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2007年7月27日 (金)

7月27日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月27日朝刊)

[21世紀ビジョン]策定に向け広く公論を

 県は沖縄振興計画の期限切れに備え、沖縄の将来像や目標などを盛り込んだ「沖縄二十一世紀ビジョン」(仮称)づくりに取り組んでいる。作業はまだ緒についたばかり。

 沖縄振興特別措置法に基づいて政府が策定した沖縄振興計画は、計画期限の二〇一一年度まで、残すところあと五年。計画終了後、どのような制度の下で沖縄振興を進めるか、従来の仕組みを大枠で踏襲するのか、それともまったく新しい制度を導入するのか、今のところ、まったく白紙の状態だ。

 今から取り組まなければならない大きな課題であり、県だけに任せていいものではない。衆知を集め公論を起こし、ビジョンをまとめていく過程自体にこれまでにない工夫が求められる。

 沖縄の振興策は、多府県と異なる独自の手法が取られている。国が法律をつくり、その法律に基づいて国が振興計画を策定するというものだ。

 復帰の際に策定された沖縄振興開発計画以来、十年単位で三次にわたる計画がつくられ、〇二年度から現行計画がスタートした。四次にわたる計画の基本性格は変わっていない。

 計画の原案は県がつくることになっているが、米軍基地の扱いなど県の意向が計画に反映されなかったことも、過去には一度ならずあった。

 高率補助を盛り込んだこの仕組みは、道路、空港、港湾、上下水道、農林水産などの基盤整備を進める上で大きな威力を発揮した。

 だが、この仕組みは歴史的な役割を終えたと思う。

 生活基盤や生産基盤は確かに整備されたが、「民間主導の自立型経済」の構築には結び付かず、むしろ財政依存、国依存の体質を強めている。

 かつて沖縄振興は「県民の苦労と犠牲に報いる国の責務」と位置付けられていたが、今や沖縄振興策は政権与党内部から「基地の見返り」だと公然と言われるようになった。

 自立自助の精神はむしろ後退しつつある、との認識が県内各界に広がっている。マイナスの部分が目立つのだ。

 振計後のビジョンづくりは道州制の導入や大規模な米軍基地の跡地利用とも深くかかわってくる。審議会やシンクタンクを活用する程度の従来のやり方ではとても手に負えないだろう。

 県民の合意形成を図っていくために、従来にない手法を検討してもいいのではないか。ビジョンづくりにできるだけ多くの県民が関心を持ち、参画していけるような取り組みが大切だ。

[ミュージックタウン]活性化の材料は揃った

 音楽をキーワードにした新たな街づくりが始まろうとしている。沖縄市の胡屋十字路沿いにきょうオープンするコザ・ミュージックタウン「音市場」は、その中核拠点施設だ。

 島田懇談会事業(沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業)で取り組まれるプロジェクトだが、戦後はぐくまれたコザの音楽文化を支援する施設としてだけでなく、地域活性化に向けた核になるよう期待したい。

 胡屋十字路周辺は沖縄市の中心市街地だ。十字路から嘉手納基地第二ゲートに至るゲート通りの両側には、米兵や観光客が訪れるライブハウス、クラブ、バーなどが軒を連ねている。

 夕方になるとビートの利いたハードロック、レゲエ、ラップや今風のヒップホップメロディーが路上に漏れてくる。中央パークアベニューしかり。

 それだけではない。ミュージックタウンの横を中の町飲食街の方に下れば、三線のリズムに乗った民謡、島唄も聞こえてくる。客のリクエストにプロの民謡歌手が歌い、プロの伴奏で客が島唄を楽しむ光景も見られる。

 琉球音階と和洋のリズムが入り交じる。それが違和感なく融合するのがコザの魅力であり風土といえよう。

 ミュージックタウンは、これらの拠点施設として街に溢れる音楽資源を包括的にまとめ、地域活性化の起爆剤にするのが狙いだ。

 だが、抱えている課題も多い。まず、一番街を含めて周辺商業地に空き店舗が多く、「タウン」に期待される誘客能力に連動できるのかどうか。

 求められるのは経済波及効果だが、地域が共に動かなければ体系的、永続的な街づくりはできまい。「タウン」はあくまでも活性化の拠点なのであり、主役は地元住民と地域の文化だということを忘れてはならない。

 コザはミュージシャンを魅了する。ライブハウスを案内するガイド養成も順調に進み、市民参加型の関連企業もできた。「タウン」で活性化の材料は揃ったのであり、次は新しい街づくりに市民の英知を傾けることだ。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月27日 朝刊 1面)

 夏休みに入って児童生徒のスポーツ活動はますます活発になり、朝早くから練習に励む子供たちの姿を目にする。この時期、気をつけてほしいのが熱中症だ。

 熱中症は熱失神、熱疲労、熱けいれん、熱射病に分けられる。めまいや失神などを起こす熱失神や脱水で頭痛、吐き気などが見られる熱疲労は、涼しい場所で衣服を緩めて寝かせ、水分を補給することで通常は回復するという。

 熱けいれんは大量の発汗にも水だけしか補給しなかったことで血液の塩分濃度が低下し、足や腕などの筋肉に痛みを伴ったけいれんが起きる。先日の高校野球の試合中、選手の一人が足のけいれんで退場し、病院で手当てを受けた。後で聞くと「いつもの試合の時より水分補給が少なかった」と話していた。

 熱射病は体温の上昇で中枢器官に異常をきたし、意識障害を起こす。死亡率も高い。「炎天下での長時間の練習」というイメージが強い熱中症だが、屋内競技でも起こる。全国では剣道や柔道、バスケットボール、バレーボールで死亡例が報告されている。

 予防策の第一が水分と塩分の補給。ひと昔前のような「練習中は水を飲むな」という「根性論指導者」はいないと思うが、のどが渇いてからではなく、こまめな補給が大切。

 熱中症は体調不良時にも起こりやすい。予防策で最も重要なのは、子供たちの体調把握・管理に務める指導者や父母の目配りと気配りではないだろうか。(船越三樹)


【琉球新報・社説】

メタボリック 県民一人一人が危機感を

 県民のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の広がりが危機的な状況になっていることが、県が昨年11月に実施した県民健康・栄養調査で分かった。
 40歳以上のメタボリック症候群該当者とその予備群の割合は、男性で5人に3人、女性では10人に3人の計算である。全国平均は、男性が2人に1人、女性では5人に1人である。県内は男女とも全国平均を上回っている。
 高カロリー、高脂肪の食事に加え、運動不足が肥満を招き、メタボリック症候群となる。ウオーキングの習慣化、食生活の改善などに今、県全体を挙げて積極的に取り組まなければ、取り返しのつかない事態になる危険性がある。
 メタボリック症候群は内臓への脂肪蓄積が一因となって高脂血、高血圧、高血糖などを重複して発症した状態を指す。動脈硬化を起こすことによって、狭心症や心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞などの発症率が高まる。結果的に、平均寿命にも大きな影響を及ぼすことになる。
 県は1995年に「世界長寿地域宣言」を出した。しかし、2000年の都道府県別生命表では、県内男性の平均寿命が95年の4位から26位に転落。健康おきなわ2010推進県民会議が03年に「長寿の危機健康アピール」を出す事態となった。
 この間、県をはじめ医師会、各自治体などは県民の健康づくりに取り組んできた。しかしながら、肝心の県民に危機感が薄いのではないか。
 肥満になると少しの距離でも歩くことがおっくうになり、階段も避けがちになる。4、50代は働き盛りだが、体力の低下もあって蓄積された疲労がなかなか取れない。休日に運動しようにも、その気になれない人も多いだろう。
 島袋充生・琉球大医学部講師らが実施した疫学調査で、メタボリック症候群の人はそうでない人に比べて、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2・5倍、女性で約1・8倍になるとの結果が出ている。
 一人一人が健康は自らの問題との自覚を持たない限り、メタボリック症候群によって病に倒れる危険性が付きまとう。
 厚生労働省の試算では、県内の医療費は対策などを講じなければ、12年度には05年度より約1千億円増の4306億円に上ると推計している。
 国民健康保険は自治体の財政を圧迫し、保険料の引き上げとなって県民にはね返ってくる。
 誰しも健康でありたいと願う。それを獲得するためには行動へと移すことが必要だ。運動不足がさらに肥満を進行させる。その悪循環を断つことなしに、健康は望めない。

(7/27 9:38)

中国でコメ販売 農産物輸出拡大の弾みに

 日本産のコメの販売が中国の北京と上海で始まった。小売価格は中国産のブランド米と比べて10倍程度、一般のコメとの比較では20倍も高い。当初は富裕層に売り込み、年間消費量約1億3千万トンといわれる中国市場に浸透を図っていく考えだ。
 日本国内での農畜産物需要は頭打ち状態にある。海外に市場を広げることは、日本農業の活性化にもつながる。何より生産者の意欲を大きく高めることになる。
 中国の巨大市場でコメをはじめとする日本の農産品の消費者を獲得しなければ、日本農業の大きな発展はないだろう。日本の主要農産品であるコメの中国販売が農産物輸出拡大の弾みになることを期待したい。
 コメの対中輸出は4年ぶりに再開され、新潟県産コシヒカリと宮城県産ひとめぼれの計24トンが第一便として輸出された。
 小売価格はコシヒカリが2キロ当たり198元(約3200円)、ひとめぼれが188元(約3千円)と割高である。
 その価格差を縮めることが課題だが、日本と中国の生産コスト差は埋めようがない。価格差解消にはおのずと限界がある。値段に見合った価値を消費者が見いだせるよう、高い品質を提供、アピールするなどの販売戦略にも力を注ぐべきだろう。
 政府は2013年に農畜水産物の輸出額を、04年の約3740億円から1兆円に増やすことを目標に掲げている。それには年率15%程度伸ばす必要がある。
 農産物の輸出は06年までの5年間でナガイモが7割増、リンゴは9・3倍になった。
 01年の牛海綿状脳症(BSE)発生で停止された香港への牛肉輸出も今年、再開された。このため今年の農畜産物輸出額は前年同月比約20%増で推移している。この伸びを持続させる必要がある。
 輸入国は見返りとして、日本にも輸入を求めることが十分考えられる。安い農産品が流入すれば、国内農家には大きな打撃となる。
 政府は今後、農産品の輸出と輸入の均衡をどう図っていくかにも、知恵を絞る必要がある。

(7/27 9:37)

【琉球新報・金口木舌】

 大学時代の友人からはがきが届いた。暑中見舞いかと思ったら、参院選比例代表候補者への投票依頼。思わず候補者のプロフィルに見入った
▼参院選も「3日攻防」に入った。運動員や支持者はあらゆるつてを頼って、支持を広げようと躍起になっているのだろう。頭のどこかに、旧友の推す候補者が残ったことだけは確かだ
▼ところで「3日攻防」という言葉は沖縄特有だ。選挙戦最後の3日間の取り組みで勝敗が決するという意味合い。10年ほど前まで「3日戦争」と言ったが、沖縄戦の体験なども踏まえ不穏当として「攻防」に改まった
▼ただ、沖縄特有の表現の背景には選挙戦の激しさもあろうが、基地問題や高失業率などの問題を抱える中で、選挙を通して政治や社会を良くしたいという県民意識の強さもあったと思う。それが投票率にも表れた
▼参院選だけで見ると、復帰前の1970年の国政参加選挙は83・64%で、その後も約75―82%を維持した。しかし、89年に69・16%、92年に58・51%に低落して50%
台が続き、4月の参院補選では47・81%と、ついに5割を切った
▼有権者の半数が棄権して、政治や社会が良くなるとは思えない。運動員だけでなく、有権者ももっと熱くなりたい。

(7/27 9:35)


【東京新聞・社説】

対中コメ輸出 はしゃぎ過ぎは禁物だ

2007年7月27日

 中国へのコメ輸出が四年ぶりに再開され、二十六日から北京や上海で店頭に並んだ。日本政府は「攻めの農政」の切り札にと意気込むが、急激な拡大は望めず輸入許可には中国の冷徹な戦略がある。

 北京の販売開始式には参院選投票日を目前に、赤城徳彦農相も参加。事務所費問題で目立った渋面から一転、晴れやかな笑顔を見せた。

 コメ輸出では麻生太郎外相が数字をあげ中国の方が日本よりコメが高く売れるのは「アルツハイマーの人でもわかる」と発言し、陳謝した。

 わずか二十四トン、トレーラー一台分の輸出に閣僚が、ここまで興奮するのは、中国へのコメが安倍晋三政権が掲げる「攻めの農政」の第一歩と見なされているため。中国は「二億トン市場」になると威勢がいい。

 しかし、十三億の人口を抱える中国は食料の自給を原則としており、主食のコメの輸入を野放図に拡大することはありえない。

 ただでさえ、中国には二〇〇一年の世界貿易機関(WTO)加盟で安い農産物が流入し、人口の七割を占める農民の農業所得低下が深刻だ。

 輸入米の値段は中国産に比べ約二十倍で日本の販売価格より高く、極端な富裕層しか買えない。著しい貧富の差に歴史的な「反日」感情が重なりコメ輸入に反感は強い。

 共産党が厳しく統制するメディアでは感情的批判は影をひそめているが、統制の緩いインターネットへの書き込みには反発が渦巻いている。

 「二十四トンのコメを買えば中国では千戸の村が一年食えるはず」「貧しい中国の農民は守られず、日本は中国のコメを拒絶し農民を守る」

 このため、政府はシンクタンクの研究者らを動員し「わずかな輸入では中国のコメ市場に影響はない」と説得の書き込みをさせている。

 四年前に中国の日本米輸入が途絶えたのは、日本が中国産野菜の残留農薬規制を強化したことへの報復措置だ。中国側はコメに対する検疫を強化し、輸入を禁じた。

 中国産農産物の安全が問題になり規制が強化されようとしている今、あえて中国はコメ輸入を再開した。

 それは日本に中国産の野菜やコメの輸入拡大を求め、食品安全をめぐる交渉を有利に展開する狙いがある。「攻め」の一方で安い中国産を迎え撃つ体制は整っているのか。

 いかに、選挙前とはいえ、わずかばかりのコメ輸出の再開で閣僚が有頂天になる態度を見せるのは賢明ではない。中国側に足元を見透かされ、今後、農産物貿易や安全性をめぐる交渉の立場を弱くするだけだ。

タリバン これ以上犠牲を出すな

2007年7月27日

 アフガニスタンの旧政権タリバン勢力が韓国人二十三人を拉致しそのうち一人を殺害した。タリバンの残虐な行為は許されない。すべての人質を解放し、これ以上の犠牲者を出してはならない。

 タリバンに拉致された韓国人は、韓国のキリスト教会が派遣した「医療奉仕団」の一行で、医学生や看護師らが含まれている。アフガン南部カンダハルの病院などで医療奉仕活動を行った後、首都カブールに戻るところでタリバン勢力の人質になったという。

 韓国、アフガン両政府は人質救出のため、タリバン側と接触し、人質解放交渉を進めてきた。韓国人人質の安否が心配されている中で、交渉期限が再三、延長され、韓国の家族らが「無事解放」に望みを託していた矢先の衝撃的な「殺害」ニュースだった。

 タリバン勢力は、アフガン政府に対し収監中のタリバン兵士らの釈放を要求し、政府側が応じないため人質を殺害したと主張している。

 二〇〇一年の米英軍によるアフガン攻撃によりタリバン政権は崩壊したが、昨年ごろから勢力を盛り返して米軍や北大西洋条約機構(NATO)派遣の国際治安支援部隊と激しい戦闘を行っている。

 タリバン勢力は米英軍の撤退などを要求し、要求実現の一環として、人道支援の国連、非政府組織(NGO)メンバーらに対する拉致、誘拐などを繰り返してきた。

 今回の韓国人拉致も同様の行動である。アフガン国民の安定のために支援を志している人たちを脅迫し、しかも殺害するなど、卑劣な行為だとしか言いようがない。

 さらなる犠牲者を出すことなく人質が解放されることを願ってやまない。アフガン、韓国両政府は救出に必要で可能な限りの手段を尽くしてもらいたい。

 アフガン渡航前の十分な現地情報の収集と、緊急事態の発生時の対応策や訓練など、人道支援でも銘記すべき点であろう。

 アフガンでは、タリバン政権崩壊以後、国際社会の援助を受けて大統領や議会を選出し、曲がりなりにも国家の仕組みを整え、祖国復興・再建事業が進められてきた。

 しかし、タリバン勢力は農村に浸透し、国際テロ組織アルカイダと連携しながら、隣国パキスタンの国境地帯を有力な根拠地としているといわれる。

 カルザイ政権は国際社会の支援をもとにパキスタンとも協力し、タリバン勢力の拡大を防ぎ、農村などの民生安定に導くことが欠かせない。

【東京新聞・筆洗】2007年7月27日

 「三越には青空もございます」というCMに感心したのは一九八〇年代だったか。小売業の売上高日本一、何でもそろう三越百貨店が、別荘地分譲も手がけたころのコピーと記憶する▼そのころ渋谷の西武は、売れっ子の糸井重里さんを起用して「おいしい生活」「不思議、大好き」のヒットコピーを連発、「モノ」だけでなく「文化」も売る情報発信基地として消費文化をリードした▼バブルがはじけて消費不況に入った九〇年代末、九兆円を超えた百貨店売上高は二〇〇六年まで十年連続で前年割れとなる。時代の寵児(ちょうじ)だった西武は、業績不振から〇三年にそごうと経営統合、ミレニアムリテイリングと名を変え、さらに〇六年六月にセブン&アイ・ホールディングスの完全子会社となる▼この「セブン…」は、イトーヨーカ堂の子会社セブン-イレブンが、大きくなって親を吸収したものだ。米国由来のコンビニエンスストアは六九年に日本に上陸。セブン-イレブンの前身ヨークセブン一号店が誕生したのは七四年だ▼それがわずか三十年ほどでスーパー、デパートをのみ込み、売上高五兆三千億円を超える巨大流通グループとなった。百貨店四位に低迷する老舗・三越が、販売力の強い伊勢丹との統合を模索するのも流通戦国時代の必然なのだろう▼伊勢丹と三越がある「新宿三丁目駅」を通って明治通りの地下で渋谷、新宿、池袋を結ぶ東京メトロの新線・副都心線が来年六月にオープンする。三副都心を舞台にした新たなデパート戦争が、消費の活性化につながればなによりだ。


【河北新報・社説】

韓国人人質殺害/許せないタリバンの所業

 アフガニスタンで韓国人ボランティアの男女23人が旧政権タリバンに拉致され、解放交渉が続けられていたが、人質の1人が殺害されて遺体で見つかった。

 タリバン側は拘束中のメンバーの釈放などを要求しており、応じなければ人質をさらに殺害すると警告している。

 タリバンにどのような主義主張があるにせよ、民間の外国人を拉致して要求を突き付け、見せしめの形で人質を殺害することには、いかなる正当性もない。卑劣極まりない犯罪行為だ。残る人質全員の早期解放を強く求めたい。

 交渉を続けているアフガン政府や韓国政府は非常に厳しい立場に立たされている。要求を拒否すれば、残る人質の命があぶない。だが一部でも取引に応じれば、今後さらに拉致事件を招く結果につながる。

 タリバンに影響力を持つ隣国パキスタンや、イスラム教聖職者、米国などとの連携や協力が欠かせない。内外のあらゆるルート、手段を通じて人質解放が実現するよう望みたい。

 今回の事件は、米英軍による軍事攻撃で政権から追われたタリバンの勢力回復ぶりと、アフガンの治安悪化を顕著に示すものと言える。米軍や国際治安支援部隊、アフガン国軍などが掃討作戦を続けているが、成果は上がっていない。

 それにしても、今回のような大人数が拉致されるケースは極めてまれだ。
 拉致された一行は韓国のキリスト教会の牧師や信徒らで、南部カンダハルの病院などでボランティア活動をするため、13日にアフガン入りしたという。そして19日に大型バスでカンダハルから首都カブールに向かう途中に襲われ、拉致されたとみられる。

 アフガンでは最近、陸路での都市間移動が特に危険とされていた。それだけに、大型バスで大勢が移動するという今回の行動には批判の声もある。

 安全対策や危機意識に欠けるところはあったかもしれない。だが今は批判よりも、無事解放に向けて全力を挙げることと、他山の石として今後に生かしていくことが大事だろう。

 日本にとっても人ごとでは決してない。
 アフガン復興支援で、政府や非政府組織(NGO)関係者が現地で活動している。

 在アフガン日本大使館によると、6月現在、NGO関係者を含めて在留邦人は143人に上る。

 これまでも現地で日本人が殺害されたり、爆弾テロに巻き込まれて負傷したりするケースがあったが、テロや拉致の直接の標的となる可能性がある。

 外務省は韓国人拉致事件を受けてアフガン全土に「避難勧告」を出した。国外退避など安全確保に万全を期すべきだ。

 イラクでは泥沼の内戦状態が続き、解決のめどは立たない。アフガンもまた、イラクのような状態に陥るようなことがあってはなるまい。そのために国際社会が何をすべきか、検討を急ぎたい。
2007年07月27日金曜日

【河北新報・河北春秋】

 電車を緊急停止させた私鉄があれば、自宅で机の下に潜り込んだ住民も。一部の事業所で先行導入している気象庁の「緊急地震速報」。新潟県中越沖地震で速報が生かされた一例だ▼大地震の初期微動をとらえ、やって来る揺れの震度や到達時間を予告する。震源近くは間に合わないものの、到達まで数秒から十数秒の余裕があれば身を守れる。想定震源域が沖合になる宮城県沖地震での減災効果は大きいはず

 ▼ テレビなどでの一般提供が10月1日始まる。そのときの行動指針を「心得」の形で気象庁がまとめている。家庭では「頭を保護し机の下に。外に飛び出さない」▼大型店・集客施設では「係員の指示に従う」とある。係員の誘導は大丈夫か。客が出口に殺到したら。怖いのはパニック。一般提供が当初より半年延びたのも集客施設での混乱が懸念されたからだ

 ▼岩手県南沿岸に防災に関する言い伝えがある。「津波てんでんこ」。家族が共倒れした過去の教訓から親にも子にもかまわず、てんでんばらばらに逃げろ、自分の身は自分で守れということ▼「速報時代」が来ても基本は同じ。一人一人がそのときの状況を想定し心構えをしておくことだ。気象庁はてんでんこにならず自治体や施設と手を携え早急に「心得」の浸透を。一般提供まであと2カ月だ。

2007年07月27日金曜日


【京都新聞・社説】

アフガンの拉致  NGOの安全守らねば

 アフガニスタンで韓国人グループ二十三人が旧政権タリバンに拉致された事件が、内外に衝撃を与えている。
 発生以来、一週間が過ぎ、犠牲者も出た。一刻も早い人質の解放を願うばかりだ。
 同時に、国際社会のアフガン支援のあり方を見直す必要がある。
 拉致された韓国人たちは、人道支援ボランティアを目的に入国した宗教団体関係者で、タリバンは解放の条件として拘束中の仲間二十三人の釈放を要求するなど、カルザイ政権を悩ませてきた。
 交渉の過程では、金銭の要求もあり、タリバン側は外国人拉致を身代金とカルザイ政権の信用力低下の両面狙いで行っているとも見られる。
 タリバンによる拉致は今年に入ってからだけでも、三月のイタリア紙記者ら三人、四月のフランス人男女ら五人、と続いている。以前は比較的安全といわれた首都カブールも、治安が悪化しており、六月に起きた自爆テロでは日本人二人も重軽傷を負った。
 日本国際ボランティアセンター(JVC)の一員としてこの五月と六月、カブールから車で約三時間の位置にあるジャララバードで保健医療や衛生指導にあたった西愛子さん(京都府立医大看護学科卒)によれば、滞在中は日用品や医薬品を買うのも現地スタッフに依頼するなど警戒が必要だったという。
 民間人の人道支援活動について、イラク戦争をめぐっては国会でも多くの議論が交わされた。それに比べ、アフガンでは議論が低調だ。安全面も含め検証をし直す必要がある。
 憂慮されるのは、米軍や国際治安支援部隊(ISAF)など外国軍の活動が、非政府組織(NGO)をかえって危険にさらしている疑いが強いことだ。
 アフガンでは米国が二〇〇三年に地域復興支援部隊を発足させ、巡回医療活動を始めた。JVCなどによれば、その結果、軍とNGOの区別がつけにくくなり住民の外国軍への反発がNGOにも向けられる危険性が高まったという。
 本来、武器を持たないNGOの安全は住民の信頼しかない。軍の介在が、その安全の基盤を崩しているなら、人道支援が成り立たなくなる。
 今回の韓国人グループ拉致でタリバンは当初、同国駐留の韓国軍撤退も要求した。年内撤退が決まっていると知り、要求を取り下げたが、外国軍への反発は、イラクと共通するものがある。
 日本政府には今春、文民警官派遣の意向打診が欧州連合からあった。だが今日のアフガンは、治安維持も復興支援も軌道に乗らないまま、民衆の不満が高まりタリバンの同調者を増やしている。
 韓国人グループの拉致事件はひとごとではない。日本政府もできることがあれば何でも協力したい。各党も、武装組織の派遣がもたらすNGOへの危険性について、関係者を呼んで検証するべきだ。

[京都新聞 2007年07月27日掲載]

最低賃金見直し  格差是正の具体策競え

 先の国会では格差解消が最大の争点だったはずだ。中でも格差是正の「切り札」として打ち出されたのが最低賃金(最賃)の引き上げである。
 ところが、参院選で格差論議が低調なのはどうしたことか。最賃引き上げの法案が国会で継続審議になったとはいえ、与野党とも最賃の引き上げを選挙公約にあげている。そうであるなら具体的な中身を国民に示し、もっと積極的に格差問題について語るべきだ。
 最賃は毎年、中央最低賃金審議会の答申を参考に、各都道府県の審議会で決定している。二〇〇六年度の最賃の全国平均時給は六百七十三円(京都府六百八十六円、滋賀県六百六十二円)だった。
 確かに一日八時間、月二十二日働いても月収は十二万円にも満たない。これでは、働く意欲がなくなってもおかしくはないだろう。しかも、最賃で働いて得た月収が、生活保護費より下回る地域があることも分かってきた。
 そこから浮き彫りになったのが、まじめに働いても生活保護水準以下の収入しか得られない、いわゆる「ワーキングプア」(働く貧困層)だ。四百万人とも六百万人ともいわれる。この貧困層の解決策の大きな柱が、最賃の引き上げというわけである。
 「宙に浮いた年金」問題などで、最低賃金法改正案は宙に浮いた格好となったが、参院選は仕切り直しといえよう。
 自民党は「適切な引き上げを早急に実現する」としているが、最賃額や上げ幅は示していない。経済成長で国民生活を底上げする考えだろうが、与党としては具体性に欠ける。
 民主党は「三年程度で段階的に引き上げ全国平均で千円にする」と主張している。共産、社民両党も「千円」を目標に掲げる。だがこんな大幅引き上げが可能なのか。こちらも実効性に疑問がつく。
 景気回復の実感が薄い中小零細企業、特に地方経営者にとっては最賃の引き上げは経営を圧迫しかねない。「引き上げは失業者を増やすだけ」という反発もうなずけなくはない。
 日本経済の下支えをする中小零細企業が最賃を引き上げても、経営を維持できるような税制とセットになった仕組みなど知恵を絞る必要もあろう。
 賃上げと雇用確保のバランスをどうとるか。悩ましい問題だ。地域別の最賃を維持するのか、欧米に多い全国一律の最賃制度にするかも問題となろう。
 最賃引き上げの背景に、雇用形態の多様化による格差問題があることも忘れてはなるまい。今や三人に一人はパートなどの非正社員だ。正社員との所得格差の拡大がワーキングプアを生み出した要因でもある。
 非正社員の生活が不安定では、年金などの現行の社会保障制度も立ちゆかなくなる。格差問題の先送りは許されない。政策論争こそ有権者は期待している。

[京都新聞 2007年07月27日掲載]

【京都新聞・凡語】

信条表す四字熟語 新大関・琴光喜

 横綱、大関昇進時の口上に四字熟語を盛り込むようになったのは、若貴のころからか。特に貴乃花が横綱に昇進した時の「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」はどういう意味か、と話題を呼んだ▼「堅忍不抜(けんにんふばつ)」の若乃花は、口上を間違えたとも言われるから、あまり難しいのも考えものだ。自分の信条を表すのにぴったりの言葉はどれか。先日、大関になった琴光喜も随分、頭を悩ませたという▼で、十個ほどの候補から選んだのは「力戦奮闘」。三十一歳三カ月での大関昇進は、年六場所になってからは最年長にあたる。半分あきらめていただけに、力を尽くし、奮い立って戦う決意を込めた▼高校、大学で横綱になるなど、エリート街道を歩み、相撲界に入ったが、ここ一番のプレッシャーに弱いのと、けがに泣かされた。新入幕から四十四場所かかっての大関は史上二番目のスロー記録だ▼確かに、二十歳そこそこで大関になった貴乃花や大鵬に比べると遅いが、挫折体験のせいか、どことなく言葉にやさしさがある。「こんな幸せが待っているとは…。感動を与え、喜んでもらえる大関に」の言葉が泣かせる▼スローなら誰にも負けない力士もいる。琉球大卒の四十六歳、序二段で現役最年長記録を更新中の一ノ矢だ。大関は遠いかもしれないが、ふさわしい四字熟語は「七転八起」。いや、超越した「春風駘蕩(たいとう)」か。こんな生き方もいい。

[京都新聞 2007年07月27日掲載]


【朝日・社説】2007年07月27日(金曜日)付

地域格差―「1人区」が怒っている

 このまま地域格差を放置すれば、いずれは国全体が立ちゆかなくなりはしないか。人口が減り始めるなか、そんな心配が現実味を帯びてきている。

 景気が回復しているとはいえ、地方では働き口がなかなか増えない。そこかしこで商店街はさびれたままだ。

 東京23区では子どもの医療費の無料化が広がっているのに、地方では介護保険料の値上げなど住民の負担増が相次ぐ。市町村合併で、かえって財政の悪化や過疎化を招いた例も多い。

 個人住民税や地方法人2税などの税収が全国一の東京都は、23区も含めると06年度に約1兆4000億円の財源の余裕があった。これは島根や高知など財政力の下位8県の財源不足額と同じだ。

 なぜ、こんな事態になっているのか。

 都市は企業が集まり、仕事も多い。税収も厚くなりがちだ。だが、それだけではない。税制が税収の偏在を招いている。それに、600兆円を超す借金を理由に、政府が自治体への地方交付税や補助金を削ってきたことも大きい。

 都市と農山村の将来像をどう描くのか。地方が自立できるには、どんな税制や財政調整の仕組みにすべきなのか。権限も税源も自治体に移す分権改革をどのように進めていくのか。

 こうした提案を各党が競い合うには、今回の参院選は絶好の機会だ。

 自民党は安倍首相が「国がメニューを考えるのではなく、地域のアイデアを生かす」と繰り返している。自治体の施策に応じて年間3000億円の地方交付税を配る「頑張る地方応援プログラム」や「ふるさと納税」はその一環だ。

 だが、税収格差の対策は「地方の税財源を一体的に検討していく」と公約に書いただけだ。自治体によって地方法人2税の税収に差があることに触れているが、解決策は示していない。道州制の導入なども掲げるが、それが地域の元気回復にどうつながるかは見えない。

 対する民主党は大胆な政策が目立つ。農家への戸別所得補償制度や、林業での100万人の雇用創出などを並べる。

 さらに注目すべきは、19兆円の政府の補助金を全廃し一括交付金にする案だ。補助金を「中央官僚による地方支配の根源」とみなす視点は、自治体に権限を移す分権改革への積極姿勢といえる。

 その方向性は評価できるが、具体性が乏しい。一括交付金にすれば6兆円余の無駄が省ける根拠が見えない。

 消費税をすべて年金に充てることも問題だ。消費税の4割は自治体の財源になっている現実をどう考えるのか。

 公明党と社民党は国税と地方税の割合を1対1にすると公約している。共産党は地方交付税の削減反対を訴える。

 選挙の勝敗を左右するとして注目を集める全国29カ所の「1人区」は、地域格差をつけられている側が多い。

 そこで示される民意は、地域格差対策への審判の意味合いも持つ。

受信料値下げ―NHKのスリム化が先だ

 値段を下げるよと言われれば、客はうれしくないわけがない。だが待てよ、この店は店員の不祥事続きで、代金を払わない客が増え、収入が減って困っていたはずだ。なんだか、うさん臭いぞ。

 NHKが初めての受信料値下げに動き出したと聞いて、そんな印象を持たざるをえなかった。うさん臭さの裏にはまず、政治のにおいがある。

 今回の値下げは、菅総務相が「受信料の支払いを義務化して徴収率を上げてあげるから、2割くらい値下げしなさい」とNHKに求めたのがきっかけだ。

 総務省の試算では、支払いを義務化して5年後には、徴収率が今の約70%から80~85%に増え、年間750億から1200億円の増収が見込まれる。その分を値下げに回せ、という理屈だ。

 NHKの橋本元一会長は2割もの引き下げに反発しつつ、少しは下げないと総務相が納得しないと考えたのだろう。最高議決機関の経営委員会に値下げ案をいくつか示した。委員会の結論を来年度からの5カ年経営計画に盛り込む方針だ。

 こんないきさつだから、値下げはせいぜい数%か1割程度、月額50円か100円くらいになるとみられている。

 今回の案には、NHK内にも疑問の声がある。「100円、200円の値下げが視聴者の切実な願いだとは思えない」「どかーんと下げられるなら意味があるが」。ほかならぬ古森重隆・経営委員長が、そんな言い方をしているほどだ。

 だが、もっと深刻な問題がある。政界との距離が常に問われるNHKが、政治の圧力で値下げに踏み切るとしたら、視聴者の不信をいっそう高めてしまうのではないか。それが心配だ。

 もう一つ、今回の値下げ話がうさん臭いのは、スリム化など抜本的な改革を脇に置いたまま進んでいるからだ。

 NHKはいまやラジオや衛星放送を含めて八つのチャンネルを持っている。関連団体は、すべてを合わせれば民放キー局並みの収入がある。

 膨れ上がった番組の中には、受信料を取ってまで流さなければならないのか疑問に思うものもある。民放と似たような番組も少なくない。民放の力量が乏しかった時代ならともかく、公共放送とは何かを改めて考えることが必要だ。

 今度の経営計画の5年間には、テレビはアナログ放送を終え、デジタル放送に移る予定だ。デジタル時代のNHKと民放の役割分担も詰めねばならない。

 NHKの番組を本当に公共放送にふさわしいものにしぼっていく。そのうえで、例えばチャンネルを三つくらい減らす。そうすれば、受信料を「どかーんと下げる」こともできるだろう。

 今度の経営計画は、そうした改革の道筋を示し、生まれ変わる良い機会だ。政治家や役所に口出しされる前に、自ら大胆な改革に乗り出し、視聴者に問いかける。そうしないと、いつまでも「みなさまのNHK」にはなれない。

【朝日・天声人語】2007年07月27日(金曜日)付

 ベルギーに6年いた。仕事場に近い地下鉄の階段はいつも、名物ワッフルの香りがした。バターと蜂蜜とココアが混じる「においの記憶」は、冷たい雨の風景に重なる。着任時の高揚と不安が溶け込んだ雨だ。

 未体験のにおいの印象は、それをかいだ場面と共に記憶されるという。資生堂の調香部門を率いた中村祥二さんの説だ(『香りの世界をさぐる』朝日選書)。初めてのにおいは一生もので、それぞれが思い出に連なるのだろう。

 米シカゴの研究チームが気になる仮説を発表した。身近なにおいをかぎ分けにくくなったらアルツハイマー病の兆しかも、というのだ。レモンやガソリンなど12種のにおいを、平均80歳の約600人に当てさせたところ、的中率が悪い人ほど、後々、認知力が落ちる傾向にあった。

 老化による嗅覚(きゅうかく)の衰えは、本人も周囲も気づきにくいから厄介だ。鼻からの刺激が減ると、老化がまた進む。中村さんは「素人考え」として、においの刺激を繰り返し与えることで老化に対抗できないか、と提案している。

 人の五感のうち、嗅覚はどうも軽く見られがちだ。多くの情報は目と耳から入る。特に、パソコンや携帯電話を操る現代人は視覚に頼りすぎて、動物に劣る嗅覚がますます鈍ってきたとも聞く。

 風邪をひくと食事がまずいのは、舌ではなく鼻の粘膜がやられるためだという。かぐ力が弱まれば、料理の風味ばかりか人生のアルバムまでが色あせかねない。鼻の値打ちは高さにあらず。色んなにおいを通過させ、内側の元気を保ちたい。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 温暖化対策 どこまで本気か見えてこない

 事の重要性からみると、当然、参院選の争点になってしかるべきだ。にもかかわらず、盛り上がりに欠けているのが地球温暖化対策である。

 今年6月の主要国首脳会議では「2050年までに世界の温室効果ガスの排出量を半減させることを検討する」との合意文書がまとまった。来年の北海道洞爺湖サミットでも温暖化は主要テーマだ。

 温室効果ガスの排出を抑えた「低炭素社会」の実現は急務である。そこで鍵を握るのは、どのような政策を打ち出せるかだ。

 短期的には、京都議定書の目標達成への取り組みが必要となる。日本は08~12年に温室効果ガスを90年比で6%削減する義務があるが、めどがたたない。

 自民党の選挙公約が目標達成の手段として掲げるのは「国民運動」の推進だ。環境に配慮した行動に応じてポイントがたまるエコポイントの実施や、クールビズの定着、サマータイムの検討などを挙げ、「1人1日1キログラム」の二酸化炭素削減を目指すという。排出権取引や炭素税など産業界に影響を与える政策には触れていない。

 国民運動自体は進めるに越したことはないが、これで目標達成ができるとは思えない。人々のライフスタイルやビジネススタイルの根底にある社会構造そのものにメスを入れる覚悟がなければ、真の低炭素社会はおぼつかない。

 一方、民主党のマニフェストは、日本の温室効果ガスを2020年までに90年比で20%削減、50年までに50%削減という中・長期目標を掲げる。削減の手段として国内の排出権取引市場の創設や、地球温暖化対策税の導入も挙げる。風力、太陽光、バイオマスなど再生エネルギーの割合も20年までに10%に引き上げるという。

 自民党に比べると、具体的な数値目標ではある。しかし、排出権取引や温暖化対策税に対する産業界の反発を克服しつつ、削減をどう具体化していくかの道筋は見えてこない。

 結局、本気で社会を変える気概や戦略が各政党から伝わってこない。だからこそ、争点にならないのだと思われるが、これは政党側だけの問題ではない。国民の側にもその覚悟がないことを示しているのではないか。

 原発の位置づけも気になる。二酸化炭素をほとんど排出しないことから、原発には世界的な追い風が吹いている。自民党の公約にも、科学技術と原子力による環境・エネルギー問題の克服や核燃料サイクルの早期確立が盛り込まれている。民主党は、再生可能エネルギーや天然ガス、石油などとともに原子力もエネルギー安定供給の手段の一つとして挙げているが、原発政策は明確でない。

 新潟県中越沖地震では、地震に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになった。日本の原発は常に地震のリスクと隣りあわせである。安易に原発に頼らない低炭素社会の姿を描くべきだ。

毎日新聞 2007年7月27日 東京朝刊

社説:タリバン 罪なき人々を傷つけるな

 無防備な外国人を誘拐して政府に要求を突きつける。要求が満たされなければ容赦なく人質を殺す--。それがイスラムの正義だと言われても、誰が納得するだろう。

 アフガニスタンのイスラム原理主義組織タリバンに拉致された韓国人牧師が殺害された。なお22人の人質がいる。韓国政府は特使をアフガンに派遣して解放を図る構えだが、情勢は予断を許さない。

 殺された牧師の遺体には10発もの銃弾が撃ち込まれていたという。牧師が病気になり歩けなくなったため殺されたという報道もある。まさに冷血の所業ではないか。

 だが、捕らわれた人々は韓国のキリスト教会が派遣した信徒たちで、南部カンダハルの病院などでの奉仕活動が目的だった。首都カブールとの間をバスで走っている時に誘拐されたが、アフガンの恵まれない人々のために働く彼らを敵とみなす理由はないはずだ。

 さらに拘束を長引かせたり危害を加えたりすれば、イスラム教徒全体の信用をおとしめるだけだろう。タリバンは直ちに、無条件で人質全員を解放すべきである。

 解放の条件としてタリバン側は、アフガン当局に拘束された仲間の釈放を求めている。身代金を要求したとの情報もあるし、当初はアフガン駐留韓国部隊の即時撤退を求めていた。どの辺が本音なのか測りかねるのが実情だ。

 アフガンでは最近、外国人が関係する事件が続いた。韓国人グループが拉致される前日、ドイツ人2人が連れ去られ1人は死亡した。3月にはイタリア人記者が拉致され、タリバンのメンバー5人の釈放を条件に解放された。タリバンはこれに味をしめて拉致戦術に転じたとの見方もある。

 6月には比較的安全だったはずのカブールで、バスを狙った自爆テロがあり、日本人も巻き込まれて負傷した。外務省によると、6月現在、アフガンにはNGO(非政府組織)や政府関係者ら140人余りの邦人がいるが、個人的な旅行者などの数字はつかみ切れないという。アフガンへの渡航や滞在には細心の注意が必要だ。

 韓国人グループはあまりに不注意だったという声もあるが、彼らの受難は何よりアフガンの治安悪化を象徴している。米軍のアフガン攻撃で支配権を失ったタリバンは、その後着々と巻き返し、いまや親米のカルザイ政権を脅かす存在になった。国際テロ組織アルカイダの勢力拡大も伝えられる。日本を含む各国の復興支援にもかかわらず、アフガン情勢が好転しないのは憂うべきことだ。

 外国人誘拐といえば、レバノンでも80~90年代に米英人などの誘拐が相次いだ。シーア派イスラム教徒とみられる誘拐犯は、米政府などに要求を突きつけ、聞き入れられないと人質を「処刑」した。

 だが、レバノンにおける米英と違って、韓国はアフガンでほとんど影響力を持たない。警戒心の薄い外国人を人質に取って、身勝手な要求を通そうとする。そんな卑劣な行為は、結局、自らを孤立させるだけである。

毎日新聞 2007年7月27日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:「決戦の夏」は参院選の日本だけではない…

 「決戦の夏」は参院選の日本だけではない。流血の日々が続くイラクでは、この夏の戦況に米軍増派の成否がかかる。ブッシュ米大統領は9月に現地司令官の報告を聞き、新しいイラク政策を決めるから、イラク戦争を左右する決戦の夏である▲開戦から4年4カ月。米国にとって第二次大戦より長くなった。どのように終わるのか出口は見えない。米兵の死者は3600人を超えた。それでもベトナム戦争のような、激しい反戦運動は米国で起こらない▲なぜおとなしいのか。知り合いのアメリカ人に聞いた。ある弁護士の答えは「徴兵制じゃないからだ」。ベトナム戦争のころは徴兵制でいつ招集されるか、気が気でなかった。だから若者は自分の問題として街頭で反戦の声をあげた▲志願制のいまは黒人やヒスパニック、貧しい若者がイラクに行く。「中流階級の多くにとっては、まだ人ごとなんだ」という。連邦政府の公務員は「9・11のせいだ」と説明した。「テロとの戦いがイラク開戦の正当化に使われ、反戦を叫びにくい」▲「人々が戦争に疲れているのは理解できる。不安があっても私は驚かない」と述べたのは、だれあろうブッシュ大統領だ。そんな言い方をされても怒らないほどアメリカ人は内向きになってしまったらしい。反戦というより、気分は厭戦(えんせん)か▲「おとなしいアメリカ人」は1950年代のベトナムが舞台のグレアム・グリーンの小説だ。語り手の英国人記者は主人公の米大使館員をこう評す。「あれほどごたごたを起こしておきながら、それをあれほど善意の動機からやった男を見たことがない」(田中西二郎訳)。みずからの善意を疑うことを知らないせいか、巨人は身動きがとれないままだ。重苦しい夏になった。

毎日新聞 2007年7月27日 東京朝刊


【読売・社説】

教職大学院 質の高い教員の輩出を期待する(7月27日付・読売社説)

 「職人」「プロ」と呼べる教員の養成を、教職大学院には期待したい。

 指導力低下が言われ、理不尽な「クレーム親」への対応なども教員に求められている昨今、そうした教員の輩出は、教育現場の「再生」にもつながるだろう。

 来年度からスタートする教職大学院に、国立15、私立6の計21大学が名乗りを上げた。4年前、同じ専門職大学院の法科大学院に72大学の設置申請があったのに比べ、少なめではある。初年度は模様眺め、という大学が多いようだ。

 教職大学院は、中央教育審議会が昨年7月の答申で、教員の資質・能力向上策の一つとして、教員免許更新制などとともに提言した。更新制は2009年度から実施されることが決まった。

 目的は、学部卒業生の中から、より実践的な指導力を身につけた新人教員を養成することと、現職教員の中からスクールリーダー(中核的中堅教員)を育てることにある。研究者養成や特定教科の専門性を高めることを目的とした従来の大学院とは違う。

 設置条件は厳しい。学生が数十人規模の大学院でも、最低11人の専任教員が必要で、うち4割は校長や指導主事などの実務を経験した教員でなければならない。その負担や採算面を考え、教職大学院の開設を見送った大学もある。

 学生にも現状の2倍、400時間以上の教育実習が義務づけられる。模擬授業や授業観察・分析、生徒指導や教育相談のやり方など、徹底して実践重視の教育が行われる。

 課題は、どれだけ多くの優秀な学生を大学院に集められるか、だろう。

 団塊世代の退職に伴う大量採用時代を迎え、新人教員採用のハードルは都市部を中心に低くなっている。学部の教職課程修了者にも、採用の門戸は広い。

 2年間、学費を払って教職大学院で学ぶ以上、修了生に採用や給与面で何らかの優遇を求める意見は中教審でも多く出ていた。すでに複数の教育委員会で、特別採用枠などの検討を始めているというが、募集開始の段階できちんと示す必要があるのではないか。

 現職教員については、まだ修了後の処遇上の利点などは不明だ。

 教職大学院の運営を支えていくのは、教員を採用する教育委員会である。

 教育実習の受け入れ先確保には教委の協力が必要だ。教委から専任教員を招いたり、教育内容について指導を受けたりしている大学も多くある。

 質の高い教員を育てるには、教職大学院と教委との緊密な連携が大事だ。
(2007年7月27日1時23分  読売新聞)

三越と伊勢丹 百貨店の再編はまだ終わらない(7月27日付・読売社説)

 再編が続く百貨店業界で、また一つ大型の経営統合の動きが表面化した。

 老舗で売上高が業界4位の三越と、5位の伊勢丹が、統合に向け協議に入った。

 統合が実現すれば、売上高1兆5000億円を超す、最大の百貨店グループが誕生する。大手百貨店は、三越・伊勢丹連合を筆頭とした4グループに集約されることになる。

 流通業界全体を見渡せば、スーパーやコンビニエンスストアに、各種専門店、通信販売業者まで入り乱れての競争が激化する一方だ。大型化したからといって百貨店が安住できる環境にはない。

 生き残りのためには、さらなる合従連衡が避けられそうにない。業態を超えた次の再編劇に、流通業界関係者の視線が集まっている。

 創業330年を超す三越は、老舗中の老舗として長い間、業界のリーダー的存在だった。だが、1982年に当時の岡田茂社長が引き起こした経営スキャンダルでイメージに傷が付き、その後のバブル崩壊で打撃を受け、じり貧から脱しきれない状態が続いている。

 一方の伊勢丹は、ファッション関係の品ぞろえに定評があり、売り上げ、利益とも好調だ。このため、今回の統合協議は、低迷する三越が伊勢丹に支援を求める形で始まったとされる。

 両社の店舗網には重複が少なく、商圏を補完し合える関係にある。仕入れや物流を共通化することでコストも削減できよう。なにより、伊勢丹の経営ノウハウを導入することで、三越の改革が進むことを期待する向きがある。

 百貨店業界全体の売り上げは、バブル絶頂期の1990年に10兆円近くあったが、その後減少に転じ、今では7兆円台に落ち込んでしまった。

 各社は、経営規模の拡大に活路を見いだそうと必死だ。4年前に西武百貨店とそごうが統合して、ミレニアムリテイリングが生まれた。今年9月には大丸と松坂屋が統合してJ・フロントリテイリングも誕生する。さらに、10月には阪急、阪神百貨店も統合する。

 だが、ミレニアムリテイリングは、百貨店事業だけでは将来展望が開けないとして、セブン―イレブンやイトーヨーカ堂を持つ巨大流通グループのセブン&アイグループに入ることを選んだ。

 セブン&アイに対抗するイオングループも、百貨店を傘下に持ちたいと考えているのではないか。全国には電鉄系を中心に、まだ再編に巻き込まれていない百貨店も少なくない。当面はこうした百貨店の動きが焦点となろう。
(2007年7月27日1時24分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月27日付 編集手帳

 演劇評論家で直木賞作家の安藤鶴夫氏は大学の予科で留年している。授業の欠席者に代わって返事をする「代返」を8人分こなしていたのが露見したためという◆5歳か6歳のころ、背負われて寄席から帰る道すがら、「婆(ば)ァや、さっきの都々逸は間がのびたね」と語った逸話が残る人である。代返も各人各様に声色を演じ分けての凝った芸であったことだろう◆いない人をいるように思わせる。これも代返の変種かも知れない。仕組んだのが生徒ではなく学校側である点が異なる。有名大学に合格した生徒が数多くいるように見せかけた「水増し」実績が私立高校で次々と明らかになっている◆大阪の高校ではひとりの生徒が4大学の計73学部・学科を受験して合格したが、受験料は全額を学校が負担していた。報酬と紛らわしい激励金も生徒に贈っている。合格者73人、じつは1人――8人力の安藤氏もびっくりだろう◆モラルがどう、心がけがどう、という以前に、合格実績の低さを宣伝してしまったようで格好が悪い。学校同士の競争は激しくとも、知られて恥ずかしいことはしないに限る◆安藤氏は隠れたタイ焼きの権威でもあり、全国の津々浦々で賞味したものを“魚拓”に取っていたという。中身の餡(あん)が少ない、見かけ倒しのタイ焼きは客から敬遠される。学校、また然(しか)り。
(2007年7月27日1時35分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】合格水増し お手軽入試を見直すとき

 大阪の私立高校を中心に学校側が大学入試の受験料を負担して成績優秀な生徒に何十も出願させ、有名私大への合格実績を水増ししていたことが相次いで発覚した。

 合格ランキングで誇大広告ともいえる実績を掲げる高校側の姿勢は問題で、教育内容こそ競うべきだ。さらに、1人が大量合格してしまうような大学入試は変ではないか。安易に受験生を集める手軽な入試方法の見直しを大学に求めたい。

 最初に発覚した大阪学芸高校のケースは、1人の生徒が志望校の国公立大のほかに、関西、関西学院、同志社、立命館の「関関同立」の計73学部学科に出願して合格した。学校側が関関同立の合格実績とした延べ144人の半数がこの生徒のものだった。

 受験料など140万円以上を学校が負担し、願書も教師が代筆していたという。生徒は理系志望だが、出願学部には文系もあった。学校側の姿勢は合格実績PRのためと批判されてもしかたないだろう。

 1人の生徒がどうやって70以上も受験できたのかと驚くが、私大でも大学入試センター試験を利用し、センター試験の成績だけで合否を決める大学が増え、こうした大量受験ができた。

 早稲田、慶応でも学部によってセンター試験だけで合否を決める入試方法をとっている。センター試験は問題作成に時間をかけ良問を工夫してはいるがマークシート方式の限界もある。大学が面接などを含め自前の試験をせずに合否を決める姿勢は疑問だ。

 入試をめぐっては文部科学省の調査で私大の1割以上が入試問題作成を予備校などに外注していることも明らかになった。大学全入時代に受験生集めばかりに目が向き、学生のための入試の労を惜しむような大学に高等教育を担う資格はあるだろうか。

 入試では科目を減らす軽量化入試が学力低下の背景と指摘されてきた。批判を受けて入試科目増や小論文、面接などを組み合わせるなど改革に取り組む大学もある。しかし多数の受験生を選抜する入試で手間暇かかる方法は少数派といえる。

 政府の教育再生会議は大学改革を検討課題にあげているが、大学が主導して入試改革に取り組み教育の質低下を止めなければならない。

(2007/07/27 05:40)

【主張】温室効果ガス削減 一段の国民運動へ知恵を

 地球温暖化防止のために国が定めた「京都議定書目標達成計画」について、その準備状況の確認などをしている環境省と経済産業省の合同審議会による評価・見直しの中間報告素案がまとまった。

 国内の業種別団体や各省庁がこれまでに進めてきた二酸化炭素を主体とする温室効果ガスの排出削減対策について、審議会は昨秋からヒアリングによる点検を続けてきた。中間報告での分析は「対策の進捗(しんちょく)は極めて厳しい状況にある」という評価内容だ。

 国際条約である京都議定書に基づいて日本に課せられている温室効果ガス削減量は、1990年比で6%減である。来年から2012年までの5年間(第1約束期間)の平均で、これだけ削減しなければならない。

 第1約束期間への突入に向けて、国も産業界もさまざまな努力を進めてきたが、2005年度の統計では、90年の排出量を7・8%も上回る量になっている。議定書の目標達成には、合わせて約14%もの削減が必要だ。

 温室効果ガスの排出部門別では、工場などの産業部門が削減に成功しているが、オフィスビルなどの業務部門と家庭部門で排出量が増え続け、中間報告での厳しい評価につながった。

 今回の中間報告では住宅・建築物の省エネ性能の向上を促している。削減への自主行動計画の策定が遅れている業種に対しては国による働きかけも行うことにしている。新聞業界も未策定業界の一つだった。数値目標を立てて削減に取り組まなければならない。

 クールビズは定着しているが、さらなる国民運動が必要だ。省エネが格好良く、すばらしいことであるという価値観と美意識も持ちたい。10キロ圏内の自転車利用や小型バイクの活用も効果をもたらす。環境調和型のライフスタイルの浸透が重要だ。

 来年7月には、北海道の洞爺湖サミットで、2013年以降の温暖化防止策が主要国首脳によって協議される。ホスト国の対策が遅れていては、リーダーシップに影がさす。省エネにとどまらず、一段と進んだ低炭素社会の実現を目指したい。

 新潟県中越沖地震の影響で、二酸化炭素を排出しない国内55基の原発中7基が止まっている。年内の最終報告までに温暖化防止の知恵を絞ろう。

(2007/07/27 05:32)

【産経抄】

 20日付小欄で、「願わくば」と書いたところ、たくさんの読者からお叱(しか)りの手紙やメールをいただいた。きっと日本の古典文学に通じている方々なのだろう。「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」。西行法師の有名な歌がすらすらと口をついて出てくるのに違いない。

 ▼文法的に間違いだ、との指摘もあった。その通りだ。もともと「願わく」とは、「思わく」「惜しむらく」と同じように動詞や形容詞の語尾に「く(らく)」がついて名詞化したものだ。これを「く語法」という。「願うこと」の意味だから、当然助詞の「は」がつく。

 ▼ ところが、江戸時代あたりから、「願わくば」が出現して現在に至る。『岩波国語辞典』は誤りと断言するが、手元にあるほとんどの辞書では使用を認めている。言葉の変化に対して、辞書の編者の姿勢の違いが表れていて興味深い。あくまで元の形を重く見るのか、広く使われている事実を受け入れるのか。

 ▼12日に88歳で亡くなった言語学者の柴田武さんに見解をうかがってみたかった。トルコ語から方言学までその研究分野は広く、身近な言葉の語源をわかりやすく解き明かすベストセラーの著者としても知られていた。

 ▼「ら抜きことば」に寛容だった柴田さんは、「花に水をあげる」という言い方には反対して、目下や動植物には断固「やる」だ、と主張していた。「ことばの美しさ」は、「表現する内容」と「話し手の品格」に結びつくというのも持論だった。

 ▼柴田さんが、ともに編者を務めた『類語大辞典』(講談社)では、「願わくは」の項に、「ねがわくばともいう」の説明があり、『新明解国語辞典』(三省堂)には記述がない。やはり、日本語は難しい。

(2007/07/27 06:25)


【日経・社説】

社説1 原発の安全規制に独立機関を(7/27)

 地下は水浸しで、天井のクレーンは軸が折れていた。地震発生から10日が過ぎても、点検が進むにつれて、柏崎刈羽原発では新たな損傷やトラブルが次々に見つかっている。

 周辺の旅館やリゾート施設の予約キャンセルや、イタリアのサッカーチームの来日中止など、いわゆる風評被害もじわりと広がっている。原発の安全に第一義的な責任を持つのは、事業者である電力会社だが、国の安全規制当局が、安全確認やトラブル評価の情報をわかりやすく発信すべき時期ではないだろうか。炉心から放射能漏れはなく、原発の耐震性は実証された、などと繰り返しても、住民の安心は得られまい。

 使用済み燃料プールから水があふれるなど、リスク管理の常識を覆す事象も多い。圧力容器のふたを開けて、肝心の炉心の健全性を確認する作業も急がねばならない。

 今回の地震で学んだのは、監督官庁も電力会社も、原発に関する様々なリスクを過小評価しがちだという事実である。海底断層の評価、想定地震動の強さ、いずれも地震国日本の現実に比べてリスクを過小に評価してきたことは明らかだ。役所と事業者に一部学界まで巻き込んで、原子力分野は産官学ともに世間の常識とは少々ずれた仲間内の理屈、「ムラの論理」が随所に顔を出す。

 変圧器が炎上しても、使用済み燃料プールから水があふれても、クレーンが損傷しても、炉心が壊れて大量の放射性物質が周辺に飛散する最悪の事態にさえ至らなければ、原発は安全と言い切ってしまうのが、典型的なムラの論理といえる。

 私たちは日本の原発が健全にその役割を果たすために、安全規制を担う原子力安全・保安院が、原発推進役の経産省の傘下にあるという、矛盾した関係を解消するよう、提言してきた。推進と規制を同じ役所が受け持つのは無理がある。今回の地震でも、原子力安全・保安院は現地に10人近いスタッフを常駐させていたのに、その存在感は住民や国民に伝わっていない。安全規制機関にとって組織的独立は決定的に重要だ。

 リスク評価機関としての原子力安全委員会は、内閣府に設置されているが、人員が不足している。新潟県知事や柏崎市長が国際原子力機関(IAEA)の調査参加を希望したのは、安全委や保安院に対する国民の信頼度が低いことを示している。

 米国の原子力規制委員会は3000人を超す専門家を抱える独立機関で、フランスも昨年、安全規制機関を法的に独立させた。安全機関の独立は、原子力大国の要件ではないか。

社説2 見境ないタリバンの蛮行(7/27)

 アフガニスタンの旧支配勢力タリバンが韓国人人質を殺害するという蛮行に踏み切った。タリバンが拉致したのは医療分野などの援助活動のためアフガニスタン入りした人たちである。タリバンが見境なくテロを展開し始めたことを改めて物語っている。

 拉致されたのは23人の韓国人グループ。福音主義のキリスト教教会の若い信者たちで奉仕の使命感に燃えていたようである。だが、タリバンにとっては援助に従事する人であろうがなかろうが外国人は皆敵なのであろう。

 タリバン幹部は最近、英国のテレビに対し、外国人であれば誰であろうと拉致し、米軍などに拘束されている仲間との交換に使うと明言していた。

 アフガニスタンはまだ復興途上で国際機関や外国からの援助が不可欠だ。多くの国から非政府組織(NGO)も駆けつけている。だが、その活動がいかに貴重であってもアフガニスタンが危険な紛争地域であることには配慮しなければならない。

 その点で今回拉致されたグループに落ち度はなかったのかどうか。アフガニスタンでは今春から60人もの外国人が拉致されているとの情報もある。拉致事件が頻々に起きていることを知らなかったのだろうか。

 それにグループが拉致されたカンダハルとカブールを結ぶ幹線道路が外国人に危険であることは広く知られていた。にもかかわらず彼らは一見して外国人が乗っているとわかるような目立つバスで移動していた。

 現地情報を入手、分析し、安全手段をとって行動することが何よりも重要であり、韓国国内でもグループの行動には批判が出ている。

 日本外務省は従来、カブール、ジャララバードなど5都市を除く地域について渡航の延期に加え退避勧告を出していたが、25日に今回の事件を受けて5都市についても退避勧告を出した。

 アフガニスタンには邦人約120人が援助に従事している。組織的に十分な安全対策を取って活動することが改めて求められる。

 危険な紛争地域では軍の防護下で援助を進めるという考えもある。検討に値しよう。

【日経・春秋】(7/27)

 夏休みシーズンというのに、東日本ではなかなか梅雨が明けない。8月にずれ込む可能性もあるらしい。昨年も関東甲信の梅雨明けは7月30日と遅く、1998年と2003年は8月2日だった。どこかおかしな近年の夏模様である。

▼異変がはるかに深刻なのは欧州だ。40度を超す猛暑に見舞われたハンガリーやルーマニアでは死者が相次ぎ、イタリアでは山火事の被害が広がっている。英国南部は記録的な洪水に襲われ、大学町オックスフォードも水浸しになった。それもこれも地球温暖化とかかわりがあるのでは、と疑わずにはいられない。

▼危機は目の前にある。温暖化ガス削減は待ったなしのはずだ。しかし経済産業省と環境省による京都議定書の「目標達成計画」見直し案には切迫感がない。オフィスや家庭での対策を強化し、国民運動を繰り広げるとうたうけれど、焦点の国内排出権取引や環境税導入は結論を先送りした。どうも悠長ではないか。

▼ミズバショウやニッコウキスゲが咲き誇る尾瀬が国立公園として独立する。高山植物の宝庫を守る新たな契機になればよいが、こうした植物こそ生態系が脆弱(ぜいじゃく)で温暖化の影響をまともに受けやすいという。尾瀬のミズバショウは開花時期がどんどん早まっているとの研究もある。あの湿原もまた警告を発している。


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