« 安倍チルドレン豊田真由子衆院議員の“絶叫暴行”を秘書が告発 安倍晋三のまわりはこんなのばかり。 | トップページ | もはや安倍晋三には総理大臣をやる資格などない 記事紹介『稲田氏発言 防衛相なぜ続投 辞任5閣僚より深刻なのに…』 »

2017年6月29日 (木)

全国紙4紙と地方紙19紙の社説が痛烈に批判 稲田大臣の都議選演説「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい」

 北は北海道から、南は沖縄まで全国紙4紙地方紙19紙の社説が稲田朋美の都議選演説を痛烈に批判している。以下採録した。※

※ブロック紙の北海道新聞東京新聞(中日新聞)、西日本新聞三紙は地方紙で数えた。
エントリアップ時点ではなかった、30日付読売と日経の社説も追加した。五全国紙の内、批判社説を出していないのは産経だけw。

 なお、ネットゲリラ氏が都議選稲田演説を取り上げて、以下エントリで興味深い指摘をしている。

日本会議を潰さないと日本が潰れる
野次馬 (2017年6月28日 15:48)
http://my.shadowcity.jp/2017/06/post-11373.html

イナダが、ここまでしでかしても辞めない、辞めさせられない、というんだが、何故かといえば、今のアベシンゾー内閣の本体が、むしろ、アベシンゾーではなく、イナダだから。イナダは日本会議の送り込んだ重要人物で、アベシンゾーの役割は、イナダを次の首相に指名するところまでが仕事だからだ

 

 社説を紹介する前にニュース動画を3本。稲田の演説音声も出て来ます。

稲田大臣「自衛隊としてもお願い」 野党は辞任要求(17/06/28)
ANNnewsCH
https://www.youtube.com/watch?v=ZAObC6N49YY

2017/06/27 に公開


都議選応援演説で“問題発言”・稲田「自衛隊としてお願い」撤回

 

↓1分28秒すべて稲田演説の動画。1分6秒〜「しっかり自衛隊・防衛省とも連携のある□□候補」と□□の立候補者名のみ音声カットしている。
「自衛隊としてお願い」 稲田氏、都議選応援で
KyodoNews
https://www.youtube.com/watch?v=EEr0TdJQAns

2017/06/28 に公開

  

 以下、北は北海道から、南は沖縄まで全国紙4紙、地方紙19紙の社説

社説 稲田防衛相発言 もう撤回では済まない(北海道新聞)
06/29 08:55
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0115323.html

 自衛隊法や公選法を知らないわけではあるまい。なのに、こんな発言をするとは、理解し難い。

 稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党公認候補の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と述べた。

 自衛隊員は、自衛隊法により政治的行為が制限されている。組織を挙げて特定候補を支援するかのような発言が、これに抵触する疑いがあるのは明らかだ。

 稲田氏はこれまでも、国会で問題のある答弁を続け、閣僚としての資質が問われてきた。

 今回も発言を撤回したが、もはやそれで済む問題ではない。野党の辞任要求は当然である。

 発言があったのは板橋区内での演説で、隣の練馬区に陸自駐屯地があることに触れた。駐屯地関係者が念頭にあったとみられる。

 自衛隊を自民党の「票田」とみなすような意識が垣間見える。

 閣僚は、行政機関の長としての立場や権限を選挙に持ち込むことは厳に慎まなければならない。行政の中立性、信頼性が損なわれるからだ。稲田氏には、当然の認識が欠落していたのではないか。

 稲田氏は通常国会で、学校法人森友学園を巡る問題に関し「(弁護士として)事件を受任したことも裁判所に行ったこともない」と事実と異なる答弁をし、撤回と謝罪に追い込まれている。

 南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸自の日報データも、「廃棄した」という当初の説明から一転して陸自に保管されていたことが判明し、組織的隠蔽(いんぺい)の疑いが指摘された。

 日報は現地の政府軍と反政府勢力の間に「戦闘」があったと明記していた。それを「憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではない」として、「武力衝突」と言い換えていたのも稲田氏である。

 だが、安倍晋三首相は今回も稲田氏を守る姿勢のようだ。菅義偉官房長官も「説明責任を果たし、誠実に職務に当たってほしい」と述べた。首をひねるしかない。

 防衛省では5月に河野克俊統合幕僚長が、憲法9条に自衛隊の存在を明記すべきだとの首相の提起について「一自衛官として申し上げるなら、非常にありがたい」と述べ、物議を醸した。

 やはり、自衛隊員の政治的行為に該当する疑いがあるからだが、自衛隊の最高指揮官である首相も稲田氏も、不問に付した。

 政治家と制服組トップの規律の緩みは、文民統制を危うくしかねない。

 

社説:稲田氏発言 防衛相として不適格だ(秋田魁新報)
2017年6月29日 9時31分 掲載
http://www.sakigake.jp/news/article/20170629AK0012/

 稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補の集会で応援演説し、「ぜひ2期目の当選、本当に大変だから、お願いしたい。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。自衛隊の政治利用であるとともに、行政の中立性を揺るがす信じ難い発言だ。

 自衛隊法では、自衛隊員が特定の候補や政党などを支持する目的で公私を問わず影響力を行使することなど、多くの政治的行為を禁止している。防衛省職員も国家公務員法で政治的行為を制限されている。今回の発言はこれらの法律を無視するもので、さらに「防衛相として」と地位を利用した投票の呼び掛けとも受け取れ、公選法に抵触するとの指摘も出ている。

 稲田氏は「誤解を招きかねない」と発言を撤回したが、この発言に誤解の余地などないだろう。組織を私物化するかのような感覚には驚くばかりだ。政治的中立が求められる自衛隊を統括するのに不適格なのは明らかだ。ところが安倍晋三首相は、早々と稲田防衛相に続投を指示した。民進党など野党4党は、首相が稲田氏を罷免するよう求める声明を発表。首相の任命責任を追及するため、臨時国会召集を要請する方針だ。

 稲田氏はこれまでも問題発言を繰り返してきた。先の通常国会で、学校法人「森友学園」の問題に関し、弁護士として学園との関わりがなかったか問われ「法律的な相談を受けたこともない」と答弁。その後、学園が原告の民事訴訟の代理人として出廷していたとの裁判所の記録が明らかになり、「記憶に自信があり確認せず答弁した」と謝罪に追い込まれた。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)を巡っては衆院予算委員会で、首都ジュバで昨年7月に起きた大規模戦闘を「武力衝突があったが、法的な意味での戦闘行為ではない」とし、「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」とこじつけとも映る理屈を展開。野党から「戦闘行為の隠蔽(いんぺい)だ」などと批判を浴びた。

 さらに、南スーダンに派遣された陸上自衛隊部隊の活動日報が廃棄された問題では、稲田氏の目の届かないところで日報の電子データが隠されたりしていたことが明らかになり、「シビリアンコントロール(文民統制)が利いていない」と、防衛相としての資質に野党から疑問符を突き付けられた。

 菅義偉官房長官は今回の発言を受け「誤解を招くような発言をすべきでない」と稲田氏に苦言を呈し、「しっかり説明責任を果たしてほしい」と述べた。そもそも誤解しようのない発言ではあるが、稲田氏は何がどう誤解され、真意はどこにあるのかきちんと説明すべきだ。続投を指示した安倍首相の丁寧な説明も求めたい。そのためにも政府は臨時国会召集に応じる必要がある。

 

論説 政権への逆風 逃げの一手でいいのか(岩手日報)
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2017/m06/r0629.htm

 森友学園の問題で、大阪地検特捜部は学園側の補助金不正受給疑惑を中心に刑事責任を追及する。国会では、国有地が破格の安値で学園に売却された経緯が焦点だった。

 昭恵夫人ら安倍晋三首相周辺が関与した疑いは、払拭(ふっしょく)されてはいない。学園側の立件だけで問題を終わらせようとするなら、国民の政治不信は高まりこそすれ、解消されはしないだろう。

 共謀罪の趣旨を盛り込んだ関連法改正で政府、与党は、監視強化への国民の懸念を置き去りに、委員会採決を省く「奇策」によって会期末直前に強引に成立させた。審議するほどに際立つ政府側答弁の矛盾や曖昧さに、追及を避けたとみられても仕方ない。

 もう一つ、加計学園の獣医学部新設計画に関する首相の関与疑惑の追及を、早期に切り上げる思惑があったのは想像に難くない。学園は首相が「腹心の友」と呼ぶ大親友が理事長を務めている。

 しかし、議論によらない強引な幕引きに国民が納得するはずもない。各メディアの世論調査で、内閣支持率は軒並み急落した。7月2日投開票の東京都議選で、自民党は国政与党そのままの逆風にさらされている。

 いまだ議論がある特定秘密保護法や安全保障関連法の成立を強行した際も、支持率を下げた。その都度、経済政策を打ち出すなどして持ち直してきたが、今回は、その「教訓」もなかなか通じない。

 安倍首相は国会閉幕を受けた記者会見で、加計学園問題に関し「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく。国会の閉会、開会にかかわらず、分かりやすく丁寧に説明していきたい」と言った。その約束も果たさぬうちに、今度は全国で獣医学部新設を認める考えを示した。

 この発言には政府、与党内からも疑問の声が噴出。2020年の改正憲法施行を目指す党総裁としての意向にも戸惑いが広がるなど、自ら逆風をあおる展開に陥っている。

 加えて自民党議員による秘書への暴行が発覚。首相腹心の一人とされる稲田朋美防衛相は、都議選の遊説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言。自衛隊の政治利用として党内外の批判を浴びている。

 加計学園問題で民進、共産など野党4党は、憲法の規定に基づき臨時国会召集を求める。与党議員が国民の代表なら野党も同じ。政権は「国民の声」に無頓着すぎる。

 「数」は政権の力ではあるが、その政策の正当性は国民の支持があってこそ。逃げの一手を決め込むようでは民主主義の名に値しない。身内の不祥事の続発は、速やかに国会を召集せよという天の差配ではないのか。

(2017.6.29)

 

社説 防衛相 応援演説/首相は更迭を決断すべきだ(宮城県 河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20170629_01.html

 安倍政権にまん延する「失言病」が収まらない。まだ懲りないのか。今度は稲田朋美防衛相の東京都議選応援で飛び出した発言である。
 稲田氏は27日、都内で開かれた自民党候補を応援する集会で演説し、「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。
 本人は発言後、深夜になって「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べたが、辞任は否定した。ただ、これまでの失言や暴言と違って、撤回すれば済むという次元の話ではないことは明らかだ。
 憲法15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定。公職選挙法は「公務員が地位を利用して選挙運動をしてはならない」と定め、政治的な中立性を求めている。当然、自衛隊員も自衛隊法で政治的行為を制限されている。
 稲田氏の発言は、防衛省や自衛隊が組織を挙げて支援するかのような印象を与えただけでなく、大臣が隊員に政治的行為を呼び掛けたと受け止められても仕方があるまい。
 法律抵触の恐れはもちろんだが、最も憂慮するのは、実力組織である自衛隊の政治的中立性に、有権者が疑念を抱かないかということだ。
 自衛隊の信頼に傷を付けかねない重大な発言という認識が、本人にどれだけあるのだろうか。それが全くうかがえないところに、今回の問題の深刻さがある。
 稲田氏は、物議を醸し出す問題発言を繰り返す「常習者」だ。学習効果が疑われるどころか、閣僚としての資質そのものに疑問符が付く。
 学校法人「森友学園」の代理人弁護士を務めた問題で、当初は「顧問弁護士だったこともない」などと否定したが、事実が判明すると、訂正して謝罪に追い込まれた。
 防衛相としての答弁でも不安定さが目立つ。南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊が、首都ジュバで起きた大規模な軍事衝突などを記述した日報を巡る問題もそうだ。
 「9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と語り、野党から「治安の悪化を隠蔽(いんぺい)している」と辞任を迫られた。
 この日報はいったん「破棄」とされながら再探索でデータが見つかり、「隠蔽疑惑」が指摘された。特別防衛監察で調査が進められているが、いまだに結果が公表されていない。文民統制(シビリアンコントロール)の原則を揺るがしかねない事態で、稲田氏の統治能力が問われている。
 閣僚らの言動について再三注意が喚起されているのに、失言がやまないのはなぜか。もはや「1強」のおごり、緩みでは片付けられない。
 任命した安倍首相の責任は極めて重い。稲田氏が辞任しないのなら、更迭に踏み切るべきだ。そうでなければ、「悪弊」はまた繰り返される。

2017年06月29日木曜日

 

社説 稲田防衛相、自衛隊発言 政治利用は許されない(山形新報)
http://yamagata-np.jp/shasetsu/index.php?par1=20170629.inc

 稲田朋美防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援で「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言し、批判を浴びて撤回した。

 防衛省と自衛隊が組織を挙げて、特定の候補者を支援しているとの印象を与えかねない発言だ。自衛隊を政治利用しているとの批判は免れないだろう。自衛隊法は防衛省職員を含む自衛隊員の政治的行為を制限しており、発言は法に抵触する恐れがある。野党4党は「撤回して済む話ではない」とし、安倍晋三首相に稲田氏の罷免を求める声明を出した。

 稲田氏は、発言を撤回した際の会見で「自衛隊の活動自体が地域の皆さま方の理解なくして成り立たないということについて、感謝していると申し上げたかった」と説明。さらに「誤解を受けかねない」とも釈明したが、問題の発言は簡潔かつ明快で誤解の余地はない。仮に自衛隊の政治利用が真意でないならば撤回の必要はなく、都議選を控え世論の批判をかわそうとの狙いが透けて見える。

 これまでにも稲田氏は物議を醸す発言を繰り返してきたが、そのたびに安倍政権がかばい、続投させてきた。3月に学校法人「森友学園」との関係を問われた際は「顧問弁護士だったこともないし、法律的な相談を受けたこともない」と否定した後、裁判所の記録が明らかになり一転、撤回と謝罪に追い込まれた。

 2月にも、南スーダンに派遣されていた自衛隊部隊が日報に「戦闘」と記した大規模衝突について、「事実としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」などと答弁した。自衛隊の安全よりも法的な整合性を優先するような発言は、閣僚としての資質にも疑問符が付く。

 安倍首相は稲田氏に職務継続を命じたが、自衛隊の士気を維持する上で、稲田氏が防衛省トップを務め続けることに国民の理解が得られるだろうか。野党4党は、首相の任命責任を追及していく構えを見せている。

 自衛隊を巡っては先月、憲法9条に自衛隊を明記するとの安倍首相の提起に対し、防衛省の河野克俊統合幕僚長が「自衛隊の根拠規定が憲法に明記されることになれば非常にありがたい」と述べている。憲法を尊重し擁護する義務のある制服組トップの政治的発言として、波紋が広がったばかりだ。防衛省・自衛隊と政治・選挙との関係はデリケートな問題を含む。改憲への強い意欲を示す安倍首相にとっては、さらに慎重な政権運営が求められる中、稲田氏の擁護がマイナスに働く可能性もあろう。

 7月2日投開票の都議選で、自民党は苦しい選挙戦を強いられている。豊田真由子衆院議員が秘書への暴力行為で離党届を出す不祥事があったほか、学校法人「加計学園」を巡る問題もくすぶり続けており、国政での失点が逆風となって自民党候補を直撃している。

 加計学園問題などを契機として内閣支持率が急落する中、稲田氏の発言を「なかったこと」にするような姿勢は許されない。今回の件が都議選への悪影響にとどまらず、政権の浮沈に関わることを安倍首相は肝に銘ずるべきである。
(2017/06/29付)

 

2017年6月29日(木)
【論説】稲田防衛相発言 即刻、辞任すべきだ(茨城新聞)
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu

開いた口がふさがらない。

稲田朋美防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言、撤回した。自衛隊の政治利用であり、なかったことにして済むような話ではない。

背景には、安倍晋三首相の友人が理事長を務める岡山市の学校法人「加計(かけ)学園」の問題で明らかになった、行政の中立性を軽んじ、自分たちに都合よく動かそうとする安倍内閣の姿勢がある。即刻、稲田氏が自ら辞任するか、安倍首相が罷免するべきだ。

稲田氏は発言を撤回した際の記者会見で「自衛隊の活動自体が、地域の皆さま方の理解なくして成り立たないということについて、感謝していると申し上げたかった」と説明したが、意味不明である。さらに「誤解を受けかねない」とも釈明したが、問題の発言は簡潔かつ明快で誤解の余地はない。仮に自衛隊の政治利用が真意でないならば、なぜ撤回するのか。東京都議選を控えていることから世論の批判をかわそうとしているだけだろう。

稲田氏に勝手に名前を持ち出された自衛隊員もたまったものではない。安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記するとの改憲案について「24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く任務を果たしている自衛隊に対し、国民の信頼は9割を超えている。私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と述べている。

自衛隊に国民が厚い信頼を寄せているのは事実だ。そんな大切な存在を選挙に利用し、不用意な発言をした揚げ句、軽々しく撤回するような人物が防衛相にふさわしいと安倍首相は考えているのだろうか。

稲田氏は3月にも国有地を格安で取得した大阪市の学校法人「森友学園」の訴訟に「関与していない」と答弁、その後、撤回、謝罪している。さらに派遣されていた自衛隊部隊が「戦闘」と記していた南スーダン情勢について「事実としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と答弁したことがある。

自衛隊の安全よりも法的な整合性を優先しての発言である。防衛相どころか閣僚としての資質を欠いているのは明白だ。

自衛隊の士気を維持するためにも稲田氏が防衛省のトップを務め続けることは避けるべきだ。

しかし、驚くべきことに安倍首相は稲田氏に職務継続を命じたという。今後、安倍首相は任命した責任とともに問題が生じているにもかかわらず続投させた責任も問われることになる。

その安倍首相自身、「加計学園」問題に絡んで国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設を今後、全国的に広げていく意欲を表明した。「加計学園ありき」との批判をかわす狙いからだが、自分が抱える問題のために行政の在り方を変えてしまおうとするのも政治利用と言わざるを得ない。

このところ内閣支持率が急落し、東京都議選でも自民党は苦戦を強いられている。内閣が内包する問題を国民が見抜いていることを安倍首相は肝に銘ずるべきである。

 

社説 稲田防衛相発言 自衛隊への無理解際立つ(新潟日報)
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20170629332397.html

 防衛省トップとして信じ難い発言であり、適格性さえ疑わせる。「自衛隊の政治利用」という批判が出るのは当然だ。

 安倍晋三首相の任命責任も問われなければならない。

 稲田朋美防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言した。

 憲法15条は、「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めている。

 国務大臣は、国家公務員の特別職に該当する。公職選挙法は、公務員が地位を利用して投票の周旋勧誘などをすることを禁じる。

 稲田氏の発言は、自衛隊の隊務を統括する防衛相が、自らの地位を利用して投票を依頼したと受け取られかねない。

 自衛隊法との関係も問題だ。自衛隊法は、防衛省職員を含む自衛隊員の政治的行為を制限する。

 政令により、国政選挙や地方選挙で特定候補を支持する行為も禁止されている。

 防衛相の発言は、自民党候補の応援に防衛省・自衛隊を組織的に関わらせる考えとも受け取れる。

 演説後、発言の真意を問われた稲田氏は、駐屯地に近い地元に「ご理解、ご支援をいただいている」ことに対し、感謝の気持ちを伝える一環だったと釈明した。

 さらには当日深夜、「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べ、発言を撤回した。だが、それで済む話ではあるまい。

 稲田氏の発言が公選法などに違反しているとして、野党が罷免や辞任を求めた。

 安倍首相は続投を指示したが、妥当とは思えない。

 自衛隊の政治的行為に厳しく縛りが掛けられているのは、それが武力を備えた実力組織だからだ。

 最も細心の注意を払うべき防衛相による無自覚な発言は罪深い。

 自衛隊を巡っては、先月、制服組トップの河野克俊統合幕僚長による発言が問題となった。

 今年の憲法記念日に安倍首相が提起した改憲案は、戦争放棄の9条1項、戦力不保持の2項を残しつつ、自衛隊の存在を明文化するというものだった。

 それについて問われた統幕長は「ありがたい」と発言した。政治的中立という点から見て、問題があると言わざるを得ない。

 憲法と自衛隊の関係について、国民の関心が高まりつつあるのは間違いない。

 しかし、9条についての世論は割れている。集団的自衛権の扱いや自衛隊の位置付けなど、議論の行方は見えていない。

 自衛隊の将来像が問われようとしている時期に、防衛相が非常識な発言をした。自衛隊内部からも「なぜ余計なことを言うのか」と批判が出ている。

 稲田氏の閣僚としての資質が問題になるのは、初めてではない。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)を巡っては、大規模衝突などに関し、国会審議で物議を醸す発言を繰り返してきた。

 今回も「なかったこと」にしていいのか。安倍首相の政治姿勢が問われる。
【社説】

2017/06/29

  

【社説】 防衛相発言 不問に付せぬ政治利用(東京新聞)
2017年6月29日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017062902000148.html

 撤回すれば済むという話でもあるまい。稲田朋美防衛相が東京都議選の応援で「防衛省・自衛隊として」自民党候補を支援するよう呼び掛けた。行政の中立性を逸脱する触法行為にほかならない。

 法律に従って「政治的中立」を順守している防衛省職員、自衛隊員にとっては、迷惑極まりない発言だったのではないか。

 稲田氏は東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補を応援する集会で演説し「ぜひ当選、お願いしたい。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と呼び掛けた。

 板橋区の隣の練馬区には、陸上自衛隊の東部方面総監部や第一師団が置かれており、多くの隊員らが勤務する。その存在感を背景に自民党候補の当選に向けた支援を防衛省・自衛隊の組織として働き掛けているかのような発言だ。

 自衛隊を政治利用し、行政の政治的中立性を著しく逸脱する不問に付せない発言である。

 後に、稲田氏本人が認めたように「防衛省・自衛隊に限らず、政府機関は政治的に中立で、特定の候補を応援するのはありえない」のは当然であり、それらは法律にも明記されている。

 弁護士出身である稲田氏がそんな基礎的知識を欠いたまま、自衛隊を率いていたとしたら、驚きを超え、危うさすら感じる。

 軍隊や軍人は政治に関与せず、文民の統制に服するのが、近代国家の要諦だ。自衛隊は軍隊でないが、火力を有する実力組織である以上、政治に関与しないのは当然である。防衛相として不適格で、安倍晋三首相は罷免すべきだ。

 にもかかわらず、政権中枢はなぜ、稲田氏をかばうのか。首相に関係が近いからか、稲田氏辞任が他の閣僚の進退にも波及し、政権の体力を奪うと恐れるからか。

 安倍首相は国会演説で、自衛隊員らをたたえるため、起立して拍手するよう議員に促したことがある。自衛隊の存在を憲法に明記する憲法改正を提唱し、これに謝意を表明した自衛隊最高幹部の政治的発言を不問に付したこともある。

 稲田氏発言の背景に、自衛隊重視の姿勢を吹聴して支持を広げたり、民主主義の基本原理や手続きへの理解を欠く政権の体質があるとしたら根は深い。

 憲法一五条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定める。防衛省・自衛隊を含めてすべての公務員を、自民党だけのために政治利用すべきではない。

  

 以下、五全国紙の毎日・朝日・日経・読売・産経(日経と読売と産経は30日付。産経は社説ではなくコラムの産経抄で)

社説 稲田氏「自衛隊としてお願い」 自覚の乏しさにあきれる(毎日新聞)
毎日新聞2017年6月29日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20170629/ddm/005/070/038000c

 防衛相としての立場を自覚しているとは思えない。

 稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補の応援集会で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい」と演説で述べた。

 自衛隊を率いる防衛相が組織ぐるみで特定候補を支援するかのような発言である。

 行政の中立性をゆがめ、自衛隊の政治利用が疑われる不適切な内容だ。後に撤回したが、それで済む問題ではない。

 自衛隊は約23万人を擁する実力組織である。国防や災害派遣は国民から負託された任務であり、憲法の規定に準拠して、自衛隊員は「国民全体の奉仕者」とされる。

 だからこそ自衛隊法61条は国民の信頼が確保できるよう、自衛隊員の政治的行為を、選挙権の行使を除いて制限しているのだ。

 稲田氏は法律を扱う弁護士でもある。しかし、自衛隊を統括する閣僚として、こうした自明の法的規範を理解していると言えるだろうか。

 「防衛相」という地位を明確にして「自衛隊としてお願いしたい」と支援を求めれば、自衛隊の政治利用だと指摘されるのは当然だろう。

 稲田氏の発言は、公務員の地位を利用した選挙運動を禁止する公職選挙法136条の2に抵触するおそれもある。公務員には特別職の国家公務員である閣僚も含まれる。

 自衛隊は命令系統が明確だ。その責任者が自衛隊法に抵触する政治的行為を促すようなことは厳に慎むべきだ。自衛隊の信用も傷つける。

 稲田氏にはこれまでも問題視される言動があった。自衛隊が派遣された南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)を巡って「武力衝突はあったが、法的な意味での戦闘行為ではない」と強弁し、批判された。

 学校法人「森友学園」の弁護士活動では国会答弁で否定しながら後に撤回した。それでも「虚偽の答弁をした認識はない」と釈明し続けた。

 稲田氏は今回の発言を「誤解を招きかねない」と撤回したが、自発的ではなく菅義偉官房長官に促された結果だったという。

 こうした稲田氏を安倍晋三首相は一貫して擁護してきた。その姿勢が、無責任な閣僚の発言がとまらない要因になっているのではないか。

 

(社説)稲田防衛相 首相は直ちに罷免せよ(朝日新聞)
2017年6月29日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S13009579.html

 耳を疑う発言が、また稲田防衛相から飛び出した。

 おととい夕方、東京都議選の自民党公認候補の応援演説で、「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と語ったのだ。

 憲法15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めている。

 その趣旨も踏まえ、公職選挙法は、公務員がその地位を利用して選挙運動をすることを禁じている。

 また、自衛隊法と同法施行令では、自衛隊員の政治的行為が制限され、地方自治体の議員選挙などで特定候補を支持することが禁じられている。隊員ではないが、自衛隊を指揮監督する防衛相が「防衛省、自衛隊として」投票を呼びかけることが、隊員の目にどう映るのか。

 有権者には、閣僚の地位を利用した選挙運動としか見えない。防衛省・自衛隊が組織ぐるみで特定候補を支援していると受け止められても仕方がない。

 行政機関はその権限を、あくまで国民全体のために使うよう与えられている。まして実力組織である自衛隊は、とりわけ高い中立性が求められる。

 閣僚が選挙応援に立つこと自体はよくある。だがその場合、閣僚の職責の重さをふまえ、言動には気を配るべきものだ。そんな「常識」すら、稲田氏には通用しないのか。

 信じられないのは、稲田氏をかばう安倍政権の姿勢だ。

 菅官房長官はきのうの記者会見で「今後とも誠実に職務を果たして頂きたい」と擁護した。だが稲田氏の問題発言は他にも枚挙にいとまがない。

 南スーダンの国連平和維持活動について、現地部隊の日報にも記されていた「戦闘」を「衝突」と言い換え、「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではない」と述べた。

 森友学園の問題でも、代理人弁護士を務めた事実を否定したが、翌日に撤回。「自分の記憶に自信があったので確認せず答弁した」と語った。

 憲法や国会を軽視した、閣僚としてあるまじき発言だ。

 稲田氏は今回も「誤解を招きかねない」と撤回したが、語った事実は消えないし、そもそも誤解を生む余地などない。

 一連の言動は政権全体の問題でもある。とりわけ政治思想や歴史認識が近い稲田氏を、一貫して重用してきた安倍首相の責任は重大だ。

 首相は稲田氏を直ちに罷免(ひめん)すべきだ。それが任命権者の責任の取り方である。

 

追加:エントリアップ時点でなかったが、日経・読売が30付で下記掲載した。全国紙五紙の内、稲田演説を社説で批判していないのは産経だけ。その後、産経が30日付「産経抄」で書いているのを見つけた。日経、読売の次に採録しておきます。

(社説)イロハのイが分かっていない(日経)
2017/6/30付
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO18303840Q7A630C1EA1000/

 お粗末というしかない。行政の政治的中立性を逸脱した稲田朋美防衛相の発言である。東京都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」と述べ、撤回する事態に追い込まれたものだ。

 野党が罷免を要求、安倍晋三首相の任命責任を問うための臨時国会の召集も求め、拒否する政府・与党との対立が続いている。

 憲法15条は「すべて公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定めている。自衛隊法61条は選挙権の行使を除いて自衛隊員の政治的行為を制限している。公職選挙法136条の2は公務員の地位を利用した選挙運動を禁じている。

 防衛相は「地元の皆さんに自衛隊、防衛省に対する感謝の気持ちを伝える一環として、そうした言葉を使った」と釈明しているが、稲田氏は弁護士出身ではなかったか。司法試験に合格して法律を扱う仕事をしてきた人が、いったいどうしたことだろう。

 防衛省・自衛隊のトップとして「イロハのイ」が分かっていないといわざるを得ない。閣僚として失格のそしりを免れない。取り沙汰される今夏の内閣改造・自民党役員人事で、首相がよもや続投させるなどということはあるまい。

 もうひとつお粗末というしかないのは、自民党に離党届を出した豊田真由子衆院議員の秘書への暴言・暴行だ。聞くに堪えない罵声に顔を背けた人も多かろう。

 豊田氏は有数の進学校を経て東大法学部を卒業、旧厚生省に入り米ハーバード大で修士号を得た。自民党の公募で衆院埼玉4区から出馬、当選2回の若手議員だが、はき違えたエリート意識によるものといわざるを得ない。

 人を人とも思わない言動は国会議員として失格のそしりを免れない。よもや次の衆院選に出馬するなどということはあるまい。

 7月2日の東京都議選を前にして問題発言が相次ぎ、安倍自民党が大敗した2007年の参院選をほうふつとさせる政治の風景が繰りひろげられている。

 

(社説)稲田防衛相発言 政治的中立に疑念持たれるな(読売)
2017年06月30日 06時00分
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20170630-OYT1T50016.html

 あまりに軽率で、不適切な発言である。自衛隊の指揮官としての自覚を欠いている。

 稲田防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援演説で、「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と述べた。

 公務と政務を混同してはいないか。公務員は、公職選挙法で地位を利用した選挙運動を禁じられている。防衛相も例外ではない。

 稲田氏は当初、「駐屯地が近くにあり、地元の皆様に感謝の気持ちを伝える一環だ」などと釈明していた。だが、菅官房長官に促され、「誤解を招きかねない」として発言を撤回した。

 自衛隊法は、選挙権の行使を除き、隊員の政治的行為を制限している。稲田氏は隊員に当たらないが、防衛相の指示によって組織ぐるみで特定候補を応援しているかのように受け取られかねない。

 防衛相経験者からは、「自衛隊が政治的中立であるのはイロハのイ。稲田氏の意識が低すぎる」との批判の声が出ている。

 実力組織として政治から一線を画し、抑制的な振る舞いに徹する自衛隊員にも迷惑な話だろう。

 自衛隊の根拠規定を憲法に明記する議論が活発化してきた時期でもある。防衛相は、自らの言動に慎重を期すことが求められる。

 安倍首相は、「厳しいおしかりをいただいており、おわびを申し上げたい」と陳謝した。「将来の首相候補」も視野に、稲田氏を引き立ててきたのは首相だ。

 民進、共産など4野党は、稲田氏の罷免を要求した。閉会中審査の開催と臨時国会の召集も求め、首相の任命責任を含めて追及する構えだ。こうした事態を招いた稲田氏には、猛省を促したい。

 稲田氏は昨年8月の防衛相就任後、物議を醸す言動が相次ぐ。

 12月には、安倍首相の米ハワイ・真珠湾訪問に同行した直後に靖国神社を参拝した。学校法人「森友学園」が原告の訴訟に原告代理人として出廷していたのに、今年3月の国会答弁で「虚偽」と即答し、謝罪に追い込まれた。

 稲田氏は衆院当選4回ながら、党政調会長、行政改革相などに抜擢され、日の当たる道を歩んできた。慢心はなかったのか。

 北朝鮮は核・ミサイル開発に突き進み、尖閣諸島周辺では中国の挑発行為が続く。7月中旬には、日米外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も控えている。

 そうした中で、防衛相への批判が強まるのは、日本の安全保障にとって好ましいことではない。
2017年06月30日 06時00分

 ↑以上、五全国紙の内、毎日、朝日、日経、読売4紙の社説

 ↓以下産経抄の稲田批判

2017.6.30 05:04更新
【産経抄】
防衛省の「お子様」大臣 6月30日
http://www.sankei.com/column/news/170630/clm1706300003-n1.html

(1/2ページ)

Clm1706300003p1 都議選の応援演説での発言内容を撤回する事を発表する稲田朋美防衛相=6月27日、東京・永田町(春名中撮影)

 時代小説作家の池波正太郎さんは当初、現代ものも書いていた。発足したばかりの航空自衛隊をテーマにした『自衛隊ジェット・パイロット』も、その一つである。

 ▼当時のパイロットは、器材も施設もすべてが不足する劣悪な環境で、訓練を強いられていた。夜間訓練の途中で殉職した部下の遺体をさすりながら、上司がつぶやく。「国民の強い批判を受けながら、足りない予算で我々は飛ばなきゃならん」。自衛隊の苦難はその後も続いた。

 ▼昨年2月、小紙の「談話室」で見つけた元自衛官の男性の投稿が記憶に残る。男性が防衛大学校の学生だった昭和50年代はまだ、自衛隊への世間の風当たりは厳しかった。制服姿で街を歩くと「税金泥棒」と罵声を浴びることもあった。ところが最近、防大生が一般市民と一緒に成人式に出席する光景を見て、隔世の感があるというのだ。

 ▼確かに、災害派遣や国際貢献活動によって、自衛隊への理解が深まった。何より万一の有事に備えて訓練に励む隊員に、国民は厚い信頼を寄せている。「確固とした安全保障戦略をもつ大人の国への第一歩だ」。平成19年1月、旧防衛庁が省への昇格を果たしたとき、コラムにこう書いた。

http://www.sankei.com/column/news/170630/clm1706300003-n2.html
(2/2ページ)

 ▼あれから10年、トップを務めているのは、「お子さま」のような政治家だった。「防衛省・自衛隊としてもお願いしたい」。都議選の自民党候補の応援で、耳を疑うような発言を行った稲田朋美防衛相である。

 ▼これまでも資質を疑うような行動がしばしば見られた。自衛隊の中立性に関わる今回の失言は、とりわけ罪が重い。撤回で済む問題ではない。逆風にさらされる自民候補は、頭を抱えている。もちろん、一番情けない思いをしているのは現場の自衛官である。

 

社説 稲田防衛相 重責にふさわしくない(信濃毎日新聞)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170629/KT170628ETI090002000.php

 重責を担うのにふさわしいとはとても思えない。稲田朋美防衛相が自衛隊の政治利用と取れる発言をした。

 閣僚の立場をどう考えているのか。撤回して済む問題ではない。

 都議選の自民党候補を応援する集会での演説だ。「自衛隊・防衛省とも連携のある候補だ。2期目の当選、本当に大変だから、お願いしたい。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたい」と支持を訴えた。

 「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と憲法は定める。政治的行為は法律で制限されている。

 自衛隊法にも、選挙権の行使を除く政治的行為を制限する規定がある。実力組織であればなお、特定の政党や政治勢力に肩入れしない中立性が求められる。

 これらに反する発言である。当日深夜に撤回している。「誤解を招きかねない」との理由だ。

 どう誤解のしようがあるというのか。実力組織が政治に影響を及ぼさないよう統制する立場の防衛相が逆に、選挙に利用した。そう受け取るほかない。

 加計学園などを巡り行政の公正さ、公平さが問われている。政権による「行政の私物化」の疑念を膨らませる発言でもある。

 菅義偉官房長官は、電話で報告を受けて速やかに撤回するよう指示したと明かしている。稲田氏が自らの発言の重みをどこまで理解していたのか、疑わしい。

 資質を問われる場面はこれまでもあった。一つは、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を巡る問題だ。「戦闘」との記述があり、国会で釈明に追われた。日報発見後、稲田氏への報告も遅れた。文民統制の観点から見過ごせない問題だ。

 森友学園の問題では事実と異なる答弁をした。学園側との関係を否定したものの、民事訴訟の原告代理人弁護士として出廷していたことが判明している。「記憶に自信があったので確認せずに答弁した」と撤回、謝罪しながら「虚偽との認識はない」と強弁した。

 民進、共産、自由、社民の野党4党は安倍晋三首相に罷免を求める方針で一致した。4党首の連名による声明も発表している。

 民進は、衆参両院の委員会で閉会中審査を行うよう自民党に求めた。もっともな要求だ。

 首相は、引き続き職務に当たるよう指示した。稲田氏に閣僚や党の要職を歴任させてきた。任命者として今回の発言をどう考えるのか、詳しく説明する責任がある。

(6月29日)

 

防衛相の問題発言 「1強」体質の連鎖やまぬ(福井新聞)
2017年6月29日 午前7時30分
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/210682

 【論説】これもまた「安倍1強」のおごり、緩み体質の表れなのだろう。

 稲田朋美防衛相が自民党都議選候補の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたい」と問題発言した。撤回し「職務を全うしたい」と述べたが、野党は「自衛隊を政治利用するものだ」として批判を強めている。与党や自衛隊関係者はむろん、県内からも懸念の声が相次いでいる。

 こうした発言は、安倍晋三首相自身にも通じるものがあるのではないか。

 最近では、獣医学部の新設に関して「日本獣医師会からの要望を踏まえ1校に限定して認めたが、中途半端な妥協が結果として国民的な疑念を招く一因となった」として「速やかに全国展開を目指す」と一気に方向転換する発言をした。

 閣議決定で獣医師の需給見通しなど4条件をクリアする必要があるのにこれを無視した発言だ。そもそも国家戦略特区制度は、地域限定で成果を確かめた上で全国に広める狙いがある。1校目の加計(かけ)学園の計画は大学の設置許可もなされていない段階。「加計隠し」のために行政のあり方を変えてしまおうとするのは無謀と言わざるを得ない。

 憲法改正でも党総裁と首相の立場を使い分け、国会では「新聞を熟読して」と述べるなど説明責任を尽くさない。年内に自民党案をまとめるとしていたのを、急きょ秋の臨時国会で示す考えを表明。熟議を求めていたのに自らがそれをぶち壊し、混乱を招いている。

 これは政権の体質にもいえる。加計学園問題では、菅義偉官房長官が出てきた文書を「怪文書」と言い放った。文書の存在が確認されたのに「『総理のご意向』などと誰も言っていない」(山本幸三地方創生担当相)と真っ向から切り捨てるありさまだ。

 山本氏は「一番のがんは学芸員」と述べ物議を醸した当人だ。4月には東日本大震災を巡り「まだ東北でよかった」と失言した今村雅弘復興相が更迭された。「共謀罪」法案では金田勝年法相が意味不明の答弁を繰り返し、与党は委員会採決を省き「中間報告」という禁じ手で本会議で強行可決させた。

 こうした高圧的とも映る姿勢が議員にも連鎖したのか。むしろ資質の問題でもあろうが、秘書に暴言を吐き、けがまでさせた2回生議員はすぐさま離党。大量当選を果たした2回生議員は不倫スキャンダルや失言、金銭トラブルなどで1人が議員辞職、他も離党や役職辞任に追い込まれた。

 内閣支持率の急落は、こうした安倍政権の強硬かつ不誠実な姿勢を国民が見抜き始めた結果といえよう。

 今回の防衛相発言に対し菅長官は「説明責任を果たし誠実に職務に当たってほしい」と述べ、安倍首相も続投を指示した。稲田氏は森友学園問題や南スーダンPKOなどを巡り、謝罪に追い込まれたり、批判を受けたりした「過去」もある。真摯(しんし)に説明責任を果たすべきことは十分分かっているはずだ。

 

社説 稲田防衛相発言 撤回しても責任免れぬ(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20170629_4.html

 またも耳を疑う発言である。慌てて撤回したとはいえ、あまりの軽率さに驚きを禁じ得ない。
 東京都議選の自民党候補を応援する集会で、稲田朋美防衛相が「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたい」と演説した。陸上自衛隊練馬駐屯地の関係者を念頭に「ぜひ2期目の当選、本当に大変だからお願いしたい」と支援を訴えたようだ。行政の中立、公平性を逸脱していないか。
 与党内からも「常識的に考えて自衛隊の政治利用という以前の話だ」(石破茂元防衛相)との声が上がるほどだ。野党が即刻辞任を求めるのは当然だろう。
 憲法15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と行政の中立性を定める。これを踏まえ、国家公務員法は公務員の政治的行為を規制し、自衛隊法も選挙権行使を除き隊員の政治的行為を制限。公職選挙法でも公務員の地位利用による選挙運動が禁じられている。
 だからこそ自衛隊と政治の関係には慎重さが求められる。ところが、陸海空23万人の自衛官の上に立つ稲田氏の発言は、あたかも防衛省や自衛隊が組織を挙げて自民党候補を支援する、と主張したようにも聞こえる。森友、加計両学園問題で「国政の私物化」との疑念を拭えない中、自衛隊を自党候補のために利用しようとしたとも言え、法に抵触しかねない。
 稲田氏は、以前から物議を醸す発言を繰り返してきた。2月に陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に従事する南スーダンを巡り、厳しい現地情勢を覆い隠すような答弁で波紋を広げた。3月には森友問題に関連した国会答弁を撤回し、謝罪に追い込まれた。
 今回も稲田氏は「誤解を招きかねない」として発言を撤回したものの辞任を拒んでいる。だが、いったん口に出した言葉の責任は免れない。国政に携わる閣僚、議員としての資質に疑問符が付く。
 嘆かわしい閣僚は稲田氏に限らない。4月に東日本大震災に関し「まだ東北で良かった」と失言した今村雅弘復興相が更迭された。山本幸三地方創生担当相は政府の観光振興を進める上で「一番のがんは文化学芸員」との暴言で批判を浴び、金田勝年法相も「共謀罪」法案の審議で答弁が迷走した。
 政権全体におごりが目立ち、内閣のたがが外れていると言うしかない。なぜ閣僚を務める力量を欠いた人たちが登用されたのか、失言の撤回だけで許されるのか。安倍晋三首相の任命責任は重い。

[京都新聞 2017年06月29日掲載]

 

2017/06/29
社説 稲田防衛相演説/資質に欠ける問題発言だ(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201706/0010323690.shtml

 耳を疑う発言が飛び出した。

 稲田朋美防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援演説で、「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と述べた。自衛隊の政治利用や行政の中立性の逸脱だと受け取られかねない。防衛大臣としての資質に欠ける問題発言と言わざるを得ない。

 稲田氏自身もことの重大さに気がついたのであろう。その夜のうちに発言を撤回した。だが、「綸言(りんげん)汗のごとし」である。一度口にした言葉はなかったことにはできない。

 自衛隊法は、投票など選挙権の行使を除いて隊員の政治的行為を制限している。防衛相と自衛隊が組織を挙げて候補者を支援するというのなら、法に抵触する恐れがある。大臣が隊員に政治的行為を呼び掛けたと受け取られる可能性もある。公選法では、公務員が地位を利用した選挙運動を禁じている。

 こうしたことが念頭になかったとすれば、大臣としての見識を疑うに十分である。

 稲田氏の言動についてはこれまでも問題視する声があった。森友学園の顧問弁護士だったことを否定したが、裁判所の記録で学園側の代理人だったことが判明した。南スーダン国連平和維持活動(PKO)では、派遣部隊の日報を組織的に隠蔽(いんぺい)していた疑いが持たれ、統率力に疑問符が付いた。

 野党は「完全にアウト」「考えられない発言」と非難し、辞任か罷免を求めている。稲田氏は「職務を全うしたい」と否定し、官邸も容認している。しかし、防衛相経験者は「自衛隊を選挙や政治に巻き込むのはタブー中のタブーだ」と事態の深刻さを指摘する。

 自民党の閣僚や国会議員には失言や不祥事が相次いでいる。今村雅弘復興相が東日本大震災の被害を「まだ東北で良かった」と言って更迭された。豊田真由子衆院議員(埼玉4区)は、政策秘書だった男性への暴力行為と暴言で離党したばかりだ。

 安倍晋三首相には総理総裁としての責任がある。稲田氏を抜てきしたのも首相で、任命責任は免れない。加計(かけ)学園を巡る疑惑解明はもちろん、国民に謝罪や説明をするためにも、臨時国会を早期に召集するべきだ。

 

社説 6月29日付 首相と防衛相 言いたい放題が過ぎる(徳島新聞)
http://www.topics.or.jp/editorial/news/2017/06/news_14986986323777.html

 驚くべき発言である。

 安倍晋三首相が講演で、獣医学部の新設について「速やかに全国展開を目指したい」と述べた。これまでの政府方針と相反している。

 東京都議選候補の応援に立った稲田朋美防衛相から飛び出したのは、自衛隊の政治利用と受け取られる言葉だ。「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。

 いずれも看過できないものである。

 首相の発言は、友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」を巡る問題に言及する中で出た。

 政府の国家戦略特区制度による獣医学部新設は「(愛媛県)今治市に限定する必要はない」「地域に関係なく、2校でも3校でも、意欲のあるところにはどんどん認めていく」という内容だ。

 新設を巡っては昨年11月、「広域的に存在しない地域に限り」認める方針を政府が決め、加計学園だけが条件を満たした経緯がある。

 首相はいつ方針を変えたのか。「加計ありき」でないことを強調するための、ご都合主義ではないか。

 政府は、2015年に▽既存の獣医師養成ではない構想が具体化▽新分野における具体的需要が明らか―といった新設の4条件を閣議決定している。加計学園の計画は、これをクリアしているのか。

 そもそも、新設する必要があるのかどうかも疑わしい。

 加計学園による新設で、全国の大学の総定員は約1・2倍に増えるが、農林水産省は国全体としての獣医師の需給は足りていると見ている。

 岩盤規制に穴を開けるのは結構だ。しかし、それには必要性と公平性が伴わなければならない。野党を「抵抗勢力」とし、自らの改革姿勢を印象づけようというのなら、論点のすり替えである。

 稲田氏の発言は大臣としてだけでなく、政治家としても断じて許されないものだ。

 自衛隊法が隊員の政治的行為を制限しているのは、実力組織である自衛隊の中立性を守るためだ。その意味の重さは、防衛相なら十分に理解しているはずである。

 「自衛隊としてもお願いしたい」などと言えば、防衛省と自衛隊が組織ぐるみで候補者を応援しているとみられても仕方ないだろう。

 法に抵触する恐れがあり、撤回して済む問題ではない。

 稲田氏は、これまでも発言で物議を醸してきた。南スーダンでの武力衝突を「戦闘行為」ではないと弁解し、学校法人「森友学園」との関係では、否定した後に撤回した。

 そのたびに続投を指示してきた安倍首相も、任命責任を免れない。閣僚としての資質と自覚が欠ける人を、いつまでかばい続けるのか。

 相次ぐ問題発言から見えてくるのは、国民を軽視する姿勢である。疑惑を隠そうとしたり釈明したりするのではなく、もっと誠実に対応することが必要だ。

 

2017.06.29 08:00
社説 【稲田防衛相】罷免に値する発言だ(高知新聞)
http://www.kochinews.co.jp/article/108723/

 防衛相どころか国会議員としての資質が問われる発言だ。
 稲田防衛相が都議選の自民党候補の応援演説で、「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。特定の候補者を組織を挙げて応援していると公言したに等しい。
 自衛隊法61条は隊員の政治的行為を厳しく制限している。他の公務員も同様であり、選挙で特定の候補者を応援することは許されない。
 政治家の側も、政治利用してはならないことは常識だ。それを防衛相自らが破った。
 稲田氏は後になって記者団に「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べたが、辞任は否定している。安倍首相も発言を撤回したことを踏まえ続投を指示した。
 だが、撤回して済む話なのか。
 自衛隊は構成員20万人以上の巨大なピラミッド型組織だ。武器も有する実力組織でもある。
 軍部の政治介入を許し悲劇を生んだ太平洋戦争は、戦後日本の大きな教訓になってきたはずだ。防衛相経験者も、自衛隊を選挙や政治に巻き込むのは「タブー中のタブーだ」と指摘している。
 旧民主党政権時代に、沖縄防衛局長が、沖縄県宜野湾市長選への介入と受け取られかねない講話をした問題では、省の調査で特定の立候補予定者への投票を促すような発言は認められなかったとされたが、局長らは処分を受けた。
 今回は防衛相による、特定候補者へのあからさまな応援発言だ。法に抵触する可能性があり、辞任や罷免に値する行為だ。
 先月には、制服組トップの統合幕僚長が、憲法9条に自衛隊を明記するとの安倍首相の改憲提案を「ありがたい」と歓迎。批判が集中した。相次ぐ防衛省幹部の問題発言が、政治的中立に鈍感になっている表れだとしたら由々しき事態だ。
 稲田氏の防衛相としての資質は、以前から疑問視されてきた。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊部隊の日報問題でも、野党が辞任を要求した。
 日報は現地情勢を「戦闘」と表現していたが、稲田氏は国会答弁で、「武力衝突」と強調。「憲法9条の問題になるので、武力衝突という言葉を使っている」「混同されないよう、『戦闘』という言葉は国会で使うべきではない」とした。
 問題の本質をはぐらかし、国民を愚弄(ぐろう)するかのような説明だ。防衛相がこれでは文民統制の意義をも危うくする。
 政治利用発言を受け、野党は安倍首相に稲田氏の罷免を求めている。官邸関係者は今夏に内閣改造が想定されることから、それまでの交代はないとの見方を示している。
 自衛隊の政治的中立は、日本が戦争を教訓に築いてきた民主国家の根幹といえる。逃げ切りやごまかしが許されるはずがない。あっさりと続投を許した首相の任命責任も厳しく問われる。

  

社説 稲田防衛相発言 看過できぬ閣僚の非常識(西日本新聞)
2017年06月29日 10時47分
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/338970/

 相次ぐ閣僚の失言の中でも今回は極め付きだ。軽率であると同時に重大な危険をはらんでいる。

 稲田朋美防衛相が27日、東京都議選の自民党候補を応援する集会で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたい」と候補への支援を呼び掛けた。

 この発言は普通に聞けば「自衛隊が組織的に特定の自民党候補を応援している」と理解される。防衛相の稲田氏が自衛隊を利用し自民党候補を支援している-と受け止められても仕方あるまい。

 到底看過できない発言だ。

 憲法は公務員に政治的中立を求めており、自衛隊法は自衛隊員の「選挙権の行使以外の政治的行為」を制限している。発言はこの規定に抵触する恐れがある。

 さらに問題なのは、発言が「自衛隊の政治利用」を疑わせることだ。自衛隊は国内最大の実力組織である。国の防衛だけでなく、治安出動も任務の一つだ。自衛隊が同じ国民を武力で制圧する事態もあり得るということである。

 それだけに、これまで防衛政策に関わってきた政治家たちは、自衛隊を政治や選挙に巻き込むのは最大のタブーであると認識し、言動に細心の注意を払ってきた。自衛隊が特定の政党の意によって動くと疑われれば、自衛隊活動の信頼性が根底から揺らぐからだ。

 仮に警察のトップが「警察として自民党候補をお願いする」と演説したと想像してほしい。国民は警察の取り締まりの中立性を信用しなくなるだろう。稲田氏の発言はそれほど非常識なのである。

 野党から稲田氏の辞任や罷免を求める声が上がるのも当然だ。しかし安倍晋三首相は稲田氏を続投させる方針だという。政権は稲田氏が発言を撤回したことで幕引きできると考えているようだが、認識が甘過ぎるのではないか。

 これまでも稲田氏は森友学園との関係や、国連平和維持活動(PKO)での「戦闘行為」の解釈を巡って不適切な答弁や不誠実な発言を繰り返してきた。閣僚としての資質はもちろん、安倍首相の任命責任も改めて問われている。

=2017/06/29付 西日本新聞朝刊=

 

論説 稲田防衛相発言 即刻、辞任すべきだ(佐賀新聞)
2017年06月29日 07時32分
http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/441853

 開いた口がふさがらない。

 稲田朋美防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言、撤回した。自衛隊の政治利用であり、なかったことにして済むような話ではない。

 背景には、安倍晋三首相の友人が理事長を務める岡山市の学校法人「加計(かけ)学園」の問題で明らかになった、行政の中立性を軽んじ、自分たちに都合よく動かそうとする安倍内閣の姿勢がある。即刻、稲田氏が自ら辞任するか、安倍首相が罷免するべきだ。

 稲田氏は発言を撤回した際の記者会見で「自衛隊の活動自体が、地域の皆さま方の理解なくして成り立たないということについて、感謝していると申し上げたかった」と説明したが、意味不明である。

 さらに「誤解を受けかねない」とも釈明したが、問題の発言は簡潔かつ明快で誤解の余地はない。仮に自衛隊の政治利用が真意でないならば、なぜ撤回するのか。東京都議選を控えていることから世論の批判をかわそうとしているだけだろう。

 稲田氏に勝手に名前を持ち出された自衛隊員もたまったものではない。

 安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記するとの改憲案について「24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く任務を果たしている自衛隊に対し、国民の信頼は9割を超えている。私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と述べている。

 自衛隊に国民が厚い信頼を寄せているのは事実だ。そんな大切な存在を選挙に利用し、不用意な発言をした揚げ句、軽々しく撤回するような人物が防衛相にふさわしいと安倍首相は考えているのだろうか。

 稲田氏は3月にも国有地を格安で取得した大阪市の学校法人「森友学園」の訴訟に「関与していない」と答弁、その後、撤回、謝罪している。

 さらに派遣されていた自衛隊部隊が「戦闘」と記していた南スーダン情勢について「事実としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と答弁したことがある。

 自衛隊の安全よりも法的な整合性を優先しての発言である。防衛相どころか閣僚としての資質を欠いているのは明白だ。

 自衛隊の士気を維持するためにも稲田氏が防衛省のトップを務め続けることは避けるべきだ。

 しかし、驚くべきことに安倍首相は稲田氏に職務継続を命じたという。今後、安倍首相は任命した責任とともに問題が生じているにもかかわらず続投させた責任も問われることになる。

 その安倍首相自身、「加計学園」問題に絡んで国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設を今後、全国的に広げていく意欲を表明した。

 「加計学園ありき」との批判をかわす狙いからだが、自分が抱える問題のために行政の在り方を変えてしまおうとするのも政治利用と言わざるを得ない。

 このところ内閣支持率が急落し、東京都議選でも自民党は苦戦を強いられている。内閣が内包する問題を国民が見抜いていることを安倍首相は肝に銘ずるべきである。(共同通信・柿崎明二)

 

社説 [稲田氏応援演説] 撤回で済む話ではない(南日本新聞)
( 6/29 付 )
http://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=85347

 稲田朋美防衛相が、東京都議選の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。

 防衛省と自衛隊が組織を挙げて候補者を支援すると主張したも同然である。自衛隊の政治利用や行政の私物化に等しく、到底容認できない。

 稲田氏はその日のうちに「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べ、辞任は否定した。

 だが、発言はすべての公務員を「全体の奉仕者」と定めた憲法第15条の精神から逸脱している。「政治的目的のために、政治的行為をしてはならない」と規定する自衛隊法にも抵触する恐れがある。

 公務員の地位を利用した選挙運動を禁じた公職選挙法や国家公務員法に照らしても問題がある。防衛省職員や自衛隊員が、特定の政党や候補者を支援できないのは明らかだ。

 こうした防衛省や自衛隊の法的な立場を認識していないなら、防衛相としての基本的な資質が欠けている。認識した上での発言とすれば、許しがたい法の軽視である。野党から即刻辞任を求める声が上がるのは当然だろう。

 憲法や法律が公務員の政治行為を厳しく制限しているのは、行政の中立性を重視するからだ。政治権力と行政機関が結びつけば、公平公正な行政執行に支障を来す。

 ましてや実力組織である自衛隊の政治利用は、平和国家の基盤を揺るがすルール違反だ。

 日本は明治憲法下で軍幹部が軍閥として大きな政治勢力を持ち、戦争の道を突き進んだ。多数の国民の生命や財産が失われた痛恨の歴史は、戦後日本の出発点でもある。この反省を踏まえて、歴代の閣僚は自衛隊と政治の関係について極めて慎重に発言してきた。

 だが、稲田氏の発言はあまりにも稚拙で、防衛省トップの責任の自覚はみじんも感じられない。

 稲田氏は、国会で学校法人「森友学園」との関係を問われて全面否定したが、民事訴訟で学園側の代理人弁護士として出廷した記録が明らかになると発言を撤回、謝罪した。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)を巡っても、部隊日報に記された「戦闘」を「武力衝突」と言い換え、批判を浴びた。

 物議を醸す失言の繰り返しは、撤回や謝罪で済む話ではない。

 安倍内閣は、加計学園問題で行政手続きへの不当な関与が疑われている。

 「1強」の下で傲慢(ごうまん)に陥った内閣の姿勢は、今回の稲田氏の発言にも通じる。安倍晋三首相の任命責任が問われよう。

 

社説[稲田防衛相発言]即刻罷免し中立性保て(沖縄タイムス)
2017年6月29日 07:25
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/106579

 選挙期間中に、有権者の前で、こんなことを堂々と語ったとすれば、単なる失言では済まされない。

 自衛隊という巨大な実力組織を大臣自ら、選挙のために利用したのであれば、憲法、国家公務員法、自衛隊法、公職選挙法に照らして、違法行為を行った疑いが生じる。

 稲田朋美防衛相は27日、都議選の自民党候補を応援する集会で、こう訴えた。

 「自衛隊・防衛省とも連携のある候補だ。ぜひ2期目の当選、本当に大変だから、お願いしたい。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」。

 稲田氏は同日深夜、「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べたが、発言を撤回すれば済むような単純な失言とは、レベルの異なる話だ。

 公職選挙法は「公務員が地位を利用して選挙運動をしてはならない」と定め、自衛隊法は「政治的目的のために政治的行為をしてはならない」と、自衛隊の政治活動に厳しい制限を加えている。

 国家公務員法も国家公務員の政治的行為を制限。憲法は15条で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定している。

 宜野湾市長選を巡り2012年、当時の沖縄防衛局長が部下への「講話」で、投票所に足を運ぶよう求め、訓戒処分を受けた。東日本大震災を巡り「まだ東北で良かった」と発言した今村雅弘復興相は4月に更迭された。

 自衛隊の中立性に疑いをもたれることがないよう稲田氏を直ちに罷免すべきである。

■    ■

 安倍晋三首相は、野党の罷免要求を拒否し、継続して職務に当たるよう稲田氏に指示したという。今村氏は直ちに更迭したというのに、なぜ稲田氏は残すのか。

 稲田氏は、南スーダン国連平和維持活動(PKO)を巡って「武力衝突があったが、法的な意味での『戦闘行為』ではない」と発言したり、陸上自衛隊の日報を巡って二転三転の説明が続き、統率力の欠如を露呈した。

 「森友学園」問題でも事実に反する国会答弁を繰り返し、窮地に立たされた。

 国会答弁に安定性がなく、巨大組織を束ねる統率力にも自衛隊の中から疑問の声が上がっていたという。

 内部からも、とかくの批判を受けてきた大臣が、政務と公務の区別がつかないような致命的選挙演説をやらかしたのである。

 稲田氏を続投させるのは、7月2日の都議選投開票への影響を最小限に抑えるためか。それとも、8月予定の内閣改造をにらんでの判断か。

■    ■

 稲田氏は安倍首相の「秘蔵っ子」といわれ、安倍政権誕生以来、日の当たるポストを歩み続けてきた。加計(かけ)学園問題では、首相腹心の萩生田光一官房副長官の関与が大きな焦点になっている。2人とも「お友達内閣」の象徴的存在だ。

 自民党2回生議員による相次ぐ不祥事といい、稲田氏の発言といい、加計学園問題といい、安倍政権は1強の「おごり」や「緩み」によって自壊作用を起こしているように見える。

 

<社説>自衛隊の政治利用 防衛相の罷免しかない(琉球新報)
2017年6月29日 06:01
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-523382.html

 問題発言を撤回したからといって、なかったことにはならない。今度こそ辞任すべきである。

 稲田朋美防衛相が、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補を応援する集会で演説し「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。
 憲法第15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定している。公職選挙法は、公務員の地位を利用した選挙運動を禁止している。さらに自衛隊法61条は、選挙権の行使以外の自衛隊員の政治的行為を制限している。
 稲田氏は、1人の自民党員としてではなく、防衛相という自身の地位を語り、防衛省と自衛隊が組織を挙げて所属政党の公認候補者を支援すると呼び掛けたようなものだ。防衛省や自衛隊の政治利用と受け取られかねず、法に抵触する恐れがある。防衛相としての自覚と資質に欠ける。
 稲田氏は発言を撤回したが「これからも職務を全うしたい」と述べ、辞任する考えのないことを強調した。安倍晋三首相の任命責任は重大だ。もはや辞任ではなく罷免すべきだ。
 ところが首相は、稲田氏の続投を指示した。菅義偉官房長官は「誤解を招くような発言をすべきでない」と苦言を呈しながら「誠実に職務に当たってほしい」と述べた。行政の中立性を逸脱するような発言をしても続投させるのは、「1強」のおごりそのものだ。国会を開いて説明する必要がある。
 今回が初めてではない。稲田氏は3月、学校法人「森友学園」の問題で学園側との関係を問われ「顧問弁護士だったこともないし、法律的な相談を受けたこともない」と否定。その後、民事訴訟の原告代理人弁護士として出廷したことを示す裁判所作成の記録が明らかになると「自分の記憶に自信があったので確認せず答弁した」として撤回、謝罪に追い込まれた。
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報に「戦闘」との表現があった問題で「法的な意味での戦闘行為はない」と繰り返した。憲法9条の問題になるのを避けるため「武力衝突という言葉を使っている」と説明し、野党から「戦闘の事実を隠蔽(いんぺい)していると」批判を浴びた。
 稲田氏は首相にとって政治信条が近い「秘蔵っ子」と目されている。第2次安倍政権が発足すると、当選3回の稲田氏を行政改革担当相に抜てきし、政調会長、防衛相と重要ポストを与え続けてきた。閣僚としての資質に欠ける発言を繰り返しても、稲田氏を擁護してきた。これでは内閣の私物化である。
 共同通信による6月の全国世論調査で、安倍内閣の支持率が急落した。不支持の理由は「首相が信頼できない」が最も多かった。強引な政権運営に対する批判を重く受け止めるべきだ。

(以上、社説終わり)

 

 以下、記事を資料として採録。

2017年6月28日 朝刊
都議選応援で「自衛隊としてお願い」 稲田防衛相
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017062802000097.html

Pk2017062802100012_size0 都議選の自民党候補を応援する集会で演説する稲田防衛相=27日夜、東京都板橋区で

 稲田朋美防衛相は二十七日、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補を応援する集会で演説し「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。自衛隊を政治利用するもので、行政の中立性を逸脱したと受け取られる可能性がある。野党は「行政の完全な私物化だ」(小川敏夫民進党参院議員会長)と批判。政権内でも「即刻謝罪すべきだ」(自民党の閣僚経験者)と苦言が出た。稲田氏は同日深夜、国会内で記者団に「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べた。

 安倍晋三首相は加計学園問題に続き、七月二日の都議選投開票を前に、政権批判の新たな火種を抱え込んだ格好だ。

 自衛隊法は、隊員の政治的行為を制限している。稲田氏の発言は、防衛省と自衛隊が組織を挙げて候補者を支援すると主張したようなもので、法に抵触する恐れもある。

 稲田氏は演説で「隣の練馬区には自衛隊の師団もある。何かあった時に自衛隊がしっかりと活躍できるのも地元の皆さま方の協力があって初めて(可能だ)」とも指摘した。板橋区に住む、陸上自衛隊練馬駐屯地(練馬区)の関係者を念頭に置いた発言とみられる。

 演説後、記者団から発言の真意を問われた稲田氏は「練馬駐屯地も近いし、防衛省・自衛隊の活動に当たって地元の皆さま方に大変、ご理解、ご支援をいただいていることに感謝していると申し上げた」と釈明した。演説内容については「ちょっと覚えていないが、趣旨はそういう趣旨だ」と述べた。

 自衛隊法は「政治的目的のために、政治的行為をしてはならない」と規定。国家公務員法も国家公務員の政治的行為を制限している。共産党の小池晃書記局長は「自衛隊の政治利用に何の恐ろしさも感じない人が防衛相を務めるのは言語道断だ。辞任すべきだ」と共同通信の取材に答えた。

 自衛官の政治的行為を巡っては五月二十三日、防衛省の河野克俊統合幕僚長が記者会見で、憲法九条に自衛隊を明記するとの首相の提起について「自衛隊の根拠規定が憲法に明記されることになれば非常にありがたいと思う」と発言した。

 稲田防衛相は「職責を全うしたい」と述べ、辞任を否定した。

 

稲田防衛相、都議選応援で「自衛隊としてお願い」 発言撤回、辞任は否定
2017年6月28日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062802000144.html

Pk2017062802100012_size0 都議選の自民党候補を応援する集会で演説する稲田防衛相=27日夜、東京都板橋区で

 稲田朋美防衛相は二十七日夜、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補を応援する集会で演説し「ぜひ当選、お願いしたい。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支持を呼び掛けた。自衛隊を政治利用するもので、行政の中立性を逸脱したと受け取られる可能性がある。野党は「即刻辞任すべきだ」(蓮舫民進党代表)と批判した。稲田氏は同日深夜、国会内で記者団に「誤解を招きかねず、撤回したい」と語った。「職務を全うしたい」として辞任は否定した。

 野党は政権批判を強める構えで、安倍晋三首相は加計学園問題に続き、七月二日の都議選投開票を前に、新たな火種を抱え込んだ格好だ。稲田氏の発言は、防衛省と自衛隊が組織を挙げて候補者を支援すると主張したようなもので、法に抵触する恐れもある。

 稲田氏は演説で「隣の練馬区には自衛隊の師団もある。何かあった時に自衛隊がしっかりと活躍できるのも地元の皆さま方の協力があって初めて(可能だ)」とも指摘した。板橋区に住む、陸上自衛隊練馬駐屯地(練馬区)の関係者を念頭に置いた発言とみられる。

 演説後、記者団から発言の真意を問われた稲田氏は「練馬駐屯地も近いし、防衛省・自衛隊の活動に当たって地元の皆さま方に大変、ご理解、ご支援をいただいていることに感謝していると申し上げた」と釈明した。二十七日深夜には「防衛省、自衛隊に限らず、政府機関は政治的に中立で、特定の候補を応援するのはありえない」と述べた。

 民進党の蓮舫代表は「防衛相の地位にありながら、自衛隊を政治的に利用するもので看過できない」として辞任を求めるコメントを発表した。

◆政府高官「こればかりは、まずい」

 稲田防衛相が「防衛省・自衛隊、防衛相として」と前振りをして、自民党候補者への支援を要請した発言が「自衛隊の政治利用だ」との批判を招くのは必至だ。当日中に撤回したとはいえ、東日本大震災を巡り「まだ東北で良かった」と失言した今村雅弘復興相が四月に更迭されたばかり。学校法人「加計学園」を巡る問題がくすぶり続ける中、閣僚による失言の連鎖で政権への逆風がさらに強まった。

 発言を伝え聞いた政府高官はしばらく絶句した後に「こればかりは前後の文脈と関係ない。まずい」と頭を抱えた。自民党の閣僚経験者は「東京都議選への影響が出る」と懸念。自民党議員には豊田真由子衆院議員が秘書への暴力行為で離党届を出すなど、不祥事が相次いでおり、公明党幹部は「オウンゴールの大合唱だ。野党に付け入る隙を与えただけだ」と憤りをあらわにした。

 一方、野党は政権批判に勢いづく。加計問題も含め、臨時国会や閉会中審査の開催を強く求めていく方向だ。

 民進党の山井和則国対委員長は取材に「自衛隊の政治利用は絶対にあってはならない。稲田氏に防衛相の資格はない」と辞任を要求。「安倍晋三首相の任命責任も問われる」と非難した。

<行政の中立性> 憲法第15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定。公職選挙法は「公務員が地位を利用して選挙運動をしてはならない」と定め、公務員に政治的な中立性を求めている。自衛隊員も同様に、自衛隊法で政治的行為が制限され、政令で地方公共団体の議会議員選挙などで特定の候補者を支持することを禁じている。2012年には当時の沖縄防衛局長が部下への「講話」で、沖縄県宜野湾市長選を巡り投票所に足を運ぶよう求めたことが問題視され、防衛省訓令に基づく訓戒処分を受けた。

 

稲田氏 都議選応援「自衛隊としてお願い」発言後に撤回
毎日新聞2017年6月27日 23時16分(最終更新 6月28日 01時01分)
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170628/k00/00m/010/172000c

20170628k0000m010192000p_9 自身の発言に関して報道陣の取材に応じる稲田朋美防衛相=衆院第2議員会館で2017年6月27日午後11時35分、長谷川直亮撮影

 稲田朋美防衛相は27日、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補の集会に出席し、「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支援を訴えた。自衛隊を政治利用したともとれる発言に野党は一斉に反発し、稲田氏は同日深夜、発言を撤回した。

<稲田氏発言>野党「完全にアウト」与党は都議選影響危惧
<豊田氏の暴言の理由>自民・細田氏「秘書の高速逆走」
<元秘書は…>暴行問題、埼玉県警に被害相談
<自民党>ノルマ未達成者は実名公表
<加計問題>萩生田氏に面会を…民進、門前払いされる
<やはり忖度はあった!>逆ギレの安倍首相、狼狽する財務省、笑う籠池氏…

 稲田氏は集会で、隣接する練馬区に陸上自衛隊練馬駐屯地があることを挙げ、「防衛省・自衛隊と東京都がしっかりと手を携えていくことが重要だ。地元と政権との間をつなぐのは自民党しかない」とも述べた。集会後、発言について「防衛省・自衛隊の活動に地元の理解と支援をいただいていることに感謝の気持ちを伝える一環として、そういう言葉を使った。あくまでも自民党として応援している」と記者団に釈明した。

 憲法第15条2項は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定する。公職選挙法は第136条の2で公務員の地位を利用した選挙運動を禁止。自衛隊員は自衛隊法第61条によって、選挙権の行使を除く政治的行為が制限されている。

 防衛省や自衛隊が組織を挙げて特定の候補者を支援するかのような稲田氏の発言は、公務員の政治的中立性に対する有権者の疑念を招きかねない。防衛省関係者は「閣僚としての自覚が足りない」と稲田氏を批判した。

 稲田氏は27日深夜、改めて記者団の取材に応じ「防衛省・自衛隊に限らず、政府の機関は政治的に中立であり、特定の候補者を応援することはあり得ない」と述べた。自衛隊の政治利用との指摘に関しては「誤解を招きかねない発言だった」と陳謝した。一方で防衛相辞任は否定した。【木下訓明】

 

稲田氏発言に批判続々 「全自衛官が自民支持と誤解されるのでは」
2017年6月28日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062802000137.html

Pk2017062802100042_size0 東京都議選の応援演説での発言を撤回し、頭を下げる稲田防衛相=27日深夜、衆院第2議員会館で

 「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」。稲田朋美防衛相が二十七日、東京都議選の応援演説で自衛隊の政治利用とも受け止められかねない発言をした。「軽率だ」。身内である自衛官や識者からは批判が相次ぎ、投開票日が迫った都議選への影響を懸念する声も上がった。

 「なぜ余計なことを言うのか」。発言に自衛隊の中堅幹部は憤る。自衛隊を巡っては、安倍晋三首相が憲法九条に存在を明記する文言を追加するよう五月に提案し秋に想定される臨時国会で自民党憲法改正案を提出したいと発言したばかり。

 国民は自衛隊と政治との関係に関心を持ち始めているとして「いつも以上に発言内容には配慮が必要なのではないのか」と苦言を呈した。

 自衛隊法は六一条で、自衛隊員の政治的な目的による行為を制限。別の幹部は「われわれは政治的主張ができないのに、稲田氏に勝手に応援演説で利用されたと感じる。全自衛官が自民党支持と誤解されてしまうのではないか」と肩を落とした。

 日本大の岩井奉信(ともあき)教授(政治学)は「防衛省や自衛隊は特定の政党や政治勢力から独立していなければならない。閣僚とはいえ選挙の応援はあくまで一人の自民党員としてするもので、発言は行き過ぎだ」と指摘。その上で「防衛省や自衛隊と政治の関係は特に敏感な問題で、歴代の閣僚は発言に気を使ってきた。自覚が足りないと言われても仕方がない」と資質を疑問視した。

◆都議選候補集会演説要旨

 東京都板橋区で行われた都議選候補の集会で演説した稲田朋美防衛相の発言要旨は次の通り。

 【演説】

 テロ、災害、首都直下型地震も懸念される中、防衛省・自衛隊と東京都がしっかりと手を携えていくのが非常に重要だ。地元の皆さま方とこの政権との間をつなぐのは自民党しかない。

 板橋区ではないが、隣の練馬区には自衛隊の師団もある。何かあったときに自衛隊が活躍できるのも地元の皆さま方、都民の皆さま方の協力があってのことだ。都と国との連携があるのが重要だ。

 自民党の下村博文幹事長代行との強いパイプ、自衛隊・防衛省とも連携のある候補だ。ぜひ二期目の当選、本当に大変だから、お願いしたい。このように防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたいと、このように思っているところだ。

 【演説後、記者団に】

 練馬駐屯地も近いし、防衛省・自衛隊の活動に当たっては、地元の皆さま方に大変、ご理解、ご支援をいただいていることに感謝していると申し上げた。地元の皆さん方に対する感謝の気持ちを伝える一環として、そういう言葉を使ったわけだが、あくまでも自民党として応援している。(どう発言したかとの問いに)ちょっと覚えていないが、趣旨はそういう趣旨だ。

Pk2017062802100043_size0 ◆国会内での発言要旨

 稲田朋美防衛相が二十七日深夜、国会内で記者団に述べた発言の要旨は次の通り。

 防衛省、自衛隊に限らず、政府機関は政治的に中立で、特定の候補を応援するのはあり得ない。これは当然のことだ。(そのような)認識はあった。誤解を招きかねず、撤回したい。

 実際に板橋区の近くに駐屯地がある。そういう意味で陸上自衛隊練馬駐屯地に限らず、自衛隊の活動自体が、地域の皆さま方の理解なくして成り立たないということについて、感謝していると申し上げたかった。

 防衛相としての責任がどうなのかというお尋ねに関しては、こういった安全保障環境の下、これからもしっかりと職務を全うしたい。私は自民党員でもあり、自民党として応援したいということを申し上げたかった。

 

【政治】 野党「防衛相の罷免を」 「自ら法に抵触」
2017年6月28日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062802000269.html

Pk2017062802100175_size0
防衛省に入る稲田防衛相=28日午前

 民進党の蓮舫代表は二十八日朝、稲田防衛相の発言について「完全にアウトだ。即刻辞任すべきだ。大臣としての資質に欠ける。安倍晋三首相の任命責任が大きく問われる」と話した。都内で記者団に語った。

 蓮舫氏は自衛隊員の政治的行為を制限した自衛隊法六一条に触れ「防衛相自らが抵触する行為をしている」と指摘した。

 稲田氏が二十七日深夜、発言を撤回したことに関しても蓮舫氏は、「撤回できる代物ではない」と批判した。

 七月二日投開票の東京都議選への影響については「防衛相として明らかに違法な発言だ。(有権者から)厳しいまなざしが向けられるのではないか」と話した。

 蓮舫氏は党本部でも記者団に「発言は(公務員は全体の奉仕者であることを規定した)憲法一五条や公職選挙法などにも違反する。首相は即刻罷免すべきだ」と訴えた。

 共産党の小池晃書記局長も二十八日、取材に「自衛隊という最も中立的でなければならない組織を、自分たちの持ち物のように考えている。最悪の政治利用だ。首相は即刻、罷免すべきだ。国会議員の職にとどまることにも疑問符がつく」と話した。

 民進、共産、自由、社民の野党四党は午後に国対委員長会談を開き、稲田氏の防衛相辞任要求で足並みをそろえる。

Pk2017062802100176_size0
稲田防衛相が物議を醸した発言

 

稲田氏発言に自民嘆き節 都議選に「間違いない逆風」
2017年6月29日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017062902000125.html

 稲田朋美防衛相が東京都議選(七月二日投票)の応援演説で「防衛省、自衛隊としてもお願いしたい」と発言して一夜明けた二十八日、自民候補者のほか、国政で与党の公明党からも嘆き節が相次いだ。加計(かけ)学園問題など、自民にとって、ただでさえ風当たりが厳しい選挙戦。有権者からも苦言が漏れた。 (都議選取材班)

 「森友学園、加計学園の『もりかけ問題』などがようやく沈静化して、盛り返しつつあるところに稲田発言だ…」

 二十八日、二十三区内で街頭演説を終えた自民新人候補は眉をひそめた。他党の新人らと競り合いをしているだけに「発言は十分注意してほしい」と嘆いた。

 「間違いない逆風だ。いつまでも(国政で)与党の自民党があるわけではない」と苦言を呈したのは、小泉進次郎衆院議員。党の看板として各所で応援演説したが、冒頭から反省モードだった。

 都議会では自民と決別したものの、国政で連立政権を組む公明も影響を懸念。都本部幹部は「稲田氏の発言は、敵に塩を送る行為。とんでもないことをしてくれた」と憤慨した。

 有権者も厳しい。「口は災いのもと」と言うのは、千代田区内で候補者演説を聞いていた自民支持者の嶋沢清子さん(82)。「何であんなことを言ったのか」とため息をついた。三鷹市内で民進党候補者の演説に耳を傾けた市内の主婦(71)は「自衛隊を選挙に使うなんておかしい」と語った。

 ◇ 

 稲田氏が二十七日に自民候補者を応援演説した板橋区選挙区は、定数五に十人が立候補する激戦区。自民の現職二人と地域政党「都民ファーストの会」の新人一人は、いずれも自民都連の下村博文会長の元秘書だ。下村氏は二十八日、稲田氏の発言について「誤解を与えるような発言があったことは残念だ。おわび申し上げたい」と陳謝した。

 

【政治】 「撤回した。これで終わりだ」 政府、稲田氏発言の幕引き急ぐ
2017年6月28日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062802000270.html

 稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補応援で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支持を呼び掛ける発言をした後、撤回したことを受け、菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十八日午前の記者会見で「稲田氏はしっかり説明した。今後も誠実に職務に当たってほしい」と語り、辞任の必要はないとの考えを示した。東京都議選に対しては「影響を与えることはないと認識している」と強調した。 

 菅氏は二十七日に稲田氏から報告を受け、「誤解を受ける発言は注意するように」と伝え、早期に会見を開いて撤回、謝罪をするよう助言したと明らかにした。菅氏から安倍晋三首相にも報告が行われ、首相からは閣僚は発言に注意をするよう指示があったという。

 稲田氏の発言が、自衛隊の政治利用に当たるとの指摘について菅氏は、「政府の機関は政治的に中立で、特定の候補を応援することはあり得ない。十分気を付けた上で応援するのは当然だ」と述べた。

 稲田氏は二十八日午前、防衛省に入る際、前日深夜に辞任を否定したことに関連し「昨日、話した通りだ」と記者団に語った。

 政府高官は二十八日朝、「稲田氏はきちんと発言を撤回して謝罪した。これで終わりだ」と記者団に語り、更迭を否定した。

 

稲田氏発言に批判続々 「あり得ない」自民が影響懸念
2017年6月28日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/togisen2017/news/CK2017062802000262.html

 稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補応援で「自衛隊としてもお願いしたい」と発言したことに関し、都議選候補者らは二十八日、街頭演説で「あり得ない」などと次々と批判、自民党関係者は「マイナスだ」と選挙への影響を懸念した。 

 民進党の福山哲郎幹事長代理は、自衛隊練馬駐屯地に近い練馬区での応援演説で「考えられない発言。加計・森友問題や共謀罪など、今の安倍政権のやり方はおかしいという声をこの選挙で上げてほしい」と訴えた。

 共産党も街頭演説で批判を展開。ある候補者は「稲田氏個人の発言を攻撃するより、国政の私物化という感覚、体質を選挙で問うていく」と強気の姿勢を見せた。

 小池百合子都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」の候補者は演説では触れず、「有権者の反応はまだ分からない。自分の訴えをしていくだけ」と話した。

 自民党候補陣営の区議は「投票日まであと数日となった大事な時期。われわれが地域で汗を流しているときに、大臣の失言は最悪だ」と苦言を呈した。

◆「私物化疑われる」石破元防衛相も批判

 防衛相経験者の石破茂元幹事長は二十八日、稲田氏の発言について取材に「『防衛省として、自衛隊として』と言えば私物化と疑われる。自衛隊の政治利用以前に、行政の公平、公正、中立さの問題だ。絶対あってはならないことだ」と批判した。石破氏は「大臣が発言したからといって、政治利用されるようないいかげんな組織では自衛隊はないが、そのトップの見識が国民から問われることになる」と懸念。進退については「任命権者の首相と本人の判断だ」と語った。

 

「稲田朋美」防衛相が気持ち悪い 国会で涙、国会外で被害者意識
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/03070600/?all=1

03070600_1
稲田朋美防衛相

「私は今日も国会で、今日も国会で質問攻めに遭ってきました」

 稲田朋美防衛相(58)は大声でこう強調した。まるで自分が被害者であるかのように――。

 日米首脳会談では蜜月関係を築き、心配されていた株価が下がることもない。約6割の高支持率を誇る安倍内閣は盤石なものに思える。しかし、「爆弾」を抱えていないわけではない。

〈抗議集会で稲田氏批判〉(2月20日付朝日新聞)

〈稲田防衛相 省内を統率しているか〉(同月17日付毎日新聞)

〈4野党、稲田氏の辞任要求〉(同月16日付産経新聞)

 こうして連日紙面を賑わせている稲田防衛相。安倍総理の「秘蔵っ子」と持て囃(はや)されたのは、彼女のトレードマークである眼鏡を掛けても霞んで見えないほど、遥か遠い過去に思えてくる。

■産経新聞までもが…

 そんな「爆弾大臣」の来し方をまず振り返っておくと、保守系の弁護士として活動していた彼女に安倍総理が目をつけ、2005年の郵政選挙に「刺客」として初出馬。以来、14年には当選3回ながら異例の若さで自民党政調会長に抜擢され、昨年8月には防衛相に引き立てられるといった具合に、政界のシンデレラ街道を歩んできた。

「幅広い分野の政策を勉強するために政調会長、苦手な安全保障をより専門的に学ぶために防衛大臣と、安倍さんの英才教育が施(ほどこ)されてきました」(自民党職員)

 それが贔屓(ひいき)の引き倒しになっているのだから皮肉な話だが、現在彼女が批判の矢面に立たされている「日報問題」について、政治部デスクが解説する。

「自衛隊は今、南スーダンでPKO(国連平和維持活動)を展開していますが、現地はかなり危険で、自衛隊を派遣すべき状況ではないと指摘されています。実際、昨年7月には政府軍と反政府勢力が大規模な衝突を起こしている。そこで、昨年10月にジャーナリストが、陸上自衛隊の現地派遣部隊が作成した7月の日報を明らかにせよと、防衛省に情報公開請求をしたんです」

 これに対して同省は、日報は廃棄されているとして不開示を決定。ところが、

「12月22日、自民党の河野太郎さん(元公文書管理担当相)が、データは残っているはずだと再調査を求めると、一転、不思議なことにやはり残っていたということになり、2月7日になってようやく一部黒塗りで日報は公開されました。野党はこの経緯を、防衛省が日報を隠蔽しようとしたとして稲田さんを追及し、辞任を求めています。一方の彼女は、実は河野さんより早く再調査を指示していたと説明し、隠蔽ではなかったと繰り返している。しかし、稲田さんの答弁が頼りないこともあり、野党の攻勢は続いています」(同)

 この稲田氏を巡る惨状は、最も「安倍政権寄り」とされる産経新聞までが、

〈民進党の辻元清美氏は、南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報の問題に絡み「シリアの内戦は『戦闘』か『衝突』か」と定義をただしたが、稲田氏は「法的な評価をしていない」などと曖昧な答弁に終始した〉(2月15日付)

 こう報じざるを得なかったほどだ。当の稲田氏は、

「(当該の)文書を探索しきれなかったことは、充分な対応ではなかった」

 と、記者会見で陳謝し、表向きは反省している姿を見せていたのだが……。

■「無理難題を言われている」

「防衛大臣になってから、臨時国会でもずっと攻められてきて、今回(通常国会)は大丈夫かなと思ったんですけど、もう俄(にわか)に攻められまして」

 2月17日夜、稲田氏はマスコミをシャットアウトして開催された都内での会合で、冒頭に紹介したセリフに続けこう話し始めた。そして、会合の出席者によれば、彼女はこんな風に言葉を継いだ。

「私がもう1回日報を探しなさいと言ったら、統幕で見つかった。だから公開したんです。私が探せと言って、公開までに1カ月くらい掛かったのは申し訳なかったと思いますけど、それを今、攻められていて、『隠蔽!』『隠蔽!』って。隠蔽大臣とか言われてるんですが、私が資料を出せと言ったんです」

「ところが、『隠蔽した!』『隠蔽した!』って、もう決めつけて、『消したんだったらいつ消したのか、全部出せ』とか、無理難題を言われているのが現状です」

「答弁で私が長く喋ろうとすると、野党の質問は長いくせに、『そんなことは聞いていない!』『うるさい!』と、遮っ(さえぎ)てくるんですよ」

 曖昧な答弁で野党を勢い付かせているのは、他ならぬ稲田氏本人である。にも拘(かかわ)らずのこの言い草は、悪いのは野党であって自分ではないと言わんばかりではないか。これを世間では愚痴と言う。少なくとも混乱を招いている組織の長がすべき発言ではあるまい。

■ここ10年で一番ダメな防衛大臣

 なにしろ、ある陸自幹部OB曰く、

「稲田さんは南スーダンについて猛勉強中で、一日数時間、事務方からレクチャーを受けていると聞きます。その分、他の業務は滞る可能性もあるでしょうし、事務方は昼間は大臣レクチャー、夜は野党議員からの質問取りと、寝る暇もないそうですよ」

 愚痴りたいのは、稲田氏を戴(いただ)いてしまった防衛省の役人のほうなのである。

 続けて軍事ジャーナリストの世良光弘氏が、

「彼女の知識不足、理解不足、拙(つたな)い答弁を見ていると、ここ10年で一番ダメな防衛大臣だと思います。彼女のせいで、国会審議が実質的に止まってしまっている状況なのに、会合に出掛けて行って言い訳をしている場合ではありません」

 と、「もしもし大臣」こと田中直紀元防衛相以下との烙印を押せば、危機管理コンサルタントの田中辰巳氏も呆れる。

「そもそも、野党の追及を恐れる必要はありません。企業にも日々様々なクレームが舞い込みますが、それを糧に商品の品質改善に繋げていくもの。稲田さんも、野党の声を利用する懐の深さがなければ、大臣職を務めていくのは難しいのではないでしょうか。彼女は極めて感情的で、大臣が語るべき“公”の損得ではなく、『国会でいじめられている』と、“私”の損得だけを語っている印象を受けます」

 つまり、防衛を司(つかさど)る重責を担う彼女の、「存在の耐えられない軽さ」が改めて注目を集めているわけだが、遡(さかのぼ)れば、稲田氏は安倍政権にとって常に「火種」であった。

 やることなすこと評判の悪い稲田氏だが、現在進行形の日報問題に関するこの会合での発言について、防衛省を通じ、

「ご指摘のような話は、しておりません」

 と、回答。もう1度、ご自身の記憶を辿り直してみたほうがよろしいかと思うのだが……。

特集「安倍内閣を弱らせる『網タイツの一穴』国会で涙 国会外で被害者意識 『稲田朋美』防衛相が気持ち悪い」より

週刊新潮 2017年3月2日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

始めに戻る


 

雑談日記は良質な情報への中継点
と、に参戦中。

 

(↓クリックすると拡大)
自民党は自Endバナー 自民党は自Endバナー

 ココログ利用で、即行で以下のTBPライブリンクをサイドエリアへはりたければ⇒一輪のバラをクリック。

 以下、登録・スタートさせたトラックバック・ピープル、主権者国民連合主権者は私たち国民自民党政治民主党政治社民党や共産党

 

※原発関連で3冊:

知事抹殺 つくられた福島県汚職事件 佐藤 栄佐久

原子炉時限爆弾 広瀬 隆

隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ 小出 裕章

|

« 安倍チルドレン豊田真由子衆院議員の“絶叫暴行”を秘書が告発 安倍晋三のまわりはこんなのばかり。 | トップページ | もはや安倍晋三には総理大臣をやる資格などない 記事紹介『稲田氏発言 防衛相なぜ続投 辞任5閣僚より深刻なのに…』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91038/65473083

この記事へのトラックバック一覧です: 全国紙4紙と地方紙19紙の社説が痛烈に批判 稲田大臣の都議選演説「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい」:

« 安倍チルドレン豊田真由子衆院議員の“絶叫暴行”を秘書が告発 安倍晋三のまわりはこんなのばかり。 | トップページ | もはや安倍晋三には総理大臣をやる資格などない 記事紹介『稲田氏発言 防衛相なぜ続投 辞任5閣僚より深刻なのに…』 »