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2017年1月28日 (土)

動画を2本、報ステ 台湾が脱原発をした理由 NEWS23 オリバーストーン監督の日本への警告

台湾が脱原発をした理由20170124houdoustation

台湾が脱原発をした理由20170124houdoustation 投稿者 gomizeromirai

 

オリバーストーン監督の日本への警告20170118NEWS23

オリバーストーン・監督の日本への警告20170118NEWS23 投稿者 gomizeromirai

 

↑↓関連動画

オリバー・ストーン 2013/8/6 原水禁世界大会 広島
http://www.dailymotion.com/video/x5hn87r

投稿者 osanpodeonigiri
公開日: 04/09/2017
期間: 24:55

オリバー・ストーン(ウィリアム・オリヴァー・ストーン:William Oliver Stone, 1946年9月15日 - ) 2013年8月6日 原水禁世界大会の映像。

 この動画は日本人すべてが見るべき。要するに日本には真の政治家はおらず、もしそう言う政治家が出てくると米国に顔を向けた(つまり米国を忖度する)日本の官僚・マスゴミ売国連合によって、なんと有ろう事か潰されてしまう(ここで言われているのは辺野古でつぶされた鳩山由紀夫氏)。要するに日本は米国の衛星国、属国。それをオリバー・ストーン氏は「You are simply a satellite state, client state of United States. 」と言っている。

 以下の時間の所でオリバー・ストーン氏は重要な事を話しています。ヒヤリングし、テキスト文字起こしをしておきました。

4分54秒〜
but when I look at Japan since world war2. I see, I see great culture, beauty, from my point of view I see great movies, I see great music, great food, but I do not see one, one politician, one Prime minister that is stood out for anything, for peace, for moral integrity not one. You only one that I even remember he's one that Obama got rid of recently, because he oppose the, he oppse the, because I(remember) Prime minister oppose the new policy of okinawa.

6分35秒〜
I think my question is to you, my question to you is why, why ? Germany horrible experience look at what they did what they need, they need for me still a peace keeping force in the world. Japan No. You are simply a satellite state, client state of United States. You have a great economy, great work ethic but you don't stand for anything.

なお以下、5分割版を一つにまとめた動画です(1は2分29秒のYouTube:以下同じ 2は5分16秒 3は9分48秒 4は4分7秒 5は3分14秒)。結合箇所はこの動画で2分29秒の所、7分45秒の所、17分33秒の所、21分40秒の所の4箇所です。4と5をつないだ場面が切れてる感じですが元動画のままです。
1 https://www.youtube.com/watch?v=Gj1OaP83vNc
2 https://www.youtube.com/watch?v=YqwTV-yEz_c
3 https://www.youtube.com/watch?v=7hi7_ACBxEc
4 https://www.youtube.com/watch?v=qV1iPXa3DfU
5 https://www.youtube.com/watch?v=2ASdgFrKa0s

 

参考:

https://twitter.com/levinassien/status/367179746552987648

 

https://twitter.com/levinassien/status/367181267613122560

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 以下、オリバー・ストーンに言及している内田樹さんのエントリを3本資料として採録。その内、特に詳しく言及している箇所

資本主義末期の国民国家のかたち
http://blog.tatsuru.com/2014/11/26_1711.php

●資本主義末期の国民国家のかたち

ご紹介いただきました内田でございます。肩書、ごらんのとおり、凱風館館長という誰も知らないような任意団体の名前の長を名乗っておりますので、こんなきちんとした学術的な集まりに呼ばれると、いたたまれない気持ちになります。
私は、基本的に全ての問題に関して素人でございまして、ですから、おまえのしゃべることには厳密性がないとか、エビデンスがないとか言われても、それはそうだよとしか言いようがありません。ただ、素人には素人の強みがありまして、何を言っても学内的な、学会内部的なバッシングを受けることはない、いくら言ったって素人なんだからいいじゃないかで全部済ませられる。
大学の教師というのは誤答を恐れる傾向がありまして、大風呂敷を広げることについては強い抑制が働く。私はその点で抑制のない人間でございまして、ほんとうは私のような野放図な人間がもう少しいたほうが、世の中、風通しがよくなってよいと思うんです。
それに意外なことに、この素人の直感が侮れない。
思い出しても愉快なことがあるんですけれども、今からもう十年近く前でしょうか、私が『街場の中国論』という本を出した後に公安調査庁の人が尋ねてまいりました。「公安調査庁です」と言って名刺を出して、「あなたのファンなんです」と言うんです。公安調査庁がファンのわけがない。(笑)
いろいろと話をしていたら、「あなたの中国論なんですけれども、この中国の共産党内部の情報をあなたはどうやって手に入れられたのか」と訊いてきた。「毎日新聞からです」とお答えしたら、随分驚いていらした。「だって、新聞で書いている情報だけだって、断片をつなぎ合わせていくと大体何が起きているくらいは想像がつきますでしょ」と申し上げたら、なかなか片づかない顔でお帰りになりました。

先般も、ちょっと自慢話になりますが、中国共産党に中央紀律委員会というものがありまして、そこが党幹部に推薦図書を指示しました。党幹部が読むべき本を五十六冊挙げて、これを読んでおくようにと、夏休みの課題図書みたいに挙げたリストの中に私の『日本辺境論』も入っておりました。日本人が書いたものは僕の本だけだったそうです。中国人の友達から聞きました。「内田さん、あなたの本、出てたよ。紀律委員長は習近平だから、習近平も認めた本だよ!」と言われました。けっこう愉快な話だと思うんですけれど、日本のメディアはあまり報道してくれなかったですね。

ことほどさように素人の直感は侮れないということで、本日は資本主義末期の国民国家の行方について一席お話しさせて頂きます。
こんなことをしゃべる資格が君にあるのかというような大ぶりの演題ですけれども、錚々たるそうそうたる政治学者の先生がたの前でしゃべらせて頂きます。先生方はやはり学問的厳密性ということを重んじられる立場にありますから、軽々なことは言えないと思うんですけれども、私は素人ですから、そういう気づかいが要らない。今日は限られた時間ではありますけれども、勝手なことを言って帰っていきたいと思います。私に期待されているのも、そういうことだと思うんです。とりあえず風呂敷だけ広げておいてください、穴はいくらあいても構いませんというのが講演依頼の趣旨だと思います。

それに、今日、実は時差ぼけなんですよね。昨日の夜、ローマから帰ってきたところで、これから時差ぼけ絶好調になってくるところなので、舌がうまく回らないんです。私、ふだん、滑舌もっといいんですけれども、今日はいつもの七割ぐらいのテンションなので、中身も七割ぐらいのクオリティーになる可能性がありますので、その点もご容赦ください。

まず、今日のテーマですが、安倍政権、なぜこのような政権が存在していて、誰が支持しているのか。戦後日本の民主主義社会からなぜこのような政体が生み出され、それに対して政官財メディアがそれなりの支持を与えているのかという、非常にわかりにくい現状を解読してみたいと思います。

現政権のありようを制度の劣化、制度の崩壊というように、先ほど山口先生がおっしゃいましたけれども、崩壊したり劣化する側にも主観的には合理性があるわけです。正しいことをしている、いいことをしている、日本の国民のためにやっているんだと、本人たちはそういうつもりでいるわけです。初めから日本を劣化させてやろうというよう悪心をもってやっているわけじゃない。我々の側から見ると、日本の制度をぶちこわしにしているようにしか見えないんですけれども、先方には主観的な合理性がある。主観的には首尾一貫性がある。たぶん正しいことをしているつもりでいる。僕としては、自分の判断をいったんかっこに入れて、彼らの側の主観的な首尾一貫性が何かということを見てゆきたいと考えています。

特に海外から見た場合に非常にわかりにくいと思いますが、日本の国家戦略が戦後一貫して「対米従属を通じての対米自立」というものです。これが戦後日本の基本的な国家戦略です。
でも、この「対米従属を通じての対米自立」ということは日本人にはわかるけれど、他国からはその理路が見えにくい。

僕は、個人的に勝手にこれを「のれん分け戦略」と呼んでいます。
日本人の場合、のれん分けというのは、わりとわかりやすいキャリアパスです。丁稚で奉公に上がって、手代になって、番頭になって、大番頭になって、ある日、大旦那さんから呼ばれて、「おまえも長いことよく忠義を尽くしてくれたね。これからは一本立ちしてよろしい。うちののれんを分けてやるから、これからは自分の差配でやりなさい」と、肩をぽんとたたかれて、独立を認められて、自分の店の主になる。そういうようなキャリアパスというか、プロモーション・システムというのは日本社会には伝統的に存在していました。
 だから、日本人にとっては、「徹底的に忠義を尽くし、徹底的に従属することによって、ある日、天賦のごとく自立の道が開ける」という構図には少しも違和感がないと思うんです。戦後日本人が「対米従属を通じての対米自立」という国家戦略に比較的簡単に飛びつけたのは、そして、そのことの「異常さ」にいまだに気がつかないでいることの一つの理由はこの「のれん分け戦略」というものが日本人の社会意識の中にかなり深く根を下ろしていたからではないかと思います。一種の伝統文化です。

対米従属を通じての対米自立というのは、敗戦直後の占領期日本においては、それなりに合理的な選択だったと思います。というよりそれ以外に選択肢がなかった。軍事的に決定的な敗北を喫して、GHQの指令に従うしかなかったわけですから。
この状態から、屈辱的な非占領状態から脱却するためには、とりあえずこの国にはもうアメリカに対して抵抗するような勢力は存在しない、レジスタンスもないし、パルチザンもないし、ソ連や中国の国際共産主義の運動と連動する勢力もないということを強く訴える必要があった。我々は、このあと軍事的な直接的占領体制から脱したとしても、決してアメリカに反発したり、アメリカに対抗する敵対勢力と同盟したりすることはありませんという誓約をなし、確証を与えないと、主権が回復できなかった。そういう切羽詰まった事情があったわけです。

その時期において、実際には面従腹背であったわけですけれども、対米従属という戦略を選んだことは、客観的にも主観的も合理的な選択だったと思います。それ以外の選択肢は事実上日本にはなかった。
ですから、吉田茂、岸信介、佐藤栄作あたりまで、一九七〇年代なかばまでの戦後政治家たちは、対米従属を通じてアメリカの信頼を獲得して、それによってアメリカに直接統治されている属国状態から、次第にフリーハンドを回復して、最終的に米軍基地がすべて撤去された後、憲法を改定して主権国家としての体面を回復する、そういうロードマップを描いていたのだと思います。アメリカから「のれん分け」してもらった後、外交についても、国防についても日本独自の戦略を展開してゆく。半世紀くらいかけてじわじわと独立を回復していく、そういう気長なスケジュールを組んでいたんだろうと思います。

そのスケジュールの選択というのは、当時の日本においては必至のものであったし、十分な合理性もあったと思います。そして、この戦略の合理性を確信させたのは、何よりも成功体験があったからです。対米従属したら、うまくいった。その成功体験があった。

一つは、一九五一年、サンフランシスコ講和条約です。戦後六年目にして、日本は形の上では独立を回復するわけですけれども、当時の国際社会の常識に照らしても、これほど敗戦国に対して寛容で融和的な講和条約というのは歴史上なかなか見い出しがたいと言われたほどに、寛大な講和条約が結ばれた。
これは、やはりそれまでの6年間の日本の対米従属の果実とみなすべきでしょう。ですから、日本の為政者たちは「対米従属戦略は正しかった」と確信することになった。対米従属によって主権の回復という大きな国益を獲得した。そういう成功体験として、サンフランシスコ講和条約は記憶されたのだろうと思います。
当分これでいこう、これだけ大きな譲歩をアメリカから得られたということは、これからさらに対米従属を続けていけばいくほど、日本の主権の回復は進んでゆくという楽観的な見通しをそのとき日本人たちは深く刻み込んだ。

あまりこういうことを言う人はいませんが、対米従属路線の二度目の成功体験は七二年の沖縄返還です。佐藤栄作首相はアメリカのベトナム戦争に対して全面的な後方支援体制をとりました。国際社会からはアメリカの帝国主義的な世界戦略に無批判に従属する日本の態度はきびしいまなざしに曝されました。僕自身も学生でしたから、なぜ佐藤栄作はこのような明らかに義のない戦争についてまで対米従属するのか、怒りを禁じ得なかったわけです。でも、イノセントな学生の目から見ると犯罪的な対米従属である佐藤栄作のふるまいも、長期的な国益という点で見ると、それなりの合理性があったわけです。義のない戦争に加担した代償として、日本は沖縄返還という外交的果実を獲得できたんですから。 

この二つの成功体験が日本人の「対米従属路線」への確信を決定づけたのだと僕は思います。少なくとも一九七二年、戦後二十七年までは「対米従属を通じての対米自立」という戦略は絵に描いた餅ではなくて、一定の現実性を持っていた。けれども、その現実性がしだいに希薄になってゆく。

人間は一度有効だった戦略に固着する傾向があります。
「待ちぼうけ」という童謡がありますね。元ネタは韓非子の「守株待兎」という逸話です。畑の隅の切り株にたまたま兎がぶつかって首の骨を折って死んだ。兎を持ち帰った農夫はそれに味をしめ、次の日からは耕作を止めて終日兎の来るのを待ち続けた。ついに兎は二度と切り株にぶつからず、畑は荒れ果てて、農夫は国中の笑いものになった。
「小成は大成を妨げる」と言いますけれども、日本はこの農夫に似ている。戦後の二つの成功体験によって、この成功体験、この戦略に居着いてしまった。国力をじっくり蓄え、文化を豊かにし、国際社会における信認を高めて、独立国、主権国家として国際社会に承認されるという迂遠な道を避け、ただ対米従属していさえすればよいという「待兎」戦略に切り替えた。

それまでの戦後政治家たちは、かなり複雑なマヌーバーを駆使して日米関係をコントロールしていたと思うんです。政治家ばかりでなく、官僚も学者や知識人も、日米関係というのは非常に複雑なゲームだということがわかっていた。それを巧みにコントロールして、できるだけ従属度を減らして、できるだけ主権的にふるまうというパワーゲームのためにそれなりの知恵を絞っていた。なにしろ、アメリカは日本にとって直近の戦争の敵国ですから、さまざまな点で国益が対立している。それを調整して、アメリカの国益増大を支援しつつ、日本の国益を増大させるというトリッキーなゲームですから、かなりの知的緊張が要求された。

ところが、僕の印象では、八〇年代から後、そういう緊張感が政治家たちに見えなくなくなってしまった。日米両国が、それぞれの国益をかけて、非常に厳しい水面下のバトルを展開しているという感じがなくなってしまった。ただ単純に対米従属してさえいればいいことがあるという思い込みに日本のエスタブリッシュメント全体が領されるようになった。対米従属をすると、「いいこと」があるという、シンプルな入力出力相関システム、いわゆる「ペニー=ガム・メカニズム」のようなものとして日米関係を構想する人たちがしだいに増えてきて、気がつけば多数派を形成するようになった。日米関係が一種の「ブラックボックス」になってしまって、「対米従属」という「ペニー銅貨」を放り込むと、「なにかいいこと」という「ガム」が出てくるという単純なメカニズム幻想が定着してしまった。そんなふうに日米関係が現実から遊離して、幻想の領域に浮き上がってしまったのが、だいたい80年代なかばから後ではないかと思います。

どうしてこんなことになったのかというと、結局は「時間の問題」だったと思います。
「対米従属を通じての対米自立」という発想そのものの合理性は、確かに論ずるまでもない。でも、時間がたってくると、その装置を管理運営する人間が入れ替わる。敗戦直後のとき、日本の外交戦略のフロントラインにいた人たちは、日米の国益の間には齟齬がある。両国の国益が一致するということは原理的にはありえないということを骨身にしみて知っていた。当たり前です、殺し合いをしてきたばかりなんですから。国益が相反するということがわかった上で、「面従腹背」のマヌーバーを展開していた。表面的にはアメリカに追随するが、本心では早くアメリカを厄介払いしたいと思っていた。
でも、面従腹背のポーズもそれが二世代三世代にわたって続くうちに変質してしまう。「面従」だけが残って、「腹背」が消えてしまう。対米従属がそのまま日本の国益増大であると頭から信じ込む人たちが増えてきた。増えてきたどころではなく、政界、財界、メディア、学会、どこでも、対米従属・日米同盟機軸以外の選択肢を考えたことがある人がいなくなってしまった。
以前、あるアメリカ政治の専門家に「日米同盟以外の安全保障の選択肢」について質問したことがありましたが、質問に驚いて絶句してしまいました。対米従属以外の政治的選択肢があるかどうかを吟味したことがなかったようでした。でも、例えば、イギリスの政治学者に「対米同盟以外の安全保障の選択肢」を訊いても、ドイツの政治学者に「EU以外の安全保障の選択肢」を訊いても、「考えたことがない」と答えることはありえないと思います。ふつうは「いまある仕組み以外の可能性」を、蓋然性がどれほど低くても、一応は考えておく。日本人だけが外交戦略において「日米同盟基軸」、つまり対米従属以外のいかなる選択肢についてもその可能性や合理性について考えない。これはあきらかに病的な症候です。

対米従属が国家戦略ではなく、ある種の病的固着となっていることがわかったのは、鳩山さんの普天間基地移転についての発言をめぐる騒ぎのときです。僕は、あのとき、報道を注視していて、ほんとうにびっくりした。あのときが、日本の大きな転換点ではなかったか思います。

鳩山首相は、普天間基地をできたら国外、せめて県外に移転したいと言ったわけです。国内における米軍基地の負担を軽減したい。できたら国外に移って欲しい、そう言った。外国の軍隊が恒常的に国内に駐留しているというのは、どの主権国家にとっても恥ずかしいことです。ふつうはそう感じます。外国の基地が常時駐留するのは誰が見ても軍事的従属国のポジションだからです。
フィリピンはアメリカの軍事的属国的なポジションの国でしたけれど、憲法を改正して外国軍の駐留を認めないことにしました。そのせいで米軍はクラーク、スーヴィックというアメリカ最大の海外基地からの撤収を余儀なくされました。韓国でも、激しい反基地運動を展開した結果、在韓米軍基地は大幅に縮小されました。ソウル市内にあった龍山基地も移転させられた。
でも、日本のメディアは、韓国やフィリピンにおける反基地運動をほとんど報道しませんでした。僕はまったく知らなかった。以前、海外特派員協会というところに呼ばれて講演したときに、司会をしていたイギリス人ジャーナリストから「韓国の反基地運動についてはどう思いますか」と質問されて、「その話を知りません」と答えたら、驚かれたことがあります。「安全保障や外交のことを話している人間が、隣国の基地問題を知らないのか?」と。でも、日本のメディアで、そんな話を聴いたことがなかった。
韓国では、長期にわたる反基地運動の結果、在韓米軍基地は縮小されています。日本では、相変わらず「半島有事に備えて」という理由で沖縄の軍事的重要性は変わらないというようなことを新聞の社説は書いている。でも、「半島有事の備え」がそれほど喫緊であるというのなら、朝鮮半島の米軍基地が縮小されている理由が説明できない。それほど北朝鮮の軍事リスクが高いなら、むしろ米軍を増強すべきでしょう。だから、そこを衝かれたくないので、日本では東アジアでの米軍基地縮小の事実そのものが報道されない。
さらにややこしいのは、韓国の場合は、そうやって米軍基地は縮小するけれども、戦時作戦統制権はまだアメリカに持っていてもらっているということです。つまり、米軍基地は邪魔だから出て行ってもらいたいけれど、北朝鮮と一戦構えるときには米軍に出動して欲しいので、戦時作戦統制権だけはアメリカに押しつけている。そうやってアメリカをステークホルダーに巻き込むという、かなりトリッキーな米韓関係を展開しています。
でも、これは主権国家としては当然のことなのです。米軍は平時はいると邪魔だが、非常時には必要になる。韓国側の自己都合でそういう勝手なことを言っている。主権国家というのは「そういうもの」です。自国の国益を優先して勝手なことを言うことのできる国のことです。韓国はその点で主権国家です。

フィリピンもそうです。一旦は米軍基地を邪魔だから出て行けと追い出しておきながら、南シナ海で中国との領土問題が起きてくると、やはり戻ってこいと言い始めた。言っていることは首尾一貫していないようですが、首尾一貫している。自国の国益を最優先している。

その中にあって、日本だけが違う。それぞれの国が自国の国益を追求していって、他国の国益との間ですり合わせをしていって、落としどころを探していく。これが本来の主権国家同士の外交交渉のはずですが、日本だけはアメリカ相手にそういうゲームをしていない。アジア諸国がアメリカと五分でシビアな折衝をしている中で、日本だけがアメリカに何も要求しないで、ただ唯々諾々とその指示に従っている。それどころか、近隣の国がアメリカ相手に堂々とパワーゲームを展開しているというニュース自体が、日本ではほとんど報道されない。

その鳩山さんの件ですけれども、鳩山さんは、国内に米軍基地、外国軍の基地があるということは望ましいことではないと言ったわけです。当たり前ですよね。主権国家としては、当然、そう発言すべきである。沖縄の場合は、日本国土の0.6%の面積に、国内の七五%の米軍基地が集中している。これは異常という他ない。この事態に対して、基地を縮小して欲しい、できたら国外に撤去していただきたいということを要求するのは主権国家としては当然のことなわけです。けれども、この発言に対しては集中的なバッシングがありました。特に外務省と防衛省は、首相の足を引っ張り、結果的に首相の退陣の流れをつくった。
アメリカから「鳩山というのはどうもアメリカにとって役に立たない人間だから、首相の座から落とすように」という指示があったと僕は思っていません。そんな内政干渉になるような指示をしなくても、鳩山が首相でいると、アメリカの国益が損なわれるリスクがあるから、引きずり下ろそうということを考える政治家や官僚がいくらも日本国内にいるからです。メディアも連日、「アメリカの信頼を失った鳩山は辞めるべきだ」という報道をしていました。なぜ、日本の首相が米軍基地の縮小や移転を求めたことが日本の国益を損なうことになるのか、僕には理由がわかりませんでした。
この事件は「アメリカの国益を最大化することが、すなわち日本の国益を最大化することなのである」という信憑を日本の指導層が深く内面化してしまった、彼らの知的頽廃の典型的な症状だったと思っております。

 

映画監督のオリバー・ストーンが、2013年に日本に来て、広島で講演をしたことがありました。これも日本のメディアは講演内容についてはほとんど報道しませんでした。オリバー・ストーンが講演で言ったのはこういうことです。
日本にはすばらしい文化がある、日本の映画もすばらしい、音楽も美術もすばらしいし、食文化もすばらしい。けれども、日本の政治には見るべきものが何もない。あなた方は実に多くのものを世界にもたらしたけれども、日本のこれまでの総理大臣の中で、世界がどうあるべきかについて何ごとかを語った人はいない。一人もいない。Don’t stand for anything 彼らは何一つ代表していない。いかなる大義も掲げたことがない。日本は政治的にはアメリカの属国(client state)であり、衛星国(satellite state)である、と。これは日本の本質をずばりと衝いた言葉だったと思います。アメリカのリベラル派の人たちのこれが正直な見解でしょう。

 

日本はたしかにさまざまな力を持っている。経済力も文化力もある。平和憲法を維持して、戦争にコミットせずに来た。けれども、国際社会に向けて発信するようなメッセージは何にも持っていない。アメリカに追随するという以外の独自の政治的方向性を持っていない。これは、アメリカ人のみならず、国際社会から見たときの日本に対する典型的な印象ではないかと思います。
そのとき、オリバー・ストーンは「そういえば、先般、オバマに逆らって首にされた総理大臣が一人いたが」と言っておりましたけれども、これはもちろんオリバー・ストーンの勘違いであります。別にオバマに逆らったから、オバマによって首にされたわけではなくて、彼を首にしたのは日本人だったからです。
首相が日本の国益を代表して、素直に国土を回復したい、主権を回復したいということをアメリカに伝えたら、寄ってたかって日本人がそれを潰したという事実そのものが日本の罹患した病の徴候だったと僕は思います。アプローチは拙劣だったかも知れないが、首相の主張は正しいという擁護の論陣を張ったメディアは僕の知る限りありませんでした。アメリカの信頼を裏切るような政治家に国政は託せないというのがほとんどすべてのメディアの論調でした。「ちょっと、それはおかしいんじゃないか」と言う人がほとんどいなかったことを僕は「おかしい」と思いました。
主権国家が配慮するのは、まず国土の保全、国民の安寧、通貨の安定、外交や国防についての最適政策の選択、そういったことだと思います。主権の第一条件である「国土の回復」を要求した従属国の首相が、国土を占領している宗主国によってではなくて、占領されている側の自国の官僚や政治家やジャーナリストによって攻撃を受ける。これは倒錯的という他ありません

なぜこのような病的傾向が生じたのか。それは「対米従属を通じての対米自立」という敗戦直後に採用された経験則を、その有効性についてそのつど吟味することなく、機械的にいまだに適用し続けているせいだと思います。でも、考えてもみてください。1972年の沖縄返還から後は、もう42年経っている。その間、アメリカから日本が奪還したものは何一つないわけです。42年間、日本は対米従属を通じて何一つ主権を回復していないんです。対米従属は日本にこの42年間、何一つ見るべき果実をもたらしていないという現実を「対米従属論者」はどう評価しているのか。このままさらにもう50年、100年この「守株待兎」戦略を継続すべきだという判断の根拠は何なのか。これを続ければ、いつ沖縄の基地は撤去されるのか、横田基地は戻って来るのか。それを何も問わないままに、前例を踏襲するという前例主義によって対米従属が続いている。

アメリカから見ると、日本側のプレイヤーの質が変わったということは、もうある段階で見切られていると思うんです。それまで日本は、それなりにタフなネゴシエーターであった。対米従属のカードを切った場合には、それに対する見返りを要求してきた。しかし、ある段階から、対米従属が制度化し、対米従属的なマインドを持っている人間だけしか日本国内のヒエラルキーの中で出世できないような仕組みになった。それから、相手にするプレイヤーが変わったということに、アメリカはもう気づいていると思います。
かつてのプレイヤーは対米従属を通じて、日本の国益を引き出そうとしていたわけですけれど、いまのプレイヤーたちは違う。アメリカの国益と日本の国益という本来相反するはずのものを「すり合わせる」ことではなく、アメリカの国益を増大させると「わが身によいことが起こる」というふうに考える人たちが政策決定の要路に立っている。
現に、これまで対米従属路線を疑うことなくひた走ってきたせいで「今日の地位」を得た人たちがそこにいるわけですから、彼らがこれからも対米従属路線をひた走ることはとどめがたい。彼らにおいては、いつのまに国益追求と自己利益の追求がオーバーラップしてしまっている。何のための対米従属かというと、とりあえず、そうすると「わが身にはよいことが起こる」のが確実だからです。
植民地において、植民地原住民であるにもかかわらず、宗主国民にすりよって、その便宜をはかる代わりに、政治的経済的な見返りを要求するものは清朝末期に「買弁」と呼ばれました。今の日本の指導層は、宗主国への従属的ポーズを通じて、自己利益を増大させようとしている点において、すでに「買弁的」であると言わざるを得ないと僕は思っています。

では、この後、日本は一体どうやって主権回復への道を歩んでいったらいいのか。
今、アメリカから見て、日本というのは非常に不可解な国に見えていると思います。
かつての吉田茂以来の日本のカウンターパートは、基本的に日本の国益を守るためにアメリカと交渉してきた。その動機は明確だった。けれども、ある段階から、そうでなくなってきてしまった。対米従属戦略が面従腹背の複雑なタクティクスであることを止めて、疑い得ない「国是」となってしまった。それによって日本の国益が少しも増大しないにもかかわらず、対米従属することに誰も反対できない。そういう仕組みが四十年間続いている。
そうすると、アメリカは日本の政治家をどう見るか。交渉する場合、日本の代表者が自国の国益を増大しようと思っているのであるならば、そこで展開するゲームには合理性があるわけです。アメリカの国益と日本の国益というのは、利害が相反する点があり、一致する点がある。そのすりあわせをするのが外交だった。ところが、いつのまにか、あきらかに日本の国益を害することが確実な要求に対しても、日本側が抵抗しなくなってきた。そのふるまいは彼らが日本の国益を代表していると考えると理解できない。日本を統治している人たちが、自国の国益の増大に関心がないように見えるわけですから。

例えば、特定秘密保護法です。特定秘密保護法というものは、要するに民主国家である日本が、国民に与えられている基本的な人権である言論の自由を制約しようとする法律です。国民にとっては何の利もない。なぜ、そのような反民主的な法律の制定を強行採決をしてまで急ぐのか。
理由は「このような法律がなければアメリカの軍機が漏れて、日米の共同的な軍事作戦の支障になる」ということでした。アメリカの国益を守るためにであれば、日本国民の言論の自由などは抑圧しても構わない、と。安倍政権はそういう意思表示をしたわけです。そして、アメリカの軍機を守るために日本国民の基本的人権を制約しましたとアメリカに申し出たわけです。日本の国民全体の利益を損なうことを通じて、アメリカの軍機を守りたい、と。言われたアメリカからしてみたら、「ああ、そうですか。そりゃ、どうも」という以外に言葉がないでしょう。たしかにそうおっしゃって頂けるのはまことにありがたいことではあるえれど、一体何で日本政府がそんなことを言ってくるのか、実はよくわからない。なぜ日本は国民の基本的人権の制約というような「犠牲」をアメリカのために捧げるのか。

『街場の戦争論』(ミシマ社刊)にも書きましたけれども、そもそも国家機密というのは、政府のトップレベルから漏洩するから危険なわけです。ご存じのとおり、イギリスのキム・フィルビー事件というのがありました。MI6の対ソ連諜報部の部長だったキム・フィルビーが、ずっとソ連のスパイであって、イギリスとアメリカの対ソ連情報はすべてソ連に筒抜けだったという戦後最大のスパイ事件です。それ以来、諜報機関の中枢からの機密漏洩はどうすれば防げるかというのが、インテリジェンスについて考える場合の最大の課題なわけです。
その前にも、イギリスではプロヒューモ事件というものがありました。陸軍大臣が売春婦にいろいろと軍機を漏らしてしまった。でも、ピロートークで漏れる秘密と、諜報機関のトップから漏れる秘密では機密の質が違います。ですから、ほんとうに真剣に諜報問題、防諜の問題を考えるとすれば、どうやって国家の中枢に入り込んでしまった「モグラ」からの情報漏洩を防ぐかということが緊急の課題になるはずです。
けれども、今回の特定秘密保護法は、世界が経験した史上最悪のスパイ事件については全く配慮していない。キム・フィルビー事件のようなかたちでの機密漏洩をどうやって防ぐかということに関しては誰も一秒も頭を使っていない。そういうことは「ない」ということを前提に法律が起案されている。つまり、今現に、日本で「キム・フィルビー型の諜報活動」を行っている人間については、「そのようなものは存在しない」とされているわけです。彼らは未来永劫にフリーハンドを保証されたことになる。いないものは探索しようもないですから。
現に国家権力の中枢から国家機密が漏洩しているということは、日本ではもう既に日常的に行われていると僕は思っています。どこに流れているか。もちろんアメリカに流れている。政治家でも官僚でもジャーナリストでも、知る限りの機密をアメリカとの間に取り結んだそれぞれの「パイプ」に流し込んでいる。それがアメリカの国益を増大させるタイプの情報であれば、その見返りは彼らに個人的な報奨としてリターンされてくる。結果的に政府部内や業界内における彼らの地位は上昇する。そして、彼らがアメリカに流す機密はますます質の高いものになる。そういう「ウィン・ウィン」の仕組みがもう出来上がっている、僕はそう確信しています。特定秘密保護法は、「機密漏洩防止」ではなく、彼らの「機密漏洩」システムをより堅牢なものとするための法律です。アメリカの国益増大のために制定された法律なんですから、その法律がアメリカの国益増大のための機密漏洩を処罰できるはずがない。
特定秘密保護法にアメリカが反対しなかったというのは、自国民の基本的人権を制約してまでアメリカの軍機を守るという法律制定の趣旨と、権力中枢からの情報漏洩については「そのようなものは存在しない」という前提に立つ法整備に好感を抱いたからです。これから先、日本政府の中枢からどのようなかたちで国家機密がアメリカに漏洩しようとも、いったん「特定秘密」に指定された情報については、それが何であるか、誰がそれをどう取り扱ったか、すべてが隠蔽されてしまう。どれほど秘密が漏洩しても、もう誰にもわからない。

もし、僕がアメリカの国務省の役人だったら、日本人は頭がおかしくなったのかと思ったはずです。たしかにアメリカにとってはありがたいお申し出であるが、何でこんなことをするのかがわからない。どう考えてみても日本の国益に全く資するところがない。そもそも防諜のための法律として機能しそうもない。そのようなザル法を制定する代償として、自国民の基本的人権を抑圧しようという。言論の自由を制約してまで、アメリカに対してサービスをする。たしかにアメリカ側としては断るロジックがありません。わが国益よりも民主主義の理想の方が大切だから、そんな法律は作るのを止めなさいというようなきれいごとはアメリカ政府が言えるはずがない。日本からの申し出を断るロジックはないけれど、それでも日本人が何を考えているかはわからない。いったい、特定秘密保護法で日本人の誰がどういう利益を得るのか?
日本政府が日本の国益を損なうような法律を「アメリカのために」整備したのだとすれば、それは国益以外の「見返り」を求めてなされたということになる。国益でないとすれば何か。現政権の延命とか、政治家や官僚個人の自己利益の増大といったものを求めてなされたとみなすしかない。
現に、米国務省はそう判断していると思います。日本政府からの「サービス」はありがたく受け取るけれど、そのようにしてまでアメリカにおもねってくる政治家や官僚を「日本国益の代表者」として遇することはしない、と。

集団的自衛権もそうです。集団的自衛権というのは、何度も言っていますけれども、平たく言えば「他人の喧嘩を買う権利」のことです。少なくともこれまでの発動例を見る限りは、ハンガリー動乱、チェコスロバキア動乱、ベトナム戦争、アフガニスタン侵攻など、ソ連とアメリカという二大超大国が、自分の「シマ内」にある傀儡政権が反対勢力によって倒されそうになったときに、「てこ入れ」するために自軍を投入するときの法的根拠として使った事例しかない。
何で日本が集団的自衛権なんか行使したがるのかが、ですから僕にはさっぱりわからない。いったいどこに日本の「衛星国」や「従属国」があるのか。海外のどこかに日本の傀儡政権があるというのであれば、話はわかる。その親日政権が民主化運動で倒れかけている。しようがないから、ちょっと軍隊を出して反対勢力を武力で弾圧して、政権のてこ入れをしてこようというのであれば、ひどい話ではあるけれども、話の筋目は通っている。でも、日本にはそんな「シマうち」の国なんかありません。
結局、集団的自衛権の行使というのは、現実的にはアメリカが自分の「シマうち」を締めるときにその海外派兵に日本もくっついていって、アメリカの下請で軍事行動をとるというかたちしかありえない。アメリカの場合、自国の若者が中東や西アジアやアフリカで死ぬということにもう耐えられなくなっている。意味がわからないから。でも、海外の紛争には介入しなければならない。しかたがないから、何とかして「死者の外部化」をはかっている。無人飛行機を飛ばしたり、ミサイルを飛ばしたりしているというのは、基本的には生身の人間の血を流したくないということです。攻撃はしたいけれども、血は流したくない。だから、民間の警備会社への戦闘のアウトソーシングをしています。これはまさに「死者の外部化」に他なりません。たしかに、これによって戦死者は軽減した。でも、その代わり莫大な財政上の負荷が生じた。警備会社、要するに傭兵会社ですけれど、めちゃくちゃな値段を要求してきますから。アメリカは、その経済的な負担に耐えることができなくなってきている。
そこに日本が集団的自衛権の行使容認を閣議決定しましたと言ったら、アメリカ側からしてみると大歓迎なわけです。これまで民間の警備会社にアウトソーシングして、莫大な料金を請求されている仕事を、これから自衛隊が無料でやってくれるわけですから。願ってもない話なわけですよね。「やあ、ありがとう」と言う以外に言葉がない。
ただ、「やあ、ありがとう」とは言いながら、何で日本がこんなことをしてくれるのか、その動機についてはやっぱり理解不可能である。
アメリカが金を払って雇っている傭兵の代わりに無料の自衛隊員を使っていいですというオファーを日本政府はしてきているわけで、それがどうして日本の国益増大に資することになるのか、アメリカ人が考えてもわからない。
つまり、確かに日本政府がやっていることはアメリカにとってはありがたいことであり、アメリカの国益を増すことではあるんだけれども、それは少しも日本の国益を増すようには見えない。これから自衛隊が海外に出ていって、自衛隊員がそこで死傷する。あるいは、現地人を殺し、町を焼いたりして、結果的に日本そのものがテロリストの標的になるという大きなリスクを抱えることになるわけです。戦争にコミットして、結果的にテロの標的になることによって生じる「カウンターテロのコスト」は巨大な額にのぼります。今の日本はテロ対策のための社会的コストをほとんど負担していないで済ませている。それをいきなり全部かぶろうというわけですから、アメリカとしては「やあ、ありがとう」以外の言葉はないけれど、「君、何を考えてそんなことするんだ」という疑念は払拭できない。

僕はいつも自分がアメリカ国務省の小役人だったらという想定で物を考えるんですけれども、上司から「内田君、日本は特定秘密保護法といい、集団的自衛権行使容認といい、アメリカのためにいろいろしてくれているんだけれど、どちらも日本の国益に資する選択とは思われない。いったい日本政府は何でこんな不条理な決断を下したのか、君に説明できるかね」と問われたら、どう答えるか。
たしかに、国益の増大のためではないですね。沖縄返還までの対米従属路線であれば、日本が犠牲を払うことによってアメリカから譲歩を引き出すというやりとりはあったわけですけれども、この間の対米従属をみていると、何をめざしてそんなことをしているのか、それがよく見えない。たぶん、彼らは国益の増大を求めているのではないんじゃないかです、と。そう答申すると思います。
今、日本で政策決定している人たちというのは、国益の増大のためにやっているのではなくて、ドメスチックなヒエラルキーの中で出世と自己利益の拡大のためにそうしているように見えます。つまり、「国民資源をアメリカに売って、その一部を自己利益に付け替えている」というふうに見立てるのが適切ではないかと思います、と。 

国民資源というのは、日本がこれから百年、二百年続くためのストックのことです。それは手を着けてはいけないものです。民主制という仕組みもそうだし、国土もそうだし、国民の健康もそうだし、伝統文化もそうです。でも、今の日本政府はストックとして保持すべき国民資源を次々と商品化して市場に流している。それを世界中のグローバル企業が食いたい放題に食い荒らすことができるような仕組みを作ろうとしている。そんなことをすれば、日本全体としての国民資源は損なわれ、長期の国益は逓減してゆくわけですけれども、政官財はそれを主導している。彼らのそういう気違いじみた行動を動機づけているものは何かと言ったら、それが国益の増大に結びつく回路が存在しない以上、私利私欲の追求でしかないわけです。
自傷的、自滅的な対米従属政策の合理的な根拠を求めようとすれば、それは、対米従属派の人たち自身がそこから個人的に利益を得られる仕組みになっているからという以外に「国務省の役人になったと想像してみた内田」のレポートの結論はありません。

対米従属すればするほど、社会的格付けが上がり、出世し、議席を得、大学のポストにありつき、政府委員に選ばれ、メディアへの露出が増え、個人資産が増える、そういう仕組みがこの42年間の間に日本にはできてしまった。この「ポスト72年体制」に居着いた人々が現代日本では指導層を形成しており、政策を起案し、ビジネスモデルを創り出し、メディアの論調を決定している。

ふつう「こういうこと」は主権国家では起こりません。これは典型的な「買弁」的な行動様式だからです。植民地でしか起こらない。買弁というのは、自分の国なんかどうだって構わない、自分さえよければそれでいいという考え方をする人たちのことです。日本で「グローバル人材」と呼ばれているのは、そういう人たちのことです。日本的文脈では「グローバル」という言葉をすべて「買弁」という言葉に置き換えても意味が通るような気がします。文科省の「グローバル人材育成」戦略などは「買弁人材育成」と書き換えた方がよほどすっきりします。

安倍さんという人は、一応、戦後日本政治家のDNAを少しは引き継いでいますから、さすがにべったりの対米従属ではありません。内心としては、どこかで対米自立を果さなければならないと思ってはいる。けれども、それを「国益の増大」というかたちではもう考えられないんです。そういう複雑なゲームができるだけの知力がない。
だから、安倍さんは非常にシンプルなゲームをアメリカに仕掛けている。アメリカに対して一つ従属的な政策を実施した後には、一つアメリカが嫌がることをする。
ご存じのとおり、集団的自衛権成立の後に、北朝鮮への経済制裁を一部解除しました。沖縄の仲井真知事を説得して辺野古の埋め立て申請の承認を取り付けた後はすぐに靖国神社に参拝しました。つまり、「アメリカが喜ぶこと」を一つやった後は、「アメリカが嫌がること」を一つやる。おもねった後に足を踏む。これが安倍晋三の中での「面従腹背」なのです。日米の国益のやりとりではなく、アメリカの国益を増大させた代償に、「彼が個人的にしたいことで、アメリカが厭がりそうなこと」をやってみせる。主観的には「これで五分五分の交渉をしている」と彼は満足しているのだろうと思いますけれど、靖国参拝や北朝鮮への譲歩がなぜ日本国益の増大に結びつくのかについての検証はしない。彼にとっては「自分がしたいことで、アメリカが厭がりそうなこと」ではあるのでしょうけれど、それが日本の国益増に資する政策判断であるかどうかは吟味することさえしていない。
「対米従属を通じての対米自立」という戦後日本の国家戦略はここに至って、ほとんど戯画のレベルにまで矮小化されてしまったと思います。
だから、これから後も彼は同じパターンを繰り返すと思います。対米譲歩した後に、アメリカが厭がりそうなことをする。彼から見たら、五ポイント譲歩したので、五ポイント獲得した。これが外交だ、と。彼自身は、それによって、アメリカとイーブンパートナーとして対等な外交交渉をしているつもりでいると思うんです。

時間がもうあと十分しかないので、では一体これから我々はどうやって主権国家として、主権国家への道を歩んだらいいかということを述べたいと思います。

国というものを、皆さんはたぶん水平的に表象していると思います。
ビジネスマンはそうです。今期の収益とか、株価ということばかり考えている人は、それと同じように国のことも考える。ですから、世界を水平的に、二次元的に「地図」として表象して、その中での自分たちの取り分はどれぐらいか、パイのどれぐらいを取っているか。そういうような形で国威や国力を格付けしてようとしている。けれども、本来の国というのは空間的に表象するものではない、僕はそう思っています。地図の上の半島の広さとか、勢力圏というものを二次元的に表象して、これが国力であると考えるのは、間違っていると思う。

国というのはそういうものではなくて、実際には垂直方向、時間の中でも生きているものです。我々がこの国を共有している、日本なら日本という国の構成メンバーというのは、同時代に生きている人間だけではない。そこには死者も含まれているし、これから生まれてくる子供たちも含まれている。その人たちと、一つの多細胞性物のような共生体を私たちは形づくっている。そこに、国というもののほんとうの強みがあると思います。

鶴見俊輔さんは、開戦直前にハーバード大学を卒業するわけですけれども、そのときにアメリカに残るか、交換船で日本に帰るかという選択のときに、日本に帰るという選択をします。自分は随分長くアメリカにいて、英語で物を考えるようになってしまったし、日本語もおぼつかなくなっている。そもそも日本の政治家がどの程度の人物かよくわかっているし、多分、日本はこれから戦争をやったら負けるだろう。そこまでわかっていたけれども、日本に帰る、そう決意する。そのときの理由として鶴見さんが書いているのは、負けるときには自分の「くに」にいたい、ということでした。

「くに」とともに生き死にしたいというのは、これは、やはりすごく重たいことだと思うんです。この感覚というのは、なかなか政治学の用語ではうまく語り切ることができないんですけれども、簡単に想像の共同体だ、共同幻想だとか言い切られてしまっては困る。というのは、実際に、我々日本人は、現在列島に居住する一億三千万人だけでなく、死者たちも、これから生まれてくる子供たちも、同じ日本人のフルメンバーであるからです。ですから、過去の死者たちに対しては、彼らが犯した負債に関しては、我々は受け継がなければいけない。そして、できたら完済して、できなければ、できるだけ軽減して、次世代に送り出さなければいけない。その仕事が僕らに課されているだろうと思っています。

今の日本ではグローバリズムとナショナリズムが混交しています。グローバリストはしばしば同時に暴力的な排外主義者でもある。僕はそれは別に不思議だとは思わない。それは彼らがまさに世界を二次元的に捉えていることの結果だと思うんです。グローバルな陣地取りゲームで、自分たちの「取り分」「シェア」を増やそうとしている。その点ではグローバル資本主義者と排外的ナショナリストはまったく同型的な思考をしている。
そして、排外主義ナショナリストというのは、伝統文化に関して全く関心を示しません。死者に対して関心がないからです。彼らにとって死者というのは、自説の傍証として便利なときに呼び出して、使役させるだけの存在です。都合のいいときだけ都合のよい文脈で使って、用事がなければ忘れてしまう。自分に役立つ死者は重用するけれど、自説を覆す死者や、自説に適合しない死者たちは「存在しないこと」にして平気です。それはかれらが「くに」を考えているときに、そこには死者もこれから生まれてくる人たちも含まれていないからです。

でも、僕たちが最終的に「くに」を立て直す、ほんとうに「立て直す」ところまで追い詰められていると思うんですけれども、立て直すときに僕らが求める資源というのは、結局、二つしかないわけです。
一つは山河です。国破れて山河あり。政体が滅びても、経済システムが瓦解しても、山河は残ります。そこに足場を求めるしかない。もう一つは死者です。死者たちから遺贈されたものです。それを僕たちの代で断絶させてはならない。未来の世代に伝えなければならないという責務の感覚です。

山河というのは言語であり、宗教であり、生活習慣であり、食文化であり、儀礼祭祀であり、あるいは山紫水明の景観です。我々自身を養って、我々自身を生み、今も支えているような、人工的なものと自然資源が絡み合ってつくられた、一つの非常に複雑な培養器のようなもの、僕はそれを山河と呼びたいと思っています。山河とは何かということを、これから先、僕はきちんと言葉にしていきたいと思っています。

もう一つは死者たちです。死者たちも、未来の世代も、今はまだ存在しない者も、我々のこの国の正規のフルメンバーであって、彼らの権利、彼らの義務に対しても配慮しなければいけない。

僕は合気道をやっているわけですけれども、経験的にわかることの一つというのは、例えば体を動かすと、自分の体の筋肉、骨格筋とか、関節とか、そういうものを操作しようと思って、具体的に、今、存在するものをいじくっていっても体は整わないということです。
しかし、例えば今、手の内に刀を持っている。ここに柄があって、刃筋があって、切っ先がそこにある。手に持っていないものをイメージして体を使うと、全身が整う。
これは長く稽古してよくわかったことなんですけれども、実際には、我々は今、存在するもの、そこに具体的に物としてあるものを積み上げていって、一つの組織や集団をつくっているのではなくて、むしろ「そこにないもの」を手がかりにして、組織や身体、共同体というものを整えている。これは、僕は実感としてわかるんです。

今、日本人に求められているものというのは、日本人がその心身を整えるときのよりどころとなるような「存在しないもの」だと思います。存在しないのだけれど、ありありと思い浮かべることができるもの、それを手にしたと感じたときに、強い力が発動するもの、自分の体が全部整っていて、いるべきときに、いるべきところにいるという実感を与えてくれるもの。太刀というのは手を延長した刃物ではなくて、それを握ることによって体が整って、これを「依代」として巨大な自然の力が体に流れ込んでくる、そういう一つの装置なわけです。それは、手の内にあってもいいし、なくてもいい。むしろ、ないほうがいいのかも知れない。

今、日本が主権国家として再生するために、僕らに必要なものもそれに近いような気がします。存在しないもの、存在しないにもかかわらず、日本という国を整えて、それをいるべきときに、いるべきところに立たせ、なすべきことを教えてくれるようなもの。そのような指南力のある「存在しないもの」を手がかりにして国を作って行く。
日本国憲法はそのようなものの一つだと思います。理想主義的な憲法ですから、この憲法が求めている「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去する」ことはたぶん未来永劫実現しない。地上では実現するはずがない。でも、そのような理想を掲げるということは国のかたちを整える上で非常に有効なわけです。何のためにこの国があるのか、自分の国家は何を実現するために存在するのかということを知るためには、我々が向かっている、ついにたどりつくことのない無限消失点なるものをしっかりとつかまなければいけない。それなしではどのような組織も立ちゆきません。

これからどうやって日本という国を立て直していくのか考えるときには、つねに死者たちと、未だ生まれてこざる者たちと、生きている自分たちが一つの同胞として結ばれている、そういう考え方をするしかないのかなと思っております。
これから日本は一体どうなっていくのか。実は、僕はあまり悲観していないんです。ここまでひどい政権だと、いくら何でも長くは保たないと思うんです。特に、隣国や国際社会の諸国から、もうちょっと合理的な思考をする政治家に統治してもらいたいという強い要請があると思うんです。そうでないと外交がゲームにならないから。

現在の日本の安倍政権というのは、アメリカとも、中国とも、韓国とも、北朝鮮とも、ロシアとも、近隣の国、どこともが外交交渉ができない状態ですね。ほとんど「来なくていい」と言われているわけです。安倍さんが隣国のどことも実質的な首脳会談ができないのは、彼の国家戦略に対して、ほかの国々に異論がある、受け入れらないということではないと思います。日本の国家戦略がわからないからですよね。それでは、交渉しようがない。

安倍さんが選択している政策は、あるいは単なる政治的延命のためのものなのかと思ったら、外国は怖くて、こんな人とは外交交渉はできないでしょう。個人的な政治的延命のために国政を左右するような人間とは誰だって交渉したくない。あまりに不安定ですから。国と国との約束は、そこで約束したことが五年、十年後もずっと継続する、国民の意思を踏まえていないと意味がない。でも、安倍さんの外交はどう見ても国民の総意を代表しているものとは思われない。日本国民が「代表してもらっていない」と思っているというのではなく、諸国の首脳が「この人の言葉は国の約束として重んじることができるのか」どうか疑問に思っているからです。ですから、これから先、安倍政権である限り、対米、対中、対韓、対ロシアのどの外交関係もはかばかしい進展はないと思います。どの国も「次の首相」としてもう少しもののわかった人間が出てくることを待っていて、それまでは未来を縛るような約束は交わさないつもりでいると思います。
安倍政権に関しては、僕はそれほど長くは保たないと思います。既に自民党の中でも、次を狙っている人たちが動き出している。ただ、先ほど話したように、対米従属を通じて自己利益を増すという「買弁マインド」を持った人たちが、現在の日本のエスタブリッシュメントを構築しているという仕組み自体には変化がない以上、安倍さんが退場しても、次に出てくる政治家もやはり別種の「買弁政治家」であることに変わりはない。看板は変わっても、本質は変わらないと思います。

どうやったらこのような政治体制を批判できるのか。僕が学術というものを最終的に信じているのはそこなんです。為政者に向かって、あなた方はこういうロジックに従ってこのような政策判断をして、あなた方はこういう動機でこの政策を採用し、こういう利益を確保しようとしている、そいうことをはっきり告げるということです。理非はともかく、事実として、彼ら政治家たちがどういうメカニズムで動いているものなのかをはっきりと開示する。本人にも、国民全体にも開示する。別に彼らが際立って邪悪であるとか、愚鈍であるとか言う必要はない。彼らの中に走っている主観的な首尾一貫性、合理性をあらわにしてゆく。その作業が最も強い批評性を持っているだろうと僕は思います。

僕は、知恵と言葉が持っている力というのはとても大きいと思うんです。面と向かって、「おまえは間違っている」とか、「おまえは嫌いだ」とか言ってもだめなんです。そうではなくて、「あなたはこう考えているでしょう。だから、次、こうするでしょう。あなたの内的ロジックはこうだから、あなたがすることが私には予見できる」と。民話に出てくる「サトリ」ではないですけれど、他人におのれ思考の内的構造を言い当てられると、人間はフリーズしてしまって、やろうと思っていたことができなくなってしまう。人の暴走を止めようと思ったら、その人が次にやりそうなことをずばずば言い当てて、そのときにどういう大義名分を立てるか、どういう言い訳をするか、全部先回りして言い当ててしまえばいい。それをされると、言われた方はすごく嫌な気分になると思うんです。言い当てられたら不愉快だから、それは止めて、じゃあ違うことをやろうということになったりもする。そういうかたちであれば、口説の徒でも政治過程に関与することができる。僕はそういうふうに考えています。

立憲デモクラシーの会には多くの知性が集合しているわけですが、僕はこういうネットワークを政治的な運動として展開するということには実はあまり興味がないんです。その政治的有効性に対しても、わりと懐疑的なんです。真に政治的なものは実は知性の働きだと思っているからです。
今、何が起きているのか、今、現実に日本で国政の舵をとっている人たちが何を考えているのか、どういう欲望を持っているのか、どういう無意識的な衝動に駆動されているのか、それを白日のもとにさらしていくという作業が、実際にはデモをしたり署名を集めたりするよりも、時によっては何百倍何千倍も効果的な政治的な力になるだろうと僕は信じております。

これからもこういう厭みな話をあちこちで語り続ける所存でございます。何とかこの言葉が安倍さんに届いて、彼がすごく不愉快な気分になってくれることを、そして俺はこんなことを考えているのかと知って、ちょっと愕然とするという日が来ることを期待して、言論活動を続けてまいりたいと思っております。皆さん方のご健闘を祈っております。ご清聴、どうもありがとうございました。

 

共同通信のインタビュー
http://blog.tatsuru.com/2014/12/05_0858.php

共同通信のインタビューがあり、配信が始まった。地方紙が主なので、お読みになれない方もいると思うので、こちらに再録。選挙を前にして政治状況を俯瞰する「いつもの話」であるが、今回は「脱市場」という点にすこし軸足を置いて話している。
どぞ。

―景気の足踏みを理由に消費税引き上げが先送りされた

個人消費が冷え込んでいるが、その背後には「生活に必要なすべての財を、市場で商品として購入する」という私たちが知っている以外の経済活動、「非市場的交易」が広まりつつあるという事実がある。
メディアはほとんど報じないが、原発事故以降「帰農」が大きなムーブメントになっている。それと並行して生産者と消費者が市場を介さないで、「顔と顔」のネットワークの中で財やサービスを交易するという動きが広まっている。
貨幣を介さない経済活動が広まることを政府は嫌う。それは政府のコントロールを離れた経済活動であり、経済指標にも捕捉されないし、課税することもできないからだ。政府がここに来て慌てて「地方創生」を言い始めたのは、地方の経済的てこ入れという目的以外に、政府・自治体・企業主導で地方の経済活動を抑え、個人や中間共同体主導の「顔と顔の」交易活動の広がりを許さないという狙いもあると私は見ている。
けれども、生きるために必要なすべての財は賃労働で得た貨幣をもって市場で購入しなければならないという仕組みの不合理性に都市部の若い労働者は気づき始めた。都市部で労働力を売ることではもう食えない、家族も持てないというところまで雇用条件が劣化したのである。帰農する人たちは、より人間的な生活を求めて都市部から地方へ「押し出され」ているのである。

―アベノミクス効果は届かないか

安倍政権はグローバル企業の収益増大のことしか考えていない。そのためには「国家は株式会社のように運営されるべきだ」と信じている。特定秘密保護法の制定も解釈改憲もその文脈で理解されると思う。経済活動にとって、民主制は意思決定を遅らせる足かせでしかない。だから、株式会社のCEOがトップダウンで決定を下すような、トップが専決する仕組みをめざしている。表現の自由を制約する特定秘密保護法も、行政府による解釈改憲で「戦争ができる」道を開いたことも、「行政府への権限集中」という大きな流れの中で起きている。
国家の株式会社化に国民が反対しないのは、人口の過半が株式会社の従業員となり、彼ら自身、組織モデルとして株式会社しか知らないからである。株式会社には民主主義も合意形成もない。トップがすべてを決めて、経営判断の適否は従業員ではなく市場が決める。株式会社従業員マインドが日本国民の「常識」となった時点で、国民は国家もまた株式会社のように管理運営されるのが「当然」だと思うようになった。彼らが安倍政権を支持している。
農村人口が50%を超えていた時代なら「国家の株式会社化」などという構想に共感する人はほとんどいなかっただろう。なぜなら村落共同体では集団の目的は「成長する」ことではなく「存続する」ことだったからである。政策判断の適否は「この共同体が100年後も存続していること」という事実によって事後的に判断された。単年度の成長率やGDPの前年比などでは、自分たちの下した決断の正否は判定できなかったのである。
政策の適否を決定する「マーケット」は株式会社にはあるが、国家にはない。国家は50年100年なり後になって「健全に機能している」ときに、「今から50年前、100年前に選択された政策は適切だった」と事後的に確認しうるのみである。国家には入力した瞬間に、タイムラグなしにその適否判断を下すような便利な「マーケット」は存在しない。

―集団的自衛権の行使は防衛、つまり国家の存続のためではないのか

そうではない。日本はアメリカの許可なしに独自の軍事行動を行うことができない以上、関連立法の狙いはむしろ「非常事態を宣言し、行政府が立法府の権限を停止して、超憲法的にふるまうことができる」仕組みを整備することにある。
安倍首相の憲法改正への動きに、米国は2013年春の段階ではっきりと「NO」という意思表示をした。やむなく安倍政権は正面突破による改憲をあきらめ、代案として「アメリカの軍機漏洩を防ぐため」と称して特定秘密保護法を採択し、「アメリカの海外派兵を支援する」ために集団的自衛権の行使を容認した。明文改憲という「名」を捨てて憲法9条、憲法13条、憲法21条を実質空洞化するという「実」を取ったのである。
だが、この二つの対米「譲歩」によって日本が得る国益はなにもない。ただ民主制の土台が崩され、70年の平和主義の蓄積が失われだけである。それと引き替えに、政治家たちは権力と財貨を、官僚たちは行政府への権限集中を、財界人たちは企業の収益増大を手に入れた。彼らはそれぞれ日本の国益をアメリカに安値で売り払った代償に、個人の利益を手に入れようとしたのである。それはかつて植民地において宗主国におもねって、自国の国益を犠牲に供して、自己利益をはかった「買弁」のふるまいに酷似してきている。

「対米従属を通じて対米自立を目指す」という戦後日本の外交戦略は、戦後しばらくは合理的な選択であった。だが、72年の沖縄返還以降、「主権の回復」、「国土の回復」という点では何一つ見るべき成果を上げていない。42年間二世代にわたって「対米従属はしたが、何一つ国益は増大していない」という状態が続いているうちに、対米従属というポーズそのものが自己目的化してしまった。
現代日本社会では「対米従属的である人間の方がそうでない人間よりも政官財メディアどの世界でも出世できる仕組み」が完成してしまった。だから、おのれ一身の立身出世をめざす人間は、ほとんど自動的に対米従属のしかたを身につけ、「買弁」的メンタリティを内面化してゆく。

米国の映画監督オリバー・ストーンが昨年、広島で行った講演で「日本はアメリカの衛星国であり、従属国である。日本の政治家はいかなる立場も代表していない」と語った。これがおそらくは米国のリベラル派知識人の常識である。だが、日本のメディアはその発言を報道しなかったし、反論もしなかった。従属国的マインドは完成してしまったのだと思う。

―戦後の日本のいびつさを、日本人も気づき始めているのではないか

今の日本で、わが国が米国の従属国だということをリアルに認識しているのは沖縄だけだと思う。その沖縄知事選で、基地反対を掲げて勝った事実は大きい。今回の選挙の真の争点は「対米従属を通じての対米自立」という国家戦略をこれからもまだ続けてゆくのか、それともそれとは別の道を探るのか、という外交戦略の選択であり、「国家の株式会社化」という独裁制の進行をこのまま手をつかねて許すのかという政体の選択である。「アベノミクス選挙」などというのは問題の本質を隠蔽するための偽りの争点設定でしかない。

 

なぜ安倍政権は勝ち続けるのか?
http://blog.tatsuru.com/2016/11/15_1128.php

「なぜ安倍政権はこれほど勝ち続けるのか?」
その理由はとりあえず周知されていない。誰でも知っている理由なら、こんな特集は組まれない。
ふつう政権の支持率が高いのは(政権発足時の「ご祝儀」を除くと)善政の恩沢に現に国民が浴しているからである。
だが、安倍政権はそうではない。
経済政策は失敗した。隣国との緊張緩和は見るべき成果を上げていない。沖縄の基地問題は解決の糸口が見えない。安保法案の審議では国会軽視と反立憲主義の態度が露呈した。五輪計画や福島原発や豊洲移転問題では日本の官僚機構全体のガバナンスと倫理の欠如があきらかになっている。どれも政権末期の徴候である。にもかかわらず政権は高い支持率を保持している。その根拠は何なのか?
一番簡単なのは、「日本人は政策の適否を判断できないほど愚鈍になった」という解釈である。
たしかに話は簡単になるが、先がない。
国民の過半が愚鈍であるなら、こんな特集もこんな文章も何の意味も持たないからだ。だとしたら、問いの次数を一つ上げるしかない。「日本人はこの政権を支持することでどのようなメリットを得ているのか?」である。

世論調査によれば、政権支持理由のトップは「他に適任者がいないから」である。
だが、現実には「他にどのような政権担当者が適切か?」という問いは誰も立てていない。いずれ支持率が急落して「ポスト安倍」がメディアの話題になればメディアは「人気投票」を行うだろうけれど、今は話題になっていない。
私の解釈はこうだ。国益が損なわれ、国民が日々損害を被っているにもかかわらず、「トップをすげ代えろ」という声が上がらないのは、総理大臣の適格性を最終的に判断しているのは「自分たちではない」と国民が思っているからである。
残念ながら、日本において、統治者の適格性を判断しているのは有権者ではない。
私たちは自分たちの選挙区から議員を選ぶことはできる。でも、統治者を選ぶことはできない。
日本の指導者を最終的に決めるのはアメリカである。
私たちが誰を選んでも、ホワイトハウスが「不適格」と判断すれば、政権には就けないし、就けても短命に終わる。そのことを国民は知っている。知っているけれど、知らないふりをしている。それを認めてしまうと、日本は主権国家ではなく、アメリカの属国であるという事実を直視しなければならなくなるからである。
2013年にアメリカの映画監督のオリバー・ストーンが広島で講演をして、「日本はアメリカの属国、衛星国である」と述べた。だから日本の統治者の任免権は事実上アメリカ大統領が保持している、と。
日本のメディアはこの発言を報道しなかった。違うと思うなら反論すればいい。だが、「日本はアメリカの属国ではない」と述べたメディアは一つもなかった。
オーストラリアの政治学者ガバン・マコーマックは『属国』で、日本は属国というより「傀儡国家」だと書いた。ジョン・ダワーとの共著『転換期の日本へ』でも、同じことを指摘した。だが、メディアはそのような意見が国際社会では当然のように行き来している事実そのものを組織的に黙殺している。

日本の総理大臣は「宗主国アメリカの属国の代官」である。実質的な任免権はホワイトハウスが握っている。もちろん、内政干渉になるから、任免の作業は「アウトソーシング」されている。アメリカの指示は日米合同委員会や年次改革要望書を通じて開示され、それを忠実に実行しているのは与党政治家と官僚とメディアである。そういう仕組みで日本が統治されていることを国民はもう知っている。知っているけれど、知らないふりをしている。
「他に適任者がいない」というのはアメリカの判断である。
安倍晋三は日本の国益よりもアメリカの国益を優先的に配慮してくれる「理想の統治者」である。だからアメリカがそう評価するのは当たり前である。そして、日本国民の多くはアメリカの判断の方が日本人自身の主観的な政権評価よりも現実的でありかつ適切であると信じている。
マッカーサーの時代からそのマインドは少しも変わっていない。

「追記」
ただ、アメリカの大統領がドナルド・トランプに交替したことで、「宗主国の代官」にどのようなタイプの政治家を選好するかについての判断基準がこの後変わる可能性はある。
これまで、「属国の代官」の適不適を事実上判断していたのはアーミテイジたち「ジャパン・ハンドラー」であった。
トランプのホワイトハウスの「新しい住人たち」は巨大な「日本利権」をひさしく貪っていた「ジャパン・ハンドラー」たちから取り上げようとするだろう。
「ジャパン・ハンドラー」たちのお気に入りであった日本の与党政治家たちはこれから新たに「オーディション」を受けなければならない。
明日11月17日に安倍首相はトランプを西側首脳として最も早く表敬訪問をするが、これは「属国の代官」である以上当然のことであり、これは安倍首相にとっては「新しい主人」による「オーディション」に相当する。
トランプが「虫が好かない」という判断を下す可能性はある(トランプの人間的好悪について誰が確定的な予測を立てられるだろう)。
そういう「残念な結果」になった場合、日本では与党政治家も官僚もメディアも「アメリカに好かれない政治家は日本の首相に不適である」と(はじめはおずおずと、そのうち猛々しく)言い始めるだろう。
そして、そうなることを彼らだって(望んではいないが)一応心のどこかで覚悟はしているのである。

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2017年1月25日 (水)

辺見庸 (01/07)日録 私事片々 2017/01/07~から全保存 雑談日記Archive

 今日夕方6時過ぎ、私事片々(2017/01/25)をアップした後、削除されたので今までと同様保存しておきます。

 なお、辺見庸さんの(日録)私事片々の雑談日記Archiveを始めようと思ったメモなどはこちらで。辺見さんがよく言う「エベレスト」についてはこちらで

 以下、辺見庸ブログの(日録)私事片々をすべてアーカイブ保存しておきます。今回は1エントリー。

追記(2017/01/31):昨日、新宿紀伊国屋での講演会Podcast。そして2017年3月12日 こころの時代←頁内ジャンプ。

 

2017年01月07日
日録
http://yo-hemmi.net/article/445683833.html

私事片々
2017/01/07~

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クレーン.jpg 2017年01月07日

1/30新宿講演について

やっとエベレストの麓までいくも、めまいと右半身硬直で、どうしてものぼれず。断念。マックまでのたった、たった50メートルほどの道をあるくのに1時間もかかった。汗みずく。クソ、冗談じゃない。たのむから、ふざけないでくれ。が、げんじつ。ダブルチーズバーガーとカプチーノ。バイトの店員がおびえた顔になった。ひきつっている。こちらもむこうも。ひきつっていながら、たがいにひきつっていないふりをする。マックは総選挙中だった。

旧年末から年明けにかけて、ろくなことがなかった。いまさらいきりたつ気もしない。いきさつをかたる気もおきない。なにかにはめられたのか。だとしたら、みすみすはめられたこちらがわるい。バカ。マヌケ。油断だ。イライラしつつ、ヘラヘラしゃべってしまったこちらの、いわば前頭側頭型的な錯乱。めまいのなかで、1月30日の講演(新宿・紀伊國屋ホール)を意識しはじめている。平日も平日、月曜日の夕食時間に講演開始という気のきかなさをおわびする。それしか会場をおさえられなかったらしい。

にもかかわらず、たくさんの友人たちがきてくれることになった。海外からも九州からも北海道からも。たぶん、みんなしんどいのだ。ただ存在するだけでくるしい。もうほとんどすべてのことに、ほとほとうんざりしている。そうでなければ、1月30日の夕なんかに遠くから講演にきてくれるわけがない。こちらもかなりくるしい。それはかくさない。かくしようもない。からだが芯から疲れている。心も相当、萎えている。干からびたクラゲだ。

友人たちも、みんな各人各様に疲れきっている。いまの風景にあきれ、怒る以前に、はげしく困惑している。ほぼかんぜんにあきらめながら、しかし、さがすともなくさがしている。おぼろにたわんだ視線のかなた、ノイズがあふれる耳朶の奥に、なにかをもとめている。無意識に手さぐりしている。わかる。おそらく、それは手垢のついた「希望」なんかではない。気味がわるくなるほど快活な声でかたられる生きるよろこびであるわけもない。想像するに、それは、絶望のあかしではないか。切実な、絶望の、あかし。

絶望のあかしに触れえて、そこではじめて、ひょっとしたら反転するかもしれない契機――とやらを、一応かんがえてはいる。しかし、もうだめ。もうだめだ……。友のひとりが昨夜、連絡してきた。もうだめだ……。別居中の母親が徘徊し行方不明。父は入院中。歩行困難。母は寒い夜の底でおぼれている。もがいている。疲れたよ。もうだめだ……。もうだめなのだ、ほんとうは。それが1/30の通奏テーマ。まだだいじょうぶ、ではない。終わりの論証。絶えざる終わりの証明。夜ふけに徘徊する母の目玉を、眼窩にうめこむ。なにが見えるか。
(2017/01/07)

SOBA:↑辺見さんが上記言及している新宿紀伊国屋での講演会Podcast

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ヘリ.JPG 2013年11月05日

マルクスは死んだ犬か?

やはりマックまで1時間かかった。途中、決死のかくごで、エベレストに挑戦。なんとか登頂。下山後また歩行困難。こきざみにすすむ。カフェラテとビッグマック。マックは奇妙な工場かフルオートメーションの畜産場だな。帰りは10分とかからずにあるけた。なぜかはわからない。ちゃんとあるけるようになりたい。それは、けれども、至上の課題じゃない。帰ったら、Sさんからメール。

「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」とあった。このいい方がすきだ。とんでもない。マルクスもレーニンも死んだ犬ではない。資本主義のあるかぎり、死ねないオオカミだ。「人倫や民族ということを疎外概念や階級概念とつき合わせて思考するという知的努力抜きに、超歴史的な人間一般のレベルでアッケラカンと論じていいのか」とSさんはいう。そのとおりだとおもう。Sさんはつごうで1/30講演にさんかできない。残念だ。

Sさんは角川文庫『完全版 1★9★3★7』の解説をひはんしていた。「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」は、あの解説になじまないかもしれない。が、胸に食いこんでくる。「人倫」はそれじたい、たんどくでかたりうるものではない。なぜか。1/30講演でそのことも話す。親兄弟の介護でくるしむ友人たちも、だいじなじかんをさいてきてくれる。近親者を自殺でなくした友もくる。「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」は、なぐさめになるか。なぐさめとはなにか。

ところで、げんざいのニッポン政府の夜郎自大は、すでにどはずれている。外交官帰国にかっさいをおくるものども。「最終的、不可逆的」などという埒もない(恫喝的でもある)ことばに酔うメディア。反復的歴史のわだちを、さもとくいげにあゆむ阿呆ども。まったく同一ではないが、相似的錯誤が眼前でくりかえされている。10億円でいったいなにをあがなったというのか。このことにも1/30講演でふれざるをえない。
(2017/01/08)

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ドレープ.jpg 2017年01月09日

Tom Waits

何十年ぶりかでTom Waitsをきく。寝床でふとおもった。1/30の会場でかけようか、なんてね。けふ、ききなおす。やはり、なんかちがうんだな。数十年前もそう感じたっけ。わざとらしさ。病んだふり。老いぼれのふり。貧乏なふり。孤独なふり。〝反社会〟のふり。どうにもならなくなったふり。こけおどしの声。ちがうな。あたたかなこころのおじさん。寄せ場にくるおっさんはあんなじゃない。芯が傷んでいた。Tom Waitsは、それがぜったいわるいわけじゃないけどさ、ケンゼンだ。

わざとのどをつぶすなよな。わざとみすぼらしいふりをすんなよ。一方、「マルクスもレーニンも死んだ犬か?それでいいのか」は、いい啖呵だ。悲しみがにじむ。死にそうな犬、病んだ犬、飢えた犬、狂った犬、腐った犬、傷んだ犬…がすきだ。たまらない。そうさ、死んだ犬だよ、とわたしは言わない。死んだ犬でも、死んでいない、といいはってなでさするアホをきらいになれない。だいいち、マルクスは死んだ犬じゃないし。Tom Waitsみたいにわざとらしくない。オーバーでもない。

1/30になにをながすか。どんな曲を。どうでもいいはなしだけれど、かならずしもどうでもよくはない。バッハはやめとく。Tom Waitsもむ・む・む…。遠方からくる友人がどうおもうだろう。いっそDavid Bowieはどうか。たとえば、I’M DERANGEDとかをくりかえしながす。いい曲だ。ああ、おれ、狂ってきたよ、というんだから率直だし、すこしもわざとらしくない。I’M DERANGEDのながれから、はなしはじめるべきじゃないのか。さて、どうなるか。

エベレストにいかなかった。やはりあるけない。1/30までに、すこしあるけるようになりたい。(2017/01/09)

 

SOBA:↑辺見さんが言及している「1/30になにをながすか。どんな曲を。」関連。辺見さんが2004年3月14日新潟講演中に倒れたその2年後、2006年4月27日病後初の講演では『バッハの無伴奏チェロ組曲』を流したようです

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西陽.jpg 2017年01月10日

雨月物語

MMの誕生日。知らなかったよ。ムジナ軒ランチ。いたるところ認知症だらけ。電話のむこうから声がきこえてくる。家に帰りたいのよ。ここどこなの。あたし家に帰るよ。タクシー呼んでえ。オニい!知らないひとの家はいやなのよ。やめてくださいよ。ここはちがうのよ。(物音)あんた、なんてことすんのよ!いやや。いややあ。あたし帰ります。ぜったいに帰るのよ。(物音)ひい!痛い!いてえ。ここ痛いのです!帰るよ。オニい、帰りたい。帰りたい。帰して。お母さん、オニはないでしょ、オニは。ここ、あなたのお家でしょ。ここいがいないでしょ。どこにあるのよ、バカ!

ムジナ軒からマックまであるき。途次、先日のことをおもいだす。1時間もかけて、いとしのマックにやっとこたどり着いたんだよ。暑かないのに汗みずく。メガネがくもってた。おぼれるようにあるき、店内でもいくたびか転けそうになる。客のいるテーブルについ手をかけてしまう。店長みたいなおとこがすっとんでくる。(ここはおまえのくるところじゃない。でていけ!)の表情で、「お客さま、なにかわたくしどもにできることはございますでしょうか?」。わたし(マック食ったらヨイヨイなおんのかよ。ばかやろう!)の表情で、「だ、だ、だ、ダブルチーズバーガー…お、お願ひします」。左手で千円札ピラピラする。殺意。に似た衝動。マック食うと、あーら不思議、殺意消えましたよ。

ジジジ…。アブラゼミが鳴いている。マックで。ああ、人工喉頭でしゃべってるんだ。電気式人工喉頭(EL)で。まえもいたな、あのひと。ゴ・ノ・ゴ・ヤ・ミ・ニ・イ・デ・バ・ベ・ラ・ン・ド・イ・ブ・ヲ、ア・ナ・ガ・ヂ・ニ・ゴ・ノ・ガ・ザ・モ・デ・イ・ギ・ダ・マ・べ…ジジジジ…みたいなことを言っている。ウンコしたくなり改装なったトイレにいくと、さかゑさんがいて、即、JSF。やりながら言ふ。講演会いくわよ。ノーパンで。テーモウよ。最前列でパッカーンすっからね。ASKAかけてね。がんがんボリュームあげてね。パッカーンすっからね。みてねえ!

ぜんぱんてきにわるくない日だった。エベレストにのぼった。少女像をおかれるってのは、そんなに怒るべきことなんだろうか。(2017/01/10)

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暗がり.jpg 2017年01月11日

レビー小体型

施設入所日。すんなりいくとはおもえないが。ケアマネに在宅介護はむずかしいといわれた。ケアマネはママにどなりつけられ、やくたたずめ、おまえなんかに指図されるいわれはないわい、でていけ、と罵倒された。前々夜は〝在宅失踪〟で警察にやっかいをかけるし。家のなかで、ここはどこなのとふるえる。自宅のまんなかで家に帰りたいとわめく。でも、ママの話はおもしろい。作話っていうけど、いいじゃないか。公園でね、みんなむこうむきの幼稚園児がね、いっせいに、どうじによ、あたしにふりむいて、ぜんいん、目をピッカピッカさせて、きくこセンセ―、こんにちは、っていうのよ。

雨の日にタヌキが100匹たずねてきた、というのもよかった。家中タヌキくさくなってねえ。おじいちゃんタヌキもいて、ニンチでね、トイレとまちがえて、ながしでウンチしちゃって。どっさりよ。あたしにも〈薄皮まんじゅうめしあがれ〉って、ウンチもってくるのよ。あんた、フクシマのタヌキもいたのかしらね。慰安婦像をおかれたからって怒りまくるニンチとどっちがこまるか。おかれたってしかたない。ヌッポン、みんなニンチじゃん。忘れたふりする悪質ニンチ。作話せんもんの、なんとかいうニンチそうりだいじんを、ねつれつに支持する55パーセントのニンチ世論。ニンチ新聞にニンチ記者にニンチ学者にニンチTV番組にニンチ議員にニンチ医者。

抽象不能の世界である。記号と価値と資本の猥雑で、まったく無意味な融合。さいげんのない均一化と断片化の同時的展開。「普遍性」の鏡はいま、こなごなに割れるべくして割れた。すべてはチンカスかマンカスのどちらかにすぎない。これでよかった。満目むなしい断片の原から、おそらくひとしきりの戦争をへて、なんらかの新たな特殊性が生まれるまで、人びとはインモラルでさえない大小の暴力のなかで、ますます狂い、いよいよこまかく自滅すればよい。グローバルパワーとテロリズムとニンチ群はどこまでもかくだいし、そして、不意の、まったくおもいがけないスペクタクルが大爆発をまっている。みたことも、想像さえできなかったできごとが、巨きな宗教画的な光景が、やっとたちあがることだろう。

エベレストにのぼらなかった。太鼓橋をわたった。マックにいかなかった。ダフネ西口店にもいかなかった。(2017/01/11)

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夜ふけ.JPG 2017年01月12日

暗愚の栄え

なにかの本で「暗黒の21世紀」という文言をみた。そう呼ぼうが呼ぶまいが、ドキリとさせられる兆候は、このごろしばしばある。「暗黒時代」ということなら、古代ギリシアもしくは中世欧州の一定時期がそう言われたこともある。それ以来か。トランプの会見。post-truth eraであることはまちがいない。これからくるのではなく、いまがそうなのだろう。暗愚の栄え。エベレストにのぼらなかった。急転直下している。
(2017/01/12)

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部屋からの空.jpg 2017年01月13日

On the Nickel

トランプの「アメリカ第一」は「帝国路線」の放棄なのか。グローバル経済と軍事管理戦略からの後退か。モンロー主義への回帰か。それらは昨春の母の他界となにかかんけいがあるか。ひとりの自責とどこでどうかかわるか、かかわらないのか。母は末期の目になにをみたか。母によってみられたものと「世界」とよばれるものは、なにかのかかわりがあるだろうか。末期の目はある。しかし、世界なんてものはそもそもあるのだろうか。母の目に世界はなかったろう。トランプの米国が世界への拡張の欲望をすてるとは、どういうことだろう。そんなことがありうるだろうか。ひとが死にかけている。世界がひとつ終わりかけている。

世界というものがいま、どうにもならない大蛇のようにかりにのたうっているとしてだが、世界はいっせいにとてつもなく下品になってきた。かつてなく慎みなく、粗野に、いっそう乱暴に、よりいっそう無体にうねるようになってきた。ドナルドでなくヒラリーだったらこうはならなかっただろうか。そんなことはない。ひとが死にかかっている。死にかけている。ところで、On the Nickelはきらいではなかった。ゆうべきいた。かつてはなじみの曲だった。ひとが死にかかっている。世界というものが実在するなら、世界は危殆にひんしている。友も、友の親も。こんごとも危殆にひんしつづけるだろう。わたしも、あなたも、かなりピンチだ。

On the Nickelは、この危機にふさわしい歌ではない。わたしはかすかに鼻白む。だが、ゆうべきいた。ひとが死にかけている。いまにふさわしい歌なんか、さがしたってどこにもないのだ。1月30日夕、もしも会えたら、新宿で会おう。

https://www.youtube.com/watch?v=8055IqijQzo

エベレストにのぼらなかった。(2017/01/13)

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昼の夜ふけ.jpg 2017年01月14日

さながらに野にあるごとく

こたきこなみさんよりお手紙いただく。万年筆でかかれた。胸にしみる。頭がさがる。どこにも暗転していないものはない。高いところにたてば身投げのしょうどうがわく。立ち木をみれば枝ぶりで首つりをおもう。ぶらんとじぶんをぶらさげてみる。ネクタイにさわれば、首をしめる図をえがく。根もとまで舌をだす。目をむく。信ずべきなにものもない。というのがげんじつというやつだ。言う価値もありゃしねえ。けふもチーズバーガー食って、チーズバーガーのクソして、ゲップした。しゃくだからエベレストにのぼってやった。ヤマモミジの細い枝がひたいにじゃれつき、じゃました。折れ!左手でへし折ってやる。

土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し と、詠みたきゃ詠めばいい。かってだ。だが、ことごとしく報道するほどのことか。さながらに野にあるごとくに、とはよく言ったもんだ。まことに無神経である。げんじつに野にある無宿人たち、難民たちがふるえていぞ。おびえているんだぞ。さながらに野にあるごとくここに住み来し、とはなんだ。「ここ」とはどこなんだ。野ぐそにしても、ろくな歌がひとつもない。それでもありがたがるドジンども。かんけいないが、ウィリアムズの「ご崩御の記」は、なんど読んでもわからない。らりって書いたのかな。わからないがおもしろい。右目硝子体出血悪化。へっ!(2017/01/14)

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凶器.jpg 2017年01月15日

Georgette Fry

片目がみえない。タジンくれ。オレンジ色の。3週間分。右目。風がぬける。これ、目じゃねえよ。ただの穴。みたって、どうせ広告ばかりだ。おのおののケツの穴までCMだらけじゃないか。なもん、みなくていい。きく。Georgette FryのOn The Nickel. かのじょ泣かない。よひ。わざとらしくなひ。おおげさじゃなひ。どっしりしている。で、ききたいひとはなんとなくきく。きかないひとはきかない。なにもかわらない。だれもすくわれない。すくわない。失見当識者と意識不明者と病んだ犬の、とりのこされ。とりのこされ。消えさるまでのとりのこされ。夜の路上の松林をさまよえ。裸足で、青い入り江にむかえ。入り江は、どこまでもどこまでも、ない。エベレストにのぼらなかった。https://www.youtube.com/watch?v=QRJQzH31Z1s(2017/01/15)

Den
den.jpg 2017年01月16日

Carla Bozulich

右目ダメ。左目はみえる。30日はよていどおり、かならずやる。すみません、またOn The Nickelで。すみませんね。30日はかんぜんによていどおり。あす病院にいく。トイレのあたりからマッコウクジラの死臭がする。くせえ。ビンボー人と病人と老人はどうぞ死になさい、というなら、OK、死ぬまえになんかやってやろうじゃないか。エベレストにのぼらなかった。https://www.youtube.com/watch?v=-JyhWQBf80I
(2017/01/16)

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共謀罪.jpg 2017年01月17日

共謀罪

内面の、奥の奥の、じぶんだけの小部屋にまで、ぶえんりょに入りこんでくる、死んだ魚の目たち。眼科にいく。医者にこっぴどくしかられる。右目視力ゼロ。タジン1か月分処方。エベレストにのぼらなかった。病院待合室で、老爺の顔をしたあの子と美しい母親をみた。左目だけで。母子はみかえさなかった。母親は肩で、背で、後頭部でも、こちらをみている。だんこたる決意!からだの奥に、静止した風景か、なにか物語らしきものがただよっている。ダフネ西口店、ことしはじめて。(2017/01/17)

SOBA:2006年5月2日付けの東京新聞『病後初、辺見庸さんが語ったこと 「灰色領域」の恥辱 国家や市場の潤滑油としてのメディアの記事を採録(同じ頁にある「こちら特報部」共謀罪特集記事の写真と読みやすいように記事コピー、テキスト起こしも採録。2006年小泉政権共謀罪は結局3度目の廃案。今回の安倍自民・公明連立政権による共謀罪で4度目)

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無人電車.JPG 2014年01月23日

無抵抗社会

片目で原稿。共謀罪と無抵抗社会と内面の死滅について。わるいことがきれめなくつづいている。げんきだとばかりおもっていたマルちゃんが、けふは死にそうだという。なんてこった!エベレストにのぼるどころか近づきもできなかった。(2017/01/18)

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白の闇.jpg 2017年01月19日

白の闇

薬3日目。いっこうによくならず。右目の視界ゼロ。ジョゼ・サラマーゴ。白の闇。マルちゃん入院。末期がん。血管肉腫、脾臓破裂、転移……と聞こえた。飼い主の意識もまったく回復せず。さきがみえない。ずっとみえなかったのだ。みえるふりをしていただけ。ものみな、音もなくくずれている。共謀罪というなら、まっさきに現政権メンバーを全員逮捕せよ。かれらこそまぎれもない大犯罪を構成している。エベレストにのぼらなかった。30日は予定どおりやる。目がみえなくても。(2017/01/19)

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霧の夜.jpg 2017年01月20日

誘起・蠕動

エベレストにのぼらなかった。いま、なにがおきているのか。内側でも外側でも、誘起させられ蠕動しているもの。(2017/01/20)

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川.jpg 2017年01月21日

「暗黒の21世紀」序章

あのおとこが言った。「うつろな言葉の時代は終わった」。そうか。うつろな言葉の時代とは、どのような時代か。それが終わったとして、では次に、なにがたちあがっているのか。40数パーセントがかれを支持している。それらがぜんぶ「悪」でありようがない。50数パーセントの反対者がすべて「善」ではないように。善悪はそもそも対抗価値ではなく、等価な無価値になっていた。問題は、(主として「テロ」への)対抗恐怖症からくる、「悪」を物理的に排除できると妄想し、行動する錯乱である。「暗黒の21世紀」序章は疾うにはじまっていた。

薬5日目。エベレストにのぼらなかった。(2017/01/21)

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水の空.jpg 2017年01月22日

ニューズメディアの自壊

去年の11月だったか、FTはあのおとこについて言ったものだ。米国民は「自爆テロリストを政府内に送りこんだ」と。それよりまえ、ワシントンポストは、かれの政策を、スターリンやポル・ポトになぞらえ「偏見にみち、無知、ホラ吹き、自己中心的で、執念ぶかく、狭量で、女性蔑視で……民主主義を侮蔑……」と徹底的にこきおろしていた。ヒトラーにたとえた新聞もあった。多数のメディアが、あのおとこをこれでもかこれでもかとたたきまくった。にもかかわらず〝自爆テロリスト〟は、いわゆる民主的てつづきをへて大統領に就任した。

なぜか。得心のゆく答えをまだみたことがない。あのおとこの支持者は、FT、ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルなどを購読しはすまい。主要メディアは、では、なにをよみちがえたのか。貧困層の内面だけではない。ニュースメディアじしんの崩壊に気づいていなかったのではないか。その崩壊とは、なにより読者からの「信」であり、財政、運営構造のはたんである。一日の食にことかくものは、ニッポンでだって朝日新聞を購読したりしやしない。NHKの9時のニュースを信用するわけもない。それらは実態とおそろしくかけはなれた、はらだたしいそんざいなのだ。

主要メディアの視界の外(影響圏外)に、あそるべきルサンチマンがふくらんでいる。薬6日目。よくならない。片目ではメモがよみにくい。エベレストにのぼらなかった。(2017/01/22)

SOBA:メディアの自壊関連の辺見さんの記事(2006年小泉政権共謀罪の時の)

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天空.jpg 2017年01月23日

Mister B.

目がみえないと、みえていてもまとまらないかんがえが、ますますちらかる。綿雲みたいに。午前中に右目の精密検査。要手術。入院に1週間かかるという。犬をどうするか。しばらく経過観察に。左目にも問題ありという。もぐらたたき。ChetのMister Bをみつけてもらう。30日用。どうということはない。エベレストにのぼらなかった。薬7日目。犬の顔がどこかわからない。(2017/01/23)

Tokyo
TOKYO.jpg 2017年01月25日

「トランプさん」

昼すぎ、どうしたまちがいか、労組の研修会みたいなところでしゃべった。片目で。仕出し弁当のにおい。とろけた顔たち。うつけた目。なぜここに呼ばれたか、なぜきてしまったか、不明。おれはやぶれた鞴だった。声は、からだの破れ目からブヒャブヒャとぬけた。dull. 安保法制も秘密保護法もやすやすととおるわけだ。共謀罪も改憲もいくだろう。どうでもいいが、ロナルド・トランプを「トランプさん」と呼ぶのには、やめろ、ばかやろう、とどなりつけたくなった。エベレストにのぼらなかった。薬8日目。(2017/01/24)

Sky
sky.jpg 2017年01月25日

alternative facts!

諸君、alternative factsだとさ。post-truthの時代のalternative factsだとよ!やってらんない。薬9日目。エベレストにのぼらなかった。(2017/01/25)

  

 辺見さんが私事片々(2017/01/17)以下、(2017/01/18)(2017/01/19)(2017/01/24)と連続で共謀罪について言及しているので、以下関連、共謀罪の記事を整理していた時に見つけた記事です。2006年5月2日(火)のこちら特報部共謀罪特集の隣、ニュースの追跡で辺見さんの記事がありました⇒『病後初、辺見庸さんが語ったこと 「灰色領域」の恥辱 国家や市場の潤滑油としてのメディア』、私事片々(2017/01/22)で辺見さんが言ういわゆるメディアの自壊。

 2006年5月2日付けこちら特報部共謀罪特集の方はこの記事のうしろで、記事頁全体の写真と、読めるようにスキャンしたコピーを紹介。なお2006年小泉政権共謀罪での3度目の廃案(今回の安倍晋三共謀罪は4度目)、当時の日隅弁護士ブログでの記録は貴重(小泉政権共謀罪廃案までの日隅ブログの記録と、共謀罪カテゴリ2005-04-09〜2008-09-21までの記録をリンク紹介

(↓クリックで拡大)スクロールして見るなら
20060502henmiyou_

上記、辺見さんの記事と一緒に出ている2006年5月2日(火)東京新聞24頁の共謀罪特集「こちら特報部」『「市民」対象変わらず「歯止めにならない」』(この記事のテキスト
スクロールして見るなら
20060502tokyo24p

同じく、2006年5月2日(火)東京新聞25頁の共謀罪特集「こちら特報部」。スクロールして見るなら
20060502tokyo25p

 

 上記、記事部分を読みやすいようにスキャン。2006年5月2日(火)東京新聞24頁の共謀罪特集「こちら特報部」『「市民」対象変わらず「歯止めにならない」』「共謀罪」与党修正案を検証する 619種が摘発対象→政府原案と同じ 国際組織犯罪防止が目的のはずだが 与党も不備指摘 過去2度の廃案

SOBA:結局この2006年小泉政権共謀罪は3度目の廃案。今回の安倍自民・公明連立政権共謀罪は4度目。
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同じく記事部分のキャプチャ。東京新聞25頁の共謀罪特集「こちら特報部」 自首すれば減免→「密告社会の恐怖」 意図的運用の危険 「NGOへの寄付や激励も犯罪になる」 「中止犯」の問題も放置されたまま 櫻井よしこ氏 権力者が監視 独裁国家に…  阻止すべきだ ←日本会議関連で現在評判の良くない櫻井よしこ氏ですが、共謀罪反対。
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↑「こちら特報部」記事の↓左隣り、同じく共謀罪関連で鎌田慧(かまたさとし)さんの本音のコラム「煙のような座談」も採録。(スクロールして見るなら)。
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参考:↑記事中出てくる「大逆事件」について参考になるサイト『甘口辛口』の「大逆事件から100年(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)」、記事中出てくる大逆事件の動画を採録(←リンク先5で紹介されているETV特集 『埋もれた声 ~大逆事件から100年』も)

 

 2012年6月12日にがん性腹膜炎のため亡くなった(享年49)「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄」さんの所で(ブログはそのまま)、共謀罪関連こちら特報部のテキスト起こしがありましたので、以下転載(「共謀罪」は私事片々(2017/01/17)から辺見さんが何回か書いているキーワード)

SOBA:日隅さんに、「岩国連帯」とカンパ呼びかけのバナー作成を頼まれ、作成したことがあります(←エントリー末尾で左のバナー。例えばバックナンバーで2007年12月←24日から、2008年1月の、2008年の2月の)。もし今も、元気でいらっしゃるなら、弁護士でもある日隅さんが舌鋒鋭く共謀罪に反対しておられたでしょう。残念でなりません(小泉政権共謀罪廃案2006年5月末までの日隅ブログの記録、 同じく共謀罪カテゴリで2005-04-09〜2008-09-21までの記録10111213)リンク先は上から降順

 転載にあたり、表題を追加したり、デスクメモを引用の別表示にするなど何カ所か元記事にあわせました(追記:当時はまだWebでも「こちら特報部」を公開していたのを思い出し、URLを拾えましたので↓記録しておきます)

(以下転載始め)

2006年5月2日(火)東京新聞24頁・25頁の共謀罪特集「こちら特報部」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060502/mng_____tokuho__000.shtml
Internet Archive 

「市民」対象変わらず 「歯止めにならない」

『共謀罪』 与党修正案を検証する

 「相談罪」とも呼ばれる「共謀罪」創設法案。法律違反せずとも、話し合えば逮捕できる同法案(政府原案と与党修正案)には野党、弁護士、NGO、左右の論客から「密告社会をつくる希代の悪法」との批判が強く、民主党が修正案を出した。しかし、自公両党は五月九日の衆院法務委参考人質疑ののち間を置かず、与党案を強行採決の意向だ。大詰めの法案を検証する。 (市川隆太)

 きっかけは国連の国際組織犯罪防止条約だ。法務省は同条約で義務が生じた組織犯罪対策の一環として共謀罪の新設が必要だと主張している。一方、国連での審議を見守ってきた日弁連は「国連といっても、各国の担当者は捜査機関だった。それに日本政府は当初、共謀罪は日本の法体系になじまないと反論していた」と指摘する。

 「日本の法体系」とは、どういう意味だろう。犯罪を思いついてから罪を犯すまでの流れは「共謀」(犯罪の相談。単独犯なら「決意」)→「予備」(武器などの準備)→未遂→既遂という順だが、日弁連は「日本は近代刑法にのっとり、一部の重大犯罪だけ予備段階で罰するが、残りは被害発生の場合のみ罰する法体系。共謀罪新設は近代刑法の否定だ」と指摘する。

619種が摘発対象→政府原案と同じ

 どんなことを話し合うと共謀罪で捕まるのか。識者の意見をもとにまとめた。

 ▼ケース1 希少生物の生息する森にマンション建設が強行されると分かり、町内会と環境保護NGOが「建設会社ロビーで座り込み運動をしよう」と決めた。この場合、合意したメンバーは実行しなくても「威力業務妨害罪」の共謀罪。

 ▼ケース2 議員選挙の陣営で「アルバイトに金を払って有権者への電話作戦を展開しよう」と決めた。実際に支払わなくても、公職選挙法の「買収罪」の共謀罪となる。

 ▼ケース3 脱税をもくろむ会社社長が顧問税理士に「経費水増しの帳簿操作をしたい」ともちかけた。税理士は、実行するつもりはなかったが、「いいですよ」と言って、その場をやり過ごした。この場合、二人とも「法人税法違反罪」の共謀罪となる。

 ▼ケース4 新商品開発会議でライバル社の売れ筋商品そっくりの品物を販売しようとの意見が出て、出席者は合意した。社長のダメ出しにより、この案はボツとなったが、それでも出席者には「商標法違反罪」の共謀罪が成立する。

 ▼ケース5 ゼネコン社長が国会議員に「来年、五千万円、持って行きます」とわいろ提供を持ちかけた。議員はクリーンな性格で、そのうち断るつもりだったが、場の雰囲気を壊したくないので「ありがとうございます」と頭を下げた。これは「収賄罪」の共謀罪となる(現行法では社長にわいろ申し込み罪が成立するだけ)。

デスクメモ:
 「警察はちょっと抜けている方がいい。でないと、喫茶店でお茶飲んでるだけでしょっ引かれる」。戦中、戦後を新聞記者として生きた大学の恩師の口癖だ。治安維持法を武器に思想、言論を取り締まった特高警察の怖さを見てきた実感だろう。「銭湯の冗談も筒抜け」といわれた監視網。こんな世になるのか。 (鈴)

 ■与党も不備指摘 過去2度の廃案

 こうした指摘に対し、法務省は「まじめな一般市民を適用対象にすることはない。対象は暴力団、詐欺組織など」と強調してきたが、過去の国会審議で与党からも不備が指摘され、法案は二回も廃案になった。そして、今国会、与党が修正案を提出した。

自首すれば減免→「密告社会の恐怖」 意図的運用の危険

「NGOへの寄付や激励も犯罪になる」

与党は「一定の犯罪を行うことを共同の目的とする団体によるものに限定する」という条文により、適用対象を狭めたとする。しかし、日弁連や野党は「これでは、過去に犯罪を遂行した団体とは限らず、NGOなどにも適用可能」と批判。この意見を参考に、民主党は組織犯罪集団に限定する「犯罪実行が目的で、あらかじめ任務分担がある継続的な結合体」との表現を盛り込んだ修正案を先月二十七日、国会に提出した。

 また「共謀罪の対象となる罪が六百十九種類にも及ぶことが、一般市民の摘発につながる」との批判も強い。これは、政府原案や与党修正案が「懲役四年以上の罪」を対象罪種としたため。民主党修正案は「懲役五年超の罪」とすることで、対象罪種を約三百に絞った上、「国際的な犯罪」しか共謀罪は適用できないようにした。

 このほか、「共謀」がどの時点で成り立つのかをめぐっても、野党や法律家から「あいまいで意図的な運用が行われる危険がある」との指摘が出ている。犯罪をもちかけられた時に、「うん、やろう」と具体的に答えなくとも、捜査当局や裁判所が共謀と見なすのではないか、との不安だ。

 昨年十月の衆院法務委で、保坂展人委員(社民)から「言語なし、目くばせでも共謀罪は成立するのか」と問われた法務省は「目くばせでも十分、成立する場合はある」と認めた。

 「そうであれば、本当は犯罪に反対だけど、場の雰囲気で一応、賛成のふりをした人まで共謀罪になるのか」というのが法律家などの指摘だ。「気が弱くて、つい、うなずいてしまった人も逮捕されるのか」という疑問も出されている。

 こうしたことから、与党修正案は「合意」だけでなく「犯罪の実行に資する行為」を適用条件とした。しかし、さまざまなNGOなどから「資する、では寄付した市民や『頑張ってね』と激励した人まで含まれてしまうのではないか」との強い懸念が出ており、日弁連も「歯止めにならない」と話す。

 政府原案では共謀に参加しても、捜査当局に自首した者は刑が減免されることになっているため、「戦時中のような密告社会に逆戻りする」との不安も指摘されている。日弁連は「この点は、与党修正案でも削除されなかった。わざと共謀に加わって自首し、相手を陥れることも可能になる」と批判する。

 ■「中止犯」の問題 放置されたまま

 昨年十月の衆院法務委などで、柴山昌彦委員(自民)などからも集中砲火を浴びた「中止犯」の問題も放置されている。中止犯は「犯罪を思いついても思いとどまった人には刑を減免しなければならない」という刑法四三条の規定だ。「共謀後に『やめよう』と言っても共謀罪になってしまうではないか。あいまいだ」と矛盾をつく柴山氏に、法務省は「予備罪や準備罪にも中止規定は適用されない」と答弁したが、法律家らは「殺人・強盗などが対象の予備罪と、都市計画法や道路交通法まで対象の共謀罪を同一に語るのは、むちゃくちゃな話」と批判する。「誰でもいけないことを思ったり口に出すが、中止犯という“黄金の橋”があるから実行せずに戻ってくる。橋をはずしてしまってよいのか」(日弁連)とも。

 この問題に詳しい弁護士らは共謀罪を施行済みの米国の事例を危惧(きぐ)する。「イラク戦争に抗議して、兵士募集ポスターに自分たちの血を塗るパフォーマンスを行ったキリスト教徒らが器物損壊容疑で逮捕され無罪となったが、次に、共謀容疑にあたるとして逮捕された」

権力者が監視 独裁国家に…  阻止すべきだ

 一連の状況を見て、ジャーナリストの櫻井よしこ氏も言う。「共謀罪は暗黒社会の到来を意味する。住基ネットと合わせて、権力者が市民を監視する独裁国家になる。一体、誰が何の目的でこんな悪法を通そうとしているのか。市民の自由を守るため、思想信条の違いを超えて、共謀罪成立を阻止しなければならない」

(以上転載終り)

  

 鎌田慧さんのコラムで紹介されていた大逆事件関連の動画。

ETV特集 埋もれた声 ~大逆事件から100年
https://www.youtube.com/watch?v=VMJUbPBiSPI

2015/08/29 に公開

 

ETV特集 「非戦と平等を求めて」~幸徳秋水と堺利彦~
Satoru Ina
https://www.youtube.com/watch?v=KsM4Eqk_Bo8

2014/09/08 に公開

前半は「日露戦争と平民新聞」、後半は45分40秒から「大逆事件」。

2012年1月29日に放送。シリーズ「日本人は何を考えてきたのか」の第4回。旅の案内はクリスティーヌ・レヴィさん(Christine Lévy ボルドー第三大学教授)で、幸徳秋水の代表作『廿世紀之怪物 帝国主義 1901年(明治34年)』の仏訳『L'impérialisme, le spectre du XXe siècle』翻訳者。なお幸徳の著作はレーニン著『帝国主義―資本主義の最高の段階としての 初版は1917年』に先駆けるもの。幸徳秋水のは以下書名で出てます⇒『帝国主義 (岩波文庫)』、『二十世紀の怪物 帝国主義』。
↓『廿世紀之怪物 帝国主義』書影、19分8秒の所。
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SOBA:↓内容が現在を歌っているようなのが驚き。世情は確実に退化。この歌、今の世に作られていたら意図的に消され、日の目を見ず残らなかったかも。歌はエノケンこと榎本健一さん。

これが自由というものか(1954) / 榎本健一 + 歌詞
案山子山田野
https://www.youtube.com/watch?v=NCc2EgOvhwk

2012/11/03 に公開

これが自由というものか(1954)
作詞・作曲:三木鶏郎
    歌:榎本健一

知らない間に実験で   知らない間にモルモット
知らない間にピカドンで 知らない間に水爆病
これは呆れた驚いた   何が何だかわからない
これが平和というものか あちら任せの平和論

知らない間に値上げして 知らない間にMSA
知らない間に教育法   知らない間に機密法
これは呆れた驚いた   何が何だかわからない
これが自由というものか あなた任せの自由論

知らない間に金あげて  知らない間に金取って
知らない間に税金で   知らない間に自衛隊
これは呆れた驚いた   何が何だかわからない
これが政治というものか おかみ任せの政治論

↑↓歌詞中出てくる「MSA」について

コトバンク > デジタル大辞泉 > MSA協定とは
https://kotobank.jp/word/MSA%E5%8D%94%E5%AE%9A-446545

百科事典マイペディアの解説
MSA協定【エムエスエーきょうてい】
日米相互防衛援助協定とも。1954年3月東京で調印,同5月1日発効。米国が日本に兵器その他の援助を約束し,日本は防衛力の増強と,米国に各種の便宜を供与することを約束した。
→関連項目日米艦艇貸与協定|日本

世界大百科事典 第2版の解説
エムエスエーきょうてい【MSA協定】
1954年3月8日,岡崎勝男外務大臣とアリソンJ.M.Allison駐日アメリカ大使との間で調印された協定で,〈相互防衛援助協定〉〈農産物購入協定〉〈経済措置協定〉〈投資保障協定〉の四つからなる。日本の軍事力増強を図るためにアメリカが援助を与えることを主旨とし,その根拠がアメリカで1951年10月に成立した相互安全保障法Mutual Security Act(略称MSA)に求められたのでこの名がある。

  

 私事片々(2017/01/07)以下(2017/01/08)(2017/01/09)で辺見さんが言及している新宿紀伊国屋での講演会と、若干のテキスト起こし(紀伊国屋ホールの音響効果がとても良く、辺見さんの声も聞き取りやすいのでテキスト起こしは前半は比較的細かくやりましたが、残りは要約やキーワード)
追加:2017年3月12日 こころの時代←頁内ジャンプ。

 以下podcast、①から③は現時点での使いやすい順番。ipadの場合はほぼ同じ使い勝手。

20170130HenmiYou ←4sharedに保存。PCならクリックし頁が変わり待つと自動的に再生(但しmp3の場合、途中で他のmp3に変わってしまうことあり、バグ?)。ipadならタップするだけで4sharedのAppが開き再生(初めて 4sharedを使う場合は「購入」と出るけれど、4sharedは無料Appなのでここでの購入はipad用語で単に4sharedをダウンロードするの意味)

20170130HenmiYou ←MediaFireに保存。PCでは使い辛くなったので、ipadを推奨。ipadでリンクをクリックするとSafariの別頁が開き、フィル名「20161205_HenmiYou」と「Download(…MB)」のボタンが出るのでクリックすれば再生開始。進捗バー(タイムバー)はMediaFireの方が使いやすいです。

 

2017年1月30日(月)18:00開場、18:30開演

新宿紀伊国屋、辺見庸講演会(2時間)

始め〜、右眼が見えなくなってなど。ポルトガルの作家ジョゼ・サラマーゴの小説『白の闇』、SFあるいは未来小説とも言える。突然国中の人が目が見えなくなる病気にかかる。視界が白濁して土色の闇になってしまう。そう言う見えなくなった世の中で人間はどういう風に動くか、行動をとるかが『白の闇』の主要なテーマ。人間はそう言う危機的な、言わばパンデミック、大流行、どんどん感染していく小説。目が見えなくなったら、お互いに助け合ったり、他者の命を大事にするかと思ったら、暴力、それからおぞましい事の連続、ほとんど救いがないって言う小説。

3分57秒〜、パンデミック、世界はまさにパンデミックの渦中にいる。「価値観の大崩壊」と言うパンデミック

5分16秒〜、正式なこの講演のタイトルは「今何が起きているのか 1★9★3★7と現在、そして未来のイメージ」だったけれど、副題として「おぞましさの永続」と副題をつけたい。たぶんこのおぞましさは暫く続くのではないか。こう言う価値観のパンデミックに立ち会ってみて思うのは、ルイ・アラゴン(Louis Aragon、1897年10月3日 - 1982年12月24日 )と言う人が19世紀から20世紀後半まで生きてきた、この人が「人間においては何ひとつ確実なものはない」と言う言葉と。もう一つ「人間は自己が、自分が、思うような存在では実はないのだ」と。「人間は自分にいだく幻想と、人間が持つ現実・事実を混同してはならない」と。

6分50秒〜、バイオハザードと言う映画があったが、人間がゾンビのように見える。人間がゾンビ化しているのではないか。フィクションの世界がいつの間にかリアルな現実に追い越されてるのではないか。

8分14秒〜、『釘宮病』、略称は「KVD(Kugimiya Virus Disease)」の話し。Wikipediaのパロディサイト、アンサイクロペディアに出てくる、事実ではない非事実の話し。

9分50秒〜、今日お話しする中で基本としたいことがある。ここに足をつけて、ここを守り抜く覚悟で考えているわけで、「我々がいま直面しているありふれた死、それが自殺であっても、自死、あるいは認知症であり、統合失調症であり、ガンであり、鬱であり、飢えであり、狂気であり、そう言う個人の些事から世界を見上げてみる、そこを通して世界を見上げるとどういう風になるのか」と言う見方が本当は一番正しい見方、正しいと言うよりもいま唯一我々にできる視線の持ちようなのではないかと思っているんです。「役に立たないもの、不用なもの、弱い者、貧しい者、うち捨てられた者の側から視線を他に向ける」と言う事がいま一番大事なような気がしている。

11分17秒〜、いま何が起きているのか具体的に語ることはできない。ただ、いま立ち上がっている風景の性質については会場の皆さんと、ある程度一致して、共通して感じることができるのではないか。それは言葉に置き換えれば、こう言う事ではないか、それは「底知れない程度の低さ、どぶから生まれた何か、およそ深さなどまったくない何かが多数者を支配する、ないしは多数者の心をつかんでしまっているという状況にあるんだ」と私は感じているわけです。で、「底知れない程度の低さ、どぶから生まれた何か、およそ深さなどまったくない何か」という風にほとんど罵詈雑言のように吐きだしたこの言葉を言った人は20世紀初頭から75年まで生きたハンナ・アーレント(Hannah Arendt、1906年10月14日 - 1975年12月4日)と言う人。でこの状態は、このどぶから生まれ出た何か、底知れない程度の低さと言うもの、これはアーレントよれば「全体主義を生み出す大衆社会」について言っているわけです。「計り知れない下劣さ、それから低劣、吐き気をもよおすほどの醜悪、おぞましさ、下卑た振る舞い、ならず者によって占拠された世界、極めていかがわしい者たち、オフィシャルな晴れがましいものと渾然として融け合っている、そう言う世界、原理なわけです。ですから、例えばですね、これは後段でお話ししますけれども、いま立ち会っている立ち位置、我々が立ち会っている時代って言うのは決して初めて目にしているものではないんじゃないかと言う気も一方で私はしているわけです。仏教では「未だ来たらざるを願う事なかれ」と言う。「過去は棄てられたい、過去と言うものは既に棄てられている、未来は未だ到っていない、到らざる也」、ですから現存する所のものを一生懸命観察しなさいと言う風に仏教では言う訳です。でも、私はこれはちょっと違うんじゃないかと思っている。私たちはどうしたって「これからどうなるんだろう」と考えざるを得ない。現存するものだけに目をやって、それが解けるような事であろうかと思っている。それは僕はないような気がしているわけです。非常に難しいと思っている。

14分50秒〜(紀伊国屋ホールの音響効果が良いので、辺見さんの声がとても聞き取りやすいです。以下残りは、要約やキーワードを記録)『1★9★3★7』表紙の絵、山下清の『観兵式』について。(←この部分は12月5日講演会の方が詳しい

21分40秒〜、途絶えずに流れている時間。その事を山下清は無意識の証言者として切り絵の中に描いた。そこに(山下清の絵の中に)「底知れない程度の低さ、どぶから出た生まれ出た何か、およそ深さなどまったくない何か」を感じた人は恐らく一人もいなかっただろうと思う。これが今日のテーマ、歴史の中の実時間リアルタイムにあって、自分と・自己と出来事を客観視すること。これがどれ程大変な事か、至難の業(わざ)。1937年『1★9★3★7』に、同じ年12月の南京、1941年12月8日の真珠湾攻撃、1945年8月6日(広島原爆投下)、9日(長崎原爆投下)、15日、いったい誰が予感できたか。それは「無理だよ」と言ったのではお話しにならない。我々が唯一すべきことは予感、あらゆる自分の感官を動員して何かを感じると言う事が必要。感じなきゃならないのじゃないかと私は思っている。これが私が書いた『1★9★3★7』のテーマの一つ。

24分〜、1★9★3★7、1937年の南京大虐殺から80年、1917年のロシア革命から100周年。今まで歴史から何を学んだか、近未来に何を予感するか。暗黒の21世紀、ディストピア。技術の進歩と大量殺戮。戦間期の終わりと新たな世界大戦のプロセスに入っている日常。

30分〜、時代を特徴付ける言葉。とても驚いた言葉、OED(Oxford English Dictionary)に載った言葉、post-truth、脱真実、真実後。日本では去年の流行語大賞が「神ってる」で全く意味のない、そう言うこと自体がなにかpost-truth、つまり物事の本質や真相や真相の根拠や、そう言うものを考えると言うことをあざ笑うような時代に入ってきている。これが明確な物理的な原始的なファシズムよりも、より恐い情況、空洞化した情況になっている気がする。言説が真実か、根拠があるか、あるいはその根拠を検証する、検証してきたか、そう言うことには関係のない時代が来ている。今この国で首相をやっている人の名前を知らないんですけれども(笑い)。かなりあの人もpost-truthではないか。我々はほぼ諦めている、にも関わらず57%以上の支持率を持っている。この事に恐れってものをもっといだいた方がいい。

34分28秒〜、米国の大統領トランプの話しと、米国のメディア情況。最初にニュースに触れる手段がTVでも新聞でもなくなっている。ソーシャルメディアになっている(FaceBookやTwitterなどのSNS)。フェイクニュース、偽情報、デマが続行している。これが我々の政治状況を左右したり、デマとか法螺とか、それをTwitterでプロパガンダする。物事の真理とか理念とか理想とか、そう言うことの検証が足蹴にされている。そう言うことをやる事がナンセンスなように思われる。では人々は何を拠り所にして、何をきっかけにして情況を判断しているのか、ここにかつてとの相似形・近似的なものを感じる。それは感情、感情が情況判断を左右している。ロジックとか検証された根拠とか、そう言うことではない民衆の感情、大衆の感情の爆発でもって情況が変わっていく。それはハッキリ言って1930年代と近似的なもの、相似的なものがあるんではないかと思っているわけです。

37分〜、私が驚いているのは、ジョージ・オーウェル(英: George Orwell、1903年6月25日 - 1950年1月21日)が『一九八四年』と言う未来小説を書きましたけれども、丁度その1984年の前、1983年から84年にかけてアメリカに住みましたけれども、ご存じの通り私は現在ある情況と言うものを簡単に信用する人間ではないし、なかったわけです。なのでトランプが当選したってことに対して、もの凄く驚いたってことではないのです。(1984年 小説←Wiki)

38分辺り〜、トランプと既成のニューズメディア。米国の主要なメディアがカバーしきれていない、視野・視界に入っていない群衆が存在した。それが初めてトランプの出現によって抜き出されたのではないか。既成のニューズメディアは崩壊、自壊してるのではないか。その可能性を考慮しておく必要がある。

41分〜、もう一つの驚きは、選挙に使ったお金はトランプよりヒラリーの方が4倍以上使っている。トランプという表象・アイコンを善なるものとして感じた人間が多数いると言うこと、その事にも驚きを感じざるを得ない。正にpost-truth、事実なんかどうでもいい、真実なんかどうでもいい。そしてpost-truthには敷衍すればこう言う意味もあるんじゃないか。かつて言われたような普遍的な価値、例えば男女平等とか、あるいは人権とか、あるいは博愛とか、あるいは融和とか、寛容であるとか、そう言う普遍的な価値ってものを蹴飛ばす。普遍的な価値の時代は終わったと言うようなニュアンス、響きもあるような気がするわけです。post-truthは形容詞ですから、何が続くかと言うとpost-truth era 脱真実の時代とか、あるいはpolitics 脱真実の政治とかそう言う真実とか事実なんてのは、そう言うへちまなんてのは、そんなものは関係ない時代だよと、その表象としてトランプという男が躍り出てきたと言うことに僕は衝撃を覚えている。

44分27秒〜、もう一つの驚いた言葉、alternative facts もう一つの事実、代替可能の事実。トランプの就任式に集まった人間は史上最大であったと大統領の報道官が言う、でもそんな事はなかったわけです。で、それを批判されると大統領報道官は事も無げに「alternative facts」だと、もう一つの事実だと、言う言葉を使って反論する。ここに何があるのか、僕はここにあるものは「荒み(すさみ)」だと思う。人間とこの言葉と言うものを嘲笑う「荒み(すさみ)」ではないか。

SOBA:↑辺見さんの上記部分をもう少し詳しく書くと「トランプの就任式に集まった人間は史上最大であったと大統領の報道官が言う」はショーン・マイケル・スパイサー(英: Sean Michael Spicer)大統領報道官、その発言を「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」と言ったのはドナルド・トランプ大統領顧問/カウンセラーのケリーアン・エリザベス・コンウェイ(Kellyanne Elizabeth Conway)。ケリーアン・コンウェイはその後も色々物議を醸してますね

46分2秒〜、 先程話したように1983年から84年までアメリカで暮らしましたけれども、その頃ジョージ・オーウェルの『一九八四年』、今もすごく売れてるらしいですけれども、普通のスーパーでもオーウェルの『一九八四年』が売れてました。初めてではないんですけれども、今すごく売れてるらしいです。その事をどうしても考えざるを得ない。オーウェルが描いた『一九八四年』の世界と言うのは、ビッグブラザーと言う党があって、もちろん一党支配なわけで、街中にスローガンが書いてある。1950年代くらいに84年と言う未来について書いたものかと思うくらい、本当に先見の明というよりも予感力と言うかオーウェルの予感力には舌を巻かざるを得ないと思うのですが、いまだに通用するスローガンであり、あるいはパラドックス、逆説であり。例えばそのスローガンにはどう言う事が書いてあるかというと、「戦争は平和である」「自由は屈従である」と書いてある。私が取り分け興味があるのはこの言葉、「無知は…」無知というのはものを知ると言うことを拒むと言う意味も、知らされない、英語で言うとignoranceなわけですけれども、「無知は力である」と言うこの三つ目の「無知は力である」と言う言葉に私は「なるほど」と思うわけです。今もそうじゃないかと思っている。無知が、ignoranceって言うのが絶大な力を持ち始めていると言える気がする。街中のいたる所にビッグブラザーと言う党が「あなたを見守っている」と、「Watching you!」と書いている。ここで非常に面白いのは、ぞっとするぐらい面白いのはじゃあこのビッグブラザーの目的は何かと言うと「中層階級(中間層)が下層階級(貧困層)を味方につけて上層階級を倒す事態を永久に防いで、不自由と不平等を恒久的なものにすることを目的にする」と。これは恐らくマルクスを多少は読んだ人じゃないとこう言う問題意識は出て来ないと思う。問題はマルクスが着目したのは中間層と言う存在です。中間層と言うのは資本家あるいは支配階級とプロレタリアートの間に立ってどちらかに揺れる、罪の意識に左右されて揺れると言う風な存在だったわけです。『一九八四年』には、その中層階級ってのは下層階級を味方につけて上層階級を倒す事態を永久に防ぐわけです。つまりこのビッグブラザー達が何を防いでいるかと言うと「階級闘争」、「貧者達が団結して支配階級、資本家達を打倒する」と言う運動を内面から崩していく。ビッグブラザー(党が)「It's Watching you!」、いつもお前らを監視していると言う訳です。

51分37秒〜、トランプの登場は革命なのか反革命なのか。もっと具体的に言うと彼は労働者階級の味方なのか敵なのか。性急にこの答えを言うべきではないと思う、でも私は直観的には言える「トランプの登場は明らかに反革命ではないかと思う。それから彼は労働者階級の敵だと思う」。ただこんな単純な答えでは済まないくらい今の言説の世界は揺らいでいる。例えば皆さんもご存じの、正義の味方と考えられているオリバー・ストーンは最近になってトランプを全面的にではないけれども、擁護しつつある。彼のいわば内政に比重を置く、例えば無駄な軍事費を削減する、ないしは他国に介入する介入主義って言うものをとらない、と言う意味でオリバー・ストーンと言うオスカーをとった監督がトランプを擁護し始めている。これもまた2017年と言うものの大きな混乱、大混乱、価値の大混乱を象徴するような出来事ではないかと私は考えている。但しですね、このパンデミックって私は言いましたけれども、価値のパンデミックっと言うものは歴史的に今になって初めて、トランプの登場によって起きたわけではない。我々は30年代にもこう言う経験をしている。感情が物事を決める、意趣返しのようにエスタブリッシュメント言うものに敵対していくと言う時代というのを我々は経験していると思う。私が『1★9★3★7』のようなものを書いた理由は、やはりトランプ的なものの登場をたぶん私が予感したからではないかと思っている。

54分40秒〜、『1★9★3★7』を書いて、何よりも自分で自分を傷つけてしまった感じがする。『1★9★3★7』を書いていて痛切に思ったことが幾つかあって、先ず第一点「私はものを知らないな」と言うこと。もう一つ、実時間リアルタイムとは何なのかと言うこと。「実時間にあって人はいったい何をどういう風に判断し、予感しうる、予感し得たか。どう行動し得たか」と言うことを何度も何度も何度も考えた。それからもう一つは日本とは何かと言う事も何度も何度も考えました。随分いくつかの国を旅し、あるいはそこに常駐もしたりしたわけですが、やはりこの日本と言う国は僕には極めて特殊な価値空間であると言わざるを得ないわけです。

56分57秒〜、堀田善衛の『時間』。

1時間3分47秒〜、武田泰淳の短編小説『汝の母を!』(日本ペンクラブ電子文藝館で

1時間25分〜、トランプの話しに戻り、難民と米国、米軍の「おぞましさ」について。

1時間30分5秒〜、ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky、1928年12月7日 - )「歴史と言うものには世界的な同時性がある」「歴史と言うものには不思議な反復性がある、完全に同じではないけれども相似的な反復性がある」

1時間35分32秒〜、かつてフランスから中米に渡りカストロやゲバラと革命運動をやったフランスのレジス・ドゥブレ(Régis Debray, 1940年9月2日 - )学者・思想家が1994年に言った言葉で「今何が終わろうとしているのかは分かる。しかし、何が始まろうとしているのかは正直分からない」

1時間51分32秒〜、今日どうしても言いたかったのは(ジョージ・オーウェルの『一九八四年』の話しに戻り)ビッグブラザーは「It's Watching you!」党はおまえ達を見てる、ケアするんだよと言う言い方にも聞こえるが、実はおまえ達の内面を見てるんだよと、と言った含意でオーウェルは書いたと思う。それはまさに共謀罪、いま(安倍が)一所懸命やろうとしている共謀罪の成立ではないかと思う。共謀罪が何を狙っているかと言うと外形ではなくて内面であります、内面に入ってこようとしている。何を考えるか、つまり既遂の事ではなくてこれからやるかも知れない、ただ頭ん中で考えたようなこと、たとえばボードリヤールと言うフランスの思想家・哲学者が『パワー・インフェルノ』と言う本を書いた。その中で有名なせりふがあって9・11のほどなくして書いたのだが「実行したのは彼等だが、それを望んだのは私たちだ」と。ここには重大な示唆がある。共謀罪に関しての、あるいはジョージ・オーウェルが書いた『一九八四年』に関わっても大きな示唆がある。「実行したのは彼等だけれども、内心望んだのは私たちだ」と。と言うのはこれは我々の言説として我々の会話として言い得るわけです。これは何ら問題ではない。内心でイメージするのは自由だと。今やこの自由が剥ぎ取られようとしている。それが共謀罪であり秘密保護法。これはアメリカの反テロ法のやり方を真似したやり方だと思う。これが現時点のあの方の(安倍の)支持率からすると通りかねない、通ってもおかしくはないと私は思っているし、もう現時点で我々は内面のでやられてるんじゃないか、外形だけではなくて内面も相当に圧迫されてるんではないかと私は考えている。やっぱり共謀罪、テロ準備法ですか、名前を変えてそう言えば通るんじゃないか、通ると言わんばかりに今出して来ているこの共謀罪と言うものには、私が言うまでもないでしょう、皆さんも相当な危機感を持っておられるのではないか。我々の飲み食いする生活、衣食住に直接は関係ないかも知れないけれども、見えやしない不可視の領域だけれども内面に入ってこられる、内面まで入って来ている世界と言うのは2017年、すなわちロシア革命後100年、南京大虐殺後80年の現在ではないかと私は考えている。

1時間58分20秒〜、かつてスタンレー・ミルグラムと言う心理学者がある人の言葉を引用して不気味なことを言っているのですけれども、真理だと思うんです。「人類の長い陰気な歴史を考えた時に、反逆・反抗の名の下になされた忌まわしい犯罪より、服従の名の下に行われた忌まわしい犯罪の方が遥かに多い」、これは事実だと思う。実はテロ、テロと言うけれども、テロよりも現実に行われている国家犯罪の方が遥かに多いと言う事に気づかざるを得ない。どこに自分の思考の拠点を置くか、前に戻りますけれども先ほど話したあの殺された親子を思考の、無限同心円の中心に置いて考えるわけです。今の世界と言うものを混乱に混乱を極めて、動揺に動揺を重ねている、どうなるか分からない、来るべき戦争をも予感させる今の世界と言うものを最も低い視線から眺めていたい。その低い視線というのは、無用なもの、役に立たないもの、その視線から考えていく。無用なもの、役に立たないものを尊重する。無用なもの、役に立たないもので自分もありたいと思うわけです。今取り敢えず我々がもう既に予感どころか確信しているのは、あらゆる国が例外なくできつつあるのが、国民国家と言われている国が例外なく強固にしつつあるのは、どう言う国づくり、間違いなくできているのは警察国家であります。そして相互監視って言うものが既に到来している。そこの中で我々が歴史と世界と言うものを語る時の視線、目のおきどころと拠点は最も低い、無用なもの、役に立たないとされるもの、排除されるもの、例えば重度障害者、19人が、あの事件を僕は非常に気にしていますけれども、あれはある種のテロと言ってもいい、しかも教唆された、唆されたテロと言ってもいいんではないか。それを全体として予定調和のように、出来事の性質と規模の大きさに似合わない形で不当に低く報道されている。そこに僕らはもっと注目した方がいいと私は思う。ぜひ皆さんと今後起きるべき共謀罪の成立については神経質になって拒否していく事が必要ではないかと思いますし、それから最も低い視線から世界を眺めていく以外にないのではないかと考えています。たぶん起きるであろう戦争を起こらない事を願いつつ、祈りつつ私の講演をここで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

SOBA:辺見さんが上記言及している「相模原障がい者殺傷事件」で辺見さんの寄稿記事と私事片々。また講演の30分〜に出てくる「post-truth」、同じく44分27秒〜に出てくる「alternative facts」キーワード関連でトランプ就任式での観衆をキャプチャ画像を使っての検証
また「post-truth」「alternative facts」キーワード関連で八木啓代さんのブログエントリー「トランプにババをひかされるのは誰か?」をリンク紹介。トランプ関連で田中 宇(たなか さかい)の国際ニュース解説からそのなど。

講演終了後、演壇上で落款サービス中の一コマ。
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数打ちゃあたるで50枚ほど撮りましたが、
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手前の人に遮られたり、ピンぼけだったりぶれたりで、ちゃんと撮れたのは9枚だけ。
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こころの時代 父を問う――いまと未来を知るために
辺見庸1937
お散歩
http://www.dailymotion.com/video/x5qfc8j

辺見庸1937 投稿者 osanpodeonigiri

SOBA:[Eテレ]2017年3月12日(日) 午前5:00~午前6:00(60分)の放送

最初〜4分17秒の所で字幕が流れている地震は、放送直前3月12日4時57分頃の震源福島県沖の地震

動画の19分25秒〜「さらば蘇州よ わが二等兵記 ② 白崎浩(辺見氏父上のペンネーム)」『石巻新聞』1956年(昭和31年) スクロールして見るなら
1925

1956年(昭和31年)4月6日(金) スクロールして見るなら
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スクロールして見るなら
2207

スクロールして見るなら
2221

動画31分20秒〜の2016年12月6日『1★9★3★7』城山三郎賞受賞関連。
第3回「城山三郎賞」受賞作決定!!
片山善博選考委員の< 第3回選評 >

 

SOBA:『1★9★3★7』関連で目についたブログや記事など。なお参考で、ぜひ見て欲しい日本ニュース(大本営発表で検閲済み国策映像)に出てくる大阪での防空訓練

湘南のオアシスから 辺見庸『1★9★3★7』

74.辺見庸「父を問う」(NHKの番組)について(その1)

75.辺見庸「父を問う」(NHKの番組)について(その2)

57.講演会(1月30日)のこと

 

侵略戦争の責任を裁かないニッポン人の罪
2015年12月13日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/171608
Internet Archive 

「1★9★3★7(イクミナ)」を書いた 辺見庸(へんみ・よう)さん
2015/12/13
http://dd.hokkaido-np.co.jp/cont/books_visited/2-0036174.html
魚拓 

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完全版 1★9★3★7 イクミナ (上) (角川文庫)
完全版 1★9★3★7 イクミナ (下) (角川文庫)です。


 

辺見庸さんの『増補版1★9★3★7』と、
堀田善衛さんの『時間』(岩波現代文庫)です。 


 

辺見さんの『1★9★3★7』(イクミナ)です。 


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2017年1月18日 (水)

日本ニュース 戦争証言アーカイブス 戦後編 第141号(1948年9月)〜第155号(1948年12月)

 特に戦前の日本ニュースは、大本営発表で検閲済み国策映像。ただし、それはそれで当時の空気を想像・実感するのに役立つ貴重な資料映像です。すべてリンクと再生テキストを資料保存しておきました。なおリンク先ではすべて映像を見ることができます

 

日本ニュース 戦争証言アーカイブス
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi

日本ニュース一覧
「日本ニュース」は、太平洋戦争を間近に控えた1940年(昭和15年)から終戦をはさみ、1951年(昭和26年)まで制作されたニュース映画です。制作したのは、「日本映画社」(※)で、1940年にそれまで4つに分かれていた新聞社や通信社のニュース映画部門を国策により統合したものです。
戦時中の「日本ニュース」は、日本軍や内務省の検閲を受けた後、毎週映画館で封切られ、国民の戦意高揚に用いられました。テレビがない時代、国民は「日本ニュース」が伝える真珠湾攻撃や特攻隊出撃、学徒出陣の様子を映画館で目にしたのです。
「日本ニュース」は、戦争完遂を目的にした国策映画ですが、太平洋戦争中の映像記録として大変貴重なものです。「戦争証言アーカイブス」では、1940年(昭和15年)の第1号から、戦後も含め、1948年末までのものを公開しています。

※(1941年5月までの会社名は「日本ニュース映画社」)
※日本ニュース戦後編の再生テキストは、国立歴史民俗博物館の協力で作成しています。

 

日本ニュース 戦後編 第141号(1948年9月)10分27秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310141_00000&seg_number=004

国会を前に労働対策   01:36
脳病院から白骨 大阪  02:30
若返る文楽座      00:43
古橋またも世界新記録 -全日本学生水上- 甲子園 01:22
アイオン台風関東を襲う 04:13

国会を前に労働対策   01:36
新しい賃金要求をめぐって注目を集めている電産では、9月14日、東京都内の5分間ストを決行。この日、電産中央本部では中央委員会を開き、政府の強制調停案について活発な討論を行いました。

《組合員》
政府は公務員法改正を発表し、組合運動を阻止する態勢に出た。今またこの手をわれわれの上に強制調整の形をもって運動を分断せんとしておる。

これに対して加藤労働大臣は次のように語りました。

《加藤労働大臣》
電産の問題はですね、ご承知のように、その及ぼす影響が、社会・公共のためにもですね、産業の復興のためにもですね、同時にまた、電産の組合自身のためにもですね、非常に大きなものを持っておると思うんです。

こうして労働問題がやかましくなっているとき、院内大臣室では芦田・片山・三木の3党首会談。臨時国会を10月1日から開こうとの話し合いがつきました。

脳病院から白骨 大阪  02:30
豊中市の大阪脳神経病院に、死体遺棄、リンチなどが疑われる恐るべき事件が起こりました。ことの起こりは、9月8日、8個の白骨と化した浮浪児の死体が発掘されたことからで、喜多厚生次官らが急いで調査を始めました。
土の中に白く見えるのが遺骨です。現場以外からもたくさんの遺骨が発見されました。この丸い壺の中はすべて遺骨で、これらは虐殺されたのではないかと疑われています。責任者の稲葉病院長。9月8日、志水病院事務長、川上看護婦長は逮捕されました。
しかし、取調べの結果、さらに驚いたことには、この病室には健康な浮浪児と気違いの患者が一緒に入れられている事実が発見されました。

《調査員》
なんで死んだの?栄養失調かい?
《収容児》
栄養失調
《調査員》
毎朝どんなもの食べるの?
《収容児》
朝は、ナンバのときは、ナンバのそばを食べたな。ナンバのそば。とろとろよ。
《収容児》
そうや。
《調査員》
今、全部で何人残っているの?
《収容児》
子ども?
《収容児》
何人いるかねぇ。今残っておるの6人や。
《調査員》
それは頭のおかしくない子どもだね?
《収容児》
そう。
《収容児》
だけど、浮浪者で来るのは、たいがいせやけどな、子どもで来るのは、頭とんでるっていうのは少ないぜ、たぶん。

すぐ健康診断が行われ、元気な子どもは病室から解放されました。さらに、患者は全部よそへ移し、病院は閉鎖されました。不幸な患者たちは自動車で護送されましたが、これらの患者を食い物にしたこの残虐な事件は、先の寿産院事件を思わせ、注目を集めています。

若返る文楽座      00:43
《桐竹紋十郎》
《竹本七五三太夫》
伝統の人形芝居にも時代の波が打ち寄せ、文楽も映画演劇労働組合に加入。委員長は紋十郎、副委員長は七五三太夫。9月10日、東京劇場では、東宝、松竹などの組合代表が花束を贈って激励しました。

古橋またも世界新記録 -全日本学生水上- 甲子園 01:22
第24回日本学生水上競技大会第2日の9月11日、甲子園プール。800メーター自由形決勝。第5コース古橋選手は、例によってぐんぐん力泳しています。500のラップタイムは5分58秒0、長水路世界記録です。古橋依然トップ。750のターン、いよいよ最後のコース。

〈アナウンサーの実況〉
「・・・20メートル遅れましてターン、これより5メートル遅れてフジノ、あとの選手はいずれもずっと遅れております。古橋は絶対世界記録をつくるこのレースでございます。8分27秒4という輝かしい記録を世の中につくりまして以来。今折り返し、今775から780、いよいよラストのスパート、ラストスパート、ぐんぐん出ました。古橋出ました。満場総立ち。満場【聞き取り困難】。古橋、【聞き取り困難】全然疲れを見せません。古橋出ました、あと5メートル、あと4メートル、古橋あと3メートル、古橋あと2メートル、古橋1メートル、古橋ゴールイン」

タイム9分41秒0。かくて古橋選手は今シーズン五つ目の世界新記録を打ち立て、ますますその驚異的な力を発揮しました。

アイオン台風関東を襲う 04:13
アイオン台風は、9月16日午後には関東地方に迫り、その前触れは早くも風速10メートルの暴風雨となって東京都内にもしのび寄りました。
取り入れの秋をひかえて、農民は丹精した稲をわずかでも助けようと努力しています。

〈群馬県 沼田付近〉
利根川上流、群馬県沼田付近では崖崩れのため上越線の線路は宙ぶらりんとなりました。
〈群馬県 東村〉
群馬県東村では、渡良瀬川決壊のため、村役場のほか流失家屋5戸を出しました。
〈桐生市〉
桐生市では、まだ去年の被害が回復しないままで、再び渡良瀬川は増水に見舞われました。

〈茨城県 取手〉
最も危険だといわれる利根川べり取手の人たちは、刻々の増水に、家財道具をまとめて高いところへあわただしく避難していきます。

〈埼玉県 久下(クゲ)〉
荒川上流の久下では、降りしきる雨の中で堤防決壊を防ぐ応急工事が行われています。

〈埼玉県 栗橋〉
東北本線の栗橋鉄橋は、9月17日朝、危険に瀕し、このときの増水量はすでに7メートル63に達していました。
利根、渡良瀬の合流点では、応急工事に最後の努力をふりしぼっています。カスリーン台風で決壊してちょうど1年目の堤防現場には、まだトロッコがそのままにあるとき、再びまたこの洪水の危機に見舞われ、1年前の犠牲者の碑がわびしく濁流にのぞんでいます。

 

日本ニュース 戦後編 第142号(1948年9月)7分22秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310142_00000&seg_number=007

教育委員選挙迫る 投票日十月五日  01:26
どこまでゆくか昭和電工事件     01:26
秋のアラモード<時の話題>     00:35
糸姫のど自慢大会 大阪<時の話題> 00:45
踊るカミサマ都入り<時の話題>   00:53
第三回国体水上競技 福岡      00:58
水禍の街 一関 岩手        01:15

教育委員選挙迫る 投票日十月五日  01:26
教育の民主化をめざす教育委員選挙は10月5日に迫りました。関係官庁では準備に忙殺されています。9月20日、森戸文相も出席して、東京・神田で行われた街頭録音では、準備が遅いとちょっぴり苦情を述べる人もあり、活発な討論となりました。

(街頭録音)
《男性》
少なくも2、3か月前に当局は一般大衆に知らしめてうけて、そうして立候補者もいい人を進めるような余裕を与えなければ、大なる失敗だと私は思います。
《女性》
私たちの代表でございます国会が、議決によりまして先生方の立候補をちゃんと認めましたのに、なぜいけないのでございましょうか。
《森戸文相》
法律のねらいとしておるところは、しかし素人がいいので、特殊の教育通でも、世の中のことをよくわきまえ、財政のこと等もよく知った人でないといけない、こういう意味なんであります。

どこまでゆくか昭和電工事件     01:26
昭和電工事件。国民の税金である復興金融金庫から昭和電工へ23億円以上を融通したとき、莫大な賄賂のやりとりがあったことがわかり、がぜん問題となってきました。また、その融資が正しいかどうかにも疑問が持たれています。
《昭和電工社長 日野原節三氏》
贈賄容疑で、6月23日以来、取り調べをうけている昭和電工社長日野原節三氏。
《大蔵省主計局長 福田赳夫氏》
9月13日、大蔵省主計局長福田赳夫氏を収賄の容疑で強制収容、起訴しました。
《元自由党総務 松岡松平氏》
元自由党総務松岡松平氏も17日強制収容。
《民自党顧問 大野伴睦氏》
さらに事態は進展。民自党顧問大野伴睦氏は、18日、京都の旅館で逮捕、東京へ送られました。大野氏は電工事件に関し国会方面のもみ消し運動に暗躍したといわれています。
《興銀副総裁 二宮善基氏》
さらに検察庁では追及の手を進め、興銀副総裁二宮善基氏の出頭を求め、収賄容疑で強制収容。事件はなお政界上層部に及ぶ気配を見せ、どこまで広がるかきわめて注目されています。

秋のアラモード<時の話題>     00:35
東京・銀座三越のホールで、9月18日、秋の流行に先がけて派手やかなニューファッションショーが開かれました。ロングスカートでは先輩の方々が日本人に合うお手本を示しています。オペラグラスや、やるせないため息で、うっとりと眺め、盛会でした。

糸姫のど自慢大会 大阪<時の話題> 00:45
近ごろは素人のど自慢が大はやり。9月19日、大阪では全国紡績会社の糸姫たちののど自慢。
(のど自慢の様子)

踊るカミサマ都入り<時の話題>   00:53
踊る宗教の大神様は、大々的宣伝のため、9月22日、はるばる山口から都入り。一問一答をねらった本社記者は神様にしゃべりまくられて手も足も出ませんでした。

(しゃべりまくる大神様)

目白駅前ではお出迎えの信者たちが、さっそく無我の舞いを踊り始め、早くも夢うつつの体となっています。

第三回国体水上競技 福岡      00:58
9月16日から八幡市・大谷プールで開かれた第3回国民体育大会第3日、女子高校200メーター平泳ぎ決勝、京都朱雀の大石康子さん、3分19秒0の大会新記録で1着となりました。
第4日、社会人対学生300メーターでは、期待された古橋選手、最初からトップに出て、みるみる他を引き離しました。250メーターのターン、いよいよ最後のコースに入り、猛烈な頑張りを見せて、3分20秒8でゴールイン。8つめの世界記録を出しました。

水禍の街 一関 岩手        01:15
〈去年の九月〉
話は少しさかのぼりますが、岩手県一関の市中を流れる磐井川の堤防は、昨年9月、このように水害で壊されたまま復旧がはかどらず、
〈ことしの六月〉
たまりかねた人々は、今年の6月、市民大会を開いて一刻も早く堤防を造れと当局に要望しました。しかし、依然として工事は始められず、そのままで3か月たった9月16日午後6時30分、磐井川の氾濫から一丈余りの濁流はたちまち一関全市を襲い、街はあますところなく惨憺たる被害をこうむりました。電線にひっかかった畳や、思いがけないところへ持ってゆかれた家が、そのものすごさを示しています。水の引いた今、全市は文字どおり泥にうずまってしまいました。

 

1948年10月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194810

日本ニュース 戦後編 第143号(1948年10月)7分29秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310143_00000&seg_number=007

十月の声              01:14
水害地ようやく復旧へ        01:44
災害にそなえて 山形<時の話題>  00:32
“競舟(せりぶね)”合戦 熊本<時の話題> 00:28
毒ガス池より現る 大阪<時の話題> 00:42
秋のリーグ戦開く -六大学野球-  01:08
漫画の頁 清水崑          00:48
栗栖長官召喚さる -昭電疑獄-   00:49

十月の声              01:14
北の果て北海道ではもう肌寒い風が吹き始めました。
信州大日向村(おおひなたむら)の開拓地は実りの秋。
米どころ新潟では新米の供出が今盛りです。

水害地ようやく復旧へ        01:44
〈群馬県 佐久発電所〉
群馬県佐久発電所は今年も水害で手のつけようもないほどの惨状でした。去年の水害のあと、護岸工事が不十分だったためか、またも水路や発電所が土砂にうずまってしまいました。従業員はそれでも懸命に復旧にあたっていますが、あと半年はかかるといわれています。

〈東北本線 瀬峰付近〉
東北本線では今不通になった数十個所で応急の復旧工事が続けられています。宮城県大水内川の鉄橋では、500名近くの国鉄従業員が連日連夜苦しい条件の中でレールと取り組んでいます。9月29日、最初の試運転列車がようやく通過しました。

災害にそなえて 山形<時の話題>  00:32
9月23日、山形市で大規模な災害救助演習が軍政部の指導のもとに行われました。終戦後初めて真に迫った演習なので、市民はすっかり緊張。実際そのままの傷の手当てや避難ぶりを見せました。

“競舟(せりぶね)”合戦 熊本<時の話題> 00:28
100年も昔から続いているという熊本県水俣の舟合戦。9月23日、各部落から選ばれた若い男たちに混じって女や年寄りまでも息を切らせて張り合いました。

毒ガス池より現る 大阪<時の話題> 00:42
大阪長野町で溜池の水につかって子どもが死んだり大人でも足がただれたりするという事件が起こりました。びっくりしてさらうと毒ガスらしい缶が4個出てきました。これは終戦のどさくさにまぎれ軍の命令で投げ込まれたもので、進駐軍が調べたところ、体を腐らせるイぺリット毒ガスとわかりました。まだ山の中にもうずめてあるそうです。

秋のリーグ戦開く -六大学野球-  01:08
秋の6大学リーグ戦は、9月25日、神宮球場で早稲田対東大の一戦で開幕。東大リードのうちに早稲田5回裏の攻撃。バッター島田、3塁左を抜くヒット。2塁の宮原、3塁をまわってホームイン。5対3と迫りました。さらに6回、ランナー2塁、バッター石井、打ちました、ライトフライ、ライト加賀山バック、懸命にバック、向こう向きよく取りました。2塁の蔭山、3塁に進みます。続くバッター山下、打ってセンター、ライト間のフライ。センター、ライトともに追いましたが、ライトがとりました。バックホーム、3塁の蔭山ホームイン。この回さらに1点を追加、5対5のタイスコア。7回よりマウンドに立った東大・島村、好投して早稲田の得点を封じました。9回、早稲田最後のチャンスも、蔭山センターフライに倒れ、ついに5対5の引分けとなりました。

漫画の頁 清水崑          00:48
あるお池に小さな金魚がいました。その名は金融金魚。国のためです、餌をやってください。そこでみんな血と汗の餌をたんまりやりました。おかげで金魚は丸々と太りましたが、どうも番人の様子がちと変です。どうやらヤミ取り引き。せっかく国のために太った金魚もとうとう骨ばかり。内緒内緒でヤミ料理に舌鼓をうった連中は、さてこれからどうなりますか。

栗栖長官召喚さる -昭電疑獄-   00:49
現安本[経済安定本部]長官、前蔵相、栗栖赳夫氏は、ついに昭和電工疑獄事件の容疑者として、9月30日朝、東京地検に召喚。同時に東京・南千束の私宅は家宅捜査をうけました。栗栖長官は、馬場次席検事の12時間にわたる取り調べののち、同夜ついに強制収容。かくてこの大疑獄事件は芦田内閣の有力な閣僚にまで発展、内閣の前途を左右する問題となりました。

 

日本ニュース 戦後編 第144号(1948年10月)7分47秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310144_00000&seg_number=003

初の教育委員            01:31
国鉄労組 臨時全国大会 金沢    00:56
平沢、拘置所へ -帝銀事件-    01:07
新聞週間ひらく           00:51
昭電疑獄拡大 芦田内閣ついに総辞職 03:19

初の教育委員            01:31
初の教育委員選挙を前に、各候補者ともいよいよ宣伝戦におおわらわです。本社では大阪で一般の関心のほどを探ってみました。

《記者》
教育委員の選挙ですね、あれはお行きになりますか。
《市民》
行きます。
《記者》
教育委員の選挙ですね、非常にお忙しいことと思いますが、お行きになりますか。
《市民》
いやあ、僕はここ大阪府民と違うから。
《記者》
教育委員のね、する仕事というのはどういうものかおわかりになりますか。
《市民》
・・・。

案の定、10月5日の投票日には一般の出足はすこぶる悪く、東京では棄権した者が実に7割6分、全国でも4割以上にのぼりました。ただその中で子どもを持った母親たちの熱心な姿だけが目立っています。
しかし、そういう投票場のすぐ隣では子どもはメンコの最中。学校は戦災者と同居。ともかく新しい教育委員の前にはたくさんの仕事が待ち構えているようです。

国鉄労組 臨時全国大会 金沢    00:56
国鉄労働組合全国大会は9月30日から金沢市で開催。中闘不信任案をめぐって左右両派が激論を展開。

《発言者A》
私も不信任の信任をする理由はあります。不信任をする理由はあります。しかし北村大臣とは違う。労働者を見殺しにする官僚幹部に対して私は不信任案を・・・。
《発言者B》
何の解決もできえないような中闘はやはり不信任して、そうして新たに強力な中闘を作らなければならないと思うわけであります。

結局、不信任案を可決、さらに闘争体制を解くことに決まりました。

平沢、拘置所へ -帝銀事件-    01:07
帝銀事件発生以来254日目の10月5日、警視庁の捜査本部はようやく解散になりました。その夜、調べ室では容疑者平沢貞通が手記を書き続けていました。
生々しい当時の現場。12人のむごたらしい犠牲者を出した帝銀事件も、こうしていよいよ終末に近づき、平沢は10月8日午前7時、ものものしく並んだ報道陣の前を小菅拘置所に送られました。

新聞週間ひらく           00:51
わが国初めての新聞週間。インボデン新聞課長は、10月1日、全国新聞大会で祝辞を述べました。日本橋三越では新聞展覧会が開かれ、言論の自由を圧迫したころの風刺漫画なども現われました。天皇皇后両陛下もおいでになり内外記者団の質問攻めにあわれました。

昭電疑獄拡大 芦田内閣ついに総辞職 03:19
昭和電工疑獄事件はどこまで拡大するのか。東京地検の馬場次席検事に聞いてみました。

《記者》
今後ね、政局もだいぶ動いてきたんですけど、それに対してそういうことに差し支えなくどんどんおやりになるわけですか。
《東京地検 馬場次席検事》
まあ、そうです。

東京地検の追及の手は、10月6日早朝、さらに前国務大臣、西尾末広氏のうえに伸び、同氏はついに同日夕、小菅拘置所に強制収容されました。西尾氏は事件もみ消しの資金として日野原昭電社長から数百万円受け取ったといわれています。
こうして小菅拘置所には、この疑獄事件に関して、政界、財界の知名士およそ30名が強制収容されるにいたりました。
檻は一応満員になりました。しかしまだ入れます。今度この中に入ってくるのはいったいどこのだれか。衆議院不当財産委員会委員、民自党高橋[英吉]代議士は語ります。

《記者》
この先どこまで発展する見込みがありますか。
《不当財産委員会 高橋英吉氏(民自)》
まだまだ大物はたくさん出ると思いますがね。閣僚のうちからも1人や2人は出るし、だいたい芦田さんが最終の目標だから、芦田さんも場合によっては大変なことになるんじゃないかと思いますが。

当の芦田首相は事件の急速な拡大に、急遽、片山、三木両党首と会談。なんとか政局を打開しようと協議しましたが、事態はいよいよ行きづまり、首相の立場も困難になってきました。
栗栖カラスや西尾カラスにすっかり食い荒らされて、芦田田んぼの案山子も文字どおり動けなくなりました。
10月7日、芦田内閣は首相官邸で最後の臨時閣議を開き、ついに疑獄事件に対する道義的責任から総辞職をすることになり、苫米地官房長官から発表されました。

《苫米地官房長官》
臨時閣議を開催いたしまして、総理大臣から内閣総辞職の決定を発表いたしました。

ここに芦田内閣は臨時国会を前にしてわずか7か月で瓦解しました。直ちに苫米地官房長官は松岡衆議院議長を訪問して首相の辞表を提出しました。かくて次期政権をめぐって政局はまたも複雑な様相を呈してきました。

 

日本ニュース 戦後編 第145号(1948年10月)7分27秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310145_00000&seg_number=007

千数百年前の人骨とホコ モヨロ貝塚・北海道 01:09
日給十円五十銭の女工さん       01:21
福井の“斜塔”とりこわし<時の話題> 00:43
今度は闇タバコ部落へ 横浜<時の話題> 00:35
浅間の火まつり 長野<時の話題>   00:33
長崎名物オクンチまつり<時の話題>  00:29
ようやくこぎつけた吉田首班      02:34

千数百年前の人骨とホコ モヨロ貝塚・北海道 01:09
網走市のモヨロ貝塚は、北海道大学児玉[作左衛門]博士らの手によって、10月4日から2度目の発掘が行われました。食料にされたと思われるキツネの骨、クマの骨。鉄の矛を持った人の骨が出たのは日本で初めてでした。このホコと頭蓋骨から、これはアイヌ族ではなくアレウト人で、こんな家に住んでいたと想像され、千数百年前、遠くシベリアから渡ってきたことがわかりました。

日給十円五十銭の女工さん       01:21
10月10日、千葉県地方労働委員会で東金町石井服装工場の珍しい争議が問題になりました。日給10円50銭をめぐって女工さんと会社側の交渉。

《女工A》
私たちを、あのね、犬よりか低い賃金を考えてくださいよ。人間なんだから。
《女工B》
私たちに真心を少し汲んでください。お願いします。
《女工C》
10円50銭で16回じゃあんまりひどすぎるじゃありませんか。
《経営者》
うちはそれ以上のことはできません。申し訳ありません。委員会の方たちどうもご苦労さんです。どうもあいすいませんでした。

あんまりだわとハンストに入る者もあり、それをまた泣いてとめる闘争委員長もあり、女工さんのストらしい風景でした。

《闘争委員長》
・・・ここまできてるんだからね、あんたたちの体が弱っちゃってね、連中も待っているということはよくわかっているのよ。だからさ、もしものことがあったらと思うからさ、私たちはあんたたちのことが心配でしょうがないのよ。

11日、月収2350円というところで一応話ができ、この女工さんばかりの争議も70日目で解決しました。

福井の“斜塔”とりこわし<時の話題> 00:43
北陸大震災で倒れかかった福井市の大和百貨店。いざ取り壊しとなると、3万7千貫もある巨体を支えている4本の鉄柱を焼き切らなければどうにもならないのでなかなかの大仕事です。10月9日、やっと地上50尺の足場で準備完了。これでやっと市民も安心しました。

今度は闇タバコ部落へ 横浜<時の話題> 00:35
10月8日、東京地方専売局では、鶴見署の応援を得て、横浜市鶴見のタバコ密造部落を奇襲。この日、本物そっくりのラッキーストライクや手巻きタバコ8万本、そのほか大量の葉タバコなどがあとからあとから出てきました。

浅間の火まつり 長野<時の話題>   00:33
浅間温泉御射神社のお祭りが10月6日から行われました。麦わらを束ねたこのたいまつ、直径5尺、長さ8尺、小唄市丸さんの顔も見えて温泉町は大賑わい。この物騒な贈り物を投げ込まれた家は商売繁盛するといわれています。

長崎名物オクンチまつり<時の話題>  00:29
10月7日、8日は、長崎名物、諏訪神社のオクンチまつり。200年前、中国から伝わった日本にはただ一つしかないという蛇踊りや、今どきは珍しい娘さんの勇ましい姿も飛び出す騒ぎでした。

ようやくこぎつけた吉田首班      02:34
昭和電工疑獄事件の拡大で、ついに内閣を投げ出した芦田氏のあとをうけて、だれが次の首班になるか、これを相談する吉田、芦田、片山、三木、佐竹の5党首会談は、10月10日、松岡議長の斡旋で開かれましたが、結局たいした話し合いもつきません。このため11日からの臨時国会もあしたで散会。

《松岡議長》
・・・これにて散会をいたします。

このころ民主党では、吉田首班を嫌って同じ民自党の山崎幹事長を担ぎ出そうという空気があり、当の吉田総裁は渋い顔です。社会党の片山さんはいち早く野党声明。ところが、問題の山崎氏は、14日、突如議員の辞職を申し出で、担ぎ出しを策した民主党をすっかりあわてさせました。

《福田民主党副幹事長》
相当複雑怪奇な陰謀がある、ということも推定しだ、巷にそういう声もあるもんだから、これを徹頭徹尾、営委員会で調査して、そのうえで態度を決したい。

この日、各派交渉会は各党各様の思惑や裏面工作でもめにもめましたが、結局、午後9時より首班選挙を行うことになり、堂々巡りを繰り返すこと2回、決戦投票で吉田氏が首班に選ばれました。

《事務総長》
184点、吉田茂君。
《議長》
本院は吉田茂君を内閣総理大臣に指名するに決しました。

かくて吉田民自党総裁はやっと新内閣の首班までこぎつけましたが、これに対する各党の態度が複雑で、組閣の前途は難航が予想されています。

 

日本ニュース 戦後編 第146号(1948年10月)7分19秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310146_00000&seg_number=003

李大統領東京へ          00:58
東久邇氏登場 -不当財産委員会- 01:02
秋祭三題             01:12
東宝争議ついに妥結        01:32
おイモ山のごとく・・       01:10
吉田内閣発足           01:23

李大統領東京へ          00:58
大韓民国初代大統領イ・スンマン(李承晩)博士夫妻は、10月19日、マッカーサー元帥の出迎えをうけて、殷々たる礼砲の轟くうちを東京・羽田飛行場に到着しました。当日、イ大統領は改めて総司令部にマッカーサー元帥を訪問しました。

東久邇氏登場 -不当財産委員会- 01:02
10月20日の不当財産委員会は、終戦当時の兵器処理問題について、東久邇元首相ほか4名を召喚。兵器処理の方針を前の鈴木内閣から受け継いだかどうかを質し、その最高責任の所在を追及しました。

《委員長 武藤運十郎氏》
28日になって取り消しの命令を出しておるんです。このことについてご承知がありましたらばなるべく詳しく述べてください。
《元首相 東久邇稔彦氏》
あまりに全国に広がって多いので、また陸海軍がお互いに機密、秘密を守っておりましたので。
《委員 徳田球一氏》
この重大な事件が後継内閣になんら引き継ぎのなかったということにつきましては、なんとしてもこれは理解できないことであります。
《元首相 東久邇稔彦氏》
私は20年の8月11日に大命を拝するまでは政治に関係しておりませんから、日本の政府のしきたりであったかどうかは私はこの点は知りません。

秋祭三題             01:12
〈川越(埼玉)〉
秋はお祭りのシーズン。まず関東では、10月14、15の両日、埼玉県川越の商工まつり。300年の伝統を誇る10数台の山車が出て街は万余の人でうずまりました。
〈大分〉
これは10月9日から3日間行われた九州大分市の復興祭り。まことに奇妙な扮装の人たちが練り歩くこの仮装行列が人気を呼びました。
〈三谷(愛知)〉
お次は愛知県三谷町八剱神社の秋祭り。ここでは4台の山車が海を渡ります。これは酔っぱらい。郷土色豊かな各地の秋祭りでした。

東宝争議ついに妥結        01:32
全国ストに発展するかに見えた東宝争議は、組合幹部20名が自発的に辞職を申し出て、10月19日、急転直下、仮調印の運びとなりました。仮調印を終わって渡辺社長と日映演伊藤委員長は握手を交わし、半年の間もみにもんだ大争議もここに解決への第一歩を踏み出しました。東宝砧撮影所の門は半年ぶりに開かれ、10月20日、組合員は歌声も高らかに撮影所に入りました。五所平之助監督はその感想を次のように語りました。

《五所平之介監督》
よい映画を作るために、私たちの芸術的闘争は、結局これで終わったのではなくて、もっと長く険しいいばらの道だと思っています。私は、作家としてですね、信念を持って、あくまでその信念の正しい道に歩もうと私は思っているんです。

おイモ山のごとく・・       01:10
動物園ではキリン君がおイモをもらってほくほくです。見ている人間のほうもおイモ。東京の街ではときならぬおイモの山。食糧公団では懸命の配給。だが、まだまだ、東京・汐留駅ではためておいて腐っては大変とトラックでどんどんと配給所へ。それどころか、生産地のアルコール工場にもおイモはあふれ、これでもかというこのおイモ騒ぎは、農林省の作付け割り当ての見当違いからだそうです。

吉田内閣発足           01:23
組閣本部、だれが入閣するやらわからないというので、報道陣も手持ち無沙汰の体。その新聞記者の目をぬすんで星島、広川両氏がなにやらひそひそ。テント村には将棋盤なども持ち込まれ、車が入るたびにそれっとばかりに駆け込んで伺って見る吉田氏の顔色から、これは相当難航かと思われましたが、案外すらすらと、10月19日にはどうやら吉田内閣が成立。閣僚ニューフェースのモーニング姿がそろいました。だが、この間、16日には早くも佐藤官房長官を相手に、全逓の土橋氏が前内閣から続きの賃上げなどの要求を引っさげて乗り込み、18日には電産の組合が組閣本部前をデモるなど、風当たりは侮りがたいものがあり、多難な前途を思わせながら、10月19日夜には吉田新首相を囲んで初閣議が開かれました。

 

1948年11月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194811

日本ニュース 戦後編 第147号(1948年11月)7分56秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310147_00000&seg_number=003

蜜柑島便り 広島           00:55
千二百年前のメロディー 奈良正倉院  00:59
ヤミ横行に主婦怒る          01:26
“鮭”の滝のぼり 北海道<時の話題> 00:44
石灰岩から合成繊維 岡山・大阪<時の話題> 00:27
英貨を発掘 大阪<時の話題>     00:32
こんどは“胴上げ”宗教 京都     01:12
水害地の悲劇 宮城          01:37

蜜柑島便り 広島           00:55
瀬戸内海の蜜柑島、広島県大長村では今が書き入れ時。男は農耕に出るのでミカンは女の仕事になっています。ミカンはケーブルに乗って作業場へ。作業場ではベルトコンベアで運ばれるというなかなかしゃれた仕掛けです。シーズンを迎えて島からどんどん送り出され始めました。

千二百年前のメロディー 奈良正倉院  00:59
奈良正倉院の奥深く秘められていた1200年前の楽器を取り出し、当時のメロディーを再現しようという試みが10月19日行われました。これは当時の象牙の尺八・玉竹の横笛です。奈良朝時代の楽譜を読むことに成功し、楽器の扱い方を発見したのは初めてです。吹奏する人は芝祐泰[シバスケヒロ]。曲は「蘇幕遮」という唐から伝わったもの。当時の楽譜。

ヤミ横行に主婦怒る          01:26
〈東京〉
この金詰まりにだいたい物価が高過ぎると、東京自由が丘の主婦たちが、10月16日、大会を開きました。

《主婦A》
家に帰りまして竹の皮あけてみますと、中に入っていたものは、たしかにウサギの肉か何かが混じっていたように思いますから、どうぞそういうことがないように。もしもそういうのでしたらウサギの肉はウサギの肉として分けてお売りになるようにお願いしたいと思います。

付近の肉屋さんから買ってきた肉を総なめに目方の検査。

〈市川(千葉県)〉
太鼓を叩け、恐れるなと、千葉県市川市でも同じく値下げ運動が始まりました。ここでは戦々恐々としている商店のおかみさんを尻目に魚屋さんと談判です。

《魚屋》
うちあたりだって3本10円で売ったサンマありますよ。こんな小さいんです、そのかわり。それは本数で言うのはそれは絶対間違っているんですよ。お客さんのほうで。
《主婦》
切り身は7円ですって。
《魚屋》
切り身は大きさによって手加減いくらでもなるんです。包丁加減で。
《主婦》
それはそうだろうね。
《魚屋》
だから20匁と言われてもね、お客さんたちのほうはそれは無理なんです。あそこは10円だあそこは15円だと言われてもね、これは例えばカツオでもね、これは四つにおろしてあるけど、くっつけておろしちゃった場合には別ですよ。

“鮭”の滝のぼり 北海道<時の話題> 00:44
北海道はいよいよサケの季節。卵を生むためサケは十勝川をのぼります。
これは網おこし。一網で200匹から500匹取れるそうです。

石灰岩から合成繊維 岡山・大阪<時の話題> 00:27
珍しい合成繊維を作る研究が京都大学・桜田教授を中心に進められています。実験するとスフや絹糸より強いことがわかりましたが、その原料はなんと石灰石です。倉敷絹織でいよいよ工業化され始めました。

英貨を発掘 大阪<時の話題>     00:32
大阪天王寺町のある鉄商人の防空壕から、英国貨幣、香港ドルが続々発掘されました。10月18日までにニッケル貨、銀貨合わせて約10トン、トラック2台分が見つかりましたが、まだこのほかにもうずめられているのではないかといわれています。

こんどは“胴上げ”宗教 京都     01:12
京都市に神秘霊感道場というのが現われました。

《記者》
先生の霊感についてお話し願いたいんですけど。
《教祖》
私の霊感は、踊る神様や璽光尊やお助け爺さんと異なって、この霊感は真言宗の建前であります。

16の菊の紋などのついた幕の中では、いずれ劣らぬ屈強の婦人たちが懸命のお祈り。クライマックスになると大神様を胴上げするという踊る宗教に勝るとも劣らぬ風情です。

水害地の悲劇 宮城          01:37
40日前のアイオン台風の噂がもう遠のいた今日、いまなお水びたしの水田。稲は水の中でもはや芽をふいています。その芽をふいた稲をすら収穫しなければならない宮城県畑岡村の農民たちは、昭和16年以来、これで4回目の水害です。村の田んぼの8割がまだ水に浸っています。唯一の頼みであるポンプは壊れており、それを直す費用がありません。480戸のうち220戸が生活困窮者となりました。やがてこの農民たちに容赦なく冬が迫ってくるでしょう。

 

日本ニュース 戦後編 第148号(1948年11月)7分35秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310148_00000&seg_number=007

第三回国民体育大会 福岡       01:13
漫画の頁 清水崑           00:51
二十六万トンの黒鉛鉱 北海道音調津(オシラベツ)<時の話題> 00:32
炭坑映画を鑑賞 東京<時の話題>   00:25
永江前農相召喚さる 神戸<時の話題> 00:18
初の文化の日 東京<時の話題>    00:34
結婚 悩みあり            02:24
東京裁判再開             01:15

第三回国民体育大会 福岡       01:13
10月29日から6日間、福岡市で開かれた国民体育大会、女子円盤投げの鹿児島・兒島文さん、走幅跳、京都の山内リエさんなど、華々しく活躍。男子100メーター決勝。東京・仁田脇予想たがわず猛烈に走って地元福岡の生駒選手の追撃を一蹴、11秒フラットで優勝しました。11月2日に行われたマラソン。福岡・古賀選手は2時間42分41秒で堂々ゴールインしました。

漫画の頁 清水崑           00:51
吉田選手スタートラインにつきました。いよいよ呼び物障害物競走であります。最初の障害は苫米地民主党のぶら下げた取引高税。次は社会党が待ち構える賃金ベースのハードル。さらに不当財産委員会と検察庁の大きな網、その次は公務員法。スタートしました。11月の太陽は吉田選手の白足袋にさんさんと照り映え巨体に鞭打っての混迷の力走であります。

二十六万トンの黒鉛鉱 北海道音調津(オシラベツ)<時の話題> 00:32
北海道・十勝音調津の黒鉛鉱。最近26万9千トン埋蔵されていることがわかり、世界第2だというので発掘におおわらわですが、鉛筆の芯、製鉄、発電などに必要なこの重要資源は、今まで朝鮮に頼っていただけに、将来が期待されています。

炭坑映画を鑑賞 東京<時の話題>   00:25
これは映画『緑なき島』の一場面。石炭増産を扱ったこの映画の鑑賞会が、11月2日、国際劇場で開かれ、総司令部からワイアット氏ほか知名の士が多数列席しました。

永江前農相召喚さる 神戸<時の話題> 00:18
前農林大臣永江一夫氏が、10月27日、神戸検察庁に召喚されました。これは東洋製粉事件での収賄の疑いからです。

初の文化の日 東京<時の話題>    00:34
11月3日、文化の日、皇居前広場で郷土自慢のいろいろな催しを見る観覧席が押しつぶされたので、席料20円を払い戻すなど大混雑です。この日、目で見る文化史展と銘うった行列が町を練り歩きました。

結婚 悩みあり            02:24
11月3日、結婚式場は満員の盛況で、30分に1組ずつ結婚式が行われました。隣の部屋では次の番の花嫁さんがかつらをつけています。外の廊下にはまたその次の番の人たちが待っています。このご馳走がきょうこのごろは数万円。とすれば結婚とはなかなかの大仕事です。
しかし、それでもなんとか結婚したいものだという希望切にやみがたい人々が、結婚紹介所へ恐る恐る出かけます。結婚紹介所はなみなみならぬ繁盛ぶりです。        

《結婚希望者・女性》
今年22歳です。
《結婚紹介所の人》
22歳。書きますと、22歳くらいですとだいたい150、60人は入りますからね、その中からお一人ご選定になってもらうという方法がいいと思います。
《結婚希望者・女性》
卒業期から23まで入っておりますから。まだ19です。

ところで、手っとり早いほうがいいという人たちは、プラカードをかついで集団見合いへ一大デモ行進。11月3日の多摩川べりはその目の色を変えた人々でうずまりました。胸に番号札をつけた花婿志願者、こちらは花嫁志願者、ちょっとのすきにお化粧です。
楽しい一組もできました。しかし、一方では、見合いどころか、結婚費用がなくては話にならん、結婚資金を与えよと、ここでは金詰まりの冷たい世相が若い人たちを悩ませています。

東京裁判再開             01:15
A級戦犯容疑者25名を裁く市ヶ谷法廷の玄関に、被告護送車は音もなく入りました。11月4日9時30分、東京裁判は再び開かれ、ウェッブ裁判長は文明の名による判決文の朗読を開始しました。
ここに世界の視聴を集めつつ、極東国際軍事裁判所市ヶ谷法廷は、いよいよ最後の段階に入り、被告たちが最終判決を受ける日が近づいてきました。

 

日本ニュース 戦後編 第149号(1948年11月)7分16秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310149_00000&seg_number=002

世紀の判決せまる -東京裁判- 01:27
平和への宗教会議 東京     00:36
慶応勝つ -早慶第二回戦-   01:31
国宝危機に瀕す 京都・奈良   01:29
臨時国会ひらく         02:12

世紀の判決せまる -東京裁判- 01:27
全世界の注目を集めつつ、市ヶ谷の法廷ではさらにウェッブ裁判長の判決文朗読が続けられました。急いでアメリカから法廷へ戻ったキーナン検事の顔も見え、10月10日には、太平洋戦争は明らかに侵略戦争であり、これらの行為はすでに最高度において犯罪的であると、判決文は厳粛に告げました。静かに聞き入るその戦争責任者たちへの最後の断罪の日は刻々近づいてきます。

平和への宗教会議 東京     00:36
11月6日、国際宗教懇談会。

《参会者》
平和実現促進運動を、日本の国内と全世界と二つ平行して促進をしたいというのであります。

松岡衆議院議長も挨拶。踊る神様がとんだ番狂わせをやりました。

慶応勝つ -早慶第二回戦-   01:31
早慶2回戦、11月9日、神宮球場。3回、慶応の攻撃、ランナー2塁、3塁。バッター久保木ショートゴロ。3塁のランナー加藤ホームイン。そのとき2塁のランナー本田、2、3塁間でタッチアウト。続いて久保木もアウト。慶応は4回で2点のリード。5回早稲田の攻撃、バッター蔭山。打ちました、ショートゴロ。ショートとって本塁へ投球。3塁のランナー山下はさまれました。山下3塁へ戻りましたが、2塁の末吉がすでに3塁ベースにいて末吉アウト。続くバッター島田の一撃はショートゴロ、ショート、エラー。ランナー山下ホームイン。早稲田この回さらに1点、2対2の同点となりました。7回、慶応の攻撃、バッター吉岡、大きな当たり。レフト石井、追いかけましたが、惜しくも転倒。球は転々外野の塀。この間にランナー村上、一気にホームイン。9回早稲田いよいよ最後の攻撃。バッター島田、ピッチャー平古場、投げました、打ちましたが、ファールフライ。キャッチャー村上、懸命に追っています。よくとらえました。ゲームセット。結局、6対3、慶応の連勝となりました。

国宝危機に瀕す 京都・奈良   01:29
〈法隆寺〉
奈良法隆寺。飛鳥時代の建築美を世界に誇る五重塔も金堂も費用不足のため修理は遅々としてはかどっていません。修理するつもりで買った材木も道路に転がり池につかったままで腐っています。寄付金も思うにまかせず、そうした中で8年にわたって壁画の模写を続ける画家たちの生活も大変窮迫してきました。
〈極楽院〉
極楽院も荒れ果てました。
〈燈明寺 秋篠寺〉
京都の燈明寺もことのほかひどく、有名な秋篠寺の伎芸天も雨傘をさして雨漏りを防いでいます。奈良県では知事さんが国宝宝くじの売り出しに街頭へ出る騒ぎです。

臨時国会ひらく         02:12
第3回臨時国会開会式は、11月8日、天皇陛下を迎えて参議院議場で挙行されました。解散問題など与党、野党の攻防微妙なおりから、芦田さんが秘書官の小菅行きのこともあってか総裁を辞めると言い出し、民主党は寄り寄り協議。楢橋、犬養氏ら惑星たちも乗り出す始末。そのころ全官労の組合員たちは7,300円の賃金をよこせとデモ行進を起こし、その代表たちは首相に会わせろと官邸に座り込みました。

《組合代表》 
首相吉田にも会い、官房長官にも納得いくような形でな、回答をもらってわれわれはいきたい。しかしそれができないかぎりはですね、われわれはここでその誠意が見られるまではねばり込もうと。

そして翌朝まで代表たちは座り込みました。その9日の衆議院本会議では吉田首相が緊急質問に答えなかったので早くも一悶着。社会党吉川兼光氏再び登壇。

《社会党吉川議員》
私は吉田総理の答弁がありまするまでは何時間でもここで頑張るということをはっきり申し上げておきます。

これに対し翌10日、吉田首相は簡単に答弁。

《吉田首相》
・・・いたずらにこの審議を延ばそうということであれば、政府といたしては別に考えるところがあるんだよ。

別に考えがあるとはなにごとだと、また揉め始め、公務員法の審議を前に国会はただならぬ雲行きです。

 

日本ニュース 戦後編 第150号(1948年11月)
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310150_00000&seg_number=007

東京裁判判決の日          01:29
鉱山スト拡大            00:50
札幌 はやくも雪<時の話題>    00:29
鮎をつかみどり 宮崎<時の話題>  00:35
捕鯨船団南氷洋へ 横浜<時の話題> 00:34
漫画の頁 清水崑          00:42
解散をめぐってなおもめる -第三国会- 00:57
医者のいる村 いない村 東京・静岡・神奈川 02:16

東京裁判判決の日          01:29
全世界注視のうちに、東条被告以下の判決が行われた11月12日、法廷からの放送に聞き入る人々。

《ウェッブ裁判長》
被告東条英樹、被告が有罪の判定をうけた起訴状中の訴因に基づいて、当国際軍事裁判所は被告を絞首刑に処する。

傷病兵の一人はこう語りました。

《傷病兵》
軽いような感じもしているんですね。ちょっとね。もっと絞首刑がもう少しあるんじゃないか。ちゃんともっと。

AP通信ブラインズ氏は次のように感想を述べました。

《A.P東京支局長 ラッセル・ブラインズ氏》
日本人はこの犯罪をよく知るべきだ。国民が卑屈だったから侵略戦争にまきこまれた。日本が国際的地位に復したいなら、国民を奴隷にするこんな連中を除くべきだ。

鉱山スト拡大            00:50
〈常磐〉
坑内夫手取り1万5400円を要求して、各炭鉱は24時間ストに入り、常磐隅田川炭鉱では、11月16日、30年勤続で2万円の退職金では少なすぎると家族たちに訴えました。

〈北海道〉
北海道では、各炭鉱組合の大会に組合員たちが続々詰めかけました。

〈日立〉
炭鉱ストに呼応、同じ要求を掲げ、日立金属鉱山も、11月15日、ストに入るなど、鉱山ストはしだいに深刻な様相となってきました。

札幌 はやくも雪<時の話題>    00:29
北海道へはもう冬がきて札幌の町はそろそろ吹雪始めました。有名な時計台も白いお化粧です。

鮎をつかみどり 宮崎<時の話題>  00:35
宮崎県五ヶ瀬川(ごかせがわ)では、川をせき止め、やなに落ちてくる鮎をつかみどりしています。そしてたちまち鮎鮨に早変わりという、うらやましいような風景です。

捕鯨船団南氷洋へ 横浜<時の話題> 00:34
橋立丸など13隻の捕鯨船団は、11月13日、盛んな見送りをうけて横浜港を出帆、南氷洋へ向かいました。

漫画の頁 清水崑          00:42
悠々と橋にさしかかった吉田さん、解散を振りかざして言ったとたん、待ち構えた商人とぱったり。大根とサンマの抱き合わせを買えと言う。いや大根は買うがサンマはいらん、何を言うか、抱き合わせを買え、いや買わぬと、たちまち大騒ぎです。

解散をめぐってなおもめる -第三国会- 00:57
11月15日の衆議院本会議。社会党の細川氏は解散引き延ばしのため施政方針演説を要求。松谷、徳田の両氏は解散せよと強硬に迫りました。

《吉田首相》
現衆議院を解散し、改めて信を国民に問うことが当然であるのであります。

どうしても解散したいという答弁をして、首相も与党もさっさと引き揚げたので、さあ野党はおさまらず、また騒ぎとなりました。
外ではのんびりと女学生が記念撮影。18日には公務員法反対デモが練り歩くなど、政局はだいぶ複雑になってきました。

医者のいる村 いない村 東京・静岡・神奈川 02:16
11月12日、日比谷公会堂で国民健康保険10周年記念表彰式が行われました。
その国民健康保険で成功した静岡県和田村。ここでは立派な病院を持ち、全村6千名一人残らず国民健康保険に入っています。病院も農村としてはまず立派な施設で、婦人も安心してお産ができるわけです。
こんな村があるかと思うと、例えばある村では、神社の柱を削って帰れば安産できるというので安産したい人がこんなに柱を削ってしまいました。どの家にも例の御札が貼ってあります。そして一家に病人があると、たちまち巫女が駆けつけ不思議なご祈祷が始まります。病気の赤ちゃんはびっくりしています。せっかくの国民健康保険制度もそっちのけという村がこうしてまだまだあります。

 

日本ニュース 戦後編 第151号(1948年11月)6分39秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310151_00000&seg_number=004

十二月の声        00:54
農民解放デー 東京・茨城 01:14
国会だより        00:59
早慶ラグビー 早3-慶3<スポーツ> 01:35
東西対抗野球 東12A-西7<スポーツ> 01:54

十二月の声        00:54
まだそんなに寒くはない鹿児島で、もうしめ縄作りが始まりました。
東京では、銀座のある店に雲つくように大きなクリスマス用の洋菓子が現われて、道行く人を驚かしています。

農民解放デー 東京・茨城 01:14
農地改革2周年を迎えて、11月23日、東京では工業倶楽部で農民解放記念祭が行われ、農地改革の功労者が表彰されました。
一方、花火を打ち上げて茨城県名崎村[現・古河市]では農地改革記念碑の除幕式を行いました。名崎村ではこの2年間に農地530町歩を530人の小作人に解放したのですが、この日、農地売渡証が小作人代表に渡されました。村の人たちは総出でこの日を祝いました。

国会だより        00:59
傍聴席の入りは上々ですが、議席のほうがうそ寒い状態。早くもお国表の足固めに出かけたと見うけられます。
民自党は選挙費用集めに婦人たちが街頭へ出るという新戦術ですが、集まるかどうか。社会党の控室では新式のリーゼントスタイルが碁を打ち、水谷さんは怪気炎。

《水谷氏》
私の選挙費は出たとこ勝負の伝助賭博ですよ。

解散か引き延ばしか、国会も今がヤマです。

早慶ラグビー 早3-慶3<スポーツ> 01:35
早慶ラグビー戦は、11月23日、東京ラグビー場で行われました。左が早稲田、右が慶応。ルーズから球は早稲田へ出ました。スリークォーターに渡りましたが、惜しくもつぶされました。前半29分、早稲田ゴール前のラインナップの球、慶応フォワード河端とってそのまま倒れ込んでトライ。前半は3対0と慶応リード。後半、キックオフの球をそのままタイトスクラム。セブンの慶応よくねばっています。予期に反して猛烈な接戦。早稲田もまたしばしばチャンスに恵まれましたが、ハンドリング悪くつぶされ、慶応そのまま押し切る勢いを示しています。しかし、ノーサイド直前、ルーズの球を早稲田ウィング青木とって出ました。バスのタックルをはずして大きく左から中央へ回り込んでいます。ポスト左にトライ。かくて結局3対3の引き分けとなりました。

東西対抗野球 東12A-西7<スポーツ> 01:54
日本野球東西対抗第3日目、11月25日、後楽園球場。第1回、西軍の攻撃、別当レフトへホームラン。呉、塚本、別当、3者ホームイン。続く山本のホームランで西軍4点を先取。ただ今の別当のホームランを高速度カメラでもう一度。
第3回、東軍の反撃。ワンダン、ランナー2塁、バッター千葉、打ちました、ライト前ヒットでランナー1塁、3塁のチャンス。続くバッター青田もライトオーバーのヒット。3塁のランナー藤原ホームイン。続く川上フォアボールでワンダン満塁、絶好のチャンス。バッター小鶴、レフトへヒット。3塁のランナー千葉ホームイン。依然フルベースでチャンスは続いています。次のバッターは満場の期待を浴びて大下。打ちました、大きなあたり、ライト観覧席の奥深く打ち込んだ大ホームラン。4者(よんしゃ)きびすを接してホームイン。計6点を返して東軍逆にリード。この日、両軍のあたりものすごく、ホームランは合計6本を数え、結局12アルファ対7で東軍は3連勝しました。

 

1948年12月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194812

日本ニュース 戦後編 第152号(1948年12月)7分27秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310152_00000&seg_number=002

震災地に初雪 福井         01:38
芦田氏を逮捕要求<第三国会おわる> 00:48
公務員法ついに成立<第三国会おわる> 01:15
賃金要求で海員、炭鉱スト      01:04
カメラ報告 横浜の“風太郎”たち  02:40

震災地に初雪 福井         01:38
大震災からちょうど5か月目の11月29日、福井市は初雪。どろんこ道を子どもたちは学校へ急ぎます。この小学校はまだテント張り。子どもたちには厳しすぎる初雪でしたが、このまま冬を越すことになりそうです。
中学校では大きな生徒たちが寒さに耐えかねて自分たちで板張りを作り始めました。校長先生のお話では材木がこないから学校が建たないとのことです。

芦田氏を逮捕要求<第三国会おわる> 00:48
民主党・芦田、北浦、新自由党・川橋、3代議士の逮捕を、11月27日、東京検察庁が要求。昭電関係贈収賄について、議員運営委員会では、29日、芦田氏らを呼んで説明を求めましたが、はっきりせず、第4国会へこの問題は持ち越しとなりました。前首相の収賄事件の疑いだけに検察庁がどう出るか、成り行きが注目されています。

公務員法ついに成立<第三国会おわる> 01:15
同じ29日、真夜中の国会。公務員法改正案で野党間の申し合わせの食い違いから徹夜となりました。廊下では待ちかねる人々がうたた寝です。やっと午前6時半に本会議は開かれました。赤松氏の反対演説の時間が延びたとまず大もめ。
(混乱する国会の議場の様子)

《議員名不明》
修正案に賛成の意を表する者であります。
《徳田議員》
これはまったく言語道断のものでありまして、むろん反対です。
《議長》
委員長の報告のとおりに決するに賛成の諸君の起立を求めます。起立多数、よって本案は・・・。

採決の結果、30日、公務員法改正案は通過。この日で第3臨時国会は閉会となりました。

賃金要求で海員、炭鉱スト      01:04
11月29日、海員組合はストライキに入り、翌30日には全国で約430隻の船が止まりました。ストライキの原因は、新しい賃金要求について政府との交渉が決裂したためです。
また、もめ続けてきた炭坑は、再び11月30日、一番方からストライキに入りました。この日のスト参加人員は14万2千余名といわれており、12月2日現在まだ解決の見通しはついていません。福島県寿炭坑では一部の坑夫がハンストを始めました。

カメラ報告 横浜の“風太郎”たち  02:40
横浜、午前5時、そのへんに寝ていた風太郎[プータロー]たちは仕事にありつくためにそろそろ動き始めます。11月30日には夜が明けると風太郎の一人が凍え死んでいました。明るくなると、家もなく配給通帳も持たないこの自由労働者風太郎たちのところへ、親方がトラックを持って仕事を割り当てにきます。仕事にありつけなかった風太郎、またそんな仕事はいやだという風太郎を残して、トラックは出発します。仕事は沖で荷役をすることが多いようです。仕事が終わると、くすぶり横丁と呼ばれるこの界隈へ風太郎は集まってきて、稼いだカネは全部ここではたいてしまいます。

《風太郎》
だいたい朝はここへ6時ぐらいに来てですね、そして6時から親方連中が雇いにきてですね、それで仕事に行くわけだけどね。
《記者》
おたくは今どこに寝てますか?
《風太郎》
横浜の・・・。
《記者》
横浜の駅ですか。
《風太郎》
そう。
《記者》
寝るとこへ、どんなふうにしてもらいたいと思います?
《風太郎》
ぜいたくは言わないけどね、布団の上下1枚ずつでも寝かしてほしいね。少しカネがかかってもね。

布団のかわりにむしろをかぶってこの横浜名物たちは寝てしまい、明日の朝は凍え死ぬかもしれない、出たとこ勝負の生活を繰り返していきます。

 

日本ニュース 戦後編 第153号(1948年12月)7分42秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310153_00000&seg_number=004

雪にそなえる裏日本        01:06
早くも選挙気配<第四国会開く>  00:57
芦田氏ついに逮捕<第四国会開く> 01:04
氷上の花             00:49
早明ラグビー 早16-明5    01:35
カメラ報告 二つの災害地     02:09

雪にそなえる裏日本        01:06
雪の本場、新潟はもう真っ白です。今年はカエルの穴ごもりが浅いので雪は少ないだろうとは地元の人の予想です。一方、新潟気象台では今の気象の状態から見て平年以上降るだろうと言っています。しかし、こればかりは降ってみなければわからないというので、鉄道の人々はラッセル車の整備や雪除け作りで一生懸命です。

早くも選挙気配<第四国会開く>  00:57
解散まであとわずか。選挙演説の虎の巻をあさる者、売り込みに来たスクーターに買い気をみせる婦人代議士、さては拡声器の宣伝に聞き耳をたてる者など、国会は落ち着かない空気です。

(宣伝の声)
そんなわけで衆議院の議席は連日ごらんのとおりの寂しさ。12月4日、吉田首相は施政方針演説でまず前内閣を攻撃。

《吉田首相》
政権内はいびつ、生産はふるわず、紛擾また紛擾、ために片山内閣より、
《議長》
静粛に願います。
《吉田首相》
芦田内閣に及び、ついに疑獄事件のために吉田内閣の出現にいたったのであります。

芦田氏ついに逮捕<第四国会開く> 01:04
芦田氏ら3代議士の逮捕問題は、6日、土壇場でひっくり返って許諾と決定。

《議長》
芦田均君、北浦圭太郎君、川橋豊次郎君逮捕について許諾を与うるに決しました。

翌7日の朝、芦田前首相は天を指さして「心境は青空のごとし」と、集まった新聞記者に苦しい笑いを残して東京地方検察庁へ。直ちに堀検事正から収賄容疑の取り調べを受けました。これで芦田さんは昭電疑獄容疑者の第56番目になったわけですが、それでも次の総選挙にはぜひ立候補すると言っています。

氷上の花             00:49
12月6日、東京両国のメモリアルホールで戦後初めての氷上カーニバルが開かれ、華やかなマスダンスや珍しいコミックに観衆は大喜びでした。
かつてガルミッシュ[ドイツ]の檜舞台でソニア・ヘニーと1位を争った西川ブルガー夫人も久かたぶりの妙技をふるいました。

早明ラグビー 早16-明5    01:35
左が早稲田、キックオフ、12月5日の東京ラグビー場。両軍ぶつかると、いきなり明治右ウィング横山倒れました。画面いちばん手前に倒れています。脳しんとうを起こしたと思われます。これが明治の出ばなをくじいたことになり、その間に早稲田すばやくトライをあげて3点、8分、拒の蹴った球をフルバック新村とって猛烈に突進しました。左から突き抜けて真ん中にトライ。期待されたとおり両軍フォワードの突っ込み猛烈、ルーズとなりました。ルーズから球は明治に渡りました。しかしつぶされました。さらに明治に出ましたが、つぶされ、30分、早稲田こぼれ球を岡本、岡本から左ウィング青木とって青木俊足を利しての突進。フルバックのタックルをはずして中央へ回り込んでトライ。コンバートなって前半11対0と早稲田リード。後半、明治奮起し、がぜん白熱戦となりました。早稲田の35ヤード陣を抜いた出た明治の久羽、村上フォロー。村上、中央ゴール真下にトライ。コンバートなって11対5と明治迫りました。さらに両軍接戦を展開。早稲田、明大陣7ヤードから青木突き抜けて中央へ回り込みました。これがとどめのトライとなりました。ゴールなって、結局16対5で早稲田が優勝しました。

カメラ報告 二つの災害地     02:09
〈福井〉
福井に大地震があったのは今年の6月28日、あれからちょうど半年になりました。今、福井は驚くほど早い復興ぶりを見せながら新しい年を迎えようとしています。
いちばん復興の早いのはなまめかしい旅館、華やかな映画館。それに織物工場はやはり復興の原動力のようです。

〈一ノ関〉
一ノ関に大水が出たのはまだ暑さの去らない9月16日のことでした。あれから4か月たちました。しかし、ここの復興は遅々(ちち)として進みません。家を失い、あるいは肉親を失った人たちはまだ役場や学校で雑居生活をしています。せっかくの復興住宅も畳や建具など資材が足りません。霏々(ひひ)として降る雪の中に一ノ関の人たちは災害の年を送ろうとしています。

 

日本ニュース 戦後編 第154号(1948年12月)7分50秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310154_00000&seg_number=007

子供のあそび場          01:26
歳末の労働攻勢          01:17
キツネ豪華版 北海道<時の話題> 00:41
でっかい大福餅 東京<時の話題> 00:28
ゴー・ストップコンクール 東京<時の話題> 00:37
年末の国会荒れる         01:09
大臣さまトラとなる        02:09

子供のあそび場          01:26
都会では道路で遊ぶ子どもが目立ちます。最近、特に交通事故で死んだり怪我をしたりする子どもが増えてきました。そこで東京南千住では14か所に子どもの遊び場を作り、その第一期工事の落成式を12月11日に行いました。子どもたちは大喜びです。できあがり早々たちまち大入り満員となりました。

歳末の労働攻勢          01:17
銀座の真ん中に電車が立ち往生。これは電産が12月15日から行った1時間の電源ストで止まったものです。最低賃金制の確立と越年資金を要求する電産争議はまだ解決の見通しはつきません。
12月11日には全官公庁の組合が皇居前広場に集まり新給与案に反対の気勢をあげました。

《労働者代表》
政府は大量馘首を前提とする5,300円くぎづけ賃金の追加予算を上程し、少なき政策を押しつけようとしている。このままでは今年も年と冬は越せない。

《労働者代表》
労働者はともに立ちあがりまして6条件付きの7,300円即時支給を要求いたさなければならないのであります。

終わって賃金ベースを審議中の国会へデモを行いましたが、歳末を控えて労働攻勢は大きく広がっています。

キツネ豪華版 北海道<時の話題> 00:41
北海道の深川町にあるキツネの養殖場。ここには今300頭のキツネがいますが、来年はこれを1,000頭にしようというもくろみ。この中にいる輸出用のプラチナという鼻筋と首の輪の白い種類は時価20万円。その末路はかくのごとくになる予定だそうです。

でっかい大福餅 東京<時の話題> 00:28
東京浅草のあるお餅屋さんに現われたお化けのようなお飾り大福。なんと直径が2尺3寸、上下合わせて9貫600。中身のあんこもたっぷり。時価でざっと2万円というこのお餅を16人で平らげたら代金はいらないそうです。

ゴー・ストップコンクール 東京<時の話題> 00:37
交通安全週間2日目の11日に銀座で行われたゴー・ストップのコンクール。全国から選ばれた53人のお巡りさん、思い思いのスタイルで大奮闘でした。

年末の国会荒れる         01:09
12月11日の不当財産委員会には加藤勘十氏夫妻が立ち、商工省繊維事件に関して100万円はもらわないとつっぱりました。

《石田委員長代理》
そのもらった年月日、その金額、また、いかなる理由でおもらいになったか。それからそのカネの使途等につきまして明細にご証言を願います。
《加藤勘十》
私は梅村君からもらっておりません。

〈加藤夫妻 吉田首相 証言 -不当財委〉
翌12日、シズエ夫人、さらに鈴木茂三郎氏も、あれはきれいなカネだとつっぱりました。今度は吉田首相が100万円受け取ったという礼状が問題になりました。

《吉田首相》
全然承知しておりません。ただ献金があったから礼状を出してくれということが主であったものでありますから書いたのであって、どこにどうしてどういうふうな手続きで入ったとか出すとかいうことは一切知らないのです。

大臣さまトラとなる        02:09
12月13日夜、泉山蔵相の酔っぱらい事件。

《山下議員》
廊下に出ることを彼は暴力をもって強要いたしました。私も相当な力は持っておりますけれども、泥酔せる男子にはかないません。そうして、彼の行いました行動を・・・。
《議長》
静粛に願います。
《野次》
恥を知れ、恥を!
《山下議員》
私が恥を知らなければならない前に、綱紀粛正を叫ぶ吉田内閣の閣僚がまずもって恥を知らなければならないことを私はここに言明いたします。

こんなわけで、泉山氏は大臣も議員も辞職、まことに前代未聞の醜態ぶりのおかげで、予算案の審議は遅れに遅れ、したがって解散も遅れ、徹夜に続く徹夜の年末国会は大変歯切れの悪い幕切れとなり、16日にやっと賃金ベースの目鼻がつき始めました。

 

日本ニュース 戦後編 第155号(1948年12月)7分40秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310155_00000&seg_number=008

第四国会解散へ          01:06
スト中止勧告と労組のうごき    01:05
ジフテリア問題その後 京都    01:15
平沢公判ひらく<時の話題>    00:49
引き揚げ寮焼く 東京<時の話題> 00:37
ツルの入れ歯<時の話題>     00:41
仁王様に注射 奈良<時の話題>  00:28
歳末 街の表情          01:36

第四国会解散へ          01:06
12月20日の国会。夜11時過ぎ衆議院は再開、給与法案の政府修正案が提出されました。それが人事委員会にまわっている間、本会議は休み。熱心な傍聴者は居すわって待っています。翌朝9時、野党が修正して6,307円の新給与法案は通過。第4国会は12月23日夜11時解散となりました。

《議長》
起立多数、よってその他は委員長報告のとおり決しました。

スト中止勧告と労組のうごき    01:05
電産の川口委員長らは、12月22日、総司令部を訪問。日本経済安定のための9原則に基づきストライキ中止の勧告を受け、次のように語りました。

《川口委員長》
ヘプラー氏の希望される事態が、自然の結果として起こるよう期待しているが、このためにはなお西部会社の誠意ある態度を要求するとともに、組合は既定の方針と毅然たる態度で進むものである。

その日、続いて電産は団体交渉に入りましたが、23日現在まだ解決にいたりません。一方、私鉄総連合は、東武電鉄を除き勧告にそってストライキを延期、この二つの組合の動きが注目されています。

ジフテリア問題その後 京都    01:15
12月14日の京都ジフテリア問題の街頭録音では死んだ赤ちゃんのお母さんもマイクに立ちました。11月初めから被害者はあとを断たず、まだ132名が入院中で、重症の者はマヒ症を起こし、12月23日現在、すでに65人の赤ちゃんが死亡しました。この問題について林[譲治]厚生大臣は次のように語りました。

《林厚生大臣》
ご遺族に対して申し訳ないと考えています。それで今後は再びそういうことのないようにいろいろな手段を講じてみたいと考えています。

予防注射は当分中止となっていますが、予防医学研究所ではモルモットに試験をしています。

平沢公判ひらく<時の話題>    00:49
帝銀事件容疑者平沢貞通被告の裁判は、12月20日午前10時、江理口裁判長担当で開かれました。傍聴席は超満員。平沢被告は帝銀犯人ではないと主張しました。

《平沢被告》
私は調書の中では大変に犯人にされております。しかし、私はあの犯行は行っておりません。なぜ犯人でないのに犯人の自白をしたか、ご想像がつくと思います。

引き揚げ寮焼く 東京<時の話題> 00:37
12月18日朝、東京・赤坂、元(近衛)三連隊跡の引き揚げ者寮から出火。木造2棟35世帯が丸焼けとなり、おばあさんが一人焼け死にました。ここにいたのはみな体一つの引き揚げ者ばかりで、この133人の気の毒な状態が同情をひいています。

ツルの入れ歯<時の話題>     00:41
くちばしの折れた上野動物園のナベヅル。かわいそうなので、東京大学比較咀嚼論の権威、秋山博士はさっそく人間並に型をとり入れ歯を作りました。くちばしは銅とアルミの合金に合成樹脂をかぶせたもの。はめこむところは銀の合金です。暮れの18日にこの入れ歯をはめました。ツル君、大得意です。

仁王様に注射 奈良<時の話題>  00:28
奈良東大寺にある鎌倉時代の国宝、仁王様が、12月16日から京都美術専門学校宮本カズオ氏の注射をうけています。これは表面に塗られた胡粉の色模様がはげ落ちないようにするのだそうです。さすがの仁王様、痛そうです。

歳末 街の表情          01:36
今年もおしまいになりました。師走の街はさまざまの表情を見せています。異様な風体でてんやわんやと踊り回っているのは大蔵省の税金を納めましょうという宣伝。そういえば暮れの話題は税金でした。税務署はまけてほしい人や聞きにきた人でいっぱい。だが税務署は強硬に差し押さえをやるという手厳しい構えです。
この浮世の冷たさなどどこ吹く風かと人形はくるくると無心に踊り、そんな中で23日には7人の戦争責任者の絞首刑が終わったというあわただしい号外。警視総監はものものしいいでたちで巡視。こうした激しい現実のうちに今年も暮れようとしています。では皆さん、来年までさようなら。

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2017年1月17日 (火)

日本ニュース 戦争証言アーカイブス 戦後編 第121号(1948年5月)〜第140号(1948年9月)

 特に戦前の日本ニュースは、大本営発表で検閲済み国策映像。ただし、それはそれで当時の空気を想像・実感するのに役立つ貴重な資料映像です。すべてリンクと再生テキストを資料保存しておきました。なおリンク先ではすべて映像を見ることができます

 

日本ニュース 戦争証言アーカイブス
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi

日本ニュース一覧
「日本ニュース」は、太平洋戦争を間近に控えた1940年(昭和15年)から終戦をはさみ、1951年(昭和26年)まで制作されたニュース映画です。制作したのは、「日本映画社」(※)で、1940年にそれまで4つに分かれていた新聞社や通信社のニュース映画部門を国策により統合したものです。
戦時中の「日本ニュース」は、日本軍や内務省の検閲を受けた後、毎週映画館で封切られ、国民の戦意高揚に用いられました。テレビがない時代、国民は「日本ニュース」が伝える真珠湾攻撃や特攻隊出撃、学徒出陣の様子を映画館で目にしたのです。
「日本ニュース」は、戦争完遂を目的にした国策映画ですが、太平洋戦争中の映像記録として大変貴重なものです。「戦争証言アーカイブス」では、1940年(昭和15年)の第1号から、戦後も含め、1948年末までのものを公開しています。

※(1941年5月までの会社名は「日本ニュース映画社」)
※日本ニュース戦後編の再生テキストは、国立歴史民俗博物館の協力で作成しています。

 

1948年5月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19485

日本ニュース 戦後編 第121号(1948年5月)7分28秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310121_00000&seg_number=003

五月の声              00:46
辻氏へ出張尋問 不当財産調査委員会 01:22
流氷にアザラシを追う        01:05
ロハス氏追悼式 東京<時の話題>  00:31
女仲仕はどこへ 新潟<時の話題>  00:28
朝鮮人学校事件 大阪<時の話題>  00:42
貨物列車河へ転落 青森<時の話題> 00:37
時速百二十キロ スピード試験 静岡 01:54

五月の声              00:46
あふれるばかりの緑の若葉。
メーデー。
そして鯉のぼり。

辻氏へ出張尋問 不当財産調査委員会 01:22
怪しげな辻堂。ここへ夜な夜な莫大なお賽銭を捧げる人々。かと思うと、おカネや家をもらって出てくる人々もあり。さて、面妖なと、扉を開いてみると、この辻堂の主、その名は辻嘉六。
辻問題で注目をあびている不当財産取引調査委員会、世耕代議士が再び登場した4月27日、軍服払い下げ事件に辻嘉六氏は関係がないと証言。翌28日、武藤委員長以下は逗子の辻邸を訪問。新聞記者に会わせる会わせないで一悶着。固く閉ざした室内で辻氏は、今までカネをやって面倒をみた政治家は7、80名にのぼる、と言明しました。

流氷にアザラシを追う        01:05
北海道網走を出て5日目に、やっと日本海獣会社の一行はアザラシを見つけました。ここは日本の漁業が許されているいちばん北の端です。

ロハス氏追悼式 東京<時の話題>  00:31
故フィリピン大統領マニュエル・ロハス氏の追悼式は、4月25日、東京・永田町の総司令部教会で行われ、アパレラ比島代表や、マッカーサー夫人、神保元中佐らも参列しました。

女仲仕はどこへ 新潟<時の話題>  00:28
新潟の女仲仕。この人たちも労働基準法の実施で、5月1日からこんな労働はしなくてもすむことになりました。しかし、やはりなんとかして働かねばならないこの400名は、あとどうするかが問題です。

朝鮮人学校事件 大阪<時の話題>  00:42
在日朝鮮人の学校閉鎖問題から、4月25日の神戸事件に、総司令部から非常事態宣言が発せられ、引き続き大阪でも警戒陣が張りめぐらされています。急ぎ西下した鈴木法務庁総裁は次のように語りました。

《鈴木法務庁総裁》
神戸、大阪における騒擾事件の原因、経過を一通り調査したので、これに対する対策は東京に帰って閣議に報告したうえで発表します。

貨物列車河へ転落 青森<時の話題> 00:37
4月24日、青森県野内川鉄橋で起こった貨車20輌転落事故の現場。機関士2名が即死、1名が重傷を負いました。原因は、鉄橋がひどく古くなっていたためで、東京向けの配給物資も一緒に川につかってしまいました。

時速百二十キロ スピード試験 静岡 01:54
全線の電化と高速度をめざす国鉄が、いよいよその基礎試験を始めました。静岡県三島-沼津間2キロの直線コース。この試験のために架線の架け替えをはじめ万端の準備をしています。4月25日から6日間、試験車の運転を開始。架線の振動する様子の記録。車内では技師が刻々の速力を通達。80キロ、110キロ、ついに120キロに達しようとしています。車の通ったあと、軌上では軌道の影響を測定。この調査の結果いかんでは東京・大阪間6時間の夢が実現できるわけであります。

 

日本ニュース 戦後編 第122号(1948年5月)7分36秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310122_00000&seg_number=002

新憲法一周年           01:05
日食観測 礼文島第二報      00:58
-カメラ報告- “雑居”小学校 大阪 01:26
民衆の俳句 授賞<時の話題>   00:43
“ワラ”の祭典<時の話題>    00:40
馬 オハラ節をおどる<時の話題> 00:26
対立つづく東宝争議<時の話題>  00:29
第十九回メーデー         01:46

新憲法一周年           01:05
5月3日、新憲法施行1周年記念式典は、参議院に天皇陛下もおいでになって厳粛に行われ、芦田首相が式辞を述べました。次いで正午からは赤坂離宮に、芦田首相をはじめ新憲法成立に苦心した金森前国務大臣などが集まり、祝賀の宴が開かれました。

日食観測 礼文島第二報      00:58
北海の小島・礼文島は、いま数の子製造の最中です。この島が大きな役割を果たす日、5月9日のわずか0.7秒の貴重な一瞬を前に、アメリカのオキーフ班長や東京天文台の中野[三郎]技官をはじめ、各国の日食観測隊はそれぞれ準備を急いでいます。東京天文台の5メートルの大望遠鏡も丘の上にどっしりと腰をすえて、この太陽が金環食になるその日の一瞬間を待っています。

-カメラ報告- “雑居”小学校 大阪 01:26
大阪市のある小学校。コンクリートの4階建てですが、子供たちは3階以上に行ってはいけないことになっています。なぜかというと、戦災を免れたおかげで、3階から上には大人のいろいろな学校があるからです。まず長唄の学校。仕舞の学校。尺八の学校。お茶の学校。小料理の学校。これらは大阪市のいわゆる芸能教室です。小学校の教室不足の折から、この大人の学校の立ち退きが要望されています。

《教室での男子児童》
みんなの学校、みんなの教室、楽しい学校にしましょう。

民衆の俳句 授賞<時の話題>   00:43
5月2日、東京の月ヶ瀬が一般から募った10万余りの俳句から選んだ当選者の発表会。神奈川県で女学校の先生をしている双葉一心さんが当選しました。その句「生きて帰る故山の道やれんげ草」。

“ワラ”の祭典<時の話題>    00:40
第2回全日本わら工品製作選手権大会は、5月4日、全国40都府県から159名の選手が参加して、東京・後楽園でにぎやかに行われました。郷土の栄誉をになって各選手汗みどろの奮闘ぶり。

馬 オハラ節をおどる<時の話題> 00:26
馬がオハラ節を踊るという宮崎県母智丘神社、4月23日のジャンカン馬まつり。人間も一緒に踊っています。

対立つづく東宝争議<時の話題>  00:29
会社側と依然対立を続ける東宝の組合側は、5月4日、第2ステージに総会を開き、撮影所一時休業に全面的に反対。直ちに北岡所長と会見しました。

《北岡所長》
会社側としましてはですね、経営の方針に従って、日本の国法で許されたるところの手段を講ずることになると思います。

第十九回メーデー         01:46
5月1日メーデー。この日、東京では、60万の働く人々が人民広場に集まり、盛大な労働祭を行いました。良いお天気に恵まれて、色とりどりの行事が明るく楽しく繰り広げられました。

《社会党 浅沼稲次郎氏》
《共産党 徳田球一氏》
《私鉄総連 田中吉次氏》
われわれは、全世界の労働者とともに、人類の幸福と平和を抑圧とする金融資本家、ファシストの陰謀を突き破り、自由と平和と独立とをわれわれの手によって自ら確保しなければならない。

《メーデー参加者》
おー!

 

日本ニュース 戦後編 第123号(1948年5月)7分38秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310123_00000&seg_number=002

“日食”の表情       01:23
金環食 観測に成功 礼文島 01:07
漫画の頁 清水崑      00:39
カメラ報告 学生はどうしている 02:03
ソ連地区より引揚再開    02:23

“日食”の表情       01:23
5月9日、日食の日の東京。この日限りの日食眼鏡は飛ぶように売れ、みんな首を痛くして空を見上げました。本社のカメラも街に出ました。水たまりに映るのをのぞいている人もあります。野球場では一時試合中止。小学生も熱心に記録しています。三鷹の東京天文台では26インチ大赤道儀が食尽[食で天体が最も多く欠けるとき]を記録しました。

金環食 観測に成功 礼文島 01:07
一躍世界的になった金環食の島、その日の礼文島は島中が異常な緊張に包まれました。日米観測陣は貴重な一瞬にかたずをのんでいます。刻々近づいてきます。標準時間午前11時50分36秒、本社林田特派員が800ミリ望遠レンズでとらえた金環食の一瞬。

漫画の頁 清水崑      00:39
ニュースを申し上げます。上がる一方の世の中に、珍しくタバコ『シンセイ』が値下げになりました。
ニュースを申し上げます。鉄道運賃、通信料金がまた3倍半の値上げになりそうです。

カメラ報告 学生はどうしている 02:03
インフレの世の中、学費を稼ぐために学生の輪タク屋さんまで現われました。
学校ではお互いにやりくり算段の交換板が繁盛しています。
一方ではラブシーン。
ダンスにきわめて熱心な学生もあります。
また一方では、働かなければ勉強ができないところに、今の学生生活の深刻さがあるようです。
さらに、授業料が高すぎると、5月12日、学生大会が東大で開かれました。

《学生代表》
・・・ゆえに、だんぜん決起して、いっさい不払いの態勢をもってここに応じ、他に一切の行動の自由を保持、留保して、要求の全面的解決を期するものである。右決議する。

授業料の値上げをやめてほしいという学生の要求に、森戸文相は次のように答えました。

《森戸文相》
授業料の実際の状況からいうと、ただいま考えられておる値上げというものは、非常に不当なものということはできないのではないかと私どもは考えておるわけです。

ソ連地区より引揚再開    02:23
北海の氷も解け、ソ連地区からの引き揚げが再開されました。
樺太からの第1船は、一般同胞1,700名を乗せて、5月6日函館に入港。

一方、シベリアからの第1陣は、6日、701名の元軍人・軍属が舞鶴に上陸しました。

品川駅のホーム。

(駅雑踏~ひとりの復員兵が家に帰る)

 

日本ニュース 戦後編 第124号(1948年5月)7分34秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310124_00000&seg_number=002

国際ラグビー戦 オーストラリア対ニュージーランド 01:06
近視と義眼に新療法          01:03
スト一時中止 私鉄総連        00:56
開館近づく国会図書館 東京<時の話題> 00:35
舟 山をのぼる 京都<時の話題>   00:31
米国戦車 バスに早がわり 東京・群馬<時の話題> 00:29
“芸術?”に御用 東京<時の話題>  00:35
激化する東宝問題 東京・福岡<時の話題> 00:46
伊能忠敬百三十年祭          01:29

国際ラグビー戦 オーストラリア対ニュージーランド 01:06
ニュージーランド軍のウォークライ[ニュージーランドの民族舞踊]で開始されたオーストラリア軍とのラグビー戦。5月15日、花園ラグビー場で熱戦を展開。巧妙なドリブルでニュージーランド軍は8対0と前半リード。スクラムが3-4-1と組まれ、鋭いダッシュが目立ちます。ラインアウトの球の入れ方から、のびのびしたオープンプレーに、満場熱狂。後半、オーストラリア軍反撃しましたが、18対8で結局ニュージーランドが勝ちました。

近視と義眼に新療法          01:03
東京大学の萩原博士長年の研究で、疑似近視が短期間で治るようになりました。カブスコープというこの器械をのぞきながら、二つの対象を動かして、それがぴったり重なって見えれば治ったのです。
これは新しくできた入れ目、京都大学の梶山技師が苦心してプラスチックで作り、ガラス球より軽いのが特徴です。これに台をつけて筋肉に密着させると自由に動かすことができ、本物と見分けがつかなくなります。

スト一時中止 私鉄総連        00:56
〈大阪〉
私鉄総連合のスライド闘争はついに波状ストに発展。5月18日にはまず16組合が24時間ストを行いました。

〈名古屋〉

〈東京〉
従業員はこの間に急いで車体の手入れをしています。しかし、19日、会社が中労委の斡旋案を認めたので、組合側も拡大中闘を開くまで、自発的に一応ストを中止することになりました。

開館近づく国会図書館 東京<時の話題> 00:35
赤坂離宮が今度、国立図書館となり、一般の人も入れることになりました。5月20日、金森館長らの案内でマッカーサー夫人と令息が訪れました。マルコポーロの旅行記、そのほか貴重な書物もあり、近く10万部に充実されるということです。

舟 山をのぼる 京都<時の話題>   00:31
京都・嵐山の絶景をぬって舟がトラックに乗せられ山を登ってゆきます。これはきょうこのごろの保津川下りです。

米国戦車 バスに早がわり 東京・群馬<時の話題> 00:29
アメリカの水陸両用戦車、これが今度、全国で400台余り払い下げられ、富士産業伊勢崎工場で大型バスに改造、東京と千葉県の間を走ることになりました。

“芸術?”に御用 東京<時の話題>  00:35
5月16日、東京の元渋沢邸で始まった騒ぎ。題して「裸体芸術写真撮影競技会」。芸術家の面々は血眼。まさにたけなわというとき、警視庁保安課の手入れで、主催者とモデル嬢は滝野川署へ連行、送局されました。

激化する東宝問題 東京・福岡<時の話題> 00:46
東宝問題。解雇者の出入禁止の札が貼られている撮影所では、5月19日の職場大会で北岡所長と最後的な意見の交換が行われました。一方、福岡でも「映画を守れ」の署名運動。15日、東京・日比谷では伊豆肇さんも出て宣伝戦の最中です。

(人形劇)
働く者はいつまでたっても浮かばれないんだ。働く者の生活と文化を守るためにこいつの息の根を止めてくれるぞ。さあ、これでもくらえ!

伊能忠敬百三十年祭          01:29
伊能忠敬翁逝いて130年。千葉県佐原町では、この偉大な科学者をしのんで、5月15日から盛んなお祭りが行われました。墓に詣でるのは子孫にあたる伊能孝子刀自。この日は元文相安倍能成(よししげ)氏もここを訪れました。
忠敬翁が江戸時代にすでに天文地理学に使った器械。これは測量器。これは距離を測った里程車。そして遠く蝦夷の地に遣いした当時の日記。しかし、こうした貴重な遺物や、当時としては驚くべき正確な日本地図も、今までの保存が悪かったため破損しており、大変惜しまれています。

 

1948年6月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19486

日本ニュース 戦後編 第125号(1948年6月)7分37秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310125_00000&seg_number=002

国会だより 芦田・野坂論争       01:22
カメラがとらえた“霜”の芸術 北海道大学 01:07
かつおの季節 鹿児島<時の話題>    00:45
用意・・・ドン! 愛知<時の話題>   00:44
花嫁はお馬にのって 鹿児島<時の話題> 00:26
-カメラ報告- 増産をはばむ炭鉱の災害 01:41
六大学リーグ 早明第二回戦 早5A-4明 01:29

国会だより 芦田・野坂論争       01:22
5月22日、共産党員に対し公の仕事を禁止しようという問題につき、野坂参三氏が緊急質問。

《野坂参三氏(共産党)》
私はこの言葉を見たときに、あのドイツのヒットラーのやったことを思い出さざるをえない。ヒットラーが民主主義をぶっつぶしてあのファシズム独裁を樹立したときに、まず第一に、ファシズムの決定的な敵であった共産党をまず第一にやっつけた。それからどこへいったかといえば、社会民主党にいって、社会民主党、労働組合、協同組合をすべてぶっつぶした。

問題の弁明をした当の芦田首相の答弁。

《芦田首相》
野坂君のような博学な方であるから、アメリカやイギリスがこれらの問題についてどういう処置をとったかということはむろんご承知でしょう。したがって、民主主義政治を行なう国において、これらの問題を研究するということは当然のことであって、もし政府が考えていなかったら、それは職務の怠慢だと、私はそう思います。

カメラがとらえた“霜”の芸術 北海道大学 01:07
北大低温科学研究所では、中谷博士の指導で雪や霜などの研究が続けられています。もう初夏だというのに、こんな厳重な身ごしらえで冷たい実験室に入ります。室内は零下20度。特別装置の微速度撮影機がとらえた霜の珍しい生態です。

かつおの季節 鹿児島<時の話題>    00:45
カツオ釣りの季節になりました。南九州の沖合遠く、100トンばかりの漁船で乗り出します。えさをまいたあとから、腕と度胸でみるまに釣り上げます。この1匹で約1,000円、これが5,000貫たっぷりとれるそうです。

用意・・・ドン! 愛知<時の話題>   00:44
用意・・・ドン! アヒル君一斉にスタートしました。コースは50メーター。5月23日、愛知県岡崎の家畜レース。続いてブタ君、ブーブー鼻を鳴らしていやいやながらスタート。お次がニワトリ君。これが晴れの優勝者です。

花嫁はお馬にのって 鹿児島<時の話題> 00:26
5月17日は鹿児島県志布志町の観音祭り。この日ばかりは老若のおかみさんたち、うら恥ずかしい花嫁衣装に帰って、馬で参詣します。観音様へ安産の願掛けだそうです。

-カメラ報告- 増産をはばむ炭鉱の災害 01:41
炭鉱は今、目標3,600万トン生産にその努力を集中しています。しかし、戦時中の乱掘に設備は荒れ果て、災害が絶えません。この北海道美唄炭鉱でも、落盤や有毒ガスのため1日平均4人という死傷者を出しています。こうしたぎりぎりの条件のうちでも、坑夫たちは災害を防ぐため、できるだけの努力をしています。落盤の危険はないかどうか。有毒ガスは発生していないか。空気の流通は十分かどうか。このような危険を冒しても、全従業員は作業を続け、生産目標達成のドリルを握っています。

六大学リーグ 早明第二回戦 早5A-4明 01:29
小雨けむる5月23日の神宮球場、早明第2回戦。6回まで2対2のタイスコア。ラッキーセブン早稲田の攻撃。バッター蔭山、打ちました、大きな当たり、ライトの頭上を抜きました。球は転々外野の塀。この間、2塁のランナー島田、3塁を回ってホーム殺到、ホームイン。さらにランナー2塁、3塁。バッター山下、打ちました、ヒット、センター前ヒット、蔭山ゆうゆうホームイン。早稲田この回2点。2点リードされた明大、8回に1点を返し、9回の攻撃。ワンダン、ランナーを1塁に置いて杉下の一撃はレフトオーバーのヒット。1塁の磯田、駿足を利して2塁から3塁、3塁からホーム、ホームイン。再び同点となりました。9回、早稲田最後の攻撃。ワンダン、ランナー1塁、2塁、バッター松本、ピッチャー杉下、第3球、打ちました、ヒット。ショートオーバーのヒット。2塁のランナー野見山勇躍ホームイン、ホームイン、決勝の1点。さしもの熱戦も5対4、早稲田に凱歌があがりました。

 

日本ニュース 戦後編 第126号(1948年6月)7分35秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310126_00000&seg_number=002

慶明第一回戦 明4A-2慶<スポーツ> 01:35
西尾副総理“五十万円”証言 不当取引委員会 01:41
オートバイレース 愛知<時の話題>  00:38
銀行ごっこ 大阪<時の話題>     00:26
在日朝鮮人運動会 後楽園<時の話題> 00:34
水害にそなえて            02:38

慶明第一回戦 明4A-2慶<スポーツ> 01:35
今シーズンの覇権をかけた慶明1回戦、5月30日の神宮球場。第5回、慶応の攻撃、バッター岩中、ピッチャーの足元を抜くヒット。2塁のランナー山村、ホームをついて間一髪セーフ、ホームイン。慶応1点先取。その裏、明大1点で同点。さて、勝敗を決した6回裏の経過、バッター常見、岩中第2球、打ちました、球はぐんぐん伸びてレフト・センター間、外野の塀。常見2塁を回って三塁へ殺到、セーフ。堂々たる3塁打。続いてバッター野村、センター前ヒット、常見勇躍生還。続くバッター杉下、またもヒット、3遊間を抜きました。ランナー1塁から2塁。1塁の野村一挙3塁に滑り込んでセーフ。文字通りのヒットエンドランです。続いて安藤はバンド、岩中これをはじく間に3塁のランナー野村ホームイン。スクイズ成功。中盤ながら明治の攻撃は磯田、意表をつくバンド、3塁のランナー杉下もホームイン。この6回の裏であげた3点が結局ものをいって、4対2。明大の勝ちとなりました。

西尾副総理“五十万円”証言 不当取引委員会 01:41
6月1日の不当財産委員会。50万円をもらったという西尾氏の微妙な答弁。

《武藤委員長》
党へ差し上げるという趣旨か、それとも西尾氏個人へ差し上げるという趣旨でありますか。その点を明確にお話を願いたい。
《西尾副総理》
純然たる西尾個人ではないのでありますが、そうかといって、党に対する寄付とも考えておりません。党の書記長である西尾個人に自由に使ってくれという意味だろうと推察しておったわけであります。

続いて委員長は、西尾氏が書いた受け取りの名刺が本物かどうかを質問しました。

《西尾副総理》
これでございます。

さらに50万円の使い道の説明に入りました。

《西尾副総理》
私は10万円、森戸政調会長にこれをお渡しし、残りの40万円につきましては、自分の知っている人に対して、約40名近くの党の立候補者に・・・。

「委員長、委員長・・・。」

西尾氏をかばおうという人と、やっつけようとする人とで、大騒ぎになりました。

オートバイレース 愛知<時の話題>  00:38
5月31日、名古屋大須球場のオートバイ競走です。命知らずの選手たちの奮闘ぶり。オートバイの競走には転覆がつきものです。

銀行ごっこ 大阪<時の話題>     00:26
大阪の小学生が全国初めての「こども銀行」を店開きしました。支店長は6年生の小学生。こうして集まった3万5千円は本物の銀行へ預けました。

在日朝鮮人運動会 後楽園<時の話題> 00:34
在日朝鮮人の運動会が、5月28日、東京・後楽園でにぎやかに行われました。おばあさんまでが楽しげに踊りだしました。

水害にそなえて            02:38
《一松建設院総裁》
水害対策というのは、芦田内閣の施政のうちで最も重要な政策でね、これは僕が建設院総裁としてきても、国務大臣としてもだ、最もこれに関心を持っておるのです。

利根川の決壊口をふさぐ工事は5月30日竣工しました。8か月前、利根川はここで切れて、その濁水は関東平野を東京までひとのみにしたのでした。

〈米代川〉
これは秋田県米代川、昨年9月の洪水でやられた堤防を直したところが、再び流されてしまいました。

〈子吉川〉
さらに秋田県子吉川では、水害のすぐあと11月に作った橋が、もうわずかな出水で落ちてしまいました。今のうちになんとかしなければまた去年のようになると、地元では、5月とはいえ、氷のように冷たい雪解けの水につかって、必死の工事を始めています。

岩手県一関では、洪水のために死んだ人の慰霊祭をしめやかに行いました。
《慰霊祭での女性》
水害で壊された橋や堤防は、今でもそのままになっており、強い雨が降るたびごとに、また水害かとびくびくさせられます。

こうして東北地方は、今まさにこようとする水害をどう防ぐかに悩んでいます。

《大槻岩手県土木部長》
国の補助も遅いと、近ごろになってみると、県だけで借金をしてひとつやろうかというふうにまで運動を開始しましたが、なかなかその契約面がはっきりしないので、4年も5年もかかるんじゃないかと、こういう見通しでいきますれば、そういう状態になっています。

 

日本ニュース 戦後編 第127号(1948年6月)7分42秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310127_00000&seg_number=005

いよいよ核心をつく 不当取引委員会 01:26
早慶戦 六大学リーグ        01:27
日本ダービー 府中<時の話題>   00:55
八年振りにアメリカ現代劇 東京<時の話題> 00:42
祈れども雨ふらず 東京<時の話題> 00:49
“一兆一千億円”をめぐる-     02:20

いよいよ核心をつく 不当取引委員会 01:26
6月5日の不当財産委員会。

《武藤委員長》
個人のものですか。
《森戸文相》
それは森戸個人のものとして受け取ったものです。
《石田委員(民自党)》
党の幹部としての個人というような種類の収入であろうとも、これは当然政党の収入と考えなければならないという判断が決定的であります。
《西尾副総理》

西尾・・・。

(漫画)
「古池や蛙飛び出す水の音」
土建屋さんのおいでおいでに、現われいでたる大ガマ1匹。投げ出す大金を大口開けて一のみ。おなかがいっぱいになったので、さてかえろかえろ。このガマ、少々怪しいと叩いたところ、ほんの少しだけぽんと吐き出しました。

早慶戦 六大学リーグ        01:27
早稲田1勝のあとをうけて早慶第2回戦、6月6日の神宮球場。押すな押すなで怪我人を出す騒ぎのうちに、ファンは続々球場に詰めかけました。好天気と日曜に恵まれて超満員。第2回、早稲田の攻撃。3点をあげてなおフルベース。バッター石井、ライト前にクリーンヒット。ワンバウンド、ライト取って懸命のバックホーム。この間、島田、野見山相次いでホームイン。早稲田のつるべ打ちに、平古場、早くも退場します。替わってマウンドを守るのは木村。バッター磯野、打ちました、ショートゴロ、石井2塁から3塁を回ってホームイン。7点をあげて、さらにバッター荒川、ショートゴロ、関原とって2塁投球アウト。返す球1塁、これもアウト。ゲッツー。チェンジ。7点リードされた慶応、4回の攻撃。ツーダン[ツーダウン]フルベース。バッター徳丸、センター前ヒット。3塁のランナー岩中、2塁の山村、くつわを並べてホームイン。慶応2点を返し追撃しましたが及ばず、12対10。早稲田はストレートで慶応を破りました。

日本ダービー 府中<時の話題>   00:55
各馬一斉にスタート。先頭はハマカゼ、続いてクリヒロ、ミハルオーの順。6月6日、府中競馬場第15回ダービー。半マイル標付近、ハマカゼ遅れてリュウザンがトップになりました。第4コーナー、いよいよホームストレッチ。ミハルオー、インサイドから一気に抜けついにトップを奪いました。続いてリュウザン、ヒロトシ。ミハルオー栄えの栄冠を獲得しました。

八年振りにアメリカ現代劇 東京<時の話題> 00:42
アメリカ現代劇が、終戦後初めて上演されることになりました。

《舞台脇の解説の男性》
こっちには、いつもの舞台装置というものがあります。装置や小道具の助けをなるべく少なくしておいて、俳優の演技と皆さんの想像力にできるだけ多くのものをゆだねたいと思います。

ソーントン・ウィルダー作『わが町』(1938年)というこの劇は、アメリカでピューリッツァー賞を受けた優れた作品です。

祈れども雨ふらず 東京<時の話題> 00:49
私が神様に祈ればたちどころに雨が降りますと、木村モリタロウという先生、東京朝日新聞社の屋上でお線香をあげて熱心に祈り始めました。6月6日のこと。空を仰いで待てど暮らせどかんかん照りの上天気です。

《記者》
これはどのくらいの時間で降り出すんですか。
《木村》
降り出すのは、もうわずかです。すぐ雲はかかってきますよ。
《記者》
どっちのほうにかかってくるんですか。
《木村》
ただ西の風で来てね、雲が来てね、東の風に変わると雨になっちゃうんです。

だが、結局一滴も降らず、神様は全然くたびれてしまいました。

“一兆一千億円”をめぐる-     02:20
夏が来ました。6月4日の議会では、北村大蔵大臣の1兆1千億の財政演説。

《北村蔵相》
鉄道通信両特別会計に対しましては、一般会計から130億円の運営収支不足金の繰り入れを行い、かくいたしまして、鉄道運賃の値上がりは、空港税を含めて、現行料率の3.5倍、通信料金の値上がりは現行料率の4倍にとどめることとしたのであります。

暑くなったのでだれでも眠いと見えて、どちらを向いても昼寝です。
すっかり夏景色の銀座では、運賃値上げに賛成か反対かという放送局の街頭録音。

《男性》
絶対反対。
《アナウンサー》
そのすかし眼鏡の方、どうです?
《男性》
上げないことです。
《アナウンサー》
上げないことねぇ。皆さん上げない方が多くなってきたですな。おじいさんどうでしょう。
《男性》
絶対反対ですね。
《アナウンサー》
絶対上げないんですか。そちらのお嬢さん、どうです。
《女性》
全然上げてもらったら困ります。
《アナウンサー》
あなたは通勤ですか、どこかに。
《女性》
通勤です。
《アナウンサー》
パスが上がったらお困りですな。
《女性》
ええ。
《アナウンサー》
それでというわけですかな。
《女性》
そういう意味ではありませんけど、やはり鉄道運賃が上がりますと・・・。

暑くても、街は相変わらずの人出で、とんでもないビルの3階では、これでもかという東京都の貯蓄奨励の宣伝ジャズ。激しい時の動きのうちに、なにしろ暑くなりました。

 

日本ニュース 戦後編 第128号(1948年6月)7分28秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310128_00000&seg_number=005

早稲田優勝 六大学リーグ       01:36
国会“夏の陣”            01:38
水田に鉱毒流入 宮城         01:06
太宰治氏 情死か?          00:42
古橋選手 世界新記録樹立 三大学水上 02:24

早稲田優勝 六大学リーグ       01:36
打ちました、早稲田・蔭山ヒット。6月11日、神宮球場、早明の決戦。2塁、3塁にランナーを置いてバッター石井。打ちました、レフトフライ。レフト常見、構えました、取りました。バックホーム。3塁の島田ホームイン。この間、蔭山3塁を望みオーバーラインしてタッチアウト。続いて第2回、ランナーを1塁に置いて磯野ライトセンター間大きな当たり、球は転々外野の塀。1塁のランナー山下、2塁から3塁、さらに3塁を回ってホーム殺到、ホームイン。磯野堂々たる3塁打。さらに早稲田は4回と8回に各1点、計5点を加え、8回の裏、明大の攻撃。バッター宝山、打ちました、ライト・センター間を抜きました。ランナー2塁殺到、2塁打。続くバッター常見、打ちました、大きな当たり、ついにワンバウンド、レフト観覧席に入りました。3塁打。宝山ホームをおとしいれて1点を返しましたが、結局5対1。早稲田は春の覇権を握りました。

国会“夏の陣”            01:38
国会の夏だより。傍聴席は超満員ですが、本会議はなかなか始まりそうにもありません。それに引き換え不当財産委員会は大にぎわい。6月11日には武藤委員長不信任、西尾氏の告発まで飛び出して大騒ぎです。
当の西尾副総理にやめるという噂は本当かどうか聞いてみました。

《西尾副総理》
とにかくね、うわさは新聞記事がね、5里も10里も先走りしているんでね、そんなことは何にも考えてないです。
《記者》
じゃ今はちっとも変わらないというわけですね。
《西尾副総理》
ああ、ちっとも変わりない。

西尾氏がやめるかどうかをめぐって、片山社会党委員長もとうとう出てきました。一方、民主党では、顧問になった問題の黒幕、楢橋渡氏を迎えてなにやら対策を練っています。あれやこれやでごった返す中で、政局の焦点、予算委員会が開かれていますが、これは大変静かで、北村大蔵大臣はまことに所在なさそうです。

水田に鉱毒流入 宮城         01:06
宮城県栗原郡細倉鉱山では、6月10日ごろから鉱毒が灌漑用水に流れ込むという事件が起こりました。鉱毒はこの土管の継ぎ目から漏れています。付近の木はたちまち枯れ、田んぼに植えたばかりの稲も成長を止めてしまいました。これを助けるため、土嚢(どのう)を築いたり、消毒用の石灰をまいたりしていますが、380町歩に及ぶ水田が危機にさらされています。

太宰治氏 情死か?          00:42
『斜陽』その他、独自な作品で知られた小説家太宰治氏は、6月13日、山崎富栄さんとともに消息を断ちました。富栄さんの父親も上京。自殺したと見られる玉川上水では、絶え間なく降る雨の中で捜索が続けられています。自宅には豊島与志雄氏など親しい人たちが詰めかけています。

古橋選手 世界新記録樹立 三大学水上 02:24
第13回明治・立教・日大対抗水上大会は、6月13日、神宮プールで挙行。期待された800メーター自由形。古橋[廣之進]はいちばん手前第4コース。7コースの橋爪[四郎]ややリード。橋爪50のターン。古橋続いてターン。250から300、古橋トップに出ました。500のラップ6分2秒8、日本新記録。750のターン。いよいよラストスパート。古橋独特のペース。頭を突っ込んで猛烈な頑張り。ゴールまであと40メーター。古橋力泳。懸命の力泳。あと30。

《アナウンサー実況放送》
待望の世界記録なるか。古橋、懸命の力泳。あと25メーター、あと20メーター、それを追いまして橋爪。橋爪、古橋の差、約2メーターであります。第2位は橋爪。橋爪、懸命の力泳。古橋猛然スパートしました。あと10メーター、あと5メーターであります。はたして世界記録なるか。あと4メーター、3メーター、2メーター、1メーター、ただいま古橋ゴールイン。
《場内アナウンス》
1着古橋君、日本大学、時間9分46秒6。

古橋選手は本社の映写室で、カメラにおさまった自分のフォームを見たのち、感想を語りました。

《古橋選手》
まあ、自分としてはですね、練習中に9分58秒2で一度泳いだことがあるんです。それで泳いだら50秒は切るんじゃないかなというような、かすかな自信を持っておりました。
《記者》
今後ともわれわれは大いに古橋さんに期待しているわけなんですけど。
《古橋》
いやあ、自分としてはですね、できるだけともかく期待に添うべく頑張る覚悟でいます。

 

日本ニュース 戦後編 第129号(1948年6月)10分4秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310129_00000&seg_number=005

勝田炭鉱 爆発 福岡       01:15
古橋、橋爪また新記録 四大学水上 01:09
学生ストに入る 東京<時の話題> 00:31
輸出工芸展 東京<時の話題>   00:31
豚レース 北海道<時の話題>   00:32
-カメラ報告- 狩勝トンネルをゆく 北海道 01:33
“やめろ”“やめない” 西尾副総理 02:22
日本ニュース号外         02:07

勝田炭鉱 爆発 福岡       01:15
6月18日午前8時40分、福岡県三菱勝田炭鉱の入口から2,100メートルあたりでガス爆発を起こし、死者62名、重軽傷8名の惨事を引き起こしました。原因は調査中ですが、保安設備の不完全からだと現場ではいっています。家族の人たちもあわただしく駆けつけました。この増炭の尊い犠牲者の合同慰霊祭は、5日目の23日、全山悲しみのうちに思い出の竪坑前で行われました。

古橋、橋爪また新記録 四大学水上 01:09
第5回明治・立教・日大・関大の水泳大会は、6月20日、甲子園プールで挙行。400メーター自由形。期待された日大・古橋、力泳して大会新記録4分41秒で優勝。続いて1,500メーター自由形。日大・橋爪選手はスタートから好調、力強いストロークでばく進。最後のコースも力泳してゴールイン。19分14秒2、戦後世界最高記録を出しました。拍手を送る橋爪選手のおかあさん。

学生ストに入る 東京<時の話題> 00:31
文教予算の増額、そのほかの要求で、大学・高等専門学校の関東地区23校が、6月23日、同盟休校に入りました。この日、東京大学では三つの学部が授業を受けず、いつも満員の大内教授の教室も閑散としていました。

輸出工芸展 東京<時の話題>   00:31
輸出向け工芸品の展覧会が東京・上野の美術館で開かれています。蒔絵、陶器、時計などが人気を集めていますが、木版刷りの実演が特に人目をひきました。

豚レース 北海道<時の話題>   00:32
近ごろはこうした催しがはやります。これは、6月15日、北海道富良野町での900メートル豚レース。ご本尊よりも付き添いのほうが目の色を変えています。

-カメラ報告- 狩勝トンネルをゆく 北海道 01:33
石狩と十勝の境目、狩勝トンネルは、曲がりくねった1,000分の25の急勾配を登る、明治42年開通の古いトンネルです。中のレンガが崩れたり地下水が流れ出したりしているうえ、通風が悪くて煙がこもり、乗務員が窒息するというので乗るのを断ったことから、最近問題になってきました。この調査のため、6月17日、運輸省衛生試験室、北海道大学、そのほかの調査団80余名が汽車に乗り込みました。
天井が低いため、煤煙と130度の熱気で乗務員は苦しくてやりきれないと言います。
調査団は最も苦しい仕事をする機関助手の血液検査などを行いましたが、この科学調査の結果は、組合と当局との争いに大きな影響を与えるので、きわめて注目されています。

“やめろ”“やめない” 西尾副総理 02:22
6月22日、西尾[末広]氏問題について不当財産委員会の結論。

《不当財産委員会委員長》
西尾君の問題については、土建業者から受け取ったカネを、正式なる届け出でなくして、選挙に際しこれを政界の一部に散布した事実は、政界を腐敗せしめる因となるということを本委員会は認める。

この委員会の決定に反対の野次が飛び、農民党中野[四郎]氏かんかんになっています。

《中野氏》
・・・用のない者がなにゆえ委員会に来てそういう暴言を吐くか。何のためにそういう暴言を吐くんだ。この者に退場を命じろ。・・・この野郎め

当の西尾氏は素知らぬ顔。一方、民自党の大野[伴睦]氏はあくまで西尾氏不信任案を通すつもり。

《大野氏》
かなり今の見通しでは、はなはだ僅少ではあるけれども、かならず不信任案は通過するものと確信いたしておるのであります。

吉田[茂]総裁は珍しくにっこりしましたが、芦田[均]首相は足元に火がついたようです。社会党では、なんとか丸く収めようと、片山[哲]委員長まで出て西尾氏に離職を勧めましたが、当の西尾氏はどこまでも強行。24日、ついに不信任案が上程。中野氏鋭く退陣を迫りました。

《中野氏》
そう決意して、ぜんせいの手続き中である。かかる人物が国務大臣の地位にあることは断じて許すことはできない。

しかし不信任案はわずかの差で否決。西尾氏はまた内閣に腰を据えることになりました。

《議長》
事務総長よりご報告いたさせます。
《事務総長》
投票総数387、可とするもの白票178、否とするもの青票209。

日本ニュース号外         02:07
北陸大震災第一報
丸子・下岡・泉・安藤・中村特派員撮影

震源地は九頭竜川(くずりゅうがわ)下流付近。福井市を中心として、坂井、吉田、足羽の3郡をほとんど全滅させた大地震は、6月28日午後5時14分に起こったのでしたが、翌朝にいたるまで福井市街は燃え続けました。
道路にはいたるところ亀裂を生じました。福井駅付近では列車転覆。7階建ての大和百貨店の被害だけを見ても、この地震のものすごさがわかります。最も死傷者を多く出した国際劇場の跡。人々は今なお絶え間ない余震におののいています。

 

1948年7月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19487

日本ニュース 戦後編 第130号(1948年7月)7分45秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310130_00000&seg_number=001

特報 北陸大震災 第二報 07:45

特報 北陸大震災 第二報 07:45
丸子、伊豆村、橋本、佐野、土肥、佐々木、足立、清水、金子、山根、川村、淺輪、佐藤、深尾、内藤、岡田、安藤特派員撮影録音

東京大学地震研究所の地震計は、いちばんひどいときには針がはずれてしまい、記録された最大振幅61.5ミリ、昭和2年の丹後の地震に次ぐ激しさでした。
7月1日現在、死傷者1万3千に達した福井市は、見渡すかぎり廃墟と化してしまいました。
福井は織物で有名でしたが、その織物工場も無残に壊れてしまいました。倒れた建物の下から真っ白な羽二重が取り出されています。

《記者》
そのときのことを話してくれませんか。
《負傷した被災者・女性》
針仕事をしていましてね、地震がきましたものですから、縁(しき)のところまで来ましたの。それで障子につながっているのが、もう思い切りあれなんだんです。

アメリカの飛行機はいち早く被害地へ食糧を投下しています。小幡福井県知事は廃墟に立って次のように語りました。

《小幡福井県知事》
今、県下のいろいろな物資、それから各府県からも続々トラックで救援物資をもらっておるんで、まあ応急の救護としてはこれで十分だと思っております。

福井駅の北では列車転覆。さらに北福井信号所では上野発米原行き603列車が転覆しています。森田・福井間では線路が浮き上がり、九頭竜川(くずりゅうがわ)鉄橋も落ちてしまいました。堤防の一部は陥没し、7月1日から降り出した雨に決壊するのではないかと気づかわれています。中角橋、舟橋。国道にはものすごい亀裂を生じました。
森田町は1,600戸がつぶれ、死傷者1,300に達する被害をうけました。つぶれた家の下から死体が収容されています。ジャガイモ畑も水田もさんたんたる状態となりました。
丸岡町はほとんど全滅してしまいました。倒壊した小学校からはいたいけな犠牲者が運ばれていきます。焼け跡には死体を焼く煙。わずかに残ったかまどで露天の炊事です。協同組合ではありあわせの食糧を配給し始めました。
石川県大聖寺町に近い帝国繊維工場は、建物の3分の2が壊れ、20数名の死傷者を出しました。あやうく助かった女工さんたち。町もさんたんたるありさまで、大聖寺駅の建物も倒れました。人々は余震におびえて道路に避難しています。
6月29日、国会は被害各地への救援を決議しました。

「衆議院は、福井、石川および和歌山の各県下における震災により、不測の惨禍をこうむられた同地方民に対し、衷心より同情の意を表する。この際、政府においては、これら救援について万遺憾なきよう、すみやかにその方途を講ぜられたい。右決議する。」

大阪では翌日早くも全逓の労働者が街頭募金に立ち、東京でも救援を急げと義援金の募集が始められています。

(急げ!救援を!)

 

日本ニュース 戦後編 第131号(1948年7月)7分5秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310131_00000&seg_number=001

第二国会おわる          02:22
アメリカ独立記念日<時の話題>  00:29
おさかなバスを走らす<時の話題> 00:38
狩勝トンネルの犠牲者<時の話題> 00:21
工事船 進水式<時の話題>    00:23
立ちあがる福井 大震災第三報   02:49

第二国会おわる          02:22
7月3日、丑三つ時の議会。長い間かかった本予算修正案は、ついに午前4時過ぎ、堂々巡りの結果、41票の差で可決。このとき黒田寿男氏ら社会党左派12名が反対投票をしたのが目立ちました。

《松岡衆議院議長》
昭和23年度一般会計予算ならび昭和23年度特別会計予算は原案のとおり決します。可決いたしました。

かくて5日、第2国会は閉会。その翌日の7月6日、「やめろ」「やめない」で、もめた西尾副総理は、とうとう辞任しました。理由は党内事情だと語りましたが、検察庁では西尾氏を起訴するといっています。この日、西尾氏辞任のもとになったといわれる不当財産委員会へは、幣原、芦田、斎藤氏ら、いわゆる大物が喚問されました。

《不当財産委員会委員長》
一意の会社、または業者に献金を求める、というようなことを最高幹部で寄り寄り話をされたというなことはございませんか。
《幣原喜重郎氏(民自党)》
私は10万円をその当時寄付したこともなければ、そういう書類ができておったことも存じません。

幣原氏に続いて芦田氏が証人として呼び出され、満場の注視をあびて答弁しました。

《芦田首相》
当時の民主党は、最高委員が6、7名集まって、これが最高の機関であり、幹事長がこれを執行機関として運営をしておったのでありますが、選挙費用の問題についてこれらの委員が集まって相談をしたことは一度もないと記憶しております。

どうやら政局はここで一息いれた形です。

アメリカ独立記念日<時の話題>  00:29
第173回アメリカ独立記念日を祝って、7月5日、東京ではマッカーサー元帥の閲兵が行われ、続いて威風堂々市中行進に移りました。

おさかなバスを走らす<時の話題> 00:38
ガソリンのかわりにイワシの油でも動くというディーゼルエンジンの自動車が最近できあがりました。ディーゼルエンジンの自動車は、今まで少なかったのですが、ガソリン不足の折から、これをバスの車体につけて、東京・大阪間に走らせたいと研究中だそうです。最高80馬力、登り坂の試験をしています。

狩勝トンネルの犠牲者<時の話題> 00:21
6月30日、北海道の国鉄労働組合は、要求の貫徹を期し、10分間の停車ストを行いました。一方この日札幌では、狩勝トンネル問題の犠牲者、柚原闘争委員長の組合葬が盛大に行われました。

工事船 進水式<時の話題>    00:23
逓信省の海底電線敷設船千代田丸が、7月6日横浜で進水しました。この船が完全にできあがると、わが国の通信網に大きな役割を果たすことになります。

立ちあがる福井 大震災第三報   02:49
空から見た北陸大震災の惨状。大震災の痛手まだ消えやらぬ福井市、あの日から8日目、7月5日には、2,000名を超える痛ましい犠牲者を出した国際劇場跡では、合同慰霊祭がささやかに行われました。
北陸一帯は全国有数の織物生産地ですが、その織物工場の過半数がおびただしい被害をうけ、無残なありさまとなっています。しかし、こうした廃墟のうちから、各工場の従業員たちは一斉に立ち上がり、力を合わせて復興作業を始めました。

《記者》
加藤さんはですね、新円の長者番付でナンバーワンと、つまり日本で一番のお金持ちだということになってますがね、今度の災害ではどうですか。
《加藤》
問題にならんですよ。ただ新聞ではそういうふうに書いてありますがね。
《記者》
加藤さんのお持ちの織物工場のほうですね、あのほうの復旧状況はどういうふうになっていますか。
《加藤》
工場のほうは、焼けてはおらんけども、全部つぶれました。しかし、復旧するということについては、相当自信は持っております。

福井市に近い春江の惨状は手のつけようもないほどです。しかし、福井の町ではぽつぽつ建築が始められました。抜け目のない氷屋さんも店を開きましたし、焼け跡では小さなお風呂もわき、ようやく明るい表情が見えはじめてきました。

 

日本ニュース 戦後編 第132号(1948年7月)7分49秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310132_00000&seg_number=007

霧の季節               00:57
犯罪 街を横行            02:06
アイケルバーガー中将 近く退役 横浜<時の話題> 00:23
あたるか井上地震説 秩父<時の話題> 00:29
回虫追放 大阪<時の話題>      00:27
せまいながらも 生活設計       01:27
予算は通過したけれど         01:57

霧の季節               00:57
北の国境線近く、北海道花咲半島[根室半島の別名]の沖合は、6月から8月にかけて深い霧に閉ざされます。この霧の中で名物のコンブ取り。ナガシリコンブ、またマコンブと呼ばれるこれらのコンブは、根室を通って遠く本州へ運ばれます。

犯罪 街を横行            02:06
街にはなかなか犯罪が絶えません。夏時をねらうスリは盛り場にうようよしています。上着を抱えてうろついているのがスリです。こうした現行犯は日に数10件あるそうです。
次はしめて130万円の偽札を作り出した事件。下が偽物、上が本物。これがその犯人。写真複写による偽札づくりでした。
さらに、ばくちの検挙。花札利用の鉄火ばくち、まさにたけなわというときに御用。くりからもんもんの常習犯の中には女の人もいました。ぞろぞろと警視庁へ。
そしてまだつかまらぬ帝銀事件。新盆を迎えて遺族は語りました。

《記者》
帝銀の犯人がですね、なかなかつかまらないのは。
《遺族》
毎日、新聞の来るのを楽しみにいたしておりまして、一日も早くつかまえていただきたいと思うのが念願でございます。つかまりますまでは、本当にわれわれは・・・。

注目のまと捜査本部。堀崎捜査課長はどんな秘策があるのか。毎日汗を流して目白署に通っています。

アイケルバーガー中将 近く退役 横浜<時の話題> 00:23
アメリカ第8軍司令官アイケルバーガー中将は、今度アメリカへ帰ることになりましたが、7月10日、中将に対してベルギーからの勲章贈呈式が横浜で行われました。

あたるか井上地震説 秩父<時の話題> 00:29
8月ごろ秩父地方に地震があるという中央気象台井上博士の警告に、埼玉県小鹿野町(おがのまち)一帯では、今から荷造りの準備をしている人たちもあります。石灰岩層の多いこの付近はほうぼうに断層が見られます。

回虫追放 大阪<時の話題>      00:27
日本人の8割には回虫がいるといわれますが、戦時中アメリカでできていた回虫駆除の新薬ヘキシールレゾルチンが日本でもできるようになりました。子どもに飲ませている学校もありますが、試験をするとコロリと回虫が動かなくなります。

せまいながらも 生活設計       01:27
おなじみの漫画家清水崑氏が描く当今住宅風景。狭い部屋ではこういう方法もあります。バスを器用に利用している人もあり、貨車をそっくりちょうだいした住まいもあります。だが一方、こんなふうでろくろく寝るところもない人々は、東京都の都営住宅抽選会に目の色を変えてどっと押し寄せました。当たるか当たらないか息づまる一瞬。この都営アパートに入った幸運者は600人に1人という割合でした。合理的なのはやはり組み立て住宅。あっというまです。狭くても十分気持ちよく住めます。

予算は通過したけれど         01:57
予算が通った国会は、これで当分お休みです。守衛さんたちはボール投げ。
さて、郵便局の窓口では、通信料金の値上げで、第1日は相当混雑しました。
鉄道料金も東京・鹿児島間は金1千円也と決まりました。
それから主食も値上げ。

《野田物価庁次長》
精米10キロ現在148円50銭を266円。米麦10キロ127円を251円。小麦粉10キロ131円50銭を260・・・。

上がるのは物価ばかりではなく、寒暖計もぐんぐんのぼり、入道雲も現われて、いよいよ本格的な暑さです。電車の中はむせ返るような暑さ。これはたまらぬという人々がみな海水浴に出かけたので、海岸はまさにイモを洗うようです。その中をアイスキャンデーを売る学生もいて、あれやこれやと大変きびしい夏になりました。

 

日本ニュース 戦後編 第133号(1948年7月)7分39秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310133_00000&seg_number=006

夏まつり                01:14
またも暴力事件 -徳田氏襲わる-    01:03
エジプトからお米の初荷 横浜<時の話題> 00:34
株の民主化 山梨・大阪<時の話題>   00:22
天皇、変形菌を御研究 東京<時の話題> 00:25
果たして帝銀犯人?           01:02
中大優勝 -陸上インターカレッジ- 新潟 00:54
西尾氏第一回公判<夏休みの政界から>  00:33
話題の人<夏休みの政界から>      00:35
社会党 青年部大会<夏休みの政界から> 00:52

夏まつり                01:14
〈京都〉
7月17日、京都の祇園祭。四条通りは大変な人出で、神戸京都市長も見物。騎馬巡査も出動する騒ぎでした。この鉾(ほこ)はおそろしく背が高いので、昔から市内電車の架線を切ることになっています。
〈銚子〉
西の祇園祭に対して東では、7月21日、千葉県銚子の大漁祭り。おかめや天狗が町を練り歩いてにぎわいました。魚がたくさん取れるようにと、お神輿は海の中へ入るだけでなく潜ってしまうというお祭りです。

またも暴力事件 -徳田氏襲わる-    01:03
共産党書記長徳田球一氏は、7月19日、佐賀市公会堂で演説中、暴漢に爆弾を投げつけられ、全身38か所に傷をうけました。傷はたいしたこともなく、宿舎へ見舞いに駆けつけた人たちに元気で挨拶しました。
このテロ事件について、岡山を旅行中の芦田首相は次のように語りました。

《記者》
あの、このたびの共産党の徳田球一氏のですね、遭難事件ですけど、どういうふうにお考えですか。
《芦田首相》
非常に不幸なことです。お互いに、テロは国内に行われるようになっては、民主主義政治というのは行われないんだな。こういうことは絶対に排撃しなければならん。

佐賀警察署に自首したこの暴力行為の犯人は、古賀一郎という反共連盟員でした。

エジプトからお米の初荷 横浜<時の話題> 00:34
今年の外米輸入の第1船ラットバール・ビクトリー号が、7月16日、横浜に入港。エジプト米8,500トンが陸揚げされました。まず東京都に配給され、次々と各地に行くはずです。

株の民主化 山梨・大阪<時の話題>   00:22
証券処理協議会では、関東一円の村々を移動して、株式の民主化宣伝におおわらわ。これは株の財閥独占をやめてだれでも株が持てるようにしようというわけです。

天皇、変形菌を御研究 東京<時の話題> 00:25
天皇陛下は、7月20日、東京・朝日新聞社においでになり、電子科学研究所の電子顕微鏡で7000倍に拡大されたご自分の変形菌を熱心にごらんになりました。

果たして帝銀犯人?           01:02
帝銀事件の犯人に似た男がつかまったというので、各新聞社はすわこそと駆けつけ、がぜん色めきたちました。問題は、7月17日、水戸地方検察庁が医師法違反で検挙した御子柴兼勇という男。この髭を生やしたのが容疑者ですが、係官の間では当日のアリバイが問題になっています。茨城県平磯町にある御子柴の自宅では、細君も調べをうけ、衣類、薬品などが押収されています。
一方、東京の捜査本部では、堀崎捜査課長以下、次々にくる情報と四つに組んでいますが、嫌疑は薄いと本部では見ています。

中大優勝 -陸上インターカレッジ- 新潟 00:54
第17回日本学生陸上競技対抗選手権大会は、7月17、18日の両日、新潟市白山競技場で挙行。前年優勝した中央大学が相変わらず強みを示しました。総裁代理秩父宮妃がご来場。110メーター障害では京都大学中井、名古屋の高川を引き離して15秒9で1着。100メーター決勝、中央大学仁田脇、スタートダッシュ猛烈に速く、10秒7で1着となりました。総得点98点、今年も中央大学が優勝しました。

西尾氏第一回公判<夏休みの政界から>  00:33
問題の50万円をめぐって、政令違反と偽証罪の疑いで、西尾前国務相は、7月16日、東京地方裁判所に出頭、第1回公判をうけました。

《西尾氏》
受け取りましたカネは、私個人が自由裁量によって使ってよろしいものであると、こういうふうに私は考えておるのであります。

話題の人<夏休みの政界から>      00:35
また、昨年7月、公職を追放された犬養健氏は、7月20日、追放解除となり、民主党へ返り咲き、少し太ったように見えます。
国民協同党三木委員長は病気静養中。ベッドの上で新党の構想を練っています。
一方、大磯の自邸で民自党吉田総裁はにこにこと勝算ありげです。

社会党 青年部大会<夏休みの政界から> 00:52
17日、社会党青年部大会は劈頭から混乱。

《氏名不明》
下からのほうはいしたる物価値上げ反対の要求の声を無視して、このほうはいしたる声を無視して、あえて保守政権に連立を恋々としている党執行部の反動的な傾向に対しては、断固として闘わなければならない。

こうして政局は、夏休みとはいえ、油断のならない気配です。

 

1948年8月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19488

日本ニュース 戦後編 第134号(1948年8月)7分42秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310134_00000&seg_number=001

八月の声               01:08
豪雨襲う 北陸に重なる災害      02:06
日本一の大太鼓 秋田<時の話題>   00:30
温泉町に集団チフス 長野<時の話題> 00:28
炭鉱対抗野球 東京<時の話題>    00:27
マリア観音世に出る 長野<時の話題> 00:38
農村にふえた常習乞食         02:23

八月の声               01:08
焼くような暑さの中で早場米の田の草取り。
そして、うだるような街の午後。ウナギ屋さんの暑さ。芝居の楽屋。
東京では連日夕立です。

豪雨襲う 北陸に重なる災害      02:06
7月23日から福井県を中心に北陸地方を襲った豪雨は、3日目の25日にいたるもやまず、震災で沈下していた九頭竜川(くずりゅうがわ)の堤防はついに決壊。復旧工事中の九頭竜川鉄橋工事場は、このためたちまち押し流されました。舟橋も跡形もなく流されました。この決壊口から濁水は沿岸部落にあふれ、福井市の3分の2は泥海と化し、25万の罹災者を出しました。地震に重なる水害で、土地の人々は息をつく間もありません。

〈富山〉
富山県では各河川が氾濫。神通大橋は流失。米の貯蔵所では、出水近しの声に、急いで安全な場所へと移しています。この水害のため、この地方が誇る早場米の本場は、1万2千町歩におよぶ大きな被害をこうむりました。

日本一の大太鼓 秋田<時の話題>   00:30
7月21日、秋田県綴子村の豊作祈願祭。牛の皮ではもうこれ以上大きな太鼓は作れないという1間半の大太鼓が現われ、悪魔払いの音も高らかに田んぼを練り歩きました。

温泉町に集団チフス 長野<時の話題> 00:28
チフス患者を隠していたため、6月下旬から長野県浅間温泉に集団チフスが発生し、7月26日までに320名の患者を出すにいたりました。患者は中学校にまで収容されていますが、松本市に飛び火するなど、猛威をふるっています。

炭鉱対抗野球 東京<時の話題>    00:27
加藤労働大臣の始球式で、第2回全国炭鉱野球大会が、7月29日から戸塚球場で開かれました。第1試合、九州の鯰田炭鉱と北海道の夕張炭鉱は3アルファ対2で鯰田が勝ちました。

マリア観音世に出る 長野<時の話題> 00:38
戦争中、軍閥の目から逃れるために隠してあったマリア観音の像を掘り出し、その除幕式が、7月25日、松本市で行われました。神父さんとお坊さんが仲良く参列。マリア観音は、その昔、キリスト教が迫害されたとき、聖母マリアを観音様の格好に作り、十字架をつけてこっそりと拝んだものです。

農村にふえた常習乞食         02:23
近ごろ、東京近郷の農村に、米や麦をもらって歩く常習乞食が増えてきました。上野の地下道にいられなくなったり失業した連中が、農家を1軒1軒訪ね歩いて、一握りの米や麦をねだってゆきます。「おしうり ものもらい おことわり」の札を立てても、いっこう平気でやってくるこの大変なお客さんに、農家では頭を痛め、門をがっちり閉ざしたり、犬でおどかしたりしていますが、それでも毎日7、8人の訪問をうけるそうです。
マイクロフォンを隠して望遠レンズでとらえたもらい屋さんの心境。

《もらい屋》
飯が食いたくてねぇ。けさから腹がへっちゃっているんだよ。
《農家の女性》
飯はねえや。どこから来て?
《もらい屋》
東京。
《農家の女性》
1日歩くとどのくらいもらえれえ。
《もらい屋》
そうさねぇ、1升5合から2升だね。悪いが、おばさん。
《農家の女性》
そんなことかえ。
《もらい屋》
うん。
《農家の女性》
そんなにいい体でねぇ。
《もらい屋》
うん。無理に働くよりいいよ、乞食のほうが。
《農家の女性》
そうかえ。

もはや働く気もない人々へのたった一握りのお米でもばかにならないと、農家ではこぼしていますが、常習乞食の群れは、こうして村から村へと渡ってゆきます。

 

日本ニュース 戦後編 第135号(1948年8月)7分49秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310135_00000&seg_number=001

第一九回都市対抗野球         01:34
公務員法改正へ 政局緊張       01:16
川崎市に竜巻(たつまき) 神奈川<時の話題> 00:45
アイケルバーガー中将 帰国 横浜<時の話題> 00:26
かわった道楽 大阪<時の話題>    00:24
両国の川開き 復活 東京<時の話題> 00:40
カストリ部落あわてる         01:20
病床に綴る 永井教授         01:21

第一九回都市対抗野球         01:34
第19回都市対抗野球大会。8月1日、東京・後楽園球場。前年の覇者、岐阜大日本土木・村瀬主将の優勝旗返還に続いて、マーカット少将の始球式が行われました。
第1試合、岐阜大日本土木対盛岡鉄道。7回まで4対4の同点。8回の表、盛岡の攻撃、ランナー2塁、川村のセンター前ヒットに2塁のランナー3塁へ進み、ノーダンフルベース。バッター岩崎、打ちました、ライトオーバー大きな当たり、堂々たる3塁打。ランナー3人ホームイン。その後さらに4点を入れ11対7、盛岡は前年の覇者、岐阜を一蹴しました。
第3日目、大阪対盛岡。7回、大阪の攻撃、ワンダンフルベース、バッター中山、痛烈な当たり、ライトの塀にぶつかるヒット。2塁のランナー、3塁のランナー相次いでホームイン。かくて大阪はそのまま押し切り、3対1、盛岡を破りました。

公務員法改正へ 政局緊張       01:16
7月31日午後3時、衆議院大臣室で片山・芦田・三木の3党首会談が行われ、公務員法改正問題などについて意見を交換しました。さらに午後7時、政令公布とともに、苫米地官房長官から政府声明が発表されました。

《苫米地官房長官》
公務員は何人といえども、同盟罷業、または怠業的行為をなし、その他、国または地方公共団体の業務の運営能率を阻害する争議手段をとってはならない。

一方、そのころ各労働組合代表150名が首相官邸を訪問、居合わせた加藤労相に首相と会わせてくれと申し込み、一悶着ありましたが、結局、菅産別議長ら14名だけが政令公布について首相と会見しました。

川崎市に竜巻(たつまき) 神奈川<時の話題> 00:45
思いがけない竜巻が、8月2日午前11時ごろ川崎市の一部を襲い、あっというまに100戸近くの家を空中に巻き上げました。ポストを倒し電柱を抜き倒すなど猛威をふるい、103名の死傷者を出しました。このように大きな竜巻は日本では珍しいものです。

アイケルバーガー中将 帰国 横浜<時の話題> 00:26
前第8軍司令官アイケルバーガー中将は、8月4日、横浜港で最後の閲兵を行ったのち、盛んな見送りをうけて一路帰国の途につきました。

かわった道楽 大阪<時の話題>    00:24
大阪に住む橋本トミタロウさんというこの人は、ずいぶん変わっています。おカネにどんな恨みがあるのか、部屋中に100円札をべたべたと貼りつけ、にこにこと眺めながら暮らしています。なぜこんなことをするのか、原因は不明です。

両国の川開き 復活 東京<時の話題> 00:40
お江戸名物、両国の川開きが、8月1日、11年ぶりでにぎやかに復活しました。この日は最近まれに見る人出で、玉屋、鍵屋の自慢の花火が威勢よく打ち上げられました。

カストリ部落あわてる         01:20
警視庁では、7月30日朝、深川署や東京財務局の応援で総勢400名を動員、江東区深川のどぶろく密造部落を急襲しました。この部落は、毎日2、3石を東京都内に売りさばく大規模な密造所でした。この日、もろみどぶろく70石をはじめ、カストリ、焼酎など500万円近くの証拠品を押収しました。

病床に綴る 永井教授         01:21
長崎で原子病に冒され、当時、3年の寿命しかないと宣告された長崎医大永井隆教授は、激しい苦痛と闘いながら「原子病概論」を書き続け、着手してから3年目、最近ようやく書き上げました。

《記者》
先生のお書きになっています原稿のほうですね、あれはどうなっていますか。
《永井教授》
だいたいすんだんですよ。皆さんが励ましていただくものですからね、それで頑張って、今書き上げました。
《記者》
先生のお体のことでもみんな大変心配しております。
《永井教授》
はい。ろうそくがもう切れかけてるようなもんですけれどね、最後までやっぱり光になって、ばーっと光ることができると思います。

 

日本ニュース 戦後編 第136号(1948年8月)7分58秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310136_00000&seg_number=003

世界記録樹立 -日本選手権水上競技- 01:57
福岡優勝 -都市対抗野球-      01:24
鎌倉カーニバル 神奈川<時の話題>  00:40
大阪港賑わう 大阪<時の話題>    00:31
応援団大いにふるう 東京<時の話題> 00:33
八.一五を迎える           02:49

世界記録樹立 -日本選手権水上競技- 01:57
8月6日、神宮プールの日本選手権大会第2日。世界記録を作った1,500メーター自由形決勝。向こうが古橋、手前が橋爪です。最後のコース、両選手ほとんど平行。

〈アナウンサー実況放送〉
「古橋、橋爪、最後の30であります。最後の30、猛然水しぶき。【聞き取り不能】右左右左、力強いストローク、ダイナミックな泳ぎ、橋爪、古橋、互いにきりました。古橋わずかにワンストローク出ました。橋爪これを追っています。いや・・・並んだか、古橋、橋爪並んだ、あと10メーター、あと9メーター、古橋出た、古橋出た、橋爪も奮闘、古橋、橋爪、最後をかけ、あと5メーター、あと3メーター、2メーター、1メーター、ゴール。古橋1着、橋爪2着。」

 

〈場内アナウンス〉
「1着古橋君、時間18分37秒」

大会最終日の400メーター自由形決勝。100メーターでは橋爪わずかにリード、200メーターあたりから古橋逆にリードして、いよいよ最後のコース。

〈アナウンサー実況放送〉
「・・・あと10メーター、古橋あと10メーター、【聞き取り不能】、あと8メーター、あと5メーター、古橋世界記録なるか、あと5メーター、あと4メーター、3メーター、2メーター、1メーター、古橋ゴールイン」

〈場内アナウンス〉
「4分33秒4。これは世界新記録となりました」

かくて古橋は2つの世界新記録を樹立しました。

福岡優勝 -都市対抗野球-      01:24
第19回都市対抗決勝。8月9日、東京・後楽園。福岡西日本鉄道対別府星野組。5回の表、別府の山本、1、2塁間を抜くヒット。2塁にいた長沢、3塁をまわってホーム殺到、ホームイン。別府1点先取。1点リードされた福岡、6回裏の攻撃。ノーダン、ランナー1塁、2塁、バッター前川、1塁ゴロ、1塁取って2塁投球、ショート山本ハンブル、ノーダンフルベースとなりました。続く上野三振のあとをうけて、バッター深見、打ちました、3遊間をきれいに抜きました。伴、宮崎、相次いでホームイン。大崎センターフライでツーダンのあと、続くバッター、6番の塚本、ライト前ヒット。前川、2塁から一気にホームイン。計3点。さらに7回には5点を追加、結局8アルファ対1、初陣の福岡西鉄は別府星野組を破り、黒獅子の優勝旗は宮崎監督に授与され、8日間にわたる熱戦の幕を閉じました。

鎌倉カーニバル 神奈川<時の話題>  00:40
8月8日、鎌倉のカーニバル。漫画人集団の怪しげな踊り。御大・久米正雄氏やミスカーニバルが愛嬌をふりまきました。海岸も大にぎわいです。にぎわいすぎて迷子の数も大変なものでした。

大阪港賑わう 大阪<時の話題>    00:31
8月8日、アメリカの貨物船マッキンレー号が大阪に入港。大阪には珍しいので盛んな出迎えが行われました。この船はフィリピンの糖蜜を運んできたのですが、大阪港は機雷の清掃もすみ、こうして1万トン級の船も入れるようになり、だいぶにぎわってきました。

応援団大いにふるう 東京<時の話題> 00:33
8月8日、東大で行われた一高対三高の野球戦。新制大学実施のため、今年が最後だというので、応援団は大いに活躍。野球は3対2で三高の勝ちとなりましたが、終わったあとさかんに名残を惜しみました。

八.一五を迎える           02:49
〈広島〉
終戦後、みたびめぐってきた8月6日。
原爆の地、広島では、再び広島を繰り返してはならぬと、静かに平和祭が行われました。

〈長崎〉
長崎では、浦上天主堂に平和への祈りを捧げる人々。
そして、このような故国へ、今なお陸続と帰ってくる復員者たち。

〈東京〉
兵舎の跡には夏草が生い茂り、国民を無残な戦争に引きずり込んだ軍国主義は、ここに崩れ落ちました。
その責任者、第1級戦犯容疑者25名は、間近に迫ってきた判決を待っています。

日本国人民を欺瞞し これを導いて 世界征服の挙に出るような 過誤を犯させた権力および勢力は 永久に除去されねばならない
ポツダム宣言

 

日本ニュース 戦後編 第137号(1948年8月)7分33秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310137_00000&seg_number=003

大韓民国独立           01:06
漫画の頁 清水崑         00:42
平和確立へ            01:23
全国高校野球ひらく 甲子園<スポーツ> 00:49
ベーブルース逝く<スポーツ>   00:18
全日本陸上競技 山形<スポーツ> 00:46
東宝争議新局面へ         02:26

大韓民国独立           01:06
マッカーサー元帥夫妻を迎えて、大韓民国独立式典は、解放3周年記念日の8月15日、首都京城で盛大に挙行されました。この日、李承晩大統領の挨拶ののち、マッカーサー元帥は祝辞を述べました。続いて、韓国警備隊、青年団員1万の祝賀行進が行われました。

漫画の頁 清水崑         00:42
吉田選手は自由形で自信満々。芦田・三木両選手、中央連盟形。背泳の片山選手、足が右左からみあって弱っています。徳田選手、潜っています。芦田・三木の中央連盟形と吉田の自由形、三者懸命の力泳。ゴールまであと5メーター、4メーター、3メーター、ふうふう言っています。

平和確立へ            01:23
アメリカ・バーミンガムの記念ホールに、アメリカ戦没学生とともにその名を刻まれる日本の戦没学生12名の慰霊祭が、8月15日、東京・キリスト教青年会で行われました。

「私たち母性にとりましては、特に戦争はいやですということ。この気持ちは非常な、むしろ血の叫びといってよろしいのではないかと思うのでございます。」

こう叫んで、各婦人団体は、8月14日、東京家政学院に平和を守れの大会を開きました。翌15日、婦人民主協議会を中心とする働く婦人たちも、再び戦争があってはならぬと叫んで大会を開き、続いて人民大会に参加するなど、終戦記念のこの日は、婦人の平和への意思が強く表明されました。

全国高校野球ひらく 甲子園<スポーツ> 00:49
全国高校野球大会は、8月13日に始まりました。大会第6日目、西京対享栄の一戦。2点リードした西京、8回裏の攻撃。ワンダン、ランナー3塁、バッター田中は2塁フライ。2塁手これを落して3塁の八木ホームイン。続くバッター種田、センターオーバー大きな当たり、田中ゆうゆうホームイン。打った種田、2塁をまわって3塁、球は3塁に戻りましたが、これが暴投、種田一気に生還。この回さらに3点を入れ5対0、西京は享栄を一蹴しました。

ベーブルース逝く<スポーツ>   00:18
8月16日夜、本塁打王ベーブ・ルース逝く。彼は、昭和9年、わが国にも来朝しましたが、これはそのときの元気な姿です。

全日本陸上競技 山形<スポーツ> 00:46
山形市で8月14、15日に行われた全日本陸上選手権大会。100メートル決勝。中大・仁田脇、戦後日本最高記録10秒6でゴールイン。女子走幅跳では、京都の山内リエさん5メートル77を跳んでロンドンの記録を破りました。棒高跳では岐阜陸競の沢田選手、4メートルを跳んで第1位。三段跳は京都ACの長谷川選手が15メートル62を跳んで戦後世界最高記録を樹立しました。

東宝争議新局面へ         02:26
去る4月、270名のクビ切りに端を発した東宝砧撮影所の争議は、会社側、組合側、鋭く対立したまま4か月、8月19日、ついに会社側の仮処分執行。この日、塚本成城署長は東京地検、警視総監よりの勧告文を朗読。これに対し土屋委員長は警視総監あての決議文を手交しました。このとき執行吏、弁護士が到着。北岡撮影所長、続いて20台のトラックで約2,000名の警官が、牽引車を先頭に鉄カブト、防火頭巾に身を固めて到着。組合側は協議の末、午前11時、執行吏の意向を入れ、全員、撮影所より退去することになり、秩序正しく撤退を開始しました。泣いているのは岸旗江さん。五所平之助監督の顔も見えます。組合員が引き揚げたあと、警官隊は撮影所に入って、ここに仮処分を終わり、東宝争議は新たな段階に入りました。

 

日本ニュース 戦後編 第138号(1948年8月)7分53秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310138_00000&seg_number=001

ネズミ島の大名行列 長崎     01:14
帝銀容疑者続出          01:30
群衆河中に墜落 新潟<時の話題> 00:40
ローラースケートで働く女工さん 岡山<時の話題> 00:27
“蜂の巣”の孤児たち 京都<時の話題> 00:37
暴力追放へ 本庄町事件      03:23

ネズミ島の大名行列 長崎     01:14
8月22日に行われた長崎港外ネズミ島の大名行列。行列はのこのこ海の中へ入ります。これは、昔、大名細川侯が参勤交代で大井川を渡るときの光景。雲助を雇うのが高くつくので、雲助のかわりに家来どもに立ち泳ぎを習わせました。水の中で一杯やったり、なかなかの達人ぞろい。このそろばん上手の殿様は、家来どものかつぐ蓮台の上で涼しい顔をしていました。

帝銀容疑者続出          01:30
このところ、帝銀犯人の容疑者が続出しています。藤沢市警察署で逮捕したある詐欺の容疑者。それが帝銀犯人に似ているというので取り調べ中です。また、8月23日以来、浜松市警察署では、無料宿泊をしたある人物を調べていますが、これも人相、筆跡が符合するというので取り調べを行っています。お次ははるばる北海道から東京へ護送されてきた平沢貞通という画伯。事件以来、初めての逮捕状による検束とあって、毛布をかぶせています。首実検のためこの若い2人の帝銀生き残りが乗り込みました。東京入りの23日、上野駅は大変な騒ぎです。この日、捜査本部に送られた平沢画伯は、さっそく取り調べを受けましたが、堀崎捜査第一課長は新聞記者の質問に汗だくです。

《記者》
10日間の・・・。
《堀崎捜査第一課長》
10日間の・・・。
《記者》
高木検事から請求したわけ?
《堀崎捜査第一課長》
そういうことになるわけだね。
《記者》判事はだれなの、令状の。
《堀崎捜査第一課長》
判事はちょっと知らない。それはわからねえ。これしか聞かれねえ。

群衆河中に墜落 新潟<時の話題> 00:40
8月23日、新潟・萬代橋の欄干が、お祭り見物の群衆に押されて、約30メートル崩れ落ち、100余名が川の中へ転落。潜水夫を入れて捜索中ですが、今のところ死傷、行方不明が20数名。戦争中、鉄板を取りはずしたのが原因だといわれています。

ローラースケートで働く女工さん 岡山<時の話題> 00:27
岡山県の鐘紡西大寺工場では、能率増進のため、試みにローラースケートを女工さんたちにはかせました。近く全部の女工さんにはかせるというので、各方面から注目されています。

“蜂の巣”の孤児たち 京都<時の話題> 00:37
京都・青蓮院というお寺にいる戦災孤児たち。これは映画作家、清水宏氏と一緒に暮らしている孤児たちで、『蜂の巣の子供たち』(1948年)という清水氏の映画に出演して、玄人はだしの名演技ぶりを発揮。今では清水氏を本当の親のようになつき、孤児らしい面影がなくなってきました。

暴力追放へ 本庄町事件      03:23
町の顔役が恐喝や暴行を働いて問題となっている埼玉県本庄町に、本社はキャメラを持ち込みました。

《記者》
暴力団やその町の顔役の、そういう人たちが、このはびこっていてですね、非常に暗い町だというそういう事実があるかどうかですね。あるならある、ないならない、というお答えを願いたいんです。
《町民・男性》
私の考えとしてはですね、警察だとか、あるいは検察庁、そうしたものにですね、腐敗、堕落があるからですね、そういう面が暗いというのであって。
《記者》
どうでしょう。
《町民・女性》
ありますね。実際のとこ言いますとね、いわゆる女の人ですね、よく女の人が歩ってるんですよ。そうすると、暴力団というんですかね、そういう人たちがよくかまうんですね。
《記者》
なるほど。いたずらするわけですね。
《町民・女性》
ええ。結局、その、警察官というような人たちが、まあ言えないというのは、その暴力団が恐ろしいというんじゃなくて、その裏に何かもっと変なことがあって言えないんじゃないかと思うんですよ。

町民の疑惑の的となった本庄警察署長は、病気とのことで引きこもっていました。町の顔役だという大石町会議員の家で語る河野組親分。

《記者》
まあ、その証拠書類も持っているというようなことで、これは重大事件だといっているわけなんですけど、そういう事実はどうなんですか。
《河野組親分》
いやあ、全然ないですよ。

だが、河野組に10万円恐喝されたという須藤さん。

《記者》
そのときに何か脅かすようなあれあったんですか。
《須藤》
金をですね、初め30万円出せって河野が言ったんです。それで30万円はとても出せないってうちのほうで言ったんです。そうしたら向こうは、30万円出せなかったら夕方になるのを待ってて殺しちまうって、表で、そう言うんです。
《記者》
何かそのときに凶器を出してですか。
《須藤》
ええ。そのときに日本刀とピストルを出したんです。
《記者》
ピストルなどは本物ですね。
《須藤》
本物です。実弾まで出して見せたんです。

もう1人、14万円恐喝された久保さん。

《記者》
なんて言ってきたんですか。
《久保》
お前は・・をしたから命をとりに来たと。
《記者》
そうですか。それでカネですませたということですね。
《久保》
それをなんですね、伜や妻はですね、いま、親にいかれてはしかたがねえから、ぜひカネで勘弁のほうつけられるもんならば、なんとかカネをつくるから、ぜひカネで勘弁してもらいたいと、こう言うたんです。

事件発端の朝日新聞岸通信員のところには激励の手紙の山。ついに、8月25日、大石は起訴、河野組・河野貞雄は検挙され、熊谷刑務所に強制収容されました。ボス追放へ、事件の発展とともに、8月26日、本庄町では町民大会が開かれ、暴力団を追放して、自分たちの手で町を明るくしようではないかと、町の人々は立ち上がりました。

 

1948年9月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19489

日本ニュース 戦後編 第139号(1948年9月)8分10秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310139_00000&seg_number=004

九月の声              01:10
ヘレン・ケラー女史来訪 岩国・東京 01:41
神社とゴルフ 京都<時の話題>   00:40
いれずみ自慢 東京<時の話題>   00:26
三河のバカ提灯 愛知<時の話題>  00:41
生体解剖事件判決 横浜      00:39 関連動画
税金のニューフェイス -取引高税- 00:57
ここにもボスの支配 大阪      01:53

九月の声              01:10
新潟ではもう取り入れです。街には秋の味覚。秋のお化粧。秋祭りも近づきました。

ヘレン・ケラー女史来訪 岩国・東京 01:41
8月29日、山口県岩国飛行場に、ヘレン・ケラー女史がアメリカから11年ぶりで到着。目、耳、口の不自由な女史は、六九歳とは見えない元気な姿で、翌30日夜、東京に着きました。秘書トムソン女史の手話術にうなずきながら、次のように語りました。

「再び日本に参りました。皆さんの盛大な出迎えを受けまして、大変うれしく思います。」

〈待っている人々 新潟〉
そのヘレン・ケラー女史を待っている多くの不幸な人々。そのうちで新潟県高田市[現・上越市]の盲学校は、日本でいちばん古いものですが、経営難と闘いつつ教育が続けられています。映画のカメラは初めてなのでぜひさわらせてほしいと、いじらしい望みを訴えました。今度のヘレン・ケラー女史の来訪は、このような子どもたちに大きな希望を与えることになるでしょう。

神社とゴルフ 京都<時の話題>   00:40
葵祭で有名な旧官幣大社、京都・上賀茂神社も、昔のはぶりはどこへやら、お台所向きが思わしくないと見えて、その裏山8万坪がゴルフ場に早変わりしました。国際ゴルフクラブの人々が腕をふるっています。中には砂ばかり叩いている人もあります。

いれずみ自慢 東京<時の話題>   00:26
8月29日、東京王子の名主の滝でいれずみ比べ。中には男勝りの姐御もいて、生き不動、般若などいうみごとな彫り物を滝に打たせました。

三河のバカ提灯 愛知<時の話題>  00:41
おそろしく大きな提灯(ちょうちん)です。これがいわゆるバカ提灯。8月26、7日に行われた三河一色諏訪神社のお祭りです。1本2万5千円というこのろうそくは、3尺5寸に直径2尺。このお祭りは、見ないのもバカ、二度見るのもバカだと、土地では言っています。

生体解剖事件判決 横浜      00:39 関連動画
8月27日、横浜法廷。アメリカ兵を生きたまま解剖した事件の判決がありました。事件の責任者である元西部軍司令官中将横山勇。解剖の許可を与えた元大佐佐藤吉直。解剖にあたった元九州大学教授鳥巣太郎、ほか2名は絞首刑。肉を食べたといわれる人々は証拠不十分で無罪。ただ1人の婦人被告、元看護婦長筒井しず子は重労働5年を言い渡されました。

税金のニューフェイス -取引高税- 00:57
9月1日の東京。大蔵省はこのニューフェイスの税金の大宣伝。さて、この取引高税、喫茶店でお茶を飲んでも50円以上なら印紙がいります。パーマネントももちろんのこと、小売店ではこの印紙の行列にちょっとまごついていました。北村蔵相も印紙を受け取ってご満悦の体。

《平田主税局長》
この取引高税は広くかかりますからね、そういう意味では、大衆課税といえば大衆課税ではないかと思うんですが、ただ税率がなにしろ100分の1ですから。

この日、高橋三吉元大将の御曹司は、看板をぶら下げて町を歩いていました。

ここにもボスの支配 大阪      01:53
大阪駅前の雑踏をあてこみ、3種類の新聞を抱き合わせ10円でヤミ売りして暮らしている子どもたち。9月1日、阿倍野署ではこれらの子どもたちを一斉に捕らえました。彼らの後ろで糸を引くボスがあるかどうかを聞き出しています。

《取調官》
学校へは?学校へ行った?
《少年》
えっ?
《取調官》
学校、学校。
《少年》
学校は4年。
《取調官》
学校は4年行った?
《少年》
はい。
《取調官》
今、行ってるか? 行ってない。君は親方があるか?
《少年》
・・・。
《取調官》
親方があるんだね。親方から新聞をもらうのか?
《少年》
はい。だから、一部売って1円もらいます。
《取調官》
一部売って1円もらう。

子どもたちは一応釈放されました。一部について親方から1円もらうこの子どもたちのうしろには、頭をはねるボスがいます。真ん中にいるのが、子どもたちを使い子どもたちから絞り取っているボスの1人です。子どもたちはそのボスの下でなおせっせと新聞をたたんでいます。

 

日本ニュース 戦後編 第140号(1948年9月)8分10秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310140_00000&seg_number=006

新劇活気づく            02:04
平沢氏容疑深まる -帝銀事件-   01:13
二万五千ドルの宝石返還 東京<時の話題> 00:25
教育映画に新威力 東京<時の話題> 00:31
明るい町へ -本庄町その後- 埼玉<時の話題> 00:42
物価引下げへ 主婦のうごき     01:34
ちかごろの政界風景         00:31
漫画の頁 清水崑          01:05

新劇活気づく            02:04
〈黄色い部屋 俳優座〉
シーズンを迎えて、新劇界は活気づき、俳優座は真船豊作『黄色い部屋』を千田是也氏の演出で上演しようと稽古中です。これは現代の世相を掘り下げたもの。
(千田是也氏の演出の様子)

〈ミスター人類 新協劇団〉
もう一つは、アメリカ軍の好意によるソーントーン・ワイルダー作『ミスター人類』。9月7日、トムソン氏とアメリカでこの芝居に出たアニタベア嬢が新協劇団を訪れました。演出は村山知義氏。
(村山知義氏の演出の様子)

この風変わりな芝居の上演を間近に、コーラスの練習の最中です。

平沢氏容疑深まる -帝銀事件-   01:13
警視庁では、帝銀容疑者としての平沢氏を連日調べています。真ん中が係の高木検事。堀崎捜査第一課長は松井博士の名刺を並べて首をひねっています。筆跡鑑定の遠藤氏は次のように語りました。

《遠藤鑑定員》
今まで調べたものの中では、いちばん今度の事件が裏がとれますね。

犯行のあった椎名町に平沢氏は住んでいたことがあり、その近くで、犯行当日、犯人らしい人を見たという女の人が現われました。

《記者》
見た顔ですね、この新聞の写真と感じ似てますか。
《女性》
似ているように思われるんですけどね、マスクと眼鏡をしておりましたからね。

これが犯人の似顔絵。これが平沢氏の写真。果たして犯人かどうか、9月9日現在、なおはっきりせず、取り調べは依然続いています。

二万五千ドルの宝石返還 東京<時の話題> 00:25
戦時中、日本軍が蘭印の王侯から奪った2万5千ドルの王冠用の宝石が、9月3日、民間財産管理局長タンゼイ代将からオランダ政府代表に返還されました。

教育映画に新威力 東京<時の話題> 00:31
映画によって日本の民主化を図ろうと、連合軍総司令部は、ナトコという16mm映写機2千台を貸し出し、東京の分40台が活動を始めました。これによって、不振を伝えられる教育映画の発展にも明るい希望が生まれたわけです。

明るい町へ -本庄町その後- 埼玉<時の話題> 00:42
顔役暴行事件で問題の埼玉県本庄町のその後。9月4日、公安委員大泉町警察署長は辞職。9月7日、町民は映画館で開かれた大会に大挙して参加し、町の民主化、明るい町の建設のために、あくまでも闘うことを決議しました。

物価引下げへ 主婦のうごき     01:34
〈大阪〉
ヤミの肉を買うなと、大阪主婦の会では、9月6日、心斎橋の肉屋へ押しかけ、ヤミ値で売った、いや売らないと、肉屋のおかみさんと大もめです。
(その大もめの様子)

〈東京〉
東京でも、不良マッチを退治する主婦の会が、9月3日、中央社会館で開かれ、配給のマッチを山と持ち込みました。いくらすってもこのとおりつかないではないかと、商工省や経済安定本部のお役人を縮みあがらせました。

《主婦代表》
全国にわたりまして、商工局が各地方にこのことを徹底的に啓蒙・宣伝、あらゆる努力を尽くしていただきたいことをお願いいたします。
《主婦代表》
消費して、その1本を新聞紙につけて、非常に苦しんで、それを全部使い果たした。これは、1升のお酒の中に9合の水を割った1合しかない酒を1升の値段で買い取らされたことと同じことなんでございます。

ちかごろの政界風景         00:31
国会議事堂では、休みが長引いたおかげで、だいぶほこりがたまったようです。9月8日、院内では社会党中央執行委員会。片山委員長の国会解散論を中心に協議しましたが、結論は出ず、国会開会までには、なお日にちがかかりそうです。

漫画の頁 清水崑          01:05
芦田さんはいすわりと腹を決め、片山さんは国会解散論と、目下シーソーゲームの最中。助太刀まで現われて、上がったり下がったりというところ。

  

 日本ニュース 戦後編 第139号で出ていた『生体解剖事件判決』関連のETV特集。

“医師の罪”を背負いて 〜九州大学生体解剖事件〜
Doctors' Crime   The Vivisection Case in Kyushu Imperial University
再投稿
gataro-clone
http://www.dailymotion.com/video/x3hzq8o

投稿者 gataro-clone
公開日: 12/14/2015
期間: 59:00

9分2秒〜、1945年(昭和20年)5月5日一機のB29が日本軍戦闘機の体当たりで大分県の山中に墜落。生き残ったアメリカ兵は捕らえられ福岡へ連行された。機長は情報価値があると東京へ連行。西部軍管区司令部では最終的に決まったのは捕虜の人体を使った実験だった。

20分18秒〜、日本ニュースの映像。22分10秒〜、判決の場面 軍の責任者・元西部軍司令官中将横山勇・解剖の許可を与えた元大佐佐藤吉直が絞首刑の他(日本ニュース 戦後編 第139号)、医師と看護婦14人もすべて有罪で絞首刑3人終身刑2人重労働9人(3〜25年)。

27分8秒〜、東野さんは事件と向き合うことを決意し一人で調べ始めた。先ず調べたのは米国捕虜がどう言う経緯で九大に運ばれて来たのかだった。しかし、始めから大きな壁に突き当たった。パラシュートで降りた場所へ何度も足をはこぶも戦後進駐軍に厳しい取り調べを受けていた住民たちは当時の事について固く口を閉ざしていた。

30分36秒〜、大分市竹田市に建てられた『殉空之碑』。

31分5秒〜、巣鴨プリズン。終戦から5年GHQの占領が終わりに近づくと戦犯に対する恩赦・減刑が行われた。九大の医師・看護婦14人も釈放されたが、自分から語ることはなく今はもうこの世にはいない。釈放後、田代友禧医師・筒井シズ子看護婦長・久保敏行医師それぞれのその後。

43分13秒〜、どうしても会わなければならないと東野さんが考えていた一人生き残っていたマーヴィン・ワトキンスB29機長とのインタビューの音声。

48分16秒〜、(2014年9月27日 九州大学医学歴史館)東野さんが50年近く調査してきた資料ついに日の目を見る機会が訪れた。しかし、

50分51秒〜、(2015年4月 東野産婦人科)TVニュースを見る東野さん。展示内容は東野さんが考えていたものとは違っていた。東野さんの資料は展示されなかった。

54分37秒〜、(2015年7月中旬 東野産婦人科)東野さんは自らの医院で九大生体解剖事件に関する展示を始めた。4週間にわたって開かれた展示会にはおよそ1500人の閲覧者が足をはこんだ。何人かの感想や、感想ノートの書き込み。現役の医師やこれから医師に携わる若者の書き込みも。

“医師の罪”を背負いて~九大生体解剖事件~
http://www.nhk.or.jp/etv21c/archive/151212.html

2015年 12月12日(土)よる11時放送
再放送12月19日 午前0時放送(金曜深夜)

1512121
事件は九州帝国大学の解剖実習室で起きた(再現イメージ)

1512122
事件を目撃した医師の東野利夫さん。戦後70年が経ち、生存する最後の証人となった。

1512123
この夏、東野さんは、事件についての展示を福岡で開催した。

1512124
1980年、犠牲となったアメリカ兵が搭乗していたB29のワトキンス機長と面会した東野さん。

終戦間際の1945年5月から6月にかけて、九州帝国大学医学部で米兵の捕虜を使った生体実験が行われた。世に言う「九大生体解剖事件」。墜落したB29の搭乗員8人に対し、海水を使った代用血液を注入するなどのさまざまな生体実験の手術が行われ、捕虜たちは死亡した。戦後70年間タブー視され、多く語られることのなかった「負の歴史」。生体実験に関わった医師や看護師は、すでに全員が事件についてほとんど語らぬまま亡くなってしまった。しかし、ただ一人、そのとき医学生として生体実験手術の現場に立ち会った証言者がいる。東野利夫さん(89)である。東野さんは戦後、福岡市内で産婦人科医院を営みながら、国内外で関係者に取材を重ね、多くの壁にぶつかりながらも、事件と向き合う地道な活動を続けてきた。
事件は、関係者や私たちに一体何を残したのか。私たちは何を反省し、何を語り継ぐべきなのか。番組では、東野さんの証言や亡くなった関係者・遺族への取材を通して、「九大生体解剖事件」からの70年という歳月の意味を見つめる。

語り:池田成志
(内容59分)

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日本ニュース 戦争証言アーカイブス 戦後編 第101号(1947年12月)〜第120号(1948年4月)

 特に戦前の日本ニュースは、大本営発表で検閲済み国策映像。ただし、それはそれで当時の空気を想像・実感するのに役立つ貴重な資料映像です。すべてリンクと再生テキストを資料保存しておきました。なおリンク先ではすべて映像を見ることができます

 

日本ニュース 戦争証言アーカイブス
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi

日本ニュース一覧
「日本ニュース」は、太平洋戦争を間近に控えた1940年(昭和15年)から終戦をはさみ、1951年(昭和26年)まで制作されたニュース映画です。制作したのは、「日本映画社」(※)で、1940年にそれまで4つに分かれていた新聞社や通信社のニュース映画部門を国策により統合したものです。
戦時中の「日本ニュース」は、日本軍や内務省の検閲を受けた後、毎週映画館で封切られ、国民の戦意高揚に用いられました。テレビがない時代、国民は「日本ニュース」が伝える真珠湾攻撃や特攻隊出撃、学徒出陣の様子を映画館で目にしたのです。
「日本ニュース」は、戦争完遂を目的にした国策映画ですが、太平洋戦争中の映像記録として大変貴重なものです。「戦争証言アーカイブス」では、1940年(昭和15年)の第1号から、戦後も含め、1948年末までのものを公開しています。

※(1941年5月までの会社名は「日本ニュース映画社」)
※日本ニュース戦後編の再生テキストは、国立歴史民俗博物館の協力で作成しています。

 

日本ニュース 戦後編 第101号(1947年12月)8分4秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310101_00000&seg_number=004

厳寒を前に供米すすむ      01:21
大山郁夫氏“山宣”の墓へ 京都 01:05
最後通告を追及 -東京裁判-  00:40
アンデパンダン美術展 東京<時の話題> 00:45
追い立てられた地下道住人 東京 00:33
熱戦の終始 早明ラグビー 明19-15早<スポーツ> 01:41
苦闘する炭坑          01:56

厳寒を前に供米すすむ      01:21
〈青森〉
雪にうずもれた村里。やがて来る厳しい寒さを前に、ここ青森県新城村では、都会の人たちへお米をと、農民たちのひたむきな供米の努力が日夜続けられています。この村は全国に先がけいち早くも1200%の好成績といわれています。
〈新潟〉
同じく実を結んだ新潟県刈羽郡のある村では、見返りの御神酒でうれしい酒盛り。
〈東京〉
しかし、11月末現在で全国の供米成績は予定の33.4%。東京駅前にできた供米塔は一層の精進を訴えています。

大山郁夫氏“山宣”の墓へ 京都 01:05
京都を訪ねた大山郁夫氏は、12月9日、取るものもとりあえず宇治川のほとり、かつての同志山本宣治氏の墓前に詣でました。背後にある大衆の支持を信じて、同じように今日まで生き長らえてきた、たね子母堂と大山郁夫氏。

《大山郁夫》
かあさんの産んだ子どもさんは、山宣ののちを知れば、激励になると思うんです。あの人の死は決して無駄ではなかったけども。

死にいたるまで節を屈しなかった山本宣治、侵略戦争に反対して、昭和4年反動の凶刃に倒れた当時の労農党の同志を偲んで、2人の面には感慨深いものが見られました。

最後通告を追及 -東京裁判-  00:40
12月8日の法廷には、奇しくも日本海軍最高責任者の1人、嶋田被告が証言台に立ちました。6年前、海軍大臣として東条元首相とともに対米開戦の枢機にあずかり、全国民の耳目を集めた人。今はクレーマー裁判長代理らの注視を浴びて、真珠湾不意撃ち攻撃の真相を追及されています。

アンデパンダン美術展 東京<時の話題> 00:45
12月9日から東京上野に日本初めてのアンデパンダン美術展が開かれました。しちめんどうな監査は行わず、流派にもこだわらず、自由に出品された作品が二百数十点。会場でなお手を加える赤松俊子さん。この日本美術界の新しい動向は注目されています。

追い立てられた地下道住人 東京 00:33
東京都では、12月9日真夜中、突如、上野地下道の住人の強制収容を行いました。女、子どもを入れて922名、乾パンを1袋ずつもらって、まず各施設に送られました。

熱戦の終始 早明ラグビー 明19-15早<スポーツ> 01:41
12月7日、東京ラグビー場、左が早稲田、右が明治。予期にたがわず猛烈な白熱戦。片山首相もかたずをのんで見ています。明大フォワード突っ込み鋭く、前半9分、ルーズからの球をハーフ・安武取って、スクラムサイドを抜けて最初のトライ。さらに丹羽のトライに8対0と引き離しましたが、中ごろから早稲田奮起。スタンドオフ堀猛烈なダッシュで明大バックスを抜きゴールラインに迫りました。あわやトライかと思われましたが、明大よく防ぎ、ゴール前の混戦。26分、早稲田新村インターセプトからワントライを返して、試合は白熱化しましたが、前半は16対6で明大リード。後半に入って早稲田の追撃鋭く、形勢は予断をゆるさず、かくて16対12と早稲田迫りました。明大ペナルティーゴールを得て再び引き離し、これに対して早稲田のウィング・大月、左隅にトライを返すなど奮闘を続けましたが、ついに19対15で明大の勝ちとなりました。優勝確定した明大チーム。

苦闘する炭坑          01:56
経済危機の真っただ中でどうしたら石炭が出るか。問題の石炭国管案は、参議院に移って委員会で否決されながらも、12月8日かろうじて本会議を通過、成立しました。

《松平参議院議長》
衆議院修正案は可決せられました。

労働者、資本家双方からいじめられていた水谷さんもやっとこれでご満悦の体です。
ところで現場はどうか。九州・大峰炭鉱は米代を要求してスト中でしたが、マ司令部主導の石炭増産調査団の視察を機に、5日、罷業をやめ、月3万トン増産に邁進しています。
同じくこの調査団の北海道班は、8日、夕張炭鉱を視察、労働組合代表と懇談しました。その労働組合は今連日2時間残業という強行増産中で、外で働いていた5万の従業員も坑内に入ってシャベルやドリルを握っています。しかし、この石炭の輸送が及ばず、山の人たちは一日も早く必要な貨車が来るのを待っています。

 

日本ニュース 戦後編 第102号(1947年12月)7分52秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310102_00000&seg_number=002

不安つのる師走の街      01:59
自己弁護つづく -東京裁判- 00:39
雪とあそぶ 北海道<スポーツ> 00:38
東西サッカー早稲田勝つ 西宮<スポーツ> 00:49
年末の表情          02:15
酷寒にたたかう 青森・北海道 01:29

不安つのる師走の街      01:59
押し迫った師走の街に、警視庁は厳重な歳末警戒を始めました。12月12日夜、宮城前に変死体を発見。翌13日、二人組強盗の入った日本橋芳町のアパートを捜査。15日犯人護送の冷たい朝。16日夜はいかがわしいホテルを臨検しました。同夜、大森には三人組の強盗事件。

《被害者男性》
次女のあや子にここを傷を負わせていち早く逃走したんであります。

すぐその直後、同じ大森に10数名の集団強盗が電話線を切断して侵入。

《捜査員》
じゃあこんなようなピストルですか。
《被害者女性》
これよりか少し長いと、ここが長いと思いましたですね。
《捜査員》
ここの色は?
《被害者女性》
色は、よく私には覚えがないんですよ。
《捜査員》
だいたいね、何人くらい入りましたか。
《被害者》
……。
《捜査員》
わからない?
《被害者》
はい。
《捜査員》
6、7人?
《被害者》
ええ。
《捜査員》
あんたはゆわかれて押し入れに入れられたんですね。
《被害者女性》
そうです。
《捜査員》
ゆわかれたときはどういう格好でゆわかれました?
《被害者女性》
こういうふうです。
《捜査員》
こういうようにして。
《被害者女性》
ええ。そして後ろへ。最初は前でしたけれど、その次は後ろでした。

凶悪犯の横行はやみそうもなく、警視庁は躍起の捜査を続けています。

自己弁護つづく -東京裁判- 00:39
個人段階はいよいよ大詰めに近づきました。12月9日、白鳥被告は三国同盟についてはあまり関係がないとほのめかし、続いて12日、鈴木部門に入り、被告は物動計画をめぐって全く敗戦を知らなかったと述べました。15日、東郷被告の段階に移り真珠湾奇襲は軍部の責任であると述べて注目を集めました。

雪とあそぶ 北海道<スポーツ> 00:38
北海道札幌の中島公園。スケートで羽根つきというお国自慢も見うけられます。

東西サッカー早稲田勝つ 西宮<スポーツ> 00:49
東西学生一部優勝校対抗早大対関学のサッカー戦は、12月14日、西宮グランドで挙行。前半、風上を利して関学フォワードしばしば早大陣に迫りましたが、シュート決まらず1対1のままタイムアップ。後半に入って早大フォワード地力を発揮してオープン戦法を展開、みごとなドリブルで関学フルバックラインを抜き、24分、26分と続けさまに得点、さらに40分、早大磯谷ドリブルで関学陣に迫り、関学ゴールキーパー松田の逆モーションをついて光武シュート、とどめの1点を挙げ、結局4対1で早大は2連覇を遂げました。

年末の表情          02:15
今年もやがて終わろうとしています。大阪戎橋付近の歳末風景。浮浪者親子には冷たい雨。東京浅草の観音様に一体何をお願いしようというのか。社会鍋、暦売り。職業安定所には食うに追われた人々が詰めかけています。12月18日には宮城前広場に20万の労働者が最低生活確保人民大会を開きました。

《男性弁士》
一部資本家階級を擁護するただ今の3党協定の片山内閣に対しましても、われわれは働く者の手によりまして働く者の生産復興運動を展開したいと思うのであります。

国会はお休み。栗栖蔵相、水谷商相は関西方面へ遊説に出かけました。西尾官房長官は補欠選挙応援のため新潟に向かいました。ひっそり閑とした永田町には片山首相がただ1人。

酷寒にたたかう 青森・北海道 01:29
青森では12月10日から風速20メートルという猛吹雪に襲われました。このため列車のダイヤも大混乱。駅にはたちまち滞貨の山ができてしまいました。この零下13度という猛烈な寒さの中では休むところにも雪が吹き込み作業は困難をきわめています。
北海道でも12月12日、逓信従業員たちが大会を開き、この冬を働くために手当てを要求するなど、北国の生活の厳しさが感じられます。

 

日本ニュース 戦後編 第103号(1947年12月)8分7秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310103_00000&seg_number=005

クリスマス            01:17
銀嶺の快走 ニセコアンヌプリ(北海道)<スポーツ> 01:06
不正行為の摘発へ         01:18
百万円よサヨナラ 東京<時の話題> 00:39
ついに電車開通 東京<時の話題> 00:38
酷寒のブリ漁 富山<時の話題>  00:31
主戦論者はだれか? -東京裁判- 00:57
正月の声             01:39

クリスマス            01:17
聖なる主に祈りを捧げる東京立教女学校のクリスマス。

銀嶺の快走 ニセコアンヌプリ(北海道)<スポーツ> 01:06
白銀の装いをつけたニセコアンヌプリの山肌。冬季大会に出場する全日本選り抜きのスキーヤーたちが、処女雪を蹴って冬山の魅力を満喫しています。

不正行為の摘発へ         01:18
〈舞鶴〉
世耕事件以後、隠退蔵物資は各所で話題を集めていますが、舞鶴元軍港には退蔵物資が残されており、運輸省の手で1か月にわたって引き上げられました。
〈大阪〉
また12月18日には、大阪扶桑金属へ労農市民協議会が隠退蔵物資の摘発に乗り込んだことから、労働組合と衝突するなど、いろいろな問題が注目を集めています。
一方、12月20日、松岡衆議院議長は隠退蔵物資をめぐる人々の不正行為を断固摘発すると声明しました。

《松岡衆議院議長》
終戦以来、責任ある地位にあった者が、いかにその職に適正を欠き、資材を不当にも供給者の利益のために提供したかがきわめて明白なる事実となった。
《加藤勘十氏》
もし調査の結果、それが閣僚であれ、高級官吏であれ、政党の庶僚であれ、あるいは財界人であれ、そういうことには頓着なく、本当に国家再建のその気持ちからですね、行われなければならんと思います。

百万円よサヨナラ 東京<時の話題> 00:39
くじを買った人は誰でもひょっとすると当たるかもしれないと思っていた百万円宝くじの抽選。12月24日、東京日本劇場でレビューガールの矢がぱしと当たるのが運のつき。3のつく組の185470、見物人には当たらなかったようです。

ついに電車開通 東京<時の話題> 00:38
安井[誠一郎]都長官の手でテープが切られて、東京勝鬨橋の都内電車開通式は、12月23日行われました。隅田川にかかったこの橋は、船が通るときには上へ跳ね上がります。この種の開閉橋に電車が通るのは東洋に一つしかない珍しいものです。

酷寒のブリ漁 富山<時の話題>  00:31
富山県新湊[現、射水市]の沖合、吹雪の中で荒波をついて漁民の果敢なブリ漁。前の日には4人の犠牲者を出したという冬の海の危険な作業です。12月23日、ブリ7千貫が水揚げされ、大漁の旗をひるがえして船は港へ帰りました。

主戦論者はだれか? -東京裁判- 00:57
東京裁判は東郷被告の段階に入っていよいよ緊張。押し詰まった暮れの24日、被告のうちで戦争を主張したのはだれかというキーナン首席検事の鋭い反対尋問に、東郷被告は戦争を主張したのは東条元首相、嶋田元海相、鈴木元企画院総裁であると言い放って満場の注目を集めました。今までの各被告の陳述から、しだいに矛盾が暴露されてきた今日、何気ないような表情で食事をしているこの被告たちのうちで侵略戦争の張本人は果たしてだれか。傍聴してきた法廷は26日からついに東条被告の段階に入りました。

正月の声             01:39
〈埼玉〉
水害をうけた利根川べりの村、お飾りが壊れた家にも飾られ、ひび割れた田んぼもそのままでお正月を迎えました。
〈東京〉
東京では羽根つきの音、焼け跡のトタン張りの家にもささやかなお正月がきたようです。
〈富士〉
富士山頂の観測所。この撮影は非常な危険を冒して行われました。雪と氷に閉ざされた中で気象観測に明け暮れするこの人たちは、たった一つのストーブを囲んで年を越しました。

 

1948年1月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19481

日本ニュース 戦後編 第104号(1948年1月)7分49秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310104_00000&seg_number=001

1947年の記録 07:50

1947年の記録 07:50
1947年、昭和22年はどのような年であったか、振り返ってみましょう。
1月、時の首相は吉田茂氏。全官公庁労働者260万を中心とする労働攻勢は、とみに活発となり、18日にいたって2月1日ゼネストを決行すると宣言。政府との最後の交渉はついに決裂、ゼネストはまさに行われようとしましたが、中止となりました。
5月3日、新憲法制定式典。この日から主権は国民の手に移りました。農地改革法によって最初に土地を買ったのはこの人です。
新憲法により、3月31日貴族院は廃止され、総選挙の結果は社会党が第1党でしたが、もみにもんだ末、6月1日、片山哲氏を首班とする社会・民主・国協の3党内閣が成立しました。
その第1回国会で、7月1日片山首相は施政方針演説を行い、できるところから社会主義政策もやっていきたいと述べました。
この年の国会では、隠退蔵物資が問題となり、世耕代議士を中心とするいわゆる世耕事件がしだいに明るみに出され、ほうぼうに隠されている物資の行方に疑惑の目が向けられました。
最も悲惨な事件、八高線列車転覆があったのは2月25日朝のことでした。死傷者1000名。 
一方、インフレの波は高まり、和田安本長官は新物価体系を発表。運賃、食糧は約3倍となりましたが、主食のヤミはやまず、しばしばヤミ取り締まりが行われました。
こうした不安定な世相の中での関東大水害は痛ましいかぎりでした。9月15日濁水は利根川の堤を切って実りの秋の関東平野をひとのみにし、東京3区を水浸しにするという未曾有の被害をもたらしました。しかし9月末には復旧工事が始まりました。
その間にあって、8月15日貿易再開の明るいニュースに、港々は急に活気づいたように見えました。
国際的な動きとしては、3月17日、世界労連代表が来朝、4月、少年の町のフラナガン神父、5月、商震中国代表、7月、エヴァット・オーストラリア外相、8月ウェデマイヤー・アメリカ特使が来ました。そして11月、戦後最初の世界婦人円卓会議が東京・日比谷で開かれ、日本からは山川菊栄女史が参加しました。
最も華やかに復活したのがスポーツで、陸上、ラグビーなど各種の大会が開かれました。中でも野球への関心は急激に高まりましたが、8月9日、水泳の古橋選手が400メーター自由形に世界記録を樹立。
文化方面では登呂遺跡が発掘されて大昔の生活をしのばせました。
この年7月30日幸田露伴氏逝く。
10月23日大山郁夫氏がアメリカから帰りました。
この間、東京裁判は市ヶ谷法廷でたゆみなく続けられ、12月26日にはついに東条被告の段階に入りました。

《氏名不明》
法廷執行官の手によって本被告に戦後側文書3000号を示してください。
それはあなたの宣誓口供書ですか。
《東条被告》
そうです。
《氏名不明》
その中に含まれた内容は、正確であり、かつまた真実でありますか。
《東条被告》
そのとおり。

政局方面では、社会党内のごたごたが11月初旬にはっきりしはじめ、平野農相が閣内不一致から罷免される一方、石炭国管案をめぐって各党の利害対立。第1回国会ではもみにもみ、ついに殴り合いの猛烈さにおいて歴史的な記録を作るにいたりました。
夏が過ぎると、停電のため動けない工場もできるほど、電力危機は窮迫し、ろうそく屋、ランプ屋が続出。資材難のため発電所の修理もはかどらず、電気をよこせという声が起こるにいたりました。

《女性》
片山さん、電気をよこしてください。

子どもの教育については、6・3制の実施が思うにまかせず、学校の復興が大きな課題となりました。
また、石炭不足がこの年の悩みの種で、炭鉱では坑夫が必死の努力を続けました。
12月に入ると、国民の生活はしだいに苦しくなって、賃上げ要求がいよいよ高まり、各地域にいろいろな形で労働組合が動き始めました。
しかし、インフレはしだいに進み、ダンスホールが乱立し、100万円くじが話題を奪い、新円成金や道義の頽廃が問題となるにいたりました。
こうした状態のうちで、片山内閣は年を越し、各閣僚の微妙な表情のうちに正月を迎えました。

 

日本ニュース 戦後編 第105号(1948年1月)7分53秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310105_00000&seg_number=007

平野氏ら脱党           01:43
初の惨事 電車てんぷく 愛知   00:49
新春の話題 -北海道-      00:39
新春の話題 -東京-       00:21
新春の話題 -九州-       00:41
元旦のラグビー 京大22-慶大11<スポーツ> 01:15
氷上インターカレッジ 松原湖<スポーツ> 00:42
だれが戦争責任者か -東京裁判- 01:39

平野氏ら脱党           01:43
正月の5日、東京九段の料理屋魚久に、平野力三氏を中心とする全農派の議員たちが集まり、社会党からの脱党を決定。翌6日、首相官邸で平野氏は片山首相を待っています。

《記者》
あの、片山さんが結局来ないのは逃げたんですか。
《平野》
逃げたとは思わんですな。こだわっているんじゃないか。

その片山首相は来ないはず、社会党本部で平野氏を待っていました。総理大臣としてでなく社会党の委員長として会うのだからというわけです。しかし結局、平野氏の主張が通って片山首相は官邸へ戻りました。

《平野力三氏》
現状から見まして、これ以上党内にとどまってですね、いろいろ争いをするという時期ではないと、急に離党、脱党を決意したわけです。16名を連れて・・・。
《片山首相》
冷静に、ひとつこれは考えてもらいたいと思うんで、他の諸君に対しましても、十分現下の危局について理知的な判定を望みたいと私は思っているんです。

正月早々のこの紛糾に、政局は早くも怪しげな雲行きを見せています。

初の惨事 電車てんぷく 愛知   00:49
1月5日午前10時10分ごろ、名古屋鉄道瀬戸線・堀川行き急行電車が、正月客を満載して大森駅付近のカーブにさしかかったとたん、脱線転覆、一瞬にして死者40名、重軽傷者160名という大惨事を引き起こしました。原因はスピードの出しすぎといわれますが、正月らしい晴れ着やお餅も散らばっていて、ひとしお涙をそそりました。

新春の話題 -北海道-      00:39
早稲田大学山岳部では、戦後初めて、北海道日高連峰、魔のペテガリ登攀を試み、暮れの25日に出発。氷点下25度、腰までうずまる雪と闘いながら、翌26日には東尾根に取りつき第2キャンプを張りました。ペテガリ頂上征服は目前に迫っています。

新春の話題 -東京-       00:21
今年から元日と2日だけは一般人民も二重橋が渡れるようになりました。元日には約6万の人たちが押し寄せ、臨時記帳場で参賀の記帳をしました。

新春の話題 -九州-       00:41
九州・筑豊炭田の坑夫たちは正月休暇を返上して山に入りました。炭鉱住宅では、子どもたちだけの楽しいお正月を迎えました。炭車は本年最初の石炭を地上に引き上げ、増産の第一歩を踏み出しました。

元旦のラグビー 京大22-慶大11<スポーツ> 01:15
恒例元日のラグビー、東京ラグビー場。京都大学対慶応大学、京都のキックオフで開始。黒が京都、横縞が慶応。京都まずペナルティーゴールで3点を得たあと、7分慶応猛烈なダッシュ、パントをあげました。渡辺取って杉本にパス。杉本フルバックのタックルをはずしてリターンパス。中須取りました。ノーマークとなりました。飛び込んでトライ。ゴールなって慶応2点リード。24分慶応ゴール前の混戦。慶応必死の防戦。京都フォワードの蹴り込んだ球、ドロップアウトかと見えましたが、京都柴垣すばやく押さえ込んでトライ。京都さらに11対5と引き離し、後半6分、京都センター山根、慶応のバックスを抜いてゴール真ん中にトライ。22対11で京都の勝ちとなりました。

氷上インターカレッジ 松原湖<スポーツ> 00:42
1月3日から開かれた信州松原湖の氷上インターカレッジ、呼び物のスピードレース。1万メーターセパレートコース、日大菅原、スタートから好調。ぐんぐん早稲田伊藤を引き離しての快走。菅原リード、伊藤を3周抜きました。タイム19分17秒1でゴールイン。戦後の最高記録でした。

だれが戦争責任者か -東京裁判- 01:39
1月6日の市ヶ谷法廷。東条被告の段階はいよいよ最高潮に達した感があります。はたして戦争の責任はだれにあるのか。かつて日本国民の上に君臨した東条被告。その東条被告の戦争を始めたときの行動について、キーナン首席検事は鋭く反対尋問を行いました。

《キーナン首席検事》
その日本艦隊が日本を出発したのは、東京においてハルノートが受領される前であったというのが事実ではありませんか。
《東条被告》
それは事実です。作戦準備行動として、軍事行動として。
《キーナン首席検事》
あなたは、日本の艦隊が日本の水域を、真珠湾を攻撃せよという命令を受けて出発したのが、単に作戦の準備行動であるとおっしゃるつもりですか。
《東条被告》
それは、そういう細かいことになりますると、私にお聞きになっても知りません。
《キーナン首席検事》
そういう計画は、実施される前に天皇が知らされる、天皇はこの通知を受ける権利を持っておったとお考えになりますか。
《東条被告》
今の、軍の作戦の計画、作戦の計画のことでありますならば、政府としてはその責任は持ちません。

 

日本ニュース 戦後編 第106号(1948年1月)7分41秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310106_00000&seg_number=008

平野力三氏追放          01:14
教員組合事件 岩手        00:59
機械化消防 東京<時の話題>   00:51
賠償物資積出し 神奈川<時の話題> 00:33
まないた開き 東京<時の話題>  00:38
ジャンプ台完成 大倉山(北海道)<時の話題> 00:41
嶋田被告怒る -東京裁判-    01:04
発シンチフス発生 東京・大阪   01:38

平野力三氏追放          01:14
新党結成中の平野力三氏は、ついに1月13日公職追放と決定しました。

《発言者氏名不明》
先例にならい、投票による採決方法をとった結果、同氏を該当と決定した。

問題になった雑誌『皇道』、編集発行人として平野氏の名前があります。追放の発表とともに、平野氏をはじめ新党を作るために社会党を脱党した人たちは憤慨の面持ちです。

(脱党した人たちの談話の模様)

教員組合事件 岩手        00:59
1月12日、盛岡市公会堂前で岩手県教員組合を中心とする市民大会が開かれました。子どもたちもこれに協力しています。
これは、昨年12月、教員組合との団体交渉の際、国分岩手県知事が床に倒れたことが問題となり、検事がこれを組合側の暴力行為だとして起訴、組合側はこのことを不法弾圧だといっています。13日にはその第3回公判が盛岡地方裁判所で開かれ、被告・小笠原副委員長は暴行を否定、知事は椅子につまずいたと証言。明くる14日は現場で当時の模様の実地検証が行われ、果たして不法弾圧かどうか、その成り行きが注目されています。

機械化消防 東京<時の話題>   00:51
1月15日、宮城前広場へ警視庁ご自慢の機械化消防車が出動、華やかな出初式を行い、盛りだくさんの行事を繰り広げました。

賠償物資積出し 神奈川<時の話題> 00:33
賠償物資として連合国に納める小型工作機械などが、いよいよ積み出されることになりました。最初の賠償物資積み取り船として中国から海康号が1月11日横須賀に入港。1500トンにのぼる賠償物資を積み込みました。

まないた開き 東京<時の話題>  00:38
1月12日、東京浅草報恩寺で行われたまないた開き。これは江戸時代からの行事の一つです。南無阿弥陀仏のコーラスのうちに、四条流・山下茂さんの手にかかって、鯉はめでたく成仏しました。

ジャンプ台完成 大倉山(北海道)<時の話題> 00:41
1月11日、札幌大倉山の東洋一というジャンプ台の完成、シャンツェ開き。各大学OBの一流選手をそろえて、今シーズン初めてのジャンプ記録会が行われました。

嶋田被告怒る -東京裁判-    01:04
1月9日、嶋田被告は東郷被告を攻撃してその醜い対立をさらけ出しました。

《発言者氏名不明》
あなたは東郷氏がこの法廷においてなす証言に関して相当に心配しておったようではありませんか。
《嶋田被告》
とんでもないことで、われわれは東郷が、われわれの注意によって、まさかああいうばかばかしいことを言おうとは思っておりません。まことに言いにくいのでありますが、彼は外交的手段を使った、すなわち、イカの墨を出して逃げる方法を使った、すなわち、言葉を換えれば、非常に困って、いよいよ自分の抜け道を探すために、とんでもない、普通使えないような脅迫という言葉を使って逃げたと。この二つの感想を当時持ちました。

発シンチフス発生 東京・大阪   01:38
昨年末、大阪生野区に20数名の発疹チフス患者が集団的に発生。シラミの仲介所とみられるお風呂屋さんが徹底的に消毒されました。
東京でも発疹チフス蔓延の恐れがあるので、板橋の養育院ではDDTの散布に大わらわです。
また、いまだに数100名の浮浪者がたむろしている問題の上野地下道には、今年に入って8名の疑似患者を出し、伝染病の製造元として都民を脅かすにいたり、防疫陣は1月14日、予防注射やDDTを散布、シラミの根絶をはかっています。

 

日本ニュース 戦後編 第107号(1948年1月)5分21秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310107_00000&seg_number=001

四党協定破棄か        02:41
原田日記提出 -東京裁判-  00:35
スキーインターカレッジ 北海道<時の話題> 00:51
捕鯨船帰る 東京<時の話題> 00:25
新鋭機関車C62誕生 山口<時の話題> 00:47

四党協定破棄か        02:41
1月16日から社会党は大会を開きましたが、四党政策協定破棄をめぐって、左派、右派互いに譲らず、松岡議長は途中で散会を宣したため、がぜん混乱。
ついに松本副議長が議長席につき、19日、四党協定破棄か否かを採決。

《松本副議長》
ご報告いたします。原案を可とする者366票。修正案345票。

結局、4党協定を破棄するという左派の主張が通りました。その社会党の決議に対して、1月20日、民主党大会では一松定吉氏が社会党の4党協定破棄を攻撃しました。

《一松定吉》
社会党大会の決議を閣議に持ち出して、その線に沿うて討議がありましたならば、これはわれわれは、わが党の政策と矛盾いたしまするから、これには断固反対するのであります。

同じ日、自由党も大会を開きましたが、どうやら内閣がひっくり返るのを楽しみにして待っているようです。

《星島二郎氏》
あれは一種のなんじゃないか、軍事公債の利子の棚上げということになって、あいう人がよう従うまで・・・。
《大野幹事長》
それは絶対いけるはずがないと思うがね。
《星島二郎氏》
これから政権欲で、あれは一緒になるかな。
《大野幹事長》
まあ、しかし、もう内閣はおしまいだね、これは。アハハ。

こうした状態のうちに、1月21日、第2回国会が開かれ、片山首相は施政方針を演説しましたが、政局の前途は4党協定が続くかどうかにかかっています。

原田日記提出 -東京裁判-  00:35
個人段階を終わった東京裁判の法廷へは、木戸日記とともに政治の裏を語る西園寺公秘書・原田熊雄氏の日記が提出され、近衛秀麿氏夫人は作家・里見トン氏がいつこの日記に手を加えたかについて証言。

《近衛泰子夫人》
実は、私が申し上げたことと思いますけれど、里見さんが訂正されたのは、その写真版になっている原文をさらに私が写し直したものを里見さんが手を入れました。

スキーインターカレッジ 北海道<時の話題> 00:51
第20回全日本学生スキー選手権大会は、1月16日から3日間、北海道小樽で挙行。回転の優勝、早稲田橋本[茂生]。第3日目のジャンプは潮見台シャンツェで行われました。優勝候補法政の高野選手、惜しくも転倒。明大の川島選手が216.6点で優勝しました。

捕鯨船帰る 東京<時の話題> 00:25
鯨を求めてはるばる南氷洋で活躍した捕鯨船隊の第1船、第三十二播州丸が1月20日、東京築地に帰ってきました。お土産の冷凍肉12万貫は南氷洋の潮の香の抜けぬうちにさっそく陸揚げされました。

新鋭機関車C62誕生 山口<時の話題> 00:47
山口県の笠戸工場で製作を急いでいた国鉄最大の旅客用機関車C62が完成しました。1月23日、公式試運転が行われましたが、満員の客車21輌を引いて時速70キロ、東海道線の急行に使われるはずです。

 

1948年2月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19482

日本ニュース 戦後編 第108号(1948年2月)7分44秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310108_00000&seg_number=002

二月の声              01:11
銀行毒殺事件 東京         02:06
ソ連段階に入る -東京裁判-    00:30
女王丸沈没 岡山          00:40
このままではあぶない -国鉄の現状 03:16

二月の声              01:11
群馬県榛名湖では氷の下からワカサギ釣り。
さて、二月の政局は。漫画家清水崑氏によれば、民主党を頼りした政府与党、労農新党を抱えた在野保守政党、両者土俵の上に入り乱れての混戦とのことです。

銀行毒殺事件 東京         02:06
1月26日午後、またも東京に凶悪な大量殺人事件が起こりました。東京豊島区の帝国銀行椎名町支店で、都の衛生課員と称する男にチフスの予防薬だと言って青酸カリらしい毒薬を飲まされ、たちまち16名の行員は店内のあちこちに倒れて苦悶、うち12名はまもなく死亡。あまりの凄惨さに、駆けつけた遺族たちも立ち入りを止められ、翌27日になって次々に運び出される白木の棺に泣き崩れました。
わずか16万円を奪うため、この12人の人たちを殺したわが国でも前代未聞の凶悪犯人を追及するため、警視庁では直ちに活動を開始。毒を飲んだ湯飲みもそのままの事務室で状況を調査しています。
一方、目白署の捜査本部でも係官を総動員して知能をしぼっていますが、4日たった29日現在もまだ犯人はわかりません。

ソ連段階に入る -東京裁判-    00:30
1月26日、ソ連検事は日本の攻撃は抜き打ちであったと主張。また証人・神田[正種]元中将はハルピン特務機関の対ソ謀略を明らかにしました。次いでに27日、張鼓峰事件当時の国境警備隊長グレベンニク少将がソ連は国境を侵した事実はないと証言しました。

女王丸沈没 岡山          00:40
明治37年に作られた関西汽船の女王丸は、1月28日夜中の3時、岡山県牛窓沖合で乗客269名を乗せたまま機雷に触れて沈没しました。154名は救助されましたが、死者18名、行方不明153名、その行方不明者は絶望と見られています。

このままではあぶない -国鉄の現状 03:16
〈兵庫〉
3メートルの高さの線路から田んぼへ転げ落ちた機関車。これは1月25日、兵庫県姫路付近での出来事で、目下引き上げ中です。
〈東京〉
次は東京。最近、省線電車の事故が頻発しています。線路の減りぐあいも相当なもので、目下その整備に大わらわ。車輪もだいぶ減って危ないものです。
〈関門〉
次は関門海底トンネル。マンガン鉱のため、トンネル内のレールに亀裂を生じ、1月18日から取り替えにかかりました。
次は滋賀県と京都との境、逢坂山トンネル。トンネルの天井に穴があいて、そこから水が漏り、そのため路盤がゆるむので、こうして保線係が固めていますが、年中こんなことを繰り返しています。
〈北海道〉
次は北の端の北海道。すでに年をとりすぎた機関車が多く、継ぎ接ぎだらけで休憩中のマークがつけられ、中にはすっかりだめになったものもあります。資材不足を補うため係員はピンやボルト、ナットなどを拾って歩いています。
〈新潟〉
新潟では、石炭不足と機関車故障続出のため貨車が動かず、そのため駅には貨物が山をなし、輸送は一向はかどりません。
〈大阪〉
お次は大阪。ここでは人間の危機。組合員がクビ切り反対、運賃値上げ反対に大衆の協力を求める署名運動の最中です。
〈青森〉
お次の青森県弘前では、列車延着のため、待っているお客さんを機関庫へ案内して、なぜ故障が多いか、どこが悪いか、それを直すため係員がどんなに働いているかを見せています。このとおりなかなか並大抵ではありませんと一生懸命の説明をしています。
こういうわけで、国鉄は全国いたるところ大変な痛み方で、この大変な痛み方の汽車に乗らねばならない乗客は、「このままでは危ない。なんとかしてちょうだい」と叫びながらぶら下がっています。

 

日本ニュース 戦後編 第109号(1948年2月)8分3秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310109_00000&seg_number=002

砂とたたかう           01:12
税金をめぐって 東京・京都・西宮 01:50
弁護側再反ばくへ -東京裁判-  00:48
ガンジー翁逝く<時の話題>    00:42
乾電池のおくりもの<時の話題>  00:28
鬼はどこに<時の話題>      00:39
まだつかまらぬ毒殺犯人      02:22

砂とたたかう           01:12
強い季節風に吹き飛ばされる砂。この砂にうずまる土地が多いので、東京大学では、風を防ぐものを海岸に立て、砂が渦巻くのを利用して砂を遠くへ飛ばさない実験をしています。静岡県の海岸へは科学者も乗り出しました。この研究に基づいて、農家の人たちは海岸に小松や粗朶(そだ)を立てて砂が遠くへ飛ぶのを防ぎ耕作地を確保しようと努力しています。こんなところが全国で4万町歩あるといわれています。

税金をめぐって 東京・京都・西宮 01:50
2月4日、東京数寄屋橋には納税塔が立ちました。1月31日、都民税、非戦災者税、そのほかの締め切り日、税務署へはわんさと押し寄せ、納税やら質問やらで大混雑です。

《申告者》
あさって来てくれって言ったって、そうはいかないじゃないか。
《記者》
これはどうですか。よくわかりました?
《申告者》
わからないですね。
《申告者》
これはよく言われればわかるけどね、それがはっきりしてないから。         

京都でも納税者に混じって延ばしてくれ、減税してくれの申告者が殺到。
京都は戦災をうけていないのでまさに非戦災者税のドル箱です。
西宮市では法人税140万円の滞納者、某工場が早くも執達吏の襲撃をうけました。ポンプにもペタリ。船にもペタリ。動いている旋盤にももう一つペタリ。この工場はかつて軍需工場として盛んだったところです。差し押さえの一隊はさらに某工場に向かいました。

弁護側再反ばくへ -東京裁判-  00:48
1月28日からは弁護側の再反ばくに移り、元ドイツ軍フリッツ中佐から問題のゾルゲ情報が明らかにされ、続いて当時の外蒙古共和国国境警備隊長チョクドン少佐がノモンハン国境線について証言。
2月3日からは弁護側の反証準備のため8日まで休廷となり、被告たちは寒々とした面持ちで巣鴨へ帰りました。

ガンジー翁逝く<時の話題>    00:42
インド独立の父・ガンジー翁は、1月30日ヒンズー教過激派の一青年に暗殺されました。最近のガンジー翁。若かりし日から無抵抗主義で79年を闘いました。2月3日、東京・明治大学講堂に在京インド人代表が集まり、暴力に倒れたガンジーの追悼講演会を開きました。

乾電池のおくりもの<時の話題>  00:28
アメリカから日本の各学校に寄贈された170万個の乾電池の展覧会が、2月2日東京・三越で開かれました。森戸文相、連合軍代表の顔も見えます。この乾電池の性能は非常に優秀で、精密な電気実験に使用することができます。

鬼はどこに<時の話題>      00:39
お江戸は神田明神、節分の豆まき風景です。粋な木遣節に今年も相当な混雑。1粒7銭なりのインフレ豆を拾おうと大変な騒ぎです。この春一番の憎っくい鬼、毒殺犯人、この鬼どこへ行ったのかなかなか捕まりません。

まだつかまらぬ毒殺犯人      02:22
毒殺された帝国銀行の犠牲者の合同葬は、1月30日東京小石川護国寺でしめやかに行われ、参列の遺族の痛ましい姿はひとしお涙をさそいました。
毒薬を飲んだが助かった人たちも、ようやく生気を取り戻し、1月4日退院、直ちに実地検証。生存者との一問一答。

《記者》
あなたはここで犯人に飲まされたわけですね。
《生存者》
そうです。
《記者》
あなたはここにじっとおられたんですか、飲んでから。で、犯人はどっちのほうへ行きましたか。
《生存者》
それはわかりません。
《記者》
飲んでからあれですか、しばらく苦しくなるのにどのくらい時間ありました?
《生存者》
ほとんど、そうですね、1分たたない。

犯人の行方は依然としてわからず、松井博士の名刺を有力な手がかりとして捜査は続けられ、人相書きも町々に張り出されました。警視庁鑑識課では同様の未遂事件のあった銀行の3人の支配人が写真を調べています。目白署の捜査本部では警視庁の堀崎捜査課長は次のように語りました。

《記者》
世間でこの事件は迷宮入りになるのではないかと言っているんですけど。
《捜査課長》
これだけの大きな事件であります。警察官としては必ずあげなければならんという覚悟を、みな持っていますが、そう短時日にはいくまいと思っています。しかしながら、迷宮には絶対やらせないと思っています。

捜査課長は捕まえてみせると断言。東京各所では上野駅をはじめいたるところ非常警戒。だが犯人はこの警戒と世間の注視を尻目に5日現在まで捕まる様子もありません。

 

日本ニュース 戦後編 第110号(1948年2月)7分37秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310110_00000&seg_number=004

最高の断罪を! -東京裁判-   00:59
壽産院で生き残った赤ちゃんはどうしていますか 東京・松田ふみ<みなさんの声> 01:06
出まわるかペニシリン       01:02
雪とあそぶ -奥日光-      00:35
雪とあそぶ -富山-       00:16
片山内閣総辞職          01:29
教育復興人民大会 -大阪-    00:24
国鉄・全逓 値上げ反対 -東京- 00:15
街頭録音 -東京銀座-      01:27

最高の断罪を! -東京裁判-   00:59
開廷以来371回目の公判を迎えた2月11日の市ヶ谷法廷。この日、注目すべき検察側の最終論告が行われ、キーナン首席検事は発言台に立ち、「日本の軍国主義的行動の責任は国民にあらずして指導者にあり」と断じ、全被告の有罪とそれに相当する厳罰が科せられるべきであると痛烈に主張しました。

壽産院で生き残った赤ちゃんはどうしていますか 東京・松田ふみ<みなさんの声> 01:06
例の壽産院事件で、危ないところを生き残り、国立病院に移された5人の赤ちゃんたちは、その後わずかの間にこんなに丸々と太って、見違えるようになりました。新しいお母さんに抱かれたその赤ちゃん。このごろではすっかり看護婦さんにもなついて、5人のうち4人までは引き取り先が決まりました。
ところが、またまた淀橋産院にも似たような事件があり、院長安井仲子は2月10日容疑者として検挙されました。
こうしてようやく赤ちゃんの保育施設はこれでよいのかと各方面の関心を集めるにいたりました。

出まわるかペニシリン       01:02
この青カビから新しいお薬ペニシリンが作られます。試みにペニシリンをしませた白い紙を細菌の中へ入れると、このようにして広がり、細菌を殺していきます。これは18時間の経過を撮影したものです。従来、3万単位だった国産ペニシリンも、いよいよこの2月から10万単位となり、しかも大量に生産されることになりました。しかしまだまだ値段が高いので、ある病院のお医者さんは、ペニシリンさえ使ったら必ず治る場合でも、患者さんによっては高すぎてどうにもできないことがあります、と言っています。

雪とあそぶ -奥日光-      00:35
スキーヤーで賑わう奥日光にさっと現れた満1歳の豆スキーヤー高松ノブノリ君。大人はまずいなあという顔で、よだれ掛けをかけてあんよは上手。おっと危ない。今度はお父さんの肩にのってこれにかぎるという顔です。

雪とあそぶ -富山-       00:16
次は大人です。富山県船峅村(ふなくらむら)の村長さんの音頭取りで始めた寒中相撲。よい年配の人も混じって、これは精神修養だそうです。

片山内閣総辞職          01:29
片山内閣は、追加予算と内部対立で追いつめられ、2月10日とうとう内閣を投げ出しました。閣議を終わって西尾官房長官は記者団に発表。

《西尾官房長官》
本日10時から片山内閣の最終閣議を開きまして総辞職をすることに決定いたしました。

片山首相は総辞職報告のため参内。一方、議事堂の中では、民主党脱退組の幣原氏ら同志クラブがすでに動き始め、救国新党をもくろむ自由党ではわが世の春とばかりに、がぜん張り切り、レコードをかけて賑やかなことです。廊下では政界の鍵を握るという社会党左派がひそひそと画策中。社会党はみんな飛び歩いているとみえて控室はがらんどう。次の政権打ち合わせのため松岡衆議院議長はひどく忙しそうに芦田民主党総裁を訪ねました。さらに吉田自由党総裁を訪問、4党首会談の申し入れをしましたが、断られ、その夜、次期政権まとめ役松岡議長は衆議院議長室ですっかり考え込んでしまいました。

教育復興人民大会 -大阪-    00:24
《教育復興人民大会議長》
ニュースが入りましたから簡単に提案いたします。片山内閣は総辞職をいたしました。われわれ勤労階級の味方になるような内閣の出現を、われわれ教育復興人民大会の名において要求しようではありませんか。
《参会者》
異議なし!

国鉄・全逓 値上げ反対 -東京- 00:15
《労働組合員》
片山内閣は総辞職をしました。しかし、鉄道当局では3月より運賃3倍値上げをもくろんでおります。皆さんわれわれの絶対反対する運動にご協力願います。

街頭録音 -東京銀座-      01:27
《男性》
連立でやりまするというと、どうしても各大臣が自由な意見を吐いて、そうして自分の党の自由な政権というものが行われない。単独の内閣が私はほしいと思います。
《男性》
ここは、諸策をすみやかにするために、ぜひとも連立というものを現実的に考えて、政策的にこれをむすびつけていけばいいと思います。
《アナウンサー》
ほかにご意見ある方はありませんか。
《女性》
内閣は、議会は即時解散するべきだと思いますの、そういうただ一つの政権は多数党をもっていないのですね。議会は、私は絶対排撃いたしますから。

さて、この多事多難の難しい時局に、次期政権ははたしてどこへいくか。おなじみの漫画家清水崑氏によれば、国会射的場に集まった各政党は、鉄砲を奪いあって、早くどのダルマを射落とすか大騒ぎ。

 

日本ニュース 戦後編 第111号(1948年2月)8分2秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310111_00000&seg_number=003

次期政権をめぐって       01:23
主食の世相 東京        00:37
主食の世相 西舞鶴       00:25
主食の世相 京都駅       01:11
“自衛戦の根拠なし” 最終論告つづく 00:42
氷上カーニバル 北海道<時の話題>  00:30
漫画家炭鉱へ 九州<時の話題> 00:42
農村民主化すすむ 千葉<時の話題>  00:39
保育施設の現状         01:48

次期政権をめぐって       01:23
次期政権へ各党入り乱れての動きが盛んです。社会党は10日たっても態度が決まらず思案にくれる片山さん。民主党の芦田総裁は思わせぶりな表情ですが、自由党の吉田総裁は葉巻をくわえて自信ありそうです。その自由党を中心に保守陣営は街頭へ宣伝演説に出かけました。これに対して労働組合も動き出しました。総同盟、産別の代表者は次のように語りました。

《総同盟総主事 原虎一氏》
政権は保守反動であってはならないと同時に、勤労所得税を大幅に軽減して、悪性インフレを断固克服する強い政権でなければならないと思う。
《産別議長 菅 道氏》
政権のヤミ取引やたらい回しは絶対に反対する。すみやかに議会を解散して世論に問うべきものである。

しかし、2月19日の幹事長会談ではどうやら決戦投票にまでこぎつけました。

主食の世相 東京        00:37
2月10日ごろから、東京板橋の日配寮をはじめ、都内各地に配給された大豆粉入りのパンを食べて中毒した事件が次々と起こり、19日現在までに300名近い中毒患者を出し、うち1名の子どもはついに亡くなりました。問題のパンについて、警視庁では原因を検査しましたが、わからず、この種のパンを食べないようにと言っています。

主食の世相 西舞鶴       00:25
次はもったいない話で、20万貫というジャガイモが舞鶴埠頭に山と積まれ腐ってしまいました。これは北海道から送られる途中、水浸しになったものですが、なんとか食べられないかと拾っている人もあります。

主食の世相 京都駅       01:11
一方、京都駅では、2月17日、主食の一斉取り締まりが行われました。
厳重な身体検査のうえ警察に連れていかれた乗客の主食はすべて取り上げられました。

“自衛戦の根拠なし” 最終論告つづく 00:42
2月16日の市ヶ谷法廷は、タベナー検事の共同謀議一部朗読に続いて、いよいよ共同謀議第4部、太平洋戦争開始の段階に入り、オランダのムルダー、フランスのオネト、カナダのノーラン、各国検事がそれぞれ自衛戦の根拠なく侵略戦争であると論告。翌17日、ソ連ワシリーエフ検事立って日本帝国主義指導者の罪悪を鋭く指摘しました。

氷上カーニバル 北海道<時の話題>  00:30
2月11日、札幌中島公園で復活第2回目の氷上カーニバルが開かれました。女に化けた男の有坂選手です。

漫画家炭鉱へ 九州<時の話題> 00:42
北九州の亀山、勝田などの各炭鉱では、入坑前の坑夫さんたちが似顔を描いてもらっています。これはお役人が頭をひねって考えた石炭増産の一策ですが、漫画家は大変な人気です。

農村民主化すすむ 千葉<時の話題>  00:39
農業会の解体と協同組合の結成は全国の農村でも大きな問題となっていますが、千葉県安房郡主基村(すきむら)では2月15日農業会解散総会を開きました。農業会資産の処理委員も選挙で選ばれ、働く農民の協同組合が近く生まれようとしています。

《発言者氏名不明》
農業会の役員でなく、われわれ働く農民から処理委員を出さなければ絶対にいけないと思います。

保育施設の現状         01:48
産院事件で問題になってきた子どもの保育施設は、今どうなっているでしょうか。働いているお母さんたちが毎朝子どもを預けにくるこの東京のある保育所も、窓にはガラスもなく冷たい風が吹き込んでいます。天井も破れたままで修繕もできません。そうしたうちでも子どもたちは無邪気です。保母さんの手も足らず、仕事は山ほどあって、託児の申し込みも断らなければならない状態です。

《保育園の人》
ところがね、今本当にお預かりしてあげたいと思うんですけど、このとおりね、施設がぼろぼろでしょう。それにね、赤ちゃんのミルクだって、おしめだってね、今のところ何の配給もありませんしね。

こうしてまだたくさんの子どもたちが町に放り出されています。子どもを抱えて働くお母さんたちの苦労は並大抵ではありません。2月17日朝、ある交番にまた捨て子が拾われてきました。子どもを抱えて働くことのできないというこのお母さんの置き手紙は、「不幸な子どもを死より守ってください」と強く世の中へ訴えています。

 

1948年3月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19483

日本ニュース 戦後編 第112号(1948年3月)8分7秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310112_00000&seg_number=001

三月の声            00:52
内申書は出たが-        00:59
仮面をはがれた平和主義者 -東京裁判- 00:35
労働教育大会<時の話題>    00:30
煙になるか百万円<時の話題>  00:37
命を売る男 名古屋<時の話題> 00:15
芦田首班組閣工作ヘ       01:42
総理庁全焼           00:55
氷雪にいどむ 日光雲竜峡谷   01:37

三月の声            00:52
北国では雪が解け始めました。
東京では都鳥。
孤児(みなしご)たちにも桃の節句が近づきました。

内申書は出たが-        00:59
内申書問題も2月24日ようやく解決。家庭の財産状況と席順は、組合側の要求どおり書かないことになりました。私立の中等学校には、昔と違って志望する父兄が殺到。内申書が定員の五倍以上もたまったところがあります。
一方、内申書のいらない新制中学は、小学校に間借りをしているところがたくさんあります。右が小学校、左が中学校です。設備はまだまだ改善の余地があるようです。

仮面をはがれた平和主義者 -東京裁判- 00:35
個人の最終論告第3日目、2月24日の法廷は、女性検察官として2人目のランバート女史が立ち、傀儡満州国の立役者・星野被告を痛烈に論告。続いてコミンズ・カー検事は、宮廷政治を壟断した木戸被告をついて「平和主義者の仮面をかぶった軍国主義者」と断じ、満場を緊張させました。

労働教育大会<時の話題>    00:30
2月26日、日比谷公会堂の労働教育大会で、連合軍代表カルバーソン氏や中央労働委員会の末広会長が労働と民主教育の関係を説き、労働家のデベラル氏は特に個人の尊厳を強く主張しました。

煙になるか百万円<時の話題>  00:37
新生というタバコは、作っても作っても売れないので、ついに売らんがための奥の手、またまた百万円くじでお客をつり、そのうえタバコも売ろうという魂胆。お客さんはどうやらけむにまかれたようです。

命を売る男 名古屋<時の話題> 00:15
命を売ろうという男が名古屋に現われ、人々をびっくりさせています。

《記者》
結局どれくらいの値段なら売られるか。
《命を売る男》
買う本人以外には話さんね。

芦田首班組閣工作ヘ       01:42
後継内閣首班は、芦田民主党総裁、吉田自由党総裁対立のまま、2月21日、衆議院の指名投票で決めることになりました。

《事務総長》
216点芦田均君。180点吉田茂君。
《議長》
芦田均君を内閣総理大臣に指名するに決しました。

《芦田総裁》
民主党万歳、万歳、万歳。(拍手)

その夜民主党はわが世の春の祝宴。
おなじみの漫画家清水崑氏は、まず政策加里という社会党左派を飲む、次に右派の協力剤の注射を打つ、そして国協党の薬を飲む。さてその勢いで芦田さん張り切ります。
その後2人は、2月25日会見の結果、自由党は連立に協力しないと回答。芦田総裁は社会・民主・国協の3党から各大臣を選ぶことになり、組閣本部に入りました。

総理庁全焼           00:55
2月26日午後3時半ごろ、国会議事堂裏記者会館から出火、風速12メートルの強風にあおられて、たちまち隣の総理庁に燃え移り、さらに国会常任委員室を全焼。政変最中の首相官邸にも危険が迫りましたが、かろうじて食い止めました。重要書類の安否が気づかわれていますが、総理庁のバラック建てであったことが損害を大きくしました。

氷雪にいどむ 日光雲竜峡谷   01:37
栃木県日光町から2時間余りで雲竜渓谷に入ります。その奥深く雪と氷に閉ざされた難コースへ、2月22日、日本山嶺倶楽部の一隊が取りつきました。隊長高須氏以下、日本ニュース中村特派員を加えて一行7名。切り立つようなつららの林、すでにこのコースはいくたりかの犠牲者を出して魔の渓谷といわれています。厳しい自然に挑むこのような努力は、遠くヒマラヤの征服をめざして続けられています。

 

日本ニュース 戦後編 第113号(1948年3月)7分37秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310113_00000&seg_number=003

スポーツの春           00:55
三党協定成る           00:57
“お台所はイカとタラ”      01:02
“流氷”に科学陣 網走<時の話題> 00:51
おしあい祭 新潟浦佐<時の話題> 00:25
労働陣営動く 大阪<時の話題>  00:36
侵略主義者東条の正体 個人論告終わる 00:56
もうすぐ新学期          01:51

スポーツの春           00:55
冬ごもりから開放されて若い人たちに春が来ました。
隅田川では三菱銀行の婦人たち。
昨年優勝した鐘紡の大井工場。各工場ともわずかの休み時間を楽しんでいます。

三党協定成る           00:57
芦田民主党総裁の組閣工作が始まりました。まず三党の政策協定が行われ、社会党左派の主張する軍事公債利払い停止が問題になりましたが、結局は成立しました。しかし、この政策協定は、漫画家清水崑氏によれば、芦田・西尾のバッテリーに軽く牛耳られてバッター左派はあえなくファールアウト。
気をよくした芦田さんは、まず片山さんに入閣を断られましたが、組閣はどうやら軌道にのったようです。

“お台所はイカとタラ”      01:02
3月2日、日比谷公会堂で魚と野菜の統制についての婦人大会が開かれ、労働省山川女史そのほかの講演の後、質問に入りました。

《質問者》
今日のごとく、イカだの、あるいは塩ダラばかりを配給なさらずに、いま少し栄養価のある魚を切にお願いいたします。

ところで、魚市場にはいろいろな魚が入荷していますが、これは一般の家庭へは行きません。また町には配給でないコハダのフライ、サバのひらき。

《ラジオのアナウンス》
「荒川区の1班から3班までスルメイカ。以上がきょうの配給計画でございます。」

つまり、あるところにはあるのですが、一般家庭への配給は相変わらずイカとタラばかりというわけです。

“流氷”に科学陣 網走<時の話題> 00:51
オホーツク海の寒風を真っ向からうける北海道網走沿岸では、毎年このような流氷の現象が見られます。北海道大学では2月9日から研究に乗り出しました。波のうねりで上下する氷の上で流氷の状態を観測しています。特に流氷の下を流れる寒流を調べて、北海道・東北地方の冷害の原因を明らかにしようとしています。

おしあい祭 新潟浦佐<時の話題> 00:25
3月3日、新潟名物浦佐のおしあい祭。これは豊作を祈るお祭りだそうです。

労働陣営動く 大阪<時の話題>  00:36
3月1日、大阪の扇町公園では、悪税反対、労働法改悪反対の人民大会が開かれ、約3万が集まりました。同じ日、全逓大阪地協は生活補給金の要求と郵便料金値上げ反対の24時間ストを行いました。

侵略主義者東条の正体 個人論告終わる 00:56
個人論告最終日の3月2日、市ヶ谷法廷はいよいよ東条被告部門に入り、フィクセル検事は痛烈な論告を行いました。

《フィクセル検事の通訳》
東条が首相になったときより、御前会議は米英蘭に対する政策を決定せし、1941年11月5日にいたる間行われた連絡会議は、わずか47日間を費やししのみにて、すでに示されたるごとく、審議は未決の問題を平和裏に解決することよりも、主として戦争遂行に対する日本の能力を中心に行われたのであります。採用せられた定理はただ戦争あるのみということでありました。かくのごとく、天皇が問題は白紙の基礎に立って考慮すべしと命ぜられしにもかかわらず、準拠せられたる型は、東条の首相選出以前のものと全く同一であったのであります。

もうすぐ新学期          01:51
もうすぐ1年生。10月のメンタルテスト。

《テスト係》
この絵を見てごらん。自動車の絵だね。車がないね。こんな自動車じゃしょうがないな。その次はどんな絵だろうな。みんなお友だちの絵だけどね、この絵もどこかおかしいところがあるね。
《新入生》
目がない。
《テスト係》
目がないな。

新学期の学用品の売り出しも始まりました。だが、どれもこれもなかなかよいお値段なのでお父さんお母さんは首をひねっています。全部整えると、しめて1万円ほどかかるそうです。
新学期といえば、新しい教科書も大急ぎで印刷中ですが、1年生の国語だけがやっとできました。上級の教科書はまだできません。それで今まで使っていたのをていねいに貼り直して下級生に贈るのだと一生懸命です。

 

日本ニュース 戦後編 第114号(1948年3月)8分
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310114_00000&seg_number=002

残忍!生体の解剖 横浜軍事裁判    01:04
国際婦人デー             01:04
身売りする赤坂離宮          00:47
春風にのって- 東京・福岡<時の話題> 00:39
小林多喜二 十五年忌 東京・北海道<時の話題> 00:39
“どうぞ貯蓄を” 東京<時の話題>  00:39
どう動くか新内閣 ひろがる労働攻勢  01:31
芦田内閣スタート           01:33

残忍!生体の解剖 横浜軍事裁判    01:04 →の判決
3月11日、横浜軍事法廷はいよいよ九州帝大の捕虜虐殺事件の公判を開始しました。横山元西部軍司令官以下32名の被告を前に委員長ジョイス大佐が着席。直接の責任者・横山元中将、解剖を行った平光元教授、手伝った筒井看護婦。
ヘーゲン検事は、「B29搭乗員8名を生きながら解剖、しかもこれを食べた」という驚くべき事実をついて鋭く追及しました。

国際婦人デー             01:04
〈東京〉
私たち婦人を社会制度や男の専制から解放しようと、国際婦人デーの3月8日、東京日比谷には労働団体その他の婦人約5千が集まりました。朝鮮、中国、ソ連の婦人代表も出席、世界をつなぐ婦人たちのあったかい愛情を示しました。
〈京都〉
京都では平和と民主主義を望んで家庭婦人も参加。

続いて全国各地で女性たちのデモ行進が春の町々に明るい歌声を響かせました。
〈大阪・九州 デモ風景〉

身売りする赤坂離宮          00:47
敗戦以来ペンペン草の生えていた東京赤坂離宮が、今度皇室の手から国会に身売りされました。フランスはベルサイユ宮殿にかたどって明治32年に建てられましたが、あまり使われたことはありません。
サロン「朝日の間」、そのほかにまだ立派な舞踏室や大広間があるそうです。

春風にのって- 東京・福岡<時の話題> 00:39
3月8日は新しい警察制度がお目見えしました。自治警察としていかめしい宣誓をした東京警視庁の田中[榮一]新総監。福岡では9日お巡りさんが春風にのってお祝いの大デモを行いました。

小林多喜二 十五年忌 東京・北海道<時の話題> 00:39
左翼作家小林多喜二が逝いて15年、小樽市の母堂セキさんはデスマスクを前に無量の面持ちです。築地警察の特高に虐殺された当時の小林多喜二。東京では、3月7日、思い出も新たに多喜二祭が開かれました。

“どうぞ貯蓄を” 東京<時の話題>  00:39
インフレ防止に貯金をと、児童のポスター展を皮切りに、またまた貯蓄運動が始まりました。6日、東京後楽園の舞台からは大向こうをうならせようと大宣伝。ところで、新売り出しの「五〇万円くじ」のほうは、どうやらレビューに食われた形です。

どう動くか新内閣 ひろがる労働攻勢  01:31
〈東京〉
組閣工作がぐずついて政治がお留守になっている間に、物価騰貴から労働攻勢が各地に広がってきました。スト準備も終わった東京全逓では、山なす仕事に最後まで大わらわになっています。今の給料では勤めのかたわら内職をやらなければやっていけない現状だといっています。仕事を終わってからタバコ「新生」の袋貼り、配達区間の表札書き。
〈名古屋〉
名古屋では労働法改悪反対の署名運動をする一方、熱田郵便局では8日ついに24時間ストに突入しました。
〈大阪〉
大阪の子どもたちは、早く安心して勉強ができるようにと、先生たちの給料値上げの要求に一生懸命応援をしています。
〈札幌〉
北海道では悪税反対人民大会のデモが雪解けのぬかるみを踏み越えてゆきます。

芦田内閣スタート           01:33
当の芦田内閣は、新聞記者もいいかげんしびれをきらした3月9日、ようやく目鼻がついたようです。芦田・片山・三木の3党首会談で大臣の椅子の話もつき、苫米地幹事長から発表しました。

《苫米地幹事長》
発表いたします。ただ今、3党首会談の結果、組閣をめでたく完了いたしました。総理大臣芦田均。

蔵相の北村さん、安本長官の栗栖さん、問題の加藤労働相、逓相の富吉さん、農相の永江さん、運輸相の岡田さん、10日一応仲良く恒例記念写真の後、初閣議を開きましたが、経営合理化を主張する新総理が労働攻勢をどう切り抜けるか。それが新内閣の前途を決するものとなるでしょう。

 

日本ニュース 戦後編 第115号(1948年3月)8分8秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310115_00000&seg_number=004

春の農村から            01:22
第三回国体スキー大会 野沢     01:00
¥2,920ベースをめぐって    01:29
二月堂のお水とり 奈良<時の話題> 00:47
労農運動犠牲者葬 東京<時の話題> 00:28
アメリカ婦人の生花 東京<時の話題> 00:32
うしろ向き機関車 大阪<時の話題> 00:21
弁護団側最終弁論 -東京裁判-   00:34
私製タバコにホンモノ怒る      01:31

春の農村から            01:22
〈新潟〉
ようやく春めいてきた農村からの便り。新潟では田んぼに藁灰や堆肥をまいて雪消しを始めました。
〈千葉〉
協同組合がいちばん多い千葉県では、3月15日、小川知事[川口為之助]も農民代表と組合について懇談しました。山武郡豊岡村の協同組合では春の農繁期を控えて早くも活発な共同作業。
〈香川〉
四国の香川県大川郡では、配給の硫安肥料をまいたところ、5千町歩の麦畑が枯れてしまいました。普通の麦と被害をうけた麦。農民たちはジャガイモに植え替えてやっと春を迎えました。

第三回国体スキー大会 野沢     01:00
第3回国民体育大会スキー選手権大会は、3月11日から信州野沢スキー場で開催。3日目の新複合回転競技。期待された天才少年、群馬の猪谷選手は堂々の妙技を見せて優勝。最終日のジャンプ競技は小雨の悪条件のもとに行われました。優勝候補、北海道の脇本選手、惜しくも転倒。少年組では北海道の原選手が52メートルで優勝。成年組では同じく北海道の浅木選手が57メートルを飛んで優勝しました。

¥2,920ベースをめぐって    01:29
注目された国鉄労働組合全国大会は、3月15日から長野県諏訪市で開催。新給与問題で左右鋭く対立。結局、政府案をのみ争議を打ち切ることになりました。
(大会の模様)

〈東京〉
しかし一方、電産では停電ストを準備しています。
また、2920円の政府案を承認しない全逓では、各地で24時間ストを行い、3月15日、土橋委員長が闘争宣言を発表。

《土橋委員長》
われわれは政府の最後の誠意をうながすために、今日以降、第2、第3の強力手段に訴えるであろう。右宣言する。
〈北海道〉
ストに入った全逓北海道地協は、その事情を市民に説明、協力を求めています。

二月堂のお水とり 奈良<時の話題> 00:47
有名な奈良二月堂のお水とりの行事が3月12日の真夜中に行われました。このたいまつのかけらを拾うと火の災難から逃れるというので、やけどしようと、着物が焦げようと、とにかく信者は夢中です。

労農運動犠牲者葬 東京<時の話題> 00:28
片山潜、尾崎秀美ら420名の労農運動犠牲者合同葬が、遺族の思い出も新たに彼岸入りの3月18日青山墓地で行われました。各参列者の悲しみのうちに、新たに市川正一氏らの遺骨も納められました。

アメリカ婦人の生花 東京<時の話題> 00:32
3月15日、東京丸の内のバンカースクラブでアメリカ婦人の生け花の展覧会が開かれました。これはおととしからの稽古が実を結んだものです。来場のマッカーサー夫人から修了者に免許状が授けられました。

うしろ向き機関車 大阪<時の話題> 00:21
E10型という風変わりな機関車ができました。後ろ向きの機関車で、煙に悩まされていた機関手さんもこれで大助かり。

弁護団側最終弁論 -東京裁判-   00:34
3月16日の市ヶ谷法廷では、ワーレン弁護人が土肥原被告の弁護を続行しました。最終個人弁護中の弁護団側は連日書類の山にうずまって有利な資料はないかと最後の努力をしています。

私製タバコにホンモノ怒る      01:31
〈東京〉
専売局のタバコは政府の財源となっているのに、高いというのでなかなか売れません。これは安い私製タバコが町にはびこっているからだと、
〈新潟〉
新潟ではとうとう闇タバコの製造場を見つけ出しました。材料もなかなか豊富にあり、設備も一応行き届いたものです。
〈大阪〉
闇タバコの本場大阪には偽物ピースをはじめこんなに色とりどり。そこで3月15日、街頭闇タバコの一斉取り締まり。捕まえてみると、闇タバコ屋さんには、ことに女の人や子供が多いようです。

 

日本ニュース 戦後編 第116号(1948年3月)6分47秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310116_00000&seg_number=008

五月九日をひかえて- 礼文(レブン)島第一報 01:20
最終弁論大詰めへ -東京裁判-  00:29
漫画の頁 清水崑         00:51
官公庁労組 政府と対立      01:44
ドレーパー氏一行来朝 羽田<時の話題> 00:23
アヒル大売出し 東京<時の話題> 00:32
マーケット取りこわし 東京<時の話題> 00:24
お坊さんデモる 大阪<時の話題> 00:22
ダットサン エジプトへ 東京<時の話題> 00:36

五月九日をひかえて- 礼文(レブン)島第一報 01:20
北海道稚内の西方32海里の海上に周囲17里の礼文島があります。今ではわが国の北の端になったこの島は、ニシン漁に出稼ぎの漁夫たちで賑わっていますが、5月9日の金環食の観測地としていろいろな準備が始まりました。島民たちは、寒風の中に道路の雪をよけたり観測所へ薪を運んだりして、貴重な一瞬に備えて懸命に協力しています。

最終弁論大詰めへ -東京裁判-  00:29
弁護団側の最終弁論を続行中の市ヶ谷の法廷では、3月18日、林弁護人の橋本被告に対する個人弁護に入りました。23日には武藤被告の個人弁論に進み、最終弁論もいよいよ大詰めに近づいてきました。

漫画の頁 清水崑         00:51
おなじみの清水崑氏の漫画天気予報。春は三輪車に乗って心もうきうき芦田さん。ところが空模様がおかしくなりました。傘をさして芦田さん自信たっぷり。しかし雨はいよいよひどくなりました。

官公庁労組 政府と対立      01:44
3月20日、芦田首相は国会の施政方針演説で労働政策にふれました。

《芦田首相》
政府は、労働組合の健全な発達を切に念願しておるのでありまして、そのために必要な対策は十分考慮しております。

加藤労相は官公庁労組代表に22日政府の最後案を提示。

《官公庁 鶴岡事務局長》
今のご回答によると、全面的にそれを拒否されたというふうに解釈できますが、それでよろしゅうございますね。
《政府側》
事実上そうなりますね。

官公庁労組との交渉はついに決裂。19日、全逓東京地協16支部はストに入り、各官庁も一斉賜暇戦術に出ました。一方、電産も次々にストに入り、横浜市電も25日1時間ストップしました。重要工場への送電が停止され、王子製紙の機械も止まり、従業員はその間に機械の手入れ。このような中で社会党左派といわれる加藤労相の対策は。

《加藤労相》
これは非常に、組合にとってもですね、つらいところであることはよくわかります。わかりますがですね、それにもかかわらずですね、いろいろと苦心してみるけども、どうにもその方法がないんだという項一点はですね、了承してもらえば。

ドレーパー氏一行来朝 羽田<時の話題> 00:23
3月20日、マッカーサー元帥の出迎えをうけてドレーパー・アメリカ陸軍次官の一行が東京・羽田飛行場に着きました。

アヒル大売出し 東京<時の話題> 00:32
これは東京・三越でのアヒルのヒナの大売出し。生後30日ぐらいのアヒルのヒナが1羽180円で羽もないのに飛ぶように売れていきました。

マーケット取りこわし 東京<時の話題> 00:24
許可なしで建てたというので、池袋駅前のマーケットが東京都の区画整理の最初のやり玉にあがり、3月18日いとも簡単に取り壊されました。

お坊さんデモる 大阪<時の話題> 00:22
お彼岸の供養に、3月22日、高野山のお坊さんたちはご詠歌部隊を引き連れて、善男善女随喜の涙のうちに、大阪の町をデモ行進。

ダットサン エジプトへ 東京<時の話題> 00:36
最新式の小型自動車ダットサン・デラックスが、来朝中のバイヤーの目にとまり、さっそく商談が成立。近くエジプトへ渡ることになりました。

 

1948年4月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19484

日本ニュース 戦後編 第117号(1948年4月)6分27秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310117_00000&seg_number=005

四月の声              00:53
賀屋、荒木の弁論へ -東京裁判-  00:30
日英航空路第一便 岩国<時の話題> 00:26
アメリカからおくりもの 東京<時の話題> 00:23
仁王さま婿入り 浅草<時の話題>  00:21
淀川にアシカ現る 大阪<時の話題> 00:26
警察のど自慢 東京<時の話題>   00:47
死傷四百名 満員電車追突      01:07
本塁打王は? 日本野球始まる    01:30

四月の声              00:53
熱海の療養所に桜の季節がおとずれました。
芽を吹いた銀座の柳。
焼け跡では菜の花が盛りです。

賀屋、荒木の弁論へ -東京裁判-  00:30
3月29日の市ヶ谷法廷は、マクマナス弁護人の荒木被告に対する弁論に入り、続いてレヴィン弁護人担当の賀屋被告の部門に入りました。こうして、最終弁論もあと7人の被告を残すのみとなりました。

日英航空路第一便 岩国<時の話題> 00:26
日英定期航空路の第一便、プリモス型4発飛行艇パース号が、イギリスと中国の使節団を乗せて、3月25日、山口県岩国に着きました。

アメリカからおくりもの 東京<時の話題> 00:23
大学、工専、中等学校へ、アメリカから参考書、雑誌など数万冊が贈られ、4月1日、東京・三越でその贈与式が行われました。

仁王さま婿入り 浅草<時の話題>  00:21
3月28日、埼玉県のさるお寺から、東京・浅草の観音様に仁王様の後がまが乗り込みました。

淀川にアシカ現る 大阪<時の話題> 00:26
大阪・淀川に、3月25日、珍しや1匹のアシカが北の海から迷い込んで来ました。捕り物陣を向こうにまわして奮闘10時間、ついにあえない最期を遂げました。

警察のど自慢 東京<時の話題>   00:47
3月31日、日比谷公会堂で民主警察の集いが開かれました。いかめしいお巡りさんも踊ったり歌ったり。

(集いの模様)

死傷四百名 満員電車追突      01:07
3月31日朝7時45分、近畿鉄道奈良線花園駅構内で、通勤者満載の大阪行き普通電車が停車中、後ろから全速力で走って来た大阪行急行電車がこれに激突。車体は重なり合ってめちゃくちゃに大破。400名にのぼる死傷者を出しました。原因は、古くなった架線が切れ、車体も痛んでいて、ブレーキが効かなかったためです。この近畿鉄道奈良線は、一昨年からこれで事故4回、554名の死傷者を出しています。

本塁打王は? 日本野球始まる    01:30
数万の観衆を集めて、いよいよ日本野球リーグ戦が始まりました。本年度ホームラン王を狙う巨人軍のホープ川上選手を語る三原監督。


《記者》
今年はどうですか、ホームラン王のほうは。本人の。
《三原監督(巨人)》
ええ。別当君という非常にライバルが出てきましたし、すでに大下というホームランキングもおりまして、まあ、川上君も、ぜひ今年はですね、旧来の面目をですね、発揮したいと、非常にがんばっております。

急映[フライヤーズ]・大下選手の打撃ぶり。
高速度撮影機がとらえた阪神・別当選手のホームランの瞬間。この別当選手について若林監督は。

《若林監督(阪神)》
ある程度、彼はね、非常にナチュラルヒッターなんですよ。自然にバットがよく振れると、フォームもいいし、その心配は全然ありません。

本年度のホームラン王は果たしてだれか。川上か、大下か、あるいは新人別当か。全国野球ファンの血をわかせながら、春の野球シーズンはいよいよ開幕しました。

 

日本ニュース 戦後編 第118号(1948年4月)7分30秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310118_00000&seg_number=001

花だより              01:19
農地改革はどうなっている      01:26
重光、木戸の弁論終わる  -東京裁判-<時の話題> 00:28
米国陸軍記念日<時の話題>     00:27
復旧炉から最初の“湯”<時の話題> 00:30
日本映画祭はじまる         00:37
辛くも優勝 京都一商 選抜高校野球 00:51
すべて児童は愛護されねばならぬ -福祉法第一条- 01:48

花だより              01:19
桜の花がどこも満開です。

〈宮崎〉
宮崎県小林の牧場の桜。

〈三重〉
宇治山田市では集団見合い。

〈東京〉
東京は上野公園。

とにかくこうして春は爛漫です。

農地改革はどうなっている      01:26
〈富山〉
富山県婦負郡仁歩村(ねいぐんにんぶむら)で、去る1月の末、貧乏な小作人の自殺事件が起こりました。これは谷口甚作さんという人で、当時は問題になりませんでしたが、最近、遺書が発見されました。これによると、小作料は公定の100倍で、いやなら土地を取り上げると言われたことがわかり、農民組合は厳重に抗議しました。

〈神奈川〉
神奈川県高座郡海老名町では、耕地の大量ヤミ売りが問題になっています。
《記者》
それは、どうしてヤミ値で買わなくちゃならなかったわけです?
《農民》
買わなければ脇の者に売るというから、どうしても買わなくちゃならなくなって買ったんです。
《記者》
おじさんところもやっぱりそうですか。
《農民》
そうです。

売り渡し証には1,300円と書きながら、実際は5,900円余りで100町歩も売られています。これについての地主側の意見。

《記者》
おじさん、土地のヤミ売りをおじさんとこもやったという話なんですけど。
《地主》
いや、ヤミって、今日になればヤミというけど、その当時は相談づくでな、向こうで売ってくれと言うから、なんだ、売ったんだよ。

重光、木戸の弁論終わる  -東京裁判-<時の話題> 00:28
4月1日の市ヶ谷法廷は、重光被告の最終弁論がファーネス弁護人によって行われ、5日には木戸被告の部門に入り、傍聴席の家族も耳をすますうちに、ローガン弁護人の朗読が行われました。

米国陸軍記念日<時の話題>     00:27
アメリカ陸軍記念日の4月6日、この日、東京ではマッカーサー夫人も顔を見せた宮城前広場で、4,000の部隊がアメリカ極東軍参謀長ミューラー少将の閲兵をうけたのち、市中行進を行いました。

復旧炉から最初の“湯”<時の話題> 00:30
火入れ式をすませた日本鋼管川崎工場の第5溶鉱炉から、4月6日、初めて最初の鉄が流れ出ました。月産目標1万トンといわれています。

日本映画祭はじまる         00:37
いよいよ映画祭が開かれますが、これは草分け時代の映写機、エジソンのヴィタスコープ、アーバン式映写機。照明装置のなかった大正2年ごろの日活向島のグラスステージ。今では撮影所もこんなに近代的になりました。セットでは東宝『女の一生』を撮影中です。

辛くも優勝 京都一商 選抜高校野球 00:51
第1回選抜新制高校野球大会は、4月1日、甲子園球場で熱戦の火ぶたが切られ、6日の決勝は京都一商と京都二商の対戦。試合は投手戦となり、両軍得点なく、観衆熱狂のうちに延長戦となりました。11回の裏、京都一商の攻撃、セカンドのランナー田中、突如サードに盗塁。キャッチャー投球。球は左にそれ転々レフト。田中ホーム殺到。球はホームに返りましたが、及ばず、ホームイン。貴重な1点をあげました。かくて京都一商は初の制覇を遂げ、輝く優勝旗を獲得しました。

すべて児童は愛護されねばならぬ -福祉法第一条- 01:48
児童福祉法がいよいよ4月1日から実施されました。

《小島児童局長》
児童の問題につきましては、一般国民が考えると同時に、まず養護機関といたしましては、児童相談所というものができまして、これが実際の児童というものを取り扱うことになっておるのであります。

その中央児童相談所。ここに入れられている子供たちが、逃亡を防ぐために裸にされて床に入ります。
東京都営の板橋の養育院。ここでは相変わらず保母が足りないといっています。
街にはまだ救われない浮浪児たちの姿が絶えません。

〈大阪〉
こんな暗い子供の世界にも、最近明るい話がありました。大阪では今度8名の孤児たちが奇特な人々の手にもらわれてゆきました。新しいお母さんお父さんに連れられて、うらやましそうに見送る仲間と別れてゆきました。

 

日本ニュース 戦後編 第119号(1948年4月)7分24秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310119_00000&seg_number=006

近づく農繁期           00:54
どこから出る政治資金       01:24
札びら舞う 中山競馬       00:45
最終弁論 東条部門へ<時の話題> 00:28
みんな仲よく 東京<時の話題>  00:26
労働学校開く 福岡<時の話題>  00:21
お酒品さだめ 大阪<時の話題>  00:24
お鼻つないで 名古屋<時の話題> 00:30
世界記録めざして 水泳合宿    01:00
漫画の頁 清水崑         01:07

近づく農繁期           00:54
春の農繁期が近づきました。新潟では例年より5日も早く、もう苗代作りが始まりました。

どこから出る政治資金       01:24
衆議院の不当財産取引調査委員会は、4月14日、鳩山元自由党総裁を喚問。政界の黒幕辻嘉六氏が保守政党に献金した真相を追及しました。

《鳩山一郎氏》
私が知らない間によく私のためにカネを使っていた人であったもんですから、このたびの私の家をこしらえてくれるというその問題についても、大部分は辻君が出すのではないかと思っておりました。
《武藤委員長》
政党や政治家には相当莫大なカネを出しておられるというようなことは、ご存じありませんでしょうか。
《鳩山一郎氏》
辻君は、同志の連中に困っているだろうという人があったり、あるいは選挙のためにカネがいるというようなことがあればです、もし辻君がそれを知ればですよ、進んで出していただろうと常に推測をしておりました。

問題の人、辻嘉六氏は、世間の関心をよそに、神奈川県逗子の自宅に引きこもったまま、ニュースカメラマンの面会も断っています。

札びら舞う 中山競馬       00:45
スピードとスリル、春の中山競馬はいまや最高潮。天国と地獄の別れ道、興奮のレースが終わると、札束を握りしめ血相を変えて右往左往。まことにあわただしいしだいです。

最終弁論 東条部門へ<時の話題> 00:28
4月9日の市ヶ谷法廷は、いよいよ東条被告の最終弁論に入り、ブルーウェット弁護人は被告の無罪放免を主張。満場の注目を集めました。

みんな仲よく 東京<時の話題>  00:26
東京・上野動物園では、4月10日から、おとなしい動物をおりから出して子供たちと遊べるようにしました。子供のほうは大喜びですが、動物たちはちょっと迷惑そうです。

労働学校開く 福岡<時の話題>  00:21
九州・筑豊炭田に、日本炭鉱労働組合の労働学校が開校され、若い人たちは正しい組合運動について学んでいます。

お酒品さだめ 大阪<時の話題>  00:24
灘の生一本を片っ端からぐびりぐびり。このほど大阪で行われたお酒の品評会。お酒の好きな方は目をつぶってごらんください。

お鼻つないで 名古屋<時の話題> 00:30
かわいい稚児さんに連れられて、名古屋動物園の人気者ゾウ君がのっしのっしと市内見物。人々に愛嬌をふりまきました。

世界記録めざして 水泳合宿    01:00
4月11日から、伊東の温泉プールでわが水泳界一流の選手たちが合宿、早くもトレーニングを始めました。かつての名選手も多数参加、コーチにあたっています。葉室[鉄夫]、小池[禮三]の両選手はブレストのコーチ、清川[正二]選手がバックを指導しています。各選手とも世界記録更新をめざして猛練習。期待される古橋[廣之進]選手もいよいよ好調です。

漫画の頁 清水崑         01:07
いよいよ新学期です。教室では生徒が床の上にすわって一生懸命勉強しています。そこへ小使いさんがご注進。「あきいすが、たーくさん、ありますヨ」。みんな大喜びで出かけました。なるほど、ここにはあいた椅子がたくさんあります。

 

日本ニュース 戦後編 第120号(1948年4月)7分32秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310120_00000&seg_number=001

全審理終わる -東京裁判-      00:56
六大学リーグ戦始まる 早法第一回戦  01:08
ついに解決 全官公庁スト<時の話題> 00:34
初めて出来た国産タイプ<時の話題>  00:21
聖体行進<時の話題>         00:25
長崎のたこ揚げ<時の話題>      00:30
北海の監視船<時の話題>       00:33
にらみ合い 東宝争議         01:10
カメラ探訪 虫なおしお助け爺さん   01:51

全審理終わる -東京裁判-      00:56
ワシリーエフ・ソ連検察官が立った4月16日、公判開始以来416回に及ぶ審理は、これらの被告たちをめぐって、戦時中の軍政界の裏面を明るみに出しました。タべナー検事の弁護側への回答を最後として、審理は一切終わりを告げ、東京裁判はここに6月に行われるはずの判決を残すのみとなりました。

六大学リーグ戦始まる 早法第一回戦  01:08
春の六大学リーグ戦は、4月18日、神宮球場で早法戦を皮切りに熱戦の火ぶたが切られました。ラッキーセブン、3点リードされた法政の攻撃。ランナーを1塁に置いて田名網は左中間に2塁打、チャンスをつかんで1点を返しました。続くバッター北村、3塁左を抜くヒットを放てば、レフト荒川後逸して2点を追加、同点に追い込み、さらに1点を加え、この回一挙4点をあげ、ついに法政リード。9回の表、早稲田最後の攻撃。1塁のランナー突如盗塁。3塁のランナーホーム殺到。キャッチャーの落球に1点をひろって同点、ついに延長戦。10回、法政のバッター関根、ショート頭上を抜くヒットを放ちましたが、2塁のランナー長谷川スタート遅れ懸命の力走。力走もむなしく、ついに引分けとなりました。

ついに解決 全官公庁スト<時の話題> 00:34
もみにもんだ全官公庁の争議も、4月16日夜、政府、組合の直接交渉でやっと了解点に達し、仮調印を行いました。

《政府側》
それじゃ、これで円満に。はなはだどうも困っちゃったんですけど、まあ・・・。

初めて出来た国産タイプ<時の話題>  00:21
国産の英文タイプライターがウッド・ペッカー会社で初めて完成。4月14日、東京で発表されました。これは2カ年間にわたる苦心の成果で、研究費に約100万円もかかっています。

聖体行進<時の話題>         00:25
横須賀、これはカトリック教徒の人たちです。4月18日、聖体を先頭に内外人カトリック教徒2,000人が市内を行進。終戦後初めてのことです。

長崎のたこ揚げ<時の話題>      00:30
4月18日、長崎3大名物の一つたこ合戦。ビードロというものをつけて相手のたこを落とすのですが、いくつになってもやめられない人もあって、にぎやかでした。

北海の監視船<時の話題>       00:33
北海道では盛んにニシンが水揚げされていますが、それでも今年は不漁だということです。この少ないニシンを沖から直接ヤミへ流す船があるので、増毛港外では監視船が摘発に乗り出しました。

にらみ合い 東宝争議         01:10
東宝のクビ切りは重大な文化問題だとして、4月14日、伊藤日映演委員長らが国会文化委員会に陳情。会社側渡辺社長も・・・。

《記者》
なんとかですね、クビ切りをしないで赤字を克服するという方法はないものでしょうか。
《渡辺社長》
絶対にありません。
《記者》
今後の作品についてですね、社長としてどういうふうにお考えですか。
《渡辺社長》
新東宝の『大江戸の鬼』とか、『愛よ星と共に』とか、あるいは東宝撮影所の『新馬鹿時代』、こういう芸術的、大衆の好むもの、両方をみあわせて適当な作品を作っていく。こういうことにしたいと。

これに対し撮影所では、クビを切られたキャメラマンの宮島義勇(よしお)氏をはじめ、すぐれた映画をと相変わらず撮影を続行。ストでもなく生産管理でもない銀幕争議は、ファンの気をもませながらどうやら長引きそうです。

カメラ探訪 虫なおしお助け爺さん   01:51
千葉県市川市の自称お助け爺さんという老人、子供の寝小便などはたちまち治すといいます。

《記者》
お爺さんのところでねいちばんよく効くのは何?
《お助け爺さん》
寝小便と虫きりだな。どこでも治らない寝小便と虫きりが、たった1回で100%必ず治るのだからな、本当にノーベル賞の資格があると思うよ。
《記者》
本当に治る?
《お助け爺さん》
本当に治るさ。
《記者》
本当かね。
《お助け爺さん》
本当よ。

毎日こんなぐあいに、子供連れの善男善女が、虫と寝小便をとめてもらいに来ます。

この爺さん、月20万円の広告代を使って神通力を宣伝。誇大広告と、あんまの営業法違反の疑いで、4月15日、警視庁に呼び出されました。月40万円儲けているという爺さんは、いやこれは人助けである、とがんばっています。

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2017年1月16日 (月)

日本ニュース 戦争証言アーカイブス 戦後編 第81号(1947年7月)〜第100号(1947年12月)

 特に戦前の日本ニュースは、大本営発表で検閲済み国策映像。ただし、それはそれで当時の空気を想像・実感するのに役立つ貴重な資料映像です。すべてリンクと再生テキストを資料保存しておきました。なおリンク先ではすべて映像を見ることができます

 

日本ニュース 戦争証言アーカイブス
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi

日本ニュース一覧
「日本ニュース」は、太平洋戦争を間近に控えた1940年(昭和15年)から終戦をはさみ、1951年(昭和26年)まで制作されたニュース映画です。制作したのは、「日本映画社」(※)で、1940年にそれまで4つに分かれていた新聞社や通信社のニュース映画部門を国策により統合したものです。
戦時中の「日本ニュース」は、日本軍や内務省の検閲を受けた後、毎週映画館で封切られ、国民の戦意高揚に用いられました。テレビがない時代、国民は「日本ニュース」が伝える真珠湾攻撃や特攻隊出撃、学徒出陣の様子を映画館で目にしたのです。
「日本ニュース」は、戦争完遂を目的にした国策映画ですが、太平洋戦争中の映像記録として大変貴重なものです。「戦争証言アーカイブス」では、1940年(昭和15年)の第1号から、戦後も含め、1948年末までのものを公開しています。

※(1941年5月までの会社名は「日本ニュース映画社」)
※日本ニュース戦後編の再生テキストは、国立歴史民俗博物館の協力で作成しています。

 

日本ニュース 戦後編 第81号(1947年7月)7分55秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310081_00000&seg_number=001

八月の声                00:52
“世耕事件”第二報 真相はいずれに? 西尾・世耕両氏の談 02:05
ギオン祭復活 京都<時の話題>     00:32
ころげおちた広瀬中佐 東京<時の話題> 00:20
廿五歳になった共産党 東京・戸倉保<みなさんの声> 00:37
顔役退陣 東京             00:39
キャメラ報告 明るみにでた“よろけ”病 足尾銅山 01:50
全日本学生陸上競技           00:57

八月の声                00:52
本格的な暑さになってきました。動物たちは暑さにうだっています。人間もすっかりまいってしまいました。

“世耕事件”第二報 真相はいずれに? 西尾・世耕両氏の談 02:05
7月22日、世耕問題について西尾官房長官の見解。

《記者》
「世耕代議士の言によりますと、今の閣僚の中にですね、この問題に関係した方があるというふうにおっしゃっているのですが」
《西尾官房長官》
「沼津の醸造会社にある砂糖の一部が放出せられたと。ヤミのほうに放出せられたと。そのときの農林大臣が和田君であったとか。あるいは木村君であったと。あるいはその中のカネがいくらか政治資金として芦田君に渡しているんじゃないかというようなことがどうもうわさの出所らしいんですが」
《記者》
「特に政治的陰謀とおっしゃいましたですけどね、そういうふうにおっしゃる理由はどういうところから出たんですか」

《西尾官房長官》
「無責任な抽象的なことだけしか言ってないと。つまり、事実の根拠がないにもかかわらずこういうことを言いふらすというところに政治的な意図があるんじゃないかと、こちらは判断するわけです」
《世耕代議士》
「問題をですね、とらえて政治的に申すというようなことは、むしろ国民を侮辱することです。それはなぜかというと、軍はかつて8年間、本土決戦をやるといって決意のもとに物資を集めた。その物資の行方はどうなったか。それともう一つ忘れてはならんことは、商工省が当時軍需省となったはずです。その商工省が軍需省となったその形態が終戦後どうなったか。それについて国民が明白に知ろうとしても知れておらない」


こう語ったのち、7月23日、世耕氏は再び検事局の取り調べをうけましたが、隠退蔵物資をめぐる世耕事件はいよいよ大きな政治問題となってきました。

ギオン祭復活 京都<時の話題>     00:32
京の名物・祇園祭が7月17日、5年ぶりに復活。れいによって町々の電線まで切ってお囃子もにぎやかに山鉾を引き回りました。

ころげおちた広瀬中佐 東京<時の話題> 00:20
Aクラスの戦犯銅像と決まった東京神田の広瀬中佐と杉野兵曹長の銅像が、7月22日、追放されました。

廿五歳になった共産党 東京・戸倉保<みなさんの声> 00:37
共産党創立25周年記念大会が、7月19日、東京神田の共立講堂で開かれ、苦難に満ちた昔をしのびました。

(小野てる子さん歌唱・ひろし、ぬやま氏朗読)

顔役退陣 東京             00:39
街の顔役追放に乗り出した警視庁では、7月21日、親分逃亡中の関根組一家から航空用軽機関銃と弾丸500発を押収、一方、親分を検挙された関東尾津組では、7月23日、新宿駅前で解散式。200名の子分たちが集まって株式会社に転換しました。

キャメラ報告 明るみにでた“よろけ”病 足尾銅山 01:50
栃木県の山の中にわが国最初の賃上げストライキや鉱毒事件で有名な足尾銅山があります。ここでも生産増強に激しい努力が続けられています。しかし、銅を含んだ岩石の粉を吸い込むために、ほかの金属鉱山と同様、多数の人が珪肺、すなわち「よろけ」と呼ばれる病気にかかっています。粉を吸い込むと肺の組織が固まって呼吸困難になり、ついに死んでしまう職業病です。

《足尾鉱山病院小林博士》
「“よろけ”といわれるこの珪肺患者は、山によっては相当たくさんの患者を出す。今まではその真相が発表されなかったために、珪肺予防対策が確立しなかったり、補償も十分でありませんでした」

この病気が生産増強を妨げるので、7月12日に開かれた労働組合と町民の生産復興大会では食糧問題などとともに職業病対策が問題となりました。

《鉱山従業員》
「まず坑内に入って働く人が、俺はここで働いて怪我をしても、あるいはまたここで窒息しても、俺たちの家族は国家で完全に保障してくれるのだということが、自分の心から本当に力いっぱい働くことによって増産というものが成り立つのではないだろうか」

全日本学生陸上競技           00:57
7月20日のナイルキニック・スタジアム。全日本学生陸上競技100メーター決勝、中央大学の仁田脇トップ、続いて新潟医大の阿部、ぐんぐん出ましたが、ついに及ばず、10秒7で仁田脇優勝。前日に続いて各種目に中央大学、依然優勢。この日の呼び物400メーターリレースタート。中央大学がリードしています。最後の50メーター、東京体育専門の伊藤、ぐんぐん抜いてそのままゴールイン。しかし、結局、総計69点で中央大学優勝。

 

1947年8月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19478

日本ニュース 戦後編 第82号(1947年8月)7分55秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310082_00000&seg_number=007

貿易再開近づく            00:49
豪雨東北を襲う            01:18
物価高に賃上げ要求たかまる      01:25
エヴァット外相来朝 東京<時の話題> 00:43
手におえぬ御ほうび 東京<時の話題> 00:31
おんたけさん山開き 東京<時の話題> 00:31
世耕事件第三報            02:34

貿易再開近づく            00:49
民間貿易再開の8月15日が目前に迫ってきました。来朝する各国貿易施設団のために乗用車が新たに作られ試運転が行われました。宿舎になる元帝室林野局の建物も帝都ホテルとなりサービスの練習が始まっています。

豪雨東北を襲う            01:18
〈秋田〉
東北地方は7月21日夜から10数年ぶりの豪雨に襲われ、橋が落ちたり堤防が決壊したり家屋、農作物、交通機関は甚大な被害をうけました。
秋田県雄物川流域も荒れ狂う洪水に荒らされました。全町床上まで浸水した刈和野町では水の引いたあと取り片づけに忙殺されています。水に浸かったため豆が芽を吹いてしまったところもあります。

〈岩手〉
岩手県一関付近でも一面水びたしとなりました。田植えを終えたばかりの水田もすっかりやられて、東北全地域にわたる被害は今までのところ約10億円にのぼると内務省では発表しました。

物価高に賃上げ要求たかまる      01:25
印刷出版の労働者は7月28日午前8時一斉にストライキに入り、大きな工場の印刷機械は止まりました。大日本、凸版、共同など合計五つの工場が参加しています。

《労働組合員》
「私たちは食べなければ働くことができないのです。遅配や欠配でその食べるものもなく、(聞き取り困難)や生活のために私たちは最低の要求を出したのです。それなのに会社側はそれを受け入れませんでした。私たちは私たちの生活を守るために最後までみんな力を合わせてしっかりと頑張らなければなりません」

この危機突破資金約1300円の要求に対して、経営者の連合会では各社別個の交渉でなければ応じないとしており、全日本印刷出版労働組合との間で交渉が決裂したのであります。労働者側は労働歌で気勢をあげています。

エヴァット外相来朝 東京<時の話題> 00:43
マッカーサー元帥の出迎えをうけて、エヴァット・オーストラリア外相は7月26日東京羽田に到着しました。講和会議への道が開かれようとしている今、エヴァット外相の来朝はきわめて注目されています。

手におえぬ御ほうび 東京<時の話題> 00:31
7月27日、東京上野で家畜の飼料危機突破運動の懸賞標語の当選者へ賞品が渡されました。なにしろ生きている賞品なのでとんだりはねたりわめいたり。1等は時価2万円の黒牛、もてあましています。

おんたけさん山開き 東京<時の話題> 00:31
夏でも寒いという木曽御嶽山の山開き。200万の信者は御岳教と御岳本教の二つに分れて争っていますが、拝むところは同じなので仲良くお祓をうけています。

世耕事件第三報            02:34
世耕事件に端を発して、7月25日の衆議院では隠退蔵物資等に関する特別委員会を設けることに決まりました。

《松岡議長》
「よって隠退蔵物資等に関する特別委員会を設置するに決しました」

国会の動きはがぜんこの特別委員会に集まり、7月30日の委員会で世耕氏は次のように述べました。

《世耕弘一氏》
「隠匿物資摘発を進めていくにつれ、必ず官公吏が引っかかってくる。いわゆる事後猶予の建て前から隠退蔵物資の摘発を阻害したということに私は推断いたしております」

《徳田球一氏(共産)》
「官僚に一つの特権を与えれば、これがみんな泥棒のためになる。この泥棒がだんだんだんだん増やし、その泥棒の大きな特権が膨大なものになる。そうしてこれが隠退蔵物資をみんな食いつぶすことになるのであります」

《片山首相》
「そういうような問題が起こりましたる場合におきましては、もちろん私はその犯罪の事実顕著なる者に責任をとらせることに決して躊躇するものではないのであります」

〈甲府(山梨)〉
一方、隠退蔵物資の摘発もやかましくなり、ほうぼうから続々物資が出てきております。例えば山梨県甲府の某工場付近には航空機用の鋲や塗料などが隠されていました。同じ山梨県勝沼付近の葡萄の貯蔵庫からはたくさんの紅茶が摘発されています。さらに静岡県函南のある工場では埋められていた莫大な生ゴムが掘り出されました。この生ゴム1個はヤミ値で3万5000円、合計約130万円。世耕事件の拡大とともに隠匿物資はまだまだ各地から出てくる模様です。

 

日本ニュース 戦後編 第83号(1947年8月)7分30秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310083_00000&seg_number=004

都市対抗野球開幕         01:25
幸田露伴翁逝く-         01:12
東京裁判再開           00:44
お舟まつり・下諏訪<夏まつり>  00:33
海のカーニバル・鎌倉<夏まつり> 00:39
天皇東北の旅 福島・宮城     01:10
平和の鐘 惨禍の地にひびく    01:43

都市対抗野球開幕         01:25
8月3日、東京後楽園スタジアム、天皇皇后両陛下ご来場、第18回都市対抗野球。
第1試合、大日本土木対豊岡物産。7回の裏、3対0とリードされた豊岡の攻撃、バッター小田野、大きな当たり球は観覧席に入りました。ホームラン。今大会初めてのホームランとなりましたが、ついに及ばず3対1で大日本土木の勝ちとなりました。
続いて行われた東京対神戸、第1回の裏、神戸の攻撃、ランナー一塁、二塁、バッター村井、打ちました、ショートゴロ。大館とりました。二塁を踏んで一塁投球、一塁もアウト、ダブルプレー、神戸チャンスを逸しました。7回の表、東京の攻撃、ワンダウンフルベース。バッター宮崎、打ちました、センターを抜く痛烈な当たり、三塁打、山脇、塚越、加茂、続いてホームイン。かくて東京は6対1で神戸を破りました。

幸田露伴翁逝く-         01:12
『五重の塔』そのほかの作品によって有名な幸田露伴氏は、7月30日、81歳で逝去、国会は弔辞を贈りました。

《議長》
「わが国文化の発達に貢献せられたる帝国学士院会員、帝國芸術院会員、文学博士幸田成行君の長逝を哀悼しうやうやしく弔辞を呈す」

8月2日、千葉県市川の自宅で告別式が行われましたが、参列した文学者は川端康成氏など2、3名のみという寂しさでした。露伴氏は戦時中文学に協力することを拒絶し続け死にいたるまで芭蕉の研究を続けていたといわれます。

東京裁判再開           00:44
降るような蝉時雨のうちに6週間の休廷を終えた東京裁判は、終戦2周年近い8月4日再開、いよいよ太平洋戦争の反証に入り、高橋弁護人の冒頭陳述が行われました。

《高橋弁護人》
「侵略戦争を行ったのではなく、事実は国家の成立を危うくした自由の競争に巻き込まれたものなることを立証します」

高橋弁護人が侵略戦争にあらずと述べた点はきわめて注目されております。

お舟まつり・下諏訪<夏まつり>  00:33
長野県下諏訪町のほがらかなお舟まつり。昔のままに8月1日から3日間にぎやかに行われました。お舟は町を練り歩きましたが、ひっくり返るのも行事の一つだそうです。

海のカーニバル・鎌倉<夏まつり> 00:39
8月3日、海のカーニバルと銘うった仮装行列が10年ぶりで復活。神主姿の久米正雄氏が委員長。見物の吉屋信子さん、大仏次郎氏。これがミス鎌倉。仮装の1等は漫画集団で横山隆一氏が5000円の賞金をもらっています。2等は松竹でした。

天皇東北の旅 福島・宮城     01:10
東北の旅にのぼられた天皇陛下は、8月5日まず福島県常磐炭鉱磐城鉱業所をごらんになり、初めて地下1700尺の坑内に入られました。ここで摂氏32度という猛烈な暑さと闘う苦しい炭鉱労働者に言葉をかけられました。

次いで七夕まつりににぎわう仙台に向かわれ、県庁のバルコニーから市民の歓迎にお応えになりました。

平和の鐘 惨禍の地にひびく    01:43
8月6日、原子爆弾が平和への第一歩となってから3年目、広島の爆心地で平和塔の除幕式が行われ、マッカーサー元帥はメッセージを贈りました。

《マッカーサー元帥メッセージ代読》
「・・・これが広島の教訓である。この教訓が【聞き取り困難】にせざるよう神よ行なわせたまえ。8月6日、連合軍最高司令官ダグラス・マッカーサー」

平和の使い、鳩が放たれます。午前8時15分を記念する平和の鐘は夏空に高らかに響きわたりました。
慈仙寺の供養塔に集まって犠牲者の冥福を祈る人々。
9割2分が灰塵に帰した広島にはすでに4万5000戸の家が建ち並び、60%のたくましい復興ぶりを示しています。

 

日本ニュース 戦後編 第84号(1947年8月)7分29秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310084_00000&seg_number=005

平和への祈り<敗戦二周年>    00:39
戦犯審理高潮へ-<敗戦二周年>  00:35
五億ドルの借款許可<敗戦二周年> 00:35
400メートルの古橋<二つの世界記録> 01:15
アンガゥル島初だより(A・P、共同通信提供 宮谷特派員撮影〉 01:06
天皇を迎えた水害の東北      01:31
岐阜再び優勝(都市対抗野球)   01:45

平和への祈り<敗戦二周年>    00:39
戦争が終わってちょうど2年、原子爆弾を浴びた長崎市では、8月9日午前11時5分、全市民が平和への祈りを捧げました。

戦犯審理高潮へ-<敗戦二周年>  00:35
この戦争を引き起こした人たちの裁判も1年4か月になりました。11日、石橋前蔵相が証人台に立ちましたが、今、各被告たちは何を考えているでしょうか。

五億ドルの借款許可<敗戦二周年> 00:35
議会では14日、2年ぶりで明るい報告がなされました。

《片山首相》
「今回、連合国総司令部の発表によりますれば、金その他の流動資金を、資産を担保といたしまして特別の貿易基金が制定されることになりまして、これを基として資金を借り得る総額は5億ドルにのぼるということであります」

400メートルの古橋<二つの世界記録> 01:15
日本選手権水上競技大会第3日は8月9日神宮プールで開かれました。400メーター自由形決勝。第5コース日大・古橋選手は初めから好調。期待されたとおり、はたして世界新記録を樹立しました。タイム4分38秒4。

(世界一周オドム機〈二つの世界記録〉)

世界早回り飛行のオダム機は、8月8日シカゴを飛び立ち、10日払暁には埼玉県・横田飛行場に到着しました。ガソリン補給のわずかな時間、翼の上でまどろむオダム氏、その世界一周飛行に要したタイム73時間5分10秒。最後のコースへ横田飛行場を飛び立ってゆきます。

アンガゥル島初だより(A・P、共同通信提供 宮谷特派員撮影〉 01:06
横浜から南へ1760海里のアンガゥル島からもたされた終戦後初めての海外ニュースです。この島は面積10平方キロで全島が燐酸肥料の塊です。この島にはかつての激戦をしのばせる無名戦士の墓が建てられていますが、今は600人近くの日本人がアメリカ側の近代的設備を借り受け採掘作業を行っています。1日の生産目標800トンという莫大なもので、化学肥料の不足に悩むわが国に大きな光明を与えています。

天皇を迎えた水害の東北      01:31
8月12日、秋田県下に入られた天皇陛下は水害による能代平野の惨状を蓮沼知事の説明でごらんになりました。

《蓮沼知事》
「豪雨が突発的にやってまいりました。なお、これが24日まで続いたのでございます。そのためにこの川はほとんど、堤防の決壊するしないにかかわらずこの沃野地帯、1万2000町歩の流域地帯が氾濫いたしました」

《天皇陛下》
「うん」

水の被害は予想以上で、米代川の堤防はほとんど決壊しています。たんぼはいまだに流れ込んだ石ころで埋まっています。農民たちは近づく秋の水害に備えて壊された堤防を懸命に築いています。

岐阜再び優勝(都市対抗野球)   01:45
8月11日、東京後楽園スタジアム、第18回都市対抗決勝。岐阜大日本土木対近畿鐘紡高砂、第5回、大日本土木の攻撃、バッター加藤いきなりセンター前ヒット、ワンバウンドでセンターの頭上を抜きました。センター懸命のバックホーム。ついに及ばずホームランとなりました。第6回、1点をリードされた高砂の攻撃、バッター高橋、打ちました、大きなあたり、球はぐんぐん伸びて左翼観覧席に入りました。ホームラン。高橋、三塁を回ってゆうゆうホームイン。かくてついに同点となりました。ラッキーセブンを迎えて大日本土木の攻撃、円陣を作って慎重な作戦です。ワンダウン、ランナー一塁、二塁、ピンチヒッターの田中、打ちました、センター、ライト間ロングヒット。ランナー2人ホームイン。この回、大日本土木の打棒大いにふるい、なお絶好のチャンス。ランナー二塁、三塁、バッター國枝、レフト前ヒット、ランナー2人ホームイン。この回一挙5点を入れ、さらに8回1点、結局8対2で大日本土木に凱歌があがりました。かくて優勝旗は村瀬主将に授与され、岐阜大日本土木は2年連続の栄冠を獲得しました。

 

日本ニュース 戦後編 第85号(1947年8月)8分6秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310085_00000&seg_number=001

小倉、優勝 全国中等野球 甲子園<スポーツ> 01:21
ピストン堀口、敗る 全日本拳闘大会 後楽園<スポーツ> 01:02
国会議員国立病院へ       01:58
今週の東京裁判         00:40
在日ドイツ人故国へ- 小田原<時の話題> 00:38
目をむく猛牛 新潟<時の話題> 00:29
鳥の手づかみ 新潟<時の話題> 00:42
水禍いまだやまず 北海道    01:12

小倉、優勝 全国中等野球 甲子園<スポーツ> 01:21
8月19日の甲子園、全国中等野球決勝、小倉中学対岐阜商業の対戦。第2回岐阜の攻撃、バッター栗木、ライト、センター間のヒット、センター野々村ファンブル、その間にランナー一塁を越えてさらに二塁、二塁に止まりました。二塁打。さらに岐阜の攻撃はバッター木下、バンドしました。ランナー栗木、ホーム殺到、ホームイン。この回、岐阜は3点。これに対し小倉、5回に1点を返し、第6回の攻撃。ワンダウンフルベースのチャンス、バッター西上、バンドしました。三塁とって本塁投球、しかし間に合わず、ランナーホームイン。1点を返してなおランナー二塁、三塁、バッター甲原、またバンドしました。三塁のランナーホームイン。スクイズ成功。さらに小倉は7回1点をあげ6対3、小倉中学の優勝。かくて真紅の大優勝旗は小倉宮崎主将に授与され、初めて九州に渡りました。

ピストン堀口、敗る 全日本拳闘大会 後楽園<スポーツ> 01:02
8月15日の後楽園特設リング、全国ボクシング選手権大会東部予選ライト級準決勝。ピストン堀口、新鋭青木の対戦。堀口、往年のような闘志で完全肉薄、青木バックステップしながらフックで応酬。メインイベントの熱戦に満場熱狂。堀口、ガードを下げて突進しました。しかし青木、堀口にチャンスを与えず、最後のフック、ストレートで反撃。試合終了のゴング。青木はついに判定で堀口をやぶりました。

国会議員国立病院へ       01:58
8月18日、衆議院の厚生委員たちは患者たちの陳情により自動車で神奈川県相模原の国立病院を見学しました。ここでは足や手のない戦傷者900余名が生活の不自由に打ち勝ちながら再起の努力を続けていたのですが、今度、新しい規則で国の手による治療が打ち切られ、しだいにその日の生活にも困ってきました。しかし、この人々は力を合わせて必ず更生すると頑張っています。衆議院議員との懇談会ではこの人たちから苦しい実情が訴えられました。

《患者代表》
「われわれは石にかじりついてもと更生の精神に燃えてはおりますが、しかし残念ながら病院の現状はまさに(聞き取り困難)としているのでございます。入院患者は、粗食に甘んじながら、全員、国家のためにも政府の積極的な施策を現在待望しておるような状況でございます」

今週の東京裁判         00:40
8月18日、法廷には太平洋戦争開始当時の外務次官・山本熊一氏が証人台に立ちました。

《(質問者不明)》
「決定がされたのですか」

《元外務次官・山本熊一証人》
「ほかには外務大臣および統制部の審議に一応まかせるということが決まっただけであります」

しかし、対米最後通牒については軍部と打ち合わせをしたと証言、被告席を緊張させました。

在日ドイツ人故国へ- 小田原<時の話題> 00:38
箱根に抑留されていた800名のドイツ人は、このほど敗戦の故国へ送り帰されることになり、8月17日、小田原から横浜へ向かいました。スターマー元ドイツ大使の姿も見えます。

目をむく猛牛 新潟<時の話題> 00:29
猛牛がにらみあっています。新潟県東山村の闘牛。猛然取り組みました。この牛1頭時価5万円。付き添いの人間のほうが必死です。

鳥の手づかみ 新潟<時の話題> 00:42
日本海に浮かぶ肥料の島、立島[粟島の西海岸]。季節柄これに目をつけた燐鉱会社が堀り始めたところ、肥料ばかりかたくさんの鳥が土の中から続々。このサバドリ、食糧補給の一役を買っているそうです。

水禍いまだやまず 北海道    01:12
東北に続いて、ついに水害は8月15日以来、北海道を襲いました。昭和5年以来というものすごい豪雨に乱伐もたたって、石狩川、旭川はまたたくまに氾濫。各所の橋は落ち、旭川市は水びたしとなりました。1万8000町歩にわたる田畑は、刈り入れを前に一夜にして泥に押し流され、収穫のまったくないところも見られます。食糧が特に足りない北海道だけに、この上川、北空知など穀倉地帯の被害に今後が憂慮されています。

 

1947年9月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19479

日本ニュース 戦後編 第86号(1947年9月)8分18秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310086_00000&seg_number=007

九月の声             01:09
野菜はどこへ行った? 東京    01:41
鉱山水びたし 秋田        01:22
ウ米特使来朝<時の話題>     00:29
民主政治教育連盟生る<時の話題> 00:20
今週の東京裁判<時の話題>    00:32
国民体育大会幕ひらく 金沢    00:45
行きなやむ登呂遺跡発掘      01:56

九月の声             01:09
〈北海道〉
秋が北の果て北海道に訪れてきました。
〈新潟〉
米倉・新潟では早場米の取り入れが始まっています。
〈鹿児島〉
南の果て鹿児島では楽しい豊年まつり。1年の間の苦労がようやく実を結ぼうとしています。

野菜はどこへ行った? 東京    01:41
東京神田の青物市場は果物だけの市場になってしまいました。丸公のない果物は盛んに出回っています。一方、丸公で統制された野菜はこんなにちょっぴりしか姿を見せません。八百屋の店頭も果物ばかりです。
それでは野菜はどこへ行ったのか。8月25日、渋谷駅前の街頭録音。婦人たちは真剣にこの問題を考えています。

《女性》
「お野菜の配給、ですから、私、つまり、いたずらな自由経済、自由党などが唱えたような自由経済にいたしますと、結局カネを持っている人間が買うと。貧乏人、まじめに生活している人間は、結局その、例えばキュウリが5本10円だったのが、自由経済になると結局その大カネ持ちはたっぷり、キュウリなどは問題ではありませんけど、例えばお肉とか、あるいは高級のお野菜とか」

《アナウンサー》
「ありがとうございます」

《女性》
「この間、私、葛飾区にいるものですから、奥戸市場の再開に行ったんですけども、そこでは業者の方と生産者の方と市場の方と当事者の方とが集まってお値段を協議したんです。そういうように本当に消費者の人たちから出た納得のいくお値段で統制もしていただいて、徹底的に全国的に調査していただいたら、みんなが安心して合理的に食べられるのではないかと。ですから、社会党の方なんですから、政治的に(聞き取り困難)とおっしゃいますから、そういう一言申し上げました」

《女性》
「大変いいご意見だと思います」

鉱山水びたし 秋田        01:22
肥料の原料、硫化鉄の約70%を産出する秋田県花岡鉱山は、去る7月末の大洪水のため坑内まで水びたしとなりました。それ以来3000の鉱山従業員は労働組合を中心に連日地の底で水と闘い続けています。ゆるんだ壁はいたるところで崩れ、鉱毒を含んだ水のため着物もすぐぼろぼろになります。こうして頑張ること一か月、壊滅するかと思われた鉱山も最近ようやく復興の光が見えてきました。

ウ米特使来朝<時の話題>     00:29
中国を視察中であったアメリカ特使ウェデマイヤー中将は、8月24日、東京羽田に到着。商震中国代表らの出迎えをうけました。

民主政治教育連盟生る<時の話題> 00:20
新憲法の普及徹底をはかるため、両院議員716名は、8月25日、衆議院で民主政治教育連盟の結成大会を開きました。

今週の東京裁判<時の話題>    00:32
今週の法廷には近藤元軍令部次長や草鹿元航空参謀らが証人台に立ち、海軍の戦備は泥縄式であったと証言しました。弁護人となった楢橋渡氏や、来朝中のJ・ロックフェラー氏の姿も見えます。

国民体育大会幕ひらく 金沢    00:45
第2回国民体育大会のトップを切って、夏期大会水上競技は22日から3日間、金沢市街の松任プールで開かれました。全国から集まった1200の精鋭は郷土の名誉をかけて熱戦を繰り広げ、かつての名手、遊佐選手も出場、幾多の好記録を続出しました。女子中等では静岡が覇権を獲得、水泳日本の輝かしい将来を期待させました。

行きなやむ登呂遺跡発掘      01:56
静岡の登呂遺跡を8月22日、衆議院文化委員会の福田委員長らが見学に訪れました。2004年前のものと推定される木製の遺物などがそのまま掘り出されています。これはその時代の家の跡です。われわれの祖先たちはこのような家に住んでいたと考えられています。これらの家の近くに作られたたんぼは、現在各地で見られる田よりずっと大きく、しかもきちんと区画されていたらしく、また、あぜは両側を杭で止めしっかりとつくられています。たんぼの中に入るときに足にはいたと思われる田下駄。田を掘り起こす木で作られた馬鍬、同じく木で作られた鍬。しかし、この貴重な発掘作業も国家からの資金が不足のために今行きづまりの状態にあります。

《記者》
「大変大がかりでやらなければできないわけですね」

《発掘関係者》
「だいたい500万円くらいの予算があればできると思いますが」

《記者》
「前回はそのくらいの予算でやられているわけですか」

《発掘関係者》
「今年度は15万円でやっておりますが、学者や、あるいは学生が、本当に献身的に文化国家建設へというような熱意をもってやっていただいているのでこの仕事ができているわけです」

こうして登呂遺跡は、日本歴史の最初のページを開きかけながら、再び埋められようとしています。

 

日本ニュース 戦後編 第87号(1947年9月)7分52秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310087_00000&seg_number=001

電話線難工事おわる 群馬-新潟    01:15
今週の東京裁判            00:32
水谷さん見物 超スピード製粉 神奈川 01:06
マ元帥杯争奪ピンポン大会 京都勝つ 西宮 00:55
新鉱脈発見・北海道<時の話題>    00:43
この火事五百万円 東京<時の話題>  00:30
川田正子さん“さよなら”放送 東京  00:42
物資はまだある 世耕事件       02:04

電話線難工事おわる 群馬-新潟    01:15
表日本と裏日本をつなぐ東京と新潟・長岡間の電話線工事は、難所の三国峠を前にして昭和10年以来中絶していましたが、このほど再開、4000万円の工費と延べ25万人の労力によって東西から高い山肌をぬって山頂に迫りました。こうして8月の末、ようやく両方の線がつながって完成。上越国境を越えて1日7500通話が確保されることになりました。

今週の東京裁判            00:32
陸軍関係を終わった法廷は、8月28日から捕虜虐待問題の反証に入りました。29日、証人に出た元東京捕虜収容所長鈴木薫二大佐は捕虜に重労働をやらせた事実を認め、また大河内傳七元海軍中将はマニラ虐殺事件は全然知らなかったと述べました。

水谷さん見物 超スピード製粉 神奈川 01:06
連合軍の好意による食糧輸入の状況を視察するために、9月4日、水谷商工大臣は鶴見の日清製粉を訪れました。小麦、とうもろこしなどは、船の中から日本に一つしかない真空のパイプで吸い上げられ、直接ベルトコンベアに乗って工場の中へ運ばれます。ここで一部はすぐに製粉され、袋に詰めていち早く配給されるわけです。この作業は24時間昼夜兼行で行われています。

マ元帥杯争奪ピンポン大会 京都勝つ 西宮 00:55
8月29日から3日間、西宮体育館でマッカーサー元帥杯争奪府県対抗のピンポン大会が行われました。大阪対京都の熱戦。ミックスダブルスは追いつ追われつの接戦を展開。巧妙な作戦によって京都、着実なポイントをきめ、ついに栄冠を獲得しました。

新鉱脈発見・北海道<時の話題>    00:43
北海道倶知安鉱山の廃坑が去る9月10日の豪雨に洗われ、新しい鉱脈らしいものが顔を出しました。調べた結果、厚さ8メートル、幅60メートルの有望な鉄鉱脈とわかり、大喜びで調査が続けられています。

この火事五百万円 東京<時の話題>  00:30
9月3日午後1時過ぎ、東京文京区の理研工場から出火、すわこそと駆けつけると、これがナトリウムの自然発火。水をかければ爆発するので消防隊も思案投げ首。結局、8時間燃え続け、わずか1坪半のこの火事、損害ざっと500万円。

川田正子さん“さよなら”放送 東京  00:42
《川田正子》
「私は今年の春、女学校へ上がったことと、そして今度大人の音楽を勉強するために、大事な大事な童謡とお別れすることになりました」
                   
(「めえめえ児山羊」歌唱)

物資はまだある 世耕事件       02:04
8月22日の隠退蔵物資委員会では経済安定本部の摘発態度が問題となりました。

《中野四郎氏(農民党)》
「安本の事務官が6月5日、7月12日、再三再四にわたって摘発にまいっておりまするが、実際上は隠匿物資なしという報告をしております。しかしながら、摘発にあたりました結果におきましては、相当量の隠匿物資、退蔵物資、ないしは遊休物資と目されるものが続々と出ておるのであります」

そこで委員会は8月31日、安定本部の摘発ぶりを監視するために岩手県花巻市に向かいました。その結果、市内13個所のうち1個所からだけでも莫大な物資が出てきました。まず砂糖、それから毛糸、綿糸、ガソリン、以外にもたばこまでが続々現れました。急がないとほかのが姿を消すかもしれないというので、とりあえず厳重に封印して次の場所に向かいました。あとまだ出る模様です。

 

日本ニュース 戦後編 第88号(1947年9月)7分59秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310088_00000&seg_number=004

国会休会中 政界の動き  02:21
荒木被告証人台に立つ -東京裁判- 00:48
故大西俊夫氏 日農葬   00:50
畜産共進会 秋田     00:56
古橋ふたたび記録をやぶる 01:19
刑務所脱走事件 静岡   01:42

国会休会中 政界の動き  02:21
国会休会を利用して、9月5日、平野農林大臣は東北へ遊説の旅に出ました。同じ日、水谷商工大臣も九州に向かいました。社会党閣僚に対抗するように民主党の芦田外務大臣も京都に出発。選挙の地盤固めでもなさそうだがといううわさをよそに、平野さんは福島県郡山の全農の街頭演説に臨みました。水谷さんは八幡製鉄所に現れて労働者と膝を交えて語りました。負けるものかと自由党も初めての街頭演説で野党宣言という派手な試み。したがって、議事堂はひっそり閑として、各党控室をのぞいてみると猫の子一匹いません。ただ共産党だけがなにやら会議中です。議員さん、大臣諸公など、鬼のいぬまの洗濯とばかり職員たちは野球試合。大池事務総長みごと空振り。西沢議事部長は内野ゴロ。足が遅いのでアウト。こんなわけで国会は重要法案上程を前に目下静かなること林のごとしというところです。

荒木被告証人台に立つ -東京裁判- 00:48
9月10日、個人段階に入った東京裁判へは多数の傍聴人が詰めかけました。凶器などを持っていないか厳重な調べをうけています。傍聴席は満員です。マックマナス弁護人の荒木被告に関する冒頭陳述に対し、キーナン検事は緊張の面持ち。午前11半、荒木被告が証人台へ出ました。顔面神経痛の土肥原被告がそれを見ています。自らは平和主義者だと称する荒木被告の八字髭もめっきり白くなりました。

故大西俊夫氏 日農葬   00:50
日本農民組合書記長大西俊夫氏の日農葬は、9月5日、東京渋谷公会堂で行われました。かつて農民運動に対する激しい弾圧にも屈せず、一生を農民の解放に捧げたこの人の死を悼んで、はるばる参列した農民の姿が特に人目をひきました。

畜産共進会 秋田     00:56
秋田県では9月4日から5日間、能代市で畜産共進会を開きました。200頭近くの動物たちが、背丈や重さ、乳房の発育ぶりまでこまかい検査をうけています。優勝の印にはそれぞれ首輪を贈られましたが、特にブタ君はスイカをもらいました。

古橋ふたたび記録をやぶる 01:19
9月6日、学生水上大会第2日、800メーター自由形の決勝。第5コース古橋、満場の期待のうちに力強いストロークでぐんぐん出ています。700メーター、ターン、2位の早稲田・村山をはるかに離しています。あと10メーター、猛烈なラストスパート、ゴールイン、9分53秒2。またして終戦後の世界新記録です。日大合計96点。天皇杯を獲得しました。

刑務所脱走事件 静岡   01:42
9月6日、囚人たちが集団暴動を起こした静岡刑務所。その暴動事件の解決がついたかに見えた矢先、解決条件を不満とする9名の囚人が9月10日午前3時ごろ、この非常口から脱走しました。所轄静岡警察署では急きょ非常手配をして管内に厳重な捜査網をはりました。その結果、10日朝、囚人の脱ぎ捨てた受刑者用作業衣が発見され、さらにもう1着、線路脇からも発見されました。犯人は、線路づたいにか、あるいは汽車で逃げたとも考えられます。やっきとなった県警察部では夜を徹して捜査していますが、11日現在いまだ逮捕にいたりません。この刑務所事件には看守の収賄もからんでいるとうわさされ、事件の徹底的究明が要望されています。

十月一日国勢調査
一人残らず申告しましょう
総理庁統計局

 

日本ニュース 戦後編 第89号(1947年9月)8分30秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310089_00000&seg_number=002

荒木被告の証言つづく -東京裁判- 00:48
国勢調査近づく           00:26
六大学野球はじまる         01:02
特報 キャスリン台風被害甚大 大利根の濁水東京に達す 06:12

荒木被告の証言つづく -東京裁判- 00:48
9月15日、引き続いて荒木被告証人台に立ち、カー検事が反対尋問を行いました。さらに荒木被告弁護のため眞崎元大将、石綿元宮内大臣らが証人台に立ちました。翌9月16日から土肥原被告の弁護段階に入りました。

国勢調査近づく           00:26
《森田統計局長》
「今度の国勢調査と事業所調査は、日本の戦後経済の再建のための基礎となる統計資料を作る大切な調査であります。みなさんの申告は統計以外の目的には絶対に使用いたしませんから、真実を正確に申告してくださるようにくれぐれもお願いいたします。」

六大学野球はじまる         01:02
9月16日、東京後楽園、秋の六大学野球は華々しく幕を開きました。第1日、入場式のあと、慶応対法政は4回まで1対1、慶応5回に一挙2点を獲得。結局、3アルファ対1で慶応の勝ち。
次の試合、早稲田対立教、早稲田のピッチャー荒川、投げました、飯塚、三遊間ヒット。ショート蔭山、逆シングルでとりそこない、ランナーセーフ。6回、立教は山西に始まる3本のヒットに2点を獲得。早稲田、9回に山下滑り込んで1点を返しましたが及ばず、2対1で立教に敗れました。

特報 キャスリン台風被害甚大 大利根の濁水東京に達す 06:12
(犬吠埼)
キャスリン台風は9月15日午後から関東地方を襲い、関東全地方は未曾有の大水害に見舞われるにいたりました。
15日の夜中に大利根川の堤防が切れました。堤防の切れたところは長さ400メートルにわたるところもあり、戦争中から危ないといわれながらそのままになっていたところです。みるまに付近の数10か村をのんだ濁水は、16日正午ごろから埼玉県久喜町に流れ込み約2時間で全町を泥海と化しました。流れが早いため救援隊も近寄ることができず、罹災者たちは水も食料もないままにひたすら救いの手を待っています。

久喜駅は激流のまっただ中に置かれています。避病院では病人たちがかろうじて天井裏に避難しお医者さんが船で診察を続けています。水は南へ南へと向かいます。
一方、荒川の堤防も切れて忍から鴻巣方面に流れ込みました。屋根にはい登った人たちに星明りの濁流をおかして食料が分配されています。

利根川下流、取手は流木を拾う人たちでいっぱいです。

17日になると、荒川、利根川の出水は越ヶ谷、吉川付近で合流しました。越ヶ谷では土嚢で防ぐ一方、その水に追われるように緊急避難。

さらに翌18日、濁水は埼玉、東京境の東和村まで押し寄せました。東和村では農民たちがなんとかして食い止めようと悲しい努力を続けています。

しかし、その夜、9月19日午前1時40分、東京の最後の望みの綱、桜土手はついに決壊、東京都葛飾、足立両区はとうとうたる濁水の浸入をうけるにいたりました。

 

日本ニュース 戦後編 第90号(1947年9月)7分52秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310090_00000&seg_number=002

ブラームス五十年祭開く       00:44
個人段階進む -東京裁判-     00:59
濁水ついに東京三区を呑む<関東大水害第二報> 03:39
水魔一過 足利<関東大水害第二報> 00:47
利根復興に着手 栗橋(埼玉)<関東大水害第二報> 01:03
各地救援に起つ 東京・名古屋・大阪・京都 00:38

ブラームス五十年祭開く       00:44
子守歌で名高いブラームスが逝いて50年、この記念演奏会が9月20日、日比谷公会堂で行われました。日本交響楽団演奏「ヴァイオリン協奏曲」。

(指揮をするレオニード・クロイツァ氏)

個人段階進む -東京裁判-     00:59
9月18日、異様な風体の証人が喚問されました。日蓮宗僧侶小川喜一氏、橋本[欣五郎]被告の証人であります。やがて橋本被告が証人台に立ち、林弁護人が口供書を朗読。

《林弁護人》
「私は昭和5年(1930年)10月、中佐以下の若い将校を集めて国内改造に関し、桜会という研究座談会を作りました」

翌19日、畑[俊六]被告の段階に入り、証人として宇垣元大将、米内元大将らが出廷、23日、キーナン検事は田中隆吉証人に米軍飛行士の死刑をだれが主張したかと鋭く反対尋問をしました。

濁水ついに東京三区を呑む<関東大水害第二報> 03:39
9月19日午前2時ごろ桜堤を突き破った水は東京葛飾、江戸川区方面に浸入しました。さらに20日午前3時過ぎ、中川も中川橋付近でついに決壊、暗闇の亀有付近に猛烈な勢いで流れ込みました。夜が明けてみると決壊口は数倍に広がっています。水の速さは時速13キロといわれ、ほうぼうに逃げ後れた人々が残りました。
次の夜、危険はますます広がり、緊急避難命令に四ツ木、堀切方面の人たちはあわてて避難を始めました。家に取り残された人々を警察そのほかが舟を繰り出して救い出しています。小岩付近ではたちまち線路が水に洗われ、また浄水場に浸水したので飲料水がなく、救援隊は舟で井戸水を運んできて給水しています。食料に困った人々もあるようです。

《罹災者》
「(聞き取り困難)に対してですね、4日目に、やっと4日の晩にきたそのパンは一斤が、一斤を五人で分けろというんです。これは食べるんじゃなしでただなめる程度しかないですよ。きょうで水害の5日目ですね。政府の無責任きわまりないところはとんでもないですよ」

こうして江東3区、特に江戸川区はほとんど水びたしとなりました。
9月25日、天皇陛下は東京江戸川区方面の様子をごらんになりました。

水魔一過 足利<関東大水害第二報> 00:47
一方、渡良瀬川沿岸、栃木県足利市もわずか5分ぐらいで怒濤のような水に押し流され、あとには山のような泥が残りました。水が速かったので、逃げ場を失い死んだ人もできて悲惨をきわめています。

利根復興に着手 栗橋(埼玉)<関東大水害第二報> 01:03
大利根川の堤を切った水はいっこう減る模様もなく利根川本流と化しています。
鉄道線路上には避難者たちが籠城しています。栗橋駅はまだ水につかっていますが、すでに鉄道の復旧工事は始められました。
いずれにせよこの水を止めなければ、埼玉、東京にわたる水びたしも止むことがないので、切れた堤防をふさぐ工事が、古めかしい方法とはいえ、とにかく始められました。

各地救援に起つ 東京・名古屋・大阪・京都 00:38
各地では関東水害に対する義援金募集が始められています。赤十字社をはじめ、電産、全逓などの労働組合が街頭に立って叫んでいます。

 

1947年10月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194710

日本ニュース 戦後編 第91号(1947年10月)8分1秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310091_00000&seg_number=001

石炭国管案もめる          01:39
楽泉園の実状 群馬         02:02
個人段階つづく -東京裁判-    00:47
スタァも署名運動 東京<時の話題> 00:35
親分自首 静岡・東京<時の話題>  00:25
全日本選手権ボートレース 隅田川<時の話題> 00:28
動物たちデモる 大阪<時の話題>  00:24
水害後のなやみ 足尾<関東大水害第三報> 01:38

石炭国管案もめる          01:39
9月30日、衆議院では石炭国家管理法案の自由討議が行われました。内閣の命をかけた重要法案だけに久しぶりに活況を呈し傍聴席も超満員です。

《自由党 植原悦二郎氏》
「この法案は炭鉱の国管による炭鉱業者の民主化などと吹聴されておりますが、実質的にはなんというても炭鉱の官僚管理であり官庁統制であることは一点の疑問がありません」
《民主党 後藤悦治氏》
「37万人余の炭鉱労働者が増産意欲を持つか持たないかというところに増産のカギがかかっておる。しかるに、しかるに、それをですね、それを単純なる就業形態のままにまかして、そうしてなんら国家意思が介入しない、国家資金を入れるけれども、国家の監査をさえもさせない、国家意思は全然入らないというような形態では、石炭の増産は望むべきもないのであります」
《共産党 徳田球一氏》
「当然に労働者、農民、中小商工業者の全体を投入し、どうして、いつでもわれわれがこの議会で過半数を有し、堂々(聞き取り困難)議員を先頭として闘うところの体制にまで諸君が大奮闘せられることがこの石炭増産の秘訣であるということを私は申したいのであります。」

楽泉園の実状 群馬         02:02
9月18日、衆議院で国立栗生楽泉園でのらい病患者の取り扱いが問題となりました。

《武藤運十郎氏(社)》
「らい患者の監禁としましては、30日というのがこれが規定された原則であって、かように長い期間らい患者を特別病室、これは名前は特別病室でありますけれども、異常な恐るべき構造を持つところの重監獄であります。ここへ監禁をしておきましたことは、これははなはだしい違法であり、かつ人権蹂躙ではないかと」

そこで9月21日調査団が派遣されました。ここには約1000人の気の毒な患者が収容されています。見たところ何不自由もなく暮らしているようですが、今まで世間から隔離されていたので、職員の不正や強制労働の実状がわかりませんでした。
問題になった特別病室というのは刑務所よりもひどいコンクリートの牢屋で、4重の扉で厳重に閉ざされています。部屋は4畳で、小さな窓からかすかに明かりがくるだけで、冬には昼夜の別さえわからないといわれています。ある患者が無実の罪でここに入れられたと壁に書き残した痛ましい文字、また日数を数えたらしい跡も見られます。この婦人は、夫の罪を妻であるというだけの理由で391日間ぶち込まれていました。この牢屋で死んだ人が24人、患者たちは人間としての生活を保障せよと政府に要求しました。

個人段階つづく -東京裁判-    00:47
9月24日、審理は重臣の段階に入りました。まず平沼被告の反証では、重臣会議当時が中心となり、軍部が重臣を嫌っていたと岡田元大将が証言。かわって平沼節子さんが初の日本婦人証人として喚問されました。次いで26日、広田被告の反証では桑島元東亜局長が外交部に対する軍部の圧迫を証言。このところ当時の東条軍政に対する攻撃に終始した形です。

スタァも署名運動 東京<時の話題> 00:35
映画スターがサインを求めています。これは政府がまた映画、演劇の入場税を15割に引き上げようとしているのに反対する映画人の署名運動です。山田五十鈴さんの顔も見えます。

親分自首 静岡・東京<時の話題>  00:25
85日の間、逃げ回り伊豆伊東の隠れ家に潜んでいた例の関根親分は、9月30日自首して出ました。

《関根親分》
「あまりにも自分でもってなにかこう犯罪行為がないという感じで私は考えておりました。そういった点からですね、まず様子でも見て、それから出ていくものなら出ようと、こう思っていました」

全日本選手権ボートレース 隅田川<時の話題> 00:28
第25回全日本選手権ボートレース、9月28日、隅田川2000メーターコース。800メーター京大リード、向こう側東大、しかし東大力漕、ついに京大を3艇身抜いてゴールイン、タイム7分9秒。

動物たちデモる 大阪<時の話題>  00:24
ぼくたちにもえさをよこせと家畜たちが一大デモンストレーションをおっぱじめました。9月25日、大阪は大手前での出来事です。

水害後のなやみ 足尾<関東大水害第三報> 01:38
今度の関東大洪水で栃木県の足尾銅山では、唯一の動脈である鉄道線路が切れ、鉱山資材がこなくなり、活動はまったく停止してしまいました。線路はおびただしい土砂に埋まり、崖崩れで約80個所が切断され、3万1000の人たちが孤立するにいたりました。そこで坑夫たちは山を捨て、まず自分たちの手で線路の掘り出しにかかりました。この線路が通じないと食料もこないので、残りの人たちは大挙して16里の山道を越え、2日がかりの買い出しに必死です。こうして足尾は全町をあげて復旧に立ち上がっています。

 

日本ニュース 戦後編 第92号(1947年10月)7分46秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310092_00000&seg_number=007

日本人に“新しい”祖先? 北海道  01:38
供米と平野さん<政界往来>     00:48
街頭の単独内閣<政界往来>     00:24
軍服事件の四氏収容<政界往来>   00:32
法廷の“平和主義者” -東京裁判- 00:47
アメリカンフットボール 大阪<時の話題> 00:38
「とん」走 旭川<時の話題>    00:23
煙にまかれた日劇<時の話題>    00:30
水害地の子供たち          02:01

日本人に“新しい”祖先? 北海道  01:38
オホーツク海の波打ち寄せる北海道網走市で今、最寄貝塚が発掘されています。10月5日には約1千数百年前の生活を物語る土器そのほかがほとんど完全な形で姿を現しました。住まい跡から発見された壺の表に見る刻み文と押型文とはともに珍しいオホーツク海沿岸文化の特徴を示しています。かたわらの貝塚からは獣の骨や骨で作られた農具ばかりでなく、人の骨も出ています。これは8歳くらいの子供の骨で、頭蓋骨、肋骨、右、左の手、骨盤、曲げた足など、明瞭に見られます。大人の骨にも見られるように、顔の上にはすべて壺がかぶせてあります。これらの発掘によって、遠い昔、われわれの祖先のある者たちがこのオホーツク海の荒波を越えて日本に来たのではないかという興味ある問題も解かれようとしています。

供米と平野さん<政界往来>     00:48
供出のやり直し割り当てが決まった翌日10月6日、食糧調整委員の代表は平野農相と懇談しました。

《食糧調整委員代表》
「実収高が現在の割り当てする予想収量に達しなくて販売に困るという現実の問題ができたときには大臣はこれに対して・・・」

《平野農相》
「ですから、これに対する答弁はですね、配給はするんだと、こう私が言っておればだね、それ以上不安でもだいたいわかりそうなもんだね」

《食糧調整委員代表》
「それがためには次の諸政策の断行を政府当局に切望する、要望する。一つ、米価決定委員会に農民代表を参加せしむること、二つ、生産費をつぐなう米価の決定」

街頭の単独内閣<政界往来>     00:24
10月4日、片山首相は国会を東京日本橋のど真ん中に持ち出し、あっぱれの単独内閣ぶり。これは弥次喜多にならっての東海道五十三次国会膝栗毛の振り出しです。

軍服事件の四氏収容<政界往来>   00:32
世耕事件のヤマ、軍服詐欺事件で塩月[学]、狭間[祐行]、藤川[文六]、中曽根[幾太郎]の四氏が、10月4日、東京地方検察庁に強制収容されました。このとき中曽根氏は、「徳義心からやったことで、やたらに法理論を振り回しても困る」と語りましたが、いずれも自由党への政治献金のため650万円を詐取したといわれています。

法廷の“平和主義者” -東京裁判- 00:47
板垣被告の個人弁護に入った10月6日、証人・古野[伊之助]元同盟社長の口供書を朗読。

《古野元同盟社長》
内閣改造を断行し、杉山元陸相の後任には不拡大方針を実行し、和平解決に熱意を有する人物を迎える必要がある。それには板垣将軍が適任と思う。

当の板垣被告は、7日、証人台に立ちましたが、自ら平和主義者と称している彼に中国側倪検事から鋭い反対尋問が行われました。

アメリカンフットボール 大阪<時の話題> 00:38
アメリカ第1軍団と25師団のアメリカンフットボールが10月5日、大阪花園グラウンドで行われました。息詰まる熱戦ののち、20対6で第1軍団の勝利となりました。

「とん」走 旭川<時の話題>    00:23
10月6日、北海道は旭川市で行われた豚競走。元来わたしたちは走るようにはできていないとブーブーいっています。600メートルを5分30秒で美智子さんが1着。

煙にまかれた日劇<時の話題>    00:30
10月正午、突如東京銀座日本劇場から煙が出ました。すわ大火事、アメリカ軍消防隊も出動、協力しています。幸い被害は皆無。それもそのはず、劇場は電休日、火事は防火週間の演習でした。

水害地の子供たち          02:01
〈埼玉〉
あの恐ろしい関東大洪水から早や1か月、被害地の子供たちは今どうしているでしょうか。利根決壊口付近の東村小学校はまだ水びたし。教室も中もあのときのままです。子供たちは学校へのあこがれに濡れそぼれた教科書をていねいに一枚一枚干したりしています。いつになったら授業は始まるのでしょう。

〈東京〉
東京ではどうやら水が引きました。しかし、毎日の暮らしに喜びの少ない子供たちは回ってきたささやかな慰問にも明るい顔を取り戻しています。

 

日本ニュース 戦後編 第93号(1947年10月)7分47秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310093_00000&seg_number=005

石炭国管三ッどもえ      01:44
木戸日記 -東京裁判-    00:57
二年ぶりに成仏 広島     00:34
全日本体操選手権<スポーツ> 00:50
サッカーリーグ開く 東大5-商大0<スポーツ> 01:06
鮭の季節 北海道       00:50
カメラ報告 南の果て“鳥島” 01:43

石炭国管三ッどもえ      01:44
10月13日、衆議院では石炭国管に関する公聴会が開かれました。

《北海道炭鉱汽船社長 吉田嘉雄氏》
「(聞き取り困難)わが国の社会秩序の段階におきまして、労働者が経営面にある程度以上の発言することそれ自体が許されぬことでございました」

《全炭協専門委員 市川三郎氏》
「われわれが希望する国家管理法案が通った場合、労働者の積極的に経営参加することになります。その場合、全労働者の勤労意欲を高めることによって増産の目的が達成されます」

社会党控室では国管断行のポスターの中で幹部が秘策を練る。
国管反対のポスターを貼った自由党では、これまた作戦会議の最中。議事堂の前には反対の看板がでんとあぐらをかいています。神田の旅館・龍名館には上京した炭鉱資本家がひそひそと画策中。これに対して炭鉱労働者もまた上京して国管断行の宣伝に乗り出し、10月15日には日比谷公園で国管貫徹労働者大会を開くなど、このところ石炭国管問題は大もめ。頭が痛いのは商工大臣の水谷さんです。

木戸日記 -東京裁判-    00:57
10月14日、法廷はいよいよ木戸被告の部門に入りました。

《ローガン弁護人》
「木戸氏、あなたはこの事件の被告の一人でありますか」

《木戸被告》
「そうであります」

《ローガン弁護人》
「弁護側文書2502号を調査し、それがあなたの宣誓口供書であるかを述べてください」

《木戸被告》
「そうであります」

ローガン弁護人は273ページに及ぶ口供書を朗読、さらに膨大な木戸被告の日記を中心に審理が進められ、日本を戦争に追い込んだ昭和裏面史に踊る秘密政治の内情が次々と明るみに出されました。

二年ぶりに成仏 広島     00:34
広島の沖合にある似島から900名の死体が発掘されました。これは原子爆弾の犠牲者で誰言うとなく当時からここに埋められたままになっているとのうわさがたち、当局が初めて手をつけたものです。これでこの気の毒な人たちはようやく2年ぶりに成仏しました。

全日本体操選手権<スポーツ> 00:50
10月12、13の両日、東京体育専門学校で開かれた体操競技、第2日目のフリースタイル一般個人総合選手権、女子では浅草高女の先生・鈴木選手が得点163.5で優勝しました。男子ではスワロークラブの竹本選手が339.5で世界的水準を示しました。

サッカーリーグ開く 東大5-商大0<スポーツ> 01:06
10月11日、東大グラウンド、関東大学サッカーリーグ、東大対商大、球は東大ライトウィング二宮へ渡りました。商大ゴール前必死の攻防戦、小雨の中で泥まみれの熱戦、白いユニホームは東大。東大のロングシュート、商大ゴールキーパー森重、よく止めて大きくキックを返しました。東大ハーフセンター海老原、止めそこなったのを商大フォワードセンター・スズキとってライトウィング永倉にパス、さらに鈴木、右ウィングへ出しましたが、これをとって東大フルバック・ゴトウ大きくキック、球は再び商大ゴール前に返り、東大終始押し続けました。二宮シュート、結局5対0で東大が勝ちました。

鮭の季節 北海道       00:50
北海道の千歳川に鮭の季節がきました。ここで使っている水車式捕獲機はアメリカインディアンが発明したもの。子供を産みにきた鮭を思うつぼに連れ込み、そこをすくいあげるという仕掛けです。あとは楽に卵をとって人工孵化で鮭の大量生産をします。

カメラ報告 南の果て“鳥島” 01:43
日本領土の南の果て、東京から真南に600キロ、ちょうど東京・八丈島間の距離をもう一つ延ばしたところに鳥島があります。この島は全島火山で作物は全然できません。この絶海の孤島に中央気象台の観測所がありますが、1年中、西風が強く4月から10月までしか船は寄りつけません。10月4日、5か月ぶりに14名の観測員が交替に来ました。まわりが絶壁のため、ここ以外に船をつける場所がありません。いつごろこの島が海から噴き上がったかはわかりませんが、今もしきりに白煙を吐いています。戦争中はこんなところに200名の海軍部隊がおり、その名残が台風に崩れ火山灰に埋もれています。今度のキャスリン台風来襲にも大きな役目を果たしたこの観測所の人々は、また来年4月まで何の補給もなく観測を続けるわけです。

 

日本ニュース 戦後編 第94号(1947年10月)8分2秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310094_00000&seg_number=008

新米の供出はじまる         02:07
木戸被告をさらに追及 -東京裁判- 00:38
ラグビー 慶大11-3立大<スポーツ> 01:08
世界漫遊機到着 東京<時の話題>  00:44
木刻まつり 茨城<時の話題>    00:41
国鉄労組全国大会 東京<時の話題> 00:26
島原おいらん道中 京都       01:10
亡命十五年 大山郁夫氏帰る 横浜  01:05

新米の供出はじまる         02:07
10月22日、もみにもんだ新しいお米の値段が決まり、西尾官房長官から次のように発表されました。

《西尾官房長官》
「政府は昭和22年度産米の買い上げ価格を慎重に審議した結果、1石当たり中身1700円、俵代加重平均50円、1750円に決定しました」

〈秋田県仙北郡〉
取り入れの秋、秋田県仙北郡は7月、8月、9月と3回にわたって水をかぶり、押し寄せた玉川の大砂利小砂利の間から稲穂が細々と顔を出しています。

〈群馬県邑楽郡〉
さらに群馬県邑楽郡は利根と渡良瀬川の水にはさみ打ちとなり、いまだに稲は水の下になっています。しかし、これでも乾かせばいくらかの収穫になるというので、農民は最後の努力を続けています。

〈新潟県北蒲原郡〉
早場米の本場、新潟県北蒲原郡では、早くも新米供出に真新しい俵がどんどん積み込まれ、東京への発送が始められました。

木戸被告をさらに追及 -東京裁判- 00:38
秋風の訪れとともに法廷MPの装いも変わりました。しかし審理は木戸段階に入っていよいよ好調。被告の綴った日記を中心にキーナン検事の鋭い追及が行なわれています。
被告席の鈴木、板垣両被告がなにやらひそひそやっています。

ラグビー 慶大11-3立大<スポーツ> 01:08
関東大学、慶応対立教のラグビーは10月17日、東京日吉の慶応グラウンドで挙行。雨降りのため、グラウンドには水たまり多く、最悪のコンディションで両軍泥まみれ。慶応、出足鋭く強引に攻めたて、前半6対0と引き離しました。後半、立教立て直すかと見えましたが、慶応また押し返し、泥んこのユニホームは見分けもつかなくなりました。
18分ルーズからの球を慶応渡辺押さえ込んでトライ。コンバートなり、結局11対3で慶応の勝ちとなりました。試合が終わって両軍の選手はまったくの泥人形。

世界漫遊機到着 東京<時の話題>  00:44
大型機がずらりと並んでいる東京羽田飛行場に、10月19日、100馬力の小型機で世界漫遊中のエヴァン氏とトルーマン両氏が相次いで着陸しました。23番目の着陸地を示す日の丸が鮮やかに描かれています。

木刻まつり 茨城<時の話題>    00:41
茨城県の久慈郡大子町で10月19日、中国の文豪、故魯迅氏の11周年を記念して木刻まつりが開かれ、中国代表団の徐[逸樵]顧問やその道の大家が訪れました。おばさんたちも版画をやっています。この町からこの民衆芸術運動を巻き起こそうという意気込みで、中国の民衆的な版画に並んで町の人たちの作品も陳列されています。シャキブン作「魯迅」、北岡[文雄]氏作「昼食を待つ子供」。

国鉄労組全国大会 東京<時の話題> 00:26
国鉄労働組合臨時全国大会は10月16日から4日間、東京神田の日大講堂で開催。新基本給を中心に大会劈頭からもめぬき議場混乱、ついに斎藤議長は流会と宣言してしまいました。

島原おいらん道中 京都       01:10
10月17日、有名な京都島原のおいらん道中が行われました。今年は徳川時代から年代順の衣装が用いられましたが、遊廓へ売られた婦人が昔からどのように扱われてきたかをまざまざと物語っています。これを見物するために50円の入場料が徴収されました。竹矢来の外から入場料を払えない人々が見物しています。遊廓が撤廃されたはずのこれが現代。

亡命十五年 大山郁夫氏帰る 横浜  01:05
軍国政府の圧迫に耐えかねてアメリカに亡命して15年、大山郁夫氏は夫人同伴、10月23日夜11時過ぎ、横浜に上陸しました。

《大山郁夫》
「上陸第一歩で私がいちばん感じたことは、日本の大衆ですね。ことに青年諸君が非常な精力的な元気な顔を見せてくれたことで、これほどうれしいことはないと思うんです」

当時の労農党の同志、島上、山花両氏をはじめ出迎えの人々に取り巻かれて、ひとまず宿舎の横浜市長公舎に向かいました。

 

1947年11月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194711

日本ニュース 戦後編 第95号(1947年11月)7分59秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310095_00000&seg_number=003

十一月の声              00:57
千八百円ベースで流会 全逓、国鉄公聴会 01:29
ソ連検事満州問題を追求 -東京裁判- 00:34
“猿が島”異変 東京<時の話題>   00:36
馬まつり 千葉<時の話題>      00:23
打ちました水谷さん 東京<時の話題> 00:40
タバコをめぐる人々          01:37
六大学野球慶明一回戦 慶5A-明4<スポーツ> 01:40

十一月の声              00:57
〈北海道〉
どこよりも早く雪をいただいた十勝の山々。札幌の町では落ち葉かき。
〈福島〉
東北の山では炭焼き。

千八百円ベースで流会 全逓、国鉄公聴会 01:29
全逓、国鉄調停委員会の公聴会は10月29日、東京芝の労働会館で開催。

《土橋全逓委員長》
「簡単に答えてもらいたい」

《和田安本長官》
「公定価格は3か月ごとに引き上げられるということが常識となったならば・・・(やじ)・・・」

和田安本長官、1800円ベースの説明を始めると、組合側はそれならもうわかっていると議場混乱。

《和田安本長官》
「判断のもとに1800円の水準を公定価格とすることになるのであります・・・」

《(発言者不明)》
「公職追放!」

《(発言者不明)》
「説明には順序があるから。そういうことは意味がないんでね、だからこの問題についてのいろいろなね、要求をその・・・」

《(発言者不明)》
「こっちも一番言いたいことがあるから。こっちの一番言いたいことは・・・」

ついに末弘中労委会長は中止を宣言。

《末弘中労委委員長》
「委員会としては、せっかくおいでを願ったのでありますが、きょうの会はこれで中止することにいたします。まことに失礼ですが・・・」

公聴会はわずか30分で政府側も組合側も退場、流会となりました。

ソ連検事満州問題を追求 -東京裁判- 00:34
ソ連抑留中の武部[六蔵]元満州国総務長官が10月27、28の両日、証人として出廷。イワノフ検事は関東軍の対ソ連計画について追及しました。次いでブレークニー弁護人が反対尋問、その昔の関東軍高級参謀板垣被告は少し老けたようです。

“猿が島”異変 東京<時の話題>   00:36
東京上野の動物園では猿の大邸宅に豚、猪が同居。知恵者の猿君はてんで同居人をなめています。

馬まつり 千葉<時の話題>      00:23
千葉県佐貫町の馬まつり、馬の両側にぶら下がって突っ走る変わったおまつり。走り出したら最後あれよあれよというまに風のようです。

打ちました水谷さん 東京<時の話題> 00:40
片山さんの始球式で10月24日、東京日比谷の参議院と衆議院の野球試合。新調のユニホームに身をかため、珍プレー続出。森戸文相は見物。ピンチヒッター商工大臣水谷さん。

タバコをめぐる人々          01:37
たばこをめぐる世相はいよいよせちがらく、毎日明け方からたばこ屋さんには例のごとくピース、コロナの大行列。そこへまたもや値上げの発表で東京のヤミ値は一足先に60円にはね上がり、1800円組は大恐慌です。
街にはたばこの拾い屋さんがひどく増えました。拾ったたばこは自分で吸うよりもほぐして巻く私設専売局の手に渡り、上野駅や谷中の墓地など街の裏側でこっそりとたばこを製造、これがまた売られるという寸法。
たばこ飢饉でうけに入ったのが三角くじ屋さん、たばこ値上げどころか、給料生活者はもう今すでに一か八かのくじでたばこを引き当てようと、まことにたばこをめぐる人々の悩みは尽きないようです。

六大学野球慶明一回戦 慶5A-明4<スポーツ> 01:40
秋の六大学リーグ戦の覇権をかけた慶明第1回戦、10月25日の神宮球場、4回まで両軍ゼロ、5回表明大の攻撃、ランナー一塁、二塁、バッター須本、岩中第1球、バンドしました。岩中とって一塁投球。間一髪ランナーセーフ。ついにフルベース。バッター杉下、岩中第4球、打ちました、サードゴロ、三塁のランナーホームイン、明大1点先取、続いてバッター宝山、第2球をレフト前にヒット、セカンドのランナー須本、サードを回ってホームイン。明大さらに1点。第6回の裏、2点をリードされた慶応の攻撃。ワンダン、ランナー一塁、三塁、バッター吉岡、杉下第4球、打ちました、ライトフライ、バックホーム。ランナー岩中、ホーム殺到、ホームイン。この回2点、2対2の同点。7回さらに1点を加え、八回裏慶応の攻撃、ワンダウン、ランナー二塁、バッター久保木、打ちました。大きなあたり、球は転々ライト、ランナー吉岡サードを回ってホームイン、この回、慶応2点を追加、5対4、慶応に凱歌があがりました。

 

日本ニュース 戦後編 第96号(1947年11月)7分44秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310096_00000&seg_number=007

国民体育大会開く 金沢      01:20
ヘボン博士記念祭         01:01
小磯被告証人台へ -東京裁判-  00:37
衛生列車<時の話題>       00:28
憲法記念館早変わり<時の話題>  00:28
重税反対 映画人デモ<時の話題> 00:45
平野農相罷免さる         03:02

国民体育大会開く 金沢      01:20
第2回国民体育大会は、10月30日から5日間、金沢を中心に各地で行われました。ハイハードルでの決勝、大阪の木南君ぐんぐん出ました。続いて原、池田。1着木南君16秒5。100メートル決勝。生駒、一色、阿部、猛烈に競り合いましたが、福岡の生駒君11秒1で大会タイ記録。棒高跳びでは岐阜の沢田君が3メートル90を跳んで大会新記録。女子走り幅跳び、京都の山内リエさん、砲丸投げ鹿児島の兒島フミさん。かくて5日間にわたる大会は好天気に恵まれ多彩な競技を繰り広げました。

ヘボン博士記念祭         01:01
安政6年来朝以来、ローマ字綴りや教育界、医学界などに貢献したアメリカ人ヘボン博士記念祭は11月3日、東京日比谷公会堂で行われました。
ヘボン式ローマ字の名で知られた博士は聖書の翻訳など明治の日本文化に大きな影響を与えました。

小磯被告証人台へ -東京裁判-  00:37
小磯[国昭]被告は10月31日、証人台に喚問されました。ブルックス弁護人が口供書を朗読。11月3日には小磯内閣時代に行おうとした重慶との和平交渉、すなわち繆斌工作について尋問をうけました。

衛生列車<時の話題>       00:28
衛生思想を普及する衛生列車ができました。11月1日には皇后陛下、高松宮が厚生省の作ったこの走る衛生展覧会を見学されました。これからこの列車は各地を走るそうです。

憲法記念館早変わり<時の話題>  00:28
かつて赤坂御所の別館であった明治憲法記念館が、11月1日から結婚式場に商売替え、いかめしかった部屋には美容師もいて、廊下を静々と花嫁さんが渡っていきます。

重税反対 映画人デモ<時の話題> 00:45
映画や芝居に入場税をかけるのは大衆に対して過酷である、入場税を撤廃せよと、11月1日、映画演劇関係者がデモを行いました。終わって代表者は官邸で片山首相と会見。大衆課税反対を主張しました。

《片山首相》
「私は個人としては、その趣旨は文化高揚のためには賛成なんですが、なにしろこの乏しい財政の今日ですね、なんとか諸君のご協力を得なきゃならんということで、結局は国会で自由に論じてください」

平野農相罷免さる         03:02
新潟方面旅行中の平野農林大臣は、公職追放の問題で11月1日急きょ東京に帰りました。

《平野農相》
「新潟県庁で食糧調整委員の諸君と会合をしておるときにですね、追放だと、こういうなんのことかわけのわからんショックをうけてですね、東京へ帰ったわけです」

首相との会見を渋っていた農相は、辞表は出さぬと腹を決め、三日夜半にいたってようやく片山首相と会見し、辞職勧告を一蹴して首相と対立するにいたりました。会見を終わった平野氏。

《平野農相》
「どうも、総理大臣からですね、辞職を勧告せられました。その理由はですね、内閣の不一致であると」

《片山首相》
「平野君はどうしても辞表を提出しないということになったので、やむなく昨晩、罷免権を発動した」

罷免権発動によっていよいよ事態は紛糾。5日の社会党代議士会では平野氏を支持する全農派の反撃で大いにもめました。

《記者》
「平野さんついては、要するにどういうふうになりました?」

《西尾官房長官》
「平野君については、左派に対する考え方がいくらか違うのでありまして、感情として私はきわめてフェアでありまして、何にもありません。平野君はいくぶんそれがあるかと思いますが」

この西尾官房長官の見解に対して、胃痙攣で入院中の平野氏は次のように語りました。

《記者》
「きのうも代議士会ですね、あのときのあとに西尾さんがね、私は感情的には何にもないから月日がたてば氷解するだろう、などと言ってたですけどね」
《平野》
「口ではどういうことを言ってもですね、今度のようなですね、追放とか告訴問題とかいうような舌をもってですね、きわめて陰険な政治をやるかぎりですね、つまり氷解しないんです」

 

日本ニュース 戦後編 第97号(1947年11月)7分43秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310097_00000

隠退蔵物資はどうなったか-大造事件- 大阪 01:37
耕作地を得た人 神奈川      00:46
南被告の段階へ -東京裁判-   00:44
軍艦住宅 呉<時の話題>     00:35
百円札に御注意 東京<時の話題> 00:41
乳牛に感謝 北海道<時の話題>  00:23
白秋忌 福岡・東京        00:50
木炭のゆくえ           02:03

隠退蔵物資はどうなったか-大造事件- 大阪 01:37
元大阪造兵廠管理部総務課長河本利夫氏がもたらしたいわゆる河本情報によって大阪造兵廠を中心にまたもや莫大な物資が隠匿、不正配分、横流しをほしいままにされていることが明らかになりました。まだ多量の退蔵物資、主に鉄材が隠されています。
そこで大阪地方検察庁では直ちに活動を始め、問題の河本氏が召喚されました。

《記者》
「ちょっと河本さん、今度情報が入ったらどうしようとされますか」
《河本》
「軍が、終戦後に、民間のヤミ業者と結託して、そして軍の幹部が自分だけよくなろうというような考え方がこの非常な混乱をきたした原因じゃないかと」

さらに一切の書類を押さえ、元大阪鉄道局経理部特殊物件係長渡辺鹿太郎氏そのほかに対して真相を追及しています。しかし、すでに300億円という莫大な物資がこの大阪造兵廠から姿を消しており、それが関西一円にばらまかれたといわれています。

耕作地を得た人 神奈川      00:46
農地改革法が施行されて初めて地主から耕作地を買い入れた人は横浜市戸塚区[現・瀬谷区]瀬谷町の大塚ショウゾウさんです。

《記者》
「地主が小作人にヤミ値で土地を売ったというので問題になっているところがあるようですが、ここではどうですか?」

《大塚》
「ほかではそういうことがありましたかもしれませんが、この土地としてはそういうことはありませんようですよ」

こうして反当たり360円の公定で畑を買った大塚さんは張り切っていもを掘っています。

南被告の段階へ -東京裁判-   00:44
東京裁判のウェッブ裁判長は11月10日、夫人の見送りをうけながらオーストラリアに一時帰国のため、東京羽田を出発しました。
この日、市ヶ谷の法廷では、アメリカ代表判事クレーマー少将がウェッブ氏に代わって裁判長席につき、陸軍大臣当時の南[次郎]被告が満州事変の発生に関係があったかどうかについて審理が行なわれました。

軍艦住宅 呉<時の話題>     00:35
かつての帝国軍艦伊勢。住宅難に弱った西原正三さんという人がそいつを見つけて住み込みました。すばらしい鋼鉄の家です。

百円札に御注意 東京<時の話題> 00:41
印刷工場から100円札の6枚続き2000枚、しめて120万円を盗み出した男。

《記者》
「どういうためにそういうことをされたんですか?」

《盗みの犯人》
「はい、(聞き取り困難)働けど働けど、食べる物に追われて、そこへもってきて弟がそういう話を持ち込んだんです。つり込まれてやってしまいました」

上が番号なしの問題の札、まだ16万円行方不明。

乳牛に感謝 北海道<時の話題>  00:23
北海道八雲の牧場の人々は、お乳をたくさん出してくれた牛に感謝しましょうと、10月25日、小雨降る中で盛大に牛まつりを開きました。

白秋忌 福岡・東京        00:50
詩人北原白秋氏が亡くなってから5年、故郷の福岡県柳川町では11月2日、記念碑建設の鍬入れ式が行われました。

(「この道」を歌唱する女性)

東京では11月10日、日比谷公会堂で白秋を偲ぶ会が開かれました。

木炭のゆくえ           02:03
(大阪)
大阪淀川べりの葦を、このごろ、の大阪刑務所の囚人たちが大勢でしきりに刈り取っています。これは冬をひかえて燃料組合からの注文に応じて炭俵を作る下請け作業です。このようにして木炭の生産は非常に急がれています。

(鳥取)
鳥取の山奥、生山では炭焼きたちが山に立て籠もって奮闘していますが、ここでは炭俵が足りなくて大事な米俵に炭を詰め込んでいるくらいです。

(福島)
駅近くには木炭の山。しかしこれほどの木炭がいっこうに都会へは送られてこず、配給がないので買い出し客が炭の生産地へ殺到しています。1俵300円。
冬を目の前に北風はいたずらに寒く。炭はいつくるのか。

(埼玉)
機関車の落とす燃えかすを拾う人々の姿がほうぼうの駅で目立つようになりました。

 

日本ニュース 戦後編 第98号(1947年11月)7分55秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310098_00000&seg_number=001

東西対抗プロ野球・西宮<スポーツ> 01:44
火薬庫爆発 神奈川         00:39
“海軍は消極的”? -岡被告証言- 00:38
“ベニスの商人”          01:10
ごたつく国会            00:54
11月15日は七五三<子供をめぐる三つの話> 02:47

東西対抗プロ野球・西宮<スポーツ> 01:44
11月15、16日、西宮球場、西軍の投手・別所、東軍の1番バッター・坪内、西軍のセンター・呉、ホームラン王・東軍の大下、東軍の投手・白木。この豪華な顔ぶれに東西対抗プロ野球は大入り満員。第1回戦は東軍の勝ち。2日目、ついに見物席は上から押されてグラウンドにはみだし怪我人を出すにいたりました。かくて試合は一時中止となりましたが、再び続行。西軍のライト・塚本、このためファールをとりそこなう始末です。8回表、東軍・川上、期待にそむかずライト観覧席にホームラン。川上ゆうゆうホームイン。これで4対4の同点となり満場熱狂。ついに延長戦、11回の裏、西軍の攻撃、山本ショートオーバーのヒット、ランナー藤井、二塁から勇躍ホームイン。ついに5アルファ対4で2回戦は西軍の勝ちとなりました。

火薬庫爆発 神奈川         00:39
11月17日午前9時55分、突如、神奈川県逗子町にある地下火薬庫が大爆発しました。第1から第6倉庫まで次々にものすごい轟音とともに誘発。このため付近一帯に山火事が起こりました。しかし、18日午前6時には収まり、被害は案外少なくてすみました。

“海軍は消極的”? -岡被告証言- 00:38
11月18日の法廷は、開戦当時の海軍の動向が中心となり、ロバーツ弁護人、岡被告の口供書を朗読。続いて及川古志郎元海軍大将が証人として喚問されました。さらに被告席から岡被告が証人台に立ち、当時、海軍は消極的であったと証言しました。

“ベニスの商人”          01:10
早稲田大学の演劇博物館は、エリザベス王朝時代のシェークスピアの劇場をかたどるものですが、11月16日、創立以来初めてこれを利用しての野外劇、シェークスピア原作『ベニスの商人』が前進座の手で上演されました。大山郁夫氏夫妻の顔も見えます。

(「ベニスの商人」上演風景)

ごたつく国会            00:54
石炭国管問題は土壇場にきて果然紛糾、鉱工業委員会も流会続き。ドアをぴったり閉めた民主党の役員会、どうやら中はだいぶにぎやからしいです。社会党では口角泡を飛ばす代議士会の開催中です。そこへ現れいでたのが熊澤天皇。各政党を訪問したのち、代議士の頭を叩き直すのだと気炎をあげて帰りました。

《熊澤天皇》
「国民を代表する議員諸君の頭を作り直さなくちゃならんと思うのです。実はおこがましくはありますが、今日私はそのためにまいったのであります」

11月15日は七五三<子供をめぐる三つの話> 02:47
11月15日は七五三のお祝い日で、うれしそうにお手てを引かれてお宮参り。昔からの微笑ましい風景です。
11月14日、宮城前広場では約5万人が集まり、63制を守れの大会が開かれました。

《少年》
「寒い冬がもうすぐやってくるというのに僕たちの教室の窓ガラスはまだ壊れたままです。いったい僕たちはこの冬をどうして過ごしたらよいのでしょうか」

実際、ほうぼうにはまだまだ気の毒な学校があります。例えば焼け跡の小学校では、ガラスもなく椅子のない子や履物のない子もいます。教室の足りないところではこの寒空に外で授業を受けています。
もう一つのお話、戦争後、孤児が非常に増えています。東京駅前そのほかでは親を探すために孤児の写真を並べました。その中に行方不明になっていた自分の子供を発見したお母さんがありました。このお母さんアベツネさんはおどる胸をおさえて子供の収容されている千葉県保田の児童学園へかけつけました。お母さんは子供の顔を見るなり泣きだしてしまいました。

 

1947年12月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194712

日本ニュース 戦後編 第99号(1947年12月)7分27秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310099_00000&seg_number=004

十二月の声           01:11
大島被告の段階へ -東京裁判- 00:41
“電気よこせ”市民大会 大阪<時の話題> 00:48
自由人権協会発足        00:22
大亀あばれる 熊本       00:34
関根組公判 -軍事裁判-    00:29
早慶ラグビー戦 早41-3慶<スポーツ> 01:14
国会もみあう          02:05

十二月の声           01:11
札幌の街は例年より25日早く大雪。
徳島では奴凧の製造元が、今かき入れ時です。
東京の街にはクリスマス用品が出始めました。暖かそうな毛皮の外套。だが、師走を迎えて東京にはまだ土管の中に住んでいるような人もあります。

大島被告の段階へ -東京裁判- 00:41
11月25日、東京裁判は再び大島被告の段階に入りました。6年前の1941年3月、得意の絶頂にあった大島大使は、ベルリン駅頭に松岡外相を迎えたのでしたが、今は夢。ターベナー検事の鋭い尋問に対して、証人台にのぼった大島被告はスターリン氏暗殺計画を否認しました。

“電気よこせ”市民大会 大阪<時の話題> 00:48
11月25日、大阪扇町公園で生活危機突破大会が開かれました。

《女性》
「政府は食糧も燃料もろくに配給せず1800円で命をつなげと言っております。そのうえ電気をよこしません。電気がこなくては家庭もめちゃくちゃでございます。電気をよこしてください。片山さん、電気をよこしてください。これが家庭婦人の叫びでございます」

自由人権協会発足        00:22
自由人権協会設立総会は、11月23日、東京霞が関の弁護士会館で行われました。片山首相、鈴木法相なども出席、この会は基本的人権の擁護を目的としています。

大亀あばれる 熊本       00:34
11月18日、熊本県宮地村のお祭り、中国風の変わった趣向でものすごく大きな亀さん。長生きのおまじないだそうですが、長生きをしたい人がしきりにお賽銭をあげています。

関根組公判 -軍事裁判-    00:29
元関根組組長・関根賢以下11名の武器所持による軍事裁判は、11月26日、警視庁アメリカ軍軍事裁判所法廷で開かれ、W・ショーブ少佐から次のような判決がありました。

《W・ショーブ少佐》
「有罪と認めます。5年間の懲役、7万5000円の罰金」

早慶ラグビー戦 早41-3慶<スポーツ> 01:14
慶応キックオフ、11月23日、女子学習院跡に新しくできたラグビー場での早慶ラグビー戦。対戦2分、早くも早稲田バックスは慶応防御線を突破、新村、10ヤードを越え、よくフォローしたバック・ロー松分にパス。松分、転げ込んで最初のトライをあげました。広い横縞が慶応、黒いほうが早稲田。前半、慶応フォワードよく奮闘して再三早稲田のゴール前に迫りましたが、トライならず。さらに早稲田にワンゴールを許し8対0、後半7分、早稲田スリークォーターに渡った球をウィング畠山うけて右コーナーにトライ。さらに20分、早稲田のウィングを突き強引に倒れ込んでトライ。かくて早稲田は圧倒的にトライを続け、41対3で大勝しました。

国会もみあう          02:05
11月20日から前後5日間の殴り合いという記録を作った石炭国管問題をめぐるこれが国会のありさまです。21日の鉱工業委員会では自由党の代議士が委員長席を占拠しました。反対派はいよいよ秘策に熱中していますが、世間の非難を集めた乱闘騒ぎはまだ収まりそうにも見えず、社会党の控室にこんな落書きが現れました。
21日夜から24日までの本会議はさらに輪をかけてもうめちゃくちゃです。

傍聴席も総立ち。

こうして11月25日、やっと大詰めになりました。

《議長》
「修正部分を除いた原案は可決せられました。これにて臨時石炭鉱業管理法案は(聞き取り困難)をいたしました」

 

日本ニュース 戦後編 第100号(1947年12月)10分22秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310100_00000&seg_number=007

100号を迎えた日映ニュース(ニュース映画ができるまで) 01:49
北のはて-冬期漁場 北海道     01:09
今週の市ヶ谷法廷          01:06
政局なお混迷            01:19
天皇山陰へ 鳥取<時の話題>    00:29
わが輩は猿である 東京<時の話題> 00:37
鹿の生け捕り失敗 馬毛島(鹿児島)<時の話題> 00:40
大学高専十マイルレース 東京<スポーツ> 01:01
電力の危機つづく          02:09

100号を迎えた日映ニュース(ニュース映画ができるまで) 01:49
「もしもしニュース部? こちらは共同通信社会部。ニュースが入っています」

《ニュース部員》
「はい。どうもありがとう」

日本ニュースは第100号を迎えました。共同通信社の緊密な協力のもとに、各地のニュースが本社に送られ、これらに基づいてカメラマンが八方に飛びます。

各地方への連絡もまた共同の通信網によって迅速に行なわれます。撮影されたフィルムは各地から特別便で本社宛てに発送。
集められたフィルムは最小限2時間半で現像され編集されてニュース映画ができあがります。

北のはて-冬期漁場 北海道     01:09
日本の北の果て宗谷岬の灯台、灯台を守る人の生活にはことさらに厳しい冬。波の向こうに樺太があります。
かもめの群れ飛ぶ室蘭の沖合では今、たら漁のかき入れ時、この船の引き網は1日の水揚げざっと3000貫、これからどしどし外国にも送り出されます。

今週の市ヶ谷法廷          01:06
終戦後3度目の12月8日を目の前に控えた市ヶ谷台上の東京裁判法廷。
きょうも東条以下戦犯容疑者たちは次々に被告席に着き、厳粛な審理が始まろうとしています。12月3日、佐藤[賢了]・重光[葵]両被告の個人弁護に入り、東条を首相に推薦した覚えはないという佐藤被告の立証が注目されました。

政局なお混迷            01:19
例の石炭国管問題の余波で、とうとう民主党は二つに割れてしまいました。芦田派の声明。

《芦田派議員》
「党内民主主義の伝統に反し、党規約の鉄則に背反したものであって、われらはここに断固たる措置をとるのやむなきにさしいたった」

これに対し、除名された反対派は同志クラブを作って院内の1室に立て籠もっています。総帥の幣原氏。

《同志クラブ議員》
「われら25名の同志は、石炭国管法案に反対して民主党と決然袂を分かち、このたび同志クラブを結成しました」

その機をねらって自由党はあるところでそれぞれ額を集めて画策に熱中しています。
農相はまだ決まりません。後任といわれた社会党の野溝氏は手持ち無沙汰の体です。苫米地運輸相が辞表を出した日の閣議、これも何か奥歯にもののはさまったような雰囲気で、各大臣はそれぞれ複雑な表情です。

天皇山陰へ 鳥取<時の話題>    00:29
11月28日、山陰地方にご旅行中の天皇陛下は、鳥取県倉吉町の家畜市場をごらんになりました。

わが輩は猿である 東京<時の話題> 00:37
東京笹塚のキワダさんという家の猿は猫と仲良し。カメラマンから鏡をもらいました。この猿は猫をこんなに大きく育てたのだそうです。

鹿の生け捕り失敗 馬毛島(鹿児島)<時の話題> 00:40
鹿児島沖合の無人島・馬毛島、ここにすむ野性の鹿を生け捕りにしようと種子島漁業組合の人たちは血相を変えて取り巻きました。だが、みんな逃げられてしまい、鹿を入れるはずだった大箱は全然役に立ちませんでした。

大学高専十マイルレース 東京<スポーツ> 01:01
関東大学高専10マイルレースは、11月30日午後1時、代田橋を一斉にスタートしました。4マイル地点で中央の朝倉、明大・岡、文理大・小宮山一団となって力走。各選手相次いで井の頭の折り返し点にかかります。ゴール前1マイル、中央の朝倉、早稲田の大塚を抜いて明大の岡と猛烈な競り合いとなりましたが、最後の登り坂にかかって明大・岡はついに朝倉を抜き、56分19秒で優勝しました。

電力の危機つづく          02:09
毎日々々の憂うつな停電続きで、街のろうそく屋さん、ランプ屋さんは大変な繁盛です。深川のある夜間の工業学校では、アセチレン灯でわずかに明かりをとっていますが、製図の勉強には目が痛そうです。

〈福島〉
福島県猪苗代湖は満々と水をたたえていますが、発電所のタービンは3か月も前に落雷で壊れたまま、資材難でいまだに修理が進んでいません。

〈広島〉
一方、広島県神龍湖の帝釈峡ダムは5月以来ほとんど雨が降らず、まったく発電力を失っています。

〈神奈川〉
これらのため工場への送電は日ごとに低下するばかりです。制限時間がくれば、送電を停止されてしまいます。この硫安工場では、設備の復旧はできていても生産はがた落ちで、お米の供出にも重大な影響を与えるのではないかといわれています。鉄工所では資材があっても肝心の電気炉が冷えきっています。こうして電力の危機は冬とともに深まり、その対策が真剣に望まれています。

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日本ニュース 戦争証言アーカイブス 戦後編 第61号(1947年3月)〜第80号(1947年7月)

 特に戦前の日本ニュースは、大本営発表で検閲済み国策映像。ただし、それはそれで当時の空気を想像・実感するのに役立つ貴重な資料映像です。すべてリンクと再生テキストを資料保存しておきました。なおリンク先ではすべて映像を見ることができます

 

日本ニュース 戦争証言アーカイブス
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi

日本ニュース一覧
「日本ニュース」は、太平洋戦争を間近に控えた1940年(昭和15年)から終戦をはさみ、1951年(昭和26年)まで制作されたニュース映画です。制作したのは、「日本映画社」(※)で、1940年にそれまで4つに分かれていた新聞社や通信社のニュース映画部門を国策により統合したものです。
戦時中の「日本ニュース」は、日本軍や内務省の検閲を受けた後、毎週映画館で封切られ、国民の戦意高揚に用いられました。テレビがない時代、国民は「日本ニュース」が伝える真珠湾攻撃や特攻隊出撃、学徒出陣の様子を映画館で目にしたのです。
「日本ニュース」は、戦争完遂を目的にした国策映画ですが、太平洋戦争中の映像記録として大変貴重なものです。「戦争証言アーカイブス」では、1940年(昭和15年)の第1号から、戦後も含め、1948年末までのものを公開しています。

※(1941年5月までの会社名は「日本ニュース映画社」)
※日本ニュース戦後編の再生テキストは、国立歴史民俗博物館の協力で作成しています。

 

日本ニュース 戦後編 第61号(1947年3月)6分45秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310061_00000&seg_number=003

選挙戦近づく            01:14
雨ざらしの芸術           00:37
カメラ訪問 高松宮と語る      01:01
春は馬から 八王子<時の話題>   00:36
勲章帯留となる 京都<時の話題>  00:15
小平公判はじまる 東京<時の話題> 00:24
今週の東京裁判           00:34
事故の原因は? 危険な国鉄の現状  02:00

選挙戦近づく            01:14
いよいよ4月には、村長から衆議院議員に至るまでのいろいろな選挙が行なわれることになり、各派各政界は選挙の対策に血相を変えています。そのためか議会の出席率ははなはだ不良。満員の傍聴席を尻目に一部の議員さんたちは早くもおのおの選挙区に帰って立候補準備を始めたものとみえます。
それにひきかえ2月27日、銀座の街頭議会はなかなか盛会。放送局の街頭録音に進出した金森国務相は公職追放について一般大衆と猛烈な質問戦。

《発言者・男性》
「金森さんはいろいろもっともらしいことを言いますけれども、どうせ民主主義者を追放にかけようなどという魂胆がはっきり出ているじゃありませんか」

《金森国務相》
「それはまったく心外なるご質問だと私は思います。私はこの追放令というのは最も的確に最も正確にですね、やっておるのであります。したがって、この追放の決定をするのはだれがするかといえばですね、その基本たる考えを占めまするのは資格審査の委員会でありまして・・・」

雨ざらしの芸術           00:37
東京上野の美術学校には、ギリシャ、ペルシャの彫刻、壁画をはじめミケランジェロ、ロダンなど世界的な作品の複製がありますが、戦時中、十分な手当てがされませんでした。そのため大切なミケランジェロの作品にも穴があいたり雨漏りのしみができたりしています。これらは世界各国の博物館から贈られた日本に一つしかないものだけに大変惜しまれています。

カメラ訪問 高松宮と語る      01:01
財産税問題、臣籍降下などで各宮家ともいろいろとご多忙の様子です。御殿を同胞援護の洋裁所に開放された高松宮様は同胞援護会会長をしておられます。財産税だけでも1002万円といわれる高松宮様に3月3日本社記者はお目にかかりました。

《記者》
「同胞の援護について何か一つお話し願いたいのですが」

《高松宮》
「公の手で生活の最低限を保障するという見方は、大変けっこうなことだと思います」

《記者》
「それから殿下の財産税は」

《高松宮》
「あれじゃないか」

《記者》
「一部ではですね、今のような反動性の強い政府でなくてもっと民主的な政府を作らなければならんというようなことを言っておりますけれども、その点、殿下はどうお考えですか」

《高松宮》
「それはそうだよね」

春は馬から 八王子<時の話題>   00:36
初の東京都競馬が3月1日八王子でふたを開けました。インフレ景気の面々が続々繰り込んでいます。第10レース、鞍ナンバー6のマコト号1着、騎手小林君は2万円獲得しました。

勲章帯留となる 京都<時の話題>  00:15
京都のある娘さんの思いつき。勲三等瑞宝章が帯留となりおなかの真ん中でさん然と輝いています。

小平公判はじまる 東京<時の話題> 00:24
3月3日の東京刑事地方裁判所、殺人魔小平義雄の第一回公判。写真は一切ご免と、小平は編笠の中に顔を隠して最後まで各社カメラマンに撮影させませんでした。

今週の東京裁判           00:34
東京裁判は弁護団側の立証段階に入るとともに、外国カメラマンや外人記者の活躍が目立ってきました。いよいよ世界の注目を集めつつあります。3月4日、弁護側2番目の証人に岡田忠彦元衆議院議長が立ち、議会と政府などの関係について述べ、暗に東条被告の独裁制を認めた点が注目されています。

事故の原因は? 危険な国鉄の現状  02:00
去る2月25日の八高線列車転覆の現場では、28日供養が行なわれました。一方、実地検証は浦和検事局の手で当の乗務員を同行して連日行なわれましたが、直接の原因は運転手の過失と3月4日認定されました。

《浦和検事局 小幡検事》
「現場の検証や機関士の取り調べをいたしました結果、レールや連結器にはなんらの異常が認められず、結局、機関士の運転上の過失に起因することが判明いたしました」

しかし、事故の起こる危険はまだまだほかにあります。機関車の多くは古くて痛んでおり、速度計のないものや壊れているものが多く、乗務員は勘で運転しているといわれています。ブレーキも車輪をぴったりと押さえず隙間ができているので効かないものがあります。資材不足がその原因です。レールを測るとそのすり減ったさまはひどいもので、表面が減っているばかりでなく、このように原型をとどめないくらいのものがあります。枕木が腐っています。そこにも脱線の危険があります。東京鉄道局では昼夜兼行で直していますが、事故をなくするには、なによりも資材が闇に流れないように、インフレが資材の生産を妨げないようにすることが第一だと現場の人たちは言っています。

 

日本ニュース 戦後編 第62号(1947年3月)6分23秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310062_00000&seg_number=004

いよいよ選挙前哨戦       01:15
富士山になだれ         00:36
天皇林野局へ 東京<時の話題> 00:26
わたしたちもラグビー! 大阪<時の話題> 00:24
西の国境 五島列島 長崎<時の話題> 00:18
公開された世界的名画 東京<時の話題> 00:25
今週の東京裁判         00:38
逓信省もめる          02:17

いよいよ選挙前哨戦       01:15
選挙をひかえて大部分の立候補者の資格審査が3月11日締め切られました。さて落第か及第か。東京都庁締め切り時間の緊張した風景。
3月8日、国民党と協同党が合同、選挙に備えました。

《発言者氏名不明》
「憂国の至情を結集して政界の革新を図るためここに合同、新たに国民協同党を樹立することになった」

3月9日、宮城前の国際婦人デー。ここでも働く婦人として選挙にどう臨むべきかが論ぜられました。

《発言者氏名不明》
「4月に行なわれる四つの選挙に対し、現政府を構成しているような政党に絶対に入れることのないように、私たち労働者を基盤にした政党を議会に送り出したいと思うのであります」

かくて選挙を前に各方面の動きはやや活発となってきました。

富士山になだれ         00:36
3月3日夜、富士山の2合目付近になだれが起こり、雷害測定所は木っ端みじんとなり、頂上への送電線が切れ、八丈島との超短波通信ができなくなりました。今、復旧作業を急いでいますが、材料はすべてかついで運び、ひっきりなしに濃霧が襲うので工事は困難をきわめています。

天皇林野局へ 東京<時の話題> 00:26
3月7日、天皇皇后両陛下は帝室林野局へおいでになりました。皇室の御料林130万町歩が財産税として納められることになったので、両陛下はいろいろお名残を惜しまれました。

わたしたちもラグビー! 大阪<時の話題> 00:24
私たちだってラグビーぐらいはと、最近、大阪の大手前高女にラグビーのチームができました。今に男子の一流チームも負かしてやるんだとなかなかの猛練習。

西の国境 五島列島 長崎<時の話題> 00:18
今ではわが国の西の国境となった長崎県五島列島。ごらんのとおり今さかんにぶりが取れています。こんなにたくさん取れても、はたしてどれだけみなさんのお口へ入るやら。

公開された世界的名画 東京<時の話題> 00:25
今まで少数の篤志家の手にあった全ヨーロッパの世界的名画200余点が、3月10日から東京上野美術館で初めて広く一般に公開されました。

今週の東京裁判         00:38
弁護団側の反証に入ってすでに10日、いよいよ内外の注目を集めている東京裁判の証人台に、3月6日、外交評論家田村幸策、神道研究家井上孚麿、10日、元フィリピン大使村田省藏の諸氏が続々現れました。11日には記者席に中国記者団の顔も見え、元翼賛会副総裁安藤紀三郎が特に巣鴨から出廷、証人台に立ち、注目を集めました。

逓信省もめる          02:17
3月8日、衆議院では果然、逓信省内の不正事件が取り上げられ、社会党・井上良次氏より緊急質問。

《井上議員》
「犯罪を犯したところの役人たちを処罰して、大臣としての責任が逃れると考えておるかもしれませんけれども、これで責任は逃れられません」

一松逓相が立って答弁。

《一松逓相》
「工務局の一官吏が局長の名前を使い、もしくは局長の印を使って、そうして出入りの許可を許したとかいう事実があります」

事件の内容は、新宿三福ビルをある役人が勝手にダンスホールに貸した問題。もう一つは回線統制本部の予算2100万円を従業員の乏しい徹夜手当てなどに流用した事件。逓信省の大部分の従業員は成り行きを静観していますが、事件の責任者、工務局の部課長たちは職場をそっちのけ、ドアに鍵をかけて連日協議。逓信大臣の事件に対する態度はわれわれの実情を無視したものだと逓相の辞職を要求。これに対し逓相も本社記者に強硬なところを見せました。

《記者》
「大臣はこの今のままで押し通していかれるおつもりなんですか」
《一松逓相》
「今のままではだね、これはきみ、向こうがだな、大いに自粛し自戒してくれば、いつでも僕は喜んで応じるよ」
《記者》
「そうでございますか」
《一松逓相》
「自粛自戒せずしてだ、自分らの強硬な態度をもって衆を頼んで僕を圧迫しようとすれば、絶対に応じない。この機会に徹底的につきつける」

こうして10日には2課長の休職を発令しました。
ところで、逓信省のお家騒動のとんだとばっちりをうけたのは三福のダンスホールのダンサーたちです。お役人が悪いことをしようとしまいと、もしホールが閉鎖と決まれば、これは私たちの生活権の問題だと、踊り子さんの話題もなかなか深刻です。

 

日本ニュース 戦後編 第63号(1947年3月)6分39秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310063_00000&seg_number=009

“総選挙について”ヘイズ中佐語る 00:54
選挙と商売            00:59
今週の東京裁判          00:27
世界労連代表者入京<時の話題>  00:23
二人の婦人知事候補 滋賀・埼玉<時の話題> 00:23
左義長まつり 滋賀<時の話題>  00:26
人工なだれ 新潟<時の話題>   00:38
春が来た!<時の話題>      00:56
ヤミ列車を警官隊急襲       01:27

“総選挙について”ヘイズ中佐語る 00:54
3月19日、連合軍総司令部民生部民間情報教育部の記者会見で、ヘイズ中佐は本社記者の問いに対して今度の選挙について次のように答えました。

《ヘイズ中佐》
「総選挙で日本人民は選挙権の行使により、民主主義が根をおろすか否か、また世界各国との平和条約および正常なる国交回復の近道を示す重大な精神的革命を経験したか否かを表明する機会をもつであろう」

選挙と商売            00:59
四つの選挙を前に虎視眈々と立候補者の懐をねらっているいろいろな商売があります。考えたのは幻灯で、これを使って宣伝しなさいというわけ。応援弁士に学生が大もてで、その謝礼を学費にしようという魂胆らしいです。儲け代表は翻訳者とタイピストだそうです。資格審査そのほかに必要な英文書類を作るだけに莫大な実入りだといううわさ。印刷屋さんももう大繁盛です。思いがけないのはちょうちん屋さんで、これもいまやてんてこまいとのことです。

今週の東京裁判          00:27
春めいてきた3月18日、東京裁判の法廷には、松竹副社長城戸四郎氏が証人として登場。この日休憩中、控室で倒れた松井石根被告は担架で病院へ運ばれました。

世界労連代表者入京<時の話題>  00:23
3月17日来朝した世界労働組合連盟アメリカ代表タウンゼント氏は、18日夜日本の労働組合代表と懇談しました。

二人の婦人知事候補 滋賀・埼玉<時の話題> 00:23
初めての県知事選挙に名乗り出た2人の婦人候補、滋賀県愛知川の藤井静子さん(37歳)、もう一人は浦和市のヒラトトシエさんで今年48歳。さて、日本にも女の知事さんができるかどうか。

左義長まつり 滋賀<時の話題>  00:26
滋賀県近江八幡の別名きちがいまつり。2日間踊り抜き、1万円かけて作った10数本のお飾りを一瞬にして燃やすという、近江町人の地元にふさわしい豪華なおまつりです。

人工なだれ 新潟<時の話題>   00:38
なだれの襲来から線路を守るため、新潟鉄道局では3月13日から雪の難所、米坂線舘山の雪庇崩しを始めました。反対側の斜面から吹き上げられた厚さ70尺もある雪のひさしをロープでちぎり落とす危険な作業です。

春が来た!<時の話題>      00:56
春が来て焼け跡の麦も伸びてきました。動物たちにも春が来ました。東京都内では子供たちが移動保育隊を囲んで「春の歌」を歌い始めました。

ヤミ列車を警官隊急襲       01:27
3月20日払暁、200名の警官隊が有名なヤミ列車を松戸駅で襲いました。常習ヤミ列車といわれる常磐線青森発202列車は松戸止まりとなり、荷物を持った人たちは片っ端から取り調べをうけました。

《警官》
「荷物見せてください。中を広げて見せて」
《乗客》
「米と握り飯とたくわんです」

本職のヤミ屋さんはそれと知るや米を置き去りにしていち早く姿を消しました。こんな姑息なことをするよりヤミ買いをしなくてもすむようにしろとくってかかる人もあり、泣き落としにかかる人もあり、ときならぬ悲喜劇が演じられました。

 

1947年4月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19474

日本ニュース 戦後編 第64号(1947年4月)6分46秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310064_00000&seg_number=004

解散を前にもめる議会  01:22
全国選挙だより     01:19
世界労連代表工場を視察 00:35
今週の東京裁判     00:30
春の中山競馬開く    01:02
新選挙権をどう使う?  01:55

解散を前にもめる議会  01:22
中選挙区単記制で押す与党側とこれに反対の野党側と3月24日の委員会はついに乱闘騒ぎ。

《[岩本]委員長》
「議事進行について椎熊三郎君より発言を求められておりますから、それを許します」

《委員会議員》
「議長!発言はないじゃないか」

(委員会議場紛糾)

しかし、3月27日夜の状態ではどうやら中選挙区2名連記で妥協しそうな形勢となってきました。
また、進歩党の新党運動は、3月23日芦田氏の自由党脱党から急速に発展、犬養氏は満々たる自信のほどを示しました。

《記者》
「この新党を結成された場合にですね、何名ぐらいの議員を選挙によってここへ送り込むことができるでしょうか」

《犬養健》
「時代の潮にのっているから、選挙技術がうまくいけば200名以上、それが十分でなければ180何名、そういうようなところだと思いますが、まだ詳しくわかりません」

《記者》
「そうですか。どうもありがとうございました」

《犬養健》
「いやいや」

全国選挙だより     01:19
各地とも選挙戦はいよいよ活気づいてきました。
〈新潟〉
春とはいえまだ雪の深い新潟の農村でも演説会が始まりました。
〈長野〉
長野県上田市では各政党の立ち会い演説会へ農家の人たちも続々詰めかけています。
〈神戸〉
神戸では先生の立候補に学生が演説で応援しています。
〈久留米〉
2月2日以来ストライキをやっていた久留米のアサヒ連合は3月19日争議解決。喜んだ組合員たちは一人残らず選挙に投票しようと宣伝を始めました。

世界労連代表工場を視察 00:35
来朝中の世界労働組合連盟代表サイヤン団長以下の一行は、3月25日、東京芝浦電気堀川工場を訪ねました。

(世界労連代表工場視察風景)

今週の東京裁判     00:30
3月21日、市ヶ谷の法廷には片倉元少将が証人として出廷、板垣被告のもとに関東軍参謀であった満州事変当時の事情について長々と反証を行ないました。法廷は3月26日から1週間休廷となりました。

春の中山競馬開く    01:02
3月21日から始まった春の中山競馬第2日目、第3競走2600メートル障害レース。一着はコロナ、2着シンサン、3着アキツシマとなりました。

(競馬障害レース風景)

新選挙権をどう使う?  01:55
選挙を前にまだ続々海外から引き揚げてくる人たちがあります。今度の選挙ではこの人たちにも選挙権があるのですが、帰ったばかりで関心が薄いといわれています。そこで3月11日、東京上野の引き揚げ寮へ、自由党・杉田馨子さん、共産党・柄沢とし子さんが訪れました。

《氏名不明》
「それでは、みなさんに申し上げます。きょうはお話があるはずでありますから、どうぞよろしく」

《杉田馨子》
「ご承知のように、新しい憲法が5月から実施されますので、この憲法の精神に基づきまして総選挙が行なわれることになっております」

《柄沢とし子》
「そういうね、そういう働く者たちの立場に立って、何にもない貧乏人の立場に立ってね、まじめに政治をやる人をたくさん議会へ送らなければならないんです。ね」

《寮の住人》
「それはそう」

《柄沢とし子》
「それはそうなんですよ」

また今度は、秩父、高松、三笠、そのほかの皇族方にも選挙権があることになりましたが、これについての三笠宮のご感想。

《三笠宮》
「宮内庁からまだ何にもその話がありませんね。私としては、皇族はいわゆる陛下が中立的なですね、政治的にはお立場だから、非常に身近な皇族が選挙運動の中にあまり巻き込まれないほうがですね、いいんじゃないかと思っておるんですが。それでまた、選挙権をもし法律で与えられるとなれば、今度はそれを棄権するのもまた・・・」

 

日本ニュース 戦後編 第65号(1947年4月)8分38秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310065_00000&seg_number=004

貴族院-使命をおわる      01:01
学校はじまる<四月の声>    00:32
水ぬるむ<四月の声>      00:32
郵便料金値上げ<四月の声>   00:19
宝塚娘東京へ<四月の声>    00:26
選抜中等野球はじまる 甲子園<四月の声> 00:36
世界労連代表炭鉱を視察 大牟田 00:40
今週の東京裁判         00:28
暗黒からすくわれた淡路島    01:09
選挙戦いまたけなわ       02:51

貴族院-使命をおわる      01:01
3月31日、衆議院解散とともに貴族院は停会となりました。

《貴族院議長 徳川家正氏》
「それでは、第62回帝国議会最後の議事でありますとともに、貴族院最後の議事でございました。いまや追懐感慨ことに深く、明治・大正・昭和の3代における先輩議員諸公のご功労をしのび深甚の敬意を表したいと存じます」

ここに貴族院は58年の歴史の幕を閉じ、5月から参議院として生まれ変わります。

学校はじまる<四月の声>    00:32
学校が始まりました。きょうから国民学校1年生、お母さんに連れられてうれしそうです。

水ぬるむ<四月の声>      00:32
東京羽田では春の日差しに一家総出でアサリとり。食糧難の折から昔と違って潮干狩も食糧確保に大切な一役を買っています。

(潮干狩風景)

郵便料金値上げ<四月の声>   00:19
4月1日から郵便料金が値上げになりました。切手売り場は大混雑で葉書も封書もべたべたと追加の切手で一杯です。

宝塚娘東京へ<四月の声>    00:26
戦争中鳴りを静めていた宝塚少女歌劇の一行が、3月30日久々で東京へ着いていわゆるヅカファンを喜ばせました。おなじみの天津乙女、相変わらず若々しいところを見せています。

選抜中等野球はじまる 甲子園<四月の声> 00:36
空から始球式を行なって6年ぶりの選抜中等野球が甲子園で行なわれました。3月30日入場式の後、第1試合、京都一商対松本商業の接戦。最後のスクイズで京都1点を入れ、3対2で京都一商の勝ちとなりました。

世界労連代表炭鉱を視察 大牟田 00:40
来朝中の世界労働組合連盟代表サイヤン氏らの一行は、3月29日、九州三池炭鉱を訪問、坑夫たちと一緒に坑内に入り、真っ黒になりながら熱心に日本の炭鉱状況を視察しました。

今週の東京裁判         00:28
4月2日の朝、東京地方は風速27メートルにおよぶ暴風雨でした。この日再開された法廷では、元奉天省政府および蒙古自治政府最高顧問・金井章次氏出廷。満州建国に関する証言を行ないました。

暗黒からすくわれた淡路島    01:09
明石海峡の海の底を通って本土と淡路島をつないでいた海底電線に故障ができたので、今年の初めから淡路島は暗闇になろうとしていました。この修理のため電産従業員は潮流の激しい海上で電線をたぐり上げています。しかし、なかなか故障箇所がわからず、幾度か作業は失敗。ようやく故障を発見して工事に成功。電線を再び海中に投げ込むことができました。

選挙戦いまたけなわ       02:51
総選挙を目の前に4月2日、横浜で民主主義の組織について、連合軍ウィード中尉、ドノバン女史らによる婦人指導者のための講習会が開かれ、約2000人の婦人が集まりました。
同じく4月2日、東京のある労働組合の婦人たちは選挙管理委員会を訪れ、立候補者中の戦犯人について係員に鋭い質問を浴びせました。

《氏名不明》
「この人なんかね、罰金でね、選挙法違反によって罰金100円ね。また次のとき罰金100円て、何度もひっかかっているのね。こんな人がずいぶんいるわよ」

《氏名不明》
「ちょっとお伺いいたしますがね、資格審査の調書ですね、これは一般の人はね、いつでもこうやってくれば見せていただけるということを知らないんですよね」

《係員》
「それはですね、公報をですね、告示するように書いてあるんですがね」

4月1日、東京日比谷音楽堂では各政党立会演説会が開かれ、選挙を前におのおの熱弁を振るいました。

《石橋湛山氏(自由党)》
「社会党や共産党の主張する中のものでも今日の日本に必要であり、今日の日本に有利であると思うものを採用することに、あえて、やぶさかではない。これがすなわち自由主義の立場であります」

《中村高一氏(社会党)》
「生産の増強をするのには、不当な搾取を認めるような経済制度では断じて増強はできないのだ」

《三木武夫氏(国民協同党)》
「このどん底に落ちた日本が、この裸になった国民どうしが焼け野原に立って階級闘争をして日本の解決はできるか。私は断じてできぬと思う」

《犬養健氏(民主党)》
「敗戦後の日本におきましては、政治においても、経済においても、こういった大掃除をしなければなりません」

《徳田球一氏(共産党)》
「今、欠配をうけているわれわれが生きていくためには、われわれはなんといっても改革にいかざるをえないのである。さらにこういう小さいものを・・・」

かくて投票日が近づくにつれ選挙戦はいよいよ白熱化してきました。

 

日本ニュース 戦後編 第66号(1947年4月)8分33秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310066_00000&seg_number=004

政界の大物ぞくぞく追放         01:54
中等野球決勝戦 兵庫甲子園<スポーツ> 00:28
-拳闘-笹崎対高津 東京後楽園<スポーツ> 00:52
世界労連代表歓迎大会 東京<時の話題> 00:42
“文化”区長 新居格さん 東京<時の話題> 00:17
暴力で選挙妨害 栃木<時の話題>    00:27
アメリカ陸軍記念日 東京<時の話題>  00:33
今週の東京裁判             00:37
-カメラ訪問-あなたは何故棄権したの? 02:38

政界の大物ぞくぞく追放         01:54
選挙を前に、4月4日、公職追放者の第一次発表が行なわれました。この日の民主党本部。

《民主党副幹事長 田中伊三次氏》
「公職追放のね、それが今ちょうど内閣で発令しました。主だった顔ぶれを言うとね、最高委員楢橋渡君、これは該当と決定をして発表しました。犬養最高委員、河合厚生大臣、石黒幹事長は大丈夫」

ところが、政府は中央審査委員会の決定によってさらに次々と該当者を発表。その打撃がいちばん大きい民主党では、今、大丈夫と言われたばかりの最高委員犬養健氏をはじめ、幹事長石黒武重氏、電話をかけていたご本人の田中伊三次氏も追放。極端な国家主義者と決定された楢橋渡氏追放の感想。

《楢橋渡》
「いやしくも私のごとく前国務大臣をなし内閣書記官長をなした者に対して、一回の弁明の機会も与えることなくして突如として処断したことは、あたかもヒットラーのときにおけるナチの裁判よりも暴虐なものであると私は信ずるのであります」

なお、さらに追放をうわさされる人のうちには、石橋大蔵大臣、河合厚生大臣、平塚前運輸大臣があり、社会党・中村高一氏も問題になっています。
一方この嵐をよそに、追放決定の責任者吉田首相は、今ご自身の選挙戦におおわらわという形です。

中等野球決勝戦 兵庫甲子園<スポーツ> 00:28
4月7日、全国選抜中等野球優勝戦、徳島商業・小倉中学、1対1の延長戦、第13回表、徳島一挙2点をあげ、3対1で徳島商業が優勝しました。

-拳闘-笹崎対高津 東京後楽園<スポーツ> 00:52
4月5日の東京後楽園スタジアム、メインイベント、笹崎・高津の熱戦。高津左右のフックで肉薄すれば笹崎ストレートで応酬。第5ラウンド2分25秒、笹崎の右のストレート決まって高津ついにノックダウン。

世界労連代表歓迎大会 東京<時の話題> 00:42
4月5日、運輸省でルイ・サイヤン氏ら世界労連代表と労働組合の懇談会が開かれ、代表はわが国の労働戦線の統一を強調しました。
4日には宮城前で15万の勤労者が歓迎国民大会を開き全世界の労働者との団結を誓いました。

“文化”区長 新居格さん 東京<時の話題> 00:17
この度の選挙でみごと東京杉並区長に当選した街の評論家・新居格氏、さっそく街頭に乗り出しました。

暴力で選挙妨害 栃木<時の話題>    00:27
この度の選挙でみごと東京杉並区長に当選した街の評論家・新居格氏、さっそく街頭に乗り出しました。

アメリカ陸軍記念日 東京<時の話題>  00:33
4月7日のアメリカ陸軍記念日を前にして、5日、宮城前広場でアメリカ婦人部隊の分列行進が行なわれました。記念日当日には第八軍司令官アイケルバーカー中将のもとに在京部隊の閲兵式。

今週の東京裁判             00:37
4月9日、東京裁判の法廷には巣鴨に拘禁中の元比島方面参謀長和知鷹二が出廷、満州事変前後の軍部の陰謀事件について証言を行ないました。
一方、近く尋問をうけることになっている石原莞爾元中将は山形県で病気療養中です。

-カメラ訪問-あなたは何故棄権したの? 02:38
4月選挙のトップを切って、5日わが国初めての県知事・市区町村長の選挙が全国一斉に行なわれました。ところが、この選挙には投票しなかった人が意外に多く都会では5割にもなっています。なぜ棄権したか。日本ニュースは棄権者のカメラ訪問を試みました。まず棄権防止を強調しなから自分は投票しなかった植原内務大臣。

《記者》
「植原さん、どうしてあなたは棄権したんですか」

《植原内務大臣》
「1票の投票に対する責任も非常に重いけれども、全国の選挙に対して責任を持つ僕とすればやむをえない。朝まで帰ってきてその日に投票するということは不可能だったから、やむをえずこういう結果になったことは、これは国民がよく了解してくれるよ」

《記者》
「ありがとうございました」

選挙権があるかないかでもめていた皇族方のお一人、賀陽宮様。

《記者》
「問題になってました皇族方の選挙権はどうなったんですか」

《賀陽宮恒憲王》
「宮内庁の方針としてこのことにふれるなということであります」

《記者》
「そうでございますか。ありがとうございました」

選挙権を関西に置いたまま東京に出演中の宝塚ガールたち。

《記者》
「春日野さん、きょうの選挙の投票ですけれども、なさいましたでしょうか」

《春日野八千代》
「はあ、せっかく婦人参政権を与えられながら、今度はこちらへ来てしまったもので」

《記者》
「大阪でございましたならばね」

《春日野八千代》
「はあ」

朝から晩まで1日中生活に追われている人々の多い東京上野のテント村。

《記者》
「選挙のことについてどういうふうにお考えになっていますか」
《テント村住人》
「そりゃもう、今は自分の生活がこういうような状態ですから、選挙ということよりか自分の生活のことだけしか考えてないです」

戦災者のアパート。

《記者》
「おばさん、選挙行きました?」

《戦災者アパートの婦人》
「あのね、せっかくでしたけどね、わからないから行きませんでしたわ」

《記者》
「あ、そうですか。どうも」

また買い出し客もほとんど全部棄権したものと思われ、食糧の遅配、欠配が選挙運動の各種の制限とともに棄権の原因として問題になっています。

 

日本ニュース 戦後編 第67号(1947年4月)7分25秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310067_00000&seg_number=001

今週の東京裁判 東京裁判      01:21
選挙戦いよいよ大詰めへ       01:03
東海道自転車競走 大阪-東京<時の話題> 00:30
わら工品腕くらべ 東京<時の話題> 00:28
けんか祭 新潟<時の話題>     00:24
海のヤミ 陸のヤミ 政府、急迫   01:28
逝いて三十六年 啄木祭開く     02:07

今週の東京裁判 東京裁判      01:21
血なまぐさい侵略戦争を裁く東京裁判の法廷にも春がきました。鉄格子の中を被告たちが行きます。
4月14日、被告席から初めて南被告が証人台に立ちました。溥儀元満州国皇帝から南被告に送ったという親書について、本人がこれを信用したかどうか、検察官が鋭い質問を浴びせました。

《証人 南被告》
「しかし、それは本物の場合に記念としておもしろいのであって、偽であったらなんにもならねえ」

この親書は、昨年、溥儀元皇帝自身が偽物だと証言した問題の筆跡です。

《証人 南被告》
「・・・は本物であると言うたから、それでは記念のために手元に置いておこうとしたのであります」

こうして奇怪な事実がしだいに明らかになっていきます。

選挙戦いよいよ大詰めへ       01:03
参議院、衆議院選挙もあとわずか。吉田自由党総裁、片山社会党委員長ら大物もしきりに動き、街頭宣伝もいよいよ露骨。馬上豊かな侍型も現れてさすがの江戸っ子をあっと言わせました。また、ご自身、靴磨きで資金を稼いで立てという実戦型。舞台の上から半纏姿の兄い型、さては人気者まで動員して、各候補者入り乱れての必死の奮戦ぶりです。

東海道自転車競走 大阪-東京<時の話題> 00:30
大阪-東京間自転車競走。4月10日朝7時大阪を出発。東海道618キロを走って、3日目の12日、24時間11分12秒で東京に入り、宮田製作所本社が優勝しました。

わら工品腕くらべ 東京<時の話題> 00:28
4月15日、東京後楽園球場で38府県から250名の選手が集まって、かますやむしろ、縄ないの競争をやりました。

けんか祭 新潟<時の話題>     00:24
新潟県糸魚川のけんか祭、神輿をぶっつけあい勝ったほうが大漁に恵まれるという昔ながらのお祭です。

海のヤミ 陸のヤミ 政府、急迫   01:28
(東京湾)
4月12日、東京水上警察は東京湾のヤミ船を襲いました。東京湾を根城とするこれらの船は遠く北海道あたりからのヤミ輸送にもあたっていました。この日摘発されたものは、米、酒、魚、干物、ゴム、皮類など約3000貫におよびました。

(埼玉)
一方、陸上では、4月15日、有名なヤミ列車、金沢発602列車を250名の警官が大宮駅で急襲。白米、酒、卵などが大量に押さえられました。
さらに警官隊は新潟発708列車を襲いました。欠配続きで中には食うや食わずの気の毒な買い出し客もありましたが、悪質ブローカー26名と集団窃盗が検束されました。

逝いて三十六年 啄木祭開く     02:07
4月13日、第37回忌啄木祭が日劇小劇場で行なわれました。

(啄木祭の模様)

石川啄木は、明治18年岩手県に生まれ、北海道から東京まで、常に貧乏と孤独と病苦と闘いつつ、人間の解放についてうたい続けました。
この民衆の詩人は、多くのすぐれた詩と歌を残して、28歳の若さでこの悲惨な生涯を終わりました。

 

日本ニュース 戦後編 第68号(1947年4月)10分53秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310068_00000&seg_number=008

五月の声            01:40
各地で火事ひんぴん       01:02
今週の東京裁判         00:42
フラナガン神父来朝 東京<時の話題> 00:22
革新陣営から若手長官 北海道<時の話題> 00:17
また省線事故 東京<時の話題> 00:32
はなひらく野球シーズン     00:53
参議院選挙おわる        02:11
日本ニュース号外        03:11

五月の声            01:40
5月です。麦も青々と伸びました。
5月の大きな行事は新憲法の施行です。漫画の横山隆一さんが「新憲法ガルタ」に腕をふるっています。特配のたばこも用意され、お酒も街に着きました。
もう一つの行事、メーデー。今年も宮城前人民の広場に集まろうと労働組合では準備を始めました。

各地で火事ひんぴん       01:02
〈八ガ岳〉
4月14日、山梨県と長野県の境、八ガ岳山麓で近来にない大山火事が起こりました。原因はたき火の不始末といわれ、火は4日3晩燃え続け、6000町歩の山林が烏有に帰しました。

〈飯田市〉
4月20日、参議院選挙当日、飯田市の中央部から出火、折からの強風に火はたちまち三方に燃え広がり、4000世帯の罹災者を出しました。このため参議院の選挙は25日、再選挙が行なわれました。

今週の東京裁判         00:42
4月18日、元満州皇帝溥儀氏が自分の書いたものでないと否定した親書が問題の焦点となり、弁護団側の筆跡鑑定人、警視庁高村技師は、これは彼の真筆であるとして、問題の書と溥儀氏の筆跡を比較した27枚の証拠写真を提出しました。
かくて22日、ラザレス弁護人の冒頭陳述より日華事変の段階に入りました。

フラナガン神父来朝 東京<時の話題> 00:22
日本の子供に会うため、はるばる来朝した「少年の町」で有名なフラナガン神父は、4月23日羽田飛行場に到着しました。

革新陣営から若手長官 北海道<時の話題> 00:17
全国でいちばん若い知事さんとして、係長から一躍北海道長官に選ばれた田中敏文氏は、労働組合、農民組合の推薦だけあって大変な人気です。

また省線事故 東京<時の話題> 00:32
4月24日朝8時40分ごろ、東京田端駅付近で停車中の桜木町行き電車に鶴見行き電車が追突、車体の半分がめり込んで乗務員4名即死、重軽傷65名の犠牲者を出しました。

はなひらく野球シーズン     00:53
〈六大学リーグ〉
春季六大学リーグ戦は、4月23日、東京・後楽園スタジアムにおいて華やかに開幕されました。第1試合、早稲田対立教の一戦、早稲田の打棒大いに振るい、8対0で大勝。

〈職業野球〉
同じく後楽園で18日、職業野球の第1試合、スターとフライヤーズの熱戦、1対0とリードされたスター9回裏の攻撃、ピンチヒッター内藤の二塁打でランナー2人ホームイン、2対1で勝ちました。

参議院選挙おわる        02:11
4月20日、世界注視のうちに初めての参議院選挙が行なわれました。東京ではフランス通信のクルー氏が特に各投票所を見て回りました。豊島区役所では投票をすませた人たちをつかまえて鮮やかな日本語で質問。

《クルー氏》
「民主主義はどう思いますか?」

《男性有権者》
「大変けっこうだと思います」

《クルー氏》
「今度はどんな政党に?」

《女性有権者》
「そうですねぇ、どの政党といっても、まだよくわかりませんけど」

《クルー氏》
「今年は何度目?」

《女性有権者》
「2回目です」

《クルー氏》
「2回目ですか」

《女性有権者》
「はあ」

《クルー氏》
「今朝は投票しました? 女の人は、少ないでしょう。どうでしたか」

《男性有権者》
「天気はよいし、花見どきでもあってですね、日曜だから、かえって逆に棄権が多いんじゃないかと私は思っております」

21日から一斉に開票されましたが、古い封建的な貴族院の匂いはなくなったといわれています。当選した新しい顔ぶれ。今のところ最高点の星製薬の星一氏、小説家の山本有三氏、元小学校長の木内キヤウさん、資本家代表といわれる膳桂之助氏、労働組合代表のうちで目立つのは電産の佐々木良作氏、教員組合の岩間正男氏、国鉄労働組合の鈴木[清一]委員長。

《国鉄労組 鈴木清一氏》
「今まで一緒に働いたみなさんのどこを向いておるか。あなた方がどこを考えておるかということをよく自分はつかんでおるつもりなんです。でありまするので、このみなさんの気持ちを本当に議会に反映して努力していこうではありませんか」

《支持者》
「バンザイ、バンザイ、バンザイ」

日本ニュース号外        03:11
〈衆議院総選挙〉

4月25日の総選挙は全国一斉に行なわれましたが、大火事のために焼け野原となった長野県飯田市では、参議院選挙のやり直しとともに衆議院議員の投票も行なわれました。
翌26日、全国で開票。各新聞、通信社はわきたっています。
東京有楽町付近は速報を見る人の波で埋まりました。
民主党本部では当選者が出るたびに太鼓を叩いています。
この日、早くも衆議院当選者は新聞社のバルコニーから第一声を放ちました。

《民主党 櫻内義雄氏》
「(聞き取り困難)」

《共産党 野坂参三氏》
「この変革期において、少数ではいい、少数でもかまわねえ、嵐に抗して、あくまで衆議院に向かって進むもの、これが絶対に必要である。これはすなわち私は共産党よりほかにないと考えている」

社会党は142名の当選者を出してついに第一党となり、自由党は131名で第2位、民主党が第3位となりました。第2位に落ちた自由党では次のように語りました。

《自由党 大野伴睦氏》
「今日ね、社会党が少なくとも第一党になったという現実の事実はやね、ぼかすことはできんが、ただしだ、自分がまた第一党になりうると思うておる。わが党に入党する人も予約されたりする人もあるんだから、必ずしも今度の数だけでは社会党が第一党であると断ずることはできないと思う」

第1位の社会党。

《社会党 片山哲氏》
「苦節30有5年が報いられて、日本社会党、時局を担当することになりました。われわれは民主革命と社会主義断行のために猛進するものであることを、ここに国民大衆諸君に向かって改めて約束するものであります」

はたして社会党片山首班内閣ができるか。連立内閣となるか。総理大臣の椅子をめぐって政局は相当混乱するものと予想されています。

 

1947年5月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19475

日本ニュース 戦後編 第69号(1947年5月)7分47秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310069_00000&seg_number=008

“社会”か“自由”か 注目されるインフレ対策 01:29
銅像の戦犯裁判           01:11
今週の東京裁判           00:36
ウソ発見機 東京<時の話題>    00:43
フラナガン神父京都へ<時の話題>  00:20
新国会変りダネ 島根・福岡<時の話題> 00:17
B29 機動演習 埼玉<時の話題> 00:33
第18回メーデー          02:35

“社会”か“自由”か 注目されるインフレ対策 01:29
インフレはどうなるか。第一党の社会党・鈴木茂三郎氏の見解。

《社会党 鈴木茂三郎氏》
「インフレを防ぐには新円と物価と国民生活の安定を図ること、第2には勤労階級の協力を得て生産の増強を図ること、これはすでに失敗した石橋財政ではだめであって、勤労階級の信頼を得られる社会党首班の内閣でなければできないことであります」

これに対し第二党になった自由党石橋蔵相。

《石橋蔵相》
「社会党の今まで言っていることと変わってることは、例の新円の問題だけだけど、これはもう社会党であってもなくても、何党であってもこれは絶対やれることで、別段今までやったこととたいして変わりないと」

その石橋財政は5月から700円の枠をはずしましたが、こうしている間にも店先の日常品はうなぎ登り、竹の子生活者は手をつかねて傍観のていです。
しかし、シーズンともなれば府中の東京競馬は新円階級でこの混雑。さてインフレと内閣はこれから先どうなるのでしょうか。

銅像の戦犯裁判           01:11
戦争をあおった銅像を追放しようと東京で審査委員会が開かれています。

《審査委員会》
「広瀬武夫および杉野孫七銅像を問題にいたします。読んでください。
この銅像は、国民の戦意高揚を強調し、敵がい心をそそるものと考えられるから撤去する」

広瀬中佐と杉野兵曹長は戦犯銅像と決定。近く姿を消すことになりました。
上野の西郷さんは美術的価値ありとして合格しました。
軍閥の代表、山県元帥や大山元帥は芸術的だというので目下慎重に審議中とのことです。

今週の東京裁判           00:36
今週の法廷は第2次上海事変の審議を続行。5月1日、証人台に立った当時の上海総領事岡本季正氏は事件発生当時の日本軍の状況につき証言。中国検事から鋭い質問を浴び、被告たちや日本人傍聴者の注目をひきました。

ウソ発見機 東京<時の話題>    00:43
警視庁ご自慢のウソ発見機、本名・電気生理現象記録装置の実験台に映画スターが立ちました。

《警視庁係官》
「あなたは恋愛結婚についてどうお考えになりますか」

《東宝 若山せつ子》
「まじめな恋愛結婚ならいいと思います」

《警視庁係官》
「あなたは今、愛人がありますか」

《若山せつ子》
「いいえ」

《警視庁係官》
「次に難しい暗算をやってもらいましょうかな。75の3倍は?」

《若山せつ子》
「225です」

フラナガン神父京都へ<時の話題>  00:20
来朝中のフラナガン神父は4月28日、京都市の和敬学園を訪れ、国境を越えた愛情に気の毒な子供たちを喜ばせました。

新国会変りダネ 島根・福岡<時の話題> 00:17
新代議士の変わりダネ、島根の共産党・木村栄氏は荷馬車引きが本業。福岡の社会党・福田昌子さんも開票当日からもう仕事です。

B29 機動演習 埼玉<時の話題> 00:33
アメリカ空軍のB29、9機が機動演習を行うため日本に到着。5月1日、埼玉県[原音のまま]の横田飛行場にその巨大な姿を現しました。

第18回メーデー          02:35
働く者のお祭りメーデー。5月1日、東京宮城前の人民広場は約50万の労働者や農民、勤労市民に埋められました。この日、メーデー始まって以来、初めて設けられた舞台の上に勤労者の喜びと団結の力を明るく繰り広げました。

《労働者代表》
「第18回メーデーにあたって、われわれ全日本の労働階級は高らかに宣言す。労働階級が鉄鎖を打ち砕いて、自らを解放し、果てしなき自由の国を打ち立てる日まで、ゆるぎなき団結と鉄の意思を持って闘争し続けるであろうことを。1947年5月1日、第18回東京地方メーデー」

《参加者》
「バンザイ、バンザイ」

 

日本ニュース 戦後編 第70号(1947年5月)8分26秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310070_00000&seg_number=003

新憲法施行-多彩な催し-      02:26
今週の東京裁判           00:57
値下げ運動ひろがる 東京・大阪<時の話題> 00:37
人さわがせの青酸カリ 埼玉<時の話題> 00:28
久しぶりの大タコ 浜松<時の話題> 00:24
-キャメラ報告-お台場の子供たち 東京 01:53
新内閣はどうなる?         01:38

新憲法施行-多彩な催し-      02:26
昭和22年5月3日、明治欽定憲法はついに58年間の歴史を閉じました。そして民主主義に基づく新しい憲法がその第一歩を踏み出しました。
この日を記念して宮城前広場では折からの雨の中に式典が行なわれました。国民の象徴となられた天皇が式場にお見えになりました。
記念の数々の催しのうち、東京ナイルキニック競技場では体育大会が開かれました。上野美術館では現代美術展。

(“鎌を研ぐ” 吉井忠)
(“巷” 藤沼朝保)
(“新生” 長沼孝三)

帝国劇場では祝賀会が開かれ、吉田首相の顔も見え、踊りや合唱のほか諏訪根自子さんのすぐれた演奏が行なわれました。

(パガニーニ作曲「無窮動」演奏 諏訪根自子さん)

今週の東京裁判           00:57
きょうも被告を乗せたバスが焼け跡を巣鴨から市ヶ谷へ通ってゆきます。東京裁判も5月3日でちょうど1年、文明の裁判はなお峻烈に続けられてゆきます。5月1日、2日、証人石原莞爾元中将を調べるため法廷は山形県酒田に出張、商工会議所を臨時法廷として尋問を行ないました。

値下げ運動ひろがる 東京・大阪<時の話題> 00:37
尼崎から始まった値下げ運動は、日本一のヤミ値に悩む大阪から東京に移り銀座でも1割から5分の値下げ。

《東京・銀座 金城商会》
「物価値下げ運動は私ども大賛成です。しかし、実際問題として私ども小売商はマル公の引き上げ運動をしなければ、とてもこれ以上やっていけない状態です」

人さわがせの青酸カリ 埼玉<時の話題> 00:28
ちょっとなめてもころりと死ぬという青酸カリが、ドラム缶1本分盗まれ、関東地方は大騒ぎしましたが、5月4日、近くの麦畑で発見されました。だが犯人は不明。お巡りさんが工場で「この中に犯人がいるなら自首せよ」と勧告しています。

久しぶりの大タコ 浜松<時の話題> 00:24
5月5日、静岡県浜松名物大タコ揚げ。若い衆たちが勢い込んで繰り出しています。しかし残念がら風が弱くて呼び物のタコ切りのスリルは今年は見られませんでした。

-キャメラ報告-お台場の子供たち 東京 01:53
徳川幕府が黒船来襲におびえて品川沖に作ったお台場は、今、浮浪児の収容所になっています。児童福祉週間を迎えて、われわれがこの収容所を訪れると、子供たちは雨の中を飛び出してきました。外へ出られない雨の日はこのような遊びで時を過ごしています。

《記者》
「何しているの。おなかすかない?」

《少年》
「すかないです」

《記者》
「そう?今、坊やたちがいちばんほしいものはなあに?」

《少年》
「靴です」

《記者》
「こちらの坊やは?」

《少年》
「時計です」

《記者》
「時計って、どういう時計?」

《少年》
「柱時計です」

《記者》
「柱時計。柱時計は何するの?」

《少年》
「居間にいたら時間がわからないから」

人懐かしいらしく、食料を積んだ小舟がきてもみんなで駆け出してゆきます。離れ小島での教育が効を奏するかどうか、浮浪児対策の問題はなお今後にあるようです。

新内閣はどうなる?         01:38
吉田内閣は5月6日、総辞職を延期しました。

《林官房長官》
「内閣の総辞職の決定をいつ出すかということについてはまだ決まりません。諸般の事情を斟酌したうえで適当なときに出す」

次期政権はどこへゆくか。この日、自由党本部は案外静かで成り行きを静観の感じです。5月5日、民主党では議員総会を開き、総裁問題をめぐって紛糾しました。社会党は5月7日、中央委員会を開催。

《氏名不明》
「具体的に言って、総辞職は延びておるということは、社会党の態度を今後どうするか。この間において骨抜きにされるようなことはないか。この間において社会党はどういう方針を持っているか」

《記者》
「今後第一党である社会党としてはですね、どういうふうに政局に対処していかれますか」

《社会党 片山委員長》
「祖国の危機を救うと、こういう意味で社会党は全精力を集中して乗り出すというわけでありまして、きょうの中央委員会でもその空気が非常に強く現れております」

翌5月8日午後、片山氏は吉田首相と会見して4党首会談を行う旨決定。新憲法のもと、いよいよ政局の動きは本格的になってきました。

 

日本ニュース 戦後編 第71号(1947年5月)8分31秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310071_00000&seg_number=007

ひろがる波紋-値下げ運動-    01:21
銑鉄八千トン輸入         00:58
今週の東京裁判          00:36
スターのたまご 東京<時の話題> 00:23
商震上将軍入京 東京       00:15
五年ぶりに鵜飼 岐阜<時の話題> 00:30
夜の街に非常線 東京<時の話題> 00:23
“子供たちよすこやかに!”    01:02
新国会迫る どうなる四党会談?  02:59

ひろがる波紋-値下げ運動-    01:21
5月9日、ヤミの世の中に憤慨して夫婦が自殺しました。大阪西区山王町の今井林蔵さん夫婦がそれで、インフレの世相はまことに深刻です。
このインフレを少しでも退治するために、経済警察では連日警察官を動員、値下げ運動に名を借るお菓子のヤミ取り締まりにまで乗り出しました。
東京目黒では5月13日、消費者と業者が高いものを買わない座談会を開きました。

《消費者》
「なにしろ今、物価も高こうございまして、こうした値下げ運動が起こされているんでざあますけれども、この値下げと同時に非常に目方に不正があるような気がいたします」

「ことに4月からまたこの3倍も運賃が値上げされる。そしてたばことか、すべて、郵便にいたしましても、ずいぶんだんだん高くなっていって、これではインフレを政府が自らそれを肯定しているとしか考えられません」

銑鉄八千トン輸入         00:58
連合軍の許可を得て、銑鉄8000トンが輸入されることになり、5月10日その一部1900トンが東京芝浦に到着しました。この銑鉄は戦争の名残のくず鉄と一緒に溶かされ鋼鉄材になる予定で、ようやく希望が見えてきました。
日本鋼管工場ではすでに鋼鉄の生産が始まっています。しかし、現在の生産高は1か月約5000トン、戦争前のわずか3分の1です。石炭不足などのため、高炉、平炉のうちで三つしか動いていない状態で、前途はまだまだ楽観を許さないといわれています。

今週の東京裁判          00:36
5月7日、証人として河辺正三元大将が出廷、「漢口には虐殺事件なし」と述べ、次いで8日には長谷川元海軍大将が事変当時の海軍の立場について証言を行ないました。13日の傍聴席には珍しくマッカーサー元帥夫人が姿を見せました。

スターのたまご 東京<時の話題> 00:23
5月9日、東宝ニューフェース採用試験。審査員は監督や俳優のお歴々です。

(ニューフェース採用試験の模様)

スターになるのもなかなか骨がおれます。

商震上将軍入京 東京       00:15
駐日中国代表団長に任命された商震上将は、5月10日上海から飛行機で東京羽田に到着しました。

五年ぶりに鵜飼 岐阜<時の話題> 00:30
岐阜県長良川の鵜飼が5月11日、五年ぶりで復活しました。名人といわれる山下鵜匠が相変わらず鮮やかな腕前を見せています。

夜の街に非常線 東京<時の話題> 00:23
5月14日の真夜中、廣岡警視総監の陣頭指揮で、警視庁は突如非常警戒を行ないました。大物は捕まりませんでしたが、肉のヤミそのほかが摘発されました。

“子供たちよすこやかに!”    01:02
(福岡)
フラナガン神父は5月5日、九州博多を視察しましたが、その来朝を記念して東京では児童福祉週間の催しが続いています。その一つ児童保育班が野外保育を行なっています。
5月15日には東京荒川で赤ちゃんの審査会。丸々と太ったご自慢の赤ちゃんばかりですが、それでも戦争前と比べると一般に体格は落ちているそうです。

新国会迫る どうなる四党会談?  02:59
だれが政局を引き受けるか。社会、自由、民主、国協、四党代表者会談が5月10日衆議院内で開かれました。会談が終わって西尾社会党書記長は次のように語りました。

《西尾社会党書記長》
「今度の、この四党会談において、時局の重大性にかんがみ、四党連立内閣を組織し、もって難局打開に協力することに意見の一致をみた」

12日、自由党では社会党に対する方針を協議。

《自由党代議士会》
「社会党に対する国民の感情を申しますならば、マムシとまではいかないがなんとなく気味が悪い、ヘビのごとき感じを持っておる、ということを私は感じておるものであります」

自由党では片山首班反対の声が強いようです。

《氏名不明》
「首班は、従って現在においては社会党の片山君を認めてもしかたがない」

同じ日、開かれた第一次4党幹事長会談では、社会党から政策協定の案が出されました。さらに14日、第二次会談が行なわれましたが、首班をだれにするか、そのほかの問題が未解決のまま残されています。
一方、国会では20日の招集を前に各党の議席の割り当て、今度は社会党が真ん中を占めています。
新しい主人公を待つ国会をどう考えるか。議事堂に働く交換手さんと一問一答。

《記者》
「どうです、だいぶ変わりましたか?」

《交換手》
「そうですね、昔とだいぶ変わりましたね」

《記者》
「どういうふうに変わりました?」

《交換手》
「昔の議員さんはずいぶん無理を言われましてね、私たちも困りましたけれど、今度の議員さんはそんな無理を言わなくなりまして、仕事が楽になりました」

大正2年、山本内閣のとき以来、地下のボイラー室で35年暮らしたおじいさん。

《ボイラーマン》
「山本内閣の当時のことを思いますよ」

《記者》
「今度新しく国会ができて、いろいろ変わってくると思いますが、ここはどうですか。変わりましたか」

《ボイラーマン》
「いいえ、まだなんでございますが、そう変わったという様子も見えませんけども、変わりましたと思うのは、われわれの生活程度ぐらいのものだと思います」

議事堂も戦時中のあかを洗い落とし、新しい国民の国会として出発の日を待っています。

 

日本ニュース 戦後編 第72号(1947年5月)8分25秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310072_00000&seg_number=005

幾春別炭鉱全焼す 北海道     00:58
二百町歩埋没 地すべり続く 新潟 01:12
今週の東京裁判          00:43
アユ釣りはじまる 静岡<時の話題> 00:37
国宝焼く 京都<時の話題>    00:25
市長さんカメに乗る 門司<時の話題> 00:25
小グマとカンガルー 東京<時の話題> 00:23
労働歌で進水式          01:02
第一回国会早くも難航       02:35

幾春別炭鉱全焼す 北海道     00:58
5月16日午前、北海道空知郡幾春別の市街地に火災が起こり、折からの強風に火の手はたちまち炭鉱地帯に延び、坑員住宅、炭鉱施設などを焼き払い、さらに隣の本別炭鉱に燃え移り、巻き上げ機、コンプレッサー、変電所など、鉱山施設の大部分を失いました。日1万3000トンも出るといわれる本別炭鉱はそのため向こう約1か年、仕事ができなくなりました。

二百町歩埋没 地すべり続く 新潟 01:12
5月19日朝、新潟県西頚城郡権現岳の麓に突如、地すべりが起こり、時速二メートルの速度で家や立ち木を押し倒し、200町歩を埋没。すでに能生谷村柵口部落は全滅しました。原因は地震で地割れしたところへ雪解けの水が流れ込んだためといわれています。
危険に瀕するたびにほら貝で知らせ、村民たちは続々高いところへ避難しています。今のところ行方不明1名のほか死傷者は出ておりませんが、地すべりは3日目の22日にいたってもなお続いています。

今週の東京裁判          00:43
5月16日、東京裁判の法廷では、ソ連関係の防共協定、張鼓峰、ノモンハン事件などについて、ラザラス弁護人が冒陳述を行い注目を集めました。ソ連関係者は緊張の面持ちです。

アユ釣りはじまる 静岡<時の話題> 00:37
初夏の味覚アユが静岡県狩野川で5月16日解禁になりました。このアユはその日のうちに東京のお魚屋さんに100匁150円で姿を見せました。

国宝焼く 京都<時の話題>    00:25
5月17日朝、京都東山の名刹、智積院の火災。国宝の襖絵は宿泊中の学生などの手で運び出されましたが、[狩野]山楽の「びわの図」など16面は惜しくも焼けてしまいました。

市長さんカメに乗る 門司<時の話題> 00:25
5月13日から3日間行なわれた門司の港まつり。中野新市長は浦島太郎に仮装して市内を練り歩きました。

小グマとカンガルー 東京<時の話題> 00:23
クマとカンガルーの赤ちゃんが生まれました。子供たちの人気を集めて東京上野動物園は大にぎわいです。

労働歌で進水式          01:02
賃金値上げの要求から争議に入っていた日本鋼管鶴見造船所では、5月16日交渉決裂。ちょうどこのころ4700トンの貨物船大月丸ができあがりましたが、争議中でもわれわれの手で作った船はわれわれの手で進水させようと、決裂の翌17日、日本で初めて組合の労働歌による進水式が行なわれました。

第一回国会早くも難航       02:35
5月20日、第1回国会召集。この日、吉田内閣総理大臣は新憲法の規定に従い宮城に参内して辞表を提出。ここに吉田内閣は総辞職しました。
議事堂では新しい国会議員たちが当選確認証を持って続々登院してきます。
吉田首相の社会党左派排撃から、予定の4党連立がひっくり返ったため、本議会が開けず、ここへ議長問題がからんで各党対立。議場の裏側では各党幹部とそれを追う新聞記者の往来が盛んです。
参議院ではこの夜9時になってようやく松平恒雄氏が初代議長に当選しました。衆議院では翌21日夜10時、議場混乱のうちに投票によってやっと議長が決まりました。

《事務総長》
「274点、松岡駒吉君」

このまま大部分の人たちが夜を明かし、翌22日、首班問題の駆け引きに忙しい幹部のほかはしごくのんびりした様子です。
待ちくたびれた傍聴席。わざわざ大阪から来たという人の感想。

《傍聴人》
「私はね、3時間、4時間待ってもかまいませんがね、今日の時局としましては、社会の情勢から考えたら、1日でも早いこと、早く内閣を組織してもらって、国民を安心のうちにしてもらいたいということが私は希望です」

政局はどこへ落ち着くのか。問題の片山さんをめぐって、22日夜にはまだ予測を許さない状態です。

 

1947年6月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19476

日本ニュース 戦後編 第73号(1947年6月)8分29秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310073_00000

六月の声               01:22
慶応義塾九十年祭           00:56
今週の東京裁判            00:40
関西学生ボクシング 西宮<スポーツ> 00:41
六大学野球 慶明二回戦 東京<スポーツ> 00:39
いわし大漁<時の話題>        00:31
名人にいどむ塚田八段 東京<時の話題> 00:35
千年前のらくがき発見 奈良・法隆寺<時の話題> 00:36
政変大詰に近づく           02:25

六月の声               01:22
(上高地)
梓川の雪解けの水もぬるみ、アルプス登山が始まりました。

(北海道)
北海道にも初夏が訪れました。

(千葉)
水郷で名高い千葉県の佐原ではもう田植えが始まっています。

(東京)
東京の焼け跡には麦が実り、婦人警官の夏帽子が目立ちます。
今月から主食は持ち込み配給になりましたが、ただ残念ながら遅配が続いています。

慶応義塾九十年祭           00:56
福沢諭吉翁が安政5年慶応義塾を開いてから今年で90年。「天ハ人ノ上ニ人ヲ造ラズ」に始まる有名な『学問のススメ』などの著書によって明治初年すでに民主主義思想を主張。明治8年には日本で初めての公衆のための演説館を建てました。この創立90周年を記念して、慶応義塾大学では5月20日、記念式典を挙行、天皇陛下がお見えになりましたが、私立大学へは今度が初めてです。

今週の東京裁判            00:40
5月22日、東京第一病院で影佐元中将に対する出張尋問が行なわれ、汪兆銘かつぎ出しのいきさつが明らかにされました。
市ヶ谷の法廷では5月27日、証人荻洲[立兵]元中将に対し、ソ連側スミルノフ検事はノモンハン事件について地図を片手に鋭く追及しました。

関西学生ボクシング 西宮<スポーツ> 00:41
5月27日、西宮で行なわれた第1回関西学生ボクシングトーナメント、ものすごい肉弾戦の末、関西学院大学と関西大学が勝ち残りました。

六大学野球 慶明二回戦 東京<スポーツ> 00:39
5月28日、東京後楽園スタジアム、慶明第2回戦。第1回、明治2点、さらに2回、2点を追加。慶応、第5回、山村のレフトフライで高橋ホームイン、1点を返します。しかし、ついに及ばず4対1で明治の雪辱がなりました。

いわし大漁<時の話題>        00:31
もと要塞地帯であった三崎港から夜中の2時に出ていった漁船は1日のいわしの漁獲高1万貫。ただし、これは人間の口へは入らず、まぐろやかつお漁のえさとして冷凍倉庫へしまい込まれます。

名人にいどむ塚田八段 東京<時の話題> 00:35
5月27日、棋界注視のうちに、10年間不敗を誇る木村[義雄]名人対塚田[正夫]8段の名人決定第7回戦が東京中野で行なわれました。盤上殺気をはらむ熱戦の末、ついに千日手となり、さし直しとなりました。

千年前のらくがき発見 奈良・法隆寺<時の話題> 00:36
戦争中、爆撃を恐れて解体されていた奈良・法隆寺の国宝、聖霊院などが再建されることになり、5月24日上棟式が行なわれました。天井板を調べた結果、およそ1000年前の落書きが発見されて注目を集めています。

政変大詰に近づく           02:25
5月23日夜になって国会は総理大臣に社会党・片山哲氏を指名しました。

《議長》
「片山哲君を内閣総理大臣に指名することにご異議ありませぬか」
 (「異議なし」という声)
「ご異議なしと認めます」

《片山新首相》
「私は国民大衆諸君のご支持によりまして、本日内閣総理大臣となりました。日本の再建のために、民族的危機を突破するために、渾身の勇を払って闘いたいと思うのであります」

翌日、社会党・西尾、水谷両氏がうれしそうな顔で首相官邸へやってきます。各新聞写真班の苦心惨憺ぶりを尻目に、中では組閣参謀が熟議の最中。折から食肉組合の牛を連れてのデモが組閣本部の前を通りかかりました。その牛の歩みにも似てきわめてのろい組閣工作は依然難航。26日には吉田、芦田、片山の4党連立に関する3党首会談。自由、民主両保守政党の複雑な内部事情と、社会党左派問題をめぐって、組閣は暗礁に乗り上げたままです。組閣の駆け引きや意見の交換で、自由、民主両党間の往来が盛んです。自由党は相変わらず強硬に野党にまわる決意を固めています。

《西尾末広》
「連立内閣の中に自由党を包含することはほとんど絶望的である」

一方、秘密会を重ねている民主党の態度は、29日にいたってもまだ決まりません。さらにこの日、芦田、幣原、斎藤氏らと片山首相会談。どうやら3党連立になりそうな気配のまま夜に入りました。

 

日本ニュース 戦後編 第74号(1947年6月)8分34秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310074_00000&seg_number=006

十四年ぶりに阿蘇山爆発 熊本   01:19
海底電線工事成る 青森-北海道  01:04
天皇陛下関西へ 京都<時の話題> 00:46
オートバイ競走 広島<時の話題> 00:31
佐渡の鯛漁 新潟<時の話題>   00:42
ヤミ反対のさかなやさん 名古屋<時の話題> 00:22
六大学野球早明戦 後楽園     01:09
片山内閣に何をのぞむか 大阪・東京 02:38

十四年ぶりに阿蘇山爆発 熊本   01:19
5月26日午後0時30分、阿蘇山が14年ぶりで爆発。焼け石とともに高さ2000メートルにも達する煙を噴き上げました。
阿蘇山観測所員は危険を冒して観測を続けています。
立野、尾ヶ石方面では農作物が相当な被害をうけました。爆発は今なお続いています。

海底電線工事成る 青森-北海道  01:04
青森県石崎から北海道当別まで70.5キロの海底電信電話線敷設工事が5月31日から行なわれました。石崎ではまず海底線がたくさんの浮きをつけて陸上の線につながれます。船が動き出すにつれて線はどんどん海の中へ繰り込まれます。途中、船の中から通じるかどうか試験をしながら仕事が進められ、6月1日完成。こうして本土-北海道間の通信力は2倍になりました。

天皇陛下関西へ 京都<時の話題> 00:46
天皇陛下は関西地方をご視察のため、4日夕刻、京都駅にお着きになりました。駅前は歓迎の市民で埋まりました。

オートバイ競走 広島<時の話題> 00:31
全国オートバイレースが6月1日、広島市で行なわれました。6000メートル1着は広島の島村選手、白いオートバイ、4分14秒。

佐渡の鯛漁 新潟<時の話題>   00:42
佐渡相川は鯛の本場。最近は1網で3000貫もの鯛が1日2回水揚げされます。この鯛はすぐ消費地へ送られますが、地元相川の町では1枚30円が相場です。

ヤミ反対のさかなやさん 名古屋<時の話題> 00:22
佐渡では大漁、さて名古屋ではお魚屋さんがヤミのお魚を撲滅せよのプラカードを立てて5月28日市内を練り歩きました。

六大学野球早明戦 後楽園     01:09
東京後楽園スタジアム、早明野球第1回戦、4対4の引分けのあと、4日第2回戦。2対1と1点リードの早稲田、8回裏の攻撃、ランナー一塁、二塁、バッター蔭山、ボールカウント、ツーストライクスリーボール。ピッチャー小川、投げました、打ちました、ライト、センター間痛烈な当たり、三塁のランナーホームイン、二塁の山下、三塁を越えてホーム殺到、セーフ。早稲田ついに4点。9回の裏、明治最後の攻撃、無死満塁、絶好のチャンスを迎えてバッター土屋、ピッチャー岡本、投げました、打ちました、ショートゴロ、一塁のランナー、フォースアウト、ランナーは1人ホームイン。1点を返しました。続くバッター宝山、打ちました、ライトフライ、ランナー、スタート、本塁をねらいます。タッチアウト、ゲームセット。ついに4対2で早稲田に凱歌があがりました。

片山内閣に何をのぞむか 大阪・東京 02:38
5月31日夜、片山内閣入閣者の発表。

《西尾官房長官》
「組閣本部の最終的決定を発表いたします。首相・片山哲、外務・芦田均、大蔵・矢野庄太郎、文部・森戸辰男、商工・水谷長三郎」

さしも難航を続けた片山内閣の組閣工作は、5月31日の夜に入って完了。翌1日、認証式を終え、ここに社会、民主、国協3党連立内閣が誕生しました。
さて、この片山内閣に国民は何を望むか。まず大阪駅前の本社街頭録音。

(大阪駅前)
《男性》
「政策を協定しあっている関係上、すこぶるそこに勇猛果敢な断行力というものに欠けると、そういうふうに思うんです。だからあまり大なる期待はかけてはおりません」
《男性》
「中央におけるボス官僚と、それから地方のボス官僚をですね、これを一掃しなければだめなんです」

(大阪阿倍野)
《女性》
「やはりなんですね、この台所のお野菜なんかは丸公で、まず公定価格で、今までのようなこの厳しいことなしに、何でも安うにですね、台所まわりがまずいけるようにしていただきたいと思いますわね」

次に東京では何を望むか。

(東京駅前)
《男性》
「結局、ヤミとかですね、インフレとか、そういった問題でわれわれは困り抜いておりますから、そのために今度社会党がですね、第一党になったということも、またそういうところに原因があるだろうと思います」

(東京芝浦)
《男性》
「われわれはですね、保守内閣のもとにおいては絶対に生産復興はありえないということを身をもって体験しました。片山内閣けっこう」
《男性》
「強力に社会主義政策を断行してもらいたいと思っております」

(埼玉県大和)
《男性》
「そうですね、今度初めての社会党の内閣さんで、トウム(聞き取り困難)が期待はしておりますわね」
《男性》
「肥料だね、大豆は。自分のうちに配給してもらえるような方法をしてもらいたもんだね」

 

日本ニュース 戦後編 第75号(1947年6月)8分40秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310075_00000&seg_number=001

危機打開へ緊急対策発表       00:52
今週の東京裁判           00:35
六大学野球早慶第一回戦       01:10
天皇工場御視察 大阪<時の話題>  00:43
婦人民主化大会 山形<時の話題>  00:27
満員の劇場倒壊 岸和田<時の話題> 00:33
名物ぺーロン競走 長崎<時の話題> 00:38
思い出の城に“荒城の月” 会津若松 00:56
どう突破する食糧の不足       02:43

危機打開へ緊急対策発表       00:52
片山内閣は、6月11日、民間代表を首相官邸に招いて、経済危機に対処する緊急対策を発表しました。

《和田安本長官》
「分配の公正化と、不当な利得者の排除に一段の努力を払い、まじめに働く者同士が一層切実につながり合う体制を生み出すことによって、窮乏の生活をそれだけ耐えやすいものとすることができる」

次いで片山首相の挨拶。

《片山首相》
「われわれのねらいましたる向きを十分に理解願って、一致したご支援を望みたいのであります」

今週の東京裁判           00:35
ソ連段階の大詰めに入った6月9日の法廷には、証人元満蒙軍の矢野光二氏が出廷。

《矢野光二氏》
「・・・やのがわ(聞き取り困難)に達し、某川に沿うて西し・・・」

次いで張鼓峰事件の解決につき、証人台に立った宇垣元大将は重光被告に有利な証言を行ないました。

六大学野球早慶第一回戦       01:10
六大学今シーズンの覇権をかけた6月10日の早慶第1回戦。切符問題でもめた早稲田も応援団を繰り出して熱戦の火ぶたを切りました。第1回、慶応の攻撃、ワンダウン、ランナー二塁、バッターは久保木、打ちました。ヒット、レフト前ヒット、二塁のランナー三塁をまわってホームイン。慶応の打棒大いに振るい、1回2点、3回さらに2点。7回慶応の攻撃。バッター久保、荒川投手第5球投げました、打ちました、大きな当たり、ライト、センター間、ランナー一塁から二塁、球は転々外野の柵に跳ね返っています。ランナーは二塁から三塁、さらに三塁からホーム殺到。早稲田懸命のバックホーム、一瞬早くランナーホームイン、ホームラン。第8回、早稲田の攻撃。この回1点を返し、なおワンダウン、ランナー二塁、バッター岡本、打ちました、二塁左を抜くヒット、二塁のランナー、ホームイン。早稲田2点獲得。しかし、ついに及ばず5A[アルファ]対2、慶応に凱歌があがりました。

天皇工場御視察 大阪<時の話題>  00:43
関西ご視察中の天皇陛下は、6月5日、大阪住友電気工業に御成りになりました。

《氏名不明》
「当社の30年以上勤続者でございまして、41名いるんでございます」

《天皇陛下》
「ああ、長いね、30年。戦災にもあったんだろう?」

《氏名不明》
「いえ、戦災にはあいません」

《天皇陛下》
「あ、そう。ずいぶん長い。どうかひとつ、新日本建設にお互いに努力していきたいね」

婦人民主化大会 山形<時の話題>  00:27
6月9日、10日の両日、山形市ブレイザー劇場で婦人民主化大会が開かれ、総司令部よりウィード中尉、ホルムズ博士、女弁護士・渡辺道子氏らが来場、婦人問題や民法改正などについて講演をしました。

満員の劇場倒壊 岸和田<時の話題> 00:33
6月8日午後2時半、大阪岸和田劇場で素人演芸を開催中、突然劇場の屋根が崩れ落ち、97名の死傷者を出しました。この劇場は相当古いので前から危険視されていたものです。

名物ぺーロン競走 長崎<時の話題> 00:38
港長崎の名物ペーロン競争が6月8日行なわれました。1舟25人の海の男が力を合わせ3里のコースを抜きつ抜かれつの大接戦。優勝した舟の主将には栄養満点の首飾りが贈られました。

思い出の城に“荒城の月” 会津若松 00:56
6月5日、有名な「荒城の月」の作詩者、土井晩翆翁夫妻を迎え、ゆかりの会津若松鶴ヶ城址で記念碑除幕式が行なわれました。

どう突破する食糧の不足       02:43
〈五千町歩にひょう害〉
食糧事情がますます苦しくなってきたとき、たまたま6月8日午後4時ごろ、埼玉、栃木、群馬の各県にわたり、そら豆大のひょうが降り、刈り入れ前の麦や馬鈴薯をはじめ桑や蚕なども大きな損害をうけました。

〈農村の実状は?〉
東京都立第八高女の生徒たちは10日、社会科の勉強に神奈川県下の農村へ出かけました。

《生徒》
「今年は涼しかったり雨が降ったりして気候が不順ですけれども、小麦のできはどうでしょうか」

《農民》
「どうもハデガケのときに雨が降ったりなんかしているから麦がとれない。それに霜がついちゃってよけいにだめだったね」

《生徒》
「それで、麦の病気ってどんなのがあるんでしょう」

《農民》
「そうだな、アカシブってのは、お前たち見たことあるけえ。これだ。こうなるからな、とれねえっていうわけだ」

《生徒》
「供出をしたあと、おじさんたちの食べ量はどのくらい残しておくのですか」

《農民》
「そうだな、政府の決められた量だけ残すんだが、それじゃあ、やっぱり足りねえな」

翌11日には平野農林大臣を訪問しました。

《生徒》
「きのう見てきたんですけれども、平野さんはお百姓さんのご経験はあるんでしょうか」

《平野農相》
「あります」

《生徒》
「じゃあ、お百姓さんのお心はよくおわかりになりますか?」

《平野農相》
「ああ、お百姓さんの心はね、私がいちばんよく知っているつもりです」

《生徒》
「供出物はだれとご相談のうえでお決めになりますか」

《平野農相》
「供出はですね、現在のところは、農林省のほうで数字を決めて、それを決めるのは県知事さん、あるいは地方の食糧委員というような人たちと順次相談をして決定する。そういうことなんです」

《生徒》
「農家の方々のご意見も入るんですか」

《平野農相》
「むろん入ります。むろん最後的にはですね、農家の人の言うことを聞いて、それで決めます」

新麦、馬鈴薯の供出について、政府は10日、首相官邸に地方長官を招集、割り当て会議を開きました。全国民の期待は、この食糧危機をどう乗り切るか、片山内閣のこの食糧対策に集中されています。

 

日本ニュース 戦後編 第76号(1947年6月)8分49秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310076_00000&seg_number=002

今週の東京裁判          01:10
-キャメラ報告-海底の炭鉱 長崎、高島炭鉱 01:34
-六大学野球-慶応優勝す     01:22
世界航空路東京へ- 羽田<時の話題> 00:40
天皇文楽を御覧 大阪<時の話題> 00:38
小平判決 東京<時の話題>    00:26
財閥株一般売出し 東京<時の話題> 00:23
フラナガン神父帰る 横須賀<時の話題> 00:29
-再開近し-貿易の現状は?    02:03

今週の東京裁判          01:10
いよいよ日独伊三国関係の反証に入った法廷には、6月17日スターマー元ドイツ大使が証人として出廷。三国同盟締結はリッペントロップ外相の命令どおりにしたにすぎないと証言しました。
すぐる昭和15年9月、三国同盟成立祝賀会では当のスターマー特派大使が条約締結の立役者として一般から注目されました。

《スターマー大使》
「閣下ですか。如何です?」

《大島》
「今度はお国へ大きなお土産を持って帰れますね」

《スターマー大使》
「条約締結というお土産があるので嬉しく思っています」

この軍事同盟がはたして太平洋戦争を目的にしたかどうか。それが審理の焦点になっています。

《スターマー元大使》
「それについて、聞いたことはありません」

-キャメラ報告-海底の炭鉱 長崎、高島炭鉱 01:34
長崎港の沖にある高島炭鉱は、かつては囚人を酷使し、明治初年以来、数回にわたって血なまぐさい暴動まで起こったところです。しかし、その一つ端島は今では島中が大ビルディングで坑夫長屋も9階建てのアパートになっています。最近は設備もここがいちばんよいと伝えられていますが、坑道は数千尺の地下から海のほうまで延びており、石炭は海の底から掘り出されているありさまです。
石炭増産のため、国家管理が問題になっているおりから、働く人たちの増産の見通しは。

《記者》
「政府で3000万トン出したいと言っているわけですね。この炭鉱では3万トンまでいきませんか、ここでは」

《坑員》
「3万トンまでは、実は私どもも心配しているのでありますが、目標は、2万3000トンだけはなんとかして確保したい。そういうときは全部十分に責任を果たすつもりでおります」

-六大学野球-慶応優勝す     01:22
六大学春の王座を決する早慶第2回戦、6月17日の後楽園スタジアム。第1回、慶応の攻撃、ワンダンフルベース。バッターは大島、ピッチャー岡本、投げました。打ちました。ライト線上のヒット。三塁のランナー増山、二塁の久保木、くつわを並べてホームイン。その裏、早稲田の攻撃、バッター山下、大島投げました。打ちました。ヒット。ライト前ヒット。三塁の岡本勇躍ホームイン。早稲田1点を返しました。第3回、早稲田の攻撃、バッター片山、打ちました。ライト右のヒット。一塁のランナー頴川ホーム殺到。球はホームに返りました。ランナーはさまれました。アウト、アウト。4対2慶応リードのまま第7回、慶応の攻撃、バッター大島、打ちました。大きな当たり、レフト左を抜きました。二塁の久保木、三塁を回って、さらに本塁へ。ホームイン。続いて一塁の加藤ホームイン。かくて6対2、慶応は6大学リーグ春の覇権を獲得しました。

世界航空路東京へ- 羽田<時の話題> 00:40
アメリカのノースウエスト航空会社の太平洋横断商業航空路が7月15日から開設されることになりました。使用機はダグラス46人乗りで、シアトルから東京までわずか22時間。キング東洋総支配人は、この航路によってアメリカと日本の間がもっとしっかり結ばれることを望む、と語りました。

天皇文楽を御覧 大阪<時の話題> 00:38
関西ご視察の日程を終えた天皇陛下は、6月14日、文楽座に御成り、大阪が誇る古典芸能、人形浄瑠璃を初めてご覧になりました。
片山首相、一松厚相の姿も見えます。

小平判決 東京<時の話題>    00:26
殺人鬼小平義雄は6月18日、東京地方裁判所において岸裁判長より死刑の判決を言い渡されました。これに対し小平の弁護人・三宅正太郎氏は控訴をするといわれます。

財閥株一般売出し 東京<時の話題> 00:23
勧業銀行の金庫にしまい込まれていた200億円にのぼる財閥の株券が一般に売り出されることになり、6月18日、東京市政会館で証券処理調整協議会が開かれました。

フラナガン神父帰る 横須賀<時の話題> 00:29
来朝以来、浮浪児の問題を調査していたフラナガン神父は、6月17日帰米の途につきました。

《フラナガン神父》
日本を去るにあたって、私は皆さまに神の祝福があるようお祈りします。サヨナラ。

-再開近し-貿易の現状は?    02:03
貿易再開を前に、6月19日、東京で全国貿易業者大会が開かれました。

《和田安本長官》
「押し詰めていけば、やはり商品の世界においても、経済の世界においても、どこの世界においても、最後の勝利を得るものは、私はこれは信用だろうと思います。」

すでに貿易館には竹や藁細工品、陶器、漆器など、全国各地からいろいろな輸出品の見本がわれこそはとばかり集まってきています。これらの商品は厳密な検査をうけます。しかし、中には象嵌がはげたり亀裂ができたりする粗悪品も見えます。かつて輸出品の王座を占めた生糸はすでにアメリカではナイロンに押され、横浜の倉庫には売れないままに積まれているものも相当あります。輸出品の中でいちばん有望と見られる綿糸の工場では、資金、資材の不足や技術の未熟から生産は戦前の10分の1であるといわれています

《工場の人》
「貿易が再開になりましても、綿の問題だとか、電力の問題だとか、熟練工の不足だとか、という問題がありまして、なかなかそう簡単に華々しいスタートはできないと思います」

待望の世界貿易への参加をひかえながら、前途には幾多の困難があり、これが必要な食糧や原料の輸入に影響するだけに注目されています。

 

1947年7月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19477

日本ニュース 戦後編 第77号(1947年7月)
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310077_00000&seg_number=008

7月の声               01:22
第一回国会開会式           00:40
カメラ報告 終戦以来最高の生産 八幡製鉄所 01:23
首相を迎えて“街”の国会 東京・銀座<時の話題> 00:43
四大学水上競技 宝塚<時の話題>   00:40
幾春別たち上がる 北海道<時の話題> 00:34
世界一周クリッパー機着く 羽田<時の話題> 00:50
洪水の危機迫る-           02:19

7月の声               01:22
七月になってもまだ梅雨が続いています。

《中央気象台久米技官》
「今年はこういう本格的な梅雨が久しぶりでやってきて、そのうえ少し早めにきました。ところによっては相当な大雨があって、一部では農作物にも影響があったようです」

長引く梅雨で待っていた新ジャガには病害が出てしまいました。茨城県桜井村付近ではベト病のため例年の半分という収穫です。
わずかな晴れ間、町の壕舎生活にはありがたいひと時です。
子供たちは真夏のくるのが待ちきれないようにもう泳ぎ始めました。

第一回国会開会式           00:40
6月23日、天皇陛下を迎えて新憲法下初の国会開会式が行なわれました。一般国民も初めて参列、まず松岡衆議院議長が国会の重要性を強調、次いで天皇陛下が勅語をお読みになりました。

《天皇陛下》
「第一回国会の開会式に臨み、全国民を代表する諸君と一堂に会することは、わたくしの深く喜びとするところである」

カメラ報告 終戦以来最高の生産 八幡製鉄所 01:23
終戦後、立ち直りに困難をきわめていた九州の八幡製鉄所は、最近しだいに生産を回復、6月16日には三つの溶鉱炉から銑鉄806トンという新記録を出しました。しかし、ここでも欠配の影響は深刻です。

《記者》
「加配米は今どうなっていますか」

《工員》
「加配米は、2月ごろですよ、100グラムずつよけいにいただきました」

《記者》
「それから?」

《工員》
「それから今までありません」

《記者》
「加配米はないんですか」

《工員》
「ありません。一つもありません」

《記者》
「八幡の支払いは何日ですか、今は」

《工員》
「そうですね、今、5月初めから約24、5日ぐらいじゃないかと思いますがね」

現場の労働者たちはビタミン剤などでやっと栄養を補給しています。今度こそは必ず配給されるという加配米に期待をかけながら、90度を超える暑さの中で頑張っているのです。

首相を迎えて“街”の国会 東京・銀座<時の話題> 00:43
6月23日の銀座街頭。

《市民》
「これがもしできなければ、ヘンデンショ【聞き取り困難】をしてあげてください。この議、片山総理大臣先生にお願いいたします。終わり」

《片山首相》
「これは非常に重要な問題でありまして、政府におきましても直ちに税制の改革という問題を取り上げまして、目下慎重研究中であります」

《藤倉アナウンサー》
「群衆の中に和田さんももみくちゃになっていますが、ちょっとあけてください。おあけ願います」

四大学水上競技 宝塚<時の話題>   00:40
第4回明治・立教・日大・関大の対抗水上大会は6月22日宝塚プールで挙行。400メーター自由形では日大の古橋選手、4分51秒2の大会新記録を樹立しました。

幾春別たち上がる 北海道<時の話題> 00:34
去る5月16日、鉱山施設のほとんど全部を消失した幾春別炭鉱では、このほど町民大会を開き、自分の家より炭鉱の復興を先にしようと決議しました。

世界一周クリッパー機着く 羽田<時の話題> 00:50
旅客機による初めての世界一周機クリッパーアメリカ号は、アメリカ言論界の名士ロイ・ハワード氏ら20名を乗せて、6月26日午後、上海から東京羽田に到着しました。パンアメリカ航空会社社長ジョン・トリップ氏、ヒューストンポスト副社長ホビー夫人ら、登場の人々は盛んな歓迎をうけました。

洪水の危機迫る-           02:19
降り続く雨で九州をはじめ各地に洪水が起こり、同じような危険が全国に広がっています。山形県庄内の最上川は、昭和19年、21年、今年の4月と、最近3回にわたって各所の堤防が崩れ、両岸の耕地6500町歩が水浸しになりましたが、それを防ぐ対策はいまだに十分とはいえない実情です。
上流の山は乱伐から丸坊主になったところがいたるところにあり、そのため雨が降ると一時に水を増し土砂が崩れて洪水の一つの原因となっています。
下流、庄内平野余目付近では堤防が崩れたり割れ目を生じ、また1キロにわたって堤が流れ去ったままになっています。ひと度水が増せばたちまち押し流されるこの田畑。しかし、その一坪の土地も惜しんで農民たちははかない努力を続けています。
内務省の修理工事は資材不足や予算の不十分から思うように進まず、ただ付近の農民たちが農繁期の手不足をおして協力しているばかりです。この堤防を直さなければ、また今年も洪水がくる。

《農家の女性》
「あの堤防をこのままにしておけば・・・【聞き取り不能】」

農家のおかみさんの言葉どおり、今、庄内平野には大きな水の恐怖が刻一刻と迫っています。

 

日本ニュース 戦後編 第78号(1947年7月)7分42秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310078_00000&seg_number=008

片山首相国会第一声        01:26
水禍、ついに各地を襲う      01:22
水谷さんはだかで視察 常磐炭田  00:56
神保元中佐帰る 東京<時の話題> 00:38
食いだおれ追放 大阪<時の話題> 00:41
“俺たちにエサを与えよ” 東京<時の話題> 00:30
行き悩む“国鉄”再建 運賃値上げ是か非か? 東京 00:58
又も列車事故 山陽線       01:07

片山首相国会第一声        01:26
《議長》
「内閣総理大臣片山哲君」

7月1日、衆議院本会議で片山首相は施政方針演説を行い、危機突破に対処する政府の方針を述べました。

《片山首相》
「問題は、民主主義を政治上のみにとどめることなく、これを産業、経済の部面にも広く透徹させたいと考えておるのであります。産業経済の発展は、実にその機構の民主化に負うところ多大であるのであります」

3日には野党側から吉田自由党総裁が質問に立ちました。

《吉田自由党総裁》
「勤労大衆に理解を有せられる首相におかれて、よく現下の経済実相を国民大衆に理解せしめられ、産業の合理化、過剰人員の整理等につきましては、失業対策とともに適宜適当な措置をとられるようにと希望いたすわけであります」

水禍、ついに各地を襲う      01:22
すでに本社ニュースで警告したとおり、ついに水害は裏日本の各地を襲いました。

〈長野〉
27日夜からの豪雨で長野県大糸線の鉄橋は押し流されました。

〈山形〉
山形県米沢地方では山間の小川までどっと出水、200余町歩の水田が荒らされました。

〈石川〉
石川県河北潟付近では昨年と同じ数百町歩の田畑が水びたしとなり1万2000石の米もとれないといわれています。

〈新潟〉
新潟県下でも各河川の堤防が決壊、水田3万余町歩に冠水しました。特に岩室村では排水路の不備から水の引く見込みはなく、農民たちは少しでも作物を助けようと必死の努力を続けています。

水谷さんはだかで視察 常磐炭田  00:56
炭鉱国家管理の問題などを実際に見るため、水谷商工大臣は6月29、30の両日、茨城県高萩、福島県常磐の両炭鉱を視察しました。地下2000尺の坑内に初めて入った水谷さん、摂氏43度という猛烈な蒸し暑さの中でしみじみと労働者の苦しさを味わいました。

《水谷商工大臣》
「常磐炭鉱が世界一の暑い山であるということは聞いておりましたが、さて自分が入ってみると聞きしにまさるひどいところであって、この悪条件のもとで8時間労働をやるところの炭鉱労務者の苦労というものは一通りでないと思います」

神保元中佐帰る 東京<時の話題> 00:38
話題の人、神保元中佐が6月28日、品川駅に到着。同氏は戦争中、日本軍に殺されようとしたロハス現フィリピン大統領を救い出した人です。

《神保元中佐》
「ロハス大統領は、全比島民衆の衆望をになっておりましたので、大統領ご自身のご人格が自分の危険な運命を開いたものと思っております」

食いだおれ追放 大阪<時の話題> 00:41
食いだおれで有名な大阪市内の各料理屋も7月5日からは閉鎖と決まりました。

《店の女性》
「もう第一ね、いちばん困るなと思いましたです。子供は抱えていますしね、どうしてやっていこうかしらんて、焼けてしまうたし、何にもあらしまへんしね」

しかし閉鎖を目前に各料理屋さんとも新円階級で大にぎわいの様子です。

“俺たちにエサを与えよ” 東京<時の話題> 00:30
えさに悩む豚、牛、鶏などが、7月2日、上野の山下で人間によびかけました。

「あーあ。おなかがぺこぺこにすいちゃったわ。毎日毎日こんなすき腹じゃ、ろくな卵もうめやしないわ。ねぇ、みなさんわたしたちに餌をください。」

行き悩む“国鉄”再建 運賃値上げ是か非か? 東京 00:58
6月30日、東京日比谷公会堂で国鉄の運賃値上げ問題について放送討論会が開かれ、結局、反対の意見が多数を占めました。

《討論会参加者・男性》
「国鉄はある程度の値上げをしなければならないということは認めます。しかし、その率はいくらか、その根拠はどこにあるか」

《討論会参加者・男性》
「7月5日よりの値上げの達しがきております。運賃、まだ一般に知らせていないのは当局の怠慢であります」

《討論会参加者・男性》
「国鉄の運賃が値上がればインフレが増進してついには日本が滅びてしまうのではないかと思いますが」

《伊能鉄道総局長官》
「生活必需物資の運賃値上げにつきましては、(聞き取り困難)生活水準を著しく窮迫せしめることのないような基準のもとに値上げ率を考慮いたしております」

又も列車事故 山陽線       01:07
値上げをしようとしている矢先、またも列車事故が起こりました。7月1日午後1時過ぎ、山陽線光・下松間で東京発801列車が脱線。機関車もろとも客車4両が転覆して死傷者74名を出しました。このへんはたびたび事故を起こし、前から危険だといわれていたところです。度重なるこういう惨事は国鉄再建の前途に暗い影を投じています。

 

日本ニュース 戦後編 第79号(1947年7月)7分38秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310079_00000&seg_number=002

アメリカ独立記念日         01:11
片山内閣激励大会 東京<時の話題> 00:33
黒船まつり 下田<みなさんの声 東京・石垣肇> 00:32
“戦争と平和”大臣見学 東京    00:38
英語ご上達 皇太子さま 東京    00:38
新公定価発表さる          01:51
璽光さま“行状記”御殿場の巻    02:10

アメリカ独立記念日         01:11
7月4日、アメリカ独立記念日、東京宮城前広場では、マッカーサー元帥、アイケルバーガー中将臨席のもとに閲兵式が行われました。
今から171年前、アメリカは当時のイギリスの植民政策に対抗して独立戦争を起こし、1776年7月4日、歴史的な独立宣言を公表。自由なアメリカ民主主義の基礎を築き、ワシントンが初代大統領に選ばれました。
この日、閲兵式のあとアメリカ軍は東京の市内行進を行いました。

片山内閣激励大会 東京<時の話題> 00:33
7月6日、宮城前広場で産別、総同盟、日農など各団体約2万人が、社会党激励国民大会を開き、公約の即時実行を要求しました。続いて激励デモを行ないました。

黒船まつり 下田<みなさんの声 東京・石垣肇> 00:32
ペルリ提督の黒船来航を記念する黒船まつりが、7月6、7の両日、伊豆の下田に復活。アメリカ最初の領事館玉泉寺へアチソン大使の代理やウッドラフ少将らの一行が訪れ、ハリス初代領事の記念碑に花束を捧げました。

“戦争と平和”大臣見学 東京    00:38
7月7日、『戦争と平和』の試写会に森戸、和田両大臣が顔を見せ、賀陽宮ご一家もご見物。終わって座談会を開き、森戸文相は政治家もよい映画をもっと見るべきだとさばけたところを見せました。

英語ご上達 皇太子さま 東京    00:38
皇太子様は、7月9日、東京小金井の学習院でヴァイニング夫人から1学期最後の英語の授業をうけられました。各社のカメラや記者団に囲まれて皇太子様ははにかんでおられます。

新公定価発表さる          01:51
7月5日、片山内閣は物価安定のため鉄道運賃や主食などの値上げを発表。

《和田安本長官》
「わが国経済の現状にかんがみ、主要食糧の消費者価格、石炭の生産者価格および消費者価格、鉄道運賃、海上運賃等について7月6日からこれら改定を実施することとした」

鉄道運賃は一躍3倍半に飛び上がりました。主食は約3倍の値上がりとなりました。

〈北海道〉
遅配のいちばんひどい北海道では、値上げをしたら今度こそは正確に配給してくれと、7月8日、札幌で市民大会を開いて深刻な叫びをあげました。

〈高知〉
高知では米がなくなり主食のかわりにカボチャを配給するにいたっています。

〈東京〉
東京の都民たちは、汽車賃の上がらないうちにと、6日どっと買い出しに出かけました。背負ってくるのはキャベツ、馬鈴薯が多いようです。値が上がっても配給に問題があり、買い出しの苦労はなお続いています。

璽光さま“行状記”御殿場の巻    02:10
璽光尊が秩父宮邸に座り込んだというので本社のカメラはすわこそと駆けつけましたが、時すでに遅く大宮旅館に閉じこもったあと、2階の奥深く引きこもったきりで、便所にも行きません。部屋の前には屈強の護衛兵。台膳部員が買い出しから帰ってきます。新聞記者やカメラマンは悪戦苦闘。なんとかして拝謁の光栄に浴したいと2階に忍び寄ります。だが、内閣総理大臣に追い払われました。今度は屋根にまでよじ登りましたが、カーテンがそよぐばかり。やっと呉清源氏と記者会見。宿屋のおかみさんと本社員の一問一答。

《記者》
「璽光様というのは、自分の思い通りにならないとですね、魂を抜いてしまうということをいいますけどね、おばさんそのほうは大丈夫?」
《おかみ》
「大丈夫。そのほうはもうしっかりしたものですよ」
《記者》
「しっかりしたものですか」
《おかみ》
「ええ。全然もう。なんだか、見たとこは本当の普通の人間なんですけどね、精神そのものは私らには全然想像がつきませんですね」

ついに7月9日夕刻、ご神技あらたかならず、璽光様の一行はうなり声をたてて逃げ出しました。

 

日本ニュース 戦後編 第80号(1947年7月)7分59秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310080_00000&seg_number=004

別子銅山争議解決       01:37
千年前の古墳を発掘 鎌倉   00:52
灯ろう流し 東京<時の話題> 00:32
刀なしの野馬追い 福島・飯畑幸男<みなさんの声> 00:22
璽光さま避暑へ- 山中湖   00:31
産別大会開く 東京      00:28
水のなやみ          01:16
イントク物資めぐって“世耕”事件拡大 02:17

別子銅山争議解決       01:37
四国愛媛県新居浜の北220キロの四阪島には有名な別子銅山の精錬所があります。ここは今でも封建的な名残の強いところといわれています。船で水を運んでこなければならない不便なところです。この貴重な水を事務の職員はいつでも自由に使い風呂もどんどんわかしています。これにひきかえ現場で働く労働者のほうは時間給水です。わずかな時間に行列をつくって水をもらわなければなりません。

《記者》
「水の配給は1日どれくらいあるんですか」

《主婦》
「大人で2斗で子供に1斗です」

《記者》
「職員さんのほうはどうですか」

《主婦》
「あっちのほうはもう1日中いつでも汲めます」

このような封建的な身分制度をやめようということから別子銅山の争議は始まったのですが、1か月のストライキの後、7月18日ようやく解決。労働組合と職員組合が一つになって身分制度はなくなることになりました。

千年前の古墳を発掘 鎌倉   00:52
鎌倉稲村ヶ崎の西北方、姥ケ谷にある約千年前の30余りの古墳の群れが、東大ミカミ講師らの手で5月17日から発掘されています。これによって当時の生活の一端がうかがわれます。これは奈良朝の末から平安朝の初めころの豪族のお墓で、珍しく完全な形で残っています。幾種類ものノミを使った跡があり、奥には作りつけの石の棺がありました。頭蓋骨は崩れても歯だけは千年前のものがそのまま完全に残っていました。

灯ろう流し 東京<時の話題> 00:32
東京のお盆。戦争の痛手も忘れて久しぶりに築地本願寺では盆踊りが行われました。隅田川では船を繰り出しての灯籠流し。

刀なしの野馬追い 福島・飯畑幸男<みなさんの声> 00:22
福島県相馬の野馬追いは7月12日雲雀ヶ原で行われました。今年は刀なしの武者600騎が旗の奪い合いを演じました。

璽光さま避暑へ- 山中湖   00:31
世間の話題をにぎわした璽光さまは、7月13日、突然富士山麓山中湖畔のさる別荘に現れました。昼寝中の神様は布団の中に隠れました。

産別大会開く 東京      00:28
産別会議の全国大会は、7月10日から4日間、東京の明治大学講堂で開催。聴濤議長の後任に菅道氏が選ばれました。

《菅道議長》
「従来の一切のゆきがかりは捨てまして、総同盟、中立との戦線の統一を行いまして、市民、農民と一緒になりまして民族危機を突破せねばならんと痛感しているしだいでございます」

水のなやみ          01:16
7月の農村は水が多すぎても足りなくても悩みの種です。

〈新潟〉
先日の洪水で無残にやられた新潟県下では半ば腐った苗をなんとかして生かそうと泥を落として力をつけてやっています。

〈奈良〉
洪水に悩む新潟にひきかえ奈良県磯城郡ではかんかん照りで地割れがしています。苗代の苗は枯れかかってしまいました。しかし今田植えをしなければ今年はお米が取れなくなるので、この人たちは一粒でも収穫したいものと昔のままの方法で大変な苦労を重ねています。

イントク物資めぐって“世耕”事件拡大 02:17
問題の世耕事件。7月16日、経済安定本部では次のように語りました。

《國塩安本監査局長》
「世間では世耕情報とかいって、500とかあるなしいろいろ騒いでおるようです。その根拠になっている資料というものが必ずしも確実でないので、われわれのほうにもですね、その真相というのはよくわかっておりません。

安定本部では世耕情報そのほかの情報に基づいて調査をしていますが、某毛織工場の防空壕では伝えられた軍服1万着は形もないという結果でした。東京都内某銀行の倉庫ももぬけの殻とのことでした。
これに対し、いわゆる世耕指令書で問題の自由党・世耕弘一氏は7月15日こう言っています。

《記者》
「500億の隠匿物資がですね、実際にころがっているということ、これは事実ですか」

《世耕弘一》
「私も各方面から集まった情報を基礎にして、結論は結局500億以上の[ものが]実在するという結論が出るわけです」

《記者》
「この閣僚の中にですね、この問題に関係した方がいらっしゃるということはいえますか」

《世耕弘一》
「私のうけた報告書によりますと、ないとは言われない」

《記者》
「あるわけですね」

《世耕弘一》
「あるというほうがむしろ近いと思う」

こうして、しだいに政治問題に発展してきた隠退蔵物資は、産業復興公団にこのようにして保管されている3000万円だけなのか、それとも世耕氏の言うとおり500億円あるのかどうか、世耕事件はようやく拡大のきざしを見せてきました。

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2017年1月15日 (日)

日本ニュース 戦争証言アーカイブス 戦後編 第41号(1946年10月)〜第60号(1947年3月)

 特に戦前の日本ニュースは、大本営発表で検閲済み国策映像。ただし、それはそれで当時の空気を想像・実感するのに役立つ貴重な資料映像です。すべてリンクと再生テキストを資料保存しておきました。なおリンク先ではすべて映像を見ることができます

 

日本ニュース 戦争証言アーカイブス
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi

日本ニュース一覧
「日本ニュース」は、太平洋戦争を間近に控えた1940年(昭和15年)から終戦をはさみ、1951年(昭和26年)まで制作されたニュース映画です。制作したのは、「日本映画社」(※)で、1940年にそれまで4つに分かれていた新聞社や通信社のニュース映画部門を国策により統合したものです。
戦時中の「日本ニュース」は、日本軍や内務省の検閲を受けた後、毎週映画館で封切られ、国民の戦意高揚に用いられました。テレビがない時代、国民は「日本ニュース」が伝える真珠湾攻撃や特攻隊出撃、学徒出陣の様子を映画館で目にしたのです。
「日本ニュース」は、戦争完遂を目的にした国策映画ですが、太平洋戦争中の映像記録として大変貴重なものです。「戦争証言アーカイブス」では、1940年(昭和15年)の第1号から、戦後も含め、1948年末までのものを公開しています。

※(1941年5月までの会社名は「日本ニュース映画社」)
※日本ニュース戦後編の再生テキストは、国立歴史民俗博物館の協力で作成しています。

 

日本ニュース 戦後編 第41号(1946年10月)7分37秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310041_00000&seg_number=004

昭和十七年に対ソ戦争の計画(東京裁判) 01:30
皇太子さんの英語の先生 東京<時の話題> 00:26
海底から水田に 岡山<時の話題>    00:29
何を見たか和田農相 埼玉<時の話題>  00:18
十四年ぶり浅草観音様浮世に<時の話題> 00:30
米第八軍上陸演習            01:04
注視の的“10月”ゼネスト 政治闘争か、経済ゼネストか 00:54
ひろがるストの波            00:53
読売争議解決す             01:29

昭和十七年に対ソ戦争の計画(東京裁判) 01:30
昭和16年3月、ときの外務大臣松岡はモスクワにおいて日ソ中立条約に調印。スターリン、モロトフ氏らに対し、この条約によって日本はソビエトを攻撃しないという態度を見せましたが、しかし事実は同じ年7月の御前会議では、昭和17年にソビエトに侵略する作戦計画を決定。航空部隊、機械化部隊を中心とする100万の大軍を満州に集中、大規模な演習を繰り返して対ソ攻撃の機をうかがっていました。
 日本軍国主義者の計画では、満州国の西より突入してシベリア鉄道を一挙に遮断、極東ソ連を占領し、さらにオムスクを境にして、東は日本、西はドイツという虫のよい山分けのプランでありました。
10月8日、ソ連側ゴルンスキーは東京裁判の検事法廷でこの真相を暴露、日本のすべての戦争指導者たちの責任を鋭く追及しました。

皇太子さんの英語の先生 東京<時の話題> 00:26
今年14になった皇太子殿下の英語の家庭教師として天皇陛下から招かれたアメリカのヴァイニング夫人が15日来朝、淀橋の官舎に落ち着きました。

海底から水田に 岡山<時の話題>    00:29
食糧不足、土地不足の折りから、海の底をたんぼにしようと岡山県児島湾の開拓工事が戦災者や復員者の手で行なわれております。深さ平均1メートル半、わずかな引き潮を見計らってやる難事業ですが、すでに開拓された3000町歩はなかなかの出来栄えです。

何を見たか和田農相 埼玉<時の話題>  00:18
埼玉県北足立郡の馬頭観音で13年ぶりで行なわれた宝舞、和田農相もこの年代がかった豊年踊りに議会のあかを落としています。

十四年ぶり浅草観音様浮世に<時の話題> 00:30
にぎやかな太鼓に明けた浅草復興祭3日目の13日、浅草寺の観音様のご開帳が14年ぶりで行なわれました。当日の呼び物、ご開帳恒例の稚児さんの行列。復興祭とご開帳にこの日の人出40万。焼け出されても観音様、相変わらずの人気です。

米第八軍上陸演習            01:04
サイパン、フィリピン、沖縄などの上陸作戦にその精鋭さを誇ったアメリカ第八軍が日本における最初の上陸演習を神奈川県茅ヶ崎海岸で行ないました。10月14日には、空軍の援護下、上陸用の舟艇でまず歩兵が敵前上陸。さらに水陸両用の装甲車、タンクなども特殊輸送船から岸にのし上げ、みごとな機動力を見せました。
こういうアメリカ軍の本土上陸を竹槍で迎えようとしたかつての日本軍の無謀さが今さらのように感じられます。

注視の的“10月”ゼネスト 政治闘争か、経済ゼネストか 00:54
《河合厚生大臣》
「最近のゼネストのように経済のらちを超えて政治目的を達しようとするのは好ましくない。ことに議会を無視してゼネストの力で政治目的を達成させるのは非民主的だと私は思います」

《聴濤産別議長》
「とんでもないことでしてね、それは政府の完全なデマです。ところが、われわれの掲げている要求を見てもらえばわかるように、首切り反対にしても、勤労所得税の撤廃にしても、労働時間の問題にしても、すべてこれは労働者の基本的な生活権の問題なんです。労働組合として最も初歩的な要求なんです。このためにやるわれわれ労働者自身の闘争を、政治ゼネストだということに切り換えて、これを粉砕しようとするのが政府の意図であると」

ひろがるストの波            00:53
10月13日、弾圧反対を叫んで日比谷公園に労働者大会開催、各産業から集まった労働者は雨にぬれながら共同闘争を決議しました。15日には映画演劇労働組合がストに突入、撮影所はキャメラもライトも止めて職場大会に気勢をあげました。一方、映画館ではスターたちや舞踊隊が、直接街頭のお客さんに呼びかけてサービスを兼ねた宣伝戦を展開しました。かくてストライキの波は新聞から映画、石炭、電気、鉄鉱としだいに広がりつつあります。

読売争議解決す             01:29
新聞ゼネストの導火線となり、各方面から注目されていた読売新聞社の争議は、10月16日ついに解決しました。会社側は、結局、労働委員会の裁定の線に沿って、37名を除く他の全争議団員の復社を認め、争議団増山[太助]代表と馬場[恒吾]社長の間に調印が交わされました。
読売争議団が焼けビルの中に立て籠もって闘い続けること5か月、その間、国鉄、海員など幾多の争議の先頭に立って活動してきた苦闘の数々をしのばせながら、この問題の争議もひとまず幕を閉じることになり、争議団員たちはさらに新しい職場で闘うことを誓い合いました。

《争議団員》
「われわれはこれから闘うんだ。俺ら37名はしゃばに出てもあくまで闘う。あとに残った人も、この4か月の闘いを生かして、会社側と、あるいは反動政府とあくまで闘う。そうですね、みなさん」
《争議団員》
「われわれは馘首は取り消させました。しかし全面的な勝利は得られなかった。これから闘争を他の舞台に移し、勇敢に最後まで闘う決意を有するものであります」

 

日本ニュース 戦後編 第42号(1946年10月)7分45秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310042_00000&seg_number=005

神話の消えた新教科書          01:43
学生陸上競技大会<スポーツ>      00:28
レガッタに東大優勝 隅田川<スポーツ> 00:34
日米防火演習 東京<時の話題>     00:24
正倉院はじめて公開 奈良<時の話題>  00:34
天皇 愛知に行幸・愛知<時の話題>   00:38
ストから増産へ-北海道炭鉱<どうなるか“10月”ゼネスト> 00:27
放送スト解決へ-<どうなるか“10月”ゼネスト> 00:28
電産スト、拡大<どうなるか“10月”ゼネスト> 02:25

神話の消えた新教科書          01:43
子供たちに今日までの日本の歴史をどう教えるか。文部省が苦心を重ねた歴史の新教科書「くにのあゆみ」がこのほどやっと出来上がり、マッカーサー司令部から歴史の授業を再び始めることが許されました。
過去80年にわたって日本人の頭に軍国主義を吹き込んできた古い教科書は、初めからほかの地方の人々を戦争で打ち負かす神武天皇の伝説や、天皇のご祖先といわれる皇大神宮の天照大神の神話が、まるで事実のように教えられてきました。しかし、新しい教科書では、例えば古墳の中から発見される剣や昔の人の骨からどんなに正確に大昔の状態を知ることができるか、その科学の大きな力を示しています。

《小学生》
「これらの古墳からは笛や人や動物の形をした埴輪が発見され、鏡や玉や刀や鎧兜なども掘り出されます。これらの品物を見ると、そのころの人々の生活のありさまがよくわかります」

こうして日本の子供たちは自分たちの祖先が歩んできた跡をようやく学ぶことができるようになりました。

学生陸上競技大会<スポーツ>      00:28
ナイルキニック競技場と名を変えたもとの神宮競技場で秋の学生スポーツの幕が開かれました。10月21日、復活第1回関東学生陸上競技第2日は、文理科大学がトラックにフィールドに圧倒的強みを示し、総計104点を獲得して優勝しました。

レガッタに東大優勝 隅田川<スポーツ> 00:34
終戦後初めてのインターカレッジレガッタ、10月20日、隅田川2000メーターコースで東大と産大の間で決勝が行なわれました。初め産大リードしましたが、コース半ば東大逆にリード、ゴール前、産大ピッチを上げて追撃しましたが及ばず、東大は3艇身離して悠々ゴールイン。

日米防火演習 東京<時の話題>     00:24
白木屋が猛火に包まれました。アメリカ消防隊の化学的消火の威力に見物の人たちは目を丸くしています。ただしこれは10月21日行なわれた日米合同の消火演習。

正倉院はじめて公開 奈良<時の話題>  00:34
1200年前から伝わって世界にも有名な正倉院の御物が、皇室の手から離れて10月21日から奈良の帝室博物館で一般に公開されました。光明皇后の直筆と称せられる楽毅論、墨絵の菩薩像、赤銅柄の香炉、天平時代の力士面。

天皇 愛知に行幸・愛知<時の話題>   00:38
天皇陛下には10月22日、名古屋駅にお着きになりました。新憲法で国民の中の一人に含まれると決められた陛下は、文字通り殺到する国民の中に含まれてほとんどもみくちゃになるばかり。次いで名古屋寮に御成りになり、冬をひかえて不安におおのく侵略戦争の犠牲者たちをごらんになりました。

ストから増産へ-北海道炭鉱<どうなるか“10月”ゼネスト> 00:27
去る10月15日、賃金値上げの要求が通ってゼネストの解決を見た北海道炭鉱では、直ちにその日から労働者たちは石炭増産に邁進しました。しかし、解決条件の実現についてなお問題を残し、成り行きを注目されています。

放送スト解決へ-<どうなるか“10月”ゼネスト> 00:28
一方、去る10月5日以来、20日間にわたって孤立したうちに頑張り続けていた放送ストは、憲法発布記念日を前にしての政府と協会側の強引な押しに、組合もついに譲歩、24日夜半、仕事につくことを指令するとともに、両者会見、ここに解決を見るに至りました。

電産スト、拡大<どうなるか“10月”ゼネスト> 02:25
しかし、10月ゼネストの波は依然収まらず、その中心、電気産業労働組合では、政府、会社側に事業民主化の誠意なしとして、19日ついに5分間停電を決定。青年行動隊に守られた各変電所では、午後6時になるとともについにスイッチを切り、世界初めての停電ストを断行しました。
スト中の映画従業員はこの停電を拍手をもって迎えました。

《映画従業員》
「みなさん、今、電源を切らしたのはね、電産のストライキに入ったわけなんです」

この日、小石川後楽園で行なわれた映画演劇労働組合主催の芸術復興祭では、3万の勤労者が暗黒のうちにたいまつをたいて「インターナショナル」を合唱。
電気産業の会社側では、政府当局とともにこの対策を練り、労調法による強制調停に移すとともに交渉打ち切りを通告。これに対し組合側はさらに闘争強化を声明。

《入江中央闘争委員長》
「われわれは政府および会社の不誠意を糾弾し、政府の不当干渉に反対するため、ストライキを強化し、きたる23日以降、毎日一定時間、全国主要工場に対する送電を停止する。

送電を停止された各工場は一斉に職場大会を開いて電産スト支持を決議、こうして10月ゼネストの波はさらに11月ゼネストへと広がっていく形勢にあります」

《組合員》
「われらがわれらの敵であるところの政府を叩き切ることによって、全労働者を結集し、これによって全反動制と[闘い]、自由のため決起しようとするときがきたのだ」
《組合員》
「頑張れ」

 

1946年11月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194611

日本ニュース 戦後編 第43号(1946年11月)7分57秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310043_00000&seg_number=004

米ソ軍政下新朝鮮の動向(民衆映画提供) 01:27
“六百円”の要求に会わぬ文相      01:01
アメリカのヨイコ<時の話題>      00:33
“東京のバラ”とは?<時の話題>    00:42
裁かれる“樋口”<時の話題>      00:28
名物-応援団試合<時の話題>      00:27
冬をま近に家なき人々          03:16

米ソ軍政下新朝鮮の動向(民衆映画提供) 01:27
これは終戦後初めて朝鮮からもたらされたニュース映画。1945年9月8日、ホッジ中将麾下のアメリカ第4軍は秩序整然と釜山そのほかから南朝鮮に上陸、日本帝国主義にかわった新しい解放者アメリカの旗が高々と掲げられました。
これより先、8月下旬、ソビエト軍も北朝鮮に進駐、明治以来、日本の支配者の搾取はいかに残酷無比なものであったか、歓呼して米ソ両軍を迎えた民衆の喜びがそれを示しています。
次いで46年1月、平壌においてアメリカ代表アーノルド少将、ソビエト代表シュチコフ将軍出席して米ソ会談が行なわれましたが、目下の朝鮮には左右両派の対立鋭く、独立国朝鮮の前途にはなお多難なものが予想されます。

“六百円”の要求に会わぬ文相      01:01
文部大臣に対して最低月600円そのほかを要求して争議に入った全国教員組合では、10月28日、東京四谷第6国民学校で全国青年大会を開き今後の闘争方針を協議。終わって文部省にデモを行ないました。赤旗も振らないつつましい行進でしたが、代表のたびたびの面会申し込みにもついに会わなかったという田中文相への真剣な抗議の姿でした。一方、若い先生は街頭に立って宣伝。

《教師》
「われわれの教員の生活を改善してくれ、最低生活を保障してくれと。文部大臣はいかなる回答を与えたか。回答どころか会わないのであります」

アメリカのヨイコ<時の話題>      00:33
アメリカの兵隊さんの子供さんたちは、このごろは日本に来てお父さんと一緒に暮らし、毎日大きなバスに乗ってお出かけ。みなさん日本の子供たちと同じように学校に行って一生懸命勉強しています。さあみなさんもアメリカの良い子に負けないようにしっかり勉強しましょう。

“東京のバラ”とは?<時の話題>    00:42
10月25日夜、巣鴨拘置所から東京のバラが釈放されました。といってもわからないかもしれませんが、戦争中、海外宣伝放送を行なってアメリカ将兵にすっかり有名になり、終戦後は戦犯容疑者となった戸栗アイバさんです。兄さんの家に落ち着いたアイバさんは感想を語ります。

《記者》
「何か月ぶりで出られましたか?」
《戸栗アイバ》
「1年と1週間」
《記者》
「1年と1週間ですか」
《戸栗》
「ええ」
《記者》
「これからどういうふうにやられますか」
《戸栗》
「べつに計画立てておりません」

裁かれる“樋口”<時の話題>      00:28
少女誘拐の犯人樋口芳男の公判が24日から横浜地方裁判所で開かれました。傍聴席には女学生たちに混じって清水潔子さんのお母さんの姿も見えます。判決は懲役10年と決まりましたが、被告の母親岩間ふささんは裁かれるわが子のために悲しい証言を行ないました。

名物-応援団試合<時の話題>      00:27
野球界の名物試合、一高対三高戦が10月27日、東京上井草球場で行なわれました。両校、明治時代から戦って17勝17敗戦1引分け、いざここで雌雄を決せんと選手よりも応援が大変。結局このものものしい大試合、7対1で一高が勝ちました。

冬をま近に家なき人々          03:16
戦争のために足りなくなった家は今全国で420万戸、これに対してこの1年半に政府や営団の手で建てられた家はわずかその20分の1にすぎません。東京の住宅営団では最近完成した476戸の受付を始めたところ100倍の5万人が殺到しました。冬をひかえて家の問題が今や差し迫ってきたことを示しています。
なぜ家は建たないのか。資材が不足だと当局は言います。しかし福島県その他ほうぼうの貯材場にはたくさんの材木が腐るにまかされています。この材木の輸送が困難だと当局は言います。しかし、ヤミでなら続々と運ばれ、戦災都市では料理屋、カフェなどが次々に建っています。2間で7万円、8万円という文化住宅が金のない人たちをうらやましがらせています。
家を求める声に当局は大邸宅開放を実施しているといいます。しかし、これらの大邸宅のうちどれだけが本当に開放されているでしょうか。その大邸宅のすぐ目の下には、もはや家とは言えない穴蔵の住まい。雨の日にはびしょぬれになって寝ることもできないという、こういう壕舎や穴蔵に住んでいる人々は全国で53万人にものぼると数えられています。

《記者》
「いつごろからここでお住まいなんですか」
《住人》
「去年の11月から住まっています」
《記者》
「じゃあ、ここでまた冬越えをなさるんですね」
《住人》
「たぶんそう、そうなりますと思います」
《記者》
「どうですか、冬の感想は?」
《住民》
「寒くて困りますね。雪が降って寒さの真っ最中にとっても困りますね」

今年の冬は近年になく寒さが厳しいと気象台は言っています。その冬はもう間近に迫っています。
夜、戦災や海外引き揚げですべてを失って冷たいコンクリートの上に毛布1枚で寝る人々にも寒さは一日一日と加わっていきます。この人たちは今直ちに有効な対策が実施されないかぎり、まさに病気と凍え死に直面しなければなりません。

 

日本ニュース 戦後編 第44号(1946年11月)8分22秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310044_00000

主権、国民の手に 新憲法公布   02:24
果然、政治問題へ-電産争議-   02:05
早大優勝 六大学野球<スポーツ> 00:39
秋場所大角力<スポーツ>     00:30
“ストも辞せず”教員悲痛な叫び  02:42

主権、国民の手に 新憲法公布   02:24
明治君主憲法に替わって主権は国民の手にあると宣言した新しい日本国憲法公布の日、11月3日、この日、天皇陛下には貴族院の記念式典に親臨、勅語を朗読。

《天皇陛下》
「本日、日本国憲法を公布せしめた。朕は国民と共に、全力をあげ、相携えて、この憲法を正しく運用し、節度と責任とを重んじ、自由と平和とを愛する文化国家を建設するように努めたいと思う」

吉田首相応答。
《吉田首相》
「私どもは全力をあげ、相携えて聖意に沿い奉る覚悟でございます。ここに謹んで奉答申し上げます。」

この日を祝って貴衆両院と首相官邸では1000匹の鯛のお頭つきで盛大な祝賀会が開かれました。官邸では月桂冠の祝杯をあげて、吉田首相や憲法でさんざん苦労した金森国務相がやっと安堵の胸をなでおろした感じでした。
さらに午後、東京都主催の祝賀式典が宮城前で開かれ、新しく日本国民統合の象徴となられた天皇ならびに皇后両陛下を迎えて、参会者は吉田首相の発声で万歳を三唱、戦争を捨てた平和国家の前途を祝いました

《吉田首相》
「天皇陛下万歳を三唱いたしたいと思います。天皇陛下万歳、万歳、万歳」
《参会者》
「万歳、万歳、万歳」

果然、政治問題へ-電産争議-   02:05
吉田内閣は11月5日、自ら求めた労働委員会の電産争議解決案に対し、真っ向から反対。ここに労働調停はついに政治問題となりました。

《林書記官長》
「産業の実情を無視した過大な先例ができては、他の産業もこれに倣う傾向を生じ、日本経済を悪性インフレに導く懸念きわめて濃厚であり、日本再建を困難ならしめるものと思う」

末広委員長これに反発。

《末広委員長》
「政府がこのわれわれの苦心を全然買うことなしに、中央労働委員会の構成した調停委員会の権威を無視するがごとき声明を突如発せられたことは、われわれとしてまことに遺憾とせざるをえないということである」

この調停案によりだいたい要求を認められた電産労働組合闘争本部では、6日、闘争委員会を開いて態度を協議しましたが、政府の横やりに対し議論沸騰、ついに調停案に不満を表明しました。
さらに5日行なわれた労働者大会では、電産をはじめ集まった労働者5000名が、労調法反対、吉田内閣反対を叫び、こうして労働攻勢の前に政府の動向が注目される折りから、さらに社会党は議会解散を要求、政局の前途はようやく緊張を加えてきました。

《社会党 西尾書記長》
「これは吉田内閣の資本主義的保守的性格を暴露したものであって、国民大衆は断じて納得しないのである。政府は速やかに議会を解散して信を国民に問うべきである」

早大優勝 六大学野球<スポーツ> 00:39
6万の大観衆を集めた11月3日の神宮球場、今シーズンの覇権をかけた早慶第2回戦。3回まで両軍得点なし。第4回、早稲田の攻撃、5番バッター山村、2走者を置いてレフトに2塁打を放ち、3塁の鶴田、2塁岡本、くつわを並べてホームイン、早稲田2点獲得。このまま2対0で早稲田、秋の覇権を握り、初の天皇杯を獲得しました。

秋場所大角力<スポーツ>     00:30
進駐軍の体育場としてメモリアルホールと名も変えたもとの国技館、11月6日、櫓太鼓も懐かしい秋場所大相撲の初日、抜け目ない政府の相撲筋や、鳩山氏の顔も見えて、その日の好取り組み、東・相模川、西・羽黒山。

《アナウンサー》
「のこったのこった、のこったのこった」

羽黒強引のつり出しに相模あっけなく敗れました。

“ストも辞せず”教員悲痛な叫び  02:42
争議中の全国教員組合代表は、5日再び田中文相と会見。

《教員組合代表》
「どういう回答をいただいたのか、まったく回答らしい回答としては全然判断がつかないんです」

《田中文相》
「聞き入れられないことをさらに要求されるということであればですね、こちらは嘘を言うことになる」

《教員組合代表》
「しかしですね、あれに対して、例えば最低600円というものに対して、これだけのことはしようとかですね、こういう方法を講じようという、そこになんらかの対策があっていいと思うんですね」

しかしこの日も要領を得ず、先生たちは父兄会で悲痛な訴え。

《教員組合代表》
「なんという答えをしたか。その待遇改善には引き続き努力すると言っただけです」
《教員組合代表》
「何がためにこうしてみなさんの前に自分の生活苦であるものを披瀝しなければならないのでしょう。それは足りなさに耐えきれなくなった私の姿でございます」

こういう先生たちの行動は子供たちの目にどんなふうに映ったでしょうか。

《男子児童》
「先生方はそれを一生懸命やると僕らの勉強が進まないからつまらないと思います」
《女子児童》
「少し勉強が遅れても、あとで本当によい学校になって勉強を教えていただけば、そのほうがよいと思います」

困っている先生方を助けようとみんなで決議した子供たちは、ポスターを書いたり、ビラを張ったり、あるいはまた教育新聞の街頭売りまで始めました。

《男子児童》
「週刊教育新聞1部50銭であります。どうかお買い求めをお願いします」

11月6日「先生しっかり」と子供たちの元気のよい声援に送られて、各学校教員代表は東京四谷第6国民学校に集まり、最後の態度を決める全国大会を開催しました。

《教員組合代表》
「田中文相は7項目の要求を正当であり合理的であると認めながら、この要求をいれないのみか、具体的な措置についてさえも言及することを極力戒厳して、今やきわめて憂慮すべき段階に到達した」
《教員組合代表》
「決議。われらは要求貫徹のため、最後まで団結を志向、われらが最悪の場合には一斉罷業を決行する」

 

日本ニュース 戦後編 第45号(1946年11月)8分3秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310045_00000&seg_number=001

地方民主化へ 新公職追放令       01:27
深刻化するインフレ世相         02:46
慶明ラグビー戦 東京<時の話題>    00:32
わが青春に悔いなし 京都<時の話題>  00:15
海抜千二百米の鉱山 北海道<時の話題> 00:23
指と機械の一騎討ち 東京<時の話題>  00:38
机上プランの悲劇 開拓地の現実     00:38

地方民主化へ 新公職追放令       01:27
地方選挙を前にして11月8日、政府はついに公職追放の拡大を発表しました。

《林書記官長》
「今回とりあえず地方公共団体の公職についても、いわゆる公職追放令を適用し、地方の公職より軍国主義的ないし極端な国家主義的色彩を一掃し、あわせて地方自治の民主化を促進するところがなければならない」

今度追放されるこれらの地方政界のボスたちは、戦時中どんなことをしていたでしょうか。彼らは警察と手を組んで、あらゆる国民の不満を抑えつけたばかりでなく、半ば脅かしながら家庭から引きずりだした若い女性を、十分な設備一つない作業場に送り込み、ここで体をこわすばかりの無理な労働を押しつけました。あるいはまた、義勇隊の名ですべての男子を軍閥のいけにえにしようとした在郷軍人の幹部たち、すべてこれらの追放によって、今さらに大きい民主化の道が開かれようとしています。

深刻化するインフレ世相         02:46
インフレの大嵐が今、日本の隅々にまで荒れ回り、500円生活の舞台に悲劇、喜劇を描き出しています。
一人で何枚買っても差し支えなしと新しい競馬法であおられて、人間は今、馬に賭けに富くじに殺到しています。ここでは生活難などはどこ吹く風、札びらが舞うインフレ景気です。
しかし、このインフレで俺たちは食えないのだとストに突入した東芝工場では、悲壮なハンストにまでついに入りました。適切なインフレ対策がないので、労働者の生活は悪くなる一方だといわれています。
このありさまでは治る病気も治らないと、今度は東京中野療養所の患者までが生活擁護同盟を作って厚生省に詰め寄りました。

《患者代表》
「患者のほうにいくらかでも回せないというのは、これはおかしいんじゃないですか」
《厚生省》
「それは病院の・・・」
《患者代表》
「少なかったら少ないなりにですね、困っている人に優先に配給できるんですから。私たちがやっても」

問題の療養所ではインフレで破れ窓も直らないし、病人に必要な栄養も十分与えられないというのが患者の言い分です。
2合5勺の主食で足りるかどうか。それはともかくとして、食糧の買い出しは相変わらずやみません。政府は11月からついに強権を発動し、警官の人垣を作って各駅でヤミの大弾圧。

《警官》
「米どのくらいありますか」
《買い出し人》
「米でねえんです。コブ。コブに大豆」
《警官》
「きょうね、僕がまとまってね、調べてあげますから」
《買い出し人》
「ああ、そうですか」

しかし、大口や悪質のヤミ商人がうまく網にかかったでしょうか。

《警官》
「一升ぐらいあるよ。一升くらいあるね、きみ」

このヤミ取り締まりを尻目に、お札の発行高はついに700億円台をはるかに超え、政府の声明や経済学者の観測を裏切って、さてどこまでインフレは深刻化するのでしょうか。

慶明ラグビー戦 東京<時の話題>    00:32
明治対慶応のラグビー戦。慶応トライしました。前半3対0で慶応リード。11月11日の後楽園スタジアム。後半27分、明大続けて3トライ1ゴールをあげ、形勢逆転、14対6で明大に凱歌があがりました。

わが青春に悔いなし 京都<時の話題>  00:15
裸でカッパ踊りの三高記念祭、11月10日、わが青春に悔いなからしめようと久しぶりに暴れ回りました。

海抜千二百米の鉱山 北海道<時の話題> 00:23
水銀で世界的に知られた北海道イトカム(イトムカ)鉱山は海抜実に1200メートル、わが国最高の鉱山です。戦後一時さびれましたが、見返り物資をめざして再び活況を呈しています。

指と機械の一騎討ち 東京<時の話題>  00:38
古いそろばんが早いか。新しい電気計算機が勝つか。11日、超満員のアーニー・パイル劇場での一騎討ち。計算機選手トーマス・ウッド二等兵、そろばんの選手松崎君。五つの種目に火花を散らした結果、4対1でそろばんが優勝。それに賭けをして勝ったピーター君は、バートハート君の引く人力車におさまって大喜び。

机上プランの悲劇 開拓地の現実     00:38
戦争中、陸軍最大の航空基地であった静岡県三方ヶ原、1200町歩の上に今、悲劇が繰り広げられつつあります。食糧増産、失業救済の名のもとに行なわれた政府の緊急開拓事業は、机の上の計画と実際とがまったく食い違い、現地の人々を悲しませています。この土地に送り込まれた戦災者、失業者3000名が、この冬を越すために作った作物は土地に養分がないため実に惨憺たる出来ばえでした。住む家は開拓営団の建てたわずか30戸、そのほかは昔のままの兵舎や掘っ建て小屋で、この惨めな生活のうえに今飢えと寒さが迫っています。
しかし一部の人たちは敢然と立ち上がりました。今や政府にばかり頼っていては餓死すると、自らの力で全土を開拓し始めました。キリスト教徒の愛隣村、共産党員の共栄村では、すべての農具、すべての土地をみんな一緒にして、共同農場の建設を進めています。こうして悲劇の中から民主的なたくましい開拓が前途に希望を見いだしかけています。

 

日本ニュース 戦後編 第46号(1946年11月)8分34秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310046_00000&seg_number=004

田中文相へ退陣を要求<攻勢つづく労働戦線> 00:56
裁判所と“主管”争い<攻勢つづく労働戦線> 00:39
ビラ戦術“夜中から朝まで”<攻勢つづく労働戦線> 00:36
戦線統一へ 電産公聴会<攻勢つづく労働戦線> 00:37
チョンマゲにお別れ<時の話題>    00:21
こんな処に塩の山<時の話題>     00:29
引き揚げ者北海道へ 東京<時の話題> 00:39
中止か継続か 関門トンネル      00:55
あばかれた“開戦前夜”-東京裁判   03:17

田中文相へ退陣を要求<攻勢つづく労働戦線> 00:56
政府の対策にもかかわらず、労働争議は依然熾烈。東京都教員組合では罷業態勢確立大会を11月20日、四谷第6国民学校で開き、文相の退陣を決議するとともに最後の対策を協議。

《教員組合代表》
「教員組合大会の審議に基づき・・・」

かくてストライキの態勢は確立されました。

裁判所と“主管”争い<攻勢つづく労働戦線> 00:39
東京淀橋のオリエンタル工業では生産管理に入っていましたが、最近これもできなくなって、全員やむなく遊んでいます。これは去る13日、資本家側の申請で裁判所が工場施設を差し押さえてしまったためで、組合側では新手の争議権弾圧だとして19日裁判所に抗議。

《組合側代表》
「われわれは今回の貴裁判所の軽挙妄動に対し、社会的立場から厳重に抗議し、あいまいなる法の乱用により正当なるわれわれの行使権を弾圧せざることの誓約を要求するものである」

ビラ戦術“夜中から朝まで”<攻勢つづく労働戦線> 00:36
11月19日の真夜中、丸の内は三菱銀行の壁という壁にべたべたとビラ張り。三菱財閥が大株主として争議を妨害しているというので、スト中の池貝自動車組合が新戦術に出たもの。夜が明けて三菱銀行ではびっくり。その信用に汚れ一つないのが自慢だけに、ホース総動員でビラはがしに大騒ぎ。

戦線統一へ 電産公聴会<攻勢つづく労働戦線> 00:37
電産争議の真相発表会が、各労働団体を集めて18日交通博物館で開かれ、席上この電産争議をきっかけに労働戦線の即時統一が強力に主張されました。

《労働団体代表》
「労働戦線を統一して全労働者が一つになってこの壁に突き当たることによってのみ、初めてこの壁が簡単に破れる。今後われわれが労働運動を行うところの指導者の一人一人としていわゆる労働戦線は無条件で統一しなくちゃならない」

チョンマゲにお別れ<時の話題>    00:21
双葉山最後の土俵入り。引退して時津風と名を変える双葉山は、19日、賀陽宮のはさみでチョンマゲとお別れ。

こんな処に塩の山<時の話題>     00:29
ヤミの取り締まりが厳重をきわめている今日、ところもあろうにお膝元から火が出ました。大阪吹田では、現職の警官が塩の横流しを行なったという事件が摘発され、その問題の塩1000俵は4か月も配給のなかった市民を喜ばせました。

引き揚げ者北海道へ 東京<時の話題> 00:39
政府の開拓計画がいろいろ問題になっている折りから、海外引き揚げ者80名が今度東京から北海道網走に開拓農民として移住することになりました。11月15日夜、ささやかな壮行会の後、見送る人もなく上野駅から出発。北海道はすでに雪、開拓生活の第一歩に、はや厳しい寒さが待ち構えています。

中止か継続か 関門トンネル      00:55
下関と門司を結ぶ国道トンネルは、昭和12年内務省が国防国家建設などと大宣伝で工事を始めました。ところが、敗戦後インフレの激化で資材難、資金難に陥り、現在坑道は崩れるにまかせられ、海水の侵入はなはだしく、今のところいつ工事が完成するか見通しもつかないありさまです。今後完成までには5億円の経費が必要で、そのため工事の一時中止が伝えられます。中止となれば俺たちが食えないばかりか日本の再建が遅れると、1000の労務者は中止絶対反対を叫んで地元の人々に呼びかけました。

あばかれた“開戦前夜”-東京裁判   03:17
世界を悲劇のどん底にたたき込んだ太平洋戦争はどのようにして企てられたか。今や東京裁判の法廷では、息詰まるようなその開戦前夜の秘密が次々にあばかれております。
昭和16年春、支那事変はただ奥地へむなしく兵を進めるばかりで、まったく解決の道を失いつつありました。しかも、その行き詰まりから逃れようとして日本の侵略主義者が選んだ道はさらに大規模な侵略戦争を起こすことでした。同年7月、彼らは南部仏印に進駐、ここに陸海空の大兵力を集め、きたるべき戦争のために一大攻撃基地を築きました。
これに対しルーズヴェルト大統領は、あくまで国際条約尊重を主張、日本側は野村(吉三郎)大使らに交渉をせしめつつ戦備を強化。同年10月、ときの近衛内閣退陣のあとをうけて東条陸相ら戦争首謀者はついに自ら内閣を組織しました。ここに全日本の運命はまったくこの一握りの侵略主義者たちの手にゆだねられることになりました。このとき以後、東条内閣はあらゆる方面に一歩一歩と戦争準備を整え、一方で国民の自由をおさえつつ、これをしだいに軍需生産へ、軍隊へと駆り立てました。
11月5日、この日、御前会議は天皇親臨のもと対米英戦争を正式に決定、同じ日発せられた連合艦隊作戦命令第1号によって、航空母艦6隻を中心とする日本機動部隊はひそかにハワイ目指して宣戦布告なき不意打ち攻撃に出動。

《大本営》
「大本営陸海軍部発表。12月8日6時、帝国陸海軍は今8日未明、西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」

12月8日朝、打ち続く事変に苦しみの底にあった国民大衆の上にあの悲劇の第一の報せが響きました。

《東条首相》
「帝国が今回、南方諸地域に対し、新たに行動を起こすの已むを得えざるに至りましたのは、米英の暴勢を排除して・・・」

当時、敵に対してばかりでなく、国民に対してさえ勝利者のごとく振る舞った戦争の責任者たち。今、東京裁判の法廷にあって、近づく文明の裁きの前に何を思い何を感じているでしょうか。

 

1946年12月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=194612

日本ニュース 戦後編 第47号(1946年12月)8分38秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310047_00000&seg_number=002

真珠湾の真相 米提督、証人台へ(東京裁判) 01:07
労働攻勢へ内閣突破の自信(臨時議会) 00:52
全焼八百戸 五所川原大火-青森-<時の話題> 00:42
何処へゆく大漁のさんま-千葉-<時の話題> 00:40
拳闘界の新人?<時の話題>      00:21
接戦!早慶ラグビー<時の話題>    00:36
スト続行へ 電産争議決裂       02:30
-キャメラ報告-地下鉄の夜 投稿者-宮城県・大宮友治<みなさんの声> 01:47

※キャメラ報告はカメラ報告

真珠湾の真相 米提督、証人台へ(東京裁判) 01:07
11月25日からの東京裁判の法廷には、前のアメリカ連合艦隊司令長官ジェイムス・リチャードソン提督が証人台に立ち、真珠湾不意打ち事件の真相が次々に明るみに出されました。被告席の背後には真珠湾の地図が大きく掲げられ、また検事提出の証拠のうちには、当時海軍が大々的に宣伝した攻撃状況の空中写真も見られます。いわゆる9軍神をはじめ日米の多くの人々をこの不意打ち攻撃の犠牲とした当時の軍令部総長永野被告の姿は、侵略戦争から平和へ歴史の大きな動きを物語っています。

労働攻勢へ内閣突破の自信(臨時議会) 00:52
労働攻勢の大波が年末をひかえてますます激しくなろうとしている折りから、この難局乗り切りを決意した吉田首相は、27日、第91臨時議会に劈頭、国民の協力を求めました。

《吉田首相》
「この経済再建の根本に横たわる危機を突破しまして生産の増大をはかるためには、国民全部があらゆる部門において消費を節約し、耐乏の生活を忍び、既存の資源と新生産物資とを極力次の生産に振り向けて、しかも最も最大限に能率を上げて働いていかねばならぬのであります」

これに対し社会党は、議会解散を主張、早くも前途には波乱を予想されています。

全焼八百戸 五所川原大火-青森-<時の話題> 00:42
青森県北津軽郡五所川原町は11月23日夜8時、錦町から発火、たちまち814戸を全焼しました。3年前の11月28日にも大火があり、これで二度目。焼け出された3000の人々はなすすべもなく押し迫った寒さにおののいているといわれます。

何処へゆく大漁のさんま-千葉-<時の話題> 00:40
山のようにさんまがとれました。ここ千葉県銚子では今年は気候のかげんか連日の大漁。汽車や自動車で続々送り出されていますが、さて途中どこで消えるのか消費者の口にはいっこうに届きません。もっとも消えた魚はべらぼうな値段でヤミのほうに頻々として顔を出しています。

拳闘界の新人?<時の話題>      00:21
火の出るようなストレート、猛烈なパンチを喰っています。将来有望な拳闘界の新人現わる、と早まってはいけません。これは東京成城署のお巡りさんたちの猛練習ぶりです。季節柄、犯人諸君はご用心を。

接戦!早慶ラグビー<時の話題>    00:36
快晴に恵まれた11月23日、神宮競技場のスポーツ便り。慶応得意のスリークォーターパスとフォワードの強引な押しで前半6対3と早稲田を引き離しました。後半、早稲田ワンゴールをあげて猛烈な追撃。しかし慶応頑丈につっぱって接戦。慶応ついにワントライ。結局9対8でかろうじて勝ちました。

スト続行へ 電産争議決裂       02:30
電産争議は22日、ついに組合側が政府閣僚と直接交渉。

《膳安本長官》
「・・・訳を話して私はあなた方にお話ししているんじゃないかと思うんです」
《佐々木副委員長》
「だれがです」
《膳安本長官》
「いや、中央労働委員会」
《佐々木副委員長》
「中央労働委員会は、自分で作った案さえも、あなた方の例の声明で否認されたと。さればどういうふうな解決案にしていいかわからん、責任持てない、ということをはっきり言っておる」
《星島商相》
「それは、苦労な結果ああいうことになったんでしょうけど、どうしてもあの数字があまりにほかに影響することが多いから、あの数字はのめないです」
《佐々木副委員長》
「あんた、このみんなのおる前で、電産の賃金がすべてのものに対しておまえはずば抜けて高いからとあなたは平気で言った。あんたは(聞き取り困難)に対して、それだからですね、その具体的などこでどうなっているかということを、われわれもちゃんとその事実を持っている。そしてわれわれも調べたデータを持っている。あなたも持っておるだろう。今晩ゆっくりそのデータを見て話し合おうじゃないですか」

政府に誠意なしとして組合側は23日ついにスト準備を指令。

《組合指令》
「各変電所、発電所等の防衛態勢をいつでもできるように準備すること。以上」

指令をうけた各変電所では、直ちにスイッチ、配電盤などを一斉に点検。また地方の発電所でも、指令一下直ちに停電ストに突入の態勢を整えました。
ここに電産ストは悪化の一路をたどり、その情勢に対して、会社側新井日発総裁は27日組合本部を訪れ、会社側の最後的回答を手渡しました。

《新井日発総裁》
「11月25日付、貴所に(聞き取り困難)対し左のとおり回答いたします」

しかしこれを不満とする組合側はついに12月2日よりスト断行を声明。

《組合側》
「やむをえず大停電を決行する。労働者諸君、農民諸君、すべての勤労者諸君、われわれの闘争は同時に諸君の利益のための闘争である」

かくて電産争議は最後の段階に突入しました。

-キャメラ報告-地下鉄の夜 投稿者-宮城県・大宮友治<みなさんの声> 01:47
今、問題になっている東京上野駅地下道の夜の実情は、というみなさんの声に応えて、11月26日夜、日本ニュースはその地下道をキャメラからのぞいてみました。
最終列車を待つ人の列がなくなる午後11時ごろ、ここは寝る家のない人たちですっかり埋まります。

《慈善団体の人》
「手を上に上げてですね、そしてやすむようにして、あまり使ってはいけませんね。大事にして」

最近、慈善団体の無料診療が行なわれていますが、不潔物に満ちたここからは病人が増えるばかりです。家を失ってここで夜を明かす人たちの中には、復員軍人、戦災者、あるいは幼い子供を抱えた若い婦人の姿さえ見えます。去年の冬、この地下道から毎日数人の死者が出ました。なお寒いといわれる今年の冬はいったいどうなるのでしょうか。


【同胞援護強調運動】

援けあってこの冬を!

 

日本ニュース 戦後編 第48号(1946年12月)9分3秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310048_00000

先生を応援 全国父兄大会        01:22
年末をひかえてふえる捨て児 大阪    01:28
家をあたえよ! 引き揚げ者たつ     01:07
“杉野はいずこ” 神奈川<時の話題>  00:47
私たちの野球<時の話題>        00:33
名物“ちょうちんもみ”茨城<時の話題> 00:33
生産復興へ 二大争議解決        03:11

先生を応援 全国父兄大会        01:22
教員問題はついに父兄大会にまで発展、12月1日午前10時半、宮城前広場に各地からの父兄代表約2万人が集まりました。

《父兄代表》
「みなさん、われわれ、ともに手を携え全力を重ねて本要求貫徹のために邁進しようではありませんか」

先生たちがとうとうストライキまで決意したのは、いつに政府の煮え切らない態度にありとして、父兄たちは先生の立場を絶対に支持すると決議しました。終わって寒空を永田町首相官邸へ、のぼりを押し立ててデモを行ないました。吉田首相に面会を求めましたが、休日で不在、事務官を通じて子を持つ親の立場から教員問題の即時解決を迫りました。

年末をひかえてふえる捨て児 大阪    01:28
押し詰まった年の瀬をひかえて大阪では捨て子が増えています。特に大阪駅には頻々と捨てられています。この子供たちは大阪市立弘済院に収容されますが、ひどい栄養失調や瀕死の病気のまま捨てられている子もあり、捨てた親のせっぱ詰まった状態がうかがわれます。そして今、300数10名の戦災孤児と捨て子とがここでわびしいお正月を迎えようとしています。

家をあたえよ! 引き揚げ者たつ     01:07
寒さをしのぐ家もなく、どうにもならなくなった東京品川高輪寮の引き揚げ者代表16名が、11月30日毛利侯爵邸に押しかけ、管理人野村氏と部屋を開けろ開けないの押し問答を始めました。ここには司法研修所の看板がかかっていますが、司法省の宴会などに使われており、11間84畳の広さに6人しか住んでいないというので、この交渉が始まったわけです。
一方、東京で開かれた引き揚げ者全国大会の代表者約50名は、12月3日、家を与えよ、着物を与えよ、選挙権を与えよ、と議会に押しかけ、ついに要求貫徹までは帰らないと泊まり込み戦術を続けています。

“杉野はいずこ” 神奈川<時の話題>  00:47
杉野兵曹長がまだ生きていて、満州から帰ってくるという噂について息子の杉野健次さんの感想。

《記者》
「杉野兵曹長が生きておられるということを信じられますか」
《杉野健次》
「まるで龍宮から帰ったような話で、私どもには到底信じられません」
《記者》
「もし本当に帰ってこられたらどうしますか」
《杉野健次》
「兄と相談のうえ処理することになるでしょうが、さあ、どんなもんでしょうか」

旅順港で命は助かったが、あまり偉くなりすぎて帰れなくなったという噂、俺はいったいどうなるのだ、銅像の杉野兵曹長は厳然と力んでいます。

私たちの野球<時の話題>        00:33
子供でも男女同権、わたしだって野球ぐらいはと、東京なんおう国民学校の女の子が野球を始めました。コーチャーは男の子、バットはこう持つんだと熱心な指導ぶり。打ちました、ホームラン。なかなか上手です。

名物“ちょうちんもみ”茨城<時の話題> 00:33
9年ぶりで復活した茨城県古河のちょうちんもみ。恐ろしく長い竹竿の先につけた相手のちょうちんを押し合いへし合いもみつぶして早く闇にしたほうが勝ちという、時節柄、意味深長なお祭り風景です。

生産復興へ 二大争議解決        03:11
【電産】

10月8日以来50余日、緻密な組織力と水際立った闘争ぶりで政府の屋台骨をゆるがしたといわれる電産大争議は、全国停電断行の瀬戸際、11月30日、危機一髪のところで解決を見、12月3日調印を終わりました。

《発言者不明》
「新しく電気産業の民主化という本当の精神の上に、ひとつみなさんのご努力なさることができれば、決して過去のこの争議というものも、無駄ではなかったということになるんだろうと思います」

【映画・演劇】

ストライキ50日にわたった映画演劇労働組合の争議は、先に松竹、大映、日映、そのほかの解決を見、東宝のみが、もみにもんでいましたが、ついに12月4日、調印の運びとなり、大沢社長と八木日映連書記長の間に握手が交わされました。
同日、東宝従業員は直ちに華やかな勝利の大行進を行ないました。
かくて労働者の手による生産復興を旗印に撮影所では撮影準備に取りかかりました。闘争本部にあてられていた日本劇場では、青年行動隊が場内の大掃除を行うとともに開演準備に取りかかり、12月6日、52日目に華々しく幕を開けました。久しぶりに脚光を浴びた踊り子たちは、はちきれそうな働く喜びを舞台いっぱいに繰り広げています。

 

日本ニュース 戦後編 第49号(1946年12月)9分19秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310049_00000&seg_number=003

官公吏たつ-労働戦線-         02:11
バタアンの悲劇明るみへ(東京裁判)   01:06
スポーツ 東西サッカー決勝<時の話題> 00:51
捕虜第一号 徳島<時の話題>      00:38
赤十字社総会ひらく 東京<時の話題>  00:44
この冬の燃料は?<時の話題>      00:39
-キャメラ報告-石炭は出るか 高萩炭鉱 03:08

官公吏たつ-労働戦線-         02:11
慌ただしい年末をひかえて、労働攻勢は新しい段階に入り、鉄道従業員たちは操車場で真っ黒になって働いていますが、先に生活権獲得の要求を提出、11月30日、当局の回答に不満、ゼネストを決意したと伝えられます。郵便、電信、電話等の逓信労働者もまた、賃上げ、越冬資金、団体契約の要求を出して立ちました。大蔵省、インフレや赤字財政の裏の裏まで知っている人たちもついに立ち、総辞職という新手の戦術、いよいよ政府のお蔵に火がついたというところ。なかなか重い腰の上がらなかった外務省も、浮世の風には耐えられず、12月10日組合を結成しました。危機に瀕している教員問題も今のところ解決の見通しなく、ついに東京都では学校管理に入り、先生たちはわずかな時間を児童とともに過ごしています。
これらの官公吏を打って一丸とした全官公労働者大会が、12月10日午後1時、宮城前で開かれ、5万の官公吏が集まりました。

《組合代表》
「要求案に対しては断固勝ち取らなければならんということを、どうか最低においてはっきりと私は認識してもらいたいと思うのであります」
《徳田球一》
「吉田反動内閣打倒に邁進せまらんことを望むしだいであります」
《参会者》
「そうだ!」

かくて本議会を乗り切ろうとする政府の足元からの越冬攻勢だけに、成り行きがすこぶる注目されています。

バタアンの悲劇明るみへ(東京裁判)   01:06
ちまたに木枯らし吹く師走の10日、市ヶ谷の法廷には悲しむべきフィリピンでの残虐事件が繰り広げられました。ロペス検察官立ってその事実を述べ、初の婦人証人、マニラ生まれワンダ・ワーフ嬢がこれを証言しました。

《検察官》
「あなたは日本軍に逮捕されたことがありますか」
《証人ワンダ・ワーフ嬢》
「(訳)はい。1942年1月3日・・・」

(証言台のワンダ・ワーフ嬢)

(聞き取り困難)をとりに、一挙に800人の男女を虐殺したマニラ・聖パウロ大学での事件。舌を抜き、爪をはがし、耳、鼻を切り落とす等の残虐事件。
炎天下を120キロ、食べ物も水もなく10日間歩かせて、アメリカ兵、フィリピン兵3万を虐殺したあのバタアン死の行進。
ここに日本人にとって最も悲しい歴史が新たに書き加えられたのであります。

スポーツ 東西サッカー決勝<時の話題> 00:51
12月8日、早大球場、関東関西大学リーグ、サッカー決勝戦、早稲田対神戸経済大学[現・神戸大学]。前半神戸終始優勢を続けましたが、0対0。神戸のシュート、早稲田ゴールキーパー・津田からくも食い止めました。後半、早稲田1点を入れましたが、さらに23分、早稲田のレフトウィングの岩谷、鮮やかなドリブルでハーフを抜きました。シュートしました。みごとに決まってゴールイン。2対0で早稲田の優勝となりました。

捕虜第一号 徳島<時の話題>      00:38
これは特殊潜航艇です。呪われた日、12月8日が再びめぐってきました。ハワイを不意打ちした人々を軍神として当時の大本営が鳴り物入りで宣伝したことは、なおわれわれの記憶に新たなところ。この特別攻撃隊のうちでただ一人、アメリカに捕らわれて生き残っていた捕虜第一号、坂巻元少尉は、徳島で新婚の奥さんとともに畑作りをするばかりで、一切何も語らないそうです。

赤十字社総会ひらく 東京<時の話題>  00:44
12月10日、日本赤十字社総会が東京・芝の本社で行なわれ、皇后陛下が名誉総裁として令旨を朗読されました。

《皇后陛下》
「父母を失い、夫や子を失った人たちの悲しみと悩みは十分察することができます。どうしたならばそういう人たちの心の傷を少しでも軽くすることができるでしょうかと、一日心を痛めております」

この冬の燃料は?<時の話題>      00:39
都会では冬を迎えて燃料がなく、機関車の燃えかすの中からおかみさんたちは石炭を拾い出しています。去年はまだ戦災の焼け残りの材木がありましたが、今年はそれもないので、いよいよ並木がねらわれています。並木もしだいしだいに枝がなくなりました。やがて根こそぎ姿を消すほうが先か、木炭の配給のほうが先か、いずれにしてもお正月はもうすぐです。

-キャメラ報告-石炭は出るか 高萩炭鉱 03:08
石炭は出るか。今、国家の運命を決するといわれている炭鉱の現場を見るために、われわれは茨城県高萩地方の炭鉱を訪れました。
ここにはかなりの量の石炭が掘り出したままに積まれています。このうちの一部から自然発火してしきりに燃え続けていますが、これを消すのに一苦労です。これは、トロッコが足りないうえ、鉄道の貨車も足りないので、せっかく掘り出しても運びきれず、それが燃えだしたのだそうですが、あたりには壊れたトロッコや車輪が転がっています。
ひとたび2500尺の地下に入ると、排水ポンプが壊れていて、いたるところ水浸しでした。これが作業を著しく妨げています。大きな鉱山ではポンプの予備が100台以上もあるが、ここにはまったくなく、政府はこのような小さな炭鉱のことは考えてくれないと現場の人は語りました。
さらに坑木の不足も同様で、落盤の危険もあり、それを食い止めるために坑夫たちは命がけの努力を続けています。増産の必要なことはだれよりも坑夫たち自身が十分知っています。そしてこのような悪条件のうちでよく闘いつつあります。
だが、坑内から出てきた坑夫たちが帰る家は決して改善されているとはいえません。また、産業復興の障害の一つに、疲れている体で芋を作らねばならぬという食糧事情もあり、石炭の前途は依然として楽観を許さない状態にあります。

【同胞援護強調週間】

援けあってこの冬を

 

日本ニュース 戦後編 第50号(1946年12月)9分14秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310050_00000&seg_number=002

掃海作業すすむ 下関          01:18
“純潔をまもれ”婦人大会ひらく     01:15
ここにも石炭のなやみ 新潟<時の話題> 00:46
ミス・パーマネント 東京<時の話題>  00:55
“鐘は上野か浅草か”<時の話題>    00:25
全国に倒閣の嵐             04:32

掃海作業すすむ 下関          01:18
戦争中投下された磁気機雷、水圧機雷は全国で約1万。これを処分して航路を安全にするために、下関では連日掃海隊が出動してゆきます。3隻の船が一体となり浮きをつけた電線を菱形に投げて電気を送り機雷を爆発させます。これは第2復員局の手によって行なわれていますが、かなり危険な作業で、全国にばらまかれた機雷を全部処分するにはあと数年かかるそうです。

“純潔をまもれ”婦人大会ひらく     01:15
勤めの関係でどうしても帰りが遅くなる働く婦人が、11月15日夜、警察のヤミの女狩りにひっかかってひどい取り扱いをうけ、さらに病院に連れて行かれて不当な検診をうけたという事件が起こったので、労働組合その他各団体の婦人たちが非常に憤慨して、12月15日、東京牛込第一国民学校に集まり、働く婦人を守れと激しい叫びをあげました。

《婦人団体代表者》
「ヤミの女取り締まりに関しては、婦人一人を検束すると、前にはこれは5銭だそうでございますが、最近は10銭になったのだそうでございます。われわれ人間をまるで鼠か犬のように考えているのです。また、女の人が道を歩いていると、警察官のいわく、ほら10銭が来たと、みなさん、このような警察がどこの国にございますでしょうか」

終わってデモを行い、代表者は警視総監に決議文を突きつけましたが、婦人たちはその回答に満足せず、まだ交渉を続けています。

ここにも石炭のなやみ 新潟<時の話題> 00:46
12月9日から裏日本を襲った猛吹雪は、ついに鉄道を止めてしまいました。ところが、ラッセル車を動かす石炭が新潟にはもうまったくありません。そのためラッセル車もロータリー車も動きがとれず、1時間でやれる仕事を今1500人の人夫たちがおおわらわでやっています。

ミス・パーマネント 東京<時の話題>  00:55
まことにあでやかなパーマネントの競技会が12月17日、東京・浅草公会堂で行なわれました。美容師さんたちは腕まくりして大いに奮闘しています。モデルのご婦人も緊張の面持ち、さて一等をとったおぐしあげ、これが若奥様、ご令嬢向き、次に中年の奥様向き、おしまいに職業婦人向き。右側が美容師の一等、佐川[初枝]さん。

“鐘は上野か浅草か”<時の話題>    00:25
名物、浅草浅草寺の鐘も、戦災で鐘楼が焼けて長い間沈黙していましたが、今度篤志家の手で再建され、12月18日落慶式、懐かしい音を浅草六区に響かせています。

全国に倒閣の嵐             04:32
12月17日、生活擁護吉田内閣打倒国民大会が各地で行なわれました。
(大阪)
大阪では約2万の勤労大衆が大会を開いて盛んなデモを行ないました。
(岡山)
岡山県玉野市では三井造船、玉野造船の労働者を中心に勤労大衆3000が集まりました。
(仙台)
仙台では約600の働く人たちが吉田内閣の退陣を要求。
(群馬)
群馬県伊勢崎でも吉田内閣を倒せと決議しました。
(東京)
東京ではこの日集まった各労働組合、引き揚げ者、市民など、総数50万と称せられ、宮城前広場は赤旗とプラカードで埋め尽くされました。社会党・加藤勘十氏、議長となり、午前11時から各代表者が熱烈な演説を行ないました。

《総同盟・原虎一氏》
「国鉄の従業員7万5000人を一挙に首切り、資本家のお褒めにあずかろうとしたところの、首切り平塚[常次郎運輸]大臣、これ国賊、勤労大衆の敵であります」

《参会者》
「そうだ!」
《共産党・徳田球一氏》
「われわれはメーデー、食糧メーデーによって吉田内閣を打倒の直前まできたのである」
《参会者》
「そうだ!」

50万の大デモンストレーションは、旗をなびかせプラカードをかざして、延々と昭和通りから新橋を経て議会へ議会へと進みました。
構外に沸き返る勤労大衆の歌声と赤旗に取り囲まれた議会では、この日、傍聴席は超満員。社会党・片山哲氏立って議会解散決議を提案、実質的には内閣不信任を意味するので議場はまれに見る緊張ぶりを示しました。

《社会党 片山哲氏》
「あまりに封建的であって、あまりに搾取的であった状態から推しまして、ここに平和的手段による民主革命を行なわなければならないということをもって平和主義の裏付けとしなければならないと思うのであります」

《自由党 芦田均氏》
「現内閣の施政がことごとく不成功であったとは思いません。欲を言えば注文したいことも数々あります。けれども、周囲の情勢はしばしば迅速果敢なる政策の実行を困難にしておるということは、在野党の諸君といえども十二分にご承知のはずであります」

続いて進歩党・原夫次郎氏の発言から議場混乱。

《共産党 野坂参三氏》
「人民の間には不平と不満が満ちておる。それはなぜか。結局、今日の政府が人民の政府でないということ。ただ少数の少数者の利益の擁護のために・・・」

提案は結局否決されましたが、政局の前途はいまやきわめて注目すべき状態となってきました。

【同胞援護強調週間】

援けあってこの冬を

 

日本ニュース 戦後編 第51号(1946年12月)8分33秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310051_00000&seg_number=001

樹氷咲く蔵王山 山形        00:56
吹雪の中に列車転覆 新潟      00:50
東京-歳末風景           01:23
空からサンタクロース<時の話題>  00:47
動物園も寒いです<時の話題>    00:39
アメリカンフットボール<時の話題> 00:51
石炭危機いよいよ深刻        01:47
裁かれる第2年目-東京裁判     01:16

樹氷咲く蔵王山 山形        00:56
山形県と宮城県の境にある蔵王山は、雄渾な峰々の佇まいの美しさが、冬山のファンを引きつけています。今年も、もうきれいな樹氷を咲かせました。地元蔵王高湯のスキーヤーたちはすでに爽快な冬山の魅力を満喫しています。

吹雪の中に列車転覆 新潟      00:50
12月18日午後8時上野発信越線金沢行き列車が、19日未明、田口・関川間下り勾配を進行中、折からの猛吹雪に崩れた築堤に突入、機関車2台、客車4台が脱線転覆、後部機関車は関川崖下20メートルに転落して、即死11名、重軽傷者72名を出すという惨事を引き起こしました。雪の中を困難な復旧作業が続けられ、5日目の23日ようやく上下線とも開通の運びとなりました。

東京-歳末風景           01:23
戦争が終わって第2年目の年の暮れ、東京の街々は慌ただしい雑踏ぶりを見せています。インフレの縮図のような銀座には、毛皮の襟巻き、毛皮の外套の婦人も見られます。荒巻鮭も恒例によりぶら下がってはいますが、こいつのお値段も相当すばらしいもの。
庶民の街といわれる浅草、竹の子生活者が涙をのんで脱いだ名残が空っ風に揺れています。さてこうなると新しい年はいったいどうなるのか。占い師も大繁盛。苦しいときの神頼みで、1寸8分の観音様に500円の枠をはずしてくださいとでもお願いしているのでしょうか、こうして東京の街々は厳しい現実のうちに暮れてゆきました。

空からサンタクロース<時の話題>  00:47
12月21日、宮城前広場へサンタクロースのおじいさんが大きな袋をかついで飛行機から降りました。進駐軍の家族の子供たちにうれしいクリスマスのプレゼントを贈ろうというわけ。この楽しいおもちゃの行進はかわいい拍手に送られてアメリカ軍の赤十字社に向かいました。

動物園も寒いです<時の話題>    00:39
動物園にも冬がきました。暑い国の動物諸君は大弱り。大阪動物園のワニ君、寒さは苦手で、最近は電気風呂に入ってはるかに暖かい故郷をしのんでいます。これは東京動物園のシロカニクイザル、お里はマレー。電気ストーブに温まっています。寒さに慣れた日本産は荒涼たる猿ヶ島でインフレはどうなるかという顔つきです。

アメリカンフットボール<時の話題> 00:51
終戦後初のアメリカンフットボール試合が、12月22日神宮競技場で、早稲田、明治、日大の白組と、慶応、法政、立教の赤組の間で行われました。前半、白組はバックスの活躍とパスプレーの成功で13対0とリード、後半、赤組奮起して6点をあげ、俄然(がぜん)試合は白熱戦を展開。第四節、白組のクォーターバック、日大のフルヤ、60ヤードを独走タッチダウンしました。6点を追加、19対6で白組に凱歌があがりました。

石炭危機いよいよ深刻        01:47
石炭危機はいよいよ深刻化し、日本産業の前途に重大な問題となりつつありますが、政府は各政党、労働組合などを網羅した石炭増産協力会の発会式を12月19日、東京工業倶楽部で行ないました。石炭増産は全労働者の支持がなければ成功せず、成り行きはすこぶる注目されています。席上、星島[二郎]商工大臣は次のような挨拶を述べました。

《星島商工大臣》
「このままの状態で推移しますれば、経済の悪循環に伴い、必要物資の欠乏しだいに高じてきまして、インフレはますます激化し、失業問題はいよいよ深刻化し、国民生活の窮乏と社会不安の増大とはついに恐るべき結果をもたらす恐れがあるのでありまして、この悪循環を断ち切って生産再開のチャンスを開き、日本再建の曙光を生み出すためには、是が非でも石炭のかちしき増産をしなければならんのであります」

石炭危機はまず輸送機関に大きな影響を与え、石炭がないために汽車が動かず、12月から船による輸送が行なわれ、九州若松港では機帆船にまで積んで本州へ運んでいます。しかし、もちろんこれだけでは間に合わず、1月に入るとともに石炭飢饉の影響は計り知れない状態となり、3月危機を目前に行き先が非常に心配されています。

裁かれる第2年目-東京裁判     01:16
東京裁判も開始以来半年あまりたち、第2年目の審理に入ろうとしています。富士山は昔と変わらぬ美しい姿で市ヶ谷に繰り広げられる日本の歴史の変転を見守っています。12月18日には初めての日本婦人弁護人菅井俊子さんが法廷に現れました。12月23日で裁判は137回目、俘虜虐待の証拠調べが続いていますが、被告たちもあのあたるべからざる勢いであった軍国時代の面影はもはや尽き果てました。判決の行なわれるというこの年をめっきり老けた被告たちはどのような感慨で迎えたでしょうか。

 

1947年1月
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/list.cgi?value=19471

日本ニュース 戦後編 第52号(1947年1月)8分35秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310052_00000&seg_number=002

第三年目のお正月        01:25
-キャメラ報告-電力の危機迫る 東京・岐阜 01:59
春はダンスから<時の話題>   00:50
学校給食はじまる<時の話題>  00:39
京大対慶大ラグビー<時の話題> 00:59
特報 関西大地震第二報     02:40

第三年目のお正月        01:25
敗戦第3年目のお正月。都会ではお餅も満足にないありさまでしたが、農村ではさすがにささやかながら子供たちには楽しいお正月でした。小さな手を火鉢にかざしてお餅の焼けるのを待つなごやかな風景も見られ、書き初めにも移っていく日本の姿が感じられます。おじいさんおばあさんを孫たちがにぎやかに取り囲んで、ここでは昔ながらのお正月を迎えました。雪深い農村では子供たちはじっとしていられず、真っ赤な頬をほてらせて雪だるまを作っています。世知辛い世の中に農村の子供たちだけはなんの屈託もないのびのびしたお正月を迎えたようです。

-キャメラ報告-電力の危機迫る 東京・岐阜 01:59
本格的な渇水期を迎えて電力危機が伝えられるとき、われわれは木曽川の水を利用している岐阜県大井発電所を訪れました。この大発電所も最近の水の減り方はひどく、12月24日には標準より3メートルも低くなっていました。そのうえダムのコンクリートの割れ目や水門の隙間からこの貴重な水が漏れています。これは戦争中、政府が手当てを怠ったためだということです。修理材料が手に入らないので、電気労働者たちがやっと集めたぼろやわらくずで隙間をふさいでいます。この日朝7時50分から様子を見てみますと、電気が使われるに従って水は刻々に減ります。午後4時半には朝から約50センチ減りました。発電所の中では絶えず報告される水の量をもととして水の出方を調節していますが、必要最小限の電力を確保するために労働者は非常な努力を続けています。
一方、火力発電所はもう止まっています。東京のある火力発電所は、戦災で壊れたのを修理しましたが、石炭がありません。現に東京では1日おきの停電が行なわれ、そのため各工場の生産力は非常に減り、いまや電力危機の問題は楽観を許さない状態にあります。

春はダンスから<時の話題>   00:50
ダンスは金持ちの独占すべきものではないと、九州八幡製鉄所の労働者たちがダンスを始めました。東京でも12月16日から民主主義文化連盟が、働く者のためのダンスの講習を東華国民学校の講堂で始めました。

学校給食はじまる<時の話題>  00:39
連合国の厚意によって1月から全国的に行なわれる学校給食に先立ち、12月23日、東京の89校の学童たちは温かいシチューをいただいています。第1日には連合軍司令部のサムス大佐やラガノ・ローズ女史、田中文相らが視察しました。

京大対慶大ラグビー<時の話題> 00:59
恒例、元旦の京都帝大と慶応のラグビー戦は、西宮球場で慶応のキックオフで開始、慶応フォワードの押し、京都スリークォーターのパスワークに形勢予断を許さず、前半、センター付近ルーズから出た球、フォワードのバックアップ効を奏し、慶応よくとってキックしました。20分、慶応最初のトライをあげました。コンバートならず。京都憤然盛り返しました。伝統のスリークォーターパスにものをいわせ、めざましい反撃ぶりを見せ、40分京都トライしました。かくて終始接戦の後、16対11で京都帝大の勝ちとなりました。

特報 関西大地震第二報     02:40
地震の罹災者を救えと各地で義援金の募集が始まりました。神戸では海員組合が全国に先がけて街頭に立ちました。
東京でも赤十字の看護婦さんが歳末の街に呼びかけました。
今度の大地震の被害は、途絶えていた通信連絡が回復するとともにしだいに広がり、罹災者10万、死傷者2600と伝えられますが、7回にわたって大津波が襲った四国高知市では、城東商業学校をはじめ壊れた家が、5尺ないし6尺の深さの水に沈んで数万の罹災者を出しました。
岡山県でいちばんひどい旭川海岸では、防波堤は崩れ、道路には大亀裂。
今までまったく消息が不明だった紀伊半島南部の惨状もようやく明らかになりました。和歌山県新庄村では50トン近くの大漁船が、海岸から数町も離れた道路の上にのし上げて津波のものすごさを語っています。新宮市では地震とともに火事が起こり町の大部分がたちまちに廃墟と化しました。
これに対し政府は応急の対策を決定しましたが、まだ十分とはいえず、崩れ落ちた廃墟の家で海南市の罹災者たちは、満足な家もなしに平和第3年の元旦を迎えています。

 

日本ニュース 戦後編 第53号(1947年1月)7分24秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310053_00000&seg_number=004

関西大震災第三報           01:24
駅伝競争 東京-箱根<スポーツ>   00:51
冬の魅惑スケート大会 松原湖<スポーツ> 00:35
永野被告死す<時の話題>       00:30
引揚者の春 北海道<時の話題>    00:33
お巡りさんもデモ? 京都<時の話題> 00:23
“第一課 まず、ころべ”蔵王<時の話題> 00:26
凍死者続出-問題の地下道       00:53
“危機”の前ぶれ 列車大削減 東京・茨城 01:47

関西大震災第三報           01:24
(徳島牟岐町1月5日-6日現在)
震災後すでに半月、徳島県牟岐町では津波の跡の被害もはなはだしく600反のたんぼの麦や野菜がだめになっています。また東大地震研究所の人々が現地を調査していますが、予算がないため十分な調査ができないそうです。
(高知市1月5日-6日現在)
高知市の状態は想像以上にひどく、一度修理した葛島堤防は再び決壊し、その水は満潮になるととうとうとして市内に流れ込み、罹災者はこの寒空にいまだ悲惨な状態に置かれています。引き潮ですらこれだけの浸水であり、高知県だけの力では復興が難しいのではないかといわれ、強力な対策が望まれています。

駅伝競争 東京-箱根<スポーツ>   00:51
復活第1回東京箱根間駅伝競争は、1月4日朝7時、読売新聞社前を出発。出発当初は早稲田がトップ、第6位専修大学、鶴見中継所を通過。小田原付近で明大抜いてトップとなり、箱根の険を悠々突破して第一日をリード。2日目も明大依然トップを続け、第2位の中央大学と接戦の後、ついに明大に凱歌があがりました。所要時間は14時間48分。

冬の魅惑スケート大会 松原湖<スポーツ> 00:35
1月2日、信州松原湖の学生スケート大会。スピード競技は明大が無人の境をゆく成績をあげました。続いて優勝候補立教対早稲田のホッケー1回戦。早稲田まず1点を入れ接戦を続けましたが、立教フォワード陣の活躍に早稲田を圧し、第三ラウンド五十嵐のシュートとなり、4対2で立教が勝ちました。

永野被告死す<時の話題>       00:30
元海軍軍令部総長元帥永野[修身]被告は、1月5日午前11時50分死去しました。享年68歳。生前は軍令部総長として真珠湾不意打ち攻撃を決定した、侵略日本軍閥の一人でありましたが、永久にこの法廷から姿を消しました。

引揚者の春 北海道<時の話題>    00:33
北海道札幌の海外引き揚げ者収容所、去年7月に引き揚げた満州開拓の農家20戸の人々にも正月が訪れました。しかし、この人たちにはいまだに一寸の耕す土地も与えられず、希望のない日々を過ごしていると伝えられます。

お巡りさんもデモ? 京都<時の話題> 00:23
新年早々1月7日の京都の町に、俄然いかめしいお歴々の大行進が始まり、市民をびっくりさせました。まさかデモではなさそうなこの警官と消防の大群は、東本願寺の前で出初式をやり、市民をほっとさせました。

“第一課 まず、ころべ”蔵王<時の話題> 00:26
冬はまさにスキーヤーの世界ですが、その醍醐味は、まず完全な技術を身につけてと、山形県蔵王ではスキー学校を開きました。なかなか思うようにいかないのはごらんのとおり。

凍死者続出-問題の地下道       00:53
東京上野駅地下道に集まってきた家のない人々の問題は、昨年夏以来話題にのぼり、なんとかしなくてはといわれていたにもかかわらず、そのままに打ち捨てられ、ついに元旦から9日朝までに15名の死亡者を出すに到りました。この右側の人はもう動けぬ病人で、左は死体です。さらにもう1人の気の毒な死亡者。これらはすでに3日以上ここに放ったままです。そして当局は会議ばかりを重ねているといわれ、今ごろになって上野公園にやっと収容施設の工事を始めました。

“危機”の前ぶれ 列車大削減 東京・茨城 01:47
石炭の不足から運輸省では正月の4日から列車の大削減を行ないました。

《平塚運輸相》
「鉄および電力に大量の石炭を必要とするため、鉄道の石炭をおさえてこれに振り向けることとなった。これがため1月は、極度の列車削減を実行せねばならぬ」

この列車削減によって急行も2等車も全部廃止。そのためほうぼうに車両がごっそりたまっています。茨城では石炭をいっぱい積んだ貸車が、石炭がないので立ち往生という珍現象。駅には貨物が山をなし、わずか2、3本の列車に乗客は目の色を変えて決死的突撃を試み、国鉄労働組合の青年行動隊が必死になって(音声中断)整理しています。
国鉄労働組合では1月7日この政策には反対であることを表明。

《国鉄労働組合員》
「列車の削減というものが、現在の政府の拙劣なヤミ政策の必然の帰結であるということを暴露する必要がある」
《国鉄労働組合員》
「われわれ従業員の手でこの石炭危機を打開するための具体的な方策を立てて、これが客観的に見て、われわれで運転し列車を増発していくというような段階になれば、組合で列車を動かすというようなことを考えなくてはならない」

 

日本ニュース 戦後編 第54号(1947年1月)7分35秒
http://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/jpnews/movie.cgi?das_id=D0001310054_00000&seg_number=005

労働攻勢に政局ゆらぐ         02:04
傷病兵に不満の叫び-国立病院     01:10
“紙天一坊”御用 宇都宮<時の話題> 00:43
暁の一せい収容-問題の地下道     00:22
お角力さんおどる<時の話題>     00:14
江戸ッ子はりきる 東京<時の話題>  00:31
職場にたかまる文化活動        02:26

労働攻勢に政局ゆらぐ         02:04
昨年末から政局不安の原因となっていた労働攻勢は依然熾烈をきわめ、1月11日には宮城前広場で国鉄、全逓など約5万の労働者がゼネストを宣言。

《労働組合代表》
「われわれは今、相互の団結を確認し、指令一下整然として歴史的なゼネストに突入し、断固として闘い抜くことをここに宣言する」

《参加者》
「おー!」

次いで吉田反動内閣退陣せよと叫んで首相官邸にデモを行ないました。この攻勢に、昨年5月以来政局を担当した吉田内閣も、保守勢力では労働階級の支持が得られず、経済危機突破の見通しなしとして、社会党との連立内閣を策して総辞職を決意。政局はますます微妙な動きを見せてきました。
これに対し社会党では、14日、中央執行委員会で左派が連立反対を表明、押しかけてきた労働者もまた社会党中心の内閣を要望して激励。

《労働者代表》
「党の中央執行委員会が開かれている現在、われわれは党の反省を促し、吉田亡国内閣打倒にともに闘わんことを申し上げるために(聞き取り困難)共同闘争委員会の名においてその決議文を提出するものである」

《労働者代表》
「そうだ!」

《社会党 加藤勘十氏》
「社会党が本当に社会党の綱領の精神にのっておるかぎり、断じて勤労大衆を裏切るようなことはない」

《労働者代表》
「そうだ! そうだ!」

《加藤勘十》
「そう考えています」

《労働者代表》
「バンザイ! バンザイ!」

傷病兵に不満の叫び-国立病院     01:10
国立病院に入院中の戦争の犠牲者、傷病兵たちは、このほど大会を開いて食費を多くせよとの叫びをあげました。

《傷病兵代表》
「ここに私たちは、現政府に向かい8円86銭を要求いたしました。しかし現政府は、これになんと答えたかと申しますれば、国家は、あなた方たちが傷ついている以上、国家自体が傷ついておるのだ、でき得るかぎりことをやった後、かようなる要求は出せと申