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2007年7月22日 (日)

7月22日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月22日朝刊)

[拉致問題]これでいいのか打開策

 この一年余りの間に、外務省の大使経験者や北朝鮮問題に詳しい防衛省の専門家、大学の国際政治研究者から、それぞれ別個に拉致問題について聞く機会があった。残念ながら誰一人として解決の道筋を示してくれず、解決の展望が見えないという否定的な声だけが共通していた。

 拉致問題をめぐる現在の状況は、ことほどさように厳しい。

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の合間に開かれた日朝協議でも拉致問題の進展はなかったようだ。

 北朝鮮は、非核化に向けた「初期段階措置」として寧辺など国内の核施設の稼動停止・封印に応じた。これを受けて開かれた今回の首席代表会合は、核計画の完全な申告や無能力化など「次の段階の措置」をどうするかが主要な議題だった。

 会合は八月末までに五つの作業部会を開き、九月の本会合で「次の段階の措置」に関するロードマップ(行程表)をまとめることで合意した。履行期限の設定など目に見える形の具体的な進展はなく、当面の日程を確認するだけにとどまったわけだ。

 五つの作業部会の中には米朝国交正常化部会、朝鮮半島非核化部会などのほか日朝国交正常化部会が含まれている。この部会が、拉致問題を話し合う舞台となるが、「拉致問題の進展なくしてエネルギー支援なし」との方針を貫く日本側と、「核問題は解決済み」との基本姿勢を崩さない北朝鮮側との溝は深い。

 北京からの報道によると、「拉致問題」を持ち出した日本側に対し、北朝鮮側は「過去の清算」を持ち出し、平行線のままだったという。

 日朝協議がもたついている間に米朝の二国間協議が進み、日本側が置いてきぼりを食う可能性もある。実際、今回の首席代表会合でも米朝の接近ぶりが目立ったという。六カ国協議における日本の存在感は薄らぐ一方だ。

 キッシンジャー外交で米中が日本の頭越しに国交を正常化したあの悪夢を思い出すのは杞憂だろうか。

 作業部会が再び「拉致問題」と「過去の清算」の応酬の場になり、議論がそこにとどまっていれば、展望は開けない。

 安倍政権の強硬策が果たして効果的なのか。従来の路線を踏襲するだけの姿勢で果たして事態の打開ができるのか。そのこともあらためて問い直さなければならないと思う。

 譲れないものは何か、どこまでが譲れる範囲か。話し合いの進展に向けどのようなプロセスを思い描いているのか—政府の考えが伝わってこない。

[留学生受け入れ]チャンスを生かす施策を

 アジア・太平洋地域を対象にした留学生受け入れの拠点として、沖縄の役割が重要度を増してきた。

 移民県である沖縄は、世界各地からその子弟を受け入れ、交流を続けてきた。世界のウチナーンチュ大会の開催を通じて、ネットワークがさらに広がりつつある。

 また、国際協力機構(JICA)の沖縄国際センターがあり、毎年、海外から多くの技術研修員らを受け入れている。

 そういう実績がある上に、国際交流の推進を掲げる沖縄にとって、留学生受け入れの制度的支えとなりそうなのが、政府の「アジア・ゲートウェイ構想」である。拡大する世界の留学生市場で、受け入れシェア現行5%程度の確保などを盛り込んでいる。

 さらに、アジア十五カ国の若者が沖縄に滞在して交流するという内閣府が進める「アジア青年の家」事業がある。約百五十人を募集し、二〇〇八年夏に始める予定だ。

 約一カ月、共同生活で科学技術や情報技術(IT)を学習する事業は、沖縄科学技術大学院大学との連携も想定している。

 県は、アジア・太平洋地域における国際交流・協力拠点の形成を県政運営の一つに掲げているだけに、二つの政策、事業は格好の追い風になる。

 県は、日本がアジアと世界の懸け橋を目指すアジア・ゲートウェイ構想の拠点形成の取り組み方針を決めた。重点五分野の中の「高度人材ネットワークハブ形成」として、「留学生等の受け入れや青少年交流の推進」を盛り込んでいる。

 県には、脈々と築き上げてきた海外とのネットワークがある。沖縄科学技術大学院大学も開学する。日本の“南の玄関”としての地の利も生かせる。

 そういったメリットを加味しながら、魅力のある受け入れ態勢を築くための施策を早急につくる必要がある。世界を結ぶネットワークが形成されることを、沖縄にとって絶好のチャンスととらえたい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月22日 朝刊 1面)

 テストは自らの達成度を確かめるもの。能力の状態や度合いを試すものだ。昨年四月の東京都足立区の学力テスト。区西部の公立小の校長らは児童の答案用紙を指さして誤答に気付かせるなどしていた。しかも不正行為は学校ぐるみだった。

 テストは子どもたちのためではなく、校長らの保身と学校評価を高めるためだけのものだった。教科に対する理解を深め、高得点を目指し、徹夜で机に向かう。ヤマを張る。誰しもが経験している。

 ところがくだんの小学校では、テストに傾向があることをいいことに校長は、回収しなければならない問題を不正にコピー、何度も児童に練習させていた。解答を覚える児童まで出たという。本末転倒以外の何物でもない。

 極め付きが「トントン」。児童に間違いを分からせようと、答案用紙を指でたたいたのだ。肩トントンなら聞いたことがあるが…。インチキは良くない。曲がったことはするな。当たり前の道理で、校長もそう教えてきたはずだ。何が校長を変えたのか。

 「トントン」された子どもたちは、この行為をどう受け止めたのだろうか。大人がどれだけ立派なことを言っても「きれい事」と片付けてしまうのではないか。

 営業成績のごとく学校間を競い合わせる教育システムに問題の根底があるはずだ。お上から学校現場に下ろされる成果主義の徹底はすさまじいのだろう。主人公であるべき子どもたちは置いてきぼりだ。(崎浜秀也)


【琉球新報・社説】

6ヵ国協議閉幕 非核化の流れを確実に

 北朝鮮の非核化を目指す6カ国協議の首席代表会合は、最大の焦点だった「次の段階」となる核施設の無能力化や、すべての核計画申告の手順、履行期限の明示が、プレスコミュニケに盛り込まれないまま終わった。一方、日本が重視している拉致問題については、日朝会談が実現したにもかかわらず依然、進展を見せていない。拉致、核問題のいずれを取っても先行き、楽観は許されない状況だと言っていい。
 コミュニケでは北朝鮮が、すべての核計画の完全な申告、すべての既存核施設の無能力化の約束を「真剣に実施する」とあらためて述べたことを明記した。これを見る限り、核放棄の流れは一応、進んだといえる。しかし、申告の手順やその履行期限については、明らかにしていない。なのに、無能力化の見返りとして95万トンの重油に相当するエネルギー支援を実施することは明記された。
 コミュニケではまた、日朝、米朝国交正常化や、朝鮮半島非核化、経済とエネルギー協力などの5つの作業部会を8月末までに開催することも明記した。さらに、次回6カ国協議は9月初め、その後できるだけ早い時期に6カ国外相会合を開くことも盛り込まれた。
 「初期段階措置」として、寧辺などの核施設の稼働停止と封印は、2月に合意していた。この時点で、北朝鮮の非核化プロセスは、「次の段階」に向けて弾みをつけることが期待されていた。
 だが、次の措置である履行期限が決められなかったことで、今後予定されている作業部会などでの協議が難航する恐れも出てきた。実際、2月の6カ国協議合意では、初期段階措置について60日以内の履行期限を設けていたが、北朝鮮資金の送金問題で、約3カ月も遅れている。
 そのほかにも、米朝の対立がさまざまな局面で出てくることが予想される。例えば、すべての核計画の申告に関しては、まず、今回の核危機の発端となったウラン濃縮による核開発疑惑だ。米国は申告の対象としているが、北朝鮮はそもそもウラン濃縮否定の立場を変えておらず、申告に応じるか不透明というのが現状だろう。
 一方、日朝間の最大の懸案である拉致問題については、見るべき進展はなかった。日朝首席代表会談に関し、日本側は「(拉致問題を含めた)懸案問題解決に努力することで一致した」としているのに対し、北朝鮮側は「(拉致問題は)朝日関係はもちろん、6カ国協議にも危機が訪れている」と真っ向から批判する。

(7/22 10:44)

増える少年補導 まず家庭でしっかり対策を

 少年補導が最悪ペースで推移している。県警の調べによると、2007年上半期に補導された少年は延べ1万8172人で、前年同期の1万7237人より5・4%(935人)増加しているという。このままだと、年間補導件数で過去最悪を記録した昨年の3万7860件を上回る見通しだ。
 また、上半期に摘発・補導された刑法犯少年は1013人で、前年同期比で6・9%(75人)減った。しかし、うち中学生が62・6%を占めるのも深刻な事態だ。これは全国最悪という。ちなみに、昨年1年間、刑法犯で摘発・補導された少年は2063人で、中学生の占める割合はやはり6割強に上る。非行の低年齢化・凶悪化を示す一例といえる。
 県内の小中高校では、ほとんどの学校で夏休みに入った。これまでの傾向から、1学期は何でもないのに休み期間中に非行化し、補導される少年が増えるという。従って、休み期間中の少年対策をしっかり取ることが、非行防止の1つの手だてとなろう。
 折しも、7月は「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」。各地でさまざまな行事が予定されているが、20日には全国非行防止大会沖縄大会も開催された。県内では初めてとなる。全国から2100人の関係者が参加、学校、地域、家庭が一体となって、すべての大人が協力して問題に取り組むことを申し合わせた。また、県警も夏休み期間中の少年非行を防ごうと21日から8月31日まで、対策活動を強化する。
 長い休みは、ついつい気も緩みがちになる。不良行為が増えるのも、この時期の特徴だ。不良行為とは喫煙や飲酒、深夜はいかい、不良交友など。少年補導の中でも最も多い。上半期の補導全体のうち、深夜はいかいが9290人。以下、喫煙が5503人、飲酒が1709人と続く。
 子どもたちがこうした行為に走るのも、やはり家庭に居場所がないからだろう。この時期だからこそ親子のしっかりとした対話が必要。地域、学校の役割は重要だが、やはり基本となるのは家庭だ。

(7/22 10:42)

【琉球新報・金口木舌】

 「沖縄のロゼッタ・ストーン」と呼ばれる石をご存じだろうか。北谷から読谷にかけての一帯で見つかった年代不明の「線刻石版」のことだ。船などをかたどったようなものが刻まれているが、いまだに解読されていない
▼嘉手納町中央公民館の民俗資料室で実物を見たことがある。どんな人がいつ、この線を刻んだのだろうか。古代琉球固有の文字との説もあるだけに、想像をかき立てられた
▼先ごろ3万7千年前の人骨・山下町洞人が国内最古の「新人」と発表された。人骨は1万年もたつと酸化して溶けてしまうが、隆起石灰岩で覆われた沖縄は、人骨が化石化するため、古い時代の人骨を発見できる貴重な環境にある
▼19日付で琉球・沖縄史に関する県内高校生の知識不足が報道された。一部の教師が熱心に取り組んでいるが、県全体として体系的に教育していない以上、子供たちだけを責めるわけにはいかない
▼例えば港川人と現代人はつながっているのか。沖縄には未解明のことが多い。裏を返せば足元に「宝」が数多く眠っていることになる
▼地元の歴史をきちんと教えることは、宝を発掘する人材を育てることにもなる。かの石版の謎も、いつの日か解明できるかもしれない。

(7/22 10:40)


【東京新聞・社説】

週のはじめに考える 地球時代の処世訓

2007年7月22日

 社訓が飾り物になっていませんか。不祥事の多発を受け企業コンプライアンス(法令順守)が叫ばれていますが、必要なのはグローバル時代を生き抜く処世訓です。

 グッドウィル・グループ(GWG)のホームページに次の「十訓」(一部略)が掲載されています。

一、お客様の立場にたて

一、夢と志を持ち、チャレンジせよ一、困難の先に栄光がある

一、物事の本質を見抜け

一、公正に判断せよ

一、積極果敢に攻めよ

一、変化をチャンスと思え

一、自信、謙虚さと思いやりを持て一、笑顔と共に明るくあれ

一、正しくないことをするな
通用しない家訓の徳性

 GWGは、介護報酬の過大請求などが発覚して身売りに追い込まれた介護大手コムスンの親会社です。

 十訓は、人材派遣を原点に事業拡大したベンチャー企業らしい自己実現の教えや戒めですが、不正が表面化した今では少々興ざめします。

 次の伝統的な家訓と見比べてください。三菱財閥の創立者、岩崎弥太郎が遺(のこ)した家憲です(第一勧銀経営センター編「家訓」から抜粋)。

・決して投機的の事業を企つる勿(なか)れ

・奉公至誠の赤心は寸時も忘る可(べ)からず

・勤倹身を持し慈恵人を待つ可し

・能(よ)く人格技能を鑑別し適材を適所に用いよ

・部下を優遇し事実上の利益は成る可く多く彼等(かれら)に分与す可し

 投機の戒め、社会奉仕、従業員の優遇など、経営者の心構えとして現代でも十分通用可能な教えだと思われる方も多いのではありませんか。

 儒教倫理が色濃い時代ですから、岩崎家に限らず古い商家、富豪の家訓を貫く徳目は、仁・義・礼・智・信であり、従業員に対しても勤勉、倹約、正直、礼儀、創意、信用といった徳性を求めています。
法令順守では足りない

 でも、この十数年で様変わりしたようです。額に汗して働いた勤労の成果が、報いられるとは限らなくなりました。家訓が奨励する日本人の徳性や、相互信頼に基づく日本社会の強さが、容易には発揮できない経済の仕組みがやってきたからです。

 経済のグローバル化です。市場競争原理が導入され、種々の規制緩和や情報通信革命によって世界的大競争の時代に突入したのです。

 これに伴い、日本型資本主義の原動力だった終身雇用制が崩れ、パートや派遣など雇用の流動化が激しくなりました。同時に格差問題が深刻化したのは周知の事実でしょう。

 さらに、利益至上主義を反映して企業の不祥事発覚も相次ぎました。一審で有罪判決の出たライブドア、村上ファンド事件をはじめ、ゼネコンの官製談合、ごまかし契約勧誘の「駅前留学」NOVA、食品偽装のミートホープなど、私益優先の無責任企業が続出しています。

 規制緩和により行政主導の護送船団方式が廃止され、事前規制型から事後制裁型社会へ転換したことや、情報公開制の進展で隠ぺいが難しくなったという背景があります。これもグローバル化の断面といえます。

 だからでしょう。コンプライアンスが大盛況です。規範意識の徹底を図る組織が増えたのです。

 でも、法令さえ守っていればよしという姿勢は事なかれ主義になりかねません。社会貢献という視点を見失うからです。「売り手よし、買い手よし、世間よし」。必要なのは、この近江商人に伝わる「三方よし」の精神の現代版かもしれません。

 先日の公開講座で同志社大ビジネススクール教授の浜矩子さんが、個人の生き方も含め新時代にふさわしい処世訓のヒントを示してくれました。

 まず、浜さんはグローバル化で生じる三つの側面を指摘します。

 最初の側面は、地球の裏側の人々の参入で物価も賃金も最下位競争を強いられ、結果的に国内外で各種格差が拡大することです。二つ目は、単一で共通の尺度を用いる競争社会の成果主義がもたらす単純化と画一化です。三つ目は、統合ドイツのように旧西独と東独の人々が経済格差から反目し合う排除の表面化です。融合が融和につながらないのです。

 こうしたグローバル時代を生き抜くために、浜さんは「一つの心意気と四つの条件」を提唱します。

 四つの条件とは(1)体力(2)知力(3)愛敬(あいきょう)(4)度胸。体力とは経済力、知力とは創造力です。愛敬は、外の人と付き合う心の豊かさであり、度胸はその背後にある胆力です。米国はイラク戦争など変な度胸はあってもほかは失格、日本は体力、知力はあっても愛敬と度胸に欠けるそうです。
一人はみんなのために

 心意気とは「一人はみんなのために、みんなは一人のために」。ラグビー用語として知られます。

 意味するのは、格差や画一化、排除ではなく、平等や多様性、寛容、融和を目指そうという気概です。家訓や社訓のように創業家、一企業のための教え、戒めではありません。新しい地球時代の国や組織、人々の指針、処世訓となり得るものです。

【東京新聞・筆洗】2007年7月22日

 歌を聴いている人の琴線に触れているのだろうと思える時間だった。♪嘘(うそ)だと言ってください/あなたが死んだなんて/二十年ぶりの同窓会…。長崎で被爆した男と女。愛すればこそ迷惑をかけられないと、女は何も言わずに男の元を去る。でも男は再会を約束した同窓会を前に白血病で死ぬ▼題名は「嘘だと言ってください」。二十五年ほど前、茨城県つくば市に住む長崎出身の鶴文乃さんが作った詩に、同郷で知人の歌手寺井一通さんが曲をつけた▼鶴さんは四歳のときに被爆し、父と兄を失った。作詞当時は体調を崩しており、自分も子どもを残して死ぬのかと思っていた。そんな時、中学時代の同級生が白血病で死んだことを知る。突き動かされるように詩を書いた▼歌をめぐる物語はこれで終わりでもおかしくない。でも長崎で細々ながら歌い継がれ、二年前につくば市でコンサートが開かれた。その縁から、父を戦争で失っている林順子さんが歌を広める会をつくり、今年は二度目のコンサートを会主催で開いた▼会場には愛知県瀬戸市に住む田中妙子さんの姿があった。大学生活を送った広島で、慕ってくれた子どもが白血病で死んだことが還暦の今も忘れられない。来年は自分たちが歌で平和の大切さを伝えたいと思っている▼鶴さんは「だめもと」の精神で「平和の鐘、一振り運動」に取り組んでいる。八月九日午前十一時二分、長崎の悲劇を忘れないために教会や寺などで鐘を鳴らそうとの呼びかけで、賛同者は徐々に増えている。思いはいつか通じるのだと実感する。


【河北新報・社説】

原発耐震性の危機/小手先の対応は許されない

 原子力発電所の地震への備えがこれほどずさんだったとは、がくぜんとしてしまう。
 新潟県中越沖地震に見舞われた東京電力の柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)で、火災や放射性物質の放出など多くのトラブルが明らかになった。
 原発の地震被害としては最悪のケースだが、そもそも地震を引き起こした断層が原発の真下まで延びていた可能性があるというのだから、危険極まりない。事実なら、地震による被害を防げという方が無理だろう。

 深刻な被害をもたらした原因を根本的に解明するのが絶対に必要だし、今後の安全性が保証されない限り運転再開はあり得ない。どんな地質データを集め、断層の評価を行ったのかについても十分に説明する責任がある。

 原発の耐震性が信頼できるのかどうかについては、以前から疑問が出されていた。建物は壊れなかったが、設計段階で想定した最大の揺れよりも実際の地震による揺れが大きくなるケースがあったためだ。

 東北電力の女川原発では2005年の8.16宮城地震(マグニチュード=M=7.2)の際、「限界地震」を超える揺れが観測された。国内の原発では初めての事態だった。
 原発建設に当たっては実際には起こりえないような地震を想定し、それでも壊れないように設計する。念には念を入れてということだが、計算した結果、一部の周期で限界地震の揺れを上回っていたことが判明した。

 今年3月の能登半島地震(M6.9)でも、北陸電力の志賀原発で限界地震を超える揺れになっている。今回の地震で被害を受けた柏崎刈羽原発でも超えてしまった。

 限界地震は「M6.5クラスの直下型地震」などが目安になっているが、最近はより大きな内陸直下型地震が相次いでいるし、中越沖地震も6.8に達している。想定した地震の規模が既に意味を失っていると言っていい。

 原発の耐震指針は昨年改定され、それぞれの立地条件に合わせて想定地震を決める方式になった。電力各社は現在、新指針によって耐震性を再点検中だが、原発周辺の断層を漏れなく突き止め、その危険性を正確に評価できるかどうかが重要なポイントになる。

 東電はもちろん、柏崎刈羽原発周辺の地質を徹底して調べ直さなければならない。自ら調査するのではなく、断層や防災の外部の専門家に委ねるべきだ。本当に原発直下に断層があり、近い将来にまた地震を起こす可能性があるようなら、かなり深刻な事態になる。

 立地条件としては最悪と言ってよく、仮に大規模な耐震補強を行うにせよ、基本的な安全性に大きな不安を抱かれるのは当然だ。
 原発の耐震性に対する国民の関心は高い。世界有数の地震国であれば当たり前のことだ。柏崎刈羽原発のような被害が現実になった以上、どこの原発であっても、中途半端な安全対策はもはや信用されない。
2007年07月22日日曜日

【河北新報・河北春秋】

 仙台市の緑化行政はどうもちぐはぐだ。湿った半日陰を好むモチノキを人口100万人達成の記念に、日当たりのいい市役所前庭に植えたことがある。当然、ほどなく枯れた▼街路樹のトウカエデの葉が市内の全域で黄変したことがある。なぜか市は樹木の病気と思い込んだ。薬剤を散布したり枝を切ったりした。原因は単なる水不足だったことが後に分かる

 ▼ 今回は地下鉄東西線工事に伴う青葉通のケヤキをめぐる迷走だ。当初、223本のうち50本の撤去が必要だった。市は全部を移植する方針を示したが、実に多くの市民が反対して計画撤回▼年老いたケヤキを移植しても残念ながら多くが枯れてしまう。高額な移植経費も問題だ。常識で考えてみれば、結論は言わずもがなだったろう。かわいそうでも、やはり伐採が妥当な選択だ

 ▼市が委嘱した杜の都の環境審議会にも責任がある。というのは、過去に移植したケヤキの多数が枯れ、それを表ざたにするなという意見が委員から出ているからだ。事実を隠され、市民は蚊帳の外に置かれた▼おかげで2度も市民アンケートを行うなど痛い授業料を払った。ただし維持管理に法外な費用がいらない緑化を考える契機にはなったか。ちぐはぐぶりを解消するためにも今後は市民がオープンに議論できる場をぜひ。

2007年07月21日土曜日


【京都新聞・社説】

投票時間  繰り上げは慎重にして

 二十九日投開票の参院選では、投票締め切り時刻の繰り上げが大幅に増える。
 締め切り時刻の繰り上げは国民の権利である選挙権を侵しかねない。より慎重な判断が必要ではなかったか。
 総務省の調べでは、全国約五万千七百カ所の投票所のうち、30%近い約一万四千八百カ所で、午後八時の投票締め切り時刻が繰り上がる。
 前回二〇〇四年の参院選で繰り上げた投票所は約一万千四百カ所。およそ三割の増加となる。地元の繰り上げは京都府で七十一(前回五十)カ所、滋賀県内で三十三(同三十二)カ所だ。
 全投票所に占める繰り上げ実施の割合では、全国の十一県で五割を超える。なかでも鹿児島(92%)や秋田(89%)、岩手(87%)、高知(86%)では八割以上に達する。驚くべき事態だ。
 東京、千葉、神奈川、大阪の四都府県は繰り上げがなく、京都府は6・9%、滋賀県は3・5%だ。大都市圏との格差はあまりに大きい。
 投票時間はもともと「午前七時から午後六時まで」だった。ところが、国政選挙などで投票率の低落傾向が目につき始め、一九九七年の公職選挙法改正で「午後八時まで」と二時間延長された。
 ただし「特別の事情」があれば、市町村選管の裁量で、締め切り時刻を最大四時間繰り上げできることにもなった。
 離島や遠隔地では、以前から「繰り上げ」を行っているが、なぜ、こんどの参院選で、こんなに急増したのか。
 九九年から始まった「平成の大合併」がかかわっているとの見方が出ている。
 市町村合併で自治体の面積が広がる。開票所への投票箱の運搬に時間がかかることになり、開票開始時刻に間に合わせるよう終了時刻を早める自治体が多いためではないかというのだ。
 耳を疑う話だ。よもや、そんなことはあるまい。開票時刻に合わせて投票時間を削るとは、本末転倒ではないか。
 市町村選管は地域の実態や夜の投票状況などを十分踏まえ、繰り上げを判断したのであろう。迅速な開票、人件費の削減といった意図もあるかもしれない。
 しかし、選挙権は国民の基本的人権の一つであり、最も重要視されなければならない参政権の要である。投票の機会は十二分に保障されねばならない。
 前回参院選での時間別投票状況では、午後六時から八時までの投票割合は全国平均で15%だ。京都府では18・74%と全国で五番目に高い。都市部が中心であるとはいえ、「夜の投票」は決して軽視されてはなるまい。
 締め切り時刻の繰り上げ拡大は投票時間の二時間延長を事実上、市町村の判断で空洞化させかねない。看過できない。
 繰り上げが有権者の投票に支障を及ぼしていないのは確かか。周知は十分か。政府も府県もこの参院選できちんと検証し、実態を明らかにしてもらいたい。

[京都新聞 2007年07月22日掲載]

校門前児童刺傷  地域と学校の一体化を

 終業式の早朝、宮城県大郷町の小学校門前で登校した小学六年女児が包丁をもった男に刺される事件があった。
 女児は重傷だが命に別条ないようで、逃走した男は通報で駆けつけた警察官が学校近くの自宅で逮捕した。
 女児は一人で登校、教員が終業式準備で門に立つのが遅れたすきに襲われた。
 男は女児を刺したことを認めたが、動機については意味不明の説明をしているといい、警察は刑事責任能力の有無を含めて捜査している。
 学校や通学路の安全対策が全国的にとられるようになり久しいが、不審者による被害にあう子どもが後を絶たない。今回も安全なはずの校門前で事件が起こった。苦しむ女児を目撃した児童もいる。
 学校側は児童らへ心のケアとともに、安全対策をしっかり見直すことだ。その結果を全国の学校への教訓としたい。
 小学校は農村部にあり、児童数は約八十人。県委嘱の子どもの安全を見守るボランティアが同町にも配置されていた。
 学校には保護者、地域住民のボランティア組織もあったといい、児童は防犯ブザーをもち、「子供一一〇番の家」も設置されていた。
 安全対策はとられていたが問題は機能していたかどうかだ。集団下校の指導はあっても、集団登校はしていなかった。
 校区が広く、各家庭の登校時間がまちまちで、車で送る親まであっては集団登校はむつかしい。被害女児の自宅は学校から約二キロで、自転車で通学し、登校時間も早かったという。
 児童が少ない学校で、早い時刻に登校すれば周囲に人がいないのと同じだ。見知らぬ男に襲われ、重傷を負って校庭に逃げ込んだ女児の気持ちを思うと胸が痛む。学校側の責任は重い。
 学校の安全管理対策で文部科学省が危機管理マニュアルを初めて作成したのは五年前。大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件がきっかけで、遺族はさらに学校やPTA、地域、警察など行政と一体となった安全対策を講じるよう求めた。
 京都では一九九九年の日野小(伏見区)や二〇〇三年の宇治小(宇治市)で侵入男による児童殺傷事件があり対策は進んだ。
 こうした結果、何らかの防犯対策をとる小学校は全国で99・0%(文科省の昨年三月調べ)にまで高まった。
 だが緊急時の避難先を示す通学安全マップや、監視カメラなどの防犯設備も、人手、経費の制約で不十分なままのところが少なくない。
 文科省は今回の事件を受けて五年ぶりに危機管理マニュアルの改訂作業を急ぐようだが、不審者によるこれまでの事件を総括し、学校、PTA、地域の声も反映させた、充実したものにしてほしい。
 通学路の安全確保は地域の支援なくしてはあり得ないし、児童生徒の安全のためには人も金も惜しむべきではない。

[京都新聞 2007年07月22日掲載]

【京都新聞・凡語】

ブランドエコバック

 思わぬものが人々を熱狂させている。数日前京のデパートに徹夜の列ができた。若者から中高年まで、お目当ては布製のエコバッグ。英国の超人気デザイナーによる作品だ▼英国では一時間で二万個も売れた。台湾や香港の売り場には、警察が出動する騒ぎになったという。さすがに京都ではそんな場面はなかったものの、予想通り、瞬く間に完売した▼それにしても、ブランドを追い求める消費者心理はすさまじい。ネット上では、店頭価格の十倍以上の高値を呼んでいるというから、恐れ入る▼限定販売と聞かされると、なおさら手に入れたくなるのが人情か。有名デザイナーが、レジ袋削減と地球環境を訴えて世に送り出したとはいえ、計算高い環境ビジネスの顔も垣間見える▼でも立ち止まって考えてみたい。消費者のあくなき購買意欲を刺激してエコ社会への転換を図るという発想もあっていいのでは、と。そんな知恵でも出さないと、もはや瀬戸際にある地球環境は克服に向かってカジを切れないのかもしれない▼レジ袋問題は、今や世界的な関心事だ。日本では年間三百億枚余りが消費されるという。今回の騒ぎでPR効果が上がれば、削減運動に弾みもつく。ただ気になるのはバッグが日常、買い物袋として使われるかどうかだ。ブランドという神棚に祭りあげられてしまっては、それこそ、もったいない。

[京都新聞 2007年07月22日掲載]


【朝日・社説】

2007年07月22日(日曜日)付

温暖化と選挙—高感度の議員を選ぼう

 地球温暖化にどう立ち向かうか。これも参院選で問われるテーマの一つだ。

 脱温暖化の大切さは、だれも異論がない。だが、政党や候補者の公約を比べれば、力点の置き方や政策の違いがある。脱温暖化の流れを加速できるかどうかは、有権者の選択にかかっている。

 課題は、三つある。

 まず、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減を先進国に求める京都議定書の約束を果たすことだ。日本は来年から12年までに90年の水準より6%減らさなければならないが、今のままではおぼつかない。

 二つ目として、来年の洞爺湖G8サミットに向けて環境外交を進める必要がある。京都議定書から抜けた米国、議定書で義務を負っていない中国やインドにも、13年以降の排出抑制の枠組みで相応の負担をしてもらうレールを敷かなくてはならない。

 長い目でみれば、脱炭素社会に向けて産業やくらしをどう変えるかの青写真をまとめ、それを促す仕組みを築くことが大切だ。これが三つ目の課題である。

 議員たちに最も求められるのは、三つ目の脱炭素社会の設計だ。今年のG8サミットで、「地球の温室効果ガス排出を50年までに半減すること」が真剣に検討すべき目標として合意された。これは日本の政治にとっても避けて通れない。

 脱炭素社会の設計図が政党の公約から見えてくるか。

 自民党の主張で気になるのは「国民運動の展開」に力点を置いていることだ。

 たしかに、CO2の排出量は家庭や事務所で大幅に増えている。省エネ型商品に買い替えたり、クールビズを徹底したりするという生活の見直しは大きな効果があるだろう。

 だが、政治にもっと求められるのは、数十年先を見通して産業の中身を変えることだ。CO2を大量に出す工場を減らし、環境保護型の商品づくりを促す必要がある。その方向は打ちだしているが、具体的な工程表が見えない。

 一方、民主党のマニフェストには、数値目標が並んでいる。日本の温室効果ガスの排出量は20年までに90年比で20%減らし、50年よりも早く半減をめざす。風力、太陽、バイオマスなどの再生可能エネルギーも、20年までに全体の10%程度にしたいとしている。

 国内に排出量取引の市場を設け、地球温暖化対策税を導入することも挙げる。これらは産業界を動かす仕組みにはなるだろう。ただ、それだけでは目標の達成は難しい。産業の姿をどう変えるか、シナリオを描くことがやはり必要だ。

 地球環境という新しいテーマに対して具体策をうち出すには、政党側の準備がまだ整っていないように見える。

 こうした中で、有権者がとるべき選択は何か。政党の環境政策を吟味することに加えて、環境問題への感度が高い議員を1人でも多くふやすことだろう。

耐震補強—命を守る決め手だ

 地震で一番怖いのは、強い揺れで瞬時に家をつぶされ、その下敷きになってしまうことだ。阪神大震災の死者の8割は建物の倒壊による圧死だった。

 規模こそ違うものの、今回の新潟県中越沖地震でも同じことが繰り返された。10人の犠牲者のうち9人が、壊れた建物に押しつぶされて亡くなった。

 地震による犠牲者を少なくする決め手は、古い木造住宅を改修して補強することに尽きる。それが95年の阪神大震災の教訓であり、その年のうちに耐震改修促進法を制定した理由でもあった。

 ところが、肝心の耐震補強が思うように進んでいない。今回の地震で被害が集中した柏崎市の場合も、この春から耐震補強の助成制度を始めたが、申請はゼロだった。残念と言うしかない。

 進まない理由の一つは、耐震改修の基本方針づくりをしている国土交通省の硬直した姿勢にある。

 現行の建築基準では、建築物に「耐震強度1以上」を求めている。震度6の揺れでも倒れない強さである。国交省は「公金を投じる以上、古い住宅でも改修後はこの基準を満たすものでなければならない」という。

 しかし、この基準に沿って補強をすれば、平均して百数十万円の費用がかかる。所得の少ない家庭や年金で暮らすお年寄りには負担しきれないのだ。

 耐震補強が進まないことに悩む自治体の間では、国交省の方針を乗り越えて独自の支援を始める動きが広がっている。先陣を切ったのは東京都の墨田区だ。

 強度の足りないところに柱や筋交いを入れる。それで少しでも地震に強い家にする。費用も数十万円ですむ——昨年から始めた簡易改修の助成事業である。後に続く自治体が相次いだ。

 国内には強い地震に耐えられない住宅が全体の25%、約1000万戸もある。中央防災会議は2015年までにこれを10%に減らす目標を打ち出している。

 この目標を達成するためには、国と自治体がもっと柔軟な発想で取り組む必要がある。補強が進まないうちに地震に襲われて犠牲者が増えるようなことは、何としても防がなければならない。

 むろん、行政を批判すれば事足りる話ではない。防災の基本は自助である。住民自身が「自分の命は自分で守る」という気概を持つことが大切だ。

 その意味で学びたいのは、宮城県松島町の取り組みである。東北工業大学の田中礼治教授らの協力を得て、3年前から中学生に住宅の耐震診断のノウハウを伝授する授業を始めた。

 田中教授は「中学生を大人として扱い、防災の担い手にしたい。授業は、親や祖父母との対話のきっかけにもなる」と語る。松島町の試みは宮城県だけでなく、隣接県にも広がりつつある。

 私たちは、いつどこで地震に襲われてもおかしくない国に生きている。命を守るために、さらに知恵を絞りたい。

【朝日・天声人語】2007年07月22日(日曜日)付

 物理学者の寺田寅彦は、防災の大切さをことあるごとに説く警世家でもあった。1935年(昭和10年)に亡くなる直前、地震の研究に長くかかわってきた感想を、『災難雑考』と題して記している。

 プレートがぶつかり合う位置にある列島の危うさを、寅彦は「日本の国土全体が一つのつり橋の上にかかっているようなもの」と例えた。そして「つり橋の鋼索が、あすにも断たれるかもしれないという、かなりな可能性を前に控えている」と警鐘を鳴らしている。

 寅彦の時代にはなかった様々な人工物が、いま、不安定な「つり橋」の上にひしめいている。全国に55基を数える原発もそうだ。その一つ、東京電力柏崎刈羽発電所が、新潟県中越沖地震に揺さぶられ、多くの弱点があぶり出された。

 そもそも建設の際、直下にある断層を見逃していたという。微量だが、放射能が海や大気中に漏れた。変圧器は黒煙を上げ、消せないまま燃え続けた。あわてた国の調べで、他の原発のお寒い防災体制も分かってきた。これでは55本の剣が、国民の頭上に、ゆらゆらつり下がっているようなものだ。

 根拠のない「安全神話」が、原発にもあると聞く。様々な神話の数だけ、その崩壊する悲劇があった。ジャンボ機もかつては、まことしやかな「墜(お)ちない神話」に彩られた。22年前に日本で崩れたのは、記憶になお鮮明だ。

 地震はどうにもならないが、被害は人間次第。それが寅彦の持論だった。必要なのは空疎な「神話」ではない。今回の教訓を生かした「実話」であろう。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 終盤戦へ 「選択」の重みが増してきた

 毎日新聞が21日にまとめた電話世論調査などに基づく中盤情勢調査によると、自民党に対しては強い逆風が吹き、民主党が大幅に議席を伸ばすとの結果が出た。

 29ある1人区では自民党は各地で民主党に苦戦し、比例代表でも民主党にリードを許している。このままでは焦点である与党の過半数維持は難しい情勢だ。

 公明党も与党として逆風を受けて防戦を強いられている。共産、社民両党さらに国民新党、新党日本も厳しい戦いで存在感の発揮に腐心しているようだ。

 もちろん誰に投票するかを決めていない有権者も多く、情勢変化があるかもしれない。

 だが、与党が大幅に過半数を割った場合は、安倍晋三首相の退陣など進退問題も取りざたされよう。

 政府が提出した法案に対して野党が反対すれば、今後3年間は参院で否決され続ける事態にもなりうる。政権運営が行き詰まり、衆院の早期解散やさらには政界再編にもつながる可能性もある。

 一方、安倍政治には不満を持っても自民、公明の枠組みでの政権の安定を望む有権者もいるだろう。選挙後のことを考えれば有権者の1票がますます重くなり、かなりの緊張感を持った選挙戦になってきた。

 自民党への逆風は国民の政権への信頼の欠如から生まれている。世論調査で安倍内閣の実績を評価するかと聞いたところ「評価しない」は6割を超えた。

 政府が打ち出した年金記録漏れ対策についても、これで「解決すると思わない」は実に8割に及んだ。首相は「やれることはすべてやっている」と話しているが、有権者は信用していないのだ。

 赤城徳彦農相の事務所経費問題でも国民に十分な説明がなされておらず、松岡利勝前農相の悲劇の教訓が生かされていない。

 麻生太郎外相からは「アルツハイマー発言」も飛び出した。外相は発言を撤回し謝罪したが、内閣全体の緊張がゆるんでいる印象を国民に与え、政権不信につながっているのではないか。

 民主党の支持率は31%と自民党の21%を大きく上回った。自民党の支持率を超えたのは7年ぶりで30%突破は結党以来初めてのことだという。ただこれは国民の民主党への期待が高まっているというより、自民党の不振に助けられている部分が大きいのではないか。

 民主党は敵失に頼らず、国民の関心の高い年金制度改革などについて、具体的な財源の手当てを示しながらあくまで政策論争を自民党に挑むべきだ。

 選挙戦も残り1週間になった。 私たちは今度の選挙は安倍政治を問う選挙であり、年金ばかりでなく教育、憲法、格差是正、農業政策−−など重要なテーマがあることを指摘してきた。

 各党はていねいに考え方を示し有権者はそれを吟味して投票日を迎えたい。

毎日新聞 2007年7月22日 東京朝刊

社説:EU新条約 憲法が死に欧州合衆国遠のく

 欧州連合(EU)は暗礁に乗り上げた欧州憲法を放棄し、大幅に簡略化した改革条約に取り組んでいる。憲法が発効しないまま意思決定の枠組みが機能せず、加盟国を増やせない最悪の事態は避けられた。新条約は現実に即した収拾策かもしれない。

 ロシアは欧州通常戦力(CFE)条約の履行一時停止を宣言した。元スパイ毒殺事件をめぐる英露の対立は外交官追放に拡大している。資源大国ロシアと欧州の緊張は「新冷戦」とも表現され、EUには不安要因だ。憲法を持つことであたかも連邦国家のように一体化する路線は修正されたが、欧州の統合は深める必要がある。

 欧州憲法は議論に3年間をかけて04年、調印された。発効には全加盟国の批准が必要であり、18カ国が批准した。だが、オランダとフランスが05年、国民投票で否決したため、発効は困難となった。今後、クロアチアなどバルカン諸国の新規加盟が予想されるのに、既存の条約では現在の27カ国体制にしか対応できない。新しい基本法がいずれにしても必要だった。

 ブリュッセルで6月、開かれた首脳会議は全加盟国の批准を確保することを優先し、争点となる項目を憲法から次々に削った。

 合意文書をみると、連邦国家とみなしうる要素やシンボルを徹底的に追放したことがわかる。名称の「憲法」そのものを「改革条約」といいかえた。「外相」は「外交上級代表」と呼び、「共同体(コミュニティー)」は「連合」といいかえた。「法」も使わず、旧来の「指令」などを残した。「国旗」(青地に12の星)、「国歌」(ベートーベン「歓喜の歌」)も削除した。「多様性の中の統合」という「標語」も消えた。

 ここまで気をつかったのは、加盟国や市民がEUの成果を手放しで歓迎していない現実があるためだろう。EU本部でこまごまとした規則を決める肥大化した官僚制への不満は強い。身近な効果が見えない拡大政策へのいらだちもある。自国の主権よりEUが優越することへの批判が広がり、フランスやオランダで憲法を否決する理由のひとつとなった。

 「われわれはある種の欧州合衆国を建設しなければならない。そうすることによってのみ、何億もの人々が人生を価値あるものとする喜びと希望を取り戻せるのだ」。第二次大戦で破壊された欧州の再建について英国の指導者チャーチルは1946年の演説でこう呼びかけた。米国の国名になぞらえた「欧州合衆国」は統一欧州の夢を語る合言葉のように響いた。

 EU統合は加盟国が平和や自由など共通の目的のため主権の一部を譲り渡す「超国家」建設の性格を持つ。だからこそ、主権国家の壁を崩す人類の実験とみなされてきた。冷戦構造をひきずる東アジアの将来にとっても刺激となる。

 国民国家の主権を乗り越えることは欧州にとっても困難な作業であることを示したのが、欧州憲法の死亡宣告だった。障害を克服して統合をどう進めるか、欧州の新たな挑戦に期待したい。

毎日新聞 2007年7月22日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:愛知県豊橋市で開かれた「農業コンクール」で…

 愛知県豊橋市で開かれた「農業コンクール」で、京都府南山城村の西窪武さんが「日本で唯一の牧草ビジネス」を報告した。お客さんは、なんと全国13の動物園やサーカスの草食動物。飼料というと、酪農や畜産、養鶏を思い浮かべるが、動物園やサーカスの動物は、ちょっと思いつかない▲米国の大規模酪農で13カ月間、研修した。日本で飼料作物を栽培したいという夢をもった。しかし、いざ日本で飼料作物を栽培すると、価格面で輸入飼料にまるでかなわない。そんな時に、京都市動物園が飼料の調達先を探しているという話が耳に入った▲京都の冬は寒い。冬場の飼料調達が難題だった。「冬でも飼料を作れる」と売り込んで、初めて3カ月分の契約をもらった。1984年のことだった。そこから、西窪さんの奮闘が始まる。その動物に必要な成分、含まれてはいけない成分を飼育係から徹底的に教わり、自らも研究する▲自分の牧場の牧草だけではとても対応できない。レッサーパンダ用の竹を耕作放棄地や里山に探しに行く。機械は使わず、カマで飼料を刈り取る。農薬は一切使わない。単一作物の規模拡大ではなく、動物の多様さに合わせた多品種少量生産。通常の農業の発展とは逆の工夫ばかりだ▲動物園やサーカスの動物は世界的に希少であったり、サーカスの生活がかかっている。自分が供給した飼料で動物の体調を崩してはならないという強い責任感で「24時間365日25年間」と西窪さんは振り返る▲西窪さんのおかげで、動物園やサーカスの飼育係は飼料の調達から解放され、飼育に専念できる。西窪さんの会社の名前は「クローバーリーフ」。しかし、クローバーの葉だけではない、広い飼料の世界の開拓に成功したようだ。

毎日新聞 2007年7月22日 東京朝刊


【読売・社説】

農業 市場開放に備え体質強化を競え(7月22日付・読売社説)

 国際競争力が弱く、世界貿易機関(WTO)の自由化交渉などに臨む際、「市場開放の足かせになっている」と指摘されるのが日本の農業だ。

 “汚名”返上のためにも、農政改革は待ったなしの課題である。

 その農業問題が、参院選の重要な争点に浮上している。地方の1人区で、農民票がポイントになると見られるためだ。与野党とも、農業の体質強化について、大いに議論を戦わせて欲しい。

 自民、公明の両与党は“攻めの農業”を合言葉に、「品目横断的な経営安定対策」の実施に力点を置いている。

 昨年度まで、政府はムギ、大豆など個別品目ごとに、すべての生産農家に補助金を出してきた。

 今年度からは、補助金の支給対象を、経営面積が一定以上の農家や、地域の農家が共同作業し、経理も一本化した集落営農組織などに限ることにした。

 農家に規模拡大を促して生産性を向上させるのが狙いだ。両党はこの経営安定対策を、今後も推進すると強調する。

 農地の集約化はコスト削減に欠かせない。輸入品との価格差が縮小すれば、関税引き下げへの抵抗感も薄れよう。

 民主党は「小規模農家の切り捨て」と批判する。農業の生産性を高める具体策を聞いてみたい。

 民主、共産、社民など野党は、農家に一定の所得を補償する政策をそろって公約し、与党側との違いを鮮明にした。

 民主党は、年50万円以上を出荷する販売農家すべてを対象に、「戸別所得補償制度」の新設を掲げている。コメ、菜種など個別品目ごとに生産コストと市場価格の差を、補てんする仕組みだ。

 例えば、コメについてはこうだ。「コメが一俵5000円になっても所得は補償される」とし、コストとの差額1万円を補助することで、農家の手取りは合計1万5000円になると訴えている。

 制度実施のために必要な費用は、公共事業が中心となっている現在の農業予算を大幅に組み替え、年間1兆円を確保すると約束している。

 これに対し自民党は、「コスト分しかもらえないので、農家のもうけにつながらない」「単なる補助金のバラマキ」などと批判する。

 この制度で懸念されるのは、今後の市場開放との関係だ。安い外国農産品の流入が進めば、それに連れて国産品の価格も下がる。農家に対する補償費用も拡大し、予算は1兆円では足りなくなるのではないか、との見方もある。

 民主党は、こうした声に対し、丁寧に説明する必要があろう。
(2007年7月22日1時38分  読売新聞)

毒ガス判決 新たに遺棄の「事実」が争われた(7月22日付・読売社説)

 旧日本軍が毒ガス兵器を遺棄した証拠はないと、国が新たな主張を展開した。日中共同声明の解釈も論点となった。その意味で注目された判決である。

 中国の工事現場などで見つかった毒ガス兵器や通常砲弾で死傷したとして、中国人被害者ら13人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁は国に1億9000万円の賠償を命じた1審判決を取り消し、請求を棄却した。

 1審判決は、日本政府が中国政府に情報を伝えていれば被害を防ぎ得たとし、国家賠償法上の賠償責任を認めた。

 高裁判決は、情報を提供していても場所の確定が難しく、事故は必ずしも防げなかったとして、請求を退けた。

 国は日華平和条約や日中共同声明などにより、毒ガス兵器の被害に関する請求権は放棄されていると主張してきた。

 最高裁も今年4月、日中戦争遂行中に生じた中国国民の日本国への請求権は、日中共同声明により放棄されたとの初判断を示している。

 今回の判決では、毒ガス兵器の被害に関する請求権が日中共同声明で放棄されたか否かについての言及はなかった。最高裁はどう判断するだろうか。

 1審で法律問題だけを主張した国は、この控訴審で事実関係も争った。

 当時の国際法は、毒ガス兵器の使用を禁じたが、保有は認めており、ソ連や中国国民党政府なども保有していた。

 問題の毒ガス兵器や砲弾は、旧日本軍のものと断定できず、仮にそうであっても、ソ連侵攻後の混乱の中で弾薬庫に放置されたものか、武装解除の際にソ連軍などに渡ったものと、国は主張した。

 判決は、その形状などから旧日本軍の兵器とし、日本でも終戦時に海に投棄されたことや、海軍で痕跡を消す指示が出されたことなどから、旧日本軍関係者が遺棄したと認定した。

 ただし、通常砲弾の爆発事故については、この地域を占領したソ連軍の砲弾処理に問題があった可能性を指摘し、日本の責任を否定した。

 政府は、97年に発効した化学兵器禁止条約などに基づき、中国国内にある旧日本軍毒ガス兵器の回収を進めている。

 条約は「他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器」の廃棄を義務づけている。日本から連合国側に渡った毒ガス兵器でも、引き渡した証拠がなければ日本が廃棄しなければならない。

 政府によると、毒ガス兵器の引き渡しは、これまでに台湾と上海で各1件確認されているだけだ。

 賠償義務はなくとも、回収処理は進めて行かなくてはなるまい。
(2007年7月22日1時38分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月22日付 編集手帳

 「堅気に迷惑をかけない、などといった言葉が完全に有名無実化している」と今年の警察白書に書かれている。暴力団についてのことだが、もともとこんなことを信じている人はいないだろう◆芝居や浪曲でなじみの遠州は森の石松や番場の忠太郎も、「一本刀土俵入り」の主人公・駒形の茂兵衛も、正業には就いていないのだから、直接、間接に「堅気」の人に迷惑をかけていたはずだ◆こんな大衆芸能や暴力団をヒーロー扱いした映画などの影響もあるのか、白書は「任侠(にんきょう)や仁義といった大義名分に目を奪われ、暴力団を必要悪として容認したり、面白がり親しみを感じたりする風潮が社会に残っている」とも指摘する◆警察庁が建設業者にアンケート調査したところ、暴力団との結びつきは近畿や四国で強く、北海道や東北では薄い西高東低ともいえる結果が出た。昨年の銃器発砲件数も、西日本が全体の7割を占めている◆繁華街には暴力団の息のかかった飲食店があり、暴力団の関係企業も増えているが、見分けがつかない。以前、暴力団幹部が議長をしている地方議会があるとささやかれたこともある。今はどうだろう◆こうした勢力は「明治期より治安上の大きな問題だった」という。暴力団の排除は容易でないが、警察にはまず、暴力団情報を積極的に出してもらいたい。
(2007年7月22日1時38分  読売新聞)


【産経・社説】

主張】外交官追放 ロシアは不信除く努力を

 元ロシア情報機関員のリトビネンコ氏毒殺事件をめぐり、英国が行ったロシア外交官の追放に対して、ロシアも英外交官追放を含む報復措置を発表、英露対立が高まってきた。

 リトビネンコ氏は英国に亡命してプーチン露大統領や支持勢力を批判する言論活動をしていたが、昨年11月、ロンドンで放射性物質ポロニウム210を服用させられて死亡した。

 英当局は約半年の捜査の後、直前に同氏と面会した旧ソ連国家保安委員会(KGB)職員のルゴボイ氏を容疑者と断定、ロシアに引き渡しを求めた。ところが、ロシア政府が引き渡しを拒否したため、英国が外交官追放に踏み切り、ロシアも対抗措置をとった。

 英露の経済通商関係が深まる中で、冷戦時代を思わせる外交官追放合戦は確かに異常だ。欧州では「新冷戦」を懸念する声も出ている。一方では、両国ともビジネス・通商部門には触れておらず、一般人を交流規制対象から外すなどの配慮もうかがえる。

 プーチン大統領は「小さな危機であり、克服は可能だ」と述べた。対立のエスカレートはどちらの得にもならない。無益に冷戦時代に逆戻りすることがないよう、英露双方とも冷静に外交の知恵をしぼってもらいたい。

 だが、そのことと事件の解明は別問題だ。猛毒の放射性物質が使われたことについてブラウン英首相は「多数の人が殺される恐れがあった」と指摘した。不特定多数の市民を巻き添えにしかねない政治テロといってよいほどの重大事件だったからだ。

 ロシア政府は「憲法の規定」を理由に容疑者引き渡しを拒んでいる。それでも、発生当初から関与を疑われた元情報職員らの活動などについて、ロシア政府がもっと積極的に英当局に捜査協力をしていたならば、英露対立の悪化は防げたかもしれない。

 それでなくとも、リトビネンコ氏のように英国に亡命したロシア人政商の暗殺未遂事件が発覚したり、ロシアが欧州通常戦力(CFE)条約の履行停止を一方的に発表するなど、最近のロシア政情や外交姿勢に対する不信感が欧米には広がっている。問題の根はそうした不信にある。それを解消する意味でも、プーチン政権は今回の事件解決に全面協力すべきではないか。

(2007/07/22 05:45)

【主張】元長官詐欺事件 総連の闇も徹底解明せよ 

 朝鮮総連中央本部をめぐる詐欺事件で、東京地検特捜部は元公安調査庁長官、緒方重威容疑者らが4億8400万円を総連から詐取したとして再逮捕し、新たな捜査段階に入った。

 この事件は当初、中央本部の土地・建物をめぐる仮装売買事件として発覚した。総連側が整理回収機構(RCC)の差し押さえを免れるために、代金未納のまま、緒方容疑者のペーパーカンパニーに移転登記を行ったという疑惑だった。東京地検も当初は、この容疑(電磁的公正証書原本不実記録)で緒方容疑者宅などを捜索した。

 しかし、先月末、緒方容疑者が逮捕されたときの容疑は、代金を支払う意思がないのに、それがあるかのように見せかけ、中央本部の土地・建物をだまし取ったという詐欺だった。朝鮮総連は詐欺の被害者になっていた。

 公安調査庁は朝鮮総連などを監視する重要な機関で、緒方容疑者は最高検公安部長や広島高検検事長なども務めた検察エリートである。検察側が「身内に甘い」という批判を受けないために、詐欺容疑での緒方容疑者の逮捕を急いだことは十分に考えられる。

 だが、総連側は「だまされたという認識はない」と記者会見で述べ、「刑事訴追を積極的に希望しない」との確認書を緒方容疑者側と交わしている。このため、公判で紛糾することも予想される。

 検察の描く構図が詐欺事件に変わったとはいえ、仮装売買の疑惑が消えたわけではない。この取引で総連が果たした役割もきちんと解明すべきだ。

 朝鮮総連は北朝鮮の統一戦線部に直結する組織として、さまざまな工作活動を行ってきた。原敕晁(ただあき)さん拉致事件には、総連傘下の在日本朝鮮大阪府商工会幹部らが関与し、昭和48年に失踪(しっそう)した主婦の2児が拉致された事件は、総連幹部が設立した都内の貿易会社が舞台になっていた。

 朝銀信用組合の破綻(はたん)の原因となった不正融資事件で、総連中央本部の元財政局長が警視庁に逮捕されたが、朝銀から総連に還流した巨額のカネが、どれだけ北に流れ、何に使われたかなど詳細は不明だ。

 国民が本当に知りたいのは、こうした疑惑だ。検察、警察当局は、朝鮮総連の“闇”に迫ってもらいたい。

(2007/07/22 05:32)

【産経抄】

 新潟県柏崎市に工場をもつ自動車部品メーカー、リケンの前身は理化学興業である。理化学研究所長だった大河内正敏が昭和2年に設立した会社だ。まだ農村に近かった柏崎に出現した近代的工場に感激、大河内を慕って上京したのが田中角栄少年だった。

 ▼やがて田中は自ら会社を興し政治家、首相への道をたどる。「一年中太陽がふりそそぐ太平洋側で工業、雪に閉ざされる日本海側で農業というのはおかしい」というのはその名セリフだった。「列島改造論」の原点は理化学興業にあったと言ってもいいだろう。

 ▼そのリケンの工場が中越沖地震で被害を受けたとたん、トヨタなど12の自動車メーカーが生産ラインを止めた。何と国内エンジン部品の50〜70%のシェアをリケンがもっている。地震で工作機械の一部が倒れて操業が止まり、そうした部品の供給ができなくなったのだ。

 ▼皮肉にもその最中、トヨタの今年上半期の販売台数が世界一となったことがわかった。コスト削減のため部品の在庫を持たないなどの特殊な事情もある。それにしても、日本経済の牽引(けんいん)車である自動車産業を日本海側の一工場が支えている。そのことには驚いた。

 ▼考えようによっては、角栄流「列島改造」が実を結んでいると言えるのかもしれない。しかし地震を振り返ってみると、亡くなったのは全員が70歳以上だった。ほとんどの人が一人暮らしや、高齢者だけの世帯であった。家を失ってしまったお年寄りも多かった。

 ▼「地方」が日本経済の「心臓部」を担うことはできても、高齢者が家族といっしょに安全に暮らすことはできない。豊かな街づくりと結びついていなかったのだ。いったい地方の振興とか格差是正とは何なのか。考えさせられてしまう。 

(2007/07/22 06:23)


【日経・社説】

社説 〔07参院選 政策を問う〕実効性ある地球温暖化対策を競え(7/22)

 地球温暖化の抑制は今や国際政治の最重要テーマの一つである。今回の参院選は日本でも温暖化対策が重要な政策課題だと広く認識されるようになってから事実上、初めての国政選挙だ。選出される議員の任期と重なる格好で日本は京都議定書に基づき2008—12年に温暖化ガスの排出を1990年比で6%減らす実行を迫られる。13年以降の枠組みづくりでも今後、主導力を問われる。各党は温暖化問題に対する重い責任を自覚しているだろうか。

経済的手法が不可欠

 温暖化対策の重要性では各党とも認識が一致している。ほとんどの政党が選挙公約で環境問題を柱の一つに据え、温暖化対策の基本的な考え方を示している。自民党は「環境立国への主導力」、民主党は「地球環境で世界をリード」などの標語を掲げており、標語を見ただけではどの政党なのか区別できないほどだ。

 ところが、各党とも京都議定書の定めた目標達成については強い決意が見られない。目標達成に向けた対策強化をうたう自民党も達成を確約していないし、他の政党も達成を明言していない。先進国にだけ排出削減を課した京都議定書は温暖化防止の第一歩である。温暖化対策で世界を主導するつもりなら範を示すべきだ。国会が全会一致で批准承認した議定書の目標を、達成できなくてもしかたがないという気持ちになっているとすれば、問題である。

 90年比で6%削減の目標達成は容易ではない。日本はすでに90年比で約8%も温暖化ガス排出が増えており、これから14%相当の削減が必要になる。目標達成には産業界だけでなく国民すべてに対応を求めざるを得まい。自民党が掲げる国民運動の展開はその意味で重要だ。ただし、ライフスタイルの変更まで問われる課題でありながら、各党とも公約はおしなべて厳しさに欠ける。

 排出削減を自律的に進めるには、削減が利益につながる排出権取引などの経済的な手法の導入が欠かせないが、自民党は国内での排出権取引導入を明記していない。日本経団連や経済産業省は、事業所ごとに排出上限を定める形の排出権取引に反対を続けており、自民党は産業界の排出削減を経団連の自主行動計画に委ねている。社会システムの変革を求められているときに、これまで通りの姿勢でいいのか疑問である。

 議定書の目標達成やその後の継続的な削減を考えれば、排出権取引は不可欠の手段になるはずだ。経済的手法の導入という点では民主党の方が積極的で、公約に国内排出権取引市場の創設を明記している。排出権取引市場はすでに欧州連合(EU)が整備し、先行している。京都議定書を離脱した米国でも、政府と距離を置く地方自治体や企業が排出権取引の導入に動いている。世界の潮流を考えれば、民主党の主張の方に理があるといえるだろう。

 民主党は温暖化対策税を導入する考えも示している。前回の衆院選の際の公約にも盛り込んだが、考え方が同じなのか定かではない。税の趣旨や課税方法、増税なのか既存のエネルギー諸税の組み替えなのか、税収をどう使うのか。消費税を上げないとする同党が温暖化対策税の導入を言うなら、詳しい説明が必要だ。

 温暖化防止に向けた中長期の目標でも政党間に違いがある。

達成の道筋を明確に

 安倍晋三首相は6月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で50年までに世界の温暖化ガス排出を半減させる提案をし、宣言にも文言が盛り込まれた。その実績は評価すべきだが、日本自体の中長期の削減目標を明示していない。この点では民主党が20年に1990年比で20%減、50年までに半減と日本の目標を明確にしている。

 京都議定書以後の国際的枠組みづくりでは、自民、民主両党とも主要排出国の米国、中国、インドの参加を促すとしている。米中印を巻き込む外交戦略からは、日本の中長期の削減目標をいま明らかにした方がよいか、判断は分かれるだろう。自民党が公約の中で日本の中長期の削減目標を示さない理由は、外交戦略上の理由なのか、別の理由もあるのか、自民党に問いたい。

 安倍首相はポスト京都議定書について、柔軟で多様な枠組みを提案した。それを日本が拘束力ある削減目標から逃れる布石とみられるようでは、温暖化対策外交で主導権を握ることはできない。20年に20%減の目標を掲げた民主党も、実現の根拠、目標達成への道筋と覚悟を示す責任がある。民主党よりも高い目標を掲げた政党もしかりだ。温暖化防止で重要なのは実効性である。志を高くしたうえで、低炭素社会に着実に結びつく政策論争を望みたい。

【日経・春秋】(7/22)

 最初の3日で1000件を超えたという。「証拠はないけれど確かに払った年金保険料の記録が残っていないのはおかしい」。そんな訴えを聴き本当に払ったかどうかを判定する年金記録確認第三者委員会が受け付けた「申し立て」の数だ。

▼自分たちのいいかげんな仕事の後始末に税金を使い第三者の手を煩わせる始末になったと、申し立ての受付窓口になる社会保険庁の職員はよほど反省しないといけない。年金保険料は国民から預かったお金。大切に扱わなければ、との当たり前の責任感を持ち合わせていなかったのだから。

▼国民からの預かり金を巡って、こんな逸話がある。1940年3月に、今の東京都中央区晴海の埋め立て地を主会場にして万国博覧会を開くはずだった。地鎮祭をすませ事務局棟もできた後に無期延期が決まったが、資金づくりのため前売りした入場券100万枚のうち約2割が払い戻されないまま国民の手に残った。

▼30年後、大阪万博のとき、これをどう扱うかが国会でも取り上げられ結局「国民の協力を求めて販売された」経緯を考え、入場券として通用させ実際 3077枚が使われた。以上の逸話を生んだ「幻の万博」の記録映画が中央区立郷土天文館で見られる。社保庁の職員はこれでも見て、お金を預かる責任の重さに思いを致してほしい。


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