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2007年7月28日 (土)

7月28日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月28日朝刊)

[平均寿命世界一]「健康長寿」楽しんでこそ

 日本の女性の平均寿命は二十二年連続で世界一になっていることが分かった。日本人の三大死因である、がん、心臓病、脳卒中の治療成績が向上したことが主な要因だという。

 だが「欧米化した食を改善しなければ、世界一を維持するのは難しい」と根源的な問題点を指摘する研究者もおり、今後も世界一を維持できるのかどうか不安な点も多い。

 厚生労働省が公表した二〇〇六年の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は女性が八五・八一歳、男性は七九・〇〇歳だった。男性は〇五年に四位に落ちた位置から〇四年の二位に順位を戻している。〇五年に比べると女性は〇・二九歳延び、男性〇・四四歳で男女差は〇・一五歳縮まった。

 厚労省が示すように「平均寿命は今後も延びていくと見込まれる」。だが、平均寿命の延びは少子高齢化が進む中、超高齢化社会の足音が一層高まるということではないのか。

 であれば、高齢者が安心して医療を受けられる社会的システムをさらに充実させていくことが重要になる。

 確かに医療技術は世界のトップレベルにある。だが現実に目を向ければ、高齢者の医療負担は以前より増え、誰もが気軽な形で医療福祉制度を享受できるシステムにはなっていない。

 その点も含め、高齢者に目を向けた「健康長寿」の施策をどう充実させるかが課題であり、政治の責任だろう。

 都道府県別平均寿命の発表はまだだが、二〇〇〇年には沖縄の女性は八六・〇一歳で日本一の座にあった。男性は七七・六四歳で、五年前の四位から二十六位に急落した時の「二六ショック」は記憶に新しい。

 沖縄が長寿である要因として、温暖な気候の中でよく運動することが挙げられ、同時にカルシウム摂取量の多さ、塩分の摂取量が全国一少ない―ことが指摘されていた。

 しかし、ここ数年は県民の運動不足は言うに及ばず、ファストフードに見られるような欧米化した食が健康に影響を及ぼしているといわれる。

 〇五年の年齢調整死亡率で明らかなように、男性だけでなく女性も肺疾患、糖尿病、肝疾患の三項目で全国ワーストという事実もある。

 〇六年度県民健康調査でも、体重と身長で割り出す肥満度(BMI)25以上の肥満者は六十代の女性で46・8%、七十代が56・5%と年を重ねるほど多くなり、男性は二十代を含めて七十代まで四割を占めている。

 運動不足の解消は当然として食生活をどう改善していくのか。長寿社会を維持する工夫を皆で考えたい。

[夏休み]自然に触れ合う機会を

 夏休み真っ最中だ。子どもたちは学校生活から解放され、最も楽しい季節であるが、親にとっては子どもたちの世話で、何となくせわしい。

 せっかくの夏休みである。だらだらと過ごしては、あっという間に終わってしまうことになりかねない。普段の生活から得られない様々な体験をする機会だ。親子一緒に計画をたてて、楽しい思い出をつくれるようにしたい。

 たとえば、親子一緒に遊んで子どもの体づくりをしてはどうだろうか。子どもの運動能力が低下しているといわれて久しい。文部科学省の「体力・運動能力調査」によると、今の小学生の運動能力は親の世代にあたる三十年前の子どもと比べて、劣っているという結果が出ている。

 基礎的な運動能力は小学生のときまでに培われるといわれる。この時期に、運動する喜びも芽生える。野外活動など自然の中で豊かな感性もはぐくまれる。ひと昔前なら、家の外で友達と一緒に思い切り遊ぶことで、運動能力をはぐくんできた。だが、今は子どもたちが集団で遊ぶ光景は年々、見られなくなっている。

 子どもたちも塾や習い事などで多忙だ。家に帰れば、テレビやゲームに夢中になっている。これでは体力は低下するはずだ。夏休みで生活が乱れては、さらに体の動きは鈍くなる。

 水泳などスポーツ教室に通わせるのも一つの手である。学童保育が行事を通して子どもの体力づくりを図るなど地域の取り組みも出ている。でも、この夏休みの時期、親が一緒に体を動かして、汗をかくさわやかさを伝えてはどうだろう。地域の行事、家族旅行、キャンプなど選択肢は多いが、やはり、自然の中での遊びを増やしたい。

 参加者が減っているというラジオ体操に一緒に出掛けることも、親子の触れ合いが図れる。働き盛りの親にとっては早起きはつらいが、無理せず、週に一、二回の参加から始めてもいい。

 夏休みをどう過ごすかは、親にゆだねられている。親が自然と触れ合う機会を積極的につくってほしい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月28日 朝刊 1面)

 もう二十年近く前のこと。宮古支局から多良間島へ村議選の取材に行った。情勢取材より、立候補予定者の顔写真を撮るのが主な目的だ。これが難渋を極めた。

 「出るかどうかも分からんのに」と、かたくなに撮影を断る“予定者”がいる。自宅の庭には天幕が張られ、人が頻繁に出入りし、すでに本番モードなのに。たまたま一緒に回った他紙の支局長と説得を続ける。

 そのうち「県紙には写真を載せなくてもいい」と言い出した。確かに有権者一人一人まで知り尽くした島だから、あえて新聞に載せる意味もないのかとくじけそうになったが、拝み倒して撮影することができた。

 集落の目抜き通りには手書きポスターも張り出されていた。中には姓でも名前でもなく、誰のことか見当さえつかないものも。だが屋号と知り納得。そこでは最も通りがいいのだろう。選挙には地域柄や人間関係が色濃く反映される。

 宮古といえば首長選挙になるとがぜん熱を帯びる土地柄だ。一票をめぐってしのぎを削り、手荒い手段も横行した。町長選で、投票率は上がりそうかとお年寄りに聞いたら「百%を超えるかもしれない」と答えたという笑い話もある。

 参院選はあす投票日を迎える。小さな島の議員選挙や身近な首長選に比べ、有権者の関心も薄れがちだ。しかし国政選挙とてそれぞれの一票は重い。国の舵とりを、どの政党や議員に委ねるか、大きな選択がかかっている。(山城興朝)


【琉球新報・社説】

NIE全国大会 新聞から知識の世界広がる

 第12回NIE全国大会(主催・日本新聞教育文化財団)が26日から2日間にわたって岡山県で開催された。NIEは「Newspaper in Education(教育に新聞を)」の略称であり、文字通り、新聞を学校教材として活用してもらう運動だ。今大会では、実践法紹介とその効果の発表があり、情報を発信する側としては心強い限りだ。
 開催地元の倉敷市立倉敷西小学校は「自ら課題を見つけ、情報発信する力を育てる」ことをテーマに実践校としての研究を進め、今大会で報告した。狙いは、情報源である新聞を通して、興味・関心が学校から家庭、そして地域、社会へと広まっていくことである。
 高校生も体験を発表。新聞記事を読んで感想を書く課題について「書くことは考えることにつながり、自分なりの意見を持つようになった」と述べた。
 琉球新報社は2002年から「出前記者」講座を随時行い、県内学校を回っている。中部の小学校ではこんな例があった。4年生の女児だ。講座で出された「1週間新聞を読んでみよう」という宿題を実行した女児は、スポーツ面のバスケットの記事に刺激を受け、「明日から一生懸命やろう」と奮起。そのかいあって試合に出場することができた。そして、新聞を読んでいなかったら「ベンチに座るだけだったかもしれません」と記した。記事を読んだことをきっかけに自分の成長につなげた好例である。
 那覇市内の小学校ではこんな女児がいた。「鉄の化合物でできたうろこで覆われた脚を持つ珍しい軟体動物」の記事を読み、「いつか自分の目で見てみたい。確かめたい」と記した。この子の将来の夢は「海洋学者」だったが、この記事でますます実現の意欲が高まったことだろう。
 日本新聞教育文化財団はNIE実践校を認定しており、本年度、県内からは那覇市立銘苅小、石嶺中、名護市立大宮小など6校が選ばれた。
 実践方法については、経験校の実例報告を積極的に取り入れてほしい。それを踏まえて発展できる活用法も生まれることだろう。
 サンゴの保護、ごみ問題、平和、バイクの事故など、児童・生徒たちの関心は多分野にわたる。記事に目を留め、理解しようと知恵を働かせることで新しい知識の世界につながっていく。
 岡山の全国大会テーマは「学びあい 世界を広げる」である。「出前記者」講座の経験から言えることは、新聞に接することで、子どもたちの関心のアンテナは確実に広がるということだ。NIE運動の充実のためには、新聞社も協力を惜しまない。

(7/28 9:54)

郵政公社「評価」 態勢固めをして民営化を

 総務省は26日、日本郵政公社の発足から4年間(2003ー06年度)の業績評価と、06年度単年度の評価をそれぞれ郵政行政審議会(総務相の諮問機関)の経営・評価分科会に提出した。
 業績評価は、業績や取り組みが設定した目標どおりに達成されたかどうか、各事業年度ごとに公社内部での自己評価を踏まえ、総務省が5段階で評価する仕組みである。評価の対象となるのは、業務の効率化の程度を示す「事業経費率」や財務状況の健全性を表す「積立金」のほか、「コンプライアンス(法令順守)の徹底」などである。
 かみ砕いていえば、1年間の事業運営などに関する公社の「通信簿」である。では、通信簿の中身はどうだろう。
 総合点は、残念ながら芳しいとは言い難い。特に中期経営目標に関する4年間の評価にばらつきが見られ、及第点を与えるのはためらわれる。
 具体的には、郵便貯金と簡易生命保険の「財務内容の健全性」については、達成度は大幅に目標を上回っているとして「特A」が付いた。コストの削減努力などが認められた。
 ところが、簡保の「客の満足を高めるサービスの充実」は、下から2番目の「D」の評価となっている。06年度単年度も「D」ランクである。これでは、せっかくの財務面の「特A」が帳消しになりかねない。
 マイナス材料はまだある。公社全体の「コンプライアンスの徹底」に関する項目は、「部内犯罪、個人情報を不適正に取り扱う事案が増加するなど徹底が不十分」と指摘された。「C」評価にとどまったのはいただけない。
 郵政公社の民営化がいよいよ10月から始まる。顧客サービスの充実にしろ、コンプライアンスの徹底にせよ、業績の帰趨(きすう)を左右するほど金融事業の重要な要素だ。もちろん郵便事業でも変わりない。部内犯罪の再発防止、個人情報の保護対策など、内部態勢をしっかりと固めてから民営化に歩み出してほしい。

(7/28 9:52)

【琉球新報・金口木舌】

 沖縄本島の南部や東海岸の聖地巡りを「東御廻り(あがりうまーい)」と呼び、かつては王族をはじめ、島の人たちが巡礼の道をたどった
▼その1つ、斎場御嶽を訪ねた。琉球の創世神アマミキヨによる琉球開闢(かいびゃく)七御嶽の1つで、聞得大君(きこえおおぎみ)即位の最高秘儀が行われたとされ2000年、世界遺産に登録された
▼その歴史遺産、精神文化を内外に発信し、健康と組み合わせた観光で地域活性化を図ろう、と南城市が取り組んでいる。先日、同市で新報移動編集局「地域づくりフォーラム」が開かれた
▼そこで聖地での服装について「観光客はリゾート気分で、中には肌をあらわにした人もいる。祈りの場として大切に考えているので気を付けてもらいたい」との注文があった。同市発行の東御廻りパンフレットでは、聖地に入る際の一礼や心静かにするよう勧めている
▼が、夏場のこの時期、開放的な服装で聖地を訪ねる人を見掛ける。県内各地には、多くの拝所、御嶽があり、今でも普段は神人(カミンチュ)しか立ち入れない場所もある。たとえ、入れても土足は許されないところも
▼心のよりどころとなる御嶽では、祈りをささげる人たちへの気遣いを忘れてはならない。

(7/28 9:47)


【東京新聞・社説】

株価急落  米住宅バブルが弾けた

2007年7月28日

 米国の住宅ローン焦げ付き問題が深刻化して、世界の株価が急落した。金融市場には「株価下落は一時的」との見方が強いが、住宅バブルの崩壊が背景にあることを考えれば、楽観はできない。

 「いつか崩壊する」と言われ続けた米国の住宅バブルが、ついに弾(はじ)けたようだ。

 六月の新築住宅販売件数は前月比6・6%減と市場の予想を大幅に下回って、二カ月連続の減少になった。中古住宅も前月比3・8%減で、四カ月連続で減少している。住宅メーカー各社の四半期決算は大幅赤字に転落した。

 株価急落は、こうした住宅市場の不振を受けて「銀行や証券など金融機関の経営が悪化するのではないか」との懸念が深まったためだ。

 信用力の低い人を対象にしたサブプライムと呼ばれる高金利の住宅ローンの焦げ付きが増えて、二月には住宅ローン専門会社が倒産した。そこへ新たに、大手証券会社の傘下にあるヘッジファンドの巨額損失も明らかになった。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、先日の議会証言で「サブプライムローンの焦げ付きは、金融機関に最大で一千億ドル(約十二兆円)の損失をもたらす」と警告を発していた。

 住宅価格の値上がりは資産を水膨れさせ、多くの家計が借金を増やして、個人消費に走った。米国の景気拡大は相当部分、こうした借金で賄われた面がある。ところが、いったん上昇が止まると、メカニズムは逆回転を始める。借金返済が間に合わず、焦げ付くのだ。

 まるで、バブル崩壊が始まった十六年前の日本を思い出させるような展開である。当時の日本と違うのは、金融技術が発達して、住宅ローンを担保に組み込んだ金融商品が数多く開発されたことだ。

 高利回りを求めるヘッジファンドは、高リスク商品に投資して荒稼ぎしていた。だが、住宅ローンが焦げ付けば、ファンドは倒れ、ファンドに融資していた銀行も無傷ではいられない。経営トップが責任をとって辞任した欧州の大手銀行もある。

 市場関係者には設備投資や輸出の好調を理由に、経済への影響は小さく「株価もやがて下げ止まる」との楽観論が多い。

 日本も、崩壊当初はそうだった。だが実際には、リスクを無視した過剰融資が構造的に埋め込まれ、住宅金融専門会社(住専)の破たんは銀行の不良債権問題へと拡大していった。米国も油断はできない。ここは、先行きを慎重に見極めるべき局面である。

弁護士脅迫 裁きは法廷で冷静に

2007年7月28日

 遺族感情を害し、いわゆる世間の批判にさらされても、正しいと考える活動をするのが弁護士の使命だ。その行動や自由な司法判断を封じようとする卑劣な脅迫は、法で裁かなければならない。

 一九九九年に起きた山口県光市の母子殺害事件の弁護人を脅迫する手紙が、日本弁護士連合会や新聞社に届いた。事件当時十八歳だった被告を死刑にできないなら弁護人らを銃で処刑する、という内容だ。

 母親と幼い子供の命が奪われた痛ましい事件であり、遺族の心情は察するに余りある。被告に対する憎しみをあおる報道が一部メディアにあふれ、一、二審判決が無期懲役だったことと相まって関心を集めた。

 最高裁が広島高裁に差し戻し、現在は同高裁で審理中だが、上告審、やり直し控訴審における弁護人の行動、弁護方針が多くの人に違和感を抱かせたことも事実だ。

 しかし、刑の量定も、弁護人の主張に対する法的判断も裁判官のみができる。裁判と無関係な人間が特定の行動や司法判断を関係者に強要することは許されない。

 憲法三七条は「刑事被告人はいかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼することができる」と定めている。弁護人の役割は被告に適正な裁判を受けさせ、罪を犯した被告であっても刑罰の適正を確保してその人権を守ることである。

 人類が英知を積み重ねて完成した刑事裁判は、凶悪な事件を起こした被告にも守られるべき人権はあるとの前提で成り立っている。

 役割を忠実に果たしている弁護活動が、被害者感情を害し、社会的批判を受けることもある。そのような場合でも敢然と職責を全うすることが弁護士には求められる。

 国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は各国政府に弁護士の安全を保障するよう求めている。

 「政府は、弁護士が脅迫、妨害、困惑あるいは不当な干渉を受けることなく、その専門的職務をすべて果たしうること…を保障する」「弁護士が、その職務を果たしたことにより、安全が脅かされる時には、当局により十分に保護される」-という第一六条の規定である。

 捜査当局は速やかに捜査し、手紙を送った人物に法の裁きを受けさせなければならない。さもなければ弁護活動が委縮し、刑事裁判が形骸(けいがい)化しかねない。

 脅迫は元少年の弁護人たちが死刑廃止論者であることも関係していそうだが死刑廃止の是非は冷静な環境で考えるべき問題だ。特定の事件をもとに感情的に語るのは避けたい。

【東京新聞・筆洗】2007年7月28日

 「ディーヴァ(歌姫)」とはイタリア語でオペラのプリマドンナのこと。若者たちはアニメの世界で、美しい歌声の女性登場人物にこの名を与える▼目前に迫る参院選の隠れた主役は、都会で職なく居所定まらぬ“ネットカフェ難民”と呼ばれる若者たちだ。かれらの悲しみや寂しさを歌うディーヴァとして、いま静かな人気のシンガーソングライターが、中村中(あたる)さん(22)だ▼彼女のライブコンサートが東京・恵比寿ガーデンホールであると聞き、足を運んだ。開演前の会場に♪窓の外ではリンゴ売り…の井上陽水『氷の世界』のメロディーが流れる。デビュー一年を記念して発売された新曲『リンゴ売り』のお披露目ライブらしい味な演出だ▼母が口ずさむ研ナオコさんの『泣かせて』で歌に目覚めたという中村さんは昭和の歌謡曲が大好きだ。昨秋ヒットした『友達の詩(うた)』は十五歳の時の作品。♪手を繋(つな)ぐくらいでいい…友達くらいが丁度(ちょうど)いい…の痛ましい求愛ぶりが、聴く者の胸を締め付け、ファンを増やした▼そして今回の『リンゴ売り』は、性同一性障害であることを告白した後、あらためて世に問う三年前の作品だ。「正面から愛欲や寂しさに向き合った」愛の歌。♪私を買って下さい…という切羽詰まった叫びが、崖(がけ)っぷちに立つ若者の心を揺さぶる▼この春、山本耕史さん主演が話題の米ロックミュージカル『ヘドウィグ…』公演に、中村さんは参加した。訳詞を担当した北丸雄二さんは、『リンゴ売り』に、「女歌を超えた底なしの奈落に浮かぶディーヴァの孤独」を見た。


【河北新報・社説】

高齢者虐待/まず情報の共有を急ぎたい

 高齢者に対する虐待が、東北でも深刻化してきた。23日には、実母(78)に対する傷害容疑で、山形県最上町の男(45)が逮捕された。日常的に虐待を繰り返していた疑いがある。
 暴力や介護放棄からお年寄りを守り、尊厳を保持しながら健やかな生活を送ることを支援する高齢者虐待防止法が施行されたのは昨年4月。この間、幾つかの課題も浮上してきた。

 法では要介護施設で虐待があった場合について都道府県に公表義務を課しているが、虐待の大部分を占める最上町のような家庭でのケースは一部市町村を除いて明らかにされていない。
 そんな中、山形県が市町村の協力を得て、6月に独自に集計した家庭での虐待件数が注目を集めている。2006年度に通報があった65歳以上を対象にした虐待は、179件。被害者の8割が女性、虐待者の7割近くが息子と息子の配偶者という構図が浮かび上がった。

 179件という数字が多いのか、少ないのか―。初めての統計である上に、他県とも比較のしようがない。
 そもそも、虐待という病理に問題意識を持ち、積極的に対応している自治体ほど件数が上がる傾向にあり、件数の多寡だけで判断することはできない。
 虐待の態様は千差万別といわれる。山形県の集計で見えてくるのも大まかな「傾向」にすぎず、実態や解決策を一般化することはかえって危険だろう。

 だが、高齢者虐待防止法で「市町村相互間の連絡調整、情報の提供、助言」などを期待されている都道府県が、情報収集のキーステーションとなることには何の違和感もない。
 付則では法施行後3年をめどに問題点を検討することになっている。プライバシー保護に最大限留意しつつも、対策の前提となる情報の共有について一層、意を用いるべきだ。

 早い段階から社会的関心を集めてきた児童虐待と比べ、高齢者虐待は知見、対策、人材育成面などで後れを取っている。
 マニュアルを作成している自治体もあるが、都市部と農村部などの地域特性、家族構成、経済状態、関係者の性格などが違い、画一的な答えを見いだすのが困難な場合がほとんどだ。

 分かっているのは民生委員、NPO、介護保険サービス事業者、警察、医療関係者など、あらゆる地域資源を動員して早期発見、解決に当たるしかないということだ。
 神奈川県横須賀市や東京都北区は、虐待をしている介護者を対象にメンタルヘルス相談を実施することで、心理的負荷を軽減する取り組みを続けている。

 虐待は「する―される」という閉じた関係に、第三者が介入することによってしか解決されない。
 山形県は27日、弁護士や学識経験者からなる東北では初の「高齢者虐待防止県民会議」を創設した。個別の具体策については専門部会を設けて、検討していくという。高齢社会に一足早く突入した東北であればこそ、「虐待防止モデル」を全国に先駆けて発信していきたい。
2007年07月28日土曜日

【河北新報・河北春秋】

 「憲政の神様」尾崎行雄が選挙と政治について書いている。「川上の選挙が濁れば、川下の政治も濁るのが当たり前である。腐った水にボウフラがわくように、腐った選挙からは自堕落政治のボウフラがわく」▼カネはむろん義理や縁といったしがらみは思慮の外に。濁りのない目で政党の公約、候補者を見極める。そうして投じられた票が多いほどボウフラを減らせる

 ▼ その一票を行使する有権者の出番だ。参院選はあすが投票日。夏休み真っただ中で出足はどうか。各党、各陣営が気にかけるのは、有権者の参加意欲の表れである投票率の行方。なにせ勝負を左右しかねない数字だ▼今回は統一地方選と重なる12年に一度の「亥(い)年選挙」。選挙疲れから投票率はガクンと落ちるのが常だ。12年前の44.52%(選挙区)は過去最低。だが、このジンクスが破られそうな雲行きだ

 ▼先日の本紙は「関心ありが81.9%」との世論調査を紹介。期日前投票(22日現在)も前回の1.5倍と好調だ。年金、格差という暮らし直結の争点をめぐる関心の高さも反映していよう▼ 今回は参院の勢力地図が大きく塗り替わる可能性が取りざたされる。「いかなる政治を希望するか、自分の意思をはっきり決めてかかることが大切だ」。尾崎が有権者に託すもう一つの願いだ。

2007年07月28日土曜日


【京都新聞・社説】

この月あの年  信頼回復できるか中国製品

「不信」がどっさり(マンガ・岡本治)

 食品から工業産品まで、中国製品の安全性に対する不信が、世界中に広がっている。
 中米のパナマではことし、有毒原料ジエチレングリコールを含んだ中国製せき止め薬を服用した市民約百人が死亡。同じ原料入りの、練り歯磨き粉も見つかっている。
 日本でも、禁止薬剤を使ったウナギや鉛を含んだ土鍋などが売られていた。米国では中国産ペットフードを食べた犬や猫の大量死など、問題が噴出した。
 「危険な中国製品」という評判が、拡大、固定化すれば「世界の工場」となった中国だけでなく世界の生産や貿易に深刻な影響を及ぼしかねない。
 安全を監視する中国の検査態勢や法制に不備があるのは明らかだ。それ以前に利益を最優先する拝金主義の横行が原因と指摘する声もある。
 一年後に北京五輪開催をひかえた中国政府は、悪いイメージを打ち消そうと、批判に対して防戦に必死だ。率先して問題製品の情報を公開し、国際的な安全基準に自らを近づけていくことができるかが、問われている。

国内で早くに問題化
 製品や原材料をめぐる安全上の問題は中国国内では、かなり以前から表面化していた。
 安徽省では、二〇〇四年に偽の粉ミルクが売られ乳児十二人が死亡。広東省でも昨年、有毒な化学製品が使われた注射液で、患者ら十一人が死亡するという出来事があった。
 安全を度外視した業者による粗悪な製品づくりに、国内で有効な対策が取られないまま、経済の急成長とともに輸出品にも問題の多い製品が出回るようになったとみられる。
 規制、監視を強化するには、中国当局の取り組みだけでは不十分だろう。中国製品を輸入する相手国側からの働きかけが重要だ。
 農産物の残留農薬規制へ、日本が昨年五月から採用した「ポジティブリスト制度」は効果が大きかった。一つの成功例として参考になろう。
 規制値が定められていない農薬でも、一定量を超えて残留すれば農産物の販売を原則禁止するこの制度によって、中国農産物の対日輸出は一時、20%近く減少した。
 中国側は反発したが、その後は日本に厳しい検査法の技術援助を求める動きにつながった。
 中国製品を輸入する各国が足並みをそろえて規制を強め、中国側に輸出監視態勢の強化を促す。検査には技術的、経済的支援を惜しまない。そうすることで、互いの信頼関係が生まれ、製品の安全性も確保されるはずだ。

輸出登録制度が必要
 問題噴出で、中国政府はこれまでに対策として、食品の信用度を示すデータの作成、問題企業のブラックリスト整備などを打ち出している。とはいえ、速効は期待できそうにない。
 食品だけに限っても、中国の全メーカーの約35%に当たる十六万社は無許可営業といわれる。従業員が数人の零細企業が70%以上を占め、広い国土で製造現場を特定するのも困難だ。
 製品の安全性と信頼性を高めるには、無許可業者をまず排除したい。そのうえで、安全審査で一定のレベルに達した企業、業者しか輸出資格を認めない輸出登録制度を確立すべきだ。
 場合によっては、米国が要求しているように、中国国内の製造現場や検査の過程に、査察員の派遣を一定期間認める措置も必要だろう。
 中国政府としても、体面にとらわれて反発するのではなく、国際基準に近づく早道と考え協力してはどうか。
 中国製品の安全性問題は、国内にあふれる外国製品のコピーや偽物の横行と同根のようにみえる。
 人権や社会規範の意識が経済成長に追いついていない段階では、人や物の安全は二の次になりやすい。成長が続き中国が先進国に近づくにつれ、国民の安全に対する関心もより高まろう。
 日本は中国製品の問題を、よそ事と見てはいられない。ミートホープ社の偽牛肉コロッケの例もある。中国製品を国産と偽装した商品も後を断たない。厳重な監視と検査態勢を一層、充実させなければならない。

[京都新聞 2007年07月28日掲載]

【京都新聞・凡語】

熱波現象 猛暑対策を

 記録的な猛暑が欧州中南部を襲っている。ルーマニアやギリシャなどでは先日、最高気温が四五度前後にも。ハンガリーでは熱波の影響で一週間に推定五百人が死亡したという▼イタリアでは山火事で観光客らが海岸に殺到、死者まで出た。エアコンの集中使用で停電し信号が消えて、交通まひも起こるなど混乱が続いている。欧州では二〇〇三年にも猛暑が原因で数万人が死亡したといわれるだけに、被害の広がりが心配だ▼熱波現象は、欧州に限らず地球規模の広がりをみせる。温室効果ガスの増大による地球温暖化との因果関係が指摘されている。日本でも近年、高温化は四季を問わず顕著だ▼気象庁が観測した国内最高気温は一九三三(昭和八)年に山形市で記録した四〇・八度だが九〇年代以降、四〇度以上が急増している。京都市内では、九四年八月に観測史上最高の三九・八度を記録している▼それにしても、四五度とは考えるだけでも汗が出る。四〇度前後といわれる風呂の温度よりも熱い。灼熱(しゃくねつ)の砂漠にいるようなものだろうか。頼みのエアコンが動かぬなら、日陰に逃げ込むか、水を浴びるか▼その前に身近なところから猛暑対策を。道や庭先に水をまく「打ち水」はどうだろう。雨水やエアコンから出る水を利用すれば節水にもなる。決して焼け石に水でもあるまい。涼感が漂うだけでも、汗が引く。

[京都新聞 2007年07月28日掲載]


【朝日・社説】2007年07月28日(土曜日)付

党首の理想―先人に託す改革への思い

 政治に志を立てた者が、歴史上のどんな人物に自分をなぞらえ、理想と仰ぐのか。この人物像を見ると、選んだ側の政治家の人柄や人生観も見えてくる。

 安倍首相が尊敬するのが祖父の岸信介氏であることはよく知られている。戦前に満州国を治め、開戦時の商工相だった。戦後はA級戦犯容疑者。のちに釈放され、「反共」をバネに首相まで上りつめた強運の人でもある。1960年に日米安保条約を改定した。

 戦犯容疑で収監中、岸氏は家族へ頻繁に手紙を出した。

 「新しい日本を本当に美しい形で作り上げるためには、新憲法の真の意味がよく理解され正しく実現されねばならない。上っ面の軽薄な美しい情操の欠けた権利義務だけの口頭の理屈だけでは到底真実の日本は建設できない」

 47年、新憲法の施行から間もないころの一節である。占領下でつくられた憲法への複雑な思い、その後の改憲運動への芽がみてとれる。

 安倍首相の「美しい国」の源流は、ここらあたりにあるのだろうか。

 首相が唱える改革の、向かう先はどこなのか。岸氏が求めた「真実の日本」には、民族としての誇りや気概へのこだわりがふんぷんと漂った。その方向性において、首相は祖父に惹(ひ)かれるのか。

 あるいは、反安保の世論のうねりに抗して安保改定を実現した岸氏の姿に、改革と取り組む自分を重ねるのか。のちに「昭和の妖怪」と呼ばれた老獪(ろうかい)さが参考になるのは、首相にはまだ先の話だ。

 民主党の小沢代表が尊敬するのは、同じ岩手県出身の宰相、原敬である。初の本格的な政党内閣を組織し、藩閥政治と戦った。東京駅で暗殺される。

 「もし、この人が暗殺されなかったら、大正デモクラシーは『ひ弱な花』で終わることなく、軍人や官僚の台頭も避けられたかも知れない」。小沢氏は著書でそう書いている。

 官僚主導を打破し、政権交代が可能な政治を実現する。小沢氏が政治生命をかけるという改革の原型を、先人の中に見いだしているのだろう。

 原は同時に、利益誘導型政治の元祖といわれるような顔も持ち、暗殺の一因にもなった。小沢氏が師と仰ぐ田中角栄元首相の土建政治と重なるのは、もちろん偶然のことだ。

 ちなみに、公明党の太田代表が尊敬するのはインド建国の父ガンジー、社民党の福島党首は南ア初の黒人大統領ネルソン・マンデラ氏、国民新党の綿貫代表は母校慶応の創始者福沢諭吉だそうだ。

 それぞれに改革を唱え、さまざまに戦ってきた人々なのは興味深い。共産党の志位委員長は小学校教師だった父親。

 投票日のあす、党首たちが訴えた改革の方向を見極めよう。手段を、実現力を考えよう。この選挙もいずれは「歴史」になる。その評価にたえられる改革に私たちの票を投じたい。

科学五輪―高校生よ、世界に挑もう

 「物理オリンピックで日本の高校生2人が初の金メダル」「生物で銀」「化学では銅」――。

 そんな成績が世界各地から届く。高校生による科学オリンピックである。

 今年の大会は今月半ばから来月にかけて、イラン、ロシア、カナダなどで、科目ごとに開かれている。日本が参加するのは、すでに終わった物理学、生物学、化学に加え、数学と情報の計5科目だ。

 全国から選ばれた23人の高校生が世界に挑んでいる。各国の高校生と競う一方で、友情を深める。こんな経験は大きな財産になるに違いない。

 科学五輪は科目ごとに歴史も異なり、参加国の数も様々だ。最も古い数学は1959年に始まり、昨年は90カ国が参加した。一方、一番遅く90年に始まった生物学は昨年の参加が47カ国だった。

 日本は数学には90年から参加しているが、ほかの科目は、やっとこの数年のことだ。物理学は昨年が初参加だった。

 出される問題は知識だけでなく、各分野の深い理解を求めるものが多い。科目によっては実験もある。たとえば生物学の場合、理論に5時間、実験をしながら解く問題に5時間が当てられる。

 成績の上位1割に金、2割に銀、3割に銅のメダルが贈られる。日本は昨年、23人が参加し、5人が金メダル、7人が銀メダルと善戦した。

 だが、中国はもっとすごい。昨年、参加した23人全員が金メダルを手にした。10万人以上の中から選抜された選手が長期間の特訓を受けたそうだ。成績の上位には、韓国、ロシア、台湾なども並ぶ。

 むろん、単にメダルを取ればいいというものではない。日本で気になるのは、世界の舞台に挑もうという高校生が少なく、層が薄いことだ。その背景には子どもたちの理科離れがあり、科学好きのすそ野が狭いことがあるだろう。

 もっと多くの高校生が科学五輪に挑むことで、科学の魅力に触れるきっかけにできないか。こうした挑戦を支えようという社会の応援もほしい。

 日本でも参加を後押ししようと、今年3月、ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈氏を委員長に、文部科学省の肝いりで日本科学オリンピック推進委員会が発足した。資金援助をするほか、各地の高校などに呼びかけて、多い科目でも1千人を超えるくらいしかいない予選参加者を3倍以上にふやすことなどをめざす。

 すそ野を広げるとともに、科学に秀でた高校生の才能を伸ばす工夫も大切だ。

 大阪大学は物理学五輪の日本代表選手は無試験で入学できる制度をつくった。こうした制度はもっと増やしていい。

 09年には茨城県つくば市で生物学、翌10年には東京で化学の大会が開かれることも決まった。03年の数学五輪が東京で開かれて以来のことになる。

 世界の優秀な若者に日本を知ってもらう願ってもない機会になる。迎え撃つ日本もいまから腕を磨いておきたい。

【朝日・天声人語】2007年07月28日(土曜日)付

 分割した画面を開きながら、それが何かを当てるクイズ番組があった。記憶は定かでないが、タワシかと思えばハリネズミ、はげ山のはずが実はラクダといった意外性の妙。ボタンを押す出演者が間違うたびに、お互い様の「木を見て森を見ず」を笑ったものだ。

 あと1日の参院選で、期日前投票が空前の出足という。クイズ番組の早押しとは違い、初めから森は見えているという票である。今回は、木を見る前に怒りを投じた人もいよう。

 選挙では、お粗末な年金行政、閣僚の事務所費や失言が盛んに論じられた。それを「小事(しょうじ)」とし、移ろう世論を嘆く言説がにぎやかだ。与党が大敗すれば景気は失速、外交が揺らぐという警告さえある。

 それらの当否はさておき、どんな投票行動も生活に影響する。それを承知で国民が怒る時がある。怒るなら小事ではなく、国家の針路や屋台骨を論じよとも言う。正論だが、肝心の政党や政治家が大事(だいじ)を扱うに値するかどうか。これこそ民主主義の超大事だろう。

 公示の日、安倍首相は秋葉原の電気街で「負けるわけにはいかないんです」と絶叫した。日の丸の小旗が一斉に打ち振られる秒の間(ま)に、首相は腕の時計に視線を走らせた。意外な余裕と見たが、同じ街でいま、店頭の大型テレビが与党苦戦の予想を伝えている。

 本日が期日前投票のピークらしい。その票が箱に収まったところで選挙戦は終わり、審判を待つ森が現れる。あすの「期日投票」には満を持したなりの選択があろう。思い切りボタンを押していただきたい。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 治安対策 「警察の問題」と考える浅薄さ

 治安問題は争点とならぬまま終わりそうだ。前々回の総選挙で各党が競い合うように治安対策の強化を訴えた時は、02年に刑法犯の認知件数が戦後最多の約285万件を記録した直後で、検挙率も20%を割り込んでいた。昨年の同件数は約205万件に減少し、検挙率も約31%まで持ち直した。統計上は治安に好転の兆しが見えるから、関心が薄れるのは無理からぬところかもしれない。

 しかし、いわゆる「体感治安」はますます悪化している。銃器犯罪が続発し、幼児虐待は増加を続けている。少なからぬ小中高生がいじめにおののきながら学校生活を続けている現実も、看過できない。町の半鐘や公園の車止めなどを狙う金属盗が全国で相次ぎ、パソコンを使った偽札作りも横行している。高齢者の家庭に侵入する強盗も目立ち出した。特急列車の中で女性に乱暴する言語道断の事件まで発生し、それを周囲の乗客が見て見ぬふりをしたという嘆かわしい事態も明るみに出た。

 社会のモラルや規範意識、さらに人情までも、地に落ちたと実感させられる。ひったくりなどの窃盗犯が減少し、刑法犯の総件数を押し下げたが、景気や失業率が回復したことの影響が大きい。むしろ簡単に犯罪に手を染める人が増えているようにさえ映る。

 一方で、刑法犯の再犯率は上昇を続け、40%に迫る勢いだ。定職に就けず、犯罪を繰り返す層が広がっているわけで、刑務所が貧困な高齢者の収容施設と化していることも深刻な問題だ。所得格差や大量のフリーターの存在などは、将来にわたる治安面での不安材料と言わざるを得ない。

 治安の回復を図るには、各種の教育を通じたモラルの回復、犯罪を誘発する24時間型社会の弊害の見直し、雇用の促進、低所得者対策などの総合的な施策が必要不可欠だ。警察力の強化、充実だけでは解決は望めない。問われているのは、現代社会のあり方や価値観でもあり、政治が総力を挙げて取り組まねばならないテーマだ。

 それにもかかわらず、各党のマニフェストでの取り上げ方はおざなりだ。たとえば自民党は「犯罪のない世界一安全な国づくり」を唱えているが、日本の安全神話は崩壊しつつあるというのに随分楽観的だ。民主党は「治安、防犯の確保と総合的な銃器対策の推進」を掲げ、警察官の増員による警察機能の拡充を図るとしている。公明党は防犯ボランティア団体の支援や暴力団の取り締まりの推進を挙げている。

 いずれも警察としての発想の域を出ていないことが、情けなくもあり、もどかしくもある。治安問題を警察問題ととらえている限り、抜本的な対策は生まれない。自民、民主両党は03年の総選挙で明確な根拠も示さずに「5年間で治安を回復させる」と約束していた。「統計上は約束を守った」と主張しても、有権者が納得するとは思えない。

毎日新聞 2007年7月28日 東京朝刊

社説:農相の政治資金 「訂正した」では済まされない

 不明朗な事務所費が指摘されている赤城徳彦農相に、「政治とカネ」に関する新たな問題がまた浮上した。今度は二つの政治団体の政治資金収支報告書に同一とみられる領収書のコピーを添付し、政治活動費として二重に計上していたというのだ。

 農相の事務所は「事務処理のミス。意図的ではない」と釈明し、報告書を訂正したという。だが、次々と問題が明らかになる中で「この件以外に二重計上はない」という話をどれだけの人が信じるだろう。赤城農相自身も「単純なミスだ」と語ったが、せめて「きちんとすべての政治資金を精査し直す」程度は言わないと不信は募る一方である。

 今回の問題は、「赤城徳彦後援会」が03年分の収支報告書に郵送代計約20万円を計上する一方、農相が代表を務める自民党茨城県第1選挙区支部の報告書にも同額を計上し、同じとみられる郵便料金の領収書コピーが添付されていたというものだ。

 先の国会で焦点となった事務所費など経常経費とは違い、政治資金規正法では5万円以上の政治活動費の支出は領収書の写しを添付するようかねて義務づけている。しかし、今回、明らかになったように同一コピーであることが判明しなければ二重、三重の計上が可能となってしまうのである。

 農相に関しては、「赤城徳彦後援会」が父親の自宅を団体所在地として届け、10年間に約9000万円の経常経費を計上していたほか、別の関連政治団体が東京都内のオフィスビルから退去した後も事務所経費を計上していた問題も明らかになっている。

 政治資金規正法では、収支報告書の虚偽記載が認められた場合、5年以下の禁固、100万円以下の罰金が定められていることを知らないわけではないだろう。ずさんな資金管理にはあきれるほかない。野党が安倍晋三首相に任命責任を追及するのも当然だ。

 赤城農相だけではない。昨年来、自民、民主両党で政治とカネの問題が次々と発覚する中、国民は今、政治家全体に不信の目を向けているのではなかろうか。

 再三指摘している通り、今の政治資金収支報告書は「政治家はウソを記載しない」という性善説を前提に成り立っている。だが、もはやそれは崩れたというべきだろう。虚偽記載も十分あり得るという前提で、政治資金規正法を抜本的に見直すしかない。

 今回の農相の問題は、政治家がいくつもの関連政治団体、つまり複数の財布を持っているがゆえに起きているといっていい。自民党は政治資金を資金管理団体に一本化する内規を検討しているようだが、当然、内規ではなく法律で縛るべき話である。

 政治家本人が信頼されていない以上、現在、政党本部の政党交付金に関する支出にのみ義務付けられている公認会計士や監査法人による外部監査を、政治家個々の団体にも広げていくことも必要だ。参院選の結果にかかわらず、早急に検討する課題である。

毎日新聞 2007年7月28日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:こめやま久右衛門様御長人ニたのミ上ケ申候…

 「こめやま久右衛門様御長人(としより)ニたのミ上ケ申候」。寛文11(1671)年の甲府での長人(後の名主)の入札(いれふだ)、つまり選挙で投じられた票の文面だ。米山久右衛門という人への投票だが、漢字、かたかな、ひらがなのまぜ書きに、札に託したひたむきな思いがにじむ▲紙の大きさや書き方はまちまちで「三右衛門殿」と名だけの票、「久右衛門殿か三右衛門殿」と2人への投票、また6人の輪番を提案した票もある。近世史家の川鍋定男さんは、この入札には個々の意思がみごとに表れていると指摘した(「争点日本の歴史5」新人物往来社)▲江戸時代には入札で村役人を決める地域も多かったが、甲府の例は現在残る入札で最も古いという。同じころ、上州のある村では名主入札を前に神前で一同による次のような誓約が行われた。「親子兄弟を知らず、邪心を捨て、贔屓荷担(ひいきかたん)仕(つかまつ)らず、正直速(すみやか)に名主入札仕るべく……」▲すなわち私情や相談によらぬ正直--公正な投票をすると神に誓っているのである。川鍋さんの論文によれば、入札は「銘々一己の存じ寄り」、つまり個々の存念の通りに投票するのが建前だったという。神に誓うといった形を取りながらも、かなり近代的な考え方のようにも思える▲年金、格差社会、政治とカネ、教育、憲法などが争点となった参院選も、いよいよ明日投票となった。世論調査によれば、史上まれにみる与党への大逆風が吹きすさぶ中での選挙である。ただそれがどうであれ、投票日に吹く風の向きと強さは有権者一人一人がこれから決めることだ▲問われるのが「銘々一己の存じ寄り」であることは、昔も今も変わりはない。ただ江戸時代の入札とちがって投票は規定通り書かないと無効になるのでご注意を。

毎日新聞 2007年7月28日 東京朝刊


【読売・社説】

参院選あす投票 有権者の冷静な視点が重要だ(7月28日付・読売社説)

 参院選はあす29日、投開票される。きょうで最後を迎える17日間の舌戦は、残念ながら、物足りなさが残った。

 今回の参院選は、衆院選のような「政権選択選挙」ではないが、激動期にある日本の将来を左右する重要な選挙だ。ところが、肝心の政策論争は一向に深まらず、閣僚の失言や疑惑ばかりに注目が集まった。

 原爆投下をめぐる久間章生・前防衛相の「しようがない」発言や、赤城農相の不明朗な事務所費問題などだ。

 無論、これらは見過ごせない問題だ。しかし、選挙で政党が本来競うべきは、政策の実効性や国の将来像である。

 参院選の最大の論点は、国民の生活に深くかかわる年金だった。

 当面の年金記録漏れ対策に端を発した後、長期的に安心できる年金制度をどう構築するかという、より本質的な論議に焦点が移ったかに見えた。

 与党は、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げて現行制度を維持する、と訴える。民主党は、基礎年金の全額を税率5%の現行消費税で賄う、としている。

 与党が民主党案の財源と給付の関係の不明確さを追及すれば、野党は「現行制度は崩壊している」と切り返す。批判合戦に終始した結果、より実質的な論戦は中途半端になってしまった。

 今回の選挙で論じるべき政策課題は、年金だけではなかったはずだ。

 国と地方の長期債務残高が計800兆円に迫る今、財政再建は待ったなしだ。社会保障費の増加に対応するための消費税率引き上げの問題を含め、税財政改革の具体策の検討を急ぐ必要がある。

 日本にとって最も深刻な脅威である北朝鮮の核は依然、廃棄に向けた道筋が見えない。国民投票法の成立を踏まえ、新たな「国のかたち」を定める憲法改正の各論の議論も着実に深めたい。

 だが、これら重要課題の論戦は、国民の関心の高い年金問題などの陰に隠れて、最後まで盛り上がらなかった。

 厳しい逆風の下、与党が参院で過半数を確保できるかどうか、が焦点となっている。野党は、与党が過半数を割れば、「政権交代を実現するための第一歩となる」と主張する。これに対し、与党は、「政治が混乱し、『失われた10年』が再来する」と訴えている。

 選挙後にどんな政治状況を望むのか。投票にあたって考慮すべき一つのポイントだろう。

 選挙に付き物の、人気取りの政策や訴えに惑わされてはなるまい。有権者には冷静かつ複眼的な視点が求められる。
(2007年7月28日1時47分  読売新聞)

ビクター再建 迷走にケリをつけた市場の圧力(7月28日付・読売社説)

 松下電器産業の子会社、日本ビクターが、中堅AV(音響・映像)メーカーのケンウッドと経営統合することで合意した。迷走した再建策を決着させたのは、市場の圧力だ。

 ビクターは、8月にケンウッドと資本提携し、1年後に共同持ち株会社の下で統合する。ビクター株の5割強を持つ松下は、株式を売却する見通しだ。

 ビクターはテレビの開発で業界をリードし、家庭用ビデオ「VHS」をヒットさせた。しかし、デジタル化の流れに乗り遅れた。最近はヒット商品がなく、業績は低迷していた。

 過去の実績や技術力、ブランド力があっても、戦略を誤ると、経営の土台は揺らぐ。ビクターの低迷は、音質、画質の特徴を出しにくいデジタル技術の厳しさを象徴する。

 松下は1954年、創業者の松下幸之助氏の主導でビクターを傘下に収めた。再建を果たせなかった以上、そうしたしがらみを断ち切り、ビクターを手放すことを決断せざるを得なかった。

 曲折を続けたビクター再建に対し、市場の評価は厳しかった。

 松下がビクター株の売却方針を明らかにしたのは昨年末だった。ケンウッドなどが売却先に浮上したが、ビクターが反発し、実現しなかった。年明けには入札を実施して、米投資ファンドに優先交渉権を与えたが、その交渉も決裂した。今回、ケンウッドとの再交渉で、ようやく合意にこぎつけた。

 昨年末に600円程度だったビクターの株価は、最近は300円台に急落している。こうした市場の圧力に加え、ブランド力の毀損(きそん)、社内の士気低下など、これ以上の迷走はもう許されない状況が、経営統合を促した形だ。

 ビクターとケンウッド合わせても、売上高は大手電機の10分の1に過ぎず、経営体力に差がある。両社は当面、成長分野のカーオーディオなどのカーエレクトロニクス事業に力を入れるという。

 経営統合が成功するかどうかは、技術の相乗効果を発揮したヒット商品の開発にかかっている。

 ビクターが投資ファンドに買収された場合には、技術流出も懸念された。ビクターの技術が切り売りされ、韓国や中国などの新興メーカーに渡ると、日本追い上げが加速する恐れもあった。

 家電など電機業界は企業数が多く、業界再編が遅れた。業績好調組と不振組の明暗も分かれている。

 名門ビクターが松下傘下から離脱する動きは、業界の再編・淘汰(とうた)を加速させる呼び水になるだろう。
(2007年7月28日1時47分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月28日付 編集手帳

 〈昔むかし〉竹取物語でかぐや姫が月に帰る場面に、「翁(おきな)、今年五十ばかり…」とある。姫は地上で20年を過ごしたという。光る竹に姫を見つけたとき、「たけとりの翁」は30歳ぐらいだったのかしら◆〈平安時代〉源氏物語に、「今年ぞ、(光源氏が)四十になり給(たま)ひければ、御賀の事…」とある。「賀の祝い」とは長寿の祝いを指す。40歳から10年ごとに祝い、四十の賀を「初老」といった◆〈江戸時代〉岡本綺堂(きどう)が描く捕物帳の主人公、「三河町の半七」は46歳で十手を返上し、隠居している。作者は江戸の世を知る人のなかで育った。50手前のご隠居がいたのだろう。親分がちょっとうらやましい◆〈昭和〉石川達三が昭和24年に発表した小説「風にそよぐ葦(あし)」に、60歳間近の登場人物が階段で難儀する場面があった。「老人にとってビルディングは難所だった」と。いま書けば叱(しか)られよう◆〈きのう〉朝刊に日本人の平均寿命が載っていた。2006年は男性が79・00歳、女性が85・81歳、男女ともに過去最高を更新した。女性は22年連続して長寿の世界一、男性はアイスランドに次いで2位という◆〈あす〉参院選の投票日である。年金など社会保障の青写真をどう描くかも争点になった。長い歳月をかけて延ばしてきた寿命である。延びて良かったと、心から思える世に。
(2007年7月28日1時47分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】中国汚染食品 抜本的な対策が不可欠だ

 中国政府が、食品の安全に問題がある自国企業に輸出禁止を言い渡し、その会社名と輸出相手国、扱っている食品を当局のホームページで公表し始めた。当然の措置だが、最初の一歩に過ぎない。

 発がん性が指摘される抗菌剤が検出された日本向けのウナギの蒲(かば)焼きもその中に入っている。30日の「土用の丑」の日を前に、中国産ウナギが敬遠され、業界に打撃が広がっている。

 ホームページによると、日本向けでは約20社が、煮ホタテのくし焼き、カニの冷凍食などで輸出禁止となった。二酸化硫黄の残留物、大腸菌などが検出されたためだ。

 厚労省によれば、いずれも日本の検疫で違反が見つかり、廃棄処分などの措置がとられたものという。

 有害物質入りの中国産食品、医薬品による被害は世界に及んでいる。米国ではペットフードを食べた犬や猫が死に魚介類からは有害物質が検出された。中国産原材料は使っていないという意味の「チャイナフリー」と銘打った商品も出始めた。パナマではせき止め薬を服用した患者が亡くなっている。北朝鮮でさえ「中国の薬は偽物が多い」と不満が出ているそうだ。

 日本では歯磨き粉から毒物が検出され、煮物に使う土鍋には鉛が含まれていた。5年前には冷凍ホウレンソウの残留農薬が大きな問題になった。人命にかかわる被害である。日本の食肉偽装事件とは別次元の話だ。

 日本政府は20日、関係省庁と民間団体による緊急会議を首相官邸で開き、食品の安全に関する協議の開催を中国側に申し入れる方針を打ち出した。米国や欧州連合(EU)なども同様の動きに出ている。

 中国政府は関係者、企業の処罰や安全宣伝などで防戦に努めているが、それで済む問題ではない。なぜこうした問題が起きるのか、中国共産党政権下での人々の価値観や生命観、企業倫理の問題にまで踏みこんだ分析と抜本的な対策に乗り出すべきである。

 日本は防衛策として、昨年5月から輸入野菜の残留農薬を厳しく規制する「ポジティブリスト」制度を導入している。今後は、これに加え、同じ国の同じ種類の食品を一括して輸入禁止にできる改正食品衛生法の初適用の検討も必要となろう。

(2007/07/28 05:02)

【主張】関空第2滑走路 特性生かした活用を図れ

 大阪湾を埋め立てた関西国際空港のさらに沖合に建設していた第2滑走路が完成、来月2日にオープンする。

 新滑走路は長さ4000メートルで、3500メートルの現滑走路と合わせ、大型機の離着陸が可能な2本の滑走路を持つ日本初の「世界標準」型国際空港となる。片方がメンテナンスで閉鎖されても離着陸できる「完全24時間」型の空港ともなる。関西ばかりでなく日本経済の活性化に寄与するものと期待されている。

 ただその前途は、必ずしも明るいばかりではない。

 まず国内旅客では、同じ関西にある大阪国際(伊丹)空港、神戸空港との競合である。伊丹については、国土交通省も大型機を排除するなどして関空を優先する政策をとっている。それでもアクセスの良さなどから乗客の「人気」度は高い。昨年開港した神戸も加え、これからも厳しい「競争」を強いられることになる。

 国際旅客では、中国をはじめアジア路線は好調で便数も増えつつある。反対に北米路線は、東京に本社機能を移す関西企業が増えたことなどからビジネス客が減り、便数も少なくなりつつある。これでは「24時間空港」も宝の持ちぐされになりかねない。

 活路を見いだすには、関空の特性を生かした使用を図るべきだろう。

 第1はアジア路線のさらなる拡大である。関西は地理的にも歴史的にもアジア諸国とのつながりが強い。現に、経済成長が著しい中国をはじめアジアとの関係を深めようとしている企業は関東や中部に比べても多いはずだ。このさい、各国に関空の利便性をPRしていくべきである。

 もうひとつは、すでに関西国際空港会社が打ち出している国際貨物の重視である。

 「ライバル」である成田空港や中部空港の滑走路が長短2本ないし1本で、貨物の受け入れ態勢が十分でなく、関空への需要が増えるとの見込みがあるためだ。国際空港が生き抜くうえでの指針となると思われる。今後、新滑走路のある2期島に建設される貨物ターミナルの整備を急がなければならないだろう。

 国土交通省としてもこの機会に、国内の各空港による「機能分担」に指導力を発揮すべきだ。

(2007/07/28 05:01)

【産経抄】

 たしか参院選の公示前だったと思う。大阪のラジオ局の報道番組で「どの党に投票するか、もう決めてますか」と、街頭でマイクを向けられた少し高齢の女性の答えがおもしろかった。「うん決めてるよ。いつも後で後悔するんやけどな」。

 ▼推察するに、これまでの選挙では「風」の吹くままに投票してきた。こんどもそうするだろう。しかしその都度、後で「間違えたか」と悔やんできたということのようだ。自分自身を含めた日本人の投票行動を、みごとにつかんでいるようで、感心してしまった。

 ▼たとえば平成元年7月の参院選は消費税導入への反発に加えリクルート事件、宇野宗佑首相の女性問題と、自民党に三重苦の逆風が吹いた。結果はもちろん惨敗で、参院の与野党が逆転する。議席を倍増させた社会党の土井たか子委員長は「山が動いた」と胸をはったものだ。

 ▼ところがそのために政治が混迷を始めると、たちまち有権者は「後悔」したらしい。わずか7カ月後の衆院選では自民党が300近い議席を得て大勝したのだ。逆のケースもある。今回の与党苦戦は、自民党が圧勝した一昨年の衆院選の反動という見方もあるからだ。

 ▼むろん有権者の気まぐればかりに非があるのではない。ろくすっぽ政策論争もせずに「風」まかせ、それも「揚げ足取り」に近いネガティブキャンペーンに終始している政党や政治家が、悔いの残る民意を生み出してきたといえる。まさに「何たる選挙戦」である。

 ▼伝えられる選挙情勢だと、自民党は平成元年につぐ惨敗のようだ。そうなるとまた、政治家の皆さんの大好きな「政局」である。多くの政策課題や外交がそっちのけになるのは請け合いだ。今度も「後悔先に立たず」となるのだろうか。

(2007/07/28 05:01)


【日経・社説】

社説1 温暖化防止に経済的手法の早期導入を(7/28)

 京都議定書で定められた温暖化ガス排出削減の目標を、この程度の対策で達成できると思っているのだろうか。環境、経済産業両省は排出削減の目標達成計画の見直しに向け合同審議会に中間報告案を示したが、抜本的な政策転換や新たな手段の導入は一切なかった。日本政府の真剣さが疑われるような素案である。

 素案は排出削減が遅れているオフィスなど業務部門や家庭部門の対策強化を柱にし、公的施設の排出削減のほか、住宅や建築物の省エネ規制の拡大などを織り込んでいる。だが、排出量が最も多い産業関連部門は日本経団連の「自主行動計画」の参加業種拡大の要請にとどめている。排出削減に経済的価値を持たせ、市場原理によって削減を推し進める代表的な手法の排出権取引は2013年以降に導入を先送りし、環境税導入も議論を避けている。

 議論のたたき台とはいえ、こんな腰の引けた対策では目標達成はおぼつかない。安倍晋三首相はドイツで開かれた主要国首脳会議で50年に世界の排出量半減を提案し、首脳宣言に盛り込んだ。京都議定書の目標をまず達成してこそ、半減への道筋もつけられる。首相が温暖化問題で主導権を発揮しようと動いても、官僚が小手先の対応に終始しているようでは、日本の提案が説得力を持ち得ない。

 日本の温暖化ガスの排出量は05年に1990年比で約8%増加している。議定書で定められた6%削減という目標達成には相当の覚悟が要る。しかも新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が被害を受け、7基の原発が1年以上、運転再開できない見通しになった。原発の稼働率を高めればある程度の削減が見込めるという計算も通用しなくなった。状況は極めて厳しい。

 排出削減に向けたこれまでの対策をすべて抜本的に見直し、もはや聖域なしという考え方で練り直す必要がある。対策が必要なのはオフィスや家庭だけではない。産業部門も経団連の自主行動計画にまかせたままでなく、排出権取引を早急に導入するなど、政策を転換すべきだ。産業部門の排出削減幅も、自主行動計画が目標としている0.5%からさらに踏み込む必要があるだろう。

 地球温暖化防止は、排出半減を達成するまで息の長い取り組みが必要になる。低炭素社会への移行に向け可能な限りの対策をできるだけ早く実施し、定着させる方が望ましい。両省の合同審議会が8月にまとめる中間報告には、日本の決意の見える提言を盛り込むよう求めたい。

社説2 連鎖株安が発する警告は何か(7/28)

 米国を起点に株安の連鎖が再び起きた。米国で信用リスクへの懸念が台頭したことが背景にある。ニューヨーク市場のダウ工業株30種平均は先週、1万 4000ドル台の最高値をつけた後、調整局面に入り、26日には今年2番目の下げを演じた。27日の東京市場の株価も大幅安だった。2月末には中国発で世界の株価の連鎖安が起きたが、今回は米国が震源地だけに、投資資金の流れの変化は注意深く見守る必要がある。

 米国で「サブプライム」と呼ばれる信用度の低い個人向け住宅ローンの焦げ付きが増え、同ローンを組み込んだ金融商品が大幅に下落した結果、信用リスクを警戒する空気が市場に広がった。投資家はリスクを伴う資金の供給に慎重になり、米投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントがクライスラーを買収する資金の調達を延期せざるを得なくなるなどの事態も起きている。

 ただし、バブル崩壊後の日本のような信用収縮をもたらすとの見方は少ない。最近の金融市場の動きは、「コストとリスクを意識せず、緩みすぎていた金融が正常化する過程」(米有力ストラテジストのロバート・ダガー氏)といえる。低金利の円を借りて相対的に金利の高い外国の通貨や資産などに投資する「円キャリー取引」の解消とみられる動きも、株安と並行して進んでいる。

 国際通貨基金(IMF)は世界経済予測を見直し、今年の米国の経済成長率を小幅に下方修正する一方、世界全体では5%台に上方修正した。実体経済は総じて好調だ。忘れていたリスクが織り込まれれば、市場は落ち着きを取り戻すであろう。

 もちろん、円キャリー取引の巻き戻しに伴う円高がどこまで進むかなど、注意すべき点はある。8月には日銀の追加利上げも予想されるが、米景気の先行きや海外市場の動向に目を凝らす必要がある。

 米国株が調整局面に入る前から、日本の株式相場は相対的にもたついていた。参院選後の政局が混迷し、日本の経済効率化や政府のスリム化に向けた構造改革が停滞するとの懸念があるとすれば、株安が発するシグナルは軽視できない。株式市場は参院選後も改革路線を後退させない決意を求めているように見える。

【日経・春秋】春秋(7/28)

 着陸する飛行機の窓から、たまたま打ち上げ花火を眺めたことがある。投網のように光の輪が一瞬で開く。真上から見下ろしても地上と同じ形なのが面白い。花火の真の姿は2次元の円ではなく、3次元の球だ。

▼今宵(こよい)、江戸中期の「川開き」に始まる東京隅田川の大会で、2万2000本もの花が咲く。圧巻は最後の5分間だそうだ。2つの会場で3000発ずつ上げるというから、1秒間に10発。超高速の爆音と閃光(せんこう)はさぞ盛大だろう。間髪いれずに連射するのが現代流なのか。風情まで吹き飛んでしまわないか、ふと心配になる。

▼球状に広がる花火は意外に歴史が浅い。第1号は明治7年に、花火師の十代目鍵屋弥兵衛が完成した。江戸の花火の材料は黒色火薬と鉄粉くらいのものだった。さほど明るくはない橙(だいだい)色の線が一筋。シュッという音とともに20メートルほど昇る。ゆったりとした時間と川の流れに、人々の呼吸が重なる様が目に浮かぶ。

▼かつて玉屋と鍵屋が競い合った隅田川の花火大会は、都心の密集地という制約がある。直径30センチの一尺玉など、ズドンと重く腹に響く大輪の作品は実は見られない。その分、玉数と速度の勝負となる。参院選で数々の政策案を打ち上げる自民党と民主党に例えたら、花火師の方々に失礼だろうか。〈遠花火開いて消えし元の闇〉寺田寅彦


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