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2007年11月18日 (日)

防衛利権関連記事、「これは」と思う記事ほど、早くもキャッシュでなければ拾えなくなってますね。で早速採録。

 朝日の記事がなかなかいいですね。現在リンク切れで、キャッシュで拾いました。

 朝日と対照的なのが読売の記事で、守屋⇔宮崎ばかりに焦点を与えていて政治家の関与に切り込まないのがありありしてます。(笑)


防衛利権、迫る検察 過剰接待捜査 山田洋行元専務逮捕【朝日】

2007年11月09日03時25分

 巨額の防衛利権に捜査が再び迫る――。防衛省の守屋武昌・前事務次官(63)に対し、200回を超えるゴルフ接待を繰り返していた軍需専門商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)が8日、業務上横領などの容疑で逮捕された。東京地検特捜部は、この事件を「入り口」とし、山田洋行と防衛官僚との癒着の解明を目指す。一方、疑惑の暗雲が垂れこめるなか、偶然この時期に開催された国防族議員と軍需産業が交流を図る会議では、有力議員らの出席キャンセルが相次いだ。

 特捜部による防衛利権解明の動きは、実はずっと以前から続いてきた。

 昨年1月、防衛施設庁(当時)発注工事の官製談合事件を摘発した際、特捜部は防衛官僚と業者側のより深い癒着がないかどうかに注目した。関係者によると、水面下で複数の防衛官僚が絡む銀行口座などを調べ、不審な資金の出し入れがないか確認作業を進めた。同庁の発注の見返りとなるような業者側の利益供与がなかったか調べる目的だったという。

 98年にも防衛庁調達実施本部(当時)を舞台にした自衛隊装備品代金の水増し請求をめぐる背任・汚職事件を摘発。防衛利権の深層に迫ろうとする捜査を繰り返している。

 その中で、新たな突破口が開けたのは昨年秋。東京地裁の民事訴訟で表面化した軍需専門商社・山田洋行と、分裂した日本ミライズの内紛劇がきっかけだった。両社による訴訟合戦が泥沼化し、様々な不正行為の疑いが指摘された。

 これらの情報を得た特捜部は内偵捜査を開始。調べを進める中で、宮崎元専務が守屋前次官に対し、ゴルフや飲食など多額の接待攻勢をかけていた実態をつかんだ。

 今夏までに山田洋行側に過去10年分の経理書類を任意提出させ、資金使途を詳しく調べている。任意の事情聴取を受けた山田洋行関係者らによると、特捜部は、守屋前次官に対するゴルフ接待については日時、場所などを記した一覧表を作成。酒食の接待では、出席者が店内で座った場所を再現させる作業まで行ったという。

 防衛省内で絶大な権力を持っていたとされる守屋前次官と、大手商社と肩を並べるまでにのしあがった軍需専門商社。過剰接待という癒着が明らかになったことで、様々な内偵事案の中で最大の解明テーマになったとみられる。

 カギを握る存在が、山田洋行の防衛部門の責任者を長く務め、人脈を広げたとされる宮崎元専務だ。捜査の過程で、宮崎元専務が山田洋行を退社し、日本ミライズを立ち上げた昨年中に、山田洋行の米国子会社から約1億円の不正引き出しをしたり、契約書の偽造をしたりしていた疑いが浮上。特捜部は、これを防衛利権に切り込む「入り口」の事件として立件し、捜査展開を図ることを上級庁と協議し、了解を得たようだ。9月上旬には、不正資金の流れの解明に不可欠な米国子会社を調べるため、検事1人を米国に派遣した。

 捜査は急ピッチで進められたが、11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法の審議が国会で焦点となったため、検察当局は影響を与えないように配慮。守屋前次官の国会での証人喚問も実施され、強制捜査に着手する日程を調整していたとみられる。

 検察幹部の一人は、今後の捜査について語った。「防衛利権では巨額のカネが動く。大型商社に比して、山田洋行という専門商社がどうしてそこに食い込めたのかを突き止めたい」

■国防族議員ピリピリ

 宮崎元専務が逮捕された8日、東京都内で日米の「国防族」議員と軍需産業の交流の場である「日米安全保障戦略会議」が開かれていた。

 3日間の予定で始まった同会議初日の7日、来賓の自民党の伊吹文明幹事長や石破防衛相、シーファー駐日米大使は姿を見せなかった。基調講演を予定していた久間章生元防衛相は入院中のため欠席。討論会に出席予定だった民主党の前原誠司前代表も出席を見送った。

 例年、会場は与野党の国防族議員や日米の防衛閣僚経験者らでにぎわうが、今年はコーエン元米国防長官のほか、瓦力、玉沢徳一郎の両元防衛庁長官、宝珠山昇・元防衛施設庁長官らが姿を見せた程度で、会場はいつになくひっそりとしていた。

 主催者側は、国会日程やゲーツ米国防長官の来日を欠席理由として説明したが、司会役の宝珠山氏は「乱気流に巻き込まれている」と現状に危機感を示した。ある国防族議員は「山田洋行とか軍需産業との付き合い方が問題視されている時に顔を出すのはまずい」と本音を漏らす。

 同会議では毎年5月の大型連休中に、米国防総省高官との意見交換や軍需産業視察のため、与野党の「国防族」議員らの訪米ツアーを組んでいる。そして秋には東京に集まり、日米両政府関係者や、国会議員、軍需産業、米軍関係者らが講演やパネルディスカッションを行っている。

 この会議を主催しているのが「日米平和・文化交流協会」(会長・瓦氏)。理事として中谷元氏、玉沢氏ら防衛庁長官経験者のほか、公明党の赤松正雄氏や民主党の前原前代表、日本の軍需産業幹部がずらりと名前を連ねる。額賀財務相、石破防衛相も入閣するまでは理事を務めていた。協会の中心は常勤理事の秋山直紀氏。日米の政界と軍需産業を結ぶ「フィクサー」と言われている。

 またホームページ上の会員名簿には「山田洋行」の社長の名前もある。関係者によると、同交流協会が日米の国防族議員、軍需産業を結ぶパイプ役になっているといい、「守屋武昌・前防衛事務次官と山田洋行との癒着につながる温床になっている」と指摘する。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は8日夜、都内のホテルで記者団に「防衛省を取り巻く政官業の癒着構造の一角が見えてきたという思いだ」と語り、全容解明に期待を寄せた。一方、福田首相は首相官邸で記者団に「今日のは会社の中の横領の問題と聞いているが、犯罪捜査のことですから私からとやかく言うことではありません」と述べるにとどめた。

守屋前次官を本格捜査へ 防衛利権解明、新局面に【東京新聞】

2007年11月14日 10時54分

 守屋武昌前防衛事務次官
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 200回以上にわたるゴルフ接待を受けるなど、防衛商社「山田洋行」の元専務宮崎元伸容疑者(69)=業務上横領容疑などで逮捕=との癒着が発覚した守屋武昌前防衛事務次官(63)について、東京地検特捜部は14日までに、収賄容疑による立件に向け本格捜査に乗り出す方針を固めたもようだ。

 過剰接待が、広範な職務権限を持つ防衛官僚トップからの見返りを期待したわいろだったと判断。前次官は航空自衛隊次期輸送機(CX)のエンジン納入をめぐり、省内で宮崎容疑者側に有利な発言をしていたとされ、特捜部は防衛装備品発注での便宜供与の解明を急ぐもようだ。

 防衛商社を舞台にした防衛利権をめぐる疑惑解明の捜査は新たな局面に入った。

 前次官は宮崎容疑者が山田洋行退社後の今年4月まで200回以上、ゴルフ接待を受けていたとされる。前次官の妻がたびたび同伴したほか、プレー後に元専務とマージャンや食事を共にしたり、ゴルフセットを贈られたこともあったという。
(共同)

喚問遅れ「もう待てぬ」 山田洋行元専務逮捕【読売】

 守屋武昌・前防衛次官(63)への過剰な接待が明るみに出た航空・防衛分野の専門商社「山田洋行」元専務・宮崎元伸容疑者(69)が8日、業務上横領容疑などで逮捕された。参院での証人喚問を15日に控えたこの時期に、なぜ東京地検特捜部は逮捕を急いだのか。捜査の狙いや今後の焦点を探った。(社会部 石井正博、水野哲也)

特捜部「空白の1日」突く

■喚問前逮捕

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宮崎元伸容疑者(中央)を中心に、守屋武昌・前防衛次官(左上)をはじめ防衛省には疑惑が渦巻く

 「国会を尊重してきたが、いつまで待てばいいのか。証拠隠滅は毎日行われている」

 宮崎容疑者の逮捕前日の7日夜、ある検察幹部はこう漏らした。8日に参院外交防衛委員会で予定されていた守屋氏の証人喚問が、15日に延期されたからだ。

 特捜部が、宮崎容疑者を巡る捜査を開始したのは今年2月。8月からは山田洋行や日本ミライズの幹部ら関係者の事情聴取を本格化させ、10月上旬には米司法当局との捜査共助に基づいて検事を米国に派遣。同月中には、横領容疑などの裏付けをほぼ終えていた。

 しかし、安倍晋三前首相の突然の退陣で政局が不安定となり、11月1日のテロ対策特別措置法の期限切れも迫っていた。さらに、宮崎容疑者と守屋氏とのゴルフ接待が明るみに出て、守屋氏が衆院テロ防止特別委員会で証人喚問される事態となった。

 特捜部はその度に強制捜査の着手を先延ばししてきたが、逮捕が遅れれば証拠隠滅や口裏合わせの可能性は高まる。一方、米国滞在中の宮崎容疑者の側近で、山田洋行の米国現地法人元社長・秋山収容疑者(70)が、帰国要請になかなか応じない事情もあった。法務・検察幹部の間には、来年の通常国会の審議への影響を懸念し、「年内決着」を望む声も強まっていた。

 着手の時期を巡り特捜部に焦りが募る中、宮崎容疑者が守屋氏とともに、15日の参院外交防衛委員会で証人喚問されることが7日に与野党間で合意され、9日の理事会で正式に決定する予定だった。検察内部には“空白の1日”をついて「正式決定しないうちに逮捕すべきだ」との意見が一気に噴出、特捜部は喚問前の異例の逮捕に踏み切った。

 一方、肩透かしを食った格好の参院外交防衛委員会は、宮崎容疑者の証人喚問を見送る見通しとなった。

 ただ、民主党は9日の同委理事懇談会で、東京拘置所での出張尋問を要求する構えだ。議院証言法では、証人が病気などで出頭が難しい場合、議員2人以上が出向き、証言を求めることができる。参院では、1992年の東京佐川急便事件、97年のオレンジ共済組合事件で計3回、出張尋問をしたことがある。

■捜査の焦点

 山田洋行を有数の防衛商社に成長させた宮崎容疑者と、防衛省のトップにまで上り詰めた守屋氏。巨額の“防衛利権”を巡る2人の癒着解明が、今後の捜査の焦点となる。

 これまでに、宮崎容疑者が200回以上、守屋氏をゴルフ接待していたほか、飲食やマージャンの接待も繰り返していたことが判明。ゴルフ接待は、自衛隊員倫理規程ができた2000年以降は偽名で行われており、特捜部は「悪質性が極めて高い」とみている。

 しかし、こうした接待は、約11年前から恒常的に続けられており、ある検察幹部は「接待が長期間にわたっていることで、逆に一つ一つの接待の趣旨が分かりにくくなる」と話す。このため、「接待だけを『わいろ』と認定するのは難しい」との意見が強く、今後、現金などの金品の提供の有無を洗い出す方針だ。

 一方、宮崎容疑者による接待などの利益提供は、守屋氏から、防衛装備品の受注を巡る便宜供与を期待したものだとの見方が強い。

 山田洋行は、宮崎容疑者が在職中の06年度までの5年間に約174億円の防衛装備品などを受注している。宮崎容疑者は守屋氏に接待以外に現金などを提供し、見返りに防衛装備品の受注などを巡って便宜を受けていたのではないか――。特捜部は、この疑惑の捜査を急ピッチで進める方針だ。

CXエンジン 守屋氏の関与焦点

 今後の焦点として特に注目されるのは、航空自衛隊の次期輸送機(CX)のエンジン調達を巡る守屋氏の関与だ。CXは、空自のC1輸送機の後継機として、2001年度から旧防衛庁(現防衛省)が開発を始めた。エンジンは、3社の候補のうち、03年8月の装備審査会議でゼネラル・エレクトリック(GE)製の採用が決定した。会議の議長は、次官に就任したばかりの守屋氏。GE製の採用はこの会議までに内定しており、次官になる前の防衛局長時代に影響力を行使したかが、ポイントになる。

 守屋氏が次官になった後、同庁は試作機用のエンジン6基のうち、04~05年度にGEの代理店だった山田洋行から5基を購入。将来的に約40機のCXを導入するため、部品も含めれば総額1000億円に上る。山田洋行関係者は、「エンジンなどの部品は一定時間使ったら新品に取り換えるから、代理店になれば継続的に仕事が入る」と話す。

 ところが、山田洋行の内紛を機に事態は急変した。

 宮崎容疑者が同業の新会社「日本ミライズ」を設立したのは昨年9月。GEの代理店は山田洋行だったが、宮崎容疑者は、CXエンジンの代理店としての権利を既に手中にしたかのような行動に出ている。昨年12月には、GE幹部とともに次官室に守屋氏を訪ね、GEとの関係をアピールした。

 また、今年1月末から3日間行われたメーカーと防衛省の会議に、当時はGEの代理店ではなかった日本ミライズの担当者が出席。これについては省内で問題となり、守屋氏も当時の担当者から報告を受けている。守屋氏は、証人喚問で「承知しておりません」と否定したが、守屋氏の対応は問題となりそうだ。

 今年6月には、守屋氏が会議で、日本ミライズとの随意契約を促す発言をしたことも判明している。CXエンジンを巡る守屋氏の一連の言動が、日本ミライズに有利に働いていなかったかも焦点の一つとなる。

 一方、同省は既に、来年度に予定していたCX量産機の調達の1年先送りを決めた。同省幹部は「事件を起こした会社からエンジンは買えない」とため息をつく。待望の国産輸送機の開発は宙に浮いたままだ。

次期輸送機(CX)開発などの経過
2001年5月25日 CXの開発参加業者募集を官報公告
12月 CXの機体開発始まる
2002年11月15日 CXエンジン開発を官報公告
2003年2月28日 防衛庁がエンジンメーカーから提案書を受領
8月1日 守屋氏が防衛次官就任
8月8日 装備審査会議でGE製を採用
2005年2月15日 山田洋行とCXエンジンに関する1回目の契約
2006年2月21日 山田洋行と2回目の契約
9月1日 宮崎容疑者が日本ミライズを設立
12月8日 GE幹部と宮崎容疑者が守屋氏を訪問
07年1~2月 日本ミライズ担当者がメーカーと防衛省の会議に出席
4月 GEが代理店を日本ミライズに変更すると防衛省に通知
6月14日 守屋氏がCXエンジンの随意契約を促す発言
7月29日 代理店が山田洋行から日本ミライズに移行
8月 CXエンジンの一般競争入札を実施。応札業者なし
10月31日 GEが山田洋行、日本ミライズとの契約を停止

装備審査会議
 防衛省が主要な装備品の調達の際、装備品の種類を決定する会議。局長、本部長など計14人で構成し、次官が議長を務める。事前に経理装備局長や同局の課長級などで作る「調整部会」が開かれ、実質的な審査が行われる。

(2007年11月9日  読売新聞)

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