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2007年7月14日 (土)

7月14日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月14日朝刊)

[台風4号被害]生活基盤の復旧急ぎたい

 三年ぶりに沖縄本島を直撃した台風4号は、十三日未明から本島や周辺離島を猛烈な暴風雨で襲い、道路が決壊したり電柱が倒れるなどライフラインに大きな影響を与えた。

 本島は十四日未明には暴風域から抜けるとみられる。だが、暴風域が広いため通過後の“ケーシ(返し)風”が長く残る可能性もある。警戒を緩めることなく、後片付けの際も万全の注意を払っていくことが大切だ。

 強い風にあおられて各地で軽自動車などが横転した。八重瀬町では大型トラックも横倒しになっている。

 北中城村の国道330号、米海兵隊司令部の近くでは電柱三本が道路側に倒れ、一本がワゴン車を直撃した。ほかの車両四台が、倒れた電柱の間に挟まれ動けなくなる事故もあった。

 人的被害はなかったが、今回のような大型台風の時にはできるだけ外出を避け危険を回避するよう心掛けたい。

 被害額は明らかではないが、出荷を目前にしたマンゴー、サトウキビやパパイア、バナナなどにも大きな被害をもたらしたのではないか。

 十四日にかけての雨量は、約二五〇ミリに達するという。相当な量である。夏野菜への影響はどうなのか、手だてを講じる必要があろう。

 この雨で地盤が緩んだ地域もあるはずだ。土砂災害の恐れがある場所には近寄らず、子どもたちへの周知徹底も不可欠となる。

 航空路線も本土、離島便、国際線を含めて二百八十五便が欠航し、約四万人に影響が出た。多くが観光客だということを考えれば、“もてなしの心”で対応できたのか、気になるところだ。

 沖縄電力によると、県内と本島周辺離島など二十八市町村で十三日正午現在、県内全世帯の約19%、約九万九千四百世帯が停電したという。

 最も多いのは那覇支店管内で四万一千百世帯。次いでうるま市店管内の三万七千六百世帯、名護支店管内二万世帯だ。復旧を急いでもらいたい。

 「台風と停電」が切り離せぬ関係にあるとはいえ、台風銀座の沖縄であれば送電線の沈埋化をもっと進めてもいいのではないか。

 観光の観点からも大切なテーマである。総点検していく中で、実現可能な対策を示す必要があろう。

 台風による被害が出るたびに、ライフラインの確保が重要なテーマになる。自然の猛威に耐えられるインフラをどう整備していくのか。

 台風の発生はこれからが多くなる。さまざまな角度から検証し、対策に取り組んでいくことが台風被害を減らす最大の条件になると考えたい。

[中国食品の安全]毅然とした対応策を

 中国食品の安全に対する懸念が世界で広がっている。米国で有害原料を含んだペットフードを食べた犬や猫が大量に死んだ問題を発端に、パナマでは有害原料の入ったせき止め薬を飲んだ人が多数死んだ。ほかにも練り歯磨きや魚介類から有害物質が検出され、食品検査のずさんさが批判されている。

 これでは、中国食品の安全性に重大な懸念が出るのは当然だろう。事態を重視した米政府は中国食品の監視を強化している。

 こうした批判に対し、中国は国内の安全管理・監督体制を強化する方針を打ち出した。米国、日本などに輸出していた食品会社など四十一社の安全性に問題があるとして、輸出禁止したことを表明している。

 中国政府が食品検査の強化に乗り出したことは評価できる。だが、日本向けの輸出が禁止された十一社の食品については、既に日本輸入時の検疫で違反を確認したものばかりだったという。「どういう基準で十一社なのか分からない」(厚生労働省)とされ、不明瞭さは依然として付きまとう。

 実は、中国国内でも数年前から食品や医薬品の事故が多発していた。危険な食品が海外で問題化したために、国内でもやっと注目されたというのが実態だ。

 事故の背景は、一九七〇年代末から始まった改革路線で拝金主義が横行しモラルが地に落ちたこと、また企業と癒着した地方政府の腐敗があるとされている。

 中国製品の安全対策について、米政府高官は日本と一致協力して推進すると語った。両国にとって中国は経済相手国として重要な国だ。外国の問題として放置することはできない。日米中が協力、連携して問題解決を図るべきであろう。

 近年、食の安全への国際的な意識は高まるばかりである。市場経済の問題点、モラル低下、腐敗に中国当局は毅然とした姿勢で対応しなければ、国際的な信用を失いかねない。一年後に控えた北京五輪にも影響が出よう。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月14日 朝刊 1面)

 「きょうは夕刊が出せないかと思いましたよ」と会社の同僚は興奮さめやらない。台風4号が直撃した十三日午前、編集作業中に何度も停電に見舞われたのだ。

 バックアップ用の自家発電は備えている。だが瞬間的な停電なので、切り替わる前に復旧する。実はこのパターンがコンピューター類にとっては大敵だった。写真部デスクは、電源が落ちるたびに数台のパソコンを立ち上げて回った。

 現場はもっと大変だ。八重瀬町で横転したトラックを撮った一年生のカメラマンは「とても外に出れないから、取材車の窓から上半身を乗り出してハコ乗り状態でした」。完全防備でも全身ずぶぬれは覚悟の上。

 直撃台風といえば二〇〇三年九月に宮古島を襲った14号が記憶に新しい。最大瞬間風速七四・一メートルは日本の観測史上七位に当たり、千九百本の電柱が倒壊した。当時の支局長は記事や写真などを送信するため、自家発電のある市役所を行ったり来たりした。

 取材から帰ると、二階にあるはずの事務所内が、ひざ下まで浸水していた。外壁に沿った排水パイプが破壊され、水は室内に流れ込んだ。地鳴りとフラッシュのような稲妻が恐怖をあおり、眠れなかったという。

 しかし一番大変なのは、各家庭へ新聞を届ける約三千人の配達員だと思う。輸送手段の途絶えた離島以外は、台風真っただ中にあった昨日も朝夕刊が届いた。読者に渡ってはじめて記事はニュースになる。(山城興朝)


【琉球新報・社説】

6ヵ国首席会合 非核協議の速度上げたい

 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の首席代表会合が18日から北京で開催される。6カ国の代表が顔をそろえるのは約4カ月ぶりである。
 会合では2月に合意している北朝鮮の核施設の稼働停止や封印など「初期段階措置」に関し、北朝鮮側をはじめ各国の履行状況の点検が中心議題となる。同措置以降の非核化の手順、6カ国協議全体協議や6カ国外相会合など今後の日程調整についても話し合われる見通しだ。
 初期段階措置の履行をめぐっては、14日、国際原子力機関(IAEA)の監視要員が平壌入りする。寧辺の実験用黒鉛減速炉など5つの核関連施設の稼働停止、封印の監視、検証作業にあたる。
 IAEA監視要員の平壌到着に合わせる形で、韓国が約束した重油提供約5万トンのうち、最初の輸送分約6200トンが北朝鮮に搬入される。
 IAEAのエルバラダイ事務局長は、来週初めにも寧辺の核関連施設の稼働停止や封印作業が始まるとし、作業は約1カ月で完了するとの見通しを表明した。稼働停止に関して「北朝鮮との合意に基づくもので、技術的にも難しくない」とも語っている。
 合意内容の詳細は定かでないが、監視カメラを設置する場所やカメラの個数、査察対象となる核関連施設の確定などをめぐって、北朝鮮側との協議が順調に進んでいることがうかがえる。
 言うまでもなく、初期段階措置の履行は、6カ国協議の合意文書の核心部分だ。本来ならとっくに約束が果たされていなければならない。遅延は許されない。監視・検証作業がIAEAとの合意に沿って予定どおりに履行されることを望む。
 核施設の停止・封印やそれにまつわる今後の作業手順などを示すため、具体的な工程表を作成してみてはどうだろう。
 初期段階措置の進展具合が点検しやすい。と同時に今後の6カ国協議の全体協議、作業部会の実効性を持たせる上でも工程表は有効に働くのではないか。
 首席会合を控えて当面の焦点は、ウラン濃縮疑惑を含め北朝鮮側から提出される核物質や関連施設に関するリストの問題だ。核に関連するあらゆる情報を積極的に開示するべきだ。
 「核カード」の残り度数を測って情報を出し惜しみするような策や細工を弄するようでは、6カ国協議を停滞させるだけだ。北朝鮮の誠意に成否がかかっている。
 「国際社会はこれまでに多くの時間を失った。(解決に向け)速度を上げなければならない」(エルバラダイ氏)との認識を、6カ国で共有し、北朝鮮非核化協議の推進力としたい。

(7/14 9:48)

台風4号直撃 早めの備えで被害防止を

 大型で非常に強い台風4号が沖縄本島を直撃した。本島直撃は2004年10月以来、2年9カ月ぶりであり、しかも、最大瞬間風速70メートルという予測があったため、該当地域の多くの県民は緊張を余儀なくされた。予想にたがわず車の横転が相次ぎ、家屋浸水、約10万世帯の停電など、暴風の猛威をまざまざと見せつけられた。
 被害、痛みから時間が経過すればするほど、警戒感は薄れるのが常。今回、台風が接近した本島で最も懸念されたのが、それだった。対策などのためとはいえ、けが人が多数出たのは残念だ。強風域に入る前に、万全の備えを取ることを、あらためて肝に銘じなければならないだろう。
 驚かされたのは、走行中の車の横転である。八重瀬町、西原町、那覇市で次々と風にあおられ、横転した。多くの車が高速で走行する国道58号でも複数の横転事故が起きており、今回、重大事故につながらなかったのは不幸中の幸いとしか言いようがない。重量のあるトラックでも容易に横転することを見せつけられた。事故を教訓にし、今後同レベルの風速が予想される場合には車の使用を自粛するなど、対応が必要だろう。
 多くの街路樹も無残な姿になった。根元から折れた木は珍しくない。折れた幹などが道路をふさぎ、交通を遮断した。樹木選定時に、台風が多い沖縄の特殊気候に対する配慮不足はなかっただろうか。折れやすい種なら、それだけ災害を誘発する可能性が高くなる。台風なのだからやむを得ないとあきらめる前に、より強風に強い種を選定し、災害を未然に防ぐことも必要である。
 地球温暖化によって、台風がより強力になる可能性があるという国連の「気候変動に関する政府間パネル」報告がある。台風常襲地域の本県にとっては、懸念される情報である。生命や財産にかかわることであるから、災害への備えは、慎重過ぎることはない。これから本県は、本格的な台風襲来シーズンを迎える。まず正確な情報をしっかり把握し、先手の備えで被害を予防したい。

(7/14 9:46)

【琉球新報・金口木舌】

 「あのころの私は、ただ毎日を何となく過ごしていました」
▼先ごろ開かれた浦添市少年の主張大会で、浦西中3年の棚原奏さんはこう切り出した。周囲と深くかかわることを避けてきたが、同市の劇団に入ったのを機に演劇を通して自分自身と向き合い、何事にも挑む気持ちが生まれたという
▼少年の主張大会は、1979年の「国際児童年」をきっかけに青少年育成国民会議が主唱して始まり、全国で開かれている。県内では86年度から六教育事務所ごとに地区大会を開いている。県大会、地区大会を前にいま、市町村単位での大会が開かれている
▼南城市少年の主張大会では三線を手に、知念中2年の親川由依さんは「中学生というこの時期は、一番心を磨かなければならない時期。沖縄民謡を大切に、歌と三線の音色で心を磨きたい。
沖縄文化の担い手であり、一人の沖縄人だから」と訴えた
▼それぞれの体験を踏まえた主張は、聞く人の心を揺さぶる。種々の社会問題が低年齢化する中、大人たちはどう少年たちの思いを受け止めるべきか
▼ただ何となく毎日を過ごす若者もいる。目標を見つけられずに戸惑う人も。そんな彼らに心を磨いてもらえるよう導くのは、大人の責任でもある。

(7/14 9:38)


【東京新聞・社説】

参院選 年金財源をどうする?

2007年7月14日

 年金問題を軸に、政策論争が深まってきた。党首討論を通じて、マニフェスト(政権公約)で示した以上に議論が進んだのは望ましい。各党は選挙戦で政策の中身を一層、具体的に語るべきだ。

 最大の争点である年金について、政府・与党は、すべての受給者と加入者の約一億人に加入履歴を記した年金特別便を送る対策を打ち出した。安倍晋三首相が認めたように、これは民主党や共産党の主張でもあった。記録不備への対応で与党が野党のアイデアを採用した一方、あらためて浮かび上がったのは、年金制度や財源をめぐる論点である。

 自民党は保険料と国庫負担で財源を賄う現行の年金制度を維持したうえで、二〇〇九年度までに基礎年金の国庫負担割合を現在の三分の一から二分の一に引き上げる方針を決めている。それには、約二兆六千億円の新たな財源が必要とされているが、それをどう賄うのか。

 共産党の志位和夫委員長は党首討論で「消費税を上げる可能性があるなら、正直に言って事前に国民の審判を仰ぐべきだ」と迫った。これに対して、首相は「徹底した歳出削減と3%の経済成長で消費税を上げないですむ可能性がある。不足があれば、秋からの税制抜本改革で議論する」と答えている。

 首相は先に「消費税を上げないとは一言も言っていない」とも発言しており、増税の可能性を否定していない。国民は「いずれ増税は避けられないかも…」と感じている。どういう場合に増税なのか。どういう努力で増税を避けるのか。ここは、ていねいに説明すべきだ。

 仮に、年金財源を増税で賄うのであれば、記録不備問題の解決が大前提になるのは当然である。

 一方、民主党は財源の全額を消費税で賄う最低保障年金(基礎部分)の創設を唱えた。国民年金の保険料未納や未加入が多い現状は現行方式への不信の表明ともいえ、税方式への移行は十分、検討に値する。

 考え方としては有力であっても、やはり難問は財源だ。民主党は「消費税を上げずに、行政の無駄をなくして財源をつくる」と主張している。それだけで財源を賄えるかどうか。小沢一郎代表は党首討論で「最低保障年金は年収六百万円からなだらかに削減し、千二百万円超は支給しない」とも述べた。詳しい説明を、ぜひ聞きたい。

 高齢化が進む中、年金を含む社会保障費は今後も増大する。年金制度のあり方は財政再建の鍵も握っている。参院選を本格的な政策論争のキックオフにしてほしい。

エレベーター また安全が脅かされた

2007年7月14日

 オフィスやマンション、駅などに不可欠なエレベーターの安全性が脅かされている。今度はかごを支える部材の強度不足が判明した。製造業者の責任は重大だ。国土交通省も監督責任が問われる。

 建築物の高層化や人口の高齢化などでエレベーターは急速に普及している。国交省の推計では全国に約六十万基ある。「製品の品質も検査水準も世界水準」と業界団体は胸を張るが、最近はトラブル続きだ。昨年六月のシンドラーエレベータ社のエレベーターによる死亡事故は記憶に新しい。

 強度不足の鋼材を使ったエレベーターが多数判明した、と国交省に報告したのは大手メーカー・フジテック(滋賀県彦根市)だ。不具合のエレベーターは全国で五百六十基もあった。強度は建築基準法の定めによる基準の約七割程度という。通常では問題はないが、大地震発生時に部材が変形してエレベーターが動かなくなる恐れがある。これでは復旧作業や救出活動が困難になる。

 なぜこんな不具合が生じたのか。フジテックは納入企業側が強度の低い鋼材を納めていたためと説明。一方、納入したJFE商事建材販売(大阪市)はメーカーから言われたものを納めたと反論している。おかしな話だ。責任のなすり合いをしている場合ではない。利用者第一の視点に戻って緊急対策を急ぐべきだ。

 エレベーターのトラブルでは四月以降、かごをつるすロープの束が破断している事例が相次いで判明した。とくに東京・六本木のオフィスビルでは八本の束のうち一本が破断。周辺の部品に接触したため火花が出て潤滑油やウレタン吸音材に引火し、避難騒ぎが起こっている。

 毎日使う設備が不安では困る。国交省はフジテックに対して直ちに補強工事と再発防止策の提出を指示した。当然だ。同社だけでなく国内外のメーカーと保守点検会社にも緊急点検を徹底させ、不具合が判明したら直ちに補強させるべきだ。

 また抜本的な安全確保には監督の強化も必要だろう。国交省は建築基準法を改正し、年一回の法定点検の期間短縮や昇降機検査資格の不正取得に対する厳罰化、エレベーター検査項目の明確化などを検討している。具体化を急ぐ必要がある。

 肝心なのは個々の企業の姿勢だ。業界団体は現在、国などと協力して製品の安全性向上に向けてブレーキを一つから二つに増やしたり、ブレーキ部材の減り具合を数値化するなどの作業を進めているという。それは結構だが、トップ以下の利益優先の考え方を改めることが先決だ。

【東京新聞・筆洗】2007年7月14日

 パキスタンの首都で起きたモスク立てこもり事件の現場が公開された。祈りの場を血で染めた政府軍の武力鎮圧のすさまじさと、対立するイスラム原理主義の激しさは、今の日本人の宗教観からは想像もつかない▼だが、この国でも、かつては織田信長の叡山焼き打ちや本願寺との対立、一向一揆やキリシタン弾圧の歴史がある。天皇を現人神(あらひとがみ)として祭り上げ、その名で国民を一億玉砕へと駆り立てたのは、ほんの六十二年前の出来事だ▼ベストセラー『日本人とユダヤ人』で知られる故山本七平さんは、キリスト者として徴兵された天皇の軍隊で受けた屈辱が忘れられない▼その国家宗教の由来を『現人神の創作者たち』で江戸期の朱子学の系譜の中にたどるのだが、生前お目にかかった時「この国の宗教は日本風土教だね」の言葉が忘れられない。天皇自身は古代から稲作儀礼の祭祀(さいし)者だったが、政治の中心にはいなかった▼文芸春秋季刊夏号『心の時代を生きる』が「日本人と宗教」について、養老孟司さんと玄侑宗久さん、五木寛之さんと帯津良一さんの二つの対談や、保阪正康さんの「二十二歳で逝った息子へ」など作家や著名人の寄稿で、その宗教観、死生観を特集して読ませる。無宗教を自認する知識人たちでも、身に備わった信心深さや祈りの深さは、自然宗教に近い面白さだ▼NHKの朝のテレビ「にっぽん体感こだわり旅」で、落語家の林家木久蔵さんが出雲大社を紹介していた。実はその拝殿の大注連縄(しめなわ)の写真を、パソコンの壁紙にしているが、ぴったり納まる。


【河北新報・社説】

6ヵ国会合開催へ/まず初期段階措置の確認を

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の首席代表会合が18、19の両日、北京で行われることが決まった。

 2月の協議で合意した「初期段階措置」が、ようやく具体化してきたことを受けての開催となる。

 一方、北朝鮮の朝鮮人民軍板門店代表部が13日、談話を発表し、米朝軍事会談の開催を提案する新たな動きも出た。

 今度の首席会合でも、北朝鮮がこれまで同様、さまざまな駆け引きや揺さぶりをしてくることは確実だろう。北朝鮮の動きに振り回されることなく、5カ国の協調体制を確保することが何よりも求められる。

 首席会合で5カ国は、初期段階措置に盛り込まれた寧辺にある核施設の稼働停止、封印の履行状況を確認し、北朝鮮に対し確実な実施を求めるべきだ。その上で「次の段階」に向けた議論を検討する必要がある。

 初期段階措置の履行に向けて北朝鮮は、韓国が見返りとして提供する重油約5万トンのうち、14日に到着予定の最初の提供分を受け取り次第、寧辺の核施設の稼働停止に着手する意向を示している。

 これに合わせて、監視、検証活動に当たる国際原子力機関(IAEA)の要員も14日に北朝鮮入りする予定だ。

 監視、検証活動の詳細については今後さらに詰める部分が残されているが、基本的部分は北朝鮮とIAEAの間で合意している。

 この状況を見れば履行の見通しがついた形だが、まだ楽観はできないと言うべきだろう。北朝鮮のテロ支援国家指定の解除問題なども初期段階措置に関係しているからだ。

 北朝鮮は、凍結資金の解除・移管問題で米国から大きな譲歩を引き出すことに成功しているだけに、テロ支援国家指定解除も取引材料として使ってくる可能性が否定できない。

 初期段階措置が順調に進んだ場合、もっと重要な問題として、本格的な核放棄に向けた次の段階が控えている。

 北朝鮮のすべての核計画の完全申告、すべての既存の核施設の無力化の実施と、その見返りとして95万トンの重油に相当するエネルギー支援が盛り込まれている。

 日本政府は、拉致問題の進展がない限り、北朝鮮への経済支援は行わない方針を堅持している。だが次の段階の協議になれば見返り支援の分担問題が避けて通れず、日本にとって厳しい展開になる。

 政府は今度の首席会合でも、拉致問題の解決に向けて日朝作業部会の開催を強く求める方針だ。部会の早期再開は厳しい状況にあるが、あくまでも非核化と拉致問題のセットで臨むべきだろう。

 拉致問題が進展し、日本も共同して支援に参加していける形ができることが最も望ましいのは言うまでもない。

 そのためには、米国との緊密な連携や中国の協力が欠かせない。拉致問題が置き去りにされることがないよう外交努力を続けるべきだ。
2007年07月14日土曜日

【河北新報・河北春秋】

 朝の通勤時、歩道は無秩序状態だ。スピードを上げた自転車がわが物顔で走り抜ける。中にはくわえたばこもいる。危なくて仕方がない。歩行者にとって自転車は厄介者でしかない▼一方、車から見ればどうか。自転車に車道を走られてはこれまた危なっかしい。ふらつきながら走る自転車に「どうして歩道を走ってくれないんだ」と、舌打ちするドライバーも多い

 ▼ 自転車側にも言い分がある。環境や健康に良いエコロジカルな乗り物なのに人と車から邪魔にされる。自転車専用道もない。一体、自転車はどこを走ればいいのか。ぼやきの一つも出そう▼道交法では自転車が通っていいのは通行可と指定された歩道だけ。ほかは車道の左端を走る。もっとも、今回の改正で子供が乗っている自転車と、大人でも車道が危険な場合は歩道走行が例外的に認められた

 ▼法改正を受けて警察庁が緊急対策の実施を決めた。自転車専用の通行帯の設置やカラー舗装を行って、歩行者や車との分離を視覚的に分かりやすくする。事故の危険性の高い場所が数多くあるからだ▼駐輪場所の整備に比べて、自転車の走行空間に対する配慮が、日本では遅れているという批判がある。自転車は既に都市内交通の重要なツール。人と車と共存できる安全な道路の工夫がもっとあっていい。

2007年07月14日土曜日


【京都新聞・社説】

台風4号接近  「超大型」へ備え怠るな

 超大型の台風4号が、日本列島を縦断する恐れが強まっている。既に沖縄や九州で猛威をふるい、今後、西日本の太平洋側を中心に大雨が予想されている。十分な警戒と万全の備えをしたい。
 京滋各地は、十五日未明から深夜にかけて暴風雨が心配されている。避難勧告が必要な場合は早めに行い、混乱を避ける必要がある。
 台風4号の直撃で、沖縄・那覇では七月としては観測史上最大となる五六・三メートルの最大瞬間風速を観測した。西日本一帯では、梅雨前線との相乗効果で大雨をもたらすことが心配されている。
 近年の台風被害で思い出されるのは、二〇〇四年十月の台風23号だ。水没したバスの屋根で一夜を明かした人たちの姿は、今も記憶に新しい。京都府北部を中心に京滋で十六人、全国では九十八人が犠牲になった。
 大被害を悲しい教訓に、各地で地域防災計画の見直しやハザードマップ作成、情報伝達手段の改善などの取り組みが進んだ。特に京都府北部では、国や府との連携策を見直したり、地域の防災無線を増やす、自主防災組織の活動を活発にするなどの努力が続いた。
 これらの結果、翌年の台風14号接近では、災害警戒本部の設置や住民への呼びかけ、避難所の開設などがスムーズに進んだ。住民への情報伝達や意識啓発面では、なお課題が多いものの、一定の成果が上がっている。
 こうした取り組みに比べ、心配なのは府南部や滋賀県の市町村だ。行政も、住民も、大雨への警戒や備えが一体どこまでできているだろうか。
 京都市の防災マップを見れば、大雨で河川がはんらんした場合、三メートル以上も浸水する恐れがある地域は南部に集中しており、約八万九千人に被害が及ぶ。〇・五-三メートルの浸水では、被害が約二十七万三千人に広がる。宇治市の旧巨椋池一帯や乙訓地域でも浸水の危険性は高い。
 その割に危機意識が低いのが問題だ。京の市街地は鴨川の三条大橋が流された一九三五年の大洪水以来、七十年以上も洪水から免れている。その結果、住民の水害への警戒心が薄れ、無防備になっているのでは、と専門家は警告する。
 近年は異常気象による災害が珍しくない。集中豪雨の被害は世界各地で起きている。河川のはんらんや浸水は、決してひとごとではない。
 災害への備えは自助、共助、公助といわれる。どの地域に住む人でも、まずは自らの避難場所を確認しよう。河川の洪水警報や大雨洪水警報に注意し、警報が出れば住宅の二階や三階以上に避難する必要がある。避難所に移動する場合は、早めに決断したい。
 ご近所にお年寄りや幼児など災害弱者がいないかにも注意を払いたい。互いに助け合う共助も大切だ。行政が行う公助と合わせて、被害発生を食い止めたい。

[京都新聞 2007年07月14日掲載]

介護職不足  重労働に見合う賃金に

 高齢者らの世話をする介護職の人手不足が深刻になっている。抜本的な人材確保対策が必要だ。
 お年寄りの福祉施設の開設にこぎ着けても肝心の介護スタッフが集まりにくい。訪問介護の事業所もホームヘルパー確保に四苦八苦する。そんな事態が全国の福祉現場で起きている。
 京都市北部の高齢者福祉施設でも八月の開所を目前にして、スタッフ集めに奔走する状況だという。
 全国の介護関係の有効求人倍率は一・七〇倍(五月現在)の高さだ。
 将来を担う介護福祉士を養成する市内の専門学校では、今年度の入学者数が定員の約半数どまりだった。
 介護職は、お年寄りの入浴や排せつをはじめ、家事援助など生活全般を担う。このまま介護現場の担い手が確保できない状態が続けば、高齢者福祉の制度は崩壊しかねない。
 人材不足の主な要因として、労働条件の過酷さに比べ、あまりにも低い賃金の体系がある。
 厚生労働省の調べではヘルパーの平均年収は約二百六十万円で、全労働者の約四百五十三万円を大きく下回っている。
 これでは生活ができない。最近の景気回復も反映して、人材は、どんどん他の職種に流出してしまう。離職率は20%に達している。
 労働の対価に見合った賃金レベルに引き上げるなど待遇改善は待ったなしだ。
 二〇〇六年度の介護保険法改正も、人材流出に拍車をかけている、と指摘する介護関係者は多い。
 ヘルパーの家事援助のサービス提供が減らされるなど、介護報酬が切り下げられた。「大幅な減収となり、賃金アップどころか、ボーナスも払えず、時給も下げざるを得なくなった」(市内の事業者)という。
 利用者の負担と介護現場で働く人の賃金のバランスも考慮した介護保険制度でなくてはならない。
 介護職らのネットワークづくりも欠かせない。働く時間帯も異なり、孤立しがちな状態から、お互いが支え合う仕組みが求められる。
 京都ホームヘルパー連絡会が昨年行ったアンケート調査では、介護職九十五人のうち、七割が「将来とも今の仕事を続けたい」と答えた。
 先月、訪問介護大手コムスンの不正請求問題を受けて、右京区のホームヘルパーから本紙の読者投書欄に、こんな投書が寄せられた。
 「この仕事は(お年寄りの)日々の生活活動にかかわる。認知症の方も多く笑顔を見せられると、やりがいを感じる」と喜びを述べたうえで、「安心して働き続けられる条件を整備することで、ヘルパーが育つ」と結んでいる。
 介護に携わる使命感や情熱、心意気を大切にする社会でありたい。

[京都新聞 2007年07月14日掲載]

【京都新聞・凡語】

学力テストの不正

 これでは、子どもへの背信行為である。自治体が実施する学力テストで、学校の成績を上げるため、東京都足立区の公立小の校長が主導して不正をしていたことが発覚した▼教員が児童の答案を指さして誤答に気付かせていたという。さらに校長は過去の問題をメモし、翌年の児童に練習問題として繰り返しやらせていたというから、驚く。成績は区内で一番になったが、児童がそれで喜ぶとでも思ったのか▼足立区では、学力テストの成績公表や学校選択制の導入など学校を競わせる政策を次々と導入。公教育への競争原理を打ち出す政府の教育改革を先取りしたモデル自治体といわれてきた▼もちろん競争は必要である。だが、背景に学力だけによる学校間の競争原理があるとすれば由々しき問題だ。「学力はあくまでも子どもの能力の一部」と説明しても、保護者は数字で学校の良しあしを判断しがちなことも事実であろう▼それが学校現場の心理的重圧となったとしても今回の不正が許されるはずはない。国は九月にも全国学力テストの結果を都道府県別に公表する。しかし、「説明責任」を理由に、学校の成績を公表する自治体の増加が予想されよう▼公表の仕方によっては、学校の序列化競争につながりかねない。競争をあおるだけでは教育の質は向上しない。子ども不在の「学力コンテスト」にしてはならぬ。

[京都新聞 2007年07月14日掲載]


【朝日・社説】2007年07月14日(土曜日)付

政治とカネ―おかしいぞ、首相の理屈

 「光熱水費は月800円ですよ。月800円で辞任を要求するんですか」

 赤城農水相が、両親の住む実家を主な事務所とする後援会に、巨額の事務所経費を計上していた。不自然極まるこの経理処理を、安倍首相はどうしても「問題ない」と言い張りたいようだ。

 05年の政治資金収支報告書をめくってみると、光熱水費は9660円だ。確かに月にならせば805円だ。だが、だからといって、10年間で9045万円にものぼる支出がすべて「適正だった」と言われて納得する人はいまい。

 かつては光熱水費に百数十万円を計上した年もある。なのに最も安い年を取り上げて、すべてに問題がなかったと言いつのるのは強弁が過ぎないか。

 疑惑をもたれた以上、赤城氏は自ら領収書などを公開してきちんと説明すべきだ。野党などにそう追及されると、首相は「みんなが前もって決めたルールに従うべきだ」と切り返すのが常だ。

 政治資金規正法は、領収書の添付を求めていない。だからそれ以上、説明の義務はない。そう言いたいのだろう。

 だが、これもおかしな理屈だ。

 法律が定めているのは、だれもが守るべき最低限のルールだ。疑惑をもたれた政治家が、それ以上の説明責任を自主的に果たすのは何も妨げていない。

 まして赤城氏は閣僚である。6年前、当時の森内閣は「公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」という国務大臣規範を閣議決定した。普通の政治家以上の倫理観が求められると確認し合ったはずだ。

 先の通常国会で与党が通した改正政治資金規正法は、1件5万円以上の経常経費に領収書の添付を義務づけた。だが、その対象は資金管理団体だけで、赤城氏の後援会のような政治団体は対象外だ。

 この抜け穴に対する批判の高まりを意識してか、首相は最近、党の自主的な措置として資金管理団体にできるだけカネの流れを集中させる考えを示した。自民党で内規の改正が検討されている。

 改正法の不備を認めたのかと指摘されると、首相はこう開き直った。「法律を決めるというのは全体の合意で初めてできる。自民党だけではできない」

 おやおや、野党のせいで十分な法改正ができなかったと言いたいのだろうか。それは事実に反する。たとえば民主党はすべての政治団体に網をかけようと主張した。そんな修正要求を一顧だにせず、抜け穴だらけの改正案で突っ走ったのは自民、公明の与党ではないか。

 「政治とカネ」の問題できちんとした姿勢を示したいなら、首相はまず、赤城氏に領収書を示すなどして説明を尽くすよう指示することだ。そして堂々と規正法の再改正を約束することだろう。

 妙な「へ理屈」をこねても、政治への信頼が失われるばかりだ。公明党も党の内規で対応するつもりなのか。はっきりとした見解を示すべきだ。

石見銀山―歴史と世界に心をはせて

 竹に覆われた山の中腹には、銀鉱石を掘り出した坑道がいまも顔をのぞかせている。世界遺産に登録された石見(いわみ)銀山の遺跡だ。

 銀山跡は、島根県大田市にある高さ500メートル余りの仙ノ山を中心に広がる。坑道や露天掘りの跡は600カ所以上あり、その脇には精錬の作業場や住居の跡が残っている。そうした職住一体となった遺構は、棚田のように重なって山頂付近まで続く。

 山を歩くと、ここから掘り出された銀が戦国時代のころには世界に広く流通し、日本銀が世界の3分の1を占めていたという事実に改めて驚かされる。ろくに道具のなかった時代に坑道を掘り進んだ人たちの過酷な日々も思い起こされる。そう言えば、ここでは30歳で長寿の祝いをしたと伝えられている。

 足下に目をこらせば、精錬後に捨てられた銀鉱石や暮らしで使った陶磁器の破片が見つかることもある。

 何世紀も歴史をさかのぼって人々の営みをしのび、世界とのつながりを実感したい。世界遺産登録を機に、そう考えて訪れる人たちも増えているだろう。

 石見銀山で本格的な開発が始まったのは1526年だ。その質の良い銀は日本海の港から積み出され、朝鮮半島や中国に輸出された。

 ヨーロッパでは大航海時代を迎えていた。香辛料を求めてアジアにやってきた船は、日本銀も持ち帰った。その主要な産地が石見だったのだ。16世紀にポルトガル人がつくった地図には、石見のあたりは「銀鉱山王国」と載っている。

 江戸時代になると、石見の銀は幕府の財政を支えた。数万人が山中で働き、最盛期の産出量は年間1万貫(38トン)と推定されている。

 だが、産出量はしだいに減り、大正時代に閉山した。大型機械で採掘されなかったことが幸いし、戦国や江戸時代の坑道や精錬作業場が手つかずのまま残ることにつながった。

 一方で、山は手入れをされず、荒れ果てている。竹がはびこり、発掘された遺構は全体の0.1%にすぎない。

 今回の世界遺産への登録は、諮問機関が否定的な見解を示し、曲折をたどった。登録にあたっても、ユネスコ世界遺産委員会から、地下の遺構を保護するために発掘を進めるよう勧告された。

 どうやって世界遺産を守り、後世に伝えていくか。地元ではNPOがボランティアを募って竹の伐採に乗り出し、大田市は林道の整備を進めている。観光の拠点として期待するだけでなく、保存にさらに知恵を絞ってもらいたい。

 世界遺産の登録は国内では知床や白川郷などに次いで14件目だ。科学技術や産業活動の拠点となった産業遺産では初めての登録である。

 そうしたことを知ったうえで山を歩けば、貴重な遺産をいっそう守りたいと思うようになるだろう。

【朝日・天声人語】2007年07月14日(土曜日)付

 70年の夏、開高健は執筆のため新潟の山奥にこもる。そこで「水晶をとかしたよう」な水を飲んだ。雪洞の天井からしたたるそれは「ピリピリひきしまり、鋭く輝き、磨きに磨かれ、一滴の暗い芯に澄明さがたたえられている」(『巷(ちまた)の美食家』ハルキ文庫)。

 水の味わいは本来、絹糸の繊細さにも例えられる。その絹糸をなたでぶった切るような話が北京から届いた。飲めない水道水を、ボトルに詰めて売っていたという。大手4社の容器を数えたら「本物」の倍あった。偽物天国きわまれりだ。

 中国製の飲食品をめぐり、味以前の不祥事が続いている。水増しワインは序の口で、大腸菌のついたイカ、二酸化硫黄が残るキノコなど、健康にかかわる違反が止まらない。とどめは、段ボールを練り込んだ肉まんだ。

 中国は食材の大輸出国である。米食品医薬品局が06年以降に確認した違反例を、アエラの最新号が一覧で載せている。加工品から海産物、青果まで、これでは食べるものがないと思わせる広がりだ。不衛生を薬物で相殺するような粗さが怖い。

 悠久の時が育んだ食文化から、どう間違うと不気味な食品群がこぼれ出るのか。思いは、いびつな経済発展に至る。大ざっぱな物づくりに金もうけの知恵が重なると、時にまさかの欠陥商品が生まれる。その中で、口から入る物を毒と呼ぶ。

 水は低きに流れ、低きに流れた商売は毒を生む。荒稼ぎの悪意と小細工を内に隠し、何食わぬ顔で異国の商品棚に並ぶ毒もある。中国政府には、低きに流さぬ堰(せき)を求めたい。


【毎日・社説】

社説:6カ国協議 「次の段階」はあわてず厳格に

 北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の首席代表会合が18日から北京で開かれることになった。

 2月の6カ国協議で、寧辺(ニョンビョン)の核関連施設の停止・封印など、北の核廃棄への道筋が合意されたが、その入り口である「初期段階の措置」の実行が大幅に遅れた。マカオの「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)にあった北の資金の凍結解除後、本国送金に手間取ったためである。

 この間に北朝鮮は、協議再開を急ぐ米国や韓国の手の内を見透かすように、6カ国協議からの日本排除など、いつものように揺さぶりをかけてきた。

 今回の首席代表協議では、これまでの遅れを取り戻すことも重要だが、北朝鮮が合意文書を骨抜きにしないように、5カ国が腰を据えて厳しい検証を迫らなければならない。

 寧辺については、いまのところ順調に進みそうな気配だ。北朝鮮は見返り条件の重油5万トンが北に引き渡されれば原子炉の稼働を停止するといち早く予告している。

 その監視と検証は国際原子力機関(IAEA)が担当する。北朝鮮はすみやかにIAEAからの離脱声明を取り消し、稼働停止・封印に当たってIAEAの監督に従う姿勢を示すべきだ。

 合意文書では、「初期段階の措置」が実行されれば、北朝鮮は「次の段階」として「すべての核計画に関する完全な申告」と「黒鉛減速炉と再処理施設を含むすべての既存の核施設の無能力化」に進み、その見返りとして5カ国が95万トンのエネルギー支援をすることになっている。

 首席代表会合では、「次の段階」の具体化が焦点となるだろう。伝えられるところでは、北朝鮮は「無能力化」と「核計画の申告」を切り離し、「核計画」問題から協議を始めようとしているという。北が認めていない高濃縮ウラン(HEU)計画の有無をめぐって議論が空転し、結果的に「無能力化」が遅れるおそれがある。

 そうなると北朝鮮のペースになってしまうのではないか。今回の会合再開に当たって、米国と韓国が急いだきらいがある。ブッシュ大統領、盧武鉉(ノムヒョン)大統領ともに残り任期の短さを意識している。両国が時間を気にし始めたことを、北朝鮮は当然計算に入れて対応するだろう。

 このところ日本にとって気になる動きが出ている。中国は、まだ初期段階の実行もしていないうちから、国連安保理の対北朝鮮制裁決議解除を検討するよう呼びかけた。米国もヒル国務次官補が、朝鮮戦争の終結のために、南北朝鮮と米中による4カ国協議の開催をほのめかしている。形を変えた日本外しではないのか。

 日本は、核問題のほかに拉致問題の解決を抱えているが、そうでなくても、政治的な成果を急ぐあまり、見せかけだけの核廃棄を許してしまえば、将来にわたってアジア全体に大きな禍根を残すことになる。核の拡散を認めないという6カ国協議の原点をゆるがせにしてはならない。

毎日新聞 2007年7月14日 東京朝刊

社説:’07参院選 教育 真の改革への道筋を語れ

 公約には掲げやすいが、票にはなりにくい。選挙で教育というテーマはそういわれてきた。しかし、政権を問う選挙と位置づけるならば、教育は柱となるテーマである。安倍晋三首相は「戦後レジームからの脱却」に憲法改正と教育改革を挙げた。早々と教育基本法や関連法の改正を成し遂げ、また教育再生会議などで「ゆとり教育」否定と学力、規範性の向上をうたった。

 その考えに沿えば、公徳心や教育の低下は放任や利己主義、過度の平等主義を広めた戦後レジームの落とし子。それを正し、競争原理、評価システムを導入して公教育を再生する、というのである。そして法は急ぎ変えたが、中身の論議はというと、薄い。検証すべきことはあまりに多いのだが。

 例えば、競争原理を支え、拍車をかけるのが評価のあり方だ。それは一方で「高評価を得ること自体が目的になる」危険をはらむ。

 最近、東京都足立区独自の学力テストで、ある小学校が情緒障害の子らの答案を保護者に無断で採点から外していたことが発覚した。他にテスト中教師が机をたたいて誤答を正したという指摘もあり、教育委員会が調査している。

 事実なら、この学校にとりテストは学力把握と指導のための手段ではなく、好成績自体が目的といわざるをえない。実際、このテスト(昨年度)で同校は前年度の下位から一気にトップになった。

 背景には、学校選択制や学力上昇を予算の各校傾斜配分に一部反映させる仕組みがある。上位校は人気が出、子供が集まるのだ。

 広まる「学力低下論」を背に文部科学省は今春、60年代以来途絶えていた全国学力テストを実施した。近く結果は出る見込みだが、これが真に授業改善の手立てとして生きるのか、単なる学校や地域の「評価」「序列」の物差しになりはしないか。足立区のような例を前にすると心もとない。

 国による全体的な教育振興基本計画策定▽教員免許更新制などで問題教師を排除▽教育委員会へのチェック強化……。法改正でさまざまな新制度が登場した。ではどのような事態を想定し、何を盛り込み、どう線引きするか。それが一番肝心だ。しかし形ばかり急ぐようで、国会でもほとんど議論は高まらず、かみ合わなかった。

 選挙のマニフェストなどでも、与野党は保護者負担の軽減や予算拡充など、多くは“公教育サービス”面の改善案を競う。確かに重要だが、教育の質や中身への視点や掘り下げがあまりに薄い。

 戦後公教育の基底にあった「自治による」理念から、国の責任と管理へという転換、あるいは「ゆとり教育」を否定し、授業量を増加して学校5日制も見直すという流れ。これは戦後教育政策の小さな軌道修正どころではない。将来に与える影響は大きく、意義づけにしろ批判にしろ、選挙戦でもっと熱く、もっと練り、正面から訴えかけなければならないはずだ。

毎日新聞 2007年7月14日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:「絡繰」「機関」「機巧」などと漢字で書かれる…

 「絡繰」「機関」「機巧」などと漢字で書かれる「からくり」である。「日本国語大辞典」を引くと、(1)糸などであやつって動かすこと(2)仕掛け、仕組み、構造(3)工夫をこらして物事を仕組むこと(4)表面だけを巧みにやりくりする……といった順で語釈が並んでいる▲まあ「糸」を鋼索と読み替えればエレベーターも巨大なからくりの一つだ。それには十分な強度をもった「構造」が必要だし、安全のための何重もの「仕掛け」「仕組み」を備えねばならない。メーカーはそのために「工夫」をこらすわけである▲もっとも「工夫」といっても、製品の「表面だけのやりくり」にこらされる工夫もありうるから世の中は油断ならない。もしもエレベーターの製造にかかわる誰かが、表面だけの安全をとりつくろう偽装に手を染めれば、危ないからくりが全国のビルや公共施設に組み込まれてしまう▲建築基準法違反にあたる強度不足の鋼材が使われていたエレベーター製造大手フジテックの製品は560台にのぼる。当のエレベーターに差し迫った危険があるわけではないというが、JRなどの駅ではすでに使用を停止したり、運転の減速を始めた▲奇怪なのは鋼材の強度が書類上偽装されたいきさつについて、納入業者のJFE商事建材販売とメーカーの言い分が食い違ったことだ。JFE側はフジテックと合意の上の偽装というのに対し、フジテックはそんな合意など確認できないとし、第三者委員会による調査を進める構えである▲外から見えないからくりの存在をうかがわせる両者の言い分だが、そこにどんな「工夫」や「仕組み」「やりくり」があったのか。危ないからくりの全容解明には、関係各社がそれこそ企業の存亡をかけて取り組まねばならない。

毎日新聞 2007年7月14日 東京朝刊


【読売・社説】

年金問題 争点は制度論に移っている(7月14日付・読売社説)

 年金問題の争点は制度論に移ったということだろう。

 総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」が、保険料を納めたはずなのに記録が見つからない15事例について、本人からの申し立て通りに記録を正した。

 保険料の領収書など物的証拠がなくても、状況を総合的に検討して、年金の権利を認定した初のケースだ。

 迅速な対応と言えよう。年金への信頼を取り戻すため、記録回復の実例を数多く、国民の前に積み上げてほしい。

 読売新聞の世論調査で、参院選の争点は何かとの問いに、65%の人が「年金」と答えている。記録問題の解決策に関心が集中しているからだろう。

 だが、参院選の各党の公約を見ても、年金の記録漏れ問題を解決する方策について、基本的に対立はない。現実に年金記録の復活が始まったように、解決に向けた対策はほぼ打たれた。あとは着実に実行するだけだ。

 今後、選挙戦で戦わせるべきは、年金制度に関する本筋の議論である。

 最も重要な論点は、年金の財源だ。これについて、与野党ともあいまいな部分が多い。

 基礎年金の国庫負担割合は、2009年度までに2分の1に引き上げられる。それには2兆5000億円の財源が必要だ。しかし与党は、歳出の見直しと税収増でまかなう、としか言わない。消費税率引き上げの議論を避けている。

 民主党も同様だ。年金制度を一元化して、最低保障年金を作るという。財源は税率5%のままで消費税収の全額を充てる。ただし所得制限を設ける結果、どれだけの高齢者が最低保障年金を受け取れるのか、細部が明らかでない。現行の消費税率で財源は足りるのだろうか。

 前回の衆院選まで民主党は、年金目的消費税3%の創設が必要だ、と訴えていただけに疑問はぬぐえない。また、年金を一元化するには、自営業者などの所得を把握しなければならず、納税者番号制度の導入が不可欠だ。ところが、この点にも触れようとしなくなった。

 与野党とも、耳に心地よい話だけでは責任ある主張とは言えまい。

 財源や制度の抜本改革だけでなく、現行制度の手直しも議論が必要だ。

 公明党は、保険料を25年以上納めないと受給権を得られないという規定を改めて、必要納付期間を短縮することや、過去にさかのぼって未納分の追納を認める範囲を現行の2年から5年に延ばすよう主張している。傾聴に値する考えだ。

 信頼できる年金制度は、どうあるべきか。建設的な論戦を期待する。
(2007年7月14日1時40分  読売新聞)

被災者支援 使いやすい仕組みにしなければ(7月14日付・読売社説)

 被災者を助けるために設けられた制度が、使いにくいうえに十分に活用されていない。

 政府は、支援の仕組みを再検討する必要がある。

 地震、水害などの災害に備えた政府の「被災者生活再建支援制度」について、全国知事会が、見直しを求める緊急要望書をまとめた。

 災害により住居が全壊したり、大幅に損壊したりした人に対し、最大300万円を支給する制度だ。ところが、仕組みが複雑なうえ、支給条件も厳しい。

 知事会の実態調査によると、住居が大きく壊れても、支援金を得られたのは被災世帯の半数だ。支給された場合も、実際の支給額は、平均すると、限度額の半額にとどまっている。

 最大の原因は、住宅再建の主要な経費が支援から外れていることだという。支援対象は、壊れた住宅の解体費などに限られ、肝心の建設費、補修費は、自前で調達せねばならない。敷地に亀裂が入ったという場合も地盤整備は対象外だ。住宅は大丈夫でも、生活できない。

 政府は、「住宅、土地という私有財産の形成に、公費は出せない」という立場だ。これに対して知事会は、建設費、地盤整備費を出した方が住宅の再建を促すと主張している。

 住宅は確かに私有財産だが、地域社会全体を復興させてゆくうえで一律に除外していいか。検討を深めるべきだ。

 支給の際の年収・年齢条件も実態に即していないという。周辺と同様、ひどく被災しても、年収が支給基準を1円でも超えていれば、支給額はゼロだ。その結果、住宅ローンを抱えた子育て中の夫婦が、住宅全壊の被害に遭っても支援はない、という例も出ている。

 支援金は、政府と都道府県が折半している。都道府県は、その基金として600億円を積み立てている。公金だけに厳格な運用は欠かせないが、使い勝手を向上させねば、制度の意味がない。

 支援制度は、阪神大震災を踏まえ1999年に創設された。当初は生活必需品の購入費支援が柱だったが、2004年から住宅にも支援を拡大した。これまでに約30件の災害で約1万3000世帯に約130億円が支給されている。

 ただ、首都直下地震のような巨大災害では、支援が巨費に上り、支給基準の厳しい現行制度でさえ資金が不足する、との声がある。住宅の耐震補強など、事前の対策の方が重要、との声もある。

 もっともな指摘だが、別途論じるべき課題ではないか。日本は「災害列島」と言われる。誰もが被災者になり得る。支援制度の充実は待ったなしだ。
(2007年7月14日1時41分  読売新聞)

【読売・編集手帳】

7月14日付 編集手帳

 江戸期の豪商、島井宗室(そうしつ)が後継ぎに宛(あ)てた遺言状が残っている。日本歴史学会編「島井宗室」(吉川弘文館)に収められた全文を読んでいると、ため息が出る◆賭け事はするな。縄の切れ端も捨てるな。飯を炊くとき、薪(まき)を使いすぎるな…と、このあたりはいいとして、「(使用人は)下人・下女にいたるまで皆々、盗人と心得べき候(そうろう)」までくると鬼気迫るものがある◆末尾では、以上の項目を固く守ることを約束する誓紙をこしらえ、棺桶(かんおけ)に入れよ、と命じている。おしなべて富める人ほど、お金に執着するものだとは聞いていたが、その執念にはただ恐れ入る◆棺(ひつぎ)に納まった後も遺産の目減りを心配する人がいれば、いかなる目的でか、「遺産」なるものを撒(ま)いて歩く人もいる。全国の県庁や市役所などのトイレから手紙を添えた1万円札の包みが相次いで見つかった◆手紙には、「報謝 一人一封」「遺産金一万円を修業の糧としてお役立て下さい」などと書かれていた。本紙の集計によれば総額は19都道府県で454万円にのぼる◆あの世にも新聞があるならば、宗室さんはいまごろ、記事を読みつつ卒倒していよう。どんな人なのだろう。善意にもとづく奇特な振る舞いか。お金の使い道がない人の人騒がせな遊びか。いずれにしても、心のさびしい人である気がしてならない。
(2007年7月14日1時37分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】07参院選 税財政改革 不安を広げる消費税外し

 国と地方の長期債務残高が国内総生産(GDP)の1・5倍と極度に悪化した財政をどう再建するか。参院選の重要な争点であるはずの税財政改革で、自民、民主の二大政党が全体像を示さないのは遺憾というほかない。

 それは消費税引き上げの争点外しに起因する。有権者にとって極めて関心の高いテーマを避けては、人口減と本格的な高齢化社会到来の中で不安を増幅させるだけだ。両党は今後の選挙戦で明確な考えを示してほしい。

 消費税の問題は目前に迫っている。再来年度から実施される基礎年金の国庫負担割合を2分の1へ引き上げるための安定的財源の確保は、昨年の「骨太の方針」に明記された。日程的には今年度中の具体化が必要になる。

 それなのに、政府は今年の骨太方針からその文言を消し、自民党も政権公約に盛り込まなかった。「安定的財源」が消費税の引き上げを意味するからにほかならない。

 安倍晋三首相も「上げないとは一言も言っていない」とした後で、「据え置きの可能性は十分」とトーンダウンさせている。財源を国有財産売却や税の自然増収に求めているようだが、これらを安定的財源とは言わない。

 一方の民主党も基礎年金をすべて消費税で賄うとしながら、現行税率を維持するという。小沢一郎代表が表明したような補助金全廃による年金財源の捻出(ねんしゅつ)では説得力を持たない。

 一定の行政サービスを確保するには、補助金を削減しても別の財源が要る。三位一体改革で4兆円の補助金を削減しても地方に3兆円の税源移譲を行った例をみれば明らかだろう。

 基礎年金国庫負担割合引き上げの後には、2011年度の基礎的財政収支の黒字化、2010年代半ばの債務残高GDP比引き下げという財政再建目標が待つ。医療や介護の社会保障費はこれから急増する。歳出削減だけではとても対応できまい。

 安倍政権は成長戦略による税の自然増収を重視するが、昨年度の税収は予算を大幅に下回った。民主党の税財政改革も裏付けが希薄で実現性を欠き、体系化もされていない。

 二大政党は甘言をろうせず、増税という痛みも国民に問わねばならない。それが責任政党のあり方である。

(2007/07/14 05:55)

【主張】コピー規制緩和 メーカーが汗をかく番だ

 利用者に不評だった規制がようやく緩和される。デジタル放送番組を録画しても、1回デジタルコピーを作成すると自動的に元データが消えてしまう「コピーワンス」が解除されるのだ。この結果、9回までは容認され、元データが消えるのは10回目、ということになる。

 コピーワンスは、放送局や映画制作者などの著作権者が主導するかたちで採用された。デジタルコピーは何度繰り返しても画質・音質が劣化しないうえ、ダビングも短時間で済むため高品質の海賊版の横行を招くからだ。

 ところが、何度でもダビングできるビデオテープでの録画になじんでいた利用者が、ハードディスク(HD)内蔵DVDレコーダーなどを購入して驚いた。HDに録画した番組をDVDにダビングしようとして失敗すると、やり直しがきかないのだ。メーカーには苦情や問い合わせが殺到した。

 そこで、地上デジタル放送の本格スタートや「ブルーレイ・ディスク」「HD DVD」など次世代ディスク商戦をにらんだメーカー側がコピーワンス見直しを強く求めたのである。

 1つの番組を10回もコピーする個人ユーザーがどれほどいるかは疑問だが、消費者の声が、規制の大幅緩和を促したという意味で、この決定は高く評価したい。

 今後、特に注目したいのは、メーカーが現行ユーザーにどんな手当てをするかである。

 コピーワンス対応機器の国内出荷は300万台を超える。これらを新規格に適応させるには、ソフトウエア更新か部品交換が必要だ。

 今のところ、メーカーは、こうした作業に消極的だ。コスト、とりわけ人件費の上昇圧力になる可能性が高いからだ。むしろ、これから市場に投入する新製品に注力したい、というのが本音なのだろう。

 しかし、すでに述べたように、今回の規制緩和は、現行機種を使う人たちの不満が原動力だった。置き去りは許されない。少なくとも、希望者にはもれなく対応しなければなるまい。

 ソフトウエア更新で済む場合は、インターネットで配信する手段も考えられていい。メーカー各社には、現行ユーザー対策を競うくらいの気持ちで知恵をしぼってほしい。

(2007/07/14 05:11)

【産経抄】

 夏目漱石の『行人』で、主人公の二郎とその兄嫁とが台風らしい暴風雨に出くわす。一家で和歌浦というリゾート地に泊まり、2人で和歌山市へ出かけたときのことである。突然の雨風で、やむなく旅館に一泊することになる。小説の最大のヤマ場だ。

 ▼これは漱石が明治44年8月、和歌山を講演で訪れたときの体験にもとづいている。この時代、ラジオもなければむろんインターネットもない。最新の台風情報を入手する手段などなかった。にわかな風雨の来襲に驚いたことが、漱石の日記からもうかがわれる。

 ▼その点今は、台風が発生した時から衛星がその姿をとらえる。コンピューターが進路を割り出し、テレビやラジオが刻一刻伝えてくれる。現在北上中の「大型で非常に強い」4号についても、まるでマラソン中継を見るようにその動きを知ることができるのだ。

 ▼これでは『行人』のようなドラマは生まれない。しかし最近、大きい台風がきても、昔ほどには甚大な被害が出ないのは防潮堤などの整備のほかに、綿密な予報体制ができたことによるのは間違いない。台風との闘いに心血を注いだ先人たちには素直に感謝していい。

 ▼だが相手は自然である。進路を予報できても、それを人間が変えることはできない。ちょっとした気圧配置の違いで進路やスピードを変える気まぐれな台風もある。かつての「伊勢湾台風」のように予想を上回る勢力に痛い目にあわされた経験も持っている。

 ▼気象だけでなく政治や外交でもそうだが、問題は予報や予想外の動きがあったとき、どう対応できるかだろう。『行人』の兄嫁は想定外の暴風雨にも騒がずじっと去るのを待った。漱石が描きたかったのも、そんな場面での人のあり様だったはずだ。

(2007/07/14 06:31)


【日経・社説】

社説1 深刻な米住宅ローン問題の波及を防げ(7/14)

 米住宅ローン問題の波紋が広がっている。信用度の低い人(サブプライム)向けのローンの焦げ付きが増加しており、これらのローンを組み込んだ金融商品が不安を呼んでいる。関係当局は金融システムの動揺防止に細心の注意を払ってほしい。

 米証券大手ベアー・スターンズ傘下のヘッジファンドが6月末、サブプライムローンを組み込んだ商品で損失を被り、投資家の解約に応じられなくなった。他の米英のファンドにも、解約に応じられないところが出ている。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはサブプライムローンを元にした金融商品を格下げし、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も格下げ方向での見直しを発表した。

 カネ余りの下で融資規律が緩んだことに、問題の根がある。「忍者ローン」と呼ばれた、安定収入、職業、資産不要の住宅融資が米国では昨年まで横行していた。住宅価格が上がり続けたことで、バブル期の日本のように「いずれは転売できる」といった甘さがまん延していた。

 サブプライムローンの半分以上が住宅ローン担保証券(RMBS)の形で転売された。そのRMBSを元に債務担保証券(CDO)などが組成された。利回りが高かったので、投資家が積極的に購入した。

 今年1―3月にはサブプライムローンの不良債権比率が8.45%に上昇するなど、元となる融資の焦げ付きで金融商品の価値も下がりだしたのだ。金融技術でリスクまでなくなったかのように錯覚していた投資家は、改めて「リスクなければ収益なし」という冷厳な現実に直面しているはずだ。格付け会社が金融商品のリスクを正確に評価していたのか、という問題も提起されよう。

 経済実態を離れて上がった米住宅市場の調整は避けられまい。日本の「ゆとりローン」に似た、最初の数年だけ金利を抑えるローンは、来年当たりから支払金利が高くなるだけに、サブプライム問題は今後も尾を引こう。住宅ローン関連の金融商品の仕組みは複雑で、広範な投資家が購入している。そこを震源地として金融システム全体が揺らぐ事態は防がなくてはならない。この点で米当局と金融機関の責任は重大だ。

 12日の日銀の金融政策決定会合でも米サブプライム問題が議論された。金融がグローバル化するなか、日米当局の密接な情報交換は欠かせない。日本の地方金融機関などにもRMBSやCDOに投資したところがあり、経営者は青くなっている。金融庁も再点検を急ぐべきである。

社説2 中国製品の安全は自国の利益(7/14)

 食品や玩具、自動車まで中国製品の安全性や品質が世界中で厳しく問われる時代になった。日本を抜いて米国、ドイツに次ぐ世界3位の貿易大国に台頭した中国の1兆ドル近い輸出のうち粗悪品はごく一部かもしれないが、これだけトラブルが相次ぐとメード・イン・チャイナ全体に悪いイメージを与えかねない。

 中国産原料のペットフードを食べた猫や犬が米国などで大量死していたことが今年3月、発覚した。5月にパナマで有毒のジエチレングリコールを含む中国産せき止め薬で100人以上死亡と報じられ、6月には米食品医薬品局(FDA)が中国産練り歯磨きにジエチレングリコールの混入が懸念されると警告した。

 FDAは6月下旬、エビ、ウナギなど中国で養殖した魚介類も一時輸入停止した。中国では段ボールと具を混ぜて作った「偽肉まん」まで売られていたことが判明、中国産品への不安が急速に広がっている。

 不信はかねて中国国内にもある。中国中央テレビは2003年から粗悪品を糾弾する番組を毎週放送、最近取り上げた「脂肪取り張り薬」はダイエット商品のはずなのに、どこに張っても体重が減るどころか油がしみ出てくる代物だった。

 中国は昨年、ドイツを抜いて日米に次ぐ世界3位の自動車生産国に躍り出た。ところが、中堅自動車メーカー華晨汽車がドイツに輸出した独自ブランド車「尊馳」は現地での衝突安全試験で最低評価だった。

 こうした事例は意図的で悪質なものとは異なるとしても、製品の安全性を確保することは当然だ。

 中国の品質管理当局は今月10日、海外からの様々な批判に対し、生産から流通、輸出まで各段階での安全管理の強化などを打ち出した。偽薬の認可に便宜を図った薬品監督当局幹部の死刑も同日、執行した。国際社会の不信感を払拭(ふっしょく)しようとしたのだろう。

 だが、一部の中国企業や業者は品質管理や製造物責任に関する意識が必ずしも十分ではない。特に製品の安全性は国内外を問わず重要で、自国の利益にもつながると自覚する必要がある。同時に、官業癒着や法治の不徹底といった中国特有のシステムも改革しなければならない。

【日経・春秋】(7/14)

 拡声器の声で日本中が賑(にぎ)やかになった。ところが参院選の公示を境に、静かになった場所がある。ネットの中の世界だ。普段は冗舌な政治家の動きがピタリと止まった。縁日が移動した翌日の神社の境内のようで、どこか居心地が悪い。

▼公職選挙法は公示日から投票日までネットでの選挙活動を禁じている。政党や候補者はサイトの更新や意見表明ができない。とはいえパソコン画面の向こう側には、日々国民の約7割が往来する広大な空間がある。神出鬼没の街頭車と遭遇する確率より、自分の都合で情報を調べられる自由を好む人も多いだろう。

▼萩原朔太郎に『夢』という随筆がある。夢が虚妄に思えるのは出来事が断片的だから。もし記憶が毎夜連続すれば、夢は現実化し、人は2つの人生を生きることになる。ただ夢の中の情緒は本物と比較にならぬほど生々しく強烈だ……。詩人の感性はネット時代を予知し、夢と現実の2重生活に身構えていたのか。

▼3次元画像の中を自分の分身が動き回る仮想空間「セカンドライフ」が面白い。公示前に分身が演説会を開いた政治家もいる。ネット利用解禁を訴え、分身が居座りを続ける候補者もいる。静止した画像なら「更新」に相当しないからだ。公職選挙法が施行されたのは昭和25年。テレビ放送開始の3年前である。


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