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2007年7月 8日 (日)

7月8日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月8日朝刊)

[厚労省の「監修料」]これで説明がつくのか

 これでは「政治とカネ」ならぬ、業者と厚生労働省が国民健康保険の特別調整交付金を算定するソフトで結び付いた癒着の構図といっていいのではないか。

 ソフト開発四業者が「監修料」名目で支払っていたのは一九九九年度から二〇〇三年度までの五年間で七千六百五十六万円に上るという。

 それを係長級の厚労省職員ら延べ六十一人が受け取ったというのだから、呆れてしまう。二〇〇〇年度は二千二百五十万円が支払われ、国民健康保険課の係長級七人を含む十七人が受領。一人当たりの額は百三十二万円だった。

 その後の取材で「(監修料の受け取りは)もっと以前から慣習的にあった」との証言も出てきている。であれば、四業者が厚労省に支払った額はもっと増える可能性も否めまい。

 特別調整交付金をきちんと算定できず、多くの自治体に過少交付するようなデータを出した欠陥ソフトに対し、自治体側は更新代金を出して業者に手直しを求めてきた。

 だが実際には、厳しい財政の中から拠出した公金が厚労省職員に還流されていたことになる。その後に全額返納されたとはいえ、自治体にとっては納得し難い思いが残るはずだ。

 厚労省はこの事実をどう考えているのだろうか。

 〇四年に行われた同省の調査報告書には、監修料は(1)職員の深夜残業時の夜食・タクシー代(2)職員同士の懇親会費―などに充てられたとある。

 だが、その調査も五年間に限ってのもので、悪しき慣習は一九九九年以前からあったことが分かっている。

 公表された項目では、七千万円を超える監修料の使途として説明がつくとは思えないのであり、国民の疑問に答えたとはいえない。

 もし間違いないのなら、四業者とのかかわりや、項目ごとの詳細をきちんと提示してもよかったはずだ。

 さらに言えば、監修料がすべて個人所得として確定申告され、それについても報告書が「勤務時間外に行われており、(受領は)正当なもの」とし、「(所得申告も)適正になされている」としたのも国民感情として腑に落ちないものがある。

 「(監修料を)私的に使ったケースもあるだろうが、正直に言う人は少ないだろうし、実態は調べようがない」という内部の声もあるからだ。

 それにしても厚労省に関連した問題はあまりにも多すぎる。信頼を回復するためにも、まず四業者との癒着の構図を徹底的に解明し膿を出すことから始めてもいいのではないか。

[07年版防衛白書]文民統制の確保忘れるな

 防衛庁から防衛省に昇格して初めてとなる二〇〇七年版防衛白書は、中国の急速な軍事力近代化に警戒感を示すとともに、核実験、弾道ミサイル開発を続ける北朝鮮に強い懸念を表明したことが、特徴の一つだ。

 中国は国防費の内訳の詳細を明らかにせず、対衛星兵器の実験に関する説明も十分なされていないと指摘し、軍事力の透明性を求めている。台湾との軍事バランスでは「台湾問題への対応などを超えるものではないか」とし、これまでの表現を変え、警鐘を鳴らしている。

 冷戦終結後、ソ連が崩壊した現在、国際的なテロ組織の台頭、大量破壊兵器の拡散という時代に入った。

 そのような中の今年一月、防衛省が誕生した。白書は「省昇格」に丸々一章を充て、全体の一割近い約四十ページを割いた。

 防衛庁という内閣府の外局から、国の防衛に関する重要案件や法案に対する閣議開催、財務相への予算要求を直接できるなど、政策官庁に格上げとなった。

 これに伴い、自衛隊の海外派遣が本来任務となった。

 「テロとの戦い」の一環として、海上自衛隊はすでに〇一年からインド洋で米艦船などに対する給油活動をしており、航空自衛隊は、イラクで国連や多国籍軍の人員、物資の輸送を続けている。

 いずれも米国の要請に応えた結果であり、日米同盟の維持、強化を目的としたものだ。

 米国に向けて発射された弾道ミサイルを、日本のミサイル防衛(MD)で迎撃することなどを可能とするため、安倍政権は集団的自衛権行使の容認に踏みだす構えを示している。

 「専守防衛」を基本としてきた自衛隊の存在感が増していく状況にある中、シビリアンコントロール(文民統制)の確保は、重要な課題だ。それを忘れてはならない。同時に、米国一辺倒ではなく、周辺諸国との信頼醸成を促進する努力が必要だ。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月8日 朝刊 1面)

 選挙の季節である。取材で参謀から情勢分析を聞き、直接、候補者に手応えを質問したことはある。一日中候補者の後を追う、「密着」の経験もある。

 しかし、候補者とその妻(あるいは夫)の私的な会話やつぶやき、なげきとなると話は別だ。想田和弘監督が手掛けた映画「選挙」はそんな選挙運動の舞台裏を余すところなく映し出すドキュメンタリーだ。

 主人公は川崎市宮前区の市議補選に出馬した山内和彦さん。自民党の公募で選ばれた落下傘候補だった。政治の素人。のほほんとした性格のように見えた。政策も驚くほど曖昧なまま選挙に打って出た。

 ベテラン運動員から怒鳴られ、自ら運転する軽乗用車内で仮眠をとる。運動に引っ張り出された妻はキレる。名前の連呼が重要だと教えられひたすら実践する。市議や県議、国会議員の後援会がフル稼働。

 指示されるまま、たすきに背広姿で神輿をかつぐ。滑稽でもあり哀れでもある。「やってもやらなくても怒られる」とついついボヤキが口をつく。「電柱にもお辞儀しなさい」と言われ、笑顔でカーネルサンダース人形に握手を求める。

 組織力で当選。スタッフは議席の獲得を喜んだが、山内さんに対するそれではなかったように見えた。何のために、だれのために、何を思っての選挙なのか。候補者は必ずしも山内さんでなくてもよかったのかも。改めて日本型選挙活動と政治のあり方を考えさせられた。(崎浜秀也)


【琉球新報・社説】

防衛白書 いたずらに脅威あおるな

 抑止重視の「存在する自衛隊」から、対処重視の「より機能する自衛隊」へ―。6日の閣議で報告、了承された防衛省になって初の2007年版防衛白書の特徴を一言で表現すると、こうなろうか。つまり、本来の自衛隊の役割であった専守防衛から一歩進めて、さらに海外派遣についても能動的に推進していく、ということだろう。白書は「国際的な安全保障環境のための国際社会の取り組みに主体的、積極的に参加することが重要な課題」と強調する。
 しかし、そこにはなし崩し的なイラク派兵を中心とした、過去の海外派遣への総括・反省は見られない。いたずらに周辺国の脅威をあおって、軍事力の強化を強調するだけでは、国民の共感は得られまい。それだけでなく周辺のアジアの国々を刺激するだけだろう。
 一方、沖縄に関しては、普天間飛行場代替施設の建設など、ほぼ06年版を踏襲する形となった。名護市や県が求めているV字形滑走路の沖合修正にも触れておらず、到底、県民の納得できる内容ではない。「負担軽減」の道筋は見えず、むしろ、一連の米軍再編については説明の段階ではなく実施の段階に入っている、との印象だ。辺野古での環境現況調査(事前調査)に自衛艦を出動させた事実を見ても分かるが、基地建設をしゃにむに進めていく政府の姿勢を裏付けているといえよう。
 冷戦時代の自衛隊は日米安保体制の下で、仮想敵国ソ連の脅威に対する抑止力として存在意義があった。冷戦が終結し、ソ連が崩壊した今、世界は国際的なテロ組織の台頭、北朝鮮による核実験と弾道ミサイル開発に象徴される大量破壊兵器の拡散という時代に突入している。このような時代背景に基づき、白書は国際平和維持活動(PKO)やイラク復興支援特別措置法などによる自衛隊の海外派遣が「付随的活動」から「本来任務」に格上げされた意義を強調している。紛争地における“主役”の地位を狙っているのだろうか。
 省昇格をめぐっては当初、市民団体や識者などから「防衛庁のままで何がいけないのか」「シビリアンコントロール(文民統制)の堅持を」などとする批判や注文が噴出していた。これに、白書は「(統制が)弱まることはない」「諸外国は好意的」など、具体性がなく、批判にまともに応えたとは言い難い。
 周辺諸国の脅威をあおり、逆に中国は「防衛省誕生」に警戒感を持つ。これでは、互いに不信感を増幅させるだけで、双方にとって決して好ましい結果はもたらさない。軍事力の強化だけでなく、お互いが防衛政策の透明性を高めていく中で、例えば防衛交流などさまざまな取り組みが求められる。

(7/8 9:53)

年金給付の判断 一人でも多くの人に支給を

 払ったはずの年金記録がなく、領収書なども保管していない人をどこまで救済するか。「消えた年金」の回復の可否を判断するため、総務省に設置された「年金記録確認中央第三者委員会」(梶谷剛委員長)はこのほど、年金加入者の申し立て内容が「明らかに不合理でなく、確からしい」ことを給付の判断基準とする基本方針案を了承した。
 第三者委は、明日9日に開く会合以降で基本方針を決定。これを受けて総務省は来週中にも、全国50カ所に地方第三者委を設置し、審査を始める計画だ。実際の受け付けは7月下旬ごろになりそうだ。
 昨年8月以降、「記録がない」として社会保険庁に却下されたのは約2万1千件にも上る。第三者委では、このうちさらに再調査を求めた284件について検討し、判断基準を模索してきた。
 方針案は「年金記録確認問題は社会保険庁などの管理システムに問題がある」と第三者委の基本的な考え方を明記している。当然の認識だろう。また「国民の立場に立って対応し、国民の年金制度に対する信頼を回復するよう努める」ともいう。これからの対応に注目したい。
 審査では家計簿や預金通帳、納税証明書なども、間接的な証拠として活用する。梶谷委員長は「関連資料の収集に努め、筋道が通っているか、総合的に判断したい」と話す。間接証拠の幅を広くするのは賢明だ。なるべく多くの証拠を採用し、給付の範囲を広くする。これが「国民の立場に立つ」ということだろう。
 そもそも年金問題は国民の側に責任はない。あくまでも社保庁の年金管理のずさんさが原因だ。また、長年にわたって、問題を把握していながら半ば放置してきた政治の責任も重大だ。挙証責任は国の側にあり、国民にはないということをあらためて確認したい。その観点からいえば、今回の第三者委の判断は極めて妥当だといえる。さらに、できるだけ基準を緩やかに解釈し、しゃくし定規にせず、申立者の一人でも多くの人が年金を受けられるよう、強く要望したい。

(7/8 9:53)

【琉球新報・金口木舌】

 先週発表された国民生活白書に「地域のつながりが10年前に比べると弱くなった」と考える人が31%に達する、というデータが載っていた。地域のつながりが薄れたことで治安が悪化したとみる人は49%も
▼神野直彦東大大学院教授が講演で紹介していた話だが、「ほとんどの人が他人を信頼している」と回答した学生はフィンランドで74%なのに対し、日本は29%
▼神野氏は「こういう人間像を前提にすると取引相手を信用してないからチェックの回数が膨大になり、市場を動かすのに恐ろしいコストが掛かる」と指摘していた。実際、世界経済フォーラムの2006年国際競争力ランキングでフィンランドは2位、日本は7位だ
▼「ソーシャル・キャピタル」という言葉が最近注目されている。「社会関係資本」と訳されるが、要は人々の信頼感、つながりは目に見えない大きな資産だということ
▼特定の有力者が意思決定する社会では社会関係資本は破壊される。何のコネもない住民が意思決定に参画できる仕組みが必要だ
▼さて、基地移設の決定に全く参画できず、教科書の記述に問題があっても自分の意思で左右できない場合、政府との間に「社会関係資本」は存在するだろうか。

(7/8 9:50)


【東京新聞・社説】

週のはじめに考える 育てたい“ものづくり”

2007年7月8日

 日本の「ものづくり」産業の復活が目立ちます。小ぎれいなサービス産業が若者には人気のようですが、経済を支える製造業にも目を向けたいと思います。

 「本当に羽のように軽い翼なんですか?」。名古屋にある三菱重工業大江工場に聞いてみました。

 先日、同工場で作られた米ボーイング社の次世代旅客機787機用の主翼が、中部国際空港から組立工場のある米ワシントン州まで、専用機で空路、初出荷されました。

 この主翼は髪の毛のような細さの炭素繊維を張り固めて作られ、軽さが売り物です。炭素繊維は、重さが鉄の四分の一、強さは十倍という新素材です。
新素材で軽さを実現

 片側の翼だけで長さ三十メートルという巨大さです。それを両翼分二枚、同時に飛行機で運んだというので、よほど軽いのかと思って聞いてみたのです。

 でも、技術競争にしのぎを削る航空機の部品の重さは、厳重な企業秘密だからと、教えてはもらえませんでした。

 重さは秘密ということでしたが、787機は炭素繊維を翼や機体の主要部分に多用した結果、従来機に比べて20%もの燃費の節約に成功したそうです。

 折からの原油価格高騰で、787機は人気を集め、今後二十年間に千機以上の生産が見込まれています。炭素繊維は欧州エアバス社の次世代機にも採用されました。炭素繊維はいま品不足状態で、日本の各合繊メーカーが増産に追われています。

 炭素繊維を最初に利用したのは十九世紀末、発明王エジソンです。京都産の竹を蒸し焼きにした炭素繊維を電球の発光体(フィラメント)に利用しました。

 炭素繊維は早くから航空機や軍事用として欧米で研究が進められました。しかし、大量生産が難しく応用範囲は限られたままでした。

 これに対し日本メーカーは「高価でも高性能ならばマニアを中心に売れる」として、釣りざおやテニスラケットなどの民生品に目をつけ、大量生産に磨きをかけました。

 その結果、日本は世界の炭素繊維生産の約七割を占め、787機には東レ(本社・東京)が独占供給することになりました。
伝統の窯業も復活へ

 日本伝統の焼き物技術の流れをくむ窯業もファインセラミックスとして目覚ましい復活を遂げています。

 ハイブリッドカーと並ぶ環境対策車として、欧州中心に新型ディーゼル車が人気を集めています。その排ガス処理に使われるセラミックスも日本メーカーが強みを発揮して市場を大きくリードしています。

 鉄鋼・造船といった重厚長大産業も高度成長期を思わせる勢いで息を吹き返しています。

 一時は空洞化の危機が叫ばれた日本のものづくりですが、苦しいリストラと辛抱強い技術開発の成果がようやく報われつつあるようです。

 しかし、このまま順調に日本の製造業が成長を続けてゆけるか、心配も少なくありません。

 一つは、日本の若者の理工系離れです。製造業を目指す学生が減り続けるようでは、日本のものづくりの将来は、明るいとはいえません。

 原材料から完成品までの加工・製造をする現場は、どうしても地味になりがちです。消費社会では、若者が生産現場を敬遠し、華やかな職場を好むのは、やむを得ないのかもしれません。

 しかし、ものづくりの楽しさや、やりがいを知れば、また考えも変わるのではないでしょうか。それには子供時代から、実際に手を使って物を削ったり、組み立てたりすることを体験し、楽しさを知ってもらうことがよいかもしれません。

 子供たちに人気があるのはロボットづくりです。自作ロボットによるフットボールの高校全国大会など、各地で盛んに技術を競うコンテストが開かれています。

 中でも民間のソフト会社が主催する全日本ロボット相撲大会は毎年、全国大会を東京の国技館で開き、高校生が社会人をしのぐ活躍をみせています。

 地域の企業で働くベテランを小中学校に招き、プロの技を披露してもらったり、製造現場で働く楽しさや苦労話を聞くことも、役立つのではないでしょうか。

 女性の社会進出が進みつつある中で、製造業に従事する女性が減っているのも気掛かりです。

 全就業者に占める女性比率は上昇しているのに製造業ではピーク時の約40%から最近は10ポイント近くも下がっています。
育児でも在宅勤務に

 少子化が進む日本では、女性が働きやすい職場環境づくりを急がねばなりません。そうした中、松下電工(大阪府門真市)のように、育児や介護に従事する女性を在宅で勤務したとみなす制度を設けるメーカーも現れてきました。

 多くの知恵を集めて、若者や女性が、ものづくりに生きがいを感じられる環境を整えたいものです。

【東京新聞・筆洗】2007年7月8日

 「本の表紙だけ替えてもだめだ」。十八年ほど前、伊東正義元外相はこう言って、首相の座に就くことを固辞した。リクルート事件に絡み退陣した竹下登元首相の後継者選びでのことだ。政治とカネの問題で、自民党は体質まで変えることができるのか。伊東さんは自問し、難しいと思ったに違いない▼伊東さんが存命であれば、いまだに表紙だけ替えているのかと嘆くかもしれない。赤城徳彦農相の政治団体が実家を事務所の所在地として届け、多額の経常経費を計上していたことが分かった。両親らの話では、実家が事務所として使われていた実体はなく、家賃も支払われていないという▼佐田玄一郎前行政改革担当相のことが頭に浮かぶ。親族が経営していた会社が入居するビルを政治団体の所在地として届け、多額の事務所費を計上していたが、実体はなかったという。佐田氏は昨年十二月に引責辞任した▼ということは、実家に事務所としての実体があったと説明できなければ、佐田氏と同じ道をたどりかねない。これを回避するため、実家は「後援活動の拠点」と説明したのだろうか。両親らの発言と食い違うことになった。どちらかがウソつきになる▼赤城農相は自殺した松岡利勝前農相の後任で、松岡氏は不透明な事務所費を野党から追及されていた。本来ならば、政治とカネの問題で一点の曇りもないことが農相の条件だったはずだ▼安倍晋三首相は赤城農相に法的な問題はないとかばっているが、今問われているのは赤城農相を、首相を信頼できるのかどうかなのだろう。


【河北新報・社説】

自由化と農業/交渉は慎重に改革は迅速に

 農業への自由化圧力が国内外で高まっている。農産物の輸出国は市場開放を迫り、農業保護を輸出産業の足かせとみる経済界もいら立ちを募らせる。
 経済のグローバル化が進行、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)締結の動きが活発化している事情がある。

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は難航しているが、貿易、投資の自由化を図る二国間のEPA交渉は進展。日本も既に7カ国と署名を終えた。
 参院選を控えて、政府の「骨太の方針2007」は、影響の大きい米国や欧州連合(EU)との交渉は「将来の課題として検討」にとどめた。

 同時に、締結国を3倍超とする目標を設定。オーストラリアとの交渉も始め、本格的な農業市場の開放が視界に入る。
 各国が国益確保に向けて連携に走る中、蚊帳の外にいるわけにはいかない。経済を縮小に導く保護主義化も避けなければならないが、農業大国との協議で慎重すぎることはない。

 市場で優劣が決まる自由化は効率と活力を増す半面、条件に勝る国や産業が立場を強くし、地域間格差の拡大に拍車が掛かる負の側面もあるからだ。
 農業の比重の高い東北で、基幹産業の衰退は地域社会の崩壊に直結する。「国栄えて地方滅ぶ」状況は看過できない。

 日本の食料自給率は主要先進国で最低レベルの40%。1965年当時の半分の水準だ。
 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」がまとめた報告書は、温暖化に伴う異常気象により将来、穀物生産が減少すると警告する。

 実際、記録的な干ばつで、オーストラリアの昨年の小麦生産量は前年比6割減の1050万トンにとどまる見通し。国際価格は跳ね上がった。
 中国などの経済成長や発展途上国の人口増加で需要が急増。穀物をバイオ燃料の原料に振り向ける動きも拡大している。

 世界の穀物在庫率が10年ほどの間に半分に落ち込んでいるとの研究者の指摘もある。
 連携が深まってはいるが、国益の壁は高く、国際分業に身を委ねきれる状況にはない。

 担い手の高齢化から生産の先細りを懸念。連携強化で優先的な供給を期待する向きもある。
 しかし、大規模な不作となれば無意味に近く、「金で高価な食料を買い占める国」として、国の品格が問われよう。

 ある程度の食料自給は主要国の責任と心得るべきだ。
 もとより「弱すぎる産業」のままでは、多くの国民の理解と支持は得られまい。国際競争に耐え得る体質強化を急がなければならない。

 生産性の向上が鍵となる。農地の集積を促す機関の設置や税制面の工夫などで、保有から利用への意識改革が欠かせない。
 外国産との差別化を図る高品位作物の研究開発の推進、気概のある担い手育成も急務だ。

 もはや農業特殊論を盾にはできない。痛みを伴う改革に臨む覚悟と実践が自由化と折り合いを付ける前提となる。
2007年07月08日日曜日

【河北新報・河北春秋】

 東北各地から中高生の総合体育大会の歓声が聞こえる。陸上や球技に始まり、今はプールに水しぶきが上がる。勝者あれば敗者あり。表彰台の傍らには必ず握りこぶしで涙をふく者がいる▼かつての風景が様変わりしつつある。仙台市青葉区の中学総体で行われた、ある団体競技。3チームによる総当たり予選リーグで、今年も1、2位だけに順位を付けた

 ▼ そこには最下位の3位は存在しない。こうした傾向は他地域の大会や別競技でも目立つようになった。宮城県中体連の事務局は「競技の運営は各専門部に任せてあるが、たぶんそれは教育的配慮でしょう」▼ゴルフ発祥の地とされる英国スコットランドに、こんな格言がある。「良い勝者であるとともに、良い敗者であれ」。マナー順守はもちろん、負けを受け入れてこそ、次なる勝利へのステップになることを教える

 ▼勝者がいて敗者がいない不思議な大会には、形式的な平等主義に基づく順位なし運動会とはまた違う考え方が潜む。劣等なる者への哀れみ。競い合うスポーツとは別の世界が広がる▼毎年夏休みに繰り広げられる全国中学校体育大会は今回、東北各県で開かれる。栄冠は敗れ去った幾人もの姿をまぶたに焼き付けた者、あるいは試練を経た者に輝くはず。勝負の非情さを知れば、人は強くなる。

2007年07月08日日曜日


【京都新聞・社説】

欠陥住宅訴訟  買い主保護へ一歩前進

 欠陥住宅をめぐり、購入者が直接契約関係のない施工業者らにも賠償責任を問えるかが問われた損害賠償訴訟で、最高裁が買い主の権利を拡大する初判断を示した。
 裁判は高裁に差し戻されるが、安心できる住宅の購入を後押しする判決として評価したい。
 裁判の概要は、新築マンションを、発注した施主から買い取った原告が、購入後に亀裂などの欠陥が多数見つかったことで、施工した建築会社と建築事務所に損害賠償を求めたものだ。
 一審の大分地裁は原告が勝訴、二審の福岡高裁は逆転敗訴した。高裁判決は、設計・施工者などに不法行為責任が成立する条件を「建物の基礎や構造にかかわる」重大な欠陥がある場合と限定的にとらえ、原告の請求を退けた。
 今回の最高裁判決は、構造的な重大欠陥がなくても「建物としての基本的な安全性を損なう」場合は、民法七〇九条に定める「不法行為による損害賠償」の責任が施工業者側にあるとした点が注目される。
 具体例として、バルコニーの手すりの欠陥でも、転落などの危険が考えられるのなら基本的な安全が損なわれると一定の判断基準を示している。
 施工業者側の責任範囲を広げた判断は、住宅購入後、保証期間を過ぎてから欠陥が判明した場合や、販売業者の倒産などで泣き寝入りを強いられている被害者たちにとって朗報となろう。
 今後、差し戻し審では当該建物のどこが「基本的な安全を損なう」工事に当たるかが審理の対象となる。具体的にどこまでを基本的な安全に含めるかはまだ分からないが、判決では一般に通用する指針を示してもらいたい。
 大阪では昨年、床下の建材が原因でシックハウス被害を受けた新築マンション住民が、分譲会社や建材製造元などを相手取って起こしたシックハウス訴訟が地裁段階で和解している。今回の判決が先に出ていれば、違った展開となっていたかもしれない。
 最高裁判断は、中古住宅の売買にも関係するだけに、売り主側はより慎重な対応が求められる。販売に際し、どこまできちんと安全性を確認できるかは難しい側面もあるだけに、一定のルールづくりが急がれるのではないか。
 住宅をめぐるトラブルは数多い。姉歯秀次・元一級建築士らによる耐震偽装事件では、民間開放を含めた国の建築確認の問題が明らかになった。住宅リフォーム詐欺の横行では、判断力の衰えたお年寄りを食い物にする悪質リフォームの防止が課題となった。安心できる住宅への制度整備は、なお不十分だ。
 今回の判決を、まずは施工段階で確かな工事を徹底させる契機としたい。その上で、中古住宅も含めた安全基準づくりに生かしたい。国も、司法の判断を待つだけでなく、指針づくりを急ぐべきだ。

[京都新聞 2007年07月08日掲載]

改正DV法  連携深め被害者支援を

 配偶者に暴力をふるう加害者に、裁判所が接近禁止命令を出す際、無言電話などもあわせて禁止できるようにする改正ドメスティックバイオレンス(DV)防止法が成立した。来年一月中旬から施行される。
 現行DV法は接近禁止命令の対象を、殴るけるといった直接的な身体的暴力に限定しているが、新たに脅迫行為も加えた。DVから被害者を保護するうえで大きな武器になろう。
 だが、被害者の自立に向けた就業支援など課題は山積している。行政、警察、民間団体などが連携を深め、支援態勢を強めることが必要だ。
 改正法は裁判所が禁止できる行為として、無言電話のほかに▽夜間または連続のしつこい電話、ファクス、電子メール(緊急やむをえない場合を除く)▽面会の要求▽汚物や動物の死骸(しがい)などの送付▽性的羞恥(しゅうち)心を害する文書や図画の送付-などを盛り込んだ。
 こうした行為は、被害者が恐怖心を感じる点で身体的暴力と何ら変わらない。DV法の対象とするよう関係者から要望が強かっただけに一歩前進といえよう。
 ただ、法改正によって被害者への接近を厳しく制限しても、多発するDVに歯止めがかかるとは限らない。通報から相談、保護、自立支援にいたるまで、日常生活の中で、きめ細かい総合的な被害者対策が欠かせない。
 警察庁の調べでは、昨年一年間に全国の警察で受け付けたDVの被害届や相談は、前年に比べ8%増の約一万八千件。過去最多だった。だが氷山の一角といわれる。
 日常的に暴力を受けていても、無力感やあきらめから被害を訴え出ない人が多いとみられる。周囲が気づかないこともある。被害者本人がDVを受けていると自覚していないケースもあるだろう。
 行政と警察が連携して、早期発見の方策を探るべきだ。地域住民の理解と協力も要る。さらに、市町村などの相談窓口の拡充や、的確にアドバイスできる相談員の養成も必要だ。
 暴力行為から被害者を一時的に避難させる公的施設も不足している。これをカバーする民間の保護施設への運営資金助成なども充実させるべきだ。
 DVは被害者本人ばかりか、子どもの心にも深い傷を与える。転校(園)手続き面の配慮や、学校での相談や指導のあり方も考え直さねばなるまい。
 夫婦だけでなく、「デートDV」ともいわれる恋人間の暴力が増えているとの指摘もある。今後、DV法の加害者の範囲をどこまで広げるべきか、議論が必要だろう。
 暴力を食い止めるのは社会全体の使命だ。わたしたち一人一人が被害者の痛みに思いを致すことが、問題の解決に向けての確実な一歩になるはずだ。

[京都新聞 2007年07月08日掲載]

【京都新聞・凡語】

「海は残された最大のフロンティア」

 「海は残された最大のフロンティア」-京都大教授を務めた故高坂正堯氏は「海洋国家日本の構想」でこう記し、小さな島国・日本の新しい国家像を世に問うた ▼安全保障面や通商ルートの確保にとどまらない。資源に恵まれない日本だ。漁業や鉱物などすべての天然資源に着目、将来の大陸棚問題をも視野に入れて海の開発、海の支配の重要性を説いた▼それから四十年余。ようやく先の国会で海洋基本法が成立した。東シナ海のガス田開発をめぐる中国との対立などを契機に、議員立法で生まれた。日本の排他的経済水域(EEZ)の開発や海洋調査、海上輸送の安全などを目指す▼それにしても遅い。国連海洋法条約が発効してからでも十三年になる。中国や韓国ではいち早く海洋開発の法整備や体制強化に乗り出し、実行に移している。日本の周回遅れは否めない▼しかも法の狙いは海洋政策の一元化にある。海行政は八省庁にまたがり、バラバラの見本だ。そこで首相を本部長とする総合海洋政策本部を設置、海洋相(国土交通相兼任)も新設して総合調整の「司令塔」をはっきりさせた▼だが霞が関には縦割り行政がはびこる。官邸が指導力を見せなければ調整機能は働くまい。海洋権益を守る政策展開も難しい。島国根性むき出しの省益局益からの脱皮が最大の課題では、「海洋国家」の先行きは心もとない。

[京都新聞 2007年07月08日掲載]


【朝日・社説】2007年07月08日(日曜日)付

ヤンキー先生―再生会議はもういいのか

 あれれ、という感じである。

 12日に公示される参院選に「ヤンキー先生」として知られる義家弘介氏が、自民党の比例候補として立候補する。

 参院選というと、与野党ともいわゆるタレント候補が目立つ。人気を票に、という各党の思いは相変わらずである。

 だが、ヤンキー先生については少し事情が異なる。安倍首相が鳴り物入りでつくった教育再生会議の看板的な存在なのに、首相が自ら道半ばで引き抜いてしまったからだ。

 安倍首相は「教育再生」を政権の最重要課題といい、再生会議をその推進役と位置づけた。しかし、目の前の参院選に勝つことに比べれば、「教育再生」といえども取るに足りないものなのか。そう言いたくもなる。

 17人の有識者を起用した再生会議は、これまでに1次、2次の中間報告を発表した。期待はずれの内容が目立つが、いまは年末の最終報告に向けて仕上げの時期を迎えている。

 そんな中で、義家氏は単なる委員にとどまらない。事務局を担う担当室のトップを兼ねる中核的な存在だった。

 義家氏はかつて非行を重ね、親にも絶縁されるという不良少年だった。その義家氏を立ち直らせたのは、転校先の学校で出会った恩師だった。その後、大学に通い、母校の教壇に立った。そんな起伏に富んだ半生が注目された。

 「自分は教育に救ってもらった。これから先はその恩返しだと思っている。委員になったことを非常に重く受け止め、しっかり向かい合っていきたい」。義家氏は再生会議の委員に就いた時、こう語っていた。

 その義家氏が首相からさらに参院議員への転身を求められ、受け入れたのだ。

 伊吹文部科学相は「私なら職を全うした」と、ちくりと批判した。突然置き去りにされた同僚の委員から、いぶかる声がもれるのも無理からぬことだ。

 突然の出馬表明で、困ったのは法務省だろう。非行少年の更生などを後押しする広報ビデオを義家氏の出演でつくり、各地で上映を始めるところだった。急きょ上映を中止し、回収を始めた。

 法務省は6年前の参院選でも、ビデオに出演したプロレスラーが立候補してしまい、大あわてした苦い経験がある。今回は義家氏に選挙に出ないことを念押しして出演してもらっていただけに、なおさら悔しかろう。

 安倍首相は、義家氏への立候補要請で「そのエネルギー、突破力を政治の場で生かしてほしい」と述べた。義家氏は「子どもたちを守るためなら、人生をかける決断に何の躊躇(ちゅうちょ)もない」と答えたという。

 その言は信じたいが、では再生会議への起用は選挙へのステップにすぎなかったのか。今度は「安倍政権再生」に使い回すのなら、使う方も使われる方も、ご都合主義と言われても仕方ない。

高齢者の介護―この賃金ではもたない

 職員の数をごまかして介護報酬を不正に請求したコムスンの事件は、背後にある重大な問題を浮かび上がらせた。

 高齢者介護の現場が、深刻な人手不足に陥っていることである。その現実にきちんと向き合わなくてはならない。

 新しい施設や訪問介護の事業所を開いても、職員が集まらない。都市部では、とくにひどい。景気が回復しているここ数年は、福祉系の大学や専門学校を出た若者たちも一般の企業に就職している。

 介護福祉士の国家資格を持っている約41万人のうち、介護の仕事に就いているのは約23万人しかない。ひとつの職場の勤続年数も、平均3年ほどだ。

 理由は、はっきりしている。重労働なのに報われることが少ないからだ。

 財団法人・介護労働安定センターが、05年度に2500事業所で働く約3万人を対象に調査したところ、平均年収は200万円余りだった。半数近くを非正社員が占めている。訪問介護を支えるホームヘルパーは、8割が非正社員だ。

 厚生労働省の試算だと、ヘルパーの時給は1210円。全産業の平均時給より600円近く安い。大半が女性で、時間単位で働く登録型ヘルパーは、月収10万円未満の人たちが少なくない。

 介護サービスにかかる費用は、人件費も含めて国が決める介護報酬でまかなわれている。9割は保険料と税金から支払われ、1割を利用者が負担する。

 00年度に介護保険制度が始まって以来、利用者は大幅に増えている。厚労省は社会保障費を抑制するため、2度にわたって介護報酬を引き下げた。

 生協を母体にした千葉市の社会福祉法人生活クラブは、老後の不安にも応えたいと11カ所で訪問介護サービス事業を展開している。事業費の8割は人件費だ。

 去年の介護報酬引き下げで、ヘルパーの時給を1100円から1000円に下げるしかなかった。理事長の池田徹さんは事業所を1軒1軒回り、ヘルパーらに頭を下げた。しかし、頼みの綱のヘルパーは1年で100人以上が辞めていき、新規の依頼は受けられなくなっている。

 いまこそ、介護に携わる人たちの待遇を抜本的に考え直さなければならない。といっても、介護報酬をただ上げればいいわけではない。報酬を人件費とそれ以外とに分け、人件費は削れなくする。あるいは一定の給与水準を保証する。そんな仕組みをつくる必要がある。

 不足分は税金で補ってもいい。所得の低い人に配慮しつつ、保険料や利用料を引き上げる必要があるかもしれない。

 現在、約100万人が介護保険のサービス分野で働いている。お年寄りの喜ぶ顔を支えに頑張るといっても、いまのような低賃金で、将来の昇給の展望が描けなければ、限界がある。

 高齢者が急速に増えている日本では、今後10年であと50万人の介護職員が必要になる。介護を「ふつうの仕事」にできなければ、担い手はいなくなる。

【朝日・天声人語】2007年07月08日(日曜日)付

 日照りが続いた後なら、「喜雨」「慈雨」と歓迎される。しかし雨は、やはり疎まれがちだ。日々のあいさつでも、「あいにくの空模様」「足元の悪い中」などと、忌むように言い交わされることが多い。

 だが雨好きもいる。詩人の薄田泣菫(すすきだ・きゅうきん)は、梅雨の雨がしとしと降る日を、「好きな本を読むのすら勿体(もったい)ない程の心の落ち着きを感じます」と随筆に述べている。そんな日は、静かに心の深みに降りていって、独を遊ばせ、独を楽しみたいと言う。

 仏文学者の辰野隆(ゆたか)も、降りはじめると、雨を眺めながら、聴きながら、いつも気分が快かった。「雨。雨。雨。……雨滋(しげ)き国は何処かにないであろうか」と記し、自分の前世は田んぼの蛙(かえる)か田螺(たにし)だったらしいと言っている。

 静かな感傷を許さない「暴れ雨」が、近ごろは目立って増えている。短時間に滝のように降り、瞬く間に冠水や浸水をもたらす雨だ。気象庁によれば、1時間に80ミリ以上だと「圧迫感があり、恐怖を感じる」という。とても心の深みで独を遊ばせるどころではない。

 片や、数日から1カ月ほど、ほぼ雨無しが続く頻度も増えている。つまり「降らないか、降ったら土砂降り」という二極化が進んでいる。渇水を案じて待ち望んだ慈雨が、たちまち災いの雨に変わる。これもやはり、温暖化と無縁ではないらしい。

 大雨に見舞われた九州でも、短時間に猛烈な雨の降った所が多い。凶暴な雨である。しかし「人為の故なきにしもあらず」なら、これを「天災」と忌むだけでは事足りないのかもしれない。


【毎日・社説】

社説:農相の事務所費 この説明では納得できない

 あぜんとするほかない。もちろん、7日発覚した赤城徳彦農相の不明朗な事務所経費問題だ。

 農相は「付け替えや架空のものは計上していない」と反論し、安倍晋三首相も農相の進退問題にはつながらないとの考えを早々に示して「農相はしっかり説明した」とまで語った。だが、関係者の話との食い違いは明らかだ。拙速に幕引きを図ろうとする姿勢は、かえって有権者の不信を増幅させるのではないか。

 今回の問題は農相の関係政治団体「赤城徳彦後援会」が、茨城県の父親の自宅を団体の所在地として届け、05年までの10年間に約9045万円に上る経常経費を政治資金収支報告書に計上していたにもかかわらず、父親らは「(事務所として)使っていない」と証言したというものだ。

 また、東京にある農相の妻の実家に事務所を置く政治団体も毎年100万円以上の経常経費を計上しながら、少なくともこの10年は活動実態がないとされる。

 安倍内閣では昨年暮れ、佐田玄一郎・前行革担当相が、実際に存在しない事務所に対し光熱水費や事務所費など計7800万円の経費支出を政治資金報告書に記載したとの疑惑により辞任した。その後も松岡利勝前農相の巨額の光熱水費問題も浮上。松岡氏は5月末、自殺した。

 安倍首相は佐田氏のケースとは違うと明言。赤城農相は「事務所は後援活動の中核で、経費は電話代や事務機器のリース料だ」などと釈明した。だが、「中核」との説明と事務所として実体はないという父親らの話とはまったく異なる。ならば父親らが虚偽の説明をしたということなのか。さらに事務所費には家賃は含まれていないというが、だとすれば巨額過ぎないか。そして、「計上すべきものはきちんと計上している」と言いながら、領収書を公表する考えはないという。

 佐田氏も記者会見では事務所が架空とは認めず、辞任の理由は国政を混乱させたというものだった。松岡氏も領収書公表など内訳の説明を求められながら拒み続けた。だから、赤城農相もこうした説明で乗り切れると考えているのかもしれないが、これだけ国民の間に政治とカネの問題に対する不信感が高まっているのだ。従来に増して説得力のある説明が求められるのは当然ではないか。

 しかも、赤城農相は松岡氏の後任だ。自民党内からも「なぜ、後任人事を決める際にちゃんとチェックしなかったのか」との声が出ているほどだ。参院選を控え、年金記録漏れ問題や久間章生前防衛相の辞任に続き、安倍政権にとっては大きな打撃となるはずだ。

 先の国会で与党の賛成により成立した改正政治資金規正法は政治家1人に1団体認められる資金管理団体にのみ限定して5万円以上の経常経費支出(人件費を除く)に領収書添付を義務付ける内容で、今回の農相の後援会のような他の政治団体はその規制外だ。ザル法であるのが早くも分かったことも指摘しておきたい。

毎日新聞 2007年7月8日 東京朝刊

社説:’07参院選 くら替え出馬 「無用論」がますます広がる

 今回の参院選では全国レベルで選出されるはずの比例代表候補に、衆院や参院の選挙区で落選した前、元議員の「くら替え」組が多数立候補する。都議、県議からの「転身」組もみられる。いずれもかねて培ってきた地元票が頼りだ。衆院にはない全国を対象にした比例代表の特色は薄まり、制度上も「衆院のコピー」化が進む。5倍近くに広がった1票の格差と並んで、「参院無用論」にまた一つ論拠を与えることになる。

 比例代表は全国を一つの選挙区として、候補者が争う全国区に代わって導入された。全国区は職能代表が選ばれるメリットもあったが、半面「銭酷区」とも呼ばれていた。候補者名を売り込むには、選挙資金の面でも限界を迎えていたからだ。そこで、政党単位の比例代表に代わった。だが、全国レベルで求められる人材を選出できる特徴は残された。

 ところが、01年からの比例代表は、非拘束名簿方式に代わった。それまでの拘束名簿方式では事前の名簿掲載順位作業が難航し、自民党などでは執行部の手に負えなくなったからだ。有権者は政党名だけでなく候補者名での投票も可能になり、政党の獲得議席数は政党名と候補者名での総計で算出されるが、当選者は候補者名での獲得票が多い順で決まる。

 自民、民主両党が比例代表で獲得した票の大半は政党名だ。01年参院選では自民党が「小泉ブーム」に乗って大躍進したが、比例代表では約10万票の個人名で当選できた。参院全国区での最下位当選者は、最後の80年では64万票だった。当選ラインの大幅な低下が、「くら替え」「転出」組が続出する要因となっている。

 参院は「良識の府」と呼ばれた。その典型が、文化人や、学者を中心とした「緑風会」だった。しかし、その後は政党化が進み、「衆院のコピー」と呼ばれるようになった。衆院の追認機関としか見られなくなったからだ。

 00年の斎藤十朗参院議長当時、議長の私的諮問機関が独自性を発揮するための私案をまとめた。参院での首相指名選挙の廃止や閣僚などへの就任自粛、さらには審議内容を決算審査、政策評価、国の制度・政策に関する基本法などに絞ることを提案した。妙案だが、放置されたままだ。

 参院が政党化を容認するなら、選挙区での定数是正はなおさら急がれる。いずれにしても最大4・8倍もの格差は許されない。衆院と同様1票の格差は2倍以内にとどめて当然だろう。

 衆院では小選挙区比例代表並立制が導入され、選挙制度上でも参院の独自性は薄まっている。加えて、「くら替え」組の続出で、比例代表の特徴も失われつつある。衆院との類似性は一層高まるばかりだ。このままでは「参院無用論」が強まろう。独自色を発揮し、「良識の府」に戻るよう議員一人一人が真剣に参院改革の具体案を練るべき時期を迎えている。

毎日新聞 2007年7月8日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:ベーブ・ルースは通算714本塁打を…

 ベーブ・ルースは通算714本塁打を放った大リーグ史に輝く伝説の強打者だが、ヤンキースへ移籍する前、レッドソックスでは投手としても活躍した。その投手時代、若気のいたりか、こんな珍記録にもその名を残している▲1917年6月23日のセネターズ戦、先発したルースは一回、先頭打者への四球の判定に抗議し、退場となった。救援したアーニー・ショア投手は一塁走者を盗塁失敗でアウトにすると、以降26人の打者をパーフェクトに抑えた。大リーグ史上唯一の「中継ぎ投手による完全試合」だ▲ショア投手ほどではないが、日本のプロ野球でも見事な救援ぶりをファンの心に刻みこんだ投手がいる。99年8月31日の巨人・中日戦。巨人の先発・斎藤雅樹投手は一回2死一、二塁で足の故障を訴え、降板してしまった。ここで救援したのがプロ6年目の左腕、岡島秀樹投手だった▲わずか4球の肩慣らしをしただけの岡島投手は、最初の打者に四球を与えて満塁としたものの、続く打者を三振に仕留めてピンチを脱し、二回以降は快刀乱麻の好投。そのまま九回まで中日打線を散発2安打の無得点に抑えてチームを勝利に導いた▲松坂大輔投手とともに今年からレッドソックスに入団した岡島投手はいま、貴重な中継ぎとして抜群の安定感でチームの独走を支えている。「ヒーローは大輔君。僕はシャドー(陰)です」と、いつも謙虚な岡島投手がインターネット投票によるオールスターゲームの出場が決まった▲レッドソックスは本拠地球場のネット裏に日本語で「岡島選手に投票しよう」の掲示を出していた。日本からの投票が岡島投手を後押ししたのは間違いない。愛すべき「陰の男」が世界一の晴れ舞台で好投するのを楽しみにしよう。

毎日新聞 2007年7月8日 東京朝刊


【読売・社説】

参院選公約 「憲法」や「消費税」はどうする(7月8日付・読売社説)

 主要政党の参院選公約がほぼ出そろった。各党とも、年金記録漏れ問題への対応策に重点を置いている。有権者の高い関心を受けてのものだろう。

 年金不安を解消するために、問題解決を急ぐのは当然だ。だが、本当に安心かつ信頼できる年金制度を構築するには、何よりも、安定した財源の確保が大事だ。

 しかし、いずれの公約も、これに十分こたえていない。

 自民党は、「2007年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」としている。これでは、2005年の衆院選公約の文言と、何ら変わらない。結論を今年の秋以降に先送りしたままなのである。

 民主党は、「消費税率は現行のまま、全額を年金財源に充当する」という。前回参院選では、公約に「年金目的消費税の導入」を明記し、3%の消費税率引き上げが必要だと言っていた。この政策の大転換についての説明はない。これでは有権者は判断に迷うばかりだろう。

 参院選で論じ合うべき政策課題は、もちろん、年金だけではない。

 今年5月、憲法の改正手続きを定めた「国民投票法」が成立した。3年後には憲法改正原案の提出が可能になる。今回の選挙で選ばれる参院議員は、憲法改正に取り組む重責を担う。

 その意味で、自民党が、155項目に上る公約の冒頭に「新憲法制定の推進」を挙げたのは、責任ある態度と言える。集団的自衛権の問題を含め「安全保障の法的基盤の再構築」も図るという。

 ところが、民主党は、憲法改正について、「重点政策50」の中で言及していない。枠外で「国民の自由闊達(かったつ)な論議」を行い、国会で合意できる事項があるかどうか「慎重かつ積極的に検討」するとしているだけだ。公明党も、「3年後を目途に加憲案をまとめることを目指す」という記述にとどまっている。

 両党とも、憲法問題を忌避しているようにみえる。共産党や社民党は、改正には反対の立場だ。各政党は、それぞれ明確に考え方を示し、積極的に論戦を展開していくべきだ。

 少子化対策や農業政策も重要だ。

 民主党は中学を卒業するまで月額2万6000円の「子ども手当」の支給や、農業の生産費と市場価格との間に差額が生じた場合、不足分を全農家に支払う「戸別所得補償制度」導入も謳(うた)っている。

 子ども手当は6兆円かかる。所得補償制度に必要な額は1兆円とも2兆6000億円とも言われる。民主党は説得力のある財源案を示さなければならない。
(2007年7月8日1時42分  読売新聞)

香港返還10年 安心できない中国との「一体化」(7月8日付・読売社説)

 中国との「一体化」がここまで進むとは、だれが想像できただろう。

 香港の主権が英国から中国に返還されて10年になった。中国政府が約束する「高度な自治」といった権利は今後も維持できるのか。香港は不安を抱えながら、次の10年に踏み出した。

 激動の10年だった。返還はアジア全体を揺るがした通貨危機と重なった。2003年には新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の流行で再び打撃を受けた。03年と04年には、反体制活動を取り締まる国家安全法案の撤回や民主化を求める大規模デモが起きている。

 そうした危機が一体化を促した。

 中国政府は03年、香港に優先的に市場を開放する経済緊密化協定を結ぶとともに、自国民の香港への個人旅行を解禁して、苦境の香港経済を救った。

 05年には、市民に不人気だった初代行政長官を事実上、更迭するなど、民意に配慮する姿勢もアピールしている。

 中国政府を支持する香港住民は今年、6割と最高を記録した。「自分を香港人と思うか中国人と思うか」との問いには「中国人」が「香港人」を上回るようになった。一体化は物心両面で深まっている、と見るべきだろう。

 一方で、急速すぎる一体化のマイナスも目立ってきた。

 経済面では、香港上場企業の3割が本土系企業で、時価総額の半分を占めるまでになった。中国経済との一体化は、リスクの一体化も意味する。独立した国際金融センターとしての地位も揺らぐ。

 中国政府は「一国二制度」の原則に従い、集会や言論の自由を曲がりなりにも保障してきた。だが、メディア界には、存在感を強める中国への遠慮から、自己規制、自己検閲といった現象が広がる。香港記者協会のアンケートでは「自由度は後退した」が6割に達した。

 とは言え、香港住民の「高度な自治」への熱意まで低下したわけではない。

 親中派の現職が再選された3月の行政長官選挙では、親中派に有利な選挙制度の制約を乗り越え、民主派陣営が初めて対抗馬を擁立した。自治への熱意を体現したものだ。中国が一体化を過信し、法律でも確約した普通選挙を先送りし続ければ、香港住民の反発は高まる。

 「一国二制度」は台湾統一のモデルとして構想された。それが機能しないとなれば、民主政治が定着した台湾の不信感も、さらに深まることになる。

 香港のさらなる安定と繁栄を保障するのは、柔軟な政治体制であることを、中国指導部は再認識すべきだ。
(2007年7月8日1時41分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月8日付 編集手帳

 「私の場合は、数学で苦戦しているときに悲しい歌を聴きたくなる。悲しい歌のほうが力が湧(わ)いてくる」と、数学者の藤原正彦さんは言う◆「健康で前向きな歌をうたえば元気になるという考え方は単純すぎる」と作家の五木寛之さんが応じる。しばらく前の「文芸春秋」誌での対談だ。ともに「雨に咲く花」や「湯の町エレジー」を挙げていた◆世界屈指の肝臓外科医として著名な幕内雅敏さんは手術中、集中力を高めるために演歌をかける。石川さゆりさん、森昌子さん、八代亜紀さん、ちあきなおみさん……。先週、NHKテレビの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で語っていた◆静かで悲しく、ひたすら耐える、そんな歌詞が多い。時に十数時間にも及ぶ緊張の連続。その間は「耐えるのが好きって言うか、耐えざるを得ないんですよ」。よく耳にしてきた、身近な歌を支えとする数学者や名医の仕事に、親近感も覚えた◆番組の2日後に本紙の「論点」で小児外科医の宮野武さんが、若い医師に外科志望が減っている背景をついていた。医療訴訟の問題や金銭的処遇の不十分さなど、どれももっともな指摘である◆「苦労してやってこそ喜びがある。楽なことは楽なりの喜びしかない」と幕内さんは言う。この尊い精神を継ごうと志す人が増えれば、どれほど安心なことか。
(2007年7月8日1時41分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】社会保障カード 年金不信の解消にも有効

 これまでに支払った保険料や将来受け取れる年金額が、自宅のパソコンでたちどころに確認できる-。政府が年金記録紛失問題の対応策の一つに掲げる「社会保障カード」の機能である。

 対象は年金だけではない。医療や介護といった社会保障サービスについての記録も1枚のカードで分かるようになる。顔写真を添付すれば身分証明書としても使える。安倍晋三首相は「平成23年度中をめどに年金手帳だけでなく、健康保険証や介護保険証なども統合して便利で確かな仕組みをつくる」と明言している。

 カードの導入で、サービスを受ける側の利便性、提供する側の効率性は格段に向上するとみられる。少なくとも今回のような記録紛失問題は防げそうだ。個々人が将来にわたって自分の年金、医療、介護などの情報が得られるようになる。国民の年金不信の解消にも役立つ可能性がある。政府も、こうした利点を強調し、社会保障全体に対する国民の理解促進、保険料の納付率上昇に期待をかけている。

 だが、解決すべき課題や問題は多い。なかでも問題は一元化された職歴、病歴を含む個人情報の管理である。情報はカードのパスワードとIC(集積回路)チップで保護され、センターのサーバーで管理されるというが、本当に外部に漏れないのか。

 社会保険庁の職員は著名人の年金情報をのぞき見して漏らしていた。自衛隊員や警察官のパソコンから機密データが漏れる事件も目立つ。

 情報漏れや本人の了承のない閲覧を防ぐには、徹底した情報の管理が何よりも求められる。そのためのセキュリティー対策など万全なシステムの構築を行うことが肝要である。

 社会保障カードには「社会保障番号」が必要になる。基礎年金番号や住民基本台帳ネットワークの住民票コードを活用するのか。それとも新しい番号をつくるのか。基礎年金番号だと、未成年者や年金の未加入者には対応できない。住民票コードでは住基ネットに参加していない自治体もある。

 いずれにしても、入力記録に誤りがあってはカードの利点は生かされない。社会保障番号の導入にあたっては、入力すべき情報の事前整理が重要なことは言うまでもない。

(2007/07/08 05:02)

【主張】世界遺産 まずは保存努力が第一だ

 島根県大田市の石見(いわみ)銀山遺跡が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で世界遺産(文化)に登録された。これで国内の世界遺産は文化遺産11件、自然遺産3件の計14件となった。

 石見銀山遺跡については、ユネスコの諮問機関が「普遍的な価値の証明が不十分」として登録延期を勧告し、一時は絶望視されていただけに、まさに大逆転だった。

 地元の長年の努力に加え、政府が環境や自然との共生を含む英文の反論書を作成、委員に面会して続けた巻き返し工作が実を結んだという。

 従来消極的とされる日本外交が得た今回の成功は貴重だ。記録に残し、ノウハウを今後に生かすべきだ。

 石見銀山は、16世紀初頭から約400年にわたって採掘された。銀は外国にも輸出され、17世紀ごろには世界の銀産出量の3分の1を占めた。遺跡には城跡や代官所、鉱石搬送道などが含まれ、広さは442ヘクタールに及ぶ。

 世界遺産は1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき、世界遺産一覧表に登録された遺産を指す。今年は石見銀山など22件が登録され、計851件となった。

 日本では平成5年、「姫路城」や「法隆寺地域の仏教建造物」など4件が登録されたのが最初だ。今後も来年の登録を目指す「平泉の文化遺産」のほか、「富士山」「彦根城」「小笠原諸島」など7件が控えている。

 しかし登録遺産が1000件近くに達したため、ユネスコは基準を厳しくし、新規登録を抑える方向にある。今後はより慎重に取り組み、とりわけ周囲の景観や環境にも配慮したプラン作りを図っていく必要がある。

 登録によって観光客が激増した遺産も多く、国内の各地では暫定リスト入りを目指して世界遺産ブームが起きている。だが世界遺産条約は、観光振興のための条約ではない。人類の遺産として保存することが第一だ。

 条約には登録抹消の規定もある。登録は出発点でありゴールではない。観光も大事だが、それで遺産が荒らされては元も子もない。石見銀山も、遺産の歴史的、文化的価値を世界に訴えつつ、銀山と関連施設、景観の保存に全力をあげなければならない。

(2007/07/08 05:01)

【産経抄】

 今年も家々の垣根にノウゼンカズラが咲き始めた。梅雨空を吹き飛ばしそうな情熱的な色をした花は、その形から英語ではトランペットフラワーと呼ばれる。花言葉となると、トランペットでたたえる「名声」あるいは「栄光」だそうだ。

 ▼この花言葉が今、もっともお似合いなのは、ロシアのプーチン大統領をおいてあるまい。2014年の冬季五輪で、悲願だったソチへの招致に成功した。それも自らIOC総会に乗り込み「外交力」による逆転勝利だった。ロシア国内は大統領称賛の嵐のようである。

 ▼しかも五輪招致だけではない。石油価格上昇のおかげとはいえロシア経済は好調である。それを背景に先のサミットでは存在感を示し、欧米各国を揺さぶった。今月初めの米露首脳会談でもミサイル防衛問題で、人気落ち目のブッシュ米大統領を押しまくっていた印象だ。

 ▼プーチン大統領の任期は来年春で終わる。しかし1期(4年)おいた2012年の大統領選には、憲法上出馬可能だという。今回の冬季五輪招致の成功でロシア国内には、その4年間「院政」をしいた後、再登板するのではとのウワサが公然と流れているという。

 ▼ブッシュ大統領や安倍首相、それに五輪招致に失敗した韓国の盧武鉉大統領らにはうらやましい限りだろう。だがこれ以上「プーチン皇帝」の独裁が強まり、大国ロシアが復活するとなると、うらやましいだけではすまされない。特に日本にとってはそうだ。

 ▼同じアジアの韓国が敗れたことで、2016年の東京への五輪招致はやりやすくなったとの見方もある。しかしそんなことより、北方領土返還はますます遠くなりそうだし、北の脅威が再び強まる。まことにやっかいな「ロシアの栄光」なのである。

(2007/07/08 04:59)


【日経・社説】

社説1 赤城農相はきちんと説明責任を果たせ(7/8)

 安倍内閣でまたも「政治とカネ」をめぐる閣僚の疑惑が表面化した。赤城徳彦農相の政治団体が、実家を主たる事務所の所在地として届け、活動実態がなかったとみられるのに、毎年多額の経常経費を計上していたことが判明した。

 農相は「(事務所は)後援会活動の中核の場所。付け替えや架空計上などは全くない」などと説明しているが、詳細を明らかにしていないので説得力に欠ける。「政治とカネ」の不祥事が相次ぎ、政治不信が高まるなか、農相はきちんと説明責任を果たす必要がある。

 農相の政治団体「赤城徳彦後援会」は、2005年までの10年間で人件費や事務所費、光熱水費などの経常経費を約9000万円計上していた。家賃などにあてる事務所費だけで約1630万円も計上しているが、農相の事務所は家賃を払っていなかったことを認めている。

 農相は水戸市にあるもう一つの事務所を含め、電話代や切手代などを積み上げた額と説明している。そうであるならば、裏付けとなる領収書などを示してもらいたい。

 安倍内閣では昨年12月に佐田玄一郎前行政改革担当相の政治団体が、00年までの10年間に架空の事務所の経費約7800万円を計上していたことが発覚、辞任に追い込まれた。松岡利勝前農相の政治資金管理団体でも多額の事務所費や光熱水費を計上していた問題が、国会で追及された。松岡氏は説明責任を果たさぬまま、5月に自殺した。

 赤城氏は松岡氏の後任の農相だ。これまでは事務所費などの経常経費の詳細を明らかにする必要はなかったが、それを盾にとって松岡氏のような対応をするのは許されない。

 安倍晋三首相は「しっかり説明するように指示をした」と記者団に語ったが、赤城氏の説明を了とするのだろうか。前通常国会で不明朗な事務所費問題があれほどの騒ぎになったにもかかわらず、松岡氏の後任の閣僚が同じ問題で批判を浴びるようでは、危機管理能力を問われかねない。安倍政権にとって新たな痛手となるのは避けられない。

 前国会で改正政治資金規正法が成立した。政治家が一つ持てる政治資金管理団体については、経常経費(人件費を除く)のうち5万円以上の支出には領収書の添付が義務づけられるようになった。08年以降に提出する政治資金収支報告書から適用される。ただ赤城農相のケースのようなその他の政治団体は対象外だ。政治団体も含めた法改正の是非を改めて議論する必要がある。

社説2 防衛白書で再生誓った重み(7/8)

 ことしの防衛白書が公表された。各省が刊行する年次報告書のなかでも最もエネルギーを使ってできる白書のひとつである。過去1年間の記録にとどまらず、様々な手法で集め、分析した軍事情報が外交的な配慮を施した上で書かれている。英語版も7日から防衛省のホームページに掲載された。防衛白書は軍事的透明性を高める手段でもある。

 ことしの白書の特徴は、中国の軍備拡大に対し、これまでより強い警戒感を示した点にある。特に台湾との軍事バランスを「中国側に有利な状態に変化しつつある」とし、さらに「軍事力近代化の目標が台湾問題への対応を超えるものではないか」と踏み込んだ。

 これらの記述が一定の対外発信になる。それを政策にするには政府全体で認識を共有し、関係諸国への対応を考える必要がある。

 防衛庁から防衛省になって初めて刊行されたことしの白書には、久間章生前防衛相の巻頭言がある。そこでは「防衛省は政策官庁として生まれ変わらなければなりません。国家の未来を戦略的に考え、我が国の安全保障のみならず、国際社会からの期待に十分応え得るように政策機能の強化を図る必要があります」と「政策官庁」への決意を誓う。

 個人的感想ではないだろう。組織としての防衛省が省移行を機に、これまでの体質を反省し、政策官庁に生まれ変わることを内外に表明した文章と読める。

 かつての防衛庁は長い間、自衛隊という実力組織を管理する役所だった。国会では与野党が対決する防衛関連法案を抱え、国会対策にエネルギーを割かざるを得ない宿命にあった。国際情勢や政策よりも、自衛隊管理や国会対策の実務にたけた官僚が力を振るった。内外での冷戦状況の結果、国際情勢よりも国会情勢を重視する内向き文化が醸成され、基本的にはいまも変わっていない。

 白書の巻頭言は、古い体質との決別の辞である。それが小池百合子防衛相にも引き継がれたとすれば、古い体質の内局幹部を一掃する若返り人事の断行が直ちに重要となる。人事が停滞すれば人心はうみ、組織の活力をそぐ。小池防衛相のもとで防衛省は生まれ変われるだろうか。

【日経・春秋】(7/8)

 鉢植えを手にした浴衣姿の女性と、駅ですれ違った。花は葉に隠れて見えない。何の花だろうと思案したが、昼を指す時計を見て気づいた。朝だけに咲く朝顔だ。どこかでチリンと風鈴が鳴り、あたりを涼しい風が走ったように感じた。

▼江戸以来の夏の風物詩である朝顔市が、東京の入谷で8日まで開かれている。露店の数は120軒、並ぶ鉢は約13万。早朝に訪れれば、幾重にも連なる色彩の洪水が壮観である。七夕を挟む3日間に開くが、今年は週末と重なるため、ひときわ賑(にぎ)わう。50万もの人々が「我が家の一鉢」を選ぶため押し寄せる。

▼朝顔はもともと日本の植物ではない。奈良時代に遣唐使が下剤として種子を持ち帰ったらしい。観賞用に評価が高まったのは江戸時代になってから。その秘密は突然変異が起きやすく、色や形が千変万化する不思議な特性にある。愛好家は珍種の開発を品評会で競い合った。今は幻の「黄色の朝顔」の記録もある。

▼今年の人気は何色だろう。清廉な水色か、鮮やかな紫か。「団十郎」と呼ばれる渋い小豆色も捨てがたい。午前にしぼんでしまう儚(はかな)い美しさ。候補者がイメージ色を競演する参院選の絵がふと浮かんだ。目新しさだけでなく、市の開催日に合わせて見事に開花させるのが腕の見せどころ。栽培農家はそう語っている。


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