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2007年7月25日 (水)

7月25日の地方紙:沖縄タイムス、琉球新報、東京新聞、河北新報、京都新聞 主要紙:朝日、毎日、読売、産経、日経の社説&コラムです。

 来る参院選は、これからの日本の運命を決定付けてしまう重大な選挙だと思います。

 「日本の9・11」衆院・郵政選挙では、特に朝日新聞(系列TVも含む)に見られた小泉政権へのすり寄りはひどいものでした。まさか産経と朝日が同じ論調になるとは思いもよらない事態でした。

 参院選投票日までに、これからどのようなマスコミをわれわれは目撃することになるのかここに資料として保存します。(資料保存スタート時の考え

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【沖縄タイムス・社説】(2007年7月25日朝刊)

[基地と参院選]「普天間」を軽視するな

 参院選は全国的に年金問題が最大争点として浮上し、与野党逆転が大きな焦点となる中で、基地問題は後景に退いたかのようだ。

 しかし、米軍再編は沖縄社会に深刻な影響をもたらすだけに安倍政権の政策をどう評価するかが正面から問われなければならない。

 県政の最重要課題である普天間飛行場の移設問題は、名護市が求めるV字形滑走路案の沖合移動と、仲井真弘多知事の公約である「三年以内の閉鎖状態」の実現をめぐって、政府と県、名護市の間でこう着状態が続く。

 「原爆投下発言」で久間章生前防衛相が辞任し、後任の小池百合子防衛相は沖合移動は困難との見方を示す。防衛省の守屋武昌事務次官は「政府案を変えることはまったくない」と否定的な見解を繰り返すばかりである。

 普天間移設について、西銘順志郎候補は「仲井真知事と歩調を合わせ、あらゆる方策を検討し問題解決に取り組む」と訴え、普天間飛行場の早期の危険性除去のため、県内移設も選択肢の一つだと主張している。

「いいのですか?ジュゴンの未来は、あなた達の未来かも、」バナー  一方、糸数慶子候補は「ジュゴンやサンゴの命を奪い、住民の暮らしを破壊する恒久的な基地建設は認められない。米本土に移転させるしかない」と県内移設に反対し、同飛行場の即時閉鎖・返還を求める立場である。

 訴えは基本的な考え方の応酬にとどまり、それ以上に論議が深まらない。

 西銘候補は沖合移動を主張し続けるのか、危険性の除去をどう具体化するか。糸数候補は米本土移転を主張するが、どのようなプロセスで実現するのか。政府の壁は厚く、議論自体に閉塞感や疲労感も感じられる。

 今年五月、米軍再編への協力の度合いに応じ自治体に交付金を支給する米軍再編推進法ができた。協力する自治体には支給し、拒めば冷遇して受け入れを迫る「アメとムチ」の政策だ

 普天間移設について政府はこれまで「地元の頭越しには進めない」(橋本龍太郎元首相)と説明してきたが、ここへ来て強権的姿勢も目立つ。海上自衛隊の掃海母艦の派遣は政府の姿勢の変化を象徴している。

 米軍は地対空誘導弾パトリオットを嘉手納に配備。最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターも一時配備された。垂直離着陸機MVオスプレイの配備計画なども徐々に明らかになってきた。

 普天間移設と連動するように着々と米軍再編の既成事実化が進行し、政府は頑なな態度で政府案の受け入れを迫っている。普天間移設は沖縄の今後を決定付ける重要な問題であり、軽視できない争点だ。もっと多角的に同問題について論議を深める必要がある。

[全国高校文化祭]未来担う創造力に目を

 高校生が音楽や演劇、書道など文化活動の成果を発表し、競い合う「全国高等学校総合文化祭」(全国高文祭)が今年も二十九日から、「悠久の地より吹く新しい風」をテーマに島根県で開かれる。

 県内からも十四部門に三十四校二百四十四人が参加。昨年、南風原高が文化庁長官賞(優秀賞)に輝いた郷土芸能部門や、那覇国際高が優秀賞を受賞したビデオメッセージ、朗読、アナウンスの放送三部門、また書道部門などの活躍が今年も期待されている。

 ところでこの季節、高校生の大会といえば、全国総合体育大会(インターハイ)や全国野球選手権(夏の甲子園)といった華やかなスポーツのイベントに目がいきがちだ。

 しかし、全国高文祭も一九七七年に千葉で開催されて以来、今年で三十一回目を迎える。今では全国約二千八百校から二万人近い高校生が参加し、「文化部のインターハイ」と呼ばれる一大イベントに成長した。

 県高校文化連盟によると、県内の公立、私立を含めた高校生は約五万人。そのうち文化活動を行っているのは約八千人といわれる。ところが、全国的な生徒数の減少傾向に加え、活動費・遠征費など補助削減による財政難、指導者不足など課題が山積し、年々活動が困難になっている、という。

 それでも文化活動での沖縄の高校生の活躍は、全国高文祭にとどまらない。昨年は全国高校写真選手権で真和志高が優勝し、全国高校漫画選手権大会でも那覇工業高が優勝、開邦高が2位と上位を独占している。

 これら著しい実績を残している背景にあるものは何か。長い歴史と豊かな芸術性を持った沖縄独特の伝統文化が土壌にあるのではないだろうか。そこから培われる芸術性や創造力が高校生らによって、しっかりと受け継がれているように思える。

 若い彼らの個性豊かな表現活動が、沖縄文化の裾野を広げていくに違いない。未来を担う創造力に対し、行政を含め、もっと目を向けていきたい。

【沖縄タイムス・大弦小弦】(2007年7月25日 朝刊 1面)

 早稲田大学に會津八記念博物一館という施設がある。同大で英文学や美術史に情熱を傾けた歌人で書家の會津八一(一八八一―一九五六)にちなんだ博物館。

 最近そこが沖縄の焼き物に異常なほどの関心を示している。昨年七月に沖縄の奇才・国吉清尚を取り上げたのに続いて今年は先月から今月にかけ「八重山古陶―その風趣と気概―」を開催した。画期的な企画に敬意を表し拍手を送りたい。

 沖縄は焼き物が盛んな地域だが、八重山に関してはこれまでほとんどスポットがあてられなかった。考古学の資料としては話題になっても工芸品としての位置付けは、本島に比べ一段格下とみなされてきた。

 ところが二〇〇二年に浦添市美術館で開かれた「沖縄の古陶」に出品された八重山の焼き物を専門家があらためて検討すると、これまでの定評を覆すほどの優れた美術品であることが判明したというのである。意表を突かれた思いがする。

 手元に届いた図録などを見ると従来、八重山では発達しなかったと見られていた釉薬を使った実に趣きのある上焼があるのだ。それ以上に驚かされるのは線のシャープさ。ろくろの技術の高さがうかがえる。

 八重山では織物と違って陶芸の技は現代に継承されたとはいえない。従って本島のように焼き物を楽しむ土壌が熟しなかった。そこに盲点があった。同展は今月三十一日から壺屋焼物博物館、来月は石垣市の大浜信泉記念館で。(真久田巧)


【琉球新報・社説】

米軍車両侵入 政府は「逸脱」行為を正せ

 米海兵隊の装甲車が18日にうるま市の県立沖縄高等養護学校敷地内に無断で侵入した問題は、日米地位協定さえも逸脱した暴挙である疑いが濃厚になってきた。
 外務省の重家俊範沖縄担当大使は23日、抗議に訪れた政党代表が「学校への侵入は地位協定を逸脱している」などと指摘したのに対し、「その通りだと思う」と述べた上で「公道を外れた施設に無断で入っており、緊急事態があったわけでもなく、弁護のしようがない」と米軍の行動を批判した。
 防衛施設庁の渡部厚施設部長も20日の記者会見で「施設区域間での移動は(地位協定で)認められているが、学校敷地の中なのでそれがそのケースに当てはまるのか、という感じは持っている」と指摘していた。
 日米地位協定第5条は、米軍車両が日本国内で施設・区域間を自由に移動する権利を保障している。だが、外務省の「日米地位協定の考え方」によると、第5条に関する合意議事録は、移動に当たっては日本国の法令が適用される旨を定めている。
 自由な移動が認められているからといって、管理者の許可を得ることもなく民間の敷地内に立ち入ることが許されていいはずがない。
 ところが、外務省日米地位協定室は当初「通常、日本人が自由に出入りできるのに米軍に限って排除することはあり得ない。直ちに問題があるかどうかは何とも言えない」と述べ、米軍を擁護するような姿勢を示していた。
 Uターンできる場所がいくらでもあったにもかかわらず、わざわざ養護学校の敷地内に装甲車を乗り入れ、生徒の安全を脅かした行為に対し、「問題があるかは何とも言えない」と言ってのけること自体、驚きである。良識を疑う。
 学校の中に、突然、戦車と見間違えるような装甲車が入ってきたら、大人でもびっくりして恐怖感を覚えるはずだ。生徒であれば、なおさらだ。
 「弁護のしようがない」との重家大使の発言は、外務本省の対応を修正したものといえるだろう。
 県内の自治体や議会、民間団体の意見を聞いて政府に伝えることは沖縄大使の重要な職務の一つだ。
 重家大使には、もう一歩踏み込んで具体的に行動を起こすことが求められる。批判するだけでなく、地位協定上も留意すべき問題があることを米国に対し厳しく指摘してほしい。
 今回の米軍の行為は、仲井真弘多知事がコメントした通り「非常識の極み」である。沖縄で「非常識」がまかり通る状態がいつまでも続いているのは日本政府の怠慢と言わざるを得ない。今度こそ毅然(きぜん)とした態度で米国に抗議し、改善を促すべきだ。

(7/25 10:05)

魚卸売市場統合 漁業振興への貢献に期待

 那覇市の泊漁港内で県漁連、那覇地区漁協が運営する2つの地方卸売市場が、今年10月にも統合することになった。統合によって流通の一元化が進み、県内漁業の振興・発展に結び付くことを期待したい。
 現在、泊漁港内には2つの卸売市場が併存している。人件費、施設維持管理費などの経費がかさみ市場経営を圧迫するなど、かねて弊害が指摘されていた。
 県漁連は統合によって改善される点として(1)計画的出荷が容易になり安定供給ができる(2)販売単価、水揚げ代金の安定・向上につながる(3)生産者の安定収入が確保される(4)現在、両市場に重複して登録されている仲買人が一本化できるため購買力向上が期待できる(5)市場管理費が軽減できる―などを挙げている。
 両漁協とも、現状のままでは市場機能が衰退する、との危機感があったようだ。
 県漁連と那覇地区漁協が出資する有限責任事業組合(LLP)が新たな市場を運営する。LLPへの出資比率は県漁連70%、那覇地区漁協30%とし、出資の割合で利益などを配分するという。
 両漁協は昨年11月から、統合に向けた確認事項などについて調整を進めてきた。
 多くの利害が絡む中で、合意にこぎ着けたことを評価したい。
 県内の漁業就業者数は2005年で4300人。このうち男性の3割余は65歳以上で占めている。若年層の新規の参入が少ないため、近年、20代、30代の減少が著しい。
 県内主要卸売市場取扱高の8割を占める巨大市場の誕生で鮮度のいい魚の安定供給が進めば、漁業経営の安定化にもつながる。それによって、若い漁業の担い手が参入しやすくなれば、なおいい。
 市場の統合を機に、より新鮮な魚介類を適正な価格で消費者に届けられるよう、なお一層努めてほしい。
 今後、両漁協から派遣された職員で構成する市場統合準備室を県漁連内に設置し最終調整を進めるという。作業が円滑に運び、早期に統合が実現することを希望する。

(7/25 10:01)

【琉球新報・金口木舌】

 ニュートンはリンゴが地面に落下するのを見て「落ちた」のではなく「地球に引き寄せられた」と考えた。逆転の発想が万有引力発見を導いたといわれる
▼この逸話は、逆転の発想、もしくは発想の転換がこれまでの常識を覆して、新しい考えや方法を生み出す場合があるという教えとして、たびたび引用される
▼沖縄ではかつて、学校で島言葉(しまくとぅば)を話すと、首から「方言札」をつるされた。標準語励行を進める当時の教育現場での罰であった。方言札を経験した世代の人たちが現在でも「あれは恥ずかしかった」と振り返るのをよく聞く
▼近年は島言葉の継承、普及を図ろうと、各地で講座や大会などの開催が盛んになってきた。2006年3月には県議会で「しまくとぅばの日」も制定されている
▼知人のアイデアを紹介したい。「講座修了書や大会最優秀賞などを授与するのもいい。だがちょっと発想を変えて、かつての罰、見せしめの方言札をあえて贈るというのはどうだろう」
▼島言葉を自在に操れる、話すことを示す「名誉ある札」として、方言札をよみがえらせる考えはユーモアであり皮肉でもある。方言札の知名度は抜群である。島言葉の継承、普及の一助になるかもしれない。

(7/25 9:41)


【東京新聞・社説】

原発トラブル 『想定外』が多すぎる

2007年7月25日

 原発の専門家にも「想定外」の出来事があまりに多かった。新潟県中越沖地震で、放射能を含む水漏れを起こした原発建屋の構造的な欠陥が指摘された。消防体制の不備も合わせ、看過できない。

 柏崎刈羽原発6号機で、放射性物質を含む水があふれたトラブルは、建屋の床の不完全防水が原因だったと、東京電力は発表した。

 「想定していなかった」とも説明した。クレーンの一部の破損も見つかった。経済産業省原子力安全・保安院が、建屋の構造に欠陥があったと推定したことは重要だ。

 同原発1号機でも、「想定外」の事態が起こった。地盤沈下で壁にすき間ができて、多量の水が外部から建屋内に入り込んだことだ。

 防護の上に防護を重ねたはずの原発に「想定外」が相次いだことは、付近の住民に大きな不安を与えるものだ。運転再開を考える時期はまだまだ、遠い。

 心臓部である原子炉三基は点検中だった。残り四基が自動停止し、最悪の事態を免れたことに、東電側は「健全だ」と繰り返した。だが、心臓部が持ちこたえたことは、原発建設の大前提であり、当然というべきである。

 むしろ、原発周辺の地盤が一メートル以上も陥没し、結果として、稼働中の3号機わきの変圧器火災を引き起こしたことは、設計などの見通しの甘さを示すものといえよう。

 もっと驚かされるのは、初期消火の失敗である。化学消防車は未配備のうえ、原発の自衛消防隊も機能しなかった。一一九番につながったのが十二分後で、鎮火までに約二時間も要した事態は、深く教訓として刻むべきだ。

 ずさんで、お粗末きわまる消防・防災体制が全国の原発にも及んでいる事実を踏まえ、もはやその対策は待ったなしといえる。

 国や自治体への放射能検出の報告が、六時間以上を要したことも看過できない。東電側は「分析を繰り返した」と釈明するが、重要事実は一刻も早く報告するべきだ。

 瞬間的な大きな揺れや、原発直下まで活断層が延びていたという気象庁の解析結果は、最大級の「想定外」だった。地震大国での原発建設で、より厳しい基準が求められることは、繰り返し強調されていい。

 もちろん気をつけねばならないことは、いわゆる風評被害である。検出された放射能はごく微量で、人体や農水産物には影響がないことは、新潟県の調査で明らかになっている。不要な過剰反応は慎みたい。

食料政策 農村だけの問題でない

2007年7月25日

 農業再生で自給率を高める。それが農政の目標のはずだが、参院選では自民、民主両党の農村票争奪戦ばかりが目につく。食料問題は国の安全保障政策であり、熱く議論を深めるべきだ。

 日本の食料自給率は40%、先進国の中で最低水準だ。完全自給を維持しているのは主食用のコメだけで、他の作物は小麦14%、大豆5%など、厳しい状況を強いられている。

 国連は向こう十年、多くの農産物がバイオ燃料用の穀物需要で過去に例のない高値が続くと警告した。中国などの消費増大も逼迫(ひっぱく)要因だ。世界有数の食料輸入国である日本は海外の動向に一喜一憂することがないよう、少しでも自給率を向上させなくてはなるまい。

 自民党は日本農業の生産性を上げるため、計画経済的な農政を市場重視へと切り替え、国が統制してきたコメ価格を市場に委ねた。この政策変更が農家に合理化を促し、十年前に六十キログラム二万一千円だったコメ価格を一万四千円前後に引き下げた。

 四月からは一定規模以上の経営に財政資金を重点配分する品目横断的経営安定対策を始めた。今秋には三十九万ヘクタールに上る耕作放棄地活用などの農地政策をまとめ、さらなる大規模化、効率化を図る計画だ。しかし、コメ価格の低下は改革がもたらした成果との評価がある半面、零細農家が置いていかれる難点がある。

 民主党はそこを突いたのか、六十キログラム当たり五千円に下がっても、一万五千円を保証すると言い切った。

 総額年一兆円。農産品の市場価格と生産費との差額を全農家に支払う「戸別所得補償制度」だ。農業政策は地域政策でもある。小規模農家も含め、所得補償でより多くの農家を守って地域を維持すれば、自給率も回復する。一兆円は補助金廃止などで確保できると民主党は主張するが、簡単に財源をひねり出せるのか。農家の合理化は大丈夫か。

 競争力重視に対して所得補償。政策の相違点ははっきりしているが、ともに一長一短を抱える。攻防の舞台は参院選の勝敗のカギを握る一人区の農村部に偏り、政策が都市住民の目にさらされる機会は少ない。選挙期間中にとらわれず、長期的視野で、日本農業のあるべき姿の国民的合意を形成する必要がある。

 現在、市場開放問題は世界貿易機関などで議論が進められ、日本は農産品の幅広い輸入拡大を迫られている。交渉いかんでは輸入急増を招いて自給率を低下させ、都市住民の食料確保の選択肢をも狭めかねない。

 食料問題を、農村部だけの“局地戦”にしてはならない。

【東京新聞・筆洗】2007年7月25日

 玄人はだしのフルート奏者としても知られていた。先日永眠した日本の臨床心理学の第一人者、河合隼雄さんのことだ。モーツァルトが好きで、若いときはその作品も演奏していた▼年を重ねるに連れ、童謡をよく演奏するようになった。なぜか体全体で吹いている感じがしたという。得意の一曲に野口雨情の作詞、本居長世の作曲による「七つの子」がある。♪烏(からす)/なぜ啼(な)くの…。多くの人が歌詞をそらんじることができよう▼ダジャレが好きだった河合さんのことだから♪可愛(かわい)/可愛と/啼くんだよ…のくだりが自分の名前を呼ばれているようで面白かったこともあるかもしれない。でも親烏の子に対する愛情にこそ、心をひかれたのだと推察する▼文化庁長官のとき、親子で歌いつげる「日本の歌百選」を決めようと提案した。歌を通じて家族の絆(きずな)を深めてもらいたいという思いがあった。文化庁が公募して今年の一月に発表されたが、「七つの子」も多くの人の支持を集めて百選入りした。河合さんはほっとしたに違いない▼世の中で利己的な「個人主義」が幅を利かせ、家族や人と人の絆が弱まりはしないか憂いていた。「自立した人とはどんな人ですか」と質問したことがある。河合さんは「自分で考え、自分で判断し、自分の行動に責任を持てる人」であるとともに、「他の人とのつながりをおろそかにしない人」と付け加えた▼人は本来、一人で生きていけるほど強くはないのだろう。河合さんは誰にでも自分なりの「可愛い七つの子」がいることを願っていた気がする。


【河北新報・社説】


07参院選を問う<教育改革>/もっと論戦を深めてほしい

 安倍晋三首相は政権の最重要課題に教育再生を掲げ、改正教育基本法を成立させたのに続き、学校教育法など教育三法を改正、教育理念や教育行政を大きく転換した。

 今後さらに、教育振興基本計画の策定、学習指導要領の改定、教育再生会議の第三次報告を基にした改革などが予定されている。

 参院選では、政府・与党が強力に進める教育改革をどう評価するかが問われる。野党各党もそれぞれ教育改革を重点政策に掲げている。

 共同通信社の世論調査によれば、参院選で有権者が重視するテーマとして、年金に次いで教育が2番目に挙げられている。それだけ身近な問題であり、教育の現状に対する問題意識が強いことを示す。

 それにもかかわらず、教育問題は選挙戦で盛り上がりに欠けているのが現状だろう。

 どのような教育改革を目指すのか、各党はもっと訴え、論戦を深めてほしい。抽象的な表現にとどまらず、方針や将来像をできる限り具体的に示す努力も求めたい。

 教育をめぐる問題は極めて多岐にわたる。基礎学力、いじめや不登校、教員の質、学校や教育委員会の責任体制―。子どもたちのモラルの低下や地域・所得による教育格差なども指摘される。

 さまざまな問題に対し、政府・与党が目指しているのは国の強い指導で教育を立て直すことだ。安倍首相の肝いりで内閣に設置された教育再生会議はその象徴だろう。

 政府が6月に決定した「骨太の方針」では「基礎学力と規範意識を持った優れた人材を育成することは、必要不可欠な国家戦略である」とする。教育再生の目標は「学力」と「規範意識」の向上にあることを明確に示すものだ。

 教員免許更新制の導入や学校運営の強化などを盛り込んだ教育三法の改正は、目標に向けた第一歩と言える。

 学習指導要領の改定では、学力向上に向けた授業時間数の増加、徳育の「教科化」などが図られる見通しだ。

 だが、こうした方針に対して「国の管理・統制の強化につながり、教育現場を委縮させることになりかねない」「地方分権の流れに逆行する」という批判も強い。ゆとり教育の功罪について、徹底した検証を求める意見もある。

 政府・与党は地方の意見や現場の声にも、もっと耳を傾ける必要があるだろう。また教育関連予算や教職員定数の拡充に関して、明確な方針を示すべきではないか。

 一方、民主党はマニフェスト(政権公約)で、義務教育における国の責任を明確にした上で学校運営は地方自治体が責任を持って行う制度に改めることや、教育への財政支出の5割増などを打ち出している。

 どのように国と地方の責任を分けるのか、教育予算の財源をどう確保するのかなど、やはりもっと具体的で丁寧な説明が必要だろう。
2007年07月25日水曜日

【河北新報・河北春秋】

 原子力発電環境整備機構が発行するパンフレットがある。高レベル放射性廃棄物処分場に関するものだ。「参考」として経済波及効果と交付金額が添付してある▼こんな内容だ。処分場建設によって、その県には60年間に直接経済効果が7400億円ある。生産誘発効果は1兆6500億円。雇用は13万人。立地市町村には固定資産税収が毎年27億円

 ▼ それだけではない。建設の事前調査に名乗りを上げるだけでも金が出る。2年間の文献による地層調査の期間中、計4億2000万円。続く4年間のボーリング調査では計70億円の交付金▼数字ばかり並べて恐縮だが、財源不足に苦しむ自治体にとっては目のくらむような金額だろう。5年前に公募を開始して以来、全国で12の自治体が応募を検討した。どれもが交付金による財政再建が目的だった

 ▼札びらで頬(ほお)をたたくようなこうした国のやり方には、多くの住民が違和感を抱かざるを得まい。原子力発電の恩恵に誰もが浴している以上、処分場が必要な施設であることは疑うべくはないにしても▼秋田県上小阿仁村が村内誘致を検討するという。長らく人口減と高齢化に悩んできた村が、やむにやまれず立地に手を挙げた印象だ。無論、すんなり誘致には至るまいが、何ともやるせない選択ではないか。

2007年07月25日水曜日


【京都新聞・社説】

公務員制度  国民の信頼得る改革を

 参院選のさなか、国家公務員制度をめぐる政府の二つの有識者懇談会が始動した。
 一つは官僚の再就職あっせんを一元化する「官民人材交流センター」の制度設計を行う懇談会。いま一つは公務員制度全体の改革を検討する懇談会だ。いずれも今秋に報告書を出す。
 安倍晋三首相は、参院選の投票日を一週間ずらしてまで国会を延長し、成立させた改正国家公務員法の「実績」を目に見える形でアピールしたいのであろう。
 それにしても急ぎ足だ。しかも二つの懇談会の同時進行は分かりにくい。「天下りの根絶」を掲げる公務員制度改革だが、どの方向へ踏み出すのか、その道筋もはっきりしないからだ。
 取り組む順序があべこべではあるまいか。来年度スタートさせる官民人材交流センターは、省庁による天下りあっせんを三年以内に根絶する代わりに、内閣府で天下りをあっせんする。つまり形を変えて天下りを続ける機関になる。
 その一方で、公務員制度懇談会は天下りの根っこにあるキャリア官僚制度のあり方にもメスを入れようとしている。
 事務次官や局長コースからはずれたキャリア組への早期勧奨退職の慣行を廃止し、定年まで在職できる「専門スタッフ職」の導入や、定年制の延長、幹部の公募制などの議論を進める。
 キャリア官僚制度の抜本改革案を盛り込んだ「国家公務員制度改革基本法案」を来年の通常国会に提出するのであれば、税金と人をつぎ込んで創設する公務員だけの再就職あっせん機関など不要になろう。先行すべきは制度改革だ。
 順序の問題だけではない。その官民人材交流センターづくりも難しい。各省庁の人事情報やノウハウを持たなければ、あっせん機能は果たせそうにない。
 さりとて、出身省庁の協力に大きく依存するとなれば、予算と権限を背にした押しつけ的天下りを温存する「トンネル機関」になりかねない。前途多難だ。
 規制緩和や地方分権改革などで、公務員の働く組織や機能は変化を求められている。民間の労働慣行が大きく様変わりする中で、「公務の世界」の制度や意識も行動も変わらねばならない。
 談合など不祥事の温床でもある不透明な公務員システムを国民の信頼を得る仕組みにどう改めるかだ。
 制度改革は採用から退職までの全体の流れのなかで検討するのが筋である。能力・実績主義の導入やキャリア官僚をつくる試験区分の廃止など課題はいっぱいある。小手先の急ごしらえではなく、各種法人や特別会計など行財政改革も視野に、落ち着いた幅広い議論を求めたい。
 国家の運営や行政サービスまでを担う公務員制度改革は、国のかたちに直結する重要なテーマだ。参院選では年金問題や「政治とカネ」などに押されて影が薄い。各党のマニフェストや公約にも目をこらし、選択の一助にしたい。

[京都新聞 2007年07月25日掲載]

合格者水増し  教育をゆがめる行為だ

 大阪府や兵庫県内の一部私立高校で、成績優秀な生徒に学校側が受験料を負担して有名大学を多数受験させ、合格実績を水増し発表している実態が明らかになった。
 受験者の実数は伏せ、合格延べ人数だけを公表することで、多数の合格実績があるように装う手法だ。
 生徒一人に四私大の計七十三学部・学科を受験させ(すべて合格)、七十三人分の合格実績として公表していた大阪市内の高校もある。願書のほとんどは教師が代筆、受験料百四十三万円は学校が負担し生徒には謝金まで出していた。
 公表された実績を信じて子どもを私立高に入学させた保護者たちから、一斉に「学校に裏切られた」の声が起きたのは当然だろう。
 少子化の進行で私立高が生き残り競争に直面しているのはわかる。とはいえ、不公正な手段で生徒集めに走るのは、保護者や社会への背信であるばかりでなく「教育をゆがめる行為」と言わざるをえない。
 学校の要請で受験させられる生徒の心理的、肉体的負担も決して小さいとはいえまい。過去に、その役目を果たした卒業生らにまで今後、負い目を感じさせるとすれば、責任はより重大だ。
 水増しにかかわった私立高関係者は、真摯(しんし)に反省してほしい。実績づくりのためだけの「やらせ受験」は直ちに廃止すべきだ。
 大阪府は、府内の私立高全校を対象に実態調査に乗り出す方針を決めた。合格水増しは、かなり以前から生徒や保護者の一部では、うわさになっていたといわれる。
 私学の自主性は尊重しながらも不当、不正な行為には行政として素早く適切な指導を行うようのぞみたい。
 私立高の合格水増しのほとんどは、大学入試センター試験の成績だけで合否が決まるセンター試験利用入試が使われていた。
 一学科二万円弱の受験料で出願さえすれば結果が出るので、高校側には好都合だった。大学側も全く無関係とはいえまい。一人で数十件も出願するような不自然なケースには、今後チェックを入れることも検討されてよかろう。
 合格水増しの再発を防ぐ一つとして、合格実績の公表様式を厳格に統一する方法が考えられる。
 進学者の多い公立高などで取り入れているように、現役、浪人に分けたうえで合格内容をセンター試験利用や推薦、一般入試など全種別に分け明記してはどうか。合格者数は、実際に進学した数も併記するとわかりやすい。
 姑息(こそく)な実態が広く知られた以上、合格水増しのあった高校は率先して名乗り出るべきだ。あしき慣行を自ら改める姿勢を見せないなら、生き残りが難しくなるだけだろう。

[京都新聞 2007年07月25日掲載]

【京都新聞・凡語】

耐震補強工事

 わが家を耐震補強しなくてはと思い続けて十年余り。このほどようやく改修工事を行った。万全ではないが、少しほっとしている▼なかなか踏み切れなかった理由は、改修工事の費用と信頼性の問題だ。住宅リフォーム詐欺事件もあったから、確かな業者でなければ困るし「費用対効果」の問題もある▼ありがたいことに居住地の守山市が無料耐震診断を行っている。申し込んで簡易診断してもらった。壁の量や基礎の形状、家の劣化度などを計算した結果、わが家は評点0・62という。震度6クラス程度の大地震がおきると「倒壊する可能性が高い」とのこと▼市は「一応倒壊しない」1・0を上回る耐震補強の例も示してくれた。室内の壁をめくり、中のベニヤ板を分厚い耐力壁(コンパネ)に替えるプランだ。近所の建築士事務所に依頼し、計七カ所の壁を補強した。屋根を軽い素材に替えるなど、他の補強方法もあるそうだ▼内壁の補修は一カ所十万円程度だが、めくらないと確かな工事費は出ないという。結果は見積もりの範囲内で済んだ。住宅用火災警報器も三つ付けた。ついでに数カ所リフォームもして費用は百五十万円弱▼市のリフォーム助成も申し込んだ。一部、工事を省いたため評点1には達しない。まだ「倒壊の可能性がある」レベルだが、前よりは強くなった。安心感もその分だけ、増している。

[京都新聞 2007年07月25日掲載]


【朝日・社説】2007年07月25日(水曜日)付

「憲法問題」―白紙委任しないために

 今年初め、憲法改正を参院選の争点に掲げたのは安倍首相だった。ところが、選挙戦に入ってからの首相の街頭演説を聞くと「国民投票法が成立した。新しい憲法を書こうじゃありませんか」などと、極めておざなりだ。

 自民党のマニフェストは、3年後に改憲案を国会で発議することを目指すとし、そのための国民運動を展開するとあるだけだ。憲法9条を改正し、自衛軍を持つのが自民党の改憲草案の根幹だが、そんな中身は一切触れられていない。

 首相の意気込みはいったいどこへ消えたのだろうか。憲法改正は、首相が掲げてきた「戦後レジームからの脱却」の中核の主張だったはずだ。

 代わりに、社会保険庁の改組や国家公務員の天下り規制が「戦後レジームからの脱却」と位置づけられているのは驚くばかりだ。年金問題などで応戦に追われる事情はあるにせよ、当惑する有権者は多いだろう。

 民主党はこの選挙で憲法にはあまり触れない戦術だが、共産、社民などは護憲を前面に立てて、支持を訴えている。奇妙なことに、仕掛けた側の自民党が論争を避け、後ずさりしている印象なのだ。

 だが、論争が低調だからと言って、今度の選挙の結果が憲法問題の行方に大きく影響することは変わりない。

 参院議員の任期は6年だ。自民党の言う通り3年後の改憲発議があるとすれば、今度選ばれる議員はその賛否にかかわることになる。自民党の候補者は、改憲の中身や態度を語る責任がある。白紙委任するわけにはいかない。

 もう一つ、憲法9条の根幹にかかわる集団的自衛権の解釈の問題が、首相の私的な有識者懇談会で議論されているのを忘れてはならない。

 同盟国への攻撃を自国への攻撃と見なして阻止する集団的自衛権は、憲法9条で認める必要最小限の自衛の範囲を超える。だから行使できない。それがこれまでの政府の憲法解釈だ。

 そこを米軍と自衛隊がより緊密に協力できるように、解釈を改めたいというのが、首相の意を受けた懇談会の方向だ。政府がその線で踏み出せば、憲法9条の歯止めが失われることに等しい。

 それほど重要な争点なのに、自民党マニフェストは「集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係を整理し、安全保障の法的基盤の再構築を行う」とするだけで、結論をぼやかしている。

 首相も「懇談会で議論を深めている最中だから」と最終的な方向づけは避けているが、それでも解釈変更の必要性は唱えている。

 自民党が勝てば、首相は懇談会の報告に沿って、集団的自衛権の行使容認に踏み込むに違いない。改憲への動きにも拍車がかかるだろう。逆に自民敗北ならば、ブレーキをかけざるを得まい。

 現在の論戦では目立たないが、こうした論点を見落としてはならない。

「中国製食品」―安全管理こそ生きる道

 「段ボール入り肉まん」はテレビ局のやらせ報道だったという。それを聞いて二重に驚いたが、半ば信じさせるほど、中国産の信頼性が揺らいでいる。

 中国産品への不安が世界に広がっている。様々なものから規制値を超える農薬や化学物質が見つかったからだ。

 このため、日本政府は民間と合同で、輸入品の安全に関する緊急会議を開いた。政府側は情報を集める体制を強化することや、輸出国の協力も得て安全管理体制を調査するといった方針を示した。強力に推し進めてほしい。

 安全性の問題が同時多発しているのは、中国製品がいま世界中にあふれているからでもある。

 米国では、中国製原料を使うペットフードを食べた犬や猫が多数死んだことが波紋を呼んだ。さらに、水産物や練り歯磨き、玩具など多様な品目が問題化した。中国製の原材料を含まないことを売り物にした商品が登場するほど、高い関心を集めている。欧州連合(EU)も中国政府に厳しい安全管理を要求した。

 日本では、02年に中国産の冷凍ホウレンソウから残留農薬が検出されたことなどから、もともと中国産野菜への消費者の警戒感が強い。昨年からは、すべての食品を対象に残留農薬を漏れなく規制する「ポジティブリスト制度」を導入している。

 とはいえ、毒性物質が入った練り歯磨きが、日本でも出回っていた。

 生産地で輸出国の中国には、抜本的な対策を求めたい。

 食品の安全問題は、もともと中国国内において重大事だった。03年、遼寧省で豆乳を飲んだ2000人以上の小学生が中毒を起こし、死者も出た。昨年も、卵黄が赤くなるように、発がん物質である工業染料を飼料にまぜて食べさせたアヒルの卵が北京で大量に出回るなど、食品安全に関する事件が相次いでいる。

 中国政府も事態の改善に努めてはきたが、環境汚染や偽物商品と同じように、地方に対するコントロールがきかないことや安全意識の不徹底など、様々な要因が絡みあっているのだろう。

 国際社会から批判を受けるに至って、中国政府は違反企業のリストを公表するなど対策の強化に動きだした。

 問題は、どこまで徹底できるかだ。中途半端に終わると、いっそう信頼性を失うことになる。輸出がとまり、問題企業だけでなく、同業同種の人々の職を奪うことにもつながりかねない。

 中国製を扱う日本の商社やスーパー、外食産業は、安全性のチェックに責任をもたなければいけない。輸入側から厳しくチェックされることは、中国が安全管理の体制を整備していくにあたって手助けともなるだろう。

 日本も威張れたものではない。期限切れの材料を使った食品や、偽の表示の食品が出回って、食品への信頼が揺らいでいる。他山の石としたい。

【朝日・天声人語】2007年07月25日(水曜日)付

 ご家庭のアルバムで、お父さんの影は薄いかもしれない。撮った人は写らないのが写真だ。でも、シャッターに乗せた思いが画面に残ることはある。写真集『カンボジアの子どもたち』(連合出版)にそう教えられた。

 戦乱と暴政を見つめてきた自然や遺跡を背に、黄金の笑みがはじける。体より大きいバナナの葉束を運ぶ娘、水牛の背の少年。99年から20回以上訪れた写真家、遠藤俊介さんへの信頼が、かぐわしい靄(もや)のように作品を覆う。

 かつて戦場を記録した沢田教一や一ノ瀬泰造は、この地に散った。平和を撮る者に約束されていた豊潤な時は、しかし白血病に断ち切られる。今月半ば、写真集が枕元に届いた3日後、29歳の遠藤さんは一ノ瀬らのもとに旅立った。

 婚約者の高瀬友香さんにお会いした。昨夏、カンボジアの勉強会で意気投合し、直後に病気が分かったそうだ。かの国で式を挙げる夢を支えにして、初の写真集に使うコマは病室で一緒に選んだ。

 「整理が苦手な人で、まだ膨大な画像データがあります。私たちの子と思い、個展などの形に育てたい」。後書きに「貧しいけれど笑顔のカンボジアを撮り続けようと決めた」とある。平穏の尊さを伝える仕事が友香さんに残された。

 本人の写真は奥付に1枚。子供に囲まれ、飛行機のポーズでおどけている。そしてもう1枚。表紙でほほ笑む少女の、とび色の瞳に小さく写り込んだ人影は、キヤノンEOSを構える。異国の、いくつもの柔らかな記憶の奥底に、遠藤さんは永遠の像を結んでいるはずだ。


【毎日・社説】


社説:FX脱税 素人の通貨投機が示す危うさ

 外国為替証拠金取引(FX)で得た利益を申告せず、告発されるケースが相次いでいる。東京都江戸川区の保険代理業の男性(84)はFXで2億円余の利益をあげ、約7000万円を脱税していた。今年4月に明らかになった世田谷区の主婦(59)の場合は約4億円の利益を隠し、約1億3000万円を脱税していた。

 納税を怠っていたことから、FXの一端が明らかになったわけだが、このニュースに接した多くの人にとっての関心事は、脱税の摘発より、どのようにしてこんな巨額の利益を得ることができたのだろうかということだろう。

 高齢者や主婦といったプロとは思えない人たちが、プロの為替ディーラー顔負けの利益を稼いでいた。脱税での摘発は、逆にFXという金融取引に対する関心を高めることになっている。

 FXとは、米ドルやユーロなどの外貨を売買し、為替相場の変動を利用して利益を狙う取引だ。証拠金として預けるのは5万円程度からと手軽で、外貨預金などと比べて手数料も安く、インターネットを通じて24時間売買できる。

 最大の特徴は、取引できる外貨の額を証拠金の数百倍にも膨らませることができることで、利益が出たときは大きくもうけられる。しかし、損した時は、その額も巨額に膨らむ。

 為替取引の自由化という規制緩和の中でFXは登場した。直接規制する法律がなく、最低取引単位や証拠金の額も業者によってさまざまで、独立系の取引業者も多く、顧客との相対取引という形態もあって、トラブルが続出した。

 昨年から業者に対し登録が義務づけられ、電話や訪問による勧誘が禁止されるなどの措置がとられたが、外貨建て運用の投資信託が売れているのと同様に、FXの人気が衰える気配はない。

 日銀が2度の利上げを行ったとはいえ、日本の金利水準は超低水準であることに変わりない。今後についてもほとんど期待が持てないため、嫌気がさした個人の資金が、FXを通じて外貨に向かっている。

 ただ、為替相場の動きが予想と大きく外れた場合には、巨額の損失が生じる恐れがある。投資は自己責任が原則だが、FXはリスクが非常に高い取引であることを改めて指摘しておきたい。

 もうひとつは、FXが為替相場に大きな影響を与えるようになっていることだ。不測の事態を避けるためにも、取引の実態を検証し、市場に与える影響について十分に把握しておくことが必要だ。

 輸出企業は円安により高収益を得ている。景気にとっても追い風だ。しかし、低金利を嫌って個人の資金がどんどん外貨に向かい、円安が進行していることは、日本にとっていいことずくめではない。円安は、日本を安売りしていることにもなる。何より、行き過ぎには必ず反動が伴う。

 大きなリスクを背負って高齢者や主婦が通貨投機に熱中する。そんな異様な光景が、いつまでも続いていいわけはない。

毎日新聞 2007年7月25日 東京朝刊

【毎日・余禄】

余録:セミの声を聞いてもファーブルともなれば…

 セミの声を聞いてもファーブルともなれば日本人の思いもつかぬことを考える。セミがさかんに鳴いているところで大砲を撃てば、どうなるのか? いや、考えたばかりでなくわざわざ役場の大砲を砲手とともに借りてきて、実際に撃ったのだからすごい▲2度の発砲の結果、セミは何事もなかったかのように鳴き続けたと昆虫記は書いている。ファーブルは、セミは耳が遠いから大声で鳴くのだと結論づけた。だが実はセミにも音は聞こえるが、聞き分けられる音の範囲が人と違うことが後に分かった▲さて日本人がミンミンゼミやアブラゼミなど夏ゼミの声を聞き始めれば梅雨明けだ。きのうは近畿地方の梅雨明けが伝えられ、関東地方でも真夏の陽気となった。皇居周辺でも大砲ならぬ自動車の騒音をかいくぐってミンミンゼミの声が響き渡った▲もっとも東日本はすぐまたぐずついた天気に戻り、梅雨明けはしばらく先になるという。何年もの地下生活を生き抜いてようやく地上に出たセミたちには気の毒な天気だが、本格的な夏の暑さが待ち遠しいのは夏休みに入った子供たちも同様だろう▲だが先日発表された1カ月予報によると、ほぼ全国的に気温が「平年並みか低い」という今年の夏だ。先月の3カ月予報ではラニーニャ現象のせいで猛暑が予想されていたのだが、実際は太平洋高気圧の勢いが弱く、一転して冷夏の方が心配になった。ままならないのは空模様である▲セミの中でもニイニイゼミやヒグラシは梅雨のうちから鳴き始めるが、あまりピンとこない。耳に入りながら周りの状況次第で気にならぬ音は人にもあるようだ。短い生を激しく鳴いて果てるセミの音は炎暑の盛夏にこそ心にしみるが、今年は少しその勢いが気がかりだ。

毎日新聞 2007年7月25日 東京朝刊


【読売・社説】

公務員制度 抜本改革の論戦がかみ合わない(7月25日付・読売社説)

 国家公務員のあり方をどう考えるか。参院選で各政党、候補者が取り上げるべき重要な論点の一つである。

 だが、今もって掘り下げた論戦が聞こえてこない。

 安倍首相の下に設置された民間有識者による「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」が初会合を開いた。日本の公務員制度は戦後、先進国に追い付く過程では成果を上げたが、今日、内外の大きな変化に対し、機能不全に陥っている、という点が共通認識だったという。

 国際社会と日本の経済・社会の変化を見れば、通商、エネルギー、環境、安全保障、少子高齢化、社会保障制度など、多様な課題に対処する戦略を描き、必要な政策の推進に当たらねばならない。

 政治主導が基本としても、政策の立案や執行、国際交渉などに当たる国家公務員の役割と責任は、極めて大きい。国家公務員制度の立て直しは急務である。

 そうした観点からすれば、参院選で論じ合うべき主要な論点の一つは、公務員制度改革の全体像であるはずだ。

 ところが、参院選の論議は、与野党を問わず、天下り問題に集中している。

 安倍首相は、先の国会で成立した公務員制度改革関連法を“実績”としてアピールしている。能力・実績主義の導入とともに、「官民人材交流センター(新・人材バンク)」設置で、各省庁の「押しつけ的な天下りを根絶する」と言う。

 社会保険庁の体質の批判と重ね合わせて、年金記録漏れ問題に対する有権者の批判を和らげる狙いもあるのだろう。

 安倍首相は、天下りの根絶は、戦後の公務員制度の弊にメスを入れるもので、「戦後レジームからの脱却の一環」と主張している。

 だが、機能するのかどうかも不透明な新・人材バンク導入を先行させた結果、改革の全体像が見えない。このため、「戦後レジームからの脱却の一環」という言葉も説得力を失ってはいないか。

 民主党など野党の公約からは、自民党以上に、公務員制度改革の展望が見えない。天下り問題も、「天下りを温存するもの」などとする新・人材バンク構想に対する批判が主眼となっている。

 支持団体の労組などへの配慮もあるのだろうが、公務員制度改革をめぐる建設的な論戦があってよかった。

 採用試験のあり方、幹部公務員の育成方法、早期勧奨退職制度、定年延長など、多岐にわたる論点がある。

 政府は、次期通常国会に国家公務員制度改革基本法案(仮称)を提出するという。抜本的な公務員制度改革論議を避けて通ることはできない。
(2007年7月25日1時43分  読売新聞)

車の生産停止 「カンバン方式」の思わぬ弱点(7月25日付・読売社説)

 わずか1社の部品の供給停止で、国内自動車メーカー12社の生産ラインが一斉に止まった。自動車業界は思わぬ弱点をさらけ出した格好だ。

 16日の新潟県中越沖地震で、自動車部品大手、リケンの柏崎事業所が被災し、自動車エンジン用のピストンリングなどが生産できなくなった。

 ピストンリングは燃費効率を左右する重要部品だ。リケンが国内シェアの5割を占める。トヨタ自動車など12社が、リケンから調達している。

 このため、自動車各社も、部品の在庫が底をついた段階で、生産停止に追い込まれた。

 各社がリケンを総掛かりで支援した結果、リケンは23日に生産を再開した。これを受け、自動車各社も同日から、次々と生産を再開し始めた。

 阪神大震災時などでの被災企業への支援のノウハウが、リケン支援でも生かされたようだ。生産停止の長期化を避けられたのは何よりだ。

 しかし、今回の減産台数は、トヨタの5万5000台など、全社で約12万台に達した。計4万台の減産となった阪神大震災時を3倍も上回る。減産の遅れを取り戻すにも時間がかかる見通しだ。

 なぜ、これほど、生産停止が連鎖し、影響が広がったのか。業績好調な自動車業界に課題を突きつけたといえる。

 自動車各社は、部品の過剰在庫を持たない「カンバン方式」の生産体制を取っている。トヨタが最初に始めたもので、徹底的にムダを省いて効率化を図る。そうした「ジャスト・イン・タイム生産」は、競争力の源泉である。

 だが、在庫を十分に持たないため、今回のように、重要な部品の供給が止まると、生産を維持できなくなる。

 トヨタがリケンと高精度なピストンリングを共同開発するなど、各社とリケンは技術的に深く結ばれている。日本企業の強みだが、ピストンリングの調達先をリケンに依存することにもなった。

 コスト削減による競争力維持と、部品の安定供給をどうバランスさせるか。調達先を分散したり、生産拠点を特定地域に集中させないなど、可能な限り、リスクに備える危機管理が求められる。

 今回のトラブルは産業界全体への警鐘でもある。電機業界も、重要部品を特定企業に依存するケースが少なくない。国内に限らず、海外進出先の工場が被災するかもしれない。

 リケンショックを教訓とし、あらゆる企業が、緊急時に備えた生産体制を総点検する必要がある。それは競争力の一層の強化につながるはずだ。
(2007年7月25日1時43分  読売新聞)

【読売・編集手帳】7月25日付 編集手帳

 紀貫之の筆になる古今和歌集の序文(仮名序)に、よく知られたくだりがある。「ちからをもいれずして、あめつちをうごかし、めに見えぬおに神をもあはれとおもはせ…」るのが歌であると◆世に名歌の誉れ高い歌は数あれども、天地を動かし、鬼神の涙を誘う歌となれば、そうたくさんはなかろう。仮名序の一節を目にするたびに思い出す窪田空穂(うつぼ)の一首がある◆「親といへば我ひとりなり茂二郎 生きをるわれを悲しませ居よ」。シベリアに抑留され、飢えと病気で死亡した二男に呼びかけた歌である。悲しむ以外に、親としてお前に愛情を注ぐすべはない。いつまでも悲しませてくれ、と◆空穂は1877年(明治10年)、長野県に生まれた。国文学の教授として早稲田大学の教壇に立ち、1967年(昭和42年)に89歳で亡くなる。今年は生誕130年、没後40年の節目にあたり、生地では記念の催しも開かれている◆関東大震災の後、空穂は瓦礫(がれき)の荒れ野となった東京の街をさまよい歩いた。「梁(はり)の下になれる娘の火中(ほなか)より助け呼ぶこゑを後(のち)も聞く親」。これも鬼神が涙する歌に違いない◆地震や火事に限るまい。病気であれ、交通事故であれ、子に先立たれた親の耳から、助けを求める声が消えることはないだろう。悲しむ人の傍らに、いつもそっと立っている歌人である。
(2007年7月25日1時42分  読売新聞)


【産経・社説】

【主張】テーオーシー防衛 安易な自社買収にも問題

 日本初の敵対的買収なるか、と注目された株式公開買い付け(TOB)は不成立に終わった。仕掛けたのは不動産ファンド運営のダヴィンチ・アドバイザーズ、防衛に成功したのは、ホテルニューオータニ系不動産会社のテーオーシーである。

 近年国内で増えている敵対的買収ではあるが、それらと今回のケースを単純に同一視することはできない。特に攻防の引き金になったのが、テーオーシー経営陣による自社買収(MBO)だった点に着目すべきだ。

 テーオーシーは今年4月、同社の非上場化を決め、MBOに乗り出した。ダヴィンチ側が同社株の1割強を保有していることが分かり、買収リスクが高まったとみたからだ。

 この判断に問題はない。ただ、株主に示した買い付け価格1株800円に対し、ダヴィンチが不当に安いと異を唱え、1株1100円でのTOBを提案した。この結果、5月時点でMBOは失敗に終わったものの、ダヴィンチの獲得株式も4割弱にとどまった。

 ダヴィンチの攻勢をしのいだテーオーシーだが、MBOへの応募がわずか7%だったという事実は重い。

 国内企業のM&A(企業の合併・買収)への関心が急速に高まる中、MBOは脚光を浴びている。非上場化すれば、買収リスクから解放される。短期的利益を最優先させがちな「モノを言う株主」に振り回されることもなく、長期的な視点に立った経営戦略の構築も可能になる。

 しかし、非上場化は既存株主の大きな不利益になるだけに、決断した企業には、より重い株主への説明責任が課せられる。買い付け価格の設定はその核になる問題だろう。「MBO応募7%」という数字は、同社の説明不足に対する株主の強烈な不満の表明にほかならない。

 MBOをめぐっては、個人株主が設定価格が安すぎるとして東京地裁に適正価格の決定を申し立てている例もある。経済産業省などもMBOによって既存株主が著しく不利益を被らないよう、価格設定のガイドライン策定を進めている。

 上場企業が自身の判断で非上場化する場合、株主の不利益に鈍感であることは許されないのである。

(2007/07/25 05:02)

【主張】天下り聴聞拒否 官僚はそこまで偉いのか

 国家公務員の天下り根絶策を検討する政府の有識者懇談会が行った公開ヒアリングに、出席を求められた中央官庁の事務次官OB7人全員が欠席していた。官僚の傲慢(ごうまん)ぶりも、ここに極まったというほかない。

 しかも、事務を取り仕切る行政改革推進本部事務局と次官OBの各出身省が、いわば合意の上で、本人に連絡すらしていなかったという。開いた口がふさがらないとはこのことである。

 「意図的か、意図せざるかは別として、結果としてサボタージュを行ったといわれてもやむを得ない」

 安倍内閣で公務員改革の前線指揮を執る渡辺喜美行革担当相は、そう怒りをあらわにしたが、欠席戦術に自身の専属スタッフまでが関与していた事態は深刻だ。こうした官僚の組織ぐるみの抵抗には、厳正な処分も含め、毅然(きぜん)たる態度で臨む必要があろう。

 政府は先の通常国会で天下り防止を柱とする公務員制度改革関連法を成立させた。国家公務員の再就職については、内閣府に設置する「官民人材交流センター」(新人材バンク)に一元化することが最大の目玉だ。有識者懇談会は、その詳細な制度設計をまとめる重要な役割を担っている。

 今回のOBに対する公開ヒアリングも、各省庁の天下り斡旋(あっせん)の実態把握を目的に設定された。官製談合や年金記録紛失など最近の不祥事に関連して、まず財務、厚生労働、国土交通、農林水産の4省が対象となり、今後順次、全省庁に広げる予定という。

 新人材バンクには当初から官僚側の強い反発があり、今回の組織的抵抗もいわば予想されたことではあった。

 ある財務省幹部は「先輩に対し、公開ヒアリングという官邸のパフォーマンスに出てこい、といえるわけがない」と言い放ったという。公務員としての立場を忘れた許し難い暴言といわざるを得ない。

 有識者懇談会は各省庁を通さず、座長名で直接、次官OBらに出席を求め、きょうにもヒアリングを再開する考えという。当然のことであり、官僚の専横を放置してはなるまい。

 同時に、懇談会の議論を実りあるものとするには、官邸の強力な後押しが不可欠だ。安倍晋三首相の強いリーダーシップが求められている。

(2007/07/25 05:01)

【産経抄】

 大臣が絆創膏(ばんそうこう)をはがしただけでニュースになるのだから、この国は本当に平和だ。毛包炎(もうほうえん)という軽い皮膚病にかかった赤城徳彦農水相には気の毒だが、つまらないことを隠そうとするから騒ぎが余計に大きくなった。

 ▼事務所費問題だってそう。「適切に処理している」だのと煮え切らぬ説明を繰り返しているから不信感が募ってくる。事務所費名目で多額の不動産を買った民主党の小沢一郎代表を見習って手持ちの領収書を全部見せればいいだけの話だ。

 ▼ 麻生太郎外相らの“失言”ラッシュも安倍晋三首相の足を引っ張っている。内閣のドタバタぶりに、霞が関の官僚たちは「安倍政権は長く持つまい」とサボタージュを始めたようにみえる。政府の有識者懇談会が、国家公務員の天下り問題に関して各省事務次官OBからヒアリングをしようとしたところ、誰も出席しなかった。

 ▼原因は事務局の「連絡ミス」だったようだが、優秀なお役人のみなさんがそのような凡ミスをするとはにわかに信じがたい。財務省など有力官庁は、改革の目玉である「出身省庁による再就職斡旋(あっせん)の禁止」が、どうもお気にめさないようだ。

 ▼ 近代官僚制の礎を築き、志半ばで凶刃に倒れた大久保利通はこう部下を叱咤(しった)したという。「各部の担任者は決して私一個に使われるとか、薩長に使われるとか思わずに、国家の役人である、国家の仕事をするというつもりで自ら任じてやってくれ」(『大久保利通』講談社学術文庫)。

 ▼自分や仲間の天下り先を気にするような官僚が「国家の役人である」と胸を張っていえるだろうか。ボスの方にも「責任はおれが引き受けてやる」との大久保の気概が欠けてはいないか。万事ちまちました政治では、国柄も小さくなる。

(2007/07/25 05:00)


【日経・社説】

社説1 コメ輸出再開てこに「攻める農業」を(7/25)

 中国へのコメの輸出が4年ぶりに始まった。政府が掲げる「攻める農業」の重要な一歩となる。

 コメは2003年から中国側の検疫上の理由で輸出が止まっていた。安倍晋三政権になり、今年1月に松岡利勝農相(当時)が訪中して輸出再開で基本合意し、4月の温家宝首相の来日時に正式決定した。害虫駆除を徹底することが条件だ。

 第1便は新潟産コシヒカリと宮城産ひとめぼれの計24トンだ。中国での販売価格は1キログラム1500円程度と現地で一般的なコメの20倍以上も高い。経済成長で中国では富裕層が急増しているとはいえ、価格からみて需要は当面限られるだろう。

 しかし、中国のコメ消費量は年間約2億トンといわれ、日本の国内需要(約840万トン)と比べてけた違いに多い。人口減少で今後も国内市場の拡大は望みづらいだけに、生産調整が続く日本の農家からみれば中国は極めて魅力的な市場だ。

 日本食ブームを背景に06年の農林水産物(加工品を含む)の輸出額は約3700億円と前年に比べて13%伸びた。政府は13年に輸出額を1兆円に増やす目標を掲げている。ハードルは高いが、高品質で安全な日本の農産物を官民が一体となって海外に売り込む意義は大きい。

 すでに輸出が急増している産品も少なくない。緑茶の輸出額は米国での日本食ブームで1年間で4割、ナガイモも台湾で薬膳料理の食材として注目され、同じく4割増えた。水産物ではサバが3.4倍だ。中国などの新興経済国の急成長で国際的な食料需給は今後逼迫(ひっぱく)することが予想される。日本の農産物が復権する可能性は十分にある。

 コメの輸出は農業関係者の意識改革を促す意味もあろう。海外市場で競争にさらされることで、生産性の向上や市場に合った商品開発を進める動機付けになる。コストを下げるためには大規模農家に耕地を集約し、経営効率を高めるしかない。

 政府の保護政策に安住してきたため、農業関係者は消費者ニーズに合う品目を低価格で供給するという原点を見失ってきた面はないか。日本の食料自給率はカロリーベースで40%と先進国で最も低い。食品産業の業務用需要に農家や団体が的確に対応できていないことが一因だ。

 4月にコメ輸出再開を決定した際に、中国は見返りに生鮮野菜などの輸入解禁を日本に求めてきた。安全性を確認できれば、農産物の輸入自由化は不可欠であろう。

 日本の市場開放は「攻める農業」を推し進めるうえでも必要だ。

社説2 外貨準備運用は入念さ必要(7/25)

 外貨準備の運用改善について、政府内で議論が起きている。運用先を多様化し、利回りを高めていくべきだという意見である。円換算で約110兆円にのぼる資産の運用についてまじめに論じるのは望ましいが、実現には詰めるべき点が多い。

 外貨準備は円売り・ドル買い介入などで政府が取得した外貨建て資産で、6月末の残高は9135億ドル強と中国に次ぎ世界2位の規模である。主に米国債で運用している。

 今月初めシンガポールを訪れた山本有二金融担当相は、同国の政府系投資会社であるGICやテマセク・ホールディングスを視察し、運用の弾力化を検討してはどうかと問題提起している。塩崎恭久官房長官や経済財政諮問会議の伊藤隆敏東大教授もこうした議論に前向きである。

 外貨準備も国の資産であるから、運用のあり方を議論するのは当然である。忘れてならないのは、外貨準備はただで手に入った資産ではない点だ。政府短期証券(FB)を発行し資金を調達しているのである。

 現状では米国の金利が日本を上回るので運用益が上がる。しかし、こうした環境がいつまでも続く保証はない。その意味で、外貨準備として保有する資産をある程度広げておくメリットはある。ただ生兵法はケガの元。運用に失敗し資産に穴をあけては元も子もない。民間から運用のプロを登用するにせよ、しっかりした体制を作る必要がある。

 もうひとつの留意点は、外貨準備が積み上がった経緯である。デフレが深刻だった2003年から04年にかけて、日本は円高防止を狙って35兆円強にのぼる大量の円売り・ドル買い介入を実施した。米国はそれまで介入に批判的だったが、ブッシュ政権はデフレ克服の非常手段としてこの巨額介入を容認した。

 いま米財務省が気をもむのは、途上国を中心とした外貨準備のドル離れ加速である。そうしたなかで、日本が積み上げたドル資産をいきなり他の通貨に移すと言ったら、米国は金融市場への影響を考え当惑するだろう。10年前、当時の橋本龍太郎首相が「米国債の売却」に言及し、波紋を広げたこともある。米国から不用意な誤解を招かないためには事前の入念な説明は欠かせない。

【日経・春秋】(7/25)

 日本が3連覇をかけたアジアカップサッカーが佳境に入った。蒸し暑いハノイで勝ち進む日本代表の消耗も激しいものがある。初戦のカタール戦で引き分けるとオシム監督(66)は通訳が半分も訳せないほどの叱責(しっせき)の嵐を見舞ったという。

▼「おれは死ぬ気でここで戦っているのにお前らはそこまで来ていない」。消沈のロッカールームで中村俊輔選手が一部を伝えている。背は丸く老人風も190 センチの大男のその迫力はいかほどか。豪州戦ではPK戦になると閉じこもった。「妙な発作を起こしたくなかった。私は故郷のサラエボで死ぬと決めている」

▼映画・望郷の名優ジャン・ギャバンの味わいがある。紛争国ユーゴスラビアで生き抜いたその人生哲学は陰影に富む。近著「日本人よ!」(新潮社)で「今の日本人が勤勉であるかどうかは疑問だ。それは勤勉だった先代が作ってきた生活水準を今の人々が享受しているだけではないか」とオシム語録は冴(さ)える。

▼1年前「私は日本のサッカーを日本化するつもりだ」と宣言している。国際化という模倣はどこまでいっても模倣にすぎないと言い、自分たちの特質が何かを早く見極める必要性を説く。「私の国では、どうやって解決すればいいかというアイデアやイマジネーションを常に持っていなければ生きていけないのだ」


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» シーサー体験三姉弟! [沖縄!シーサー陶芸体験工房 琉球窯]
仲の良い兄妹とお母さんとでシーサーを作られました。優しいお姉ちゃんで、弟さんの袖をめくってあげてました。お母さんもすごく明るくて大きな笑顔のシーサーを作られましたね♪弟さんたちは“楽しい���”を連呼してくれて、沖縄にて陶芸を教えるやり甲斐と喜びを再確認しました。出来上がりを楽しみに待っていてくださいね�... [続きを読む]

受信: 2007年12月18日 (火) 08時31分

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