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2009年3月17日 (火)

知られざる「ウソを言うと刑事罰」の裁判員候補面接とは何か&裁判員制度が刑事司法を崩壊させる もう誰も止められないのか

 国策逮捕で検察や司法に目が向き、検察が進めたがっていた「裁判員制度」が再度クローズアップされました。(笑)

 知れば知るほど問題だらけ、無理筋で実施されようとしている「裁判員制度」をさらに知り反対の声をあらためて上げておこうと思います。裁判員制度批判のバナーもできたことですしね。

司法改革は取調べの可視化から、苦役を課し憲法違反の裁判員制度は断固反対 司法改革は取調べの可視化から、苦役を課し憲法違反の裁判員制度は断固反対

※今日のお勧めの記事は保坂展人さんの――知られざる「ウソを言うと刑事罰」の裁判員候補面接とは何か2009年03月16日――です。

 もう一つ、前エントリーでご紹介した――「青年将校化する東京地検特捜部~小沢第一秘書逮捕にみる検察の暴走~」放送が公開されてます。――のインターネット放送に出てくる元検事郷原信朗さんの一文を採録しておきます。立花隆さんのメディアソシオポリティクスであったように、日経BPはリンク切れになる可能性があるので資料保存しておきます。

 

 以下、資料として保存。

2008年8月20日(水)
裁判員制度が刑事司法を崩壊させる もう誰も止められないのか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080819/168233/?P=1

 郷原 信郎 【プロフィール】

 法務・税務 裁判員制度 法令遵守 司法参加

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 それが何のためのものなのか、何を目指しているのか、ということを考えることなく、「法令として成立している以上遵守するのが当たり前だ」と言って法令の遵守を押しつける「法令遵守」という姿勢が多くの弊害をもたらしていることを、このコラムでは様々な観点から述べてきた。

 そのような「法令遵守」的な考え方のために、裁判員制度という日本の刑事裁判の根幹を揺るがしかねない制度が導入されようとしている。


組織内の人間は「この制度はダメだ」とは言えない

 法令の背後には必ず何らかの社会的要請があり、その要請を実現するために法令が定められているはずだ。しかし、裁判員制度の導入を定めた「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」だけは、それが、いかなる社会的要請のためのものであるのかがよく分からない。

 しかも、施行まで1年を切った今、この制度の運用に当たることになる裁判所、検察の実務家の中で、本当にこの制度がうまくいくと思っている人間はほとんどいないのではないか。内心は、「誰か止めてくれ」と思っているはずだが、「法令遵守」がそこに立ちはだかる。

 既に法律が成立し、裁判所、検察が組織を挙げて制度の導入に向かって取り組んでいる時に、組織内の人間は、正面切って「この制度はダメだ。導入すべきではない」などということは言えない。「こうなったら、とりあえず裁判員裁判を始めてみて、ダメならやめればよい」と考えている人間が大部分であろう。

 太平洋戦争の開戦の際も、同じような経過だったのではないか。客観的な状況を認識できる立場にあれば、超大国米国と戦争をして日本が勝てると考えている人間はほとんどいなかったであろう。しかし、開戦前の日本で、それを口にするのははばかられた。そして、日本は米国との戦争に突入。その後、戦局が悪化しても、大本営発表はそのことを国民に全く知らせようとはせず、泥沼の敗戦に突き進んでいった。


日本の刑事司法の根幹を蝕むことにもなりかねない

 裁判員制度も、一度、導入されたら、同じことになりかねない。冤罪や真犯人が罪を免れる「誤判」は、客観的に明らかになることは稀だ。そういう事例が相次いだとしても、それが国民の前に明かになることはほとんどない。

 また、実務の運用が混乱していても、導入してしまった以上、内部から「制度自体に問題がある」とはなかなか言えるものではない。そういう状況の中で歪んだ裁判員制度の歴史が積み重ねられ、それが、日本の刑事司法の根幹を蝕み、刑罰権という国家の基本的機能を失わせていくことになりかねない。

 そもそも裁判員制度は何のためのものなのか、何を目指すものなのか、目的を実現するための制度の基本設計に問題はないのか、諸外国との比較で国民の司法参加は当然のように言われるが、果たして導入されようとしている裁判員制度が国際的な比較の観点から妥当な制度と言えるのか、そして、このような制度が刑事裁判の実務にどのような影響を与えるかなどの点から考えてみたい。

>>次ページ身近な司法の実現につながっていない 
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身近な司法の実現につながっていない

 第1に、何のための裁判員制度かという点である。

 これまで、日本においては、司法は、社会内で起きる様々な問題の解決について中心的な役割を果たしてきたものではなく、市民にとって身近なものでもなかった。そういう司法を、市民にとって身近なものとするため、司法に市民を参加させていくことが1つの有力な方法であることは確かである。

 しかし、施行されようとしている裁判員制度が、国民の司法参加を通して市民にとって身近な司法を実現することにつながるものになり得るかと言えばはなはだ疑問である。

 日本の司法をめぐる現状は、日本人の国民性と文化、そして明治以来の歴史に根差すものである。他の先進国のほとんどで行われている「国民の司法参加」が全く導入されていない日本が特異であるとの意見もあるが、各国での国民の司法参加は、歴史的な背景に基づいて、国民の意識や社会の実情に適合するように行われ、定着してきたものである。国民の司法参加をどのように実現し、それを、国民にとって身近な司法の実現に結び付けていくかを慎重に議論しなければならない。

 ところが、今回の裁判員制度は、これらの点についての十分な検討も国民的議論もないまま、司法制度改革審議会等での有識者と一部司法関係者の議論に基づいて提案され、法案化され、国会でさしたる議論も行われないまま全会一致で可決された。


市民感覚の判断が必ずしも妥当ではない事件が対象に

 このように、そもそもの目的が十分に議論されないまま導入が決定されたことが、裁判員制度の基本的な枠組みに大きな問題を生じさせている。

 まず、いかなる事件を司法への市民参加の対象としていくかである。社会内で起きるトラブルの中には、市民にとって身近なもの、市民感覚で解決されるべきものから、市民とはかけ離れたところにある特殊な世界のものまで様々なものがある。これまで司法との関わりの薄かった市民にできるだけ抵抗感なく司法に参加してもらうためには、市民にとって身近なものをまず対象にしていくべきであろう。

 ところが、今回の裁判員制度は、一般市民とは最もかけ離れたところにある「死刑、無期を法定刑に含む重罪事件」を対象としている。このような重罪事件の事実認定や量刑に関して重要な争点となる責任能力の有無、犯意の有無・程度などは、刑事司法の伝統の中で形成されてきた「理論」に裏づけられた判断が相当程度重要である。市民感覚による判断が必ずしも妥当とは言えない。そして、審理に参加させられる市民は、死刑か無期かという職業裁判官にすら耐え難い心理的重圧にさらされることになるのである。

 冤罪が大きな社会問題になっている痴漢や選挙違反の事件や贈収賄、政治資金規正法違反など社会的関心が高い分野を刑事司法への国民参加の対象事件とした方が違和感なく受け入れられるはずだ。

 第2に、裁判員制度は、諸外国の制度と比較しても特異なものである。

>>次ページ世にも稀な国民の司法参加の制度
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世にも稀な国民の司法参加の制度

 裁判員制度は、職業裁判官と市民の双方が参加し、量刑も含めて判断するという面で欧州各国の参審制に近いが、これらの多くは団体等の推薦によって参審員が選ばれ、しかも任期制であるのに対して、裁判員が、事件ごとに選挙人名簿から無作為で選ばれるという点で、むしろ米国の陪審員制度と類似している。

 また、参審制を採用する欧州各国は死刑を廃止しており、量刑について判断すると言っても死刑の言い渡しの判断は含まれない。一般市民が死刑について量刑判断をも行うという日本の裁判員制度は、欧州各国の参審員制度とも大きく異なる。

 米国の陪審員制度とも決定的に異なる点がある。それは、審理に市民だけではなく裁判官も参加すること、事実認定だけではなく、量刑についても判断することに加えて、そのような市民による裁判を受けることについての選択権が認められていないことである。

 「国家からの自由」を重視する米国では、被告人に「職業裁判官による裁判」ではなく「市民による裁判」を選択する権利を認めるという考え方が陪審裁判の背景にある。被告人の権利とは関係なく、国民が参加する刑事裁判を実現すること自体を目的とする日本の裁判員制度とは考え方が大きく異なる。

 米国型の陪審員制度の導入を求める日弁連などと、欧州型の参審員制度にとどめようとする裁判所、法務省との妥協の結果、事件ごとに選挙人名簿から無作為で選ばれる裁判員と職業裁判官からなる合議体が、事実認定だけではなく、死刑を含む量刑判断まで行うという、世にも稀な国民の司法参加の制度が出来上がったというのが日本の裁判員制度なのである。


制度の広報に毎年16億円が費やされた

 このように、何のための制度かが十分に議論されないまま、妥協の産物として出来上がった国民の司法参加の制度を5年後に導入することが決まったのが2004年であった。

 しかし、もともと、国民の側から求めたものでもなく、お上の側から押しつけられた国民の司法参加の制度に対して、国民の側の関心は全く高まらない。死刑の量刑の判断までも求められる裁判員裁判への参加に多くの人が尻込みするのは当然で、市民の本音は「裁判員裁判には参加したくない」というものだった。

 それに対して、最高裁を中心とする裁判所と法務省・検察庁は、法律で導入が決まった裁判員制度を、法律で定めた通り、5年の準備期間を経て予定通り導入することに向けて、あらゆる手段を講じてきた。

 制度の広報に関して、新聞広告、広報映画、ビデオの作成等に毎年16億円が費やされた。検察庁では、最高検を頂点にする組織ぐるみで広報活動が行われ、検事正がハッピを着たり、検察庁職員がタヌキの「着ぐるみ」を着たりなどというお祭り騒ぎが全国で展開され、揚げ句の果てには、サイバンインコなどという珍妙なキャラクターまで登場した。

 一方、裁判員裁判への国民の消極的姿勢を解消するため、個々の裁判員の負担を軽減する方向で制度が具体化されていった。その結果、制度の内容は、死刑、無期を含む重罪事件の裁判で行われるべき適正な審理とはおよそ異なったものとなっていった。

>>次ページ「就業予定期間」の的確な予測は至難の技
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080819/168233/?P=4


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「就業予定期間」の的確な予測は至難の技

 特徴的なのは、裁判員の負担を裁判開始前にあらかじめ限定することで、裁判員裁判に参加しやすくしようとするというやり方である。既に導入されている「公判前整理手続」によって公判審理前に、裁判官、検察官、弁護人が、事件の争点について協議し、審理事項が限定される。裁判員裁判では、こうして限定された事項の審理に必要な日数があらかじめ裁判員の「就業予定期間」として設定される。

 しかし、刑事事件の真相は、決して単純なものではない。審理の途中で重要な争点が明らかになることも十分にあり得るが、裁判員は「就業予定期間」を前提に業務等を調整して裁判に参加しているので、公判審理の過程で新たな争点が出てきたからと言って、「予定期間」を超えて審理に参加させることは相当困難である。

 かといって、裁判員を組み替えて審理を継続するのは、審理の重要な部分に加わらなかった新たな裁判員が有罪・無罪と量刑の判断を行うことになり、裁判員制度の趣旨に反する。結局、審理の過程で出てきた重要な争点の審理には相当な制約が生じることになる。

 また、裁判員を含む裁判体が評決を行うまでの評議にかかる時間も全く未知数だ。裁判への関心の程度もバックグラウンドも異なる裁判員が共通の認識理解に至って納得したうえで評決を行うまでに相当な時間を要するのは当然だ。この期間も含めて、あらかじめ「就業予定期間」を的確に予測することは至難の業であろう。


「制度を導入したほうが、しないよりはまし」という乱暴な考え

 死刑、無期懲役を法定刑に含む重罪事件について事実認定と量刑の判断を行うことには、相当な負担が伴うのは当然である。そのような判断を裁判員に行わせるのであれば、裁判員にもそれ相当の覚悟を求める必要がある。その負担を無理に軽減しようとすればラフジャッジ(粗雑司法)の恐れを生じる。そういうジレンマに直面せざるを得ないのが今回の裁判員制度なのだ。

 国民の司法参加に対する意識がほとんど高まっていない日本の現状において、死刑、無期を含む重大刑事事件について量刑も含めて判断するという最も重い負担をいきなり実現しようとする制度に根本的に無理があると言うべきであろう。

 私は、決して日本の司法が現状のままでよいと考えているわけではない。急激な経済社会の環境変化に適合できていない司法の現状を指摘し、抜本的に改革する必要性を訴えてきた。そういう私ですら、「今の刑事司法を変えるためには、裁判員制度を導入した方が、しないよりはまし」という乱暴な考え方にはついていけない。


まず国民の司法参加の在り方を徹底して議論すべき

 これまで日本の司法が社会においてどのような機能を果たしてきたのか、そこにどのような問題があり、どのような方向に変えていかなければならないのか。それらの点について問題を整理したうえ、司法制度が真に社会の要請に応えられるようにするための1つの手段として司法への国民参加を位置づけ、その制度設計を根本から考え直す必要がある。

 それを怠ったまま、予定通り裁判員制度を導入すれば、刑事司法の根幹を崩壊させ、重大な犯罪から国民の生命・財産を守るという国家の基本的機能をも失わせることになりかねない。

 裁判員制度に関しては、このような刑事裁判自体に関わる問題以外にも、裁判員の守秘義務の問題、裁判報道の制約の問題など重要な問題が多く存在するが、これらについても議論が尽くされているとは到底言えない。

 より良い社会の実現のための「手段」であるべき司法への国民参加が、いつの間にか自己目的化し、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」という法律が成立した以上、何が何でもその法律の規定通りの制度を実現しなければならない、という「法令遵守」の呪縛に陥っているのが司法の世界の現状だ。

 裁判員制度の導入を凍結する法案を成立させて制度の導入を延期したうえ、日本社会の実情に適合する国民の司法参加の在り方について徹底した議論を行うべきである。

 

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