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2011年4月24日 (日)

【必見マル激】523回「原発は安い」は本当か、ゲスト:大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)(2011年04月23日)

 必見です。

無料放送中>>>  NEWS(127分)  300k

http://www.videonews.com/asx/marugeki_free/523/marugeki523-1_300.asx

マル激トーク・オン・ディマンド 第523回(2011年04月23日)
「原発は安い」は本当か(全2時間7分20秒、始めから1時間15分27秒までは——ニュース・コメンタリー (2011年04月23日) 今週の福島原発 基本情報の公開なき楽観論には注意が必要——と同じ。)
ゲスト:大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)
http://www.videonews.com/on-demand/521530/001844.php

 

(↓クリックで拡大)
196


1時間16分5秒から、1時間32分まで。
町田徹:電気料金値上げについて。消費者にすべてを上乗せする無茶苦茶なやり方。地域独占(日本の電力会社の発電・送電一体問題、発電と送電を一つの会社が独占してやっていると言うのは先進国では日本だけ。)

1時間24分25秒あたりから、賠償スキーム。
町田:日本の電気料金は内外価格差で3倍から5倍の差。

1時間29分30秒あたりから、
町田:東電の社債がこげつくと言うのとはありえない。担保がある。

1時間32分40秒から、
東電の内部留保は1兆8000億円。余剰金があって、「使用済燃料再処理等引当金」1兆2100億円、「使用済燃 料再処理等準備引当金」363億円、「原子力発電施設解体引当金」5100億円、これで約1兆8000億円、以上原子力関係で積み上げている額。資本余剰 金200億円あって、

※SOBA:この部分なかなか面白いので検索で探しました「町田徹 ニュースの深層」からです。正確には、以下です。

(以下引用始め)

地域独占で生まれた「巨額の資産」

 まず、東電にどれぐらいのストックがあるか紹介しよう。

 2009年度(2010年3月期)の有価証券報告書によると、原子力発電事業に関連する積み立てとして固定負債の部に、使用済燃料再処理等引当金(1兆 2100億6000万円)、使用済燃料再処理等準備引当金(363億1200万円)、原子力発電施設解体引当金(5100億1000万円)が蓄積されてい る。資本の部にも、資本剰余金(191億2300万円)と利益剰余金(1兆8314億8700万円)の計上がある。ちなみに、東電の純資産は2兆5164 億7800万円、総資産は13兆2039億8700万円だ。

(以上引用終り)

※関連:4月11日のインタビューですが、下記エントリーでテキスト起こしが紹介されてます。

「経済合理性から見た原子力発電の問題点:経済面から見ても、原発は非常に高コストで非効率的な発電方法」
岩上安身さんによる、大島堅一教授へのインタビュー(晴耕雨読)
http://sun.ap.teacup.com/souun/4392.html

iwj7 04/11/11 12:20AM
http://www.ustream.tv/recorded/13923515

 

大島氏がビデオ中、使っている資料は、

(第48回原子力委員会資料第1−1号)
「原子力政策大綱見直しの必要性について——費用論からの問題提起——」
2010年9月7 立命館大学国際関係学部 大島堅一
k-oshima@cj8.so-net.ne.jp
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo1-1.pdf


 以下、資料として採録。「町田徹 ニュースの深層」からです。

2011年04月26日(火) 町田 徹

復興よりも先に進む、東電、銀行、財務省を保護する「福島原発賠償策」の異常
1世帯当たり1万7000円の値上げに直結
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765

 福島原子力発電所事故の損害賠償(補償)の支援計画(政府案)が明らかになってきた。報道によると、官民共同で新たな「機構」を設置し、この機構が継続的に東京電力の経営をモニターして、必要に応じて資金援助する仕組みをとるという。

 しかし、円滑な賠償金の支払いが、この計画の主眼とはとても思えない。むしろ、1.東電の存続を後押しする、2.無担保で東電に貸し込んだメガバンクを保護する、3.財務官僚が嫌う直接的な税金の投入を避ける---の3つこそ、真の狙いではないだろうか。

 そして、そのツケは、我々庶民に回ってくる。新聞は報じないが、取材したところ、計画を青写真通りに機能させるには、初年度だけで、1世帯当たり1万6700円程度の電気代の値上げが必要という。その重い負担は、10年以上にわたって継続する見通しだ。

  我々日本人は、歴史的にみて、先進国の中で最も高い電力コストを負担してきた経緯がある。にもかかわらず、東日本大震災に伴う景気後退という暴風雨の最中 で、震災復興税という"酷税"と、電力の値上げのダブルパンチを浴びせられるというのだ。こんな理不尽な話が認められるだろうか。今こそ、行政を牛耳る官 僚と、官僚のやりたい放題を制御できない政府に、「ノー」を突きつけよう。

政府に踊らされたスクープ合戦

  文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」(会長・能見善久学習院大学法務研究科教授)は4月28日にも、福島第1・第2原子力発電所の事故に伴う損害賠 償の第1次指針案を提示するという。賠償の対象が決まれば、雲を掴むような状況だった賠償総額の推計が容易になってくる。東電の負担能力が取り沙汰される 場面も出てくるはずだ。

 そこで、政府は月内にも、東電支援策を作り、閣議決定するという。そうした事情を背景に、新聞各紙は先週から、政府案のスクープ合戦を繰り広げた。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=2

 報道に共通しているのが、東電の資金繰りを万全にするため、政府支援の道筋を付ける「新機構」を設置し、国がこの機構に、いつでも現金に換金できる「交付国債」を付与して、東電への機動的な資金供給が可能な体制を整備するという点だ。

 だが、この計画に盛り込まれた「機構」とか「交付国債」といった単語は日頃馴染みのないものだ。わざと難解にしたのではないか、と勘繰りたくなるほどだ。

 しかも、一連の報道は、絵に描いたようにスクープ報道の弊害が露わだった。報道が我がニュースソースに媚びる競争に陥り、肝心の政府案の問題点の指摘が手控えられる傾向が強かったのだ。

発送電の一体経営を政府が保証

 そこで、まず検証しなければならないのが、この計画は、誰にとって都合がよいものなのかという点である。

 現行の「原子力損害の賠償に関する法律」(原子力損害賠償法)は、過失の有無に関係なく、原発事故が原因で発生した損害の賠償を、電力会社に課している。その範囲に、上限を設けておらず、無限責任となっていることも大きな特色だ。

  半面、同法は、政府の支援に制限的だ。賠償額が、原子力事業の認可条件として加入を義務付けている保険のカバー範囲(1件に付き1200億円、ちなみに、 福島は原発が2個所あるので2400億円)を超えて、かつ必要が生じたときに限定しているからだ。しかも、「国会の議決」を条件として、2重に釘を刺して いる。

 ところが、東電はこうした法の精神に反して、自らがどのような形で、いくら調達して、賠償にあたるのか何ら示していない。勝俣恒 久会長は17日の記者会見で、「国のスキームがしっかりしていない場合、見通しが立たない。補償の話は、国のスキームを早く決めてから」と述べただけであ る。

 そうした中で出てきたのが、今回の政府案だ。先週末までの報道に共通するのは、政府が官民共同で設置する「新機構」に換金が容易な 「交付国債」を貸し付けることと、新機構が必要に応じて東電への援助を行うことの2点ぐらいだ。肝心の東電が自前のカネをいくら投入して賠償にあたるの か、そのためにどういう財源を使うのか、といった点は、ここでも明らかにならなかった。

 つまり、東電は、何もしないで、政府の手厚い支援を勝ち取った。東電という会社の存続を保証されただけでなく、これまで通り1都8県の地域独占会社として、発送電の一体経営を続けて行くことも容認されたのだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=3

 こう見てくれば、明らかだろう。最も得をしたのは東電だ。仮に、賠償のために、会社を解体してバラバラに売却する方式や、会社ごと整理する破たん 処理、さらには日本航空(JAL)型の国有化などが断行されていれば、東電は跡形なく消えていた。だが、東電は、そういう議論をなんなく封じ、「安定供 給」の美名のもとに、生き残りを果たそうとしている。政治力の健在ぶりを見せつけた。

 次に、露骨なのが、この計画が、当面、税金を投入しない計画に仕上がったと評価する論調だ。これは、財政負担の増加を避けたかった財務官僚の思惑と見事に一致している。

  加えて、今回の計画は、東電以外の電力会社に、新機構への資金拠出負担を負わせることを盛り込んだ。将来の事故にも対応可能にするためと言うが、拠出額を 巨大にしなければ、そんなことは不可能だ。むしろ、この負担拡大の狙いは、電力会社にも負担を負わせることで、財政への負担を一段と軽減することにあった とみるべきだ。

メガバンクが巨額融資に踏み切った理由

 3番目に得をした人を探る手掛かりは、震災直後に、ビジネスの常識を無視して、気前よく東電に巨額の資金を融通した人たちの存在だ。3行合計で1兆9000億円の無担保融資に踏み切ったメガバンクと、同じく1000億円の融資を実行した日本政策投資銀行である。

  もともと会社整理の際には、銀行融資は債権としての回収順位が低い。加えて、各行は震災後、無担保融資を大盤振る舞いしていた。つまり、破たん処理や国有 化が起きていれば、貸し手責任を問われ、大半が債権カットの対象になる。銀行経営者にとっては、経営責任を追及されかねない失態と言える。ところが、政府 案で、問題債権の回収に目途が立った。

 実際、以上の点について、電力関係者の中には、今回のスキームは、「(以上の)財務省、東電、メガバンクの3者に、経済産業省が加わって作り上げられたものだ」と明かす向きがあった。

  派生的に、東電の株主がメリットも見逃せない。破たん処理や国有化に伴う100%減資などを免れたからである。東電株は、積み立て貯金感覚で毎月資金を貯 めて株式に投資する「累積投資」の対象となる例が多い。結果として、極端に個人株主が多いのだ。それだけに、上場廃止や減資を憂慮していた証券界にとって も、政府案は喜ばしい内容と言える。

 ただ、政府案の議論の過程で、金融関係者の間に、東電の社債がデフォルト(債務不履行)に陥るとし て、破たん処理や国有化の反対の論拠にする向きが多かったのは見苦しかった。東電債は、約5兆円の発行残高があり、毎年2000億円前後の新発・借換債が 出ているが、ほぼ全てが発電所などを担保にした債券であり、デフォルトリスクは皆無に等しかった。

 しかし、政府案は、関係者全員が得をする、そんな魔法のような存在なのだろうか。本当に、このスキームで機能するのだろうか。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=4

 残念ながら、答えは否である。というのは、この仕組みは、前提に明らかな無理があるからだ。

 その詳細を明かす前に、各紙の報道を紹介しておこう。

  「一時的に東電の支払い能力を超えることが考えられる。この場合、東電は、機構あての優先株や借入金で調達資金を支払いに充て、その後、毎年の利益から配 当金や借入金の返済の形で、機構に返済し続ける。東電の返済については毎年1000億円、10~15年とする案を軸に検討している」(4月20日付 読売 新聞朝刊)

 「東電の年間利益は1000億円程度で補償負担が東電の支払い能力を超えると電力供給に支障が出かねない。このため、年間の負担額については収益も勘案して一定の上限を設ける」(4月20日付 日本経済新聞夕刊)

 「東電は、利益から設備投資資金などを除いた余裕分を機構に返済していく。機構はこの返済分を国庫に返納するので、すべて国に返済されると最終的な財政負担は発生しない仕組みだ」(4月21日付 朝日新聞朝刊)

 といった具合だ。要するに、今回の計画は、東電が毎年1000億円程度の最終利益を確保できることを前提にしている、と報じているのだ。従って、本当に、東電がこの利益を確保できるのか、という点が焦点になる。

何もしなければ3000億円も赤字に

 東電の収益の推移をみてみよう。なるほど確かに2009年度は、本業で2844億円の営業利益を稼ぎ出し、税引き後の最終利益でも1337億円を確保した。

  ところが、その前の2年間は惨憺たるものだ。2007年度に1501億円の最終赤字、2008年度に845億円の最終赤字といった具合なのだ。原因は、 2007年7月16日に起きた新潟中越沖地震にある。柏崎刈羽原子力発電所が運転休止に追い込まれ、原発よりもコストの高い火力発電所をフル操業するため の石油とガスの燃料購入代金が膨らみ赤字に転落してしまった。

 勘の良い読者なら、もうわかったはずである。

 燃料コストの膨張は、今回も避けて通れない。東日本大震災によって、福島の2つの原発が事故を起こして、当分の間、運転再開が見込めないからだ。

 ある電力会社関係者を取材すると、そのコストが驚くほど巨大だという事実が浮かび上がってきた。

  新潟中越沖地震後の休止が続いている柏崎刈羽原発の2、3、4号機の運転を再開できないところに、今回の福島原発の事故処理が加わり、これを火力発電に置 き換えるとなると、営業費用が2009年度に比べて5000億円程度も膨らむというのだ。つまり、何もしなければ、東電は3000億円程度の最終赤字に 陥ってしまうのだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=5

 そこで、政府の計画に話を戻そう。赤字を回避して、政府の賠償スキームを維持するために必要な利益を確保しようとすれば、大幅な電力料金の引き上げが避けられないという現実が浮かび上がってくる。

 ちなみに、東電には3000万弱の契約者がいる。これには大規模な製造工場から、我々のような庶民の家庭まで含まれるが、単純に値上げを均等に負担すると仮定すれば、1世帯当たり1万6700円程度の値上げが必要になる計算なのである。

 新聞はニュースソースに配慮してあえて触れないのだろうが、政府案を狙い通りに機能させるためには、この程度の値上げは避けて通れない。しかも、一端上がった電力料金は、少なくとも10~15年以上引き下げが見込めない可能性が高いのである。

本来は8年間、値上げは不要のはずだが

 値上げがこれほど高額になるには、もうひとつ理由がある。賠償資金を、これから東電が稼ぐ収益の中から賄おうとしていることが元凶なのだ。

  東電に限らず、電力会社は「安定供給」の美名のもと、一般企業のような市場競争を免除され、地域独占体制の中で発電と送電を一貫体制で行う発送電の兼営を 行い、これまで膨大な収益をあげてきた。原子力の安全神話の構築に多額のコストをかけても、有り余る収益を確保でき、膨大な内部蓄積を積み上げることがで きたのだ。

 東電で言えば、会社を丸ごと売却する際のひとつの目安になる総資産が2010年3月末で13兆2000億円に達する。

 このうちの純資産(株主資本)は、2兆5200億円だ。その中には、株主総会の承認を得れば取り崩せる資本剰余金(6800億円)や利益剰余金(1兆8300億円)といった内部留保が含まれる。

  原子力事業のために巨額の積み立てをしていることも見逃せない。六ヶ所村などの使用済みの核燃料の再処理施設の建設資金や、寿命を迎えた原発の解体に備え る狙いがあったからで、その残高は、使用済燃料再処理等引当金が1兆2100億円、使用済燃料再処理等準備引当金が360億円、原子力発電施設解体引当金 が5100億円となっている。

 これらは、経済産業大臣の許可さえ受ければ、賠償に転用が可能なストックだ。福島原発事故を起こし、従来のような原発の積極展開が難しくなる中で、こうしたストックを温存しておく必要があるだろうか。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=6

 これらの過去の遺産の中から、直ちに4兆円前後を拠出して賠償に充てても、東電が債務超過に陥ることはない。もちろん、電力の安定供給も維持できるはずだ。

 4兆円と言えば、それだけで、少なくとも8年前後は本稿が指摘した値上げを不要にする資金だ。なぜ、これをまず、賠償にあてないのだろうか。

 過去の遺産のうち、使用済燃料再処理等引当金は、国債で運用されているはずだ。わけのわからない交付国債などというものを持ち出さなくても、この引当金の転用ならば、換金は非常に容易である。

資産を売却しても電力の安定性にはなんの問題もない

 資金の効率運用の観点から、その他の内部留保がこれまで、全額がキャッシュで保持されてきたとは思えない。

 が、東電のように豊富な収益の確保を約束されてきた企業が、その大半を懐に貯め込んだまま、新たに賠償のための支援を政府から受け、そのツケを国民に回すというのは、常軌を逸した行為だ。

 まず、過去の蓄積で自己責任を果たすべきである。もし、その拠出を妨げるような官僚や政治家がいれば、それは国民共通の敵である。

 今回の取材の過程では、地域独占や発送電の一体経営の見直しを行うためには、「疑似国有化や国有化を行って会社を解体しないと、運転中の発電所の売却は困難だ」というわけのわからない主張もよく聞いた。が、これが説得力のある議論とは考えられない。

 というのは、慎重に電力事業経験のある企業を選んで売却すれば、ある日を境に所有者が変わるという資産売却も何の問題もなく実施できるはずだからである。関係者の中から、そういう可能性を是認する証言を得た。

 地域独占や発送電の一体経営の見直しはやや専門的な議論だ。今なお根強い要求があり、その哲学が間違っているとは思わない。

 しかし、今回、関西電力や中部電力まで念頭に置いて、直ちに電力行政の転換を強いるのは、いたずらに話を複雑にして混乱を招くだけではないだろうか。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=7

 そういう議論は、憲法が保障した財産権を侵すものだとの法廷闘争を呼ぶ可能性が高く、今回の福島原発事故の賠償の大幅な遅滞を引き起こすリスクが あるからだ。筆者はあちこちで主張してきたが、まずは、被災者への日々の生活補償を、次いで本格的な損害賠償を急ぐべきである。

 ただ、もし東電が賠償の必要に迫られて、自らの意思で発電所や送電網を売却するというのであれば、それは民間企業・東電の自由意思として尊重すべき判断である。

 発電所の売却により、東電は潤沢な賠償資金を調達できるし、発電に競争が導入されれば東電の事業コストそのものが引き下げられるメリットも期待できる。

 そうしたことを電力行政が阻むとすれば、これほど奇妙な議論はないだろう。今回のように、東電の自助努力を待たずに、いきなり救済策を持ち出すことも、東電の思考を停止させるものであり、阻むことと同じぐらい罪深い行為である。

 まずは、東電の自助努力を促すことこそ、政府に期待される使命である。

安定供給と東電の存続は別問題だ

 その具体的な手法については、4月5日付の本コラム「東電は国有化より、メキシコ湾BP型ファンド創設で速やかな対応を」で私見を示したので、興味のある方は参考にしていただきたい。

 最後にもう一度繰り返すが、今回のような政府支援は、あらゆる手を講じた後、「最後の最後の手段」として、考慮が許される話だ。

 今回のように「税金を投入しない」と強調し、あたかも国民の利益を守るようなプロパガンダを新聞各紙を通じて展開しておいて、実際は東電や銀行を手厚く保護して、庶民を泣かせる値上げを騙し打ちで強行するようなやり方は、国民の政治、政権、官僚不信を招く行為である。

 仮に、政府が支援に踏み切るときは、電力の安定供給に配意する一方で、モラルハザードの観点から、東電という企業の存続を許してはならない。安定供給と東電の存続は別の問題だ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2765?page=8

 あわせて、100%減資による株主責任の明確化や、大幅な債権カットによる貸し手責任の明確化も、政府支援に国民の理解を得るためには避けて通れないステップになる。

 税金であれ、電力料金の引き上げであれ、庶民の財布はひとつであり、騙し打ちは決して許されない。

 菅総理、首相就任時に「サラリーマンの子が総理になった」と喜びの気持ちを語ったことを思い出していただきたい。あなたならば、わかるはずの論理である。

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2011年04月19日(火) 町田 徹

経済音痴の復興会議には任せられない
「善意の節電」に潜む落とし穴 首都圏の経済成長は10%減速との見方も
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2465

 まずは、素直に喜ぼう。壊滅的な被害をもたらした東日本大震災に伴う電力不足を、国民や企業の驚異的な節電努力によって、曲がりなりにも乗り越え ることができたのは幸いだった。首都圏では暖かい日が続き、暖房による電力のひっ迫の思い悩むことなく暮らせる季節がめぐってきた。

 し かし、喜んでばかりはいられない。この節電には、「経済の大幅減速」というリスクが潜んでいるからだ。独自の取材の結果、東京電力のユーザーが震災から 1ヵ月の間に1日当たり500万キロワット前後という驚異的な節電を果たした事実と、それに伴って日本の成長率が3%以上も減速した可能性が浮き彫りに なってきたのである。

 折しも先週末、日本は、ワシントンで開かれた「主要20カ国(G20)財務大臣・中央銀行総裁蔵相・中央銀行総裁会議」の場で、「世界経済のリスク」との嬉しくないレッテルを貼られてしまった。

  ところが、菅直人政権が鳴り物入りで設置した「東日本復興構想会議」は、第1回会合で、いきなり「震災復興税」の創設を最優先課題のひとつに掲げて、財政 偏重・増税ありきの復旧・復興策を推し進める方針を打ち出した。愚策としか言いようがない、まるで、衰弱した病人に、体力が必要な外科手術を強行し、患者 の命を奪うような話なのだ。菅政権には、菅政権が「日本経済のリスク」になっている事実の自覚が求められている。

電力消費が12%減少した裏側で

「皆さん、なんと協力的なのでしょうか。救われました」---。

 目を皿にして日々の電力需給をモニターしてきた、ある電力関係者は、筆者の取材に対し、開口一番、こう漏らした。

  言葉の背景にあるのは、被災直後の週末に計画停電突入をアナウンスした途端、翌週の初めから東京電力管内の1都8県の電力消費が見る見る下がり出したこと だ。花冷えの暖房需要がピークに達すれば大停電を誘発しかねないとの懸念を他所に、電力消費は、前年の同時期を500万キロワット、率にして12%前後も 下回る日が続いた、と、この関係者は、未公表の電力消費の詳細を明かしたのだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2465?page=2

 そして、「ありがたいことだ。これほどの協力が得られると予想した電力会社関係者はいなかった」と安堵の表情をみせていた。多くの人々の善意の総和である驚異的な節電が、無計画で大規模な突発的停電を未然に防いだというのである。

 しかし、エコノミストの中には、この善意の節電を、「手放しで喜ぶのは間違いだ。むしろ、その節電に伴う経済活動の停滞に危機感をもつべきである」と顔を曇らせる向きもある。

 詳しく紹介しよう。

 被災後の1ヵ月間の節電について、このエコノミストは「過去の弾性値から見て、首都圏の経済成長が10%近く減速したという試算が成り立つ」と分析している。

 そして、「首都圏経済は、日本の4割近くを構成するので、国家レベルでみれば3%を大きく超える成長の阻害要因になったはずだ」とみているのだ。

 国際通貨基金(IMF)は4月11日、世界経済見通しを改訂し、その中で、日本の2011年の成長予測をこれまでより0.2ポイント低い1.4%に下方修正した。この水準は4.4%の成長が見込まれる世界経済から見れば、群を抜いて低いものである。

G20が示した日本経済への懸念

 しかし、電力不足は今回の1ヵ月にとどまらない。東電なりの電力供給の復活努力がその通り実現できたとしても、6月以降は冷房を中心とした電力需要が高まり、3、4ヵ月にわたって電力不足が繰り返されるのは確実な情勢にある。

 そうなれば、事態はIMF見通しより大きく悪化し、マイナス成長の泥沼に落ち込んでも不思議はない。さらに言えば、今後、数年間、こうした状況を解消することは難しいとされている。

  もちろん、日本経済を減速させる要因は、首都圏の電力問題だけではない。全国各地で繰り広げられた自粛に伴う消費の減退や、観光を中心とした人の移動の激 減も深刻な問題だ。大手流通各社は軒並み、2011年度の純利益が2~4割落ち込むとの業績見通しを公表しているし、大手航空会社は「羽田発着便の搭乗率 が3割を切り、1日10億円規模の営業赤字を計上する日が珍しくない」と頭を抱えている。

 先週末、米国の首都ワシントンで開かれた G20財務大臣・中央銀行総裁会議は、こうした危機に対して、当事者である日本よりも諸外国の方が敏感であることを浮き彫りにした。東日本大震災の復興支 援を前面に打ち出す一方で、共同声明において、政情不安の中東・北アフリカと並んで、日本が「経済面での不確実要素だ」との見方を示したのである。

 こうした中で、経済の減速を和らげるために速やかな復旧・復興が必要なことは、だれがみても明らかだろう。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2465?page=3

 ところが、菅政権の取り組みは、目を覆いたくなるほど惨憺たるものだ。

 その第1が、2011年度の第1次補正予算である。先週 の本コラムでも指摘したように、そもそも阪神淡路大震災の際の対応と比べて遅いうえ、規模が4兆円と大きく不足している。にもかかわらず、ここへきて半ば 公約だったはずの「4月中の国会提出」さえ危ぶまれる事態に陥っているのだ。与党・民主党や野党・自民党、公明党から、「財源として国債に頼らない」とい う菅首相の基本方針に異論が続出していることが理由という。

いきなり増税論議を持ち出す愚

 そして、第2が、のっけから、経済オンチぶりを露呈した政府の「東日本復興構想会議」だ。

 議長の五百旗頭(いおきべ)真防衛大学校長は14日の初会合で、「全国民的な支援と負担が不可欠である」と強調した。そして、「議長提出資料」に、具体策として「かつて無い支援の輪(義援金)+公債+震災復興税」と盛り込んで見せた。

  しかし、以前から本コラムで指摘してきたように、復興の財源が、義援金と財政しか存在しないというのでは、視野が狭過ぎる。そもそも震災や津波からの復 旧・復興は、被災者が主役である。さらに、内外からの民間投資を呼び込む努力も欠かせない。義援金や財政は、そうした当事者や民間の投融資のサポート役で あることを肝に銘じるべきだろう。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2465?page=4

 まして、復旧・復興がほとんど手付かずの段階で、いきなり投資や消費に冷や水を浴びせかねない増税論議を持ち出すことの弊害の大きさを、復興会議が理解できていないことは論外だ。

 筆者は将来、増税が必要になる可能性は否定しない。大手メディアの世論調査でも、「増税を容認する向きが7割を超えた」という。

 しかし、そうした増税は「今ただちに」ではなく、復旧・復興のめどが付いたら実施する課題のはずである。端から増税を前提にして、復旧・復興の効果の乏しいばら撒き政策を羅列されてはたまらない。

 これが、「世界経済のリスク」は日本、「日本経済のリスク」は菅政権、と憂慮せざるを得ない所以である。

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2011年04月12日(火) 町田 徹

遅くて、小さくて、貧しい補正予算
復旧・復興に必要なクレバーな秘策とは?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2427

 各地に壊滅的な被害をもたらした東日本大震災から1ヵ月という貴重な時間が過ぎ去った。にもかかわらず、政府・民主党の復旧・復興策作りは相変わらずの迷走を続けている。

  今回のケースを阪神淡路大震災と比較すると、当時の村山富市内閣が被災から42日間で1995年度補正予算の承認を国会で取り付けることに成功したのに対 して、菅直人内閣は端からハードルを下げて、補正予算案の提出目標を最短でも被災から48日目にあたる今月末に置いている。 

 しかも、 先週末の新聞各紙の報道によると、補正予算の規模は4兆円程度にとどまる見通しだ。これは、政府が公表しているインフラ、住宅、工場などの損害額(16兆 円~25兆円程度)を大きく下回る。残念だが、この調子では、復旧・復興策がToo late, Too small な内容に終わるのは確実だ。

 野党やマスコミを含めて、少しでも早く被災に苦しむ人々に必要な支援の手を差し伸べてほしいとの願いから、指導力不足が明らかだった菅政権に対する批判に手心を加えてきたことが仇となった感は否めない。

 新聞報道によると、ここにきて、政府・民主党は2011年度の補正予算規模を3兆9000億円から4兆円とする方針を固めた模様だ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2427?page=2

 主な歳出は、道路や港湾などのインフラ復旧のための公共事業に1兆5000億円、7万戸の仮設住宅の建設に5000億円、がれきの処理に3000 億円、被災者の雇用対策と自衛隊の活動費に3000億円、被害の大きかった自治体への交付に1000億円をそれぞれ充てる方向になっている。加えて、中小 企業向けの融資にも1兆円の資金を確保する案が有力という。

 一方、財源(歳入)は、基礎年金の国庫負担(2兆5000億円)を流用するほか、11年度予算の「経済危機対応・地域活性化予備費」(8100億円)を取り崩す方針だ。

  こうした補正予算や復旧・復興対策の策定過程に共通する問題は、編成するのかしないのか、規模をどのくらいにするのか、財源として何と何を使うのかといっ た基本的な方針を、菅政権として官僚たちになかなか示さなかったばかりか、示したかに見えた指示も曖昧で内容が二転三転したことである。

 ほとんど報じられていないが、こうした問題が原因になって、各省庁の官僚が、4月8日へ向けて準備していた復旧・復興策がいちとん挫した事実がある。

 というのは、官僚たちは、増税や国債増発といった財政措置が必要な大規模な補正予算案作りは困難と判断し、とりあえず2011年度当初予算に盛り込まれている予備費(8100億円)の活用を軸に復旧策作りを急いでいたのだ。

  ところが、この4月8日になって、菅首相は野田佳彦財務大臣と玄場光一郎国家戦略担当大臣(政調会長)を官邸に呼び、それまでとややニュアンスの異なる方 針を提示した。野党やマスコミからばら撒き批判を浴びるのを避けるために、国債増発や増税を盛り込まない点はそれまでと同じだったものの、少しでも規模を 大きく見せようとして、基礎年金の国庫負担分を維持するための予算(2兆5000億円)など使途が決まっている各省庁の当初予算を見直して財源を捻出する ことも追加的に指示したのだ。

 この結果、官僚たちのプランは前提が崩れてしまった。予備費だけをあて込んで、緊急性の非常に高いものに絞り込んだ準備を進めていた各省庁の復旧・復興策が水泡に帰してしまったのだ。

  細かいことを言えば、この幻の緊急策は、明日すぐに着手できるものだけを取り上げろという厄介な条件に基づいて、官僚たちが無駄とも思える労力を割いて作 成したものだった。がれき処理のために地方自治体を支援する予算を例に説明すると、必要と見込まれる総額の概算を要求することは許されず、周辺の道路が復 旧し、人員の手当てに目途が立っていて、明日から作業できるものに限定しろという前提になっていたのだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2427?page=3

 官僚の立場で言えば、がれきが大量に発生している場所のうち、周辺の道路の補修が終わり、作業員が確保できることを調査して、今後数ヵ月以内に対 策が必要であってもただちに作業を開始できない個所は除くという、手間のかかる作業だった。このため、各省庁の復旧・復興策作りの混乱は目を覆いたくなる ようなものだった。

 これらは、明確な方針が迅速に示されてさえいれば、避けられた混乱である。

 話を進めよう。

 菅政権が補正予算案など震災対策に伴う特別立法の提出期限の目標にしているのは、今月末だ。今月は29日から大型連休に突入するので、月末を28日のことと仮定すると、冒頭で記したように、被災から48日後の特別法案の提出ということになる。

  一方、阪神淡路大震災に直面した村山内閣は、被災からちょうど1ヵ月の1995年2月17日に住宅や家財の被災に伴う損失を住民税の雑損として控除を認め る「地方税法の一部改正案」や、阪神・淡路復興対策本部の設置を決める「復興の基本方針及び組織に関する法律」など5法案を閣議決定し、国会に提出した。

 翌週には、自治体に対する財政援助法や国債の増発を可能にする公債発行特例法案などの補正予算の5法案を提出し、2月中の成立に漕ぎ着けている。さらに3月27日までに6本の特別法案を矢継ぎ早に成立させている。こうした手際のよさは、菅政権にはみられない。

  東日本大震災は巨大な津波を伴い、阪神淡路大震災よりも被災の規模や範囲が深刻なうえ、今なお収束の展望が開けない福島原発事故を抱えている。そうしたこ とを根拠に、菅政権は、厄介さの次元が違うと釈明するかもしれない。しかし、各省庁にすれば、16年前の村山政権時代に阪神淡路大震災を経験しており、貴 重なノウハウをどっさり蓄積しているのだ。それらを迅速に活用できなかったのは、国民と日本にとって大変な損失である。何より、不自由な生活を強いられて いる被災者に申し訳がたたない話である。

 問題は、初動の混乱に伴うスピード感の欠如だけではない。今回の補正予算・復旧・復興対策には、規模が小さく、発想が貧しいという問題も付き纏う。

  内閣府は3月23日に公表した「(東日本大震災の)マクロ経済的影響の分析」の中で、今回、北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の1道6県で、社 会インフラ、住宅、民間企業の設備といったストックが受けた損害額が16兆円から25兆円に達したとの試算を公表している。筆者は、この試算の前提にやや 楽観的な部分がある気もするが、それはさておき、この政府自身の見積もりと比べても今回の4兆円という第1次補正予算案では規模が小さ過ぎて、遠からず復 興資金が不足するのは明らかだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2427?page=4

 第1弾で、今回のような欠陥補正を組んでしまった以上、第2次、第3次補正の速やかな編成は不可欠だ。その際、財政危機の最中とはいえ、国債増発や将来の増税を完全に避けて通るのは不可能だ。程度の差はあれ、そのことを否定できる人はいないと思われる。

 しかし、以前にも、このコラムで提言したように、そのすべてを財政で賄おうというのは、発想が貧し過ぎる。国を危うくする致命的な間違いといってもよいだろう。

  そこで強調したいのが、政府は、内外から民間投資を呼び込むことにも最大限の努力を行うべきだということである。大規模な事業所の新設・復旧に伴う法人住 民税の減免措置、派遣業法の弾力運用、ビザ見直しによる外国人労働者の呼び込み、子供の保育・教育施設の充実といった産業誘致・活性化策だけでなく、将来 の収益が見込めるガス、水道などの公益事業に資金を貸し付けるレベニューボンドの特別目的会社での発行の促進など国や地方の財源に負担をかけない施策もい くらでも作れるはずだ。

 統一地方選挙の予想を上回る惨敗によって、菅政権はレームダック化に拍車がかかるだろう。しかし、真摯でクレ バーな復旧・復興策を打ち出すことさえできれば、世論は味方をしてくれるはずである。政権の座に居座り続けるのならば、それぐらいの復旧・復興策を構築す る責務があるはずだ。

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2011年04月05日(火) 町田 徹

東電は「国有化」より、「メキシコ湾BP型ファンド」創設で速やかな対応を
菅総理に求められるスピード感と広い視野
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2378

 東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故を受けて、菅直人政権と東京電力が機能不全と思考停止に陥っている。特に目立つのは、スピード感の欠如と視野の狭さである。

 事態は急を要す。東電の株価は先週末に449円と、解散価値の半分以下に落ち込んだ。投資家たちが巨額賠償によって東電が破たんしかねないと懸念している証左である。

  対策として参考になるのが、昨年春、メキシコ湾で未曾有の原油流出事故を起こした英石油大手BPだ。BPは事故から56日間で、周辺住民ら3万2000人 以上に当面の生活補償として2億100万ドル(当時のレートで174億8700万円)を支払った。次いで、米政府の要求を呑み、中長期の損害賠償のための 200億ドル(同じく1兆7400億円)の基金を設置した。自ら十分な支払い能力があることを示して、事態の収拾の道を開いたのだ。

 首 相は、煮え切らない言葉や無責任な発言によって、東電の破綻懸念を煽るのを慎むべきだ。むしろ、東電に、長年、地域独占で貯め込んだストックを供出させ、 BP以上の事故対策ファンドの設置を迫る方が建設的である。そうすれば、速やかに避難者らへの当面の補償を開始できる。

 民間のカネをいかす視点の欠如は、復興策にも当てはまる。財源を国債増発や増税だけで賄おうとせず、視野を広げて内外から投資を呼び込まないと、日本は沈没しかねない。

地域独占で生まれた「巨額の資産」

 まず、東電にどれぐらいのストックがあるか紹介しよう

  2009年度(2010年3月期)の有価証券報告書によると、原子力発電事業に関連する積み立てとして固定負債の部に、使用済燃料再処理等引当金(1兆 2100億6000万円)、使用済燃料再処理等準備引当金(363億1200万円)、原子力発電施設解体引当金(5100億1000万円)が蓄積されてい る。資本の部にも、資本剰余金(191億2300万円)と利益剰余金(1兆8314億8700万円)の計上がある。ちなみに、東電の純資産は2兆5164 億7800万円、総資産は13兆2039億8700万円だ

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2378?page=2

 電気料金は長年、放置できない内外価格差があると指摘されながら、経済産業省が地域独占を容認してきた結果、東電はこれほどの分厚い資産を形成す ることができたのだ。中には、電気事業法(電気事業会計規則)に根拠があり、転用に株主だけでなく経済産業大臣の承認が必要なものもある。が、両者が今回 の事故に際し、異を唱えるとは思えない。

 筆者は、これらを原資として、ただちに、事故対策と補償を目的にした基金を設置させることを提案する。合計の金額は3兆6069億9200万円に達する。BPの2倍の規模の資金を捻出できる計算だ。

 もちろん、今回の補償・賠償がそれ以上に巨額になるのではないか、という疑問は残るだろう。

  よく引き合いされる1999年の核燃料加工会社JCOの臨界事故の影響は遥かに小規模だった。東海村から出た避難要請は半径350m圏内の住民に対するも ので、期間は2日と3時間半程度に過ぎなかった。茨城県が出した屋内退避勧告も10km 圏内が対象で、その期間は1日もなかった。原子力損害調査会によると、この事故で行われた賠償は約7000件、総額は150億円だ。

 福 島第1原発の事故は、避難指示区域の半径が3、10、20kmと、また屋内退避区域が3~10、20~30kmと段階的に拡大されてきた。期間も、最後に 屋内退避地域が20~30kmに広げられた3月15日から数えても、すでに3週間が経過した。政府も月単位の避難が必要な可能性を認めている。

 加えて、東北、関東ではホウレンソウなどの野菜や原乳から多量の放射性物質が検出され出荷制限が敷かれている。海洋汚染も確認されており、漁業補償が不可欠との観測にも現実味がある。総合すれば、原発事故の損害が数兆円規模になる可能性は否定できない。

関東大震災でさえ該当しない「但し書き」

 東電の賠償責任の範囲はどうなっているのだろうか。

  「原子力損害の賠償に関する法律」(原子力損害賠償法)第3条は、「原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、原子力事業者がその損害を賠償する責 めに任ずる。ただし、損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたときは、この限りでない」(抜粋)と、過失の有無に関係なく、原発業者、つ まり今回の場合は東電に賠償責任を集中させている。

 後段の但し書きにある「異常に巨大な天災地変」は、歴史上あまりみられない大地震などを指す。関東大震災でさえ該当せず、これを相当程度上回るものでないと当たらないと解釈されている。

 関連して、枝野幸男官房長官はすでに、東日本大震災は「異常に巨大な天災地変」に該当せず、東電が賠償責任を負うべきだとの趣旨の発言を繰り返している。菅首相も「基本的には(東電に)民間事業者として頑張ってほしい」と東電に下駄を預ける態度だ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2378?page=3

 押さえておくと、原子力損害賠償法は、損害保険への加入などを事業認可の条件としている。が、この保険の限度(原発の場合は1カ所につき1200 億円)は、賠償の上限ではない。この点で間違った情報が散見されるが、東電には無限の賠償責任がある。つまり、法的には、東電が総資産(13兆2039億 8700万円)のすべて注ぎ込んでも損害を賠償する義務があるのだ。

 そして、それでも賄いきれない事態を想定して国に賠償責任を課した のが、原子力損害賠償法の第16条である。「事業者に対し、損害を賠償するために必要な援助を行なう」としたうえで、その援助を「国会の議決により政府に 属させられた権限の範囲内において行なう」と定めている。

避難者や営農者、漁業者への速やかな補償が目的

 話を東電に戻そう。前述のように、国の負担を云々する以前に、東電には、機動的に利用可能な積立金だけでも3兆6000億円あまりの資金がある。

 まずは、ファンド化によって、資金・資力の存在を可視化して、自らの力で責任を全うする姿勢を明確にすべきである。

  そうすれば、銀行団の2兆円近い融資を「緊急融資」などとショッキングに報じる報道や、1年前に比べて8割を超す下落に見舞われた株価に動揺する株主、そ して債務不履行(デフォルト)のリスクに怯える東電債の保有者らは、ある程度、落ち着きを取り戻すことができるはずだ。この措置は、いたずらに東電の国有 化論や解体論を叫ぶより、よほど実践的と信じている。

 もちろん、経済的な不安心理の抑え込みだけが、この措置の目的ではない。むしろ、 このファンドを設置する最大の目的は、避難者や農家、漁師への補償を早急に開始することにある。そうした手を打つころで、避難を強いられている人たちの現 下の救い難い苦境を少しでも和らげることが急務なのだ。

 ちなみに、BPの場合、パートナー企業が多かったため、すべての賠償責任がBP1社に帰属しているかどうか争う余地があった。しかし、事態を深刻とみた米議会とオバマ政権は、毅然として圧力をかけ、事態の長期化を許さなかった。

  これに対して、東電の場合、端からそうした逃げ道はない。前述の原子力損害賠償法が、風評被害も含めて、相当の因果関係のある損害に対する賠償を、東電に 一元化しているからだ。当然、政府も怠慢を許してはならない。1日も早く機敏な対応を指導する責務があるのだ。これ以上、機能不全や思考停止に陥っている 猶予はない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2378?page=4

 これまでの政府・東電の対応はあまりにも遅過ぎる。事故そのものの対応に追われているとはいえ、賠償・補償問題では、ようやく先月30日になって、笹木竜三文部科学副大臣が「原子力損害賠償紛争審査会を4月中にも設置する」と表明した程度なのだ。

 こうした対応は、JCOの臨界事故を受けて、賠償の制度化やマニュアル化などを提言していた「原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会」の第1次報告書(2008年12月公表)の提言にも反する怠慢だ。

 とにかく、まずはこれまでの遅れを取り戻し、困っている避難者や農家、漁師への一時金支払いを迅速に行うため、政府・東京電力には視野を広げて迅速な措置を講じていただきたい。

 もし、万が一、避難指示や屋内退避勧告が何ヵ月にもわたって解除されず、ファンドの資金が不足する事態になれば、その時には改めて他の資産の換金手法などを検討すればよい。

  日本経団連加盟企業の中には奉加帳が回ってくるのではないかと危惧する声があるが、そんなものを回すぐらいならば、特別立法で関西電力、中部電力など東電 以外の全国8つの地域独占の電力会社や、電源開発(Jパワー)が積んでいる同じような趣旨の資産をプール制にして、今回の危機に供出して貰う手もあるだろ う。一気に資金量を数倍に膨らますことができる。

 責任を持って安定供給を果たす企業が現れれば、供給継続を条件に、発電設備や送電設備を売却する案も考えられる。管理・経営責任も明確にせず、あらゆる対策も講じないまま、血税をリスクにさらす解体論や国有化論を論じることは許されない。

タイミングを失った復興構想会議

 紙幅を費やしてしまったが、本コラムは週に1本しか公表できないので、本格的な復興のために、菅政権の視野の狭さにも苦言を呈しておきたい。

 まず問題なのは、首相の復旧、復興対策が、原発事故の賠償問題と同様に、スピード感を欠き、発想が硬直的になっていることだ。

 その結果、軸足が、新たな組織や会議作りばかりに偏り、肝心の施策の中身作りが遅れている。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2378?page=5

 例えば、1日。首相は、今月11日までに立ち上げたいという「復興構想会議」の話を記者会見の目玉に据えようとした。この会議が復旧・復興整備の第1弾で、青写真を描く役割を担わせるというのだ。

 しかし、すでに、この時点までに、被災から3週間という貴重な時間が過ぎ去った。青写真などとっくに完成しており、復旧・復興の実行段階に入っていなければならないタイミングを迎えているはずである。

 その一方で、急務の復旧関係の特別立法の策定作業が混乱を極めている。阪神淡路大震災の際は、震災から1ヵ月で16の特別法が国会に提出されたが、今回は土台となる基本法に何を盛り込むかさえ決まっていない。4月中の提出すら危ぶまれる。

  財源問題での指導力不足も深刻だ。首相は1日の会見で、「今年度の予算の一部凍結では十分ではないことは明らか」と認めながら、「復興構想会議や与野党の 協議で合意形成を図りたい」と自らリーダーシップを放棄し、具体策に言及しなかった。せめて、子ども手当の凍結など、民主党のマニフェストの修正ぐらいは 手をつけるべきだ。その程度のリーダーシップさえ発揮できないようでは、首相の職責はまっとうできない。

 半面、事務方では、「復旧復興特別税」という名の増税や、「震災国債」と名付ける国債の日銀引き受けなど、景気やマクロ経済の足を引っ張りかねないキワモノの論議が繰り広げられている。

 しかも、特別税の軸は所得税増税で、中高所得層に重い負担をかけるとされる。所得税の増税は、消費税増税より個人の消費意欲が減退させて、折から減速気味の日本経済の足を引っ張りかねない。

東北だけでなく西日本もにらみ一極集中の緩和を

 内 閣府は25日の月例経済報告にあわせて、東日本大震災の「マクロ経済的影響の分析」をまとめたが、それによると、北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、 千葉の1道6県で、社会インフラ、住宅、民間企業の設備といったストックが受けた被害は、16兆円から25兆円に達する。

 国の一般会計の当初予算規模は90兆円強で、このうち40兆円以上の財源は国債発行に依存している。かねて財政不安が指摘されてきた状況なのに、その財政に復旧・復興負担をすべて押し付けるのは財政破綻懸念を煽る愚策である。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2378?page=6

 むしろ、東北地方だけでなく、幅広く各地に、内外から民間投資を呼び込む施策を講じることが重要だ。被災した企業の設備の復旧を支援するだけでなく、従来は国や自治体が整備主体だった社会資本への民間投資の奨励や、新たな産業育成の視点が大切なのだ。

 具体策としては、地方財源である法人住民税を大規模事業所の誘致のために減免できるように国の財源を移譲することや、雇用規制の緩和、外国人労働者のビザ制度見直し、空港・港湾・金融・通信・学校などカネやヒトの受け入れに必要な社会インフラの充実が求められる。

 さらに言えば、こうした民間資本の呼び込みを主体とした経済活性化策は、中長期の電力不足が懸念される関東への経済の一極集中を是正するために、被災した東北地方だけでなく、西日本各地も対象に含めて全国的に行う覚悟が求められる。

 さもないと、日本経済の空洞化や地盤沈下、衰退が加速する事態を招きかねない。

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2011年03月29日(火) 町田 徹

国際社会をも震撼させた政府と東電の稚拙さは「国有化」では解決しない
事故対応が終われば、抜本改革が必要だ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2331

 国際社会はここへきて、菅直人政権と東京電力の福島第一原子力発電所の事故対応への懸念を強めている。

 欧米を中心に、多くの 国々がいち早く首都圏あるいは日本からの避難を自国民に促す動きをみせたことに続き、3月25日には、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が声明を発 表。改めて「日本の現況は国際的な緊急事態への対応と原発の安全管理体制の見直しを迫っている」と指摘し、日本と東電の対応の不備を浮かび上がらせた。

 さらに、米国がより踏み込んで政府と東電の事故対応に疑問を呈しており、原子炉に注入する水を海水から真水へ切り替える形で転換を迫ったことも明らかになっている。

 いずれの動きについても、底流には、深刻な事態を前にもたつき、機動的に有効な手を打てない政府と東電への苛立ちが横たわっていることは、日本国民として看過できない。

  これ以上の混乱を避けるため、当面の事故対策は両者に委ねる以外の選択肢はないと信じるが、それだけでは将来へ向けての経済の立て直しや、安全・安心な国 作りがままならないだろう。我々は、事態の収拾後を見据えて、今から政府や東電の国際社会などの評価をきちんと記録に留めておくべきだ。そして、今後の危 機管理や電力・原発行政を見直す礎にする必要がある。

基準の緩和へ動く菅政権へ国連から「牽制球」

  米国、英国、オーストラリア、ニュージランド、韓国が福島第一原発の半径80km圏内からの避難という、日本政府の対応を上回る措置を打ち出したほか、ド イツが東京と横浜からの退避を勧告。フランスやベルギーは自国民の出国に便宜を図るため軍用機を派遣する動きまで見せた。いずれも、東北関東大震災の発生 から4、5日しか経たない初動での動きだった。

 こうした避難の動きだけならば、幼い子供を抱えて慣れぬ外国で暮らす家族も少なくないことから、目くじらを立てるほどのことではないだろう。各国政府の通常の危機対応策の一環として鷹揚に眺めていることもできた。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2331?page=2

 しかし、福島第1原発事故が依然として終息に至らず、国際社会は危機感を募らせている。国連の潘事務総長は、傘下の国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長と同様に、繰り返し日本政府に積極的な情報開示や、いたずらな楽観論に基づく対応を諫めてきた。

 その潘事務総長が25日の声明で、各国に対し、日本の教訓を踏まえて、より革新的な安全管理体制を築くだけでなく、健康、食品供給、環境維持のため可能な限り高い基準を整備するように要求したことは衝撃的である。

 声明の内容は、日本の食品安全委員会が現行の国内基準を厳し過ぎるとして緩和する構えをみせているのと対照的であり、菅政権をけん制していると取れなくもない。

  また、米国はオバマ大統領が早くから「トモダチ作戦」を掲げて、再三にわたり日本への支援を惜しまない姿勢を鮮明にしていた。独自に取材したところ、実 は、米国は様々なレベルで、大統領の公式発言よりもさらに踏み込んで、積極的、かつ具体的に、広範な救援・復旧活動を打診していたという。

  それらの多彩な申し出を受けるのか受けないのか、肝心の日本政府は、なかなか回答せず、米側を苛立たせたとの証言があった。その原因は、普天間基地移転問 題で強まった米軍へのアレルギーを癒やすのに役立てたいという“下心”がミエミエと判断したからではないらしい。首相官邸が何でもかんでも抱え込んでしま い、権限委譲をしないため、それぞれの窓口で判断できない状況が続いたからだというのである。

 しかし、さすがの米国も、福島第1原発の 事故だけは、これ以上、放置できなかった。日本が、原発本来の冷却機能をなかなか回復できなかったからだ。事は急を要する。しかも、いつまでも不純物の多 い海水を注入し続けると、思わぬ2次災害が招きかねないと危機感を募らせて、まずは、早急に真水に切り替えることを政府・東電に迫ったという。

  その辺りの事情を公表したのは、25日に記者会見した北沢俊美防衛大臣だ。記者からの質問に答える形で「(背景に)腐食を防ぐため早く淡水に変更すべきだ という米側の非常に強い要請があった」と認めた。米側がオーストラリアから購入して日本に空輸したポンプや、1隻当たり1100トンの水を積めるバージ船 (はしけ)を使って近く注水の真水への切り替えを行うことにしたと内幕を明かしている。

 真水への切り替え問題について、北沢大臣はこの会見で、東電も同様の問題意識を持っていたと庇ってみせてはいる。だが、米側が痺れを切らすほど、政府や東電の対応がもたついていたことは否定できない。

「測定する装置を当社は持っていない」

 そして、先週後半、国連や米国でなくても、政府や東電の事故対応能力に首を傾げたくなるミスやお粗末な対応が立て続けに発生した。

  第1の問題は、24日に起きた。福島第一原発の3号機のタービン建屋の地下にできた水溜りが濃度の高い放射能で汚染されていることをきちんと連絡せず、下 請け会社や孫請け会社の作業員3人が被爆するという事故を起こしたのだ。現場でリスクを負う作業員を思いやらない、安全軽視も甚だしい事故である。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2331?page=3

 第2は、27日の騒動だ。2号機のタービン建屋で通常運転中の原子炉の水の1000万倍という高濃度のヨウ素134を検出したと午前中に発表し た。が、数時間後、この発表を取り消し、ヨウ素134ではなく、「コバルト56の可能性がある」と軌道修正。さらに、28日未明には「放射性物質はセシウ ム134など。濃度は10万倍だった」と二転三転するお粗末な情報公開を行ったのだ。

 しかも、この渦中で、1日4回の記者会見が重荷なので、2回に減らすと変更方針を表明。記者団から猛反発されて方針を撤回し、従来通り4回行うことにしたというのだ。

  第3は、やはり、27日に明らかになったこと。半減期が2万年以上のものもあり、漏えいした際の危険性が桁違いに高いプルトニウムによる土壌汚染の可能性 を問い質されて、おもむろに「測定する装置を当社は持っていない。測定していない以上は、絶対ないとは言えない」と答えたのだ。

 この答えは、東電が、実に被災から16日もの間、ろくに土壌汚染のリスクを調べずに放置してきたことを意味するものである。誠意の感じられない東電の情報開示姿勢にうんざりしていた記者たちでさえ、これには空いた口が塞がらなかった。

 列挙した3つの“事件”だけを見ても、菅政権や原子力安全・保安院(経済産業省)、東電に原発事故の対応や、原子力発電所の運転・監督などを行う能力も資格もないことは明らかだろう。言い換えれば、国際社会の厳しい視線は、正鵠を射ているのである。

いまだつながらない案内ダイヤル

 さらに首都圏に暮らす市民の立場から言えば、東電が28日からの実施方法の変更を打ち出した「計画停電」も、インフラの担い手としての東電の資質に疑問を投げかけるものに他ならない。

  東電は早々に、これまで5グループだった区割りを25に細分化し、「計画停電の対象をわかり易くした」と説明した。ところが、実際には区割りの詳細が実施 前日になっても発表されなかったのだ。加えて、利用者が問い合わせようにも、東電の案内ダイヤルが一向に繋がらない状況が放置されていた。

 ユーザーから見れば、今回の見直しでは、停電の実施がなかなか決まらない不都合がほとんど改善しない。みしろ、一段と複雑になり、不便さが増したとの印象が拭えない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2331?page=4

 岩手、宮城、福島、茨城など深刻な被害を受けた被災地の復旧へ向けて、首都圏の住民も痛みを分かち合うのは当然だが、いつ起きるかわからない1日3時間か6時間の細切れ停電が続くようでは、経済的打撃は増幅する一方である。

 製造業、流通業だけでなく、病院のような機関も含めて、たとえ停電が1日とか数日連続することになったとしても、あらかじめ決められたスケジュール通りに行われた方が対応し易いところが多いはずである。東電の見直しは独りよがりに過ぎないのではないだろうか。

  原発事故で放射線を広範囲に撒き散らして、各地で飲料水や農産物を汚染した半面で、計画停電も強行して大きな混乱を引き起こしておきながら、被災や渋滞が 原因で検針できなかった306万世帯に対し、一方的に2月分と同額の暫定料金の支払いを求める請求書を送付した東電に呆れた読者も少なくないだろう。

国有化による体制温存は看過できない

 歴史的に電力各社が相互乗り入れを嫌い、1社で発電・送電を完結して行うために、隣接地域からの電力融通の充実を拒んできたことは、よく知られた話である。

  そもそも、今どき、50Hzと60Hzという電気の周波数の違いによって使えない電気製品がいったいどれだけあるのか、疑問である。ところが、今なお、電 力融通の拡大努力を怠ったまま、今年夏以降の電力不足を避けるため、東電や経済産業省は計画停電に加えて、電気料金の引き上げによって需要を抑え込む計画 という。

 独りよがりはいい加減にしてほしい。電力の値上げは、一般企業の経営コストを押し上げるだけでなく、家計の負担を増して、経済の足を引っ張る行為に他ならない。

 こうしたインフラ事業者にあるまじき対応が相次ぐ背景にあるのは、長年、地域独占に胡坐をかき、利用者を軽視してきた企業ならではの経済社会における常識の欠如と、競争導入の努力を怠り、その地域独占を容認してきた電力行政の未熟さだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2331?page=5

 福島第1原発の事故処理に目途が付き次第、例えば、通信、鉄道、航空など競争導入の経験が豊富な当局を広く包含した公益事業省の創設などを念頭に置いて、抜本的な体制見直しを行うことが必要だ。

 株式市場では、売買をはやし立てるための材料として、東電の国有化論を唱える向きが少なからず存在するという。

 しかし、両者の体制維持や温存を前提とするのは、論外である。国有化による東電の存続支援など、国民の支持を得るとは思えない。

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