« 7月23日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。 | トップページ | 雑談日記が制作したのが分かるようなリンク設定か作成元紹介をお願いします。⇒広島瀬戸内新聞ブログ版さんへ »

2007年7月24日 (火)

7月24日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

お勧めPDA・電子辞書

 今政治ランキングが熱い、リベラル系が大幅に進出。確認したければ、バナークリック。(ランキング参加の意義)
人気blogランキングバナー

SOBA自作のバナーです。
SOBA個人用バナー「僕は青空と平和が好きだから天木さんを応援します」

ZAKIのバナー


【沖縄タイムス・社説】(2007年7月24日朝刊)

[参院選の争点]不安解消の政策論争を

 過半数獲得を目指して与野党が激しくぶつかり合う参院選は、二十九日の投票まで一週間を切った。有権者の関心はかなり高い。

 共同通信社の全国電話世論調査によると、今回の選挙に「関心がある」と答えた人は81・9%で、参院選としては過去最高を記録。沖縄タイムス社と朝日新聞社が県内の有権者を対象にした調査でも89%の人が「関心がある」と答えている。

 この数字の背後から聞こえてくるのは、政治の現状に対する有権者の強い怒りと、、将来の生活不安を訴える悲鳴にも似た声である。

 投票する判断材料として年金問題を「重視する」と答えた人が県内では90%に達した。かつてないほど高まっている怒りや不安にどう答えるかが選挙終盤の大きな論点になりつつある。

 安倍晋三首相は就任以来、ことあるごとに「戦後レジーム(体制)からの脱却」を訴え、国民投票法の制定、教育基本法の改正、集団的自衛権に関する政府解釈の見直し作業などに力を注いできた。年頭の記者会見では、憲法改正を参院選の争点にしたい、と明確に語っている。

 だが、首相の思惑は年金問題の急浮上、「政治とカネ」をめぐる疑惑、閣僚の相次ぐ不適切発言などで吹っ飛んでしまった。

 安倍政権は改憲の争点化に失敗し、民主党が争点化した「国民の生活が第一」という土俵で戦わざるを得なくなったのである。

 景気回復というけれども、地方の中小企業や零細企業にはその実感がない。企業は儲けたというけれども、低賃金を強いられる非正規雇用の人たちにその恩恵は届かない。

 地方分権というけれども、地方交付税が減らされただけで、それに見合った税源移譲も権限委譲も進まず、自治体はどこも火の車。医療の現場では患者が高負担に悩んでいる。

 新自由主義的な経済政策の中でさまざまなひずみがこの社会に生じている。暮らしの現場が疲弊し、制度への信頼が失われ、将来への不安が高まっている。

 東京のような「勝ち組地域」からは見えにくいが、沖縄のような場所からはこのような社会のゆがみが実感として感じられる。

 これらの暮らしの問題にどのような政策で対処していくのか。それが「生活の争点化」ということではないか。

 政策の光と影をぶつけ合うような論争ではなく、まん延する影の部分をどうするかの政策論争が深まることを期待したい。

[米ツアー準優勝]栄冠はもうすぐそこだ

 宮里藍選手が米女子ゴルフツアーのHSBC女子世界マッチプレー選手権で準優勝を遂げた。

 米ツアーに本格参戦して二年。今度こそ頂点を極めてほしかったが、相手が昨季のツアー最優秀新人に輝いた新鋭とあっては簡単にはいかない。序盤のつまずきを立て直す間もなくリードを奪われ、終盤の追撃及ばず、一ホールを残して逃げ切られてしまった。

 昨年は一回戦負け。今回は並み居る強豪が敗退する波乱の中、好調なパットと、逆境に真価を発揮する強い精神力で勝ち進んだ。

 一ホールごとに勝負がつくマッチプレーは宮里選手に適しているといっても過言ではあるまい。相手との駆け引き、ミスをしても気持ちを切り替えて次につなげる心技体の均衡の取れたプレースタイルは見事だった。栄冠を得るのももうすぐだ。

 決勝で見せた、先行されてもあきらめないひたむきな姿勢は、沖縄だけでなく全国のジュニアにも好印象を与えただろう。インタビューを受けるときに流した涙は次戦への決意の表れ。負けて悔し涙を流した経験のある子どもたちには、競技の枠を超え、好意を持って受け入れられたはずだ。

 ゴルフを知らない中・高年女性のファンが多いのもうなずける。試合のときに見せる厳しさと、勝負から解放されたときに見せる表情の落差が、彼女たちの感性を刺激するのだろう。

 ジュニア大会の先駆け、沖縄ジュニア選手権が予選会をしなければならないほど活況を呈している県内ジュニアのゴルフ熱。第二、第三の宮里選手を目指している子どももいる。

 強さが際立つ宮里選手だが、土台には幼いころから植え付けられたマナーの良さや礼儀正しさがあることを忘れてはなるまい。

 逆境に追い込まれたとき、重圧に押しつぶされそうになったとき真価を発揮するのはこれら人間としての素養の深さだ。宮里選手を模範とすべきは、これら精神的土台の強さだということを肝に銘じたい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月24日 朝刊 1面)

 当選した議員たちが決める政策の影響を、より多く受ける世代なのに、投票率が上がらない。「若者」と「政治」の間にあるのは、深い溝。

 大学生が議員のもとで「政治」を体験する「議員インターンシップ」というおもしろいプログラムがある。学生たちは事務所での電話応対から街頭でのビラ配りなどに走り回っている。

 取り組むのは東京に本部を置くNPO法人「ドットジェイピー」。春夏二回の募集で、前回の参加者は五百九十六人。受け入れは各党にまたがり、一九九八年以降、五千三百九十人がインターン生となった。

 実際に体験することは強いインパクトを持つ。衆院議員のインターンとなった学生が「政治に対して少し近づいた」と活動報告しているのが印象に残る。「自ら動かなければ何も始まらない」ことを学んだとも。

 同法人の調査によると、インターン前と後で、政治に対するイメージは「良い」が20%から85%へ、「必ず選挙に行く」は41%から83%へと大きく変わっている。卒業生の中からこれまで二十七人の地方議員が誕生。今回の参院選にも一人が立候補している。

 キャラクターやCMを駆使して投票を呼び掛けても若者の反応はいまひとつ。溝をつくっているのは無関心やあきらめというより当事者意識だ。政治と「私」をつなぐ回路をどう見いだすか。投票率アップに秘策はないが、「政治って案外身近なもの」という実体験は、じわじわ効きそう。(森田美奈子)


【琉球新報・社説】

県事務権限移譲 住民本位の自治の確立を

 事務処理の特例条例に基づき、都道府県が市町村に権限を移譲している事務の数は、沖縄が全国で最も少ないことが地方行財政調査会(東京)の調べで分かった。
 地方分権が叫ばれて久しい。「地域のことは地域の責任で自ら担う」との理念だ。分権型社会の実現は、国民や県民から幅広く支持され期待も大きい。
 2004年の県民選好度調査では「県や市町村へもっと権限を移した方がいい」との回答が約9割に上っている。権限移譲に異論を差し挟む余地はない。
 今回の調査によれば、県から市町村へ委譲された事務数(今年4月1日現在)は、その事務を定めた法律の数で比較した場合、全国平均の47・5本に対し沖縄は8本にとどまっている。最も移譲が進んでいる静岡県の1割にも満たない。
 県民の期待に逆行して県内ではなぜ移譲が遅れているのか。県総務部の見立てでは、県内自治体は規模の小さな町村が多く「権限移譲には消極的なところが多い」との分析である。
 事務移譲に伴って当然、市町村は事務量が増える。しかし、自治体では負担増や専門性に見合うスタッフの配置など、新たな事務に対応できる態勢にない。財政的にも対応が難しい。受け入れたくても、現状ではとてもそこまで手が回らない。
 市町村を尻込みさせている大きな理由は、ありていに言えば、そういうことなのだろう。市町村合併が進んでいない県内事情も背景にある。
 だが、行政サービスを受ける住民の側に視点を移せば、今のままでいいはずはない。移譲事務には各種申請や届け出の受理など、住民の利便性に直結するものが少なくないからだ。
 例えばパスポートの申請は、旅券法に関する事務移譲に伴い市町村レベルで発給できるところが全国的に増えているが、県内ではまだ不可能だ。
 県は3月に権限移譲推進指針を策定した。関連した事務権限をひとまとめにして市町村に移譲する包括移譲である。具体的には「地域づくり」「安全・安心」など5つの分野で22のパッケージから選択できる方式を提示。市町村との協議や条例改正を経て来年度から移譲を増やす方針だが、もっと取り組みを加速すべきだ。
 指針には、事務処理に必要な経費を交付する財政支援や職員の研修制度など人的支援策が盛り込まれている。きめ細かな支援策で市町村を「その気にさせる」のは県の仕事だ。
 市町村も分権の趣旨を実現するため、受け皿を早急に整備して住民本位の自治を確立してほしい。

(7/24 10:20)

警察白書 暴力団の資金源を断とう

 警察庁が公表した2007年版警察白書の特徴は「暴力団の資金獲得活動との対決」の特集を組んだことだ。全国に衝撃を与えた長崎市長射殺事件や愛知県での銃乱射事件など暴力団員、元構成員などによる凶悪事件が後を絶たない。
 銃器事件だけではない。暴力的な威圧を背景にした企業や自治体への不当要求も相次ぐ。企業活動を仮装・悪用したり、証券取引の分野にも進出するなど資金獲得は多様化かつ巧妙化している。
 白書は、こうした社会情勢を色濃く反映した記述が目立つ。
 暴力団の資金獲得活動は日本経済の健全性を損ない、いずれは国全体の利益を危うくするとの危機意識を示した。「社会全体で対策を進める必要がある」と強調したのは当然だ。
 暴力団の取り締まりをめぐっては、1992年に暴力団対策法が施行され、暴力的要求行為に対して警察は中止命令が出せるようになった。以前のように飲食店などに対し「縄張り料」や「みかじめ料」といった露骨な不当要求は大幅に減少している。
 今年3月には犯罪収益移転防止法が成立し、疑わしい取引については金融業者や不動産業者らに届け出を義務付けた。
 しかし、それでも暴力団の勢力は衰えていない。その数は8万人台とされる。裏を返せば、組織を賄えるだけの資金力を維持していることになる。
 気になるのは、暴力団と建設業との関係だ。バブル経済期のころ暴力団は元構成員らを使い、建設業や不動産業と盛んにかかわったが、白書は今でも暴力団と一定の関係を意図的に持つ建設業者がいると指摘した。建設業3千社を対象に実施したアンケートでも、3割強が「暴力団と関係を有する業者がいると聞いたことがある」と回答している。
 言うまでもなく、暴力団の根絶には警察の捜査力、摘発力の向上が不可欠だ。もう一つのポイントは、企業や自治体、地域が連携して暴力団の資金源を断つ有効な仕組みを作り上げられるかにかかっている。

(7/24 10:18)

【琉球新報・金口木舌】

 古代中国の気候は現在よりもはるかに温暖で、野生の象がいたという
▼中国文字文化史が専門の阿辻(あつじ)哲次(てつじ)さんの「漢字の字源」(講談社現代新書)によれば、韓非子(かんぴし)の時代には人々は生きた象を見ることができず、心の中で思い描く「象を想(おも)う」が、「想像」という言葉の由来という
▼中国最古の詩集「詩経」にはさまざまな動植物が登場するが、それらが実際にどういうものかを解説する専門書が早い時代から作られた。乱獲や乱開発が著しい近現代では、それこそ説明が必要な動植物は増加の一途だ
▼ヤンバルクイナ発見に貢献した元高校教諭、友利哲夫さん(74)が初の写真集「島の自然を見つめて」を発刊した。交尾するヤンバルクイナや餌に食らいつくイリオモテヤマネコ。40年余にわたって撮影した希少な動植物や、やんばるの原風景など268点を収録する
▼元来、学校教材用に撮り始めたが、写真集からは徹底した現場主義と古里の自然や文化への深い愛情が伝わる。22日に名護市内で開かれた出版祝賀会で県写真協会の金城幸彦会長は「沖縄のすべてが凝縮されている」と評した
▼このままでは沖縄の希少な動植物も想像に頼ることになるぞ。写真集からはそんな警告も聞こえてくる。

(7/24 9:38)


【東京新聞・社説】

政治とカネ 襟を正す気はないのか

2007年7月24日

 次から次へとよく出てくるものだ。赤城徳彦農相に新たな事務所費問題が浮上した。別の閣僚も不透明な支出を指摘された。にもかかわらず、説明も制度改革も中途半端だ。襟を正す気はないのか。

 赤城氏の関連政治団体「つくば政策研究会」が、すでに退去している事務所の経費を七年間にわたり、計約千二百万円計上していた。赤城氏は「問い合わせを受けて初めて団体の存在を知った。事務所を移転した後、会計責任者が届けを怠ってきた」と釈明した。

 赤城氏をめぐっては、後援会が茨城県内の実家を「主たる事務所」としながら、十年間に約九千万円の経常経費を計上していたことが分かっている。後援会の事務所費が疑われたら、自らが関連する政治団体すべてを調べるのが常識だろう。公人たる閣僚ならなおさらのことだ。

 民主党の菅直人代表代行は「領収書を添えて説明できないなら辞任すべきだ」と述べている。

 事務所費問題で、私たちは領収書をつけて内訳を明らかにすべきだと主張してきた。それ以外に国民の政治不信を解く方法はないと考えるからだ。

 先週には共産党が、塩崎恭久官房長官の地元後援会と自民党の選挙区支部の二〇〇五年の事務所費に、約千三百万円の使途不明金があると指摘した。志位和夫委員長は「疑惑といわれても仕方のない事態だ」と追及している。

 塩崎氏は「選挙目当てだ。厳重に抗議したい」と反論しながらも「政治資金規正法にのっとって適正に処理されている」と、領収書など明細の公表は拒んだ。これまで閣僚の事務所費問題が起こるたびに繰り返されてきた台詞(せりふ)と同じだ。

 参院選で劣勢を伝えられる自民党は、所属国会議員の政治資金の流れを資金管理団体に一本化する党内規定を設ける方針を打ち出した。

 先の国会で成立した改正政治資金規正法は、資金管理団体に限り、一件五万円以上の経常経費に領収書添付を義務付けたが、赤城氏の場合のような政治団体は対象外だ。野党から「ザル法だ」と批判され、安倍晋三首相が内規見直しを指示した。

 だが、なぜ内規なのか。違反者には刑事罰を科すことができるよう法の不備を改めるのが筋だろう。

 資金管理団体に事務所費だけを一本化する案も出ている。内規の具体化は参院選後だ。選挙が終われば、骨抜きにされる懸念も残る。

 この参院選では政党と政治家の姿勢に有権者の厳しい目が注がれている。そのことを忘れてはならない。

情報通信社会 外に弱いのが気がかり

2007年7月24日

 今年の情報通信白書は、国内で強く海外で弱い日本技術の内弁慶ぶりを指摘した。世界標準の流れを見誤ったり、設備投資に後れを取ったりしたことが響いた。国際競争力の回復が最優先の課題だ。

 通信ネットにつながった情報機器がすぐ身の回りにあるのが近未来のユビキタス社会とされている。

 今年の白書は「ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開」がテーマだ。

 情報通信産業は、自動車を抜いて全産業の一割を占めるまでに成長した。しかし、国内とは対照的に国際競争力の低下が目立つと白書は指摘している。

 日本のDVDプレーヤーは十年前、世界シェアの30%以上を占めていたのに、最近は半分以下。15%以上だったノートパソコンも約10%に減った。

 お家芸だった半導体も十年前は世界市場の約28%を占め米国に続く二位だったのに昨年は半減した。液晶パネルも八年前の52%から昨年は10%にまで急落している。

 携帯電話機は、国内こそ国産が圧倒しているが、世界シェアで見ると6%にすぎない。

 日本の情報機器全体で見ても国外での販売比率は約40%にとどまっている。内弁慶と指摘されてもしかたがない。

 携帯電話は日本が独自規格にこだわって、世界標準の流れに乗り遅れてしまった。

 半導体では、日本がバブル後の不況で国際的な設備投資競争に後れをとったのが災いした。

 情報産業全体でも設備投資の遅れが目立つ。米国は一九九〇年以降、六倍にもなるのに、日本は約二倍の伸びにとどまっている。

 大学の関連学部卒業生の少なさも気になる点だ。日本の約三万人に対して米国は八万人、インド十二万人、中国は十八万人と格段に多い。

 日本が国際競争力を回復するためには、設備や研究開発投資を増やすことがまず大切だ。

 幸いなことに、ここ数年の景気回復で企業には投資の余力が生まれている。

 海外の投資グループによる企業の合併・買収(M&A)に対抗するためにも、設備や研究開発で基礎体力を付けることが役立つに違いない。

 学生数の差は将来の競争力の差につながる。志望学生を増やすには魅力ある職場づくりが大切だ。

 企業には設備投資と並行して賃金など待遇引き上げを望みたい。目を広く世界に向け、可能なものから早急に対策を進めることが必要ではないか。

【東京新聞・筆洗】2007年7月24日

 藤木君のことが気になっている。今月から朝刊で連載が始まった漫画『ちびまる子ちゃん』の登場人物の一人だ。「暗い二人組」のうちの一人という脇役なのだが、三回も主役級で登場している▼藤木君はテストでカンニングをし、パン屋ではつりが多くても黙っていて、掃除当番は友だちをだまして押しつけてしまう。まる子は「みんなが言うほど卑怯(ひきょう)じゃないと思うんだ」とかばうが、藤木君自身、卑怯だと自覚して悩んでいる。オチでは「オレってレベル低いなあ…」とつぶやく▼漫画は昭和四十年代の日常をテーマにしており、小学三年生のまる子は作者のさくらももこさんがモデル。さくらさんには藤木君と同じような悩みを抱えていた時期がある。幼年期のエピソードを綴(つづ)った『おんぶにだっこ』(小学館)で告白している▼小学一年生のとき、同級生のランドセルに誤って傷をつけてしまった。自分がやったと正直に言えず、やがて同級生の仕業となってしまう。「たくさんの苦悩が何カ月間も心に渦巻き続けた」という▼さくらさんには社会問題を連載で取り上げる考えはないというが、藤木君が登場すると今の社会を意識せずにはいられない。同じ新聞に、だましたり、ごまかしたり、隠したり、見て見ぬふりをしたりと、大人の社会で起きている卑怯な出来事がたくさん載っている▼でも自分は卑怯だと自覚して悩んでいるかといえば、そうでもないような人が多く見受けられる。自らを戒めながら、藤木君に「大丈夫。レベル低くないよ」と声をかけたくなる。


【河北新報・社説】

07参院選を問う<政治とカネ>/透明性、公開性は大前提だ

 またカネの問題かと、うんざりする。政治は信頼を回復できるかどうか崖(がけ)っぷちに立っていると言えるのではないか。
 先の国会では、政治資金管理団体に限り、人件費を除く5万円以上の経常経費に領収書の添付を義務づける改正政治資金規正法が成立した。

 だが、その法にわずか1カ月もたたないうちに、見事なまでに抜け穴が露見し、かねての批判が実証されてしまった。
 茨城県内の実家を後援会事務所として県選管に届け出て、多額な経常経費を計上していた赤城徳彦農相の問題だ。

 要約すると、赤城氏は実家を「主たる事務所」として届け、1990―2005年の16年間で計1億2000万円の経常経費を計上した。
 その事務所について、赤城氏の父親らは、実体がないと述べ、騒ぎが大きくなってから撤回したが、疑いが晴れたと思っている人は少ないだろう。

 赤城氏本人は、事務所は実家のほかにも水戸などにあり、経費は3事務所分を合算しているとし、「付け替えや架空経費は一切ない」と弁明する。
 だが、事務所ごとの明細や領収書を示す考えはなく、「政治資金規正法にのっとって、処理し、収支報告書に記載している」と繰り返すばかりだ。

 領収書を公開すれば済むことだと思うのだが、赤城氏の姿勢は、「ナントカ還元水」を再三追及されながら、規正法を盾に、頑として応じなかった故松岡利勝前農相とそっくりだ。
 任命権者として安倍晋三首相が、国民に対する説明責任を果たすよう指示せず、赤城氏をかばい続けているのも不思議な現象だ。

 それより問題なのは、今度の改正規正法が、経常経費を5万円以下に小分けして領収書を不要にしたり、資金管理団体以外の政治団体に支出を付け替えたりできる「ザル法」との批判が渦巻いていたことだ。
 改正規正法がそのままだと、今回の赤城氏のようなケースは、資金管理団体以外の政治団体に当たるため、全く対象外になるわけだ。

 自民党内には、内規で政治資金を資金管理団体に一元化しようとする動きもあるが、これだけ、政治資金の不透明性が問題になっている以上、対象の政治団体を広げたり、経常経費として提出すべき領収書の額を下げるなど、さらに厳正な法改正が必要だ。

 それにしても、政治資金をめぐる不明朗な問題はいつまで続くのだろうか。民主党でも、角田義一参院副議長が献金の不正疑惑で辞任、小沢一郎代表は事務所の10億円を超える不動産所有について説明したが、庶民感覚からすれば、違和感をぬぐえない。

 政治資金の透明性、公開性の担保は、国民との信頼を築く大前提だ。政治の世界だけに、仲間内の独善的なルールが通用する非常識を早急に終わらせねばならない。
 参院選のさなか、与野党とも「政治とカネ」に対する姿勢を明確にする必要がある。
2007年07月24日火曜日

【河北新報・河北春秋】

 さまざまな商品の消費額には住民の特色が浮かぶ。例えばこんなふうに。青森市の場合。ここは女性の化粧水、ファンデーション、口紅などの購入額が全国最低。色白で美肌、素っぴん美人が多いはずだ、たぶん▼山形市。この街で全国一の購入額を誇るのが、サトイモ、こんにゃく、しょうゆ。これは理由は分かりますね。芋煮会だ。なぜか外食のラーメンも一番。対して食パンとマーガリンは最下位

 ▼ 盛岡市にはちょっと変わった全国一がある。医療費だ。「開業医が多く医者にかかりやすい」というのが勤務経験のある同僚の分析。食品では中華麺(めん)の購入額が1位。これは冷麺かな▼福島市の全国一は納豆と自慢のモモ。特産のモモは分かるが、納豆はなぜ? 産地の水戸が近いためか。福島出身者に聞くと「大家族の家では洗面器で納豆をかき混ぜて食べるといううわさもあった」

 ▼秋田は清酒が1位。ここの出身者は飲んべえが多い。惜しみなく金を使う性向があるみたいだ。仙台はかまぼこが1位だが、ちくわは下から2番目。どういうわけかグレープフルーツの消費が1位▼以上のランキングは近刊の『消費の県民性を探る』(同友館)から借用した。理由や背景までは分析していないのが、ちょっと残念だ。正しい答えをお持ちの方はぜひご教示を。

2007年07月24日火曜日


【京都新聞・社説】

政治とカネ  農相は、誠実に説明を

 赤城徳彦農相にかかわる新たな事務所費問題が、浮上した。だが、またしても国民に向けて丁寧な説明はない。現職閣僚として誠実に説明責任を果たすべきだ。
 問題が指摘されたのは、赤城農相の関連政治団体。都内にあった事務所が退去後も移転届を出さず、二〇〇三年まで七年間も政治資金収支報告書に事務所が実在するように記載し、計一千万円を超える経常経費を計上していた。
 昨年十二月、佐田玄一郎前行政改革担当相の政治団体が、事務所がないにもかかわらず十年余りで約七千八百万円の事務所費などを計上していたことが明らかになり、佐田氏は不適切処理を認めて辞任した。そのケースと似通っているともいえる。
 赤城事務所は「会計責任者が移転届を怠っていたため」としているが、資金の使途など不明点は多い。
 赤城農相に関してはすでに、地元の茨城県で両親が住む実家を主たる事務所として届け、長年にわたって経常経費を計上していた問題などが指摘されている。これについても、説明が尽くされたとはいいがたい。
 疑惑がないというのなら、領収書も示して説明すればすむ話であろう。「法に従って対応している」という釈明だけでは、閣僚として不誠実にすぎよう。
 佐田前行革相の問題をきっかけに、閣僚らの不明朗な事務所費問題が、相次いで明らかになった。与党だけでない。小沢一郎民主党代表は、資金管理団体の不動産所有を指摘されて事務所費を公開した。
 これらの動きを踏まえて、先の国会では政治資金規正法が改正された。だが、五万円以上の経常経費の領収書添付義務づけを資金管理団体に限り、政治団体は対象外になっている。五万円未満に小分けすれば、すり抜けることもできることは、先の国会論戦でも指摘された。
 一方、安倍晋三首相は参院選公示後に政治資金の流れを資金管理団体に集中することを、自民党の党内規定で義務づけるよう指示したことを明らかにした。
 「ザル法」と批判される改正法の欠陥を是正する動きとして一定評価できようが、なぜ先の国会で提案しなかったのか。規正法の再改正でなく、党の内規とする点についても、この問題に対する消極姿勢が感じられる。
 政治とカネの問題は、今回の参院選でも、年金問題と並ぶ主要争点の一つであるはずだ。だが、大きな関心を呼ぶ年金問題の陰に隠れるように、与野党の論戦が盛り上がりを欠いているのはどうしたことか。
 政治とカネの不明朗な結びつきを断ち切らぬ限り、政治不信は一掃できない。実効性のある政治資金規正法にするために、各党がもっと踏み込んだ真摯(しんし)な論議をたたかわせるべきだ。

[京都新聞 2007年07月24日掲載]

被災者生活再建  支援法を大胆に見直せ

 新潟県中越沖地震の発生から一週間余りたった。県内では約九千五百棟の家屋が損壊し、避難生活を強いられている被災者は三千人を超す。
 被災者にとって、これから最大の課題となるのが「わが家」の再建である。
 そのよりどころとなるのが国の「被災者生活再建支援法」だ。ところが、被災者や自治体から「使い勝手」が悪いと不満の声が根強い。
 内閣府の有識者検討会は今春から支援法の見直しを始めたが、血の通った支援制度にするためにも小手先ではなく抜本的な見直しを求めたい。
 支援法は阪神大震災を機に、当初は全壊住宅の世帯を対象に最高百万円の生活必需品購入費を支給する制度としてスタートした。三年前の法改正で、さらに住宅が全壊ないし大規模半壊の世帯に最高二百万円の住宅再建支援金が支払われるようになった。
 支援拡充は歓迎できる。だが世帯主の年齢や所得に制限があるうえ手続きが複雑なことから、全国知事会などから制度の見直しを求められている。
 最大の難点は、住宅再建支援金が家屋の解体や整地などに限定され、住宅本体の新築や補修に使えないことである。国が「住宅という個人財産の形成に公費は使えない」との姿勢を崩していないからだ。
 確かに家は個人財産ではある。だが住宅再建なくして被災地の復興はありえない。人としての生活の基盤が確保されずに、どうして地域コミュニティーの再生や安心な街づくりができようか。
 地震などの災害に見舞われるリスクはすべての国民にある。新潟のように、わずか三年もたたないうちに激震に襲われるケースも避けられない。
 「わが家」の建て直しの公共性を考慮するなら、住宅本体の再建や補修に公費助成を認めるのがむしろ自然だろう。
 最高三百万円の支援限度額の引き上げも検討したい。住宅再建の平均費用は千四百万円近くかかったというデータもあるぐらいだ。現行の支援額では決して十分といえないのが実情だ。
 国の財政支援に限度があるのは事実だろう。一方、被災者の中には経済的にも苦しい高齢者世帯が少なくない。有識者検討会は、行政の無駄を省き被災者の要望にきめ細かく応えられるよう支援策の見直しに知恵を絞ってもらいたい。
 もちろん住宅の耐震化を図るうえで、公的支援に一方的に頼るのではなく、地震保険への加入など事前の備えの大切さを忘れてはならないだろう。
 有識者検討会の報告を受け、政府は来年の通常国会に支援法の改正案を提出したいとしている。
 住宅再建を、「地域」と「生活」の復興の要と位置付けるなら、被災地の声に耳を傾け、被災者を勇気づける法案にするのが当然だ。

[京都新聞 2007年07月24日掲載]

【京都新聞・凡語】

自殺対策

 地下鉄に乗っていると、疲れ切った顔をしている人が目に付く。中高年だけでなく、若い人たちにも案外多いのが気になる。仕事がきついのだろうか。職場や家庭でつらいことがあるのだろうか▼最近、団塊世代の知人が自殺した。人間関係や金銭的にトラブルがあったり、精神的に追いつめられていた様子もなかった。何が原因なのか家族はまったく思い当たらないという。ただ最後に会った時、かなり疲れている感じはした▼日本の自殺者は毎年三万人を超える。景気や雇用が回復してもその数は減らない。突発的だとしても、自殺する人には必ず理由があるといわれる。心の深奥は分からなくても兆しは何らかの形で出ていると指摘する専門家もいる▼知人の妻は「少し口数が少なくなったとは思ったのですが-。それがシグナルだったのかも。きっとひとりで苦しんでいたんですね」と自らを責めた▼自殺しようとしている人が発している危険信号をキャッチするのはむずかしい。本人が進んで相談することはまずない。政府は自殺者を減らすための初の総合的な対策指針を決めた。行政もやっと重い腰を上げた感じだ▼だが、頼みの綱はやはり周囲の人たちだろう。ひとり暮らしなら近所の人だ。わたしたちも周りに落ち込んでいるような人がいれば、声をかけて一杯やりながらでも相談にのるように心がけたい。

[京都新聞 2007年07月24日掲載]


【朝日・社説】2007年07月24日(火曜日)付

教育と参院選―安倍流改革を見極めよう

 参院選で教育問題の影が薄い。あれほど鳴り物入りで教育改革を進めた安倍首相も、遊説では年金問題に時間を奪われがちだ。

 だが、自民党は公約で安倍流の教育改革をさらに発展させることをめざしている。安倍政権の下で法律が矢継ぎ早に成立したとはいえ、法律をどのように実際に運用するかはこれからだ。

 安倍流改革をこのまま進めさせるのか、ここでブレーキをかけるのか。有権者はじっくり考えるべき時だ。

 安倍政権では、まず約60年ぶりに教育基本法が改正された。教育の憲法というべき基本法は戦後、「忠君愛国」の精神や画一的な教育を否定することから生まれた。それが改正法では、教育の目標として「愛国心」が盛り込まれた。政治的な介入を阻む規定も薄められた。

 基本法の改正を受けて、教育関連3法が改正された。各地の教育委員会に対し、文部科学相が指示や是正要求をすることができるようになった。教員免許は10年ごとの更新制に変わった。

 底流にあるのは、国が教育の管理を強めようということだ。首相にとっては、「戦後レジームからの脱却」ということになるのだろう。

 しかし、それは戦前の反省に立って戦後積み上げてきた教育の仕組みを大きく変えることでもある。そのことを有権者がどう判断するのか。

 もうひとつ、安倍首相と自民党の政策を貫く特徴は競争原理だ。自民党の公約は抽象的な項目が多いが、それでも「全国学力・学習状況調査の適切な活用」や「学校評価を一層推進」という文言が並ぶ。学力テストで学校同士を競わせ、学力を高めようということだろう。

 教育でも競争は否定できない。地域や学校ごとの学力の格差や傾向を調べるために、なんらかのテストは必要だ。

 しかし、全国で全員にテストを受けさせ競わせれば、学力が上がるというのは単純すぎないか。むしろ、副作用が心配だ。それが現実になったのが東京都足立区の学力テストだろう。ある小学校で教師が間違った答えを書いている児童に合図をしたりして、成績を上げていた。

 野党のマニフェストを見ると、国の管理を強める安倍流改革を批判する色合いが濃い。たとえば、民主党は保護者や住民らが学校運営に参加できる「学校理事会」の設置を提案している。

 与党との違いが鮮明なのは、大幅な予算増を打ち出していることだ。民主党は財政支出の5割増、社民党も公費支出を国内総生産(GDP)比6%水準へ引き上げることを掲げる。その数字に力の入れ方は感じられる。だが、どうやって予算をひねり出すかははっきりしない。

 教育の現状に問題があるのはだれもがわかっている。そんな中で、安倍流の教育改革を認めるのか、拒んで別の道を探るのか。それが教育のあり方を決める分かれ目だ。

アフガンの人質―韓国人たちの解放を願う

 自爆テロや外国人を狙った襲撃が相次ぐアフガニスタンで、今度は23人もの韓国人が旧支配勢力のタリバーンに拉致され、人質になる事件が起きた。

 全員がキリスト教の若い信徒である。医学生や看護師もおり、タリバーンの支持者が多い南部カンダハルの病院や幼稚園で奉仕活動をした後、首都カブールに戻る途中だったという。無事の解決を心から祈りたい。

 この事件の前日には、ダム建設に従事していた2人のドイツ人技術者が拉致され、1人は後に遺体で発見された。先月中旬には、日本のNPO関係者3人が自爆テロに巻き込まれ、大けがをする事件があったばかりだ。

 アフガンの復興を手助けするために訪れた人々が、次々に災難に遭っている。民間人を標的にしたケースが増えており、許しがたい。

 タリバーンはカルザイ政権側に、拘束されている仲間の釈放と、米国に同調してアフガンに派兵した韓国に部隊の即時撤退を要求している。

 駐留している韓国軍は医療部隊と工兵部隊で200人余り。もともと年内に撤退する予定であり、即時撤退の要求には応じていない。人質をとっての脅しに屈するわけにはいくまい。

 韓国政府は現地に交渉団を送り、人質解放のために動き始めた。地元の部族を通して説得を重ねてもいる。全員が無事に解放されるよう、カルザイ政権は力を尽くしてほしい。

 派遣した教会は「参加者の家族を苦しめた」と謝罪し、アフガンでの活動を中断することを決めた。

 若者たちの中には、遺書をしたためて参加した者もいるという。治安が悪化し、危険なことを承知でアフガンに入り、手を差し伸べようとした志や善意を非難することはできない。

 問題は、アフガンの治安が彼らの予想を超えて悪くなっていたことだ。一行は真新しい大型バスに乗っていた。外国人を狙った拉致やテロ事件が増えていることを考えれば、目立たないようにするなどもっと工夫が必要だった。

 タリバーンに襲われているのは、外国人だけではない。彼らは女子教育を目の敵にし、昨年だけで200校近くの公立学校を焼き打ちにした。女子生徒が殺害される事件も続発している。

 それでも、親たちの多くはタリバーンの脅しに屈することなく学校を再建し、わが子を学校に送っている。再建された学校は焼き打ちの数をはるかに上回り、538校に達する。

 内戦は20年以上に及んだ。親たちは、ほとんど教育を受けずに育った。「せめて我が子には読み書きができるようになってほしい」。そうした思いが復興の原動力になっているのだ。

 治安状況は厳しいが、復興への支援をやめるわけにはいかない。二重、三重の安全対策を講じるしかあるまい。

【朝日・天声人語】2007年07月24日(火曜日)付

 その昔、芸者衆のお代は線香が燃え尽きる時間で計算した。上方落語「たちぎれ線香」では、若だんなと芸者が恋に落ち、案じた番頭が仲を裂く。死んだ芸者に若だんなが泣いて供えた三味線は、なじみの地唄を奏で、やがて線香が消えたところでやむ。ほろりとさせるサゲだ。

 松岡利勝氏の事務所費のことで、すとんと胸に落ちる説明を初めて耳にした。赤坂で芸者を呼ぶのに、領収書が出ない花代を事務所費で落としたという。「本人から聞いた」と、山本拓農水副大臣が演説会で紹介した。

 「会場を和ませる冗談」と撤回したが、テレビでは「うそをついた覚えはない」と語った。それはそうだろう。根も葉もない話なら「若い頃に遊んだ仲間」(山本氏)に失礼ではないか。しかも故人である。

 大人がどう遊ぼうと勝手だが、松岡氏が説明を拒んだ水代と違い、花代は極めつきの私費といえる。事務所のどんぶり勘定に混ぜ込んだとすれば、やぼと言うしかない。粋人のために日々芸を磨く女性たちに笑われる。

 神楽坂の芸者を300万円で囲ったと報じられ、69日で辞めた首相がいた。退陣表明は18年前のきょう。前日に投票された参院選で、自民党は改選議席の半分近くを失っていた。

 嫌な客のお座敷に向かう道、芸者は三味線を運ぶ箱屋にいくらか包み、立てる線香の下端をちょいと折ってもらったという。共に過ごす時を少しでも減らしたいという知恵だ。投票日を控えて、閣僚の失言と醜聞が続く。これでは、政権の線香は両端から短くなるばかりだ。


【毎日・社説】

社説:’07参院選 憲法改正問題 自民も民主も逃げている

 憲法論議が一向に盛り上がらない。

 安倍晋三首相にとって憲法改正は主張する「戦後レジームからの脱却」の中心をなすものだ。それゆえ年頭会見で憲法改正を争点にする意向を示し、国民投票法も成立させたのだろう。

 ところが年金記録漏れ問題で状況が一変し、選挙では年金問題を正面に据えざるを得なくなった。有権者の関心に応えるために政策アピールの優先順位を変更することもあるだろう。

 しかし憲法の扱いについて、記録漏れ問題が噴出する前後での落差が大き過ぎる。

 首相は公約で「2010年の国会で憲法改正案の発議をめざす」と明記していると反論するかもしれない。しかし、9条改正では具体的に自衛軍を定めた党の新憲法草案を問うのかも明確にされていない。

 首相は日本記者クラブ主催の党首討論会で「我々の案がすべて通るとは思っていない。まずは国民としっかり議論していくことが大事だ」と述べるにとどまった。これでは「今回、憲法は問わない」と宣言してくれた方が有権者は戸惑わないですむ。

 公明党は加憲だが、9条の1項、2項は堅持する立場だ。選挙協力を組む公明党との考えの違いを露呈したくないという、自民党の事情も透けて見える。

 民主党は一層、消極的だ。マニフェストでは「広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討する」とあるだけだ。

 小沢一郎代表は党首討論会で「この参院選で憲法問題を掲げる必要性を私は認識しない」と明言した。公約を拡散させないという選挙戦略の側面や、9条改正に反対するグループを抱える党内事情への配慮もあるのではないか。

 一方、共産、社民両党は憲法改正反対を前面に出している。

 憲法改正の発議は3年後から可能になる。今回当選する候補者は任期中、発議にかかわる可能性が出てくる。その意味でも憲法について定見を持つ候補者でなければ国会議員としてふさわしくない。

 毎日新聞では候補者と主要政党に対して憲法問題でもアンケートを実施した(候補者は14日朝刊掲載、毎日新聞ニュースサイトで閲覧可能。政党は19日朝刊掲載)。

 一部を紹介すると9条改正に自民党候補は7割が賛成し、逆に民主党候補は7割が反対だ。公明、共産、社民、新党日本の候補は回答した全員が反対で、国民新党は5割が反対だった。

 集団的自衛権の行使は、「容認しない」との回答が自民党候補が5割、民主党と国民新党の候補はそれぞれ7割だった。公明、共産、社民、新党日本の候補は全員が「容認しない」だ。

 選挙期間はわずかになったが、自民、民主両党は逃げずに憲法を語るべきだ。そして有権者は判断材料を探しながら、各党、各候補者の見識を見定めていきたい。

毎日新聞 2007年7月24日 東京朝刊

社説:過払い利息訴訟 貸手責任が一層重くなった

 最高裁判所が貸金業規制法に基づく、みなし弁済規定の適用を一段と厳格にすべきだとの判断を下した。利息制限法の上限金利を上回る借り入れ分について、過払い分の返還と、それにかかる遅延利息を請求していた2件の判決においてである。業者の延滞利息支払いを高裁が訴訟提起時点としたのに対して、最高裁は過払いの発生時点からにすべきだとして、高裁に差し戻した。

 出資法の上限金利は現在、年29・2%だ。利息制限法の上限金利は同15~20%で、借り手はこれを上回るグレーゾーン(灰色)金利と言われる分について、利払いの義務はない。従来、貸金業規制法のみなし弁済規定を根拠に、柔軟な運用がなされてきた。ここ数年は司法の場で厳格な運用を求める判断が相次いでいる。具体的には、貸金業法18条による証書交付などが条件とされている。

 今回の判断は業者が過払いの発生を知らなかったことを明確に証明できない限り、その時点からの延滞利息を支払うべきだとしている。被害者救済の姿勢はより鮮明になった。

 貸金業規制法は灰色金利撤廃や、被害者救済、貸金業界の健全化などを目的に昨年末の臨時国会で改正が行われた。灰色金利は09年中には撤廃され、利息制限法金利に一本化される。同時に、過剰貸し付けを防止するため、貸し出しを年収の3分の1までに抑える総量規制も導入された。違反に対する罰則の強化も図られた。

 その結果、貸金業者の廃業や撤退が相次いでいる。大手でも店舗の改廃が進められている。貸出金利の引き下げも、一部では進んでおり、灰色金利の撤廃を改正法に先駆けて実施する会社も出てきている。法改正が目指していた消費者金融の正常化が前倒しで進んでいるといっていい。

 こうした事態に対して、貸金業者の中や規制緩和を求める研究者などから、法改正により貸し渋りが起き、借りられない人に経済的困難が生じているとの指摘がなされている。しかし、これは想定されたことである。

 返済のめどの付かない人に、金利が低くなるとはいえ、年15~20%で貸すことは、多重債務者を作り出すことにほかならない。事前のカウンセリングや生活安定のための公的融資制度の充実が求められているのは、そのためだ。

 法改正の発端が多重債務者や過剰貸し付けの増加にあったことからも、灰色金利は早期に解消されなければならない。同時に、多重債務の利払いで苦しんでいる人は早期に救済しなければならない。多くの事例に示されているように、借り入れ時点では灰色金利やみなし弁済規定の認識がない人が大半だ。追加借り入れも業者のすすめによることが少なくない。

 消費者金融や事業者金融も金融業として重要である。それだけに、貸手責任を一層明確にした経営を行うことが求められる。多重債務者などを生み出す経営は許されない。被害者の救済にも責任を持たなければならない。

毎日新聞 2007年7月24日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:日本語の「窮屈」は、昔のポルトガル語で…

 日本語の「窮屈」は、昔のポルトガル語で「Qiucut」と書き表した。約400年前にイエズス会の宣教師が作った「日葡(にっぽ)辞書」は「気の詰まること、または退屈」と、もっぱら精神的な意味を説明している。当時は退屈、倦怠(けんたい)を覚えるとの意味でも用いられたようだ▲一方「窮屈」を文字通り読めば、「屈」がきわまることだ。白川静さんの「字統」(平凡社)によると、屈は尾を曲げてかがむ動物の形で、そこから「かがむ」「まげる」「したがう」という意味が生じた。すべては体が縮こまることからの連想だ▲新潟県中越沖地震でいまだに数千人の被災者が心身ともに窮屈な避難所生活を強いられている。同じ姿勢で長時間過ごすことでできた血栓が、血管を詰まらせるエコノミークラス症候群は3年前の中越地震で死者まで出た。それが今回も避難所の被災者16人に見つかったという▲前の中越地震ではマイカーでの車中泊が原因と報じられたエコノミークラス症候群だ。だが、新潟大学の榛沢和彦医師によると実は避難所の被災者にも血栓は見られ、それが慢性化した例もあった。窮屈な姿勢に加え、水分補給の不足が血栓のできやすくなる血液の濃縮を招いているようだ▲背景には、余震によるストレスや、トイレ使用が気詰まりなために水摂取を控えるといった被災者の心理があるという。プライバシーを欠いた集団生活による心の窮屈と、それがもたらす体の窮屈の悪循環が被災者の健康を脅かしているわけである▲全壊家屋が1000戸近い被災地だ。避難生活も長引くおそれが強く、まず心の窮屈と体の窮屈の悪循環を断ち切る工夫を優先することだ。お年寄りや子供らには心も体も思い切り伸ばせる環境を、何とか一刻も早く用意したい。

毎日新聞 2007年7月24日 東京朝刊


【読売・社説】

外交・安保 平和と安全の議論が低調すぎる(7月24日付・読売社説)

 北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威、中国の急速な軍備増強、そして世界各地で続く国際テロと大量破壊兵器の拡散――。

 日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。いかに自国の平和と安全を確保するか。この重要課題に正面から取り組むことは、政治の大きな責任である。

 ところが、今回の参院選での外交・安保論議は低調すぎる。各政党と候補者はもっと議論を活発化させるべきだ。

 自民党の155項目の公約は、10項目が外交、6項目が安保だが、政府の政策を羅列した印象が否めない。北朝鮮の拉致問題について、「国家の威信をかけて拉致被害者全員の帰国を実現する」という決意を示した表現が目立つ程度だ。

 先の6か国協議は、北朝鮮の核の申告や無能力化の履行時期を明示できなかった。核廃棄の道筋は依然、不透明だ。

 北朝鮮の核とミサイルに対する抑止力を高めるためには、強固な日米同盟が欠かせない。拉致問題の進展にも、同じことが言える。自民党が日米安保体制の強化や防衛協力の緊密化を掲げたのは、そうした認識に基づいているのだろう。

 民主党の公約は、「主体的な外交を確立する」とし、「相互信頼に基づいた、強固で対等な日米関係」の構築を訴える一方で、「自衛隊のイラク派遣を直ちに終了」と明記している。

 航空自衛隊のイラク空輸活動は、今の日米同盟を支える重要な柱だ。代替策も示さずに終了した場合、「強固で対等な日米関係」が維持できるだろうか。

 民主党の小沢代表は「同盟とは対等の関係だ。主張はきちんと言う必要がある」と語る。だが、外交の世界では、「言うべきことを言う」ためには、「やるべきことをやる」ことが前提となる。それなしでは、日米同盟強化に反対する共産、社民両党と同じと見られないか。

 集団的自衛権について、民主党は、昨年12月に決定した「政権政策の基本方針」で一部の行使を容認していたが、公約では言及を避けた。党内の反対論に配慮した結果だろう。自民党も、今秋の政府の有識者会議の結論を待って対応するとし、明確な方向性を示していない。

 国際平和協力活動について自民党は、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の「制定を目指す」と明記した。2005年衆院選の政権公約の「検討する」との表現から一歩踏み込んだ。公明党は「1万人の専門家育成」を目標に掲げている。

 集団的自衛権と恒久法の問題は、参院選後の大きな焦点となる。責任ある政党と候補者は、選挙中に具体的な立場を明示し、論議を主導してもらいたい。
(2007年7月24日1時26分  読売新聞)

トルコ総選挙 壁にぶつかった「世俗派」の主張(7月24日付・読売社説)

 総選挙を通じ、トルコの有権者が発したメッセージは、きわめて明確だった。

 イスラム化阻止を掲げた世俗派の主張が、多くの国民の心をつかめなかった、ということだろう。トルコは、イスラム色を排し、政教分離を貫く「世俗主義」を国是としてきた。それが揺らぐことになるのかどうか、今後の進展を見守る必要がある。

 与党の穏健イスラム政党「公正発展党(AKP)」が、半数近い票を獲得し圧勝した。一方、世俗派政党の「共和人民党(CHP)」は、大きく後退した。

 今回の総選挙は、大統領選をめぐって生じた混乱と緊張に端を発する。

 AKPが4月、候補に立てたギュル外相は、大統領を選出する国会での投票で多数を得たが、政党のみならず、軍部を含む世俗派が反発した。世俗主義の守護者を自任する軍部は、政治への介入を辞さないことさえ示唆した。

 国家元首で国軍最高司令官でもある大統領職は、現代トルコの建国以来、政教分離国家を見守る「聖なるポスト」とみなされてきたからだ。

 結局、憲法裁判所の判断により、国会の構成が変わらないままでは、大統領の選出は不可能になった。エルドアン首相が、総選挙の前倒し実施に踏み切り、民意を問う戦術に出たのには、そうした背景がある。

 新国会招集後、AKPは再び、大統領選の実施を求めるものと見られる。その際、軍部など世俗派がどう出るか。

 2002年、AKPが政権を握って以来、年平均7%という経済成長に支えられた政治的安定が、今回のAKPの勝因の一つだった、と指摘される。しかし、仮に軍部が、力の行使を通じた内政介入に出た場合、トルコ情勢が一挙に不安定化するのは避けられまい。

 世俗主義維持の名の下に民意を踏みにじれば、トルコの民主主義は後退し、最大の政治目標である欧州連合(EU)加盟が遠のくのは間違いない。好調な経済のエンジン役でもある外資の流入も、細ることになるのではないか。

 軍部が、そのような愚を犯すとは思えないが、自制を要する局面だ。続投を決めたエルドアン首相は、「共和国の諸価値は守る」と、世俗主義の原則を守ることを示唆した。確実に実行できるのかどうか、イスラム色を薄めるなど、安定のための譲歩もあり得るだろう。

 周辺の中東にはイラクやパレスチナ、レバノンなど、数々の不安定要因が存在する。この地域の安定のためにも、責任ある地域大国としてのトルコ自身の安定が不可欠だ。
(2007年7月24日1時27分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月24日付 編集手帳

 「恋人よ/この世に物理学とかいふものがあることは/海のやうにも空のやうにも悲しいことだ」。作家の北杜夫さんは物理の試験でお手上げの時、答案を自作の詩で埋めたという◆「どくとるマンボウ青春記」(新潮文庫)によれば、旧制松本高校には才人が多かったようで、化学の試験では「問題を見てピクリンサン、腋(わき)の下にはアセチレン…」、出題の薬品名を織り込んだ戯(ざ)れ歌を記す技巧派もいたらしい◆北さんの詩才もなく、答案用紙の空欄が目に痛かったわが身を省みつつ、海外から届いたうれしい知らせに拍手する。イランで開かれた「国際科学オリンピック」物理部門で、日本から参加した高校生2人が金メダルに輝いた。物理での「金」は初めてである◆大学に入学する前の若者が科学的な思考力を競うこの催しをもり立て、支援すべく今年3月には、「日本科学オリンピック推進委員会」(江崎玲於奈会長)が発足している◆この世に理数系の学問があることを「海のやうにも空のやうにも愉(たの)しいことだ」と感じる中学生、高校生が増えていかなければ、科学立国の足もとはおぼつかない。物理の「金」も、いい弾みになろう◆はるか遠い昔の試験を夢に見ては、腋の下の冷たいアセチレンで目を覚ます自分のことは高い棚に上げ、若きメダリスト諸君に希望を託す。
(2007年7月24日1時38分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】07参院選 終盤戦 政策論議欠落を懸念する

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査によると、選挙情勢は民主党が大幅に議席を伸ばす一方、自民党は選挙区、比例代表とも厳しい戦いを余儀なくされ、与党の過半数割れが濃厚だという。

 国民の怒りが、年金記録問題を中心として、政府・与党に集中的に向けられている。選挙戦でもこうしたムードが数字として表れた形だが、国政を委ねる選挙がこれではよくない。日本をどうするかという本質的政策論議があまりに欠落してはいないか。もう一度、目を向けるべきだ。

 投票先を決めていない有権者がまだ4割おり、与党が巻き返す余地は残っているが、安倍晋三首相にとっては、選挙結果しだいで政権維持が困難になる事態も取りざたされている。

 だが、この選挙の基本的意味は、昨年秋に発足した安倍内閣10カ月の実績評価にあることを、あらためて確認しておきたい。

 新しい国づくりを志向する政治姿勢を打ち出し、憲法改正を政治日程に乗せ、教育再生を推進する。天下り規制など公務員制度改革にも着手した。

 発足当初、高い内閣支持率を得ていたことなどを考えれば、こうした「安倍路線」自体に国民の強い異論があるとは思えない。

 そうした評価を飛び越えて、年金の逆風が与党を襲う。赤城徳彦農林水産相の事務所経費問題など、本質論から外れた話題が国民の不信感に拍車をかけている。それが選挙戦の構図だ。

 的確な対応策により解決が可能な年金記録問題は、本来、争点にすべきでなかった。実際、政府は年金記録の送付などで、野党側の意見も取り入れた対応策を実施に移そうとしている。

 一方、憲法や外交・安全保障など、国のありようにかかわる重要テーマの論争は乏しいままだ。社会保障や税制の分野では、消費税率の引き上げや年金財源の問題などを、自民、民主両党が正面から論じ合うべきだと有権者は考えている。

 与党は真に語るべき争点に向き合い、野党がしかけるムード選挙の構図から脱することだ。小沢一郎代表が率いる民主党も、それを追い風にするだけなら、政策に責任ある政党として信頼を得ることは難しい。

(2007/07/24 05:04)

【主張】IAEA原発調査 有益だが過大評価は禁物

 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所の損傷や火災について、経済産業省原子力安全・保安院は、国際原子力機関(IAEA)による調査の受け入れを決めた。新潟県知事から国に出された要請が受諾を促した。

 今回の地震は、原発に及ぼした影響の大きさで、前例のないものだ。強い揺れに対する原子炉の挙動、施設の耐震力の見積もりと実際の損壊程度との対照、液状化現象による敷地のひずみ、火災発生への対応など、実際の揺れに遭遇して得られた工学データや教訓は多種多様だ。原子力発電の安全性をさらに高めていくうえで非常に貴重な事例である。

 現在、世界全体では約440基の発電用原子炉が稼働している。エネルギー需要の伸びに対応して新興諸国を中心に原子力の利用計画が進んでいる。IAEAを通じて、柏崎刈羽原発の被災経験が、安全確保のための情報として関係国間で共有されるのは望ましいことである。東電と国には、IAEAの調査に協力し、透明性の高い情報を公開していくことを望みたい。

 柏崎刈羽原発の原子炉4基は、震度6強の揺れを感知して自動停止した。定期検査で止まっていた残り3基も問題なかった。地震動の加速度は想定を超えたが、強度に余裕を持たせていたので、原子炉建屋は持ちこたえて無事だった。

 この事実は、東電も国も自信を持って世界に伝えてよい。IAEAの調査に対しても強調すべき要点である。同発電所の6、7号機は、地震の揺れに強い改良型原子炉(ABWR)であることも忘れてはならない。

 活断層による地震を克服したにもかかわらず、原発の安全と安心をめぐる議論は、おかしな方向に流されかけている。危険性と不安感ばかりをあおり立てることに意味はない。

 IAEAは原子力の平和利用を促進すると同時に核兵器の密造を監視する機関である。耐震の専門機関ではないことを認識しておくべきだろう。今後、IAEAによる調査が、原発の運転再開の必要条件として慣例化するという事態も避けなければならない。原子力発電の安全確保は、安易な他力頼みではなく、自力で積み上げていくべき事柄である。

(2007/07/24 05:03)

【産経抄】

 トルコといえば、親日国のイメージが強い。宿敵、ロシアを日本が戦争で破ったときは、国を挙げてのお祭り騒ぎだったらしい。明治23(1890)年に紀伊半島沖で遭難したトルコ軍艦を地元の漁民が救助した話は、歴史教科書にも載っている。

 ▼イラン・イラク戦争最中の1985年、イランに取り残された邦人を救出してくれたのはトルコ航空機だった。サッカーファンならイルハン選手を思いだすかもしれない。日本での活躍が楽しみだったのに、たった3試合で無断帰国したのは拍子抜けだったが。

 ▼そのトルコで総選挙が行われ、2002年から政権の座にあって、経済を好転させ、欧州連合(EU)加盟交渉に導いた与党・公正発展党(AKP)が圧勝した。イスラム色の強い政党と聞いて、最初はとまどった。親しみのある国であっても、政情を理解するのは難しい。

 ▼ 国民の大半がイスラム教徒の国でありながら、イスラムの象徴である女性のスカーフ着用は学校など公的施設では禁止されてきた。オスマン帝国の崩壊後、近代化を推進した建国の指導者、ケマル・アタチュルクが、政治や社会から宗教的要素を一切排除することを国是としたためだ。

 ▼ 世俗主義と呼ばれる政教分離の考え方自体に問題があろうはずがない。ただ、トルコの場合、世俗派が特権階級を形成し、それを支持する軍部がしばしば政治に干渉し、民主主義を脅かしてきたとの指摘もある。ともあれ、世俗派の野党は敗れた。トルコ国民の意志は、日本にもはっきり伝わった。

 ▼日曜日に迫った参院選の行方もまた、国際社会から注目されている。特に中国、北朝鮮にどんなメッセージを送ることになるのか。有権者はこの点も考慮して一票を投ずべきだろう。

(2007/07/24 05:02)


【日経・社説】

社説1 原発安全の駆け込み寺でないIAEA(7/24)

 政府が新潟県中越沖地震で被害の出た東京電力柏崎刈羽原子力発電所について国際原子力機関(IAEA)の調査受け入れを決めた。地震で微量ながら放射能が外部環境に出たため、地元は住民の不安や風評被害の沈静化に向け、同機関の調査に期待しているようだ。

 だが、調査は地震の影響情報を世界で共有するのが目的だ。安全確認の“お墨付き”への期待は筋違いだろう。国際機関への妙な期待は裏返せば政府の信用のなさを物語っている。関係者は猛省がいる。

 今回の地震では想定していなかった事象がいくつも起きた。筆頭は同原発にとって地震が直下型に近かったこと。揺れの強さを表す加速度が最大680ガルと想定震動の2倍以上の値だった。さらに使用済み燃料プールの水が漏れて微量の放射性物質を含む水が海に放出され、排気筒から微量ながら放射性物質が放出された。建屋外部の変圧器で火災が発生、消火活動も遅れた。

 同原発は昨年の改定前の耐震設計指針に基づいてつくられているが、すぐ近くの活断層を考慮しなかったミスは言い訳できない。原発は多重防護という考え方で安全性を確保しているが、同原発のほとんどの事象は想定外と言って片づけられるものではない。地元や関連機関への報告の遅れなど、東電の対応にも問題があり、これでは原発の地震防災への疑問は広がるばかりだろう。

 政府は安倍晋三首相が地震後に現地を視察し、経産省に全国の原発の安全性確認を指示するなど、不安の解消に動いている。一方で、安全確保に責任を持つ原子力安全委員会、原子力安全・保安院の存在感は薄く、不安への対応も十分ではない。

 今回の地震では運転中の原発は自動停止し、炉心は健全なようだ。ただ、炉心に損傷がないのかはまだ調べられていない。専門家チームをすぐに組織し、こうした点を含め被害・影響を徹底分析するなど、素早い対応が必要なはずだが、動きは鈍い。旧耐震指針でつくられた既存原発の点検・補強は今回の地震で一刻の猶予も許されなくなった。その期限を早めるなどの対応も遅い。

 原子力は安全性に不安を持たれたら機敏に動き、備えを盤石にする姿勢が何よりも重要だ。政府の関係機関にそれが欠けるからIAEAの調査に過大な期待がかかる。今回の地震被害や問題点を原発国が共有するのは重要であり、極力協力すべきだ。しかし、問題点の分析を国際機関に委ねるようなら、「原子力立国」どころではない。

社説2 リケンショックの教訓(7/24)

 新潟県中越沖地震は、国内の自動車生産にも混乱をもたらした。部品大手のリケンの柏崎事業所が被災し、ピストンリングというエンジンの基幹部品の生産がストップしたためだ。自動車各社は柏崎に応援部隊を送り込み、懸命の復旧作業を進めている。地震にどう備え、被害を最小限に抑えるか、企業にとっても危機管理の手腕が問われている。

 自動車最大手のトヨタ自動車は、ピストンリングのかなりの部分をリケンからの供給に頼っており、手持ちの在庫が底をついた19日午後から国内全工場での稼働停止に踏み切った。その後復旧作業が実を結び、リケンが23日に製品出荷を再開したことから、トヨタも24日から一部を除き生産を再開する。

 「生産中止の長期化」という最悪のシナリオは避けられそうな情勢だが、それでもトヨタだけで5万5000台の生産に影響が出る見込みだ。他の自動車会社を含めると、地震による減産は10万台を超える見通しで、阪神大震災を上回る。

 ここまで影響が広がったのは、リケンの技術力の高さが背景にある。同社は独自の精密加工技術を持ち、自動車各社と共同開発に取り組んできた。自動車会社は万一の場合にそなえ、複数の会社から部品を調達する分散発注を原則としているが、ピストンリングについては開発パートナーでもあるリケンに配慮し、同社 1社に単独発注するケースも多かった。調達の安定性と研究開発の強化をどう両立させるか、自動車各社は重い課題を抱えた格好だ。

 リケンショックは他の産業にとっても、「対岸の火事」ではない。2004年の新潟県中越地震では三洋電機の半導体工場が被災した。自社工場が被害を免れても、取引先が被災すれば、自社の操業に直接的な影響が出ることも、今回の中越沖地震が示した通りだ。

 さらにリスクは国内だけに限らない。最近は中国など海外から部品を調達するケースも増えている。海外の取引先が、地震や洪水などの天災、テロのような地政学リスクに見舞われるケースを想定し、その対応策を準備しておくことが、「災害に強い経営」を実現するうえで欠かせない課題である。

【日経・春秋】(7/24)

 日本が世界に誇る頭脳集団、理化学研究所は、大正時代の末に、慢性的な資金不足と有力研究者の対立で、組織的な危機にあった。それを立て直したのが、3代目の大河内正敏所長である。研究成果の一部を工業化し、そのもうけを研究資金として還流した。

▼理研コンツェルン(正式には理研産業団)として名高い、ハイテク企業集団を率いて25年、目指したのは科学者の楽園づくりだった。ビタミンのA、D、合成酒など、発明を次々商品化し、研究の自由と独立を保障する資金を稼ぎ出す。が、事業の収益をむさぼることなく、ほとんどを研究支援に回した。

▼基礎研究を軽んじる政府や産業界に、理研の研究がもたらすたわわな果実を見せつけるねらいもあった。旧大名家に生まれた大河内所長は「農村工業」を唱え、先端工業の農村部への立地をすすめる。昭和7年、1932年に、画期的な製法の発明をもとに、新潟県柏崎町にピストンリングの工場をつくった。

▼以来4分の3世紀にわたって、柏崎はピストンリングの先端的生産拠点であり続けた。地震で柏崎の工場が止まれば、国内で多くの自動車製造ラインが止まってしまうほどだ。発明と決断、継続と努力で地域に生き残った産業競争力。その伝統の蓄積にも、地震は無遠慮に打撃を与える。


|

« 7月23日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。 | トップページ | 雑談日記が制作したのが分かるようなリンク設定か作成元紹介をお願いします。⇒広島瀬戸内新聞ブログ版さんへ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 7月24日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。:

« 7月23日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。 | トップページ | 雑談日記が制作したのが分かるようなリンク設定か作成元紹介をお願いします。⇒広島瀬戸内新聞ブログ版さんへ »