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2007年7月 6日 (金)

7月6日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月6日朝刊)

[検定撤回要請]まっとうな見解が聞きたい

 県議会と県内四十一のすべての市町村議会が足並みをそろえて意見書を採択し、県、県議会、県市長会、県市議会議長会、県町村会、県町村議会議長会の六団体が連名で政府に要請した。めったにないことである。

 教科書検定で、沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」の記述部分に検定意見が付され、日本軍関与の表現が削除・修正させられたことについて、要請書はこう指摘している。

 「沖縄戦における『集団自決』が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものである」

 「筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた沖縄県民にとって、今回の削除・修正は到底容認できるものではない」

 簡にして要を得た文章だ。沖縄戦を体験したウチナーンチュの、掛け値のない思いが盛り込まれている。

 だが、政府が今回の要請の重みを正面から受け止め、真摯に対応したとは言い難い。

 伊吹文明文科相への面談申し入れにもかかわらず、応対したのは、大臣でもなく副大臣でもなく、事務方のトップでもなく、審議官であった。

 文科省の布村幸彦審議官は「教科書用図書検定調査審議会が決めたこと」だと説明したという。

 その一方で、鈴木宗男衆院議員の質問主意書に対して、政府は三日、「沖縄戦の実態について誤解を生じる恐れのある表現に適切に検定意見を付した」との答弁書を閣議で決めている。

 六月二十三日の慰霊の日に、安倍晋三首相は記者団からこの問題を問われ、自身の見解を述べるのを避けた。私たちが聞きたくて知りたいのは、安倍首相の見解である。

 果たしてどの部分が「適切」なのか。沖縄の要請に対してどう思うのか。教科書の元の記述と日本軍関与の表現を削除・修正することと、果たしてどちらが「沖縄戦の実態について誤解を生じ」させることになるのか。

 実は、「集団自決」については、軍の関与を国として認定し、援護法を適用したケースがある。援護法がらみの軍関与の肯定と、教科書検定がらみの軍関与の記述削除という二重基準を、国はどう説明するのか。

 今回の教科書検定問題を通してあらためて思うのは、沖縄戦に関する正確な事実をできるだけ数多く、幅広く記録・保存し、戦争の実相を後世に語り継ぐことの大切さである。「集団自決」に関する再調査や県民大会、体験者の話を聞く県民向けのシンポジウムなどを検討してもいいのではないか。

[県産品奨励月間]自給率高める工夫を

 七月は県産品奨励月間。ことしの標語は「美ら島生まれ キラリ輝く 県産品」だ。三十一日までの期間中、さまざまなイベントを通して県産品の消費拡大と製造業振興を訴えていく。

 消費者が県産品を積極的に使えば、結果として企業に力がつき、雇用の拡大につながるのは言うまでもない。

 製造業を含む地場産業の発展はまた、地域を活性化させ、県経済の自立にもつながっていくはずだ。「奨励月間」の目標は、一貫してそこにあると言っていい。

 だが、県内の製造業の自給率は30%程度でしかない。経済的自立にはほど遠い数字であり、製造業の底上げは県産業界の大きな課題になっている。

 県工業連合会によると、食品、繊維、木製品、印刷、鉄鋼、金属の六業種が3%伸びた場合、生産誘発額は三百七十四億八千四百十七万円になるという。それに伴う雇用誘発数は五千九百十八人だ。

 伸び率が6%だと、生産誘発額は一気に八百三億六千九百五十六万円にまで跳ね上がり、雇用誘発数は一万千八百五十一人になるという。

 製造業による雇用効果はそれだけ大きいということである。では、企業力を高めるにはどうすればいいか。

 消費者一人一人が県産品を愛用し消費するのは当然だが、要は企業が消費者の購買意欲を刺激するような商品を生み出しているかどうかである。

 経済のグローバル化で、衣料品や生活用品など中国を含むアジア諸国の商品が沖縄にも入ってくる。

 廉価品といわれたのが、今では安いだけでなく質的にも良くなっている。「低価格で高品質」であれば消費者の目がそこに向くのは明白で、県内企業にとっては厳しい競争相手となる。

 とはいえ、かりゆしウエアのように、県産品がブランド化し全国的に注目を集めた商品もある。競争によっていいものが生まれれば消費者はついてくる。自給率を高めるためにも「キラリ輝く」商品をどう創り、提供していくのか。業界としての工夫が大切だ。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月6日 朝刊 1面)

 日米の野球界で二人の「おじさん選手」が脚光を浴びている。

 プロ野球球宴ファン投票で、両リーグ最多の百九万票余を集めたのは三十八歳の楽天・山崎武司選手。楽天の八選手が部門別一位を占めたことで「組織票」と見る向きもあるが、山崎選手は五日現在で二十八本塁打、五十二打点とパ・リーグトップ。最多得票は他チームのファンも認めざるを得ない活躍の結果といえよう。

 米大リーグでは、ドジャースの斎藤隆投手が監督推薦で球宴に初選出された。三十七歳。二年目の今季は五日までに一勝二十三セーブと、チームの守護神として活躍している。

 二人の野球人生は決して順風満帆ではない。「挫折」や「屈辱」も味わっている。山崎選手は中日で本塁打王も獲得したが、何度も二軍落ちを経験。交換トレードでオリックスに移籍。ここでも自由契約となり楽天に移った。斎藤投手は横浜時代に三度、二けた勝利を挙げるもその後救援投手に転向、先発復帰後の二〇〇三年からは三年間で計十一勝にとどまった。〇六年、三十六歳で無謀とも言われながら夢を求めて海を渡った。

 球宴出場に山崎選手は「三十八歳が元気だということを全国のおじさんにアピールしたい」。斎藤投手は「ユニホームを着続ける勇気というのがこんなふうになるんだなと思った」と語る。

 世のおじさんに夢と希望、勇気を与える言葉―と感じたのは、筆者だけではないだろう。(船越三樹)


【琉球新報・社説】

小池新防衛相 信頼される省への転換を

 初の女性防衛大臣に4日、小池百合子前首相補佐官が就任した。沖縄担当相も務めた新大臣だが、普天間移設問題では、早くも「日米合意案」を強行する構えだ。「沖縄にとっては厳しい大臣」との批判も出ている。新大臣にはまず「聞く耳を持つ大臣」への転換を促したい。
 近ごろの防衛省には、違和感と危機感を感じる国民も多いだろう。
 外敵を監視するかと思いきや、国民を監視していた情報保全隊の問題。防衛施設庁では談合事件、自衛隊幹部の機密情報持ち出し問題もあった。
 普天間移設問題では、辺野古沖の環境調査に掃海母艦を派遣し、「国民に大砲を向ける暴挙」との批判も受けた。
 教科書検定では、沖縄戦の「集団自決」への日本軍の強制に関する記述の削除問題で、久間章生前防衛相が軍命の有無を問われ「そんな昔のことは私は知りません」。揚げ句は「防衛省は日本軍のことを引き継いだわけでない」とやる。
 過去や歴史に学ばない。そんな姿勢や認識だから、今なお原爆症で苦しむ多くの国民の存在が頭から消えている。だから、ついには原爆投下も「しょうがない」との発言が飛び出す。
 平時においてさえ、この程度の認識。有事においては、果たしてどうなることか。これでは、「一体、自衛隊は何から何を守っているのか」「有事に国民を守れるのか」との疑問や不信の声が上がるのも、しょうがない。
 「軍は民を守らない」のが沖縄戦で県民が学んだ教訓である。そして、普天間移設問題では「自衛隊は国民に大砲を向けてまでも、米軍基地建設を強行する」という悲しい現実を目の当たりにした。
 歴史に学ばず、国民の声に耳を貸さない。だから久間前防衛相は舌禍を起こした。辞任会見でも「しょうがない」を繰り返すあたりは、舌禍ではなく“確信犯”とみられても、しょうがない。
 そんな大臣の後だ。小池新大臣には、まず「民の声」を聴く耳を、そして真摯(しんし)に歴史と向き合い、沖縄戦の史実を知ってほしい。
 防衛省・自衛隊は国民を監視せず、国民監視の下で、国民に銃を向けず、国民の側に立ち、国民の安全と豊かさを、国を守る本務を全うしてほしい。その改革の指揮を小池新大臣が担う。期待は重い。
 在沖米総領事館は「前大臣より話しやすい。移設問題に追い風」と小池新大臣を歓迎する。一方で、内閣府幹部すら「沖縄には厳しい大臣の就任」と受け止める。
 沖縄担当相として、かりゆしウエアの普及や離島・へき地への医師確保、北部振興策の継続に強い政治力を発揮した。次は基地問題。県民が望む真の解決策の実現に、持ち前の政治力の発揮を期待したい。

(7/6 9:59)

古酒の郷 「通」をうならせる改革を

 復帰特別措置の廃止を視野に、5年後をにらんだ泡盛業界の挑戦が始まった。目玉は「古酒(くーす)の郷(さと)」構想。長期保存で熟成度を増す泡盛の特性を生かし、伝統と文化の薫りを併設する「泡盛博物館」で楽しませてくれる。業界の果敢な取り組みにエールを送りたい。
 「酒税の軽減措置が消えれば、業界の再編淘汰(とうた)が始まる」。そんな懸念と危機感が、県内泡盛業界にはある。
 県内の酒税は本土の65%の水準に抑えられている。35年前の本土復帰時に、激変緩和と業界の保護・育成を目的に導入された復帰特別措置による酒税軽減だ。
 当初5年間の期限付きが、これまで7度延長されてきた。同措置で泡盛業界だけでも復帰後200億円を超える酒税が減免されてきた。
 だが「5年後の次の延長は困難」との見方が業界内でも強い。政府のみならず県庁内でも「県外、国外出荷も順調に伸びてきた。そろそろ復帰特別措置から卒業する時期」との声も高まっている。
 県酒造組合連合会が音頭を取る「古酒の郷」構想は、酒税軽減額の15%を財源に、特別措置が切れるまでの今後5年間で、15億円の資金をつくり、泡盛1万キロリットルを貯蔵する県内最大規模の貯蔵施設を建設するものだ。10年古酒がたっぷりと貯蔵される。芳醇(ほうじゅん)な香りが漂い、内外の泡盛「通」を魅了することだろう。
 自前で資金を造成する自発的で自立的な取り組みもいい。組合加盟の全企業・組合が参加する。業界の総力を挙げた活性化への挑戦だ。その心意気がまたいい。晩酌の泡盛以上に古酒ファンを酔わせ、ワクワクさせてくれる。
 本格的な泡盛博物館の設置も楽しみだ。なにしろ王朝時代からの琉球文化の流れをくむ泡盛だ。江戸上りの献上品、黒船艦隊の接遇、最近でも沖縄サミットで各国首脳を歓待する酒として沖縄の歴史や外交の舞台に彩りを添えてきた。
 県経済の一翼も担う200億円を超える県産品の優等生だ。次は特別措置からの脱却。県経済の自立に寄与する産業モデルとして、県民に知恵と勇気を与えてほしい。

(7/6 9:58)

【琉球新報・金口木舌】

 広島や長崎の人々、被爆者や犠牲者の遺族らにとっては本当に嘆かわしく、怒りがこみ上げてきたことだろう
▼先の大戦での原爆投下について「しょうがない」と発言し、3日に引責辞任した久間章生前防衛相の1件だ。参院選や8月の鎮魂の季節を控えていることもあり、発言の波紋は収まりそうにない
▼こうした中で米国の核不拡散問題担当特使が、さらなる犠牲者を出さずに戦争を終わらせたとして、原爆投下を容認する発言をした。「『しょうがない』なんて言っていたら、米国はまた原爆を…」と考えてしまう
▼思えば、文部科学省の教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」に関する日本軍関与の記述が修正・削除された問題も、県民にとっては「集団自決はしょうがない」と言われているようなものだ
▼県や県議会、県市長会など県民代表が4日上京し、文部科学省に検定撤回と記述の回復を求めたが、文科省は記述の修正・削除を決めた教科用図書検定調査審議会の中立性などを理由に拒否した。「審議会の決定だから、しょうがない」と言いたいのだろう
▼広島、長崎とともに、沖縄戦の悲劇もまた二度と繰り返してはならない。そのためにも「しょうがない」は、どうにかせねば。

(7/6 9:48)


【東京新聞・社説】

首相会見 最終日まで問答無用か

2007年7月6日

 みんなの聞きたい言葉を封じ、ひたすら「実績」の羅列で押し通す。そんな印象が否めなかった首相の記者会見は、問答無用のまかり通った今国会を象徴する。逆風は「年金」のせいだけでない。

 通常国会の最終日、恒例の記者会見に安倍晋三首相が臨んだ。冒頭の十七分間ほどは政権九カ月の実績披露。その後の二十分余の質疑でも、もっぱら実績を羅列するトーンは変わらなかった。

 焦点はやはり年金問題だった。該当者のわからなくなっている五千万件の納付記録について首相は、照合作業が当初の計画より前倒しできること、すべての加入者に履歴を通知することなどを強調したうえで、再び混乱が起きないよう「社会保障カード」を導入する、と述べた。

 実は首相官邸は会見二時間前にマスコミ各社の論説委員らを呼び、年金問題での政府の新たな対応策を発表している。年金受給者と加入者全員への履歴通知など、これまで野党や識者に指摘されてきた項目を、ほぼ網羅したような内容だ。

 そこには「新たな年金記録管理システム」という項目がある。ケースによっては、国民のプライバシー保護との関係が懸念されておかしくない微妙さをはらんだテーマである。

 本来、国会の場で徹底審議されてしかるべき構想が国会閉幕の日に表明されるのは、いかがなものか。

 そもそもこの国会は、社会保険庁改革関連法や天下り規制の国家公務員法改正を成立させるためとして、与党にさえあった疑問の声を退けて会期が十二日間延長された。延長された会期末までの数日間は、事実上の開店休業状態であった。

 時間は十分あったのだ。なのに閉会を待って新たな対策が示されるというのでは、野党の追及がわし、国会軽視、と批判されても仕方ない。

 いくつかの想定外の事態があったとはいえ、内閣支持率の急落に慌てふためいた政権のドタバタは国会の最終日まで続いた。そんな印象を受ける人も少なくないだろう。

 記者会見で首相は、内閣を組織してわずか九カ月の間に三人の閣僚が交代したことに、任命責任は認めつつ、後任閣僚の高い評価を一方的にまくしたてた。

 聞きたかったのは、たとえば農相だった松岡利勝氏の自殺、そして辞任した久間章生氏のこと、言い換えると、首相の「政治とカネ」の問題意識、「戦後レジーム脱却」をめぐる歴史認識であった。

 そこらを抜きに「参院選勝利を確信」と言われても困る。忘れないでほしい。有権者はこの政権が信頼に足るかどうかを見ていることを。

英連続テロ なぜ恵まれた医師が

2007年7月6日

 ロンドンなどの「英連続テロ」で捜査当局は医師と医療関係者らを容疑者として逮捕した。医師とテロの結びつきは現時点で不可解な点が多い。英政府は全容を早期に公表してほしい。

 先月二十九日、ロンドン中心部で爆発装置を積んだ乗用車がみつかり三十日にはスコットランド・グラスゴー空港で、炎上した車両がターミナルビルに突入した。スミス内相は「連続テロ」と断定した。

 捜査当局や英紙の報道によると、連続テロは、中東などからここ数年のうちに英国に移住し、英国の国民保健サービスを提供する公立病院と関係する外国人医師を中心とした犯行の可能性が高い、とみられる。

 それならば、容疑者とされる外国人医師らはなぜテロ行為に走ったのか、という疑問がつきまとう。外国人であっても、英国での医師の収入は保障され、社会的地位も高い。

 五十余人の犠牲者を出し七日でまる二年となるロンドン同時テロは、パキスタン系英国人など移民二世らの犯行とされる。自由な英国で生まれ英国の教育を受けたが、イスラム教徒は英国社会で少数派で貧困家庭が多く、社会差別の背景もあった。パキスタンで国際テロ組織アルカイダと接触したものもいたという。

 アルカイダは二〇〇一年の米中枢同時テロを引き起こしたが、その後は、各地のテロに直接介在することはなかったとされる。米国と同盟勢力の排除をめざす国際ジハード(聖戦)の象徴となり、マドリードなどでのテロはアルカイダに共鳴するイスラム過激派らの犯行といわれる。

 今回の事件が英当局の捜査通りだとすれば、英国にとって新たなテロリスト・ネットワークの出現となろう。ブラウン首相は当初、アルカイダとの関連を表明した。容疑者らとアルカイダ関連組織との接触、ジハードへの傾斜の有無などの疑問を解明し説明することが欠かせない。

 英国のテロ事件ではイラク戦争との関連性がよく指摘される。ブレア前政権が、ブッシュ米政権とともにイラク戦争、アフガニスタン攻撃に踏み切り、イスラム武装勢力と衝突してきた報復だという考え方だ。

 ブラウン首相は、今回の連続テロとイラク戦争との関連について言及していない。これまで「イラク戦争の教訓に学ぶ」と述べるにとどまっているが、〇九年に予定される総選挙を控え、ブレア前首相とは違うイラク政策を迫られている。イラク戦争が国際テロを助長する要因なら、駐留英軍の撤退計画など新政策を明示することも必要であろう。

【東京新聞・筆洗】2007年7月6日

 「消えた」と思っていたら、実は「宙に浮いていた」という「ネンキン」。まるで神出鬼没のアメーバのようだ。「照合」のうえ「統合」し、ものによっては「突合」もすると安倍首相▼「粘菌研究」で知られた泉下の南方熊楠(みなかたくまぐす)博士も「わが粘菌、すっかり人気者だ」とご満悦といいたいが、もちろんこのネンキン、今や十二日公示の参院選最大の争点となった「年金」のこと▼首相は国会閉幕後の記者会見を、夕方のニュース時間帯にぶつけ、「宙に浮いた」五千万件の年金記録正常化「一年以内」の公約をさらに前倒しすると発表した。選挙日程を一週間延ばして沈静化を図ったこの問題だが、日を追って国民の不満は高まり、本紙の政治ネットモニター調査でも71%が最大の争点と見、84%が政府の対応が不満と答える▼年金正常化の前倒し対策は、新たなプログラム開発でコンピューターによる照合を早めるめどが付いたというが、倉庫のホコリに埋もれ、破棄された古い手書き記録の復元は難航しそうだ▼ところで「年金」と「粘菌」、不思議な類似があり興味深い。ホコリカビに分類されていた「粘菌」は、アメーバとなって微生物を捕食する動物的形態と胞子で増える植物的形態があり、「変形菌」とも呼ばれる▼理化学研究所がこの春、光に応じて変形する粘菌の性質を応用した「粘菌コンピューター」の特許を申請して脚光を浴びた。迷路を最短ルートで解く粘菌の高い情報処理能力は、さまざまな応用の可能性があるとか。年金問題の迷走もいっそお任せしては。


【河北新報・社説】


道州制シンポ/江口座長発言に異議がある

 「道州制導入に伴う全国の基礎自治体(市町村)の数は約300と想定している。その場合、1自治体の人口は平均35万から40万になるだろう」

 政府の道州制ビジョン懇談会座長の江口克彦PHP総合研究所社長が4日に仙台市で開かれた「東北の未来と道州制を考えるシンポジウム」でこう発言したのだが、納得できない。

 道州制は都道府県を全国十前後の新たな広域自治体に再編する構想。道州制下の市町村の数や形は住民生活と直接かかわるだけに大事な論点ではある。

 自民党の調査会や日本経団連は既に現在の約1800市町村を道州制導入時に300とか500に再編するよう提案している。

 江口発言はこうした論調との整合を意識したのだとしても、政府肝いりの「公的見解」として独り歩きしかねないだけに政党などの意見とは重みが違う。

 道州制下の市町村数を300程度に再編すべきだ―との議論は乱暴だと再三指摘してきた。全国町村会も批判しているが、江口座長はそれを承知の上か。

 市町村の適正人口は地域固有の歴史や伝統的風土、経済力、地理的条件などによって無理なく決まっている。そのデリケートな構造を画一的な合併で再編するような制度設計は無謀だ。

 「1自治体の人口を35万―40万」にしたら、とてつもなく広大な面積の自治体も出現することになるだろう。住民自治やコミュニティーはずたずたになるはずだし、自治体内の移動コストなども跳ね上がる。

 過疎自治体などはどうするのか。地方制度調査会は小規模自治体の事務を県や周辺市町村が代行する制度を検討する考えだが、小規模自治体に必要なのはこうしたセーフティーネットであって、大きな自治体が小さな自治体をのみこむのを是とする行政効率論ではあるまい。

 1999年ごろから本格化した「平成の大合併」では、国の財政誘導策を背景にした都道府県の後押しもあり、約3200の市町村が約1800に減った。

 しかし、大合併が成功だったのか失敗だったのか、あるいはどんなメリットと課題を残したか。国民的な総括は終わっていない。その中で約300自治体への再再編という政策誘導を急げば、住民の意向を無視した強制合併になるのは必定だろう。

 まやかしではない真の地方分権の1つの到達点としての道州制は、国民的な合意を前提に実現されるべきだというのが、私たちの基本的な立場である。

 そして道州制実現に向けてのポイントは、国から地方への大幅な財源・権限移譲に抵抗する霞が関の壁を崩すことと、道州を支えることになる現市町村の自治力、自律力を向上させることだと考える。

 市町村を活性化するための地方交付税制度や税制、補助金制度の抜本的な見直しも必要だ。

 しかし、300自治体への再編論はこうした具体的な政策や計画を伴わない空疎な枠組み論として先行しているのが現状だ。再編論がこの先、道州制の獅子身中の虫にならないようにだけ願いたい。
2007年07月06日金曜日

【河北新報・河北春秋】

 食品の虚偽表示がまた発覚した。水産大手・マルハグループ本社の子会社が宮城県亘理町の工場で賞味期限切れの原料を混ぜたネギトロ用のマグロを出荷していた▼期限を勝手に書き替え1年以上も水増ししていたのだからあきれる。そもそも賞味期限というのがあいまい。十分に品質が保たれている期間としながら、期限切れでもすぐ食べられなくなるわけではない。もともと“のりしろ”がある

 ▼ 「品質に問題がなく冷凍品なので期限を過ぎても大丈夫だと思った」と会社側。そんな言い訳が出てくるのも業界や企業が独自に期限を決めているからだ。だが、のりしろにも限度はあろう▼不正の動機は「コストを抑えるため」だという。背景にマグロ価格の高騰がある。乱獲に伴う漁獲量規制に加え、中国をはじめ世界的な消費増が価格をつり上げる。だからといって、苦し紛れの背信行為が許されるわけがない

 ▼報告を受けた宮城県の対応の鈍さも気になる。健康被害の連絡がなかったとはいえ、ミートホープの食肉偽装事件があったばかりだ。概要だけでも速やかに公表すべきだった▼信なき亀は甲を破るという。品質表示ルールを破った企業はもちろん、消費者第一を忘れた食品安全行政もその責めは自らが負う。そんな例は枚挙にいとまがないというのに。

2007年07月06日金曜日


【京都新聞・社説】


生保総代会  経営監視の役割果たせ

 保険金不払い問題に揺れる生命保険業界で、大手六社の総代会が開かれ、いずれも波乱なく終了した。
 出席した総代からは、不払い問題への質問や意見は出ても、経営責任を追及する声までは聞かれず、ごく一部を除いて議論は低調に終始したようだ。
 総代会は、相互会社方式をとる大手生保の、最高意思決定機関であり、株式会社でいえば株主総会にあたる。
 本来は、社員(保険契約者)を代表して出席した社員総代が経営監視の役割を果たし、経営に注文をつけたり、無能な経営者には交代を求めたりできる場所であるはずだ。
 不払いが大きな社会問題となっていることし、当然、活発な議論や提言が期待された。それが経営責任も問わず、例年通り短い時間で終了してしまうとは。
 総代会のあり方とともに、相互会社という形態そのものの、見直しが必要ではないか。
 相互会社の社員総数は、各社ごとに数百万-数十万人の単位になる。総代は社員の中から二百人前後を選出するが、候補者を指名するのは会社側が設置する選考委員会だ。
 会社に都合のよい人、批判をしない人が選ばれるのが実態で、これでは経営監視は実現できない。批判や追及を拒んでばかりいては、生保の経営体質は弱まるだけだろう。
 総代会の機能強化には、総代を立候補制にする方法がある。さらに、相互会社から一気に株式会社に転換する選択もあろう。
 総代立候補制は、国も勧めてきた。ことし初めて明治安田生命が採用。二十二人の立候補総代は、総代会で活発な質疑を行ったという。株式会社化は、三井生命など三社が踏み切っている。
 相互会社でいる限りは、株を買い占められる危険もなく、長期計画にもとづく経営が可能だ。とはいえ、監視が不十分で外から経営実態がわかりにくいままでは、改革は進まない。
 生保各社は、これまで長く利益の詳しい内訳を公表するのを避けてきた。経営情報の全面公開も、生保の体質強化につながる道だろう。
 大手を含めた生保三十八社について、これまでに判明している不当な保険金不払いは、過去五年で計四十四万件・三百五十九億円にのぼる。不払い実態調査の最終結果がまとまるのは、九月末になると予想されている。
 契約者を裏切る重大な不祥事を起こしたうえ、金融庁の調査指示から半年近くたちながら、生保業界はいまだにその全容をつかみきれていない。
 大手生保という組織の、どこに何が欠けていたのか、客観的に問い直し、不祥事の再発防止と改革を果たすべきだ。そのためにも、相互会社からの転換や総代会の見直しは避けて通れない。

[京都新聞 2007年07月06日掲載]

通常国会閉幕  強引に成果急ぎすぎた

 通常国会が五日閉幕した。各党は二十九日投票の参院選に全力を傾注する。
 安倍晋三首相にとって初めての本格的な国会だったが、政権目標とする憲法改正と教育再生に向けて重要な法律を成立させ、政策面では大きな成果を挙げたといえよう。
 半面、閣僚辞任など内閣のほころびと強引な国会運営が目立ち、野党との全面対決のみならず与党内にもきしみを生じるなど課題も多く残した。
 安倍首相は施政方針演説で「たじろぐことなく、進んでいく覚悟」を強調してみせた。自らの保守的な政治信条を実現していくとの宣言である。
 憲法改正手続きを定めた国民投票法、昨秋の教育基本法改正に続く教育改革関連三法や社会保険庁改革関連法と年金時効撤廃特例法、天下りの規制を強化する改正国家公務員法など、政治史で特筆すべき重要な法律だ。
 さらに防衛省昇格に続いて、今回継続審議になった国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案や自衛隊のイラク派遣延長、在日米軍再編推進など安全保障の強化にこだわりをみせた。
 その意味で発足後一年足らずの政権ながら実績は大きい。原動力は与党が衆院で三分の二を占める絶対多数の力だが、国会運営には疑問符がつく。
 強行採決など不正常な採決は過去五年間で最も多い十七回に及んだ。委員会審議を省略する非常手段すら使った。衆参両院議長がそろって国会審議の在り方に苦言を呈したほどである。
 会期延長で参院側と亀裂を生み、官邸サイドと自民党執行部のぎくしゃくも目立った。与党の公明党との関係もあつれきを生じている。もともと首相のタカ派的な体質と相いれない部分があるだけに今後も尾を引きそうだ。
 拍車をかけたのがお粗末な閣僚の失態だ。事務所費問題で行革担当相辞任を引きずったまま国会開幕を迎え、厚労相の「産む機械」発言で平身低頭、ようやく乗り切ったと思えば農相自殺で、とどめは防衛相の原爆失言による辞任である。緊張感のない閣僚が足の引っ張り合いをし、内閣のもろさをみせた。
 安倍首相は「選挙の顔」として誕生した。参院選が生命線だが、内閣支持率は危険ラインにまで低下、焦って実績を挙げようとしたのが乱暴な国会対策の原因だ。国会審議に大きな禍根を残し、政治不信を高めた責任は重い。
 年金記録問題で政府を追及、窮地に追い込んだのは今国会における民主党の最大の功績だ。さらに敵失がこれほど続いている。にもかかわらず有権者の間で民主党の存在感が十分に高まったとはいえない。野党共闘も不発だった。
 政権戦略に欠けているものは何か。参院選で与党を過半数割れに追い込み、政権交代を迫るには政権党としての信頼感を明確に示すことが求められる。

[京都新聞 2007年07月06日掲載]

【京都新聞・凡語】

賞味期限の偽り

 食肉偽装の次は賞味期限を偽ったネギトロ。食の安全・安心は揺らぎっ放しだ▼大手水産マルハグループ本社の子会社北州食品(東京)が、賞味期限切れの冷凍加工マグロを材料の一部に使いネギトロを製造し、近畿のスーパーなどに昨秋から今春までに約八トンを出荷した。社内の調査で発覚し、先月から回収が始まったが大半が消費されており、回収は約八キロでしかない▼健康への影響や被害の報告はいまのところなさそうで、まず一安心だ。同食品では、通常は賞味期限に関係なく加工食品は混ぜないとし、仙台工場(宮城県)がタイ輸入の冷凍加工品を使っていたのは「マグロ価格高騰を受け、コストを抑えようとした」ためらしい▼マグロは乱獲で漁獲量が規制され、中国など世界的に消費量は増大している。ネギトロ材料の不足分を価格の安い冷凍加工品でしのごうとしたようだ。「ネギトロを原料にネギトロを作ったようなもの」ともらした同社側の言葉がそれを物語る▼だが現場が勝手にやった、では済まされない。賞味期限が昨年七月から九月の冷凍加工品を使って製造したネギトロの賞味期限を今年九月から来年一月と表示したのは、まるで詐欺行為だ▼冷凍食品は生ものと違い、劣化しにくいだけに食品衛生法では賞味期限表示を定めている。だが軽んじていては消費者無視と非難されても仕方ない。

[京都新聞 2007年07月06日掲載]


【朝日・社説】2007年07月06日(金曜日)付

国会閉幕―積み残された政治とカネ

 通常国会が幕を閉じた。参院選挙の公示まで1週間を切り、全国津々浦々で選挙戦がいよいよ熱を帯びていく。

 この国会は「宙に浮いたり、消えたり」の年金問題が関心を呼んだ。暮らし直結の問題だけに、社会保険庁のいい加減さが明らかになるたびに国民の怒りと不信が膨らんだのは当然のことだ。

 参院選に大きな影響を与えるのは間違いない。安倍首相がきのうの記者会見で政府の対策を細かに説明し、懸命に理解を求めたのもそのためだろう。

 もうひとつ、この国会には国民の政治不信を募らせたテーマがあった。「政治とカネ」の問題だ。こちらは選挙への影響は少ないと見たのか、質問されても首相の答えぶりに熱意はあまり感じられなかった。

 昨年末、佐田行革担当相が辞任したのにはじまり、閣僚や与野党幹部に事務所費や光熱水費の疑惑が広がった。民主党出身の角田義一参院副議長が違法献金疑惑で辞任し、松岡農水相の自殺という痛ましい出来事まであった。

 与党はこの国会で改正政治資金規正法を成立させた。首相は会見で「透明性は格段に向上した」と語ったが、この程度の内容で胸を張られては困る。

 事務所費など経常経費にも、政治資金の収支報告書に領収書を義務づけることになった。問題は、その対象が1件5万円以上、それも政治家の資金管理団体だけに限られるということだ。

 5万円未満に小分けする。資金管理団体とは別の政治団体に振り分ける。そんな小手先の操作で、せっかくの透明性は簡単に曇ってしまう。「抜け穴」があいているのだ。

 参院選に向けて、ふたつのことを確認しておきたい。

 ひとつは、連発した疑惑について、自民党に真相の究明をめざす責任感が見られなかったことだ。

 佐田氏は詳しく説明しないままだし、松岡氏も「適法に処理している」と繰り返すばかりだった。首相はそれをひたすら擁護した。政治の説明責任はいったいどこに消えたのか。

 民主党も、責任なしとしない。小沢代表は自らの不動産所有の問題で資料などを公開したが、角田氏はなんの説明もしていない。

 ふたつ目は、規正法の改正を形ばかりに終わらせた与党の無責任だ。抜け穴を小さくするための修正を民主党が持ちかけたのに、一顧だにしなかった。

 解せないのは公明党の姿勢である。太田代表は、渋る自民党を「公明党が押し込んだ」と自画自賛する。その面はあったかもしれないが、あれだけ明白な抜け穴に目をつぶってしまっては「クリーン」の看板が泣こうというものだ。

 この国会で「政治とカネ」の問題がうやむやになったことを覚えておこう。その責任はどの政党が負うべきか、しっかりと心に刻んで投票に臨みたい。

ソチ冬季五輪―ロシアの真価が問われる

 2014年の冬季五輪はロシアのソチで開かれることに決まった。大混戦といわれた招致争いの最後で笑ったのは、自信満々のプーチン大統領だった。

 冬季競技に輝かしい伝統を持つ国とはいえ、黒海に面した温暖なソチはスキーやスケートと縁が深いわけではない。

 保養地としての開発に1兆5000億円ともいわれる巨費を投じ、国家を挙げた支援を打ち出したのがプーチン大統領だ。ソ連崩壊後の大国再建を掲げる大統領の意気込みが、五輪を呼び込んだといえる。選んだ国際オリンピック委員会(IOC)も選ばれた方も責任は重い。

 夏と冬の違いはあるが、この国にとっては1980年のモスクワ五輪以来、2度目の開催となる。

 モスクワ五輪は、当時のソ連のアフガニスタン侵攻を理由に、米国や日本など多くの西側諸国が参加を拒んだ。この東西冷戦を象徴する苦い記憶をぬぐう機会がロシアに訪れることになる。

 最近のプーチン政権は、国の内外に対し強権ぶりが目立つ。世界中から選手や観客を迎え入れるのだから、世界から親しまれる国に変わらねばなるまい。

 1回目の投票で1位だったのは、韓国の平昌だ。IOCの現地調査でも、評価が最も高かった。逆転されたのは、1回目で3位だったオーストリア・ザルツブルクの票が、決選投票で同じ欧州のソチに流れたことが大きい。

 冬季競技をアジアに広げたいという韓国の訴えが届かなかったのは残念だ。

 数多くの国際大会を運営してきた実績を生かし、いまある施設を使って経費の大幅削減を打ち出したザルツブルクが完敗したのは意外だった。06年のトリノ五輪は赤字だった。IOCにスリム化の意識が薄まっているのなら心配だ。

 雪と氷を舞台にする冬季五輪は、地球温暖化に直面している。平昌は人工雪でスキー会場を整備することになっていたが、環境問題の議論は乏しかった。

 ザルツブルクの完敗は、ロシアや韓国のように多額の運動資金をつぎ込まなければ、競争にならない現実も見せつけた。このまま招致運動が過熱すれば、再び買収まがいの不正行為が横行しかねまい。IOCに課題がいくつも突きつけられた開催地選びだったともいえる。

 ソチに決まったことは、16年夏の五輪を招致しようという東京とすれば、ほっとした面があるだろう。

 08年夏の北京、14年冬の平昌と続けば、2年後に同じアジアの東京が選ばれる可能性はまずない。日本オリンピック委員会は平昌支援を口にはしていたが、実際に動いた様子は見えなかった。

 しかし、隣国の不運を喜んでいるようではいけない。少なくとも、ソチや平昌には国民の熱い支持があった。東京にはそんな雰囲気はない。

 都民や国民の共感を呼ぶ理念と計画づくりに手をこまぬいている現状では、最終選考に残るのも危ういだろう。

【朝日・天声人語】2007年07月06日(金曜日)付

 何が暑いってこれほど暑苦しい様はなかろうという戯(ざ)れ歌である。〈西日さす九尺二間(くしゃくにけん)に太っちょう背(せな)で子が泣く飯が焦げつく〉。真夏の夕日がべったり当たる裏長屋で、子守と炊事に追われる肥えた母親。わずか6畳分の空間で「ママ」が二つも熱くなってはたまらない。

 気象庁の予報では、この夏は暑く、残暑も厳しいそうだ。冷房機器が行き渡っても、日本の盛夏はなお「しのぐ」季節である。とりわけ、ふくよかなご同輩は夜間がつらい。この皮下脂肪を脱いで、枕元に畳んでおくわけにはいかない。

 国立環境研究所によると、20世紀末の東京では、気温が27度を下らない夜はひと夏に4、5回だった。それが、2011~30年には3倍に増えるとみる。気温35度以上の昼も5割増しだ。

 極地の氷が解けて沿岸部が水没するといった警告には、実感がわかない人もいよう。しかし、蒸す夜が遠からず3倍になると知れば、話は違う。うだる熱帯夜が嫌なら、今夜から省エネに努め、温暖化を遅らせるしかない。

 「西日さす」が枕に振られる落語「青菜」では、屋敷で働く植木屋が暑気払いの酒肴(しゅこう)にあずかる。井戸から出した直し酒と、氷に盛ったコイの洗いだ。酒食や怪談で涼が取れた時代はいい。ほかに手がない事情はあろうが、気温も少しは低かったはずだ。

 環境研は、冬の「零下の夜」は3分の1に減ると予測する。寒がりは助かるなと、のんきなことは言うまい。この夏の冷房を絞れば、来年が少し楽になる。生涯の寝苦しさを均(なら)すつもりで、心したい。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 選挙の争点 問われるのは「安倍政治」だ

 国会が5日閉会し、参院選(12日公示、29日投票)に向けた各党の戦いが本格的に始まる。年金記録漏れ問題をきっかけに急落した安倍内閣の支持率は一向に回復せず、3日には久間章生前防衛相が米国の原爆投下に関する発言で引責辞任した。そんな混乱の中での選挙である。

 今度の参院選をどう位置づけるか。一言で言えば安倍政権がここしばらく続くことに賛成か、反対か、つまり、安倍政治そのものを問う選挙だと私たちは考える。

 苦戦は免れないとみているのか、自民党幹部らからは「参院選は政権選択選挙ではない」などとの理由で「安倍晋三首相の進退には直結しない」といった発言が相次いでいる。だが、今回は安倍首相が初めて全国の有権者に審判を仰ぐ国政選挙だ。「政権選択は衆院選で」というのなら、昨秋、首相が就任した直後に衆院を解散し、総選挙で信を問うのが筋だった。安倍首相は5日の記者会見で「負けることを前提にした話はできない」と語ったが、初の審判選挙で大敗すれば、やはり安倍内閣は国民の信任を得られなかったと見なすべきである。

 この日の会見で首相が宙に浮く保険料納付記録の照合終了時期を当初より早める考えを表明するなど、争点は年金が中心となるだろう。ただ、ここで整理しておく必要があるのは、この問題に関する首相の最大の責任は、民主党が早々に指摘していたにもかかわらず、対応が遅れたということだ。

 首相が突き進んだのは持論の「戦後レジームからの脱却」路線だ。昨年の教育基本法改正に続き、今年の年頭には憲法改正を参院選の争点にする考えを表明し国民投票法も成立させた。いずれも歴代自民党政権が手をつけてこなかった課題である。その実績を評価する人もいるだろう。逆に国民が今何を望んでいるか、首相の考えとの間に深い溝を感じる人もいるだろう。安倍政治を問うというのはそうした意味だ。

 もちろん、争点は年金だけではない。今回は数年後、憲法改正を発議するかもしれない議員を選ぶ選挙でもある。仮に安倍首相が退陣しても、改憲はいずれは大きな政治テーマとなる。ここできちんと議論を始めるべきだ。

 まだある。小泉政治の影と言われた格差問題をどう解消するのか。一方、構造改革はどう進めるのか。日米関係、アジア外交、安全保障、地方分権は……。各党がさまざまな政策課題で競い合い、有権者はそれを吟味して投票する。そんな選挙としたい。

 民主党の小沢一郎代表は政権交代への足がかりにしたいという。次の衆院選で「小沢・民主党政権」を目指すというのなら、なおさら年金批判にとどまらず、国づくりのビジョンをもっと具体的に示す必要がある。与党は民主党の公約は財源の裏づけが乏しく、実現性に疑問があると批判している。それにも答えていくべきだろう。

毎日新聞 2007年7月6日 東京朝刊

社説:原爆正当化論 「投下は誤り」を不拡散の原点に

 「100万人の物語」がまた現れた。広島、長崎に原爆を投下したから米兵100万人が死ななくてすんだ、という米国の伝統的な原爆正当化論だ。米政府のロバート・ジョゼフ核不拡散担当特使が述べた。戦後、米政府幹部の国民への説明で使われ、いまも米国社会の主流の見方だ。

 核兵器は非戦闘員である住民を無差別に殺傷する大量破壊兵器である。当時の戦時国際法でも「不必要の苦痛を与える兵器」は禁止されていた。被爆国としてジョゼフ氏の発言は認められない。原爆の使用は誤りであり、核兵器は廃絶すべきだ。日本人の多くが抱くこうした考えを、米国や世界の人々が共有することを望む。

 イラク戦争を推進した強硬派で知られるジョゼフ氏だが、事前に準備した発言ではない。原爆に関連する質問に「原爆使用が戦争を終わらせ、連合国側の何十万人もの命と日本の何百万人もの命を救った」と答えた。普段の見方がとっさに出たのだろう。同席していたロシア外務次官は「われわれの見解は違う」と述べた。問題は正当化論が政府高官の常識となり批判されない米国の現実だ。

 「100万人の物語」は第二次大戦当時の米陸軍長官スティムソンが1947年、発表した原爆擁護論に端を発する。46年、ハーシーの現地ルポ「ヒロシマ」が広く読まれ原爆の正当性に対する疑問が米社会に広がった。危機感を持ったスティムソンは「広島と長崎の破壊が戦争を終わらせた」「(上陸作戦を行っていたら)米軍だけで100万人以上の被害が生じる可能性があった」と主張した。

 「100万人以上」の根拠は明らかにしていないが、米国では立証されないまま神話のように定着した。多くの市民を殺した原爆への後ろめたさを打ち消す正当化論は米社会に広がった。ジョゼフ氏の発言もこの流れの中にある。

 正当化論は久間章生前防衛相の「あれで戦争が終わったという頭の整理で、しょうがない」発言とも根底で重なり合う。ただ、久間氏は被爆者や国民世論の大きな反発を浴び、引責辞任した。正当化論の米国に対し、しょうがない論を許さない日本。原爆について日米の価値観はまったく違うことを米国民はもっと知ってほしい。

 原爆使用は道徳的に正しかったという論理は、核兵器へのためらいを弱めソ連との核軍拡競争や冷戦に道を開いた。市民の巻き添えはやむを得ないという発想はベトナム戦争やイラク戦争の空爆作戦につながったのではないか。

 核の恐怖の時代は冷戦後も続く。北朝鮮の核実験のように独裁国家が核武装したり、テロリストが入手する恐れが広がった。核不拡散は日米の重要課題だ。

 キッシンジャー元米国務長官らは今年1月、核抑止論が時代遅れとなり、世界の核廃絶を米国が主導するよう訴える声明を出した。非核の考え方が米国でも広がってきた。ジョゼフ氏の任務である核不拡散は「核兵器使用は誤り」を出発点にしてこそ世界へ説得力を増すだろう。

毎日新聞 2007年7月6日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:昔の京雀はあだ名をつけるのが好きだったらしい…

 昔の京雀(きょうすずめ)はあだ名をつけるのが好きだったらしい。--坊のそばに榎(えのき)があったために「榎木僧正」と呼ばれた僧は腹を立てて木を切った。と、今度は「きりくい(切り株)の僧正」と呼ばれる。ますます怒って抜いた切り株跡が堀になると「堀池僧正」となった▲「徒然草」第四十五段だが、次の段はごくシンプルだ。柳原のあたりに「強盗法印」という僧がいた。強盗を働いたのではなく、たびたび強盗にあったためにこの名がつけられたという。原文は自分で名乗ったともとれるが、だったらすごい▲このままではやがて人を「切り株さん」や「強盗さん」としか呼べない時代がやってくる、とはむろん冗談だ。だが、学校や町内会から名簿が消え去り、役所や企業が不祥事の当人を隠す「匿名社会」化の勢いは、その手の冗談すらいいたくなる理不尽な個人情報隠しをはびこらせた▲そんな「過剰反応」が目立つ個人情報保護法の問題点を検討していた国民生活審議会部会は、法運用の改善を求める意見書の素案をまとめた。が、注目の法改正の必要に触れていない。過剰反応は法を周知させればなくなるというが、本当だろうか▲もともとは当人の知らぬ間に個人情報が妙な連中に渡るのを防いでくれる法律だ。だが、減ったのは電話勧誘やダイレクトメールよりも、必要な名簿や役人にかかわる情報の方ではないか。この法をたてに企業や役所が、市民生活や安全にかかわる公益的情報を囲い込む弊害も目立つ▲匿名化は、それぞれ名前をもつ生身の人間が責任や危険を分かち合って作る市民社会を根底から掘り崩していく。「切り株さん」や「強盗さん」がいくら集まっても市民社会にはならないが、「役人さん」にはどうもそれがいいらしい。

毎日新聞 2007年7月6日 東京朝刊


【読売・社説】

年金記録 「行程表」を着実に実行せよ(7月6日付・読売社説)

 年金記録問題を解決するための対策が整ってきた。

 安倍首相が記者会見で、該当者不明の年金記録を確認する作業の大幅前倒しを表明した。

 これに基づき政府が明らかにした「行程表」の通りに進めば、日本年金機構が発足する2010年以前に、年金記録の不備はほぼ解消される。

 年金記録漏れは安倍首相の失政ではない。だが、年金機構が社会保険庁の負の遺産を引きずることのないよう、首相は公約を必ず実行しなければならない。

 持ち主が確定しない“宙に浮いた”年金記録5000万件について、首相は国会で「1年で照合する」としていたが、これを年内にも完了させるという。照合の結果、浮いた記録の該当者と推定される人への通知も今年度中に実施する。

 約1億人の年金受給者・加入者全員に過去の納付履歴の詳細を送る作業も、これまでは再来年3月としていた完了期限を来年10月に前倒しする。今後1年余りで、20歳以上の全国民が自分の年金記録を確かめることができる。

 やる気になればできるではないか。

 厚生労働省や社保庁は「5000万件の照合を1年でやる」という従来の首相発言にさえ、「無理だ」と弱音を吐いていた。だが、コンピューターシステム会社と協議し、特別なプログラムを11月に完成させるめどがついた。

 これまでが、いかにお役所仕事だったか、ということの証左であろう。

 保険料を払ったのに記録がない“消えた年金”に関しても、総務省の年金記録確認第三者委員会が、対応策の基本方針をほぼ固めた。

 記録が消えている、という申し立てに対して、「明らかに不合理でない」「一応確からしい」と見られるものは、申し立てに沿って年金記録を訂正する。

 例えば、自営業の夫婦で、夫は欠くことなく保険料を納めているのに妻は記録の一部がない、といった場合は、夫の納付を状況証拠として、妻の記録が訂正される可能性が高い。

 虚偽申告を防ぐ方策を講じることも必要だが、まずは国民の申し立てを尊重するという姿勢が大切だ。その上で迅速に審査を進め、年金権回復の実例を早く、数多く見せてもらいたい。

 安倍首相は、年金記録問題の解決策と合わせ、社会保障カードの導入も表明した。今回のような混乱の再発を防ぐためにも、個人情報保護に留意しつつ、年金とともに医療、雇用などの社会保険情報を集約する手立てが必要だ。

 その際、年金をはじめ社会保障制度について根本から考えるべきだ。
(2007年7月6日1時45分  読売新聞)

参院選へ 責任ある政策論争が大事だ(7月6日付・読売社説)

 国会が閉幕し、各政党とも公示を待たず、29日投票の参院選へと本格的に走り出した。

 安倍首相は記者会見で、「情勢は厳しい」としつつ、「実績と、目指すべき日本の形、それに向かって何をしようとしているかを訴えていく」と表明した。

 民主党の小沢代表は、報道各社との共同インタビューで、「与野党逆転を果たし、安倍政治を変える」と言明した。

 各政党は、何をすべきか。内外に重要な課題が山積している現状を見れば、責任ある政策論争を通じて、有権者に争点、論点を明示することだろう。

 だが、現時点では、そうした論戦になっているとは、言い難い。

 最大の争点となっている年金記録問題にしても、野党は、参院選への追い風と見て、政府への批判と責任追及に力を入れる余り、具体的な解決策の提案には乏しい。一方、参院選への悪影響を抑える狙いからだろうが、政府・与党は、矢継ぎ早に対策を打ち出している。

 “技術”的な議論ばかりでは、有権者の期待に応えられまい。

 読売新聞の世論調査では、争点とすべき課題として、有権者の3分の2が「年金など社会保障」を挙げた。有権者が求めているのは、信頼できる社会保障制度構築への骨太の論戦ではないか。

 将来的に安定した社会保障制度のあり方を考える場合、厳しい財政事情の下で財源をどうするのか、という議論は避けて通れない。当然、消費税率の引き上げを論議の俎上(そじょう)に載せねばならない。

 与野党とも、それを避けては、有権者の年金不信を解消できない。小沢代表は「年金信任選挙だ」とも言うが、そうであればなおさらだ。

 野党は、原爆投下に関する「しょうがない」発言で辞任した久間章生前防衛相について、安倍首相の「任命責任」を追及している。だが、重要なのは、今日の「核」の問題を冷静に議論することではないか。

 核廃絶には、北朝鮮やイランの核開発阻止が喫緊の課題だ。とくに北朝鮮の核兵器開発は日本にとって深刻な脅威である。小沢代表も認めるように、この脅威に対処するには、日米同盟による米国の核抑止力が不可欠だ。

 日本や国際社会の安全保障環境が悪化している中で、外交・安全保障政策をめぐる論戦も深めるべきだ。

 財政、景気・雇用、少子化対策、格差問題など、他にも課題は多い。

 政党の消長をかけた選挙に、駆け引きや戦術もあるだろう。だが、それのみに走っては、政治不信を増すだけだ。
(2007年7月6日1時46分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月6日付 編集手帳

 谷川俊太郎さんに、「あわてなさんな」と題する詩がある。「花をあげようと父親は云(い)う/種子が欲しいんだと息子は呟(つぶや)く/翼をあげるわと母親は云う/空が要るんだと息子は目を伏せる…」◆子の幸せを願わぬ親はいない。花と翼を用意し、人生の空を彩り豊かに舞わせてやりたいと思う。願いはしても、かなうことではない。挫折や煩悶(はんもん)を種子にして、わが子がみずからの手で花を咲かせるのを傍らでじっと見守る。親にできるのはそれだけだろう◆無理心中を図り、高校生と中学生の子供3人を殺した京都市の父親(42)が逮捕された。職がないのに会社勤めをしていると家族に偽り、自分の母親(72)からもらう金を給料として家に入れていたという◆「子供は幸せな間に逝かせてやりたい」と遺書に記していた。偽りの生活には無理があり、これ以上は幸福の花を贈れないので、わが子から人生を、命を取り上げる。何という愚かでむごい錯誤だろう◆「あのころ、一家の大黒柱に扮(ふん)したオヤジの名演技にはすっかりだまされたな」「古い話は勘弁してくれ。いまでも顔から火が出るよ…」。何年か後、十何年か後、酒を酌み交わしつつ、父と子が談笑している光景を夢想してみる◆家庭の苦難も子供にはいつか、人の弱さ、哀(かな)しさを学ぶ種子になり得ただろう。生きてさえあれば。
(2007年7月6日1時47分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】国会閉幕 「責任政党」の論争を期待

 責任ある政権政党として、民主党との対決に臨む。安倍晋三首相が国会閉幕に伴う記者会見で、参院選への基本姿勢を表明した。

 年金記録紛失問題で、民主党が攻勢に出ようとしているのに対し、首相は「責任政党はできることしか言ってはならない」と牽制(けんせい)した。民主党との政策論争を通じて、国民の審判を仰ごうというものである。二大政党が対決する構図を明確にしたという意味で、歓迎したい。

 首相は会見で、年金問題への新たな対応策も自ら発表した。

 年金記録の照合作業などを前倒しして行うことや、年金、医療など社会保障関係の個人情報を統合して社会保障カードを導入することを打ち出し、加入者の不安解消や利便の向上に取り組もうという内容だ。

 社会保険庁の解体と日本年金機構への移行にあたっては、「親方日の丸的な体質」の改革が、最大の目的であることを指摘した。

 ぬるま湯的な労使慣行が長年、続けられてきたことを強調し、社保庁解体は持論である「戦後レジーム(体制)からの脱却」の作業の一環であると位置づけた。

 年金問題の逆風はまだやんでいないが、首相は自ら対応策の先頭に立つ姿勢を示すことで、有権者の理解を得たいという立場を明確にした。

 この日、民主党の小沢一郎代表は、参院選で野党が過半数を得られなければ代表を辞任する考えを示した。

 これに対し、首相は「戦いの前に負けることを前提に話すことはない」との見解を示した。

 勝敗ラインを明言することを避けたという見方もあろうが、首相が言及しようがしまいが、政府・与党の責任者として選挙結果から逃げられないのは自明のことである。首相、小沢氏の双方とも退路を断っての真剣勝負を覚悟していると受け止めたい。

 首相は教育再生や社保庁改革、公務員制度改革などの重要法案を数多く成立させた実績も強調した。憲法改正手続きのための国民投票法もその一つだが、その後の憲法改正に向けた展望については触れなかった。

 本格的な政策論争には「安倍カラー」を改めて打ち出すことが欠かせないだろう。

(2007/07/06 05:07)

【主張】北ミサイル1年 安保理決議の無視許すな

 昨年7月5日、北朝鮮は日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」を含む7発の弾道ミサイルの連続発射実験を強行した。

 米国まで届く「テポドン2号」は発射後、空中分解して失敗したが、北朝鮮の危険性を改めて認識させた事件だった。

 あれから1年、北朝鮮は国際社会からの非難を受け、ミサイル開発を自粛しただろうか。全く逆である。

 ミサイル連射後、国連安全保障理事会は、日本の主導で対北朝鮮非難決議1695を採択、北朝鮮に「弾道ミサイル計画に関するすべての活動停止」と「ミサイル発射モラトリアム(停止)の約束の再確認」を求めた。

 昨年10月の核実験後は、制裁決議1718を採択、北朝鮮に「いかなる核実験または弾道ミサイルの発射もこれ以上実施しない」ことと「計画の完全で検証可能、かつ不可逆的な方法での放棄」を突きつけた。

 同時に、加盟国に、北朝鮮への大量破壊兵器の関連物資、技術の供給防止▽核・ミサイル開発計画に関与する個人・団体の資産凍結▽ぜいたく品の輸出禁止を決定し、義務付けた。

 これに対し北朝鮮は、恐れ入るどころか、4月の朝鮮人民軍創建75周年記念パレードで、米グアム基地にも届く新型の中距離弾道ミサイル(米がムスダンと命名)を誇示してみせた。

 さらに5、6月には3回のミサイル発射を行った。とりわけ先月末のミサイルは、米政府が直ちに短距離弾道ミサイルだったとし、「安保理決議1718に違反する」と非難した。

 1999年の米朝合意、2002年の日朝平壌宣言に盛られた「ミサイル発射モラトリアム」の約束に違反することも明らかだった。

 安保理決議や2国間の約束を無視し続ける北朝鮮に、これ以上の傍若無人を許せば、国連の権威も2国間合意の重みもなくなってしまう。

 在韓米軍のベル司令官は、先月末のミサイルは短距離で「韓国攻撃のために開発された」と述べ、対北融和策を続ける韓国に警告を発した。

 北のミサイルは固体燃料化が進むなど危険度が増している。日本に届くノドンは200基が配備済みという。日本を含め、国際社会は北の違反、諸決議無視に慣れてはならない。

(2007/07/06 05:05)

【産経抄】

 雲の間から太陽の光の粒子があふれ出る。家の前の電線からは、鳥のさえずりが聞こえてきた。近所の女の子が、小首をかしげて「きれいに撮って」とささやく。どれも撮影者には見えない光景だなんて信じられない。

 ▼横浜市にある日本新聞博物館で、横浜市立盲特別支援学校に通う子供たちの作品を集めた写真展が開かれている。写真家の管洋志さんが、今年2月に学校を訪れ、写真教室を開いたのがきっかけだった。

 ▼参加したのは小学部2年から高校にあたる普通科まで23人。最初はレンズを自分の顔に向けたりしていた子供たちに、管さんは「好きなもの」を撮る宿題を出した。2週間後に送られてきた作品を前にして、土門拳賞カメラマンは、「すげえ」と声をあげた。

 ▼ 子供たちは、音に反応し、手で触り、空気の動きを感じてシャッターを押す。人には「心で撮れ」と言っていながら、実はテクニックに走りがちな自分には撮れない、と思ったという。1歳の弟の寝顔をとらえた写真からは、撮影した永井咲生(さき)さんの「かわいい、かわいい」というつぶやきが聞こえてきそうだ。

 ▼Vサインをしてくれたバスの運転手さん、「ムダに撮るんじゃない」と怒ったおばあちゃん、いつもやさしくしてくれる先輩、みんなが心の中で「いとおしい」といってくれている。4歳で失明したエッセイストの三宮麻由子(さんのみやまゆこ)さんは、「私の時間はすべて、さまざまな人びとが織り成してくれた曼陀羅(まんだら)である」という。

 ▼子供たちは見事にそれをフィルムに定着させた。管さんが自費出版した子供たちの写真集「Kids Photographers 子どもは天才!」を開いて、あらためて思う。今の世の中に欠けているすべてがここにある、と。

(2007/07/06 05:02)


【日経・社説】

社説 不信解消へ与野党は最善の策を競え(7/6)

 第166通常国会が閉幕し、与野党は12日公示―29日投票の参院選に突入した。今回の参院選の最大の争点は年金問題である。

 社会保険庁が年金記録をいいかげんに扱ってきた事実が国民の怒りに火を付け、年金制度への不信もかつてなく高じている。記録漏れや消えた記録の問題をどう解決するか、社保庁を解体後にどう再生させるか、年金制度をどう立て直すか――。

責任の所在、徹底糾明を

 各党は国民の不安を正面から受け止め、選挙戦を通じ解決策をわかりやすく説明し、審判を仰ぐべきだ。

 年金記録に数万件のミスがあると日本経済新聞が報じたのは昨年10月だ。1人で複数の年金番号を持つ人がいる状態を改めるため、1997年に創設した基礎年金番号に記録を統合する過程で、実際の加入期間と社保庁の記録とが一致していない例が多数あることを明らかにした。そのとき、厚生労働省幹部は大した問題ではないと公言していた。

 今年2月、本紙は記録を統合しきれずに宙に浮いたままの件数が5000万に達すると続報した。それでも当局者の反応は鈍かった。特定の年齢に達した年金加入者に社保庁が送る「ねんきん定期便」によって解決できるなどと、のんびり構えていた。

 厚労省・社保庁のみならず首相官邸を含めて、政府の記録漏れ問題への初動は大きく遅れた。緊張感のなさは、まじめに年金保険料を払ってきた国民には許し難い。問題の広がりとともに安倍内閣の支持率が下がり続けたのは当然だろう。

 社保庁は保険料や年金記録が国民のものだという事実を再認識し、宙に浮いた記録の持ち主を突き止める名寄せ作業に全身全霊で取り組むべきだ。先頭に立つべきは首相であり官僚に緊張感を持たせて年金行政にあたらせるのは立法府の責務だ。与党、とりわけ自民党の責任は重い。

 首相は作業を来年5月までの1年以内に終えると公約していたが、5日の記者会見で前倒しすると表明した。政府・与党は同日の年金業務刷新に関する連絡協議会で来年3月までに終える方針を決めた。期限を区切り解決を急ぐのは当然だ。民主党をはじめ野党も異論はないはずだ。関係者は総出で365日・24時間態勢の気構えで、丁寧かつ迅速に作業を進めるべきである。

 この作業と同時並行で名寄せの結果を対象者に知らせ、来年4月からは順次、計1億人の受給者・加入者すべてに加入歴を示した「ねんきん特別便」を送る。こうした対応策は私たちが極力早く実施するよう主張してきたことだ。その様式は高齢者も一目でわかるものにしてほしい。

 民主党はすべての年金記録を照合し誤りを正す、各人の保険料納付歴を記録する「年金通帳」を制度化する、などを提案している。また社保庁を国税庁に統合させるとの公約は制度改革と一体で検討に値しよう。

 一方、責任の検証も急ぐ必要がある。歴代の厚労相(厚相)、社保庁長官はもちろん次官、官房長や年金局長には問題の発端や経緯、放置した理由を説明する義務がある。保険料の無駄遣いは厚生官僚の特権だという趣旨の発言をした不届きな課長が過去にいた。言語道断のことがなぜ許されてきたのか、国民は真実を知りたいと切望している。ほおかむりしている関係者の首に鈴をつけるのは総務省の検証委員会の仕事だ。

 社保庁の「経営」を民間企業に例えると実質破綻状態といっていい。再生の鍵を握るのは前国会で成立した日本年金機構法だ。まず国民本位の立場で仕事する人だけしか機構に移れない原則を徹底すべきである。国の年金運営への逆風のなかで保険料の徴収率を向上させるのは容易でない。ぬるま湯体質と決別するために民間委託を増やし効率を高めることが不可欠だ。強制徴収も国税庁と連携して効果的に実施すべきだ。

記録確認、国民の視線で

 保険料の領収書がない人への対応策は総務省の第三者委員会が詰めている。梶谷剛委員長は5日、申し出た人の説明が「不合理でない」「一応確からしい」と認められれば原則として年金を払う考えを示した。基準づくりは役所の発想を排して国民の視線に立つことが重要だ。家計簿を手がかりにしたり昔の経営者の話を聞いたりすることが助けになる。

 より根本的な解決策は首相が言及した「社会保障カード」の導入だ。国民が国に管理されるのではなく、1人ひとりが自らの支払い記録や将来の年金受給額などを確認するための基本インフラと位置づける必要がある。政府は2011年度の導入を計画している。入念な準備のための期間は必要だが、地に墜(お)ちた年金行政への信頼を取り戻すためにも制度設計は急いでほしい。

【日経・春秋】(7/6)

 「もう、パリスの話はうんざりよ」。こう言い放ち、女性キャスターがカメラの前でニュース原稿をびりびりと破り捨ててしまった。キャスターが「キレた」のは、世界中が注目するお騒がせ女優、パリス・ヒルトンさんのゴシップだ。

▼米国のケーブルチャンネルでの出来事。動画共有サイトのユーチューブにもその場面が流れている。あまたのスキャンダルに加え刑務所からの出所も大騒ぎとあって、伝える側もさすがに食傷気味なのか。もっとも好奇の目も反発も、彼女がヒルトンホテル創業者の曾(ひ)孫(まご)という飛び切りの「セレブ」ゆえのことだ。

▼そのヒルトンを米大手ファンドが260億ドルで買収する。こちらのニュースはパリス嬢の行状にも増して刺激的だ。創業88年。今や世界に2800の施設を持つ。アメリカンドリームを体現するこの巨大ビジネスをあっさり手放すのに驚くが、ファンド側も現金でポンと3兆円を支払うというから恐れ入る。

▼米国資本主義のダイナミズムというものか。創業者のコンラッドもホテルを次々に買収し、とどまるところを知らなかったという(ジェリー・オッペンハイマー著、由良章子訳『ヒルトン家の華麗なる一族』)。そしてまた、こんな信条を抱いていたらしい。「自分の所有物に所有されるな」「過去に執着するな」


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