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2008年10月 3日 (金)

米経済の崩壊、『恐慌前夜』関係の記事をいくつか読んでみたので、メモ。

 以下、後で記事を探すための自分用のメモ。

米経済の崩壊、世界の多極化
http://tanakanews.com/080930multipolar.htm

2008年9月30日  田中 宇

(略)
▼暴動鎮圧の準備をする米軍

 米政府は、反政府暴動が起きると予測しているらしく、10月1日から、米陸軍の実働部隊を米本土に駐留させることにした。150年前の南北戦争以来、米軍(州兵以外の連邦政府軍)は実働部隊を米本土に配備することを法律(Posse Comitatus Act)で禁じられており、今回は「テロ対策」を名目に、例外として禁を破った。名目はテロ対策だが、駐留部隊は、敵を殺さずに抑制する技能や、道路封鎖など、米国民が起こすかもしれない暴動を鎮圧するための訓練をすると、国防総省傘下の「アーミータイムス」が報じた。(関連記事その1、その2)

 駐留期間はとりあえず1年だが、その後も恒久的に延長される見込みだ。今後、金融危機が不況と財政難、貧困増へと波及し、米国民の怒りが拡大して爆発するころには、来年1月からの米次期政権になっている。もしオバマが大統領になったら、史上初の黒人大統領が、150年ぶりに米軍を米国内で戦闘させて黒人暴動を鎮圧し、オバマは黒人から裏切り者と非難される事態になりかねない。
(略)

関連:州兵関連で、
NHKスペシャル「兵士たちの帰還~イラク駐留 アメリカ州兵部隊」(映像写真14枚)

 

副島隆彦(そえじま・たかひこ)の学問道場」の「今日のぼやき」の「973」の以下の部分で始まる記事。(URLが最後が「cgi」で固定ではないようなのであとで探す時のために以下メモ)

 私たちの自力主催講演会「金融講演会“『恐慌前夜』と世界の大局のつかみ方”」(2008年10月18日、東京・社会文化会館)の告知を再度行います。また、ウォール街大再編の現状をまとめた新聞記事と簡単な分析を載せます。2008.9.18

 さて、前回のこの欄の更新では、アメリカ財務省が、二つの巨大住宅金融会社である、ファニー・メイとフレディ・マックを政府管理に置いたというのが最新の金融情勢でしたが、それから10日たって、現在の状況はその時に比べるとさらにどんどん加速度を増して進行しているというのが正直なところです。

(以上転載終わり)

 上記記事中でも出てくる、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)」についてのいくつかの以下の記事。

膨張する「金融ギャンブル」=CDS、邦銀も57兆円の取引
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008091800866

 

2008年02月17日
最近よく聞くキーワード「CDS」とは?
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/02/cds.html

「CDS」とは「Credit default swap(クレジット・デフォルト・スワップ)」の略称。リスクを回避するために開発された金融商品の中でも、企業の債務不履行(デフォルト)を対象にしたもの。要は「企業が倒産して借金が棒引きになるかもしれないことに対する保証・保険を金融商品化したもの」と説明すれば分かるだろうか。

●CDSは債務保証の仕組みに似ている……まずは債務保証について

(以下略)


 以下、いくつかの新聞の10月1日付の社説を採録。

米金融法案否決 マネーゲームの果てに2008年10月1日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136694-storytopic-11.html

 世界経済に激震だ。震源地は米ワシントン。原因は、米金融危機。

 その救済策に、とブッシュ政権が米下院に提出した金融機関を救済する法案が29日、本会議で与党・共和党の反乱で否決され世界同時株安の激震となった。

 ニューヨーク市場は前週末比777・68ドル安と史上最大の下げ幅を記録。30日の東京株式市場も日経平均株価が急落。香港、シンガポールなどアジア市場も急落が相次いだ。

 昨年の米サブプライム住宅ローン問題に端を発した米金融危機は、世界経済の地盤をも崩しかねない事態に発展している。

 責任は、ひとえに米政府と米金融機関にある。破たんが懸念される低所得者に値上がり期待の幻想を抱かせ、高額な住宅ローンを組ませ、売りまくった。

 ギャンブルにも似た国家規模のマネーゲームで、その後破たんした米証券大手のリーマンブラザーズをはじめ米金融機関の多くが巨額の利益を手にした。

 勢いをつけた米金融機関は、世界市場に「集金マシン」の支社を展開、金融支配を強めてきた。

 一部報道によれば、リーマンの最高経営責任者・会長の昨年のボーナスは約23億円。経営破たんを目前にマンハッタンに高級マンションも購入している。

 過剰投資に冷や水を浴びせたのが米政府の金融引き締めだ。その結果、資産価格は下落し、住宅バブルがはじけ、米金融機関はローンが焦げ付き、破たんが続出した。

 マネーゲームの果てに米金融機関が背負った巨額のつけを米政府は最大7000億ドル(約75兆円)もの公的資金投入で救済を試みた。

 「恐慌の危機回避」のための救済法案と大見えを切っても、低所得者層すらも利用し、利得をむさぼった金融機関のマネーゲームのつけ払いを、米国民が簡単に認めるはずがない。

 今回の世界同時株安は、ブッシュ政権の野放図な金融政策と見通しの甘さが招いた米「官製危機」だ。そのつけを世界が背負う。やはり納得がいかない。

 

2008年10月01日 社説

[金融危機拡大] 実体経済も危険水域に
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-M_1-005-1_001.html?PSID=8d160860f5e5ebe1e7deedbc72c9aeb2

 「風が吹けば桶屋がもうかる」ということわざがある。風が吹いたら、なぜ、桶屋がもうかるのか。その間に、いくつも中間項があって、連鎖の結果そうなるのだが、中間項の中身を正確に知っている人は少ない。

 サブプライムローン(信用力の低い人向けの住宅ローン)問題に端を発した米国発の金融危機にも、これと似たところがある。

 事の因果関係を正確に説明するのは難しいけれども、株の暴落や金融機関の貸し渋りなどの形で、問題が自分たちの身の周りに押し寄せていることを、企業人や投資家だけでなく多くの人たちが実感し始めている。

 金融危機の影響は経済のグローバル化を反映して、「即時」に「世界規模」で広がるのが特徴だ。

 米議会下院本会議が二十九日、緊急経済安定化法案を反対多数で否決したことは、世界の金融市場に大きな衝撃を与えた。

 法案は、最大で七千億ドル(約七十五兆円)という巨額の公的資金を投入し、金融機関の不良資産を買い取るというものだ。

 米政府と議会幹部が法案に大筋で合意していたにもかかわらず、下院本会議は予想に反し反対多数でこの法案を葬ったのである。

 ニューヨーク株式市場は過去最大の下げ幅を記録したほか、東京株式市場も終わり値としては今年最安値を更新。欧州やアジア各地の株式市場も、失望感と先行き不安から軒並み下落し、世界同時株安の様相を示した。

 まかり間違えば金融恐慌を招きかねないような法案否決がなぜ、実現してしまったのか。

 『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)の中で、著者の堤未果さんは書いている。

 「『サブプライムローン問題』は単なる金融の話ではなく、過激な市場原理が経済的『弱者』を食いものにした『貧困ビジネス』の一つだ」 

 低所得者向けの住宅ローン・ビジネスで大もうけしたウォール街の金融機関を救済するために巨額の血税を使う―そのような反発が一気に国民の間に広がった。

 大統領選や連邦議会議員選挙を控えていることもあって、下院は国民感情を考慮し、法案にノーを突きつけたのである。

 米国民が受け入れられるような効果的な対策をどう打ち出すか。米政府の責任は極めて重いといわなければならない。

 政府は八月の月例経済報告で景気が後退局面に入っていることを明らかにした。

 米国の金融危機に伴う先行き不安などもあって、消費者心理は冷え込んでおり、金融不安が実体経済にも悪影響を与えている。

 八月の貿易収支は、対米輸出が大幅に減少し、赤字になった。八月の鉱工業生産指数も大幅に低下した。極めて厳しい情勢というほかない。

 麻生政権は、実体経済への影響を食い止めるため、あらゆる手だてを尽くさなければならない。

 

社説 米国は金融恐慌回避へ責任ある行動を(10/1)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20080930AS1K3000330092008.html

 世界の市場関係者があぜんとしたのではないか。米下院は29日、深刻化する金融危機に対応して打ち出された米金融安定化法案を否決した。市場の混乱を深め、世界的な金融恐慌を招きかねないという認識がまるで欠けた無責任な行為である。

 米政府と議会は、公的資金を使った不良資産の買い取りという大枠を維持しつつ、速やかに修正法案をまとめ、成立させるべきだ。日本政府も米国に対して強い危機意識を明確に伝えるべきだろう。

市場の不安感を増幅

 世界はいま金融恐慌寸前にあるといっても言い過ぎではない。

 米証券会社のリーマン・ブラザーズの破綻を機に、米欧では金融機関の破綻や救済が相次いでいる。金融機関が短期の資金の貸し借りをする市場もマヒ状態にある。日米欧の中央銀行が巨額のドル資金を大量に市場に供給しているのはそのためだ。公的な支えをはずせば、その瞬間に金融市場が崩壊してしまうような状況なのだ。

 その直接的な原因は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の膨張にあり、価値が急落した住宅関連の証券を大量に抱えこんだ金融機関への信認が崩れていることが危機をもたらしている。こうした不良資産を公的資金を活用して金融機関から分離し、市場の不安感をぬぐうことに今回の金融安定化法案の狙いはあった。

 現在進行している金融危機を放置すれば、ウォール街だけでなく、企業や家計にも深刻な影響が及ぶ。経済を支える金融という大動脈がつまったままでは、世界経済は計り知れない打撃を受ける。法案の否決で、世界の市場の不安を増幅してしまった米下院の責任は極めて重大だ。

 法案への反対の背景には、巨額の富を得ているウォール街の金融マンをなぜ助けなければいけないのかという国民感情がある。「政府は市場に介入すべきでない」という共和党保守派に根強い思想も反対論につながった。

 金融危機時に政府が前面に出ることについては、経済活動に対する一般的な政府の介入と分けて考える必要がある。金融システムが危機に陥ったときは、介入を遅らせれば遅らせるほど、問題は雪だるま式に膨らみ、納税者の負担も結果的に拡大する。それが不良債権問題で苦しんだ日本の「失われた10年」から得るべき教訓である。

 米国の政治指導者は今回の対策が守ろうとしているのは金融システムであり、ひいては人々の生活であることを勇気を持って国民に説くべきだ。ブッシュ大統領は30日、改めて法案の早期成立を訴えたが、大統領選挙を戦う民主党のオバマ候補、共和党のマケイン候補が声をそろえることも重要だ。

 否決された法案の行方は今の段階ではわからない。米政府や議会指導者は法案の修正を急ぐとしている。ただ、修正案ができても反対に回った議員らは簡単に賛成しない可能性もある。修正が大幅になり、金融機関の不良資産の切り離しが進みにくい内容になる心配もある。

 そうなれば、世界の金融資本市場の混乱は続き、金融機関の破綻が加速する恐れがある。米連邦預金保険公社(FDIC)は経営不安に陥っていた大手米銀のワコビアをシティバンクに救済させる措置を取った。問題銀行の整理が進むこと自体は悪くないが、もぐらたたきのように個別金融機関の問題処理に追われている限り、市場の不安は収まらない。

世界的危機に備え必要

 ここまで事態が深刻化すれば、日本経済への影響は免れ得ない。米国など海外からの逆風に対して十分な備えをする必要がある。

 一つは、日本の金融市場の混乱を防ぐことだ。日銀は各国と協調してドル資金の供給を増やしているが、事実上マヒ状態にあるドルの銀行間市場の影響が円の市場にも本格的に及ばないよう警戒を強めるべきだ。

 日本の景気への影響にもよく目を配らなければならない。米国向けの輸出減少で鉱工業生産はすでに落ち込んでいるが、この傾向がしばらく続く可能性が大きい。日本の金融機関の間でも、世界的な株価下落や景気悪化を受けて貸し出しに慎重になるところが出ている。

 政府が先にまとめた総合経済対策の内容は問題点が多いとはいえ、ある程度の景気下支え効果は期待できるだろう。解散時期では様々な議論があるが、対策を反映した補正予算は成立させたうえで、総選挙に臨むべきではないか。

 米国の金融安定化の速度など不透明な部分は多く、今の段階で世界経済や日本経済の先行きを占うのは難しい。中長期的に日本の成長力を高めていくという改革路線をしっかりと堅持しつつ、景気の変化に合わせた手を打つという柔軟な姿勢で対応すべきである。

    * 社説 米国は金融恐慌回避へ責任ある行動を(10/1)
    * 春秋(10/1)
    * 社説1 型破り麻生演説に小沢答弁が聞きたい(9/30)
    * さらに社説・春秋を見る

 

【社説】
金融危機 米は世界経済に責任を
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008100102000107.html

2008年10月1日

 金融機関救済を目指した米国の緊急経済安定化法案が下院で否決され、世界の市場で株価が暴落した。米政府と議会は世界経済への責任を自覚し、修正案づくりに出直し協議を急がねばならない。

 「まさか」の展開だ。直前までの協議で米政府は議会側と基本合意に達し、法案成立は確実視されていた。ところが採決すると、共和党、民主党ともに反対票が予想以上に多く、否決になった。

 米国の株式市場は史上最大の下げ幅を記録し、日本やアジアでも株価が急落した。動揺は原油市場にも及び、米国市場で標準油種の先物相場は一バレル=九六ドル台にまで値を下げた。

 法案は最大七千億ドル(約七十五兆円)の公的資金を投入して金融機関が抱える不良資産を買い取るとともに、経営陣の報酬削減や住宅ローンの借り手支援策も盛り込んでいた。それでも選挙を控えた議員たちは「税金で高額報酬の経営者と金融機関を救済するのか」という国民の反発を無視できず、反対票が膨らんだ格好だ。

 だからといって、このまま傍観してはいられない。短期金融市場では「次はどこが倒れるのか」と疑心暗鬼が膨らみ、ドル資金の出し手がほぼ消えてしまった。

 日米欧などの中央銀行は市場へのドル供給総額を六十五兆円余に倍増したが、これは突然の失血死を食い止めるために大量輸血を続ける延命策にとどまる。病因の不良資産を処理しなければ、患者の容体は基本的に改善しない。

 根本的な原因である住宅価格の下落は進行中であり、不良資産はいまなお増え続けている。

 ポールソン財務長官は「議会指導部と協議を続ける」と語っているが、楽観できない。株価暴落を目の前にして、反対した議員たちが賛成に回る可能性はある。だが、修正案ができたとしても、賛成に転じる大義名分をつくるために、公的資金投入に一段と高いハードルが加わるかもしれない。

 金融機関が不良資産の売却に二の足を踏むような条件が課せられたり、安い価格設定になると、買い取りが円滑に進まない懸念がある。米政府と議会は「大胆な不良資産買い取り」と「税金コストの最小化」という二律背反を背負いながら、新たな方策を見つけなければならない。

 危機がさらに深刻化すれば、厄災は米国だけでなく一般家計を含めて世界に及ぶ。欧州の金融機関も経営危機に直面した。火元である米国の対応が鍵を握る。

 

米金融法案否決―世界への責任を自覚せよ
http://www.asahi.com/paper/editorial20081001.html

 世界の金融史に残る動乱の9月。その大詰めに、とんでもないどんでん返しが控えていた。米議会下院が、7千億ドル(約75兆円)の公的資金で銀行・証券の不良資産を買い上げる金融安定化法案を否決してしまった。

 危機の連鎖を恐れた世界中の株式市場は総崩れとなった。

 同じ日に欧州でも銀行の国有化が相次ぎ、危機が広がっていた。信用不安から、金融機関の間でのドル資金の貸し借りが世界的にマヒしているため、日米欧の中央銀行がドル供給の追加を表明した直後の否決である。世界経済は恐慌という地獄のふちに立っているといっても過言ではない。

 法案をこのまま葬れば、世界の金融システムは大混乱に陥る恐れがある。米国の政府と議会は、その責任を自覚すべきだ。ここは何としても法案の修正をまとめ、今週中に成立させてもらわなければならない。

 もともと金融安定化法案のとりまとめは難航を極めていた。ブッシュ大統領は政権末期で指導力を失っている。しかも、大統領と同時に改選される下院の議員たちは「大もうけしてきたウォール街を税金で救うのか」という有権者の手厳しい批判を受けて、公的資金反対に傾いていたからだ。

 応酬の結果、法案には条件が幾重にもついた。2500億ドルをまず使い、政府の裁量で1千億ドル積み増せるが、残る3500億ドルは議会の承認を必要とすることになった。制度を利用する銀行・証券の経営陣には高すぎる報酬を制限する条項も入った。

 それでも有権者の多くは納得せず、各地で反対のデモが続いている。下院の採決では、大統領の「身内」である共和党の7割近くが反対し、民主党も4割が反対に回った。

 税金の投入をおいそれとは認められない米国民の気持ちはよく分かる。10年ほど前に金融危機を経験した日本でもそうだった。

 とくに米国では、市場万能主義や金融肥大が極端に進み、貧富の格差も日本の想像を絶する。ウォール街に対する国民大衆の怒りやうらみは、かつての日本より激しい。さらに米国には伝統的に、政府は企業活動に介入や支援をすべきでないという考え方があり、とりわけ共和党に強い。

 そこまでしなくても何とかなると楽観しているのかもしれない。しかし巨大なバブルがはじけた以上、金融システムを守るには、結局は公的資金を使わざるをえない。ウォール街のためではなく、国民経済を守るためである。国民を納得させるのは困難な仕事だが、安定化策は時間との勝負だ。

 大統領選まで1カ月余り。米国の政治は難しい過渡期にあるが、大統領と議会の指導部は、議員と国民の説得に全力をあげてほしい。

 

社説:米金融法案否決 深まる危機に目を覚ませ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081001ddm005070108000c.html

 現実の世界で深まる危機の重大さを、政治の世界は理解できなかったようだ。

 米国発の世界金融恐慌を食い止めるうえで、重要な一歩と見られていた金融安定化策を、米下院が否決した。マラソン協議の末、政府と議会の両党指導部がやっと合意した法案だった。それが多数の議員の造反により葬られるという、まさかの結果となり、世界が震え上がった。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、史上最大の下げ幅を記録し、動揺は日本などアジア市場にも及んで、我々を不安の渦に巻き込もうとしている。

 米国の政治家は、市場の警鐘を謙虚に受け止め、目を覚ます時だ。事態はイデオロギー論争や選挙区への関心にとらわれている余裕など許さないほど深刻になっている。ブッシュ政権と連邦議会には、手遅れになる前に全力で金融安定化策を生き返らせてほしい。

 法案が採決のため下院に送られた日、金融危機はさらに重大な局面に入ろうとしていた。破綻(はたん)の火の手は欧州に達し、銀行が相次ぎ国の管理下に置かれた。
 ◇緊張欠いた議会

 米国でも、経営不安が、ウォール街の証券会社から、預金を抱える銀行に広がり、本格的な取り付け騒ぎが現実のものになろうとしていた。米当局はシティグループによるワコビア救済に乗り出し、日米欧などの主要中央銀行は金融市場へのドル資金供給額を倍増させるなど、懸命の対応を続けていた。

 しかし、その緊張感も、議会には伝わらなかった。

 差し迫る選挙が、彼らの視野を狭くしたのだろうか。全員改選の下院は大統領選の11月4日に投票が行われる。採決では、共和、民主を問わず、苦戦が予想される議員ほど反対に回ったようである。

 3分の2が反対票を投じた共和党議員の中には、経済活動への国家介入を否定する保守の思想を掲げての法案反対も目立った。金融機関が犯した失敗のツケを政府が払うことは、「社会主義への坂を滑り落ちること」であり「反アメリカ的だ」との主張だ。

 民主党も議員の4割が反対し分裂した。黒人やヒスパニック系の議員に反対票が多かった。持ち家を失う弱者への政府の支援策が不十分だと批判する立場だ。「大きな政府」のリベラル派ゆえの反対だ。

 理由はまったく異なるが、保守とリベラルが奇妙な連合を作り、成立を阻む結果となった。票読みと説得に失敗し、金融不安を一層広げた両党の議会指導部と政権の責任は大きい。

 反対者の論調には大きく二つの誤りがある。まず、金融機関の救済になるから嫌だと言うが、金融市場が安定しないと、まじめに働いている一般市民が一番辛酸をなめることになる、という点を見落としている。

 次に、米国で生まれた問題が、これほど世界中に迷惑をかけているという認識の不足だ。海外のことなど関係ないという意見もあろう。だが、借金頼みの米国民の暮らしを支えてきたのは、他ならぬ海外の資金であり、消費欲を満たしてきたのは高品質で安価な輸入品だったのだ。海外の経済と無縁どころか、密接にかかわりあっている。

 問われているのは、単に、公的資金を投入し不良債権を買い取る対策を実行できるかどうかということではない。今回の法案が可決されたとしても、危機は簡単に収束しないだろう。ここまで問題が大きく、しかも複雑で深刻になった以上、美しい解決策など存在しない。とにかく可能な対策を総動員するしかないのである。米国が信用の回復にどれだけ真剣に取り組もうとしているのか、その責任感が試されているのだ。
 ◇日本、冷静な対処を

 痛みやゆがみは当然伴うが、それが避けられないことを国民にきちんと説明し、説得するのが政治の役目である。規制のあり方や、再編に伴って進む金融機関の巨大化、寡占化の問題、経営者の報酬制度など課題は数多い。しかし、まず金融機能が正常化しないことには、冷静な議論も始められない。

 ブッシュ大統領は連日のように法案支持を呼びかけたが効果はなかった。政権末期とはいえ、ブッシュ大統領への信頼の低下は著しい。共和党マケイン、民主党オバマの両大統領候補も、ともに法案支持を表明したが造反の広がりを食い止めることはできなかった。今後、修正案が採決される場合、2人には反対派を説得し指導力を見せてもらいたい。

 金融安定化策が頓挫した結果、日本の政治や経済も影響を受けそうだ。ただし、過剰な悲観や動揺は望ましくない。

 政府と日銀には、強い危機感を持って、打撃を最小限に抑えるための努力を続けてもらいたい。党利党略で動きがちな政治は、このような時こそ、冷静さを保ち、誠実に責務を果たす必要がある。危機に乗じて利己的な行動に走ることは国民が許すまい。補正予算案の審議など、国民生活を守る上で不可欠な任務を着実に執行してこそ、国民が必要としている安心をもたらすことができよう。
【関連記事】

    * 麻生首相:金融危機深刻化で中川財務相に連携指示
    * 米下院:世界金融恐慌に発展の懸念 安定化法案否決で
    * 米国:金融恐慌が現実味 下院の法案否決で
    * 欧州金融危機:「米国発」が飛び火 B&B、デクシア…
    * 米ワコビア:買収の背景、取り付け騒ぎへの当局の危機感

毎日新聞 2008年10月1日 0時01分

 

米国発金融危機 米政府と議会は迅速に動け(10月1日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080930-OYT1T00802.htm

 世界経済は恐慌の瀬戸際、という声さえ出てきた。米国発の金融危機はなんとしても抑え込む必要がある。

 米国政府と議会は、サブプライムローン問題の“震源地”として、責任を自覚してもらいたい。金融安定化法案の成立を急ぐべきだ。

 29日のニューヨーク株式市場の株価は、前週末比で777ドル安と急落した。2001年9月の同時テロ直後をしのぐ過去最大の下げ幅だった。

 株安は世界に波及し、30日の東京市場の株価も500円近く値下がりした。アジア、欧州の株価も軒並み大幅に下落した。

 世界の連鎖株安に、いつ歯止めがかかるのか。外国為替市場ではドルが売られ、ドル安・円高が進む。ドルの信認が揺らぎかねない事態だ。

 ◆法案否決が株急落招く◆

 市場の大混乱を招いたきっかけは、米国の金融安定化法案が、大方の予想に反し議会下院で否決されたことだ。

 法案は、米国政府が金融機関の不良資産を公的資金で買い取り、危機を防ぐのが目的だ。

 政府と議会が法案の修正で合意し、すぐに可決・成立するはずだった。しかし、ブッシュ大統領の与党である共和党議員らが、税金の投入に反発して大量に造反し、否決してしまった。

 市場の期待が裏切られた形だ。失望感が広がり、パニック的な売りを招いたのも当然だろう。議会の責任は極めて重い。

 11月の大統領選と議会選を控えて、議会では、保身の思惑絡みの駆け引きが続く。世界の金融システムが危機的状況にあるという認識が不足しているのでないか。政府と議会は、法案協議を仕切り直しする見通しだが、今のところ、事態は流動的だ。

 日本では、バブル崩壊後に金融システム不安が起きた時、公的資金の注入が遅れ、金融不安と景気後退を長期化させた。その日本を教訓とし、米当局は素早く対応しなければならない。

 大統領候補の共和党のジョン・マケイン、民主党のバラク・オバマ両上院議員も、議会に協力を促すべきだ。

 金融安定化法案をめぐる政府と議会のギリギリの調整が続いている間にも、金融危機は深刻化しつつあった。

 ◆欧州にも危機が飛び火◆

 経営難に陥った米大手銀行ワコビアは29日、大手銀行シティグループに救済合併されることになった。欧州にも危機が飛び火し、イギリスやオランダ、アイスランドなどで、中堅銀行の一部国有化などが決まった。

 欧米などの短期金融市場では、資金需給が逼迫(ひっぱく)し、資金調達に苦しむ金融機関が増えている。

 危機の連鎖が止まらないと、大恐慌以来の事態を招きかねないとの指摘が現実味を帯びてくる。

 金融不安が米国の実体経済を冷え込ませ、金融の混乱にさらなる拍車がかかるとの見方も強い。

 各国の金融当局は綱渡りの対応を迫られている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀などは、ドル資金を自国市場に大量に供給する協調策を拡充した。金融機関の資金繰りを支える強い決意を示すものだ。

 だが、問題は、米国の住宅価格が下げ止まらず、値下がりした証券化商品を抱える金融機関の損失が拡大し、経営体力を消耗していることだ。金融機関の自己資本の増強にも公的資金を使うべきだ、との声が強まっている。

 各国当局は連携をさらに強め、あらゆる政策を総動員して、市場の安定化を図らねばならない。

 ◆冷水を浴びた日本経済◆

 金融危機の拡大と世界的な市場の混乱は、景気の後退色が強まり「カゼ気味」だった日本経済に冷水を浴びせている。

 このところの景気の退潮は、30日に発表された8月の経済指標を見ても明らかだ。

 鉱工業生産は過去最大の落ち込みとなり、家計の消費支出は6か月連続マイナスだった。失業率も4・2%と、約2年ぶりの高水準まで上昇した。

 株価の下落や円高・ドル安の進行などマーケットの波乱も、投資や消費の意欲を萎(な)えさせる。

 日銀はリーマン・ブラザーズが9月中旬に破綻(はたん)してから、20兆円を超える資金を市場に追加供給した。それでも外資系銀行などの資金繰り不安は根強い。金融システムのマヒを防ぐため、柔軟で機動的な政策運営が必要だ。

 まずは、景気悪化の痛みを和らげる狙いで策定された総合経済対策を実施するため、補正予算の成立を急がねばならない。

 党利党略で法案を否決し、混乱に輪をかけた米議会の轍(てつ)を、日本は踏んではなるまい。
(2008年10月1日02時08分  読売新聞)

 

【主張】金融法案否決 米は震源地の責任果たせ
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081001/amr0810010342000-n1.htm

2008.10.1 03:42
このニュースのトピックス:主張

 金融危機収束に向けた包括的対策として期待されていた金融安定化法案を、米下院が否決した。大統領選と同時に行われる11月の議会選挙を控え、税金投入による金融機関救済との有権者の反発を恐れた議員らが反対票を投じたようだ。

 米政府と議会指導部が大筋で合意していただけに予想外の否決である。このままでは、米国は、サブプライム問題の震源地どころか、金融危機の引き金を引くことにもなりかねない。

 なすべきことは明白だ。政府と議会は再度、協議して早急に修正案をまとめるべきだ。

 下院での採決は、賛成が205、反対が228で、与党・共和党議員の多数に加えて、議会多数派の民主党の一部も反対に回った。法案は、政府と共和、民主両党の指導部が数日かけてまとめた。金融機関からの不良資産の買い取り制度だけだった当初の政府案に、政府が金融機関の株を取得する権利や救済する金融機関の責任を問う手段などを加え、納税者負担の最小化に向けた対策に知恵を絞ったはずだった。

 それでも、議員らの多くが否決に回った。2年ごとに選挙がある下院議員は世論に迎合しがちだ。日本も1990年代、巨額の不良債権を抱えた住宅金融専門会社の破綻(はたん)処理で、6800億円の公的資金の投入が世論の反発を招いた。そのために、金融機関の不良債権処理が遅れ、山一証券や北海道拓殖銀行などが破綻した。

 米政府や議会はそうした日本の経験を知らぬわけはあるまい。公的資金投入で早期に不良資産を処理する決断が、最終的に預金者のためになり、不良資産を処理するコストも小さくなる可能性が高いと言葉を尽くして米国民に説明し、理解を得るのが大事だ。

 下院の否決を受けて世界中の金融市場では、株安、ドル安が一気に拡大した。株が暴落し、資金繰りに窮した末に、米銀行のワコビアはシティグループに救済買収され、英中堅金融機関の「ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)」なども国有化が決まった。日米欧の中央銀行が協調してドル資金を大量供給して金融システムを支えている。

 ブッシュ大統領は法案否決後、すぐに、「前進するための方策を考え出す」と強調した。その言葉通り、金融恐慌を防ぐ、実効性ある方策を早急に示してほしい。

 

米金融法案否決/政府と議会は修正を急げ
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2008/10/20081001s01.htm

 米国発の金融危機を収束に向かわせる大きな一歩となるはずだった。最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金投入で金融機関の救済を目指した米国の緊急経済安定化法案。政府と議会で合意しながら、一転、下院で否決された。残念としか言いようがない。このつまずきが、世界の金融システムと経済に与える影響が計り知れないものだからだ。

 市場の安定化に向けた力強いメッセージになるはずだった。信用収縮が深刻化する欧米の金融市場がどうなるのか。経営破たんの連鎖が止まらない「恐慌」の懸念も高まっている。

 各国の株式市場にも失望と混乱が広がった。ニューヨーク市場は史上最大の下げ幅を記録。東京市場も年初来安値となりアジアの各市場も大幅に値を下げた。各国の景況は一段と冷え込むことだろう。

 元凶であるサブプライム住宅ローン問題による傷は浅い日本経済にも、さらなる打撃が及ぶのは避けられそうにもない。

 影響を何とか最小限に食い止めたい。そのために必要なのはやはり震源地である米国発の危機抑止策だ。なにはさておき、政府と議会は接点を探り法案の修正を急ぎ成立させるべきだ。

 法案は、金融機関が抱える不良資産を政府が買い取る制度が柱だ。当初から、低価格で買い取られかねないという金融機関が抱く懸念から、どの程度処理が進むのか、効果に疑問はあった。が、米国一般歳出の4分の1にも及ぼうかという投入規模に市場は期待を寄せていた。

 「ウォール街寄り」とする議会指導部との協議で修正が加えられ、制度を使った金融機関経営者の報酬制限を設けたほか、納税者保護も強められた。

 それでも、国民には巨額な利益を得てきた金融機関に税金を投入することに対する批判が根強かった。選挙を控えた議員たちはその声に従わざるを得なかったのだろう。共和党から多くの反対票が出たのはブッシュ政権の末期症状の表れか。

 だが、世界の金融危機の行方を左右しかねない法案が、選挙対策に矮(わい)小(しょう)化され、否決されたのは返す返すも残念だ。

 ここは次期大統領候補である共和党のマケイン、民主党のオバマ両氏の指導力にも期待したい。自らの政権に大きな荷物を持ち込まないためにも、事態の打開に力を発揮してほしい。

 経営破たんは米国にとどまらない。危機は欧州に飛び火し各国で金融機関の国有化が相次ぐ。金融機関が資金をやりとりする短期金融市場ではドル資金の調達金利が高止まりし資金繰りが苦しくなっている。日米欧の中央銀行によるドルの協調供給が奏功するよう祈るだけだ。

 わが国経済に対する影響も心配だ。米欧を中心とした金融危機と景気悪化で輸出は振るわず、8月の貿易収支は約26年ぶりの赤字に陥った。アジアでも成長が鈍化しており、先行きの不透明感は増すばかりだ。

 政府・日銀は市場動向に目を凝らしたい。米欧との協調もより緊密にし、あらゆる事態に備えておかなければならない。
2008年10月01日水曜日


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