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2007年7月17日 (火)

7月17日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月17日朝刊)

[新潟県中越沖地震]震災の備え、見直す時

 「テレビが落下し、家の中はめちゃくちゃ。揺れが激しく、腰が抜けそうだった」

 「前触れもなく突然大きく横に揺れた。家がぎしぎしきしむ音がした」

 新潟、長野で震度6強の強い地震が起きた。十六日午後十一時現在、七人の死亡が確認されている。負傷者は九百人を超える。家屋の倒壊も相次いだ。

 安倍晋三首相は長崎での選挙応援を切り上げ、急きょ現地入りした。気象庁は今度の地震を「新潟県中越沖地震」と名付けている。

 新潟といえば、二〇〇四年十月に起きた新潟県中越地震の記憶が今も生々しい。

 四十人の命を奪い、中山間地の山古志村は壊滅した。旧山古志村の住民の中にはまだ仮設住宅暮らしを強いられている人がいる。

 大地が揺れ、建物がきしみ、ライフラインが寸断され、平穏な日常がずたずたになるという経験を新潟の人たちは三年足らずの間に二度も味わったことになる。

 ライフラインの復旧、住宅の確保、被災者に対する精神面のケアなど、やるべきことは山ほどあり、しかも復旧・復興にはスピードが大切だ。政府には、〇四年の経験を生かした取り組みを求めたい。

 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所では、地震発生とともに2、3、4、7号機が緊急停止。3号機の外にある主変圧器で火災が発生した。放射能漏れはないというが、地震多発地帯の原発だけに住民の不安は大きい。震災対策の強化は当然として、安全面についての情報開示を積極的に進めてほしい。

 余震が続いている上に、被害の全体像が見えない現時点で、断定的なことは言えないが、今度の地震で犠牲になった人のほとんどが七十、八十歳代のお年寄りであること、死傷者の多くが倒壊した建物や家具の下敷きになっていることは、被災者対策、防災対策を考える上で注目されていいと思う。

 一九九五年一月の阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の時もそうだったが、高齢者や障害者などの「災害弱者」に犠牲が集中する傾向がある。

 「災害弱者」の場合、生活の基盤を破壊されると、経済的にも精神的にも立て直すのが難しい。防災計画の中に「災害弱者」の視点をきちんと盛り込むことが大切だ。

 家屋倒壊による圧死を防ぐためには、地震に強い耐震性の高い家屋を普及させる必要がある。

 日本は地震列島である。地震対策の強化は、地震列島で安全・安心に暮らすためのコストだと思いたい。

[外来種と生態系]知ることから始めよう

 小笠原諸島父島にはびこる外来種のギンネム(マメ科)とアカギ(トウダイグサ科)が、アレロパシーという化学物質を出して周囲の植物の生育を抑え、自らは分布範囲を広げていることが分かった。農業環境技術研究所の調査の成果だ。

 寒天にレタスの種を置き根の伸び具合を見る方法で調べた結果、寒天だけの場合を阻害率ゼロとすると、ギンネムの阻害率は92%、アカギは84%だった。

 アカギもギンネムも県内各地で見られる植物。特にギンネムは、放置された畑地や空き地などあちらこちらで繁茂している。油断すると屋敷の片隅で茂っている場合もあり駆除するのに苦労する。

 外来種が在来種を凌駕するのは動物の世界ではよく知られているが、植物の世界でも壮絶な“縄張り争い”が繰り広げられていることを示す格好の事例だろう。

 外来種とは、本来生息しない場所に別の場所から人間によって持ち込まれた種や亜種などを指す。必ずしも外国から持ち込まれた動植物ではなく、本来その場所にないのに持ち込まれた場合は外来種となるのだ。

 ノグチゲラやヤンバルクイナを捕食するマングースなどは外来種の代名詞的存在である。

 一度入り込んだ外来種を除くには相当な時間と労力と金を要する。マングースの侵入を防ぐ金網やシェルターなど保護の方策は本島北部で積極的に進められている。しかし、成果が確認されるにはいま少し時間を要しそうだ。

 新たな試みとして「マングース探索犬」の訓練も進められている。いずれも二〇〇四年に施行された外来生物法に基づく防除計画だ。

 今ある危機を排除する努力はいろいろなされているが、と同時に大事なのが子どもたちへの教育である。今住んでいる地域の環境はどうなっているか。どんな動植物がもともと生息しているのかを知ることは、外来種が環境に及ぼす影響を知る上で重要だ。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月17日 朝刊 1面)

 滑り台から起こる歓声、ターザンロープに挑むちびっ子、アスレチック遊具では親子がかくれんぼ…。文字だけ追えば公園でのほほえましい光景だが、ここには青空も大地もない。

 子どもを対象にした有料の室内型「遊び場」が人気だ。児童公園を移動させたような施設で、企業が運営に乗り出している。雨や紫外線を気にすることなく遊べるのはもちろん、「安全」「安心」が評判を呼ぶ。

 自分がそうであったように、できれば自然を身近に感じ自由に遊ばせたい。ただ子どもを狙った犯罪や遊具事故が増えると、足は遠のく。人工的な遊び空間が求められるのは、時代の流れか。

 東京で同様の施設を利用した際、待ち合わせた友人が「中に入れない」と携帯で連絡を取ってきた。大人だけで入場することはできないのだ。最近では抗菌加工の砂を使った砂場も登場したと聞く。「清潔さ」の追求も加わり、安心の環境づくりは進む。

 公園は子どもの好奇心や冒険心をくすぐる場所だ。小さな生き物に出合えたり、季節を感じたり、自然に触れる機会がいっぱいある。残念なのは清掃やメンテナンスが行き届かず、「危険」「汚い」というイメージがつきまとうこと。

 今の子どもたちは、少子化でそもそも遊び相手が少ない。テレビゲームの普及で遊びのスタイルも変わっている。にぎわう室内型遊び場と人けのない児童公園。自由だが不自由な時代になったものだ。(森田美奈子)


【琉球新報・社説】

新潟中越沖地震 震災に強い社会にしたい

 新潟市の南西沖合を震源とする震度6強の強い地震が新潟、長野両県を襲った。多数の死傷者が出ている。住宅損壊も相次いだ。16日午後9時までに判明しているだけでも7人が死亡、負傷者は800人を超える。
 新潟各地で道路の土砂崩れが多数見つかっている。北陸、上信越など自動車道の一部区間が通行止めになった。停電は両県で約5万5千戸に上っている。
 国や地方自治体は、詳細な被災状況の把握に努めてほしい。同時に全被災者が元の生活を早く取り戻せるよう連携してライフラインの復旧、復興などに全力を尽くしてもらいたい。
 震度6強の地震後も最大で震度6弱の余震が続き、気象庁は今後も同規模の余震が起こる可能性があると警戒を呼び掛けている。被害の拡大が心配だ。
 7千人以上が学校に避難した。避難所での生活はどうしても心理的に不安定になりがちだ。食料品や寝具類の手当てのほか、余震情報を含めた情報提供などきめ細かい対応が欠かせない。
 日本は地震列島である。新潟では3年前にもM6・8の大きな地震が発生している。今年3月には同じ日本海側で能登半島地震があったばかりだ。
 最近地震が起きた。だから当分はない。そう考えるのは明らかに間違っていることになる。大規模地震に関する周期説も目安にはなるけれど、あてにはできないということだ。
 地震が起きる前に発生場所や時間の予測、規模を当てる地震予知の技術は、残念ながら今の科学は確立できていない。
 であれば、地震の被害を最小限に抑えるには、防災対策を取っておく必要がある。減災と呼ばれる対策だ。
 地震の被害で最も怖いのは、倒壊した建物などによる圧死だ。今回の地震でも死傷者の多くは建物の下敷きになったり、倒れてきた家具などに押しつぶされたりしたのが原因である。
 犠牲者6400人余の未曽有の被害をもたらした1995年の阪神大震災では、8割以上は家屋の倒壊などによる圧死だった。大規模地震にも耐えられる建物の耐震化を急ぐ必要がある。
 旧基準に代わって81年に導入された建物の耐震基準では、震度6強の地震に対応できるように定められている。ところが全国の約25%の住宅が基準をクリアできていない。
 県内の場合はさらに低く、36%に上る。学校や病院など多くの人が利用する建物でもそれほど大差はない。
 震災に強い社会にすることが肝要だ。沖縄も地震対策をゆめゆめ怠ってはならない。

(7/17 9:55)

介護難民 官と民の役割をどうする

 「介護難民」とは実に嫌な響きのこもった言葉である。
 長年社会に尽くしてきた高齢者が制度の不備や無策、社会の無理解などによってぞんざいに扱われる。安心して暮らせる余生について顧みられることなく、無残にも打ち捨てられようとしている。そんなやるせなさが語感に張り付いている。背筋が寒くなる思いだ。
 厚生労働省から指定処分打ち切りを受けた訪問介護コムスンの事業所が廃止された場合、少なくとも全国54市町村で影響を受ける可能性のあることが共同通信社のアンケートで分かった。「見通し不明」と答えた県も多く、介護難民はさらに膨らむ予想というから深刻だ。
 山間地などの不採算事業所や深夜まで対応しているのが、訪問介護を全国展開しているコムスンの売りである。こうした事業は代替不可能とした回答が目立った。
 心配なのは、現在のコムスンの利用者が漏れなく譲渡先に引き継がれるかどうか不明な点だ。
 親会社のグッドウィル・グループは譲渡先を選定しているが、作業は難航している。譲渡先が見つかったとしても、果たして山間地などの不採算地域を例外なくカバーしてくれるだろうか。深夜の訪問介護を引き受けてくれるのかどうか。不安はぬぐえない。
 厚労省は譲渡に際し「利用者に適切なサービスが行われることが絶対条件」との姿勢だ。当然ではあるが、収益性を重視するのがビジネスや経済の論理である。高い収益が見込める都市部に買収希望が集中し、それ以外の地域は敬遠されることが起こり得る。
 コムスンの問題は、一民間事業所の退場では片付けられない。利用者を安心させる受け皿づくりを整えるのは行政の責任だ。
 昨年7月の医療型療養病床の診療報酬改定で療養病床病院から退院を余儀なくされ、自宅療養できる環境にもなく、行き場を失う事例が県内でも増えている。
 介護をめぐる官と民の役割分担や機能補完の仕組みはどうあるべきか。そんな視点からの議論も欠かせない。

(7/17 9:53)

【琉球新報・金口木舌】

 「沖縄のロゼッタ・ストーン」と呼ばれる石をご存じだろうか。北谷から読谷にかけての一帯で見つかった年代不明の「線刻石版」のことだ。船などをかたどったようなものが刻まれているが、いまだに解読されていない
▼嘉手納町中央公民館の民俗資料室で実物を見たことがある。どんな人がいつ、この線を刻んだのだろうか。古代琉球固有の文字との説もあるだけに、想像をかき立てられた
▼先ごろ3万7千年前の人骨・山下町洞人が国内最古の「新人」と発表された。人骨は1万年もたつと酸化して溶けてしまうが、隆起石灰岩で覆われた沖縄は、人骨が化石化するため、古い時代の人骨を発見できる貴重な環境にある
▼19日付で琉球・沖縄史に関する県内高校生の知識不足が報道された。一部の教師が熱心に取り組んでいるが、県全体として体系的に教育していない以上、子供たちだけを責めるわけにはいかない
▼例えば港川人と現代人はつながっているのか。沖縄には未解明のことが多い。裏を返せば足元に「宝」が数多く眠っていることになる
▼地元の歴史をきちんと教えることは、宝を発掘する人材を育てることにもなる。かの石版の謎も、いつの日か解明できるかもしれない。

(7/22 10:40)


【東京新聞・社説】

中越沖地震 教訓は生きているのか

2007年7月17日

 新潟県上中越沖が震源の強い地震がまたも起きた。二〇〇四年の新潟県中越地震から三年もたっていない。近年、中部地方の日本海側で多発する地震だが、過去の教訓は生かされているのか。

 新潟県中越沖地震は、中越と同じマグニチュード(M)6・8で、同県柏崎市、長野県飯綱町など四市町村で震度6強を観測した。

 死傷者や住宅被害などは、時間の経過とともに増えている。被災地域は中越地震と重なる所が多い。度重なる被災者には心からお見舞い申し上げ、国などに最大限の支援を求めたい。

 中越では四千八百人を超える死傷者が出たが、その時の検証結果は今回の救急医療に生かされたか。例えば負傷者の救出や収容、より高度の医療施設への移送、医療従事者の招集は迅速だったか。各救急機関、医療施設の再検証が必要である。

 死傷の原因は、住宅の下敷き、家具などの倒伏によるものが多い。とくに木造家屋の倒壊が目立つ。国などの助成を受けて、市町村が実施する住宅の耐震診断を日ごろから推進して、必要な耐震補強工事、場合によっては建て替えを進めるよう、住民も自治体も努めるべきだ。

 被災地を通過する新幹線、高速道など高規格道路には、今回大きな被害はないとみられる。阪神大震災以来、高速道路などは橋梁(きょうりょう)を中心に補強が進んだ効果と思われる。しかし一般国道や県道などは、いたるところで陥没などの被害があった。

 中越地震では道路の寸断で、旧山古志村(現長岡市)など孤立する集落が続出した。道路網の障害が住民の生活に支障となるのはもちろん、救援活動や復旧作業も思うに任せない。必要なものは国、自治体管理を問わず応急復旧を急ぐべきだ。

 今回注目したいのは、東京電力柏崎刈羽原発で2号機などが緊急停止したほか、3号機外の主変圧器で火災が起きたことだ。なぜ原発施設内で火が出たのか。万一、延焼したらどうなるのか。

 出火の原因、仕組みを徹底的に解明し、すべての情報を公開すべきである。微量の放射性物質を含む水が漏れたという情報もあり、住民の不安は解消しない。

 気象庁は、今回の地震と中越地震の発生メカニズムが似ていると明らかにした。ことし三月の能登半島地震など戦後、新潟から福井まで四県域で、M6以上の地震は実は多発している。今回の余震や、梅雨時の降雨による地盤の緩みも心配だ。

 私たちは「動く大地」の上に住んでいる。日本のどこでも震災への備えを怠ってはならない。

企業防衛 株主の目が厳しくなる

2007年7月17日

 ソース製造・販売のブルドックソースが新株予約権を使った国内初の防衛策を発動した。企業経営者は発動を適法と認めた司法判断に安心してはならない。株主は一層の価値向上を求めてくるのだ。

 ブルドックの買収防衛策は新株予約権を全株主に発行し、買収者の米系投資ファンド、スティール・パートナーズへの発行分を二十三億円で買い取って持ち株比率を引き下げる方法だ。株主総会で三分の二以上の賛成が必要な特別決議に諮り、八割超の賛同を得た。

 東京地裁は(1)防衛策が株式会社の最高意思決定機関で圧倒的多数の支持を得た(2)スティールに経済的損失を与えないので株主平等原則に反しない−と認定。この決定の抗告審で東京高裁はさらに踏み込み、買収目的などを示さずに敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けたスティールを「専ら株式の売却益を獲得しようとする乱用的買収者」と結論づけて、防衛策の発動を認めた。

 日本はTOBの事例に乏しく、何が公正な防衛策なのか確立していない。今回、発動が許される一定の基準が司法から示されたが、あくまでスティールという個別事例であることを肝に銘じる必要がある。スティールが投資する日本企業は約三十社。その多くが司法の決定を歓迎しているが、安易な発動は経営者の自己保身に通じかねない。

 スティール以外の買収者が詳細な買収目的を掲げ、本格的な経営参画の意思を表明して株主に理解を求めたならば、ブルドックはこれほど多くの支持を得られただろうか。「スティールに買収されたら企業価値が毀損(きそん)してしまう」と警戒した株主が、ひとまず現経営陣に今後を託した。そうした側面も否定できまい。

 ブルドックが新たな調味料分野への進出など、企業価値の向上策を株主に訴え始めたのはTOB提案直後の六月だ。押っ取り刀の対抗策は買収に無防備な姿をさらけ出した。

 ソースの販売量は、この十年、健康志向による消費者の揚げ物離れなどで一割近くも減った。事業の効率化や再構築に手をこまねくならば、一転して株主や取引先など利害関係者の厳しい目にさらされよう。

 企業の合併・買収(M&A)は企業単位で互いの得意分野を再配分し、経営効率を引き上げる。乱用的買収は論外としても、人口減を見越せば国内企業の再編は不可避だ。

 経営者は増え続けるM&Aも視野に、株主の信頼を得ながら、果敢に資産の有効活用などに挑む。それが企業防衛への近道であることを、あらためて心すべきだ。

【東京新聞・筆洗】2007年7月17日

 立っていることができず、固定していない重い家具のほとんどが移動、転倒する。多くの建物で壁のタイルや窓ガラスが破損、落下し、耐震性の低い住 宅は倒壊するものが多い。地割れや山崩れが発生することもある。これが地震の震度6強を解説した気象庁の文章だが、読んだだけでぞっとする▼三連休の最終 日、その激しい揺れが新潟県中越地方と長野県北部を襲った。新潟県柏崎市内で旅館を営む女性が「今までに経験したことのない恐怖」と話していたが、死を意 識することの恐怖かもしれない▼新潟県では二〇〇四年十月の大地震の傷跡が癒えていない。仮設住宅で暮らす人も七百人近くいる。まるで追い打ちをかけられ たようだ。被災地には物心の両面で多くの支援が必要になる。人ごとと思わずにいたい▼今年の防災白書は、切迫性が指摘されていない地域で大地震が続いてい ることを指摘している。日本列島が「地震列島」であることをあらためて実感する。明日はわが身と思いたい▼今回の地震でも同じようだが、震度6強レベルの 地震から身を守るには、寝室や居間の家具を固定することが必要となる。「災害の一日前に戻れたらどんな備えをするか」。内閣府が行った質問に対し、三年前 に被災した新潟県小千谷市の大工も「家具の転倒防止をしなかったことが一番の後悔」と答えている▼ところが家具を固定している人は二割程度といわれる。こ れでは建物の耐震診断や補強は、もっと後回しになるのだろう。「備えあれば憂いなし」の言葉が頭に浮かぶ。


【河北新報・社説】

新潟県中越沖地震/まず2次被害出さぬ対応を

 新潟県上中越地方と長野県北部を、強烈な地震が襲った。
 新潟県柏崎、長岡両市と刈羽村、長野県飯綱町で震度6強、新潟県上越、小千谷両市、出雲崎町で震度6弱の揺れを観測した。

 震源地は新潟県上中越沖で、震源の深さは約17キロ、地震そのもののエネルギーを表すマグニチュード(M)は6.8と推定されている。気象庁は「新潟県中越沖地震」と命名した。

 時がたつにつれて、被害の大きさが明らかになり、倒壊家屋の下敷きになった柏崎市の70代の夫婦、同市の80代の女性ら7人が死亡したほか、新潟、長野両県で800人を超える負傷者が出た。

 家屋の被害も相次ぎ、柏崎市を中心に、全壊329棟など住宅の損壊は600棟を超えた。

 ライフラインも寸断され、柏崎、長岡両市などで停電が起きたほか、水道管、ガス管の破裂による断水や都市ガスの供給がストップ、通行止めも随所で続いているという。

 避難所に指定された学校やコミュニティーセンターに避難した住民も多数に上り、給水や食料、毛布など寝具の配布を受けているが、余震も度重なり、パニック状態に陥っていることだろう。

 特に、不安のうちに一夜を過ごさなければならない高齢者や児童、幼児のことを思うと胸が痛む。

 震度7を記録し、67人が亡くなった新潟県中越地震(M6.8)が起きたのは2004年10月で、まだ3年もたっていない。今年3月には、隣県の石川県の能登半島を襲った震度6強の能登半島地震(M6.9)があったばかりだ。

 わが国が世界有数の地震列島とはいえ、こうも同じ地域で悪夢のように地震が続くとは、住民には、思いよらぬことだったろう。

 気象庁によると、今回の地震は、震源が新潟県中越地震の震源からあまり離れていない北西に位置していることから、同型の地震との見方を示す。

 さらに、「プレートの境界ではなく、内部の浅い場所で発生した逆断層型」と説明し、「今後1週間程度は余震に十分注意する必要がある」と呼び掛けている。

 地震が起これば、誰しも気が動転するが、2次被害も怖い。強い地震の後は、必ず余震が来ることを肝に銘じ、慌てることなく、対応してほしい。

 さらに、大量の雨をもたらした台風4号が日本列島を通り過ぎたばかりで、地盤が緩んで土砂崩れなどが起きやすくなっている。家屋の倒壊などに対する注意が必要だ。

 そして、被災者に最も必要なのは、自ら元気を出し、互いに声を掛け合うことだろう。全国の人が復興支援の気持ちを持っている。

 国と両県、該当市町村は、連携を強めて、全体の情報を収集し、速やかに、被害者の救出、救助に当たってもらいたい。ライフラインの早急な復旧は何よりも望まれよう。
2007年07月17日火曜日

【河北新報・河北春秋】

 列車が去りホームに音が戻る。そよ風の涼を運ぶチリーン。奥州市のJR水沢駅。夏は1000個の風鈴の音が迎えてくれる▼「日本の音風景100選」にも 選ばれた風情は44年続いている。南部鉄器の産地、水沢の鋳物工業協同組合が始めた。鎌倉・円覚寺の鐘を参考に考案されたとされる南部風鈴の高く澄んだ音 は評判を呼び、5年後には年産150万個の看板商品に育った

 ▼ 最近は縁側文化を失った住まいが主流になり、さすがに往時の勢いはなくなった。年産100万個まで減ったが、それでもシェアは7割。全国に誇れる東北の特 産品であることに変わりはない▼国内需要が70万個に落ち込んだ分、残り30万個は輸出が補っているそうだ。「日本食ブームで欧米のレストランから注文が 来る」と組合。今は飾りとしての需要が主だが、いずれは日本人特有の音で涼む感覚が海外で理解される日が来るかもしれない

 ▼風鈴の音は 宇宙や自然界を象徴するリズムという。1/f(エフ分の1)ゆらぎ。規則性の中にも微妙な変化を織り込む自然のゆらぎに触れると心は安らぐ、と専門家は説 く▼逆に心を乱すのは始終揺れ続ける人の言葉であり、絶叫だろう。無粋な連呼は安らぎを台無しにする。政治決戦の夏。南部風鈴のように心の奥まで響く高く 澄んだ本音を望む。

2007年07月17日火曜日


【京都新聞・社説】

中越沖地震  再生の矢先というのに

 「悪夢」がよみがえった思いだろう。中越地震から三年もたたないというのに、またもや激震に見舞われた。
 祝日の十六日朝、新潟県を中心に震度6強の強い地震が襲った。震源地近くの柏崎市で死者が出たほか、けが人も新潟、長野両県などで九百人を超すという。被害は拡大の様相である。
 震度6弱の地震が午後に発生するなど余震も断続的に続いており、二次災害が懸念される。国や地元自治体など関係機関は被害の全容解明を急ぐとともに、救援、復旧に全力を挙げてもらいたい。
 震源地は新潟県上中越沖で、地震の規模はマグニチュード(M)6・8と推定される。今後一週間、震度6弱級の余震が発生する可能性があるといい、警戒は怠れない。
 被害は柏崎市に集中しており、家屋が次々と倒壊し犠牲者が出た。家屋の下敷きになった人の救出作業が続く一方、多数の被災者が病院に搬送された。
 電気やガス、水道などのライフラインも柏崎市を中心に県内各地で寸断され、停電や断水が続いている。
 東京電力柏崎刈羽原発では、四基の原発が緊急停止した。3号機の外の変圧器で火災が発生したが消火した。しかし6号機で放射性物質を含む水の一部が海に流れたという。原因を詳しく調査し、原発の安全性を徹底的に点検することだ。もちろん住民への説明は欠かせない。
 新幹線や道路の交通網も大幅に乱れ、JR柏崎駅では停車中の電車の一部が脱線した。けが人はなかった。
 新潟県内では二〇〇四年十月に、震度7の中越地震に見舞われたばかりだ。六十七人が犠牲となり、約四千八百人がけがを負っただけに、住民の恐怖と不安は想像を絶するものがあろう。
 今回の地震の特徴は、直下型に似たタイプの地震とみられ、多くの人が突き上げるような強い揺れを感じたと指摘しているのもうなずける。被災者の多くが自宅で倒れた家具などの下敷きになり負傷しているのもそれを物語っている。
 だが、地震による人的被害は建物の下敷きになったり落下物にあたることで起きるケースが大半だ。阪神大震災の死亡者の約八割は建物の倒壊が原因だった。今回の地震でも古い木造家屋に被害が集中している。被害を少なくするには建物の耐震補強をする以外にない。
 悔やまれるのは、またしても高齢者の犠牲者が目立ったことである。災害時の避難支援登録など、健康状態を含めた細やかな高齢者対策を行政にあらためて要望しておきたい。
 道路の復旧が完了するなど中越地震からようやく立ち直り、復興再生へのスタートを切ろうとしていた矢先の地震だ。新潟県民の悔しさ、無念さを少しでも共有したい。住民が励まし合い、何とかこの窮地を乗り越えてもらいたい。政府も最大限の支援を惜しんではならない。

[京都新聞 2007年07月17日掲載]

強度不足昇降機  利用者の安全はどこへ

 エレベーターの安全がまた揺らいだ。つりかごを支える鋼材の一部に設計とは違う強度の低いものを使っていた。
 フジテック(彦根市)が二〇〇二年九月から今年六月まで製造したエレベーター約一万二千七百基のかごの支えの鋼材に、強度が本来の約70%の鋼材が使われ、そのうち五百六十基が建築基準法の基準以下になっていたのだ。
 フジテックから報告を受けた国土交通省は、都道府県などを通じて同社に補強工事を指示し、今月末までに再発防止策の報告を求めた。
 併せて、ほかのエレベーター製造会社に対しても同様のケースがないか調査を要請した。
 これまで各社のエレベーターでずさんな点検から金属ロープの破断が相次いでいたが、今回のケースは“欠陥品”を製造していたことになり、事態はよりいっそう深刻だ。
 なぜこんなことが起こったのか。国交省は原因を徹底解明し、エレベーター製造や点検への検査強化など、法改正を含めた抜本策を講じるべきだ。
 先日、フジテックと鋼材を納入したJFE商事建材販売(大阪市)が国交省で会見し、明らかにした。
 フジテックによると、今年一月と五月に鋼材がこれまで発注してきた強度の強いものでなく、低いものだったためJFE側に問い合わせたところ、六月下旬、〇二年九月から強度の低いものを納入してきたと回答があったという。
 建築基準法によるエレベーターの強度計算は、運行時の荷重の三倍に耐えることが必要で、今回のように基準以下でも落下や破壊が起きることは考えにくいという。
 しかし、変形すれば地震など災害時に復旧や救命活動に大きな支障が出ることは否定しきれない。
 “欠陥品”の五百六十基は京滋など全国各地に設置されている。
 学校、病院、自治体施設などでは補強工事が終わるまで使用禁止にし、JRの駅などでは積載重量を少なくしたり、速度をゆるめるなど、安全対策の対応に追われている。
 今回のケースで、注文と違う鋼材を長期間使ってはならない個所に使いながら、なぜ製造現場は指摘しなかったのか。
 また、一月に検査証明書から疑問を抱きながら、公表するまで半年もかかったのはなぜなのか。その間、“欠陥品”はつくられ続けていたのだ。
 問題の鋼材納入でJFE側は、フジテック担当者と口頭での合意があったとしているが、フジテック側は強く否定しており、真っ向から食い違っている。
 双方とも外部の第三者委員会を設けて詳しく調査し、国交省も事態の経過を慎重に調べるようだが、一刻も早く結論を出し、分かりやすい説明をして疑問にこたえてもらいたいものだ。

[京都新聞 2007年07月17日掲載]

【京都新聞・凡語】

災害列島

  七月としては最強といわれた台風4号が去り静かな空が戻ったと思ったら、新潟、長野県で震度6強の地震が起こった▼昨日までの土砂崩れや洪水被害の映像と 入れ替わるように、崩壊した瓦屋根の家屋や傾いた列車、陥没した道路が次々と映し出され、増える死傷者や被災者に心が痛む。災害列島に住んでいることをあ らためて思い知らされた▼「火事だ」と半鐘を打つと、隣村でも半鐘が打たれ、それが次から次へと広がって応援が駆けつけた−かつての地域社会の連帯力を誇 るシーンが全国で上演中の消防団を主人公にしたミュージカル「地震カミナリ火事オヤジ」(劇団ふるさときゃらばん)にある▼消防団員や家族への取材をもと にした作品で、火災が発生すれば何をさておいても現場に駆けつける消防団員とその活動を支える家族の姿を描き、災害に立ち向かうには家族や地域の人たちの 心のきずなが大切だと訴える▼自然災害は避けることができなくても被害を最小にとどめることはできる。阪神大震災以降、数々の被災地でのボランティアの活 躍は、人が心を一つにした時に発揮できる力の強さ、大きさを示してきた▼中越地震から三年もたたないうちに発生した大震災。地域を越えた迅速な救援支援が 求められる。同時に災害に負けない国とまちづくりのために何をすべきか、いま一度考える必要がある。

[京都新聞 2007年07月17日掲載]


【朝日・社説】2007年07月17日(火曜日)付

中越沖地震—原発の耐震力が心配だ

 震度6強の揺れが、またも日本海側を襲った。新潟県中越沖地震である。

 震度6強以上といえば、04年の新潟県中越地震、今年3月に起こった能登半島地震が記憶に新しい。日本海側が立て続けに大地震に見舞われたことになる。

 背筋が寒くなったのは、原発が想定を上回る揺れに襲われたことだ。放射能を含む水が漏れ、火災も発生した。

 被災した新潟県柏崎市と刈羽村には、東京電力柏崎刈羽原発の原子炉7基が集中する。定期点検中の6号機の建屋で、放射能を含む水が放水口から海に流れ出た。使用済みの燃料を保管しているプールの水が地震であふれたようだ。

 原発で観測された揺れは、設計時の想定を大きく超えていた。東電は環境に影響を与えない量としているが、予想しないかたちで放射能を外部に出してしまった衝撃は大きい。

 原発の敷地では火事も起こり、黒煙が立ちのぼった。火元は原子炉建屋ではなかったが、ヒヤリとさせられる光景だった。巨大システムでは一つのトラブルが次のトラブルを生み、思わぬ災害が起こりかねないからだ。

 この原発では、断層の危険性をめぐって、かねて議論があった。周辺の断層の様子をもう一度調べ直すことが緊急の課題となった。

 ほかの原発も含めて耐震設計を見直す必要がありそうだ。

 原発は、二酸化炭素を大量に出す火力発電と違って温暖化防止に役立つとして後押しする声がある。だが、地震国の危うさを忘れてはならない。安易な原発依存の動きを戒める出来事だった。

 今回の地震は「中越」や「能登半島」と同じ活断層型だった。このタイプの地震の危険は、だれの足元にも潜む。だが、警戒を強めるべき地域はある。

 新潟県北部から北陸などを通って関西に及ぶ一帯は、地中に強いひずみがあるといわれてきた。近年になって、人工衛星による調査でも確かめられた。「新潟—神戸ひずみ集中帯」だ。

 この一帯では95年の阪神大震災や04年の中越地震など、活断層型の大地震が続いた。今回の震源もそこに含まれる。

 今回も、お年寄りらが家屋の倒壊で亡くなった。高齢化と過疎に悩む地方の地震の怖さが改めて浮かび上がった。

 道路が寸断され、がけが崩れて線路をふさいだところもある。電気やガス、水道も広い範囲で止まった。

 被災者への支援では、これまでの地震の経験を生かしたい。家が壊れ、当面は避難所で過ごさざるをえない人たちがいる。体調に十分目を配ってもらいたい。

 同じ揺れが人口の密集した都市部で起これば被害はさらに膨らんだだろう。

 この機会に、全国でどこに地震被害の危険があるのか、改めて見直すことが大切だ。古い木造の家は耐震診断や補強をして揺れに備える。そんな対策が被害を最小にすることにつながる。

生活保護—最後の命綱を切るな

 「おにぎり食べたい」。日記の最後にそう書き残し、北九州市で1人の男性が亡くなった。

 52歳の独り暮らし。「病気で働けない」と訴え、昨年末から4カ月間、生活保護を受けていた。この春、市に働くよう促されて生活保護の辞退届を出し、支給は打ち切りとなった。

 だが、その後も男性が仕事についた様子はない。やせ細っていく姿を近所の人が見ていた。部屋にあった日記には、「働けないのに働けと言われた」と市への不満が記されていた。

 北九州市がもう少し男性の状況に目配りしていれば、死なずにすんだのではないか。そう考えると、あまりにも残念な結末だ。

 市は「生活保護の辞退届は本人が自発的に出した。対応に問題はなかった」と言う。男性の病状を確かめたうえで、「そろそろ働いてはどうか」と勧めたところ、本人が「では、働きます」と応じたという説明だ。

 だが、本人が辞退を申し出たとしても、いきなり打ち切ってしまうのは乱暴すぎる。実際に仕事が見つかったのか。収入を得るめどはついたのか。きちんと確かめてから判断すべきだった。

 本人の自立を手助けするためにも、仕事を紹介するハローワークともっと連携する必要もあっただろう。

 今回のような悲惨なことが北九州市で起きたのは、初めてではない。昨年と一昨年にも、生活保護を受けられなかった人が相次いで孤独死している。

 北九州市はかつて生活保護を受ける人の割合が全国で最も高かった。周りの炭鉱が閉山し、石炭産業が衰退したことが原因の一つだ。不正受給も起きたことから、市は申請に来る人への調査を厳しくした。このため、本来は保護が必要な人まではじき出されているのではないか。そんな批判も出てきた。

 市は生活保護のあり方を検証するため、この5月に第三者委員会を立ち上げた。今回の死を防げなかったのか。そのことも委員会でぜひ論議してほしい。

 全国に目を向けると、生活保護を受ける人は、10年余り前から増え続けている。95年度には60万世帯だったが、05年度には1.7倍にあたる104万世帯にまで膨らんだ。人数で言えば150万人に近い。このさき高齢化が進めば、保護が必要な人はもっと増えるだろう。

 こうした中で、受給を絞ろうとする傾向は各地の自治体に広がっている。

 厳しい財源のなかで、無制限に支給するわけにはいかない。もちろん、不正受給を厳しくチェックする必要はある。

 だが、生活保護はまさに憲法で定めた「健康で文化的な最低限度の生活」を営むための最後の命綱だ。

 支給するかどうかの判断は、人の命を左右しかねない。一人ひとりの生活と事情を丁寧に確かめる。それが制度の大前提である。

【朝日・天声人語】2007年07月17日(火曜日)付

 日本エッセイスト・クラブが編んだ『こころを言葉に』(集英社)に寄せた作品「いのち」で、柳澤桂子さんが書いている。「度重なる大量絶滅や、大型動物による捕捉を逃れて、われわれの祖先は進化してきた。それは、奇跡と幸運の積み重ねであり、今、地球上に生きている生物すべてのいのちが尊い所以(ゆえん)である」と。

 地球と生物のせめぎ合いをいやおうなしに考えさせる、つらい連休になった。7月上陸では最強という台風が過ぎたら震度6強の揺れである。天の叫び、地のうなりは、多くの命と生活手段を奪い去った。

 きのうの地震は非情にも、3年前と同じ新潟県を襲った。台風の直後だからと待つこともなく、雨で緩んだ地盤を遠慮なく揺さぶった。原子力発電所から上る黒煙の映像に、肝を冷やした人は多いだろう。

 台風も地震も、何十億年と続く地球の営みだ。悔しいが、ヒトの歴史はその万分の一ほど。大気や大地の気まぐれに泣くたび、地球と生物のどうにもならない力関係を思う。

 主人のように振る舞う人類も、実はこの惑星に間借りし、一瞬の文明を築いているにすぎない。とりわけ、天災列島の上で栄える国には、弱者としての自覚と備えがいる。そして、弱者に降りかかる災いを最小にすることこそ、文明を代表する政治の務めである。

 長崎市で参院選の遊説中だった安倍首相は、直ちに地震の被災地に飛んだ。非常時の差配と責任は、与党であることの厳しさであり強みでもある。ここは選挙を意識することなく、ことに当たってほしい。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 農業政策 競争力か農家への所得補償か

 都市部では、大きな争点に浮上しているわけではない。しかし、前回衆院選以降、農業政策は、自民党と民主党との際立った対立点になっている。そしてそれは、今回の参院選にも引き継がれた。

 政府は現在、品目横断的経営安定対策を進めている。何の作物を作っているかにかかわらず、今後の日本の農業の担い手にしぼって、経営安定を支援していこうという政策だ。

 担い手とされるのは、市区町村に認定農業者と認められた農業者、農業法人などと、集落の兼業農家が集まって一つの農業経営体となる集落営農だ。

 かつての、作物別の支援政策と決別し、一定の規模以上の農業に支援を集中して、日本農業の平均規模を拡大し、農業の国際競争力を高めようという政策だ。農水族が大声で騒ぎ立てていた時代には、実現など思いもよらなかった農政改革である。

 当然ながら、与党である自民党は、この品目横断的経営安定対策を農政の中心に据えている。ただ、自民党にとって心配なのは、それは支援対象農業者の選別であり、小規模兼業農家の切り捨てだという批判だ。

 そこで自民党は、小規模農家への配慮を強調するが、農政改革の本質が農業における護送船団方式からの脱却である以上、選別を全否定することはできない。

 そうした「改革による痛み」を伴うためか、公約における農政の位置づけは、155項目中の136項目以降と高くない。

 マニフェストに「3つの約束・7つの提言」を掲げる民主党は、約束の3番目に農政を位置づけている。自民党における農政の位置づけより、明らかに高い位置づけである。

 その民主党の農政は、すべての販売農家に所得補償する「戸別所得補償制度」を創設するというものだ。しかも、品目横断的な考えはとらず、支援作物は米、麦、大豆、雑穀、菜種、飼料作物などとするとしている。そして、これにより食料自給率100%を実現するという。

 当然、自民党政権が延々と続けてきた「バラマキ農政」への逆行ではないか、という批判が予想される。これに対して民主党は「総額は1兆円、公共事業の削減などで財源を生み出す」などと反論している。

 また、所得補償でなぜ、食料自給率100%が実現するのかという疑問に対しては、「国民1人当たり1日2000キロカロリーが自給できれば、自給率100%とみなせる」と、自給率の測り方を変えることで対応しているが、どれだけの理解を得られるだろうか。

 農協の農水省離れは明らかだ。参院選候補者(自民党)は、従来の農水省の官僚から、全国農協中央会の前専務理事に切り替えられた。こと、農政に関する限り、自民党は都市政党、民主党は地方政党という構図に変わっている。

毎日新聞 2007年7月17日 東京朝刊

社説:中越沖地震 「災害弱者」の支えを第一に

 新潟県中越沖地震は広範囲に激しい揺れと被害を及ぼした。死者をはじめ被害者にはお年寄りが目立つ。高齢社会や過疎、独居者の増加などを踏まえた防災体制の重要さを改めて示した。

 気象庁は強い余震がしばらく続く可能性があると指摘しており、いささかも気は抜けない。また、前の中越地震(04年10月)では日没もあって中山間地の状況がなかなか掌握できず、一部の救援が後手に回った。今回、防災関係機関はヘリを動員するなど状況把握に努めたが、小規模集落にも目が行き届いているか、取り残されている人はないか、徹底した安否確認を続けてほしい。

 心配されたのは東京電力柏崎刈羽原発への影響だ。揺れに反応して稼働停止したが、変圧器に火災が発生したほか、別の個所から微量の放射能を含む水漏れもあった。東電は、これほど激しい揺れにシステムがすべて想定通りに機能したのか、火災や水漏れの詳しい原因は何かなど、過程と情報をできるだけ早く開示すべきだ。最初黒煙を目にした時の住民の不安を決して軽視してはならない。

 地震は避け難いが、経験を教訓に生かし、被害や負担を軽減することはできる。中越地震や能登半島地震(今年3月)でも示されたように、過疎地の高齢者やハンディがある人たちへの支援ネットワーク体制づくりを急ぐ必要がある。独居の高齢者はこの10年間で倍増に近く、特に女性が多い。

 身体的な安全確保だけではない。避難生活が続く場合、精神的な安らぎを図るきちんとしたカウンセリングが不可欠だとされている。それは阪神大震災(95年1月)などの苦しく貴重な経験からわかってきたことだ。

 また被災時の恐怖から屋根のある避難所を出て狭い車中生活をするうち、「エコノミークラス症候群」にかかるといった悲劇も繰り返してはならないことだ。

 家屋倒壊で死傷する人が多い。全国の住宅のほぼ4分の1が耐震性不足と推計されている。政府は耐震化率を8年後までに9割にする目標を掲げているが、それを掛け声に終わらせないためには、国民の防災意識を高めるだけでなく、その進ちょく状況を常に注視することが肝要だ。

 避難所に使われることが多い学校も、実は危うさを含んでいる。文部科学省が詳細な耐震診断をした全国の公立小中学校約2万棟のうち、4328棟で「震度6強以上の地震で倒壊する危険性が高い」という調査結果が最近出た。

 今回の地震は休校日に当たっていたので詳細な被災状況はまだわからないが、徹底的に調べ、どのような影響があったか、どんな耐震化が必要かを探り出してほしい。そして、全国でその情報、教訓を共有、応用すべきだ。一部の自治体は財政難を校舎の耐震工事が進まない理由に挙げるが、これは最優先で取り組むのが当然だ。

 集団的に心理が揺れやすい災害時に、ライフライン回復と同様に情報伝達と共有が何より必要だ。細心の注意を怠ってはならない。

毎日新聞 2007年7月17日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:大雨と強風を伴った台風4号が去ったと思ったら…

 大雨と強風を伴った台風4号が去ったと思ったら、新潟で大きな地震だ。震度3の東京でもゆらゆらと大きな振幅。3年前の中越地震を思い出した。気の休まるひまがない。台風4号だって、農作物にどれほど被害が出たか、わかるのはこれからだろう▲中国では先月から華南地域で豪雨が続き、大規模な洪水が起きている。被害は内陸の四川、湖北から沿海部の安徽、江蘇などに広がり、3000万人が被災した。中国7大河川のひとつ、淮河(わいが)が危険水位に達し、上流の遊水水門を開いた。下流の都市を守るために上流地域を犠牲にする最後の手段だ▲この洪水で、湖南省・洞庭湖一帯のノネズミが乾いた畑や宅地へ大移動を始めた。その数は20億匹にのぼるという。作物の根を食い荒らし、堤防を穴だらけにする。毒入りの餌をまいたが、村のイヌやネコにも犠牲が出る。村人が逃げ出したところもある▲ノネズミ発生という2次災害を知った広東省では、ノネズミを捕獲した業者が売りに来るという3次災害を阻止する対策を練っている。広東ではノネズミは精のつく食材とされてきた。「コメを食べて育ったネズミ1匹は、ニワトリ3羽に相当する」というそうだ▲だが、かつて新型肺炎SARSが大流行したときに、ウイルスを媒介する恐れがある野生動物として、ハクビシンやヘビとともにノネズミも食用が禁止された。毒殺したノネズミの肉など持ち込まれたら、たまったものではない▲台風4号が大型だったのは、フィリピン方面の海水の温度が上昇しているからという説がある。中国の豪雨も、南シナ海の海水温が高いせいだといわれている。共通点がありそうだ。こんな問題こそ、日中両国が共同して研究する価値があるのではないか。

毎日新聞 2007年7月17日 東京朝刊


【読売・社説】

中越沖地震 状況把握と救援に全力を挙げよ(7月17日付・読売社説)

 刻一刻と、被害の大きさ、深刻さが伝わってくる。

 新潟県沖の日本海を震源とする「新潟県中越沖地震」により長岡市と柏崎市、刈羽村、長野県飯綱町が、震度6強の揺れに襲われた。立っていられない、というほどの激しい揺れだ。

 各地で道路や橋が壊れ、土砂崩れが起きた。住宅も多数が倒壊している。隆起して曲がった道路、屋根が落ち、押しつぶされた家屋が地震の猛威を物語る。水道や電気など、ライフラインの損傷も大きい。死者、負傷者は時を追って増えている。強い余震も続く。

 政府は官邸に対策室を設け、安倍首相も遊説先の長崎市から戻った。新潟、長野両県、関係市町村と協力して現状把握と被災者の救出、救援に全力を挙げ、余震による被害拡大を防ぐ必要がある。

 倒壊住宅や土砂崩れの現場に、もう被災者はいないか。孤立した集落や世帯は見逃されていないか。壊れそうな住宅で救いの手を待つお年寄りはいないか。避難した被災者への支援は十分か。

 2004年10月の中越地震から、まだ3年も過ぎていない。長岡市などでは200世帯以上が、仮設住宅で再起を目指して苦しい生活を続けている。

 その震源から約40キロしか離れていない海底で、また断層が動いた。地震は日本列島のどこでも起き得る。近接地域で続発することもある。油断できない。

 災害時に避難場所にもなる小中学校数十校の校舎や、刈羽村役場などが損傷した。こうした公的施設は、防災の拠点として、耐震強化の必要性が指摘されてきた。だが、対策は遅れている。他地域でも耐震性の検査と対策を急ぎたい。

 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所では火災が発生した。原子炉は揺れを感知して自動停止した。火が出たのは原子炉建屋外の変圧器で、直ちに原子炉に影響するものではない。

 ただ、消火に約2時間かかった。黒煙を上げて燃える変圧器に、不安を抱いた人もいるだろう。原発本体の安全性は万全でも、もっと速やかな対応はできなかったか、検討すべきだ。

 中越地震で初の脱線事故が起きた新幹線は、今回、安全対策が期待通り機能して緊急停止し、無事だった。

 JR東日本によると、上越新幹線では沿線などに設けた地震計が初期の地震動を感知し、送電が止まった。在来線では脱線が起きたが、新幹線には大きな被害は見つかっていない。

 中越地震の後、「早期地震検知システム」を改良し、高度化した。それが生きた。備えが大切、ということだろう。
(2007年7月17日1時29分  読売新聞)

「北」の核 「無能力化」への圧力を緩めるな(7月17日付・読売社説)

 北朝鮮の完全な核廃棄につながるのかどうか。とても楽観できるものではない。

 北朝鮮が核施設の運転停止を宣言した。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、現地でIAEA査察官が原子炉の停止を確認したと言う。

 本当だとしても、2月の6か国協議合意で「60日以内」に完了するとした日程は大きくずれ込んだことになる。

 北朝鮮は、核廃棄という最終目標に向けた「初期段階の措置」として、核施設の運転停止と、検証や監視にあたるIAEA要員の復帰を“約束”した。見返りの重油5万トンの第一陣が届いた後、この「初期段階の措置」実施を発表した。

 停止した核施設にIAEAが封印を施せば、核兵器用のプルトニウム生産に一応の歯止めがかかる。

 だが、「凍結」状態からの再稼働はいつでも可能だ。現に、北朝鮮には“前科”がある。2002年秋、高濃縮ウランによる秘密の核開発をめぐって米国と衝突した直後、1994年以来の米朝枠組み合意を反古(ほご)にして、査察官を追放し、封印を解いて核施設を再稼働させた。

 その結果、北朝鮮は新たに核兵器10発分にも相当する量のプルトニウムを生産し、核実験を強行した。

 こうしたことを再び許してはならない。「凍結」ではなく、核施設を二度と使えなくする措置を、北朝鮮にいかに早期に実施させるか。それが、6か国協議の次の重要な課題だ。

 合意では、北朝鮮は「初期段階」に続く「次の段階」で、「すべての既存の核施設の無能力化」と「すべての核計画についての完全な申告」を行う予定だ。

 18日からの6か国協議首席代表会合で「次の段階」の具体化に向けての議論が始まる。米国は北朝鮮に、「完全な申告」の実行後に「無能力化」に着手させ、年内に実現を図りたいとしている。

 だが、米国は楽観的に過ぎないか。難関は多く、北朝鮮が米国の構想通りに動くかどうか、疑問は尽きない。

 北朝鮮は、重油95万トン相当の支援という見返りだけで、はたして高濃縮ウラン計画の存在を認め、核施設の無能力化まで実行するだろうか。

 北朝鮮は、日本と米国を名指しして、「敵視政策を解消する実際的な措置」を求めている。合意の履行を、米国による「テロ支援国指定解除」など、経済制裁の解除に絡めようとする姿勢だ。

 テロ支援国指定は、北朝鮮に拉致問題の解決を迫る重要な圧力だ。北朝鮮が、「拉致問題は解決した」と強弁する現状で、圧力を緩めてはならない。
(2007年7月17日1時29分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月17日付 編集手帳

 連休が終わる日の暮れ方、テレビが伝えるUターンラッシュの模様を眺めるのを習わしにしている。渋滞の車列や駅の人込みに、ごろ寝で過ごした身を褒めるときもあり、悔いるときもある◆褒めるにせよ、悔いるにせよ、この上なく幸福な時間であったことを、その光景が失われて知る。きのう、ぺしゃんこに潰(つぶ)れた家々や傾いて止まった列車の映る画面を、息をつめて見入った方は多かろう◆台風が列島を縦断して抜け、人心がほっとした隙(すき)を見計らったように、最大震度6強の強い地震が新潟、長野両県を襲った。家屋の倒壊などで多数が負傷し、死者も出ている◆長岡市や柏崎市など被災地は3年前の新潟県中越地震にほぼ重なる。中越地震の被災者にはまだ仮設住宅に暮らす人がいるというのに、地震国・日本の非情な現実は傷を癒やす暇(いとま)さえ与えてくれない◆今はただ、これ以上人命が損なわれることのないよう、一刻も早く余震が収まることを祈るばかりだが、住む家をなくした人々の生活を思うと、胸ふさがるものがある。差し伸べる救援の手を、血の通った手を急がねばならない◆「誰みても親はらからのここちすれ地震をさまりて朝に到(いた)れば」。与謝野晶子が関東大震災で詠んだ歌にある。被災者が皆、親はらから(親、兄弟姉妹)に思えると。歌の言葉を胸に刻む。
(2007年7月17日1時45分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】新潟・中越沖地震 原発の耐震性の再点検を

 新潟県上中越沖の海底下で強い地震が発生した。

 最大震度6強の揺れが新潟県と長野県の北部を襲い、木造家屋の倒壊などで多数の死傷者が出た。

 政府は首相官邸の危機管理センターに対策室を設置し、自衛隊も現地からの災害派遣要請を受けて出動した。安倍晋三首相らは、ヘリコプターで現地に入った。速やかで積極的な対応を評価したい。

 今回の地震は、約4850人の死傷者を出した平成16年の新潟県中越地震の震源から50キロほどしか離れていない。この地域は日本海側のプレート(岩板)が北日本を載せた陸のプレートに押し寄せる場所である。

 一帯の地殻には、東西方向に働く圧縮力によるひずみがたまりやすく、活断層も多い。人工衛星を用いた最近の研究では、この圧縮力によるひずみが新潟から神戸にかけて帯状に延びていることが明らかになっている。

 阪神大震災の兵庫県南部地震(平成7年)や新潟県中越地震も、この「新潟・神戸ひずみ集中帯」で発生したものだ。今年3月の能登半島地震も集中帯の西側近くが震源だった。

 海のプレートが陸のプレートの下に潜り込む太平洋側と異なり、プレート同士が衝突している場所なので、発生場所に幅があるなど、研究が遅れ気味だ。国の地震調査で研究を推進してもらいたい。

 現在の日本列島は地震の活動期に入っている。再来周期が迫っている東海地震や東南海・南海地震への備えを心がけたい。首都圏の直下地震も油断できない。

 今回の地震では、震源近くの東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の原子炉4基が強い揺れを感じて自動停止した。しかし、施設内の変圧器が壊れ、絶縁用の油に引火して黒煙を上げた。高度の安全性を求められる原子力発電所では起きてはならない事故である。

 東電は原因を解明し、速やかに再発防止策を講じなければならない。原子力発電所を擁する電力各社も、この機に周辺機器の耐震性の再点検を行い、安全性の確認をすべきだろう。

 梅雨の雨で地盤は緩んでいる。余震による現地での土砂崩れなどには、十分な警戒が必要だ。被災者の救援と被災地の復旧を急ぎたい。

(2007/07/17 05:07)

【主張】07参院選 拉致 国民世論を盛り上げたい

 今回の参院選で、拉致問題は年金や政治とカネなどの問題の陰に隠れ、盛り上がりに欠ける。拉致は、国の主権とそのありようにもかかわる重要な問題である。もっと強い関心を持つべきだ。

 主要政党のマニフェストでは、それぞれ拉致問題に触れている。

 自民党は、拉致問題を7つの重点課題の1つに位置づけ、「国家の威信をかけて拉致被害者全員の帰国を実現する」としている。民主党は、外交・防衛政策の中で「拉致問題に関する各国の認識の共有を図りつつ、主体的な外交を展開する」としている。共産党と社民党は、日朝国交正常化と関連づけて拉致問題を取り上げている。

 自民党総裁の安倍晋三首相は公示日の第一声でも、「拉致問題は鉄の意志でもって取り組む」と訴えており、この問題解決への強い意志がうかがえる。これに対し、最大野党の民主党の拉致問題に取り組む姿勢が少し弱いように思われる。超党派の拉致議連には、多くの民主党議員も所属しており、声を大にして拉致問題の解決と被害者の救出を訴えるべきである。

 拉致問題を取り巻く国際環境は、解決に向けて必ずしも好転していない。北朝鮮の核問題をめぐり、米朝が歩み寄りを見せ、北朝鮮をテロ支援国家のリストから外そうという動きが米国内に生じている。日本が拉致問題に執着しすぎると、北朝鮮問題で日本が孤立してしまいかねないと指摘する米国の専門家もいる。

 これに対し、安倍内閣は「拉致問題の進展がなければ、北朝鮮への経済支援は行わない」とする強い姿勢を貫いている。警察当局は拉致の実行犯を次々と特定し、国際手配している。今月から、北に向けた日本政府の短波ラジオ放送も開始された。参院選では、こうした安倍内閣の対北政策も評価の対象になろう。

 拉致被害者家族会は今月、都心では8年ぶりとなる街頭署名活動を再開した。拉致問題が置き去りにされてしまいかねないという危機感からだ。拉致問題解決の最大の原動力は、やはり日本の国民世論である。

 各候補者は拉致問題でどんな主張をしているのか、あるいは何も主張していないのか。有権者はこの点にも、耳をとぎすませてほしい。

(2007/07/17 05:06)

【産経抄】

 「バスに乗り遅れる」という言い方がある。世の中の動きに取り残されるという意味だ。最近では、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で、日本の外交姿勢を批判する人たちが使っている。拉致にこだわって、孤立を深めたというのだ。

 ▼18日の協議再開を前に、北朝鮮は寧辺の核施設の稼働を中止した。協議とは別に休戦協定で止まっている朝鮮戦争を「終戦」に導くために、米、北朝鮮、中国、韓国による4カ国会合開催の構想も出ている。先日ラジオの報道番組で「乗り遅れるどころか、バスははるかかなたに去った」とまで言い切る評論家がいた。

 ▼ 果たしてそうか。今回「初期段階の措置」が動き出したといっても、13年前の米朝枠組み合意のレベルに戻っただけのこと。北朝鮮が体制維持の切り札である核を放棄するまでには、気の遠くなるような道のりがある。今後ますます無理難題をふっかけてくるはずだ。柔軟路線に転じた米国だって、我慢の限度がある。

 ▼北朝鮮の体制そのものにも気になる変化がみられる。英誌エコノミストによれば、周波数が固定されているラジオを改造して外国のラジオ放送を聞く例が報告され、外国人と公然と会話をかわす市民も増えているという。金正日総書記の健康異変説の再燃も気になるところだ。

 ▼いずれにしても、視界がはっきりしないうちに、あわててバスに乗り込む必要はない。6カ国協議の米首席代表を務めるヒル国務次官補は運転手気取りだが、そのハンドルさばきはいかにも危うい。

 ▼拉致問題の進展がなければ、支援に加わらない姿勢を日本が維持するのは当然のことだ。ただ参院選の結果次第で起こる政治の混乱が心配だ。それこそ、北朝鮮にとって思うつぼの事態となる。

(2007/07/17 05:05)


【日経・社説】

社説1 いつどこでも起きる大地震に備えを(7/17)

 死傷者多数を出す震災がまた信越を襲った。16日発生した新潟県中越沖地震は、2004年10月の新潟県中越地震と同様に地下の断層が破壊したのが原因だ。今年3月には、地震の規模がほぼ同じでやはり最大震度6強を記録した能登半島地震が起きている。

 世界のマグニチュード(M)6以上の地震の2割が集中する日本列島では、いつでもどこでも震災に見舞われる恐れがある。政府、自治体、企業、家庭で地震への備えを日ごろから点検し、足らない部分を補うしか損害を軽減する道はない。

 人身被害を多くもたらしたのは今回も家屋の倒壊だった。全国の約4700万戸の住宅のほぼ4分の1にあたる約1150万戸が耐震性に欠ける、と政府は推計している。学校や病院、防災拠点となる公共施設なども耐震性に不安を抱える例がかなりある。阪神大震災を教訓に政府が取り組んでいる「建築物の耐震改修促進」は、地震への備えでまず優先させるべき課題だ。

 水道や電気、ガス、交通網などライフラインの被害は、復旧を急ぐのは当然として、損傷が生じた原因を究明すれば、全国のライフライン設備の耐震度補強の手立てになる。地震発生が休日の午前中だったために発生を免れた損害もあるかもしれない。平日の大都市中心部が今回のような揺れに遭ったらどんな損害が出たかシミュレーションするなど、防災関係者による分析も求められる。

 最大震度を記録した新潟県柏崎市、刈羽村にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所では火災が発生し、微量の放射能を含む水漏れも起きた。原発火災は原子炉とは別の建物横にある変圧器から出火したもので、放射線の測定値に異常はなかったというが、原発の敷地から炎と黒煙が上がるテレビ映像には周辺住民ならずとも不安を覚えたただろう。

 原発の耐震安全性については、00年10月の鳥取県西部地震をきっかけに断層型地震への備えを強める目的で昨年、国の原子力安全委員会が指針を25年ぶりに改定し、電力各社が耐震性を再評価している。電力会社が心しなければならないのは、建物や装置の耐震性能だけでなく周辺住民や国民に「地震が来ても原発は大丈夫」と信頼されるような十二分の備えをすることだ。

 現実に火を出してしまい消火に手間取ったのは、原発一般への安心感を損ないかねない心配な事態だ。東電は火災原因を究明して再発防止策を講じ、それを住民、国民に十分説明する責務がある。

社説2 6カ国協議の目標は核無力化(7/17)

 北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)にある核関連施設の稼働停止を発表、エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長も16日、停止・封印の対象5カ所のうち5000キロワット実験用黒鉛減速炉の停止は確認したと語った。だが、これは6カ国協議で2月に合意した「初期段階の措置」がようやく動き出したにすぎない。

 核施設の停止は新たな核兵器製造に歯止めをかけるうえでは一歩前進だ。ただ、いずれも老朽化した施設で、核兵器に必要なプルトニウムを既に抽出したとの見方もある。

 北朝鮮は米朝枠組み合意(1994年10月)に基づき核施設の稼働を凍結していたが、高濃縮ウラン(HEU)計画の発覚で枠組みが崩壊。北朝鮮は 2002年末に稼働再開を表明、03年2月には再稼働が確認されていた。今回の稼働停止は約4年半前の状態に戻っただけともいえる。完全な核放棄にはほど遠い。

 18日から北京で開く6カ国協議の首席代表会合で、核施設の無能力化など「次の段階」の措置に道筋をつけなければならない。

 2月合意は、使用済み燃料棒から抽出されたプルトニウムを含む「既存のすべての核計画の申告」を迫っている。北朝鮮がHEU計画の存在を認めるかどうかが焦点だ。

 北朝鮮は稼働停止を発表した15日「我々はすべきことはすべて行った」(外務省スポークスマン)などとけん制、引き延ばし戦術の構えもみせた。だが、北朝鮮には誠意ある対応を強く求める。これまでのような時間稼ぎは許されない。

 同時に6カ国協議の議長国・中国の責任も重い。初期措置の具体化に中国の楊外相が訪朝、金正日総書記と会談するなど積極的に動いた。ところが、中国の王光亜国連大使は北朝鮮への制裁措置の解除を検討することが望ましいと発言した。6カ国協議の足並みを乱すような言動には首をかしげざるを得ない。

 次の段階ではすべての核計画の申告、核施設の無能力化などの見返りに、北朝鮮に95万トン相当のエネルギー・人道支援が実施される。

 日本政府が「拉致問題の進展なしに支援しない」との原則で臨むのは当然だ。拉致問題解決に向け、日朝作業部会の早期再開も課題となる。

【日経・春秋】(7/17)

 海の上にホームがある。新潟県柏崎市のJR信越本線青海川(おうみがわ)駅は、そう錯覚するほど波打ち際ぎりぎりに横たわっている。「日本で最も海に近い駅」といわれ、この季節にホームに立てば、駅名のままに真っ青な日本海が眼前に広がる。

▼そんな群青の海の底を震源とする強烈な地震が新潟や長野を襲った。民家が、倉庫が、寺院があちこちでつぶれ、たび重なる余震に町も村もあえいでいる。山間の道路はひび割れ、折れ曲がり、青海川駅のホームは無残にも土砂で埋まった。そこに、ここに、人はいないか。捜索の手が足りない様子がもどかしい。

▼7月の上陸台風としては過去最強の4号が駆け抜け、直後にマグニチュード(M)6.8の地震とはまさに天変地異である。しかし、しばしば災厄をもたらす猛々(たけだけ)しい自然と共生せざるを得ないのがこの国の宿命。天変も地異も、いつ、どこででも起きると思い定め、自然への驕(おご)りを捨てて備えを固めるしかない。

▼被害は広がっている。発生が休日の午前でなかったら、惨禍はより深刻だったろう。3月の能登半島地震も日曜の朝だった。これがもし大都市なら、もし平日の夕刻だったら……。考えれば空恐ろしい。地の底の神はこうして警告を発し続けているのか。被災地の苦難を思いつつ、その時への覚悟を新たにしたい。


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