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2017年4月 8日 (土)

ビデオニュース・コム 今村復興相の「激怒」会見が露わにしたもう一つの重大な問題

 動画と記事を採録。

 

今村復興相の「激怒」会見が露わにしたもう一つの重大な問題
videonewscom
https://www.youtube.com/watch?v=Yk216QJTiQM

2017/04/08 に公開

8分38秒〜、今村復興相の「激怒」会見関連。
35分31秒〜、共謀罪の論点。

概要:
http://www.videonews.com/ 
ニュース・コメンタリー (2017年4月8日)
司会:神保哲生 宮台真司

 今村雅弘復興担当大臣が記者会見で、自主避難者が帰還するかどうかは自己責任だなどと述べた問題は、政府が原発事故の責任を真摯に受け止めていない実態を露わにし、原発事故の被害者はもとより多くの国民の怒りを買った。

 と同時にあの発言は、いかに日常の政府会見がデタラメなセレモニーに過ぎないのかを期せずして明らかにしている。

 今村大臣は4月6日の記者会見で、フリージャーナリストの質問に対して、「自主避難者は本人の責任」「裁判でも何でもやればいい」などと述べた上で、執拗に食い下がる記者に対して「出ていきなさい」、「二度と来るな」、「うるさい」などと暴言を吐いた。確かにフリージャーナリスト西中誠一郎氏の質問は執拗だったが、大きな権限を有する大臣に対して厳しく回答を迫るのは、むしろ記者としては当然の責務だ。少なくとも西中氏の質問には明らかに礼を失した言動や態度は見当たらなかった。記者から痛い点を執拗に追求され、答えに窮した大臣が最後は怒鳴り散らすしかなくなるという、一国の大臣にとってはなんとも無様な会見だった。

 今村氏の発言については、氏自身が翌日の会見で発言を撤回しているが、重大な問題を孕んでいるため、今後、国会などでも追求されることになるだろう。しかし、件の会見で大臣が取った態度は、もう一つ大きな問題を露わにしている。

 それは、日本政府の大臣がいかに日頃からメディアの厳しい追及を受けることに慣れていないかということだ。

 そもそもあの程度の追求で癇癪を起し、感情的な答弁を繰り返してしまうようでは、大臣はおろか政治家としても失格である。事前に質問が通告される国会審議では、官僚の作文を読んでいれば済むのかもしれないが、どんな質問が飛び出すかわからない記者会見では、大臣はいかなる質問に対しても冷静に対応する知力と判断力を備えていることが最低限の条件となる。

 ところが、日本の大臣会見は通常は記者クラブに所属する大手メディアの顔見知りの記者とのナアナアなやりとりがほとんどだ。そんな予定調和会見に慣れきってしまった大臣の中には、時折予想外の質問が出るとトンデモ発言をしてしまったり、中には今村氏のように感情的になり怒鳴り散らしてしまうような人が、日本では当たり前のように大臣をやっている。

 西中氏の執拗な質問に対し、ネット上では「しつこい」、「異常だ」などとの声が一部で上がっているようだが、それは通常の記者クラブの予定調和の会見がディフォルトだと勘違いしているからに過ぎない。内閣を代表する大臣に対して政府の見解を質す唯一の機会が記者会見である以上、記者会見が激しい真剣勝負の場にならない方がおかしいのだ。

 特定の報道機関のみに特権的なアクセスを与える記者クラブ制度の下では、本来政府を監視する立場にある報道機関が権力に取り込まれてしまう問題があることが指摘されて久しい。ひいてはそれが国民の知る権利を制限することにつながるからだ。そして、その「知る権利」の中には、資質に疑問がある大臣を放置することも含まれていることを、今回の事件は物語っている。

 今村発言が露呈したもう一つの問題を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

 

自主避難は「自己責任」復興大臣逆切れ20170404houdoustation
再投稿
gomizeromirai
http://www.dailymotion.com/video/x5ha9bl

投稿者 gomizeromirai
公開日: 04/04/2017
期間: 05:17

 

大臣が会見で「うるさい・・・」質問を打ち切り退室(17/04/04)
ANNnewsCH
https://www.youtube.com/watch?v=XqGn4eiTdZ8

2017/04/04 に公開

 

 以下、記事を資料として採録。

今村復興相、記者に「うるさい」 自主避難者への対応巡る質問で
http://www.minpo.jp/globalnews/detail/2017040401002016

 今村雅弘復興相は4日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者への対応を巡り、国の責任を質問したフリーの記者に対し「二度と来ないでください」「うるさい」などと述べた。今村氏はその後、復興庁内で記者団に「感情的になった。今後こうしたことがないよう対応したい」と述べ、謝罪した。

 今村氏は会見で、3月末で住宅支援を打ち切られた自主避難者への今後の対応を問われ「一番身近にいる福島県が中心になってやっていく方が良い」と発言。記者が「大臣自身が実情を知らないのでは」と聞くと「(避難先からの帰還を)どうするかは本人の責任、判断だ」と応じた。

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(2017/04/04 20:10カテゴリー:政治)

 

【社説】 復興相の発言 政府の本音が露呈か
2017年4月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017040702000147.html

 原発事故は国策が招いたという自覚はどこにある。今村雅弘復興相が避難指示区域外の自主避難者をめぐる対応について「裁判でも何でもやれば」と話した。政権の本音が露呈したのではないか。

 被災者支援の要にある大臣として、その認識には疑問符がつく。

 今村復興相は福島第一原発事故後、国の避難指示区域外から避難した「自主避難者」について「本人の責任」「裁判でも何でもやればいい」と記者会見で述べた。全国に避難した自主避難者への住宅無償提供が先月で打ち切られたことを受けた発言だったが、自主避難者もまた国の原発政策の被害者であることを忘れている。

 自主避難者の多くは、放射性物質が広域に降り注がれたにもかかわらず、国の避難指示が限定的だったことに不安を感じ、自ら避難を決めた人々だ。福島県によると全国に二万数千人。母子のみの避難世帯も多く、東京電力からの賠償も行政支援もまともに受けられず、困窮した人が少なくない。

 今村氏は「私の発言で皆さまにご迷惑をかけたことはおわびする」と国会で謝罪したが、発言を撤回したわけではない。暴言が今村氏ひとりのものなのかという疑念も抱かせる。大臣を任命した首相にも責任があるはずだが、撤回を促す様子はない。避難者を愚弄(ぐろう)する誤った認識が政権に共有されているなら問題である。

 「裁判でも」と今村氏が言うのは避難者たちが国や東電を相手に争う損害賠償訴訟を指すのだろう。全国で約三十件が提訴され、原告数は一万人を超える。だが裁判を起こしても納得できる結果が得られないことはある。三月の前橋地裁の判決も原発事故を招いた国の責任を全面的に認めたが、賠償が認められた原告は半数で金額も少ない。裁判を負わせることをよしとする発言は、負担が重くてもなお提訴を選んだ人々を嘲笑するかのようだ。

 避難指示解除と帰還を進める政府は今春、浪江、川俣、飯舘、富岡計四町村で約一万二千世帯、約三万二千人の避難指示を解除した。除染が進んだと安全を強調するが地元に戻る人は少数派。戻りたくても戻れないと思う人が少なくない。避難指示の解除後は「自身の判断で避難を選ぶ自主避難者」とみられるのだろう。

 だが、これも自己責任で片付けるなら責任放棄だ。国が招いた原発事故の被害を矮小(わいしょう)化せず、多様な声を聴きながら被災者救済に力を注ぐべきだ。

 

今村復興相発言 「責任放棄するな」避難者から非難相次ぐ
毎日新聞2017年4月6日 11時17分(最終更新 4月6日 12時15分)
https://mainichi.jp/articles/20170406/k00/00e/040/248000c

20170406k0000e010259000p9 記者会見での対応を「感情的になった」と謝罪する今村雅弘復興相(左)=東京・霞が関の復興庁で2017年4月4日、安高晋撮影

 東京電力福島第1原発事故の自主避難者について、今村雅弘復興相が「(福島に)帰れないのは本人の責任」と発言したことへの波紋が広がっている。自主避難者からは「帰れない事情を分かっていない」「国の責任を放棄するな」と非難が相次ぐ。支援団体は6日、復興相の辞任を求める要請書を同庁に提出する。【安高晋】

 <コトバで解説>「失言」と「暴言」と「放言」と「妄言」の違い

 問題の発端は、4日にあった今村復興相の記者会見だ。

 自主避難者への住宅支援が3月末で打ち切られたことに、記者から「国が責任を取るべきでは」「帰れない人はどうするのか」と質問を受けた。今村復興相は「それは本人の責任、判断」と返答。記者が「自己責任か」と確認すると「基本はそうだと思う」「裁判でも何でもやればいい」と答えた。さらに追及されると「二度と来ないで」と声を荒らげて退席。その後、会見で激高したことは謝罪したが、自主避難を巡る発言は「客観的に言ったつもり」と撤回しなかった。

 自主避難者は怒りや当惑をもって発言を受け止めている。福島市から京都府に自主避難し、現在は島根県で家族3人と暮らす会社員、菅野千景さん(51)は岩手、宮城両県で「知恵を出さないやつは助けない」と放言して辞任した松本龍・元復興相と印象が重なる、と話す。「復興や福島への対応には、いつもいいかげんな対応をする人があてがわれる印象を受ける。重視されていないのかな」と困惑する。「なぜ避難を続けなければならないか。それを知らずに復興の仕事はできない」と突き放した。

 福島県は、公営や民間の賃貸住宅を「仮設住宅」とみなし、自主避難者の家賃を負担してきた。自主避難者に対するほぼ唯一の公的支援で、1万524世帯、2万6601人(昨年10月末時点)が対象だった。15年6月に「除染やインフラの復興が整った」として、今年3月末での打ち切りを決めている。

 福島県いわき市から家族4人で東京都内に自主避難し、復興庁への抗議行動にも参加している大学非常勤講師の鴨下祐也さん(48)は「原発政策を進めてきた国に、加害者の自覚がないことが悲しい」と批判。「裁判もみんな、やむにやまれず起こしている。解決までにどれだけ時間がかかるかも分からない。『裁判を起こせばいい』という大臣の言い方は、非常に乱暴だ」と怒りが収まらない。

 自主避難者の支援団体「避難の協同センター」(東京都新宿区)は6日午後、復興相辞任を求める要請書を復興庁に出す。同センターの満田夏花(かんな)世話人は「子ども・被災者支援法では、被災者が避難を選択しても適切に支援を行うとされている」と強調。「避難者を切り捨てるような大臣の発言は法を逸脱する」と非難する。「避難者を減らすことが復興のバロメーターにされているのではないか。発言は『避難を継続するのは勝手な人だ』と言っているように感じる」と語った。

 

今村復興相 記者会見で激高、謝罪
毎日新聞2017年4月4日 20時36分(最終更新 4月5日 09時55分)
https://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00m/010/089000c

20170405k0000e010245000p9 今村雅弘復興相

 今村雅弘復興相が4日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発事故の自主避難者を巡るフリーの記者とのやり取り中に激高し、そのまま退席する一幕があった。今村復興相は同日夕、「感情的になってしまい、おわびする」と謝罪した。

 福島県が自主避難者に対する住宅の無償提供を3月末で打ち切ったことについて、記者が「国はどう対応するのか」と繰り返し質問した。今村復興相は「福島県が中心になって寄り添い、国もサポートする」などと返答。記者が「内情をご存じないのでは」「責任を持って回答して」と続けると、顔を紅潮させて「何という無礼なことを言うんだ」「もう二度と来ないで」と声を荒らげ、退席した。

 今村復興相はその後、報道陣に自身の発言を謝罪。会見で自主避難から帰還できない人への対応を問われた際に「本人の責任、判断だ」と述べたことについては「避難命令を受けた人との違いということで言った。自主避難の方にもいろいろやってはきている」と語った。【安高晋】

 

 以下ダイジェスト版をいくつか。

【ダイジェスト】中北浩爾氏:安倍政権がやりたい放題できるのはなぜか
videonewscom
https://www.youtube.com/watch?v=qu4bY2FqWDA

2017/05/20 に公開

概要:
http://www.videonews.com/ 
マル激トーク・オン・ディマンド 第841回(2017年5月20日)
ゲスト:中北浩爾氏(一橋大学大学院社会学研究科教授)
司会:神保哲生 宮台真司

 かつて自民党の名だたる歴代内閣が何代にもわたって成し遂げられなかった様々な立法や施策を、安倍政権は事もなげに次から次へと実現している。今週は共謀罪が衆院で強行採決された。その前は集団的自衛権を解禁する安保法制を通し、さらにその前は秘密保護法だ。

 それ以外にも武器輸出三原則の緩和や教育基本法の改正など、安倍政権は自民党の長年の課題をことごとくクリアしていると言って過言ではないだろう。

 そして安倍首相は遂に、自民党結党以来の野望とも言うべき憲法9条の改正を明言するまでにいたっている。

 このまま行くと、安倍首相は自民党「中興の祖」とでも呼ぶべき大宰相になりそうな気配さえ漂う。

 しかし、なぜ安倍政権は自民党の歴代政権の中でもそれほど突出して強く、安定した政権になり得たのか。これは単に「野党のふがいなさ」だけで、説明がつく現象なのか。

 一橋大学大学院社会学研究科の中北浩爾教授は、安倍政権の権力の源泉は、1990年代から段階的に続いてきた「政治改革」に請うところが大きいと指摘する。

 かつての自民党政治の下では、中選挙区制度の下、派閥の領袖が権勢を誇り、政策立案や予算編成では族議員が跋扈してきた。しかし、ロッキード事件やリクルート事件などを契機として、「政治とカネ」の問題が社会を揺るがすようになり、1990年代以降、「政治改革」が叫ばれるようになった。

 政治改革は政治家がカネ集めに奔走することなく、政策本位の政治を実践するために、小選挙区制の変更、政治資金規正法の強化と政党助成金の導入などを柱とする施策が相次いで実施された。

 また、少し遅れて、官僚のスキャンダルなどを機に、官僚まかせの政治から脱却した「政治主導」が叫ばれるようになり、首相官邸に権力を集中するために、「経済財政諮問会議」の設置や「内閣人事局」の設立など、数々の改革が実施された。

 いずれも、サービス合戦に終始しがちな中選挙区制の利権政治と決別し、国民から選ばれた政治家が、政権交代が可能な制度の下で官僚主導ではなく政策本位の政治を実現するというのが、その大義名分だった。

 その目的自体は間違っていなかったかもしれない。しかし、制度をいじれば自然に政治がよくなると考えるのは、あまりにもナイーブだった。制度は大きく変わったが、国民の政治に対する向き合い方は、本質的には従来からの「おまかせモード」のままだった。

 結果的に本来の目的とは裏腹に、一連の改革は、党においては小選挙区制の下での生殺与奪を握る公認権や政党助成金の配分権を握る党の執行部に権力を集中させる結果になった。しかも、派閥の影響力が弱まったため、かつての政権と党の間の緊張感は消滅し、首相の留守を預かる党幹事長も、事実上首相の配下に置かれることになった。更にその上に、官邸主導である。

 安倍政権の強みは、「政治改革」後の政治システムが、党内においては異論を挟む余地を与えぬ執行部主導となり、政策立案についても官邸が選んだ有識者会議によって政策の方向性を確定させた上で、その理念に沿って政策立案をする意思のある官僚を登用することが可能になっているところにある。一連の政治改革が、安倍首相の下で、やや予想外の形で実を結んでいるのだ。

 しかも、安倍政権の保守色の強い政策路線は必ずしも現在の自民党の総意を反映しているとは言えないが、リベラル色の強い民進党に対抗するためには、自民党は右に寄らざるを得ないという意識は、下野を経験した自民党の中には広く共有されている。そのため、リベラルな首相よりも、保守色の強い首相の方が、現在の自民党はまとまりやすい。

 それが現在の安倍政権の「やりたい放題」を可能にしているというのが実情ではないか。

 一連の政治改革は自民党内で派閥や族議員の間で密室内で行われていた非公式な政策論争を、むしろ二大政党制の下で政権担当能力を有する野党との間で活発に交わされることが前提にあった。つまり、いざ政権を取れば党に権限が集中することも、官邸主導で政策が遂行されることも、織り込み済みだったが、そこには政権交代可能な野党が存在するという大前提があった。

 政権交代可能な二大政党の間で活発かつオープンな政策論争が交わされ、一定の頻度で政権交代が実現するのであれば、現在の権限集中型「トップダウン」の政治制度は効果的かもしれない。政権交代可能な制度の下では、新たに政権に就いた政党は、できるだけ早い段階で政権交代の成果を見せる必要があるからだ。

 しかし、政権交代の可能性を失った瞬間に、この制度は欠点が前面に出てくる。野党が弱いと国会は政権監視の機能を十分に果たせない。かといって与党内も党執行部に対する異論は出ない。官邸に人事権を握られている高級官僚たちも、政権の意向には唯々諾々と従わざるを得ない。これではどんな政権になっても暴走して当然ではないか。

 とは言え、今さら政治改革を後戻りさせる案は現実的ではない。野党が再び政権担当能力を持つ政党として、自民党にチャレンジできるだけの有権者の信用と信頼を得られるようにならなければ、自民党のやりたい放題は続き、政治改革の本来の効果は裏目に出たままの状態が続くことが避けられない。

 中北氏は野党が自民党に太刀打ちするためには、野党勢力の結集そのものは重要だが、そのような小手先の議論をする前に、民進党や他の野党は、まず個々の議員の政治的な基盤、とりわけ選挙基盤をしっかり固める必要があると語る。実は自民党の真の強みもそこにあるというのが、長年自民党を見てきた中北氏の見立てだ。

 30年来、40年来の政治課題が次々と実現してしまう現在の政治状況を、われわれはどう見るべきなのか。なぜそのような状況が生まれたのか。日本の政治を活気ある民主主義に脱皮させていくために、今、われわれは何をしなければならないかなどを、中北氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

 

【ダイジェスト】清水勉氏:誰が何のために共謀罪を作ろうとしているのか
videonewscom
https://www.youtube.com/watch?v=OqLZI1MTPYY

2017/04/22 に公開

概要:
http://www.videonews.com/ 
マル激トーク・オン・ディマンド 第837回(2017年4月22日)
ゲスト:清水勉氏(弁護士)
司会:神保哲生 宮台真司

 この法律を通せなければ、東京五輪・パラリンピックを開けなくなるかもしれない。安倍首相がそうまで言い切った以上、政府は何があっても今国会で共謀罪を成立させるつもりなのだろう。

 実際、共謀罪の審議が4月19日に始まり、政府は5月中旬の成立を目指すとしている。

 しかし、ここまで欺瞞に満ちた法案も珍しい。政府はこの法案をテロ準備罪などと呼ぶことで、あり得ないほどデタラメな法律を何とか正当化することに躍起のようだが、この法律にはそもそもテロを取り締まる条文など一つとして含まれていない。

 にもかかわらずメディアの中には、この法案を政府の要望に沿う形で「テロ準備罪」(読売、産経)だの「テロ等準備罪」(NHK)と呼んで憚らないところがあることも驚きだが、この法律は断じてテロ対策法などではない。いや、そもそもこの法律が必要であると政府が主張する根拠となっている国際組織犯罪防止条約(別名パレルモ条約)は、それ自体がマフィアのマネーロンダリングなどを取り締まるためのもので、テロを念頭に置いた条約ではない。

 では、この法律は何のための法律なのか。今回は珍しくマスメディアの中にも政府の意向に逆らってこの法案を「共謀罪」と呼び続けるところが出てきているが、当たり前のことだ。これは日本の法体系に共謀罪という新たな概念を導入することで、日本の刑事司法制度に根本的な変革をもたらす危険性を秘めた法律だからだ。

 犯罪には突発的に起きるものもあるが、その多くは計画的に行われる。計画的な犯罪の場合、実際に犯行が実施される前段階で、犯罪を計画したり準備する必要がある。近代司法の要諦である罪刑法定主義の下では、基本的には実際の犯罪行為が行わるまで個人を処罰できないが、殺人罪などの重大な犯罪については、計画や準備しただけで処罰が可能なものが例外的にいくつか定められている。ただし、それは殺人のほか、航空機強取等予備罪、私戦予備罪、通貨偽造準備罪など、国家を転覆させるような極めて重大犯罪に限られている。

 共謀とは、準備、計画の更に前段階で、犯罪を犯す意思を確認する行為を指す。これまでは国家を転覆させるような重大犯罪の場合でも、訴追するためには最低でも犯行の準備や計画が行われている必要があったが、共謀罪が導入されれば、それさえも必要としなくなる。しかも、今回は懲役4年以上の犯罪が全て対象となるため、詐欺や著作権法違反、森林法違反、廃棄物処理法違反などの一般的な犯罪を含む277の犯罪がその対象となる。例えば、著作権も対象となっているため、音楽ソフトを違法にコピーしたり、著作権をクリアできていない曲を演奏するライブイベントを構想したり相談するだけで、共謀罪違反で逮捕、訴追が可能になる。

 政府は対象が組織的犯罪集団であることや、具体的な犯行の準備に入っていなければ、訴追対象にはならないと説明している。しかし、法律には何が「組織的犯罪集団」や「準備行為」に当たるのかが明示されていないため、警察にその裁量が委ねられることになり、まったく歯止めはなっていない。

 共謀罪は過去に3度国会に上程されながら、ことごとく廃案になってきた。犯罪行為がないまま個人を罰することを可能にする法律は、個人の思想信条や内面に法が介入につながるものとして、市民社会の強い抵抗に遭ってきたからだ。

 今回の法案もその危険性はまったく除去されていない。しかし、情報問題や警察の捜査活動に詳しい清水勉弁護士は、今回の共謀罪には過去の共謀罪にはなかった新たな危険性が含まれていると指摘する。それは情報技術の急激な進歩に起因するものだ。

 今や誰もがスマホなどの情報端末を利用するようになり、巷には監視カメラなど個人の行動をモニターする機器が溢れている。映像から個人を識別する顔面認識カメラも、導入が間近だと言われている。

 共謀罪が導入され、犯行の事実がなくても逮捕、訴追が可能になれば、警察の裁量で誰もが捜査対象になり得る。集積されたビッグデータを使えば、捜査対象となった個人の行動を過去に遡って詳細に収集、把握することも可能だ。それはまるで全ての国民が24時間公安警察に見張られているような状態と言っても過言ではない。

 本人がどんなに気をつけていても、例えばある個人が所属するSNSグループ内で飲酒運転などちょっとした犯罪行為が議論されていれば、共謀と認定することが可能になる。そのSNSグループに参加しているその人も、「組織的犯罪集団」の一部と強弁することが可能になり、捜査の対象となり得る。早い話が警察のさじ加減次第で誰でも捜査対象となり得るのだ。そして、一度捜査対象となれば、情報は過去に遡って無限に収集されることになる。

 これでは政府に不都合な人間の弱みを握ることなど朝飯前だ。気にくわない他人を陥れることも容易になるだろう。

 21世紀最大の利権は「情報」だと言われて久しい。多くの情報を収集する権限こそが、権力の源泉となる。共謀罪が警察の情報収集権限を無尽蔵に拡大するものであることだけは間違いない。

 とは言え、東京オリンピックを控えた今、日本もテロ対策は万全を期する必要がある。まったくテロ対策を含まない共謀罪なるデタラメな法案の審議にエネルギーを費やす暇があるのなら、過去に日本で起きたテロ事件を念頭に置いた、日本独自のテロ対策を練るべきだと清水氏は言う。日本での大量殺人事件は秋葉原無差別殺傷事件や相模原「津久井やまゆり園」殺傷事件などを見ても、いずれも単独犯で、共謀罪ではまったく取り締まることができないものばかりだ。しかも、日本の治安は今、過去に例がないほどいい状態が保たれている。ことほど左様に、今回の共謀罪はまったく意味不明なのだ。

 テロ対策には全く役に立たない共謀罪を、誰が何のために作ろうとしているのか。政治はその刃が自分たちに向けられていることを認識できているのか。清水氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

 

【ダイジェスト】西川芳昭氏:日本の豊かな食文化を守ってきた種子法を廃止してどうする
videonewscom
https://www.youtube.com/watch?v=C-2I5EEyUys

2017/04/15 に公開

概要:
http://www.videonews.com/ 
マル激トーク・オン・ディマンド 第836回(2017年4月15日)
ゲスト:西川芳昭氏(龍谷大学経済学部教授)
司会:神保哲生 宮台真司

 われわれが食べる食料のほとんどは、必ずといっていいほど、種から作られている。そして、それぞれの国が保有する種には、その国が育んできた食の文化や歴史が凝縮されている。その意味で種は各国の食の根幹を成すものといっても過言ではないだろう。

 ところが安倍政権は、これまで日本の種子市場、とりわけ米、小麦、大豆といった主要農産物の種子市場を法的に保護してきた「主要農作物種子法」を、今国会で廃止しようというのだ。

 戦後の食糧難のさなかにあった1952年に制定された主要農作物種子法は、その後の日本の食料の安定供給に重要な役割を担ってきた法律で、米、麦、大豆などの種を都道府県が管理し、地元の農家に安定的に提供することを義務づけている。この法律に基づいて、日本では国から各都道府県にそのための予算が配分され、地域の農業試験場などがそれぞれの地域の気候や地形、嗜好にあった独自のブランド米を開発し、その種子を地元の農家に安価で供給してきた。

 それは日本に豊かな食文化をもたらし、各都道府県によって種子の管理・供給が保証されているからこそ、地域の農家は安心して穀物の生産に従事することができた。

 ところが政府は種子法が民間の種子市場への参入を妨げているとして、種子法を廃止することで民間の参入を促し、農業の効率化を促進したいとしている。

 種子は農業や食料の根幹を成すものであるからこそ、もし民間の参入によって種子市場がより活性化し、ひいては日本の農業の競争力強化につながるのであれば、そのような施策は歓迎すべきものかもしれない。しかし、こと種子に関しては、保護を撤廃して市場を民間に開放すれば効率化が図れるというのは、種子市場の実情を知らない素人の机上の空論に過ぎないとの指摘が、多くの専門家からあがっている。

 そればかりか種子法を廃止することで、これまで日本人の主食である米や麦、大豆などの種子の安定供給を行ってきた都道府県がその役割を果たせなくなり、結果的に日本の豊かな食文化が失われるばかりか、日本の主要な農作物の生産が、世界規模で事業を転換する多国籍企業の支配下に置かれることにもなりかねないとの懸念まで出ているのだ。

 そもそも種子市場は1986年の種子法改正によって、すでに民間の参入が可能になっている。それでも、これまで民間企業が主要作物の種子市場に参入してこなかったのは、それほど大きな利益が望めないからだったに過ぎないと、龍谷大学経済学部教授で種子問題に詳しい西川芳昭教授は指摘する。

 国土が南北に細長く、地形も山間地や中山間地、平野部など多岐にわたる日本では、異なる気候の下で、あきたこまちやコシヒカリといったブランド米から地域固有の希少米まで、それぞれの地域の気候や嗜好に合った米や麦が開発され、地域で消費されてきた。種子法に基づいてそれを担ってきたのが各都道府県だった。コシヒカリなどの一部の例外を除き、一つひとつのブランド米の市場は決して大きくないため、民間企業にとっては利益が望める市場ではなかったことが、種子市場への民間の参入が進まなかった本当の理由であり、種子法が民間の参入を妨げていたという政府の主張は間違っていると西川氏は言う。

 では、今、種子法の廃止を急ぐ政府の真意は、どこにあるのだろうか。

 実は種子法の廃止法案と並び、今国会では、農業改革法案と称して合計で8つの法案が審議されているが、それらはいずれも「総合的なTPP関連政策大綱」の一環として首相官邸に設置された規制改革推進会議の後押しを受け、TPPありきの改革法案として議論がスタートしたものだ。

 アメリカでトランプ大統領がTPP離脱を表明したことで、TPPそのものは宙に浮いてしまったが、なぜか日本ではTPPの成立を前提として策定された法案や施策が、今も粛々と審議され推進されているという、何とも気持ちの悪い状態が続いているのだ。

 果たして日本はこのままTPPありきの規制改革を進めてしまって、本当に大丈夫なのだろうか。いや、そもそもTPPが消滅しているにもかかわらず、誰がTPPの要求を満たすための法律整備を推し進めているのだろうか。

 「政府は時代状況が変わったので法律を変える」というが、時代の状況が具体的にどのように変わったのかについての十分な議論もないまま、改革が推進されていることに違和感を覚えると西川氏は指摘する。そればかりか、種子法を廃止して外資系企業を入ってくることで、逆に行政が日本の食料安全保障を守る責任を放棄してしまうことにつながる危険性が懸念されているのだ。

 種子法廃止によって日本はどのようなリスクを抱えることになるのか。種子法の廃止によって、そもそも政府が喧伝するようなメリットは本当にあるのか。一体、誰が何のために種子法の廃止を進めようとしているのか。

 「タネは戦略物資であり、軍艦を持っているよりタネをもっている方が強いというくらい大事なもの」と語る種子の専門家の西川氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

 

【ダイジェスト】広田照幸氏:ピンボケの家庭教育支援法で安倍政権は何がしたいのか
videonewscom
https://www.youtube.com/watch?v=30puFB6JW8o

2017/04/08 に公開

概要:
http://www.videonews.com/ 
マル激トーク・オン・ディマンド 第835回(2017年4月8日)
ゲスト:広田照幸氏(日本大学文理学部教授・日本教育学会会長)
司会:神保哲生 宮台真司

 今国会で森友学園問題追求の裏で着々と審議が進んでいる数々の法案の中に、重大な問題を抱えたものがあまりにも多いことを、ビデオニュース・ドットコムでは何度か指摘してきた。

 その一つが、自民党が今国会での成立を目指している「家庭教育支援法案」だ。

 これは保護者が子育ての意義への理解を深め喜びを実感できるように、自治体と地域住民などが連携して社会全体で支援することを謳ったもの。核家族化が進む昨今、国や地域ぐるみで家庭教育を支援することが緊要な課題だという問題意識の上に立ち、自民党を中心に議員立法で法案が作成され、現在は国会提出を待つばかりの状態にある。

 しかし、この法案が何とも噴飯ものなのだ。

 日本教育学会の会長を務める広田照幸・日本大学教授は、そもそも法案が前提としている「核家族化が進み、家庭内での親子関係が希薄になっている」などといった現象はまったく事実に反したもので、「思い込みで今の家庭や子供たちを決めつけて、そのうえで法律を改正しようというのが、現状認識で非常に大きな問題」だと指摘する。

 さらに、これまで各家庭の判断に任されてきた家庭での教育に政府が口を挟むことは、戦前の悪しき伝統の復活につながる恐れがあり、よほど慎重になる必要があるとも語る。

 要するに、そもそも前提が間違っている上に、本来は禁じ手である家庭内の問題に政府が手を突っ込む行為を可能にする法案が、今、堂々と審議されようとしているということだ。

 広田氏は家庭教育支援という意味では、貧困家庭や本当に子供の教育の助けを必要としている家庭の支援は評価するとしている。「支援」の大義名分に紛れて、家庭内の教育のあり方にまで政府が口を挟もうとしている本音が透けて見えるところが、この法案のどうにも気持ち悪いところだ。

 確かに、近年、核家族や共働き世帯の割合は増えている。しかし、これは戦後の高度成長期の一時期に専業主婦が増え、家庭内の役割分業が進んだ時代からの揺り戻しの面が強い。実際、大正時代は核家族の割合が5割を超える一方で、3世代以上の同居家族の割合は3割に過ぎなかったというデータもある。戦後になってからも、高度成長期前の日本女性の就労率は欧米諸国よりも高かったそうだ。

 また、家族の絆が希薄になっているというのも、単なる思い込みの面が強い。世論調査で「一番大切なもの」に家族をあげる人の割合は、近年むしろ右肩上がりで増えている。実際、日本が高度経済成長を経て豊かになる前は、両親は仕事や家事に追われ、家庭内で子供とじっくり話をする時間など、ほとんどなかった。データを見る限り、近年、家族の絆は今までにないほど密になっているというのが実情なのだ。

 広田氏によると、戦後は一貫して家庭教育には国や行政権力が立ち入ってはならないという考え方が維持されてきたが、2006年、第一次安倍政権下で改正された教育基本法の第10条2に、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」との条文が加わったことで、家庭教育に政府が介入する根拠ができた。今回の家庭教育支援法の文言は、ほぼこの改正教育基本法10条の文言をそのまま踏襲している。

 しかし、そもそも前提とする現象が事実に基づかない単なる思い込みに過ぎないにもかかわらず、これまで禁じ手とされてきた家庭教育に、「支援」の名目で国や自治体が手を突っ込もうとする法律まで作る安倍政権は一体、何がしたいのだろうか。

 安倍政権の目指す教育の形とは何なのか、とは言え国が家庭教育に口出しをするとどういう影響が出るのかなどについて、広田氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

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