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2007年7月 4日 (水)

7月4日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月4日朝刊)

[久間防衛相辞任]首相は任命責任がある

国民感情を逆なで

 米国による原爆投下を「しょうがない」と述べた久間章生防衛相が辞任した。参院選への影響を考慮しての判断らしいが、原爆使用を容認したとも受け取れるような現職大臣の発言は許されるものではなく、辞任は当然というしかない。

 千葉県内にある大学での講演で飛び出した発言はこうだ。

 「長崎に落とされて悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている」

 「勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思いは今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るのかなということも頭に入れながら考えなければいけない」

 ここには、原爆使用の違法性、残虐性の認識がまるでない。

 差別や健康被害に苦しんできた被爆者への配慮が感じられないだけでなく、二度とあの惨劇を繰り返してはならないという核廃絶への決意もくみ取れない。

 被爆国の国民感情を逆なでするような失言が、こともあろうに防衛大臣から飛び出したのはなぜなのか。

 自民党の中川昭一政調会長は以前、日本の核保有の是非を議論すべきだと主張した。そして今、安倍内閣は、集団的自衛権の行使について、憲法解釈の変更を検討している。

 「戦後レジーム(体制)の転換」というこの政権の掛け声の中で、過去の議論の蓄積や歴史認識を無視した「なんでもあり」の野放図な空気が漂っているのではないか。

 経験の浅い若い宰相の下で、内閣のたがが緩み、言いたい放題の閣僚を生んでいるのではないか。

 気心の知れた側近議員を集めた「仲良しクラブ内閣」の下で、問題が発生したときの適切な処理能力、危機管理能力を失いつつあるのではないか。

 最近の内閣の緩みを見ていると、そのような疑問が次から次に浮かんでくるのである。

相次ぐ閣僚の失言

 自民党の中川秀直幹事長が今年に入って、「閣議で首相が入室しても雑談を続け、起立しない大臣がいる」と述べ、安倍晋三首相への忠誠心を求めたことがある。この異例の発言自体が内閣の求心力の低下を示すものだ。

 安倍首相本人の判断の甘さ、身内をかばう意識の強さが裏目に出て、事態を余計に混乱させた側面もある。

 柳沢伯夫厚生労働相の「女性は産む機械」発言に対し、厚労相に対する辞任要求を突っぱね、かばい続けたのは安倍首相である。資金管理団体による巨額の光熱水費計上問題、談合事件の絡んだ不透明な政治献金問題で窮地に追い込まれた故松岡利勝農相をかばったのも安倍首相だった。

 国民の疑問に正面から答えようとせず、国会議員の数の力を頼りに「ナントカ還元水」という説明だけで押し切るやり方は、民主主義を破壊するものであり、そのことに気付かないで済ましてきたところに危うさを感じる。

 任命責任という言葉は、対立する野党の常套句になっていて、最近は言葉のインフレの様相を呈しつつあるが、それでもやはり安倍首相の任命責任は大きい、と言わざるを得ない。

 最近の政治の動きを見ると、国会運営から大臣の失言への対応まで、何もかも「選挙のため」「選挙を配慮して」「選挙が終わるまでは」と選挙一辺倒の対応のように見える。天下分け目の選挙を前にしてやむを得ない側面もあるが、それにしても、ちよっとやり過ぎだ。

 自民党は、各メディアの世論調査で、安倍政権の支持率が急速に低下しつつある現実を真剣に正面から受け止めた方がいい。

後任に小池補佐官

 安倍首相は、久間防衛相の後任に小池百合子首相補佐官を指名した。小池氏は、国際安全保障問題に明るいだけでなく、沖縄担当相を務めた経験もあり、沖縄問題にも詳しい。かりゆしウエアの普及にも一役買った。

 国と県の間で見解が対立している普天間飛行場の辺野古移設問題について「久間大臣―仲井真知事」のコンビは、落としどころを模索したものの、結局、うまくいかなかった。

 沖縄通の新大臣の誕生で現在のこう着状態がどう変わるのか、どのように采配を振るうのか、これからの仕事ぶりを注視したい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月4日 朝刊 1面)

 桜坂劇場が一日、開館二周年を迎えた。映画を核とした地域再生が成功しているのは若い感覚が生かされているからだろう。かつての場末のイメージはない。

 劇場の活況は最近の邦画界における若手監督の著しい台頭と無関係ではない。その一つが現在上映中の『星影のワルツ』(若木信吾監督)である。写真家として活躍する監督がカメラをムービーに持ち替えて撮った記念すべき第一作品だ。

 基になったのは二十年にわたって撮り続けてきた祖父。自分にとっての大事な物は何か。それがテーマになった。いわば、ドキュメンタリータッチによる私小説風映画。祖父へのオマージュといえる作品だ。

 上方漫才界の大御所、喜味こいしの名演技に引き込まれるが、漫然と見ていると一体テーマは何なのか、つかみ所がない映画でもある。ところが、それが本編終了後のエンディングロールでハッとさせられる。そんな仕掛けがあったのだ。

 エンディングは筆者もほとんど見ないが、逆に邦画に限らず必ず見る主義の人もいる。衣装や音楽、キャストなどの名前を確認したいからだ。あの場面のあの音楽は? 衣装は? などの疑問を解くためだ。

 先日ある映画を見た友人が怒っていた。大事なエンディングに後ろの中年女性が、おしゃべりを始めたという。「結局この映画、誰が主人公だったの? あんた終わったらどうする?」と。映画もマナーを守って楽しもう。(真久田巧)


【琉球新報・社説】

防衛相辞任 問われる首相の任命責任

 先の大戦での米国による原爆投下を「しょうがない」と発言し国民の反発を招いた久間章生防衛相が3日、辞任を表明した。世界唯一の被爆国の閣僚としてあるまじき暴言であり、辞任したのは至極当然だ。
 安倍内閣の閣僚辞任は、政治資金収支報告書の不適切な処理で引責辞任した佐田玄一郎行政改革担当相に続いて2人目である。
 「政治とカネ」の問題で追及されているさなかに自殺した松岡利勝農相を含めると、昨年9月に安倍晋三首相が就任してから三閣僚が交代することになる。
 そもそも、任期途中で辞任を余儀なくされるような人材を国務大臣として登用したのは安倍首相である。首相の任命責任を厳しく問わなければならない。
 久間氏は6月30日、千葉県柏市で講演した際に、先の大戦での米国による原爆投下について「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と述べた。
 原爆を投下することは、取りも直さず大量破壊と無差別殺戮(さつりく)を意味する。今も多くの被爆者が後遺症に苦しんでいる。国際法に反する非人道的行為であり、どのような理屈を持ち出してきても容認できるものではない。
 それを「しょうがない」と平然と言ってのける神経は常軌を逸している。閣僚としての資質を欠いていると断ぜざるを得ない。
 だからこそ、国民の間から不信の声が巻き起こった。久間氏は1日「原爆は許せないという気持ちは微動だにしていないが、ああいう報道のされ方をするのは私の言い方にもまずい点があった。国民、被爆者の方に申し訳なかった」と陳謝、発言を事実上撤回したが、後の祭りだった。
 不可解なのは安倍首相の対応である。当初「米国の(当時の)考え方について紹介したと承知している」「核を廃絶していくのが日本の使命」などと述べ、問題視していなかった。その後も防衛相に注意を促すにとどまっており、あいまいな形で幕引きを図ろうとしていたようだ。
 暴言を容認する首相の感覚も国民の意識と大きく懸け離れている。本当に核兵器廃絶を目指すのなら、原爆投下を是認するかのような暴言を吐く閣僚を任にとどめるべきではないだろう。
 後任として防衛相に就任する小池百合子氏は環境相や沖縄担当相、首相補佐官を歴任し、かりゆしウエアを世界に広める会の発起人も務めている。
 沖縄の実情に詳しいだけに、県民の意向を踏まえた形で、基地問題に対処するよう望みたい。

(7/4 9:39)

県産品奨励月間 自給率高め雇用増やしたい

 「美(ちゅ)ら島生まれキラリ輝く県産品」をテーマに、2007年県産品奨励月間が1日からスタートした。県民挙げて県産品を愛用することで製造業の自給率を高め、雇用の場の拡大につなげたい。
 県が04年に発表した県産業連関表によると、2000年の県内製造業の自給率は33・4%で、1995年に比べ0・8ポイント上昇した。おきぎん経済研究所は、これによって131億円の経済効果が生まれ、558人の雇用を誘発したと試算している。
 県工業連合会の調査研究では、自給率(食品、繊維、木製品、印刷、鉄鋼、金属)が3%伸びたときの経済効果は374億円、雇用誘発数は5918人。6%伸びれば803億円、1万1851人に達するという。
 多くの人が県産品を買い求め、愛用すれば、生産規模の拡大を迫られる。生産量を増やすには労働力が必要となり、新たな雇用が生まれる。雇用が生まれ所得水準が上がれば地域が活性化する。結果として、県経済の振興・発展をもたらすだろう。
 県民一人一人が可能な限り県産品を利活用することで、地場産業の育成を図りたい。
 だが、県や関係団体がどんなに県産品の活用を呼び掛けても、製品の質に難があれば、消費者を引き付けることはできない。
 業界全体で技術力を高め、県外産に負けないだけの優れた品質を確保することが最も大切だ。
 県産品奨励月間の一環で、県工業連合会、県JIS協会、県酒造組合連合会、県商工会連合会、県商工会議所連合会の5団体は3日、県や沖縄総合事務局、那覇防衛施設局、自衛隊、沖縄振興開発金融公庫、JA沖縄中央会などに対し、県産品の優先使用と県内企業への優先発注を要請した。
 その中で「われわれ業界も生産技術と品質の向上を図り、懸命に努力していく」と強調している。
 県産品奨励月間を掛け声倒れに終わらせないためには、県内製造業界による自助努力が欠かせない。
 誰もが欲しいと思う県産品を数多く提供してほしい。

(7/4 9:38)

【琉球新報・金口木舌】

 「バーがなければ飛べない」。高校時代の恩師の口癖だった。バーとは陸上の走り高跳びの横木のこと
▼何事も目標を設定し、それに向かって努力しなければ、夢はかなわないという意味だ。ただ、バーの高さは急に上げるのではなく、自分の身の丈、能力に合わせて徐々にということも付け加えていた
▼7、8の両日、沖縄市野外ステージで開催されるピースフルラブ・ロックフェスティバル。1983年に始まり、今年で25回目を迎える。ベテラン・ミュージシャンらが盛り上げて継続させ、いまや県内外のバンドが「一度は出たい」というあこがれのステージになった
▼数年前からは若手にも大舞台を経験させ、今後の活動に弾みをつけさせようと、オーディションで出場枠が設けられている
▼今年は43組がエントリーした。その中から「タイタニアム」「すじ☆ひっかけ」が出演を決めた。「すじ☆ひっかけ」は4度目の2次予選挑戦で「バー」を超えた
▼ミュージシャン、スタッフ、ボランティアらが四半世紀かけて、ピースフルの質を高めてきた。ピースフルというあこがれの「バー」がいつまでも続き、さらに進化してほしい。県内の若手バンドが全国、世界へ飛び立つためにも。

(7/4 9:32)


【東京新聞・社説】

防衛相辞任 後手の首相にまた打撃

2007年7月4日

 舌禍の久間章生防衛相が辞任した。発足わずか九カ月あまりで安倍政権は辞職閣僚三人(一人は自殺)を出したことになる。極めて異様で深刻な事態だ。首相は国民の不信をどう、ぬぐうつもりか。

 辞任を申し出た久間防衛相に、安倍晋三首相は慰留の言葉を口にしなかったとされる。昨年の暮れに政治資金の不適切経理などで行革担当相を辞めた、佐田玄一郎氏のケースと同じである。

 世間の批判を浴びても自ら辞めないうちは「私の内閣」のメンバーをかばい続ける。現職農相で自殺した松岡利勝氏についてもそうだった。任命権者としての自身の責任を認めながら強気の構えを崩さず、問題の風化を待つ。そういうスタイルなのだろう。「後手」批判も覚悟で。

 米国による原爆投下を「しょうがない」と言った久間氏に、被爆国・日本の世論の反発はすさまじいものがあった。広島、そして久間氏の地元・長崎の被爆者団体はもちろん、目前の参院選を戦う自民、公明の与党候補からも辞任要求が出た。

 久間発言の直後に「米国の考え方を紹介したもの」とかばった首相もさすがにぶれて、撤回と謝罪を繰り返す久間氏に厳重注意した。そこで直ちに更迭しておれば世論の受け止めも違ったのに、といぶかる自民党支持者も多かったはずである。

 直前までメディアに辞任しない考えを述べていた久間氏はこう言っている。「参院選に影響を与えてはいかんのだからね。それが気になってしょうがなかった」。実は辞任申し出の前に、公明党の浜四津敏子代表代行が厳しい口調で久間氏自ら進退を決断するよう促していた。

 背後の創価学会の意思がそうであるなら、参院選で支援を得ねばならない自民党は万事休すだ。久間氏の判断はそれなりに想像がつく。与野党逆転阻止を至上命題とする首相が慰留しなかったのもうなずける。

 久間氏の騒動は今回だけでない。米軍再編の対米折衝に不満を口にした。ハト派らしく米国の対イラク開戦の判断を批判したこともある。首相周辺では「産む機械」発言や年金問題で針のむしろの柳沢伯夫厚生労働相とともに、選挙後の内閣改造での更迭が検討されていたとも聞く。統率の緩みが政権に並大抵でない痛手を招いた。

 後任の防衛相には首相補佐官の小池百合子氏が起用された。またも取り巻きグループの一員だ。選挙戦へ広告塔を、の算段なのか。だが、底が抜けたような政権の存続へ、小手先で振る舞われては、国民が迷惑する。ことはもう、参院選の勝ち負けどころの話ではなくなっている。

大気訴訟和解 環境改善への契機だ

2007年7月4日

 患者も自動車メーカーも歩み寄り、東京大気汚染訴訟は全面解決することになった。医療費助成制度や公害対策などが条件に盛り込まれ、意義は大きい。和解を環境改善に取り組む契機としたい。

 東京都内のぜんそく患者らが国や都、自動車メーカー七社などを訴えている東京大気汚染訴訟は、東京高裁が和解案を示し、原告、被告の双方がこれを受け入れた。

 「解決金は七社で五億円」としていたメーカー側には、和解案の十二億円は二倍を超えており、検討を要しただろう。一審で賠償責任を免れたことなどから、解決金そのものの支払いに消極的意見もあった。

 だが、大気汚染の原因の一つが自動車排ガスであることは和解勧告の際にも明示された。環境問題の重要性への認識が高まり、案を拒否しては企業イメージが傷つく。各社の業績はおおむね好調に推移、支払えない額ではなく、受諾の決断は評価できる。和解を機に、さらに環境に配慮した車づくりを進めてほしい。

 より厳しい選択だったのは患者側だろう。解決金を単純に頭割りすると一人二百万円程度で、医療費の一部を自己負担し、訴訟費用を工面してきた患者には「とても補償にならない」というのが実情という。

 それでも受け入れたのは医療費助成制度の創設と道路公害対策が和解条件に盛り込まれたからだ。東京の患者は少なくとも二十万人といい、制度は「都内に一年以上住んでいる十八歳以上」が対象となる。原告以外の患者にも救済の道が開かれることとなり、その効果は大きい。

 ただ、埼玉や千葉などの首都圏や近畿、中部圏など自動車排ガスの影響が大きい地域では未救済者は少なくない。国はこの訴訟だけではなく、ぜんそく患者全体のための救済の仕組みを構築する必要がある。

 公害対策の場合、交差点の改良・立体化やバイパス整備などは予算と時間がかかる。すぐにも可能なのは、主にディーゼル車から排出されている微小な粒子状物質対策だ。

 現行の環境基準は粒径十ミクロン以下(PM10)だが、米国は十年前から粒径二・五ミクロン以下(PM2・5)とし、欧州連合も昨年、この基準導入を決めた。この訴訟で国はPM2・5の専門的検討を表明したが、遅いくらいだ。

 ディーゼル車対策は都が国よりも先行するが、大気の環境対策という性質上、一自治体が強化したところですぐに効果が上がらない。国は早急に厳しい基準を導入すべきだ。私たちも一人ひとりの問題として環境対策に向き合う時期にきている。

【東京新聞・筆洗】2007年7月4日

 選挙を経て国や地方自治体の政治にかかわる人を政治家と呼ぶが、日本には昨年末の段階で約四万六千人いる。ただし全員を政治家と呼ぶにふさわしいかは疑問符が付く▼社会学者ウェーバーは政治家に重要な資質として情熱、責任感、判断力の三つを挙げている。これでふるいにかけ、次に著述家クラークが残した「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の世代を考える」との警句で分類してみよう。政治家の数が著しく減るだろうと、想像できる▼原爆投下を「しょうがないなと思っている」と発言した久間章生防衛相が辞任した。発言の直後は引責辞任や発言の撤回、訂正をする考えがないことを強調していた。その後、被爆地などからの怒りの声で発言の撤回と陳謝に追い込まれたものの、辞任の気配はなかった▼事態が一変したのは、与党内からも辞任を求める声が挙がったことだ。久間氏も辞任の理由として「参院選に影響を与えてはいけない」と発言している。参院選の直前でなかったら、「女性は産む機械」発言の柳沢伯夫厚生労働相と同様、続投していたのだろうか▼よく分からないのが安倍晋三首相の対応だ。「誤解を招く発言は厳に慎むように」と久間氏を厳重注意しているが、辞任に相当する問題とは思っていなかったはずだ。ところが久間氏が決断すると、慰留をせずに了承している。任命権者としての責任感、判断力が見えてこない▼子どもたちに辞任をどう説明したらいいのだろう。選挙前だから「しょうがない」では、政治家の数がまた減ってしまう。


【河北新報・社説】

久間防衛相辞任/内外に大きな汚点を残した

 久間章生防衛相はきのう、先の大戦における米国の原爆投下を「しょうがない」などと発言した問題の責任を取って、防衛相を辞任した。

 世界で唯一の被爆国の国民に向けられた無神経で乱暴な発言だった。参院選の前であろうとなかろうと辞任は当然である。

 久間発言をめぐっては、広島市と並ぶ被爆地で久間氏の地元でもある長崎市の田上富久市長が防衛省で久間氏に直接抗議したほか、与党内でも、公明党の浜四津敏子代表代行が久間氏に自発的な辞任を求めていた。

 野党は「核兵器使用を容認する許されない暴言」と批判、「久間氏を辞めさせなければ、首相も同罪」(鳩山由紀夫民主党幹事長)と久間氏の罷免と首相の任命責任をただしていた。

 こうした世論と政界の批判が瞬く間に広がり、目前に迫った参院選への影響も避けられないことから、久間氏は辞任に踏み切ったとみられる。安倍晋三首相の周辺も早期の辞任で事態の収拾を図りたい考えだろう。

 しかし、これで問題が決着したわけではない。

 何よりも、全国で今なお後遺症に苦しんでいる約26万人に上る被爆者の心に癒やしがたい深い傷を残してしまった。

 8月6日と9日にそれぞれ催される広島と長崎の平和祈念式典に多くの国民が注目するのも、「原爆と平和」がわが国のアイデンティティーになっているからだ。久間発言はこうした国民的感情をも踏みにじった。

 核兵器の廃絶は唯一の被爆国・日本の使命であり、常に鮮明にして世界をリードしていかなければならない旗印である。久間発言はこうしたわが国の基本的な外交戦略にも汚点を残してしまった。失った国際的信用は決して小さくはないだろう。

 久間氏の辞任は「参院選への悪影響を最小限に食い止めた」との声が自民党内にある。だが久間問題は安倍政権の先行きに一段と暗い影を落とす気配だ。

 共同通信が6月30、7月1両日に行った世論調査で、安倍内閣の支持率は32.0%と最低を更新。昨年9月の内閣発足時に65.0%あった支持率の半分の水準まで落ち込んだ。

 内閣不人気の底流には言うまでもなく年金記録不備問題に対する有権者の不満があるが、今回の調査に久間発言が悪材料として影響したのは間違いない。

 現職防衛相の失言は、支持率回復への薄明かりさえ見えずに危機に陥っている自民党の危機管理機能がもはや壊れ始めていることを裏付けるものだ。

 調査では、参院選で与党が過半数を割った場合に「衆院解散」を求める声が最多となり、「首相交代」を引き離した。

 2005年9月の「郵政解散・総選挙」で衆院には定数の3分の2を超す巨大与党が生まれた。その与党の肥大化が政治を弛緩(しかん)させ、後退させた。世論はそう見ているのではないか。

 被爆国であるわが国の最もデリケートな問題で著しく緊張感を欠いた久間氏の発言は、自民党の慢性的なおごりの中から噴き出てきたのではないのか。
2007年07月04日水曜日

【河北新報・河北春秋】

 長崎県在住の歌人竹山広さん(87)に胸を突かれるこんな歌がある。<死肉にほふ兄のかたへを立ちくれば生きてくるしむものに朝明く>。原爆投下から数日たった長崎での情景である▼原爆の日、竹山さんは結核で入院していた病院を退院する予定だった。迎えに来た兄が被爆、酸鼻を極める野外で苦しみもがき死んでいった。横たわり生きている者もまた苦痛にうめく。地獄絵のごとき朝

 ▼ <人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら>。山と積んで火葬にした遺体の手のひらが火の中で開く。惨状に言葉をなくし、竹山さんがようやく歌を再開したのは10年後のことだ▼原爆投下について、久間防衛相は講演で「しょうがないな」などと述べた。「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わった」という前段を含め容認できる内容ではない

 ▼広島と長崎への原爆投下が歴史上、最も憎むべき戦争犯罪であることは言を待たない。原爆投下で戦争終結が早まったというのも史実に反する。発言の責任を取って辞任を表明したが、当然だろう▼被爆者が今も苦しむ後遺症。癒やされ得ない記憶。竹山さんは歌を『とこしへの川』と題した歌集にまとめた。黒々と死体が浮かんだ長崎の川は永劫(えいごう)の悲劇を背負った川だという意味である。

2007年07月04日水曜日


【京都新聞・社説】

減災対策  まず自助、そして連携

 「こんな災害が身近で起こったら…」と、その時はニュースに身震いしながら、時とともに忘れてしまう。体験を伴わない記憶は実にもろいものだ。政府が先月まとめた二〇〇七年度防災白書を読んでつくづくそう思う。
 〇六年の主な災害を振り返ってみる。〇五年十二月からの豪雪で新潟、秋田両県などで計百五十二人が犠牲になった。梅雨前線による豪雨では長野、島根両県などで死者・行方不明計三十二人を数えた。十一月には北海道・佐呂間町で未曾有の竜巻が発生、九人が亡くなった。
 白書によると、集中豪雨はここ十年で急増し、「滝のように降る」一時間五〇ミリ以上の降雨の回数は三十年前の一・六倍、「恐怖を感じる」一〇〇ミリ以上の降雨は二・三倍になった。温暖化のあおりで、大雨の頻度は今後さらに高まるというから安閑とはしていられない。
 今年三月の能登半島地震など、大規模地震発生が懸念されている地域以外での大きな地震も続いている。これらを踏まえ、内閣府(防災担当)は「災害リスクはこれまでにないレベルにある」と警告する。
 では防災力はどうか。高層化・地下化する都市は浸水、地震に大きな課題を抱えている。過疎化する中山間地では、土砂災害などによる散在集落の孤立化が起こりやすい。災害弱者である一人暮らしの高齢者は十年間で倍増している。
 リスクの高まりに反比例して防災力が低減している-このことをしっかり認識しなくてはならない。
 気象庁は「緊急地震速報」の一般への提供を九月をめどにスタートさせる。一〇年度からは竜巻の発生予報も始める。しかし、これら予報・予知で災害発生を抑えることはできない。大切なのは二次被害を小さくする「減災」にどう取り組むかだ。それには「自助」「共助」「公助」以外にない。
 その自助だが、地震に備え家具類を固定している人は二割にとどまる。昨年十一月に起こった千島列島沖地震では津波警報が発令されたが、実際に避難したのは対象地域の人口の一割前後だったという。「まず自助」の意識をしっかり行動に結びつけたい。
 行政や住民、企業が手を携える共助・公助も十分とはいえない。政府が市町村に呼びかけている高齢者や障害者ら「災害時要援護者」対策を積極的に進め、このネットを横に広げていくべきだ。
 施策化には「どの人を誰がどのように援護するか」のプラン策定が前提だが、体制を整えているのは全国約千八百の市町村のうち二十団体にすぎない。
 個人情報保護法が壁になっている。市町村の八割以上は、要援護者が担当の福祉部局と、消防団などを把握している防災部局で情報共有ができていない。個人情報への過剰反応が、ここでは「減災」の足かせになっている。

[京都新聞 2007年07月04日掲載]

防衛相辞任  首のすげ替えで済まぬ

 先の大戦における米国の原爆投下を「しょうがない」と発言した久間章生防衛相が辞任に追い込まれた。
 久間氏は、きのう安倍晋三首相を官邸に訪ね、「けじめをつけないといけない」として、辞任の意向を伝えた。首相も了承した。
 久間氏の発言をめぐって野党側は「あるまじき発言」として、防衛相罷免の要求へ動き出し、与党内からも自発的な辞任を求める声が広がっていた。
 被爆地・広島、長崎の怒りも収まらない。この日、久間氏の選挙区である長崎市の田上富久市長が面会を求め、「原爆投下の正当化とも受け取られ、被爆者の心情を踏みにじるもの」と直接抗議した。その直後の辞任となった。
 国の安全保障を担う防衛相が、自らの不用意な発言で、国民の不信、政治の混乱を招いた責任は重い。閣僚どころか国会議員の見識、資質さえ疑われても仕方あるまい。引責辞任は当然である。
 安倍内閣が発足して一年も経たない。なのに閣僚の交代は「政治とカネ」問題で辞任した佐田玄一郎行革担当相、自殺した松岡利勝農相に続いて三人目だ。首相は女性を「産む機械」に例えた柳沢伯夫厚労相を擁護し続けている。
 こんどの首相の対応も腑(ふ)に落ちない。最初は久間発言を「米国の考え方について紹介したと承知している」と述べ、ことさら問題視しない姿勢をとる。
 「久間批判」の高まりに抗しきれないところで、ようやく官邸に呼び、厳重注意したのは、週明けになってからだ。
 参院選への影響を懸念し、事態の沈静化を図ったのであろうが、後手に回った感は否めない。首相の任命責任は免れない。何よりも首相は発言の重大性をどこまで認識していたのか。疑問である。
 久間氏はこう言った。米国の原爆投下で「悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだ、という頭の整理で、しょうがない、と思っている」と。同時に旧ソ連の対日参戦を阻止する狙いが米国にもあったとする見方も示した。
 この「しょうがない」発言は必要とあれば原爆使用を認めることにつながる。米国に根強い原爆肯定論を勢いづかせる懸念もある。看過できる発言でない。
 「唯一の被爆国」として戦後一貫して訴えてきた核兵器廃絶という「国是」に疑念が生じる。非核三原則を堅持し、国連での核軍縮決議案採択をリードしてきた努力も水泡に帰しかねない。国際社会の信頼を揺るがす「事件」なのだ。
 参院選が迫る。年金問題などで逆風が吹く安倍政権にとって打撃は免れそうにない。だからといって防衛相の罷免を避け、首のすげ替えで済ます話ではない。
 北朝鮮など核開発が進行する世界にあって、核兵器廃絶と恒久平和に取り組む日本の基本姿勢に、いささかの揺るぎがあってはならない。その姿を国内外に発信する責務が首相にあるのだ。

[京都新聞 2007年07月04日掲載]

【京都新聞・凡語】

世論調査

 参院選を月末に控えて、各政党は世論の行方に神経をとがらせている。判断材料の一つが世論調査だ。功罪の議論はあるものの、出てくる数字に一喜一憂している▼漢字の「世論」は元来、「輿論(よろん)」と書かれていた。古来、中国でかごかきのような庶民が政治について述べる意見や議論を意味した(平凡社・世界大百科事典)とか。表記が「世論」と簡略化された結果、より幅広い「世間一般の考え」の意味で使われるようになったという▼わが国に、現在のような世論調査を導入したのはGHQで、一九四五年秋以降、新聞各社や政府機関に広まった。今日では、簡便な電話調査もひんぱんに行われている▼ただ、世論調査がどこまで実態を正確に表しているかは常に議論の的だ。新聞社の世論調査でも社によって数字のばらつきは大きい。その場合は、同じ社の、過去の調査を含めた流れをみる方が有意義という▼共同通信が行った全国電話世論調査で、内閣支持率が32%となった。四、五月と持ち直した安倍政権だが、年金問題に火がついて以来、落ち込みが止まらない。傾向は、どの調査でも同様だ▼今回は調査初日に起きた久間章生防衛相の原爆投下「しょうがない」発言も影響したようだ。発言三日後の辞任は世論調査結果とも無縁であるまい。国民意識を知る指標の一つにすぎない世論調査だが、重い指標だ。

[京都新聞 2007年07月04日掲載]


【朝日・社説】2007年07月04日(水曜日)付

防衛相辞任―原爆投下から目をそらすな

 米国による広島、長崎への原爆投下について、「しょうがない」と講演で述べた久間章生防衛相が辞任を表明した。

 原爆投下を容認するかのような発言は、被爆者の痛みを踏みにじり、日本の「核廃絶」の姿勢を揺るがすものだった。辞任は当然である。

 当初、久間氏は発言を訂正しないと言い、安倍首相も問題視しない姿勢をとった。ところが、被爆地の怒りがやまず、世論調査でも内閣支持率の低下が止まらない。参院選が戦えないという与党内の批判で追い込まれたのが実情だろう。

 悲惨な被爆体験は戦後日本の原点にかかわるものだ。それなのに、政治の感度は鈍かったとしかいいようがない。

 久間氏は辞任するが、これで一件落着したわけではない。久間発言は無思慮ではあるが、そういう物言いを生み出す土壌があると思わざるをえないからだ。

 それは、米国の原爆投下に対し、日本の政府が厳しく批判せず、国民の動きも十分でなかったことだ。

 広島と長崎に原爆が投下された直後の45年8月10日、政府は国際法違反として米国に抗議した。終戦後の同年9月には、のちに首相になる鳩山一郎が戦争犯罪と批判した。この発言を掲載した朝日新聞は占領軍により発行停止になった。戦犯を裁いた東京裁判でも、日本側は原爆投下を違法と主張した。

 原爆投下を糾弾する動きはここで止まる。政府が黙ってしまったのは、平和条約で、米国などの連合国への請求権を放棄したことが大きいだろう。法的にものを言うすべを失ったということだ。

 だが、それだけではあるまい。日本は米国に無謀な戦争を仕掛けて、敗れた。しかも、敗色が濃厚になっても、戦争をやめなかった。そんな負い目が戦後の日本にあったからではないか。

 久間氏の発言は、こうした心理がうっかり漏れたということだろう。

 しかし、戦争ならばどんな手段でも許されるということではないはずだ。原爆は破壊力がけた外れに大きいだけでなく、生き延びても後遺症を残す兵器である。その非人道的な性格については、いくら批判してもしきれないほどだ。

 原爆投下が間違っていたと米国を説得するのは並大抵ではない。米国人の多くは原爆投下によって戦争終結が早まったと信じている。米政府は謝罪したことはないし、現職の大統領が広島や長崎を訪れたこともない。

 だが、戦後50年に米国で開かれた原爆をめぐる展示では大論争があった。米国にも原爆投下に批判的な声がある。

 マクナマラ元米国防長官は、自らが携わった原爆を含む日本への無差別爆撃について「勝ったから許されるのか。私も戦争犯罪を行ったんだ」と語った。

 原爆投下が誤りであり、原爆の被害が悲惨なことを、日本から粘り強く発信し、米国に伝えていく。そのことの大切さを久間発言で改めて痛感する。

異常な円安―相場も景気も利上げ促す

 最近、海外旅行をした人たちは、どこへ行っても物価が高いと思ったに違いない。これは正確にいうと、円の価値が低くなりすぎているのだ。

 為替市場では、ドルに対して120円を超える円安が続き、ユーロに対しては160円を超える最安値圏にある。

 主要な他国通貨に対する円の価値を、それぞれの物価上昇や貿易額も総合して計算した「実質実効為替レート」によると、6月のレートは、行き過ぎたドル高(円安)の是正を決めた22年前のプラザ合意時をも下回った。

 世界的に見れば、ドルが多くの通貨に対して安くなっているなか、そのドルに対しても円は下落している。どこを旅しても物価が高いと思うわけだ。

 日本銀行が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、全体では景気の底堅さを示すものだった。しかし、中身には円安の影響がみられる。電気機械や造船・重機などの輸出業種は円安を背景に景況感がよくなっているものの、紙・パルプ、非鉄金属、鉄鋼などの素材業種は、円安による輸入原材料の値上がりで景況感が悪化している。

 米議会には、中国の人民元を標的にして、意図的に通貨を安くしている国に対して関税引き上げなどの制裁をする法案が出ている。この裏では、自動車産業などの意をくんで、円も標的にしようという動きもあるという。

 朝日新聞社が主要100社を対象に実施した直近の景気アンケートで、「円安すぎる」と答えた企業が昨年11月時点より大幅にふえて31社になった。海外ファンドによる日本企業の株買い占めが広がるなかで、円安が続くと、海外からみて株が割安になり買収攻勢が強まる、との危機感も高まっているのだろう。

 円高時に比べて、円安時の警戒感は乏しいといわれるが、さすがに円安への不安が募ってきた。

 貿易や投資収益による経常収支の黒字は、これまでの最高水準を保っているのに、円に対する評価が低いのはなぜか。答えは、日本の低金利だ。

 かつては、経常収支を代表とする経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)が好調なら、その通貨は高く評価された。しかし、このところは世界的なカネ余りのなか、より高い利回りの期待できる通貨へマネーがシフトし、それが相場を左右する状態が続いている。

 ファンダメンタルズを反映しない円安が続けば、それによる経済のゆがみもひどくなることが懸念される。

 さいわい、短観にみられる企業の景況感からは、この先もゆるやかな景気拡大が続くと期待できそうだ。物価はまだ前年比で小幅マイナスの水準だが、景気の足かせにはなっていない。

 国内の経済状態からみても、為替面のゆがみから考えても、金利を引き上げていまの超低金利を是正していく環境が、夏から秋にかけて整うのではないか。

【朝日・天声人語】2007年07月04日(水曜日)付

 芝居に出てくる馬は、前脚と後脚を別の役者が演じる。何かの拍子に馬がこけ、役者の体や顔がのぞいては興ざめだ。一度でもみっともないのに、あっちでゴロリ、こっちでポロリと続いた日には、もはや進退窮まり、幕を下ろすしかない。

 久間防衛相が、原爆投下をめぐる「しょうがない発言」の責任を取って辞める。過去にも不用意なコメントで物議を醸してきた人だ。そういう軽めの人物が初代防衛相となり、自衛隊という重い組織をきょうまで預かっていたかと思うと、何やら背筋がひんやりする。

 安倍内閣では、すでに何人かの閣僚が馬から転げ出て、姿丸見えで右往左往するの図。首相はそんな馬脚大臣たちをかばおうとしたが、もう3人がいなくなった。

 この内閣には、政権誕生までの論功で登用された人も少なくないと聞く。「産む機械」「ナントカ還元水」「しょうがない」。問題発言や問題行動がこう続くと、首相の任命責任に触れざるを得ない。

 「投げたことのない人をピッチャーにしたり、三塁手だった人にキャッチャーをやらせたりしたから、うまく回転しなかった」。森元首相はおとといの講演で内閣をそう評した。だが守備位置の前に、そもそも試合に出る資格はあったのか。安倍監督の見る目も問われる。

 山道が険しくなり、乗ってきた馬を降りなければならない地点を「馬返し」と呼ぶ。富士山や日光の地名にも残る。参院選という尾根を控え、馬は脚から消えていく。自ら挑んだ山登りとはいえ、安倍さん、いよいよの徒歩ですよ。


【毎日・社説】

社説:久間氏辞任 心からの反省が伝わらない

 久間章生防衛相が3日辞任した。米国の広島、長崎への原爆投下に関して「あれで戦争が終わったのだ、という頭の整理で今、しょうがないなと思っている」と発言したことに対して反発が広がったためだ。

 久間氏の発言は核廃絶を訴える国の方針に反し、筆舌に尽くしがたい苦痛を味わってきた被爆者やその家族の心情を踏みにじるものだった。辞任は当然のことであり遅すぎるぐらいだ。

 久間氏からは、今回の発言以外にもたびたび問題発言が飛び出していた。国の安全保障を担当する防衛相は、閣僚の中でもとりわけ国民からの信頼が必要であり、これ以上その任にとどまることは不可能だった。

 発言は、状況によっては原爆使用を容認できるという認識を示した点で大きな問題となった。これは非核三原則の下で核拡散防止条約(NPT)の重要性を訴え、「核廃絶が日本の使命だ」(安倍晋三首相)という政府の姿勢と一致しないからだ。

 長崎市の田上富久市長は3日、防衛省を訪れて抗議したが、久間氏は「申しわけない」と頭を下げるだけで、市長を納得させることはできなかった。

 久間氏は「原爆を是認したわけではない」と弁明している。「しょうがない」のニュアンスがうまく伝わらず、言葉尻をとらえられたという言い分だ。

 しかし講演では「国際情勢や戦後の(日本の)占領を考えるとそういうこと(原爆投下)も選択肢としては、戦争になった場合はあり得るのかなと(思う)」とも述べている。このように日本への原爆投下について、選択肢として容認しており、認識そのものが間違っているのだ。

 3日、自民党が選挙協力を期待する公明党の浜四津敏子代表代行が自発的な辞任を促し、同党は久間氏の釈明のための訪問を拒否した。辞任の弁で久間氏は「選挙のマイナスにならないように身を引く」とも語った。

 心からの反省ではなく、こう選挙対策による辞任を前面に出されては、あきれるしかない。

 安倍首相の対応にも問題があった。首相は久間氏の発言当初、「惨禍の長崎について忸怩(じくじ)たるものがある、という考え方も披歴された」と久間氏をかばった。

 小沢一郎・民主党代表との討論でも「核廃絶についてこれからも大いに力を発揮してほしい」と罷免を拒否している。核兵器廃絶への姿勢を見せるためにもただちに厳しい認識を示すべきだった。

 首相は「産む機械」発言の柳沢伯夫厚生労働相、光熱水費問題で批判を浴びた松岡利勝前農相をかばい続けた。今回の久間氏に対しては参院選があるため、かばい続けることができなかったというのが実態だろう。久間氏を任命した責任を首相は厳しく問われよう。

 久間氏の発言で、核兵器廃絶を訴える日本に対する国際社会の信頼は損なわれた。首相は、核兵器廃絶への決意を改めて語るべきである。

毎日新聞 2007年7月4日 東京朝刊

社説:税収見込み 政治へのサービスは禁物だ

 06年度の一般会計税収が補正後の見込み額である50兆4600億円を達成できず、49兆700億円にとどまった。法人税や所得税の伸びが思ったほどではなかったためだ。

 税収見込みが経済情勢の変化で未達成になることは、起こり得る。ただ、今回はそれだけではない。補正段階で税収見込みの引き上げ幅が大きかったからだ。当初予算の税収見込みを5兆円近く引き上げ、50兆円台に乗せた背景には、上げ潮路線をとっている政府・与党への付き合いという意味合いもあったに違いない。

 ここ数年、企業業績の急回復や株価の回復で法人税や所得税の税収は順調で、当初見込みを大幅に上回る状態が続いていた。これに対して、自民党から財務省には税収見込みが手堅すぎると批判が向けられていた。06年度の補正予算の税収見込みはそうした批判に応える内容となっていた。

 税収が50兆円を割っても、引き続き好調であることに変わりはない。ただ、補正後の見込み額は07年度当初予算の税収見込みの土台となっており、08年度予算の税収見込みも間接的に拘束する。税収見込みは手堅くなければならないのは、このように、数年先にまで影響を及ぼすからだ。

 3月末時点の国の借金は834兆3700億円だ。06年度は税収の好調が追い風で伸びは小幅になったが、残高ベースで減少が見えているわけではない。財政当局にすれば国債の新発額を減らし、国債依存度を引き下げるためにも、税収の伸びには期待している。だからといって、税収を過度に高く見積もることは許されない。

 07年度の税収見込みは53兆4600億円と、06年度当初段階より約7兆5000億円増となっている。企業業績の好調は続いてはいるものの、伸びは次第に小幅になり、業種ごとの濃淡もはっきりしてきた。景気拡大もいつまでも続くわけではない。

 財務省は06年度税収の補正後見込み割れを教訓に、08年度予算編成に当たっては、保守的といった批判があろうが、堅実な見通しで臨むべきだ。

 景気が予想以上に強く、実際の税収が当初見込みを大きく上回ったならば、国債発行を減額すればいいだけのことだ。あらかじめ、高めの税収を見込み、それに見合った歳出を計上することになれば、財政再建は吹き飛んでしまう。

 国家財政は国民に過不足なく社会サービスを提供していくことを任務にしている。その意味では、歳出を削るだけでは責任を果たすことができない。日本の財政はそうした状態にはない。財政が本来の役割を果たす状態にできる限り早く戻るためにも、税収増を安易に使ってはならない。

 そのため、政治の圧力でばらまきになりがちな歳出には厳しく対処する必要がある。同時に、税収見込みでも政治にサービスをすることは厳に慎まなければならない。財政再建のみならず、経済全体の立て直しのためにも、財政当局はこの姿勢を堅持すべきだ。

毎日新聞 2007年7月4日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:古代中国で最も速い乗り物は四頭立ての馬車だった…

 古代中国で最も速い乗り物は四頭立ての馬車だった。「駟(し)」とはそれをさす文字だが、駟で追いかけても追いつかないものがあったという。「駟も舌に及ばず」とは「論語」で孔子の弟子、子貢が言う警句だが、駟より速いのは舌、つまり口から出た言葉だ▲失言の取り返しがつかないことは昔も今も同じだ。英語でも「舌のすべり」とは失言を表す言い回しだが、どうも軽率な発言を舌の勝手な動きのせいにするのは洋の東西を問わぬようだ。だが世の中には舌に責任を押し付けるわけにいかぬ失言もある▲米国による原爆投下を「しょうがない」と述べた久間章生防衛相が辞任した。発言への被爆者はじめ世論の厳しい非難が高まるなか、野党各党ばかりか与党内でも批判が相次ぎ、「発言が理解を得られず、迷惑をかけた」と引責の意を示している▲防衛相としての今回の発言の不見識はいうまでもない。そればかりか、以前にも閣僚でありながら政府見解から逸脱する発言を繰り返し、物議をかもした久間氏である。安倍晋三内閣の「すべりすぎる舌」となってきたのが、とうとう閣僚としての矩(のり)からすべり出てしまった形である▲この時期、参院選を目前にしての閣僚交代が安倍内閣に与える打撃の大きさははかりしれない。首相にすればあくまで一閣僚の失言なのかもしれないが、その任命責任や他の閣僚の失言までを国民に思い起こさせた政治的失態だ。意にそわない舌の勝手な動きのせいにはとてもできない▲またも任命責任の追及を受けるはめになった首相には本意でなかろう。だがあまりに軽々しい発言が次々に閣内から飛び出るのは、どこかでその政治が言葉に対する緊張感を欠いていたからに違いない。民主主義は何より言葉の政治だ。

毎日新聞 2007年7月4日 東京朝刊


【読売・社説】

防衛相辞任 冷静さを欠いた「原爆投下」論議(7月4日付・読売社説)

 久間防衛相が、米国の原爆投下をめぐる発言による混乱の責任をとって辞任した。先の講演で、「あれで戦争が終わった、という頭の整理で今しょうがないなと思っている」などと述べていた。「しょうがない」とは、全く軽率な表現である。

 参院選を目前にして、野党側は、その表現のみをとらえ、安倍政権批判の格好の材料として罷免を求めた。与党も、選挙への悪影響を懸念して浮足立った。混乱したあげくの辞任劇である。

 久間氏は、日本政府のイラク戦争支持は「公式に言ったわけではない」と語るなど失言を重ねていた。このような言動を繰り返しては辞任もやむをえまい。

 久間氏は講演で、米国は、「日本も降参するだろうし、ソ連の参戦を止めることができる」として原爆を投下したとの見方を示した。これは、誤りではない。当時、ソ連に対して不信感を募らせていた米国は、ソ連の参戦前に早期に戦争を終わらせたいと考えていた。

 同時に、久間氏は、「勝ちいくさとわかっている時に、原爆まで使う必要があったのかという思いが今でもしている」と付言していた。

 米政権内部でも、敗色濃い日本への原爆投下については、アイゼンハワー元帥(のちの米大統領)が反対するなど慎重論は強かった。久間氏は、米国が非人道的兵器の原爆を使用したことに疑義も呈していたのである。

 そもそも、原爆投下という悲劇を招いた大きな要因は、日本の政治指導者らの終戦工作の失敗にある。仮想敵ソ連に和平仲介を頼む愚策をとって、対ソ交渉に時間を空費し、原爆投下とソ連参戦を招いてしまったのである。

 しかし、野党側は、「米国の主張を代弁するものだ」「『しょうがない』ではすまない」などと感情的な言葉で久間氏の発言を非難するばかりで、冷静に事実に即した議論をしようとしなかった。

 疑問なのは、民主党の小沢代表が、安倍首相との先の党首討論で、原爆を投下したことについて、米国に謝罪を要求するよう迫ったことだ。

 首相は、核武装化を進め、日本の安全を脅かす北朝鮮に「核兵器を使わせないために、米国の核抑止力を必要としている現実もある」として反論した。

 当然のことだ。日本の厳しい安全保障環境を無視した小沢代表の不見識な主張は、政権担当能力を疑わせるだけだ。

 久間氏の後任には、首相補佐官の小池百合子氏が就任する。国防をはじめ、国の責任を全うするためにも、安倍政権はタガを締め直さねばならない。
(2007年7月4日1時51分  読売新聞)

英国テロ 日本にも「対岸の火事」ではない(7月4日付・読売社説)

 英国が、またも直面したテロの脅威である。ブラウン新政権は、いきなり試練を迎えた。

 日本もかつて、国際テロ組織アル・カーイダからテロの標的として名指しされた。そのことを、再度確認しておきたい。日本にとっても対岸の火事ではない、と肝に銘じる必要がある。

 ブラウン政権が発足した直後、ロンドン中心部に駐車中の2台の車両から、爆発物と見られる燃料やガスボンベ、大量のくぎが見つかった。うち1台は繁華街のナイトクラブ前に駐車中で、無差別大量殺害を狙ったテロ未遂だった。

 翌日には、北部スコットランドのグラスゴー空港ターミナルビルに、炎上したジープ型車両が突入した。車の中から、ロンドンで発見されたものと同種のガスボンベが出てきたことなどから、スミス内相は、連続テロ事件と断定した。

 このほかにも、不審車両の発見が相次いだ。英政府は、テロ警戒レベルを、新たな攻撃が切迫していることを示す最高度の「危機的」に引き上げた。

 殺傷力を強めるためガスボンベなどを積載した自動車爆弾を使う手口は、「イラク型テロ」に似ていると指摘されている。首相のテロ対策顧問は、「アル・カーイダが、バグダッドの手法を持ち込んだ」と明言した。

 これまで逮捕された8人の大半は、英国生まれではない。うち2人は、イラク人とヨルダン人の医師だった。こうした点も、事件の背後に、国際テロ組織の暗躍をうかがわせる材料になっている。

 英国では、2005年7月、地下鉄などで同時テロが発生したほか、06年8月には、旅客機を狙ったテロ計画が発覚した。犯人は、英国籍を持つ移民やその子弟たちだった。

 今回の事件が、国際テロ組織が直接かかわる犯行だと確認されれば、英国は一層厳しい対応を迫られることになる。

 事件は、捜査の観点からも注目に値する。英国には、約420万機の監視カメラが設置されている。事件から3日間で8人を逮捕することができたのは、当局が事前に、監視カメラの映像など膨大な情報を保有していたからだろう。

 日本では、防犯カメラの設置に対する慎重論がなお残っている。しかし英国の例は、安全を確保するための有用性を示している。その設置に、もっと前向きに取り組んでもいいのではないか。

 まだ施行前だが、出入国管理・難民認定法を改正し、外国人から入国審査の際に指紋を採取するなどの規定が設けられた。安全のために何ができるか、さらに知恵を絞りたい。
(2007年7月4日1時52分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月4日付 編集手帳

 原爆に触れた文章をつづるたび、少年に読んでもらう。感想が返ってくることはないが、いつしか身についた習わしである◆「皮膚のない裸群」という山本康夫さんの詩がある。作者は爆風でばらばらに壊れた家のなかで、被爆した13歳の息子を看(み)取った。臨終の間際に、少年は父親にたずねたという。「お浄土には羊羹(ようかん)があるの? …戦争はないね」と◆長崎が選挙区の久間章生氏にも、胸のなかで草稿を読み聞かせる人がいたかどうかは知らない。米国の原爆投下に触れ、「あれで戦争が終わったという頭の整理で、しょうがないと思う」と発言した責任を取り、防衛相を辞任した◆サッカーの日本代表監督イビチャ・オシム氏の言葉を思い出す。祖国・旧ユーゴスラビアで内戦を経験した。戦争から学んだこともあったでしょう? 氏は答えている。たとえあっても、あったとは言わない。「何かを学べた意義を認めてしまえば、戦争が必要なものになってしまう」と◆原爆投下も同じだろう。戦争を終結に導いた意義を被爆国の側で少しでも認めてしまえば、「必要なもの」として歴史に再登場するのを許すことにもなりかねない。「しょうがない」に潜む危険である◆辞任を「勇気ある英断」と称(たた)えた与党幹部の言葉もいかがなものだろう。少年よ。あなたには聞かせたくない。
(2007年7月4日1時51分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】米露首脳会談 対立より協調を探るとき

 ブッシュ米大統領とプーチン露大統領による米露首脳会談は、冷戦終了後最悪といわれる米露関係の修復が最大の目標だった。

 米国の東欧へのミサイル防衛(MD)施設配備など主要対立問題での溝は埋まらなかったが、対話拡大では合意し、少なくとも関係悪化は防ぐことができた。

 しかし今後、米露間の協調関係が回復するかどうかは予断を許さない。まずは米露が対話の拡大を通じて信頼醸成に努めることが大事だ。一方、日米同盟を外交基軸とする日本は、米露関係が悪化する場合に備え、戦略的な取り組みを強めることも重要だ。

 東欧へのMD施設配備計画は2012年までにチェコにレーダー施設、ポーランドに迎撃ミサイルを配備しようというものだ。イランからのミサイル攻撃への備えが主目的とされる。

 これに対しプーチン大統領は、東欧へのMD配備はロシアのミサイルを想定したもので、「新たな軍拡競争を招く」と猛反発、欧州にミサイルの照準を戻すとまで威嚇した。「新冷戦」到来の懸念まで生んだ。

 防衛側の能力が強化されれば、攻撃側の能力も強めなければバランスが取れないという理屈だが、ロシアのミサイルの数が圧倒的である以上、この説明は十分な説得力を持たない。

 「強い国家」の建設を目標とするプーチン大統領のメンツの問題なのか。ともあれ、プーチン大統領は会談で、先月提案したアゼルバイジャンにあるレーダー設備の共同利用に加え、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の協議への参加、ミサイル発射情報を交換する早期警戒センターの欧州への新設などを含む包括案を示した。

 包括案は協議を複雑にすることで計画引き延ばしを図るものとの見方もあるが、ブッシュ大統領は基本的に受け入れた。ただし、チェコとポーランドの施設はMDに不可欠だとして計画遂行の立場を変えなかった。

 冷戦終了から18年近くがたつ。ロシアはもはやNATOの仮想敵国ではない。02年には、「NATOロシア理事会」も発足、ロシアがNATOの意思決定に一部加わるまでになった。この流れを変えるべきではない。米露が協力すべき課題は山ほどある。ロシアを取り込む知略も必要だ。

(2007/07/04 05:04)

【主張】久間防衛相辞任 遅きに失した決断だった

 米国の原爆投下を「しょうがない」と発言し、厳しい批判を受けていた久間章生防衛相が引責辞任した。

 被爆者はもとより、国民感情を考えれば、多大の犠牲者を出した原爆投下を容認するような発言が極めて不適切なのは自明のことだった。

 現職の防衛相で、しかも被爆地、長崎県選出の政治家である。イラク戦争をめぐる米国の判断を公然と批判する発言もあった。資質にかかわる問題とみなされてもやむを得ず、自ら進退を明確にしたのは当然だ。

 5月には前農水相が自殺した。参院選を控え、失言による重要閣僚の辞任は、安倍政権にとって少なからずダメージとなるのは避けられまい。

 先月30日の問題発言以降、安倍晋三首相は2日に久間氏を官邸に呼び、厳重注意こそしたが、更迭する考えは示していなかった。

 その間、被爆者団体や地元自治体の反発、野党側の追及姿勢が強まり、与党からも辞任論が出るに至った。

 久間氏が参院選への悪影響を考慮して自ら身を引いた形だが、首相が指導力を発揮し、すばやく更迭すべきではなかったのか、という思いは残る。

 野党側は年金記録紛失問題に加え、久間発言を争点化し、政府・与党を攻撃しようとしたが、久間氏の辞任によりそのもくろみは外れそうだ。

 今回のような失言が許されないのは当然だが、核問題を政争の具のように扱うことは避けるべきである。

 日本は唯一の被爆国として、核廃絶を目指す立場がある。同時に、自国の安全保障を米国の核の抑止力に大きく依存している現実がある。

 1日に行われた安倍首相と小沢一郎民主党代表との党首討論でも、この問題が取り上げられた。

 小沢氏は核の抑止力の重要性を認める一方、米国には原爆投下に関する謝罪を要求すべきだと主張した。

 これに対し、首相は米国に謝罪を求めつつ、核の抑止力の提供を求めるということが、現実の外交上は簡単でない点を率直に認めた。

 日米同盟を維持、強化しながら、日本は核をどう考えていけばよいのか。後任の小池百合子氏や政府関係者はもとより、国民もこの問題に正面から向き合いたい。

(2007/07/04 05:04)

【産経抄】

 泣きっ面にハチとはこのことだろう。年金問題で逆風をまともに受けている安倍晋三首相にとって、久間章生防衛相の原爆投下「しょうがない」発言は、あまりに痛かった。

 ▼かつてちょっとした“失言”によって大臣の首が飛んだ「言葉狩り」の時代があった。13年前の5月4日、毎日新聞は当時の永野茂門法相が、南京事件について「でっちあげだと思う」と発言した、と1面で大々的に報道した。

 ▼奇妙なことに、この記事は、本記のみで肝心の大臣との一問一答は翌日付にまわされた。永野氏側は、自らが南京を訪れたときの体験を踏まえ、「世上、伝えられるような大虐殺があったとは思わなかった」と言ったのだと釈明したが、時すでに遅し。

 ▼お約束通り中国や韓国が反発し、それを朝日新聞などが大きくとりあげ、日本弁護士連合会が法相辞任を求める声明を出した。当時の日弁連会長は、朝鮮総連中央本部売却事件で渦中の人となった土屋公献氏だったが、ほどなく永野氏は詰め腹を切らされた。

 ▼ 村山富市政権でもさきの戦争に関する発言で2人の閣僚の首が切られたが、さすがに最近は、失言を理由に辞めさせられる大臣はいなくなった。と思っていたら久間発言である。久間氏は「諦(あきら)めの気持ち」で「しょうがない」と言ったそうだが、これは弁解の余地はない。「米国を恨むつもりはない」と言うのも占領後遺症の表れだろう。

 ▼唯一の被爆国である日本は今も北朝鮮などから核の脅威を受けている。万が一、第3の原爆が日本に落とされて安全保障の責任者が「しょうがない」ではすまされない。リリーフに立つ小池百合子氏には、何がなんでも核をはじめとする大量破壊兵器から国民を守る気概をまず示してほしい。

(2007/07/04 05:02)


【日経・社説】

社説1 政権の危機管理を疑わせる久間辞任劇(7/4)

 遅きに失した感のある久間章生防衛相の辞任である。参院選を意識して与党内からも批判が噴き出したのを見てようやく辞意を固めた久間氏の危機管理能力の欠如には驚きを感じる。久間氏をかばってきた安倍晋三首相の判断力にも疑問符を付けざるを得ない。

 問題の久間発言は6月30日の千葉県柏市の麗沢大での講演でとびだした。米国の原爆投下に関し「長崎に落とされ、悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と述べた。

 評論家としての発言であれば、言論の自由である。過去にも問題発言をしている久間氏は防衛相としての発言の内外に及ぼす影響への配慮を欠いていた。私たちは原爆発言の後、自ら進退を判断するよう求めたが、久間氏にはそれは届かず、野党の罷免要求を「よくあること」と取り合わない姿勢を示した。

 年金問題で支持率低下に歯止めがかからない安倍政権にとって久間発言は最悪の時機にとびだした。首相周辺は7月1日の小沢一郎民主党代表との党首討論の場を使って反転攻勢をかける計画だった。小沢氏は討論に弱いとの判断からだった。久間発言はそれに水をかける結果になった。小沢氏は党首討論の最初の質問にこの問題を取り上げ、首相は久間氏を擁護した。

 首相が久間氏を更迭するよりも擁護した方が参院選への打撃が少ないと判断したのであれば、危機管理能力の欠如を内外にさらしたことになる。政治指導者にとって、人事をめぐる判断は指導力のありようを端的に示す。小沢氏に指摘されるまでもなく、久間氏に辞任を求め、後任に清新な人材の起用を決めていれば、それが反転攻勢のきっかけにもなったはずである。

 現実はそうはならず、与党内とりわけ公明党からの強い批判に持ちこたえられない局面にまで追い込まれて、防衛相が辞任した。30日、1日、2日とメディアでの3日間の久間批判の大合唱は、参院選にも少なからざる影響を与えたであろう。

 首相、防衛相は国の安全保障・危機管理に責任を持つ立場である。現実の安全保障上の危機は、内政問題と違い、確かな情報がつかめないなかでも重要な判断を迫られる。久間発言に対する国内での批判は目に見える批判である。それを読みとれなかった久間氏、さらに久間氏をかばい続けた安倍首相。政権の危機管理能力を疑わせる辞任劇であった。

社説2 米ロは溝埋める努力続けよ(7/4)

 冷戦後で最悪ともいわれるほど米国とロシアの関係がぎくしゃくするなか、ブッシュ、プーチン両大統領が会談した。ブッシュ家の別荘で率直に語り合い、個人的な信頼関係を再確認するという面では成果があったようである。

 だが、当面の最大の焦点であるミサイル防衛問題について基本的な対立の構図は変わらなかった。米ロは米ソ時代の軍拡競争を復活させないためにも溝を埋める努力を続けなければならない。

 米国はイランや北朝鮮による核攻撃の脅威に備えてミサイル防衛システムの構築を急いでいる。その一環でチェコにレーダー施設、ポーランドに迎撃ミサイルの配備を計画し、これにロシアが強く反発してきた。

 この問題でこのところ攻勢に出ているのはプーチン大統領だ。ドイツで先月開かれた主要国首脳会議の際、ブッシュ大統領に東欧への配備を断念してアゼルバイジャンにあるロシア軍レーダー施設を共同で使うよう提案し、米側を驚かせた。

 プーチン大統領は今回また新たな提案を出した。アゼルバイジャンのレーダー施設を近代化し、ロシア南部に建設中のレーダー施設と一体化して使ってもよいと述べた。これは米国の計画にロシアが積極的に関与していくことを意味する。

 ブッシュ大統領は新提案について「建設的で大胆、戦略的」と評価した。しかしその一方で「チェコとポーランドはシステムの不可分の一部」とも述べた。東欧配備を基本に据え、付加的にロシアのレーダー施設を利用してもよいと考えているようでもあり、溝はまだ深い。

 プーチン大統領はミサイル防衛問題を、同国と北大西洋条約機構(NATO)の協議の枠組みであるNATO・ロシア評議会でも取り上げたいと提案、これはブッシュ大統領も受け入れた。欧州諸国も参加する協議の場で妥協点を探ってほしい。

 米ロはイランの核開発問題への具体的な対応で隔たりがある。コソボ独立の是非やロシアの人権・民主化をめぐる対立は厳しく、再び冷戦状態へ近づいているようにも見える。それを放置していては世界はますます不安定になる。米ロは冷戦復活を阻止する重い責任を負っている。

【日経・春秋】(7/4)

 「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し」は「論語」の一節だ。「度を過ぎてしまったものは、程度に達しないものと同じ」(広辞苑)を意味する。英語でも「オレンジを搾りすぎれば苦いジュースになってしまう」という似たことわざがある。

▼一昨年の衆院選で自民党は圧勝した。昨年の自民党総裁選で安倍晋三氏は大勝し、首相に就任したが、政権の現状は「過ぎたるは……」に近い。原爆失言で批判されていた久間章生防衛相が辞任した。大臣更迭でどうなるかわからないが、防衛省はあすから守屋武昌次官が米欧を回る世界一周の旅を予定していた。

▼米国からバルト海のラトビア、それにロシアへの10日間。旅費法では事務次官はファーストクラスに乗れる。守屋氏の次官在任は間もなく満4年になる。異例の長期政権の間、悲願だった「庁」から「省」への昇格を実現し、在日米軍再編特措法を成立させた。「防衛交流」らしいが、ご褒美の卒業旅行とも映る。

▼「菫程(すみれほど)な小さき人に生(うま)れたし」(夏目漱石)。文豪の矜持(きょうじ)とともに、自戒や謙虚さが伝わる。きょう独立記念日を迎えた米国がイラクで苦しむのも「過ぎたるは……」の結果だろうか。唯一の超大国に「菫程な小さき国に……」と自戒する謙虚さがあったら、と思う。日本最大の役所である防衛省の首脳たちにも。


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