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2007年7月11日 (水)

7月11日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月11日朝刊)

[「検定撤回」再可決]歴史の改ざんを許すな

 県議会はきょうの本会議で、文部科学省の検定により高校歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述が削除されたことについて、検定意見書の撤回と記述回復を求める意見書を可決する。

 同一の問題で、会期中に二度同じ意見書を可決するのは初めてのことだ。

 異例といっていいが、歴史的事実に目を背けようとする文科省への県民の怒りである。文科省は、歴史を改ざんする動きに県民が警鐘を鳴らしていることを認識する必要がある。

 県議会が最初に意見書を可決したのは、六月二十二日の本会議だ。県内四十一市町村議会、県市長会、県市議会議長会、県町村会、県町村議会議長会も同様の意見書を可決、採択し、六団体で文科省に要請した経緯がある。

 今回の可決は、県民の総意で行った要請が、「教科用図書検定審議会が決定したことに、口を挟むことはできない」(布村幸彦文科省審議官)として拒否されたことが理由になっている。

 だが、それよりも大きいのは、県議会文教厚生委員会が実施した渡嘉敷島、座間味島での聞き取り調査で、重く口を閉ざしていた体験者から新たな証言を得たからだ。

 その多くは、旧日本軍の関与なしに「集団自決」は起こり得なかったというお年寄りたちの肉声である。沖縄戦という歴史の底に横たわる事実は、私たちがきちんと受け止めていかなければならない深いテーマを含んでいる。

 生々しい証言からは、教科書から沖縄戦の実相が削られることへの怒りが見て取れる。それはまた、「親や兄弟、叔父、叔母たちの悲惨な体験だけでなく、自分の記憶までも否定しようとする動きを許すわけにはいかない」という強い意思とも重なる。

 仲里利信県議会議長は本紙のインタビューに、「検定結果は、(集団自決による)死者を冒〓している。歴史の事実を否定するとまた戦争への道を歩んでしまう」と答えている。

 その上で「一部の人たちが戦争を美化し、歴史の事実を歪曲するということは祖父、父、弟を失った者として決して許すことはできない」とも述べた。

 県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県PTA連合会が検定の撤回を求める県民大会を呼び掛けているが、史実をゆるがせにしないためにも党派を超え、県民が一丸となって訴えていくことが重要だ。

 沖縄戦にどう向き合い、史実を語り継いでいくか。私たち一人一人の意識が問われていることを自覚したい。

※(注=〓は「さんずい」に「売」の旧字)

[農相経費疑惑]この説明で納得できるか

 またもや政治家とカネの問題が浮上した。不透明な光熱費計上で国会追及され、自殺した松岡利勝氏の死からわずか一カ月余。しかも松岡氏の後を継いで就任した赤城徳彦農相に不明朗な問題が噴出しているだけに、事態はより深刻だ。

 赤城農相の場合、関係する政治団体「赤城徳彦後援会」が、両親の住む実家を一九九○―二○○五年の十六年間、事務所として茨城県選挙管理委員会に届け出ていたことが分かっている。

 問題はその間、事務所費のほか光熱費、備品費、人件費など計約一億二千三百万円の経常経費が架空に計上されているのではないか、という疑惑が出てきたことだ。

 赤城農相は問題が発覚した七日午後、農水省内で会見し、「(事務所は)初当選以来の拠点。付け替えや架空計上は全くない」と潔白を主張。十日の閣議後会見でも「政治資金規正法にのっとっている」とそれ以上の資料公開は拒否する姿勢を変えなかった。

 安倍晋三首相も「(架空支出など)法的問題はない」と擁護し、「(農相は)しっかりと説明した」と世論や野党からの問題追及の矛先をかわそうと躍起になっている。

 だが、どう言葉をつないでも疑惑は深まるだけで、国民の目には政治への不信感だけが募っているのが現実だ。

 それというのも昨年十二月、発足間もない安倍政権内で、政治団体の架空事務所費計上が発覚して佐田玄一郎前行政改革担当相が辞任している。

 半年後には、「ナントカ還元水」の言葉で釈明すればするほど疑惑を招いた松岡前農相の問題が起こっている。

 いずれも最後まで当事者による詳細な説明がなく、うやむやなうちに片が付けられた印象はぬぐえない。

 政治とカネの問題は、いま取り組むべき最重要課題といっていい。農相の説明はとても納得できるものではなく、事務所費について数字を挙げてきちんと説明するのが、政治家としての責任だということを肝に銘じるべきだ。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月11日 朝刊 1面)

 ビールがうまい季節になった。長い間、ごぶさたしている店にせめてもの罪滅ぼしにと寄ってみたが、開店時刻を過ぎているのに人けがない。別をあたった。

 フラッと入った店だったが、意外な収穫を見つけてうれしくなった。何の変哲もない普通の焼き鳥屋だ。カウンターに陣取っていつものパターンで始める。グラスを片手に炭火で焼かれる鶏肉を眺めていると妙な形状の肉が出てくるのだ。

 串に刺されず、縄状に切り落とされたような食材である。「それは一体何ですか」。思わず聞いたら「せせり」という答えが返ってくるではないか。初めて聞く響きにアンテナが激しく反応する。知りたい。

 せせりは鶏の首の筋肉のこと。従って一羽からわずかしか取れない。それだけに貴重だ。よく動く部分だから身が締まっている。興味津々で食べてみるとこれが不思議な味なのだ。ササミほど淡泊ではなく、腿肉よりジューシーでもない。

 しかし、かめばかむほど味が出る感じ。人によっては鶏肉で一番おいしいという向きもあるとか。次にその語源。小刻みな動作をせわしく繰り返すという意味の動詞「せせる」から来ているという説がある。

 辞書を引くと「せせる」はつつく、ほじくるとある。ということは肉のとり方のことかもしれない。鶏肉のことを「よつみ」という地方もあることを以前知った。語源は分からずじまいだ。日本の食文化の奥深さに感じ入る。(真久田巧)


【琉球新報・社説】

残留孤児支援 政府による給付、着実に

 中国残留孤児訴訟の原告・弁護団が、国民年金(老齢基礎年金)と給付金を合わせて単身世帯で月に最大14万6千円を支給する政府与党の支援策を受け入れ、訴訟を終結させることを決めた。
 残留孤児は、戦前、戦中に旧満州へ国策として送り出された開拓団の家族らで、親と生き別れになるなどして中国に取り残された。約2500人が永住帰国している。
 孤児の9割に当たる約2200人が、国の支援策は不十分だとして各地で国家賠償を求める訴訟を起こしていた。
 開拓団などを送り込んだ戦前の国家政策が残留孤児を生み出したのだから、国による生活支援は当然である。
 孤児を迅速に帰還させる義務、自立支援義務を怠った国の責任は重い。残留孤児らの平均年齢が70歳を超えていることを考えると、司法判断を待って、いたずらに時間を空費することは許されない。
 神戸地裁は昨年12月「国は孤児の帰国を制限する違法な行政行為をした」と指摘し、自立支援義務も怠ったと認定。原告61人の請求を認め、総額4億6860万円を支払うよう国に命じた。
 これに対し東京地裁は今年1月「残留孤児の損害は戦争から生じたとみるべきで、国には早期帰国の実現や帰国後に自立を支援する義務はなく、違法、不当行為もない」などとし、原告の主張をすべて退けた。東京など7地裁では原告が敗訴している。
 東京地裁への最初の提訴から既に5年近くが経過し、6高裁と10地裁で係争が続いている。結論を得るにはなお相当の時間を要する上、司法が被害救済に否定的という状況では、政治判断による解決しか道はなかった。
 政府の支援策は(1)国が約300億円の国民年金保険料を負担することで、現在3分の1しか支給されていない国民年金を満額(月額6万6千円)支給する(2)生活保護に代わる給付金制度を創設し月額最大で8万円を給付する―などが柱となる。
 人道的見地から決着を図った政府側の対応は妥当といえよう。欲をいえば、もっと早く支援策を打ち出すべきだった。
 政府は、秋の臨時国会に関連法案を提出し、早ければ来年1月から給付金の支給を始める。法案には、訴訟に伴う収入印紙代約2億5千万円の納付を事実上免除する内容も盛り込む。
 原告側は法案の成立後、和解するか訴えを取り下げるという。
 原告の残留孤児は、日本語が不自由なため永住帰国後も生活、就労が困難だった。その苦労は筆舌に尽くし難いものがあるだろう。
 生活支援が早期に実施されることを強く望む。

(7/11 9:52)

通商白書EPAは農業への影響考慮を

 経済産業省が10日の閣議に提出し、了承された2007年版通商白書は、米国や欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を柱とした経済連携協定(EPA)の交渉開始に向けて準備を進める方針を盛り込んだ。
 EPAは、貿易、投資の自由化、円滑化を進め日本企業の海外進出を促進するなどの利点がある半面、安価な農作物が流入すれば日本の農業に大きな打撃を与える。
 交渉を始める前に、わが国の農業に及ぼす影響を十分に考慮すべきだ。
 政府はことし4月からオーストラリアとの間でEPA交渉を始めており、参院選後に第2回交渉が予定されている。
 この交渉によって、主要農作物の関税が撤廃されれば、沖縄農業への直接の影響額はマイナス229億円、波及効果を含めるとマイナス781億円に上ると県農林水産部は試算している。
 とりわけ基幹作物のサトウキビは安価なオーストラリア産砂糖に押され、壊滅するといわれる。
 このうえ農業大国でもある米国やEUとEPAを締結した場合の影響は計り知れない。
 世界の国々でFTA締結競争が加速する中で、日本は経済のグローバル化という世界的潮流に乗り遅れているという指摘もある。
 日本経団連の御手洗冨士夫会長は、各国とのEPA締結を加速させ、日本経済の活性化を図る考えを重ねて示してきた。
 一方で、全国農業協同組合中央会(全中)は、日豪EPA交渉でコメや乳製品などの重要農産物を関税撤廃の対象から外すよう求めている。農業界の危機感は強い。
 県内でも6月に「食と農と暮らしを守る6・16沖縄県民大会」(県、県農協中央会などで構成する実行委員会主催)が開催され、サトウキビ、肉用牛、乳製品(酪農)、パイナップルを関税撤廃品目から除外するよう求める大会決議を採択している。
 EPAの締結によって日本農業の衰退を招くことがあってはならない。締結するにしても、影響の大きな農作物については対象からの除外を含め熟慮が必要だ。

(7/11 9:51)

【琉球新報・金口木舌】

 1日に1つの良い行いをし、それを積み重ねなさいという呼び掛けを「一日一善」という
▼誰もがそういう心掛けを持って生きたいと思うはずだが、なかなか実行するのは難しい。「地域への恩返し」という言葉もよく聞く。これもまた継続させるのは難しい
▼沖縄市高原で自動車整備工場を経営する大城信一さん(65)は「会社は地域とともに」をモットーにしている。地域から受けた恩恵を還元するため、長年、自治会活動に積極的に取り組んだほか、従業員らと工場周辺を花と緑でいっぱいにした
▼2002年には「優しい人づくり」を基本理念に、工場敷地内に生涯学習施設を開設、地域に開放した。その名は「一善塾」。現在、三線や文芸、絵画など12の講座に約130人が通う
▼ 「善に従うこと流るるが如(ごと)し」と言うのだろうか。「地域のためになる」と思えば、大城さんは躊躇(ちゅうちょ)せずに取り組んだ。その歩みはこのほど、多くの人たちの協力を得て1冊の本にまとめられた。そこには地域のためにと、一善に全力投球する大城さんの姿があふれている
▼大城さんが始めた一善の取り組みは1日、1日と積み重なり、この上ない善、すなわち「至善」となり、地域の大きな財産となっている。

(7/11 9:43)


【東京新聞・社説】

赤城農相 世間を甘く見てないか

2007年7月11日

 赤城徳彦農相が事務所費問題で再説明した。経費の付け替えも架空計上もないと繰り返すだけで、領収書は公表しなかった。これでは国民は納得しない。世間を甘く見てはいないか。

 農相は「両親の生活費を後援会の費用から出すなど公私混同はない」と強調した。あの立派な実家を見てだれもそんなことは思っていない。知られたくない経費を隠す抜け穴に使ったのではないか。それが疑惑のポイントだ。事態の深刻さを分かっていない。

 農相の政治団体「赤城徳彦後援会」は茨城県内の実家を「主たる事務所」と届け、二〇〇五年までの十年間に約九千万円もの経常経費を計上していた。事務所としての実体があったかどうか疑われ、九千万円の使途に厳しい目が向けられている。

 農相は再説明の記者会見で「実家は地元の拠点で活動実体はある。約九千万円の経費は水戸と下妻の事務所、実家の事務所を積み上げて合算した金額だ」と述べた。これまでの言い分と変わらない。不十分な説明なら何度やっても意味がない。

 農相の両親や後援会の代表者はこれまで「実家に事務所の実体はなかった」などと言っていたが、それぞれの発言を事実上、撤回した。農相の再説明に合わすかのように、関係者が証言を一転させたことは疑惑を解くどころか、逆に不自然な印象を強めた。「口裏合わせをしたのでは」という声さえ聞こえる。

 私たちは領収書をつけて内訳を明らかにすべきだと主張した。ここまで不信感が強まれば、ほかに国民を納得させる方法はない。

 しかし、農相は「法に基づき適正に報告している」と引き続き領収書の公表に否定的だ。安倍晋三首相も「政治活動の自由の観点からルールを決めた。それに従っていくのが大切だ」と述べ、公表の必要はないとの考えを示している。

 与党主導で政治資金規正法が改正され、資金管理団体に限り、五万円以上の経常経費の領収書添付を義務づけた。しかし、農相の場合のような資金管理団体以外の政治団体には適用されない。

 「ザル法」に逃げ込むように公開を拒むやり方は、政治資金の透明化を目指す法律の精神に逆らうものだ。疑惑を持たれた政治家は自ら解明する努力をしなければならないという政治倫理綱領にも反する。

 農相は会見後、世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長らとの会談のため欧州に出発した。逃げたといわれたくないなら、帰国後、すぐに記者会見し、今度こそ説明責任を果たすべきだ。

年金給付基準 地域差のない運用を

2007年7月11日

 総務省の年金記録確認中央第三者委員会が年金記録が消えた人へ年金給付する認定基準を示したことで、被害者の受給権回復への道が開かれた。認定の地域差をなくすなど全力を尽くしてほしい。

 認定基準は、納付記録がないが納付したという申し立てが「明らかに不合理ではなく、一応確からしい」と思われる場合、認めることを大原則にしている。多岐にわたるとみられる申し立てに柔軟に対処することが求められる。

 心配されるのは、実際の認定作業を行う全国五十カ所の地方委員会で、同じような内容の申し立てでも判断が異なりはしないかだ。

 梶谷剛委員長がいうように、認定は裁判の「自由心証主義」の考えに基づいて行う。つまり地方委の委員が申し立ての内容や領収書以外の資料、関係者の証言などを総合的に判断して「確からしさ」を判定する。

 地方委は少しでも判断に迷えば中央委に判断を仰ぎ、中央委はその結果を全地方委に伝える作業を頻繁に行い、地方委による認定の地域差が生じないように努めるべきだ。

 中央委は既に幾つかの認定例を示しているが、認定作業が本格化した後、どんな申し立ての場合に認定したか、また認定しなかったかを定期的に示す必要がある。特に判断が難しかったケースではどんな資料、証言が決め手になったかを具体的に明らかにしてもらいたい。

 認定作業は申立人の協力がなくては進まないが、認定した具体例を示されれば、他の申立人もあらかじめ必要な資料などを用意でき、早い年金受給権の回復につながるだろう。

 個別の認定作業の結果とはいえ、プライバシーに配慮しながら公表することは可能と思われる。

 厚生年金に加入義務のある事業所で従業員から保険料を天引きしても社会保険庁の記録では未納とされている場合がある。事業主が納付しないほか、社保庁職員による横領も指摘されている。その場合でも現行法では従業員には年金が給付されないが、その責めを従業員に求めるのは筋違いで酷である。

 事業主らの責任追及と切り離し、従業員が受給できるように中央委は立法措置を求めている。当然だろう。

 政府は秋の臨時国会でこれに応えるべきだ。それが安倍晋三首相の「まじめに保険料を納めた人にはきちんと年金をお支払いする」との発言の趣旨にかなっている。

 認定基準は「性善説」に立ち、広く給付を認める方針だが、保険料を払わずに受給しようという不正対策も検討しておく必要がある。

【東京新聞・筆洗】2007年7月11日

 選手にとってはかつてない厳しい叱責(しっせき)だったのではないか。サッカーのアジア・カップ1次リーグのカタール戦で、日本代表は引き分けに終わった。控室でオシム監督の怒声が響いた。「おまえたちはアマチュア」だと▼百戦錬磨のオシム監督は「人を叱(しか)ることは最も策略が必要」と話している。恐らく感情に任せての発言ではない。選手の闘志に火を付ける心理的効果を狙っているように見える。それでも「6-1で勝ってもおかしくない」と思っていただけに、本当にアマに見えたのかもしれない▼引き分けの原因を分析した記事や選手のコメントを読むと、何回も読んだことがある錯覚にとらわれる。「あのシュートが決まっていたら」「最後まで集中力を維持できていたら」。監督は代われど日本代表について回る課題だろう▼オシム監督は著書『日本人よ!』(新潮社)でサッカーは「トライとミスなしで進歩することはできない」と持論を展開している。ただし「一度や二度なら同じミスや挫折を繰り返してもよいが、三度繰り返したならば学習していないことになる」とも▼選手がプロならば、初戦のミスや挫折を次にどう生かしていくのか。オシム監督はそこを見ている気がする。ある選手を批判したからといって、次の試合に出さないと決めたわけではないのもオシム流だ▼著書には「サッカーとは、人生である」とあり、だからこそ「終わるまではすべてが起こりうる」とある。アジア・カップ三連覇は日本代表の目標だろうが、人生ならば内容を大事にしたい。


【河北新報・社説】

’07参院選を問う あす公示/有権者の声が聞こえるか

 今年最大の政治決戦である参院選があす公示される。投票は29日。与党が議席の過半数を維持できるかどうかが大きな焦点だが、私たちにとってどんな意味を持つ選挙なのか。三つの視点を据えて考えてみたい。

 第1は「どんな形の政治を望むのか」という視点である。
 今回は就任後初の大型国政選挙となる安倍晋三首相、小沢一郎民主党代表を含め各党の党首力が問われる選挙だ。有権者にとっては政治の透視力が試される選挙と言えよう。

 米英型の二大政党制に政治的可能性を認める人には、自民党と民主党のいずれに政権を任せたいかという選択が現実的だ。
 二大政党制にある種の違和感を抱く人には、二大政党の受け皿となり得る第三極の政治勢力(共産、社民、その他の野党)の伸長を選択する道があろう。
 世論が納得する政治の形が出来上がるまで、政界再編の可能性をはらんだ与野党勢力拮抗(きっこう)の状況を過渡的に選んでおく手もある。
 いずれにしろ、私たちの一票はそれだけ幅の広いメッセージ力を秘めていると考えたい。

 第2は「暮らしと政治の質をどう問うか」という視点だ。
 年金記録不備問題は社会保険庁労使が絡む行政責任なので政局になじまないとする論があるが、その最終的な政治責任が政権与党にあるのは明らかだ。
 それを前提にしながら、私たちの声を各党の政策に生かし、活発な論争で解決の道を探る選挙戦にしなければなるまい。

 この選挙で消費税論議に目隠しをするべきではない。税率引き上げを検討するなら使途は。据え置きなら不足する各政策財源をどう調達するか。各党は公約と考え方を明示してほしい。

 戦後最長とされる好景気の二極分化がもたらした地域や所得の格差拡大。この不合理の是正プロセスを示すことは政治の責務と言わなければならない。
 赤城徳彦農相の事務所費問題でまた浮上した「政治とカネ」の問題は規正法体系の不備を際立たせただけではない。「この政治にしてこの(国民の)暮らし」と揶揄(やゆ)されないよう、私たちは政治の質を求め続けなければならないことを教えている。

 第3は「国をどの方向に進めるのか」という視点である。
 国民投票法(憲法改正手続き法)が先の国会で成立した。自民党の公約が目指すように、2010年に改憲案の国会発議があるとすれば、この選挙が発議の判断を含めて本格的な改憲論議にかかわる可能性が高い議員を選ぶ選挙となる。

 戦争放棄と戦力の不保持をうたう憲法九条が論議の中心軸であることは間違いないが、各党は「改憲」「論憲」「加憲」「護憲」―とそれぞれの立場に立ち、この国の将来を主張する。
 改憲発議に必要な衆参両院の3分の2の合意と国民世論が180度異なることは実体的に考えにくい。有権者が選ぶ議員や政党の憲法スタンスが「3分の2」に反映していくからだ。
 それなら、この選挙で投じる私たちの一票は近い将来の国民投票につながる意思表示だ。
2007年07月11日水曜日

【河北新報・河北春秋】

 「均霑(きんてん)」という言葉を知っている人は漢字博士級の物知りだろう。不明の小欄はもちろん知らなかった。手元の辞典には「平等に利益、恩恵を受けること、また、与えること」とある▼4月施行のがん対策基本法にこの言葉が出てくる。第三章第二節が「がん医療の均てん化の促進等」というタイトル。要するに、全国どこでも一定水準のがん治療が受けられるようにすること

 ▼ がん医療の格差の解消という意味だ。国のお役人はどうしても「格差」という言葉を法律の文言に使いたくなかったらしい。代わりに、古色蒼然(そうぜん)として死語に近い均霑なる語を探し出した▼言葉のイメージで現実をごまかそうとしても無理というもの。医療の地域格差は厳然としてあり、それが健康格差を生み、寿命格差につながっている。がん医療だけではない。他の診療科でも地域格差が広がっている

 ▼基本法を受け、都道府県がそれぞれがん対策推進計画を策定中だ。ところが、地方ではがん医療を担う医師がそもそも足りないから話にならない。「がん医療の均てん化」どころか、問題はそれ以前だ ▼あす参院選が公示される。医療格差を引き起こしている医師不足の解消は大きな争点の一つ。一時しのぎ、間に合わせの対策では解決できない課題だ。各党の主張に目を凝らしたい。

2007年07月11日水曜日


【京都新聞・社説】

年金判断基準  責任重い地方第三者委

 年金保険料は払ったのに、納付記録がなく、領収書もない-。そんな人たちに年金を支給すべきかどうかを審査する総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」の基本方針が示された。
 性善説に立って、申し立てが「社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしい」ことを判断基準にする方針だ。
 京滋など全国五十カ所で週内に発足する地方第三者委員会が、この基準をもとに申し立てを審査する。
 もとはといえば社会保険庁のずさんな記録管理が原因で起こった問題だけに、できる限り幅広く給付を認めていく姿勢は当然だろう。
 だが、初会合からわずか二週間で基準が策定されたためか、未整理の部分も目につく。参院選を控え、国民の批判を鎮めたい首相官邸の意向に沿って急いだせいもあるだろう。内容的にあいまいさは否めず、明快な指針とはいいがたい。
 申し立て内容の審査にあたっては、家計簿や金融機関の口座引き落とし、給与明細、雇用主の証言といった間接的な証拠を重視するとともに、全く資料がない場合でも、人柄や態度も含めて「総合的に判断する」という。個々の判断は地方第三者委にゆだねられる。
 中央第三者委は、想定される申し立ての事例集も示した。だが実際の案件は、個々の事情も反映して千差万別だ。基準や事例集通りに判断できないケースもあろう。地方第三者委によって判断基準に差ができ、混乱を招く恐れもある。
 各委員会の判断事例をまとめ、互いに情報を共有化することも必要だろう。
 審査申し立ての受け付けが十七日から始まる。当面は今年三月までに加入者が社会保険事務所に照会し、却下された約二万件を優先審査するが、それ以外に申し立てが相次ぐ可能性がある。十人以内の専門家らで構成する地方第三者委がさばき切れるかどうか。
 実際は払っていないのに、払ったなどと、不正な申し立てをする行為も考えられる。実際に払っている人と、どう区別し、排除するかも難しい課題だ。対応を誤れば、不公平感や不信感を助長しかねない。
 中央第三者委は、厚生年金の保険料が給与から天引きされているのに、社保庁に納付記録がない場合について、政府に対応を検討するよう求めている。
 会社側の手続きミスや、会社負担部分の支払い逃れなど、会社側に責任のあるケースだ。第三者委の論議では意見が分かれたという。政府は早急に対応策を示すべきだ。
 第三者委は国民の立場に立って、申し立ての一つ一つをていねいに調べ、十分に耳を傾けてもらいたい。まじめに保険料を支払った人が、受け取るべき年金を受け取れないようでは、年金制度への信頼回復はおぼつかない。

[京都新聞 2007年07月11日掲載]

パキスタン  モスク強行突入は賭け

 パキスタン首都イスラマバードのイスラムの過激派モスク立てこもり事件で、ムシャラフ大統領はきのう、モスク敷地内の神学校に治安部隊を強行突入させた。
 軍報道官によると、銃撃戦で神学生ら多数が死亡、治安部隊にも死者が出た。
 治安部隊は人質救出とともに、モスクや神学校内で過激派メンバー、神学生残党の掃討作戦も続けており、今後、犠牲者が増える可能性がある。
 モスク内で事実上の人質となっていた子供や女性を含む約千人のうち、残る人質数や安否もいまのところ不明で、気遣われている。
 事件は発生八日目でほぼ解決したが、投降の説得に当たった宗教者は、突入の直前、「政府側とモスクとの合意書草案ができていた」という。
 もしそうなら大統領は流血をあえて回避しなかったことになる。今後、批判の声が広がれば、ムシャラフ政権は窮地に陥る可能性も否定しきれない。
 立てこもり事件は、今月三日に起こった。モスク周辺を警備していた治安部隊と神学生が衝突し、銃撃戦で双方に死傷者を出し、催涙弾などで女子学生多数が手当てを受けた。
 モスクに立てこもった神学生に、指導者はジハード(聖戦)を宣告、衝突はさらにエスカレートした。
 この神学校は国際テロ組織アルカイダとの関係が疑われ、厳格なイスラム法の施行を求めて過激な行動に走ってきた。
 音楽や映画は偶像崇拝として政府に禁止を訴え、自爆テロを実行すると脅したり、売春に関与したとされる中国人の拉致も行っていた。
 治安部隊はこうした行動を警戒し、これに反発した神学生らが銃で武装、モスク近くの政府関連施設を攻撃したのだ。
 今回事件は強行突入で制圧されたが、政府は他のモスクなどへ紛争が広がらないかと極めて神経質になっている。
 同様の神学校はパキスタン全土で一万三千以上とされ、イスラム教の歴史、思想、宗教教育などを行う。
 国内外の信者寄付金で運営し、無料、寄宿舎もある。貧しい子供に過激思想が吹き込まれる温床とも批判される。
 政府の懸念は世論や神学校だけではない。イスラム教徒にとり、最も神聖なモスクを攻撃したことでイスラム保守派の反発も受けそうなのだ。
 今秋の大統領選で再選を目指すムシャラフ大統領は強引な政治手法が目立つ。陸軍参謀長も兼ねるだけに、軍情報機関と密接な今回の神学校への取り締まりには消極的だった。一転したのは国内外からイスラム過激派対策が不十分と批判され、放置できなくなっていたからだ。
 今後、大統領は軍と距離を置いて、汚職根絶、経済成長、治安の安定に全力をそそぐことだ。国際社会もそれを望んでいる。

[京都新聞 2007年07月11日掲載]

【京都新聞・凡語】

第二院の参院の役割

 第二院の参院は、どんな役割を担っているのか。第一院である衆院の補完・抑制機能といっても分かりにくい。第二院のイメージからは「弱い参院」が浮かぶ▼ 憲法は首相の指名や予算の成立、条約の批准で「衆院の優越」を認めている。しかし法律案は別だ。参院が否決した場合、戻された衆院では三分の二以上で再議決しない限り成立しない▼いま衆院は巨大与党下にあるが、かつての国会なら「三分の二」のハードルは極めて高い。条件緩和には憲法改正がいる。参院は「強い」。一昨年夏、郵政民営化法案の参院否決は「政局の府」を印象づけた▼法案などの賛否では、事前に党議拘束で所属議員をしばる。「郵政否決」では、自民党から造反議員が出たためだが、裏を返せば衆参両院をまたぐ党議拘束がなければ参院での法案の行方は不安定になろう▼参院は「強い」が故に党議拘束をテコに自立性が損なわれる。参院会派が独自の立場で審議し、修正案を出すことも難しくする。自由な議論をも封印しているとすれば、先の国会のように「再考の府」の出番はない▼第二院は、どうあるべきか。「第一院に一致するなら無用であり、それに反対するなら有害である」。フランスの政治家シエースの悩ましい言葉だが、これでは参院の存在意義はない。課題山積の参院改革。あすから始まる参院選の重要テーマだ。

[京都新聞 2007年07月11日掲載]


【朝日・社説】2007年07月11日(水曜日)付

年金公約―首相はルビコンを渡った

 「消えた年金記録」を救済するため総務省に設けられた第三者委員会が、認定基準を決めた。これで安倍首相が約束していた対策が出そろった。

 「年金の記録問題は私の内閣ですべて解決しなければならない」「まじめに保険料を払った人には、最後の一人に至るまでお支払いする」

 安倍首相はこう胸を張る。

 年金は参院選の最大の争点だ。首相にとっては初の国政選挙だけに、発言に力が入るのも無理ない。

 だが、政府の最高責任者として、長年にわたるずさんな管理の後始末をするのは当然のことだ。ことさら「戦後レジームからの脱却」などと意気がるようなものではない。

 保険料を納めたのに社会保険庁に記録が残っていない「消えた記録」は、「納めた」との説明が社会通念に照らして不合理ではなく、一応確からしければ、納入したと認定することになった。預貯金口座からの引き落としや、家計簿の記録も証拠とすることを認めた。

 ことの起こりは社保庁のずさんな管理だ。性善説に立ち状況証拠や心証で前向きに認めるのは当然だろう。

 同時に、ほんとうは加入歴がないのに便乗申請したものまで認めては、逆に信頼を損ないかねない。国民の多数はまじめに保険料を払っている。そんな点も配慮して認定を進めてもらいたい。

 記録はあるが納入者が分からない「宙に浮いた年金記録」では、5千万件の名寄せや本人への通知を、1年前倒しして来年の3月までに終えるという。

 すべての年金受給者や加入者へも記録を送るほか、古い厚生年金や船員保険の記録なども入力したうえで名寄せし、その結果を通知する。

 「宙に浮いた記録」のほぼ全体をつかみ、新しい年金記録管理システムに替わる11年には、記録を正常化する作業にめどをつけたいというのだ。

 私たちも全体像をつかみ、人手をかけて修正していくしかないと思う。

 野党からは「年金記録のジグソーパズルはまだ欠けたところがある」との指摘もある。政府はこれですべてと思いこまず、柔軟に対処すべきだ。

 安倍首相は年金記録の問題を昨年末に知らされたと話している。なのに調査を求める民主党には「不安をあおる」「非効率ではないか」と反論していた。

 そんな言動から、首相の肝いりでまとめられた一連の対策が選挙目当てであることも透けてみえる。だが、大幅に前倒ししたスケジュール通りに進めることは、首相の選挙公約になった。

 「できなかったらどうなるのか。ルビコンを渡った」。首相の後見人でもある森元首相はそう述べた。安倍首相は身を引き締めて取り組んでもらいたい。

 これで年金記録の問題はほんとうに解決するのか。有権者は一票を投じる際に判断材料のひとつとするだろう。

フジモリ氏―ペルーで信を問うべきだ

 タレントやスポーツ選手が選挙に出るのは今どき珍しくもない。だが、外国の元大統領が登場したのには驚いた。

 国民新党が参院選の比例区候補として担ぎ出したフジモリ元ペルー大統領(68)のことである。

 立候補の動機について、フジモリ氏は「大統領時代の経験を生かし、私の両親のふるさとである日本に恩返しをしたい」と語った。

 フジモリ氏は熊本出身の移民の子としてペルーで生まれたが、両親は現地の日本領事館に出生届を出した。ペルーと日本、両方の国籍を持っており、法的には立候補を妨げるものはない。

 国民新党の亀井静香氏は「私を含めてだらしない国会議員が増えている中で、ラストサムライとして活を入れてくれることを期待している」と述べた。

 フジモリ氏は、96年にリマで日本大使公邸人質事件が起きた時の大統領である。この事件の解決にいたるまでの実行力などを買ったということか。

 だが、とてもこうした説明で納得できるものではない。

 フジモリ氏は90年の選挙で、日系人として初めてペルーの大統領になった。破綻(はたん)寸前の経済を立て直し、長年くすぶり続けた隣国との国境紛争も解決した。その実績を評価する声は少なくない。

 しかし、政権が長期化するにつれて、側近の汚職や軍による人権侵害、反対派への迫害などが次々に表面化した。

 中南米の政治に詳しい村上勇介・京大准教授は「有力者による権威主義的な支配というペルーの歴史的呪縛から逃れることができず、それにのみ込まれてしまった」と評する。

 7年前、国際会議の帰りに日本へ立ち寄った時に、本国で大統領の座から追われ、そのまま亡命した。リマでの人質事件にこの亡命騒ぎも加わり、フジモリ氏の日本での知名度は高い。

 自民党と民主党に挟まれて埋没しがちな国民新党としては、そこに目をつけたということなのだろう。

 とはいえ、フジモリ氏はペルー当局から大統領在職中の公金横領容疑や民間人殺害に関与した疑いなどで逮捕命令が出されている人物でもある。

 2年前、ペルーでの復権をめざして隣国のチリに渡ったものの、身柄を拘束された。いまは軟禁状態にある。ペルーは引き渡しを求めており、チリの最高裁判所で審理中だ。日本で選挙運動ができるような状況にはない。

 ペルーでは「参院選に出るのは引き渡しを逃れるための策略ではないか」との見方すら出ている。

 仮に当選したとして、国会には出て来られそうもないし、二重国籍のままでいいのかという問題も生じるだろう。

 フジモリ氏が信を問うべきは、日本ではなくペルーの有権者ではないのか。恩返しをすべき母国も、やはり日本ではなくペルーと言うべきだろう。

【朝日・天声人語】2007年07月11日(水曜日)付

 都市近郊の畑地に野菜の自動販売機がある。透明な個室のそれぞれで、朝もぎのトマトやキュウリが100円玉の投入を待っている。昔ながらの野菜直売所にはのどかな風情があるものだが、「代金は箱へ/金百円也」をこの世情で貫くのは厳しかろう。性善説にはそれなりの覚悟がいる。

 「消えた年金記録」の救い方が固まった。その極意は、申し立てが「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」だという。行政の基準にしては、妙に軟らかい。安倍さん、参院選を前に、一世一代の性善説である。

 保険料を納めた確からしさは、家計簿や給与明細、「消えた」期間の短さなどで判定する。そうした証拠類がなくても、話に筋道が通り、人柄や態度が良ければ給付を認めるという。

 「確認に来なきゃ確認しないだけ」「年金を自分自身で救出し」(朝日川柳)といった状況からは、一歩前進だ。「役所発」の不手際という負い目もあるのだろう。

 性悪説の監視カメラがにらみを利かす世の中で、行政の、柄にもない性善説が正直者を救うならそれもいい。ただ、もともとが納付者のお金である。相談窓口では、救済ではなく返還だと肝に銘じてほしい。かといって公金を、売れ残りの野菜のように「ひと山いくら」で放出されても困る。

 性善説を唱えた孟子は、誰もが持っている善の兆しとして、人のことを哀れむ惻隠(そくいん)、不正を恥じる羞悪(しゅうお)などを挙げている。政府はこの際、格差解消には惻隠、「政治とカネ」には羞悪と、万事、孟子流で臨んではどうだろう。


【毎日・社説】

社説:買収防衛策容認 経営者の慢心は許されない

 ブルドックソースの買収防衛策の発動差し止めを求めた仮処分申請で、東京高裁は米系投資ファンドのスティール・パートナーズの抗告を棄却した。ブルドックはこの決定を受け、新株予約権を使った国内初の買収防衛策を発動する。

 東京地裁は、株主総会で8割超の株主が会社側を支持したことを重視し、ブルドック側の主張を認めた。高裁はさらに踏み込んで、スティールを「乱用的買収者」と認定した。

 買収防衛策の発動により、一般株主は新株を受け取る一方、スティールの新株予約権はブルドックが23億円で買い取る。この結果、スティールの持ち株比率は現在の10・52%から2・86%に低下し、買収は事実上不可能になる。

 この買収防衛策は株主平等の原則に反するという指摘もあった。しかし、スティールに財産的な損害を与えないよう配慮していることなどを理由に、高裁は株主平等の原則には反しておらず、適法との判断を示した。

 企業の経営に参加する意思がなく、株価を上昇させて高値で売り抜け、利益を得るのが目的と高裁は判断した。その結果、スティールは「乱用的買収者」と認定され、差別的な取り扱いを受けてもやむを得ないとの結論に至る。

 ブルドックの今後の事業展開について、スティールが具体的な提案を示してこなかったことに多くの人が疑問を持った。株主総会でも他の株主の理解を得られなかった。こうしたブルドックとスティールの攻防をめぐる状況も、高裁の判断に影響したに違いない。

 この決定にスティールは「非常に衝撃を受けている」と述べている。海外の投資ファンドが、日本から撤退し、株価への影響を懸念する声も出ている。実際、スティールが大量保有している企業の株価が軒並み値を下げた。スティールの投資活動が今後、大きな制約を受けると投資家の多くがみているからだろう。

 投資ファンドに背中を押される形で企業改革に乗り出した例もあり、ファンド全般を否定するような雰囲気が広がるのは問題だ。しかし、内部留保を吐き出させて一時的に利益をあげようとする「乱用的買収者」が、勝手放題というのも困る。

 敵対的なM&A(企業の合併・買収)について日本は経験が浅く、ルールも未整備だった。市場への監視が強化され、M&Aのルールについて司法の判断が積み重ねられていくことは、資本市場の健全な育成につながる。

 ただし、企業経営者が、今回の高裁の決定により、慢心するなら問題だ。新株予約権を用いた買収防衛策の有効性が示されたことを受けて、同様の買収防衛策を導入する企業がさらに増えることになるだろう。

 しかし、企業価値を高めるための具体策が伴っていれば「乱用的買収者」と見なすことはできない。ワキの甘い経営をしていないか、常にチェックし改善を怠らないようにすることが必要だ。

毎日新聞 2007年7月11日 東京朝刊

社説:年金給付方針 これ以上の混乱はごめんだ

 年金保険料を払ったのに、納付記録も領収書もない人をいかに救済するかを検討してきた政府の年金記録確認中央第三者委員会が基本方針を示した。申立人の言い分が「明らかに不合理でなく、一応確からしい」場合は、証拠がなくても排除より給付を優先する考えを明確にした。

 社会通念上不合理でない主張は申立人の利益に、という立場である。これまで社会保険庁が「記録も納付の証拠もないからダメ」として、半年間で2万件の異議申し立てを却下してきた方針を転換するもので、安倍晋三首相の意向に沿った結論となった。

 「宙に浮いた記録」「消えた記録」が、国の管理に起因することを第三者委は指摘している。保険料納付を国民が立証しなければならないという性格上、あいまいな判断基準しか示せなかったのは致しかたない面がある。あいまいさゆえに今後不正受給が起きることも予想されるが、そこに目をつむって国民の側に立つ「性善説」で対応するのは、緊急避難措置としてはやむを得ない。

 本来なら、国の過失が明らかになっているのだから、納付記録が消えたいきさつを立証する責任も国が負うのが筋だ。公的年金制度は国が強制的に保険料を集めることで成り立っている。なぜ加入者や受給者が関連資料を集めて国の尻ぬぐいをしなければならないのか、という疑念は強く残る。

 第三者委が判断材料として例示したのは、国民年金の場合、銀行の出金記録や確定申告書、家計簿などの関連資料だ。同居の親族が保険料を納付していれば「一応確からしい」と判断される。

 厚生年金では、給与明細や賃金台帳のほか、健康保険や雇用保険の記録があれば認めるとしている。ただ、戦時中に軍需工場などに勤務していた人は雇用主や給与明細を探し出すのが極めて難しいだろう。

 有力な資料がない場合でも「申立人の人柄や態度などで総合的に判断する。(刑事訴訟法上の原則で裁判官の自由な判断にゆだねる)自由心証主義だ」と、第三者委員長は明言する。

 「まず給付ありき」が念頭にあったのだろう。納付のケースを認定する事例は示したが、逆に認められない条件はまったく例示していない。ガイドラインが客観的なものとならなかったので、個別案件を審査する全国50カ所の地方第三者委で、判断の食い違う事態が起こりかねない。

 委員の自由な判断だけにゆだねると、類似ケースでもばらつきが出ることが予想される。不公平感が出ないように、横の連絡を密に取って情報交換し、運用にも心くばりしてほしい。年金でこれ以上の混乱は避けなければならない。

 混乱に乗じ不正を働こうとする人が紛れ込んで認められれば、その給付はまじめに払っている人たちの保険料から出る。かえって年金不信が増幅する。虚偽の申告など詐欺的行為には第三者委が告発するなど厳正に対処すべきことは言うまでもない。

毎日新聞 2007年7月11日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:名奉行で知られる大岡越前守忠相は…

 名奉行で知られる大岡越前守忠相(ただすけ)は奉行所で判決を思案する際は、いつも毛抜きであごひげを抜きながら瞑目(めいもく)していたという。大正時代の博覧会に子孫からその毛抜きが出品されたが、長さが21センチ以上もあったのに「法窓夜話」の筆者、穂積陳重(のぶしげ)が驚いている▲巨大毛抜きでひげを抜けば、痛くて思案どころではないと思うのは凡人らしい。陳重はこれを「心を平静にし、注意を集中して公平の判断をしようとする精神」の表れとみた。法律が大ざっぱで、まともな証拠も乏しい当時の裁判にあって「大岡裁き」はその眼力と思案にかかっていたのだ▲ならば納付記録のない人への年金支給も「大岡裁き」で解決をということか。社会保険庁の年金記録漏れ問題で、十分な納付の証拠がない申立人についても、その主張や態度、人柄を総合的に判断したうえで幅広く給付を認める方針が決まったからだ▲この間の社保庁の失態で不利益をこうむる国民が一人でもあってはならないのは当然だ。そのために申立人の主張を信頼する「性善説」をとるのも理解できる。だが一方で不心得者のウソの申し立てがまかり通って、まじめに納付してきた人々の年金制度への信頼が失われては困る▲このジレンマの解決策が「人柄、態度を見て総合的に判断する」という「大岡裁き」のようだ。だが、判定基準もあいまいで、証拠も乏しいなか判断を下す地方の第三者委は、いきなり江戸時代の町奉行のような役割をあてがわれて大丈夫か▲名奉行がそんなにたくさんいるとも思えないから、懸念されるのは地域間の判断のばらつきや、それによるトラブル、不公平感から制度不信にいたる悪循環である。まさか選挙の前は「大岡裁き」、後は……てなことはなかろうが。

毎日新聞 2007年7月11日 東京朝刊


【読売・社説】

参院選あす公示 政策をしっかりと吟味しよう(7月11日付・読売社説)

 第21回参院選があす12日、公示される。日本の進路を左右する、極めて重要な選挙だ。

 有権者が最も重視すべきなのは、やはり政策だろう。各政党・候補者の主張をしっかりと吟味することが大切となる。

 1億300万人余の有権者の選択は、年金、教育、医療など、国民の生活に深くかかわる政策の展開に大きな影響を及ぼす。経済、外交・安全保障など、国の基本政策も方向づける。

 与野党は、参院での過半数確保を目指し、激しい前哨戦を展開している。

 投票結果次第では、安倍政権の基盤が揺らぎ、政局は流動化する可能性がある。民主党の小沢代表は、野党が過半数を獲得できない場合、政界を引退する、と表明している。民主党が大きな混乱に陥る事態もあり得る。

 残念なのは、最近、久間章生・前防衛相の原爆発言や赤城農相の事務所費問題ばかりに焦点が当たり、議論を深めるべき課題が陰に隠れがちなことだ。年金記録漏れ問題でも、当面の対策に終始し、制度全体の改革論議が聞こえない。

 安倍政権にとっては、初の全国規模の国政選である。教育基本法の改正、防衛庁の省昇格、憲法改正の手続きを定める国民投票法の成立――。こうした国会での実績をどう評価するのか。

 民主党は公約で、年金や子ども手当、農業の戸別所得補償などの新規施策に必要な財源を計15・3兆円として、補助金改革や行政経費節減、特殊法人の原則廃止などで捻出(ねんしゅつ)する、と打ち出した。消費税率は5%に据え置くとしている。

 歳入・歳出の具体的な数字を明示したのは、政策論争を活発化させる効果を持つ。ただ、歳入部分は、与党側の「ばらまき」批判を受けて、急遽(きゅうきょ)まとめた感がある。今後の論戦では、より詳細な積算根拠などを示してほしい。

 政策は財源と一体で考えることが重要だ。どんな行政サービスを期待し、どんな負担を覚悟するのか。納税者として、政策を点検する力が問われる。

 憲法改正は、新たな「国のかたち」を構築するために欠かせない課題だ。各党がどんな「かたち」を目指しているのか、冷静に見極める必要がある。

 前回の参院選の投票率は56%で、過去4番目に低かった。今回は、海外の有権者が比例選だけでなく、初めて選挙区選でも投票できる。昨年10月現在の推定有権者数は約80万人に上る。

 一人でも多くの有権者が投票を通じて参加することが、民主主義政治の基本である。各政党・候補者が何をどう訴えるのか。じっくりと耳を傾けたい。
(2007年7月11日1時38分  読売新聞)


パキスタン情勢 テロの温床を放置すべきでない(7月11日付・読売社説)

 武力制圧という苦渋の選択が不安定な内政やテロとの戦いにどう作用するのか。国際社会はパキスタンの今後の動向から、目を離してはなるまい。

 イスラマバード中心部のモスク(イスラム教礼拝所)にマドラサ(イスラム神学校)の学生らが立てこもった事件は、特殊部隊が制圧に乗り出し、重大な局面を迎えた。

 当初、ムシャラフ大統領は、硬軟両様の姿勢をとった。不調に終わったものの治安部隊の投入直前まで、宗教指導者らを派遣するなど、ぎりぎりの説得工作を試みている。

 大統領が強硬策に転じたのは、立てこもりを続ける学生の中に、国際テロ組織アル・カーイダと関係があり、パキスタン政府が指名手配中のテロリストらが多数いることが判明してからである。

 事件が世界の関心を集める中で、断固とした態度を示さなければ、国際的な批判にさらされるとの判断が、大統領に決断を促したといえる。

 一方で今回の異常事態は、大統領の「無策」が招いたとの批判も根強い。

 パキスタンでは、マドラサが、聖戦(ジハード)や反米思想などを若者に吹き込んで、「テロの温床」となる傾向が、年々強まっている。

 今回の占拠事件の舞台となった「赤いモスク」と併設のマドラサは、2年前のロンドン同時爆破テロの容疑者との関係が指摘され、国際的な関心を集めた。

 これを機に、ムシャラフ政権はマドラサの改革案を打ち出した。野放しだったマドラサに登録を義務付け、政府の管理下に置くとともに、コンピューターなど宗教以外の科目を導入するといった内容だ。だが、かけ声だけで実効を伴わず、マドラサ側の反発を増幅させた。

 その反対運動の先頭にいたのが「赤いモスク」のマドラサだ。商店街で音楽禁止を強要するなど、原理主義的行動に走っても、政府の対応は鈍かった。

 パキスタンの軍部は、イスラム過激派を対インド、アフガニスタン工作に長年利用してきたとされる。軍内部では過激派の影響力が最近、急速に拡大しているとの情報もある。

 軍出身であるムシャラフ大統領の手ぬるい対応の背景に、軍と過激派勢力のゆがんだ関係があるとすれば、今回のような事件は今後も起きかねない。

 そうした事態を防ぐためにも、ムシャラフ大統領は、国内に1万2000校もあるとされるマドラサの改革に取り組む必要がある。国内だけでなく国際情勢の安定のためにも、「テロの温床」の解消を急がねばならない。
(2007年7月11日1時38分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月11日付 編集手帳

 その昔、香木の香りを賞美する席で古人は大根をかじったという。香りずくめで鈍感になった鼻を正常に戻すためで、漬物の別名「香(こう)の物」の語源ともいわれる◆故・松岡利勝農相の後任に48歳の赤城徳彦(のりひこ)氏が就任したとき、国民の多くは政治資金の悪臭で疲れた鼻を癒やしてくれる「大根」の役を期待しただろう。大根も“におう”のでは何をか言わんやである◆赤城氏は疑惑の浮上した事務所費について架空計上を否定しつつも、内訳を明かすのは拒んでいる。安倍首相も、それでよしとしている。参院選の公示をあすに控え、疑惑をぬぐえずに困るのは与党であり、助かるのは野党だろう◆濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)ならば、内訳をご覧あれ、この通りと示せば済む話である。対戦相手に利のある手を指してしまうことを将棋の用語で「お手伝い」と言うが、首相も農相も、野党陣営の選挙運動にお手伝いをしているように映ってならない◆フランスの詩人で駐日大使も務めたポール・クローデルに、香りの二行詩があった。「香(こう)尽きてのこるはけふり/けふり消えてのこるは匂(におい)」。年金など他の争点に紛らせ、投票日までに火と煙は消せたとしても、うさんくさいにおいは有権者の鼻に残るだろう◆たとえ“匂”であろうとも、「疑わしきは罰せられる」のが選挙の審判であるのを忘れてはなるまい。
(2007年7月11日1時38分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】年金判断基準 公正こそ国民の理解得る

 申し立て内容が社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと-が柱となった。社会保険庁に記録がなく、本人も領収書など保険料を支払った証拠を持っていない場合、年金を支払うかどうかを見極める判断基準である。総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」がまとめた。

 判断基準は本人の訴えを前向きに認めるものである。確認委の梶谷剛委員長も「性善説に立っている」と何度も強調している。当然であろう。年金記録の紛失問題は社保庁が自らの業務をまじめに遂行してこなかったところに大きな原因があるからだ。

 年金給付の審査は、家計簿や給与明細、税金の確定申告書などの関連資料のほか、雇用主や他の従業員らの証言など周辺事情に基づいて、かなり幅広く、かつ総合的に検討される。

 ただし、幅を広げるあまり、判断があいまいになっては意味がない。合理性という判断基準を失わず、不合理な申し立ては認めないという姿勢を忘れてはならない。肝心な公正性が保てなくなるからである。

 たとえば、確認委は保険料を納付していないのに「支払っていた」と虚偽の申し立てをする悪質なケースには厳正に対処し、雇用主や社保庁職員が保険料を着服していたことが分かれば、本人救済のため立法的措置も必要という。刑事告発するなどきちんとした手続きもとってほしい。

 中央の確認委は3部会(基本、国民年金、厚生年金)を設け、すでに社保庁に記録訂正の再審査を求めていた284件の審査に着手した。

 弁護士や社会保険労務士など10人以下の委員で構成される地方の確認委も、総務省の出先機関である都道府県の行政評価事務所など全国50カ所に設置され、来週にも個別審査の申し立ての受け付けを開始する。

 中央と地方の判断に食い違いがあってはならないし、地方間で相違が生じても公平さに欠ける。中央の確認委は「不合理でない」という判断基準を地方の確認委に周知徹底しておく必要がある。中央と地方でお互いの意見を頻繁に交換しておくことも大切だ。

 実際にどんな申し立てを認め、どれを認めなかったかを逐次公表し、国民の理解を得ることも重要だろう。

(2007/07/11 05:17)

【主張】宗教施設突入 「テロの温床」放置は危険

 1週間あまり籠城(ろうじょう)が続いていたパキスタンの首都イスラマバードの宗教施設に、同国政府の治安部隊が強行突入し、内部に立てこもっていたイスラム過激派に対する制圧作戦に乗り出した。

 この強行突入で多数の死傷者が出、痛ましい結果となったが、政府側が再三、投降を呼びかけた後でもあり、強行突入は法治国家としてやむをえない措置だったといえよう。

 放置すればイスラム過激派、テロリストの拡大再生産を許しかねない事態だった。今回の事件を機に、過激派の温床になっているところもあるといわれるイスラム神学校(マドラサ)の実態に改めて目を向け、必要な改革に乗り出すことが求められる。

 立てこもり事件は今月3日、イスラマバード中心部にあるラル・マスジード(現地語で「赤いモスク」の意)と呼ばれるイスラム礼拝所や男女別のマドラサなどで構成される宗教施設を舞台に始まった。

 同施設がイスラム原理主義、過激派思想の拠点となり、武装化を進めたため、政府の治安部隊が包囲した結果、銃撃戦となった。内部には当初約5000人の神学生らがいたという。

 施設の最高指導者のアジズ師は途中、逃走を試みて逮捕されたが、弟のガジ師らが政府の投降呼びかけを拒否、徹底抗戦を叫び続けた。

 アジズ師らは隣国アフガニスタンのイスラム原理主義タリバンとの関係が深く、イスラム過激思想を学生らに吹き込んでいたとされる。

 2年前のロンドン同時テロ事件では実行犯がパキスタンのマドラサを訪れていたことも判明し、テロとの関連が疑われた。国際テロ組織アルカーイダとのつながりも指摘されている。

 神学生たちは武装し、軍事訓練まで受けていたという。神学校が大量の武器、爆発物で武装すること自体、異常といわなければならない。

 ムシャラフ大統領は今後も、違法な過激派に対しては妥協しない姿勢を続けてほしい。さもなければ法秩序の崩壊、テロ拡大、ひいては政権や地域の不安定化を招くことになろう。

 日本政府は「穏健かつ近代的なイスラム国家」を目指すムシャラフ政権を支持してきた。テロとの戦いでは今後も手を携えていくことが必要だ。

(2007/07/11 05:17)

【産経抄】

 反骨の官僚がこんなにいたとは驚きだ。政府は年金記録紛失問題を先送りにしてきた歴代の厚生労働省事務次官と社会保険庁長官にボーナス相当額の自主返納を求めたが、該当者27人中、当初8人が「ノー」と突き返した。

 ▼ 確かに法律上、返納義務はまったくない。彼らにすれば、安倍晋三首相の選挙向けパフォーマンスにつきあわされるのは、まっぴら御免。自分の生活が第一だ、というわけだろう。財団や会社を天下りで渡り歩き、3億円の退職金をもらっていても310万円(次官経験者)払えとなれば、損した気分になるのもよくわかる。

 ▼読者のみなさんもこれではっきりわかったと思う。一流の大学を出て、難関の試験を突破し、出世競争を勝ち抜いた高級官僚OBの3割が、国民に深刻な不安を与えている年金問題について責任のかけらも感じていないことを。官僚として守るべき道徳である「吏道」という言葉は既に死語となったようだ。

 ▼その官僚を使う立場にある政治家も情けない。安全保障が参院選の争点にならないのは、この国が平和である証拠だが、やれ年金の認定方法がどうの、事務所費の光熱費はいくらだのと、話が小さすぎやしないか。

 ▼パキスタンでは、軍がイスラム過激派や神学生らが立てこもるモスクに突入し、多数の死傷者が出た。イラクでは宗派間対立がますます先鋭化し、内戦に近い。中近東の「不安定の弧」が火を噴けば日本経済も大打撃を受けかねない。

 ▼テレビの党首討論会でくだらない農水相の事務所費問題を聞かされるのはもううんざりだ。首相もいちいち言い訳しないで、本人がうまく説明できないのであれば、ばっさり首を切ればいいだけだ。有権者はもっと骨太の論議を望んでいる。

(2007/07/11 05:08)


【日経・社説】

社説 M&Aを生かす・買収の手腕を磨いて新たな成長軌道を(7/11)

 企業のM&A(企業の合併・買収)意欲が高まっている。豊富な手元資金を活用し、新たな成長軌道を切り開く動きである。しかし、買収ブームが世界的に過熱する中で、派手なM&Aは一歩間違えると、惨たんたる失敗に終わりかねない。買収や合併を企業価値向上に着実につなげる経営手腕やノウハウが、日本企業に求められている。

 内容査定に専門チーム

 M&A仲介のレコフによると、過去10年で日本企業の絡んだM&Aの件数は約5倍に急増した。2006年は2700件に達し、今年も高水準で推移する。

 肝心なのは現実の成果だ。過去のM&Aを振り返ると、海外通信会社の買収や出資で1.7兆円の特別損失を計上したNTTグループなど大きくつまずいた例が少なくない。自力成長を基本としてきた日本企業はM&Aに不慣れで、買収の価格算定や買収後の事業統合に未熟だった。M&Aを成功に導くには買収にかかわるスキル(技能)を磨き、社内に蓄積していくことこそ重要だ。

 その点で参考になりそうなのが、ネットの玄関サイトを運営する日本のヤフーだ。有害情報の閲覧を規制するフィルタリング技術のサーフモンキー・アジア社、日本語処理技術に強いバックス社――。社員数にして数十人の小規模企業を、多い時に四半期に1、2社のペースで傘下におさめ、自社サイトの機能拡充につなげている。大株主の米ヤフーが新興のグーグルに押されているのに対し、日本のヤフーは活発な新サービス投入で成長力を維持するが、その一因は機動的な買収戦略にある。

 社内に買収先の資産査定を担当するチームを設け、あたかも「流れ作業」のようにM&Aを処理する体制を整えた。最も大事なのは「高値づかみをしないこと」。相手企業がいくら魅力的でも、価格が高すぎればあっさり見送るのがヤフー流だ。

 小企業を次々に買収し、競争力を高める手法は、米国ではR&D(研究開発)ならぬA&D(アクイジション=買収を通じた開発)経営の名称でよく知られている。創始者はネット機器で世界最大手のシスコシステムズ。変化の速いネット産業では、社内のリサーチ部門で基礎研究するより、優れた技術をもつベンチャー企業を買うほうが効率的、という割り切った考え方だ。

 一方、最近目立つのが、海外企業を傘下におさめ、グローバル化を加速する「内→外」型の買収だ。昨年の東芝や日本板硝子の大型買収、さらに先週発表されたファーストリテイリングによる米衣料専門店バーニーズ・ニューヨークへの買収提案も同じ流れの上にある。

 外での巨大M&Aにはリスクもつきまとう。巨額の特損を出したNTTグループだけでなく、米IBMからハードディスク駆動装置事業を買った日立製作所や米ルーセント・テクノロジーズの光ファイバー部門を買収した古河電気工業など買収後に苦戦する例も目に付く。

 数少ない成功例の1つが、1999年に米RJRナビスコの米国外のたばこ事業を約1兆円で買収した日本たばこ産業(JT)だろう。当初は否定的な見方が強かったが、買収をテコにグローバル展開を成功させ、昨年には第2弾として英大手たばこのガラハー買収にも踏み切った。

 「買われる」も選択肢

 もともと、たばこ事業は市場が成熟し、需要の乱高下などの変動要因が少ない。通信のような変化に富んだ市場に比べ、事業の先行きが見通しやすいといえる。さらにJTはRJR以前に英国で小型買収を実施し、社内に海外での営業や生産指導の経験者が育っていた。「人材の厚みこそ買収の成否を分ける」と同社の小泉光臣常務はいう。カネがあれば買収は可能だが、それを成功に導くには、やはり社内に蓄積した人材やスキルがモノをいう。

 「買う」だけでなく「買われる」という選択肢もある。東京商工会議所は中小企業の企業売買を仲介し、これまで19件の成約にこぎつけた。「後継者難で、このままでは会社を畳むしかない」。こんな悩みを持つ経営者に買い手候補を紹介し、技術や人材を新天地で生かそうという発想だ。「買われる」ことも、新たな成長の出発点になりうる。

 日本企業がM&Aに目を向け始めたことは評価に値する。資本の再配置につながるM&Aは、経済全体を活性化する上でも有効だ。買収後の経営がつまずいては元も子もない。ブームに流されるのではなく、M&Aの腕を磨き、最大限の成果を引き出すことが、これからの企業経営に欠かせない課題である。

【日経・春秋】(7/11)

 西南日本に停滞する梅雨前線。集中豪雨の被害は拡大し、空は灰色に垂れこめたままだ。降る雨のにおいに心をやすめ、ぬれそぼる草木に生の揺らぎを見る風流も、そろそろ限界に近い。たとえ猛暑でもいい、梅雨明けのかっと照りつける太陽が待ち遠しい。

▼梅雨明け日本の定番は、入道雲に白砂青松。小さな島国が世界に誇れる地理的財産、長い海岸線のほとんどが、白砂はなくても青松で覆われている。防砂・防潮・防風のため、先人が植えたクロマツの人工林、松原こそが、列島の原風景といえる。いわゆる日本三景はすべて松原の景観だ。

▼その松原があちこちで枯れている。西日本から始まった松枯れは北上を続け、秋田県まで達している。失われつつある白砂青松を、炭とキノコを使ってよみがえらそうと、「白砂青松再生の会」は1年前に発足した。農薬に頼らず、人の手入れによって、キノコもとれる元気な松原を目指す。

▼主宰の小川真さんは、樹木の根と共生するキノコ、マツタケや松露などの菌根菌の研究では世界的な権威。落ち葉をかき取って砂地の富栄養化を防ぎ、炭を埋めて菌根菌の繁殖を促すと、佐賀・虹ノ松原、福井・気比の松原、京都・天橋立などで、クロマツは勢いを取り戻した。さらなる活動の展開に向けて、新たな会員を募集中という。


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