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2017年7月19日 (水)

稲田罷免時機を逸した馬鹿丸だし安倍晋三の滑稽w⇒「稲田氏、組織的隠蔽を了承 PKO日報、国会で虚偽答弁」

 日報がいかに大事か。隠蔽したり、削除したりするとどんな不都合なことが起きるかが分かる伊勢崎 賢治氏の論考を後ろで採録

↓下記は、米軍公式新聞 STARS AND STRIPES(星条旗新聞)が2017年2月27日付ワシントン・ポスト記事をそのまま転載中の写真(表題と記事内容は森友問題w)。写真は2016年12月26日安倍と稲田がハワイ訪問し、「戦争捕虜・戦中行方不明者捜索統合司令部」(DPAA、米ハワイ州)を訪問時のもの。ブリーフィングされてるとの説明だが、差し詰め先生に叱られる小学生の風情w(元記事を後ろで採録

In Japan, a scandal over a school threatens to entangle the prime minister
By ANNA FIFIELD | The Washington Post | Published: February 27, 2017
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U.S. Army Brig. Gen. Spindler, Defense POW/MIA Accounting Agency (DPAA) deputy director, briefs Prime Minister Shinzo Abe of Japan and Defense Minister Tomomi Inada on the agency's recovery operations at the DPAA facility as part of his visit to Hawaii, Dec. 26, 2016.
KATHRINE DODD/U.S. AIR FORCE

By ANNA FIFIELD | The Washington Post | Published: February 27, 2017

 

稲田氏、組織的隠蔽を了承 PKO日報、国会で虚偽答弁
2017/7/19 02:00
https://this.kiji.is/260088924608626696

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閣議後、記者会見する稲田防衛相=18日、防衛省

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を廃棄したとしながら陸上自衛隊が保管していた問題で、稲田朋美防衛相が2月に行われた防衛省最高幹部による緊急会議で、保管の事実を非公表とするとの方針を幹部から伝えられ、了承していたことが分かった。複数の政府関係者が18日、明らかにした。防衛省・自衛隊の組織的隠蔽を容認した形になる。

 稲田氏はその後の国会で、一連の経緯の報告を受けていないとし「改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と答弁。国会でも虚偽の説明をしたことになり、防衛相辞任を求める声が強まり、安倍晋三首相も任命責任を問われるのは確実だ。

 

 稲田防衛相直轄の防衛監察本部が行った特別防衛監察であり、防衛相と副大臣、政務官は制度上、対象から外れるので「関与触れず」になるのも予想されたこと。

“日報”調査結果あすにも発表 稲田氏の関与触れず(17/07/20)
ANNnewsCH
https://www.youtube.com/watch?v=HRhDAok0ICM

2017/07/19 に公開

 

稲田防衛相 PKO日報隠蔽了承 国会で虚偽説明
会員限定有料記事 毎日新聞2017年7月19日 02時00分(最終更新 7月19日 07時58分)
https://mainichi.jp/articles/20170719/k00/00m/040/185000c

20170719k0000m010197000p_9 閣議に臨む稲田朋美防衛相=首相官邸で2017年7月18日午前9時55分、川田雅浩撮影

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を廃棄したとしながら陸上自衛隊が保管していた問題で、稲田朋美防衛相が2月に行われた防衛省最高幹部による緊急会議で、保管の事実を非公表とするとの方針を幹部から伝えられ、了承していたことが分かった。複数の政府関係者が18日、明らかにした。防衛省・自衛隊の組織的隠蔽(いんぺい)を容認した形になる。

【写真特集】稲田朋美氏の軌跡
<稲田氏発言>防衛相なぜ続投 辞任5閣僚より深刻なのに…
<「自衛隊としてお願い」 稲田氏、軽さ露呈 安易な「政治利用」>
<「自衛隊」発言を“誤解”と言い繕う稲田防衛相のごまかし>
<稲田氏「自衛隊としてお願い」 自覚の乏しさにあきれる>

 稲田氏はその後の国会で、一連の経緯の報告を受けていないとし「改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と答弁。国会でも虚偽の説明をしたことになり、防衛相辞任を求める声が強まり、安倍晋三首相も任命責任を問われるのは確実だ。

 稲田氏は18日、当該の会議で非公表の方針を了承したかどうかの事実関係について、共同通信の取材に「ご指摘のような事実はありません」と書面で回答した。

 複数の関係者によると、緊急会議は2月15日、防衛省で開かれた。稲田氏や事務方トップの黒江哲郎事務次官、豊田硬官房長、岡部俊哉陸上幕僚長、湯浅悟郎陸幕副長らが出席。情報公開請求に「廃棄済み」とした日報が陸自に電子データで残されていたことについて、事実関係を公表するか対応を協議した。

 陸自は1月17日、岡部幕僚長に保管されていたことを報告し公表の準備を始めたが、会議では、陸自のデータは隊員個人が収集したもので公文書に当たらないなどとした上で、「事実を公表する必要はない」との方針を決定。稲田氏は異議を唱えず、了承したという。

 3月に入り、報道によって陸自に日報が保管されていた事実が明るみに出た。稲田氏は同月16日の衆院安全保障委員会で、民進党議員から一連の隠蔽行為の報告を受けていないのか問われ「報告はされなかったということだ」と否定した。

 日報を巡っては、情報公開請求を不開示とした後、昨年12月に統合幕僚監部で発見。その後、陸自でも見つかったが、1月27日に統幕の背広組の防衛官僚が、報告に来た陸自の担当者に「今更陸自にあったとは言えない」と伝達。2月にデータは消去された。防衛省は2月6日、統幕で見つかった事実を公表し翌7日、一部を黒塗りで公開。陸自での保管の経緯は防衛相直轄の防衛監察本部が特別防衛監察を実施中で、近く結果を公表する見通しだ。

 【ことば】南スーダンPKO日報問題

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に、政府は2012年1月~17年5月、陸上自衛隊の部隊を派遣。首都ジュバで大規模戦闘が起きた昨年7月に現地部隊が作成した日報の情報公開請求を、防衛省は昨年10月に受理した。同12月2日に「陸自は廃棄済み」として不開示決定したが、12月26日に同省統合幕僚監部に電子データで保管されていたことが判明、今年2月に公開した。3月には陸自内部にも残っていたことが発覚。日報の「戦闘」との表現を巡って「武力衝突」としてきた政府見解との落差が国会で議論になった。(共同)

 

統幕に派遣後全データ 南スーダン PKO日報保存
2017年2月18日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201702/CK2017021802000145.html

Pk2017021802100036_size0 衆院予算委で答弁する稲田防衛相=17日、国会で(小平哲章撮影)

 稲田朋美防衛相は十七日の衆院予算委員会で、防衛省が当初は廃棄済みとしていた南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊の日報を一転して開示した問題を巡り「(二〇一二年の)部隊派遣を開始以来、統合幕僚監部で、日報を電子データとして保存していたことを確認した」と述べた。民進党の後藤祐一氏は「組織としてずっと保存している」と指摘し、廃棄して存在しないとして開示しなかった防衛省の対応は組織的な隠蔽(いんぺい)だと批判した。 (横山大輔)

 稲田氏は、南スーダンで大規模な衝突が発生した昨年七月の日報に関し、フリージャーナリストの布施祐仁(ゆうじん)さんから情報公開法に基づく開示請求を受けた当初は「派遣部隊と(日報の提出先の)中央即応集団司令部で捜し、破棄されていた」と、不開示に決定した経緯を説明。捜索範囲に日報を保管していた統幕が含まれていなかったことについては「捜し方が不十分だったが、隠す意図はなかった」と釈明した。

 日報を廃棄した時期は「規則上、期日を記録することにはなっていない」と明らかにしなかった。

 後藤氏は「昨年十二月に文書が存在しないことを理由に不開示決定しているが、統幕は全部とってあることを知っていた。この悪意は今までと違う」と指摘。省側が同十六日に行った「日報は破棄した」との稲田氏への報告についても「いいかげんな説明を、部下が大臣にしていたということではないか」と疑問を投げ掛け、「シビリアンコントロール(文民統制)上、大変な問題だ」と述べた。

 民進党の山井和則国対委員長は十七日、記者団に「南スーダンの現状を国民に正確に知らせない隠蔽体質の稲田氏が自衛隊員の命、国民の命を守ることはできない」と述べ、辞任要求を強めた。

南スーダンPKOの日報問題の経過
※防衛省の説明、稲田防衛相の国会答弁に基づき作成
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◆多数の職員認識か 5年以上の蓄積指摘なく

 防衛省は十七日、南スーダンPKO派遣部隊の日報が全て統合幕僚監部内の複数の部署で保管されていたと明らかにした。二〇一二年一月の一次隊から五年以上、電子データで蓄積され、保管を知る職員が多くいたとみられるが、存在を指摘する声はどこからも上がらなかったことになる。

 防衛省はこれまで統幕参事官室のパソコンに十次隊分のデータが残っていることを確認したと説明、昨年七月七~十二日分を一部黒塗りにして開示。稲田朋美防衛相がこの日の衆院予算委で、ほかの派遣隊分も残っていることを認めた。

 防衛省の武田博史報道官は十七日、十次隊分以外の確認が遅れた理由を「複数のフォルダに分かれて保管されていた」と釈明した。

 防衛省によると、統幕の参事官室のほか「運用第二課」でも日報データを保管。それぞれ歴代の担当者の間で引き継がれていた。統合幕僚長に活動報告する際の基礎資料として参照していたという。陸自の規定では日報の保存期間は一年未満とされているが、統幕の規定に違反するかは「確認中」とするにとどめた。

 一連の問題はフリージャーナリストからの情報公開請求を、防衛省が昨年十二月二日に「廃棄済み」を理由に不開示決定としたことが発端。稲田氏の指示で再探索し、昨年十二月二十六日に一部の日報が見つかったとされる。

 現地では現在、第九師団(青森市)を中心とする十一次隊が活動。安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの任務を初めて付与された。

<南スーダン日報問題> 防衛省が、南スーダンPKOに派遣されている陸上自衛隊の昨年7月の日報に関し、廃棄したと昨年末に説明したのに、今月になって保管していたことを認めて一部を開示した問題。日報には首都ジュバで大統領派と反政府勢力の「戦闘」が発生したことを明記。「戦闘行為」は起きていないとする政府の説明と食い違いが生じている。

  

 以下、伊勢崎 賢治氏の論考。日報がいかに大事か。隠蔽したり、削除したりするとどんな不都合なことが起きるか。稲田や安倍晋三がいかにデタラメか分かる(特に2頁目と4頁目のところ

2017.03.28 防衛・安全保障
南スーダン自衛隊撤退ではっきりした日本の安保の「超重大な欠陥」 国際社会にバレたら一大事!?
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51311

南スーダンで活動する自衛隊員〔PHOTO〕gettyimages
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■積み上げてきた「理屈」が崩壊した

2017年3月10日、政府は南スーダンからの自衛隊撤退を表明しました。

僕はこれまで、こういう主張をしてきました。



日本が依然として派遣の根拠にしているPKO派遣5原則(1992年制定)は、「住民保護」が主任務になった現代のPKOでは意味を失っている。

もはや停戦があるかどうかなんて関係なく、治安が悪くなればなるほど、その状況の犠牲となる住民を保護するべくPKOは撤退しなくなる。

昨年の7月の首都ジュバでの大規模な戦闘を受けて、即座に国連安保理がPKO部隊の4000名の増派を決定したことからもわかるように、自衛隊が撤退できないのは安倍政権が「駆け付け警護」をやらせるために無理強いしているからではない。単純にそれを国際世論が許さないからだ。やったら、それは「住民も守るためにもっと戦え」と迫る国際社会の正義を敵にすることになる。

だからこそ、安倍政権の安保法制を政局にするのではなく、そもそも民主党政権時に南スーダンに自衛隊を送った民進党が歩み寄り、現場に小康状態が訪れたら即座に、そして静かに、代替え案をもって撤退させよ。



そう提言し、そのために政党、そして外務防衛関係者へのロビー活動もやってきました。(参照:「南スーダンの自衛隊を憂慮する皆様へ~誰が彼らを追い詰めたのか?http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49799

交戦できない自衛隊は、弾がまったく飛んでこない場所でなら活動できます。そんな「仮想空間」を戦場につくり参加してきたのが、これまでの自衛隊によるPKOです。

それらは、

・「後方支援」(通常の施設部隊=兵站部隊に前方も後方もありません)

・「非戦闘地域」(こんなものが存在したら軍隊は基地を造る必要はありません。基地を一歩出たらそこは戦場です)

・「(武力行使と一体化しない)一体化論」(国連が南スーダンのような受け入れ国と一括して結ぶ国連地位協定をベースに、自衛隊に限らず全ての多国籍の部隊は国連の指揮下に一体化します)

などです。

南スーダンでもこれは成り立ってきました。首都のジュバは、もとは「安全」でしたが、昨年7月に、その「仮想空間」と、それを基に積み上げた「9条に抵触させない」理屈の数々が崩壊し、防衛省、特に陸上自衛隊はかつてない危機感を持ったはずです。

■「駆け付け警護」など無意味

実際、今になって、政府は昨年9月から撤収を検討していたと明かしました。でも、そのさなかの11月に「駆け付け警護」の任務を付与したことになる。

そもそも南スーダンの自衛隊は道路や橋をつくる施設部隊ですから、国連司令部が歩兵部隊がやる能動的な警備業務を命じることはありません。当たり前です。そんな専門外の部隊を送ってそこで何か殺傷等の事件が起こったら、上記のように、南スーダン政府に対する地位協定上の責任は国連が負っているのです。

施設部隊に付随する警備小隊はある程度専門的な訓練を受けているでしょうが、歩兵部隊を使い果たした後で施設部隊に警備要請が来る状況というのは、例外中の例外。国連PKOにとって、本当に、壊滅的な状況です。全体で2万以下しかいないPKO部隊がその10倍以上の兵力の南スーダン政府軍とガチンコになり取り囲まれるような状況です。

その際には、PKO主力戦力を提供している周辺各国も当然援軍を送るでしょうから現場は混乱を極め、いくら住民保護のために撤退しなくなったPKOとはいえ、全軍撤退しなきゃならない最終非常事態です。”通常任務”として自衛隊が想定するべきシナリオではありません。

こういう非常事態では、各地に散らばっている人道援助要員を、最後の砦であるPKO基地に、歩兵部隊や国連文民警察特殊部隊(Formed Police Unitと言います)が避難させているはずで、そこに住民が最後の望みを託して大量に庇護を求めて押し寄せる。その中に、悪さする奴らが紛れていて(住民と見分けがつきません)戦闘になる。PKO基地に閉じ籠っている自衛隊は、これを想定すべきなのです。

つまり、「駆け付け警護」ではなく、「駆け付けられる警護」です。その際、もし、誤って住民を多く誤射してしまったらどうするか。これが後に展開する国際人道法違反(=戦争犯罪)であり、国連が真摯に想定してる「法的なシナリオ」なのです。日本は、これを全く考えてこなかったのです。

そもそも、自衛隊だから日本人を助けるというような同国人優先を国連は認めません。当たり前です。現場で働く人道援助要員の国籍は本当に様々です。一つのPKOの部隊は多くて20ヵ国ぐらいですから。

だいいち、世界で日本人の人道援助要員が働いているところは、自衛隊がいない国が圧倒的に多く、南スーダン国内でも自衛隊がとてもいけない危険な場所で彼らは働いているのです。首都ジュバで日本の自衛隊が日本人優先を言い出したら、それよりも圧倒的に多い自衛隊がいない状況で働く日本人が”差別”される理由をつくってしまいます。

「同じ現場にいる日本人を助けられない忸怩」というカンボジアPKO以来の感情論で始まった「駆け付け警護」ですが、もういい加減に止めましょう。

国籍で”トリアージ”するのは国連ではタブーなのです。

つまり、新たに任務付与された「駆け付け警護」は、蓋然性ゼロなのです。(詳しくはこちら「自衛隊『駆けつけ警護』問題の真実http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48085


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51311?page=2
■なぜ「日報」は隠されたのか

蓋然性が全くゼロの代物を巡るこれまでの一連の政局は、全く意味がないドタバタのように見えますが、すべては安保法制のためという見方をすれば一貫しています。

昨年7月以降、「仮想空間」の論理は崩れているのに、認めない。そのうえで、安保法制の目玉だった「駆け付け警護」ができる部隊を派遣したという、蓋然性がゼロでも「自衛隊の進歩」の実績を、日本の国内向けだけに、何が何でもつくることに安倍政権にとっての意味があったのです。

「日報」が隠されたのも、そのためです。

「戦」の字が自衛隊の活動とくっついていてはまずい。任務を付与する前に南スーダンにいられなくなる。「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」という稲田朋美防衛相の答弁は、狙いをそのまま言ってしまったものです。

一般論として、海外での軍事活動は常に国際人道法違反(=戦争犯罪)と隣り合わせです。ですから、その疑義の発生時の司法の場で証拠となる「日報」の作成と保管は重要です。

住民の保護のために好戦的になっている現代の国連PKOですが、だからこそ、国連PKO自身が同法違反を犯す可能性を真正面に見据え、1999年に国連事務総長告知として、それを対処する法的な枠組みを、国連史上初めて明文化したのです。

これによって、国際人道法違反の対処は、各兵力拠出国の国内法廷(通常は軍事法典、軍事裁判所)に課されることになりました。当然、日本を含む国連加盟国は、PKO部隊の派遣にあたって、その法整備を義務づけられたことになります。

(参照:「日本はずっと昔に自衛隊PKO派遣の『資格』を失っていた!http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51058

日本にそういう国内法廷があったとして(後に詳述しますが、ありません!)、その際に軍事行動の正当性を証明する重要な証拠となる「日報」の”破棄”は、日本が国際社会に対して法治国家としての責任を果さない、と宣言しているようなものです。

考えてもみてください。もし日本国内で、米軍が、日米地位協定上日本の裁判権が及ばない公務上の凶悪事件を発生させたとしましょう。その際、米軍の軍法会議に必要なハズの”日報”を破棄していたとしたら? われわれは日本人はどう思うでしょうか?

この「日報」騒動が、海外メディアに報道されないことを祈ります。日本人として恥ずかしい。

■自衛隊撤退が生む波紋

撤収発表のタイミングは、今しかなかったのでしょう。

「日報」問題で連日攻められているときに撤収すれば、野党に屈した印象になる。矛先が「森友学園」問題にそれたときを狙ったのです。期せずして「政局にしない」状況が生まれたようです。

シリア軍とイスラエル軍の間の停戦監視の主要任務が、その両軍以外の理由(非合法集団の台頭によるシリア内戦の激化)で治安が悪化したゴラン高原PKOでは、治安悪化で主要任務ができないという主張は撤退の理屈として一応は成り立ちました(それでも、国連は、自衛隊撤退を受けて遺憾声明を出したのです)。

これに対して南スーダンPKOの主要任務は住民の保護です。治安が悪くなって犠牲になるのは住民なのです。治安悪化は撤退する理屈になるわけがありません。だから、国連は、ジュバの戦闘を受けて、逆に増兵を決定したのです。

南スーダンの治安情勢は「安定」はしておらず、軍事力によって辛うじて小康が保たれている、依然、準戦時状態です。

今回の自衛隊撤退の声明にあたってジュバの日本大使館、そして国連本部のあるニューヨークの日本政府国連代表部は、国連が遺憾声明を出さないように相当の根回しをやったハズです。その一つは、PKO司令部要員の継続そしてODA予算の積み上げです。

もともと自衛隊は施設部隊でも危険なところに行けない特殊な存在ですから、国連側にとって自衛隊の撤退で発生する軍事的な穴はほとんどないでしょう。

しかし、「国連外交」的な影響はあります。国連PKOはただでさえ兵力集めと結束が難しい多国籍軍です。自衛隊であれ一国の撤退が他の派兵国のやる気と忍耐に影響することが国連にとって一番痛手なのです。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51311?page=3
■もういい加減に現実を見よ

しかし、たぶん今回は国連側から遺憾声明などあまり騒ぎ立てることはしないでしょう。

安保理による4000名の増兵の決定後、兵力を提供する国があるのかと一時は心配されたのですが形を整えつつありますし、去年の戦闘で住民を十分守りきれなかったという国際世論の激しい非難を受けて、PKO部隊全体として士気が高まりつつあるので(それを察してか悪さをする奴らも様子見で現場が小康状態になっている)、それを損なわないために、自衛隊撤退をあえて騒ぎ立てず、シラーっと流すハズです。

何より、いくらなんでも今回は、「仮想空間」が南スーダンのどこにも、一番安全なハズの首都ジュバのどこにも存在しないことを、日本政府は今まで自衛隊を「お客様」として扱ってくれていた国連に説明したハズです。

もはや「仮想空間」がない状況で自衛隊を抱え続けることは、大変大きなリスクになりますから、その理由でもシラーと流すハズです。

もし、自衛隊を巻き込む軍事的過失が起きてしまったら? 繰り返しますが、南スーダン政府に対して地位協定上の責任を負っているのは国連です。

1999年国連事務総長告知で、国連地位協定によって南スーダンのような相手国から犯罪時の裁判権を奪う代わりに、その処理を各派兵国の国内法廷に課しているのに、日本にはそれがない。

ただでさえ、好戦的になっている国連PKOに、偏狭な主権意識を刺激されている南スーダン政府です。国連PKOは進駐軍のような感じで、南スーダン政府との関係は最悪なのです。

もし、そんな中、自衛隊がらみの事故が起きてしまったら、南スーダン政府は、怒り心頭「軍事犯罪の落とし前もつけられない、いい加減な国の軍隊を我が国に入れたのか!」と、国連を糾弾する材料に利用するに決まっているからです。

南スーダン撤退表明後、自衛隊関係者からは、もう部隊としてのPKO派遣はしない。もしくは、住民の保護などの好戦性のないPKO、例えばキプロスの停戦監視ミッションを次の派遣候補に挙げる声が聞こえてきます。

思い返してください。南スーダンに自衛隊を送った民主党政権当時、南スーダンはまだ建国したばかりで、同PKOの主要任務は住民の保護ではなく「国づくり支援」でした。

南スーダン政権は、分離独立したスーダン内戦から成りあがってきた軍閥の集合体のようなもので、いずれは内輪もめが始まり、それが新たな内戦に発展することを国連はしっかり予想していたのです。だから、国づくり支援に見せかけて、こういう危ない連中のお目付役としてPKO部隊を投入したのです。

案の定、すぐに大統領派と副大統領派の確執が内戦化し、それによって犠牲になりだした住民の保護が主要任務になっていきました。

今は、自衛隊にフィットする「仮想空間」があるように見えるキプロス停戦監視PKOでも、いつ事態が悪化して主要任務が切り替わるかわかりません。

その事態が住民が犠牲になるものになったら、PKOの主要任務は住民の保護に切り替わり、その時はもはや、南スーダンと同様に、簡単に撤退できなくなるのです。

もういいかげんに、9条に抵触させないためだけの「仮想空間」探しは、止めにしませんか?

■日本が抱える根本問題

今回、南スーダンで「仮想空間」が崩壊することによって、期せずして明らかになった自衛隊の法的な地位の根元的な問題は、単にPKOに部隊派遣を止めればいいという問題ではありません。

その根元的な問題とは、自衛隊が国際人道法違反を犯した時にそれを法治国家として適正に対処する法体系が日本にはないことなのです。

それを普通の国では、軍事法典、軍事裁判所といいますが、日本にはこれがありません。(最近、僕の教え子が、大変意欲的な学術論文を書きましたので、ぜひご参照ください。「日本の軍法の可能性」三浦有機 http://kenpou-jieitai.jp/kenkyuuronbun_miura_yuuki.html )


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51311?page=4
通常、軍隊で想定される犯罪は、大きく言って二つあります。

一つが「統制犯罪」。

軍隊も一つの官僚組織ですから、それ相当の内規があります。そこで定める服務の違反や組織の名誉を傷つける行為。まあ普通はその内規に沿っての懲戒処分ですが、任務の外で例えば窃盗や殺人を犯せば刑罰を喰らうわけです。これは日本でも現行の自衛隊法、そして刑法で対応できます。

問題は、もう一つの「軍事犯罪」です。任務中における市民への人権侵害や、国際人道法の違反、つまり戦争犯罪です。

例えば、一般の刑法でも、殺人は重犯罪です。そして、破壊行為の中でも放火などは死刑になりうる罪です。軍隊というのは、いわば、そういう殺傷、破壊の技術を日々訓練し、そういう能力に非常に長けた職能集団ですから、被害も通常以上に甚大になるはずで、だからこそ一層重い厳罰を課すのは当然です。

しかし、それが「命令行動」の一環で、それを誠実に履行したものであるのなら、どんなに甚大な被害でも、その刑事性が勘案されるというのが、一般法と軍法が違う大きなポイントです。

日本と同様の十字架を背負い戦後復興したドイツには、常設の軍事裁判所がありません。しかし、「軍事犯罪」を裁く軍刑法があり、事案発生に応じて通常の裁判所で運用します。

そのドイツ軍が、僕がその黎明期に関わったアフガニスタンでのテロとの戦いで、2009年、重大な事故を引き起こしました。これが、上記論文で詳述されている「クンドゥーズ事件」です。

詳細は同論文(第二章/第三節)に譲りますが、あるドイツ人将校の軍事的な判断でNATO軍の戦闘機が民間車を誤爆、なんと102人のアフガン市民が犠牲になったのです。

これは第二次世界大戦以来のドイツ軍が犯した重大な戦争犯罪として、まずドイツ国内で大騒ぎになりました。

ドイツ検察は、約1年間かけて捜査し、事件当時の現場の緊張した状況に照らし合わせれば(だから”日報”の作成と保管は必要なのです!)、限られた情報収集の中で敵への爆撃の判断を下すことは止むを得ず、後になって市民がいたことがわかっても、その将校と部下たちの判断は軍事的には合理的であり、国際人道法にも、ドイツ刑法にも違反しないと、不起訴にしました。

結果、ドイツ政府は被害者の遺族にたいして、空爆の法的責任は認めず、手厚い弔意金を支給したのです。

単に、金で解決した、のではありません。ドイツは、国家が犯した犯罪に、(たとえそれが不起訴でも)法治国家として法的な責任の所在を明らかにしながら、国家として説明責任を果たしたのです。

日本には、その説明責任を生む法体系がありません。あるのは、「統制犯罪」を扱う自衛隊法と、日本人が海外で犯す「過失」は扱えない(国外犯規定)刑法だけです。

日本は遅ればせながらジュネーブ諸条約追加議定書に加盟した2004年に、慌てて「国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律」という国内法をつくりました。しかしこの中身は、文化財の破壊や捕虜の輸送を妨害するなど、はっきり言って、どうでもいい罪への処罰だけで、肝心の殺傷を生む罪に関するものが一切ないのです。なぜなら、自衛隊がいるところでは「戦闘」は起き得ないからです。

(ドイツのクンドゥーズ事件と対照的に、イラクでアメリカ政府が雇った「民間軍事(傭兵)会社ブラックウォーター社」が17人の一般市民を殺戮した軍事犯罪事件で、地位協定により現地政府に裁判権がないだけなく、正規軍じゃないので米軍法が適応できず、地球上にそれを裁く法がないという「法の空白」を引き起こした2007年の「血の日曜日事件」は、自衛隊の法的な問題が見越すべき先行事例と言えます。詳しくは、同論文第一章/第一節/第二項、もしくは、「自衛隊を活かす会」シンポジウム「戦場における自衛官の法的地位を考える」で僕の発言を参照あれ。http://kenpou-jieitai.jp/symposium_20160422.html

■これは憲法の問題だ

「私は自衛隊の最高司令官」、「すべての責任は私にある」というのは首相、そして防衛大臣の言葉です。言うのは簡単です。でも、最高司令官としての彼らの法的な責任を立証し、国内外に説明責任を果たす法体系を、日本は持ち合わせていないのです。

一方で、国際人道法違反=戦争犯罪に一番敏感にならなければならない平和憲法の国の国民が、自らが戦争犯罪を犯す可能性に備えがないことに疑問さえ抱かないのは、なぜか。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51311?page=5
自衛隊は、国際人道法上の「交戦」をすることを想定していない「仮想空間」に生きる存在だと、だから何も問題がないのだと、いつの世でも権力に批判的であるべきリベラルをもが、現場の現実を見ずに自分たちを思い込ませてきたからです。

でも、南スーダンでは、いとも簡単に「仮想空間」が吹っ飛んでしまった。

自衛隊はPKOだけじゃなく、日米地位協定のような二国間の協定によって”駐留軍”としてジブチに駐留しています。(地位協定の問題については、「在日米軍だけがもつ『特権』の真実http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48780 を参照あれ)

これは、PKOやジブチ、自衛隊が駐留する海外でだけの問題ではありません。日本の領土、領海内に敵が現れ、それに自衛隊が対処する時にも、同様に国際人道法は「交戦」と見なし、同法違反を統制する、ということを忘れるべきではありません。

というか、そもそも国際人道法とは、第一次大戦後のパリ不戦条約そして国連の誕生によって侵略戦争が厳格に違法化されて以来、自衛のための交戦を律するためにあるのです。

でも、9条の自衛隊の”ジャブ”程度の反撃なら、国際人道法上の「交戦」にはあたらないと、日本は”誰の断りもなく”定義し、運用してきました(防衛省HP「交戦権」http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/seisaku/kihon02.html)。

国際人道法違反に対応する法整備がないのですから、これは外から見たら、自衛隊は、国際人道法を全く気にしない、つまり戦争犯罪を全く気にしない野放図な打撃力の主体としか見えません。通常戦力で世界五指(クレディ・スイス2015:ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)とグローバル・ファイアーパワー(GF)で換算)の軍事力の”ジャブ”が、です。

そもそも、自衛権とは、国際人道法に則って徹底的に戦うという意思を、仮想敵に対して、知らしめること。これが、抑止力の「礎」でしょう。

それも、ただ、その意思を大げさにキャンキャン騒ぎ立てるのではなく、何より、自らが国際人道法違反を犯した時にそれを厳粛に対処する法整備をもって、その反撃の意思の”本気度”を、知的に、整然と、国内外に知らしめること。ここに国防の「礎」があるはずです。

この礎なしに、いくら高価な兵器を買おうと、ただのハリボテなのです。というか、これがないから逆に高価な買い物の購買欲が抑えられなくなっているのではないでしょうか。気がついてみれば、日本はすでに軍事大国です。9条の国が、です。

同時に、足元がしっかりしないから「脅威論」ばかりが席巻します。「礎」なき日本は、「安全保障のジレンマ」に最も脆弱な国民性を呈しているのではないでしょうか。

だからこそ「米軍が鉾、自衛隊は盾」で、自衛隊は「交戦」しないで済むのだ、という日米同盟強化の理屈を言う向きもあるのでしょうが、保守の間でもそれをヤキモキする議論がある、どうせどこまで本気かどうかわからない「鉾」でしょう。

貧弱な武器でも「礎」を持つからこそ示せる”凄み”か。それとも、当てにならない「鉾」と「礎」なしのハリボテか。一体、どちらが、抑止力として有効なのでしょうか。

今回の南スーダンからの自衛隊撤退で、期せずして、戦後初めて顕在化した国際人道法と自衛隊の法的地位の問題。これをPKOの問題というだけで幕引するべきではありません。

安保法制でさらに加速することが予想されるPKO以外の海外派遣、そして何より日本領土、領海内での国防に関わる問題なのです。これは、つまり、憲法の問題です。

改憲派/護憲派を超えて、今こそ考えるべきです。

(*伊勢崎賢治氏の過去記事一覧はこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/kenjiisezaki

 

 以下、伊勢崎賢治氏の過去記事。

2017.05.30 防衛・安全保障 憲法
安倍「加憲」で全世界が知ることとなる日本の「身勝手な論理」 英訳したらバレてしまう…
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51870

 

2017.02.26 防衛・安全保障 憲法
日本はずっと昔に自衛隊PKO派遣の「資格」を失っていた! 誰も言わない本当の論点
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51058

 

2017.01.15 アメリカ 沖縄
日米関係の「安定」を本当に願うのであれば、まず地位協定を改定せよ 親米/反米を超えた課題
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50705

 

2016.09.27 防衛・安全保障 自衛隊 PKO
南スーダンの自衛隊を憂慮する皆様へ〜誰が彼らを追い詰めたのか? ゼロからわかるPKOの今
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49799

 

2016.05.31 防衛・安全保障
世界的にもこんなの異常だ! 在日米軍だけがもつ「特権」の真実 沖縄女性遺体遺棄事件から考える
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48780

日米は「対等」ではない
日本はアフガンよりも下?
韓国ではすでに二度も改定
フィリピンとアメリカの「対等」な関係 など。

 

2016.03.12 防衛・安全保障
いまさら聞けない「集団的自衛権って何ですか?」〜日本の常識は世界の非常識だった…
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48150

 

2016.03.03 防衛・安全保障
なぜ日本政府はPKF部隊派遣にこだわるのか? 自衛隊「駆けつけ警護」問題の真実 先進国では日本と韓国だけ…
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48085

 

2016.02.13 防衛・安全保障
自衛隊「海外派遣」、私たちが刷り込まれてきた二つのウソ〜ゼロからわかるPKOの真実 20年以上ずっと憲法違反
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47860

 

2016.01.01 防衛・安全保障
9条もアメリカも日本を守ってくれない! そろそろ「国防」についてホンネで話をしよう いま、真の脅威は何か
伊勢崎 賢治 東京外国語大学教授 紛争屋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47229

 

 稲田のデタラメは、日報隠蔽だけではない。こんな無能な大臣は即刻罷免すべきだ。

自衛隊発言 稲田氏、軽さ露呈 安易な「政治利用」
毎日新聞2017年6月29日 01時21分(最終更新 6月29日 01時28分)
https://mainichi.jp/articles/20170629/k00/00m/010/195000c

20170629k0000m010131000p_9
記者らに囲まれながら厳しい表情で車に乗り込み防衛省を後にする稲田朋美防衛相=東京都新宿区で2017年6月28日午後5時44分、手塚耕一郎撮影

 稲田朋美防衛相が東京都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」と発言した問題は、防衛相としての適格性を疑わせるものだ。自衛隊を安易に政治利用したと受け取られかねない発言で、「普通ではあり得ない軽さ」(官邸関係者)だ。安倍晋三首相は稲田氏を続投させる考えだが、7月2日に投開票日が迫る東京都議選への影響も必至だ。

【注目ニュース90秒】なぜ出る?「自衛隊としてお願い」発言
【動画】稲田防衛相 当日の発言
<稲田氏発言 自民の「緩み」深刻> 稲田氏発言 与党、都議選影響危惧 野党「完全にアウト」
<稲田氏 都議選応援「自衛隊としてお願い」発言後に撤回>
<豊田議員暴言 自民・細田氏「高速逆走が原因」>

 菅義偉官房長官は28日の記者会見で稲田氏の発言について「政府の機関は政治的に中立であって特定の候補者を応援することはありえない」と述べ、発言を撤回したことで辞任の必要はないとの考えを強調した。

 だが、稲田氏の発言は自らの指揮監督下にある職員・隊員に法律に抵触する政治的行為を求めたともとられかねない内容だ。政府・与党内からも資質を問う声が上がる。閣僚経験者は「政務と公務を混同している。閣僚やその役所の立場で選挙の応援をお願いしたいなんて言ってはいけない。にわかに信じがたい」と指摘した。

 憲法は「すべての公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と規定する。公職選挙法は136条の2で、特別職を含むすべての公務員の地位を利用した選挙運動を禁止している。防衛省職員は国家公務員法102条、自衛隊員は自衛隊法61条でそれぞれ「選挙権行使を除く政治的行為」が制限されている。総務省によると、防衛相を含む各省庁の政務三役(大臣、副大臣、政務官)は国家公務員法で定める「特別職」にあたり公選法上の地位利用による選挙運動禁止規定の適用対象になる。

 政府高官は28日、「調べた結果、稲田氏の発言は違法ではなかった」と述べたが、発言は「防衛相」「防衛省、自衛隊」としての立場を示して支援を呼びかけている。法に触れる可能性は否定できない。

 とりわけ、今回は対象に自衛隊が含まれるという点で、「閣僚の立場を利用した」というだけにとどまらない問題がある。

 実力組織である自衛隊の場合、戦前の軍部主導に対する反省もあり、厳密な政治的中立性が求められる。2012年2月の沖縄県宜野湾市長選で投票を呼びかける「講話」を行った防衛省沖縄防衛局長は訓戒処分を受けた。先月には、安倍首相が憲法9条への自衛隊明記の方針を示したことに対する河野克俊統合幕僚長の「ありがたい」との発言が問題視された。

 稲田氏の「軽い」発言はこうした問題の微妙さをそもそも理解していないのではないかとの疑念を抱かせる。岩井奉信日本大教授(政治学)は「防衛省・自衛隊という特にナーバスな組織のトップである防衛相の発言としては『適格性に問題がある』と取られても仕方のない発言だ」と指摘した。

 稲田氏はこれまでも資質が問題視されてきた。今年2月の国会答弁では、南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣の陸上自衛隊の日報に「戦闘」の語句があったことに対し「憲法9条上の問題になるので『戦闘』ではなく『武力衝突』という言葉を使っている」と現地の状況を取り繕うかのような発言をした。学校法人「森友学園」を巡っては学園の民事訴訟に弁護士として関わったことを認め、関与を全面否定した自らの発言の撤回に追い込まれた。

 首相は自らが抜てきしてきた稲田氏を続投させる姿勢を示している。しかし、資質が疑われる言動を繰り返す稲田氏に対し、政府筋は「何であんなこと言うのかさっぱり分からない」と突き放した。【木下訓明、高山祐】

都議選、自民さらに逆風

 「とばっちりという感じで都議選候補に気の毒だ。(自民党の議席が過去最低だった)2009年の都議選とやや空気が似ていると思う」。衆院東京17区選出の平沢勝栄衆院議員は28日、都議選候補の応援の合間に記者団にこう語った。

 学校法人「加計(かけ)学園」の問題などで逆風にさらされる中で飛び出した稲田氏の失言。党内からは、政権交代を前に民主党(当時)が躍進し、自民党が過去最低の38議席に沈んだ09年都議選の再来を懸念する声すら漏れ始めた。

 菅官房長官は同日の記者会見で「都民が地域の問題を判断する選挙だ。影響はないと認識している」と強調したが、東京選出の自民議員からは「国政をこれ以上持ち込まないでほしい」と悲鳴が上がる。

 安倍政権は、加計学園や「共謀罪」法を巡る強引な国会運営などに対する世論の反発の中、都議選に突入した。安倍首相は19日の記者会見の際、国会答弁について「印象操作のような議論に強い口調で反論してしまった。深く反省している」と陳謝して幕引きを図ったが、その後も文部科学省の文書が新たに発覚するなどした上に、豊田真由子衆院議員による秘書への暴言や暴行が報道された。

 毎日新聞の6月の世論調査では、自民党と「都民ファーストの会」が競り合っており、稲田氏の失言で環境が悪化するのは必至だ。

 街頭の空気は厳しい。党都連会長の下村博文幹事長代行は28日の街頭演説で「皆さんから見たら、傲慢になっているのではないか、緩んでいるのではないか(と見られる)。謙虚さが本当に必要だ」などと釈明に追われた。局面打開を図る自民党は、28日に人気の高い小泉進次郎衆院議員を応援弁士として投入。5カ所をまわった小泉氏は、反省する姿勢を強調した。「逆風はなぜ吹いているのか。自民党自身がまいた種だ。与党にいることが当たり前、という姿勢を変えないといけない」と繰り返した。【小山由宇、村尾哲】

  

 星条旗新聞の記事。その後ろで、ワシントンポストの元記事。

In Japan, a scandal over a school threatens to entangle the prime minister
By ANNA FIFIELD | The Washington Post | Published: February 27, 2017
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U.S. Army Brig. Gen. Spindler, Defense POW/MIA Accounting Agency (DPAA) deputy director, briefs Prime Minister Shinzo Abe of Japan and Defense Minister Tomomi Inada on the agency's recovery operations at the DPAA facility as part of his visit to Hawaii, Dec. 26, 2016.
KATHRINE DODD/U.S. AIR FORCE

By ANNA FIFIELD | The Washington Post | Published: February 27, 2017

TOKYO — Japan's prime minister is facing the biggest crisis of his tenure, caught up in a burgeoning scandal that involves a shady land deal, allegations of a coverup and a kindergarten sending out notes about "wicked" Koreans and Chinese.

Shinzo Abe strongly denies any wrongdoing, and his wife, Akie Abe, has resigned as "honorary principal" of the planned school at the center of the firestorm. But the scandal shows no sign of going away anytime soon.

"There are so many questions that need to be answered," said Koichi Nakano, a professor of political science at Sophia University and sharp critic of the Abe government. "We don't know whether Abe was directly involved but even if he wasn't, this will still hurt him."

It all started with a local story about hate speech.

Tsukamoto kindergarten in Toyonaka, Osaka prefecture, sent a letter to parents in which it described Korean residents of Japan and Chinese people as having "wicked ideas," using a derogatory term for Chinese.

Yasunori Kagoike, the chairman of the organization that runs the private kindergarten, has admitted to sending the letter.

A separate note said, "The problem is that people who have inherited the spirit [of Koreans] exist in our country with the looks of Japanese people." Kyodo News reported the contents of the letter, citing a copy obtained from a parent.

A video from a sports day in 2015, also obtained by Kyodo, shows a child at the school saying: "We want China and South Korea, which portray Japan as a villain, to be repentant. We'll root for Prime Minister Abe."

◎◎◎◎◎ここで、ワシントンポストの元記事にある3段落が抜けている。

Osaka is home to a high proportion of Japan's ethnically Korean residents, a legacy of Japan's colonial occupation of the Korean Peninsula in the early 20th century.

Children aged 3 to 5 who attend the private kindergarten sing the national anthem in front of the Japanese flag and recite the Imperial Rescript on Education, an 1890 tract that calls on Japanese to "offer yourselves courageously to the state" to "guard and maintain the prosperity of our Imperial throne." The rescript was abolished after Japan's defeat in World War II, when the emperor's role in Japan was reduced to that of a ceremonial figurehead.

The kindergarten, whose website says it will teach children to "respect the courtesy of Japanese and foster patriotism," apologized for the "misunderstanding" about its statements.

But the scandal really erupted when it emerged that Moritomo Gakuen, the educational organization that runs the kindergarten, had bought a plot of land for what it hoped would become the "Shinzo Abe Memorial Elementary School" at a vastly reduced price.

The new school, which is due to open in April, touts itself on its website as the "first and only Shinto elementary school" and says it will "foster children who hold pride in being Japanese and have a solid backbone." Shinto is the animist religion of Japan, and Abe is an adherent.

Moritomo Gakuen paid $1.2 million last year for a two-acre plot of land that was appraised at $8.4 million. The discount was ostensibly because the land contained buried rubbish and some contamination, although the state reimbursed the organization almost $1.2 million - the same as the sale price - for clean-up costs.

"Didn't the state give the land away for free?" asked Takeshi Miyamoto, a lawmaker in Japan's Communist Party.

A neighboring, slightly larger plot of land was sold to the city of Toyonaka to build a park for $12.5 million - 10 times the amount the school paid - in 2010.

Now, the Finance Ministry is saying that it threw out the records on the land negotiation after the deal was concluded, leading opposition politicians to accuse the government of a coverup. The Board of Audit is investigating.

Abe said that he asked Moritomo Gakuen not to use his name in connection with the school but that the organization has ignored the request in its fundraising drive.

"It is extremely regrettable that my name was used in that manner despite my repeated requests to stop it," Abe told a parliamentary committee last week. He has said he will resign as both prime minister and as a member of parliament if he or his wife are found to have done anything wrong.

Akie Abe, who had previously praised the principal's "passion," was to serve as honorary principal of the school. But she resigned from the post Friday, and all reference to her was scrubbed from the school's website.

The case has triggered allegations not just of bigotry but of political collusion.

Kagoike, the chairman of the educational organization, is an executive member of the Osaka chapter of Nippon Kaigi, a nationalist group that has close ties to the prime minister and numerous members of his ruling party, including some in his cabinet.

Nippon Kaigi has among its goals to "nurture patriotism" and to adopt a new constitution "based on our nation's true characteristics," rather than the document written by Japan's American occupiers after World War II.

Abe, an arch-conservative who has said he wants to make Japan a "beautiful country" again, has been working to revise the constitution to loosen some of the post-war shackles imposed on Japan.

But Nippon Kaigi's goals are widely seen as intended to restore the strength Japan had before the war. Kagoike promoted constitutional revision in a newsletter to kindergarten parents, encouraging them to "emulate a great man like Prime Minister Shinzo Abe."

If the case continues to snowball and if Abe is found to have a greater role than disclosed, it could gravely hurt the prime minister, analysts say.

"This could be so damaging that it could shake the foundation of the Abe administration," said Eiken Itagaki, a political analyst and former reporter for the left-leaning Mainichi newspaper.

The case encompassed local political and budgetary issues, but it also could cause a diplomatic storm with Japan's closest neighbors. "Prime Minister Abe might think this story is a minor issue, but it has the potential to become very damaging," Itagaki said.

Abe has been enjoying approval ratings above 60 percent in polls and faces very few challenges, either from within his party or from the main opposition Democratic Party. But the widening scandal could cause him to delay plans to dissolve the lower house of parliament and call a general election.


The Washington Post's Yuki Oda contributed to this report.

 

 以下、ワシントンポストの元記事。

In Japan, a scandal over a school threatens to entangle Abe

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Students recite the Imperial Rescript on Education in front of Japan’s flag and a picture of Emperor Akihito and Empress Michiko at Tsukamoto kindergarten in Osaka. (Ha Kwiyeon/Reuters)

By Anna Fifield February 27

TOKYO — Japan’s prime minister is facing the biggest crisis of his tenure, caught up in a burgeoning scandal that involves a shady land deal, allegations of a coverup and a kindergarten sending out notes about “wicked” Koreans and Chinese.

Shinzo Abe strongly denies any wrongdoing, and his wife, Akie Abe, has resigned as “honorary principal” of the planned school at the center of the firestorm. But the scandal shows no sign of going away anytime soon.

“There are so many questions that need to be answered,” said Koichi Nakano, a professor of political science at Sophia University and sharp critic of the Abe government. “We don’t know whether Abe was directly involved, but even if he wasn’t, this will still hurt him.”

It all started with a local story about hate speech.

Tsukamoto kindergarten in Toyonaka, Osaka prefecture, sent a letter to parents in which it described Korean residents of Japan and Chinese people as having “wicked ideas,” using a derogatory term for Chinese.

Yasunori Kagoike, the chairman of the organization that runs the private kindergarten, has admitted to sending the letter.

A separate note said, “The problem is that people who have inherited the spirit [of Koreans] exist in our country with the looks of Japanese people.” Kyodo News reported the contents of the letter, citing a copy obtained from a parent.

A video from a sports day in 2015, also obtained by Kyodo, shows a child at the school saying: “We want China and South Korea, which portray Japan as a villain, to be repentant. We’ll root for Prime Minister Abe.”

◎◎◎◎◎以下3段落が星条旗新聞では略されている。
Abe sought to distance himself from the school Monday, saying under questioning in the Diet, or parliament, that he had no idea what was being taught.

Abe had previously described Kagoike as having “an ideology similar to mine” but said Monday that it was not appropriate for a school leader to discriminate “based on race, nationality and religion.”

“Of course I don’t want the kids to root for me like that, and I don’t think it’s an appropriate thing for them to say,” Abe said.
◎◎◎◎◎

Osaka is home to a high proportion of Japan’s ethnically Korean residents, a legacy of Japan’s colonial occupation of the Korean Peninsula in the early 20th century.

Children aged 3 to 5 who attend the private kindergarten sing the national anthem in front of the Japanese flag and recite the Imperial Rescript on Education, an 1890 tract that calls on Japanese to “offer yourselves courageously to the state” to “guard and maintain the prosperity of our Imperial throne.” The rescript was abolished after Japan’s defeat in World War II, when the emperor’s role in Japan was reduced to that of a ceremonial figurehead.

The kindergarten, whose website says it will teach children to “respect the courtesy of Japanese and foster patriotism,” apologized for the “misunderstanding” about its statements.

But the scandal really erupted when it emerged that Moritomo Gakuen, the educational organization that runs the kindergarten, had bought a plot of land for what it hoped would become the “Shinzo Abe Memorial Elementary School” at a vastly reduced price.

The new school, which is due to open in April, touts itself on its website as the “first and only Shinto elementary school” and says it will “foster children who hold pride in being Japanese and have a solid backbone.” Shinto is the animist religion of Japan, and Abe is an adherent.

Moritomo Gakuen paid $1.2 million last year for a two-acre plot of land that was appraised at $8.4 million. The discount was ostensibly because the land contained buried rubbish and some contamination, although the state reimbursed the organization almost $1.2 million — the same as the sale price — for cleanup costs.

“Didn’t the state give the land away for free?” asked Takeshi Miyamoto, a lawmaker in Japan’s Communist Party.

A neighboring, slightly larger plot of land was sold to the city of Toyonaka to build a park for $12.5 million — 10 times the amount the school paid — in 2010.

Now, the Finance Ministry is saying that it threw out the records on the land negotiation after the deal was concluded, leading opposition politicians to accuse the government of a coverup. The Board of Audit is investigating.

Abe said that he asked Moritomo Gakuen not to use his name in connection with the school but that the organization has ignored the request in its fundraising drive.

“It is extremely regrettable that my name was used in that manner despite my repeated requests to stop it,” Abe told a parliamentary committee last week. He has said he will resign as both prime minister and as a member of parliament if he or his wife are found to have done anything wrong.

Akie Abe, who had previously praised the principal’s “passion,” was to serve as honorary principal of the school. But she resigned from the post Friday, and all reference to her was scrubbed from the school’s website.

The case has triggered allegations not just of bigotry but of political collusion.

Kagoike, the chairman of the educational organization, is an executive member of the Osaka chapter of Nippon Kaigi, a nationalist group that has close ties to the prime minister and numerous members of his ruling party, including some in his cabinet.

Nippon Kaigi has among its goals to “nurture patriotism” and to adopt a new constitution “based on our nation’s true characteristics,” rather than the document written by Japan’s American occupiers after World War II.

Abe, an arch-conservative who has said he wants to make Japan a “beautiful country” again, has been working to revise the constitution to loosen some of the postwar shackles imposed on Japan.

But Nippon Kaigi’s goals are widely seen as intended to restore the strength Japan had before the war. Kagoike promoted constitutional revision in a newsletter to kindergarten parents, encouraging them to “emulate a great man like Prime Minister Shinzo Abe.”

If the case continues to snowball and if Abe is found to have a greater role than disclosed, it could gravely hurt the prime minister, analysts say.

“This could be so damaging that it could shake the foundation of the Abe administration,” said Eiken Itagaki, a political analyst and former reporter for the left-leaning Mainichi newspaper.

The case encompassed local political and budgetary issues, but it also could cause a diplomatic storm with Japan’s closest neighbors. “Prime Minister Abe might think this story is a minor issue, but it has the potential to become very damaging,” Itagaki said.

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