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2011年1月29日 (土)

小沢一郎すべてに答える(週刊朝日新年特大号1・7/14)テキスト完全版つき、pdfもあります。

※最初にpdfをご紹介しておきます。画像なので4.2MB。pdfで拡大・縮小は楽。表示もきれいに読めます。

阿修羅でのRoentgeniumさんの紹介投稿は脱字や違っている所がかなりありました。ほぼ100%直せたと思っています。Roentgeniumさんのコメント挿入部分も削除し元のままにしておきました。

間違い例。他にも4、5文字ゴソッと抜けてる部分がありました。

沖縄知事選は不戦敗。(脱字)
 ↓
沖縄知事選は不戦敗。

その一方で中国は中華思想、すなわち覇権主義的な考え方を色濃く持っていることも事実です。(いるとなっていて、かなり文意の感じが違ってきます)
 ↓
その一方で中国は中華思想、すなわち覇権主義的な考え方を色濃く持っていたことも事実です。

 

政倫審出席拒否、だから…
小沢一郎すべてに答える(週刊朝日新年特大号1・7/14)

追い詰められているのか、それとも、追い詰めているのか——民主党の小沢一郎元代表(68)が菅 直人首相(64)を相手に繰り広げる“政界チキンレース”は、いよいよヒートアップしている。政局のカギを握る男はいま何を考え、この国をどうしようとしているのか。異能の脳科学者・茂木健一郎氏(48)が90分間、ズバリ迫った。

聞き手/脳科学者 茂木健一郎

 

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※↑1頁ごとに範囲指定してスキャンしているので、若干大きさがずれてます。

 

茂木 先ずは、いま世の中を騒がせているこのことを聞かなくてはなりません。

小沢 政治倫理審査会(政倫審)、ですか?(笑い)

茂木 はい(笑い)。菅首相と会ったんですよね。どうでしたか?

小沢 菅首相が会いたいというので、会いました。会談は2人きりだったので、僕がその中身を言うわけにはいきませんが、僕は、間もなく始まる刑事裁判で身の潔白を証明します。だから、「政倫審に出ろ」「出ない」は考え方の違いです。

茂木 民主党の岡田克也幹事長も再三、政倫審への出席を求めましたが、小沢さんは拒否しました。周囲には「党内から内輪モメみたいにして出ろと言われるのは筋が違う」と語っていたそうですが、やましいことがないなら堂々と出て証明すればいいという意見もある。なぜ出ないんですか?

小沢 岡田君への回答文にも書きましたが、僕はこれから刑事裁判が始まる身であり、国会の政倫審に自ら出席しなければならない合理的な理由はない、ということです。

 そもそも政倫審は、僕が自民党で議連委員長だったときに作った仕組みです。本来の政治的な趣旨は、捜査対象になっていないけれど政治家として問題を指摘されている時、本人が国会で釈明するための場です。政倫審の規定では「行為規範等の規定に著しく違反している場合」ということになっていますが、いずれにしても、司法の場で取り上げられていることを、さらに国会で論議するということになると、三権分立の趣旨に反することになってしまう。論理的に筋違いだと思います。

茂木 検察審査会で「強制起訴」が決まった陸山会事件では、年明けにも起訴される見通しですね。

小沢 そう、事件はまさに司法手続きに入っております。裁判では、検察審査会の起訴議決の可否も含めて粛々と闘うつもりです。

茂木 でも、小沢さんが政倫審に出れば、野党からの突き上げもなくなり、党内の反小沢の動きもおさまるんじゃないですか?

小沢 政倫審に出れば、果たして野党が国会運営に協力してくれるのか、ということですよ。もしそうならば、党のため、国のために、法制度の建前は横においても僕はどこへでも出ます。だけど現状は、野党と話し合いをして次の国会運営の展望が描けているのかといえば、まったく何もできていない。政倫審に出たところで、国会の審議がスムーズにいく保証はまったくないのが現状ではないでしょうか。それに、そもそも野党が指摘している政権の問題の本質は、僕のことではなく、問責決議を受けた国務大臣の処置についてですよね。

茂木 でも、いまや党執行部からは、小沢さんに対する「離党勧告」に踏み込む声も出ています。新聞・テレビなどでも「小沢新党」の見出しが躍っている。ズバリ、小沢さんが民主党を割る可能性は?

小沢 鳩山(由紀夫前首相)さんとも認識が一致しているところですが、それはありませんよ。(笑い)

 ただ、9月の代表選の際、鳩山さんが一生懸命骨を折り、菅首相も、挙党態勢で全員野球をやろうと一度はOKしたわけですが、それが一晩でひっくり返って、「お前たちはいらないよ」という話になってしまった。いまもそのまま蚊帳の外です。それで物事がうまくいっていればいいのだけれども、どうもそうではない……。

 

出ていくのは我々じゃない

 そもそも、こちらは協力すると言っているのに「お前たちはいらない」という強権的な考え方は、民主党になじまないんじゃないでしょうか。われわれが出ていく理由がない。特に鳩山さんは、自分が民主党をつくったという思いがあります。だから、本来の民主党の考え方に戻ってもらえれば文句はないです。

 ただ、どうしても相いれない場合、出ていくのはわれわれのほうではないんじゃないですか。

茂木 なるほど。一方で、大手メディアの世論調査では、小沢さんの「説明」を不十分とする人が8割程度います。

 政倫審に出ないなら、私が代わりに聞きましょう。

 まず、焦点の陸山会事件ですが、元秘書の大久保隆規さんや石川知裕衆院議員の公判で、検察は、中堅ゼネコン「水谷建設」から小沢さん側に計1億円の「裏ガネ」が渡ったことを立証することになりました。これまで大手メディアで散々書き立てられた疑惑です。

小沢 立証なんてできませんよ。本当にもらっていたら、検察は僕を起訴していると思います。また、石川も大久保も絶対にもらっていないと確信しています。

茂木 「政治とカネ」を巡る問題では、陸山会が09年8月の総選挙直前に、民主党の立候補予定者に対して総額約4億5千万円を支援していたと報じられました。その資金の多くは94年の新生党解党時に残ったものであり、“私兵”を養うために使うのはいかがなものか、という意見がある。菅首相や岡田幹事長も「問題だ」としています。

小沢 当時は政党助成金制度はなかった。僕のもっとも信頼していたスタッフ(故人)が、いろんな献金・寄付を集めてくれていた。それが新生党の主要な資金となった。解党のときに、同志が国家と国民のために活動できるよう、法令に沿い、「改革フォーラム21」に整理して移してくれていた。その人物は僕に生涯を捧げてくれた男でね。彼がいたから、僕は自民党を離党出来た。岡田くんらは、何も知らないんです。

茂木 なるほど、クリアですね。実は、小沢さんが認識されていたかどうかはわかりませんが、9月の民主党代表選で、新聞・テレビの伝統的メディアが相変わらず「政治とカネ」問題を批判する中、ネットの世界では、ちょっとした「小沢ブーム」が起きていたんですよ。これは私にとって顕著な出来事だったんです。

小沢 そうですか。新聞・テレビとネット上では、支持傾向が正反対だと聞いていましたが、自分でコンピューターはやらないものですから。

茂木 要は「政治とカネ」問題に関する認識がネット上ではまったく違う。小沢さんは、既存メディアの論調についてどんな印象を持っていますか?

小沢 そもそも日本では政治家もメディアも、余りにも無知過ぎると思います。

 例えば、オバマ米大統領は大統領選で6億4千万ドルもの個人献金を集めました。米国とは個人献金の意識と民主主義の成熟度が違うけれど、基本的には、日本でも国民の個人献金を後押しする税の仕組みを作って、習慣としてなじませていくのがいいと思いますね。

 ところが、日本は何かあるとすぐ規制の方向へいってしまう。規制とは、官僚の権力を強めることです。僕は政治資金も行政の中身も会社の経営も、すべてオープンにすればいいと思う。政治家ならば、誰からいくらもらって、何に使ったかをハッキリさせていれば、後は国民が判断できる。

 僕は法律上、公開しなくていいものまでぜんぶ公開していますよ。ここまで徹底しているのは、僕ぐらいでしょう。それなのに、なんで僕だけ怒られるんでしょうか、という感じがしますがね。(笑い)

茂木 いま政治の世界を見ていると、先の臨時国会で仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相への問責決議が参院で可決されたり、今度は、小沢さんの政倫審問題が浮上したり、政治家の政治生命にかかわりかねない問題が、国会の駆け引きの材料に使われている感があります。国民としては、政策や国家観を議論してほしいのに、無駄に時間を使っているとしか思えません。

 

首相をやる気はありますか?

小沢 まあ、いまは国会対策らしきものがなされていないので、余計に混乱しています。例えば岡田幹事長は、国会日程などで野党と事前に話し合うのは「55年体制」体質だからダメだという考えのようです。彼は、ぶっつけ本番でいいという感覚のようですが、それでは国会運営がうまくいかないのではないでしょうか。

 ただ、問責決議について言えば、野党が問題視したことの本質は、国家の根幹にかかわる部分なんです。「尖閣事件」では領海侵犯した中国人船長の“扱い”が問題になりましたが、それは外交問題ですから、指揮権発動だと言われようと何だろうと、法治国家として内閣が判断すべきだったということです。

茂木 小沢さんだったら、どう処理しましたか?

小沢 事実として領海侵犯、公務執行妨害があったならば、法に照らして厳然と処理する。そして、ハッキリと「政府が判断した」と言わなければならない。まあ、僕だったら、まず釈放はしません。

茂木 11月のAPEC首脳会議が迫っていても?

小沢 はい、僕はいつも中国の人たちに言っていますから。尖閣諸島は琉球王朝の島であり、中国数千年の歴代王朝では一度も支配下に入っていない。琉球が日本と一緒になった以上、尖閣諸島は日本領土であり、現に中国人は一度も住んだことがない、とね。

茂木 小沢さんはよく「親中派」だとか言われますが、言うべきことは言う、ということですね。

小沢 中国でも欧米でも、自己主張のない人間は軽蔑されます。逆に信頼を損ねることになる。僕が自民党政権時代以来、一貫して批判してきたのは、日本のトップリーダーに自己主張と見識がなさすぎることです。歴代首相と一緒に外遊に行ったとき、世界観や哲学を問われて答えられる首相は、僕の知っている限りいなかった。だから、いけないんです。

茂木 北朝鮮問題はどうですか?

小沢 北朝鮮は中国の考え次第です。その中国は現状維持を望んでいる。というのも、朝鮮半島が統一されたら恐らく自由主義圏になるから、中国は絶対に朝鮮統一を認めない。だから、北朝鮮の金正日体制を支え続けますよ。

 僕が気になるのは、北朝鮮よりも、むしろ中国そのものです。中国はアジアでもっとも先進的な文化を持っていた国であり、周囲の国に対して大きな影響を与えてきた。ですから、今なお、その意味において変わっていないのは当然のことです。その一方で中国は中華思想、すなわち覇権主義的な考え方を色濃く持っていたことも事実です。言いかえると、中国の歴史は、漢民族の膨張の歴史でもあります。この覇権・膨張主義の考え方が徐々に出てきているのが、いまの中国の危険なところです。

茂木 やはり、小沢さんに首相をやってもらったほうが……(笑い)。個人的には、強制起訴された人が首相になっても何の問題もないと思うんですが、やる気はまだあるんですか?

小沢 まあ、起訴された身で、あえてやるかというと……僕としては、できるだけ早く公判で無実を認めてもらって、スッキリしたいと思っていますので。いまの段階では考えていません。

 ただ、僕がいまの政治状況に強い危機感を持っているのは事実です。変化を嫌う日本人が、60年ぶりに正式な選挙戦を経て政権交代を成し遂げた。その重い決断を無にしてはいけません。

茂木 政権交代は、小沢さんの夢でした。そこで改めてうかがいたいんですが、実現したときの感慨は?

小沢 確かに当初は、本当によくここまできたなという満足感、充実感がありましたね。だけど、すぐに、これを成功させないと逆に、日本はムチャクチャになってしまうと思った。自民党もダメだけど、民主党もダメだ——となったら、日本の悲劇です。日本人は極端なナショナリズムに走ってしまう恐れがある。だから、いま、たいへん心配しています。

 僕としては、せっかく日本で初めて、民主党と自民党という2大政党の形で政権交代ができたのだから、何としてもこれを成功させたいんです。

茂木 ということは、「ねじれ国会」解消の“秘策”として、巷間いわれている自民党との「大連立」はあり得ないんですか?

小沢 いまは考えていません。それは、かえって良くないんじゃないですか。

茂木 あくまでも民主党を立て直す、と。

小沢 そうです。そのために僕と鳩山さんは6月に、党に迷惑をかけないように身を引いたのです。7月の参院選で過半数を取らなければ、本当の政治ができないと考えていましたから。

茂木 ところが、菅内閣に代わった民主党は、10議席減の44議席と惨敗しました。

小沢 本来ならば、絶対に60議席は取れたはずです。だから、われわれ2人には、どうしてこうなっちゃったんだろうという思いが強いんです。

茂木 振り返れば、民主党の最大の失敗は、菅首相の「消費増税」発言だと思いますが、なぜ唐突にあんな話が出てきたんですかね?

小沢 やっぱりねえ……みんな、政権に就いたことがないですからね。役人のもっともらしい財政論で言いくるめられてしまったんでしょう。役人は頭がいいし、経験も知識もある。だから、いつの間にか財政健全化路線に引っ張られて、それが責任のある政治家だ、政府本来のあり方だという錯覚に陥ってしまったんじゃないですか。

 

僕は情に棹(さお)さして流されるほう

茂木 官僚にやられてしまったということですね。

小沢 やられたというよりも、それに対抗する自分自身の論理と見識、政策がなかったということですよ。

茂木 いま国民はイライラしていると思うんです。せっかく政権交代をしたのに、従来、民主党が主張してきた政策は、すっかりひっくり返ってしまった印象があります。

小沢 しっかりとした政策論やビジョンを持たないと、結局、財源がないという話になってしまうんです。

 お金はあるんですよ。90兆円以上の予算を作っているんですから。だけど、いままでと同様に役所が原案を作る積み上げ方式でやろうとしたら、新しい政策をやる余裕がないのは当たり前。だから、僕たちは「いらない予算は切る」「優先順位をつける」と言ってきたんです。そこが非常にもどかしい。

茂木 小沢さんは以前から、いわゆる「ドブ板選挙」の大切さを説いています。たくさんの有権者と会って話すことが民主主義の根本だ、と。実際に有権者と接してみて、いまいちばん国民が感じていることは何だと思いますか?

小沢 将来への不安ですね。「年金はどうなんの?」とか、「医療もどうなっちゃってるの?」とか。雇用についても、小泉政権で分別なく米国流を採り入れた結果、よくも悪くも日本的だった終身雇用が「悪」とされ、雇用そのものが不安定になってしまった。

 だからまず、こうした不安を解消することが政治の要諦だと思うんです。いまの生活を将来的に安定したものにするから頑張ってほしいということを、メッセージとして発し、また、その仕組みを作ることができれば、日本人はいままでの何倍もの能力を発揮すると思いますね。

茂木 そのためには、どうすれば?

小沢 個別の政策論は別として、やはり「政治主導」「国民主導」にしないとダメです。

 僕は官僚無用論を言っているわけではありません。官僚は優秀ですし、必要です。彼らにサボタージュをされたら、何もできません。ただ、政治家が、官僚を自分の理想や政策を実現するためのスタッフとして使えるだけの見識とビジョンを持たないとダメです。いまは、官僚から「じゃあ、大臣、責任を取ってくれるんですか?」と言われて、たじろいでいるでしょ。それでは、彼らも新しい政策なんかやりっこない。

「僕が責任を取る。我が党としては、これが最優先だ。これにカネを付けろ」とちゃんと言えば、官僚は従いますよ。

茂木 私は脳の研究が専門で、先ほどから小沢さんの話を聞きながらいろいろ考えていたんですが、とても率直にものを言いますよね。

小沢 それで嫌われる。(笑い)

茂木 いやいや(笑い)。世間の小沢さんのイメージは、まずダーティー、そして剛腕、辣腕ということに尽きます。「悪代官顔」とかひどいことを言う人もいますが、日本人が得意な「空気を読む」ことをあまりしないほうなのかな、と思いました。

小沢 僕がダーティーだと言われる原因の一つは、僕の最初のお師匠さんが田中角栄で、それから竹下 登、金丸 信という流れのなかにいるからでしょうが、実は、3人とも「足して2で割る」技術、すなわち「空気を読む」ことにおいては最高のものを持っていました。

 日本人がもっとも得意なのは、どこにも波風が立たないように、足して2で割ることでしょう?彼ら3人は手法が違うだけです。例えば田中先生はバンバンバーンと相手にタマをぶつけて、その跳ね返り具合をみて、正確に足して2で割るんですよ。竹下さんと金丸さんは、自分ではものを言わないで、人の話を「ふんふん、ふんふん」と聞いて、正確に足して2で割る。僕は、親分たちから免許皆伝を受けていますから、足して2で割る、すなわち空気を読むやり方は十分知っているつもりです。

 しかし、いまの激変の時代は「足して2で割る」では済まない。それでは対処できない、難しいというのが僕の持論です。それをやってはいけないという思いでものを言っているのです。

茂木 なるほど。小沢さんが代表選のときにネットで圧倒的な支持を得たのは、そういう旧来の日本の政治文化を断ち切ってくれるという期待があったんでしょうね。2011年のニュー小沢はどうなるんですか?

小沢 んー、パフォーマンスの面、これは政治家に絶対必要な要件ですが、僕はそれが苦手なんです。

 その意味で、小泉純一郎という男はすごかった。そしてけんかがうまい。だから政策面は別として、その点において評価しているんです。少しマネしなきゃいかんかなと思って。(笑い)

 あと、これも世間で思われているイメージと逆なんですが、実は、僕の性格は情に棹さして流されるほうなんですよ。

茂木 それは意外ですね。よく「非情」って言われていますからね。

小沢 だけど、自分自身の性格はよく知っています。僕は外見に似合わず、本当に情に流されるほうなんですよ。だから、政治は絶対に私情に流されてはいけないというのが、自分に対する戒めです。

 日本の歴史上の人物では、僕は、大改革者としての大久保利通が好きなんですけれど、政治家はああいうタイプであるべきだと思っています。

茂木 まさにいま、大久保利通がやったような国家の再構築が必要な時期です。でも、大久保利通は人気がないんですよね。

小沢 理性的だからですよ。好きなのは西郷隆盛。彼は情の人です。日本的な最大の親分ですね。だけど、情に流されちゃう。その点、大久保は絶対に流されない。

茂木 つまり、小沢さんはあえて嫌われ役を買ってでも、平成の大久保利通を目指す、と。本当に国を再構築しようとしたら、嫌われないといけないのかもしれないですね。

小沢 誰かがやらなくちゃいけないんです。たまたま僕もその近い位置にいますから、やらなきゃいけないだろうということです。

 日本社会は、何でも全会一致で、波風を立てない談合社会です。誰も責任を取らない仕組みになっている。誰も傷つかないから、それがいちばんいいんですよ。

 しかし、いまはそれが通用しない。日本人の本来の国民性と違う、誰かが決断して物事を進めなければならない難しい時代になっているんです。

 実際、国民の意識も変わってきていると思いますよ。リーダーに求めるのは、単に「和をもって貴しとなす」というタイプではなくて、ある程度、指針を示してくれる人間、何かをやってくれる人間というイメージになりつつあるのかなと感じます。

茂木 そこで心配なのは、やはり民主党の今後です。7月の参院選で惨敗して以降、衆院補選も負け、沖縄県知事選は不戦敗。先日(12月12日投開票)の茨城県議選も、まったくふるわなかった。春に統一地方選を控え、地方議員からは「何とかしてくれ」と悲鳴が上がっていると思うんですが。

小沢 党内の若手議員も地元を回ると、もはや浮動層からの批判ではなくて、本来のコアな民主党支持層から文句を言われる危機的状況だというんですよ。それで「どうしたらいいでしょうか」と聞いてくるんだけれど、国会議員も地方議員も不平不満ばかりを言ってないで、みんなで議論し、行動すればいい。その結論を、僕が先にどうしろとは言えません。

茂木 もともと小沢さんは政権交代した09年の総選挙を、ホップ・ステップ・ジャンプの「ホップ」と考え、参院選が「ステップ」、そして統一地方選を「ジャンプ」として、ガッチリとした民主党政権をつくり上げる構想だったと思います。ところが、ステップでこけてしまいました。これを、どう立て直しますか?

小沢 非常に難しいですね。立て直しの第一歩は、とにかく民主党内閣がしっかりすること。そうでないと、もう立て直しはきかない。

 

いま選挙をしたら3分の1に

いま国民は、せっかく民主党に変えたのに、自民党よりも悪いんじゃないかと思っています。この状況で選挙をやったら、民主党は吹っ飛んでしまう。そして、ここで失敗すると、日本に議会制民主主義が定着しなくなってしまう恐れがある。

 だから僕は、何としても民主党政権を成功させ、それに対抗して自民党からも新しい芽が出て、そしてお互いに政権交代ができる姿になってほしいのです。

茂木 ここにきて「衆院解散・総選挙」の可能性を語る人も増えていますが、小沢さんはどう見てますか?

小沢 このままの状態では、年明けの通常国会はほとんど機能しないことになると思います。では、内閣としてどうするかという話になりますが、「選挙」と言った途端に民主党内は全員、反対するでしょうね。

茂木 勝てないから、ですね。

小沢 いま選挙したら、残るのは3分の1ですね。

茂木 逆に勝つのは?

小沢 自民党は増えるでしょうが、過半数は取れないと思います。まだ国民も、自民党にパッと政権を返そうとは思っていないでしょう。そうなると、みんなの党とか何々党とかが増えて、どれも過半数に届かずゴチャゴチャという状況になる。それは悲劇です。

茂木 いま日本は、政治が停滞している場合じゃありませんよ。

小沢 非常に心配です。だから、すぐに選挙というわけにはいかないと思いますがね。

茂木 ただ、通常国会を乗り切るのは容易じゃない。

小沢 そうでしょう。先日(12月8日)、鳩山さんに呼ばれて行ったら、舛添要一(新党改革代表)さんがいてね。「補正予算は通さないといけないと思ったから賛成した。だけど、(仙谷、馬淵両氏の)問責決議は本質的に国家の重大な問題だから引っ込めるつもりはない」と言う。

問責決議は法律的に強制力はないけれど、政治的には不信任です。このままでは通常国会を召集しても審議ができないわけです。大変しんどい状況に差しかかっている。

茂木 その突破口は?

小沢 わからない。地方議員や一般の党員が、どういうアクションを起こすかですよ。民主主義なんだから、それ以外にないでしょう。

茂木 最後に一つ、聞きたいことがあります。小沢さんにとって民主党らしさ、つまり、自民党とのいちばんの違いは何ですか?

小沢 うーん。まず若い政党なので、良さは、俗にいう「癒着」「腐れ縁」「しがらみ」といったものがないことでしょう。

 逆に、最大の欠点は、日本人としての基礎的な素養に欠けることですね。

 例えば、僕が国会内で歩いていても、きちんとあいさつするのはむしろ自民党の人たちが多いです。民主党の若い議員は、あいさつするのもいるけれど、あっち向いてひょいと通る人もいる。そういった基礎的な倫理観や道義感、行儀作法がまったく欠けている人が珍しくない。

 いまの社会は、日本人的な道義感や倫理観が失われてきた。それを反映しているんですよ。

茂木 「学級崩壊」じゃなくて「国会崩壊」だ。“民度”を上げる為にはどうすればいいですかね。

小沢 国民のレベル以上の政治家は生まれないというのは、そこなんです。だけど最近は、永田町の人たちよりも国民のほうが先に、かなり認識が変わりつつあると思いますよ。

茂木 じゃあ、小沢さんが実はダーティー、剛腕ではなくて、プリンシプル(原理・原則)の人だということが、ちゃんと伝わってほしいですね。(笑い)

構成 本誌・鈴木 毅

 

対談を終えて プリンシプルの人・小沢一郎 茂木健一郎

 小さな頃から、日本の新聞を読み、テレビを見て育っているから、政治の報道のされ方については、「こんなものだろう」という「相場観」のようなものを持っていた。小沢一郎さんについての一連の報道も、途中まで、そんなものかと思っていた。
「政治とカネ」とか、「剛腕」だとか、小沢さんを巡って報道される時の決まり文句のようなものも、政治報道というものはそういうものだと思っている限りにおいては、違和感がなかったのだろう。

 それが、どうもおかしい、日本のメディアの報道を見ていても、政治の本当のあり方、政治家の素顔は見えないのではないかと思い出したのは、2010年になってからである。

 小沢一郎という人の本質も、メディアの報道のされ方を見ていただけでは伝わってこない。そんな風に思うようになってきたのである。

 メディアの力は大きい。どのような世界観に基づいて、どのようなことに注目して報道するかということによって、同じことの見え方も変わってきてしまう。

 イギリス留学時代のこと。あの国で、政治過程がどのように報道されているかということを目の当たりにしてびっくりした。政治の実質的な内容についての議論が行なわれているのである。

 また、オバマ大統領の登場も新鮮だった。その演説は、アメリカという国が何を目指すのか、自身の生い立ちを含めて説き起こす。情熱とヴィジョン。そのようなことが当たり前に論点となり、人々に伝わっていく国もあるのだと思った。

 小沢さんとの対談を終えて、その印象を一言で表現すれば、「プリンシプルの人」だということである。

 民主主義はどうあるべきか、という原理原則の問題。しばしば、「古い」と批判されてきた「ドブ板選挙」についても、有権者と直接話し合うことが民主主義の原点だと言われれば、まさにその通りである。イギリスでもアメリカでも、候補者たちは小さな集会を積み重ねて支持を訴えていく。

 決まり文句のように言われる「政治とカネ」の問題についても、小沢さんの現場からの言葉は重かった。政治には、お金がかかる。それを、誰がどのように負担していくのか。「ドブ板選挙」、「政治とカネ」という日本では「古い政治」の象徴のように片付けられている問題にこそ、むしろ政治にかかわるプリンシプルが表れるのだと、小沢さんに教えていただいた。

 もはや、国内政治と同じように、あるいはそれ以上に国際政治が大切な時代。首相選びにおいても、外交の能力を重視すべきだろう。小沢さんとの対談で印象的だったのは、その発言を英語に直して発信しても、違和感がないだろうということだった。日本のメディアの慣習の中では際立たないことが、視点を変えると輝きを増す。

 小沢一郎という人の真価は、日本の因習を離れ、国際的文脈の中にあって初めて明らかになるのではないかと思う。小沢さんが表舞台に登場することを、楽しみに待ちたい。

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