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2007年7月 5日 (木)

7月5日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月5日朝刊)

[ヘリパッド移設]「押し付け」でいいのか

 米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、那覇防衛施設局は工事用進入路のゲート設置などの作業に着手した。

 着工に反対する地元住民らは前日から座り込みを始めていたが、住民の目をかいくぐるように、翌日の早朝、業者のトラックが進入路に入り、二カ所に金属製ゲートを設置した。

 施設局は作業終了後に、東村と高江区に着工を通知したという。地元からは「着工前に詳しい日時を連絡すべきではないか」と批判の声が上がった。

 ヘリパッド移設に伴い、ヘリ騒音などの直接の被害を受けるのは近隣の住民たちである。輸送ヘリの垂直離着陸機MV22オスプレイへの更新も取りざたされる中で、地元の人たちが不安を抱くのは当然ではないか。

 いかに反対の声が強かろうと、少なくとも地元には事前に通知し、説明をしておくのが筋だったのではないか。

 ヘリパッドの移設問題は一九九六年十二月のSACO(日米特別行動委員会)最終報告が発端になった。

 北部訓練場の過半を占める約三千九百八十七ヘクタールを二〇〇二年度末までをめどに返還することが明記されたが、返還条件のヘリパッド移設、希少動植物の調査などの関係で返還が遅れた。

 当初七カ所のヘリパッドの北部訓練場残余部分への移設が返還の条件だった。日米合同委員会は〇六年二月、六カ所に減らすことで合意した。

 当初はヘリパッド移設に反対していた東村も結局受け入れ容認に転じた。施設局は南側の三カ所で着工する計画で、残りの三カ所についても本年度に着手するという。

 この問題の経緯を見ると、ヘリパッド建設予定地に近く、反対姿勢を明確にしてきた東村高江区に対する受け入れへの圧力が、次第に強まってきた様子がうかがえる。

 ヘリパッドは人口百五十人余の高江区を取り囲むように造られる。地元の人々の日々の暮らしに甚大な影響を与えずにはおかないだろう。

 現に住民の中には引っ越しを考えている人もいるという。小規模の地域にヘリパッドの移設を押し付けるだけでは問題の解決にはつながらない。

 SACO合意は地元の頭越しに決まった。後は受け入れを迫るだけだ。新ヘリパッドがどう運用されるのか、明らかにされていない。なぜ六カ所も必要なのか、理由も検証されていない。

 環境破壊への懸念も消えない。ヘリパッド新設で基地機能は強化される。振興策などと引き換えに移設を受け入れるだけでは地域の展望は描けない。

[リゾート結婚式]市場開拓と人材育成を

 沖縄が日本一のリゾートウエディング地域になっていることが分かった。結婚情報誌などが国内主要地域の結婚式場に聞き取り調査をしたところ、トップだった軽井沢を二〇〇五年に抜いていた。〇六年実績も31%増の六千五十組で、他地域を圧倒している。

 観光立県にとって、リゾートウエディングはかなり魅力的な分野だ。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)によると、結婚式一組当たりの平均参列者は三十人。つまり、一組の挙式を誘致すれば、新郎新婦を合わせて三十二人が来沖する計算になる。しかも、平均滞在日数は三―四泊で一般的な観光客より多いという。

 参列者の消費単価、一組当たり挙式費用といった経済効果については、OCVBがリゾートウエディング誘致を本格化させたのが〇四年からということもあって詳細なデータはないが、OCVB担当者は「一般観光客よりも消費単価は高い」とみる。

 ほかに、飲食や衣装、写真、美容、花、記念品といった関連費用が県内に落ちる。それらは雇用開発効果を併せ持つ。さらに、新郎新婦は将来のリピーターにもなり得る。沖縄にとって、リゾートウエディングは「場」の力で外貨を獲得できる有望産業だ。

 とはいえ、一年間で挙式・披露宴を行う国内五十万組のうち、リゾートウエディングは一割強にすぎない。一番人気のハワイは年間二万三千組超が挙式する。国内トップといっても、市場規模から見れば沖縄の占める割合はまだまだ小さい。が、見方を変えれば成長余地が大きいともいえよう。

 一一年に一万組挙式の目標を掲げるOCVBは本年度から地方都市での誘致活動を本格化させる。併せて急がねばならないのは、「自分スタイル」の挙式にこだわる若者の要望をかなえられる人材の育成だ。ホテルなどリゾートウエディング関連企業は県内に二十社あるが、プランナーの絶対数は足りない。「場」の力に「人」の力を加えることができて初めて、沖縄はリゾートウエディングの聖地になれる。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月5日 朝刊 1面)

 雨の時季に咲くからだろうか。鮮やかな藍色に比べ、淑やかに映る。電車の窓を流れるアジサイの花が、うっとうしさを一瞬だけ和ませてくれる。

 「忍耐強い愛」や「謙虚」。なるほど、雨に映える姿が花言葉とも重なり合う。一方で、濃淡が変化していくことから「移り気」というあまりありがたくない意味もあるのだという。

 久間章生前防衛相はこの数日間、胸中が移ろっただろう。原爆投下を是認するような発言に「大義名分」は見つからない。沖縄の米軍基地をめぐる「舌禍」も連綿としていたが、今回ばかりはしのげなかった。

 氏が辞任の理由としてしきりに口にした「参院選への影響」も気になる。いじわるな見方をすれば仮に選挙が間近に迫っていなければ、辞める必要はなかったと、言っているに等しい。

 職を辞さなければならなかった本質の説明が乏しければ、国民の納得は得られない。言葉が生命線のはずの政治家としては、由々しいこと。よもや心の底で「選挙に勝つためだから『しょうがない』。初代の防衛大臣も務めたことだし、辞めるのも『しょうがない』」などと思ってはいまい。

 七月に入り、アジサイは色濃さを増す。今年の命もいよいよ終わりの時。意外に知られていないが、アジサイの葉や根は青酸性の毒を持ち、多量に含めば嘔吐やけいれんを起こすという。わずか九カ月余りで閣僚三人を失った安倍内閣。毒気が回り始めている。(石川達也)


【琉球新報・社説】

検定意見撤回要請 軍命の事実は消せない

 日本軍による「集団自決」強制の記述を削除するよう求めた文部科学省の高校歴史教科書検定の撤回を県、県議会、県市長会、県市議会議長会、県町村会、県町村議長会の各代表が文科省などに要請した。
 文科省の布村幸彦審議官は「教科用図書検定調査審議会が決めることであり、理解していただきたい」とし、検定意見の撤回を拒否した。
 戦前は国定教科書で国民を戦争へと駆り立てたこともあり、審議会の独立性を確保することは重要である。しかし、それは審議会が十分に機能していることが前提である。
 文科省職員の教科書調査官が教科書の記述内容を調査し、合否方針や検定意見の内容をまとめ、審議会に諮問するが、ほぼ原案通りに答申されることが多いといわれる。審議会の形骸(けいがい)化が指摘される状況にある。
 しかも、歴史的事実に基づいておらず、公正な検定が行われたとは認められない。「理解を」と言われても理解できるはずがない。
 教科書調査官は、大阪地裁で争われている「沖縄集団自決冤罪(えんざい)訴訟」の原告の意見陳述を検定意見の参考資料にしている。これまでの沖縄戦研究者の蓄積を無視し、著しくバランスを欠いた検定意見と言わざるを得ない。
 多くの住民が集団自決の軍関与を証言している。今回の検定意見は歴史を歪曲(わいきょく)するものである。
 それを正すのは政府の務めである。文科省が誤りを放置することは許されない。
 改正学校教育法の教育目標に盛り込んだ「国を愛する心」を育てる一環として「軍命」の削除があったのではないかとの疑念もわく。
 安倍晋三首相は著書で「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家をつくることだ」と述べている。それを達成するためには歴史としっかり向き合い、子どもたちに伝えることが不可欠である。
 政府に提出した要請書は「正しい過去の歴史認識こそが未来の道標になる」と指摘している。それを政府は受け止めるべきである。
 要請団は伊吹文明文科相か副大臣、政務官との面談を求めたが、実現しなかった。県議会をはじめ、全41市町村議会が可決した検定意見の撤回を求める意見書は歴史的事実を踏まえたものであり、撤回要求は県民の総意である。その重みを軽く見てはいないか。
 軍命削除は歴史教育に大きな汚点を残すことになる。軍命によって多くの命が失われた事実を消すことはできない。
 歴史的事実を「自虐的」とする流れを止める必要がある。正しい歴史認識に基づく日本軍関与の記述復活に全力を挙げ、次代に歴史を引き継ぐことが県民の務めである。

(7/5 9:54)

警察官増員 信頼に応えるためにも

 大平修県警本部長は管内の厳しい治安情勢を踏まえた場合、現在の警察官定員では足りないとして、増員する必要があるとの見解を県議会で示した。
 2007年度の警察官1人当たりの負担人口は541人で、全国平均の505人より36人多い。
 米軍構成員等約4万3千人、年間560万人を超える観光客を含めると、負担人口は約580人となるという。
 警察庁は負担人口500人程度を目標にしている。沖縄の警察官の負担人口は、実質的にそれを80人も上回っていることになる。
 この差は警察官一人一人の負担増につながり、警察全体の捜査力、犯罪抑止力に与える影響は大きいだろう。治安を恒常的に安定させる上で、早急な是正が必要だ。
 警察庁は04年から「地方警察官1万人緊急増員3カ年計画」を実施。04年時点で全国の交番の約30%に当たる1925カ所あった空き交番を解消した。
 県警ではこの間、警察官265人を増員し、空き交番が本年度からなくなった。オートバイ盗など「身近な犯罪」は4年連続減少している。
 発生件数の減少には警察官の増員による一定の犯罪抑止効果が働いたこともあろう。負担人口を500人程度にすれば、街頭活動も活発になり、さらに抑止効果が高まることが期待される。
 全国3位の人口増加率、観光客の増加傾向などを考慮すれば、今後さらに警察官一人当たりの負担人口が増えることは十分予想される。
 それだけではない。米軍構成員等の検挙数は1977年の342件を最高に減少傾向にあるが、タクシー強盗など米軍構成員による犯罪が後を絶たない。県警はそれにも対応しないといけない。沖縄の特殊事情も警察庁は十分考慮してほしい。
 治安を守ることは警察の最大の任務である。県民の警官に寄せる期待は大きい。信頼に応えるためにも、沖縄への全国並みの警察官配置を早急に実施してもらいたい。

(7/5 9:52)

【琉球新報・金口木舌】

 「私はじたばたしたいんです。サンゴを一生植え続けます」。養殖サンゴの移殖によるさんご礁再生を目指す活動で日本青年会議所(JC)の「人間力大賞」グランプリを受賞した金城浩二さんの言葉が重く響いた
▼さんご礁再生の挑戦は苦労の連続だった。金銭的な悩みも。表彰式で「誰にも認められずつらかった」と涙をぬぐった
▼開発行為で沖縄の海から砂浜と海岸が失われるのを目の当たりにし、白化現象で打撃を受けたサンゴに心を痛めた。「海が死んでしまう」という危機感に突き動かされてきた
▼5年前の取材で会った国頭村のある漁師の話を思い出す。「護岸に波がぶつかるたびに、白い砂浜が沖にさらわれる。それと同じように都会から押し寄せる大波が、ヤンバルンチュのチムグクルを変えてしまうのではないか」
▼金城さんは「海のこと、サンゴのことに気付いてほしい」と語る。沖縄の海、自然への愛しさを込めた痛切な訴えとして受け止めたい
▼沖縄の海から砂浜が消え、サンゴが朽ちていく現状を私たちは痛みを伴って見詰めているか。「経済自立」の大合唱に心を奪われ、「自然との共生」を忘れてはいないか。金城さんの「じたばた」はウチナーンチュに問い掛ける。

(7/5 10:32)


【東京新聞・社説】

北朝鮮の核 合意の実行あるのみ

2007年7月5日

 北朝鮮がようやく核関連施設の稼働停止を実行に移すようだ。国際機関の査察を全面的に受け入れ、北朝鮮もすでに合意している「核の完全放棄」に向けて、着実に歩を進める必要がある。

 ここへ来て、北朝鮮はこれまでになく積極的な姿勢を見せている。

 一つは、北朝鮮の金正日総書記が訪朝した中国の楊潔〓外相とわざわざ会談して「各国が初期段階の措置を履行しなければならない」と表明したことだ。

 この措置には、二月の六カ国協議で合意された核関連施設の稼働停止と査察受け入れ、周辺国の重油五万トンの支援が含まれる。

 もう一つは、国際原子力機関(IAEA)の訪朝代表団との監視・検証の同意だ。寧辺などの核関連施設五カ所の稼働停止・封印に応じ、査察官立ち入りも受け入れた。

 六カ国協議の合意には六十日以内の履行が明記されていたが、北朝鮮が米国の金融制裁を理由に反発し、大幅に遅れてしまった。

 金総書記は「中国は問題解決に向け尽力した」と評価したようだが、合意履行を遅らせたのは北朝鮮である。周辺国の重油支援の準備はとうにできている。北朝鮮は一日も早く合意を実行すべきだ。

 楊外相はさらに、二〇〇五年九月の六カ国協議で出された共同声明の完全実施も強く求めた。

 この中で北朝鮮は、(1)すべての核兵器および既存の核計画の放棄(2)〇三年一月に脱退した核拡散防止条約(NPT)への早期復帰-を「約束」している。

 国際的な協議の場で自らが署名した約束を守り、実行するのは義務であることを念押ししておきたい。

 いま、北朝鮮が積極姿勢に転じた理由は、まず食糧とエネルギーの極端な不足だろう。国際的な支援を得るには、核放棄への確実な歩み、初期段階措置におけるIAEAの査察が最初の試金石になる。

 特に、使用済み核燃料棒を再処理して抽出したプルトニウムだ。すでに核兵器四、五個分は貯蔵しているともいわれ、監視の対象からはずされれば、査察は骨抜き同然だ。

 査察の誠実、全面的な受け入れが実利を得るための大前提になる。

 さらに米朝関係改善の促進も積極姿勢の背景にありそうだ。国際的な経済制裁の解除を求めてのテロ支援国指定の解除、独裁体制維持の保証を狙ってのことである。

 周辺国はこうした北朝鮮の狙いを念頭に、成果を急ぐあまり、足並みを乱すことのないよう、これまで以上に腰を据えて対応してほしい。

※〓は、竹かんむりに、厂(がんだれ)、下に虎

石見銀山 遺産登録をどう生かす

2007年7月5日

 島根県の石見(いわみ)銀山が、ユネスコの世界文化遺産に正式登録された。登録延期の勧告が出ていただけに、地元は逆転にわいている。遺産を守り、価値を高めていくかぎは、勧告の指摘の中にある。

 世界文化遺産の登録には、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の現地調査結果や意見が大きな影響力を持っている。そのICOMOSが昨年十月の現地調査の結果を踏まえ、「登録延期」をユネスコに勧告していたことが、今年五月に判明した。

 ICOMOSは政府の推薦書に対し、石見銀山が「東西世界の文明交流に大きな影響を与えたと証明する詳細な物証がない」など、二十項目の問題点を指摘した。

 石見銀山遺跡は、総面積四百四十二ヘクタール、十六世紀初めから休山まで約四百年にわたって採掘され、最盛期には世界の銀の三分の一を占めた日本銀の多くを産出した。遺跡の中には、当時のにぎわいを今に伝える鉱山本体や街道筋の町並み、積み出し港などが含まれる。世界屈指の鉱山遺跡であることは、間違いない。

 だが、すでに登録済みの鉱山遺跡に比べると、知名度や規模の面で見劣りするのは否めない。

 石見銀山とともに世界二大銀山と称されたセロ・リコ銀山を含む南米ボリビアのポトシ市は、二十二の聖堂など、植民地時代のバロック建築の傑作群が立ち並ぶ歴史的市街地を含めて世界遺産とされた。

 八百三十の世界遺産(昨年)のうち、文化遺産は六百四十四件にも上り、ユネスコは文化遺産の登録件数を抑えたい意向だ。登録率は、一昨年の75%から昨年は65%に落ちた。

 二〇〇四年に登録された熊野古道は、登録後三年連続で年間の観光客が十五万人前後に達した。過疎にあえぐ地方には、世界遺産への登録が起死回生の妙薬にも映るだろう。

 しかし、それだけでは「人類全体のための世界遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存する」という、そもそもの趣旨にはもとる。官民を挙げた管理体制が整わないと、観光客の増加はむしろ損傷、破壊の脅威を招く。

 “逆転登録”がなった今、ICOMOSの勧告を福音として受け止めたい。内外の知名度を上げるという、登録後の目標ができたから。

 登録だけで満足せず、国や行政、住民が力を合わせ、石見銀山の魅力を引き出し、守り、内外に伝える工夫を続けることで、観光地としての輝きもより強くなる。

 そしてこの経験は、登録を待つ、暫定リストの平泉や富士山の関係者にもきっとプラスになるはずだ。

【東京新聞・筆洗】2007年7月5日

 久間前防衛相の「しょうがない」発言に振り回された四日間だった。原爆の無差別殺戮(さつりく)への感覚マヒは、元をたどれば、安倍首相自身にも跳ね返るのではないか▼官房副長官だった五年前、早稲田大学で「小型の核爆弾なら憲法上保有できる」と講演して、国会で追及されたことを思い出す。今回は被爆者の心の奥底に触れ、国民の憤激にあう。目前に迫った参院選への波及を恐れての急な辞任劇だった▼そんなドタバタ騒ぎの陰で、京都では高校生と中学生の子ども三人を殺害して無理心中を図った父親が逮捕された。せっかく育て上げたわが子の命を奪うことはなかろうと腹立たしい。人の命を軽んじる政治がまかり通るから、弱い家族が希望を失うのだろう▼作家、山本一力さんに自伝エッセー『家族力』(文春文庫)がある。この春、直木賞受賞作の『あかね空』(同)が映画化された山本さんは、苦しい時代を“家族力”で乗り切った自分の体験をこの「あかね空」に投影する▼京都の豆腐職人が江戸に出て、味の違う下町で苦労を重ね、表通りに店を構えるまでの、親子二代にわたる愛憎と喜びを描く。「明けない夜がないように、つらいことや悲しいことも、あかね色の朝が包んでくれる」。ヒロインには、山本さんの亡母の秘められた人生模様が重ね合わされている▼山本さんの新作『銀しゃり』(小学館)は、飯炊きに魂を込めるすし職人を描く。親友の魚の棒手振(ぼてふり)と妹、温かく見守る長屋の住人や旗本の家人が織りなす江戸人情は、殺伐とした世相への清涼剤になる。


【河北新報・社説】

議会政務調査費/徹底した改革姿勢で臨め

 地方議員に支給される政務調査費のあり方などについて、東北各県で検討が進められている。でたらめな使途が目立つ政調費はもちろん、ただの観光と疑われるような海外視察の問題にも切り込むべきだ。

 議員という身分によって特権を受けられる時代ではない。地方の暮らしが低迷する中ではなおさらだ。

 東北では今、青森、山形、福島の3県議会と仙台市議会が検討組織を設け、政調費などの協議を進めている。いずれも透明性の向上が最大の目標になるだろう。

 3県と仙台ではいまだに支出を裏付ける領収書の提出が義務付けられていない。この点ではほかの県より立ち遅れており、領収書義務化はどうしても実現させなければならない。支出先の裏付けがない場合は、違法性を問われるのが司法判断の流れになっており、領収書は最低限必要だ。

 さらに政調費の支出先として何が認められるのかを絞り込むとともに、額についても検討すべきだ。各県の県議1人当たりの1カ月の政調費は青森、秋田、山形、岩手が31万円、宮城と福島が35万円となっている。仙台は38万円と県よりも多い。

 調査研究や政策立案能力の向上という本来の目的からすれば、妥当な支出先はまず本や資料の入手代だろうか。地域医療や高齢者福祉の先進地調査といったことにも利用は可能だろう。

 ただし、領収書や報告書で内容を明示するのは当然の義務だし、条例の検討や政策提言と関連があることも十分に証明する必要がある。

 これまで政調費の支出については疑問だらけだった。議員が好き勝手に使っていたと思われても仕方がない。

 仙台市の政調費(2001―02年度)をめぐる訴訟の判決が4月に仙台地裁で言い渡されたが、「妻と2人で台湾旅行」「ナゴヤドームで野球観戦」といった例があったし、カラ視察を疑われたケースまであった。

 郡山市の政調費(06年度)では、事務機器のリース代や雑誌代、切手代などへの支出が明らかになっている。いずれも本来の目的とは懸け離れている。議会として認めた支出項目だとしても、改善が必要だ。

 政調費問題の検討に当たっては、全廃に踏み切る自治体もあることを念頭に置かなければならない。今年に入って、弘前市と相馬市が全廃を決めた。額は月6万円(弘前)、1万円(相馬)と小さいが、財政事情も考慮して見直している。

 財政は今、どこの自治体も厳しいはずだ。税金の節約を本気で検討するのも議員の大切な使命だろう。

 議員の海外視察も問題が多い。行くか行かないかは別にして、4年間の任期中に全議員が1度は視察できるよう予算化しているケースもあるが、それがそもそもおかしい。

 海外視察は政調費より一般の理解を得にくい。目的と成果が誰から見ても納得できるケースでない限り、実施は無理だ。
2007年07月05日木曜日

【河北新報・河北春秋】

 将棋の森内俊之さんは長い間、タイトルと無縁だった。誕生日が1カ月違いのライバル羽生善治さんが幾つもタイトルを手にしているのに、森内さんは取れない。棋界の七不思議とされた▼それが2002年の名人位獲得前後から様子が変わった。翌年、羽生さんに名人を奪われたが、すぐ取り返した。以後は4連覇し、先週、永世名人の称号を獲得した。ある時期から爆発的に勝ち数が増えた

 ▼ 「あまり考えなくなったから」とインタビューで語っている。冗談に聞こえるが、本当らしい。考え得るすべての指し手を熟慮するのはやめ、勘と経験で選択肢を絞ることでかえって読みが深く精密になった▼その逆を行くのが、コンピューター将棋の最強ソフトとされるボナンザ。ある局面で可能な指し手全部を考慮する全幅検索が特色だ。あらゆる可能性を調べて意外な好手を見つけるという

 ▼森内さんは最善手を見つけるのは勘だと言っている。勘で当たりを付けた後に綿密に読み込んでいく。今のところ、天才的な勘を誇るプロ棋士の方がコンピューターより一枚も二枚も上手▼近い将来、コンピューターが棋士を打ち負かすと予測されているが、さてどうだろう。磨き上げた感性や経験の裏打ちがある鋭い勘が棋士の身上。コンピューターにまねできるかどうか。

2007年07月05日木曜日


【京都新聞・社説】

米ロ首脳会談  新たな「冷戦」を招くな

 ブッシュ米大統領は、ロシアのプーチン大統領と個人的な親密さを深めることで事態打開を図る思惑だった。
 米国に対し強硬姿勢を強めるプーチン大統領との米ロ首脳会談を、父親のブッシュ元大統領の別荘で開いたのもその表れといえよう。
 だが、冷戦終結後、「最悪の冷え込み」とも指摘される米ロ関係の対立は解けず、関係修復にはいたらなかった。
 対立激化の要因である米国のミサイル防衛(MD)システムの東欧配備計画で両国の溝が埋まらなかったからだ。
 ミサイル防衛は、弾道ミサイルをレーダー網で探知し着弾前に撃ち落とすというものだ。米国の計画は、二〇一二年までにポーランドに地上配備型迎撃ミサイル十基を、チェコにレーダー一基を配備するという内容である。
 米国は、イランのミサイルから欧米を守るためと説明する。しかしロシアは、イランのミサイルが届いても欧州(EU)の一部までで、米国の狙いはロシアのミサイル迎撃にあると猛反発。新型の弾道ミサイル発射実験を実施するなど対抗手段に訴えた。欧州各国にとっては冷戦時代の悪夢の再現ともいえよう。
 さらにプーチン大統領はアゼルバイジャンにある旧ソ連のレーダーの共同利用をブッシュ大統領に逆提案した。「チェコよりイランに近い」というわけだ。
 首脳会談は、米国がこの提案を受け入れるかが焦点だった。ところが、米国のミサイル計画を欧州諸国も加え協議することなどをプーチン大統領が追加提案した。攻勢のプーチン、守勢のブッシュという構図である。
 ブッシュ大統領は協議に応じることに同意したものの、チェコとポーランドの施設は「不可欠」と述べ、対立は解消されなかった。
 プーチン大統領の矢継ぎばやの提案は米国に揺さぶりをかけ、ミサイル問題を先延ばしする戦略だろう。
 ロシアの反発の背景には、旧ソ連時代に「裏庭」だった中東欧で、北大西洋条約機構(NATO)への加盟が相次ぎ米国が軍事的足場を強めることへの不安といらだちがある。
 とはいえ、現在のロシアは旧ソ連崩壊で苦境にあえいでいた時とは違う。石油など豊富な天然資源を武器に「大国復活」への自信を深めつつある。その半面、プーチン政権の強権的な姿勢に欧米から民主主義の後退との批判も多い。
 一方、イラク開戦時の米国の一極主義的行動の「つけ」が、今回のロシアの反発を招いたともいえる。
 米ロの冷えた関係が続けば、国際社会はますます不安定化する。北朝鮮を念頭に、米国とミサイル防衛を進める日本にとっても座視できない事態だ。
 米ロ首脳はもとより、各国首脳は新たな冷戦、軍拡競争を招かぬよう知恵をしぼってもらいたい。

[京都新聞 2007年07月05日掲載]

参院選公約  争点は年金だけでない

 参院選に向けた与野党の選挙公約や、マニフェスト(政権公約)がほぼ出そろった。各党とも、年金記録不備問題を前面に掲げている。
 自民党が、基礎年金番号に統合されていない約五千万件について「一年以内にすべての名寄せを完了する」と明記すれば、民主党はすべての納付履歴を記載する「年金通帳」の交付を打ち出した。他党も具体的な対策を掲げた。
 国民の不安を解消し、信頼を取り戻すためにも、選挙を通じてさらに具体的な対策を明確にすることが必要だ。
 しかし、年金制度の抜本的な改革については、各党とも踏み込みが足りず、物足りなさが残る。
 自民党は「基礎年金の国庫負担割合の引き上げ」を抜本対策の一つにあげる。だが、その財源確保については言及せず、「税体系の抜本的改革」も「本年度を目途(めど)」の記述にとどめた。
 民主党は「消費税率は現行のまま全額を基礎年金財源に充てる」としているが全体の財源配分の中で可能かどうか。
 少子高齢化が深刻化する中で、税負担のあり方をからめた年金制度についての議論は不可欠といえる。
 問われているのは年金問題だけではない。内政、外交とも重要課題が目白押しだ。「郵政選挙」一色に塗りつぶされた一昨年の総選挙の二の舞いは避けたい。
 年金以外で各党の公約で目立つのは、医師不足解消や中小企業、パート・契約社員の支援など、暮らしの安心や格差是正に向けた項目だ。
 自民党は、最低賃金を「底上げ」するための法改正などを盛り込んだ。民主党は高校の無償化のほか、農家への補償制度も掲げている。
 安倍晋三首相が当初、参院選の争点にしたいと強調していた憲法問題はどうか。自民党は「二〇一〇年の国会で憲法改正案の発議を目指す」と明記した。
 公明党は「加憲案」を提唱する。だが具体的な改正内容には触れていない。連立政権を組む自公の論理的な整合性も含め、有権者にていねいな説明が要る。
 共産党や社民党は「護憲」の立場を明確にし、対立軸を鮮明にした。
 ところが民主党の公約には憲法についての記述が見あたらない。政権を担うに足る政党としての力量を示すためにも、与党と真正面から論じ、国民の理解を深める姿勢が求められよう。
 折しも、原爆投下発言で久間章生防衛相が辞任する事態となった。発言の背景にある安全保障問題も議論したい。
 国民新党は「郵便局ネットワークの維持活用」を掲げ、新党日本は憲法九条に「国際救援隊の創設」を提案した。選挙ではさらに具体案を示してほしい。
 安倍政権に対し国民が初めて審判を下す重要な選挙だ。各党とも非難応酬に終始するのではなく、公約に掲げた政策を徹底的に議論してもらいたい。

[京都新聞 2007年07月05日掲載]

【京都新聞・凡語】

焼酎造りと冤罪再発防止

 南国・鹿児島のアフターファイブは、焼酎に始まって焼酎に終わる。過日訪れた鹿児島市内の繁華街では焼酎バーが軒を連ねていた。どの店でも、目移りするほどたくさんの銘柄が並ぶ▼ブームは一段落したとはいえ、全国に名をとどろかす芋焼酎の出荷は順調。今秋には県内の酒造組合を一本化し、百社以上あるメーカーが協力して世界市場も視野に「薩摩焼酎」の売り込みに力を注ぐ計画という▼その鹿児島で、ユニークな焼酎造りが進められている。二〇〇三年の県議選の選挙違反事件で起訴され、無罪となった志布志市の元被告らを支援する「住民の人権を考える会」が先日、サツマイモの苗約六千本を、山あいの畑に植えた▼この事件では警察による虚偽の自白の強要や、家族の名前が書かれた紙を無理やり踏まされる「踏み字」などの実態が明らかになった。今夏には国家賠償請求訴訟も起こす予定だ▼オリジナル焼酎を販売し、取り調べの様子を録画・録音する「可視化」をはじめ、冤罪(えんざい)事件の再発防止を訴える活動費に収益金を充てるつもりだ。元被告らの無念さや怒りを込めたネーミングになるかもしれない▼焼酎の販売は来春になりそうだという。今年二月、元被告や支援者らは無罪を祝って焼酎で乾杯した。今度は、みんなで汗を流して造った焼酎を飲み、心の底から喜びを分かち合ってもらいたい。

[京都新聞 2007年07月05日掲載]


【朝日・社説】


2007年07月05日(木曜日)付

水俣病救済案―一歩前進、一歩後退だ

 「最終、全面かつ最後の政治決着」。そんなうたい文句で、水俣病の未認定患者を救済する枠組みが、与党のプロジェクトチームで決まった。

 救済策の柱は二つある。

 ひとつは、救済の対象を政府の認定基準よりも広げたうえで、「水俣病被害者」とはっきりと位置づけることだ。これは率直に評価したい。

 もうひとつは、95年の政治決着のときの1人あたり260万円という額を超えない範囲で一時金を支給することだ。

 前回の金額は被害者が苦渋の決断の末にのまされたものだ。今回は被害者によっては、さらに切り下げる。04年の最高裁判決で示された最高額850万円と比べても差は大きい。被害者から不満の声が上がるのは当然だろう。

 与党の救済策は、いわば一歩前進、一歩後退である。

 与党がとりまとめた95年の政治決着では、約1万2000人の未認定患者が一時金を受け取った。政府の認定基準には立ち入らず、明確に「被害者」と位置づけることもなく、あいまいさを残した。

 04年になって最高裁が政府の認定基準を否定し、被害者を幅広く救済した。これを機に、新たに患者として名乗りを上げる人が増えた。政府と裁判所の二つの認定基準の下で、各県の認定作業が滞るなどした。この混乱を収拾するため、与党が再び乗り出したのだ。

 今回の救済策では、手足のしびれなどの感覚障害があれば、水俣病被害者と認める。複数の症状がなくても、一つの症状さえあれば水俣病被害者と認める点では、最高裁の考え方に近い。

 一方で、与党の救済策は一時金を95年の政治決着より減額して支給する方針だ。しかも、95年の前から症状がある人とそうでない人を分け、後で発症した人はかなりの少額にするというのだ。

 今回は前回の救済漏れをすくい上げるのが狙いだ。前回を上回るわけにはいかないし、95年の前と後の発症で差をつけるのは当然だ。与党はそう説明する。

 しかし、同じ症状ならば同じように救済されるべきだ。金額など具体的な詰めの作業はこれからだが、一時金の減額などは余計な混乱を招くだけだ。

 救済策では、少なくとも、熊本、鹿児島、新潟3県の認定申請者約5200人のほか、申請を取り下げる代わりに医療費補助などを受けている約1万人が対象になる。

 前回の政治決着では、一時金のほか、医療費や療養手当を支給した。こうした措置は今回も当然盛り込むべきだ。

 一時金の財源は汚染者負担の原則を踏まえ、原因企業のチッソに求めることになる。それに加え、国や県も応分の負担をすべきだろう。最高裁判決が行政責任を認めているからだ。

 水俣病は被害が確認されて51年の歳月が流れた。与党は被害者の苦しみをくみ取り、救済策を練り直してもらいたい。

富山冤罪再審―無罪だけで幕を引くな

 「ただ無罪になっても意味がない。再審ではすべてを明らかにしてほしい」

 強姦(ごうかん)と強姦未遂の犯人として2年1カ月服役したのち、別の人物が自供して無実とわかった富山県の40歳の男性は、再審裁判を前に、こう訴えていた。

 やってもいない犯罪の汚名を着せられたのだから、なぜこんな目にあったのかを知りたいと思うのは当然だろう。

 だが、冤罪を生んだ過程を検証する意味は、個人の思いにとどまらない。捜査や裁判がいまだに抱える構造的な欠陥をあぶり出す好機だからだ。

 なぜ、警察や検察は無実の人間を逮捕し、起訴したのか。公判で男性が起訴事実を認めたとはいえ、裁判で真実を発見する方法はなかったのか。こうした疑問が再審で解明されなければならない。

 ところが、富山地裁高岡支部は、弁護側が申請した当時の警察官の証人尋問を「必要ない」として認めなかった。

 警察官の尋問を不要とした検察は閉廷後、「裁判は有罪か無罪かを決めるところだ。弁護士も検察も無罪を主張しており、尋問は意味がない」と述べた。

 無罪であることにだれも異を唱えていない。早く無罪を言い渡せばいい。それが裁判所や検察の言い分だろう。

 しかし、それを額面通りには受け取れない。警察官を法廷に呼べば、冤罪の責任の追及は警察にとどまらず、検察や裁判所にも向かいかねない。そうした事態を避けるために幕引きを急いでいるのではないか。そう思われても仕方ない。

 冤罪によって人生をほんろうさせられた男性は閉廷後、「裁判に絶望した」というコメントを出した。この言葉を裁判に携わる人たちはどう聞くのか。

 再審裁判で冤罪の原因や背景を追及できなかったなら、最高裁や最高検、警察庁がそれらをきちんと調べて国民に報告すべきだ。そうでなければ、捜査や裁判への不信感はぬぐえない。

 02年に起きたこの事件には謎が多い。

 犯人の似顔絵から男性が浮かび、被害者が男性を見て「そっくり」と言ったという。警察官の誘導はなかったのか。

 男性は否認したが、3日目に自白し、逮捕された。だが、基本的な裏付け捜査がなかった。例えば、事件当時、男性が現場から車で30分以上かかる自宅で電話をかけていたとみられる通話記録があったのに、警察は見落としたという。

 男性によると、検察官や勾留(こうりゅう)質問の裁判官、弁護士には否認した。再び容疑を認めたのは、警察官から「発言を覆さない」という念書を書かされたからだという。警察は念書の存在を否定するが、真相を知りたい。

 再び自白に転じたことに検察官や弁護士は疑問を持たなかったのか。

 再来年には裁判員制度が始まり、国民が審理に参加する。どんなときに冤罪が起きるのか。冤罪を引き起こさないためには、どこに目を向ければいいのか。国民はぜひとも知りたいことである。

【朝日・天声人語】2007年07月05日(木曜日)付

 「雑」の字にはいくつもの意味がある。雑種や雑居あたりは色んなものが入り交じる様。雑用、雑音などの含意は、主要でない、余計なというところか。先日公開された国会議員の06年の収入に、雑所得なる項目がある。

 所得の中で、印税、テレビ出演の謝礼、講演料などが、分類しにくいという意味の「雑」に放り込まれている。様々の実入りが合わさった副収入は、雑のすべての意味を併せ持つ。

 所得を報告した衆参710人で、雑所得の稼ぎ頭は安倍首相の2616万円だった。去年出版された『美しい国へ』が50万部を超す売れ行きで、印税が膨らんだらしい。続いて民主党の小沢代表。やはり自著の『小沢主義(イズム)』などで2000万円を稼いだ。

 テレビ出演の収入を報告した議員は82人いた。ワイドショーの常連のような顔も思い浮かぶ。経験や見識より、生放送で気の利いたことを言えるテレビ勘が重宝されるようだ。謝礼は1回数万円が相場だという。

 なるほど、訴える力は政治家の条件だろう。手や口を動かしての収入だから、「雑な所得」も土地売却や株取引よりは労働報酬に近い。ただし、その源泉は肩書だ。上位お二人の本は、与野党の顔でなければあれほどは売れぬ。テレビ議員の大半も、バッジが外れたらお呼びはかかるまい。

 政治資金の中では小遣い銭ほどの額でも、肩書ゆえの収入であれば公の色をまとう。慈善に使う細やかさを政治家に期待するのは、おめでたすぎるだろうか。雑には粗いという意味もある。「雑に消える所得」では寂しい。


【毎日・社説】

社説:水俣病救済 なぜ認定基準を見直さない

 与党プロジェクトチーム(PT)が水俣病の未認定者の新救済策として、感覚障害がある人に、一時金を支払うことを決めた。発症時期によって支給額に格差を設けるとともに、最高でも95年の政治決着時の一時金額である260万円より少なくすることなどがその内容だ。

 水俣病の未認定患者問題をめぐっては、01年4月の水俣病関西訴訟の大阪高裁判決が、メチル水銀中毒の症状を国の基準よりも緩やかに認定した。04年10月の最高裁判決もこれを踏襲した。有識者による環境省の「水俣病問題に係る懇談会」も昨年9月の提言で、被害者をもれなく適切に救済・補償することのできる恒久的な枠組みの構築を求めた。

 いずれも、未認定者は現行の認定基準では救済できないという判断だ。ところが、3日の与党プロジェクトチームの合意では、認定基準はそのままにして、第2次政治決着を目指そうというものだ。とても、戦後日本の公害の原点といわれる水俣病問題の解決に十分なものとは言えない。

 与党が未認定者の救済に乗り出した背景には、関西訴訟の最高裁判決以降、公害健康被害補償法に基づく認定申請者が増えたことがある。6月10日現在、熊本、鹿児島、新潟の3県合計で5207人となっている。また、新たな損害賠償請求訴訟も熊本、新潟で起こされている。

 こうした中で、環境省は今年4月、認定申請者を中心に新たな救済のための実態調査を実施した。それによると、手足のしびれや言葉のもつれがあるという人が90%前後に達した。多くの人が最高裁が認定したメチル水銀中毒である可能性が高いということだ。

 それならば、認定基準の見直しや、新たな認定基準の設定で、できる限り多くの人が法律で救済されるようにすることが、行政や政治の責任のはずだ。これまでの経緯から、現基準では認定申請者の大半の棄却が予想されるからだ。

 95年の政治決着も未認定者の救済が名目だったが、水俣病の全体像を把握することもせず、実態は国による水俣病問題での幕引きに近いものであった。今回、それを繰り返すなら取り返しのつかないことになる。

 昨年11月に亡くなった宇井純元沖縄大教授に学ぶ自主講座が最近、開かれた。70年代に自主講座「公害原論」で国や企業、学者などの責任を厳しく追及した宇井氏の原点は水俣病であった。その宇井氏は公害は終わっていないと生前、力説していた。

 政府は、21世紀環境立国戦略で「公害克服の経験と知恵を生かした国際協力」を掲げている。本当に、公害は克服されたのだろうか。水俣病の被害者救済やアスベスト対策の遅れは一体何なのか。

 一時、ストップしていた水俣病の認定作業も3月にようやく再開された。政府・与党が水俣病問題の全面的な解決を本当に願っているのならば、現行の認定基準にしがみつくことはやめるべきだ。それなしに、最終決着はない。

毎日新聞 2007年7月5日 東京朝刊

社説:海洋担当相 縦割り排除のレールを敷け

 四方を海に囲まれる日本は、領海・排他的経済水域(EEZ)で世界6位の面積を有している。外国との貨物の輸出入は、そのほとんどを海上輸送に頼っており、国民は無類の魚好きでもある。

 海洋国家である日本にようやく海洋担当相が誕生した。冬柴鉄三国土交通相が兼務するが、これを機に典型的な縦割りだった海洋行政の新たな出発点にしてほしい。

 海洋基本法は4月に社民党を除く各党の賛成で成立した。同法は内閣に首相を本部長とする総合海洋政策本部を設置し、副本部長として海洋担当相を置くことを定めている。

 日本の海洋政策は、資源開発は経済産業省、港湾整備、海上警備は国交省、漁業は農林水産省、領土問題は外務省など八つの役所に分担されてきた。

 同法の趣旨は海洋相を司令塔にして海洋政策全般の基本計画を策定することにある。さらに資源開発や水産資源の確保、海洋環境保全、航海の安全確保など現在進行形の問題について政府が統一的に取り組んでいこうというものだ。

 国連海洋法条約が94年に発効したことにより、沿岸国は200カイリに及ぶEEZを設定し海底資源開発などに権利を持った。

 カナダ、米国、韓国、中国などはすぐにこれに反応し関連国内法の制定や海洋政策を統括する担当庁の設置に動いた。これに対し96年に批准した日本は、権限を縮小されることを嫌う役所の消極性もあって対応が遅れてしまった。

 しかし個別の対応では限界が見えてきた。

 06年4月、竹島周辺の海洋調査をめぐり海上保安庁が調査船を出そうとした際、韓国側はこれを拿捕(だほ)する姿勢を見せ両国が緊張する事態となった。また東シナ海のガス田開発は日中間の大きな懸案で出遅れた日本にとっては厳しい交渉が続いている。

 これらの問題では外務省、経産省、国交省などが横の連絡なしに個別に官邸の判断を仰いだりする場面もあった。ガス田開発では、どんな長期戦略のもとで中国と向き合っていくかも明確でない。不審船対策など海の安全の面でも海保と海上自衛隊の連携が常に問題になっている。

 海洋基本法とともに海洋構築物安全水域設定法も成立した。これはEEZ内の採掘施設や人工島などから半径500メートルに安全水域を設定し、国交省の許可のない船の侵入を阻止する目的だ。

 他国から日本の採掘作業が妨害された際、海保がそれを排除するための根拠になる法律だ。これも遅ればせながらの法整備だった。

 海洋担当相が新設されたからといって、縦割りの弊害がすぐに除去される保証はない。総合海洋政策本部という枠組みができただけで、関係省庁の寄り合い所帯だ。

 単に出身省庁の意向を報告しあう場になってしまったら、同本部は有名無実になる。国として、海に関する専門家を育成することも急務だ。初代の海洋担当相はきちんとレールを敷く責任がある。

毎日新聞 2007年7月5日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:昔、目の前で傘を広げると…

 昔、目の前で傘を広げると馬がびっくりするさまを「傘驚き」といい、転じてささいなことでびっくりすることを指すようになる。だがお天気キャスターの倉嶋厚さんは、周囲に気配りなくワンタッチ傘を開いて人を驚かすさまを現代の「傘驚き」と言っている▲開くと、あまりの勢いに自分でびっくりすることがあるワンタッチ傘だ。人ごみでは「傘驚き」どころか、悪くすると他人を傷つけかねないので要注意だ。もともと傘は上に向けてではなく、斜め下に向けて開くのがマナーという話も得心がいく▲傘のマナーといえば、互いの傘が触れないよう、すれ違いざまにさっと相手の反対側に傘を傾ける「傘かしげ」は粋な江戸しぐさの代表だ。周りに迷惑をかけぬ傘の作法をおさらいしたいのは、このところにわかに梅雨らしくなった空模様のせいだ▲各地の渇水のニュースが伝えられ、空梅雨が心配されていた今年だった。だが今月に入って梅雨前線が活発化し、九州などでは局地的な大雨が続いている。気象庁によると7月は平年並みの降水量が見込まれているところが多く、これからが梅雨本番というところも少なくなさそうだ▲だが「荒れ梅雨」ともいわれる梅雨後半から末期は一年で最も集中豪雨の被害の多い時期でもある。そんな水害の被災地の市町長が集まって先日開かれた「水害サミット」では、高齢者の多い山間地域に被災が集中した経験をふまえ、各自治体の防災への新たな取り組みが話し合われた▲とくに65歳以上の高齢者が半数を超える集落では避難誘導もままならないところも多い。雨は地域間格差が生み出す災害弱者をも浮き彫りにする。そこに傘をちゃんとさしかけられないような社会は、その品格とマナーが疑われる。

毎日新聞 2007年7月5日 東京朝刊


【読売・社説】

個人情報保護 「過剰反応」の解決に必要な法改正(7月5日付・読売社説)

 学校や自治会の名簿や連絡網が作れなくなった。企業や団体が当然公開すべき情報の提供を拒否する――。

 こうした個人情報保護法の「過剰反応」問題を解決できるのか、疑問が残る結論である。

 国民生活審議会の個人情報保護部会が過剰反応対策として、法の運用の改善などで対処するとの意見書を内閣府に提出した。焦点の法改正は見送られた。

 過剰反応の多くは、現行法に対する誤解が原因だ。法の周知徹底を図れば、必要な情報は提供される。そもそも過剰反応は一時より落ち着いてきた。

 そうした判断が、現状維持色の濃い意見書につながったのだろう。

 しかし、現実には、過剰反応は各方面に広がり、深刻な影響が生じている。

 高齢者や交通遺児の支援団体は、行政機関などから情報が入手しにくくなり、活動に支障が出ている。学校などの名簿がなくなったため、交流が減り、人間関係が疎遠になった、との指摘も多い。

 部会は、こうした「匿名社会」の実態と問題を軽視しているのではないか。

 5000人以下の情報を扱う団体などは法の対象外のため、通常の規模の自主防災組織や自治会は、名簿を作成する際に規制を受けない。

 人の生命や身体の保護に必要な場合などは、本人の同意なしで情報提供できるとの例外規定もある。例えば、家電製品の欠陥が発覚した場合、修理や回収を行うメーカーに販売店が顧客情報を提供することなどを認めるものだ。

 部会の論議では、公益性が認められる場合なども、この例外規定の対象とするよう法改正すべきだとする意見が出た。だが、意見書は、「法改正の必要性も含め、更なる措置を検討していく」とし、法改正については、今後の課題とするにとどまった。

 個人情報保護法の主たる目的は本来、電話やダイレクトメールによる執拗(しつよう)なセールス活動などに、本人には無断で、情報が悪用されるのを防ぐことだった。

 学校内などでの情報共有や、公益的な活動を行う非営利団体への情報提供までが制限されるのは、本末転倒だ。

 無論、法に対する誤解は解く必要がある。意見書の提言通り、政府は、法の内容に関する広報啓発活動に「最大限の努力」を傾けるべきだ。金融、医療など22分野で35のガイドライン(運用指針)を総点検し、必要な情報が円滑に提供されるよう見直さねばならない。

 だが、それで過剰反応問題が解決されるだろうか。やはり、法改正に踏み込むしかないのではないか。
(2007年7月5日2時2分  読売新聞)

米露首脳会談 戦略的な協調が望ましいが(7月5日付・読売社説)

 二つの核ミサイル大国は、世界の平和と安定を維持する国際的責任をどう果たすのか。

 米国とロシアの関係が冷戦後では最も冷え込んだ中で、ブッシュ大統領とプーチン大統領の首脳会談が行われた。

 米メーン州の別荘で、米大統領は父親の元大統領ともども、ロシアからの賓客を手厚くもてなした。対立よりは協力が必要な相手と見ているからこそだ。

 首脳会談の焦点はミサイル防衛(MD)システムの欧州配備問題だったが、米露の溝は埋まらなかった。

 米国は、欧州でのMD構築の第一歩として、チェコにレーダー、ポーランドに迎撃ミサイルを置く計画だ。核開発を進めるイランが、2015年には欧州全域を射程に入れる長距離弾道ミサイルを開発する、との予測が前提にある。

 ロシアは、旧ソ連時代の勢力圏で米国が進めるMD計画には強硬に反対している。ただ、対案を示す姿勢に転じるようになったのは一歩前進だ。

 プーチン大統領は今回も、アゼルバイジャンの露軍レーダー基地の近代化や、ロシア南部に新設するレーダー施設の米露共同利用などの追加提案をした。その上で、改めてチェコとポーランドへのMD配備を撤回するよう求めた。

 ブッシュ大統領は提案を引き続き協議するとしたものの、計画に変更はないと明確に伝えた。

 米国内には、MDの精度に対する疑問から東欧配備への反対論がある。ロシアが様々な提案を繰り出す背景には、協議によって時間稼ぎし、米国の変化を待つという計算もあるのだろう。

 待ったなしのイラン核開発問題について、米露首脳は明確な合意には至らなかったようだ。

 イランは、ウラン濃縮の中止を求める国連安全保障理事会の2度にわたる制裁決議を無視して核開発を続けている。

 この事態にどう対処するのか。安保理では、イランの船舶・航空機の貨物検査や、金融資産凍結など制裁強化決議案の検討も開始されようとしている。

 国連安保理常任理事国の米露が一致した歩調をとれないのであれば、イランの核開発に歯止めがかかるはずがない。イランに経済権益を有するロシアは、中国とともに制裁強化には慎重だ。

 だが、これ以上、イランがウラン濃縮を進める事態を許してはならない。米露は核大国として、核不拡散のために実効性ある行動をとる責任がある。米露主導で有効な対策を講じるべきだ。

 米露の戦略的な協調は、北朝鮮の核廃棄を目指す6か国協議でも重要だ。
(2007年7月5日2時2分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月5日付 編集手帳

 経済人や学者などからなる日本の使節団が米国の主要都市を訪ねたのは1955年(昭和30年)の秋である。ロサンゼルスで街を包む深い霧に出合った◆自動車の排ガスであると知る。農業経済学者の東畑精一氏は帰国後に綴(つづ)った「アメリカ資本主義見聞記」のなかで、この霧が米欧でスモッグと呼ばれていることを伝え、「…一種の『自動車病』といわねばなるまい」と書いている◆同じ年に出た「広辞苑」初版に「スモッグ」はまだ収録されていない。編纂(へんさん)した国語学者の新村出(しんむらいずる)氏に“反省”の歌がある。「広辞苑ひもとき見るにスモッグといふ語なかりき入るべきものを」。それから半世紀、自動車病が日本の都市に根をおろして久しい◆東京大気汚染訴訟で原告のぜんそく患者、被告の国、東京都、首都高速道路会社、自動車メーカー7社がそろって東京高裁の和解案を受け入れた。提訴から11年という長い歳月を経ての全面和解である◆誰かひとりでも「われ関せず」を押し通せば、解決は成らなかった。これから日本の都市が美しい空気を取り戻していく上で、国や自治体、自動車業界が心をひとつにしたことの意味は小さくなかろう◆「スモッグを毒霞(どくかすみ)とも呼ばんとす」とは作家、佐藤春夫の句である。和解が自動車病という毒霞に別れを告げる旅の始まりになればいい。
(2007年7月5日2時3分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】英連続テロ 防止対策を参考にしたい

 ブレア政権からブラウン新政権に移った英国で、連続爆弾テロがあり、市民に衝撃が走っている。

 犠牲者が出なかったことは、幸いだった。英政府は、テロ警戒のレベルを最高度に上げ、全土で厳戒態勢を敷いて再発防止に努めている。

 捜査も急ピッチで進み、すでに多数の容疑者が身柄を拘束されたという。これだけの大がかりな事件で、警察当局が間髪を入れずに容疑者を逮捕できたというのは、驚きである。英国捜査当局のテロリストに対する情報収集能力の高さを示すもので、日本のテロ対策にも参考となろう。

 ロンドン警視庁によると、容疑者はいずれも外国出身の医療関係者で医師も含まれている。国際テロ組織アルカーイダと関係があるグループとの見方をしている。

 発生から3日しかたっていないのに、ある程度犯行グループを割り出し、容疑者逮捕に結びつけたのは、全土に約400万台も設置した監視カメラ(防犯カメラ)の存在が大きい。警察当局や情報機関・通称MI5は、カメラの映像分析などから、容疑者を次々と割り出している。

 英国では、一昨年7月にロンドン中心街で地下鉄の駅や路線バスで同時多発テロがあり、多数の犠牲者を出した。ここでも、爆破犯検挙に監視カメラが威力を発揮した。

 また、昨年8月には複数の航空機を狙った爆破テロ未遂事件が発覚した。未然に防止できたのは、英国の治安当局が外国の情報機関と緊密に連携、情報交換したことなどによる。

 アルカーイダなど世界的規模のテログループから事件を未然に防ぐには、各国情報機関との情報の共有と協力体制の強化が極めて重要である。

 犯人検挙には防犯カメラの重点配置も有力だ。まだ、日本にはプライバシー保護を強調するあまり、設置をためらう風潮がある。しかし、ある程度の犠牲を払わねば治安は守れない。

 アジアとの経済連携強化により、激しくなる人の移動を前提とした法整備も喫緊の課題だ。外国人犯罪防止の面からの入管法の一層の充実が必要だし、さらにスパイ防止法、盗聴法、おとり捜査なども有効な捜査手法の観点から真剣に論議したい。

(2007/07/05 05:02)

【主張】現業地方公務員 許されぬ常識外れの高給

 法外なヤミ手当の横行など地方公務員の不透明な給与体系に納税者の厳しい目が向けられているが、清掃員や運転手など現業職員についても、常識はずれの高給が支払われている実態が総務省の調査で明らかになった。

 調査は平成18年4月時点での全国47都道府県、15政令指定都市の清掃職員、学校給食員、用務員、運転手、守衛、電話交換手など計7業種について行われた。この種の全国調査は初めてであるが、その内容には改めて驚かざるを得ない。

 民間企業の同じ職種に比べ、平均月給で1・40倍から1・87倍、ボーナスも含めた年収ベースで実に最大2・14倍の給与が支払われていた。守衛業務で月給60万円超の職員もいた。

 多くの地方自治体が財政難にあえぎ、北海道夕張市のような財政破綻(はたん)も懸念される自治体が少なくない中で、信じがたい大盤振る舞いである。

 背景に、税金を使うコスト意識に乏しい地方自治体独特のなれ合い的労使慣行が指摘されている。首長が選挙の集票マシンとして職員組合を利用し、見返りに職員の待遇アップで応えるという構図も地方では珍しくない。

 現業職員の給与は人事委員会の勧告による一般行政職と異なり、労使間の労働協約で取り決める。そのことも不透明な給与体系をもたらす要因になっている。組合側は民間同業種との比較より、一般行政職とのバランスを優先するよう求め、これを自治体側も安易に受け入れるケースが多いからだ。

 技能労務職と位置付けられる地方公務員の現業職員は、年々減少傾向にはある。平成18年度末で約300万人とされる全国の地方公務員に占める現業職員は約19万人で、30年前に比べれば半減した。

 しかし、だからといって民間との著しい給与格差を放置する理由にはなるまい。なにより、こうした現業部門を公務員職として維持する必要があるのかどうか。業務によっては民間委託を積極的に進める必要があろう。

 総務省は近く菅義偉大臣名で、給与情報の開示と給与体系の見直しを含めた総点検を行うよう各自治体に求める方針という。当然のことである。各地方自治体も実態を真摯(しんし)に受け止め、早急な改善につとめるべきだ。

(2007/07/05 05:01)

【産経抄】

 日本の政治家は、有権者の気持ちを忖度(そんたく)する名人であると思っていた。農民の心をつかむために泥田に入るし、銭湯で人の背中を流した都知事候補もいた。評論家の渡部昇一氏によると、「忖」という字のツクリは、1寸、2寸の長さを測ることだし、人の心を推し量るからわざわざリッシンベンをつける。

 ▼いまや、政治家の器量も地に落ちて、心中を忖度することが驚くほど下手になった。久間章生前防衛相による原爆投下は「しょうがない」発言がそれだ。被爆で肉親を亡くした広島、長崎の人々が怒るのは当然だし、頭を抱える人も多かった。

 ▼参院選の前だから自民党のお歴々も迷惑顔だ。民主党の小沢一郎代表が先に、原爆投下について米国に謝罪を要求すべしと安倍晋三首相に迫ったことに反応してしまったのか。久間氏が忖度の人ならば、こうやすやすと小沢氏の術中にはまることはなかった。

 ▼原爆を落とした米国でさえ、「寝た子を起こすな」と迷惑だろう。当時の「罪なき30万の市民の全部を挙げて之(これ)を地獄に投ず」(加瀬俊一スイス公使)という怒りの再燃を引き起こしかねない。日米の信頼関係を損なうだけで有害無益だ。

 ▼いまの日本が、米国の「核の傘」に依存しながら、「しょうがない」発言を非難できるのかとの論評がある。体を張って敵から守ってくれている相手に、60年前のあやまちへの謝罪要求はしにくい。でも、過去のことだから「しょうがない」とまでは思わない。

 ▼米大統領補佐官だったライス氏が国務長官に転じたように、小池百合子首相補佐官が防衛相に起用されたことは悪くない。そこで、新防衛相には次の言葉を贈りたい。

 他人ニ心アリ、ワレコレヲ忖度ス(詩経・小雅)

(2007/07/05 05:00)


【日経・社説】

社説1 歳出削減の徹底を迫る税収予算割れ(7/5)

 2006年度の国の決算で、一般会計の税収が昨年末に組んだ補正予算額に比べて1兆4000億円足りなかった。税収自体は前年度並みの49兆700億円と高水準だが、増収の見通しが狂えば財政健全化の道筋は厳しくなる。参院選を目前に控えて歳出削減の努力は緩みがちだ。財政規律をいま一度徹底すべきだ。

 国の税収が予算額を下回る「税収不足」は02年度以来だが、経済環境は一変している。4年前は株安や景気低迷で税収が当初予算を3兆円下回る43兆円台に落ち込んだ。今回は順調な景気のもと、財務省が補正予算で税収を4兆6000億円も増額したのが過大だった。税収は当初予算を3兆2000億円上回っており、増収基調に変わりはない。

 財務省は税収が予算割れとなった理由について、株式譲渡益や配当に伴う所得税が伸び悩んだことと、企業の払う法人税が9月中間期時点の見込みほど伸びなかったことの2点を挙げた。税収の補正予算額は07年度予算の土台にもなっており、精度を欠く見積もりは将来の予算編成にも影響を及ぼす。手法が適切だったかどうか、財務省は入念に再検証すべきである。

 一般会計決算では1兆8000億円余りと過去最大規模となる歳出の使い残し(不用)が出た。長期金利が低い水準だったことで国債費が8700億円も浮き、好景気や雇用改善で予備費の支出や雇用保険の国庫負担も当初見込みより少なかった。これで税収不足を穴埋めできた。

 今年度に入って利払い費を膨らませる長期金利の上昇が始まるなど、財政の厳しい状況は変わらない。だが、参院選を前に、年金記録問題などの逆風で苦戦が予想される与党側から、地域活性化策などへの財政支出を求める声が強まっている。

 安倍晋三首相は「最大限の歳出削減を」と指示を出したものの、削減幅の決定は選挙後に先送りした。公共事業の入札改革などコスト抑制の余地はなお大きい。歳出削減の手を緩めてはならない。

 政府は11年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字をなくす、つまり政策実行の経費は税収や税外収入の範囲内でまかなうことを目指している。政府・与党内には経済成長による税の自然増収で目標達成が可能とする意見と、増税が必要だとする意見があり、税収不足が増税論議を再燃させる可能性もある。その場合でも歳出削減の努力を尽くさない限り、増税に対する国民の理解は得られないという基本認識を見失ってはならない。

社説2 白書が示すIT産業の内弁慶(7/5)

 総務省が2007年版の情報通信白書を公表した。新たにマクロ分析を導入し、IT(情報技術)を活用すれば日本の実質国内総生産(GDP)成長率を1%程度押し上げられると指摘した。ただ日本のIT関連製品の国際シェアは10年前に比べ著しく低下しており、情報通信産業の内弁慶ぶりが明らかになった。

 今年の白書のテーマは「ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開」。いつでもどこでも情報を得られるユビキタス情報社会の到来により、日本のインターネット利用人口は約8750万人に達した。中でも60歳以上の高齢者層の利用が大きく伸びているという。

 マクロ分析ではITの浸透度を表す「ユビキタス指数」を設け、ITの活用により、実質GDP成長率を07年から10年にかけ、約2%を約3%に押し上げることが可能だと推計した。従来のインフラ整備重視の視点に対し、情報化の効用に着目した点は評価できる。

 白書はITが日本経済の効率を高めると主張する一方、産業としての国際競争力の低下にも言及した。日本の情報通信産業の市場規模は名目で約94兆円。自動車を上回り、全産業の1割を占める。過去10年で約2倍の規模に拡大した。

 ところがIT製品の国際シェアを見ると、ノートパソコンが37%から27%、携帯電話は33%から11%へと低下。韓国や中国などの追い上げで、53%あった液晶パネルも12%、DVDプレーヤーは77%から19%へと縮小した。

 この背景には国内に偏重した日本の市場構造が見逃せない。英ボーダフォンやドイツテレコムなど欧米の通信会社は海外売上比率が高いのに対し、日本企業はほとんどが国内。放送事業も同様だ。ネットワーク機器はもともと国際シェアが低く、端末についても国内優先の販売体制が海外展開を遅らせている。

 欧米では米アップルが携帯電話を発売したり、英ロイターとカナダのトムソンが合併するなど、国境や事業領域を超えた国際展開が加速している。日本が世界で存在感を失わぬようにするには再び海外市場へ目を向ける必要がある。今年の白書にはその自覚を迫る問題提起がある。

【日経・春秋】(7/5)

 防衛相の首がすげ替わっても、世間の、特に長崎市民の怒りは簡単におさまりそうもない。被爆国日本が絶対に譲れない一線を、舌の滑りに任せて、いとも簡単に越えてしまう無残な軽さ。内閣の「ゆるみ」が、浅慮と浮薄なものいいを誘っているのだろうか。

▼梅雨空の下、木下闇に映えてにじむようなアジサイの花群れは、軽佻(けいちょう)な華やぎとは対極にある。そのアジサイを長崎は市の花にしている。出島のオランダ商館に滞在したドイツ人医師シーボルト。彼は最愛の妻楠本滝(お滝さん)の名から、アジサイに「オタクサ」という学名を付けようとしたという逸話がある。

▼シーボルトがオタクサと呼んだのは、半球形に大輪の花がつく園芸品種のいわゆるアジサイ(本アジサイ)で、原種のガクアジサイは、ただのアジサイとした。どちらも今は学名としては使っていないが、長崎ではオタクサが通用する。アジサイの花言葉は「移り気」。しかし、長崎では変わらぬ夫婦愛の証しだ。

▼初夏のドイツでガクアジサイのみごとな群落に出合ったことがある。ルール地方の小さな町。サッカー日本代表のユニホームの色、鮮やかなサムライブルーが目に染みた。シーボルトが持ち帰った株の末裔(まつえい)と思いたい。アジサイも核廃絶も、長崎は、日本から世界へ開いた窓であり続ける。


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