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2007年7月23日 (月)

7月23日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月23日朝刊)

[村上ファンド]健全な証券市場の育成を

 ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、東京地裁は村上ファンドの前代表、村上世彰被告に対し懲役二年、罰金三百万円、追徴金約十一億四千九百万円の判決を言い渡した。

 同時に起訴された投資顧問会社、MACアセットマネジメントにも罰金三億円が言い渡された。

 判決は、村上被告が巨額の資金で自らインサイダー状況を作り出し、一般投資家が模倣できない特別な地位を利用したと指摘し、「ファンドマネジャーというプロによる犯罪で犯情自体も悪質」と厳しく批判している。

 インサイダー取引は、企業内部の重要な情報を知り得る立場の役員や取引先の関係者が公表前の「重要事実」を入手し、株などを売買する行為。市場の公正を害し投資家の信頼を損なうため、証券取引法で禁止されている。

 インサイダー事件としては厳しい実刑判決となり、執行猶予は付かなかった。公正な証券市場の形成へ向け、違反行為に対しては厳しい判断で臨む司法の姿勢を明確に示したものだ。

 判決によると、村上被告は二〇〇四年十一月八日の会議で堀江貴文ライブドア前社長らから同放送株の大量取得を決定したとの内部情報を入手し、同放送株約百九十三万株を購入。値上がりした株の売却でファンド全体で約三十億円の不正利益を得た。

 村上被告は公判で捜査段階の自白を全面否認し、無罪を主張。判決は「ニッポン放送株を買い集めることを偶然『聞いちゃった』のではなく、『言わせた』と言える」と指摘、被告自ら勧誘し、その気にさせたと判断した。

 弁護側は「ライブドアには大量取得の資金調達力や実現可能性はなく、インサイダー情報に該当するような株取得の決定は聞いていない」と訴えたが判決は「大量の買い集めが確実でなくとも、実現可能性があれば足りる」と判断を示し、ライブドアの計画に高い実現可能性があったと認定した。

 インサイダー取引は一九八八年の証券取引法改正で初めて禁止された。それまでは見逃される傾向もあったようだが、その後、罰則も徐々に引き上げられ、事件発生時の罰則は三年以下の懲役、三百万円以下の罰金、昨年施行の改正法では五年以下の懲役、五百万円以下の罰金に引き上げられた。

 村上被告は「物言う株主」として企業の体質改善などの改革を促してきた側面もある。だが証券市場を公正に機能させるためには、何よりも投資家の保護が大きな前提になるはずだ。

 一般の個人投資家は激増しており、罰則強化など法改正を進め、公正で健全な証券市場を育成していくべきだ。

[警察白書]資金源を封じ込めたい

 警察庁は二〇〇七年版警察白書を公表した。今回は「暴力団の資金獲得活動との対決」と題した特集を組んだ。

 白書では近年企業活動を仮装・悪用して新たに証券取引の分野にも進出するなど、多様化する資金獲得活動を分析し、今後の課題を指摘している。

 暴力団の資金獲得の手法は不透明さを増している。関係機関が連携を密にし、対応を強化していく必要がある。

 四月に長崎市長射殺事件が起きた。行政機関や職員を対象に不当要求行為を行う「行政対象暴力」や企業を対象にした「企業対象暴力」も目立つ。

 今回の白書では土木・建築業者に暴力団との関係を尋ねたアンケート結果も掲載した。業者の33・7%が過去一年間に同和団体や右翼団体を名乗る、暴力団とみられる部外者から不当な要求を受けたと回答している。

 暴力団と関係を意図的に持つ建設業者もいるようだ。建設業者を対象にしたアンケートでは、33・8%が「暴力団と何らかの関係を有する建設業者がいると聞いた」と答えた。

 警察庁が今春まとめた「〇六年の暴力団情勢」によると、同年末現在の暴力団構成員数は約四万千五百人、準構成員数は約四万三千二百人。

 準構成員が構成員を上回るようになり、暴力団をめぐる深刻な不透明化が新たな段階に入ったと分析し、暴力団関係企業が暴力団に資金提供する構図の解明と対策が急務としていた。

 最近はバブル経済期にみられたように不動産取引、証券取引による犯罪に手を染め、社会経済情勢の変化に対応して、多額に資金を獲得できるポイントを巧みに探り当てているようだ。

 まずは巧妙化する資金獲得手法の実態解明が不可欠だ。暴力団対策法などの法制度を有効活用し、資金源の根絶に取り組むべきだ。関係団体の連携強化で違法な資金獲得を封じ込めたい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月23日 朝刊 1面)

 一日の暑さも和らぐ夕暮れ、小学校三年の末娘を連れ沖縄こどもの国へ出掛けた。目当ては土曜日だけの夜の動物園。

 涼しいと動物たちも動きやすくなるらしい。いきなり、カバが巨体を揺らし歩いているのに出くわした。以前、昼間見たときは池の中で動かずじまいだったが、丸い体でのしのし歩くさまは愛嬌たっぷり。

 夜七時と八時は食事の光景も見ることができ、サルのオリでは餌を手渡すことも。娘がリンゴを見せると、コモンリスザルが近づいてきた。餌を握った娘の指を小さなリスザルの指が開かせようとする。子どもならずともドキドキの瞬間。

 圧巻はトラやライオンなどの猛獣類。つり下げられた餌めがけジャンプするトラ。立ち上がって手を伸ばすと二メートルを超す。ネコ科なのに、水の中に落ちた餌にも平気で顔を突っ込む。百獣の王は余裕だ。二百キロ余りの雄ライオンは豊かなたてがみも誇らしい。

 それを見て工藤直子さんの詩を思い出した。「らいおんのつくりかた/まず『いふうどうどう』を よく こねあわせます/それを『がおーっ』で つつみ こんがり やきあげ/さいごに『かなしいな』を ちょっぴり ふりかけると/りっぱな らいおんが できあがります」。

 すっかり暗くなった空には鳥類やサルの叫び声が響いた。夜の動物たちが見せる一瞬の野生と意外な生態に生き物本来の姿を思い描き「失ってはいけないもの」を胸に帰宅した。(平良哲)


【琉球新報・社説】

参院選調査 高い関心も投票してこそ

 29日に投開票される全国一斉の参院選に、県内有権者の8割強が関心を示していることが、琉球新報社が共同通信社と合同で先週後半に実施した電話世論調査で分かった。
 2004年の前回の参院選は約7割だったから、今回の選挙への関心の高さがうかがえるが、国政への高い関心も、実際に投票所に足を運んでこそである。有権者には各候補の公約、実行力をよく吟味し、投票行動で国政を監視していく姿勢を示してほしい。
 今回の参院選沖縄選挙区(改選1議席)には、自民公認、公明推薦の現職・西銘順志郎氏と、無所属で社民、社大、共産、民主、国民新党が推薦する元職・糸数慶子氏が立候補し、一騎打ちの選挙戦を展開している。比例代表(同48議席)には、11政党・政治団体の159人(うち県内から4人)が届け出て、こちらも激しい戦いを繰り広げている。
 世論調査によると、選挙への関心度は「大いにある」と「少しはある」を合わせて83・5%に上った。世代別だと、40代から70歳以上の中高年層は80%台後半から90%台前半とさらに高く、政治意識の高さが垣間見える。
 一方で、若い世代の関心度は相変わらず低い。30代は83・1%で平均値に近いが、20代になると58・9%で一気に下がる。実際の投票率は関心度を下回ることが多く、懸念材料だ。若い世代の選挙への関心をどう高め、全体の投票率アップにつなげるか。より効果的な投票呼び掛けキャンペーンの展開など、啓発活動の一層の推進が求められよう。
 確かに、国民の政治離れが言われて久しい。政治家の不祥事、官僚の不始末は後を絶たず、政党や政府に対する不信感、あきらめにも似た思いが広がっている。それは都市、地方にかかわらず、投票率の低下傾向に歯止めがかかっていないことからも明らかだ。
 そんな中、最近の国政選挙、知事選などでは無党派層と呼ばれる人々の動向が注目を浴びている。彼らを「無党派という名の政党」と見る向きもあるが、具体的な公約があるわけでも、目立った選挙運動をするわけでもないことから実態はつかみにくく、浮動層との違いが明確でない。
 言えるのは、実際に投票で意思表示をしなければ無関心層と何ら変わりがないということだ。国政への注文は、民主主義の根幹である選挙を通じて訴えるのが最も効果的である。投票に行かないというのは、豊かな暮らしを求める権利を有権者が自ら放棄することにほかならない。この間の政策論争で、基本的な判断材料はそろってきた。有権者は各候補の政策をじっくりと見比べ、貴重な一票で国政への意思表示をしたい。

(7/23 9:56)

コザ音楽タウン 才能発掘と夢実現の拠点に

 音楽による街づくりに取り組む沖縄市が27日、中心施設となる「コザミュージックタウン音市場」を胡屋十字路にグランドオープンさせる。芸能ジャンルでは、ニューヨークの劇場街ブロードウェーなどが知られるが、沖縄にも独自の歴史にはぐくまれた音楽文化があり、多くの才能を開花、発信してきた。同タウンがブロードウェーに負けない才能発掘と夢実現の拠点になり、街全体が大いに活性化することを期待したい。
 本土復帰前のコザの街はミュージシャンと観客であふれ、活況を呈した。ロックバンドの紫やコンディショングリーンなどがカリスマ的人気を誇り、若きロッカーたちをけん引。全国のファンから注目され、一時代を築いた。
 そのエネルギーを再び―というのが市側の最も期待するところだろう。沖縄市は1987年の海邦国体でメーン会場となり、沸き返ったが、その後はバブル崩壊などもあって経済活動が停滞し、中心市街地はシャッターを下ろしたままの店舗も目立つ。
 そんな中で計画されたのが、公設・民営のコザミュージックタウンだ。全席立ち見で1100人、いす席だと500人収容可能なホールをメーンに、バンドの練習や簡易録音に使える音楽スタジオ、音楽広場を併設した。ロック、ポップス分野で「世界の超一流アーティストにも満足してもらえる」(金城直樹副館長)という音響機材を備えたのも“売り”で、高いレベルの演奏が聴かれそうだ。
 施設の充実などハード面は整った。あとはこれをどう生かし、街の活性化につなげるかだ。プロ、アマチュアを問わず、世界中から多くのミュージシャンが公演に来る仕組みを確立し、満員の観客で埋め尽くしたい。
 県内の若き才能の発掘という点では、オレンジレンジやHY、安室奈美恵らが音楽誌のヒットチャートをにぎわす現状をみれば心配ない。「ダイヤモンドの原石」はいくらでもおり、それをどう磨くかにかかっている。他県がまねのできない新しい空間を、知恵と工夫でつくり上げてもらいたい。

(7/23 9:55)

【琉球新報・金口木舌】

 フィリピンのルソン島北部山岳地帯に住む日系人家族のきずなを描いた映画「アボン 小さい家」は、山岳少数民族の暮らしぶりが興味深い
▼今泉光司監督から、この部族には「ありがとう」の言葉がないと聞かされ驚いた。その代わり「ナマオエッサ」と言うそうだ。訳すると「恩を借りました」
▼自然や神からもらった恵みに感謝して、いずれその恩を返すという意味合いがある。人々は農薬、肥料を使わず自然に任せて成長した穀物や野菜を、感謝の言葉をささげて食べる
▼私たちの食生活はどうだろう。近所のスーパーマーケットをのぞくと、外国産の安い肉類や魚介類、野菜、果物がずらりと並んでいる。誰が、どのようにして作ったのか、さっぱり分からない
▼農産物など特定品目で関税引き下げを約束する2国間協定化が進んでいる。食卓は、ますます輸入品であふれるだろう。農家は窮地に陥るし、問題の中国産のように安全性に疑問が残る
▼大量に生産し消費する生き方について「人間は地球資源をすべて消費していいという考えになっている」と今泉監督。山岳民族の「ナマオエッサ」という生き方には、私たちの暮らしを見直すヒントが隠されているかもしれない。

(7/23 9:50)


【東京新聞・社説】

年金攻防 制度の歪み正す論戦を

2007年7月23日

 年金記録不備対策の一環として受給権回復の動きが活発になったが、これは応急措置だ。年金不信を解消できる抜本的な改革案を聞きたい。与野党は現行制度の歪(ゆが)みをどう正すかを示すべきだ。

 記録不備問題では、先に成立した時効撤廃特例法に基づき、不足分の年金を受給できる高齢者が次々と出ている。政府は参院選前にまとめた一連の対策を漏れなく着実に実行すべきである。

 政府の対策が後手に回ったことが国民を怒らせた。年金不信が頂点に達した今、制度自体の改革論議を深める必要がある。

 ところが与党は明確な将来像を示さず、民主党の改革案への批判を繰り返すにとどまっている。

 現行制度は終身雇用などを前提に設計されているが、国民年金では近年、企業をリストラされた加入者らが増え、保険料未納が増えている。

 他方、国民年金は保険料納付期間が二十五年未満だと受給できない。

 このため既に九年前、総務庁(当時)は行政監察報告書の中で、二十五年に満たなくても納付期間が少ない分だけ給付額を減らす「減額年金」制度の導入の検討を求めている。

 国民皆年金を目指す以上、硬直した現行制度を改めるべきだ。未納分の保険料追納も現行の二年より長期間遡(さかのぼ)ってできるようにすべきだ。

 先の国会で社会保険庁が二〇一〇年、日本年金機構に解体・再編されることになった。国民年金の保険料納付率引き上げや保険料の目的外流用の防止などが狙いとされる。

 だが、年金制度への信頼が失われた中で納付率を本当に上げられるのか疑問だ。また、社保庁にぶら下がっている天下り法人は温存されたままで、保険料流用の懸念が残る。

 民主党は、社保庁と国税庁を統合し、保険料と税を一緒に徴収する方式を提案している。業務を効率化することで徴収コストを下げ、天下り法人も一掃できるというのだ。

 日本年金機構に将来とも安心して年金業務を任せられるのかどうか。与党はこの疑問にこたえるべきだ。

 保険料を徴収する社会保険方式に限界があるなら、国民年金(基礎年金)保険料を税で賄う方式が考えられる。民主党などが主張している。

 これが実現すれば無年金は解消されるが、民主党案のように所得制限を設ける場合、どのように所得を正確に捕捉するのか。国民年金の保険料が定額なのは加入する自営業者の所得捕捉が困難だからだが、民主党案はその方法には触れていない。

 年金制度を将来にわたり安定させることは与野党共通の課題である。

中国経済過熱 元切り上げ避けられぬ

2007年7月23日

 中国の今年上半期の実質成長率が11・5%に達し経済過熱の懸念が一層、強まった。膨大な貿易黒字、資金の過剰から安全が問われる輸出品まで、中国経済の問題の根は人民元の過小評価にある。

 中国は二年前の七月二十一日に、それまで米ドルに対して、ほぼ固定してきた相場を約2%切り上げ、その後は変動幅を拡大することで穏やかな元の上昇を図ってきた。

 しかし、この二年間の元上昇率は8%を超える程度にとどまる。洪水のような輸出増加のペースは衰える兆しすらない。

 十九日に中国国家統計局が発表した数字では今年上半期(一-六月)の輸出の伸びは23・3%。貿易黒字は前年同期に比べ、実に83・1%も増え千百二十五億ドルに達した。

 膨大な対中貿易赤字を抱える米国などと摩擦が激化するのは必至だ。

 中国の通貨当局は輸出に不利な元高の進行を防ぐため、元を売りドルを買う為替市場介入を続けている。

 このため昨年二月に日本を抜き世界一となった中国の外貨準備高は増える一方。六月末には前年同期比41・6%増の一兆三千三百二十六億ドルに達した。上半期だけで昨年一年間の増加額を上回るハイペースだ。

 中国では市中に出回った現金を債券発行などで回収する金融システムが十分働かない。大量の人民元は不動産や株式市場に流れ込み、相場の高騰につながる。

 株取引に必要な印紙税の値上げなどで株式市場が落ち着いてくると不動産の値上がりが始まった。今年上半期の都市部の固定資産投資は前年同期に比べ26・7%も増えた。

 しかし、投資に消費の伸びは及ばない。バブルの恩恵にあずかれない庶民の懐を卵や肉類の高騰など消費者物価上昇(前年同期比3・2%増)が直撃した。経済の過熱からインフレへの心配が強まった。

 以前から内需が主導する経済成長への転換が叫ばれながら一向に実現しない。これは低賃金が武器の輸出産業と、投資が頼みの経済構造に政府も産業界も安住しているためだ。

 最近、中国産品の安全性に海外から批判が強まっているのも「安かろう、悪かろう」という輸出企業が少なくないことを示している。中国国内の研究者からも技術集約型産業への転換が叫ばれている。

 今秋の共産党大会を前に政府は、輸出に打撃を与え失業増加につながりかねない元切り上げに慎重な姿勢を強めている。しかし、ドイツに匹敵する経済規模に発展した中国が他国と共存共栄し成長のゆがみを正すためには、避けて通れない道だ。

【東京新聞・筆洗】2007年7月23日

 「すでに相撲も五日めになりて、大関をとらすと触れければ見物一入(ひとしほ)いやまし、錐(きり)を立つべき地もなかりしが」…。享保年間に出版された『太平百物語』の一節だ▼安芸の国(広島)での相撲大会で大関の登場に立錐(りっすい)の余地もないほど人が集まった盛況を描く。かつて大関は力士の階級の最高位にあった。横綱は最強の大関に贈られた称号で、これが最高位になったのは明治時代という。それから次席となったとはいえ多くの力士には見上げるような地位だ▼三十一歳の関脇、琴光喜にも遠く映ったことだろう。それが名古屋場所を十三勝二敗で終え、大関昇進を確実にした。愛知県岡崎市出身で、地元というべき場所での健闘は二重の喜びに違いない。十日目、文字通り白鵬が吹っ飛んだような上手出し投げは圧巻だった▼六年前の秋場所で初優勝し、一度は花が咲きかけた。が、昇進の壁は高くなり、下あごの骨折などにも泣き、「おれはもう、終わった人間なんだ」と吐き捨てたこともあったとか。でも大関昇進を「あきらめない」と言っていたそうで、ついに史上最年長での昇進である▼重ね合わせたいのがプロ野球楽天の三十八歳の山崎武司選手だ。中日時代は本塁打王を獲得したが、オリックスでは戦力外通告を受け、でも現在パ・リーグの二冠である。「もう終わった人間」。一度はそう思っても思われても再び輝きだす姿に、人の持つ強さや貴さを見る思いがする▼「見物一入いやまし、錐を立つべき地」もないような大関にと、祝意を申し上げたい。そして次こそ朝青龍を。


【河北新報・社説】

みやぎ発展税/地域経済を冷やさないか

 村井嘉浩宮城県知事が導入を決めた「みやぎ発展税」に異議があり、率直に疑問をぶつけてみたい。

 「発展税」は、県内に事業所を持つ資本金1億円以上、所得金額4000万円以上の企業を対象として、法人事業税に、税率5%を上乗せ課税するものだ。期間は2008―12年度の5年間に限り、税収は単年度で30億円、計150億円が見込まれるという。

 第1の疑問は、県内の経済状況が、超過課税に耐え得るほどの体力があるかどうかだ。

 法人事業税への超過課税が実施されている東京、大阪、愛知など7都府県は、いずれも産業が集積し、景気拡大が顕著な地域だ。残念ながら、都市部と地方の経済格差は拡大する一方で、地方の一員の宮城もその例外ではない。

 06年度納税実績ベースで、超過課税対象は県内約5万社のうち8078社で、県外に本社がある企業が6978社、県内企業が1100社だという。

 特に、中小企業が多い県内は、弱々しい景気感の中、経営の効率化を進めており、こうした中での増税は、企業の活力をそぎ、地域経済の冷え込みにもつながりかねない。

 もう一つは、産業集積を図る手法について議論を詰めたかどうかだ。県は、超過課税分の150億円のうち、125億円を産業振興に充て、現在の企業立地奨励金を大幅に拡充するほか、工場周辺の基盤整備などを行うとしている。

 併せて、製造業を対象に「企業立地促進税制」を導入、不動産取得税や法人事業税、固定資産税を減免する。

 産業誘致の地域間競争が高まり、各県独自の優遇策が企業立地を大きく左右することを否定するつもりはないが、補助金による誘致は限界もある。

 地域の需要に基づく産業が何かを見極め、研究開発段階から支援し、育成することが必要だ。派手さはなくても、きらりと光る企業が地域に張り付けば、これほど心強いことはないだろう。

 長期的視点に立った産業政策こそ、10年後に県内総生産(GDP)を、今より1.5兆円増やして10兆円にするという村井知事の「富県戦略」が実現するのではないか。

 「発展税」は、今回は見送られることになった個人県民税と法人県民税に上乗せ課税する「みやぎ環境税」とともに、庁内の税制研究会で浮上した。1年間論議した結果だというが、唐突感は否めない。

 県の09年度の累計財源不足額は181億円となる見込みで、財政がピンチな事情は分かるにしても、税は生活に直結する問題だ。ここは徹底した歳出削減を断行し、新税は次期知事選の際、訴えたらどうか。
2007年07月23日月曜日

日本三景松島/「世界遺産」より環境改善を

 日本三景・松島について宮城県は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産への登録を目指す方針を決めた。

 世界遺産は全世界に851件あり、このうち日本は京都や白神山地(青森県、秋田県)など14件。東北では岩手県の「平泉文化遺産」も来年の登録が有力視される。いずれも見る人を圧倒する迫力と魅力にあふれている。

 かつて絶景の代名詞にもなった松島は、昭和30年代以降、湾内の水質汚染など環境悪化に直面し、景観の魅力は半減している。いまの松島に求められるのは、積極的な環境改善策で観光地としての好感度を回復させる取り組みだろう。世界遺産への挑戦は、その後でも遅くはない。

 県が登録を目指す世界遺産の名称は「松島―貝塚群に見える縄文の原風景(仮称)」。大小約260の島々が浮かぶ松島湾のほか、国宝の瑞巌寺本堂(松島町)や縄文時代の里浜貝塚(東松島市)などが対象だ。

 県は(1)縄文時代の風景が比較的保たれている(2)建造物は自然環境と調和し、優れた景観をつくり出している―と、一帯の文化的、美観的価値を解説する。

 目指すのが文化遺産といっても、中心となるのは、最大の観光資源である松島海岸と松島湾の自然景観だろう。その松島を抱える松島町の観光客数は1987年の546万人をピークに減少し、2006年は371万人にとどまった。宮城県全域の観光客数はここ10年で逆に2割程度増えており、松島の低調ぶりが際立つ。

 松島を訪ねると、湾内の水は濁り、遊覧船の船着き場付近にはごみが浮かぶ。「松島の景観に満足する観光客は昔に比べ少なくなった」。地元の観光業関係者が口にするのは厳しい現実だ。

 宮城県は松島の失地回復を図ろうと、1991年から「松島湾リフレッシュ事業」を展開。湾内のしゅんせつや下水道対策、海藻を利用した水質浄化対策などに取り組んでいるが、県は05年に「湾内の低質環境や景観などに明確な効果が表れているとはいえない」との事業評価を出した。

 県が同年、住民や観光客を対象に実施したアンケートでは、松島湾の水質、透明度について「汚い」「やや汚い」と答えた人の割合が7―8割に達した。このままの状態が続けば、仮に世界遺産登録が実現し、世界中から観光客が押し寄せるようになっても、真の意味での名勝松島の復権は果たせないだろう。

 来年、宮城では大型観光宣伝「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」が展開される。「日本三景」の称号にあらためて誇りを持ち、足元の課題を見つめ直すきっかけにしたい。
2007年07月23日月曜日

【河北新報・河北春秋】

 プロ野球はあすから後半戦だ。ひいきチームが3位以内に入れるかどうかが興味の一つ。今年はセもパにあやかり両リーグで日本シリーズ出場権を懸けたプレーオフ「クライマックスシリーズ」がある▼「1位チームが日本シリーズに出られないなら、何のためのペナントレースだ」と導入に腹を立てたセの監督がいた。が、せっかくしつらえられた舞台。おかげで3位入りに望みを託し続けられるファンがいる

 ▼ 後半戦にそんなことはないだろうけど、早々に「三強」が固まってしまったらどうだろう。興味は半減、どころか一気にさめそう▼こちら参院選の戦いは終盤を迎えた。与野党どちらが非改選議席数を含め過半数を制するかが焦点の政治決戦は主舞台の「1人区」で最後の攻防が続く。一方で、どうも盛り上がりに欠ける選挙区がある。応援に入る各党の大物もちらほらという「2人区」だ。東北では宮城と福島

 ▼このところ自民、民主が議席を仲良く分け合う傾向にある。すみ分けのための選挙区でもなかろう。まして政権を争う「二強」ならば改選2議席独占を狙う戦術と気概が欲しいものだ▼かつて「一党独裁」の観もあったプロ野球界が「ファンあっての球界」と原点に返り制度を改めた。各球団は戦力補強に力を注ぐ。政界も見習ってはどうか。

2007年07月23日月曜日


【京都新聞・社説】

参院選終盤へ  政策論争、もっと熱く

 自民党に逆風、民主党に参議院第一党を狙う勢い-。共同通信社が十九-二十一日に実施した参院選の世論調査によると、そんな全国情勢の傾向が浮かび上がった。
 年金記録不備や、赤城徳彦農相の事務所経費など「政治とカネ」の問題などが自民党への逆風になっているのだろう。
 今選挙の最大の焦点は、与党の自民、公明両党が非改選議席を含め過半数を維持できるかにある。同調査からはかなり厳しい情勢がみてとれよう。
 とはいえ、どの政党に投票するのか、だれに投票するのか、決めていないとする有権者は約四割(京都33%、滋賀39%)にのぼり、まだまだ流動的だ。
 与党が大幅に議席を減らした場合は、政権交代や政界再編といった「政局」に発展する可能性もある。
 各党は選挙最終盤に向けて、年金問題をはじめ山積する重要課題について、もっと具体的な言葉でビジョンを有権者に明確に語るべきだ。
 有権者に最も関心が高いのは、やはり年金だ。
 京都新聞社が十九日から三日間、京滋の有権者を対象に実施した世論調査では、京都では35・7%、滋賀でも40・0%の有権者が、重視する政策に「年金などの社会保障」をあげた。
 各党とも、年金記録不備問題への対応についての主張は目立つが、年金制度をどう再構築するのか、消費税の扱いも含め財源をどう確保するのか、といった根本問題についての論争は必ずしも歯車がかみ合っていない印象をぬぐえない。
 他党の非難合戦に終わることなく、各党は有権者にわかりやすく、具体策を明らかにしてもらいたい。
 京都新聞社の今回の調査では、「重視する政策」で、年金に次いで関心が高かったのは、京都では景気対策で14・5%を占めた。滋賀では格差社会の是正で14・6%だった。
 停滞する地域の経済状況や、格差の進行が依然として深刻であることがうかがえるといえよう。
 景気回復の恩恵を享受できず、置き去りにされる人たちをいかに救済していくのか、各党はさらに踏み込んだ対策を示すべきだ。
 年金問題だけでなく他にも争点となる重要案件がめじろ押しだ。
 安倍晋三政権は、先の国会で国民投票法を成立させ、今回の自民党の選挙公約でも三年後の国会で「憲法改正案の発議をめざす」としており、忘れてはならないテーマだ。
 教育再生や税制のあり方、地方分権、農業政策などついても、もっと詳細な議論を聞きたい。外交政策に至っては、きわめて論争が低調だ。
 二十九日の投票日まで、あと六日。有権者の心に届く、熱い政策論争を展開してもらいたい。

[京都新聞 2007年07月23日掲載]

コムスン問題  介護保険制度も見直せ

 訪問介護最大手コムスンの事業譲渡について、複数の事業者に分割譲渡する方向が強まっている。政府、与党の意向を受けた方針転換だ。
 不正への厳しい対処と、サービス利用者保護の両面から問題解決を図る必要がある。
 同時に、コムスン問題は国の介護保険制度の課題を浮き彫りにした。制度の根幹にかかわる見直しも急ぎたい。
 コムスンの親会社であるグッドウィル・グループは、介護保険事業からの全面撤退を決めた六月以降、事業の一括譲渡の方向で検討していた。
 しかし、“第二のコムスン”発生を恐れる厚生労働省や、民間大手企業の不祥事続発に不信感を抱く与党の意向も受け分割譲渡に方針転換したとみられる。
 介護保険制度改正で、二〇〇六年四月から市町村の役割が強まったことも関係していよう。行政の目の届く範囲で、事業が行われるのは望ましい。
 一方、分割譲渡で心配されるのは、経営面で採算がとりにくい部門の引き受け手がなくなるのでは、という点だ。特に夜間の訪問介護は状況が厳しい。
 共同通信が都道府県を対象にアンケート調査した結果では、少なくとも全国五十四の市町村で、コムスン利用者が深夜帯の訪問介護や訪問入浴介護などのサービスを受けられなくなる恐れがあることが明らかになっている。
 こうした“介護難民”の防止はコムスンの義務だし、本年度中はサービスを継続し、他の業者への移行を円滑に進めるよう行政の指導を受けている。
 そうではあるが、コムスンに見切りをつけてやめる従業員も多かろう。現実的な対応策も考えておく必要がある。
 事業譲渡では、訪問介護サービスより有料老人ホームなど施設サービス事業の譲渡希望が多い。これは介護保険制度そのものの問題点を反映している。
 介護保険制度は在宅ケアを大きな柱として発足したが、当初から施設ケアの人気が高く、在宅ケアでは事業者の不正やケアの中身をめぐる課題が噴出した。そのため国は介護区分や報酬、利用者負担などの手直しを続けてきた。
 だが現行制度は予算面を重視して各サービスの介護報酬を低く定めすぎたため各方面にしわ寄せが及んでいる。
 特に在宅ケアの場合は、ヘルパーたちの不規則労働と低賃金の上にかろうじて成り立っている状況だ。ケアマネの独立も難しい。これらを改善しない限り制度の健全な発展は望めない。
 厚労省はこのほど、介護保険事業者の規制見直しなどを検討する有識者会議の初会合を開いた。秋に報告をまとめ、来年の通常国会に介護保険法の改正案を提出する方針という。
 一部の改変では不十分だ。現行制度の問題点を洗い出し、見直し案を示してもらいたい。参院選を戦っている各党も、もっとこの問題を論じてもらいたい。

[京都新聞 2007年07月23日掲載]

【京都新聞・凡語】

携帯電話の落とし穴

 京への修学旅行生だろうか、市バスの中で女子中学生二人が話していた。携帯電話のメールを終えた生徒に、もう一人が尋ねた。「相手は(中学生だと)知っているの」▼その答えに驚いた。「ぜーんぜん。同じ大学生と思っている。遊んでやっているの」。おいおい、その相手だって本当に大学生の男の子かどうか分からないよ。声をかけようと思ったら、笑い声を残し、下車してしまった▼携帯電話は確かに便利で、普及率はうなぎのぼりだ。内閣府が先ごろ発表した調査結果によると、小学生の使用率は31・3%、中学生は57・6%で半数を超え、高校生は96%とほぼ全員が持っていた▼だが、使い方を間違えると、落とし穴も待っている。昨年の出会い系サイトに関係した犯罪で、被害にあった約千四百人の大半は十八歳未満の女性だ。中学生が25%を占め、わずかだが小学生もいた ▼事件に巻き込まれなくても、有害サイトに接続したり相手の顔が見えないため、きつい言葉になって知らぬ間に傷付けてしまう。いつも、だれかとつながっていないと不安になるケースもあるという▼多感な時期だ。生身の人間がぶつかりあう中で、はぐくまれる友情や、覚える人と人との間合い。そんな機会が奪われていないか心配になる。きょうは文月(ふみづき)ふみの日-。親しい人に手紙でも書き、ゆっくり考えようよ。

[京都新聞 2007年07月23日掲載]


【朝日・社説】2007年07月23日(月曜日)付

公務員制度―改革の全体像を争え

 安倍首相は選挙の遊説で、社会保険庁批判と重ねあわせて、公務員制度改革を叫んでいる。

 決めぜりふは「押しつけ的な天下りを根絶する」だ。そのために国会を延長し、野党の抵抗を押し切ってまで国家公務員法を改正したと胸を張る。

 だが、待ってほしい。実態はそうなっているだろうか。

 改正法の柱は、官民人材交流センター(新人材バンク)をつくることだ。そこで天下りを一元管理し、各省のあっせんを廃止するという。

 しかし、その制度設計はこれからだ。現時点ではまだ、新人材バンクがうまく機能するとは言い切れない。政官業のもたれ合いの構図に手をつけずに、予算や権限を背景にした押しつけ的な天下りをなくせるのか、疑問も残る。

 一方で、離職前の5年間に関係した民間企業への「退職後2年間は天下り禁止」という制限をなくす。これでは天下りを広げるだけになりかねない。

 さらに、独立行政法人などから企業への再就職も規制されない。再就職先を転々と歩く「わたり」は野放しのままだ。

 これで改革を前進させたと力説されても、戸惑ってしまう。

 公務員制度改革の先が長いことは、自民党も認めている。だから、公務員の人事制度全般に関する基本法案を来年の通常国会に出す、と公約に書いている。

 それならばなぜ、天下りに関する法改正だけを強引に急いだのか。

 公務員制度を変えるには、新しい制度の全体像を示し、そのなかで天下りの問題も解決するのが筋だった。順序を逆にしたことで、内容も中途半端になったと言わざるを得ない。

 いまや護送船団方式の業界指導や、画一的な国土開発は時代遅れになった。それらを主導してきた官僚組織も、時代にふさわしく進化しなければならない。

 優秀な人材の官僚離れが指摘されるなか、政治には、新しい時代のあるべき公務員像を描く役割が求められる。

 それなのに、長年の懸案である公務員の労働基本権について、自民党の公約は今回も「幅広く検討する」と言うだけだ。方向性すら示していない。

 民主党は天下りの原因として、早期退職勧奨をあげ、各省のあっせんとともに禁止するとマニフェストに書いた。企業への再就職禁止期間も「離職後2年間から5年間に拡大」し、特殊法人などからの天下りも規制する。天下り禁止への姿勢は明確だが、肝心の新しい公務員像を提示できてはいない。

 たとえば、政権交代が現実味を帯びるなか、公務員と政治との距離はどうとるのか。キャリア組とノンキャリア組の選別採用を続けるのか。実績・能力主義を導入し、専門職など定年まで働ける制度を具体的にどう設けるのか。

 こうした現実の課題への答えが、この参院選で各党に求められている。

原発の火事―119番頼みではダメだ

 原子力発電所の防火力がこれほど貧弱だとは、近くで大地震が起きなければ露見しなかったのだろうか。

 1週間前の新潟県中越沖地震では、東京電力柏崎刈羽原発で火事が起こり、消火が遅れた。これを重くみた経済産業省は、電力会社や関連企業に原子力施設の火災に対する備えを報告させた。

 その報告などから浮かび上がった現実は、驚くべきものだ。原発を運転する10社では、化学消防車をもっている会社や消防署へのホットラインを備えている会社が、半数程度にとどまった。

 専従の消防隊を24時間常駐させているところはなかった。

 柏崎刈羽原発では出火直後、モクモク立ちのぼる黒煙がテレビ映像で流れた。このとき、消防車が集結している様子がないことに不安を感じた人も多い。このままだと、同じ光景がほかの原発でも再現されるかもしれないのである。

 今回は鎮火までに約2時間かかった。背景に、地震ならではの事情があったこともわかってきた。

 この原発にはホットラインがあるのに使えなかった。設備のある建物が被害を受けて、中へ入れなくなったからだ。119番がつながったのは、発見から12分後。だが、地元の柏崎市消防本部は地震そのものへの対応で大わらわだったようだ。「まず自衛消防隊で」との反応が返ってきたという。

 原発の職員らが消そうとしたが、消火用の配管が地震で壊れ、役に立たなかった。結局、1時間以上たってから到着した地元消防が消し止めたのである。

 地震のような自然災害は、地域全体を襲う。あちこちで消火や救出の活動が必要になる。消防署の回線は混雑するし、橋や道路が壊れて消防車が来られなくなるかもしれない。

 だが、原発敷地内の火事はすぐ消し止めなくてはならない。そうでないと火が配線や配管を壊しトラブルが連鎖して、放射性物質が大量に放出される原子力災害へ発展する恐れもあるからだ。

 だから、自力の消火体制がぜひ求められる。119番頼みでない消火力をもつことが急務だろう。

 柏崎刈羽原発の地震被害は国際原子力機関(IAEA)の関心も呼び、エルバラダイ事務局長が調査団を出す用意を明らかにした。被害情報を国際的に共有するねらいだという。新潟県の泉田裕彦知事は政府に対して、調査を受け入れるよう求めた。

 原発のトラブル隠しがかつて横行していたことが明らかになったとき、一つの反省がうまれた。小さなミスなどのヒヤリ情報は進んでおおやけにして、その教訓を世界中の原子力関係者で分かち合うことが大切という考え方だ。

 今回、消火が遅れたいきさつは、地震による致命的な原発災害を防ぐことに役立つだろう。この視点に立って、IAEAの調査に政府は協力すべきだ。

【朝日・天声人語】2007年07月23日(月曜日)付

 梅雨明けは九州付近で足踏みしているが、きょうは二十四節気の大暑。暦のうえでは暑さも盛りの時期である。〈兎(うさぎ)も片耳垂るる大暑かな〉と芥川龍之介は詠んだ。動物も猛暑にうんざり。ユーモラスな情景が、まぶたに浮かぶ。

 そして明日は、芥川がみずから命を絶った「河童(かっぱ)忌」だ。今年で80年になる。残された手記によれば、「ぼんやりした不安」にさいなまれていた。今なら「うつ病」と診断されたのかもしれない。ともあれ人気作家の35歳での早世は人を驚かせた。

 芥川と同じ30代で、職場の重圧から心や体を病む人が、近年増えている。厚生労働省によれば、心の病で労災認定された人が、昨年度は過去最多の205人を数えた。4割を30代が占めるというから、その突出ぶりに驚く。

 体力気力がかみ合って、仕事も板につくのが30代だろう。だが「働き盛り」は「こき使われ盛り」でもある。男性の2割強が「過労死ライン」を超す長時間残業をしている。そんな調査結果もある。成果主義の荒波も容赦はない。

 ストレスゆえか、30代による暴行事件も急増中だ。逮捕・書類送検は10年で5倍に。いまや「主役」が10代と入れ替わった。街頭などで、カッとなって暴行するケースが多いらしい。キレやすい30代像が、数字の向こうに浮かんでいる。

 皮肉屋の芥川は人生を一箱のマッチに例え、「重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である」と言っている。ストレスという火種を上手に鎮める術(すべ)が、30代ならずとも大切な今の時代である。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 経済の姿 どう活力を保っていくのか

 安倍晋三首相は今回の参院選を「美しい国」の実現や戦後レジームからの脱却に向けた諸政策を問う好機ととらえている。このことは経済政策にも貫徹している。その一方で、成長力戦略を前面に打ち出し、国際競争力の回復を課題としている。

 美しい国という言葉に示される、古き良き時代への情緒的な憧憬(しょうけい)は、当然のことながら、経済政策の柱である成長主義と衝突する場面が出てくる。

 経済分野における戦後レジームからの脱却は、行政による経済への介入の最小化が狙いである。具体的政策としては、公務員改革や規制改革の推進、市場主義の徹底ということである。これまた、美しい国とぶつかる。古き良き地域社会は小さな政府では維持できないからである。

 このことに示されているように、安倍自民党が政権公約に盛り込んでいる経済の姿は矛盾に満ちている。

 小泉純一郎前政権は、過去の創造的破壊を目指した。構造改革という名の新自由主義的政策である。努力したものが報われる社会では、一定の格差は是認した。

 安倍政権はどうか。改革路線を引き継いでいることは公言している。成長戦略も供給サイドを強化すれば、おのずと需要も出てくるという小泉前政権以来の新古典派流政策である。需要不足へのとりたてての施策は打たないということだ。地方分権もこれまでの施策に示されているように、抜本的な財源移譲は行われていない。

 その一方で、美しい郷土を作るという。地域経済再生も公約している。いずれも、地域社会での公共サービス維持なしには実現不可能である。民間や市場に任せていればうまくいくとも思えない。やっぱり、公共投資はばらまくのかということになる。

 つまるところ、安倍自民党が提示しているのは、美しい国という古い日本とグローバル化に対応した市場主義が混在している矛盾を内包した経済像である。

 そうみてくると、民主党が描く経済の姿を大きな政府と批判しても、説得力に乏しい。

 民主党は基礎年金全額を国費で賄うことや、教育への財政支出の5割増、中小企業対策の充実などを掲げている。いずれも財源が必要だ。社会サービスの充実には人的手当ても欠かせない。財源対策として、行政のムダをなくすことや国家公務員の総人件費20%削減を提案している。

 くらしを各論の冒頭に置いていることは、自民・公明連立下での負担の増加や社会保障政策へのアンチテーゼであろう。財源手当てがどれだけ現実的か、額として十分なのかは検証が必要だ。

 これを大きな政府と呼ぶのか、社会サービスを過不足なく供給する政府とみるのかは、一方的に判断はできない。国民がどうみるかが第一だ。少子高齢化が進む中、経済の姿は大きな焦点だ。

毎日新聞 2007年7月23日 東京朝刊

社説:暴力団対策 警察の情報収集力が鍵だ

 暴力団の脅威が広がっていることを受け、警察庁は今年の警察白書で「暴力団の資金獲得運動との対決」と題する特集を組み、摘発に本腰を入れる姿勢を打ち出した。長崎市長射殺、愛知県長久手町の立てこもりなど最近の発砲事件にも、暴力団が介在した。白書の指摘通り、取り締まりの徹底は喫緊の課題である。

 白書は、暴力団が賭博や覚せい剤密売、恐喝、ノミ行為などの伝統的な資金獲得手法だけでなく、用心棒代の取り立て、民事紛争への介入、企業・行政対象暴力などで資金を調達してきた経緯を概観している。その上で最近は公共事業や証券市場にも食い込み、金融ブローカーらと共謀してインサイダー取引、株価操作にも手を染めて上場企業の活動をも侵食している、と警告している。

 全国の建設業者3000社を対象にしたアンケートの結果も掲載しており、3割強が「暴力団と関係を持つ業者がいると聞いた」と回答するなど、暴力団が建設業界に巣くっている状況が浮かび上がった。「最近1年間に部外の者から不当要求を受けたことがある」と答えた業者も約3割に及び、関連企業などを使った暴力団の資金獲得活動も執ような様子だ。

 白書はまた、暴力団の間でも格差が広がり、二極分化が進んでいると分析している。いわゆる「経済やくざ」として潤沢な資金を手にした暴力団員がいる一方で、伝統的な資金獲得活動から抜け出せず、資金に窮する暴力団が目立っているためだ。来日外国人の犯罪グループと結託して現金強奪などの凶悪事件を起こしたり、暴走族の少年らから金銭を吸い上げるケースも確認されている。

 当然のように白書は、多種多様化する資金獲得活動にメスを入れ、暴力団の壊滅を図らねばならない、と訴えている。だが、現実は壊滅にはほど遠く、暴力団の構成員、準構成員は約8万5000人を数え、10年前に比べ5000人近くも増えている。92年の暴力団対策法の施行後、暴力団が活動を潜在化させたことが摘発を難しくさせている面も見逃せない。

 暴力団があらゆる経済活動から排除される仕組みを社会全体で構築する必要がある、と白書は強調する。確かに、暴力団に迎合したり、利用しようとしたりせず、誰もが毅然(きぜん)たる態度で暴力団に立ち向かうことが大切だ。だが、警察が精力的にけん引しない限り、対策の実効が上がるはずはない。

 従来の取り締まり手法も問い直すべきだろう。銃器対策にしても、国内にどれほどの銃器が出回っているか見当もつかない状態では、具体的な対策の練りようもない。毎年、氷山の一角にもならない500丁程度の押収量に甘んじてきたのも、おかしな話である。

 銃器や薬物の事件捜査はもちろん、金融犯罪でも、ものを言うのは摘発に必要な情報だ。この際、小手先の施策だけでなく、情報収集活動の活性化、専門捜査員の養成など基礎的な対策から充実させ、粘り強い捜査活動で暴力団を壊滅に追い込まねばならない。

毎日新聞 2007年7月23日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:ミャンマー出身の男性、ミョウさん(38)は…

 ミャンマー出身の男性、ミョウさん(38)は今春から、兵庫県の関西学院大で学んでいる。母国の大学に在学中、民主化運動にかかわり、91年に来日し、05年に難民認定を受けた。初め名前は公表していなかったが、先月20日の「世界難民の日」を前に会見して、「日本にも難民が身近にいることを知ってほしい」と訴えた▲入学できたのは、関学大が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と提携して、UNHCRが推薦する難民を毎年2人まで受け入れる制度を新設したからだ。難民学生は学費免除で、奨学金も支給される。ミョウさんとベトナム出身の男性の2人が第1期生に選ばれた▲UNHCRによると、02年から減少していた世界の難民数は昨年、イラク情勢の悪化で増加に転じ、約1000万人に達した。戦争や紛争、政治的弾圧などで故郷を追われた人々には過酷な暮らしが待つ。2人は極めて幸運なケースだろう▲日本で難民条約が発効して、今年で25年になる。日本の難民認定は厳し過ぎると批判が強かったが、一昨年の入管法改正で透明性は高まった。それでも難民の受け入れ数は欧米諸国に比べてまだ少ない。定住後の支援体制も不十分だ▲背景には、難民に対する関心の低さがある。だが、グローバル化が進み、国際貢献の重要性が増す中、日本だけが知らん顔ではすまされない。難民の現状とどう向き合うか。大切なのはミョウさんが求めるように、一人一人が身近な問題として考えることではないか▲ミョウさんは「学んだことを母国の貧困問題解決に役立てたい」と夢を描く。難民奨学制度は他の大学でも導入の動きがあるという。難民が夢を持ち、その実現に向けて進める制度がもっと広がるよう、後押ししていきたい。

毎日新聞 2007年7月23日 東京朝刊


【読売・社説】

格差 是正へ実効ある政策を論じよ(7月23日付・読売社説)

 国民生活の弱い部分に目を凝らして、必要な施策を講じるのは、政治の最も重要な役割の一つだ。実効性と実現性を伴う確かな政策が求められる。

 戦後最長の景気拡大が続いているのに、多くの人にとって、実感は薄い。景気回復の恩恵が、大企業を中心にした都市部の企業にとどまり、家計や地方への波及が遅れているためだ。

 所得格差や、大企業と中小企業、都市と地方の格差への対応が、参院選の焦点の一つになっているのは当然だろう。

 「成長を実感に」を掲げた自民党は、経済成長により国民生活を底上げすることで、格差解消を目指す姿勢だ。「人口減少下でも実質2%台半ばの経済成長を目指す」とし、若者の雇用機会の確保や中小企業の活性化、地域再生の推進策などを公約に列挙した。

 公明党も、若年雇用対策の推進などを打ち出した。

 民主党は、「生活が第一」を掲げて、より直接的に格差を解消すると訴えている。現在は全国平均で時給673円の最低賃金を、3年をめどに1000円に引き上げ、中小企業予算は3倍に増やすなどとしている。農家の生産コストを補償する制度も作るという。

 最低賃金の大幅引き上げを主張するのは、共産党、社民党も同様だ。

 格差対策は国民の生活に直接、影響するだけに、選挙で支持を訴える重要なポイントになる。だが、公約である以上、経済政策全体の中での位置づけや、財政政策などとの整合性も問われよう。

 日本経済の最大の課題は、少子化の下でいかに活力を維持していくかだ。格差対策にも、経済をどう成長させ、その果実をどう配分していくかという、成長戦略の一環としての視点が必要になる。

 各党の主張は、その点で踏み込み不足の感が否めない。

 経済成長の目標達成に必要な生産性の向上や、新産業の育成をどう実現していくのか。明確な工程表を示せなければ、成長による格差解消という戦略の信頼性にも疑問符が付く。

 中小企業や農家といった弱い部分への支援は必要だ。だが、日本経済の将来像があいまいなまま公的支援を大盤振る舞いしたのでは、補助金頼みの産業構造を温存し、かえって成長を阻害することになりはしないか。

 地方の再生には、地方分権の推進で、自治体のやる気を引き出すことがカギとなる。だが、その裏付けとなる税源についての論議は少ない。

 これらの点をもっと掘り下げた政策論争をこそ、有権者は期待している。
(2007年7月23日1時43分  読売新聞)

テレビの録画 コピー規制は緩和した方が良い(7月23日付・読売社説)

 デジタル放送のテレビ番組はもう少し録画・複製がしやすくても、良くないか。

 現在は、録画装置の本体に記録した後は、1回しかDVDにコピーできない。本体の元データはコピー後に消える。

 好きな番組を1枚のDVDにまとめて旅先で見ようとしても、すでにDVDに移してあればできない。

 「コピーワンス」と呼ばれるこの制約について、総務省の委員会が緩和策をまとめた。DVDへのコピーを9回まで許容する。本体への録画を含め、コピーは計10回可能になる。DVDからの孫コピーは、今と同様、できない。

 視聴者には、朗報だ。

 制約には理由があった。デジタル的にコピーすると画質は劣化しない。海賊版が次々に作られては著作者やテレビ局はたまらない。

 だが、副作用も深刻だ。DVD付き録画装置の市場は盛り上がらない。次世代DVDの規格が二つに分裂したこともあるが、コピーワンスは重い足かせだ。緩和策に沿って、録画装置のメーカーなどは、視聴者の利便性が高まるよう早急に対応してほしい。

 政府は、地上アナログ放送を2011年に完全停止する方針だ。携帯電話の普及で不足している電波を、テレビのデジタル化で効率的に利用することを目指している。そのためには、デジタル受信機に買い替えを促すのも急務だ。

 緩和策を話し合った総務省の委員会では、アナログ波停止に反対、という意見まで出た。デジタル放送には高画質、高音質、文字情報の付加といった利点もある。今回の緩和策と合わせて、理解を広める取り組みを強化せねばならない。

 ただ、コピーの緩和が、著作者や番組制作者たちの権利を侵害する事態を招くのは好ましくない。きちんと対価が支払われる制度の整備が欠かせない。

 録音・録画装置やDVDなどの記憶媒体は現在、コピーを認める代わりに「私的録音録画補償金」が上乗せされ、販売されている。この補償金が、メーカー経由で著作権者たちに渡っている。

 著作権法を所管する文化庁は、デジタル放送についても、この制度を整備してコピー緩和を後押しすべきだ。

 欧米諸国は、コピーに強いデジタル技術の特徴を積極活用している。フランスは、コピーの自由を広げる一方、高額の私的録音録画補償金を課している。著作物の流通を加速させて、収益性を上げ、創作現場の意欲を高める狙いだ。

 世界の流れをにらんだ著作権制度が求められる。
(2007年7月23日1時44分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月23日付 編集手帳

 日本で「八」は、末広がりの字形から縁起の良い数字とされてきた。では、漢字の本家、中国の吉数は? 答えはやはり「八」だが、理由がまるで違うところがおもしろい◆中国語で「財をなす」「金持ちになる」を意味する「発財」の「発」と「八」は、広東語では同音。商才にたけた広東や香港の人々が「八」をとりわけ好んだことから、吉数の代表格になったようだ◆北京五輪が1年後に迫ってきた。開幕は2008年8月8日午後8時(現地時間)と、8が四つも並ぶ。その効用でもあるまいが、ホテルの建設ラッシュなど、北京は五輪特需に沸いている◆ただし、ルール違反、モラル欠如の「発財」主義はもってのほかだ。有毒物質を含む食品や日用品が中ら大量輸出され、世界中で問題になっている。北京での「段ボール入り肉まん」報道もねつ造だった。視聴率稼ぎという点で、「発財」主義と同根と言えるだろう◆今年春に北京市は毎月11日を「列に並ぶ日」に制定した。「11」は人が2列に並ぶ様だ。駅や停留所で割り込まない。痰(たん)は吐かない…。五輪開催国にふさわしいマナーを市民に浸透させるのだという◆1988年のソウル五輪は、韓国国内では88(パルパル)五輪とも呼ばれ、モラルやマナーが向上した年として記憶されている。中国の08年8月8日は――。
(2007年7月23日1時44分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】中教審 道徳充実へ真剣な議論を

 次期学習指導要領について検討する中央教育審議会の最近の議論には首をかしげたくなる。徳育を新たな教科とする政府の教育再生会議の提言に、積極姿勢がみられない。徳育を教科とし、教科書をつくることは道徳教育充実の具体策として有効だ。中教審はこの提言を真剣に議論すべきだろう。

 再生会議は第2次報告の柱として「徳育を教科化し、現在の『道徳の時間』よりも指導内容、教材を充実させる」と明記した。

 これに対し中教審教育課程部会の梶田叡一部会長は、講演で道徳を正規教科とせず教科書検定も行わないとの見通しを示した。中教審は指導要領改訂の方針について今秋にも中間まとめを出す予定だが、徳育教科化の具体的な議論が進んでいないのは残念だ。

 確かに道徳教育充実について中教審はすでに議論してきた。体験活動を通し子供たちの社会性、感性を養うことなど再生会議の提言に盛り込まれた多くは中教審の提言とも共通する。

 しかし、道徳の授業は形骸(けいがい)化が指摘されながらも改善されていない。学校や教師の指導力による差が大きく、道徳の授業がない学校さえある。再生会議が教科化に踏み込んだのも、こうした実態を変えるねらいがある。

 現在の道徳副教材などをみると、工夫されているが子供たちの心をとらえ、生き方の手本となるような教材として物足りない。再生会議は「多様な教科書と副教材をその機能に応じて使う」とし、ふるさとや国内外の偉人伝、古典などの活用を例示している。大いに参考にしてもらいたい。

 道徳教科書の検定に対しては「価値観の押しつけ」など他の教科以上に反対があるが、検定の役割は誤った記述を直し、子供の成長過程を考えバランスのとれた教材作成を促すものだ。

 中教審の山崎正和会長が「個人の意見」として「道徳教育はいらない」などと発言したが、家庭や地域の教育力低下が懸念されるいま、学校の道徳教育充実は急務だろう。中教審では一部委員から山崎氏の発言を疑問視する意見もでている。

 中教審では今後、道徳教育について集中審議の機会を持つとしている。再生会議の提言をふまえ、教材や指導内容充実に向け議論を深めてほしい。

(2007/07/23 05:03)

【主張】中越沖地震 多くの課題を突きつけた

 新潟県柏崎市などで震度6強の揺れを観測し、多くの死傷者を出した中越沖地震から、1週間がたった。

 今も多数の被災者が、学校の体育館などで不自由な避難所生活を送っている。今回の地震からも、幾つかの課題や問題点が浮き彫りになった。今後の教訓として生かす必要がある。

 まず、評価したいのは政府、新潟県の地震への迅速な対応であろう。発生2分後には、首相官邸に官邸対策室が設置され、泉田裕彦・新潟県知事の自衛隊災害派遣要請も早かった。

 安倍晋三首相は、地震発生時は長崎市で遊説中だった。発生4分後に一報を受け、直ちに遊説を打ち切って帰京し、自衛隊のヘリで柏崎市に入り、被災者を激励した。

 野党などからは、「選挙対策もいいところだ。首相が行けば、受け入れ先は、地震で混乱しているところに、拍車をかけるだけだ」と冷ややかな見方もあるが、そうではあるまい。

 一国の指導者の迅速な対応は、不安いっぱいの被災者や国民に安心感を与える。ただ、地元は大げさな警備態勢を避けるなどの配慮が必要だ。

 すべては、6000人以上の犠牲者を出した12年前の阪神大震災の教訓からである。この時は、村山富市首相(当時)への一報が遅れ、兵庫県の自衛隊派遣要請も大幅に遅く、政府の危機管理能力の欠如を露呈した。

 また、全国からのボランティアや医師の派遣など支援体制はスムーズにいった。米国からはエアコン96台が新潟県に寄贈され、各避難所に配布された。米政府に謝意を表したい。

 数々の課題も残った。柏崎刈羽原発で火災が発生、ごく微量の放射性物質が漏出した。全国に原発を抱えるわが国にとって、原発の安全性、耐震強化が急がれる。

 さらに、亡くなった10人全員が70歳以上の高齢者で、避難所で体調不良を訴えるお年寄りも続出している。災害弱者をどのように救助するかも今後の問題点である。一刻も早いライフラインの復旧対策、古い木造建築の耐震強化など、改善すべき点は多い。

 地震はいつ、どこで起きるかわからない。その時に備え、被害を最小限に抑える日ごろの準備と心構えなど地震対策に万全を期したい。

(2007/07/23 05:02)

【産経抄】

 「盆踊りの本来の意味は何か」「なぜ進物に紐(ひも)をかけるのか」。今年上半期の新書部門で1位になったのは、こんな素朴な疑問にわかりやすく答えた『日本人のしきたり』(青春出版社)だった。

 ▼実は4年前に発売されていて、今年に入って突如ベストセラーになった珍しいケースだ。宮内庁書陵部で首席研究官を務めた編著者の飯倉晴武さんも首をかしげているらしい。

 ▼ 衆議院本会議中に携帯電話を操作する議員、「パチンコで負けたから」と子供が通う保育園にお金を借りに来る親、家庭ゴミであふれる公園のゴミ箱。小紙連載の「溶けゆく日本人」には、目を覆いたくなる社会の劣化ぶりが描かれていた。揚げ句の果てに年金記録の記載漏れの発覚である。

 ▼日本人の振るまいが醜くなったのは、効率や便利さばかりを求めて、年中行事や伝統文化をないがしろにした結果ではないのか。そんな危機感が追い風になったと小欄は見る。きょう発売の『別冊正論 “世界標準”は日本人を幸福にしない』も、問題意識は同じだ。

 ▼小泉純一郎前首相の構造改革に代表される平成の「改革」の功罪をさまざまな角度から検証している。一時は旗手に祭り上げられた村上世彰氏らの境遇をたどるまでもなく、世論や裁判所の判断を含めて潮目が変わった。では、日本にふさわしい改革とは何か。

 ▼ その答えのひとつを、サッカーアジア杯準々決勝で、強豪オーストラリア相手に懸命に走り続ける日本代表チームのなかに見つけた。東京五輪時代から日本を知るオシム監督は、当時に比べて豊かになりすぎた今の日本人が、勤勉さを失っているように感じているらしい。監督のいうサッカーの「日本化」とは、かつての美質を取り戻すことにほかならない。

(2007/07/23 05:01)


【日経・社説】

社説1 教育の未来像を示し有権者にこたえよ(7/23)

 教育をめぐる課題が山積しているのに、選挙戦では議論が低調だ。特効薬のない問題だけに下手に争点化したくないとの思惑もあろうが、各党はいま一度論戦を盛り上げ、有権者の関心にこたえてもらいたい。

 マニフェスト(政権公約)をみる限り、与野党とも教育を軽視しているわけではない。安倍晋三首相は教育改革を最重要課題と位置付け、これを受けて自民党のマニフェストは「教育再生」を強調している。関連法改正が成った教員免許更新制などの「円滑な実施」や「確かな学力と規範意識の育成」をうたう。

 民主党は公立高校の授業料無料化や、教育への財政支出の5割増加などを打ち出した。「義務教育での国の責任を明確にする一方、学校の運営は地方自治体が責任を持つ制度に改める」として、教育行政に対する国と地方の役割分担にも触れた。

 残念なのは、こうした公約に具体性が乏しいうえ、両党の間で議論がかみ合っていないことだ。

 自民党が「円滑な実施」を約束する教員免許更新制は、実際の制度設計は文部科学省に委ねられており、本当に教師の資質向上に役立つのかどうか不透明だ。学力向上や規範意識の育成も掛け声先行の印象が否めず、具体策がはっきりしない。

 民主党が掲げる公立高の授業料無料化は聞こえのよい公約だが、財源をどう手当てするのかあいまいだ。地方自治体が学校運営に責任を持つとした点は注目に値するものの、教育委員会のあり方や国の責任との兼ね合いなどが説明されていない。

 互いに漠然とした政策のイメージを並べ、言いっ放しに終わるのであれば有権者は戸惑うばかりだ。選挙戦は残り少なくなったが、それぞれの描く改革の中身をもっと分かりやすく示すことができるはずだ。

 そこで求められるのは、学力低下やいじめなど個々の課題への対策だけではない。文科省による護送船団方式の教育制度をどう見直すかといった骨太の議論も期待したい。

 官僚の統制を緩めて現場の裁量の幅を広げ、学校運営や教育内容、方法を多様化する――。経済界を含め、そうした分権改革を唱える声は少なくない。その是非を論じ合うことも必要ではないか。

 およそ教育問題にすっきりした「解」はない。しかし有権者の審判を仰ぐ各党はそこから逃げることなく、堂々と未来像を示してほしい。

社説2 政治資金、公開方法の改善を(7/23)

 参院選の大きな争点の1つは「政治とカネ」の問題だ。自殺した松岡利勝前農相の「何とか還元水」をはじめ、与野党を通じて、不明朗な政治資金の処理が相次いで表面化したのだから、関心が高まるのは当然だろう。前通常国会で改正したばかりの政治資金規正法の再改正が議論になっているが、各党にまず取り組んでもらいたいのは、政治資金収支報告書の公開方法の改善だ。

 赤城徳彦農相の政治資金の処理で新たな問題が発覚した。関連政治団体が03年までの7年間、東京都内の雑居ビルから退去済みだったにもかかわらず、この場所を「主たる事務所」としたまま事務所費などを計上していた。農相は「事務所を移転した後、会計責任者が届けを怠っていた」と釈明した。

 農相をめぐっては別の政治団体が茨城県筑西市の実家を主たる事務所にしながら巨額の経常経費を計上していたことが判明している。塩崎恭久官房長官の事務所費についても共産党は「多額の使途不明金がある」と追及している。「政治とカネ」の問題を契機とした政治不信の高まりは、憂うべき事態だ。

 生活費を除くと、政治家の財布は3つに大別される。政治家に1つだけ認められている資金管理団体、その他の政治団体、政党支部の3つである。それぞれの収支報告書の提出先は総務相と都道府県の選挙管理委員会の2つに分かれている。しかも各団体間で複雑な資金移動があるから、1人の政治家の政治資金の全体像を解明するのは容易でない。

 政治家個人への企業・団体献金が禁止されてから、政党支部がその受け皿になった。政党支部の収支報告書の提出先は都道府県選管だが、そこからカネが移る資金管理団体は総務相の所管が多い。わざとわかりにくくしているとしか思えない。

 少なくとも国会議員については、関連する団体の収支報告書の提出先を総務相に統一し、インターネットで直ちに詳細を公開するぐらいの透明性が求められる。各団体の収支を一覧できるようにすれば、監視の目が強まる効果が期待できるからだ。収支報告書の公開方法の改善についても、与野党間で活発な議論を展開してもらいたい。

【日経・春秋】(7/23)

 選挙は記者の血をわかせる。参院選は1人区の動向が焦点というので西日本のある選挙区を取材した。与党現職にふたりの野党候補が挑む構図だが、ここで負けるようなら与党は1人区で総崩れになる、とプロが見る保守王国だからだ。

▼この県では既に鬼籍に入った元首相が長い間、影響力を誇った。与党の候補は元首相と同じ町の出身だ。野党候補のひとりは衆院議員の長女。かつて元首相の派閥にいた父親は、小京都と呼ばれる城下町の旧藩主の子孫だから、昔なら「お姫さまご出馬」の大事件だ。さすがにそんな声は地元でも聞こえなかった。

▼お姫さまが売りではないのは「抵抗勢力」を掲げた主張でもわかる。一方、与党側も候補者だけでなく、元首相の側近で「参院のドン」とも呼ばれる地元実力者も、小泉政権時代には抵抗勢力に近いとみられていた。過疎に悩む1人区の選挙運動の最前線――。地域振興策に限れば、違いは小さいようにも見える。

▼山中にある小京都を歩いた。選挙事務所をのぞいたが、運動員たちはポスター張りに出払っていた。平日のせいか、城下町の香り漂う通りに人影はなかった。が、突然、自転車に乗った3人の若い女性観光客が目に入り韓国語が耳に響いた。格差を嘆く地域の生き残り策のひとつが国際化にある現実の断面を見た。


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