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2014年8月23日 (土)

辺見庸 (日録5)私事片々 2014/01/26〜と、(日録6) 雑談日記Archive

 辺見庸さんの(日録)私事片々の雑談日記Archiveを始めようと思ったメモなどはこちらで。辺見さんがよく言う「エベレスト」についてはこちらで

 以下、辺見庸ブログの(日録)私事片々をすべてアーカイブ保存しておきます。写真が多いので、2エントリーずつアップします(表示順は元ブログと同じく上から降順です)。

 

 以下、日録の6と5。

2014年02月08日
日録6

私事片々
 
2014/02/08〜2014/02/16 
http://yo-hemmi.net/article/387698228.html

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by Kobitt.JPG
(by Kobitto)

・The雪。アパートのドアをあけることもできなかった。ので、エベレストにのぼらなかった。過日、本ブログにまだ慣れていないらしいむきから、カフェ・ダフネとその客らに関し、ご質問があった。ダフネはほんとうに実在するのか。鼻や耳でナポリタンを食うひとがいるのか。おかしいではないか。鼻や耳でナポリタンを食うひとびとにたいし差別的ではないか。あなたの視界はゆがんでいるのではないか。カフェ・ダフネさんにたいし失礼ではないか。無可奉告(ウークーフォンカオ)。ノーコメント。だが、アホに税金をはらって首相をやらせ、エテ公に副首相をやらせて平気でいる神経にくらべれば、鼻でサナダムシ・ナポリタンをすすり食いするくらい不思議でもなんでもないでせう。カフェ・ダフネはむろん実在する。けふも雪のなか営業ひていますぃた。カフェ・ダフネはどこにでもある。わたすぃやあなたの脳内にもある。「すべては、人びとが権力について抱いている観念(幻想)しだいだ。知性が権力の前提だと考えるなら、権力に愚劣さがいつまでもつきまとう状況は説明できないだろう(もっとも、権力が知性を伴った、ごくまれな実例の場合でも、この種の知性は、たいていすぐに愚劣さに合流する)」。愚劣は権力の属性であり、公的特権でもある。と、『なぜ、すべてはすでに消滅しなかったのか』で、ボードリヤールは言った。同じ本でかれは、「今日では、正常者とは、じぶんの存在や行為について、一方的で肯定的な同意だけにもとづいて生きている者のことだ」という、かなりわかりやすい「正常者の定義」をしている。すなわち、首相と副首相をやっていただいているあのアホや老いぼれエテ公は、じゅうぶんに「正常者」なのであり、非正常者であるわたくすぃどもズィンミンを利用し、同化(バカ化)しつつ、ファシズムを円滑に運営しているのだ。ザ・ファシズムとはそういふことである。そして、ザ・ファシズムって、ときに土民的であり、土民的感性をとりこみもする。see、「タバコのポイ捨て」描写へのばかげた反発、愚劣な報道!ザ・ファシズム花ざかり。(2014/02/08)

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青い扉に見える、青くはない扉.JPG

・エベレスト冠雪のため登頂断念。犬をバッグにいれて、コビトとともに雪道をあるき投票所へ。途中、コビトと犬に、「背中に天使の羽をはやしたおじさん」に投票するようしつこくせまられる。ま、それでもいいっちゃいいのだけれども、なんとなく拒否。投票所は、暖かく静かで、みな親切で、視線がやわらかく、とても整然としていた。すでに20人ほどの良民の列があり、乱れもとどこおりもなく、おだやかな声と態度で受けつけをすませ、歩一歩、投票箱へとすすんでゆく。すばらしい秩序!強制も統制も威圧もなひ。武装警官も兵士もいなひ。銃剣なし。なにも問題なひ。ひとびとは自由意思でファシズムを選択しているだけ。なんてすばらすい民主主義。報道やCMがいふとおりに、季節感とスケジュール感をもち、みな同じような言葉でしゃべくり、テレビ番組がいうとおりに働き、笑ひ、泣き、うたひ、休養し、消費し、投票し、ことを荒だてず、多くのひとが好んでいるといわれているものを好み、多数者が憎んでいるといわれているものをともに憎み、原発事故をけろりと忘れ、NHKの宣伝どおりにオリンピックを楽しみ、「不幸のただなかにおける病的快感」に、みんなでいっしょに酔い、かつ麻痺し、日一日、歩一歩、刻一刻、うるわしい全体主義をじっくりと熟成させていこうではありませんか。選挙と民主主義の全体主義的ハーモニーよ!「主人を自由に選んでも、主人または奴隷がなくなるわけではない」のだ。だいいち、われわれは自由に選びも選ばれもしていない。「…とくに混乱期にあっては、市民たちは思考の働きを要求しない人物のほうに大挙してなびいてしまう」としたら、この国は一貫して混乱期ということになる。底がぬけ、たがの外れた樽を、ファシストどもが喜色満面で転がしている。図にのっている。(2014/02/09)

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錆びた鉄の柱の冷たさ.JPG

・かならずしも暴力と強制だけではなく、選挙もまたファシズムの公的認証取得の手段のひとつであったことは、 ナチの歴史をみるまでもない。言いかえれば、投票行動も全体主義の生成過程に、好むと好まざるとにかかわらず、吸いこまれていく。さめて俯瞰すれば、選挙はやってもやらなくても、最初から結果がわかっていることになる。投票前から情勢は有機的にダイナミックにつくられてゆく。世論調査という詐術。広がるいっぽうの「沈黙の螺旋」。壮大なる愚民化とその奨励。自己検閲と自己統制を強化しつつ「報道の自由」をマンキツする報道機関。その権力機関との合体、不可視の統合。いったい、個人がどのように生きることが、せめても、せめてもだ、内心の自由に合致するというのか。陸橋の下でぷかぷかとタバコをふかし、暑い日も寒い日もなんとか暮らしていたオババは、ほんとうに消えてしまったようだ。友人がしらべてくれた。もう死んでしまったのではないかという。なによりの証拠に「におい」がすっかりなくなってしまったらしい。もよりの交番にきいたら「そういうことには答えられません。すみません」と言われたという。たぶんオババは消された。清掃されたのだ。けふはエベレストにのぼらなかった。コビトが病院にいった。昨日、大道寺さんから手紙がとどいた。(2014/02/10)

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24階の窓からみた雪.JPG
(by Kobitto)

・記念すべきけふの佳き日、犬がソファでまるくなり、尻尾と後ろ片脚を立て気味にして、しきりにインブかコーモンをなめているのだ。目がわるひため、はっきりとはわからないひので、どちらか断定はできなひ。露骨にたずねるのも、いくら犬とはいへ、失礼といふものだ。だがすかすぃ、わたひは知っている。犬が自己のインブとコーモンを同時的あるひはインブからコーモンへ、コーモン部からインブ部へと、交互に気ままにチャンポンに、なめるといふことはまずありへなひ。なめる趣旨といふか目的がことなるから、インブはインブ、コーモンはコーモンと画然とわけているのであり、交互に気ままにチャンポンに同時並行的になめているとしたら、それは犬ではなく、ヒトなのである。いずれにせよ、わたすぃとひては犬に注意を喚起せざるをえなかったのである。「あなたさま、あなたさま、けふがなんの日かご存知でせうか?」。犬、股に深々と顔をはさんだまま、一心不乱にセルフ・リッキングを続行、わたひを見上げやうともせなんだ。で、力なく首をふりつつ、わたひは告げたとです。「あなたさま、あなたさま、けふは、ひこなぎさたけうがやふきおちんこあえずのみことの第4皇子、かんやまといわれびこのすめはめまらのみこと、すなはち、神武天皇ご即位の、おめでたひ日なのですよ。そのやうなかっこうはつつしんだほうがよろすいのではないでせうか…」。犬やっと顔をあげ舌なめずりしながら「えっ、それなんでっかぁ?」といったん問うてくれはしたものの、再びアルマジロのやうに、おのが顔を股に埋ずめてインブまたはコーモンをなめはじめたのであった。なんというからだの柔らかさであらうか。すかすぃ、ヒト♀がこれをわたすぃの眼前にてやらかしたら、交際をひかえるほかなからう、とおもふ。これに関連する事項をひとつおもひだした。わたすぃが昔、客員でおすえていたバカダ大学のゼミ生がある日こっそりとあかしてくれた。かれの友人に、じぶんで毎日、自己の×××ンをなめている、からだのとても柔らかひ男がいる、ずぃぶんでやるのだから、お金がかからないのでうらやましくてしかたないのだ、と。「センセ、そういうの、英語でなんていうか知ってますか?」。わたひ「知ってるわけねえだろ、アホ」。かれ「‘ジ(自?)フェラ'っていうんですよ」。わたすぃ「…」。以上です。いやさか、です。バッド(下向き矢印)エベレストにのぼらなかった。ミスドにいった。(2014/02/11)

620140211 ←↑SOBA:最後のセンテンス中、「バッド(下向き矢印)」は画像タグのalt「<img src="辺見ブログの画像URL" alt="バッド(下向き矢印)">」部分がテキストコピペで表示されたもの。

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地割れのような樹肌.JPG

・いま、布施辰治について、学校で生徒に教えている先生が、日本にひとりでもいるだろうか。教員で布施を知るひとは、わたしの故郷でも、もう少なかろう。死刑を「国家によるテロである」と言いきり、早くから死刑廃止を主張したのは布施辰治(1880〜1953)であり、死刑廃止運動の先人のひとりだ。このひとにわたしは若いころから特別の感情をもちつづけてきた。最近、布施辰治のことをしきりにかんがえる。なぜかというと、死刑問題もさることながら、韓国・朝鮮にたいする、ただただ愚かとしかいえない蔑視と憎悪の感情が近年また頭をもたげてきているからだ。布施はあの植民地支配下、しかも治安維持法下、もっとも献身的に、危険をかえりみず、無権利状態のコリアンの救済・救援活動をおこなってきた希有の弁護士であった。かれは宮城県牡鹿郡蛇田村(現在は石巻市)の農家に生まれた。蛇田には若いころわたしも行ったことがある。絵に描いたような寒村だった。蛇田を現地では「へぴた」という。昔、新宿ゴールデン街にその「へぴた」出身のホステス、というよりとても貧しい老女がいて、店には零時をたっぷりすぎてから厚化粧で登場した。その時刻には客がみな酔っぱらっていて、妖怪のような顔でもごまかせるのだ、と本人が石巻弁で言っていた。彼女、まだ生きているだろうか。大震災—石巻—おびただしい死—蛇田出身の老ホステス—布施辰治—韓国・朝鮮蔑視再現…について茫々とおもう。布施は、1923年(大正12年)に、ほとんどの日本人が朝鮮半島併合を「当然」と手放しでよろこんでいたなかで、「日韓の併合は、どんなに美名で飾って居ても、裏面の実際は、資本主義的帝国主義の侵略であったと思う」と書く。関東大震災のさいの朝鮮人虐殺事件では、はげしい抗議行動、虐殺事件の真相調査活動をおこなったじつに数少ない日本人のひとりだった。「大逆事件」では朴烈・金子文子を弁護、当局による事件のでっちあげを立証しようとつとめており、1933年に治安維持法で逮捕されている。そうそう、布施は獄中で「自殺」したとされる文子の遺骨をひきとり、朝鮮の朴烈家の墓地に埋葬してもいるのだ。布施にかんし、わたしは学生のころ、昭和天皇への評価(戦争責任)などをめぐってやや違和感をもっていたが、いまとなっては、まさに惨憺たる、恥ずべきいまとなっては、その気骨に頭がさがる。同郷意識など、たいていはくだらぬものだ。つまらない。しかし、布施辰治の反骨には同郷人としても親しみをもつ。布施の他、江渡狄嶺(えとてきれい、1880〜1944)も注目すべき人物である。なによりも、大震災時に命がけで朝鮮人学生3人を高井戸の自宅に3か月かくまいつづけたこと。関東大震災では6000人以上の朝鮮人が日本官民の暴徒に虐殺されているのであり、朝鮮人を自宅にかくまっているのがわかれば、日本人も殺害の対象となりかねなかった。それほどの狂奔ぶりだったのだ。学ぶべきである。安倍はその歴史的事実をも塗りかえるというのか。時代はひどかった。ひどかった時代に、しかし、まったく少数ながら、時流に乗るのを断乎拒んだ「例外的個人」もいたことは、記憶の宝物というほかない。見わたすかぎり心が根腐れたひとの群れにあって、いま、 どうやってじぶんの居場所をさがすか。布施辰治、江渡狄嶺の生き方は思考と行動の参考になる。8月2日の宮城県講演ではそのことも話そうかとおもっている。きょうはエベレストにのぼらなかった。悪法中の悪法、秘密保護法がもちだされたとき、ろくな抵抗もしなかった新聞が、オリンピックで日本人がメダルをとったからといって号外をだした。「未開」とはこういうことをいう。(2014/02/12)

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なんだかわからない写真.JPG

・歯医者に行った。麻酔1本できかず追加麻酔もう1本。顔がフランシス・ベーコンの絵みたいに、はげしくデフォルメされる。帰宅したら犬にじっと顔および口もとをみつめられた。看護師だか歯科助手だかが「ズッカー・ベイビー」みたいだった。つけまつげが鉛筆がのるくらい長かった。エベレストにのぼらなかった。(2014/02/13)

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青い窓の電車.JPG

・昨日、歯医者の待合室で、元「従軍慰安婦」たちのことを思いだしたことを、けふ、また思いだした。1990年代前半、真冬のソウルやテグ。3人の老婦人としばらくつきあった。あの経験がなかったら、わたしはいまのように「従軍慰安婦」にかんする発言につよく憤ってはいなかったにちがいない。わたしはかのじょたちにいまでも感謝している。戦争はどれも汚い。日本の戦争にはとくに、独特の穢さ、醜さがある。潔くない。戦争が終わっても、まったくケジメがない。けちくさい。人間を人間ともおもっていない。天皇制にゆらいするものが、そこここにある(布施辰治もその点はあまかった)。相当に卑劣である。兵士がみな汚いのではない。政府である。政府は戦前も戦中も戦後も、徹頭徹尾、卑怯で汚い。人間の「からだ」というものをどこまでも無視している。バカにしている。権力もマスコミも、人間のからだと記憶への関心が、おどろくほどうすい。雪。悪いものが、しきりに兆している。もっともっと悪くなるだろう。エベレストにのぼらなかった。(2014/02/14)

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鉄路のなかの自己位置確定装置.JPG

・たぶん、上りの奥羽本線の列車のなかから、写真つきのメールがきた。写真は、車内から撮ったのであろう、雪をかぶった2本の黒いレールだけであった。だが、降りしきる雪のなかでこれが撮られたとばかりおもいこみ、ドキドキした。ひとつとせ。メールの主は自殺をかんがえたか、かんがえ終えたか、まだかんがえているのだろう。生きてください。と言うのは10分の1ほどそらぞらしい。どうぞ、おやんなさいよ。そう言うのも、チラリと誘惑にかられるけれども、ま、言わずに呑みこむ。ふたつとせ。どのみちいつかやるのではないか。エベレストにのぼることができなかった。(2014/02/15)

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青いプラットフォーム.JPG

・みっつとせ。〈この世は、それでも、生きる価値がある〉と言ってやってくださいよ。そんな意味のことを過日(ま、やんわりとですがね)求められたことがある。なんか、すこしむっとしたが黙っていた。よっつとせ。どこのだれにそんなことを言う資格がありますかいな。言ったことはまだないけれども、もし言うとしたら、(聞こえるか聞こえないかの小声でね)どっちにせよ、うまくいくといいね…、だ。けふ、ダフネに行く途中、雪道で転んだ。3分間、ふてくされ、あおむいて空をみていた。長靴をはいた若い女性が雪をこいで近づいてきて「手伝いましょうか?」と手を差しのべてくる。マリア様。右手ではなく、左手を。おっ、知ってるのか。小さい手につかまる。1回失敗、尻もち。2度目に成功。どうもどうも、ありがとうございます。いえ、いいんですよ、いいんですよ。いつつとせ。だから〈この世は、それでも、生きる価値がある〉んじゃないよ。生きる価値も死ぬ価値も、なんだかわからないから、むっつとせ、ダフネにむかう。雪の進軍。15分かかりました。足、びしょ濡れ。ダフネ休み。ナポリタン食えず。おもいだす。声。手伝いましょうか?死ぬのを。ミスドの気分でなく、雪道風ヨイヨイあるきで床屋へ。散髪&シャンプー。気分晴れず。エベレストはけふも回避。ななつとせ。(2014/02/16)

 

2014年01月23日
日録5

私事片々
 
2014/01/26〜 
http://yo-hemmi.net/article/386189873.html

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2014年1月26日にオンブルヴェールの窓から見た雨の2.JPG
Photography by M.Kobitto

・籾井勝人という男の、いわゆる「従軍慰安婦」問題発言にからみ、もっとも悲しむべき、そして衝撃的でもあったシーンは、籾井の発言内容以上に、NHKおよびいくつかのマスメディアが、これを知っていながらまったく報じなかったという「空白」にあることは、あらゆる見地から疑いを入れない。これは「ブラックアウト」(blackout=報道管制、放送中止)にまったく等しい。また、「NHK受信料は支払わなくてもよい」という思想をNHKみずからが正当化したのとおなじことである。発言が取り消されたから報じなかったというのでは、小学生の理屈にもおよばず、もうまともな報道機関とはいえない。メディアの病巣の拡大と転移・再転移、病症の深まりは、生体細胞ぜんたいの静やかな石化のプロセスに似る。あるいは石淋だらけのからだ。この社会はいま、生きかつ微笑みながら、緩慢に死につつある。巨大メディアの「安倍機関化」がすすんでいる。日刊安倍新聞、安倍放送局、安倍チャンネルがさかんに自己増殖中だ。毎日が画時代的シーンに満ちあふれている。なんという壮大な反動だろう!なんということだ、と叫びたい衝動にかられるのは、だが、状況そのものに理由があるというより、怒る神経と血管が目詰まりし、ついに石化してしまった人間たちが社会の絶対的マジョリティになっており、かつてよりますます「個人」がいなくなった、個人が絶滅しかかっているからだ。「かつては歴史から学ばぬ者は歴史を再体験しなくてはならなかった。しかしそれは、権力の座にある者たちが、歴史は生起しなかった、あるいは自分たちの目的にもっともかなう形でしか生起しなかったのだ、と自分たちを含む全員を納得させてしまう手段を発見する前までのことである。いや、権力者にとってもっともよいのは、1時間の娯楽のために急造された質の悪いドキュメンタリー番組を除けば、歴史など何の意味もないのだ、と万人を納得させることだろう」(高橋和久・訳)。トマス・ピンチョンが『1984年』の解説としてしたためた文章は、まるで、2014年の日本のために書いたようである。安倍らゴロツキたちは、いままさに「歴史になどなんの意味もないのだ」と身をもって‘証明'しつつある。安倍ゴロツキ集団を倒すにはいましばらくの時間がかかるだろう。しかし、籾井という反社会的人物をすぐにでもNHK会長職から引きずりおろせないようでは、憲法改悪を阻止するのはとうてい無理というものだ。けふはコビト、犬とLSV経由、オンブル・ヴェールに行った。にわか雨を店内からみた。エベレストにはのぼらなかった。『塀の中のジュリアス・シーザー』をみた。(2014/01/26)

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北里病院にいった日に撮った電車のつり革.JPG

・エベレストにのぼった。(2014/01/27)

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2014年1月28日に乗った電車のつり革.JPG

・電車ー病院ー電車ーFLGW駅ーマルホランドDR.ーエベレストー登頂成功。(2014/01/28)

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2014年1月28日に見た赤い自動販売機.JPG

世界に誇るわが国の安倍首相は28日の衆院代表質問で、「立憲主義と平和主義を軽んじ、格差と貧困を放置する人が、私をふくめてこの場に存在するわけがない」と、立憲主義と平和主義を土足で平気でふみにじり、格差と貧困を拡大してへともおもわぬゴロツキ議員どもにむかって演説した。これは梅毒第3期にみられる症状に酷似する。主として神経系がおかされた状態で、神経梅毒、脳梅ともいうらしい。安倍のような男を、米語ではディップシット(dipshit)と呼んだりする。意味は【名】〈米俗・卑〉ばか者、愚か者、あほ、どあほ、あほんだら、間抜け、じぶんを利口と錯覚しているばか【形】〈米俗・卑〉ばかな、愚かな、頭の弱い、間抜けな、くそったれの、能なしの、エテ公にも劣る…である。日本のマスコミも同上。政、官、民に蔓延する第三期症状。ゾッとする。籾井のデタラメ発言で怒り心頭に発した友人が「空しさをこらえ」NHKに電話で抗議した。空しさをこらえにこらえて、ひとり声をはっすることが、いまいかにむずかしいか。むずかしいがゆえに、いかに大事か。安倍はこうも言った。「新会長をはじめNHK職員のみなさんは、いかなる政治的な圧力にも屈することなく中立、公平な放送をつづけてほしい」。愚弄を愚弄ともおもっていないらしい。これがブラックジョークでなければ、やはり第3期症状である。おそらくこの国はファシズム第3期に入った。空しさをこらえ、声を荒げることもやむをえない。▼けふ、歯医者に行った。歯痛なおらず。帰り、エベレストにのぼった。▼きのふ、ホテルのソファに座っていたら、じぶんの右腰のあたりに、棒のようなひょろ長いものが1本あり、怖気だった。よくみると、なんとわたしの右手だった。うちのめされる。(2014/01/29)

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2014年1月に見て撮影した鉄のような樹影の.JPG

・けふもエベレストにのぼった。歯痛か歯肉炎かがつづいている。歯医者はよくわからないという。わたすぃもわからないのだ。痛くて、原因がわからないからきたのに、この態度だ。レントゲン撮りましょうね。撮った。見ろという。モヤッとした夜更けのドブのような、はっきりしないものが映っている。これがおれの歯か。口か。感嘆。いろんなもんを噛みしゃぶり食ってきた口腔であるのであるのだよなぁ。自称医者は、どうもわからなひという。おまえがニセ歯医者か本物かを問題にしているのではなひ。そんなもん、かんしんなひ。痛みがとれるかどうかがすぃりたいのだが…と口ごもる。自称歯医者はムッとしたのか、一国の総理大臣をつかまえて「ノーバイ」呼ばわりは、あんさん、いくらなんでもあきまへんな…と呟きつつ首をふりふり、ハメマラ、ハマメラ、ハメラマラ…と、なにやら低く唱えてから、ロキソニンと口内炎の薬を処方する。やっぱりわたひにふくむところがあったのだ。なんてこった、ここまで手がまわっているなんて。にしたって、ロキソニンと口内炎の薬を処方するくらいアホでもできるやないけ。しかたがなひ。駅まへのコーコツ薬局へ。すると、耳鼻科とまちがえて入ってきたらしいジイさんが、ここは薬局で飯村耳鼻咽喉科はあっち、と説明されている。そのうちジイさんの行きたいところがじつは飯村耳鼻咽喉科ではなく、どうも自宅らしいということになり、中年の女性薬局員がジイさんの意向を最初からていねいに聞きなおしている。その笑顔、その忍耐力、わざとらしさを99.99パーセント隠した誠実このうえないボケ対応!わたくすぃ、感動し、なにか自己反省のやうな気持ちが胸にわくのだが、いや、なんだかそれもちがうぜ、セニョール、とおもったとき、ジイさん自動ドアからでていく。ジイさん、ぅわたひとすれちがいざま、だみ声で「オクニヲネ、アイシナサイヨ…」みたいなことを耳うちするではないか。ワニのよふに腥い口臭。やっぱりさうか。さうなのだ。総理大事からNHK会長まで、ヤブ医者からボケ老人まで、満遍なくこうなってしもうたのだ。ぅわたくすぃは鉛の玉をのみこんだやうなおもひで「は、はひっ!」とまちがへて反射してしまひ、だが、すぐにおもひなおしてジジイを追いかけ「ボケ、クソして寝ろ!」と公式に答弁したら、ジイさん「イイムラジビインコウカ…どこ?」と、そらっとぼける。負けだ。負けです。I am a complete dipshit.ロキソニンと口内炎の薬をもって西口のミスドへ。肉ソバ、カスタードクリームパン、コーヒーをたのむ。店員がはじけるやうな笑顔でハキハキ返事する。ワタヒハ、ミギテガワルヒノデ…ぜんぶを言いおわらぬうちに、「お席までおもちしますね、おっちゃん」と期待どおりのレスポンス。「オリンピック・パラリンピック」的自動叙述式偽善教育。クソ安い時給。クソッタレ・オリパラ・コンプライアンス。コンプライアンス室だとよ。店員になにも罪はなひ。「労働者はかれが富をより多く生産すればするほど、かれの生産力の力と範囲とがより増大すればするほど、それだけますます貧しくなる。労働者は商品をより多くつくればつくるほど、それだけますますかれはより安価な商品となる」。復唱。「労働者はかれが富をより多く生産すればするほど、かれの生産力の力と範囲とがより増大すればするほど、それだけますます貧しくなる。労働者は商品をより多くつくればつくるほど、それだけますますかれはより安価な商品となる」。プロールしかり。ヨミウリ、サンケー、NHK。戦争は平和。自由は屈従。無知は力。正義は2枚舌。政府はゴロツキ、連合ウソツキ・裏切り者。オリンピック・パラリンピック・NHK。むこうの席から民生委員こと愛情省の特別監視工作員オオタニさんがわたすぃをチラチラみてウインクしている。どうじに膝をパッカーンとひらいて勝負パンツをみせやうとひている。ババア、みたかねえんだよ。意味がわかんねえんだよ。ヤブ医者のレントゲン写真とおんなじだ。いったい、なにをやりたいんだよ?意味不明。未来皆目不明。LSVに行く。雨が降ってくる。豚のように太ったポメラニアンがよたよたあるいてくる。わたひ、じっとブタポメをみつめる。飼い主がわたひに問ふ。「なにか、もんだひなど、ございまひて?」。ぅわたすぃ答ふ。「いいへ、なんも、もんだひござりまへん。サイコーです!」。うう、歯がいてえ。(2014/01/30)

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・籾井某のNHK(ニッポン・ハズカシ・キョウカイ)やナベツネの私物ヨミウリ、ウルトラ極右サンケーなどによると、天皇、皇后が皇居・宮内庁病院や東大病院でうけた定例の健康診断の結果、とくに異常はみとめられず「おおむねお健やかな状態」であることが明らかになった。いやさか、いやさか、いやさかさっさ。これ、すかすぃ、どこがニュースなんだろ?老いたる貧しき民草の多くは「おおむねクタバリそうな状態」なんだぞ。孤独死、餓死、老老介護のすえの悲痛きわまる無理心中を知らんのか。さらにまた、天皇、皇后は昨年式年遷宮がおこなわれた伊勢神宮参拝のため、3月下旬に三重県を訪問するとか。参拝は(税金を費やすも、なぜか)「私的」なもので、皇位とともに伝わる「三種の神器」のうち、剣璽(剣とまがたま)がいっしょに運ばれ、天皇、皇后は、もう一つの神器、八咫鏡(やたのかがみ)をご神体とする伊勢神宮の内宮と外宮を拝礼するんだとさ。どどど、どぼじで、どぼじで、どぼじでなの?天皇じしんが、どぼじでも、やりたいのじゃなくて、政権が強いてやらせているのだろう。剣璽が皇居の外にでるのは、前回の式年遷宮後の参拝以来20年ぶりだって。剣璽は戦前まで、天皇が1泊以上の旅行をするときに必ず携行したが、敗戦翌年の1946年に、主として警備上の理由からとりやめたのだ。おい、居直りヤクザ籾井よ、ナベツネよ、あんときゃ、昭和天皇の戦争責任を問う声、天皇制反対の声が少なくなかったから、とてもじゃないが、ヤバくてやれんかったのだ、となぜ事実を報道せんのか。つまり、日本はいま、「新しい戦前」にもどりましたってことだ。秘密保護法OKの籾井、元日本共産党東大細胞にして完全右転向のナベツネよ、答えろ。▼昨夜、テレビでたまたま国亡大臣・小野寺の顔をみた。なんたる凶相!昏い目と涙袋のあたりにグチャグチャと錯綜する皺の、いわく言いがたい剣呑、狭量、小物ぶり。ひらたく申し述べれば、相手かまわず、ところかまわず、ひとりで勝手にイッちゃってる、テンパっちゃてる、意味のわかんない顔。気分はセンソー。トツゲキー!こいつらに未来をたくすわけにはいかない。▼エベレストにのぼった。犬はいやがってのぼらなかった。犬はエベレストを嫌っている。なにかがエベレストに埋まっているからかもしれない。ダフネに行く。ナポリタンたのむ。歯痛なおらず。ナポリタンをあらかた噛まずに呑む。(2014/01/31)

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2014年1月下旬にLSVで撮った石の樹肌.JPG

とくになし。エベレストにはのぼった。(2014/02/01)

とくになひです。エベレストにのぼった。歯と口が痛ひ。(2014/02/02)

・とくにございません。エベレストに2度のぼった。NHKの経営委員会って、どのような手続きで、いったいだれが決めたのか。きわめて悪質、病的。かれらはわれわれをなんら代表しない。開いた口がふさがらない。ひとびとの力で今後これを解体できないようでは、憲法9条を保持するなどとうてい困難だ。9条はひとりびとり、からだをはってまもり、実践しなければならない。(2014/02/03)

・4月26日の講演ポスターをブログでアップした。かったるくても、しんどくても、こっぱずかしくても、やらざるをえない。やらざるをえないのだ。安倍は衆院予算委員会で、憲法96条を「改正すべきだとおもっている」と明言し、国会議員による発議の要件を現在の3分の2以上から過半数にゆるめることにあらためてつよい意欲をみせた。安倍一派は予想どおりのコースを爆走している。いよいよである。96条改定を許してはならない。そのために、ひとりがせめてひと声でもあげなければならない。歯と口が痛ひ。犬だけがつとめて明るく暮らしている。ときどき呆れたように、まるで赤の他人でも見るように、わたすぃを黙って冷たく眺めていたりする。素直なふりをしていて、一瞬、狡そうな目になるときもある。いまは疲れた老女の顔をして、コビトがくるのをじっと待っている。雨、みぞれ、吹雪。エベレストにはのぼらないだろう。(2014/02/04)
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2014年2月4日にエベレスト近くで溶けのこった雪.JPG

・エベレストにのぼった。溶けのこった雪があった。ヤマモミジの枝が眼鏡のフレームの内側に入ってこようとする。ほんとうにしつこい。ダフネに行く。ビールマンスピンのマキちゃんにナポリタンをたのむ。コーヒーが値上がりしたという。先客もナポリタンをすすっていた。口で食っているのではなく、もっぱら鼻ですすりあげている。マキちゃんによると、いつもああやって食うというか、鼻ですすっているのだという。片方だけでなく両方の鼻の穴でナポリタンを吸いあげている。座高のえらい高い男。身長185センチはあるだらう。首から聴診器をぶらさげている。聴診器や鼻からたれた2本のパスタのために、顔が管だらけにみえる。くわえて、鼻にどんどん吸いあげられてゆくピーマン、ベーコン、タマネギ。鼻すすり食い。男はそうしながら、下半身をおろそかにしているわけではなく、はげしく貧乏ゆすりをしている。ナポリタンのためにつかわれていない口はブツブツとなにごとかつぶやいている。やつは医者なのかと問うと、マキちゃんは「しんなーい」といかにも興味なさげに言いすてて、イナバウアーをしながらカウンターにもどっていった。(2014/02/05)

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ノアールの壺について.JPG

・安倍一派がやりたい放題をしはじめている。アラート!かれらは憲法など歯牙にもかけていない。戦後政治史上、例を見ない最悪の事態がきた。各人、どんなに微力でも、各人の方法で、この反動に立ち向かわなければならない。わたしはわたしにできることをする。この夏に宮城県で講演することを、からだがもつかどうかわからないけれども、昨夜OKした。4.26のつぎは8.2だ。(2014/02/06)

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2014 年2月6日に撮った足下のシグナル.JPG

・藤崎孝敏の描く裸婦をみていると、荒れた心がしずまる。裸婦でなくてもいい。静物でも街でも橋でもよい。すべては夜更けである。すべては剥きだされて、闇にとっぷりと沈んでいる。「ピガールの裸婦」。肩口が宵に融けている。いつも手もとに置く。今日も開いた。3軒目の歯科医院。やっとまともそうな医師。説明をはじめて納得できた。コビト、犬とミスドにいく。男たち3、4人がわたしをジロジロ見ていた、おかしい、とコビトが言う。近ごろはみんなぺろりとした顔をしているので、だれが公安かだれがウヨクかだれがニューハーフか、わたしには見わけがつかない。昔は公安は公安の顔をしていたものだが。エベレストにのぼるのを忘れた。(2014/02/06)

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・「賃労働制度とはひとつの奴隷制度であり、しかも労働者の受ける支払いがよいかわるいかにかかわりなく、労働の社会的生産諸力の発展につれて、ますます過酷なものになってゆく奴隷制度であるということ、これである」。ダフネにいく。ナポリタンをたのむ。両の耳の穴からパスタをぶらさげている客がいた。なぜ耳の穴からナポリタンの麺をぶらさげているのか。どぼじでか。マキちゃんに問うた。マキちゃんはビールマンスピンをしながら、「しんない…」と言った。マキちゃんの時給は780円である。エベレストにのぼった。オババの姿が見えないという。陸橋のたもとにあった所持品もすべて消えているらしい。オババは避寒のため移動しただけか、ほんとうに消えたのか。(2014/02/07)

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