうした状況を招いた責任をどう考えているのか。

 もうひとつ考えなければならないのは、最近の医療はかつてよりも医師の数を必要としていることだ。技術の高度化に伴って、チーム医療が大勢となった。患者に丁寧に説明することが求められ、患者1人当たりの診療時間が増えている。医師の3割は女性が占め、子育てで休業することも多い。

 おまけに高齢化はますます進み、医師にかかるお年寄りは増える。

 医師の偏在さえ正せばいい、という厚労省の楽観的な見通しは、医療の新しい傾向を踏まえたものとは思えない。

 医療のムダは今後ともなくしていかねばならない。しかし、医療費の抑制のため発想された古い閣議決定にいつまでもこだわるべきではない。そんなことをしていたら、日本の医療は取り返しのつかないことになる。

【朝日・天声人語】2007年06月24日(日曜日)付

 肥満の大敵だが、揚げ物はうまいから困る。熱した油をくぐらせるだけで、食材は滋味を増す。タマネギに優しい甘さが満ちる様子などは神秘的だ。自作となると意外に難しいのがコロッケで、具の水気、パン粉のつき、油温のどれを間違えても衣が破れる。

 北海道の食肉業者が豚肉入りの「牛ミンチ」を出荷し、全国の生協で冷凍の「牛肉コロッケ」として売られていた。牛肉の赤みを出すため、内臓や血液も混ぜたという。産地や鮮度の偽りなど、疑惑が次々と解凍されている。

 「混ぜれば分からない」(社長)の読み通り、偽ミンチ入りのコロッケはなかなかの人気だったという。たいていのものをうまくする揚げ衣の中の、ジャガイモに紛れた肉片だ。ソースもついたホクホクを口にして、なお「豚じゃないか」と見破れる舌は多くない。

 店頭から撤収された冷凍食品の袋には「牛肉」の文字が「コロッケ」の何倍もの大きさで表示されていた。偽ミンチは、そんな日本人の牛肉信仰につけ込む悪知恵でもある。

 牛は豚より上という肉の序列は、簡単に揺るがない。豚肉などを混ぜることは「安くする工夫」(社長)だった。記者会見で言い逃れが尽きたら、身もふたもないことを言う。これでは、ささやかなぜいたくも興ざめだ。豚肉を禁忌とする宗教があることも忘れてはいけない。

 この醜聞に救いがあるとすれば、豚肉を混ぜた人たちの告発が、「企業秘密」の厚いコロモを内から破ったことだ。人の良心や正義感を侮るなかれ。どちらも舌ほど甘くない。


【毎日・社説】

社説:国有地売却 都市計画の視点を忘れるな

 国有財産の有効活用に関する政府の方針が固まった。政府の資産・債務圧縮策の一環として、財務省の有識者会議が具体策を取りまとめた。

 昨年、実施した東京23区内の公務員宿舎の移転・再配置や跡地の売却計画に続き、23区内の全庁舎、23区以外のすべての宿舎を対象に、有効活用の道を探った。

 向こう10年間で、23区内の宿舎を含めて06年価格基準で約1兆6400億円の売却収入を見込んでいる。この金額は、昨年の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(骨太の方針06)に盛り込まれた1兆5000億円を上回る。

 今回の有識者による国有財産の有効活用の検討作業は庁舎、宿舎を問わず、国有地が、いま、どう使われているのか全面的な洗い直しを行った点で大きな意味を持っている。

 そこで明らかになったのは、使われていない、あるいは、利用頻度が極端に低い庁舎が少なくないということだ。研修所や倉庫、会議所ではそれぞれの省庁が個別に所有していることも多い。従来、こうした実態が包括的に国民の前に示されることはなかった。情報公開として当然のことだ。

 問題は、そうした国有地をどのように有効活用していくのかである。国のバランスシート圧縮にこだわれば、未利用地や再配置で不用になった土地は、できる限り高値での売却が最も望ましい。民間デベロッパーなどの都市再開発に供するという考え方だ。

 また、霞が関の官庁街では容積率を引き上げるなどして超高層ビルに作り替え、民間企業などを呼び込み、家賃収入を確保するという道もあり得る。

 政府は気象庁の虎ノ門地区への移転で生まれる大手町地区の跡地は、現在、民間が進めている同地区の再開発の用地として売却する方針だ。

 一方、霞が関地区では現状の容積率を維持し、超高層ビル街にはしない。景観や環境への配慮と、中央官庁街としての品格を保つためとされている。

 日本の都市においては90年代以降、都市計画や建築に関する規制が緩和されてきた。経済活性化や都市再生のためとされている。これにより、無秩序な街が各所に出現している。こうしたことが、国有地売却で加速されたのでは本末転倒である。

 最低限のこととして、売却対象地域では都市景観に十分配慮した計画が策定されていることを条件にすべきだ。安易に容積率割り増しなども行うべきではない。

 また、都市部を中心に公園や緑地の不足は全く解消していない。国有地のみならず地方自治体の公有地などもこうした用途に積極的に使うべきである。すべてを、短期的な視点で売却するのではなく、公園や公共用地への転用が見込まれるところは留保しておくなどの措置も必要であろう。

 国有財産が大手デベロッパーをもうけさせるだけのために売られるのでは、国民は納得できない。

毎日新聞 2007年6月24日 東京朝刊

社説:視点 ドーピング 検査結果の公表抜きに信頼は得られない=論説委員・中島章隆

 大リーグの通算本塁打記録がジャイアンツのバリー・ボンズ選手によって塗り替えられようとしている。22日(日本時間23日)に通算749号本塁打を放ち、ハンク・アーロン氏が持つ755本に「あと6本」と迫った。

 だが、目前に迫った歴史的瞬間の到来を前に、ボンズ選手を取り巻く米国での環境は複雑だ。筋肉増強剤で運動能力を向上させた疑いが持たれているボンズ選手の快挙を手放しで祝福する空気は乏しい。ボンズ選手の記録には「薬物使用の疑いあり」の注釈をつけるべきだという主張が大リーグ関係者の間からも出ている。

 歴史的な快挙を素直に喜ぶことができない大リーグファンの「不幸」を思わずにいられない。

 幸いにも日本のスポーツ界が禁止薬物で汚染されているという事態にはなっていないようだが、安心してはいられない。

 政府は昨年末、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が定めた「スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約」(反ドーピング条約)を締結した。国を挙げて反ドーピングを内外に宣言したことになる。

 プロスポーツ界にもドーピング検査導入の動きが広まっている。プロ野球は昨年の試験導入に続いて今シーズンから本格的なドーピング検査を導入した。大相撲も「アンチ・ドーピング委員会」を設置、禁止薬物についての基準や罰則を設ける準備を始めた。偉大な記録や選手を薬物疑惑から防ぐため、いずれも歓迎したい動きだ。

 ただし、ドーピング検査の運用をめぐっては注文を付けておかなければならない。

 検査結果が「クロ」となれば、その選手が受けるダメージは当然大きいが、同時にそのスポーツ自体も大きなダメージを受ける。

 このことから、ともすれば「クロ」の検査結果を選手も競技団体も内密に処理してしまおうという力学が働きかねない。人気スポーツであればあるほど、その誘惑は強まる。

 ドーピング検査は公正な実施と誠実な結果の発表が伴って初めて信頼を得ることができる。間違ってもドーピング検査の実施主体である競技団体が恣意(しい)的に検査結果を隠したり、選手との取引材料に使ったりしてはなるまい。

 そこで思い起こすのは、プロ野球の新人選手獲得をめぐって発覚した内部の不正工作に対する球界の対応だ。不正の根源を徹底的にただすのではなく、影響を局所的に抑え、「一罰百戒」「臭いものにフタ」で済ませなかったか。ドーピング検査でも同様な操作が介在しないか、不安が残る。

 プロ野球をはじめ各スポーツ団体は、ドーピング検査の導入を単なる「お飾り」とせず、公正な第三者機関にチェックを委ねるなど、ガラス張りの仕組みをファンに提示する必要がある。

毎日新聞 2007年6月24日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:北朝鮮から青森県へ小舟で渡って来たという4人の脱北者は…

 北朝鮮から青森県へ小舟で渡って来たという4人の脱北者は「共和国には人権がない」と言って、韓国行きを望んだ。「人権」は、脱北者が日本に入国 する時に使う「開けゴマ」のような呪文だ。北朝鮮人権法のある日本では、北で人権を抑圧された人は保護されるからだ▲4人を保護した青森県警は、そのひと りの仕事をタコ漁と発表したが、後でイカ漁に変えた。当人は「ナクチ漁をしていた」と言っていたのだが、日本語の訳語が、タコからイカに変わったのである ▲ナクチの和名はテナガダコ。頭の形はカレーライスのスプーンのように丸いが、足はスルメイカのように長い。頭はタコだが、足はイカ。ただし8本だからや はりタコというややこしい生き物だ。海底の泥の中に生息している▲日本ではあまり食べないが、韓国人は大好きだ。生のままぶつ切りにしてしょうゆで食べた り、からしミソ仕立てのナベの具にする。ところが北朝鮮では、ナクチと言うとイカを指す。韓国でイカはオジンオというが、北ではそれがタコだ▲韓国政府が 脱北者の聞き取り調査をして、北の言葉と南の言葉を比べた。約2割ほど違っていたという。イカとタコの逆転はその代表的な例だ。日本の朝鮮語辞書は、韓国 の用法しかないが、警察もナクチの意味が南北で違うことに気付いて訂正したらしい▲韓国に送られた4人は、「自由、民主、人権」と叫んだ。韓国に入国する には、これが呪文になる。もっとも、北朝鮮から中国に逃げた脱北者がうっかりこの呪文を使ったら大変だ。日本や韓国に入国する時には「開けゴマ」になる が、中国では同じ言葉が「閉じろゴマ」だから、たちまち追い返されるだろう。「自由、民主、人権」は、国により使われ方が違う。

毎日新聞 2007年6月24日 東京朝刊


【読売・社説】

WTO交渉決裂 新ラウンドの崩壊をどう防ぐ(6月24日付・読売社説)

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が、またも事態打開に失敗した。この大詰めの交渉で、日本は蚊帳の外に置かれた。いずれも深刻な事態である。

 新ラウンドの年内合意を目指して、ドイツで開かれた米国、欧州連合(EU)、インド、ブラジルの4か国・地域(G4)の閣僚会合が決裂した。

 2001年末にスタートした新ラウンドは、何度も挫折し、今なお難航している。今回、G4が大枠合意できれば、年内合意に弾みがつくはずだった。

 米議会が大統領に与えた貿易交渉の一括交渉権の期限は、6月末に切れる。大枠合意がずれ込むと、大統領選を来年に控えた米国は、身動きが取れず、交渉から離脱する恐れが出てくる。目標の年内合意が、難しくなってきた。

 決裂したのは、米国が農業補助金のカット、EUが農産物の関税引き下げ、インドとブラジルなどが途上国の鉱工業品の関税引き下げを巡り、互いに譲歩せず、暗礁に乗り上げたためだ。

 決裂後、ブッシュ米大統領がインドとブラジルを非難し、途上国側は米国を批判した。だが、交渉の不調は、G4全体の共同責任といえる。

 日本はG4の協議に加われず、大詰め交渉から外されてしまった。赤城農相が訪独して、日本と豪州を含めたG6の開催を求めたが、実現しなかった。

 政府の「骨太の方針2007」は、「新ラウンドの年内妥結に向け、世界第二の経済大国としてふさわしい貢献を行う」と強調している。だが、交渉にも参加できなかったというのでは、この一文が白々しくうつる。

 日本は、農産物の関税に上限を設ける「上限関税」に反対し、関税率778%のコメなど高関税を維持できる重要品目数を増やすよう要求している。

 農業の市場開放に抵抗するこうした日本の姿勢が、敬遠された。多少の痛みはあっても、市場開放を受け入れ、交渉で主導権を取り戻したい。そのためには、農業の生産性を向上させる、懸案の構造改革を急がねばならない。

 新ラウンドの決裂を受けて、2国間や地域間で、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を推進する動きが一段と加速するだろう。

 しかし、新ラウンドは、農業、鉱工業品、サービス、投資など幅広い分野の自由貿易を推進し、途上国を含めて、世界経済を豊かにする狙いがある。

 新ラウンドの“崩壊”を防ぎ、早期再開を目指すことが、日本、米国、EUなど主要メンバーの責務だ。
(2007年6月24日1時34分  読売新聞)

科学技術白書 成果あっての研究開発支援だ(6月24日付・読売社説)

 宇宙の果てから生物の細胞まで、森羅万象の解明に挑む中で科学技術は発展してきた。

 文部科学省がまとめた今年の「科学技術白書」は、日本の科学者たちが生み出した成果を幅広く紹介している。

 厳しい財政状況の下、科学技術政策には、多額の予算が投入されてきた。それが国民に支持されるには、なにより成果を分かりやすく示す必要がある。

 今回は、例年の白書より、科学の啓蒙(けいもう)書という色彩が濃い。

 例えば、物質の根源と宇宙の始まりを探究する素粒子物理学の項目では、1949年に日本人初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士の研究に始まり、日本が世界の先頭を走る素粒子ニュートリノの研究までを詳述している。

 日本が誇る深海底探査で発見された鎧(よろい)のような鱗(うろこ)を持つ不思議な貝、ニホンウナギの産卵場所が遥(はる)かかなたのマリアナ沖だったという驚きの研究成果、ヒトに最も近い「進化の隣人」チンパンジーの知性解明、といった例もある。

 身近な応用例についても詳しい。

 100年後の地球環境を予測するコンピューター「地球シミュレータ」、データ記憶装置として長足の進歩を遂げつつあるハードディスク、強くて、しなやかで、さびにくく、なめらかな新材料「金属ガラス」などを、日本人技術者の開発の苦労も交えて取り上げている。

 ただ、成果の裏には、多くの失敗がある。技術開発は「センミツ」、つまり1000のアイデアのうち三つ程度しか実らない、という言葉もある。

 白書が指摘しているとおり、投資に対する成果と、研究開発の効率化が求められるのは当然だ。だからといって、失敗を恐れてばかりいては斬新な発見、発明はない。大胆な挑戦を支える柔軟な政策も忘れてはならない。

 成果が目に見えるには、長い時間がかかることも多い。例えば、太陽電池発電は、基礎技術が54年に登場して実用化され、普及するまでに40年を要した。

 日本は「科学技術立国」を国策に掲げている。これを推進するため、95年に科学技術基本法が制定され、翌年から5年ごとに、具体的施策を定めた科学技術基本計画が策定されている。今年は基本計画の第3期が始まって2年目だ。

 投じられた予算は2期までで38兆7000億円にのぼる。3期では、さらに25兆円を上乗せする目標を掲げている。

 科学技術の成果が社会を発展させ、国民生活を豊かにする。その結果、応援団が増えて、息の長い支援につながる。そうした好循環を目指すことが大事だ。
(2007年6月24日1時34分  読売新聞)

【読売・編集手帳】6月24日付

 将棋文献収集家の越智信義さん(86)は東京・築地の生まれである。以前本紙で書いておられたが、少年時代は夕方ともなれば、大人たちに交じって道端の縁台将棋に興じたものだったという◆車の交通も少なく、時間の流れもゆったりしていた。特に夏場には涼みながら、方々の町内で縁台将棋が行われていた。囲碁もあった。見物の常連の中には、自分はへぼなのに、「そんな手はだめだ」と口だけは達者な人もいた◆大人がやっているのを見れば、子供もやってみようと思うのだろうが、将棋道場も碁会所もビルの一室などに入ってしまって、子供の目に触れる機会が少ない。将棋人口や囲碁人口が減ってきたのもうなずける◆街のたたずまいも変わり、縁台将棋どころでないが、越智さんにうかがうと「まったく残念。子供はゲーム機に夢中で」と心底嘆いておられる。確かに学校と学習塾とゲーム機の世界が生活の大半というのでは寂しい◆わが子のことで学校に理不尽な要求をする親が増えている。子は親の背中を見て育つという。ぎすぎすした親の姿を見続ける子供の将来が心配になる◆教育改革論議が盛んだが、周囲の大人が楽しそうに自分の勉強や趣味に打ち込んでいれば、あまり勉強勉強と言わなくても、子供は自然と学ぶことの楽しさを知るようになるのではないか。
(2007年6月24日1時35分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】ヒル次官補訪朝 どんな意味があったのか

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、クリストファー・ヒル国務次官補が北朝鮮を電撃訪問し、北朝鮮首席代表の金桂寛外務次官、5月に就任したばかりの朴義春外相らと会談、帰途、韓国を経て日本に立ち寄った。

 ヒル次官補は、今回の訪朝で、北朝鮮が核放棄へ向けた「初期段階措置」の早期履行の意思を示し、さらに「次の段階の措置」である核施設の無能力化についても「準備ができている」と述べたことなどを明らかにした。

 しかし、それらの措置は、今年2月の6カ国協議合意に盛り込まれていることばかりで、改めてその履行の意思を確認したことは、「成果」でも何でもない。ヒル氏の訪朝に、いったい何の意味があったのだろうか。

 今回の訪朝は、中東問題にてこずるブッシュ政権が北朝鮮問題で外交得点を挙げたいためとの見方がある。麻生太郎外相は「焦って行って足元を見られる」危険を指摘した。犯罪国家とは交渉しない、というブッシュ政権の原則を曲げるもので、北に正当性を与えかねない行為である。

 6カ国協議は2005年9月、朝鮮半島の検証可能な非核化などを盛り込んだ共同声明にこぎつけた。今年2月の合意は、それを実施するための初期段階の措置の合意だった。

 しかし、その共同声明は昨年の北の核実験で踏みにじられ、2月合意も北の不正資金凍結解除という無法な要求で履行が遅らされてきた。

 結局、この間、北の核廃棄問題は言葉だけで行動は一切ない。逆に、北の核兵器開発という行動だけは着々と進んだ。大事なのはもはや言葉ではなく、完全な核放棄への行動だ。

 北朝鮮資金の送金完了、ヒル氏訪朝で今後、査察官受け入れ、6カ国協議再開、外相会合などが具体化しようが、核の完全放棄とはほど遠い形ばかりの措置で、見返りだけは与えるという愚を繰り返してはならない。

 安倍晋三首相は「拉致問題の解決なくして国交正常化も経済援助もなし」の姿勢を堅持する。拉致で妥協することは、国民の命、主権を犠牲にすることと同じだからだ。米国をはじめ各国は、北朝鮮は「テロ支援国」だけではなく、現在も拉致を続ける「テロ実行国」だとの認識を持つべきだ。

(2007/06/24 05:03)

【主張】陸自汚職 自衛隊よ「しっかりしろ」

 海上自衛隊の情報管理が問題となっているが、今度は陸上自衛隊の1等陸佐が、警視庁捜査2課に収賄容疑で逮捕された。

 相次ぐ自衛隊の不祥事は、国民の防衛省に対する信頼を大きく失墜させるもので、猛省を促すとともに再発防止に全力を挙げてもらいたい。

 1佐は防衛大卒の幹部候補生で、各部隊を経験し、北海道旭川市の第2後方支援連隊では、補給隊長を務めるなど後方支援の専門家だ。一貫して自衛隊員の食事や衣服、派遣先でのテントなど装備品の性能、仕様を決定する仕事に従事している。

 1佐にわいろを提供していた商事会社の装備品は、イラク派遣や新潟県中越地震の災害派遣などにも使用されており、同社の納入先の大半が防衛省で占められている。

 逮捕容疑は、数十万円の授受だが、1佐と業者との癒着は10年以上も続いており、現金のほかに飲食、ゴルフ接待、タクシー券の提供など数百万円相当にのぼるという。

 防衛省が調達する装備品は、防衛上の秘密や特殊性から特定業者に発注が集中しやすく、これが汚職の温床にもなっている。

 平成10年には旧防衛庁調達実施本部(調本)で背任、汚職事件があり元副本部長や元防衛施設庁長官らが起訴され、調本の解体につながった。しかし、今回もこの時の教訓が全く生かされていない。癒着を断ち、透明性ある備品納入が肝要だ。

 汚職事件に加えて、海自情報漏洩(ろうえい)事件も機密情報を扱う防衛省にとっては、重大で深刻な事件である。さらに内部調査から、海自の情報管理のずさんな実態が浮き彫りになった。

 秘密性の高い武器の性能や作戦に関する重要情報を保存したフロッピーなどの記憶媒体が、無造作に放置されるなどしていた。イージス艦の中枢情報などが漏れた事件は、使用禁止のファイル交換ソフト「ウィニー」により情報が流出した。防衛省内の軍事機密は、米国など同盟国から提供された機密情報も含まれるだけに、情報漏洩は他国との信頼関係をも崩壊させる。

 自衛隊員は、このことをよく肝に銘じて任務に当たるべきだ。自衛隊よ、しっかりしろ、と苦言を呈したい。

(2007/06/24 05:02)

【産経抄】

 プロレスラーは侠気(きょうき)のある男たちがほとんどだと思っていたらどうやら例外もいるらしい。自民党の大仁田厚参院議員はきのう、7月の参院選出馬とりやめを表明したが、理由を聞いて噴き出してしまった。

 ▼ 国会の会期延長に伴い、参院選の投票日が1週間延びたことがお気に召さないようだ。「7月29日投票では夏休みに突入してしまい、政治に関心のない人たちに行き届かない政治になる」んだとか。でもセンセイ、勤め人の多くはまだ夏休みでないし、当選された6年前も投票日は7月29日でしたよ。

 ▼会見では「参院は首相官邸の人気とりの道具ではない」と威勢のいい言葉も飛び出した。だが、年金問題という与党にとって突風とでもいうべき逆風が吹く中、選挙戦の先行きに不安を感じての敵前逃亡といわれても仕方あるまい。

 ▼ それにしてもこの人は6年間、与党が採決を強行した際の乱闘要員として働いた以外、何をしてきたのだろうか。彼に限らず、女優出身で参院議長まで上り詰めた扇千景さんは例外にしても当選したときだけチヤホヤされ、あとは鳴かず飛ばずに終わったタレント議員がいかに多いことか。

 ▼今回の参院選も女子アナ、プロゴルファーの父、弁護士、「ヤンキー先生」らテレビの人気者が東京選挙区や比例代表で顔をそろえる。ことに比例代表は、候補者名でも政党名でも投票できるので、タレント候補が票を稼げば稼ぐほど、所属政党にプラスになる。

 ▼だからといって、政党が「手っ取り早く票をとれる」と有名人擁立に血道をあげるのは邪道だ。参院選がますます人気投票化し、政策論争もおざなりになりかねない。そんなに候補者がいないなら、いっそのこと比例代表なんかやめてしまえばいい。

(2007/06/24 05:01)


【日経・社説】

社説1 ヒル訪朝は誤解を増幅しなかったか(6/24)

 北朝鮮に関する6カ国協議の米首席代表のヒル国務次官補が訪朝を終え、韓国、日本の順に歴訪して内容を説明した。2カ月以上遅れながらも、北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の核施設停止など6カ国協議の2月の合意の「完全に履行する意思」を確認し、核施設の「無能力化」も順守する準備があると述べたとされるが、北朝鮮自身による具体的行動を見るまで判断を留保したい。

 マカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮資金の送金問題を理由にした初期段階措置の遅れに業を煮やしたヒル氏は、解決のめどが立ったと見て押っ取り刀で平壌を訪れた。2月の合意を実行せよと迫ったのだろうが、北朝鮮は米政府高官がひざを屈してお願いにやってきたと「誤解」したろう。「われわれはみなあなたを待っていた」と李根外務省米州局長がほほ笑みながら空港で迎えた写真は象徴的である。

 2月合意には抜け穴があるが、履行されれば、一歩前進ではある。しかし北朝鮮は合意になかったBDA問題の解決を一方的に初期段階措置の条件とした。米政府は自国の中央銀行を関与させる異例の措置をとり受け入れた。そしてヒル訪朝である。クリントン政権末期のオルブライト国務長官の訪朝を連想させる。

 当時、話題になったクリントン大統領の訪朝は、大統領選でのブッシュ勝利で消えたが、ブッシュ政権は批判していたクリントン政権のわだちを踏もうとしているようにも見える。北朝鮮がいったん表明した国際原子力機関(IAEA)の代表団の26日受け入れを保留してみせたのは、またも時間稼ぎだろうか。

 朝鮮半島の非核化には時間がかかるとヒル氏は語る。北朝鮮の時間稼ぎを前提にした現実論である。切迫感のなさは、核を外交カードとしてもてあそぶ北朝鮮の脅威に対する危機感を欠く融和主義に通じる。空文になった1994年の核を巡る枠組み合意と二重写しにもなる。それにほくそ笑むのは金正日氏である。

 麻生太郎外相は、ヒル訪朝に関し「焦って足元を見られるほどばかばかしい話はない。安易に譲ってもらいたくない」と述べた。これまで米国の立場を公式には支持してきた外相が記者会見の場で、融和路線に懸念を示した。

 私たちも懸念を共有する。6カ国協議の目的は協議の開催それ自体ではない。そこで北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題を解決する点にある。そのために何が必要かを考えるのは交渉実務を担当する外交官の仕事ではない。政治家の責任である。

社説2 統合の一里塚となるEU条約(6/24)

 欧州統合の歴史の一里塚となる快挙と評価すべきだろう。欧州連合(EU)首脳会議は、2005年に頓挫したEU憲法条約に代わり、新たな基本条約を制定することで合意した。停滞していた大欧州の地域統合が2年ぶりに動き出す。

 最大の成果は外交政策の共通化に道筋をつけた点である。EU全体の外交を担当する役職を新設し、全加盟国の外交政策を統括する。現在のソラナ共通外交・安全保障上級代表の職務と、EUの執行機関である欧州委員会の対外関係担当委員の役割を統合。さらに欧州委の副委員長も兼務する強力なポストとなる。

 EUの外交権限の強化には、国家主権の侵害だとして英国が強く反対してきた。このため新条約では、以前の憲法条約が明記していた「EU外相」の名称をやめ、「上級代表」に改訂。条約自体も「憲法」とは呼ばず「改革条約」に改めた。EUの国旗や国歌に相当する規定も削り、EUの「連邦国家」としての色彩を薄める体裁をとっている。

 これらの改訂を骨抜きと解釈すべきではない。EU首脳会議の議長を務めたドイツのメルケル首相は、あえて名を捨てて実をとる方針を貫き、反対勢力の英国やポーランドから合意を取り付けた。

 質実剛健なドイツ流と呼ぶべきだ。派手さはないが骨太である。共通外交以外にも、懸案だった「EU大統領」の新設、法的な位置づけがあいまいだったEUへの法人格の付与、欧州議会の権限強化、欧州委の組織スリム化などの重要項目が合意に盛り込まれている。

 新条約は年内にも加盟国の調印を終え、2009年の発効を目指す。経済が中心だったEUの権限が外交と政治に広がり、国際的な発言力が高まりそうだ。米欧の間で外交力を発揮してきた英国の役割の変化についても議論が喚起されよう。

 日本の外交も新しい発想が必要になる。英独仏など主要国との2国間だけでなく、EU全体との関係強化が従来以上に重要になるからだ。官民ともにEUの「首都」であるブリュッセルとの対話を深める努力を怠るべきではない。地球温暖化対策や自由貿易協定(FTA)を含め、日EU間で検討すべき課題は多い。

【日経・春秋】(6/24)

 「(指示を出した)社長は雲の上の人でしたから」。苫小牧市の食肉加工販売会社が豚肉を混ぜたひき肉を牛肉として出荷した。会見で工場長が口にした言葉に胸を突かれた会社員は多かったのではないか。会社の論理と社会の倫理の板挟みは人ごとではない。

▼日本に「会社」はいくつあるのか。中小企業白書によれば、答えは約430万社。あえていうなら「社長」は決して社会的に希少価値のある存在ではない。しかし、そんな客観的な数字はサラリーマンにとってほとんど意味はない。「自分の社長」はふつう、この世に1人だけだからだ。

▼「このままでは破綻する」と悩む現場の声に組織は耳を傾けよう。小欄でそう説いた先の月曜からわずか1週間のあいだにも食肉、温泉と、企業の不祥事や重大事故が相次いだ。コムスン、NOVA、コースター事故のエキスポランドも含めて、ワンマン型の経営者が率いる企業・グループばかりなのが気になる。

▼小宇宙、圧力釜など、日本企業はしばしば高密度な閉鎖空間にたとえられてきた。因果関係の速断は慎むべきだろうが、もしや「雲の上の人」に対し、事業拡大にブレーキをかけるような問題点を指摘しにくい空気が、少しでもありはしなかったか。謙虚さこそが最大の危機回避策。トップは改めて肝に銘じたい。


|

« おのおの方、油断するな。創価学会はすでに選挙モードで電話作戦を開始しているぞ。 | トップページ | BlogRankingのバナーがあるの忘れてたなぁ、。(^^;今日は雑談日記(徒然なるままに、。)の政治ランキング・スタート記念日。(笑) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 6月24日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。:

« おのおの方、油断するな。創価学会はすでに選挙モードで電話作戦を開始しているぞ。 | トップページ | BlogRankingのバナーがあるの忘れてたなぁ、。(^^;今日は雑談日記(徒然なるままに、。)の政治ランキング・スタート記念日。(笑) »