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2017年1月25日 (水)

辺見庸 (01/07)日録 私事片々 2017/01/07~から全保存 雑談日記Archive

 今日夕方6時過ぎ、私事片々(2017/01/25)をアップした後、削除されたので今までと同様保存しておきます。

 なお、辺見庸さんの(日録)私事片々の雑談日記Archiveを始めようと思ったメモなどはこちらで。辺見さんがよく言う「エベレスト」についてはこちらで

 以下、辺見庸ブログの(日録)私事片々をすべてアーカイブ保存しておきます。今回は1エントリー。

追記(2017/01/31):昨日、新宿紀伊国屋での講演会Podcast。そして2017年3月12日 こころの時代←頁内ジャンプ。

 

2017年01月07日
日録
http://yo-hemmi.net/article/445683833.html

私事片々
2017/01/07~

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クレーン.jpg 2017年01月07日

1/30新宿講演について

やっとエベレストの麓までいくも、めまいと右半身硬直で、どうしてものぼれず。断念。マックまでのたった、たった50メートルほどの道をあるくのに1時間もかかった。汗みずく。クソ、冗談じゃない。たのむから、ふざけないでくれ。が、げんじつ。ダブルチーズバーガーとカプチーノ。バイトの店員がおびえた顔になった。ひきつっている。こちらもむこうも。ひきつっていながら、たがいにひきつっていないふりをする。マックは総選挙中だった。

旧年末から年明けにかけて、ろくなことがなかった。いまさらいきりたつ気もしない。いきさつをかたる気もおきない。なにかにはめられたのか。だとしたら、みすみすはめられたこちらがわるい。バカ。マヌケ。油断だ。イライラしつつ、ヘラヘラしゃべってしまったこちらの、いわば前頭側頭型的な錯乱。めまいのなかで、1月30日の講演(新宿・紀伊國屋ホール)を意識しはじめている。平日も平日、月曜日の夕食時間に講演開始という気のきかなさをおわびする。それしか会場をおさえられなかったらしい。

にもかかわらず、たくさんの友人たちがきてくれることになった。海外からも九州からも北海道からも。たぶん、みんなしんどいのだ。ただ存在するだけでくるしい。もうほとんどすべてのことに、ほとほとうんざりしている。そうでなければ、1月30日の夕なんかに遠くから講演にきてくれるわけがない。こちらもかなりくるしい。それはかくさない。かくしようもない。からだが芯から疲れている。心も相当、萎えている。干からびたクラゲだ。

友人たちも、みんな各人各様に疲れきっている。いまの風景にあきれ、怒る以前に、はげしく困惑している。ほぼかんぜんにあきらめながら、しかし、さがすともなくさがしている。おぼろにたわんだ視線のかなた、ノイズがあふれる耳朶の奥に、なにかをもとめている。無意識に手さぐりしている。わかる。おそらく、それは手垢のついた「希望」なんかではない。気味がわるくなるほど快活な声でかたられる生きるよろこびであるわけもない。想像するに、それは、絶望のあかしではないか。切実な、絶望の、あかし。

絶望のあかしに触れえて、そこではじめて、ひょっとしたら反転するかもしれない契機――とやらを、一応かんがえてはいる。しかし、もうだめ。もうだめだ……。友のひとりが昨夜、連絡してきた。もうだめだ……。別居中の母親が徘徊し行方不明。父は入院中。歩行困難。母は寒い夜の底でおぼれている。もがいている。疲れたよ。もうだめだ……。もうだめなのだ、ほんとうは。それが1/30の通奏テーマ。まだだいじょうぶ、ではない。終わりの論証。絶えざる終わりの証明。夜ふけに徘徊する母の目玉を、眼窩にうめこむ。なにが見えるか。
(2017/01/07)

SOBA:↑辺見さんが上記言及している新宿紀伊国屋での講演会Podcast

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ヘリ.JPG 2013年11月05日

マルクスは死んだ犬か?

やはりマックまで1時間かかった。途中、決死のかくごで、エベレストに挑戦。なんとか登頂。下山後また歩行困難。こきざみにすすむ。カフェラテとビッグマック。マックは奇妙な工場かフルオートメーションの畜産場だな。帰りは10分とかからずにあるけた。なぜかはわからない。ちゃんとあるけるようになりたい。それは、けれども、至上の課題じゃない。帰ったら、Sさんからメール。

「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」とあった。このいい方がすきだ。とんでもない。マルクスもレーニンも死んだ犬ではない。資本主義のあるかぎり、死ねないオオカミだ。「人倫や民族ということを疎外概念や階級概念とつき合わせて思考するという知的努力抜きに、超歴史的な人間一般のレベルでアッケラカンと論じていいのか」とSさんはいう。そのとおりだとおもう。Sさんはつごうで1/30講演にさんかできない。残念だ。

Sさんは角川文庫『完全版 1★9★3★7』の解説をひはんしていた。「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」は、あの解説になじまないかもしれない。が、胸に食いこんでくる。「人倫」はそれじたい、たんどくでかたりうるものではない。なぜか。1/30講演でそのことも話す。親兄弟の介護でくるしむ友人たちも、だいじなじかんをさいてきてくれる。近親者を自殺でなくした友もくる。「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」は、なぐさめになるか。なぐさめとはなにか。

ところで、げんざいのニッポン政府の夜郎自大は、すでにどはずれている。外交官帰国にかっさいをおくるものども。「最終的、不可逆的」などという埒もない(恫喝的でもある)ことばに酔うメディア。反復的歴史のわだちを、さもとくいげにあゆむ阿呆ども。まったく同一ではないが、相似的錯誤が眼前でくりかえされている。10億円でいったいなにをあがなったというのか。このことにも1/30講演でふれざるをえない。
(2017/01/08)

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ドレープ.jpg 2017年01月09日

Tom Waits

何十年ぶりかでTom Waitsをきく。寝床でふとおもった。1/30の会場でかけようか、なんてね。けふ、ききなおす。やはり、なんかちがうんだな。数十年前もそう感じたっけ。わざとらしさ。病んだふり。老いぼれのふり。貧乏なふり。孤独なふり。〝反社会〟のふり。どうにもならなくなったふり。こけおどしの声。ちがうな。あたたかなこころのおじさん。寄せ場にくるおっさんはあんなじゃない。芯が傷んでいた。Tom Waitsは、それがぜったいわるいわけじゃないけどさ、ケンゼンだ。

わざとのどをつぶすなよな。わざとみすぼらしいふりをすんなよ。一方、「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」は、いい啖呵だ。悲しみがにじむ。死にそうな犬、病んだ犬、飢えた犬、狂った犬、腐った犬、傷んだ犬…がすきだ。たまらない。そうさ、死んだ犬だよ、とわたしは言わない。死んだ犬でも、死んでいない、といいはってなでさするアホをきらいになれない。だいいち、マルクスは死んだ犬じゃないし。Tom Waitsみたいにわざとらしくない。オーバーでもない。

1/30になにをながすか。どんな曲を。どうでもいいはなしだけれど、かならずしもどうでもよくはない。バッハはやめとく。Tom Waitsもむ・む・む…。遠方からくる友人がどうおもうだろう。いっそDavid Bowieはどうか。たとえば、I’M DERANGEDとかをくりかえしながす。いい曲だ。ああ、おれ、狂ってきたよ、というんだから率直だし、すこしもわざとらしくない。I’M DERANGEDのながれから、はなしはじめるべきじゃないのか。さて、どうなるか。

エベレストにいかなかった。やはりあるけない。1/30までに、すこしあるけるようになりたい。(2017/01/09)

 

SOBA:↑辺見さんが言及している「1/30になにをながすか。どんな曲を。」関連。辺見さんが2004年3月14日新潟講演中に倒れたその2年後、2006年4月27日病後初の講演では『バッハの無伴奏チェロ組曲』を流したようです

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西陽.jpg 2017年01月10日

雨月物語

MMの誕生日。知らなかったよ。ムジナ軒ランチ。いたるところ認知症だらけ。電話のむこうから声がきこえてくる。家に帰りたいのよ。ここどこなの。あたし家に帰るよ。タクシー呼んでえ。オニい!知らないひとの家はいやなのよ。やめてくださいよ。ここはちがうのよ。(物音)あんた、なんてことすんのよ!いやや。いややあ。あたし帰ります。ぜったいに帰るのよ。(物音)ひい!痛い!いてえ。ここ痛いのです!帰るよ。オニい、帰りたい。帰りたい。帰して。お母さん、オニはないでしょ、オニは。ここ、あなたのお家でしょ。ここいがいないでしょ。どこにあるのよ、バカ!

ムジナ軒からマックまであるき。途次、先日のことをおもいだす。1時間もかけて、いとしのマックにやっとこたどり着いたんだよ。暑かないのに汗みずく。メガネがくもってた。おぼれるようにあるき、店内でもいくたびか転けそうになる。客のいるテーブルについ手をかけてしまう。店長みたいなおとこがすっとんでくる。(ここはおまえのくるところじゃない。でていけ!)の表情で、「お客さま、なにかわたくしどもにできることはございますでしょうか?」。わたし(マック食ったらヨイヨイなおんのかよ。ばかやろう!)の表情で、「だ、だ、だ、ダブルチーズバーガー…お、お願ひします」。左手で千円札ピラピラする。殺意。に似た衝動。マック食うと、あーら不思議、殺意消えましたよ。

ジジジ…。アブラゼミが鳴いている。マックで。ああ、人工喉頭でしゃべってるんだ。電気式人工喉頭(EL)で。まえもいたな、あのひと。ゴ・ノ・ゴ・ヤ・ミ・ニ・イ・デ・バ・ベ・ラ・ン・ド・イ・ブ・ヲ、ア・ナ・ガ・ヂ・ニ・ゴ・ノ・ガ・ザ・モ・デ・イ・ギ・ダ・マ・べ…ジジジジ…みたいなことを言っている。ウンコしたくなり改装なったトイレにいくと、さかゑさんがいて、即、JSF。やりながら言ふ。講演会いくわよ。ノーパンで。テーモウよ。最前列でパッカーンすっからね。ASKAかけてね。がんがんボリュームあげてね。パッカーンすっからね。みてねえ!

ぜんぱんてきにわるくない日だった。エベレストにのぼった。少女像をおかれるってのは、そんなに怒るべきことなんだろうか。(2017/01/10)

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暗がり.jpg 2017年01月11日

レビー小体型

施設入所日。すんなりいくとはおもえないが。ケアマネに在宅介護はむずかしいといわれた。ケアマネはママにどなりつけられ、やくたたずめ、おまえなんかに指図されるいわれはないわい、でていけ、と罵倒された。前々夜は〝在宅失踪〟で警察にやっかいをかけるし。家のなかで、ここはどこなのとふるえる。自宅のまんなかで家に帰りたいとわめく。でも、ママの話はおもしろい。作話っていうけど、いいじゃないか。公園でね、みんなむこうむきの幼稚園児がね、いっせいに、どうじによ、あたしにふりむいて、ぜんいん、目をピッカピッカさせて、きくこセンセ―、こんにちは、っていうのよ。

雨の日にタヌキが100匹たずねてきた、というのもよかった。家中タヌキくさくなってねえ。おじいちゃんタヌキもいて、ニンチでね、トイレとまちがえて、ながしでウンチしちゃって。どっさりよ。あたしにも〈薄皮まんじゅうめしあがれ〉って、ウンチもってくるのよ。あんた、フクシマのタヌキもいたのかしらね。慰安婦像をおかれたからって怒りまくるニンチとどっちがこまるか。おかれたってしかたない。ヌッポン、みんなニンチじゃん。忘れたふりする悪質ニンチ。作話せんもんの、なんとかいうニンチそうりだいじんを、ねつれつに支持する55パーセントのニンチ世論。ニンチ新聞にニンチ記者にニンチ学者にニンチTV番組にニンチ議員にニンチ医者。

抽象不能の世界である。記号と価値と資本の猥雑で、まったく無意味な融合。さいげんのない均一化と断片化の同時的展開。「普遍性」の鏡はいま、こなごなに割れるべくして割れた。すべてはチンカスかマンカスのどちらかにすぎない。これでよかった。満目むなしい断片の原から、おそらくひとしきりの戦争をへて、なんらかの新たな特殊性が生まれるまで、人びとはインモラルでさえない大小の暴力のなかで、ますます狂い、いよいよこまかく自滅すればよい。グローバルパワーとテロリズムとニンチ群はどこまでもかくだいし、そして、不意の、まったくおもいがけないスペクタクルが大爆発をまっている。みたことも、想像さえできなかったできごとが、巨きな宗教画的な光景が、やっとたちあがることだろう。

エベレストにのぼらなかった。太鼓橋をわたった。マックにいかなかった。ダフネ西口店にもいかなかった。(2017/01/11)

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夜ふけ.JPG 2017年01月12日

暗愚の栄え

なにかの本で「暗黒の21世紀」という文言をみた。そう呼ぼうが呼ぶまいが、ドキリとさせられる兆候は、このごろしばしばある。「暗黒時代」ということなら、古代ギリシアもしくは中世欧州の一定時期がそう言われたこともある。それ以来か。トランプの会見。post-truth eraであることはまちがいない。これからくるのではなく、いまがそうなのだろう。暗愚の栄え。エベレストにのぼらなかった。急転直下している。
(2017/01/12)

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部屋からの空.jpg 2017年01月13日

On the Nickel

トランプの「アメリカ第一」は「帝国路線」の放棄なのか。グローバル経済と軍事管理戦略からの後退か。モンロー主義への回帰か。それらは昨春の母の他界となにかかんけいがあるか。ひとりの自責とどこでどうかかわるか、かかわらないのか。母は末期の目になにをみたか。母によってみられたものと「世界」とよばれるものは、なにかのかかわりがあるだろうか。末期の目はある。しかし、世界なんてものはそもそもあるのだろうか。母の目に世界はなかったろう。トランプの米国が世界への拡張の欲望をすてるとは、どういうことだろう。そんなことがありうるだろうか。ひとが死にかけている。世界がひとつ終わりかけている。

世界というものがいま、どうにもならない大蛇のようにかりにのたうっているとしてだが、世界はいっせいにとてつもなく下品になってきた。かつてなく慎みなく、粗野に、いっそう乱暴に、よりいっそう無体にうねるようになってきた。ドナルドでなくヒラリーだったらこうはならなかっただろうか。そんなことはない。ひとが死にかかっている。死にかけている。ところで、On the Nickelはきらいではなかった。ゆうべきいた。かつてはなじみの曲だった。ひとが死にかかっている。世界というものが実在するなら、世界は危殆にひんしている。友も、友の親も。こんごとも危殆にひんしつづけるだろう。わたしも、あなたも、かなりピンチだ。

On the Nickelは、この危機にふさわしい歌ではない。わたしはかすかに鼻白む。だが、ゆうべきいた。ひとが死にかけている。いまにふさわしい歌なんか、さがしたってどこにもないのだ。1月30日夕、もしも会えたら、新宿で会おう。

https://www.youtube.com/watch?v=8055IqijQzo

エベレストにのぼらなかった。(2017/01/13)

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昼の夜ふけ.jpg 2017年01月14日

さながらに野にあるごとく

こたきこなみさんよりお手紙いただく。万年筆でかかれた。胸にしみる。頭がさがる。どこにも暗転していないものはない。高いところにたてば身投げのしょうどうがわく。立ち木をみれば枝ぶりで首つりをおもう。ぶらんとじぶんをぶらさげてみる。ネクタイにさわれば、首をしめる図をえがく。根もとまで舌をだす。目をむく。信ずべきなにものもない。というのがげんじつというやつだ。言う価値もありゃしねえ。けふもチーズバーガー食って、チーズバーガーのクソして、ゲップした。しゃくだからエベレストにのぼってやった。ヤマモミジの細い枝がひたいにじゃれつき、じゃました。折れ!左手でへし折ってやる。

土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し と、詠みたきゃ詠めばいい。かってだ。だが、ことごとしく報道するほどのことか。さながらに野にあるごとくに、とはよく言ったもんだ。まことに無神経である。げんじつに野にある無宿人たち、難民たちがふるえていぞ。おびえているんだぞ。さながらに野にあるごとくここに住み来し、とはなんだ。「ここ」とはどこなんだ。野ぐそにしても、ろくな歌がひとつもない。それでもありがたがるドジンども。かんけいないが、ウィリアムズの「ご崩御の記」は、なんど読んでもわからない。らりって書いたのかな。わからないがおもしろい。右目硝子体出血悪化。へっ!(2017/01/14)

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凶器.jpg 2017年01月15日

Georgette Fry

片目がみえない。タジンくれ。オレンジ色の。3週間分。右目。風がぬける。これ、目じゃねえよ。ただの穴。みたって、どうせ広告ばかりだ。おのおののケツの穴までCMだらけじゃないか。なもん、みなくていい。きく。Georgette FryのOn The Nickel. かのじょ泣かない。よひ。わざとらしくなひ。おおげさじゃなひ。どっしりしている。で、ききたいひとはなんとなくきく。きかないひとはきかない。なにもかわらない。だれもすくわれない。すくわない。失見当識者と意識不明者と病んだ犬の、とりのこされ。とりのこされ。消えさるまでのとりのこされ。夜の路上の松林をさまよえ。裸足で、青い入り江にむかえ。入り江は、どこまでもどこまでも、ない。エベレストにのぼらなかった。https://www.youtube.com/watch?v=QRJQzH31Z1s(2017/01/15)

Den
den.jpg 2017年01月16日

Carla Bozulich

右目ダメ。左目はみえる。30日はよていどおり、かならずやる。すみません、またOn The Nickelで。すみませんね。30日はかんぜんによていどおり。あす病院にいく。トイレのあたりからマッコウクジラの死臭がする。くせえ。ビンボー人と病人と老人はどうぞ死になさい、というなら、OK、死ぬまえになんかやってやろうじゃないか。エベレストにのぼらなかった。https://www.youtube.com/watch?v=-JyhWQBf80I
(2017/01/16)

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共謀罪.jpg 2017年01月17日

共謀罪

内面の、奥の奥の、じぶんだけの小部屋にまで、ぶえんりょに入りこんでくる、死んだ魚の目たち。眼科にいく。医者にこっぴどくしかられる。右目視力ゼロ。タジン1か月分処方。エベレストにのぼらなかった。病院待合室で、老爺の顔をしたあの子と美しい母親をみた。左目だけで。母子はみかえさなかった。母親は肩で、背で、後頭部でも、こちらをみている。だんこたる決意!からだの奥に、静止した風景か、なにか物語らしきものがただよっている。ダフネ西口店、ことしはじめて。(2017/01/17)

SOBA:2006年5月2日付けの東京新聞『病後初、辺見庸さんが語ったこと 「灰色領域」の恥辱 国家や市場の潤滑油としてのメディアの記事を採録(同じ頁にある「こちら特報部」共謀罪特集記事の写真と読みやすいように記事コピー、テキスト起こしも採録。2006年小泉政権共謀罪は結局3度目の廃案。今回の安倍自民・公明連立政権による共謀罪で4度目)

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無人電車.JPG 2014年01月23日

無抵抗社会

片目で原稿。共謀罪と無抵抗社会と内面の死滅について。わるいことがきれめなくつづいている。げんきだとばかりおもっていたマルちゃんが、けふは死にそうだという。なんてこった!エベレストにのぼるどころか近づきもできなかった。(2017/01/18)

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白の闇.jpg 2017年01月19日

白の闇

薬3日目。いっこうによくならず。右目の視界ゼロ。ジョゼ・サラマーゴ。白の闇。マルちゃん入院。末期がん。血管肉腫、脾臓破裂、転移……と聞こえた。飼い主の意識もまったく回復せず。さきがみえない。ずっとみえなかったのだ。みえるふりをしていただけ。ものみな、音もなくくずれている。共謀罪というなら、まっさきに現政権メンバーを全員逮捕せよ。かれらこそまぎれもない大犯罪を構成している。エベレストにのぼらなかった。30日は予定どおりやる。目がみえなくても。(2017/01/19)

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霧の夜.jpg 2017年01月20日

誘起・蠕動

エベレストにのぼらなかった。いま、なにがおきているのか。内側でも外側でも、誘起させられ蠕動しているもの。(2017/01/20)

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川.jpg 2017年01月21日

「暗黒の21世紀」序章

あのおとこが言った。「うつろな言葉の時代は終わった」。そうか。うつろな言葉の時代とは、どのような時代か。それが終わったとして、では次に、なにがたちあがっているのか。40数パーセントがかれを支持している。それらがぜんぶ「悪」でありようがない。50数パーセントの反対者がすべて「善」ではないように。善悪はそもそも対抗価値ではなく、等価な無価値になっていた。問題は、(主として「テロ」への)対抗恐怖症からくる、「悪」を物理的に排除できると妄想し、行動する錯乱である。「暗黒の21世紀」序章は疾うにはじまっていた。

薬5日目。エベレストにのぼらなかった。(2017/01/21)

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水の空.jpg 2017年01月22日

ニューズメディアの自壊

去年の11月だったか、FTはあのおとこについて言ったものだ。米国民は「自爆テロリストを政府内に送りこんだ」と。それよりまえ、ワシントンポストは、かれの政策を、スターリンやポル・ポトになぞらえ「偏見にみち、無知、ホラ吹き、自己中心的で、執念ぶかく、狭量で、女性蔑視で……民主主義を侮蔑……」と徹底的にこきおろしていた。ヒトラーにたとえた新聞もあった。多数のメディアが、あのおとこをこれでもかこれでもかとたたきまくった。にもかかわらず〝自爆テロリスト〟は、いわゆる民主的てつづきをへて大統領に就任した。

なぜか。得心のゆく答えをまだみたことがない。あのおとこの支持者は、FT、ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルなどを購読しはすまい。主要メディアは、では、なにをよみちがえたのか。貧困層の内面だけではない。ニュースメディアじしんの崩壊に気づいていなかったのではないか。その崩壊とは、なにより読者からの「信」であり、財政、運営構造のはたんである。一日の食にことかくものは、ニッポンでだって朝日新聞を購読したりしやしない。NHKの9時のニュースを信用するわけもない。それらは実態とおそろしくかけはなれた、はらだたしいそんざいなのだ。

主要メディアの視界の外(影響圏外)に、あそるべきルサンチマンがふくらんでいる。薬6日目。よくならない。片目ではメモがよみにくい。エベレストにのぼらなかった。(2017/01/22)

SOBA:メディアの自壊関連の辺見さんの記事(2006年小泉政権共謀罪の時の)

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天空.jpg 2017年01月23日

Mister B.

目がみえないと、みえていてもまとまらないかんがえが、ますますちらかる。綿雲みたいに。午前中に右目の精密検査。要手術。入院に1週間かかるという。犬をどうするか。しばらく経過観察に。左目にも問題ありという。もぐらたたき。ChetのMister Bをみつけてもらう。30日用。どうということはない。エベレストにのぼらなかった。薬7日目。犬の顔がどこかわからない。(2017/01/23)

Tokyo
TOKYO.jpg 2017年01月25日

「トランプさん」

昼すぎ、どうしたまちがいか、労組の研修会みたいなところでしゃべった。片目で。仕出し弁当のにおい。とろけた顔たち。うつけた目。なぜここに呼ばれたか、なぜきてしまったか、不明。おれはやぶれた鞴だった。声は、からだの破れ目からブヒャブヒャとぬけた。dull. 安保法制も秘密保護法もやすやすととおるわけだ。共謀罪も改憲もいくだろう。どうでもいいが、ロナルド・トランプを「トランプさん」と呼ぶのには、やめろ、ばかやろう、とどなりつけたくなった。エベレストにのぼらなかった。薬8日目。(2017/01/24)

Sky
sky.jpg 2017年01月25日

alternative facts!

諸君、alternative factsだとさ。post-truthの時代のalternative factsだとよ!やってらんない。薬9日目。エベレストにのぼらなかった。(2017/01/25)

  

 辺見さんが私事片々(2017/01/17)以下、(2017/01/18)(2017/01/19)(2017/01/24)と連続で共謀罪について言及しているので、以下関連、共謀罪の記事を整理していた時に見つけた記事です。2006年5月2日(火)のこちら特報部共謀罪特集の隣、ニュースの追跡で辺見さんの記事がありました⇒『病後初、辺見庸さんが語ったこと 「灰色領域」の恥辱 国家や市場の潤滑油としてのメディア』、私事片々(2017/01/22)で辺見さんが言ういわゆるメディアの自壊。

 2006年5月2日付けこちら特報部共謀罪特集の方はこの記事のうしろで、記事頁全体の写真と、読めるようにスキャンしたコピーを紹介。なお2006年小泉政権共謀罪での3度目の廃案(今回の安倍晋三共謀罪は4度目)、当時の日隅弁護士ブログでの記録は貴重(小泉政権共謀罪廃案までの日隅ブログの記録と、共謀罪カテゴリ2005-04-09〜2008-09-21までの記録をリンク紹介

(↓クリックで拡大)スクロールして見るなら
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上記、辺見さんの記事と一緒に出ている2006年5月2日(火)東京新聞24頁の共謀罪特集「こちら特報部」『「市民」対象変わらず「歯止めにならない」』(この記事のテキスト
スクロールして見るなら
20060502tokyo24p

同じく、2006年5月2日(火)東京新聞25頁の共謀罪特集「こちら特報部」。スクロールして見るなら
20060502tokyo25p

 

 上記、記事部分を読みやすいようにスキャン。2006年5月2日(火)東京新聞24頁の共謀罪特集「こちら特報部」『「市民」対象変わらず「歯止めにならない」』「共謀罪」与党修正案を検証する 619種が摘発対象→政府原案と同じ 国際組織犯罪防止が目的のはずだが 与党も不備指摘 過去2度の廃案

SOBA:結局この2006年小泉政権共謀罪は3度目の廃案。今回の安倍自民・公明連立政権共謀罪は4度目。
(↓クリックで拡大)スクロールして見るなら
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同じく記事部分のキャプチャ。東京新聞25頁の共謀罪特集「こちら特報部」 自首すれば減免→「密告社会の恐怖」 意図的運用の危険 「NGOへの寄付や激励も犯罪になる」 「中止犯」の問題も放置されたまま 櫻井よしこ氏 権力者が監視 独裁国家に…  阻止すべきだ ←日本会議関連で現在評判の良くない櫻井よしこ氏ですが、共謀罪反対。
(↓クリックで拡大)スクロールして見るなら
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↑「こちら特報部」記事の↓左隣り、同じく共謀罪関連で鎌田慧(かまたさとし)さんの本音のコラム「煙のような座談」も採録。(スクロールして見るなら)。
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参考:↑記事中出てくる「大逆事件」について参考になるサイト『甘口辛口』の「大逆事件から100年(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)」、記事中出てくる大逆事件の動画を採録(←リンク先5で紹介されているETV特集 『埋もれた声 ~大逆事件から100年』も)

 

 2012年6月12日にがん性腹膜炎のため亡くなった(享年49)「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄」さんの所で(ブログはそのまま)、共謀罪関連こちら特報部のテキスト起こしがありましたので、以下転載(「共謀罪」は私事片々(2017/01/17)から辺見さんが何回か書いているキーワード)

SOBA:日隅さんに、「岩国連帯」とカンパ呼びかけのバナー作成を頼まれ、作成したことがあります(←エントリー末尾で左のバナー。例えばバックナンバーで2007年12月←24日から、2008年1月の、2008年の2月の)。もし今も、元気でいらっしゃるなら、弁護士でもある日隅さんが舌鋒鋭く共謀罪に反対しておられたでしょう。残念でなりません(小泉政権共謀罪廃案2006年5月末までの日隅ブログの記録、 同じく共謀罪カテゴリで2005-04-09〜2008-09-21までの記録10111213)リンク先は上から降順

 転載にあたり、表題を追加したり、デスクメモを引用の別表示にするなど何カ所か元記事にあわせました(追記:当時はまだWebでも「こちら特報部」を公開していたのを思い出し、URLを拾えましたので↓記録しておきます)

(以下転載始め)

2006年5月2日(火)東京新聞24頁・25頁の共謀罪特集「こちら特報部」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060502/mng_____tokuho__000.shtml
Internet Archive 

「市民」対象変わらず 「歯止めにならない」

『共謀罪』 与党修正案を検証する

 「相談罪」とも呼ばれる「共謀罪」創設法案。法律違反せずとも、話し合えば逮捕できる同法案(政府原案と与党修正案)には野党、弁護士、NGO、左右の論客から「密告社会をつくる希代の悪法」との批判が強く、民主党が修正案を出した。しかし、自公両党は五月九日の衆院法務委参考人質疑ののち間を置かず、与党案を強行採決の意向だ。大詰めの法案を検証する。 (市川隆太)

 きっかけは国連の国際組織犯罪防止条約だ。法務省は同条約で義務が生じた組織犯罪対策の一環として共謀罪の新設が必要だと主張している。一方、国連での審議を見守ってきた日弁連は「国連といっても、各国の担当者は捜査機関だった。それに日本政府は当初、共謀罪は日本の法体系になじまないと反論していた」と指摘する。

 「日本の法体系」とは、どういう意味だろう。犯罪を思いついてから罪を犯すまでの流れは「共謀」(犯罪の相談。単独犯なら「決意」)→「予備」(武器などの準備)→未遂→既遂という順だが、日弁連は「日本は近代刑法にのっとり、一部の重大犯罪だけ予備段階で罰するが、残りは被害発生の場合のみ罰する法体系。共謀罪新設は近代刑法の否定だ」と指摘する。

619種が摘発対象→政府原案と同じ

 どんなことを話し合うと共謀罪で捕まるのか。識者の意見をもとにまとめた。

 ▼ケース1 希少生物の生息する森にマンション建設が強行されると分かり、町内会と環境保護NGOが「建設会社ロビーで座り込み運動をしよう」と決めた。この場合、合意したメンバーは実行しなくても「威力業務妨害罪」の共謀罪。

 ▼ケース2 議員選挙の陣営で「アルバイトに金を払って有権者への電話作戦を展開しよう」と決めた。実際に支払わなくても、公職選挙法の「買収罪」の共謀罪となる。

 ▼ケース3 脱税をもくろむ会社社長が顧問税理士に「経費水増しの帳簿操作をしたい」ともちかけた。税理士は、実行するつもりはなかったが、「いいですよ」と言って、その場をやり過ごした。この場合、二人とも「法人税法違反罪」の共謀罪となる。

 ▼ケース4 新商品開発会議でライバル社の売れ筋商品そっくりの品物を販売しようとの意見が出て、出席者は合意した。社長のダメ出しにより、この案はボツとなったが、それでも出席者には「商標法違反罪」の共謀罪が成立する。

 ▼ケース5 ゼネコン社長が国会議員に「来年、五千万円、持って行きます」とわいろ提供を持ちかけた。議員はクリーンな性格で、そのうち断るつもりだったが、場の雰囲気を壊したくないので「ありがとうございます」と頭を下げた。これは「収賄罪」の共謀罪となる(現行法では社長にわいろ申し込み罪が成立するだけ)。

デスクメモ:
 「警察はちょっと抜けている方がいい。でないと、喫茶店でお茶飲んでるだけでしょっ引かれる」。戦中、戦後を新聞記者として生きた大学の恩師の口癖だ。治安維持法を武器に思想、言論を取り締まった特高警察の怖さを見てきた実感だろう。「銭湯の冗談も筒抜け」といわれた監視網。こんな世になるのか。 (鈴)

 ■与党も不備指摘 過去2度の廃案

 こうした指摘に対し、法務省は「まじめな一般市民を適用対象にすることはない。対象は暴力団、詐欺組織など」と強調してきたが、過去の国会審議で与党からも不備が指摘され、法案は二回も廃案になった。そして、今国会、与党が修正案を提出した。

自首すれば減免→「密告社会の恐怖」 意図的運用の危険

「NGOへの寄付や激励も犯罪になる」

与党は「一定の犯罪を行うことを共同の目的とする団体によるものに限定する」という条文により、適用対象を狭めたとする。しかし、日弁連や野党は「これでは、過去に犯罪を遂行した団体とは限らず、NGOなどにも適用可能」と批判。この意見を参考に、民主党は組織犯罪集団に限定する「犯罪実行が目的で、あらかじめ任務分担がある継続的な結合体」との表現を盛り込んだ修正案を先月二十七日、国会に提出した。

 また「共謀罪の対象となる罪が六百十九種類にも及ぶことが、一般市民の摘発につながる」との批判も強い。これは、政府原案や与党修正案が「懲役四年以上の罪」を対象罪種としたため。民主党修正案は「懲役五年超の罪」とすることで、対象罪種を約三百に絞った上、「国際的な犯罪」しか共謀罪は適用できないようにした。

 このほか、「共謀」がどの時点で成り立つのかをめぐっても、野党や法律家から「あいまいで意図的な運用が行われる危険がある」との指摘が出ている。犯罪をもちかけられた時に、「うん、やろう」と具体的に答えなくとも、捜査当局や裁判所が共謀と見なすのではないか、との不安だ。

 昨年十月の衆院法務委で、保坂展人委員(社民)から「言語なし、目くばせでも共謀罪は成立するのか」と問われた法務省は「目くばせでも十分、成立する場合はある」と認めた。

 「そうであれば、本当は犯罪に反対だけど、場の雰囲気で一応、賛成のふりをした人まで共謀罪になるのか」というのが法律家などの指摘だ。「気が弱くて、つい、うなずいてしまった人も逮捕されるのか」という疑問も出されている。

 こうしたことから、与党修正案は「合意」だけでなく「犯罪の実行に資する行為」を適用条件とした。しかし、さまざまなNGOなどから「資する、では寄付した市民や『頑張ってね』と激励した人まで含まれてしまうのではないか」との強い懸念が出ており、日弁連も「歯止めにならない」と話す。

 政府原案では共謀に参加しても、捜査当局に自首した者は刑が減免されることになっているため、「戦時中のような密告社会に逆戻りする」との不安も指摘されている。日弁連は「この点は、与党修正案でも削除されなかった。わざと共謀に加わって自首し、相手を陥れることも可能になる」と批判する。

 ■「中止犯」の問題 放置されたまま

 昨年十月の衆院法務委などで、柴山昌彦委員(自民)などからも集中砲火を浴びた「中止犯」の問題も放置されている。中止犯は「犯罪を思いついても思いとどまった人には刑を減免しなければならない」という刑法四三条の規定だ。「共謀後に『やめよう』と言っても共謀罪になってしまうではないか。あいまいだ」と矛盾をつく柴山氏に、法務省は「予備罪や準備罪にも中止規定は適用されない」と答弁したが、法律家らは「殺人・強盗などが対象の予備罪と、都市計画法や道路交通法まで対象の共謀罪を同一に語るのは、むちゃくちゃな話」と批判する。「誰でもいけないことを思ったり口に出すが、中止犯という“黄金の橋”があるから実行せずに戻ってくる。橋をはずしてしまってよいのか」(日弁連)とも。

 この問題に詳しい弁護士らは共謀罪を施行済みの米国の事例を危惧(きぐ)する。「イラク戦争に抗議して、兵士募集ポスターに自分たちの血を塗るパフォーマンスを行ったキリスト教徒らが器物損壊容疑で逮捕され無罪となったが、次に、共謀容疑にあたるとして逮捕された」

権力者が監視 独裁国家に…  阻止すべきだ

 一連の状況を見て、ジャーナリストの櫻井よしこ氏も言う。「共謀罪は暗黒社会の到来を意味する。住基ネットと合わせて、権力者が市民を監視する独裁国家になる。一体、誰が何の目的でこんな悪法を通そうとしているのか。市民の自由を守るため、思想信条の違いを超えて、共謀罪成立を阻止しなければならない」

(以上転載終り)

  

 鎌田慧さんのコラムで紹介されていた大逆事件関連の動画。

ETV特集 埋もれた声 ~大逆事件から100年
https://www.youtube.com/watch?v=VMJUbPBiSPI

2015/08/29 に公開

 

ETV特集 「非戦と平等を求めて」~幸徳秋水と堺利彦~
Satoru Ina
https://www.youtube.com/watch?v=KsM4Eqk_Bo8

2014/09/08 に公開

前半は「日露戦争と平民新聞」、後半は45分40秒から「大逆事件」。

2012年1月29日に放送。シリーズ「日本人は何を考えてきたのか」の第4回。旅の案内はクリスティーヌ・レヴィさん(Christine Lévy ボルドー第三大学教授)で、幸徳秋水の代表作『廿世紀之怪物 帝国主義 1901年(明治34年)』の仏訳『L'impérialisme, le spectre du XXe siècle』翻訳者。なお幸徳の著作はレーニン著『帝国主義―資本主義の最高の段階としての 初版は1917年』に先駆けるもの。幸徳秋水のは以下書名で出てます⇒『帝国主義 (岩波文庫)』、『二十世紀の怪物 帝国主義』。
↓『廿世紀之怪物 帝国主義』書影、19分8秒の所。
198

 

SOBA:↓内容が現在を歌っているようなのが驚き。世情は確実に退化。この歌、今の世に作られていたら意図的に消され、日の目を見ず残らなかったかも。歌はエノケンこと榎本健一さん。

これが自由というものか(1954) / 榎本健一 + 歌詞
案山子山田野
https://www.youtube.com/watch?v=NCc2EgOvhwk

2012/11/03 に公開

これが自由というものか(1954)
作詞・作曲:三木鶏郎
    歌:榎本健一

知らない間に実験で   知らない間にモルモット
知らない間にピカドンで 知らない間に水爆病
これは呆れた驚いた   何が何だかわからない
これが平和というものか あちら任せの平和論

知らない間に値上げして 知らない間にMSA
知らない間に教育法   知らない間に機密法
これは呆れた驚いた   何が何だかわからない
これが自由というものか あなた任せの自由論

知らない間に金あげて  知らない間に金取って
知らない間に税金で   知らない間に自衛隊
これは呆れた驚いた   何が何だかわからない
これが政治というものか おかみ任せの政治論

↑↓歌詞中出てくる「MSA」について

コトバンク > デジタル大辞泉 > MSA協定とは
https://kotobank.jp/word/MSA%E5%8D%94%E5%AE%9A-446545

百科事典マイペディアの解説
MSA協定【エムエスエーきょうてい】
日米相互防衛援助協定とも。1954年3月東京で調印,同5月1日発効。米国が日本に兵器その他の援助を約束し,日本は防衛力の増強と,米国に各種の便宜を供与することを約束した。
→関連項目日米艦艇貸与協定|日本

世界大百科事典 第2版の解説
エムエスエーきょうてい【MSA協定】
1954年3月8日,岡崎勝男外務大臣とアリソンJ.M.Allison駐日アメリカ大使との間で調印された協定で,〈相互防衛援助協定〉〈農産物購入協定〉〈経済措置協定〉〈投資保障協定〉の四つからなる。日本の軍事力増強を図るためにアメリカが援助を与えることを主旨とし,その根拠がアメリカで1951年10月に成立した相互安全保障法Mutual Security Act(略称MSA)に求められたのでこの名がある。

  

 私事片々(2017/01/07)以下(2017/01/08)(2017/01/09)で辺見さんが言及している新宿紀伊国屋での講演会と、若干のテキスト起こし(紀伊国屋ホールの音響効果がとても良く、辺見さんの声も聞き取りやすいのでテキスト起こしは前半は比較的細かくやりましたが、残りは要約やキーワード)
追加:2017年3月12日 こころの時代←頁内ジャンプ。

 以下podcast、①から③は現時点での使いやすい順番。ipadの場合はほぼ同じ使い勝手。

20170130HenmiYou ←4sharedに保存。PCならクリックし頁が変わり待つと自動的に再生(但しmp3の場合、途中で他のmp3に変わってしまうことあり、バグ?)。ipadならタップするだけで4sharedのAppが開き再生(初めて 4sharedを使う場合は「購入」と出るけれど、4sharedは無料Appなのでここでの購入はipad用語で単に4sharedをダウンロードするの意味)

20170130HenmiYou ←MediaFireに保存。PCでは使い辛くなったので、ipadを推奨。ipadでリンクをクリックするとSafariの別頁が開き、フィル名「20161205_HenmiYou」と「Download(…MB)」のボタンが出るのでクリックすれば再生開始。進捗バー(タイムバー)はMediaFireの方が使いやすいです。

 

2017年1月30日(月)18:00開場、18:30開演

新宿紀伊国屋、辺見庸講演会(2時間)

始め〜、右眼が見えなくなってなど。ポルトガルの作家ジョゼ・サラマーゴの小説『白の闇』、SFあるいは未来小説とも言える。突然国中の人が目が見えなくなる病気にかかる。視界が白濁して土色の闇になってしまう。そう言う見えなくなった世の中で人間はどういう風に動くか、行動をとるかが『白の闇』の主要なテーマ。人間はそう言う危機的な、言わばパンデミック、大流行、どんどん感染していく小説。目が見えなくなったら、お互いに助け合ったり、他者の命を大事にするかと思ったら、暴力、それからおぞましい事の連続、ほとんど救いがないって言う小説。

3分57秒〜、パンデミック、世界はまさにパンデミックの渦中にいる。「価値観の大崩壊」と言うパンデミック

5分16秒〜、正式なこの講演のタイトルは「今何が起きているのか 1★9★3★7と現在、そして未来のイメージ」だったけれど、副題として「おぞましさの永続」と副題をつけたい。たぶんこのおぞましさは暫く続くのではないか。こう言う価値観のパンデミックに立ち会ってみて思うのは、ルイ・アラゴン(Louis Aragon、1897年10月3日 - 1982年12月24日 )と言う人が19世紀から20世紀後半まで生きてきた、この人が「人間においては何ひとつ確実なものはない」と言う言葉と。もう一つ「人間は自己が、自分が、思うような存在では実はないのだ」と。「人間は自分にいだく幻想と、人間が持つ現実・事実を混同してはならない」と。

6分50秒〜、バイオハザードと言う映画があったが、人間がゾンビのように見える。人間がゾンビ化しているのではないか。フィクションの世界がいつの間にかリアルな現実に追い越されてるのではないか。

8分14秒〜、『釘宮病』、略称は「KVD(Kugimiya Virus Disease)」の話し。Wikipediaのパロディサイト、アンサイクロペディアに出てくる、事実ではない非事実の話し。

9分50秒〜、今日お話しする中で基本としたいことがある。ここに足をつけて、ここを守り抜く覚悟で考えているわけで、「我々がいま直面しているありふれた死、それが自殺であっても、自死、あるいは認知症であり、統合失調症であり、ガンであり、鬱であり、飢えであり、狂気であり、そう言う個人の些事から世界を見上げてみる、そこを通して世界を見上げるとどういう風になるのか」と言う見方が本当は一番正しい見方、正しいと言うよりもいま唯一我々にできる視線の持ちようなのではないかと思っているんです。「役に立たないもの、不用なもの、弱い者、貧しい者、うち捨てられた者の側から視線を他に向ける」と言う事がいま一番大事なような気がしている。

11分17秒〜、いま何が起きているのか具体的に語ることはできない。ただ、いま立ち上がっている風景の性質については会場の皆さんと、ある程度一致して、共通して感じることができるのではないか。それは言葉に置き換えれば、こう言う事ではないか、それは「底知れない程度の低さ、どぶから生まれた何か、およそ深さなどまったくない何かが多数者を支配する、ないしは多数者の心をつかんでしまっているという状況にあるんだ」と私は感じているわけです。で、「底知れない程度の低さ、どぶから生まれた何か、およそ深さなどまったくない何か」という風にほとんど罵詈雑言のように吐きだしたこの言葉を言った人は20世紀初頭から75年まで生きたハンナ・アーレント(Hannah Arendt、1906年10月14日 - 1975年12月4日)と言う人。でこの状態は、このどぶから生まれ出た何か、底知れない程度の低さと言うもの、これはアーレントよれば「全体主義を生み出す大衆社会」について言っているわけです。「計り知れない下劣さ、それから低劣、吐き気をもよおすほどの醜悪、おぞましさ、下卑た振る舞い、ならず者によって占拠された世界、極めていかがわしい者たち、オフィシャルな晴れがましいものと渾然として融け合っている、そう言う世界、原理なわけです。ですから、例えばですね、これは後段でお話ししますけれども、いま立ち会っている立ち位置、我々が立ち会っている時代って言うのは決して初めて目にしているものではないんじゃないかと言う気も一方で私はしているわけです。仏教では「未だ来たらざるを願う事なかれ」と言う。「過去は棄てられたい、過去と言うものは既に棄てられている、未来は未だ到っていない、到らざる也」、ですから現存する所のものを一生懸命観察しなさいと言う風に仏教では言う訳です。でも、私はこれはちょっと違うんじゃないかと思っている。私たちはどうしたって「これからどうなるんだろう」と考えざるを得ない。現存するものだけに目をやって、それが解けるような事であろうかと思っている。それは僕はないような気がしているわけです。非常に難しいと思っている。

14分50秒〜(紀伊国屋ホールの音響効果が良いので、辺見さんの声がとても聞き取りやすいです。以下残りは、要約やキーワードを記録)『1★9★3★7』表紙の絵、山下清の『観兵式』について。(←この部分は12月5日講演会の方が詳しい

21分40秒〜、途絶えずに流れている時間。その事を山下清は無意識の証言者として切り絵の中に描いた。そこに(山下清の絵の中に)「底知れない程度の低さ、どぶから出た生まれ出た何か、およそ深さなどまったくない何か」を感じた人は恐らく一人もいなかっただろうと思う。これが今日のテーマ、歴史の中の実時間リアルタイムにあって、自分と・自己と出来事を客観視すること。これがどれ程大変な事か、至難の業(わざ)。1937年『1★9★3★7』に、同じ年12月の南京、1941年12月8日の真珠湾攻撃、1945年8月6日(広島原爆投下)、9日(長崎原爆投下)、15日、いったい誰が予感できたか。それは「無理だよ」と言ったのではお話しにならない。我々が唯一すべきことは予感、あらゆる自分の感官を動員して何かを感じると言う事が必要。感じなきゃならないのじゃないかと私は思っている。これが私が書いた『1★9★3★7』のテーマの一つ。

24分〜、1★9★3★7、1937年の南京大虐殺から80年、1917年のロシア革命から100周年。今まで歴史から何を学んだか、近未来に何を予感するか。暗黒の21世紀、ディストピア。技術の進歩と大量殺戮。戦間期の終わりと新たな世界大戦のプロセスに入っている日常。

30分〜、時代を特徴付ける言葉。とても驚いた言葉、OED(Oxford English Dictionary)に載った言葉、post-truth、脱真実、真実後。日本では去年の流行語大賞が「神ってる」で全く意味のない、そう言うこと自体がなにかpost-truth、つまり物事の本質や真相や真相の根拠や、そう言うものを考えると言うことをあざ笑うような時代に入ってきている。これが明確な物理的な原始的なファシズムよりも、より恐い情況、空洞化した情況になっている気がする。言説が真実か、根拠があるか、あるいはその根拠を検証する、検証してきたか、そう言うことには関係のない時代が来ている。今この国で首相をやっている人の名前を知らないんですけれども(笑い)。かなりあの人もpost-truthではないか。我々はほぼ諦めている、にも関わらず57%以上の支持率を持っている。この事に恐れってものをもっといだいた方がいい。

34分28秒〜、米国の大統領トランプの話しと、米国のメディア情況。最初にニュースに触れる手段がTVでも新聞でもなくなっている。ソーシャルメディアになっている(FaceBookやTwitterなどのSNS)。フェイクニュース、偽情報、デマが続行している。これが我々の政治状況を左右したり、デマとか法螺とか、それをTwitterでプロパガンダする。物事の真理とか理念とか理想とか、そう言うことの検証が足蹴にされている。そう言うことをやる事がナンセンスなように思われる。では人々は何を拠り所にして、何をきっかけにして情況を判断しているのか、ここにかつてとの相似形・近似的なものを感じる。それは感情、感情が情況判断を左右している。ロジックとか検証された根拠とか、そう言うことではない民衆の感情、大衆の感情の爆発でもって情況が変わっていく。それはハッキリ言って1930年代と近似的なもの、相似的なものがあるんではないかと思っているわけです。

37分〜、私が驚いているのは、ジョージ・オーウェル(英: George Orwell、1903年6月25日 - 1950年1月21日)が『一九八四年』と言う未来小説を書きましたけれども、丁度その1984年の前、1983年から84年にかけてアメリカに住みましたけれども、ご存じの通り私は現在ある情況と言うものを簡単に信用する人間ではないし、なかったわけです。なのでトランプが当選したってことに対して、もの凄く驚いたってことではないのです。(1984年 小説←Wiki)

38分辺り〜、トランプと既成のニューズメディア。米国の主要なメディアがカバーしきれていない、視野・視界に入っていない群衆が存在した。それが初めてトランプの出現によって抜き出されたのではないか。既成のニューズメディアは崩壊、自壊してるのではないか。その可能性を考慮しておく必要がある。

41分〜、もう一つの驚きは、選挙に使ったお金はトランプよりヒラリーの方が4倍以上使っている。トランプという表象・アイコンを善なるものとして感じた人間が多数いると言うこと、その事にも驚きを感じざるを得ない。正にpost-truth、事実なんかどうでもいい、真実なんかどうでもいい。そしてpost-truthには敷衍すればこう言う意味もあるんじゃないか。かつて言われたような普遍的な価値、例えば男女平等とか、あるいは人権とか、あるいは博愛とか、あるいは融和とか、寛容であるとか、そう言う普遍的な価値ってものを蹴飛ばす。普遍的な価値の時代は終わったと言うようなニュアンス、響きもあるような気がするわけです。post-truthは形容詞ですから、何が続くかと言うとpost-truth era 脱真実の時代とか、あるいはpolitics 脱真実の政治とかそう言う真実とか事実なんてのは、そう言うへちまなんてのは、そんなものは関係ない時代だよと、その表象としてトランプという男が躍り出てきたと言うことに僕は衝撃を覚えている。

44分27秒〜、もう一つの驚いた言葉、alternative facts もう一つの事実、代替可能の事実。トランプの就任式に集まった人間は史上最大であったと大統領の報道官が言う、でもそんな事はなかったわけです。で、それを批判されると大統領報道官は事も無げに「alternative facts」だと、もう一つの事実だと、言う言葉を使って反論する。ここに何があるのか、僕はここにあるものは「荒み(すさみ)」だと思う。人間とこの言葉と言うものを嘲笑う「荒み(すさみ)」ではないか。

SOBA:↑辺見さんの上記部分をもう少し詳しく書くと「トランプの就任式に集まった人間は史上最大であったと大統領の報道官が言う」はショーン・マイケル・スパイサー(英: Sean Michael Spicer)大統領報道官、その発言を「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」と言ったのはドナルド・トランプ大統領顧問/カウンセラーのケリーアン・エリザベス・コンウェイ(Kellyanne Elizabeth Conway)。ケリーアン・コンウェイはその後も色々物議を醸してますね

46分2秒〜、 先程話したように1983年から84年までアメリカで暮らしましたけれども、その頃ジョージ・オーウェルの『一九八四年』、今もすごく売れてるらしいですけれども、普通のスーパーでもオーウェルの『一九八四年』が売れてました。初めてではないんですけれども、今すごく売れてるらしいです。その事をどうしても考えざるを得ない。オーウェルが描いた『一九八四年』の世界と言うのは、ビッグブラザーと言う党があって、もちろん一党支配なわけで、街中にスローガンが書いてある。1950年代くらいに84年と言う未来について書いたものかと思うくらい、本当に先見の明というよりも予感力と言うかオーウェルの予感力には舌を巻かざるを得ないと思うのですが、いまだに通用するスローガンであり、あるいはパラドックス、逆説であり。例えばそのスローガンにはどう言う事が書いてあるかというと、「戦争は平和である」「自由は屈従である」と書いてある。私が取り分け興味があるのはこの言葉、「無知は…」無知というのはものを知ると言うことを拒むと言う意味も、知らされない、英語で言うとignoranceなわけですけれども、「無知は力である」と言うこの三つ目の「無知は力である」と言う言葉に私は「なるほど」と思うわけです。今もそうじゃないかと思っている。無知が、ignoranceって言うのが絶大な力を持ち始めていると言える気がする。街中のいたる所にビッグブラザーと言う党が「あなたを見守っている」と、「Watching you!」と書いている。ここで非常に面白いのは、ぞっとするぐらい面白いのはじゃあこのビッグブラザーの目的は何かと言うと「中層階級(中間層)が下層階級(貧困層)を味方につけて上層階級を倒す事態を永久に防いで、不自由と不平等を恒久的なものにすることを目的にする」と。これは恐らくマルクスを多少は読んだ人じゃないとこう言う問題意識は出て来ないと思う。問題はマルクスが着目したのは中間層と言う存在です。中間層と言うのは資本家あるいは支配階級とプロレタリアートの間に立ってどちらかに揺れる、罪の意識に左右されて揺れると言う風な存在だったわけです。『一九八四年』には、その中層階級ってのは下層階級を味方につけて上層階級を倒す事態を永久に防ぐわけです。つまりこのビッグブラザー達が何を防いでいるかと言うと「階級闘争」、「貧者達が団結して支配階級、資本家達を打倒する」と言う運動を内面から崩していく。ビッグブラザー(党が)「It's Watching you!」、いつもお前らを監視していると言う訳です。

51分37秒〜、トランプの登場は革命なのか反革命なのか。もっと具体的に言うと彼は労働者階級の味方なのか敵なのか。性急にこの答えを言うべきではないと思う、でも私は直観的には言える「トランプの登場は明らかに反革命ではないかと思う。それから彼は労働者階級の敵だと思う」。ただこんな単純な答えでは済まないくらい今の言説の世界は揺らいでいる。例えば皆さんもご存じの、正義の味方と考えられているオリバー・ストーンは最近になってトランプを全面的にではないけれども、擁護しつつある。彼のいわば内政に比重を置く、例えば無駄な軍事費を削減する、ないしは他国に介入する介入主義って言うものをとらない、と言う意味でオリバー・ストーンと言うオスカーをとった監督がトランプを擁護し始めている。これもまた2017年と言うものの大きな混乱、大混乱、価値の大混乱を象徴するような出来事ではないかと私は考えている。但しですね、このパンデミックって私は言いましたけれども、価値のパンデミックっと言うものは歴史的に今になって初めて、トランプの登場によって起きたわけではない。我々は30年代にもこう言う経験をしている。感情が物事を決める、意趣返しのようにエスタブリッシュメント言うものに敵対していくと言う時代というのを我々は経験していると思う。私が『1★9★3★7』のようなものを書いた理由は、やはりトランプ的なものの登場をたぶん私が予感したからではないかと思っている。

54分40秒〜、『1★9★3★7』を書いて、何よりも自分で自分を傷つけてしまった感じがする。『1★9★3★7』を書いていて痛切に思ったことが幾つかあって、先ず第一点「私はものを知らないな」と言うこと。もう一つ、実時間リアルタイムとは何なのかと言うこと。「実時間にあって人はいったい何をどういう風に判断し、予感しうる、予感し得たか。どう行動し得たか」と言うことを何度も何度も何度も考えた。それからもう一つは日本とは何かと言う事も何度も何度も考えました。随分いくつかの国を旅し、あるいはそこに常駐もしたりしたわけですが、やはりこの日本と言う国は僕には極めて特殊な価値空間であると言わざるを得ないわけです。

56分57秒〜、堀田善衛の『時間』。

1時間3分47秒〜、武田泰淳の短編小説『汝の母を!』(日本ペンクラブ電子文藝館で

1時間25分〜、トランプの話しに戻り、難民と米国、米軍の「おぞましさ」について。

1時間30分5秒〜、ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky、1928年12月7日 - )「歴史と言うものには世界的な同時性がある」「歴史と言うものには不思議な反復性がある、完全に同じではないけれども相似的な反復性がある」

1時間35分32秒〜、かつてフランスから中米に渡りカストロやゲバラと革命運動をやったフランスのレジス・ドゥブレ(Régis Debray, 1940年9月2日 - )学者・思想家が1994年に言った言葉で「今何が終わろうとしているのかは分かる。しかし、何が始まろうとしているのかは正直分からない」

1時間51分32秒〜、今日どうしても言いたかったのは(ジョージ・オーウェルの『一九八四年』の話しに戻り)ビッグブラザーは「It's Watching you!」党はおまえ達を見てる、ケアするんだよと言う言い方にも聞こえるが、実はおまえ達の内面を見てるんだよと、と言った含意でオーウェルは書いたと思う。それはまさに共謀罪、いま(安倍が)一所懸命やろうとしている共謀罪の成立ではないかと思う。共謀罪が何を狙っているかと言うと外形ではなくて内面であります、内面に入ってこようとしている。何を考えるか、つまり既遂の事ではなくてこれからやるかも知れない、ただ頭ん中で考えたようなこと、たとえばボードリヤールと言うフランスの思想家・哲学者が『パワー・インフェルノ』と言う本を書いた。その中で有名なせりふがあって9・11のほどなくして書いたのだが「実行したのは彼等だが、それを望んだのは私たちだ」と。ここには重大な示唆がある。共謀罪に関しての、あるいはジョージ・オーウェルが書いた『一九八四年』に関わっても大きな示唆がある。「実行したのは彼等だけれども、内心望んだのは私たちだ」と。と言うのはこれは我々の言説として我々の会話として言い得るわけです。これは何ら問題ではない。内心でイメージするのは自由だと。今やこの自由が剥ぎ取られようとしている。それが共謀罪であり秘密保護法。これはアメリカの反テロ法のやり方を真似したやり方だと思う。これが現時点のあの方の(安倍の)支持率からすると通りかねない、通ってもおかしくはないと私は思っているし、もう現時点で我々は内面のでやられてるんじゃないか、外形だけではなくて内面も相当に圧迫されてるんではないかと私は考えている。やっぱり共謀罪、テロ準備法ですか、名前を変えてそう言えば通るんじゃないか、通ると言わんばかりに今出して来ているこの共謀罪と言うものには、私が言うまでもないでしょう、皆さんも相当な危機感を持っておられるのではないか。我々の飲み食いする生活、衣食住に直接は関係ないかも知れないけれども、見えやしない不可視の領域だけれども内面に入ってこられる、内面まで入って来ている世界と言うのは2017年、すなわちロシア革命後100年、南京大虐殺後80年の現在ではないかと私は考えている。

1時間58分20秒〜、かつてスタンレー・ミルグラムと言う心理学者がある人の言葉を引用して不気味なことを言っているのですけれども、真理だと思うんです。「人類の長い陰気な歴史を考えた時に、反逆・反抗の名の下になされた忌まわしい犯罪より、服従の名の下に行われた忌まわしい犯罪の方が遥かに多い」、これは事実だと思う。実はテロ、テロと言うけれども、テロよりも現実に行われている国家犯罪の方が遥かに多いと言う事に気づかざるを得ない。どこに自分の思考の拠点を置くか、前に戻りますけれども先ほど話したあの殺された親子を思考の、無限同心円の中心に置いて考えるわけです。今の世界と言うものを混乱に混乱を極めて、動揺に動揺を重ねている、どうなるか分からない、来るべき戦争をも予感させる今の世界と言うものを最も低い視線から眺めていたい。その低い視線というのは、無用なもの、役に立たないもの、その視線から考えていく。無用なもの、役に立たないものを尊重する。無用なもの、役に立たないもので自分もありたいと思うわけです。今取り敢えず我々がもう既に予感どころか確信しているのは、あらゆる国が例外なくできつつあるのが、国民国家と言われている国が例外なく強固にしつつあるのは、どう言う国づくり、間違いなくできているのは警察国家であります。そして相互監視って言うものが既に到来している。そこの中で我々が歴史と世界と言うものを語る時の視線、目のおきどころと拠点は最も低い、無用なもの、役に立たないとされるもの、排除されるもの、例えば重度障害者、19人が、あの事件を僕は非常に気にしていますけれども、あれはある種のテロと言ってもいい、しかも教唆された、唆されたテロと言ってもいいんではないか。それを全体として予定調和のように、出来事の性質と規模の大きさに似合わない形で不当に低く報道されている。そこに僕らはもっと注目した方がいいと私は思う。ぜひ皆さんと今後起きるべき共謀罪の成立については神経質になって拒否していく事が必要ではないかと思いますし、それから最も低い視線から世界を眺めていく以外にないのではないかと考えています。たぶん起きるであろう戦争を起こらない事を願いつつ、祈りつつ私の講演をここで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

SOBA:辺見さんが上記言及している「相模原障がい者殺傷事件」で辺見さんの寄稿記事と私事片々。また講演の30分〜に出てくる「post-truth」、同じく44分27秒〜に出てくる「alternative facts」キーワード関連でトランプ就任式での観衆をキャプチャ画像を使っての検証
また「post-truth」「alternative facts」キーワード関連で八木啓代さんのブログエントリー「トランプにババをひかされるのは誰か?」をリンク紹介。トランプ関連で田中 宇(たなか さかい)の国際ニュース解説からそのなど。

講演終了後、演壇上で落款サービス中の一コマ。
Dscn2414_

数打ちゃあたるで50枚ほど撮りましたが、
Dscn2447_

手前の人に遮られたり、ピンぼけだったりぶれたりで、ちゃんと撮れたのは9枚だけ。
Dscn2448_

  

こころの時代 父を問う――いまと未来を知るために
辺見庸1937
お散歩
http://www.dailymotion.com/video/x5qfc8j

辺見庸1937 投稿者 osanpodeonigiri

SOBA:[Eテレ]2017年3月12日(日) 午前5:00~午前6:00(60分)の放送

最初〜4分17秒の所で字幕が流れている地震は、放送直前3月12日4時57分頃の震源福島県沖の地震

動画の19分25秒〜「さらば蘇州よ わが二等兵記 ② 白崎浩(辺見氏父上のペンネーム)」『石巻新聞』1956年(昭和31年) スクロールして見るなら
1925

1956年(昭和31年)4月6日(金) スクロールして見るなら
2203

スクロールして見るなら
2207

スクロールして見るなら
2221

動画31分20秒〜の2016年12月6日『1★9★3★7』城山三郎賞受賞関連。
第3回「城山三郎賞」受賞作決定!!
片山善博選考委員の< 第3回選評 >

 

SOBA:『1★9★3★7』関連で目についたブログや記事など。なお参考で、ぜひ見て欲しい日本ニュース(大本営発表で検閲済み国策映像)に出てくる大阪での防空訓練

湘南のオアシスから 辺見庸『1★9★3★7』

74.辺見庸「父を問う」(NHKの番組)について(その1)

75.辺見庸「父を問う」(NHKの番組)について(その2)

57.講演会(1月30日)のこと

 

侵略戦争の責任を裁かないニッポン人の罪
2015年12月13日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/171608
Internet Archive 

「1★9★3★7(イクミナ)」を書いた 辺見庸(へんみ・よう)さん
2015/12/13
http://dd.hokkaido-np.co.jp/cont/books_visited/2-0036174.html
魚拓 

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完全版 1★9★3★7 イクミナ (上) (角川文庫)
完全版 1★9★3★7 イクミナ (下) (角川文庫)です。


 

辺見庸さんの『増補版1★9★3★7』と、
堀田善衛さんの『時間』(岩波現代文庫)です。 


 

辺見さんの『1★9★3★7』(イクミナ)です。 


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